Contract
高齢福祉・介護保険
サービス利用者の本人からの苦情・ご意見
「ケアマネジャー事業所から一方的に契約解除された」
<サービス利用者> 男性
<申立人> 本人
<苦情対象機関> 居宅介護支援事業所(ケアマネジャーが所属している事業所)
苦情申立てに至る経緯
申立人は疾病による麻痺があり、居宅介護支援事業所(以下、事業所)と契約し、通所介護と福祉用具の貸与を利用していた。1か月後、事業所より、突然契約解除をすると言われた。解除の理由は、「通常業務を超えた依頼内容が頻繁にあり、申立人は納得できないと感情的になる」「頻回に、ケアマネジャー(以下、ケアマネ)を大声で中傷する」「連日の訪問・電話連絡をしなければならず、他の業務に支障が生じている」というものであった。
確かに、申立人はケアマネに、地域の情報収集や区役所への代理の連絡を依頼したが、地域のことがよく分からなかったからである。また、申立人の携帯電話は調子が悪く、xxxxが聞こえないというので大声になった。それでも電話が聞き取りにくいため、xxxx自ら何度も申立人宅を訪問しただけである。
次の事業所が決まる前に、事実に反する理由で、一方的に契約を解除するのは、介護保険事業所としてあるまじき行為である。事業所の対応に納得できない。
委員による調査結果
〇 申立人からの要望に応え、ケアマネは電話対応や訪問を頻繁に行った。申立人は、ケアマネに代理で区役所に連絡するよう要望したり、交通機関の時刻表調べ等業務以外のことを要求してきた。申立人は希望通りにならないと、対応が悪いと感情的に怒鳴った。
〇 これらの対応により、ケアマネの他の業務にも支障が生じ、ケアマネ自身も精神的な限界を感じた。管理者も、これ以上の支援は無理と判断し、契約解除を決めた。
〇 ケアマネ、管理者、申立人の3者で、この状態に至った原因・理由について話し合ったが、かみ合わなかった。翌日、それまで事業所が相談していた地域包括支援センター職員も同席し、契約解除の話し合いをした。申立人は口頭で契約解除を了解したため、解除通知書を手渡した。
〇 契約書には解除通知期間の記載はなかった。また、解除通知書には利用者の同意欄がなく、契約解除に対する申立人の意思確認が書面上ではできていない。
〇 事業所としては、次の居宅介護支援事業所が決まるまで地域包括支援センターが相談支援を継続することや、福祉用具貸与も継続利用することを確認した上で、双方が合意して契約解除に至ったと認識している。
申入れ→事業所の対応
🖊 契約解除が一方的にならないように、事前の説明や、本人の同意を表す署名は必要です。
解除までの通告期間を確保するとともに、今後は利用者がサービスの中断に陥らないよう、解
除前に次の事業所につなぐなどの必要な措置を講じてください。
➡ 申入れを受け、契約解除の際の告知期間を明記するなど、契約書の文言を具体的な記述に変更した。
🖊 事業所として従事者の精神面・体力面にわたって健康状態を把握し、働きやすい環境を作
るとともに、早い段階から抱えている課題をチェックし組織で対応するようにしてください。
➡ 定期的にチーム内で意見交換を実施し、利用者の状況を把握するとともに、課題を検討し、共有する。また、リスクマネジメント等の研修・勉強会を通じて、支援者の力量向上も検討している。