平成 30 年 7 月豪雨での災害復旧工事では、直轄で、約 230 件(H30.11 末時点)の工事で随意契約を活用。
Ⅲ.災害時における対応
指針本文」についての解説
Ⅲ.災害時における対応
1.工事 1-1 災害時における入札契約方式の選定
【指針本文】
Ⅲ.災害時における対応
1
工事 1)
1-1 災害時における入札契約方式の選定
災害時の入札契約方式の選定にあたっては、工事の緊急度を勘案し、随意契約等を適用する。
災害協定の締結状況や施工体制、地理的状況、施工実績等を踏まえ、最適な契約の相手を選定するとともに、書面での契約を行う。
災害発生後の緊急対応にあたっては、手続の透明性、xx性の確保に努めつつ、早期かつ確実な施工が可能な者を選定することや、概算数量による発注を行った上で現地状況等を踏まえて契約変更を行うなど、工事の緊急度に応じた対応も可能であることに留
意する。
参考
1)災害時における対応については、「災害復旧工事における入札契約方式の適用ガイドライン」(国土交
通省)を参照すること。
【解 説】
○ 災害時における入札契約制度の選定 1)
国土交通省が発注する工事においては、競争性やxx性の確保の観点等から、会計法令上の原則である一般競争方式を原則的に適用している。
しかしながら、近年頻発する災害時では、その復旧工事の発注において、随意契約や指名競争といった入札契約方式を適用するとともに、現地の状況に応じた措置を講じたうえで、平常時とは異なる入札契約方式を適切に選択することにより、早期の復旧に努めている。
迅速性が求められる災害復旧や復興において、随意契約や指名競争方式等の適用の考え方や手続きにあたっての留意点や工夫等をまとめた「工事発注用」のガイドラインを作成(平成 29 年 7月)。(地方公共団体に対しても、ガイドラインを参考として、随意契約等を適用するよう通知するとともに、地域発注者協議会を通じて内容周知)
平成 30 年 7 月豪雨での災害復旧工事では、直轄で、約 230 件(H30.11 末時点)の工事で随意契約を活用。
【災害時における入札契約方式選定】
▼発災
平常時
被害状況把握
応急復旧
(仮復旧)
本復旧 復興
有すべき機能・性能の回復まで 機能・性能の向上
(改良復旧を含む) (高規格化)
業務
災害協定
緊急点検・
被災調査
測量・調査・設計等
(応急復旧)
測量・調査・設計等
(本復旧)
必要に応じて
追加調査・検討等
必要に応じて
技術提案・交渉方式
維持工事等
工事
緊急パトロール
・点検
道路啓開・がれき撤去・
工事(応急復旧)等
準備・本体工事
(本復旧)
災害協定
必要に応じて、事業促進PPP
指名競争
随意契約
既契約(維持等)
随意契約
一般競争
・有すべき機能・性能を回復できていない場合、業務・工事に随意契約を適用可
・効率的、確実な施工のため、提案を求めることが有効な場合、指名、一般競争を適用
出典)発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会
業務・マネジメント部会(令和元年度 第 1 回) 資料4
(参考資料)
1)「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(令和元年 10 月閣議決定)
指針本文」についての解説
Ⅲ.災害時における対応
1.工事 1-1 災害時における入札契約方式の選定
【災害復旧等における入札及び契約の方法】
第2 2 主として入札に参加しようとし、又は契約の相手方になろうとする者の間のxxな競争の促進に関する事項
(1)xxな競争を促進するための入札及び契約の方法の改善に関すること
④災害復旧等における入札及び契約の方法
災害発生後の復旧に当たっては、早期かつ確実な施工が可能な者を短期間で選定し、復旧作業に着手することが求められる。
このため、災害応急対策又は災害復旧に関する工事においては、公共工事品質確保法第7条第1項第3号に基づき、手続の透明性及びxx性の確保に留意しつつ、次のように会計法
(昭和22年法律第35号)や地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)等に規定される随意契約や指名競争入札を活用するなど、緊急性に応じて適切な入札及び契約の方法を選択するものとする。
1)災害応急対策又は緊急性が高い災害復旧に関する工事のうち、被害の最小化や至急の原状復旧の観点から、緊急の必要により競争に付することができないものにあっては、随意契約
(会計法第29条の3第4項又は地方自治法施行令第167条の2)を活用する。
2)災害復旧に関する工事のうち、随意契約によらないものであって、一定の期日までに復旧を完了させる必要があるなど、契約の性質又は目的により競争に加わるべき者が少数で一般競争入札に付する必要がないものにあっては、指名競争入札(会計法第29条の3第3項又は地方自治法施行令第167条)を活用する。
出典)「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(令和元年 10 月閣議決定)
指針本文」についての解説
Ⅲ.災害時における対応
1.工事 1-1 災害時における入札契約方式の選定
【指針本文】
(随意契約)
発災直後から一定の間に対応が必要となる道路啓開、航路啓開、がれき撤去、流木撤去、漂流物撤去等の災害応急対策や、段差解消のための舗装修繕、堤防等河川管理施設の復旧、砂防施設の復旧、岸壁などの港湾施設の復旧、代替路線が限定される橋梁や路面の復旧、官公庁施設や学校施設の復旧などの緊急性が高い災害復旧に関する工事等は、被害の最小化や社会経済の回復等の至急の現状復帰の観点から、随意契約
(会計法第 29 条の3第4項又は地方自治法施行令第 167 条の2)を活用するよう努める。
契約の相手方の選定にあたっては、被災地における維持工事等の実施状況、災害協定の締結状況、企業の本支店の所在地の有無、企業の被災状況、近隣での施工実績等を勘案し、早期かつ確実な施工の観点から最も適した者を選定する。
また、必要に応じて、発注者が災害協定を締結している業界団体から会員企業に関
する情報提供を受け、施工体制を勘案し契約相手を選定する方法の活用にも努める。
(指名競争入札)
災害復旧に関する工事のうち、随意契約によらないものであって、xx期や降雪期等の一定の期日までに復旧を完了させる必要がある工事など、契約の性質又は目的により競争に加わるべきものが少数で一般競争入札に付する必要がないものにあっては、指名競争入札(会計法第 29 条の3第3項又は地方自治法施行令第 167 条)を活用するよう努める。
指名競争入札を行う際は、有資格者名簿の中から、本支店・営業所の所在地、同種・類似工事の施工実績、手持ち工事の状況、応急復旧工事の施工実績等を考慮して、確実な履行が期待できる者を指名する。その際、過去の指名及び受注の状況を勘案して特定の者に偏らないよう配慮する。また、指名基準の公表等を通じて、透明性・客観性・競争性を向上させ、発注者の恣意性を排除する必要があることに留意する。
また、必要に応じて品質確保のため施工能力を評価する総合評価落札方式を適用する。
(一般競争入札)
入札参加資格要件の設定にあたっては、工事の性格、地域の実情等を踏まえ、工事の経験及び成績や地域要件などを適切に設定するとともに、総合評価落札方式における施工能力の評価に当たっては、災害応急対策等の実績を評価するなど、適切な評価項目の設定に努める。また、競争参加者が比較的多くなることが見込まれる工事においては、手続期間を考慮した上で、必要に応じて、段階的選抜方式の活用に努める。
【解 説】
○ 随意契約 ⅰ)ⅱ)ⅲ)1)
災害復旧工事のうち、発災直後から一定の間に対応が必要となる緊急度が高い災害復旧工事について、「随意契約」(会計法第 29 条の3第4項)を適用する。
<適用にあたっての留意点>
発注者と特定の業者との間に発生する特殊な関係をもって、単純に適用される可能性や、適正な価格によって行われるべき契約がややもすれば不適正な価格によって行われてしまうことが懸念されることに留意する。
契約事務のxx性を保持し、経済性の確保を図る観点から、発注工事ごとに技術の特殊性、経済合理性、緊急性等を客観的・総合的に判断する必要があることに留意する。
【会計法(抜粋)】
第 29 条の3 契約担当官及び支出負担行為担当官(以下「契約担当官等」という。)は、 売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、第3項及び第4項に規定する場合を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。
④ 契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することが できない場合及び競争に付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、
随意契約によるものとする。
【予算決算及び会計令(抜粋)】
第 102 条の4 各省各庁の長は、契約担当官等が指名競争に付し又は随意契約によろうとする場合においては、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。ただし、次掲げる場合は、この限りでない。
三 契約の性質若しくは目的が競争を許さない場合又は緊急の必要により競争に付することが
できない場合において、随意契約によろうとするとき。
出典)「災害復旧における適切な入札契約方式の適用ガイドライン」(平成 29 年 7 月)
【随意契約】
第 167 条の2 地方自治法第二xx十四条第二項の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。
一 売買、貸借、請負その他の契約でその予定価格(貸借の契約にあつては、予定賃貸借料の年額又は総額)が別表第五上欄に掲げる契約の種類に応じ同表下欄に定める額の範囲内において普通地方公共団体の規則で定める額を超えないものをするとき。
二 不動産の買入れ又は借入れ、普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修理、加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。
三 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十一項に規定する障害者支援施設(以下この号において「障害者支援施設」という。)、同条第二十七項に規定する地域活動支援センター(以下この号において「地域活動支援センター」という。)、同条第一項に規定する障害福祉サービス事業(同条第七項に規
定する生活介護、同条第十三項に規定する就労移行支援又は同条第十四項に規定する就労継
(参考法令等)
ⅰ)会計法 第 29 条の3
ⅱ)予算決算及び会計令 第 102 条の4
ⅲ)地方自治法施工令 第 167 条の2 (随意契約)
(参考資料)
1)「災害復旧における適切な入札契約方式の適用ガイドライン」(平成 29 年 7 月)
指針本文」についての解説
Ⅲ.災害時における対応
1.工事 1-1 災害時における入札契約方式の選定
続支援を行う事業に限る。以下この号において「障害福祉サービス事業」という。)を行う施設若しくは小規模作業所(障害者基本法(昭和xxx年法律第八十四号)第二条第一号に規定する障害者の地域社会における作業活動の場として同法第十八条第三項の規定により必要な費用の助成を受けている施設をいう。以下この号において同じ。)若しくはこれらに準ずる者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者若しくは生活困窮者自立支援法(平成二十五年法律第百五号)第十六条第三項に規定する認定生活困窮者就労訓練事業(以下この号において「認定生活困窮者就労訓練事業」という。)を行う施設でその施設に使用される者が主として同法第三条第一項に規定する生活困窮者
(以下この号において「生活困窮者」という。)であるもの(当該施設において製作された物品を買い入れることが生活困窮者の自立の促進に資することにつき総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けたものに限る。)(以下この号において「障害者支援施設等」という。)において製作された物品を当該障害者支援施設等から普通地方公共団体の規則で定める手続により買い入れる契約、障害者支援施設、地域活動支援センター、障害福祉サービス事業を行う施設、小規模作業所、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律
(昭和四十六年法律第六十八号)第三十七条第一項に規定するシルバー人材センター連合若しくは同条第二項に規定するシルバー人材センター若しくはこれらに準ずる者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者から普通地方公共団体の規則で定める手続により役務の提供を受ける契約、母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)第六条第六項に規定する母子・父子福祉団体若しくはこれに準ずる者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者(以下この号において「母子・父子福祉団体等」という。)が行う事業でその事業に使用される者が主として同項に規定する配偶者のない者で現に児童を扶養しているもの及び同条第四項に規定する寡婦であるものに係る役務の提供を当該母子・父子福祉団体等から普通地方公共団体の規則で定める手続により受ける契約又は認定生活困窮者就労訓練事業を行う施設(当該施設から役務の提供を受けることが生活困窮者の自立の促進に資することにつき総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けたものに限る。)が行う事業でその事業に使用される者が主として生活困窮者であるものに係る役務の提供を当該施設から普通地方公共団体の規則で定める手続により受ける契約をするとき。
四 新商品の生産により新たな事業分野の開拓を図る者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者が新商品として生産する物品を当該認定を受けた者から普通地方公共団体の規則で定める手続により買い入れ若しくは借り入れる契約又は新役務の提供により新たな事業分野の開拓を図る者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者から普通地方公共団体の規則で定める手続により新役務の提供を受ける契約をするとき。
五 緊急の必要により競争入札に付することができないとき。六 競争入札に付することが不利と認められるとき。
七 時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき。八 競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がないとき。
九 落札者が契約を締結しないとき。
2 前項第八号の規定により随意契約による場合は、契約保証金及び履行期限を除くほか、最初競争入札に付するときに定めた予定価格その他の条件を変更することができない。
3 第一項第九号の規定により随意契約による場合は、落札金額の制限内でこれを行うものとし、かつ、履行期限を除くほか、最初競争入札に付するときに定めた条件を変更することができない。
4 前二項の場合においては、予定価格又は落札金額を分割して計算することができるときに限り、当該価格又は金額の制限内でxxに分割して契約を締結することができる。
出典)「地方自治法施工令」
○ 災害協定を締結
国土交通省では、被災施設の早期復旧と被害の拡大防止を図るため、各事務所等において、災害時の応急対策に関する協定を締結する取組を進めている。
【災害協定の締結に関する事例】
出典)「発注者責任を果たすための今後の建設・生産システムのあり方に関する懇談会(平成 25 年度第3回)」
(平成 26 年3月国土交通省)
指針本文」についての解説
Ⅲ.災害時における対応
1.工事 1-1 災害時における入札契約方式の選定
○ 指名競争入札 ⅰ)ⅱ)ⅲ)1)
災害復旧工事のうち、随意契約を適用しないものであって、xx期や降雪期等の一定の期日までに復旧を完了させる必要のある工事等で、一般競争入札に付する必要がないものにあっては、
「指名競争入札」(会計法第 29 条の3第3項)を活用するよう努める。
【会計法(抜粋)】
第 29 条の3 契約担当官及び支出負担行為担当官(以下「契約担当官等」という。)は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、第3項及び第4項に規定する場合を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。
③ 契約の性質又は目的により競争に加わるべき者が少数で第一項の競争に付する必要がない
場合及び同項の競争に付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、指名競争に付するものとする。
【予算決算及び会計令(抜粋)】
第 102 条の4 各省各庁の長は、契約担当官等が指名競争に付し又は随意契約によろうとする場合においては、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
三 契約の性質若しくは目的が競争を許さない場合又は緊急の必要により競争に付することが
できない場合において、随意契約によろうとするとき。
出典)「災害復旧における適切な入札契約方式の適用ガイドライン」(平成 29 年 7 月)
【指名競争入札】
第 167 条 地方自治法第二xx十四条第二項の規定により指名競争入札によることができる場合は、次の各号に掲げる場合とする。
一 工事又は製造の請負、物件の売買その他の契約でその性質又は目的が一般競争入札に適しないものをするとき。
二 その性質又は目的により競争に加わるべき者の数が一般競争入札に付する必要がないと認められる程度に少数である契約をするとき。
三 一般競争入札に付することが不利と認められるとき。
出典)「地方自治法施工令」
○ 一般競争入札 ⅰ)ⅱ)ⅳ)
災害発生から復旧が進み、一定の入札契約期間が確保可能な内容と判断できる工事については、建設業者の状況も踏まえ適正な競争が可能な環境と判断できる場合には、競争性・xx性の確保の観点から、通常の方式(一般競争入札・総合評価落札方式他)を採用する。
【会計法】
第 29 条の3 契約担当官及び支出負担行為担当官(以下「契約担当官等」という。)は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、第三項及び第四項に規定する場合を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。
② 前項の競争に加わろうとする者に必要な資格及び同項の公告の方法その他同項の競争につ
いて必要な事項は、政令でこれを定める。
出典)「会計法」
【予算決算及び会計令】
第 102 条の3 各省各庁の長は、第七十二条第一項の一般競争に参加する者に必要な資格、第八十五条の基準若しくは第九十五条第一項の指名競争に参加する者に必要な資格を定めようとするとき、又は同条第四項の規定による定めをしようとするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。この場合において、その定めようとする事項が競争に参加する者に必要
な資格であるときは、当該協議は、その資格の基本となるべき事項についてあれば足りる。
出典)「予算決算及び会計令」
【地方自治法施工令】
(一般競争入札の参加者の資格)
第 167 条の 4 普通地方公共団体は、特別の理由がある場合を除くほか、一般競争入札に次の各号のいずれかに該当する者を参加させることができない。
一 当該入札に係る契約を締結する能力を有しない者二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
三 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成 3 年法律第 77 号)第 32 条第 1
項各号に掲げる者
2 普通地方公共団体は、一般競争入札に参加しようとする者が次の各号のいずれかに該当すると認められるときは、その者について三年以内の期間を定めて一般競争入札に参加させないことができる。その者を代理人、支配人その他の使用人又は入札代理人として使用する者についても、また同様とする。
一 契約の履行に当たり、故意に工事、製造その他の役務を粗雑に行い、又は物件の品質若し
くは数量に関して不正の行為をしたとき。
(参考法令等)
ⅰ)会計法 第 29 条の3
ⅱ)予算決算及び会計令 第 102 条の4
ⅲ)地方自治法施工令 第 167 条 (指名競争契約)
ⅳ)地方自治法施工令 第 167 条の4 (一般競争入札の参加者の資格)
(参考資料)
1)「災害復旧における適切な入札契約方式の適用ガイドライン」(平成 29 年 7 月)
指針本文」についての解説
Ⅲ.災害時における対応
1.工事 1-1 災害時における入札契約方式の選定
二 競争入札又はせり売りにおいて、そのxxな執行を妨げたとき又はxxな価格の成立を害し、若しくは不正の利益を得るために連合したとき。
三 落札者が契約を締結すること又は契約者が契約を履行することを妨げたとき。
四 地方自治法第 234 条の 2 第 1 項の規定による監督又は検査の実施に当たり職員の職務執行を妨げたとき。
五 正当な理由がなくて契約を履行しなかつたとき。
六 契約により、契約の後に代価の額を確定する場合において、当該代価の請求を故意に虚偽の事実に基づき過大な額で行つたとき。
七 この項(この号を除く。)の規定により一般競争入札に参加できないこととされている者を契約の締結又は契約の履行に当たり代理人、支配人その他の使用人として使用したとき。
第 167 条の 5 普通地方公共団体の長は、前条に定めるもののほか、必要があるときは、一般競
争入札に参加する者に必要な資格として、あらかじめ、契約の種類及び金額に応じ、工事、製造又は販売等の実績、従業員の数、資本の額その他の経営の規模及び状況を要件とする資格を定めることができる。
2 普通地方公共団体の長は、前項の規定により一般競争入札に参加する者に必要な資格を定めたときは、これを公示しなければならない。
第 167 条の 5 の 2 普通地方公共団体の長は、一般競争入札により契約を締結しようとする場合
において、契約の性質又は目的により、当該入札を適正かつ合理的に行うため特に必要があると認めるときは、前条第一項の資格を有する者につき、更に、当該入札に参加する者の事業所の所在地又はその者の当該契約に係る工事等についての経験若しくは技術的適性の有無等に関する必要な資格を定め、当該資格を有する者により当該入札を行わせることができる。
(一般競争入札の公告)
第 167 条の 6 普通地方公共団体の長は、一般競争入札により契約を締結しようとするときは、入札に参加する者に必要な資格、入札の場所及び日時その他入札について必要な事項を公告しなければならない。
2 普通地方公共団体の長は、前項の公告において、入札に参加する者に必要な資格のない者のした入札及び入札に関する条件に違反した入札は無効とする旨を明らかにしておかなければならない。
(一般競争入札の入札保証金)
第 167 条の 7 普通地方公共団体は、一般競争入札により契約を締結しようとするときは、入札に参加しようとする者をして当該普通地方公共団体の規則で定める率又は額の入札保証金を納めさせなければならない。
2 前項の規定による入札保証金の納付は、国債、地方債その他普通地方公共団体の長が確実と認める担保の提供をもつて代えることができる。
(一般競争入札の開札及び再度入札)
第 167 条の 8 一般競争入札の開札は、第 167 条の 6 第 1 項の規定により公告した入札の場所において、入札の終了後直ちに、入札者を立ち会わせてしなければならない。この場合において、入札者が立ち会わないときは、当該入札事務に関係のない職員を立ち会わせなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、一般競争入札において、入札書に記載すべき事項を記録した電磁的記録を提出することにより行われる場合であつて、普通地方公共団体の長が入札事務のxx
かつ適正な執行の確保に支障がないと認めるときは、入札者及び当該入札事務に関係のない職員を立ち会わせないことができる。
3 入札者は、その提出した入札書(当該入札書に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。)の書換え、引換え又は撤回をすることができない。
4 普通地方公共団体の長は、第一項の規定により開札をした場合において、各人の入札のうち予定価格の制限の範囲内の価格の入札がないとき(第 167 条の 10 第 2 項の規定により最低制限価格を設けた場合にあつては、予定価格の制限の範囲内の価格で最低制限価格以上の価格の入札がないとき)は、直ちに、再度の入札をすることができる。
(一般競争入札のくじによる落札者の決定)
第 167 条の 9 普通地方公共団体の長は、落札となるべき同価の入札をした者が二人以上あるときは、直ちに、当該入札者にくじを引かせて落札者を定めなければならない。この場合において、当該入札者のうちくじを引かない者があるときは、これに代えて、当該入札事務に関係のない職員にくじを引かせるものとする。
(一般競争入札において最低価格の入札者以外の者を落札者とすることができる場合)
第 167 条の 10 普通地方公共団体の長は、一般競争入札により工事又は製造その他についての請負の契約を締結しようとする場合において、予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもつて申込みをした者の当該申込みに係る価格によつてはその者により当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると認めるとき、又はその者と契約を締結することがxxな取引の秩序を乱すこととなるおそれがあつて著しく不適当であると認めるときは、その者を落札者とせず、予定価格の制限の範囲内の価格をもつて申込みをした他の者のうち、最低の価格をもつて申込みをした者を落札者とすることができる。
2 普通地方公共団体の長は、一般競争入札により工事又は製造その他についての請負の契約を締結しようとする場合において、当該契約の内容に適合した履行を確保するため特に必要があると認めるときは、あらかじめ最低制限価格を設けて、予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもつて申込みをした者を落札者とせず、予定価格の制限の範囲内の価格で最低制限価格以上の価格をもつて申込みをした者のうち最低の価格をもつて申込みをした者を落札者とすることができる。
第 167 条の 10 の 2 普通地方公共団体の長は、一般競争入札により当該普通地方公共団体の支
出の原因となる契約を締結しようとする場合において、当該契約がその性質又は目的から地方自治法第二xx十四条第三項本文又は前条の規定により難いものであるときは、これらの規定にかかわらず、予定価格の制限の範囲内の価格をもつて申込みをした者のうち、価格その他の条件が当該普通地方公共団体にとつて最も有利なものをもつて申込みをした者を落札者とすることができる。
2 普通地方公共団体の長は、前項の規定により工事又は製造その他についての請負の契約を締結しようとする場合において、落札者となるべき者の当該申込みに係る価格によつてはその者により当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると認めるとき、又はその者と契約を締結することがxxな取引の秩序を乱すこととなるおそれがあつて著しく不適当であると認めるときは、同項の規定にかかわらず、その者を落札者とせず、予定価格の制限の範囲内の価格をもつて申込みをした他の者のうち、価格その他の条件が当該普通地方公共団体にとつて最も有利なものをもつて申込みをした者を落札者とすることができる。
指針本文」についての解説
Ⅲ.災害時における対応
1.工事 1-1 災害時における入札契約方式の選定
3 普通地方公共団体の長は、前二項の規定により落札者を決定する一般競争入札(以下「総合評価一般競争入札」という。)を行おうとするときは、あらかじめ、当該総合評価一般競争入札に係る申込みのうち価格その他の条件が当該普通地方公共団体にとつて最も有利なものを決定するための基準(以下「落札者決定基準」という。)を定めなければならない。
4 普通地方公共団体の長は、落札者決定基準を定めようとするときは、総務省令で定めるところにより、あらかじめ、学識経験を有する者(次項において「学識経験者」という。)の意見を聴かなければならない。
5 普通地方公共団体の長は、前項の規定による意見の聴取において、併せて、当該落札者決定基準に基づいて落札者を決定しようとするときに改めて意見を聴く必要があるかどうかについて意見を聴くものとし、改めて意見を聴く必要があるとの意見が述べられた場合には、当該落札者を決定しようとするときに、あらかじめ、学識経験者の意見を聴かなければならない。
6 普通地方公共団体の長は、総合評価一般競争入札を行おうとする場合において、当該契約について第 167 条の 6 第 1 項の規定により公告をするときは、同項の規定により公告をしなけ
ればならない事項及び同条第 2 項の規定により明らかにしておかなければならない事項のほか、総合評価一般競争入札の方法による旨及び当該総合評価一般競争入札に係る落札者決定基準についても、公告をしなければならない。
出典)「地方自治法施工令」
指針本文」についての解説
Ⅲ.災害時における対応
1.工事 1-2 現地の状況等を踏まえた発注関係事務に関する措置
【指針本文】
1-2 現地の状況等を踏まえた発注関係事務に関する措置
災害応急対策や災害復旧に関する工事の早期実施、発注関係事務の負担軽減、復旧・復興を支える担い手の確保等の観点から、災害の状況や地域の実情に応じて、発注関係事務に関して必要な措置を講じる。
(1)確実な施工確保、不調・不落対策
(実態を踏まえた積算の導入)
災害発生後は、一時的に需給がひっ迫し、労働力や資材・機材等の調達環境に変化が生じることがある。このため、積算に用いる価格が実際の取引価格と乖離しているおそれがある場合には、積極的に見積り等を徴収し、その妥当性を確認した上で適切に予定価格を設定する。遠隔地から労働力や資材・機材等を調達する必要がある場合など発注準備段階において施工条件を具体的に確定できない場合には、積算上の条件と当該条件が設計変更の対象となる旨も明示する。
災害復旧・復興による急激な工事量の増加により特定の地域において既存の積算基準類と実態に乖離が生じる場合には、不調・不落の発生状況を踏まえ、市場の変化を的確に把握し、必要に応じて復興係数や復興歩掛を設定又は活用する等、実態を踏まえた積算を実施するよう努める。また、必要に応じて不調随契や不落随契の活用も検討する。
また、作業中の二次災害等により負傷、疾病、障害又は死亡等の被害が発生した場合の損害を補償するための保険の経費についても計上するよう努める。
(指名競争入札におけるダンピング対策等)
低入札による受注は、工事の手抜き、下請業者へのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底等につながることが懸念されるとともに、平常時と同等とは言えない競争環境であることも想定されることから、状況を丁寧に把握した上で、確実かつ円滑な施工ができる者のみを対象とする指名競争入札の適用などを検討する。
(前払金限度額の引き上げ等)
復旧事業を円滑に実施するために必要となる労働力や資材・機材等の確保を図るため、速やかに受注者へ前払金を支払うことは重要であり、東日本大震災の復旧事例等も参考にしつつ、現地の状況等を踏まえ、関係機関と連携しながら、前払金限度額の引き上げ等の適切な対応を実施するよう努める。
【解 説】
○ 実態を踏まえた積算
【適切な設計変更】
<設計変更の対象とする経費の例>
遠隔地からの労働者確保に要する労務管理費・交通費・宿泊費等遠隔地からの建設資材調達に係る購入費・輸送費 など
災害発生後は、一時的に需給がひっ迫し、労務や資材・機材等の調達環境に変化が生じることがある。このため、積算に用いる価格が実際の取引価格と乖離しているおそれがある場合には、積極的に見積り等を徴収し、その妥当性を確認した上で適切に価格を設定する。調達環境が通常と異なり遠隔地から資材や労働力を調達する必要がある場合など発注準備段階において施工条件を具体的に確定できない場合には、積算上の条件と当該条件が設計変更の対象となる旨も明示する。
出典)「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会建設生産・管理システム部会」(令和元年 10 月国土交通省)
指針本文」についての解説
Ⅲ.災害時における対応
1.工事 1-2 現地の状況等を踏まえた発注関係事務に関する措置
【大規模災害における復興係数・復興歩掛】
被災地では、機労材の調達等による間接工事費の支出の増大や工事量の増大による資材やダンプトラック等の不足から作業効率が低下する実態を踏まえ、復興事業の円滑化を目的に復興係数・復興歩掛を導入。
出典)「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会建設生産・管理システム部会」(令和 2 年 2 月国土交通省)
【災害の発生等による共通仮設費・現場管理費の補正】
2.今後の競争入札案件への対応
(2)設計・積算に係る取組
②災害の発生等による共通仮設費・現場管理費の補正
・災害の発生等により、積算基準において想定している状況と実態が乖離している場合などについては、同一地域・同種工事の過去の見積りの結果や間接費実績変更方式における支出実績等を踏まえて、共通仮設費率・現場管理費率の補正係数を設定し、予定価格を作成する。
・補正係数を設定しようとする場合は、その旨を入札公告時に明示する。
・この補正を適用する場合は、事前に大臣官房技術調査課(建設システム管理企画室)へ報告されたい。
出典)「【通知】国土交通省所管事業の執行における円滑な発注及び施工体制の確保に向けた具体的対策について」(令和 2 年 1 月)
○ 指名競争入札におけるダンピング対策 1)
指名競争入札方式を適用する場合は、ダンピング受注により下請業者へのしわ寄せが発生するおそれ及び品質確保のための施工体制が確保されないおそれがある。このため、東日本大震災の復旧事例においては、予定価格が 1 千万円以上の全ての工事について、施工体制のみを技術面の評価項目とする施工体制確認型総合評価方式を採用している。
出典)「災害復旧における適切な入札契約方式の適用ガイドライン」(平成 29 年 7 月)
(参考資料)
1)「災害復旧における適切な入札契約方式の適用ガイドライン」(平成 29 年 7 月)
指針本文」についての解説
Ⅲ.災害時における対応
1.工事 1-2 現地の状況等を踏まえた発注関係事務に関する措置
○ 前払金限度額の引き上げ
東日本大震災の復旧事例では、被災地における復旧工事の施工確保対策として、前払金限度額を従来の 4 割から 5 割に引き上げる特例措置が講じられている。また、契約の締結にあたり被災によって時間的余裕がなく、詳細な積算が著しく困難な場合には、工事概要、契約金額(その時点で最低限確実に受注者に対して支払うことが明らかである額)、前払金の額等のみを記載した契約書を取り交わした上で前払金を支払う措置も講じられている。緊急復旧事業を円滑に実施するために必要となる人員・資機材の確保を図るため、速やかに受注者に前払金を支払うことは重要であり、実際の対応にあたっては、これらの事例も参考にしつつ、現地の状況等を踏まえ、本省と連携しながら適切な対応に努めることとする。
【前金払の活用】
出典)国土交通省作成資料
指針本文」についての解説
Ⅲ.災害時における対応
1.工事 1-2 現地の状況等を踏まえた発注関係事務に関する措置
【指針本文】
(2)発注関係事務の効率化
(一括審査方式の活用)
発注者と競争参加者双方の入札事務手続の負担軽減の観点に加え、特定の企業への受注の集中を回避して、技術者や資材が確保された施工体制を整えている複数の企業により確実かつ円滑な施工が行われる観点から、一括審査方式を積極的に活用するよう努める。
【解 説】
○ 一括審査方式の活用 1)
東日本大震災における復旧工事では、技術提案の作成に関する建設会社の負担、その評価に関する発注者の負担を軽減することを目的として、工事内容に照らし要求する技術提案を共通化できる工事を対象に一括審査方式を活用している。
【一括審査方式の特徴】
① 複数工区の発注に対して同一の競争参加資格(同種工事の施工実績)や技術提案テーマを求める。
② 入札は、全ての工区または希望する工区のみ札を入れる。
③ 入札説明書で示した開札順番ごとに開札し、工区ごとに評価値の最も高い者に落札決定する。
④ 受注した企業は、工事に専念し確実な施工を実施する体制の構築が求められるため、1 公告に配置できる予定技術者は、技術提案を熟知し確実に履行できる1 人としてリスクの分散を図る。
出典)「災害復旧における適切な入札契約方式の適用ガイドライン」(平成 29 年 7 月)
【一括審査方式の手続きの流れ】
出典)国土交通省作成資料
(参考資料)
1)災害復旧における適切な入札契約方式の適用ガイドライン」(平成 29 年 7 月)
指針本文」についての解説
Ⅲ.災害時における対応
1.工事 1-2 現地の状況等を踏まえた発注関係事務に関する措置
【指針本文】
(3)災害復旧・復興工事の担い手の確保
(共同企業体の活用)
工事規模の大型化や工事量の急増により、単体での施工が可能な企業数が相対的に減少することも想定される場合には、必要に応じて地域の建設企業が継続的な協業関係を確保することにより、その実施体制を安定確保するために結成される地域維持型建設共同企業体や事業協同組合等を活用するよう努める。
(参加可能額の拡大)
担い手の確保とロットの大型化による早期の復旧の実現という双方の観点から、今後の等級別の発注の見通しも踏まえ、必要に応じて、等級ごとのバランスに配慮しつつ、工事価格帯の上限を引き上げる措置の実施を検討する。
【解 説】
○ 共同企業体の活用 1)
地域維持型 JV の活用にあたっては、「直轄工事における地域維持型建設共同企業体の取扱い」
(平成 24 年 6 月 27 日国地計第 18 号他)に基づくものとする。
復興事業では特定の地域において事業量が急増し、被災地域に所在する企業のみでは全ての復旧・復興工事を担うことが困難となることから、被災地域の建設企業と被災地域外の建設企業が共同企業体を結成して、復旧・復興工事を行う「復興JV」制度を活用している事例もある。これらの共同企業体の活用事例を参考としつつ、必要な施工体制の確保に努めることとする。
【地域維持型契約方式】
第2 2 主として入札に参加しようとし、又は契約の相手方になろうとする者の間のxxな競争の促進に関する事項
(1)xxな競争を促進するための入札及び契約の方法の改善
③地域維持型契約方式
建設投資の大幅な減少等に伴い、社会資本等の維持管理のために必要な工事のうち、災害応急対策、除雪、修繕、パトロールなどの地域維持事業を担ってきた地域の建設業者の減少・小規模化が進んでおり、このままでは、事業の円滑かつ的確な実施に必要な体制の確保が困難となり、地域における最低限の維持管理までもが困難となる地域が生じかねない。地域の維持管理は、将来にわたって効率的かつ持続的に行われる必要があり、入札及び契約の方式においても担い手確保に資する工夫が必要である。
このため、地域維持業務に係る経費の積算において、事業の実施に実際に要する経費を適切に費用計上するとともに、地域維持事業の担い手の安定的な確保を図る必要がある場合には、人員や機械等の効率的運用と必要な施工体制の安定的な確保を図る観点から、地域の実情を踏まえつつ、公共工事品質確保法第20条に基づき次のような契約方式を活用するものとする。
1)複数の種類や工区の地域維持事業をまとめた契約単位や、複数年の契約単位とするなど、従来よりも包括的に一の契約の対象とする。
2)実施主体は、迅速かつ確実に現場へアクセスすることが可能な体制を備えた地域精通度の高い建設業者とし、必要に応じ、地域の維持管理に不可欠な事業につき、地域の建設業者が継続的な協業関係を確保することによりその実施体制を安定確保するために結成される建設
共同企業体(地域維持型建設共同企業体)や事業協同組合等とする。
出典)「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(令和元年 10 月閣議決定)
○ 参加可能額の拡大 2)
復旧工事では、地域に精通した企業による施工が、円滑かつ早期の復旧に繋がる。また、地域に精通した企業が積極的に復旧に携わることにより、将来の地域の社会資本を支える企業を確保することにも繋がる。一方、事業量の増大に対して、限られた人員で対応するためには、発注ロットの大型化が求められる場合もある。このように担い手の確保とロットの大型化による早期の復旧の実現という双方の観点から、今後の等級別の発注の見通しも踏まえ、必要に応じて、等級ごとのバランスに配慮しつつ、地域企業が中心となる一般土木C等級企業の参加が可能な工事価格帯の上限を引き上げる措置を講じることとする。
【地域企業の参加可能額の拡大】
東日本大震災における復旧工事では、地域企業の活用と技術者不足に対応するため、工事請負業者選定事務処理要領(昭和41 年12 月23 日付け建設省厚第76 号)第4 第2 項第三号の規定に基づき、本省との協議を経て、地域企業が中心となる一般土木C等級企業の参加が可能な工事価格帯の上限を3 億円から4.5 億円に引き上げる措置を講じている。
出典)「災害復旧における適切な入札契約方式の適用ガイドライン」(平成 29 年 7 月)
(参考資料)
1)「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(令和元年 10 月閣議決定)
2)「災害復旧における適切な入札契約方式の適用ガイドライン」(平成 29 年 7 月)
指針本文」についての解説
Ⅲ.災害時における対応
1.工事 1-2 現地の状況等を踏まえた発注関係事務に関する措置
【指針本文】
(4)迅速な事業執行
(政府調達協定対象工事における適用)
平常時における政府調達に関する協定(以下「WTO 協定」という。)の対象工事は、一般競争入札(公開入札)に付すことが原則となるが、災害時、緊急の必要により競争に付することができない復旧工事は、必要に応じて WTO 協定第 13 条を踏まえた随意契約(限定入札)を適用し、早期復旧を実施するよう努める。
(WTO の対象工事における手続日数の短縮)
WTO 協定の対象工事は、一般競争入札にあっては入札期日の前日から起算して少なくとも 40 日前に官報により公告することとされているが、急を要する場合は、その期
間を 10 日に短縮することも認められていることから、現地の状況を踏まえ適切な手続期間を設定する。
【解 説】
○ 政府調達協定対象工事における適用 ⅰ)ⅱ)ⅲ)
政府調達協定(以下「WTO」という。)対象工事は、「政府調達に関する協定」や「国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令」(以下「特例政令」という。)、「公共事業の入 札・契約手続の改善に関する行動計画」等に基づき手続を行う。平常時におけるWTO協定の対象工事は、一般競争入札(公開入札)に付すことが原則となるが、災害時、緊急の必要による復旧工事は、政府調達に関する協定第13 条を踏まえ、必要に応じて、随意契約(限定入札)や指名競争入札(選択入札)を適用し、早期復旧を行うよう努める。
【政府調達に関する協定(抜粋)】第四条 一般原則
(無差別待遇)
1 各締約国(その調達機関を含む。)は、対象調達に関する措置について、他の締約国の物品及びサービスに対し並びに他の締約国の供給者であって締約国の物品及びサービスを提供するものに対し、即時にかつ無条件で、次の物品、サービス及び供給者に与える待遇よりも不利でない待遇を与える。
(a)国内の物品、サービス及び供給者
(b)当該他の締約国以外の締約国の物品、サービス及び供給者
(調達の実施)
4 調達機関は、対象調達を次の(a)から(c)までの要件を満たす透明性のある、かつ、xxな方法により実施する。
(a)公開入札、選択入札、限定入札等を用いた、この協定に適合する方法であること。
第八条 参加のための条件
1 調達機関は、調達への参加のためのいかなる条件も、供給者が当該調達を遂行するための法律上、資金上、商業上及び技術上の能力を有することを確保する上で不可欠なものに限定しなければならない。
2 調達機関は、参加のための条件を定めるに当たり、
(a)供給者が以前に特定の締約国の調達機関と一又は二以上の契約を締結したことを当該供給者が調達に参加するための条件として課してはならない。
(b)調達の要件を満たすために不可欠な場合には、関連する過去の経験を要求することができる。
第十三条 限定入札
1 調達機関は、次のいずれかの場合に限り、限定入札を用いること並びに第七条から第九条 まで、第十条7から11まで、第十一条、前条、次条及び第十五条を適用しないことを選択することができる。ただし、当該調達機関が、供給者間の競争を避けることを目的として又は他の締約国の供給者を差別し、若しくは国内の供給者を保護するように、この1の規定を適用しないことを条件とする。
(d) 調達機関の予見することができない事態によりもたらされた極めて緊急な理由のため、公
開入札又は選択入札によっては必要な期間内に物品又はサービスを入手することができない場 合において、真に必要なとき。
※下線部は、緊急性の高い復旧工事における限定入札の適用に係る規定
【国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令(抜粋)】
第十三条 各省各庁の長は、契約担当官等が特定調達契約につき随意契約によろうとする場合においては、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。ただし、次に掲げる場合において随意契約によろうとするときは、この限りでない。
一~四 (略)
五 緊急の必要により競争に付することができない場合
※下線部は、災害復旧を理由とした随意契約適用時の財務協議の免除に係る規定
【公共事業の入札・契約手続の改善に関する行動計画(抜粋)】
Ⅰ 1 調達方式
工事及び設計・コンサルティング業務については、以下のとおり、国際的な視点も加味した透明・客観的かつ競争的な調達方式を採用する。ただし、安全保障に係る調達並びに緊急を要する 場合及び秘密を要する場合等における調達については、これによらないことができる。
(1) 工事-一般競争方式の採用
(略)基準額以上の調達については、一般競争入札方式で行う。
※下線部は、緊急性の高い復旧工事における一般競争入札の適用除外に係る規定
(参考法令等)
ⅰ)政府調達に関する協定
ⅱ)国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令
ⅲ)公共事業の入札・契約手続の改善に関する行動計画
指針本文」についての解説
Ⅲ.災害時における対応
1.工事 1-2 現地の状況等を踏まえた発注関係事務に関する措置
○ WTO の対象工事における手続日数の短縮 ⅰ)1)
WTO 対象工事では、一般競争入札にあっては入札期日の前日から起算して少なくとも 40 日前に官報により公告することとされているが、急を要する場合は、その期間を 10 日に短縮することも認められている。この規定を踏まえ、現地の状況を踏まえた適切な手続き期間の設定に努めることとする。
【特例政令(抜粋)】
第五条 契約担当官等が特定調達契約につき一般競争に付する場合における予決令第七十四条の規定の適用については、同条 中「十日前」とあるのは「四十日前(一連の調達契約のうち最初 の契約以外の契約に係る一般競争については、二十四日前)」と、「官報、新聞紙、掲示その他の方法」とあるのは「官報」と、「五日」とあるのは「十日」と読み替えるものとする。
(参考)
予算決算及び会計令
(入札の公告)
第七十四条 契約担当官等は、入札の方法により一般競争に付そうとするときは、その入札期日の前日から起算して少なくとも十日前に官報、新聞紙、掲示その他の方法により公告しなければならない。ただし、急を要する場合においては、その期間を五日までに短縮することができる。
※下線部は、緊急性の高い復旧工事における日数短縮の規定
出典)「災害復旧における適切な入札契約方式の適用ガイドライン」(平成 29 年 7 月)
(参考法令等)
ⅰ)国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令
(参考資料)
1)「災害復旧における適切な入札契約方式の適用ガイドライン」(平成 29 年 7 月)
指針本文」についての解説
Ⅲ.災害時における対応
1.工事 1-2 現地の状況等を踏まえた発注関係事務に関する措置
【指針本文】
(5)早期の災害復旧・復興に向けた取組
(事業促進PPP 等による民間事業者のノウハウの活用)
災害発生後、災害応急対策や災害復旧に関する工事の実施方針の決定や災害査定申請書の作成、災害応急対策や災害復旧に関する工事の発注、監督など一連の災害対応を迅速かつ的確に実施するため、災害の規模や発注者の体制を勘案し、必要に応じて、事業促進 PPP※方式 1)や CM※方式 2)等による民間事業者のノウハウを活用するよう努める。
特に大規模な災害において、発注者のマンパワーやノウハウ不足の補完等を図るとともに、事業費の適切な管理や地元建設企業の活用というニーズにも対応しつつ事業を実施する場合には、東日本大震災の復興市街地整備事業において実施された復興 CM方式 3)を必要に応じて参考とする。
※ Public Private Partnership の略
※ Construction Management の略
(技術提案・交渉方式)
復旧・復興においては、緊急度が高く、プロジェクトの早い段階から施工者のノウハウが必要となる工事の場合、早期の復旧・復興を実現するため、設計に施工者のノウハウを取り込む技術協力・施工タイプ(ECI※方式)等の技術提案・交渉方式4)を適用するよう努める。
※ Early Contractor Involvement の略
参考
1)例えば、「国土交通省直轄の事業促進 PPP に関するガイドライン」(国土交通省)を参照すること。
2)例えば、「国土交通省直轄事業における発注者支援型CM方式の取組み事例集(案)」(国土交通省)
を参照すること。
3)例えば、「東日本復興 CM 研究会の検証と今後の活用に向けた研究会報告書」(国土交通省)を参照すること。
4)例えば、「国土交通省直轄工事における技術提案・交渉方式の適用ガイドライン」(国土交通省)を
参照すること。
【解 説】
○ 事業促進PPP方式 1)
事業促進 PPP 方式は、調査及び設計段階から、官民双方の知識や経験を活用した効率的なマネジメントにより事業の促進を図る方式である。
東日本大震災の復旧事例では、復興道路の新規事業化区間の整備にあたり、工事着手までの 2~ 3 年の間に膨大な業務(調査・設計、協議・調整、用地取得等)の実施が必要となったことから、事業執行体制の強化を目的として導入されている。事業促進 PPP では、「事業管理」、「調査・設計」、「用地」、「施工」等のエキスパート(専門家)で構成された民間技術者チームが、従来、発注者が行ってきた協議調整等の施工前の業務を発注者と一体となって実施していることが特徴的である。
このような適用事例を参考として、災害の規模や発注者の体制を勘案し、必要に応じて、事業促進 PPP 方式等を適用する。
【事業促進PPP業務実施体制】
出典)「災害復旧における適切な入札契約方式の適用ガイドライン」(平成 29 年 7 月)
○ 技術提案・交渉方式 1)2)
復旧・復興においては、緊急度が高く、プロジェクトの早い段階から施工者のノウハウが必要となる工事も想定される。このような特徴を有する工事では、早期の復旧・復興を実現するため、設計に施工者のノウハウを取り込む技術協力・施工タイプ(ECI方式)等の技術提案・交渉方式の適用を積極的に検討する。なお、実施にあたっては、「国土交通省直轄工事における技術提案・交渉方式の運用ガイドライン」(令和2年 1 月)に基づくものとする。
【技術提案・交渉方式 技術協力・施工タイプ】
「発注者が最適な仕様を設定できない工事」又は「仕様の前提となる条件の確定が困難な工事」において、技術提案に基づき選定された優先交渉権者と技術協力業務の契約を締結し、別の契約に基づき実施している設計に技術提案内容を反映させながら価格等の交渉を行い、交渉が成立した場合に施工の契約を締結する。
(参考資料)
1)「災害復旧における適切な入札契約方式の適用ガイドライン」(平成 29 年 7 月)
2)「国土交通省直轄工事における技術提案・交渉方式の運用ガイドライン」(令和 2 年 1 月国土交通省)
指針本文」についての解説
Ⅲ.災害時における対応
1.工事 1-2 現地の状況等を踏まえた発注関係事務に関する措置
図 技術協力・施工タイプにおける契約形態
1) 設計者及び施工者の責任
設計者は設計に対する責任を負うこととなり、施工者は技術協力及び施工に対する責任を負うこととなる(ただし、発注者の指示に基づく設計、技術協力及び施工の場合は除く。)。
2) 施工契約額の変更の考え方(リスク分担)
技術協力及び価格等の交渉を踏まえて発注者と施工者が合意した仕様、詳細な施工条件について、特記仕様書等の契約図書に具体的に反映することにより、発注者と受注者とのリスク分担が明確となる。契約図書に示された施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場合等において、必要と認められるときは、適切に契約図書の変更及び請負代金の額や工期の適切な変更を行う。
3) 留意事項
設計・施工一括タイプと比較して、発注者による設計への関与の度合いがより大きくなり、設計者と施工者間の調整能力が発注者側に必要となる。そのため、必要に応じて建設コンサルタントの活用等により、発注者側の体制を補完する。また、設計は、施工者と異なる建設コンサルタント等が実施するため、施工者自らでなければ設計できないような高度な独自技術に係る設計が必要となる場合は、当タイプではなく、設計交渉・施工タイプを適用する。
出典)「国土交通省直轄工事における技術提案・交渉方式の運用ガイドライン」(令和 2 年 1 月国土交通省)
【「仕様の前提となる条件の確定が困難な工事」への適用】
2.2.5「仕様の前提となる条件の確定が困難な工事」への適用
2.1 に示した「仕様の前提となる条件の確定が困難な工事」として、以下のような特性を有する工事への適用が想定されるが、具体の適用に当たっては学識経験者等で構成される第三者委員会において、適用の妥当性について審査を実施するものとする。
・(中略)
・大災害からの復興事業など、その遅延により地域経済に大きな影響を及ぼすことが想定される大規模プロジェクトにおいて、早期の着手・完成・供用を図るため、仕様の前提となる条件を確定できない早期の段階から、施工者独自の高度な工法等の反映が必要な工事。
・(中略)
【適用工事として以下のような例を想定】例 1)(中略)
例 2)大震災の被災地における大規模で複合的な復興事業の早期実施のために行う工事
→大規模で複合的な復興事業の早期実施のため、仕様を決定する前の段階で、施工者独自の高度な工法等を反映する必要がある。
例 3)(中略)
出典)「国土交通省直轄工事における技術提案・交渉方式の運用ガイドライン」(令和2年 1 月)