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労務アドバルーン⑪
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~解雇によらない雇用契約の終了~ 弁護士 x x x x 弁護士 x x x 臣
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1 はじめに
既に労務アドバルーンにおいて普通解雇や懲戒解雇については実務上の留意点も含めてご説明させていただきましたが、皆さまもご承知のとおり、解雇以外の理由により雇用契約が終了する場合もございます。そこで、連載15回目となる今回は、解雇によらない雇用契約の終了について取り上げたいと思います。
2 合意解約・辞職の意思表示について
(1)普通解雇や懲戒解雇は、使用者が労働者に対して一方的に雇用契約を終了させる行為ですが、反対に労働者から使用者に対して退職を申し出ることもよくあります。ここで労働者からの退職の申し出には、法的に整理すると、労働者から使用者に対する雇用契約の一方的な解約の意思表示(辞職の意思表示)と、使用者との合意によって雇用契約を解約しようとするもの(合意解約の申込み)という2つのパターンがあります。
(2)辞職の意思表示とは、労働者の一方的な行為により効力が生じるものであり、無期雇用契約においては原則として辞職の意思表示をしてから2週間を経過すれば退職の効果が生じ(民法627条1項)、使用者に到達した時点から撤回できなくなると解されています(民法540条2項)。例外的に毎月1回払いのいわゆる完全月給制(遅刻、欠勤による賃金控除なし)の場合は、解約は翌月以降に対してのみすることができ、しかも当月の前半に予告をする必要があります(民法 627条2項1)。他方、有期雇用契約の場合は「やむを得ない事由」があるときに「直ちに契約の解除をする」ことができるにとどまり、その事由が当事者の一方の過失によって生じたときは、相手方に対して損害賠償責任を負うとされています
(民法628条)。
これに対し、合意解約の申込みは、使用者が合意解約の
コ ラ ム
申込みを承諾したときに雇用契約が終了することとなりますので、使用者に不測の損害を与えるなどxxxに反すると認められるような特段の事情がない限り、使用者の承諾の意思表示がなされるまでは、合意解約の申込みは撤回できると解されています(大阪xx隣保館事件・大阪地判xxx年3月3日、学校法人白頭学院事件・大阪地判平成9年8月 29日)。そのため、いかなる場合に使用者の承諾の意思表示があったといえるかが争われることが多く、退職に対する承認の権限を与えられた人事部長が労働者の退職届を受理した事案(xxx工所上告審事件・最判昭和62年9月18日)において合意解約が認められたのに対し、常務取締役
(観光部長)の受理・承諾があったにとどまる場合には、当該常務取締役が人事権を有しないことから、使用者の承諾の意思表示はなく合意解約は認められないと判断されています(岡山電気軌道事件・岡山地判平成3年11月19日)。
(3)では、労働者が「辞めます」という発言をしたり、退職願や辞職届などの文書を会社に提出した場合、「辞職の意思表示」と「合意解約の申入れ」のいずれをしたことになるのでしょうか。
かかる判断は、一律にどちらということは決められませんので、具体的な事実関係に即して判断されることになりますが、退職の申し出を行う労働者は円満に退職する意思を持つのが一般的であり、また、このように解することが通常の労働者の意思に合致しますので、使用者の態度如何に関わらず確定的に雇用契約を終了させる旨の意思が客観的に明らかな場合に限り、辞職の意思表示と解し、そうでなければ合意解約の申込みと解するのが妥当であるという見解が有力です。
(4)例えば、次のような事案において、会社として従③員を退職したものと扱ってよいでしょうか。
今年は立て続けに大雨・台風・地震に見舞われ、日本各地で大きな被害が出ました。被害に遭われた方には、心よりお見舞いを申し上げます。この様な時に、暫く連絡を取っていなかった知人から見舞いの連絡をもらうということが立て続けにあり、人情の有り難さを身に染みて感じると共に、自分もxxxな配慮ができる人間になりたいと改めて思った次第です。(xx)
働き方改革法の施行が迫り、各規程の整備に着手しようという企業も多いかと思います。法改正というのは改正点の反映だけでなく、既存の規程を見直す機会でもありますので、これを機に全体的な見直しを考えても良いと思います。娘のいたずら好きも見直して欲しいものです。(xx)
前回にも触れましたが、近時、特に各種のハラスメントに関するご相談を多くいただいています。事案も軽重さまざまであり、時として深刻な事態に発展してしまったようなケースもあります。行為者個人の性格ということで片付けずに、未然防止のため事業主として従業員の意識の啓発・啓蒙に正面から取り組みましょう。(xx)
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2日後に人事部長Aに対し、「頭を冷やして考えた。もう一度働かせて欲しい」と述べてきた。
上記事案において、「辞職の意思表示」と「合意解約の申入れ」のいずれと扱うかですが、従③員Xは一時的にカッとなって退職の申し出をしたに過ぎないと思われ、「確定的に雇用契約を終了させる旨の意思が客観的に明らかであった」とは言えませんので、「合意解約の申入れ」であったものと考えるべきです。Xからの退職の申し出に対し、人事部長Aが承諾していれば、雇用契約が終了したと解される可能性は高いですが、上記事案では承諾をしたとの事情はなく、未だ雇用契約は終了していないことになりますので、Y社はXを退職したものと扱ってはならないことになります。
3 定年退職
(1)定年制とは、ご存知のとおり、労働者が一定の年齢に達したときに雇用契約が終了する制度をいいます。日本では、定年制を一要素とする長期雇用システムにおける雇用保障機能と年功的処遇機能が基本的に維持されており、定年制は一定の合理性を有するものであるとして有効であると解されています。最高裁も、昭和43年時点ですが、定年制の合理性を肯定しています(秋北バス事件・最判昭和43年12月25日)。
(2)民間企③においては、かつては55歳定年制が主流でしたが、1970年代半ばから高年齢者の雇用確保の観点から政府の定年延長政策が進められ、企③界もこれに呼応する形で60歳定年制が主流となり、平成6年の高年齢者雇用安定法の改正により、定年制を採用する場合には定年年齢は60歳以上でなければならないこととされました(同法第8条)。そして、平成16年には、定年年齢を65歳未満に定めている会社において、労働者が65歳になるまでの雇用確保措置、
すなわち「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」、「定年の定めの廃止」のうちいずれかの措置を講ずることを使用者に義務づける改正がなされました。
(3)厚生労働省の2017年「高年齢者の雇用状況」によると、継続雇用制度の導入により雇用確保措置を講じている企
③の割合は80.3%となっています。かかる制度の対象者は、以前は労使協定で定めた基準によって限定することが認められていましたが、平成24年の高年齢者雇用安定法の改正により、平成25年4月1日以降は希望者全員を対象とすることになりました(但し、同日以前に継続雇用制度の対象者を限定する基準を設けている事③主は、老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢に到達した以降の者を対象に、その基準を引き続き利用できる12年間の経過措置が設けられています。)。
4 その他
以上のほか、解雇によらない雇用契約の終了としては、有期雇用契約の場合の期間満了による退職、労働者の死亡・行方不明による退職、休職期間満了時に復職できない場合における退職等が挙げられます。
5 最後に
普通解雇や懲戒解雇は、使用者が雇用契約を一方的に打ち切る処分であるため、厳格な要件を満たす必要があり、解雇の有効性の判断は容易ではありません。解雇と比べれば、解雇によらない雇用契約の終了のケースでは、契約の終了について争われることも少ないと思われますが、それでも本稿で触れたように従③員の退職申し出の撤回ができるかどうかといった紛争が生ずることも少なくありません。また、今後、高齢化が進むことが予測される中で、高年齢者雇用安定法の改正等により事③主に対してさらなる高齢者の雇用確保措置を講ずる義務が課せられる可能性もあるでしょう。
解雇の場合も含めて、労働者との関係が終了することに関して考えなければならないことが沢山あるということを、皆さまにご認識いただければと思います。
1 なお、改正民法においては、現行民法627条2項の規律が使用者にのみ及ぶよう修正されており、労働者からの解約申入れについては、現行民法627条1項のとおり2週間前までにすれば足りることとなります。
私の娘がもうすぐ4か月になりますが、父となって世間で一般的に言われる「育児と仕事の両立」たるものがいかに大変なことかをしみじみと感じております。育休や産休を取得すること、保育所の存在などは特に働かれている女性にとっては有用で、欠かせないものと再認識させられます。育児介護休業法等がめまぐるしく変化する背景でもあるかと思いますが、私もより深く見識を高めていきたいと思います。(xx)
久しぶりに多数の旧友に連絡を取る機会がありました。昔話で盛り上がるとともに、互いに現在の状況を話し合うと良い刺激になり、明日からも頑張ろうという気持ちになります。弁護士としての営業力・人間力をもっともっとつけなければならないと痛感した弁護士5年目の夏でした。(xx)
今年もいよいよ終わりが近付いてきました。この1年は、毎月のように結婚式があったのが印象的です。東京と札幌での結婚式が多かったのですが、今年、初めて会費制というものを知りました(札幌では会費制が大半を占めているそうです)。結婚式は文化の違いが出るところも多く、何度行っても面白いものです。(xx)
今年の夏はアスファルトが溶けてしまうほどの酷暑でしたね。私は、体調管理のためにビタミンを摂取すべくサプリメントを1日1錠飲むようにしていました。本当は、栄養のある食事をとり、規則正しい生活を送るのが体調管理において最も大切なことだと思いますので、皆さまも規則正しい生活を心がけてお身体にはお気を付けください。(xx)
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