Contract
島根県公共工事請負契約約款に係る
設計・契約変更の手引き(案)
平成31年4月
島根県土木部技術管理課
目次 | 1.設計・契約変更の手引き(案)策定の目的 | ||
1-1 設計・契約変更の現状、課題 ・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ ・ | 1 | ||
1-2 適切な設計変更の必要性 ・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ ・・ ・ | 2 | ||
1-3 手引き策定の目的 | |||
2.設計・契約変更の基本事項 | |||
2-1 | 設計変更と契約変更 ・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ ・・ ・・・ | 3 | |
2-2 | 契約変更の範囲 ・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ ・・ ・・・・・ | 4 | |
2-3 | 設計・契約変更の対象となる事項 ・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ | 5 | |
2-4 | 指定・任意の考え方 ・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ ・・ ・・・ | 6 | |
2-5 | 施工条件の明示 ・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ ・・ ・・・・・ | 7 | |
3.発注者・受注者の責務 | |||
3-1 発注者の責務 | ・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ ・・ ・・・・・・・ | 8 | |
3-2 受注者の責務 | ・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ ・・ ・・・・・・・ | 9 | |
4.設計・契約変更の考え方 |
4-1 受注者が照査結果の確認を請求した場合[契約約款第19条第1項]
(1)設計図書の照査と設計・契約変更 ・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・ 10
(2)「設計図書の照査」の範囲を超える事項 ・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ 11
(3)設計変更に係る資料の作成について ・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ 12
(4)設計図書がお互いに一致しない場合[契約約款第19条第1項1号] ・・・ ・・・・・・・・ ・・・ 13
(5)設計図書に誤り又は漏れがある場合[契約約款第19条第1項2号]
(6)設計図書の表示が明確でない場合[契約約款第19条第1項3号]
(7)設計図書と実際の工事現場が一致しない場合[契約約款第19条第1項4号] ・・・・・・・・ ・・・ 14
(8)予期することのできない特別な状況が生じた場合[契約約款第19条第1項 5 号]
4-2 | 発注者が必要と認め変更する場合[契約約款第20条] | ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・ | 16 |
4-3 | 工事を一時中止する必要がある場合[契約約款第21条] | ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・ | 18 |
4-4 | 受注者の責に帰することができない事由により工期内に工事を完成することができない場合[契約約款第2条] | 20 | |
4-5 | 発注者の特別な理由により工期を短縮する必要がある場合[契約約款第23条] ・・・ ・・・・・・・ | 22 | |
5.契約変更の手続[契約約款第24・25条] 5-1 工期の変更[契約約款第24条] | ・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・ | 24 | |
5-2 請負代金額の変更[契約約款第25条] | |||
6.契約金額の変更に代える設計図書の変更[契約約款第31条] ・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・ | 25 | ||
7.設計・契約変更が困難な場合 ・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ ・・ | 26 |
8.参考資料(設計図書の照査項目及び内容)
8-1 設計図書の照査項目及び内容 ・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・ 27
1.設計・契約変更の手引き(案)策定の目的
1-1 設計・契約変更の現状、課題
契約図書に条件明示されている事項は、現場条件が一致しない場合には、契約書の関連事項に基づき、設計図書に条件明示した事項を変更し、必要に応じて請負代金額の変更を行っている。
▽
設計変更に係る問題は生じにくい。
契約図書に条件明示が脱漏又は不明確となっている事項や任意仮設等一式計上されている事項は、契約書の関連事項に基づく手続が適正に行われていない場合がある。
▽
設計変更に係る問題が生じる場合がある。
▽
適正でない「設計・契約変更」は、受注者にとっては重大な問題。
1-2 適切な設計変更の必要性
改正品確法に以下のとおり規定されている。
●基本理念(第3条第10項)
「請負契約の当事者が対等の立場における合意に基づいてxxな契約を適正な額の請負契約代金で締結」
●発注者の責務(第7条第1項第5号)
「設計図書に適切に施工条件を明示するとともに、必要があると認められたときは適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこと」
1-3 手引き策定の目的
●設計変更に必要な手続き等を発注者・受注者相互で再認識する。
●手引き(案)に基づき、設計・契約変更の円滑化・適正化を図る。
2.設計・契約変更の基本事項
2-1 設計変更と契約変更
設計変更及び契約変更の基本原則
●やむを得ず直近の設計に差異を生じた場合に行う。
設計変更と契約変更
●設計変更は、設計図書の内容の変更に係るものをいう。
●契約変更は、設計変更に伴う請負代金額の変更又は工期の変更の決定に基づく契約の変更をいう。
2-2 契約変更の範囲
●設計表示単位に満たない設計変更は、契約変更の対象としない。
●一式で計上しているものについては、原則として契約変更の対象としない。
(ただし、受注者に図面、仕様書、現場説明で設計条件、施工方法を明示しているもので、当該設計条件又は施工方法を変更した場合を除く)
●建設工事に係る契約変更ができる範囲は、現に施工中の工事と分離して施工することが著しく困難なものを除き以下の場合とし、設計図書の変更及びこれに伴い必要となる工期の変更について適切に行うものとする
(契約変更ができない場合は、原則として別途契約)。
【当初請負代金4,000万円以上の工事】
追加変更工事費が当初請負代金の50%未満で、かつ5,000万円未満
【当初請負代金4,000万円未満の工事】
追加変更工事費が当初請負代金の30%未満で、かつ2,500万円未満
※「土木工事に係る変更契約と随意契約のできる範囲の取扱いについて(通知)」
(昭和60年12月13日xx第632号(平成10年3月11日一部改正))
※「建設工事に係る変更契約ができる範囲の取扱いについて(通知)」
(平成27年3月18日土総第998号)
●当初の工事目的と関係ない工種の追加や別の工事で施工すべき工種の追加は、原則行わない。
2-3 設計・契約変更の対象となる事項
島根県公共工事請負契約約款(以下、契約約款)で定めている設計・契約変更の対象となる事項は以下のとおり
[契約約款第31条]
設計・契約変更の対象となる事項 | 契約約款条項 | |
1.図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しない場合 | 第19条 第1項 | 第1号 |
2.設計図書に誤り又は漏れがある場合 | 第19条 第1項 | 第2号 |
3.設計図書の表示が明確でない場合 | 第19条 第1項 | 第3号 |
4.工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合 | 第19条第1項 | 第4号 |
5.設計図書で明示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じた場合 | 第19条第1項 | 第5号 |
6.発注者が必要と認め、設計図書の内容を変更する場合 | 第20条 | |
7.工事を一時中止する必要がある場合 | 第21条 | |
8.受注者の責に帰することができない事由により工期内に工事を完成することができない場合 | 第22条 | |
9.発注者の特別な理由により工期を短縮する必要がある場合 | 第23条 | |
10.その他 | 特許xxの使用 | 第 8 条 |
支給材料及び貸与品 | 第15条 | |
設計図書不適合の場合の改造義務及び破壊検査等 | 第17条 | |
賃金又は物価変動に基づく請負代金額の変更 | 第26条 | |
臨機の措置 | 第27条 | |
一般的損害 | 第28条 | |
不可抗力による損害 | 第30条 | |
部分使用 | 第34条 |
2-4 指定・任意の考え方
契約約款第1条3項
●仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段については、契約書及び設計図書に特別の定めがない場合を除き、受注者がその責任において定める。
▽
●指定→設計図書で指定したとおり施工を行わなければならないもの
●任意→設計図書では指定せず、受注者の責任において施工を行うことができるもの
○仮設、施工方法の一切の手段の選択は受注者の責任で行う。
○仮設、施工方法に変更があっても原則として設計変更の対象としない。(ただし、受注者の責めによらない場合を除く)
○当初設計時の想定と現地条件が異なることによる変更は行う。(ただし、受注者の責めによる場合を除く)
指定・任意の考え方
x x | 任 意 | |
設計図書での取り扱い | 施工方法等について具体的に指定する (契約条件として位置付け) | 施工方法について具体的に指定しない (契約条件ではないが、参考図として標準的工法等を示すことがある) |
施工方法等の変更 | 発注者の指示又は承諾が必要 | 受注者の任意 (施工計画書等の修正、提出は必要) |
施工方法の変更が生じた場合の 設計変更 | 対象とする (但し、受注者の責めによる場合を除く) | 対象としない (但し、受注者の責めによらない場合を除く) |
当初明示した条件の変更が 生じた場合の設計変更 | 対象とする (但し、受注者の責めによる場合を除く) | 対象とする (但し、受注者の責めによる場合を除く) |
2-5 施工条件の明示
●発注者は、契約約款第19条第1項第4号に定めているとおり、受注者が工事の目的に即した適切な施工ができるよう設計図書(現場説明書等)に必要な施工条件を明示しなければならない。
●施工条件書に記載されている事項を明示する。なお、条件明示に不足が生じないようチェックを行うこと。
細部について規定する必要がある場合は、特記仕様書にも明示する。
3.発注者・受注者の責務
3-1 発注者の責務
●受注者が適切に施工できるよう、設計図書には必要な条件を明示しなければならない。
●変更の必要がある場合は、受注者に対して書面により指示を行わなければならない。
▽
●工事の施工に係る制約事項については、設計図書に条件明示を行う。
●受注者が実施した設計図書の照査の結果、受注者から確認の請求があった場合は調査を行う。その結果を受注者に通知し、必要があると認められる時は設計変更又は契約変更を行う。
●設計変更を行う必要が生じた場合など必要な指示、協議等は書面で行う。
●設計変更の対象となる事項を、指示する場合の文書(工事打合簿)には、以下の事項を記載すること。
①受注者が追加工事等として施工を行う工事の具体的な作業内容
②当該追加工事等が契約変更の対象となること
③追加工事等に係る概算金額(記載する概算金額は「参考値」であり、契約変更額を拘束するものではない)
【工事打合せ簿の記載例】
上記の内容については、設計変更の対象とします。
なお、本設計変更に係る概算金額については、下記のとおりです。
・概算金額:直接工事費ベースで約○○万円増(減)額(参考値)
3-2 受注者の責務
●工事の目的が達せられるよう施工する義務があり、工事に係る発注者の意図、設計図書、現場条件等を確認
する必要がある。
▽
●設計図書に不明瞭な事項がある場合は質問にて確認のうえ入札書を提出する。
●工事着手時点で設計図書を照査し疑義を明確にする。
●施工中疑義が生じた場合は、発注者と書面による協議を行い、発注者からの書面での指示に従い施工する。
〇入札公告期間中の質問の有無が、設計・契約変更の条件にはなりません。
4.設計・契約変更の考え方
4-1 受注者が照査結果の確認を請求した場合[契約約款第19条第1項]
(1)設計図書の照査と設計・契約変更
●受注者は、契約約款第19条第1項第1号~第5号及び土木工事共通仕様書1-1-3(設計図書の照査
等)等で定める照査を実施する。なお、照査すべき主な具体的内容を「8.参考資料」に示す。
▽
●監督職員は、受注者から照査の確認を請求されたとき、又は自ら事実を発見したときは、受注者の立会いの
うえ調査を実施する(受注者が立会いに応じない場合は、受注者の立会いを得ずに行うこともできる)。
▽
●監督職員は、調査の結果をとりまとめ、調査終了後14日以内に、結果を受注者に通知する。
▽
●必要があると認められるときは、設計図書を訂正、変更する。
○「必要があると認められるとき」とは、発注者の意志ではなく客観的に決定する。
○確認された事実が軽微で、当初の設計図書に従って施工を継続しても支障がない場合を除く。
▽
●設計図書を訂正、変更した場合、必要があると認められるときは、工期、請負代金額を変更する。
○「必要があると認められるとき」とは、発注者又は受注者が認めるときではなく客観的に決定する。
○設計図書の変更等が行われても、全く工期又は請負代金額に影響を及ぼさない等特殊な場合を除く。
(2)「設計図書の照査」の範囲を超える事項
●受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える事項
○現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの。
○現地測量の結果、縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
○現地調査の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの。
○現地調査の結果、土工の縦横断計画の見直しが必要となるもの。
○構造物の位置や計画高さ、延長が変更となり構造物の再計算が必要となるもの。
○構造物の載荷高さが変更となり、構造計算の再計算が必要となるもの。
○現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるが標準設計で修正可能なもの。
○構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。
○基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算及び図面作成。
○土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成。
○「設計要領」・「各種示方書」等との対比設計。
○構造物の応力計算書の計算入力条件の確認や構造物の応力計算を伴う照査。
○設計根拠まで遡る設計図書の見直し。
○舗装修繕工事の縦横断設計(当初の設計図書に縦横断図面が示されており、その修正を行う場合。)ただし設計図書で縦横断図が示されておらず、島根県公共工事共通仕様書第3編2-6-15路面切削工、2-6-17オーバーレイ工等に該当し、縦横断設計を行うものは設計照査に含まれる。
※なお、適正な設計図書に基づく数量の算出及び完成図の作成は、受注者の費用負担によるものとする。
(3)設計変更に係る資料の作成について
設計照査に必要な資料作成
●受注者は、当初設計等に対して契約約款第19条第1項に該当する事実が発見された場合、監督職員にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。
●これらの資料作成に必要な費用については契約変更の対象としない。
契約約款第19条に係る変更は発注者が行うものであり、設計変更に係る資料の作成も当然、発注者が行うものである。本対応方法は、契約約款第19条を基本としてその実務について定めたものである。
設計変更に必要な資料作成
●契約約款第19条第1項に基づき設計変更するために必要な資料の作成については、契約約款第19条第4項に基づき発注者が行うものである。よって、安易に設計変更に必要な資料作成を受注者に行わせてはならない。
●やむを得ず受注者に行わせる場合は、以下の手続きによるものとする。
①設計照査に基づき設計変更が必要な内容については、受発注者間で確認する。
②設計変更するために必要な資料の作成について書面により協議し、合意を図った後、発注者が具体的な指示を行うものとする。
③発注者は、書面による指示に基づき受注者が設計変更に係り作成した資料を確認する。
④書面による指示に基づいた設計変更に係る資料の作成業務については、契約変更の対象とする。
⑤資料作成の費用は、業務委託積算基準等を参考に適切に算定する。
(4)設計書がお互いに一致しない場合[契約約款第19条第1項1号]
事例
●図面と設計書(金抜き)の材料の寸法、規格、数量等の記載が一致しない。
●平面図と縦断図の延長、材料名称、仕様等の記載が一致しない。・・・etc
(5)設計図書に誤り又は漏れがある場合[規約約款第19条第1項2号]
「誤りがある場合」の事例
●設計図書に示されている施工方法では、条件明示されている土質に対応できない。
●図面に記載されている材料の規格が間違っている。・・・etc
「漏れがある場合」の事例
●図面に使用材料の規格が記載されていない。
●一式工事について、図面、仕様書又は現場説明書に設計条件又は施工方法に係る必要事項が記載されていない。・・・etc
(6)設計図書の表示が明確でない場合[契約約款第19条第1項3号]
事例
●材料の使用量が共通仕様書の記載と特記仕様書の記載とが異なる。
●水替工の記載はあるが、作業時、常時など運転状況の記載がない。
●用地買収が未了との記載はあるが、着工見込み時期の記載がない・・・etc
(7)設計図書と実際の工事現場が一致しない場合[規約約款第19条第1項4号]
事例
●設計図書に明示された土質や地下水位が工事現場と一致しない。
●設計図書に明示された地盤高が工事現場と一致しない。
●設計図書に明示された地下埋設物の位置が工事現場と一致しない。
●設計図書に明示された水替工の作業時排水では仮締切内が常時水没し、作業の遅延や品質低下が懸念される。・・・etc
(8)予測することのできない特別な状況が生じた場合[規約約款第19条第1項5号]
事例
●施工中に埋蔵文化財が発見され、調査が必要となった。
●工事範囲の一部に軟弱地盤があり、地盤改良が必要となった。・・・etc
契約約款第19条第1項に係る変更手続
受注者 | 発注者 請求内容を確認するため調査の実施を決定 (契約約款第19条第2項) | |||
設計図書の照査結果を発注者に通知し 確認を請求(契約約款第19条第1項) | ||||
発注者、受注者立会いの上、調査を実施(契約約款第19条第2項) | ||||
受注者の意見を聴いた上で結果をとりまとめ、受注者に通知(契約約款第19条第3項) 必要がある場合、設計図書の訂正又は変更 (契約約款第19条第4項) | ||||
工期、請負代金額を変更する必要がある場合は、発注者、受注者協議で決定(契約約款第24・25条) | ||||
4-2 受注者が必要と認め変更する場合[契約約款第20条]
●発注者は、工事の施工途中において、当初発注の内容を変更せざるを得ない事態が生じた場合
▽
●必要があると認めるときは、設計図書の変更内容を受注者に通知し、設計図書の変更を行う。
○「必要があると認める」とは、発注者の判断であり、場合によってはその理由を受注者に示す必要はない。
▽
●この場合、必要があると認められるときは、工期又は請負代金額の変更を行う。
○「必要があると認められるとき」とは、発注者又は受注者が認めるときではなく客観的に決定する。
○従って、設計図書の変更等が行われても、全く工期又は請負代金額に影響を及ぼさない等特殊な場合を除き変更を行うべき。
事例
●地元調整、関係機関協議の結果、施工範囲、施工内容、施工日・時間の変更を行う。
●新たに施工する必要のある工種が判明し、その工種を追加する
(ただし、当初の工事目的と関係ない工種や別の工事で施行すべき工種の追加は、原則行わない)。
●関連する工事の影響による施工条件の変更により、施工内容の変更を行う。
●工事現場の安全管理上、フェンス等の防護施設(共通仮設費の率分以外)を必要と判断し、追加する。
・・・etc
契約約款第20条に係る変更手続
受注者 | 発注者 設計変更の必要があると判断 (契約約款第20条) 発注者が設計図書の変更を行い、受注者にその内容を通知(契約約款第20条) | |
工期、請負代金額を変更する必要がある場合は、発注者、受注者協議で決定(契約約款第24・25条) | ||
4-3 工事を一時中止する必要がある場合[契約約款第21条]
●工事用地等の確保ができない等のため又は自然的若しくは人為的な事象であって受注者の責めに帰すことができないものにより、工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められる場合。[契約約款第21条第1項]
○「工事を施工できないと認められるとき」とは、客観的に認められる場合を意味し、発注者又は受注者の主観的判断により決まるものではない。
●上記以外に、発注者が必要であると認める場合。[契約約款第21条第2項]
○「必要であると認める」とは、発注者の判断による。
▽
●発注者は、工事の中止内容を受注者に通知し、工事の全部又は一部の施工を中止させることができる。[契
約約款第21条第1・2項]
▽
●工事の中止に伴う増加費用等の負担については、受注者から請求があった場合に適用する。
●増加費用として積算する範囲は、「工事現場の維持に要する費用」、「工事体制の縮小に要する費用」、「工事の再開準備に要する費用」とする。[契約約款第21条第1・2項]
「工事用地等の確保ができない場合」の事例
●発注者の義務である工事用地等(施工上必要な用地)の確保が行われていない。
「自然的若しくは人為的な事象により工事を施工できない場合」の事例
●暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動、反対運動等の妨害活動、埋蔵文化財の発掘又は調査等。
4-4 受注者の責に帰することができない事由により工期内に工事を完成することができない場合[契約約款第22条]
●天候の不良等受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができないとき。
[契約約款第22条第1項]
▽
●受注者は、その理由を明示した書面により発注者に工期の延長の変更を請求することができる。[契約約款
第22条第1項]
▽
●発注者は、受注者から請求があった場合において、必要があると認められるときは、工期を延長しなければ
ならない。[契約約款第22条第2項]
▽
●発注者は、その工期の延長が発注者の責めに帰すべき事由による場合においては、請負代金額について必要と認められる変更を行い、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。[契
約約款第22条第2項]
「受注者の責めに帰すことができない事由」の事例
●天候不良(雨天、積雪、異常高温、異常低温など)の発生が平年に比べて顕著であった。
●資機材や労働需要の逼迫により全体工程に影響を生じた。
●発注者の行う関連工事等の調整への協力を行った。
●不可抗力(暴風、豪雨、豪雪、地震、地滑り等の災害発生など)の事象が発生した。
契約約款第22条に係る変更手続
受注者 発注者
「受注者の責めに帰すことができない事由」により工期内に工事を完成することができないとき(契約約款第22条第1項)
発注者は、必要があると認められるときは工期を延期しなければならない。
(契約約款第22条第2項)
その理由を明示した書面により、発注者に 工期の延長の変更を請求することができる。
(契約約款第22条第1項)
発注者の責めに帰すべき事由による場合は請負代金額について必要と認められる変更を行う。
受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(契約約款第22条第2項)
工期、請負代金額を変更する必要がある場合は、発注者、受注者協議で決定(契約約款第24・25条)
4-5 発注者の特別な理由により工期を短縮する必要がある場合[契約約款第23条]
●発注者は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に請求することができる。[契約約款第23条第1項]
●発注者は、この約款の他の条項の規定により工期を延長すべき場合において、特別の理由があるときは、通常必要とされる工期に満たない工期への変更を請求することができる。[契約約款第23条第2項]
●発注者は、前2項の場合において、必要があると認められるときは請負代金額を変更し、又は受注者に損害
を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。[契約約款第23条第3項]
特別な理由(例)
●道路の供用開始時期、公営住宅の入居時期について、当初に予定していた時期を繰り上げて行うなど行政運営上必要となる場合。
●事業の執行に関する当初の予定が変更され早い時期に完成が必要となる場合。
※発注者の「特別な理由」は発注者の自由な意思によるものであり、必ずしもこれを明示しないと短縮請求をできないわけではない。
ただし、発注者と受注者の協議の過程でその理由を受注者に明示する必要がある。
契約約款第23条に係る変更手続
発注者
工期、請負代金額を変更する必要がある場合は、発注者、受注者協議で決定(契約約款第24・25条)
受注者は、請求に基づき、工期短縮を図るための施工計画書を発注者に提出する。
(契約約款第23条)
発注者の特別な理由により工期を短縮する必要がある場合
受注者
発注者は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に書面にて請求(契約約款第23条第2
項)
5.契約変更の手続[契約約款第24・25条]
5-1 工期の変更[契約約款第24条]
●工期の変更は、発注者、受注者協議による。
○協議開始日から14日以内に協議が整わない場合は、発注者が定め受注者に通知する。
●協議の開始日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知する。
○発注者が工期の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始日を通知しない場合、受注者は協議開始日を定め発注者に通知する。
5-2 請負代金額の変更[契約約款第25条]
●請負代金額の変更は、発注者、受注者協議による。
○協議開始日から14日以内に協議が整わない場合は、発注者が定め受注者に通知する。
●協議の開始日は、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知する。
○発注者が工期の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始日を通知しない場合、受注者は協議開始日を定め発注者に通知することができる。
●受注者が増加費用を必要した場合又は損害を受けた場合に、発注者が負担する必要な費用の額については、
発注者、受注者が協議して定める。
6.契約金額の変更に代える設計図書の変更[契約約款第31条]
●発注者は、請負代金額を増額すべき場合又は費用を負担すべき場合において、特別な理由があるときは、請負代金額の増額又は負担額の全部又は一部に代えて設計図書を変更することができる。
○請負代金額の増額が発生する場合、発注者は予算を確保しておかなければならない。予算が確保できていない場合は、会計制度上問題となる。
○このよう場合には、設計図書を変更し、当初の請負代金額又は発注者の負担しうる範囲内の増額等に相応する工事量とすることができる。
●設計図書の変更内容は、発注者・受注者協議により定める。
○協議開始日から14日以内に協議が整わない場合は、発注者が定め受注者に通知する。
●協議の開始日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知する。
○発注者が工期の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始日を通知しない場合、受注者は協議開始日を定め発注者に通知することができる。
7.設計・契約変更が困難な場合
以下のような場合においては、原則として設計・契約変更が困難である。
●設計図書に条件明示のない事項において、発注者と「協議」を行わず受注者が独自に判断して施工を実施した場合
●発注者と「協議」をしているが、協議の回答がない時点で施工を実施した場合
●「承諾」で施工した場合
●島根県公共工事請負契約約款及び島根県公共工事共通仕様書に定められている所定の手続きを経ていない場合
●正式な書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合
※契約約款第 27 条(臨機の措置)については別途考慮する。
8.参考資料
8-1 設計図書の照査項目及び内容
受注者が施工前・施工中に照査すべき主な具体的内容を以下に示す
項 目 | 工 x | x 査 x x | 根 拠 | ||
1.「施工条件書」明示内容の照査 | 1-1 | 共通 | 「施工条件書」における明示項目に不足がないかの確認 ・明示項目 1.工程関係 2.用地関係 3.公害対策関係 4.安全対策関係 5. 工 事用道路関係 6.仮設備関係 7.残土・建設廃棄物関係 8.工事支障物件等 9.排水工 10.薬液注入関係 11.その他 | 契約約款第 19 条第 1 項 | |
1-2 | 共通 | 「施工条件書」における明示項目と現場条件に相違がないかの確認 | 契約約款第 19 条第 1 項 | ||
2.関連資料・貸与資料の確認 | 2-1 | 共通 | 地質調査報告書は整理されているか。追加調査の必要性の確認 | 共通仕様書特記事項 | |
2-2 | 共通 | 軟弱地盤の施工に必要な資料はあるかの確認化、地盤支持力、法面安定、側方流動等) | (圧密沈下、液状 | 共通仕様書特記事項 | |
2-3 | 共通 | 測量成果報告書(平面、横断、縦断)は整理されているかの確認 | 共通仕様書特記事項 | ||
2-4 | 水替工 | ポンプ排水を行うにあたり、土質の確認によって、クイックサンド、ボイリングが起きない事を検討 | 共通仕様書第 3 編 | ||
2-5 | 地下水位低下工 | ウェルポイントあるいはディープウェルを行うにあたり、工事着手前に土質の確認を行い、地下水位、透水係数、湧水量等を確認 | 共通仕様書第 3 編 |
2-6 | 浚渫工(ポンプ浚渫船) | 浚渫工の施工において、渇水位、平水位、最高水位、潮位及び流速・風浪等の水象・気象の施工に必要な資料を施工前に調査・確認 | 共通仕様書第 6 編 | |
3.現地踏査 | 3-1 | 工事測量 | 工事着手後直ちに測量を実施し、測量標(仮BM)、工事用多角点の設置及び用地境界、中心線、縦断、横断等を確認 | 共通仕様書第 1 編 |
3-2 | 盛土工(押え盛土) | 砂防土工における斜面対策としての盛土工(押え盛土)を行うに当たり、盛土量、盛土の位置ならびに盛土基礎地盤の特性等について状況等を照査 | 共通仕様書第 1 編 | |
3-3 | 残土処理工 | 建設発生土の受入地への搬入に先立ち、容量が十分あるかの確認 | 共通仕様書第 1 編 | |
3-4 | 場所打杭工 | 周辺地域の地下水利用状況等から作業に伴い水質水量等に影響を及ぼす恐れがないかの確認 | 共通仕様書第 3 編 | |
3-5 | 土留・仮締切工 | 土留・仮締切工の仮設H鋼杭、仮設鋼xxの打込みに先行し、支障となる埋設物の確認のため、溝掘り等を行い、埋設物の有無を 確認 | 共通仕様書第 3 編 | |
3-6 | 土留・仮締切工 | 周囲の地盤や構造物に変状を与えないように、締切盛土着手前に現状地盤の確認 | 共通仕様書第 3 編 | |
3-7 | 防護施設工 | 仮囲いまたは立入防止柵の設置にあたり、交通に支障をきたす場 合あるいは苦情が発生すると予想される場合には、工事前に対策を検討 | 共通仕様書第 3 編 | |
3-8 | アンカー工 | アンカー工の施工に際しては、工事着手前に法面の安定、地盤の状況、地中障害物、湧水の調査確認 | 共通仕様書第 3 編 | |
3-9 | 樹木・芝生管理工 | 施肥、灌水、薬剤散布の施工にあたり、施工前に施工箇所の状況を調査するものとし、設計図書に示す使用材料の種類、使用量等 が施工箇所に適することの確認 | 共通仕様書第 3 編 |
3-10 | 境界工 | 境界の施工前及び施工後において、近接所有者の立会により境界を確認 | 共通仕様書第 10 編 | ||
3-11 | トンネル(NATM) | トンネルの施工にあたって、工事着手前に測量を行い、両坑口間の基準点との相互関係の確認 | 共通仕様書第 10 編 | ||
3-12 | 開削土工(地下横断歩道) | 道路管理台帳及び占用者との現地確認 | 共通仕様書第 10 編 | ||
3-13 | 開削土工(地下横断歩道) | 鋼xxx、仮設杭の施工に先立ち、明らかに埋設物がないことが確認されている場合を除き、建設工事公衆災害防止対策要綱に従って埋設物の有無の確認 | 共通仕様書第 10 編 | ||
3-14 | 電線共同溝工 | 電線共同溝設置の位置・線形については、事前に地下埋設物及び工事区間の現状について測量及び調査により確認 | 共通仕様書第 10 編 | ||
3-15 | 漏水対策工 | 漏水補修工の施工箇所は、設計図書と現地の漏水個所とに不整合がないか確認 | 共通仕様書第 10 編 | ||
3-16 | RC橋脚鋼板巻立て工 | 工事に先立ち、現地を詳細に把握するために現地調査を行い、補強を実施しようとする橋脚および基礎について、形状や鉄筋の位置、添架物や近接する地下構造物等の状況を把握するとともに、海水または鋼材の腐食を促進させる工場排水等の影響や、鋼材の位置する土中部が常時乾湿を繰り返す環境にあるかどうか等の確 認 | 共通仕様書第 10 編 | ||
4.設計図 | 4-1 | 共通 | 一般図には必要な項目が記載されているかの確認条件、地質条件、建築限界等) | (水位、設計 | 共通仕様書特記事項 |
4-2 | 共通 | 構造図の基本寸法、座標値、高さ関係は照合されているかの確認 | 共通仕様書特記事項 |
各設計図がお互いに整合されているかの確認 | ||||
4-3 | 共通 | ・一般平面図と縦断図(構造一般図と線形図) ・構造図と配筋図 ・構造図と仮設図 | 共通仕様書特記事項 | |
・下部工箱抜き図と付属物図(支承配置図、落橋防止図等) ・本体と付属物の取り合い 等 | ||||
設計計算書の結果が正しく図面に反映されているかの確認(特に | ||||
応力計算、安定計算等の結果が適用範囲も含めて整合している | ||||
か) | ||||
4-4 | 共通 | ・壁厚 ・鉄筋(径、ピッチ、使用材料、ラップ位置、ラップ長、主鉄筋 | 共通仕様書特記事項 | |
の定着長、段落し位置、ガス圧接位置) | ||||
・使用材料 ・その他 | ||||
4-5 | 鉄筋工 | 施工前に、配筋図、鉄筋組立図、及びかぶり詳細図により組立可能か、また配力鉄筋および組立筋を考慮したかぶりとなっている かの確認 | 共通仕様書第 1 編 | |
4-6 | 桁製作工 | 桁の工作に着手する前に原寸図を作成し、図面の不備や製作上に支障がないかどうかの確認 | 共通仕様書第 3 編 | |
5.数量計算 | 5-1 | 共通 | 数量計算に用いた数量は図面の寸法と一致するかの確認 | 共通仕様書特記事項 |