Contract
2024 年 3 月 29 日
各位
株式会社 三十三銀行
株式会社明和製作所との「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約締結について
株式会社三十三銀行(頭取:xx xx)は、持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、株式会社明和製作所(社長:xxx xx)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(※)」契約を締結しましたのでお知らせいたします。
本件の取り組みにあたっては、株式会社三十三総研(社長:xx xx)がインパクト分析・特定のうえ評価書を作成し、株式会社日本格付研究所がポジティブ・インパクト金融原則との適合性を確認しました。今後も「三十三フィナンシャルグループSDGs宣言」のもと、企業活動を通じてSDGsの達成に貢献することで、持続可能な社会の実現に努めてまいります。
(※) 企業活動が「社会・経済・環境」のいずれかに与えるインパクトを包括的に分析・特定し、ポジティブインパクトが期待できる活動と、ネガティブインパクトを低減する活動を支援するもので、借入人様によるSDGs達成への貢献度合いを評価指標とし、借入人様から情報開示を受けながら当行がその過程を定期的にモニタリングするものです。
1. 融資概要
(1) | 契約日 | 2024年3月29日 |
(2) | 融資金額 | 50百万円 |
(3) | 期間 | 5年 |
(4) | 資金使途 | 運転資金 |
2. 借入人概要
(1) 企業名 株式会社明和製作所
(2) 所在地 xxxxxxxxxxx0000-00
(3) 事業内容 当社は三重県三重郡菰野町に本社を構える、自動車をはじめとするアルミダイカスト部品やプラスチック部品の射出成形に用いる金型の製造業者である。重さ 125t~1,250tの小・中型から、1,650t以上の大型まで幅広い鋳造機に対応している。国内の本社工場のほか、タイ、インドネシア、中国、メキシコに製造拠点を、米国に販売・メンテナンスサービス拠点を構え、グローバルに事業展開する体制を構築している。創業より積み重ねた熟練の製造技術と、設計から制作、メンテナンスまで一貫した対応により、高品質・低コスト・短納期を実現し、日々進化を続ける自動車関連産業に貢献している。
(金型製品) (工場内部) (製造拠点(国内・国外)
(4) 従業員数 67名(2023年4月30日現在)
3. 特定インパクトと測定するKPI
(1) 経済面
社会面
包摂的で健全な経済(ポジティブ)、雇用(ポジティブ)
・地元の大学や高校、専門学校の新卒者を毎年2人以上採用する。
(2023年度 1人採用)
包摂的で健全な経済(ポジティブ)、移動手段(ポジティブ)
・EV 関連製品の売り上げ構成比を 20%以上に引き上げる。
(2022 年度 6.7%)
・一つの製品に対して顧客のメリットや満足度につながる提案を 2 件以上行う。
(2023 年度より新たに社内目標として設定する)
(2) 社会面 教育(ポジティブ)、雇用(ポジティブ)
・床上操作式クレーン運転技能、玉掛け技能、フォークリフト運転技能の資格をそれぞれ 1 名以上新たに取得する。
(2023 年 4 月現在:床上操作式クレーン運転技能 17 名
玉掛け技能 13 名、フォークリフト運転技能 7 名)保健・衛生(ネガティブ)、雇用(ネガティブ)
・年次有給休暇の取得率を 60%まで引き上げる。
(2018 年度~2022 年度 平均取得率 53%)
・月平均所定外労働時間を 32 時間以内に削減する。
(2018 年度~2022 年度 月平均 33.8 時間)保健・衛生(ネガティブ)
・1 日以上の休業を要する労働災害の発生件数を 0 件とする。
(2018 年度~2022 年度 年次平均発生 0.2 件)
(3) 環境面 資源効率・安全性(ネガティブ)、廃棄物(ネガティブ)
・原材料の廃棄削減につながる金型外観部品を再利用・改造する顧客提案の採用数を毎年 10 件以上とする。
(2022 年度 採用 9 件)気候(ネガティブ)
・省エネ対応の加工設備への更新を 5 台以上行う。
(2018 年度~2022 年度 合計 5 台更新)
4. お問い合わせ先
(1) 三十三銀行
担当部署
担当者連絡先
ソリューション営業部
野間
059-354-7144
(2) 三十三総研
担当部署
担当者連絡先
調査部
中田
059-354-7102
コンサルティング部
xx
059-351-7417
以上
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
2024 年3月 29 日株式会社三十三総研
三十三総研は、三十三銀行が、株式会社明和製作所(以下、明和製作所または同社)に対してポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するにあたって、明和製作所の活動が、環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響及びネガティブな影響)を分析・評価しました。
分析・評価にあたっては、株式会社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」及び ESG ハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブ・インパクト・ファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、中小企業※1に対するファイナンスに適用しています。
※1 IFC(国際金融公社)または中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業
目次
1.評価対象の概要 2
2.株式会社明和製作所の概要 2
2-1.基本情報
2-2.企業理念と事業内容
2-3.サスティナビリティに関連する活動
3.UNEP FI インパクトレーダーとの関連性 14
3-1.経済面のインパクト
3-2.社会面のインパクト
3-3.環境面のインパクト
4.測定するKPI とSDGs との関連性 18
4-1.経済面・社会面(ポジティブ)
4-2.経済面(ポジティブ)
4-3.社会面(ポジティブ)
4-4.社会面(ネガティブ)
4-5.環境面(ネガティブ)
4-6.その他 KPI を設定しないインパクトについて SDGs との関連性
5.サスティナビリティ管理体制 23
6.モニタリング 23
7.総合評価 23
1.評価対象の概要
企業名 | 株式会社明和製作所 |
借入金額 | 50,000,000 円 |
資金使途 | 長期運転資金 |
契約日及び返済期限 | 2024 年3月 29 日 ~ 2029 年 2 月 28 日 |
2.株式会社明和製作所の概要
2-1.基本情報
本社所在地 | xxxxxxxxxxx 0000-00 |
従業員数 | 67 名(2023 年4月 30 日現在) |
資本金 | 60,000,000 円 |
業種 | アルミダイカスト金型の設計・製作及び金型部品製作 プラスチックインジェクション金型の設計・製作 |
グループ会社 | ・㈲MTS[日本子会社] ・MEIWA MOLD(THAILAND)CO.,LTD. [タイ現地法人] ・PT.MEIWA MOLD INDONESIA [インドネシア現地法人] ・明和精密模具(常熟)有限会社 [中国現地法人] ・MEIWAMOLD MEXICO X.X.XX C.V. [メキシコ現地法人] ・MEIWA MOLD INTERNATIONAL XXX.XXX. [米国現地法人] |
主要取引先 | ㈱アイシン、愛知機械㈱、ダイハツ工業㈱、ヤマハモーター精密部品 製造㈱ほか |
沿革 | 1979 年 三重郡xx町に有限会社明和製作所を設立し、ダイキャス ト用金型の設計製作を着手する。資本金 500 万円。 1987 年 資本金 1,500 万円に増資 三重郡菰野町に本社新築移転 1990 年 株式会社明和製作所に組織変更 1992 年 資本金 2,400 万円に増資 1995 年 タイの現地企業に技術援助 1997 年 タイに現地法人メイワモールドタイランド(MMT)を設立 資本金 4,800 万円に増資 2002 年 インドネシアに現地法人メイワモールドインドネシア(MMI)を設立 |
ISO14001 取得 2003 年 資本金 6,000 万円に増資 名古屋中小企業投資育成㈱の資本算入 2011 年 中国に現地法人メイワモールド中国(MMC)を設立 2016 年 メキシコに現地法人メイワモールドメキシコ(MMX)を設立 |
2-2.企業理念と事業内容
ダイカスト・プラスチックインジェクション金型の創造企業
もの作りに不可能はない。
それが我が社の自信と信念です。
アジア・中南米より
お客様のご要望に応じた金型をグローバルに供給します。
【企業理念等】
⮚ 社是理念
我々は豊かな心(感謝の心)を持ち常に信頼という言葉を頭に描き行動する。
⮚ 社長メッセージ
ダイカスト金型、プラスチック金型メーカーとして、当社はアジア地域に4拠点と中南米のメキシコに拠点を有し、各拠点とも金型構想から各種解析、設計、製作、粗材検査までお客様のご要望に応じた金型を供給し、きめ細やかなアフターサービスを実現致します。そして、
「全拠点で同一品質の金型を提供」を合言葉に日々努力を重ねてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
代表取締役社長 xxx xx
⮚ 当社の特徴
〇 高品質 High Quality
どの拠点においても世界最高レベルの各種金型を提供
〇 コスト低減 Low Cost
各拠点の強みを生かした最適調達
〇 アフターサービス After Sesvice to Your Satisfaction
設計変更、修理などのメンテナンスは迅速かつ丁寧にサポート
〇 金型のグローバル供給 Sesvice to Anywhere in the World海外へ進出されるお客様のニーズに合わせてスムーズに対応
【事業内容】
明和製作所は、三重県三重郡菰野町に本社を構える、自動車をはじめとするアルミダイカスト部品やプラスチック部品の射出成形に用いる金型の製造業者である。重さ 125t~1,250tの小・中型から 1,650t以上の大型まで幅広い鋳造機に対応している。国内の本社工場のほか、タイ、インドネシア、中国、メキシコに製造拠点を、米国に販売・メンテナンスサービス拠点を構え、グローバルに事業展開する体制を構築している。創業より積み重ねた熟練の製造技術と、設計から製作、メンテナンスまで一貫した対応により、高品質・低コスト・短納期を実現し、日々進化を続ける自動車関連産業に貢献している。
金型製品 工場内部
金型種類別売上高構成比(2022年度) 製造拠点(国内・国外)
電気モーター関連
その他
8%
4輪/2輪自動車関連
90%
2%
同社 HP より
【事業プロセス】
自動車部品メーカー等から受注した金型は、①型設計、②解析、③加工プログラム作成、④加工、⑤検査、⑥組付の工程を経て納品される。同社では、これらの工程を一貫して対応することで、コストや納期面で優位性を有している。本社と海外製造拠点の連携により、海外進出顧客に対して国内製造と同品質の金型製品の提供を可能にしている。
納品
組付
検査
加工
加工
プログラム作成
解析
型設計
受注
➡ ➡ ➡ ➡ ➡ ➡ ➡
① 型設計
金型の良し悪しが決まるとも言われる型設計では、2D CAD による「速さ」と3D CAD による「正確さ」を駆使している。同社では設計後の加工・組付け工程でスムーズな作業が可能となるよう、加工・組付けの工程を熟知している設計リーダーのもとで、高精度で加工・組付けしやすい設計を迅速・確実に行っている。
② 解析
高品質の鋳物を製造するために重要となる方案設計では、FEM(有限要法)を用いた物体を小さな要素に分割し、それらの要素の性質を数値化して計算するCAE 解析を行って最適な湯道を設計している。客観的なデータに基づいた意思決定の仕組みを整備して、勘や経験などによる属人化を防止するとともに、データ解析により事前に不具合箇所を発見し、量産までの試作検討期間の短縮を図っている。
③ 加工プログラム作成
加工時間の短縮と高精度加工に適した刃具・ホルダを使用するため、日頃から最新の刃具、ホルダの性能テストを行い、得られた結果をデータ化して最適な使用条件を導き出している。
3D 設計イメージ
CAE 解析イメージ
加工プログラム作成イメージ
④ 加工
5軸加工機や大型門形マシニングセンタ、放電/ワイヤー加工機など、あらゆる加工方法に対応する高精度の設備を備え、顧客から求められる細かい要求に応じた加工を行っている。また、時間や精度を左右する段取りに必要な冶具は、少しでも作業しやすくなるよう、自社で設計、製作している。これらの加工機や冶具を活用して、高品質・短時間・最小段取りの加工を実現している。
⑤ 検査
加工した金型の PL 面(金型の合わせ目)や複雑な形状部の隅々にxxxまで、門型の3次元測定器による自動測定と非接触測定器によるレーザー測定を行い、製品に不具合がないか厳格な検査を行っている。また、加工機毎に測定値をフィードバックし、加工機の精度維持に努めている。
⑥ 組付
組立図面と3D モデル、工程チェック項目に基づいて、金型やそのほかの部品の組み立てを行う。重さが 20tを超える大型の金型もあるため、クレーン作業においては熟練の技術が求められる。
(2)保有設備
切削加工
金型検査
組付
設備名 | 保有台数 |
CAD/CAM/CAE | 多数 |
5軸加工機 | 3台 |
5面加工機 | 1台 |
マシニングセンタ | 15 台 |
汎用機 | 多数 |
放電/ワイヤー加工機 | 5台 |
型合せ機 | 2台 |
xxx測定機(非接触測定付属) | 3台 |
クレーン(20/10t親子クレーン 他) | 多数 |
2-3.サスティナビリティに関連する活動
【射出成形金型製造による自動車産業への貢献】
同社は、金型の設計から各加工、検査、組付けまで一貫した対応による高精度の射出成形金型の製造を通して、創業以来、自動車産業の発展に貢献している。自動車分野では EV 化、軽量化などへのニーズが多様化しており、自動車部品の金型においても小・中型から大型まで幅広い対応が求められる。特に EV 関連では、エンジン関連と比べて大型金型への対応が求められるが、設備や人材などの面で対応できる企業が限られるなかで、同社は 1,650t以上の鋳造機を駆使して大型金型を製造する対応力を強みとしている。また、海外進出する顧客に対して国内と同品質の高精度金型を迅速に提供する対応力も重要となり、同社の海外事業ネットワークは大きな強み となっている。これら同社の強みを活かし、付加価値の向上、不具合率低減、納期短縮など顧客のメリットや満足度向上につながる様々な提案を行っている。同社の金型製造事業は、全国の中小企業の中から経済的、社会的にすぐれた成果をあげていると高い評価を受け、2017 年に公益社団法人 中小企業研究センターより第 51 回グッドカンパニー大賞 特別賞を受賞している。
同社パンフレットより
【品質向上への取り組み】
金型製造事業は、自動車の機能性を左右する様々な自動車部品の開発を支えており、自動車の機能性向上は、人々の移動手段としての利便性向上につながる。自動車部品メーカーから求められる様々な要請に応えるため、常に製造技術の高度化を図り、金型製品の品質向上に取り組んでいる。
(1)先端技術・設備の導入
3D 設計(One STANDARD)や非接触測定器などの先端技術・設備を導入して設計・加工・検査の技術力を高め、形状が複雑な金型を高精度に製作している。3D 設計では、金型内部の見えない部分でどのように成形されるかを検証する流動解析を行って不具合を防止し、非接触測定器では、自由曲面形状をより早く正確に測定して実測値をデータ化し、3D 設計のモデル値と細部まで比較して完全な寸法保証を実現している。
(2)加工精度の向上
工場内では、加工精度を高めるため室温管理の工夫を行っている。最終仕上げ工程には特に注意を払い、遮熱シートによる温度変化対策を施した恒温室で加工を行っている。
(3)品質保証体制の構築
品質保証担当者による品質に関する監督・評価を行っている。具体的には、加工精度を評価して次の工程に移る合否の判断や、新たな不具合発生の都度、再発防止シートを作成して加工業務の標準化を図るなど、金型製品の高品質を維持する体制を構築している。
(4)金型の品質劣化防止
金型製品の劣化を防止するためのオリジナルパーツ
「金型内冷却ハーフキャップ『CHC』」を独自開発している。『CHC』を金型に組み込むことによって、金型使用時の冷却処理の際に発生する腐食割れや水漏れを防止し、金型の耐久性を高め、精度・品質を維持することが可能となる。
〈特徴〉
■肉薄化により冷却効率の低下を抑制
■冷却穴に打ち込むだけの簡単取り付け
■冷却金具は現在使用の金具で OK
■コストは一般の冷却ブッシュの 1/10 以下を実現
■専用金具で取り外し交換が可能 など
『CHC』の仕組み(同社 HP より)
【労働安全衛生の取り組み】
安全衛生方針
1 安全衛生関係法令及び社内基準を遵守しより一層の安全衛生管理に努める。
2 職場の危険有害要因の明確化と対策の優先度を定めるリスクアセスメントを実施し、“災害ゼロ” から“危険ゼロ”の安全で快適な職場づくりを推す。
3 過重労働及びメンタルヘルスによる健康障害を防止するため、衛生管理体制の充実を図り、社員の健康確保対策を推進する。
4 全社員のコニュミケーションを図り、全員参加の安全衛生活動を実行する。
5 社員教育及び社内広報活動を通じて、安全衛生意識の高揚に努める。
6 安全衛生活動の実行に当たっては、適切な経営資源を投入し、効果的な改善を継続的に実施する。
上記の安全衛生方針を掲げ、安全衛生委員会が中心となり、“災害ゼロ” から“危険ゼロ”の安全で快適な職場づくりを目指している。具体的には、安全衛生委員会が現場単位で危険有害箇所を洗い出して点検し、毎月開催する協議会で点検結果・改善結果の報告を行うとともに、新たな改善策の提案・協議を行うほか、「5S 活動」を通じて職場環境の整理、整頓などの徹底にも取り組んでいる。これらの活動成果として、工場天井への遮熱シートや作業エリア毎のビニールカーテンの取り付けによる室温環境の改善、1個あたり 20 ㎏以上の金型部品に予め「吊りねじ」を
盛り込むことによってクレーンによる上げ下げ作業の安全性向上、工場内の階段に手すりを設置して身体に障碍を持つ従業員が安全で働きやすい環境の整備など、快適で安全な職場環境を実現している。また、休憩室に個人ロッカーを設置して休憩時間中にも整理・整頓を奨励するなど、従業員一人ひとりが快適な職場環境づくりへの参加を促す取り組みも行っている。
さらに、地震や火災などの災害が発生した際に、従業員の安全を確保するための防災訓練を毎年実施している。「地震による火災避難」や「地震体験車を使った揺れ体験」など、訓練内容を毎年変更し、災害発生時に冷静に対処する備えを行っている。
【ダイバーシティ経営の推進】
同社では、性別や年齢、国籍など多様な人材が働きやすい環境を整備し、全ての従業員が活躍することができるダイバーシティ経営を推進している。
産前産後の育児休業制度、子供の上限年齢を定めない短時間勤務制度など、女性が仕事と家庭の両立を図りやすくするための環境を整備しており、全従業員の約2割にあたる 12 名の女性従業員が在籍している。人事総務や営業調達部門だけでなく、設計、加工、組み立て部門でも専門職や技術職に従事しているほか、課長職以上の管理職6名のうち女性1名が活躍している。
60 歳定年後の継続雇用においても柔軟な働き方に対応している。本人の希望に沿って、本社または子会社の㈲MTSのいずれかへの在籍を選択し、本社では現在の担当職務を引き続き行い、
㈲MTS では原則として残業を行わず、熟練技術者として本社に派遣されて若手社員に対する技術指導の役割を担う。
また、海外事業ネットワークを持つ同社では、外国籍従業員の雇用も積極的に行っている。従業員寮の提供、通勤用自転車の貸与のほか、礼拝室や手足洗い用シャワー室を社内に完備して信仰にも配慮するなど、仕事と生活の両面で手厚いサポートを行っている。全従業員の約3割にあたる 21 名の外国籍従業員が、海外現地法人からのグループ内転勤、国内での新卒・中途採用、技能実習生として在籍しており、同社の海外事業を円滑に進めるうえで貴重な人材となっている。
【ワークライフバランスの推進】
(1)健康経営の取り組み
全ての従業員に対して定期健康診断とストレスチェックを毎年実施し、それぞれの結果に対して必要に応じて担当部署から改善に向けたフォローを実施している。また、残業する従業員にパンなどの軽食を用意して、作業による疲れや集中力の低下を防止している。同社は、従業員が心身両面で健康的に働ける職場づくりを目指す「健康宣言」を 2023 年に掲げ、健康経営を積極的に推進している。
(2)有給休暇の取得促進および長時間労働の防止
ワークライフバランスの実現に向けて、有給休暇の取得促進と長時間労働の防止に取り組んでいる。有給休暇制度として、通常の年間5日間の有給休暇や慶弔、転勤時の特別休暇に加え、育児休業制度、親族の介護休業制度など充実した休暇制度を定めており、直近5年間(2018 年度
~2022 年度)の平均取得日数は 10.7 日、平均取得率は 53%となっている。また、新たに5日間の有給休暇取得奨励日を定めて従業員に計画的な有給休暇の取得を奨励し、取得しやすい環境づくりを進めている。
長期労働時間の防止に向けては、先端技術・設備の導入により不良率低減と作業時間短縮を図り、作業効率を高めることによって長時間労働を抑制しており、直近5年間(2018 年度~2022年度)の月平均残業時間は 33.8 時間となっている。同社では、各部署の管理職が従業員の休暇取得状況や残業時間を毎月確認して法令を遵守し、必要に応じて業務負担の調整を行うなど、有給休暇の取得促進および長時間労働の防止に努めている。
【地元雇用の重視】
地元の中学生や高校生を対象とする職場体験、インターンシップの受け入れを積極的に実施している。スマートフォンスタンド製作など実際のモノづくり体験を通して製造業の魅力を発信し、地元の大学や高校、専門学校の卒業生を中心とする安定した人材確保を実現している。
【人材育成の取り組み】
中高生インターンシップ
金型製造事業を支える人材育成に向け、「社員の成長=会社の成長」をモットーに外部講師によるセミナーや研修を実施しているほか、部署毎に1~3か月の指導期間を設定して熟練技術者の指導のもとで若手の技術者を育成する OJT 体制を構築している。また、作業手順や機械操作などの作業マニュアルを整備して社内イントラネットで共有化し、経験の浅い従業員が早期にノウハウを取得できる環境を整えている。そのほか、業務に必要な資格を従業員が取得する際の費用を会社が負担する支援制度もあり、従業員のスキルアップを積極的に支援している。
評価面においては、部署毎に業務項目や作業内容、標準作業時間を定めたスキルマップを用いた評価制度を構築している。従業員は、スキルマップに沿って設定した年間目標と実際の作業実績を自ら比較することにより、目標達成の進捗状況を確認することが可能となるほか、上司による透明性のあるxxな評価・フィードバックにもつながっている。
<各種有資格者数> 2023 年4月現在
17 名
13 名
7名
床上操作式クレーン運転技能玉掛け技能
フォークリフト運転技能
【環境負荷の低減】
環境方針
<基本理念>
・社会生活の改善、発展に、環境にやさしい金型造りで貢献する。
<基本方針>
・金型の製造工程を含む業務全般において常に環境の法規制、及び当社が同意する要求事項を遵守する。
・省エネルギー、廃棄物の削減を基本取り組みとして、継続的な改善、及び汚染の防止を組織で働く又は組織のために働くすべての人が実行、維持されるよう文書化し、周知徹底する。
・外部に対しこれを公表する。
同社は、金型製造事業を通じた環境への負荷を低減するため、環境方針を掲げて国際規格「ISO14001」に基づく環境マネジメントを構築している。
(1)工場排水、産業廃棄物の適切管理
工場内で発生する排水や廃プラスチックなどの産業廃棄物については、適切な方法で処分して環境への負荷低減に努めている。工場排水は油水分離装置を使って油と水を分離させ、油を取り除いた水を下水道に排水することによって環境への影響を抑制し、残った含油廃水については、廃プラスチック類や汚泥などとともに産業廃棄物として専門業者に引き渡して処分を委託している。業者に処分委託した産業廃棄物は、産業廃棄物管理票(マニュフェスト)により最終処分されるまで厳格に管理している。
(2)危険物の適切管理
金型製造工程では、切削加工などを行う際に切削油などの第三、第四石油類を使用している。これらの切削油は引火や油漏れの事故が発生した場合に大気や土壌などの環境に悪影響を及ぼす危険性があるため、消防法により所定の貯蔵所を設置して保管することが義務付けられている。同社では、工場敷地内に少量危険物貯蔵取所を設置して、これらの石油類を厳格に貯蔵・管理し、引火や油漏れの事故発生の防止に努めている。
(3)廃棄物削減の取り組み
金型製造事業を通じて発生する廃棄物の削減に努めている。
鋼材、グラファイト、アルミニウム、銅などの切削加工時に出る切粉や端材、図面作成時に使用する紙類を産業廃棄物処理業者に引き渡して再生資源にリサイクルしている。
また、経年使用により切削性能が低下する刃具は定期的に新しい刃具に取り換える必要がある。同社では、切削性能が低下した刃具を廃棄することなく丁寧に再研磨、再コーティングして再利用しているほか、段ボールやビニールなどの梱包材も再利用することによって廃棄物を削減している。
さらに、発注元である部品メーカーに対して、金型外観部品を再利用や改造することで原材料を含むコストを抑える提案(VA/VE 提案)を積極的に行っており、金型製造で用いる原材料の削減による廃棄物の削減を目指している。
(4)再生可能エネルギーの利用
自社の建屋屋上にxxx発電パネルを設置して年間約 24 万 kWh の電力を発電し、全て自社で利用して CO2排出削減に貢献している。
(5)節電、省エネルギーの取り組み
空調設備の稼働を自動調整して使用電力を削減するデマンド制御の導入、本社・工場内の照明を LED 化して1室1スイッチから照明毎のスイッチに切り替え、外灯の夜間帯消灯、社用の乗用車2台をHV に切り替えなど、事業活動を通じて節電、省エネルギーにつながる様々な取り組みを通して環境負荷の低減を図っている。
3.UNEP FI インパクトレーダーとの関連性
本ファイナンスでは、明和製作所の事業を国際標準産業分類における「その他の金属製品製造業」として整理した。その前提のもとで UNEP FI のインパクト分析ツールを用いた結果、「住居」
「雇用」「包摂的で健全な経済」に関するポジティブ・インパクト、「雇用」「水(質)」「大気」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」に関するネガティブ・インパクトが分析された。
一方、事業活動等を踏まえ、本ファイナンスで特定された明和製作所のインパクトは以下の通りである。
※色の濃い項目が明和製作所のインパクト領域
3-1.経済面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
(ポジティブ) 包摂的で健全な経済 | 射出成形金型製造による自動車産業への貢献 | ・金型の設計から各加工、検査、組付まで一貫した対応による高精度の射出成形金型の製造を通して、創業以来、自動車産業の発展に貢献している。 |
ダイバーシティ経営の推進 | ・育児休業制度や短時間勤務制度など、女性が仕事と家庭の両立を図りやすくするための環境を整備している。 ・60 歳定年後の継続雇用において、本社または残業のない子会社のいずれかへの選択とし、熟練技術者として本人の希望に沿った働き方を可能としている。 ・外国籍従業員を積極的に雇用し、仕事と生活の両面で手厚いサポートを行っている。 | |
地元雇用の重視 | ・地元の中学生や高校生を対象とする職場体験、インターンシップを積極的に受け入れ、モノづくり体験を通して製造業の魅力を発信し、地元の大学や高校、専門学校の卒業生を中 心とする安定した人材確保を実現している。 |
3-2.社会面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
(ポジティブ)教育 雇用 | 人材育成の取り組み | ・部署毎に1~3か月の指導期間を設定して熟練技術者の指導のもとで若手の技術者を育成する OJT 体制を構築している。 ・作業手順や機械操作などの作業マニュアルを整備して社内イントラネットで共有化し、経験の浅い従業員が早期にノウハウ取得できる環境を整えている。 ・業務に必要な資格を従業員が取得する際の費用を会社が負担して、従業員のスキルアップを積極的に支援している。 ・部署毎に業務項目や作業内容、標準作業時間を定めたスキルマップを用いた評価制度を構築して、透明性のある公平な評価を行って いる。 |
雇用 | ダイバーシティ経営の推進 地元雇用の重視 | ・「包摂的で健全な経済」を参照 ・「包摂的で健全な経済」を参照 |
移動手段 | 品質向上への取り組み | ・常に製造技術の高度化を図り、金型製品の品質向上の取り組みを通して、人々の移動手段としての利便性向上につながる自動車の機能 性向上に貢献している。 |
(ネガティブ)保健・衛生 | 労働安全衛生の取り組み | ・安全衛生委員会、5S 活動を通じて、快適で安全な職場環境の実現を図っている。 ・毎年、異なる内容の防災訓練を実施し、災害発生時に冷静に対処する備えを行っている。 |
健康経営の取り組み | ・定期健康診断とストレスチェックを毎年実施し、担当部署から改善に向けたフォローを実施している。 ・残業する従業員にパンなどの軽食を用意して、作業による疲れや集中力の低下を防止し ている。 | |
保健・衛生雇用 | 有給休暇の取得促進および長時間労働の防止 | ・各部署の管理職が従業員の休暇取得状況、残業時間を毎月確認して法令を遵守し、必要に応じて業務負担の調整を行うなど、有給休暇の取得促進および長時間労働の防止に努 めている。 |
3-3.環境面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
(ネガティブ)水(質) | 工場排水の適切管理 | ・工場内で発生する排水を油と水に分離させて、水を下水道に排水、含油廃水を産業廃棄物として処分している。 |
大気土壌 | 危険物の適切管理 | ・引火や油漏れの事故が発生した場合に大気や土壌などの環境に悪影響を及ぼす危険性がある燃料を厳格に貯蔵・管理し、事故発生 の防止に努めている。 |
資源効率・安全性廃棄物 | 廃棄物削減の取り組み | ・切削性能が低下した刃具を再研磨して再利用しているほか、段ボールやビニールなどの梱包材も再利用することによって廃棄物を削減している。 ・発注元である部品メーカーに対して、金型外 |
観部品を再利用や改造することで原材料を含むコストを抑える VA/VE 提案を積極的に行い、原材料の削減による廃棄物の削減を目指 している。 | ||
気候 | 再生可能エネルギーの利用 | ・自社の建屋屋上に太陽光発電パネルを設置して、発電される電力を全て自社で利用し、 CO2排出削減に貢献している。 |
節電、省エネルギーの取り組み | ・事業活動を通じて節電、省エネルギーにつながる様々な取り組みを通して環境負荷の低減 を図っている。 | |
廃棄物 | 産業廃棄物の適切管理 | ・廃プラスチック類、汚泥、含油廃水などの産業廃棄物を専門業者に引き渡して処分し、産業廃棄物管理票(マニュフェスト)により最終処分 されるまで厳格に管理している。 |
4.測定するKPI とSDGs との関連性
明和製作所は本ファイナンス期間において以下の通り KPI を設定する。
4-1.経済面・社会面(ポジティブ)
特定インパクト | 包摂的で健全な経済 雇用 | |
取組、施策等 | 【地元雇用の重視】 ・地元の中学生や高校生を対象とする職場体験、インターンシップを積極的に受け入れ、モノづくり体験を通して製造業の魅力を発信し、地元の大学や高校、専門学校の卒業生を中心とする安定した人材確保を実現している。 | |
借入期間における KPI | ・地元の大学や高校、専門学校の新卒者を毎年2人以上採用する。 (2023 年度 1人採用) | |
関連するSDGs | 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、 ならびに同一労働同一賃金を達成する。 |
4-2.経済面(ポジティブ)
特定インパクト | 包摂的で健全な経済 | |
取組、施策等 | 【射出成形金型製造による自動車産業への貢献】 ・金型の設計から各加工、検査、組付まで一貫した対応による高精度の射出成形金型の製造を通して、創業以来、自動車産業の発展に貢献している。 | |
借入期間における KPI | ・EV 関連製品の売り上げ構成比を 20%以上に引き上げる。 (2022 年度 6.7%) | |
関連するSDGs | 8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。 9.4 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた 取組を行う。 |
4-3.社会面(ポジティブ)
特定インパクト | 教育 雇用 | |
取組、施策等 | 【人材育成の取り組み】 ・業務に必要な資格を従業員が取得する際の費用を会社が負担して、従業員のスキルアップを積極的に支援している。 | |
借入期間における KPI | ・床上操作式クレーン運転技能、玉掛け技能、フォークリフト運転技能の資格をそれぞれ1名以上新たに取得する。 (2023 年4月現在) 床上操作式クレーン運転技能 17 名 玉掛け技能 13 名 フォークリフト運転技能7名 | |
関連するSDGs | 4.4 2030 年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成 人の割合を大幅に増加させる。 |
特定インパクト | 移動手段 | |
取組、施策等 | 【品質向上への取り組み】 ・常に製造技術の高度化を図り、金型製品の品質向上の取り組みを通して、人々の移動手段としての利便性向上につながる自動車の機能性向上に貢献している。 | |
借入期間における KPI | ・一つの製品に対して顧客のメリットや満足度につながる提案を2件以上行う。 (2023 年度より新たに社内目標として設定する) | |
関連するSDGs | 8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。 9.4 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた 取組を行う。 |
4-4.社会面(ネガティブ)
特定インパクト | 保健・衛生 | |
取組、施策等 | 【労働安全衛生の取り組み】 ・安全衛生委員会、5S 活動を通じて、快適で安全な職場環境の実現を図っている。 ・毎年、異なる内容の防災訓練を実施し、災害発生時に冷静 に対処する備えを行っている。 | |
借入期間における KPI | ・1日以上の休業を要する労働災害の発生件数を0件とする。 (2018 年度~2022 年度 年平均発生 0.2 件) | |
関連するSDGs | 3.4 2030 年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて 3 分の 1 減少させ、精神保健及び福祉を促進する。 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労 働環境を促進する。 |
特定インパクト | 保健・衛生 雇用 | |
取組、施策等 | 【有給休暇の取得促進および長時間労働の防止】 ・各部署の管理職が従業員の休暇取得状況、残業時間を毎月確認して法令を遵守し、必要に応じて業務負担の調整を行うなど、有給休暇の取得促進および長時間労働の防止に努めている。 | |
借入期間における KPI | ・年次有給休暇の取得率を 60%まで引き上げる。 (2018 年度~2022 年度 平均取得率 53%) ・月平均所定外労働時間を 32 時間以内に削減する。 (2018 年度~2022 年度 月平均 33.8 時間) | |
関連するSDGs | 3.4 2030 年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて 3 分の 1 減少させ、精神保健及び福祉を促進する。 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労 働環境を促進する。 |
4-5.環境面(ネガティブ)
特定インパクト | 資源効率・安全性 廃棄物 | |
取組、施策等 | 【廃棄物削減の取り組み】 ・発注元である部品メーカーに対して、金型外観部品を再利用や改造することで原材料を含むコストを抑える VA/VE提案を積極的に行い、原材料の削減による廃棄物の削減を目指している。 | |
借入期間における KPI | ・原材料の廃棄削減につながる金型外観部品を再利用・改造する顧客提案の採用数を毎年 10 件以上とする。 (2022 年度 採用9件) | |
関連するSDGs | 12.2 2030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な使用を達成する。 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発 生を大幅に削減する。 |
特定インパクト | 気候 | |
取組、施策等 | 【節電、省エネルギーの取り組み】 ・事業活動を通じて節電、省エネルギーにつながる様々な取り組みを通して環境負荷の低減を図っている。 | |
借入期間における KPI | ・省エネ対応の加工設備への更新を5台以上行う。 (2018 年度~2022 年度 合計5台更新) | |
関連するSDGs | 7.3 2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。 |
4-6.その他 KPI を設定しないインパクトと SDGs との関連性
事業活動 | 関連するSDGs のターゲット | SDGs の ゴール |
<経済面・社会面> ダイバーシティ経営の推進 | 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。 | |
<社会面> 健康経営の取り組み | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 | |
<環境面> 工場排水の適切管理 | 6.3 2030 年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。 | |
危険物の適切管理 | 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄 物の大気、水、土壌への放出を大幅に削 |
減する。 | ||
再生可能エネルギーの利用 | 7.2 2030 年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。 | |
産業廃棄物の適切管理 | 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物 の発生を大幅に削減する。 |
5.サスティナビリティ管理体制
明和製作所では、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組むにあたり、大矢知公則社長を最高責任者、小林浩明管理部人事総務課長を管理責任者とし、各部署が日々の業務やその他活動を棚卸し、自社の事業活動とインパクトレーダー、SDGs の 17 のゴール・169 のターゲットとの関連性について検討を行った。
本ポジティブ・インパクト・ファイナンスの実行後、返済期限までの間において、大矢知公則社長を中心に KPI の達成状況を定期的に確認・協議を行うなど、推進体制を構築し、各部署に
おいて実行していく。
最高責任者 | 代表取締役社長 大矢知 公則 |
管理責任者 | 管理部 人事総務課長 小林 浩明 |
担当部 | 管理部 人事総務課 |
6.モニタリング
本件で設定した KPI の進捗状況は、明和製作所と三十三銀行の担当者が年に1回以上の会合を設けることで確認する。モニタリングの結果、当初想定と異なる点があった場合には、三
十三銀行は、明和製作所に対して適切な助言・サポートを行い、KPIの達成を支援する。
7.総合評価
本件はUNEP FI の「ポジティブ・インパクト金融原則」に準拠した融資である。明和製作所は、上記評価の結果、本件融資期間を通じてポジティブな成果の発現とネガティブな影響の低減に
努めることを確認した。また、三十三銀行は年に1回以上その成果を確認する。
本評価書に関する重要な説明
1.本評価書は、三十三総研が、三十三銀行から委託を受けて作成したもので、三十三総研が三十三銀行に対して提出するものです。
2.三十三総研は、依頼者である三十三銀行及び三十三銀行がポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する明和製作所から供与された情報と、三十三総研が独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。
3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した
「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合させるとともに、ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に整合させながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所から、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに関する第三者意見書の提供を受けています。
〈本件問合せ先〉
株式会社三十三総研
調査部 主任研究員 中田 丈仁
〒510-0087
三重県四日市市西新地 10 番 16 号第二富士ビル4階
TEL:059-354-7102 FAX:059-351-7066
第三者意見書
2024 年 3 月 29 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: 株式会社明和製作所に対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社三十三銀行 |
評価者:株式会社三十三総研 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、三十三銀行が株式会社明和製作所(「明和製作所」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、株式会社三十三総研による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定したPIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシア ティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、イ ンパクト分析ツールを開発した。三十三銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際 し、三十三総研と共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国 内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分 析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、 中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、三十三銀行及び三十三総研 にそれを提示している。なお、三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義 を、PIF 原則等で参照している IFC(国際金融公社)の定義に加え、中小企業基本法の定義 する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業としている。
JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえでPIF 原則との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的とし
た中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1 定義
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
三十三銀行及び三十三総研は、本ファイナンスを通じ、明和製作所の持ちうるインパクトを、UNEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析を行った。
この結果、明和製作所がポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2 フレームワーク
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、三十三銀行がPIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(出所:三十三銀行提供資料)
(2) 実施プロセスについて、三十三銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、三十三銀行からの委託を受けて、三十三総研が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めたPIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全て三十三総研が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、三十三総研が、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及びESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして
定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人である明和製作所から貸付人である三十三銀行及び評価者である三十三総研に対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評
価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
(第三者意見責任者) 株式会社日本格付研究所
サステナブル・ファイナンス評価部長
梶原 敦子
担当主任アナリスト
川越 広志
担当アナリスト
菊池 理恵子
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・公平な立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候債イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026