a)工事における労務報酬下限額について

平成 26 年度 第３回 多摩市公契約審議会 会議録

１ 開催日時及び会場

平成２６年８月７日（木） 午後２時から 多摩市役所第二委員会室

２ 出席者（５名）

出 席 者 xx会長、xx副会長、xx委員、xx委員、xx委員

（欠席：なし）事 務 局 xx総務契約課長、xx契約係長、xxxx、xxx

３ 議題

会 長 審議事項に入る前に前回第 2 回公契約審議会までの検討状況の資料が、事務局から提示されているので、その点について説明をお願いしたい。

・平成２６年度第２回公契約審議会までの検討状況

内容説明 ＊xx総務契約課長が説明を行った。概要は以下の通り

・ 前回審議会で大きく 5 点について確認がされたと理解している。それを整理したものである。

・ 1 点目の「工事における熟練労働者の労務報酬下限額」については、現状どお

り、公共工事設計労務単価（前年度の 10 月 1 日現在）の 90％とすることの方向性が確認されたため、本日最終的な確認をさせていただきたい。

・ 2 点目の「工事における熟練労働者以外の労務報酬下限額」については、委託・指定管理の労務報酬下限額とは切り離して考えるものとし、平成２７年度より新たな考え方に基づき運用する方向性というところである。本日の審議会でその方向性について審議をお願いしたいところである。

・ 3 点目の「工事における従事業種ごとの全労働者の毎月の労働時間の熟練労働者の労働時間の割合」については、現状どおり、全労働者の従事業種ごとの 80％以上とする方向性が確認されたため、本日最終的な確認をさせていただきたい。

・ 4 点目の「業務委託・指定管理協定の労務報酬下限額」については、当面 903円とするが、業務の安全性や質の確保において必要な職種については、別の設定を検討していくということであった。これについては、今後も継続審議していくことになると思っている。

・ 5 点目の「委託・指定管理における 60 歳以上の高齢者の取り扱い」については、基本的には現状のとおりとするが、ある分野や業種では撤廃等も考えていくということであった。これについても、継続審議していくことになると思っている。これについては、見直す場合は条例改正が必要となる。

・ 以上が、前回までの審議内容の確認である。本日は、2 点目の「工事における熟練労働者以外の労務報酬下限額」をどうしていくかが審議の大きなポイントとなってくると考えている。

会 長 それでは、以上の説明を基に、本日の審議事項の議論に進みたいと思う。

（１）審議事項

①労務報酬下限額の考え方について

(a)工事における労務報酬下限額について

・平成 27 年度の熟練労働者の労務報酬下限額

会 長 このことについては、事務局から説明があったとおり、前回の議論では、現状どおり、前年度の 10 月 1 日現在の公共工事設計労務単価の 90％とすることで良いのではないかと話が整理されていたと思うが、それについてご意見をお願いしたい。

委 員 熟練労働者の労務報酬下限額については、その方向で良いと思う。

会 長 他にご意見無いようなので、これについては、現状どおり、公共工事設計労務単価の 90％とすることとしたい。

・平成 27 年度の熟練労働者以外の労務報酬下限額

会 長 前回、xx委員から資料が提示された中で、議論がされた所では、引き上げる方向で良いと思うが、どのようにするかは整理しきれなかったところがあるので、前回の議論を含めてご意見あればお願いしたい。

委 員 設定となると労使での合意点という所になるので、何をもって基準とするのかは、xx難しいと思う。考え方とすれば、従来の生活保護基準に設計労務単価の引き上げ率を乗ずるのが考えやすいところはあるだろうが、建設分野と生活保護基準を切り離すことを前提に考えると、何をもって基準とするのかが難しい。27 年度の単価については、多摩市の臨時職員の軽作業員の時間単価 1,010 円として、それに上昇率を可算していくという方法もあると思うが、その考え方で良いのかどうか。

委 員 前回、多摩市で事業者や労働者とすり合わせをしたうえで額を出してほしいという話もさせていただいたと思う。多摩市の臨時職員の軽作業員の時間単価まで、いきなりあげた時に、その金額の賃金が出せるのか。市からその分の事業費が負担されるのであればよいが、事業者だけが賃金の負担を被るとなると、経営上も業務遂行上も厳しいのではないか。良質の労働力があれば一番良いが、単価をあげても良質の労働力ばかりになるとは限らないと思う。経費が上がるということを行政が理解してくれればよいが、労務報酬下限額が上がる分の経費を見ないで、今までの事業費のままなのであると、ほかの経費を削るということを事業者側でしなければならなくなる。労務報酬下限額を上げる必要はあるのかもしれないが、もう少し協議をした方が良いのではないかと思う。903 円

が低いとは思わない。あくまでも下限の設定であり、労働力、仕事の増減によって賃金単価が上下しても、これよりは下がらないというものなので、生活保護基準や最低賃金より低いということであれば改定する必要はあるだろうが、あまり下限額を変えてしまうのはどうだろうか。

委 員 熟練労働者以外の労務報酬下限額について、委託・指定管理の労務報酬 下限額と切り離して考える方向で行くのは良いが、額については 903 円のままで置いておくというのは良いと思う。今言われたように、下回 らなければよい。903 円自体特別に低い額でもない。今まで支払ってい る委託・指定管理の賃金の状況を見ても、それ以上の額を支払っている 所が多い状況であった。熟練労働者以外の労務報酬下限額が 903 円と決 まっていたとしても、それしか払わないということにはならないと思う。事業者も利益との兼ね合いで、労働者へ多く払えるのであれば、払って いきたいという考えにあると思う。たたき台にするものが、多摩市の臨 時職員とした場合、いくつも下限額を設定してしまうと管理も難しくな り、事業主にとっても負担も増えることにもなる。現行の 903 円でもう 少し様子を見て、社会状況を見ながら考えていくのでいかがだろうか。

会 長 今のお二人の意見についてだが、例えば労務報酬下限額を上げた場合、

その部分の経費を、市が予算にきちんと反映させるのであれば、見直しをすることは良いということなのか。

委 員 熟練労働者以外の労働者部分の発注金額や設計金額が上がっていくとか、今後発注されるものについて、そのような方向性で予算組みをしていくとか、そのようなことが目に見えてされるというのであればよいと思う。現状はどのようになっているのか、事務局に確認をしたい。

事務局 設計にあたっては、公共工事設計労務単価を基に積算しているため、熟練労働者が従事することがベースとなっている。そのようなことから、予算増をしなければならないということはないと考えている。

会 長 xx市では、見習い労働者については、公共工事設計労務単価の軽作業員で扱っているようである。実際には、軽作業員の設計労務単価が高くなっており、若い人が入ってくるのが難しくなるという問題が出てきている。軽作業員で処理してしまうと見習いが高くなるので、若い人を排除することにもなりかねないため、多摩市では熟練労働者以外の設定をしたところがある。多摩市の場合、見習いの部分を軽作業員の設計労務単価で設定するのに適しているのかを確認したい。

事務局 予定価格の積算にあたっては、公共工事設計労務単価を基に積算しているため、熟練労働者が従事することがベースとなっている。そのようなことから、予算増をしなければならないということにはならないと考えている。

委 員 見習いの賃金単価はなく積算されているという事だが、一つの現場が熟練工すべてで占められるということはないと思うので、どのような考え方に基づいて積算しているのか。

会 長 作業項目と面積を熟練工換算でどれだけ必要かとやるしかない。

委 員 その発注金額に対して、見習いをどれくらい入れるかということは業者のさじ加減という所か。

会 長 前回、xx委員から提示された資料に示された案で、どれが考え方として望ましいのか考えてみたところである。熟練者以外の労務報酬下限額に公共工事設計労務単価の引き上げ率をかけるという案については、設計労務単価は熟練労働者であることを前提に考えられているため、その上昇率を、入職後早期に半数ぐらい離職してしまう見習いの方々に適用はできないだろう。公共工事設計労務単価の軽作業員を適用する案についてだが、軽作業員に見習いの方も相当数入っているようだが、建前としても軽作業員も熟練労働者であることが前提なので、すぐには使えないだろう。公共工事設計労務単価の軽作業員に 70％をかけるという案も、70％が単価を調整するための率で根拠があまりない。多摩市臨時職員賃金の軽作業員の単価が 1,010 円となっているが、xxxであれば人事委員会のような組織がある所は民間の賃金の実勢調査を行って最低の額を設定している。おそらく、xxxあたりの実勢調査を反映されたものとして出てきているものと思われるが、実際の所はどうなのか。

事務局 市の人事課に確認をしたところ、過去の市の組合との事務折衝の結果、

上昇率をかけるなどして現在の単価となっているようである。元々の単価設定が何をもってされているのかについては、確認が難しいという話であった。

会 長 事務局の方で、多摩の地域で、建設の見習いの方々の募集の時の賃金が最低どれくらいなのかなどについて、市の方で調査などはされているのか。

事務局 調査等は行ってはいないが、本日の審議に合わせて、建設業の募集の情報などを調べた中では、足場仮設や型枠工などの未経験者やアルバイトの日給で、低いものでは 7,000 円、高いものでは 12,000 円、大体多い

ところで 8,000 円から 10,000 円という所のようで、時間単価 1,000 円くらいが募集されている実勢単価のようなのではないかという所は確認している。

会 長 事務局として、据え置きにした方が良いとか、ある程度これくらいの単 価に上げた方が良いとか、行政内部ではどのように考えておられるのか。

事務局 xx委員から示された資料で、熟練労働者の単価は上がっているが、熟練労働者以外は据え置きのままで、熟練とそれ以外の方々で格差が拡大しているというご提案がされたということで理解しており、このままで良いのかという思いはある。委員の皆様が難しいと思われているのと同じで、事務局も何を根拠にいくらに設定したらよいのか悩んでいる。ただ、このまま 903 円で良いのかという所では疑問を持っており、建設業では若年労働者も含め、労働者自体が少なくなっているという所で、公共工事設計労務単価が上昇しているということを考えれば、熟練労働者

以外については委託・指定管理と切り離して別の設定とすることについ ては理にかなっていると思っている。多摩市における建設業の募集状況 を見た中では、時給で 1,000 円前後が実勢賃金なのかとも思っている。そのあたりを目安に、労務報酬下限額を設定していくのはあってもよい と考えている。これが良いというのは事務局でも難しいという所である。市の臨時職員の軽作業員を適用した場合、定期的に上がるわけでもない ので、それを横引きしていくのは難しい面もあると思っている。公共工 事設計労務単価の軽作業員の 70％という設定については、70％の根拠 はあまりないが、ある程度適当な額ではあると考えている。工事の熟練 労働者以外の労務報酬下限額については、委託・指定管理と切り離して 考えると言いながらも、903 円を平成 24 年度からベースにスタートし ているので、上昇率をかけていくというのも考えとしては成り立つので はないかとも思っている。

委 員 建設関係については、公共工事設計労務単価の 90％以上を熟練労働者

の労務報酬下限額としているが、公共工事設計労務単価がここ数年、上がっている。熟練労働者以外の労務報酬下限額 903 円は、あくまでも下限額であって、それ以上の額が払われているという現状であれば、そのままでも良いのではないか。討議する問題なのだろうか。

委 員 熟練労働者とそれ以外の労働者で労務報酬下限額の乖離が生じている。xxとなる一番重要な問題として、人材不足、若手の定着がある。当初、公契約審議会の前段の審査委員会でもお伝えしていたと思うが、３K で賃金も他産業から比べても低く、若手の入職者が少ないということであれば、引き上げをしておく必要があるのではないかという発想を基に資料を出させていただいた。建設産業は従前から若手は 8,000 円が一般的

ということが言われている中では、時間単価 1,000 円以上は妥当なラインではないかということで、案を出させていただいた所である。人材を確保していく、育てていくという視点で、引き上げは重要ではないかということでお示しさせていただいた所である。

委 員 その意見に同感で、公共工事設計労務単価が大幅に上がった背景には、建築・土木業で働く労働者の人材不足に対し、震災をきっかけに政府が重く受け止めてそういう対応を取ったのが明らかである。建築労働者がこの賃金では生活できないということで、建築業界を離れていった熟練労働者が、設計労務単価が大幅に上がったからといって、建設業にすぐ戻ってくるかとそうではないと思う。これから、建築・土木労働者を増やしていくためには、基本的にこの職で一生生活していけるということを若い方々に理解してもらうための意味もあると思う。全体的に公共工事設計労務単価が上がったのは良いが、もう一つ重要な点として、入職時の単価も上がっていないと若い方々が入ってこないことにもなる。企業では、市場原理で初任給を上げないと新卒者を採用できないので、社内の賃金制度設計を度外視して、入社している方よりも賃金の上昇率が

高くするような対応もされている。建築・土木業界では、人を確保しなければならないという政治的意思が働いているので、熟練労働者以外の労務報酬下限額が 903 円のままというのは、今回の国の対応と異なったものだと思う。事業者にとっては、それでどれくらい人件費負担が増え、それに見合った受注額を市が設定してくれるのかというのが一番の関心事だと思う。先ほどの設計の仕方を聞くと、基本的には公共工事設計労務単価に基づいており、積算には公共工事設計労務単価の上昇した額が反映されているので、危惧する必要はないのではないと思う。それらを考えると、制度設計の整合上は、熟練労働者以外の労務報酬下限額が上がったのであれば、熟練労働者以外の部分も上げていかなければいけないだろうと思う。

会 長 公共工事設計労務単価の仕組みから行くと、熟練換算で何人工必要かと

する訳なので、それぞれの工種で 10 数パーセント上がっているという状況にあって、上がった分を熟練労働者以外に反映させなくてよいのかという所がある。市として総予算が上がっている部分は、熟練労働者以外にも少しは反映させなければならないという考えにあるのか。

事務局 国が、労働者への適正な賃金への反映を目的に行った公共工事設計労務単価に係る特例措置等に対して、多摩市でも実施し、契約を増額変更した。増額変更した額が労働者へ反映されていることを考えれば、熟練労働者以外の方々についても賃金は上がっていると思う。市の建築等の予算積算でも、その工事が何人工でできるのかということで公共工事設計労務単価をもって積算しており、熟練の方が何割という考え方をしていないという状況である。

委 員 先日報道のあった最低賃金については、３％も上がっていない。公共工事設計労務単価の上昇率を熟練労働者以外の労務報酬下限額に反映させると、相当上がってしまう。903 円は絶対的な下限として考えている。需要と供給の関係で、本当に人が必要で雇う場合は、必要ならばいくらでも調整して、賃金は上がっていくと思う。最低賃金があってもそれはあくまでもアンダーラインだという考え方なので、903 円というのは、こだわるようだが最後の砦だという考え方でいる。

委 員 熟練労働者以外でも多くの人がいると思うが、熟練労働者以外は 903円でいいかということではなくて、雇用者側が優秀だと判断する人にはそれより高い額を払ってでも来てくださいということになると思う。

委 員 地場経済圏ではない事業者と労働者が来て、それだけの賃金を払わなくても労働者を調達することができるところが、不当廉売的な受注を繰り返すことを防ぐのも公契約条例の大きな目的でもある。903 円でもいいとしてくる事業者も出てきてしまうかもしれない。

会 長 他地域から事業者が参入してくることを防ぎながら、地域の若い方々をどう育てていくのかという視点は必要と思っている。次回結論を出すということを目標に、引き続き検討をお願いしたい。

(b)委託・指定管理の労務報酬下限額について

・平成 27 年度の労務報酬下限額

・平成 28 年度以降の労務報酬下限額

会 長 前回の整理では、当面 903 円とするが、業務の安全性や質の確保において必要な職種については、別の設定を検討すると確認しているが、前回審議会で、市役所の各部署の意向について、事務局に確認してもらいたいという話をしていたと思うが、報告をお願いしたい。

事務局 前回審議会で確認いただきたいとのお話があったため、確認した点についてご報告したい。

・ 前回審議会で公契約条例の課題・改善に係る関係各部署からの意見についてお示しした資料では、労務報酬下限額を複数設定しないと業務の質や安全性の確保が難しいと考えるという回答を得た業務として、公園管理業務、街路樹等の維持管理業務、下水道管渠清掃等業務、高齢者支援に関する業務のケアマネージャーなどが上がっていたため、それらについて所管課担当職員に確認した。

・ 公園管理業務については、工種や現場にも差があるため、市が設定した額で事業者側が運営できるかなどのヒアリングを細かく、事業者へしていかないと単価設定をするのは難しいという話であった。現業職であれば 903 円では厳しいとは思うので、もう少しあげてもよいと考えるが、事業者としては色々な職種があるので、一律いくらと設定したときに社内でバランスがどう取れるのかが課題と考えるとのことであった。

・ 街路樹等の維持管理業務については、903 円の労務報酬下限額が設定されていても、賃金自体は 903 円よりも高い賃金単価で支払っているため、現状では問題がないが、今後、あまり高く設定された場合は、業務には経験だけでなく人数も必要となるため、事業が回らなくなる恐れも出てくるという話であった。なお、時間単価としては、1,000 円以上で設定がされていそうな感触であったとのことである。また、担当職場として賃金実態については、現在は把握していないため、どこまで把握していなければいけないのかといった意見もあった。

・ 下水道管渠清掃等業務については、業務的にも危険な業務であり 903 円で業務を受けるのは難しく、1,500 円程度の設定は必要だろうと思うが、事業者側として熟練労働者だけでなくそれ以外の方もそのような設定がされた場合、事業者運営ができるかどうかが課題として考えられるため、1,350 円くらいは必要であろうと提案したとのことであった。また、この設定は、都の下水道局の労務単価の 1/2 程度であれば無理はないだろうということで提示したとのことである。

・ 高齢者支援に関する業務のケアマネージャーについては、担当部署では 1,100円でも安いのではないか、専門家の視点でいくら位が妥当なのかも確認して

おかないと、専門的業務でも設定が難しいのではないかという話であった。

・ 労務報酬下限額の複数業務設定するにあたっては、市側で必要と認識していたとしても、事業者との意見交換を踏まえて進めなければ、見直しは難しいと感じた所である。

会 長 質問だが、説明のあった業務の入札方法はどのようなものか。

事務局 業務委託については、多摩市では一般競争入札ではなく指名競争入札で行っている。基本的には市内業者を優先して指名している。公園管理業務、街路樹等の維持管理業務などは、造園業者が市内には多くあるため、市外業者が入ってきて入札を行うことは殆どない。外部の業者が入札に参加し、ダンピング受注が横行するといった状況にはなりにくい環境にあると思う。

会 長 業務委託については、外部の業者が入札に入ってくるのはあまりないということなのか。

事務局 業種にもよる。今、ご報告させていただいた業務については、外部の業者が入札には入ってこない。

会 x x内業者でダンピングしてでも仕事を取りたいといった動向はないか。事務局 現状はそのような動向はない。

会 長 多摩市では業務委託でも最低制限価格を設定しているという状況も考えると、他の自治体に比べてダンピング受注をしにくいと考える。市内業者を中心に指名競争入札が行われていて、かつ、最低制限価格を設定しているということを前提にして、ダンピング受注が起こりやすいのかそうでないのかも含めて議論頂けたらと思う。

委 員 予算とかけ離れて、ダンピング受注が起きているという現状はないのか。事務局 最低制限価格を設定しているので、あまりに低く入札価格を設定してし

まうと失格となるため、最低制限価格以上の落札となる。

会 長 原則としては 903 円で据え置きにして、市の意向で今後ダンピング受注の恐れがあったりする分野で、かつ、事業者側も別の労務報酬下限額の設定について納得できるものについては、設定することも検討する。検討については主に担当部署で進めないと無理だと思う。

委 員 指定管理協定の締結をする際の手続きはどのように行うのか。

事務局 市が示す予算の上限額の範囲内で事業者からは事業提案等をしていただき、市で設置する指定管理者の選定委員会において書類やプレゼンテーションにより候補者を審査選定し、議決を経て決定することとなる。

委 員 提案内容にあまり差がない場合は、最終的には価格により判断するのか。事務局 選定委員会ごとに価格も含めた評価項目の設定と配点を行い、評価の合

計点数が高い事業者を候補者とするのがオーソドックスな方法である。会 x xによって違うと思うが、価格点は全体の 1/2 位を占める自治体が多い

ように思う。

事務局 価格点の評価における配分は自治体によっても違い、また、指定管理に

出す業種も色々なものがあるので、何に重点を置くかによって、評価項目や配点が違ってくる。

会 長 総合評価落札方式において、価格点以外の項目の評価点は何点になるのか。

事務局 簡易型で 52 点、特別簡易型で 37 点である。

委 員 総合評価落札方式の配点については、多摩市の公式ホームページで明らかにしていると思うが、指定管理についてもホームページ上に公表されているのか。

事務局 指定管理者を選定する場合は、募集要項を事前に作成し、評価項目や配点なども明らかにした上でホームページ上に公表し、募集する。

委 員 指定管理の配点方式が、価格点が全体の半分くらいを占めていた場合、他の項目で評価点が取れればよいが、仕事を取るために価格を下げてくることに繋がりかねない。

委 員 総合評価落札方式でも、会社の技術力や社会貢献などの項目の評価の割 合が価格の評価よりも大きくならないと、地元業者が地元の自治体の仕 事を受注することが難しくなる。総合評価落札方式は、地元業者の受注 できる可能性が高くなるように、どの自治体も採用しているのだと思う。地元業者がいかに地元に貢献しているかを見るわけで、価格だけで評価 するわけではない。価格の評価が高いと、市の総合防災訓練に参加した り、市と有事の災害協定を結んでいたり、地域に貢献していても、価格 で決まってしまう。市内には、有事の際、人を出して市に協力する体制 を整えている事業者がたくさんある。総合評価落札方式では、価格以外 の評価が高くあるべきであると思う。

事務局 多摩市における 5 千万円以上の工事に対して、総合評価落札方式を採用しており、同時に公契約条例の対象となる。総合評価落札方式の地域貢献度の評価項目では、市内に本店がある場合は 5 点、市内に支店・営業

所がある場合は 3 点、それ以外である場合は 0 点の評価点がつき、災害

協定や地域ボランティアの実績がある場合はそれぞれ 1 点の評価点がつくが、それ以外にも項目があり、価格以外の評価がされる。価格点については、税抜の予定価格に対する入札価格の割合で評価点がつくが、落札率が 100％だと 0 点、90％だと 9 点の点数となるが、本市では最低制限価格を税抜の予定価格の 7/10 から 9/10 に設定しているため、際限なく点数がつくこととはならない。価格点以外の項目を最高で得点した場合は、簡易型で 52 点、特別簡易型で 37 点となるが、価格点については、仮に最低制限価格が 7/10 とした場合は 27 点となるが、それ以上の点が価格点でつくことはないので、割合として価格点の方が低い状況にある。

委 員 委託についても最低制限価格の設定はされるのか。

事務局 工事については 130 万円以上の入札案件に税抜の予定価格の 7/10 から 9/10 の範囲で、最低制限価格を設定しているが、委託については 50 万

円以上の入札案件について、同じ条件で最低制限価格の設定をしている。会 長 話を戻すと、平成 27 年度の委託と指定管理の労務報酬下限額について

は、今のところ多摩市においてはダンピングが起きにくい設定もされているということも考え、903 円に据え置くということで良いか。

― 委員全員了承 ―

会 長 また、平成 27 年度以降の委託と指定管理の労務報酬下限額については、特別な職種ごとに設定するかどうかについては、市の各部署の検討と事業者からの確認が必要で、そのような方向性としたいがよろしいか。

― 委員全員了承 ―

会 x xに、工事における従事業種ごとの労働時間の熟練労働者の割合については、前回審議会において現状どおり 80％以上とすることについてご確認いただいていたので、その点についてはよろしいか。

― 委員全員了承 ―

②適用労働者の範囲について

・平成 27 年度の労務報酬下限額

会 長 それでは次に、委託・指定管理における 60 歳以上の高齢者の取り扱いについての議論に移りたい。これについては、前回も資料を提示していただいたが、業種によって高齢者雇用の確保の面で問題が出るものもあるとの意見もあり、基本的には現状どおりとするが、60 歳以上も適用労働者として問題がない分野や業種がある部分については、撤廃を考えていくというのが、前回審議会の議論であったが、これについて意見があればお願いしたい。

委 員 労働者が働く中で、体力的に問題はなくても、作業の内容によっては制 約がかかってくるものもある。また、60 歳以上になると年金を受給さ れている方もいる。携わっている方では、仕事で長くやってきたことを 続けていくことや、働けることに満足を感じている方も多くいると思う。 60 歳以上を適用とした場合、若年労働者へ雇用がシフトして、高齢者 の働く場が縮小してしまうのであれば、仕事がしたくて携わっている高 齢の方々に対して残念なこととなるので、その点が気がかりである。

委 員 昔と違って 60 歳以上を高齢者と言えるのかということもあると思う。企業や役所の中で定年があるのは、役職の問題があって、役職が空かないと次の人が上にあがって来られないといった背景があるからだと思っている。人事上の都合で設けられた要素が、60 歳定年としている考えに強く影響しているのであれば、公契約条例においてその考え方を適

用するのは、あまりそぐわないと思っている。委託・指定管理において 60 歳以上の高齢者を適用除外としていることについては、合理性に欠くと思うので、この取り扱いは撤廃が原則と考えている。しかし、これまで何年も議論している中で、福祉的雇用の場を圧迫しかねないので、この取り扱い自体、否定はしない。これまでの審議の流れから、60 歳以上を対象とすることに問題があるものについては担当部署にあげてもらうという話が出ているが、担当部署に任せるといっても、作業にはかなり難しさが伴うと考えている。第 2 回審議会の方向性として出ていた、60 歳以上を対象外とする取り扱いを撤廃しても差し支えない業務を洗い出して、60 歳以上も対象とする方が現実的であると思っている。どの業務が 60 歳以上を適用としたらいけないのかではなく、60 歳以上を適用としても大丈夫なのかを探していった方が良いと思う。

会 長 今までの意見からすると、60 歳以上の雇用の場が奪われてしまうのは

困るが、一方で適用労働者としても問題がなく、65 歳くらいまでは仕事を任せられる分野もあるのだとすると、可能な業務を探していくしかないのではないかと思う。また、きちんと働ける人にはきちんと支払い、業務を支えてもらうということも必要である。しかし、60 歳以上を適用労働者とする分野の選定を次回までに行うのは難しいと思うので、平成 27 年度は現状のままとし、平成 28 年度以降に対象とする分野について継続審議とするということでいかがか。

委 員 前回のアンケートの結果で、60 歳以上を適用労働者とした場合、4 割が問題ない、2 割に支障があるという意見があったとのことなので、4 割の部分について意見を出してもらった後に、2 割の部分を検討していった方が、段階的に議論が進みやすくなると思う。

事務局 アンケートの結果は所管としている部署の意見で、それについては出せると思うが、事業者にとって問題がないのかについての検証は必要と考える。

会 長 場合によっては、高齢者で安価を前提に予算を計上している事業については、予算の見直しの作業が必要となる可能性があるのか。

事務局 委託・指定管理については予算への反映において、色々考えなければならない。事業者への見積を基に予算額を決めている場合もあるので、60歳以上を適用とした場合、その分の予算の増額が必要となる。当面 903

円ということであるが、ある分野は 1,000 円となると、予算上の措置を考えていかなければならなくなるので、審議会でそのような答申を頂いた場合は、予算にも影響してくるため、市の内部での検討が必要となる。

会 長 色々時間はかかると思うが、今申し上げた通り、来年度は現状どおり、それ以降、除外とできるものがあるかどうかについては、所管部署と相談しながら、事業者の意向も確認しながら、検討を進めていきたい。

委 員 確認だが、必要な職種について別の設定を検討するということとなったが、いつ頃までを目途に検討をお願いするというのは、審議会から示す

ことはできないか。

会 長 可能な限り結論が出れば早くということだと思う。期限を決めるという性質のものではないのではないか。

委 員 必要な職種について別の設定をすることについては、ある程度スピードが求められるものだと思っている。受注した金額の中で利益を上げていくために、本来はこのくらいのスキルの方々を使うべきところを抑え、企業の利益を上げるということも考えられなくはない。市民の安全や健康や命を守るような分野でそのようなことがされると、市民の享受できる行政サービスが毀損されてしまう。行政サービスの質の確保の点からも、全ての業務に 903 円をそろえてしまうということの無いように、早急に職種ごとの基準を入れることが望ましいと思っている。担当部局でもスピード感を持って対応していただきたい。

会 x xx点については、答申において工夫していきたいと思う。

委 員 業務委託の予定価格は職種ごとに異なってくるのだと思うが、どのように積算されているのかお聞きしたい。

事務局 実際の所、公園管理などの案件のように、都が示している積算単価を基に所管部署で予定価格を積算しているものもあるが、大方の業務については、業者へ仕様書を示し、それを基に事業者から出された見積を参考にし、予算要求していくといったやり方が多い。継続的な委託業務については、前年度契約額を参考にする場合もある。

委 員 安全性や命を守るといった所からいえば、業務に対してどれくらいの有資格者が必要なのか、それ以外に補助する方がどれくらい必要なのかが明確になってくるので、そのあたりから考えていくと、必要な業務が見えてくるので、検討のスピードが上がるのではないか。

会 x xxあたりは、答申においてどのように文面を入れるか考えていきたい。

③平成２７年度の公契約条例運用に向けた基本的な考え方（案）について

会 長 事務局に確認だが、資料で示されたこの考え方は、次回まとめる方針のたたき台として考えてよいか。

事務局 基本的にはこれまで検討頂いた内容を基にまとめており、これらの内容についてご確認いただけた後、次回審議会で答申その１を頂くこととなる。工事の熟練労働者以外の労務報酬下限額については、議論頂いているところであるが、次回審議会までに方向性を決定頂きたいという所である。

会 長 審議会で議論し、答申しなければならない所が今年度 2 点あり、来年度予算に直結する部分について 10 月までにまとめるということと、制度

の中で委託・指定管理における 60 歳以上の取り扱いと業務委託において特別な職種について別途労務報酬下限額を設定していくのかということがある。市の内部でも検討頂かなければならない事項があるので、市に資料を提示いただくことなど要望を出すのか、今後の議論の進捗に

も影響するため、事務局とも相談しながら進めていきたいと考えている。次回答申には、工事の熟練労働者以外の労務報酬下限額についての整理 が必要となるため、よろしくお願いしたい。特になければ、本日の審議 会については以上としたい。