1. 基本情報 (1)案件名 2州における農業協同組合の有機農産物販売強化を通じた貧困削減事業 フェーズI (2)贈与契約締結日及び事業期間 ・贈与契約締結日:2016年3月4日・事業期間:2016年3月10日~2017年3月9日 (3)供与限度額及び実績(返還額) ・供与限度額: 338,963.00 US ドル・総支出:334,499.75 US ドル(返還額:4,463.25 US ドル、利息 758.28 US ドル) (4)団体名・連絡先、事業担当者名 事業申請書記載から変更なし...
(様式4)
日本NGO連携無償資金協力 完了報告書
1. 基本情報 | |
(1)案件名 | 2州における農業協同組合の有機農産物販売強化を通じた貧困削減事 業 フェーズI |
(2)贈与契約締結日及び事業期間 | ・贈与契約締結日:2016年3月4日 ・事業期間:2016年3月10日~2017年3月9日 |
(3)供与限度額 及び実績(返還額) | ・供与限度額: 338,963.00 US ドル ・総支出:334,499.75 US ドル(返還額:4,463.25 US ドル、利息 758.28 US ドル) |
(4)団体名・連絡先、事 業担当者名 | 事業申請書記載から変更なし |
(5)事業変更の有無 | 事業変更承認の有無:有 申請日:2017 年 3 月 9 日 承認日:2017 年 4 月 25 日 内容:現地事業管理費のうち「現地移動費」の増加と「事務用品購入費等」の減額 |
2.事業の概要と成果 | |
(1)上位目標の達成度 | プレアビヒア州農協連合(「プレイヴィヒア州有機米生産者組合連合」から改名)は 2016 年のシーズンに有機米共同販売に関わる農協数を 8から 19 に増やし(うち 4 が当事業対象)、生産者 2,033 名から 8,773トン(前年の 2.7 倍)の籾米販売を実施した。 またスバイリエン州農産物組合は建設された出荷センターに業務を全て移行し、幣団体のスバイリエン州事務所閉鎖後も活動を継続し、2016年の共同販売による収入は$131,408 で前年度比 32%増だった。一方純益は$7,460 だった。 これらのことから共同販売事業の持続性は向上していると言える。 |
(2)事業内容 | 1. プレアビヒア州の有機米生産者組合連合(農協連合)に新たに 4 つの農 業協同組合を加える。 1.1. 事業開始時に召集する時間がなかったため、次期事業の計画形成時に関係者を召集し、事業のオリエンテーションを行い、コンバイン購入について話し合った。(参加者:農協連合理事 8 名、農協連合職員 1 名、NGO 関係者、州農業局職員) 1.2. 有機米共同販売に関するオリエンテーションを 4 農協にてそれぞれ行った。(参加者:組合員計 285 名、農協連合職員 1 名、AMRU スタッフ 1 名、COrAA1 名、州農業局職員1 名)その後登録希望者は 376名に増加した。4 農協とも農協連合への加入を決めた。最終的に 4農協で合計 315 名の農家が 477.9 ヘクタールの農地から 687.2 トンの有機米を供給するという契約(通常の買い取り価格 800 リエル/キロにつき上乗せされるプレミア分は最高で 230 リエル/キロ)を AMRU 社と結んだ。 1.3. 新規 4 農協に有機基準に関する研修を 13 回に分けて実施。(参加者:組合員計 306 名) 1.4. 新規 4 農協に有機認定のための ICS(内部管理システム)研修を行った。(参加者:組合員 26 名) 研修参加者のうち 21 名が内部検査員になることに合意した。内部検査員を選出できなかったグループは有機米生産者リストから抜けることになった。 1.5. 新規 4 農協の国際有機認証機関エコサートの認証取得を資金面、人材面で支援した。 1.6. 新規 4 農協の米の収穫後工程改善のための技術研修を行った。 (219 名参加) 1.7. 新規 4 農協の組合員を既存の農協に視察に招いた。(新規 4 農協リーダー23 名参加) 1.8. 新規 4 農協の米の栽培状況、収穫後工程の管理をフォローアップした。(対象:有機米共同販売登録者 239 名) 1.9. 新規 4 農協リーダーに対して共同出荷の収支計算、及び実際の出荷の手順を指導した。 2. プレアビヒア州の農協と農協連合のマネージメントの能力強化を行う。 2.1. 農協リーダーに対する組合の基礎概念及び運営マネージメントの研修を外部講師を招いて実施。(6 つの農協から 31 名参加) 2.2. 農協連合にQuickBooks 導入を勧め、同意を取り付けた。 2.3. 会計士、ビジネスコンサルタントを交えて農協連合の職員と収支報告を作成。農協連合の理事を招き予算作成を行った。(農協連合職員 2 名、理事 7 名参加) 2.4. オーガニック業界リーダー育成研修のトレーナー育成研修として外部講師を迎え有機農産物のマーケティング研修(2 日)を実施。(農業ビジネス関係者 19 名参加) 2.5. オーガニック業界リーダー育成研修として農協、組合リーダーを対象 |
に有機農産物のマーケティング研修(2 日)を行った。(農協リーダー、職員 26 名参加) またモデル菜園にて有機野菜栽培の研修(1日)を行った。(生産者 12 名参加。) 3. スバイリエン農産物組合の出荷センターを建設する。 3.1. SAC出荷センターをSACの購入した土地に建設し、出荷業務を移行した。 3.2. 出荷センターの使用方法について収穫後管理の専門家が研修を行った。(参加者:SAC ゾーンリーダー119 名、職員 2 名) 3.3. 組合理事及び職員に随時コーチングを行い運営の相談にのっている。現在は問題解決などを自分たちで行うようになった。 3.4. 組合の顧問委員会を開催。メンバーは1 名を除き前年から継続。IVYのプロジェクトコーディネータの後任を紹介。事業期間中に 2 回開催された。 | |
(3)達成された成果 | 1. <新規加入農協>プレアビヒア州で4 つの農協が新しく有機米の共同出荷に参加した。登録者は当初 360 名を想定していたが、初年度は「様子見」の農家が多く、またリスクの高い農家を登録者リストから外したため国際有機認定を受けるに至ったのは 205 名にとどまった。そのため販売額も 132,795 ドルと予想額 200,000 ドルには至らなかったが、参加した農家は契約通りのプレミア価格を受け取ることができた。 2 <既存の農協と農協連合>共同販売事業の運営に関して事業開始当初は役割分担に混乱が見られたが、出荷時には農協のリーダーらが役割 を理解し出荷業務の責任を果たした。また収支計算もできるようになっ た。一方農協連合は多くのステークホルダー(農業省、農業局、フランス開発局の事業チームなど)が関わるなか、一つの会計方式の同意が関係者間で取れないなど調整が難航し、フランス開発局の事業の農協連合へ の財政支援が 2017 年も継続されるなど当初と予定外のこともこともあり、状況に応じながら会計指導等の支援を行った。2017 年予算計画では外部資金への依存度は 41%から 18%に減少した。 2. <SAC 出荷センター>SAC の野菜を中心とした出荷活動が当事業 (2016 年 3 月終了)後も継続された。国内初の本宅的な野菜出荷センターの開設により、SACの知名度が全国に広がり、顧客との信用関係も強化された。またエアコンが設置された部屋を保冷室としたことで、首都向けに一晩保冷した後の翌朝の出荷が可能になった。これでxx顧客から要望のあった午前中の納品が可能となり喜ばれた。2016 年の野菜の出荷量は 10%増加し(指標では 5%)127 トンで過去最高を記録した。またと殺室が出荷センターに開設されたことで本格的に開始された鶏肉は 4 ヶ月の間に$6,657 の売り上げを上げた。他米も$3,985 の売り上げがあった。鶏肉の出荷開始や野菜の平均単価の上昇($0.82 から$0.95)で全体の売り上げは前年から 32%伸びた。粗利は 34%で目標としていた 35%に僅かに届かなかった。 |
1 組合員300 名の居住する3 郡60 村が19 の出荷ゾーンに分かれており、そのゾーンのリーダーで組合員から野菜を集め、出荷場に運搬する。
(4)持続発展性 | 1. 本事業の終了時、国際有機認証取得のための ICS(内部管理システム)が農協と農協連合に引き継がれ、農家の生計向上につながる有機米共同出荷事業が継続される。 2. 当団体が雇用した農協連合のスタッフが事業終了後離職してしまった が、農協連合自体が2017 年12 人の職員の雇用を予定しており、当事業で共同出荷を開始した農協の有機基準管理を引き継ぎ、農家の生計向上につながる共同出荷事業が継続される。 3. 有機米、カンボジア米は世界的にも注目されており、AMRU Rice 社は参加農協の増加を希望しており、注文量の増加を表明している。そのため今後も契約農業が継続され、農家に収益がもたらされる。 4. 稲作の収益が増すことで、出稼ぎ者の帰還や新規就農が増え、地域振興へとつながる。 5. 農協リーダーの能力強化をしたことで、米の共同出荷以外の事業への士気がリーダーの間に高まっている。 6. 有機農法を奨励することで、環境保全型の持続性のある稲作が地域で守られる。 7. SAC 出荷センターの利用により、顧客の満足度が増加し、野菜の注文量は今後も安定すると見られる。また鶏肉は顧客の大手小売店がサプライヤーをSAC に切り替えたため、今後野菜と並ぶ主要な品目としてSACに安定した収入をもたらすと見られる。こうしたことからSAC の事業は組合メンバーに継続して収益がもたらされる。また SAC 出荷センターは、これまでのところSAC によって適切に管理されている。 |
3.事業管理体制、その他 | |
(1)特記事項 | カンボジア政府は 1990 年代初頭より、「経済土地コンセッション(経済的土地 営業権)」という手続きを通して、内外の民間企業に土地の使用を最長 99 年間認めることで、大規模プランテーションや農園への民間投資を奨励してきたが、コンセッションの対象となった土地では住民たちが強制的に立退かされたり、農地や放牧地への立ち入りを制限されたりと、さまざまな被害が発生している。事業対象地のプレアビヒア州でもこうした問題が多く発生しており、これまでも住民の反対運動などが起こっている。またプランテーションで使用する農薬でその周りの土地が汚染され、対象の農地で有機認定が取れなくなる可能性もある。 |
完了報告書記載日:2017 年 6 月 8 日団体代表者名: 代表理事 xx xx (印)