Ⅴ 運賃、滞船料等に関する紛争処理費用及び損失担保特約(FD&D)55
保険契約規定
2018
目 次
保険契約規定 4~45
第 1 章 保険契約
第 1 条 (保険契約の締結) 4
第 2 条 (告知及び通知義務) 5
第 3 条 (保険年度) 5
第 4 条 (保険期間) 5
第 5 条 (保険金額) 5
第 6 条 (保険料) 6
第 7 条 (保険料の支払い) 7
第 8 条 (保険料の払込みを延滞した組合員に対する措置) 8
第 9 条 (保険年度の保険料の確定) 9
第10条 (保険契約の継続) 9
第11条 (保険契約の解約又は解除) 9
第12条 (休航による保険料の払戻し) 10
第13条 (相殺) 11
第14条 (フリート加入) 11
第15条 (共同契約) 11
第16条 (船級等の保持及び法令の遵守) 12
第17条 (堪航性等の確保) 12
第 2 章 てん補の範囲
第18条 (てん補の範囲) 14
第19条 (船員に関する責任及び費用) 14
第20条 (船客に関する責任及び費用) 16
第21条 (船員及び船客以外の人に関する責任及び費用) 18
第22条 (密航者又は難民等に関する費用) 18
第23条 (他船との衝突による責任及び費用) 18
第24条 (財物等に関する責任及び費用) 20
第25条 (汚濁に関する責任及び費用) 21
第26条 (曳航に関する責任) 22
第27条 (第三者との契約に関する責任) 23
第28条 (防疫に関する費用) 24
第29条 (積荷に関する責任及び費用) 24
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- 1 -
第30条 (共同海損) 27
第31条 (過怠金) 27
第32条 (責任防衛等のための費用) 28
第33条 (組合の容認する特例) 28
第 3 章 免責金額、除外規定、てん補責任の制限及び特別条項
第34条 (免責金額) 29
第35条 (一般除外規定) 29
第36条 (特別除外規定) 33
第37条 (てん補責任の制限) 34
第38条 (貴金属等に関する組合の責任の制限) 35
第39条 (特別条項) 35
第 4 章 事故発生の場合の処置
第40条 (事故発生の場合の処置) 36
第41条 (事故処理に関する組合の権限) 36
第 5 章 保険金の請求等
第42条 (保険金の請求) 37
第43条 (保険金の支払) 37
第44条 (利息) 37
第45条 (保険金支払による権利の移転) 37
第46条 (仲裁) 38
第47条 (保険契約規定に定めなき事項) 38
補 則
オーバースピルクレーム及びオーバースピル保険料に関する補則 39
沿 革 46~51
特 約 52~61
Ⅰ 用船者責任保険特約 52
Ⅲ 救助船の救助作業中の責任に関する特約 52
Ⅳ 救助者の油濁責任に関する特約 54
Ⅴ 運賃、滞船料等に関する紛争処理費用及び損失担保特約(FD&D)55
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Ⅵ 運送人責任保険特約 59
特別条項 62~77
・油濁責任特別条項 62
・用船者(共同契約者)責任特別条項 63
・内航曳航特別条項 63
・内航押航特別条項 65
・内航ハーバータグ特別条項 65
・内航特殊作業船特別条項 66
・P&I戦争危険特別条項 67
・特殊法人等保険料支払特別条項 69
・バイオケミカル特別条項 69
・2006年小型タンカー油濁補償協定(2017年改正)特別条項 70
・2006年タンカー油濁補償協定(2017年改正)特別条項 71
・出資者等特別条項 71
・船客及び船員責任特別条項 73
・制裁対象航海特別条項 74
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・2006年の海上の労働に関する条約特別条項 75
保 険 契 約 規 定
第1章 保険契約
第1条(保険契約の締結)
1 保険契約を締結しようとする者は、所定の保険契約申込書(組合加入時に提出する「加入申込書」を含む。以下同じ。)に保険の目的である船舶(船舶法及びその他の法律に規定する木船以外の船舶で組合が認めたもの。以下「加入船舶」という。)その他所定の事項を記載し、署名又は記名なつ印して組合に申し込み、組合の承諾を得て、保険料の全部又は一部を払い込まなければならない。
2 組合が前項の承諾をし、保険料の全部又は一部の払込みが行われた時、保険契約は効力を生じる。
3 組合員は、加入船舶の保険契約を承継することができる。
4 組合は、保険契約成立の証として保険契約承諾証(組合加入時に発行する「加入承諾証」を含む。以下同じ。)を、組合員の選択により、書面又は電磁的方法で発行する。
5 組合は、組合員の申し出により保険契約の内容を変更した場合には、その都度変更承諾証を発行する。
6 組合は、組合員の請求により保険契約承諾証に適用する保険料率、保険料、払込方法、期限及び場所の記載又は記録を省略した場合、組合員の請求によりそれらを記載した保険料明細書を書面又は電磁的方法で発行する。
7 保険契約を締結しようとする者は、その船舶につき、ロンドン保険業者協会制定の期間建標準船舶保険約款(衝突損害賠償金てん補条項付)又はこれらと同等以上のてん補範囲を有すると組合が認める保険契約に基づく船舶保険契約を締結しなければならない。ただし、あらかじめ組合の承認を得た場合はこの限りでない。
8 加入船舶は、第16条(船級等の保持及び法令の遵守)第1項第1号に規定する船級又は資格を保持し、並びに第17条(堪航性等の確保)第1項及び第2項前段に規定する堪航性を確保していなければならない。
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9 保険契約を締結しようとする者は、保険契約締結後に加入船舶に関する情報が国際航海を円滑に行うにあたり必要なものに限り組合より外部に開示されることに同意するものとする。
第2条(告知及び通知義務)
1 組合員は、保険契約申込書又はそれに準ずるものの記載にあたっては、保険契約に係る重要な事項について、事実の告知をしなければならない。組合は、保険契約に係る重要な事項に関し不告知又は不実の告知があった場合は、組合員との保険契約の引受拒否又は解除をすることができる。この場合の解除は、保険契約成立の日に遡って効力を生じる。
2 組合員は、保険契約申込書の記載事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を書面により組合に通知しなければならない。
もし、組合員が、前記記載事項の重要なものに変更があったにもかかわらず、その通知を怠ったときは、組合は、その損害のてん補を拒否し、又はてん補額を減額することができる。
また、前記記載事項の変更により危険増加が生じた場合で、組合員が 故意又は重大な過失により遅滞なく通知をしなかった場合、組合は、保 険契約を当該変更日に遡って解除することができる。なお、危険増加と は、トン数又は船種等の前記記載事項の重要なものの変更により、これ らの事項についての危険が高くなり、保険契約で定められている保険料 が当該危険を計算の基礎として算出される保険料に不足する場合をいい、危険とは、保険契約によりてん補することとされる損害の発生の可能性 をいう。
3 組合員は、加入船舶につき他の保険者との間で同種の保険契約を締結したときは、遅滞なくその旨を書面により組合に通知しなければならない。
第3条(保険年度)
組合の保険年度は、毎年日本標準時の2月20日21時(グリニッジ標準時2月20日正午。以下同じ。)に始まり翌年の2月20日21時に終る。
第4条(保険期間)
保険期間は、原則として日本標準時の2月20日21時から翌年の2月20日21時までの1年間とし、その途中で締結された保険契約については、その契約の開始時から直後の2月20日21時までを原則とする。
第5条(保険金額)
1 保険契約には、保険金額の定めを設けないものとする。
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2 前項の規定にかかわらず、組合と組合員との合意によって保険金額の定めのある保険契約を締結することができる。この場合には、1回の事故につき組合が支払う保険金は、保険契約承諾証に記載された保険金額を限度とする。
第6条(保険料)
1 組合員は、保険金額の定めのない保険契約については、次に掲げる保険料を次条の規定に従い支払うものとする。
(1) 前払保険料
組合が保険契約の締結時において、別に定める保険料算出基準に基づき保険料率を決定し、この保険料率に加入船舶の屯数を乗じた金額を前払保険料とする。翌保険年度以降の個々の加入船舶に適用される前払保険料は、全加入船舶に適用される前保険年度の保険料率の変更割合及び加入船舶の保険成績等に基づき決定される。
(2) 追加保険料
イ 各保険年度の中途又は終了後(第9条(保険年度の保険料の確定)第1項に規定する保険年度の保険料確定後を除く。)、当該保険年度の保険成績等を考慮のうえ、当該保険年度の前払保険料に追加して徴収する保険料を追加保険料といい、当該保険年度の全加入船舶(第4号の規定により免除された場合を除く。)に対して適用される。
ロ 追加保険料は、当該保険年度の前払保険料に一定の割合を乗じて決定される。
(3) オーバースピル保険料
イ 定款第43条(グループ協定及びプール協定)に規定する国際P&Iグループのプール協定に基づく再保険金額を超える損害賠償金及び費用(以下「オーバースピルクレーム」という。)が発生し、組合にその超過額部分につき加入船舶の屯数に基づく分担金が生じる場合に、その支払いに充当するため、前号の追加保険料とは別に追加して、当該保険年度の中途又は終了後
(第9条第2項に規定する保険年度の保険料確定後を除く。)に徴収する保険料をオーバースピル保険料という。
ロ オーバースピルクレーム1件につき組合員が負担するオーバースピル保険料は、組合員各々の加入船舶の屯数に基づき算出されるが、1976年の海事債権についての責任の制限に関する国際条約に基づく死亡又は身体の傷害以外に関する債権に対する船舶所有者の責任制限額の2.5%相当額を限度とする。
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ハ オーバースピル保険料は、その事故が発生した保険年度の全加入船舶の組合員に対して適用される。ただし、第 9 条第2 項に基づき保険料が確定している保険年度にオーバースピルクレームが発生したことを組合が知った場合には、その時点で、当該確定保険年度以降の保険年度のうちオーバ-スピル保険料につ
き確定していない最も古い保険年度に加入船舶を有していた組合員に対して、組合は、オーバースピル保険料の支払いを請求することができる。
ニ オーバースピル保険料の取扱いに関する詳細は、本規定の補則に定める。
(4) 精算保険料
イ 加入船舶の保険契約が解約、解除又はその他の理由により終了した場合に、当該船舶に対するそれ以後の追加保険料の支払いを免除するために徴収する保険料を精算保険料という。
ロ 精算保険料は、組合が当該保険契約が終了した保険年度に徴収することを予定している追加保険料に基づき決定される。
ハ 組合は、組合が適当と認める方法によって精算保険料の支払いの保証を確保できたときは、その徴収を猶予することができる。
2 組合は、保険金額の定めのない保険契約について、保険年度の終了後、当該保険年度の保険成績等を考慮のうえ、既に徴収している前払保険料の一部を返戻することができる。
3 組合員は、保険金額の定めのある保険契約については、組合が別に定める保険料算出基準及び前保険年度の定額保険料(保険金額の定めのある保険契約に対する保険料を「定額保険料」という。以下同じ。)に対する変更割合等に基づき決定した個々の加入船舶に適用する当該保険年度の定額保険料を次条の規定に従い支払うものとする。
第7条(保険料の支払い)
1 組合員は、保険期間開始時までに組合に対し加入船舶に対する前払保険料又は定額保険料を支払わなければならない。ただし、組合の承諾を得てこれを分割払いとすることができる。この場合の各支払期日は、組合が定めるところによる。
2 組合員又は脱退した組合員は、組合から追加保険料、オーバースピル保険料及び精算保険料の支払いを請求されたときは、組合が指定する支払期日までにその金額を支払わなければならない。
3 組合員は、第4条(保険期間)に規定する保険期間の中途において保険契約を締結した場合には、保険契約開始日以降の日数に応じた保険料を支払うものとする。
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4 組合員又は組合が保険期間の中途において保険契約を解約した場合には、組合員が支払う保険料は解約の日の翌日から保険期間末日までの日数に応じて減額したものとする。
5 組合員は、保険料の支払いに関し、組合に対するいかなる債権とも相殺することはできない。
第8条(保険料の払込みを延滞した組合員に対する措置)
1 組合は、保険期間開始後であっても、当該契約に関する保険料(保険料が分割払いであるときは、各分割払い保険料)受領前に生じた組合員の責任及び費用については、てん補しない。
2 組合は、保険料の払込みを怠った組合員に対し、次に掲げる措置をとることができる。
(1) 未払保険料につき、支払期日より実際に支払われる日までの期間に対し、法定利率の範囲内で組合が決定する遅延利息を徴収すること。
(2) 当該組合員の議決権の行使を停止し、又は保険金の支払いを停止すること。この場合、組合員は、保険料払込みの義務を免れない。
(3) 保険契約を解除又は延滞が始まった支払期日において解約すること。
(4) 組合員の未払保険料に関し、組合はその組合員の所有する船舶、裸用船する船舶、又は第14条に定めるフリート加入の場合、当該フリートに属する全ての船舶(保険契約の更新の前後を問わず過去に当該フリートに属していたことのある船舶を含む)に対して先取特権を有し、第46条の規定にかかわらず、組合はいかなる国においても、適用される法令により認められる範囲内で、先取特権を行使することができる。
3 前項の規定の適用を妨げることなく、組合は次の取扱いを行うものとする。
(1) 保険料が全額前払いの場合において、当該保険料の全額が支払期日までに支払われていないときは、組合は相当の猶予期間を定めて支払いの督促を行い、督促において定められた支払期日までに保険料の全額が支払われた場合は、保険料の当初支払期日から当該保険料が支払われた日までの間に生じた組合員の責任及び費用については第1項の規定は適用しない。
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(2) 保険料が分割払いの場合において、当該分割払い分の保険料全額が支払期日までに支払われていないときは、前号の規定を準用する。
第9条(保険年度の保険料の確定)
1 組合は、保険金額の定めのない保険契約に関し、保険年度の終了後、当該保険期間保険料の追加保険料の徴収若しくは前払保険料の返戻及びオーバースピル保険料の徴収のいずれをも新たに行う必要がないと決定したときに、当該保険年度の保険料を確定し、その旨を組合員に通知する。
2 組合は、保険金額の定めのない保険契約に関し、組合員に対してオーバースピルクレームの発生の通知を行った保険年度につき、新たにオーバースピル保険料を徴収する必要がないと決定したときに、当該保険年度のオーバースピル保険料を確定し、その旨を組合員に通知する。ただし、各保険年度につき、保険期間開始後36か月以内に、当該保険年度の組合員が負担すべきオーバースピルクレームの発生の通知が組合員に対してなされない場合は、当該保険年度のオーバースピル保険料は徴収する必要がなくなったものとみなされる。
第10条(保険契約の継続)
保険期間の満了に際し、次に掲げる理由により保険契約が終了したものを除き、保険契約承諾証記載事項の変更につき書面による組合への通知がなされなかったときは、保険契約は、翌保険期間へ継続されるものとする。
(1) 定款第13条(脱退)の規定による組合員の脱退。
(2) 第2条(告知及び通知義務)第1項、第8条(保険料の払込みを延滞した組合員に対する措置)第2項第3号、第16条(船級等の保持及び法令の遵守)第2項第1号又は第17条(堪航性等の確保)第2項の規定による保険契約の解除又は解約。
(3) 第11条(保険契約の解約又は解除)の規定による保険契約の解約。
(4) 前各号に掲げる場合のほか、組合が保険契約の継続を拒否することにつき正当な理由があると判断し、保険期間の満了する1か月前までの予告によりその旨を組合員に通知したもの。
(5) 組合員が保険期間の満了する1か月前までに保険契約を継続しない旨を書面により組合に通知したもの。
第11条(保険契約の解約又は解除)
1 組合員は、次に掲げる場合に限り、保険契約を解約することができる。
(1) 加入船舶の譲渡により所有権を喪失したとき。
(2) 加入船舶の運航管理を行う者が変更されたとき。
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(3) 前各号に掲げる場合以外の事由により被保険利益を喪失したとき。
2 前項第1号から第3号までの事由による解約については、組合員は、遅滞なく、その旨を書面により組合に通知しなければならない。
3 組合は、保険契約規定の他の条項に規定する場合のほか、次に掲げる事由がある場合には、保険契約を解除することができる。また、組合は、本項の規定に従って保険契約を解除した場合には、次に掲げる事由が生じた時から解除した時までに発生した保険事故による損害及び費用をてん補する責任を負わない。
(1) 組合員が、組合に当該保険契約に基づく保険給付を行わせることを目的として損害を生じさせ、又は生じさせようとしたとき。
(2) 組合員が、当該保険契約に基づく保険給付の請求について詐欺を行い、又は行おうとしたとき。
(3) 組合員の行為によって、各国の法令、施行令等に基づき、監督官庁その他の政府又は公の機関が、組合に対してその業務に重大な影響を及ぼす制裁、禁止、制限等の措置を課したとき、又は組合がそのおそれがあると判断するとき。
(4) 前各号に掲げるもののほか、組合の当該組合員に対する信頼を損ない、当該保険契約の存続を困難とする重大事由があったとき。
第12条(休航による保険料の払戻し)
1 組合員は、加入船舶が積荷を積載しない状態で同一の安全な港又は場所に引続き30日以上(開始の日から終了の日までの日数から1日を控除した日数)停泊し休航した場合、保険料の払戻しを請求することができる。
組合は、組合員からの請求を受け、払い込まれた保険料から組合が要した再保険料及び事業費に相当する額を控除した残額の休航期間に対応する額の75%以内を払い戻すものとする。ただし、オーバースピル保険料は、休航による保険料の払戻しの対象とはしない。
2 前項の休航が船員(保安要員を除く。)を配乗しない状態で行われた場合には、組合は前項の返戻率を95%以内とする。
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3 前二項に規定する保険料の払戻しを請求する者は、休航開始後ただちにその事実を書面で組合に通知するとともに、休航終了後3ヶ月以内に休航の事由、場所及び期間を証明する書類を組合に提出しなければならない。ただし、当該休航が翌保険年度にまたがる場合は、当該保険年度終了後3ヶ月以内に前記と同様の書類を組合に提出しなければならない。組合員がこれらの書類の提出又は休航の通知を怠ったときは、組合は保険料の払戻しを拒否することができる。
第13条(相 殺)
組合は、保険料の未払部分がある組合員に対して保険金を支払う場合には、支払保険金から未払保険料の全部又は一部を相殺することができる。
第14条(フリ-ト加入)
1 組合は、保険料率の算出にあたって、一組合員又は複数の組合員との二隻以上の加入船舶についての保険契約を、同一の組合員による契約とみなして取扱うことができる(以下、この取扱いを「フリ-ト加入」という。)。
2 フリ-ト加入により契約した組合員のいずれかが、組合に対して債務を負った場合は、その債務について当該フリ-トを構成する全ての組合員は連帯して支払義務を負うものとする。
第15条(共同契約)
1 組合は、一隻の加入船舶の保険契約について、複数の組合員を契約者
(以下「共同契約者」という。)とすることができる。
2 共同契約者は、組合に対するあらゆる債務について連帯して支払義務を負うものとする。
3 共同契約者のいずれかにより保険契約に係る重要な事項に関し不告知若しくは不実の告知があった場合、又は保険契約申込書の記載事項の重要なものに変更があったにもかかわらずその通知を怠った場合には、共同契約者全員による行為とみなす。
4 共同契約者のいずれかに組合による損害のてん補の拒否又はてん補額の減額事由にあたる行為がある場合は、共同契約者全員による行為とみなす。
5 組合がてん補の対象とする共同契約者の責任等は、船舶所有者が自らの責任で行う加入船舶の通常の運航に伴って生ずる責任及び費用であって、保険契約規定及び保険契約承諾証記載の契約条件の範囲内に限る。
6 共同契約の場合において、保険契約規定及び保険契約承諾証に基づいて共同契約者に支払われるてん補額の合計は、当該保険契約が単独契約
(一人の契約者による契約)で締結されていた場合にてん補される金額を限度とする。
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7 組合から共同契約者のいずれかに対して行った通知は、共同契約者全員に対する通知とみなし、共同契約者のいずれかが組合に対して行った通知は、共同契約者全員の承認のうえで行われたものとみなす。
第16条(船級等の保持及び法令の遵守)
1 組合員は、加入船舶の船級又は資格の保持及び法令の遵守に関し、組合との別段の合意がない限り、次の要件を満たさなければならない。
(1) 組合が認めた船級協会若しくはこれと同等の機関(以下「船級協会等」という。)による船級又は資格を取得し、常にこれを保持すること。
(2) 船級協会等が修理等を勧告すると予測される状況に至ったときは、ただちにその旨を当該船級協会等に通知すること。
(3) 船級協会等の勧告又は指示に従うこと。
(4) 船級又は資格の保持に関し、組合が必要と認めた場合、船級協会等に対し組合が直接照会を行うことに協力すること。
(5) 船級協会等が変更されたときは、組合に書面により通知すること。
(6) 構造、属具、備品、人員配乗、運航及び管理に関する船籍国の法令の下で要求されるすべての条件を満たすこと、及びこれらの法令、国際安全管理(ISM)コード並びに船舶及び港湾の国際保安
(ISPS)コードに基づいて船籍国が発行する有効な証書を常に保持すること。
2 組合員が前項の要件を満たさなかったときは、組合は、次に掲げる措置をとることができる。
(1) 保険契約を解約すること
(2) てん補を拒否し、又はてん補額を減額すること
3 前項の解約は、解約すべき事由が発生した日以降将来に向かって効力を生じる。
第17条(堪航性等の確保)
1 組合は、組合のてん補対象となる損害及び費用を防止する目的で、加入船舶の管理及び堪航性に関する検査を、組合が指定する期間内に組合が指定する検査機関により実施することを組合員に要求することができる。組合員がこの検査を実施しない場合には、組合は、その期間経過後に当該加入船舶に関し生じた損害及び費用のてん補を拒否し、又はてん補額を減額することができる。
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2 組合員は、検査の結果、検査機関による勧告がなされた場合には、勧告された修理等を実施しなければならない。組合員が勧告された修理等を実施しないときは、組合は、当該加入船舶の保険契約を解約し、又はこの勧告後に当該勧告による修理等を怠ったことに起因する損害及び費用のてん補を拒否し、若しくはてん補額を減額することができる。
3 前項の解約は、解約すべき事由が発生した日以降将来に向かって効力を生じる。
4 保険契約を締結しようとする船舶について、第1項及び第2項前段に規定する要件が満たされない場合には、組合は、当該船舶の保険契約の引受けを拒否することができる。
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5 組合は、第2項の規定により加入船舶の保険契約を解約するとき、及び第4項の規定により保険契約の引受けを拒否するときは、その事実及び検査結果等について、組合が加盟する国際P&Iグループのプール協定 Appendix VIの規定に従って国際P&Iグループ等へ通知することができるものとし、これらの組合員及び保険契約を締結しようとする者は、組合による本項規定の情報開示に同意するものとする。
第2章 てん補の範囲
第18条(てん補の範囲)
組合は、組合員との別段の合意がない限り、加入船舶の保険期間中の運航に伴って発生した次条(船員に関する責任及び費用)から第 33 条
(組合の容認する特例)までに定める損傷及び損失(以下「損害」という。)並びに費用について、組合員がその支払いの責を負い、かつ、損害賠償金及び費用を支払ったとき(理事会で別途決定する場合を除く。)、本章の規定に従い、てん補する。
第19条(船員に関する責任及び費用)
1 組合は、加入船舶の船員(加入船舶の定員として就業規則又は雇用契約等により雇用される者及び組合が船員と認めた定員外の者。以下同じ。)に関し、組合員が負う次の各号に掲げる責任及び費用をてん補する。
(1)(死傷等に関する責任及び費用)
船員の死亡、行方不明及び傷病(以下「死傷等」という。)に関する次に掲げる責任及び費用。
イ 船員の人命救助費及び遺骸捜索費。ただし、船舶保険、荷主又はその他の者から回収できないものに限る。
ロ 船員の死傷等に関し法令又はあらかじめ組合の承認を得た労働協約、就業規則若しくは雇用契約等(以下「契約等」という。)により負担した責任
ハ 船員の遺骸、遺骨又は遺品を遺族に引き渡すために要した費用ニ 船員が職務上の事由により死亡し、社葬等葬儀を行うために
要した費用
ホ 社会的な要請に基づき特に負担する費用。ただし、あらかじめ組合の承認を得たものに限る。
(2)(失業手当)
加入船舶が海難により、全損となるか又は全く運航に堪えなくなったため、組合員が法令又は契約等により失業中の船員に支払った賃金又は手当
(3)(所持品の損害補償金)
加入船舶の海難により船員の所持品に損害を生じ、法令又は契約等に基づき支払われた所持品喪失手当若しくは補償金で組合が認めた額
(4)(代人派遣費用)
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船員が死傷等又はその他の事由で組合の認めるものにより乗船
できなくなったために要した代人の派遣費用
(5)(離路費用)
船員の死傷等、船員のストライキ又はその他の事由で組合の認めるものにより、その船員を上陸させ又はその代人を乗り組ませる必要を生じたため、加入船舶が離路することにより生じた余分の燃料費、保険料、船員の賃金、消耗品費、食料費及び港費
(6)(送還費用)
船員を送還するために要した費用で次に掲げるもの
イ 船員が傷病、加入船舶の海難又はその他の事由で組合の認めるものにより乗船できなくなった場合に生じたもの
ロ 2006年の海上の労働に関する条約(MLC条約)又はこれに基づく締約国における国内法令の下で負担すべきもの
(7)(船員の不帰船に伴う費用)
船員の脱船、ストライキ又はその他の事由で組合の認めるものにより、当該船員が加入船舶に乗船せず陸上に留まった場合、その船員に関し生じた費用のうち、組合員が法令に基づき負担した費用で、その船員より回収できない部分
(8)(船員の未払い賃金)
船員に対して支払うべき賃金のうち、2006年の海上の労働に関する条約(MLC条約)又はこれに基づく締約国における国内法令により金銭上の保証が求められる部分
2 組合は、前項の定めにかかわらず、次に掲げる責任及び費用をてん補しない。
(1) 法令により船員が死亡、傷害及び疾病に関する費用を担保する保険への加入を義務づけられている場合、当該保険の付保の有無にかかわらず、その保険給付の対象となる部分
(2) 組合の事前の承認のない契約等により加重された責任及び費用
(3) 次に掲げる事由により生じたもの
イ 契約等の規定又は当事者の合意による船員の乗船期間の終了ロ 組合員による契約等の違反
ハ 加入船舶の売却その他組合員の都合
3 船客と船員との複合損害に関してん補される金額の総額は、保険契約承諾証に記載された保険金額又は別途船客と船員との複合損害につき国際P&Iグループのプール協定による制限金額の定めがある場合はその金額のいずれか低い額を限度とする。
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4 組合員が、本条第1項第1号に掲げる責任及び費用に関する損害賠償金、補償金又は費用(以下「賠償金等」という。)に関し、法律上の支払義務
を履行しない場合、組合は、組合員を代理して、当該船員又はその被扶養者に対し、次の各号の条件に従って賠償金等を直接支払うことができる。
(1) 当該船員又はその被扶養者が、他の第三者に対する請求可能な権利を有さず、本項の補償なくしては他に賠償金等を確保する方途がない場合に限る。
(2) 本項第3号の規定を条件として、組合が支払う金額は、如何なる場合でも組合員が保険契約規定及び保険契約承諾証に記載される加入条件に従って組合からてん補を受けることが可能な金額を超えないものとする。
(3) 第8条第2項第3号に基づき組合が、保険料の払込みを延滞したことを理由として、保険契約を解除又は解約した場合でも、組合は、当該船員又はその被扶養者に対して、解除又は解約の抗弁を主張しないものとして、当該解除又は解約の効力が生じた日以前に発生した賠償金等に限り、組合員を代理して支払うことができる。この場合、組合員は当該支払額の全額を組合に弁済する責任を負う。
(4) 第18条にかかわらず、組合員が当該賠償金等の支払いを行っていない場合であっても、組合は、船員又はその被扶養者に対し、賠償金等を直接支払うことができる。
第20条(船客に関する責任及び費用)
1 組合は、加入船舶の船客(乗船切符を所持し加入船舶で運ばれる人。以下同じ。)に関し、組合員が負う次に掲げる責任及び費用をてん補する。
(1) 船客の死傷等に関する責任及び費用(治療費、入院費、葬祭料、離路費用及び送還費用を含む。)
(2) 加入船舶上の船客につき次に掲げる事由により生じた責任及び費用(これら船客を最終目的地又は乗船地へ移送する費用及びこれら船客の陸上における滞在費を含む。)
イ 衝突、座礁、爆発、火災その他の原因による加入船舶自体の損傷により目的地までの安全な航海を不能にする事故
ロ 船客の生命、健康、安全に脅威を与える事故
(3) 船客の手荷物の損害に関する責任及び費用
(4) 船客の人命救助費
2 組合は、前項の規定にかかわらず、次に掲げる責任及び費用をてん補しない。
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(1) 組合員が使用する旅客運送約款が、適用される法令又は条約のもとで組合員が援用し得る限りの抗弁事由の規定を欠いていることにより加重された責任及び費用
(2) 空路による輸送手段を利用中の船客に生じた死傷等、手荷物等の損害及び遅延による損害に関する責任及び費用。ただし、死傷等が生じた船客を空路移送中若しくは前項第2号に規定する事故の結果加入船舶上の船客を空路輸送中に生じた責任及び費用又は加入船舶外での催物に参加する船客が空路利用中に生じた死傷等に関する責任及び費用(次号に該当する場合を除く。)についてはこの限りではない。
(3) 加入船舶外での催物に参加中の船客に生じた死傷等に関し、次の事由により負担した責任及び費用
イ 当該催物への参加につき、船客が別途契約を締結した場合ロ 当該催物に関し、その請負業者又は第三者への求償権を放棄
した場合
3 船客の単体損害に関してん補される金額の総額は、保険契約承諾証に記載された保険金額又は別途船客の単体損害につき国際P&Iグループのプール協定による制限金額の定めがある場合はその金額のいずれか低い額を限度とする。
4 本条に規定する船客に関する責任及び費用が、「1974年の旅客及びその手荷物の海上輸送に関するアテネ条約及び2002年改定議定書の第4条の2」、又は「事故に際しての船客運送人の責任に関する2009年4月23日付欧州議会並びに欧州理事会規則第392/2009号」のいずれかに従い組合が発行した戦争危険を除く保障契約(非戦争危険ブルーカード)に基づく責任(以下「非戦争危険ブルーカード上の責任」という。)と重複しており、かつ、船客に関するすべての責任及び費用(非戦争危険ブルーカード上の責任を含む。)が、本条第3項に規定するてん補限度額を超えるか、又は、超える可能性がある場合、組合は次に掲げる措置をとることができる。
イ 組合はその絶対的裁量により、非戦争危険ブルーカード上の責任の全部又は組合が決定する一部が履行されるまで、その他の船客に関する責任及び費用の全部又は一部の支払いを延期することができる。
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ロ 非戦争危険ブルーカード上の責任に基づく組合の支払い額が本条第 3 項に規定するてん補限度額を超える場合、その超過部分の支払いは貸金形式により行われる。その場合、組合員は当該超過部分を組合に弁済する責任を負う。
第21条(船員及び船客以外の人に関する責任及び費用)
1 組合は、加入船舶の船員及び船客以外の人に関し、組合員が負う次の各号に掲げる責任及び費用をてん補する。
(1) 船員及び船客以外の人の死傷等に関する責任。
(2) 組合員が加入船舶に乗船することを認めた造船所技師等に死傷等が発生し、それらの者を上陸治療させるために加入船舶が離路することにより生じる余分の費用。ただし、法令又は契約により離路等の余分の費用がそれらの者の雇用者側の負担とされる場合を除く。
(3) 船員及び船客以外の人の人命救助に関する離路等の余分の費用
2 組合員は前項第 3 号の費用を回収するための全ての適切な手段を講じなければならない。
第22条(密航者又は難民等に関する費用)
1 組合は、密航者又は難民等の下船及び送還のために要した組合員の離路等の余分の費用をてん補する。
2 組合員は、これらの費用を回収するための全ての適切な手段を講じなければならない。
第23条(他船との衝突による責任及び費用)
1 組合は、加入船舶が他船と衝突した結果、当該他船に生じた損害で組合員が負う次に掲げる責任及び費用をてん補する。
(1)(衝突責任)
他船又はその船舶上にある積荷若しくは財物に生じた損害に関し組合員が負う責任及び費用で船舶保険の衝突損害賠償金てん補条項の対象となるものの総額の4分の1(又は別途組合と合意した割合がある場合は当該割合)相当額。
(2)(超過衝突責任)
前号の責任及び費用の総額が船舶保険(船舶保険価額を超過する部分を担保する保険がある場合にはこれらの保険のすべて(以下「超過額特別保険」という。)を含む。)の保険価額を超過した場合の超過額。ただし、組合は、その加入船舶の船舶保険価額(超過額特別保険が付保されている場合は保険金額とする。)が不当に低いと認めるときは、衝突事故発生時における加入船舶の市場価額に基づき適正な評価額を決定し、その評価額を超過する部分のみをてん補する。
(3)(加入船舶上の積荷に対する衝突損害賠償責任)
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加入船舶と他船が双方の過失により衝突し、加入船舶の積荷に損
害が生じた場合にその損害に対する責任は連帯であり、かつ、「双方過失衝突約款」は無効であるとの管轄権のある裁判所の判決が確定したことによって組合員が負担した責任。ただし、第29条(積荷に関する責任及び費用)に定める責任等に関する保険契約を締結している場合に限る。
(4)(その他の衝突責任)
他船に生じた次に掲げる責任及び費用
イ 人に関する責任及び費用で、第19条(船員に関する責任及び費用)、第20条(船客に関する責任及び費用)及び第 21条(船員及び船客以外の人に関する責任及び費用)に規定する責任及び費用
ロ 他船又は他船上の財物を除く財物等に関する責任及び費用で、第24条(財物等に関する責任及び費用)第1号及び第2号に規定する責任及び費用
ハ 船骸、燃料、積荷及びその他財物の引揚げ、移動、撤去、破壊費用並びに灯火、標識の設置費用で、第24条(財物等に関する責任及び費用)第3号に規定する費用
ニ 汚濁に関する責任及び費用で、第25条(汚濁に関する責任及び費用)第1項第1号から第5号に規定する責任及び費用
ホ 救助契約等による責任で、第25条(汚濁に関する責任及び費用)第1項第6号に規定する責任
へ 積荷に関する責任及び費用で、第29条(積荷に関する責任及び費用)第1項第2号に規定する責任及び費用
2 前項については、次の第1号から第3号を適用する。
(1) 加入船舶が、組合員自身の所有又は賃借する他の船舶と衝突した場合においても、第三者の所有又は賃借する他の船舶との衝突の場合と同一に取り扱う。
(2) 衝突が加入船舶及び他船の過失によって生じた場合には一方又は双方の船舶所有者の責任が法律に基づいて制限された場合を除き、各船舶の過失の割合に応じ、かつ、相殺をしないで加入船舶が他船又はその船舶上にある財物の損害に対し賠償した金額を衝突損害賠償金とする。
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(3) 加入船舶の船舶保険により担保される部分及びその船舶保険上の免責相当額はてん補しない。
第24条(財物等に関する責任及び費用)
組合は、加入船舶の接触等により財物等(権利の侵害を含む。以下同じ。)に生じた損害に関し組合員が負う次に掲げる責任及び費用をてん補する。なお、第1号から第3号に掲げる責任及び費用のうち、組合員自身の財物等に生じた損害で他の保険により回収できないものは、これを第三者に属するものとみなしててん補する。
(1)(港湾設備等に生じた損害に関する責任)
加入船舶の接触により、桟橋、岸壁、ブイ、ビーコン及びケーブル等の港湾設備その他の建造物、定着物、可動物、海産物若しくはその上にある物又はその他財物等につき生じた損害に関する責任。ただし、当該加入船舶又は他船につき生じた損害及びそれらの船舶上にある積荷又は財物につき生じた損害に関する責任を除く。
(2)(接触及び衝突以外の原因により第三者の船舶、積荷及び財物に生じた損害に関する責任)
加入船舶の接触及び衝突以外の原因により第三者の船舶、積荷及び財物につき生じた損害に関する責任。ただし、当該加入船舶上にある積荷又は財物につき生じた損害に関する責任を除く。
(3)(船骸撤去等の費用)
加入船舶の船骸、燃料、積荷及びその他財物の引揚げ、移動、撤去及び破壊並びに灯火・標識等の設置につき法令その他により負担した責任(加入船舶以外の船舶等につき負担したこれらの責任を含む。)及び費用。ただし、これらの責任及び費用についてはあらかじめ組合の承認を得なければならず、また回収された船骸、積荷又はその他財物の代価はてん補金より控除する。
(4)(加入船舶上の財物に生じた損害に関する責任)
加入船舶上の燃料油その他財物に生じた損害に関する責任で組合がそのてん補を認めたもの。ただし、次に掲げるものに生じた損害を除く。
イ 第19条(船員に関する責任及び費用)第1項第3号に規定する船員の所持品
ロ 第20条(船客に関する責任及び費用)第1項第3号に規定する船客の手荷物
ハ 第29条(積荷に関する責任及び費用)に規定する加入船舶の積荷
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ニ 組合員又は組合員と特別な関係にあると組合が認めた者が所有又は賃借する財物
第25条(汚濁に関する責任及び費用)
1 組合は、加入船舶、他船又は港湾設備その他建造物、定着物、財物等からの、積荷油、燃料油及びその他汚濁物質の流出、排出又はそれらの防止について組合員が負う次に掲げる責任及び費用(第23条第1項第4号ニ及びホが適用される場合を除く。)をてん補する。ただし、ヨーク・アントワープ規則の下で共同海損として認容される費用は、組合があらかじめ承認した場合を除き、てん補しない。また、加入船舶によりその積荷、燃料若しくは備品として過去に輸送されたものか否かを問わず、汚濁危険のある若しくはその可能性のある物質、産出品、生産物及び廃棄物の投棄場所、保管場所又は廃棄施設における流出、排出、それらのおそれ又はそれらの存在により生じた損害に関する責任及び費用は、組合が承認した場合を除き、てん補しない。
(1)(第三者に生じた損害に関する責任)
汚濁により第三者に生じた損害に関する責任
(2)(清掃費用等)
流出・排出に伴う汚濁損害を防止、軽減するために要した清掃等の費用及びこれらの措置を講じた結果生じた損害に関する責任
(3)(汚濁防止費用)
切迫した汚濁のおそれを防止、軽減するために要した費用
(4)(油濁責任に関する協定による責任)
組合があらかじめ承認した油濁責任に関する協定の当事者として組合員が負担する責任及び費用
(5)(政府の命令による措置費用)
政府又は官憲の命令又は指示により、組合員が汚濁を防止又は軽減するために講じた措置に要した費用。ただし、次に掲げるものを除く。
イ 加入船舶の通常の運航、救助又は修理に伴う命令又は指示に従った結果生じたもの
ロ 加入船舶の船舶保険のてん補の対象となるもの
(6)(救助契約等による責任)
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加入船舶の海難救助に関し、ロイズ海難救助契約標準書式に定められたSCOPIC条項(Special Compensation P&I Clubs Clause)に基づく報酬及び組合が認める同種の特約に基づく報酬並びに1989年海難救助条約第14条又は組合が認めた救助契約に基づき環境損害を防止又は軽減するためにとられた措置につき組合員が負担した特別補償
2 油濁損害に関してん補される金額の総額は、保険契約承諾証に記載された保険金額又は別途油濁損害につき国際P&Iグループのプール協定による制限金額の定めがある場合はその金額のいずれか低い額を限度とする。
第26条(曳航に関する責任)
1 組合は、加入船舶の曳航又は加入船舶による他船その他の被曳航物(以下、本条において「被曳船」と総称する。)の曳航に関して生じた損害について組合員が負う責任及び費用を次に定めるところによりてん補する。ただし、保険金額の定めのある保険契約を締結している加入船舶が、日本の各港間若しくは湖、河川又は港内において曳航し又は曳航される場合は、組合が別に定めるところによる。
組合員が曳航に関して負う責任及び費用についてのてん補の対象は、第19条(船員に関する責任及び費用)から第31条(過怠金)までに掲げる責任及び費用であり、かつ、第1号又は第2号の要件を満たすと組合が認めたものとする。
(1)(他船による加入船舶の曳航)
加入船舶が次のいずれかによって他船に曳航される場合に、その曳航条件に従って組合員が負う責任。ただし、他の保険によりてん補されないものに限る。
イ 通常の運行過程における出入港又は港内の移動のために締結された曳航条件
ロ 前イ以外の曳航で、次に掲げるいずれかの曳航条件に該当し、かつ、組合が要求する曳航区域、曳航条件の裁判管轄、仲裁、適用法令その他の事項について曳航開始前に届出がされ、組合の承認を受けた曳航条件
i) 港から港又はある場所から他の場所へ常時曳航されることを通常の運行としている加入船舶であって、その通常の運行として行われる曳航のために締結された曳航条件
ii) 加入船舶の組合員、曳船の所有者等が、加入船舶又は曳船の損害について、若しくは加入船舶又は曳船上の乗組員等の死傷等に関する責任及び費用について、過失の有無を問わず、自らの責任及び費用を自らが負担し、互いに求償権を放棄している曳航条件
iii) ロイズ海難救助契約標準書式又は同等の内容の海難救助契約書式
(2)(加入船舶による曳航)
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次に掲げるいずれかの曳航条件に該当し、かつ、組合が要求する
曳航区域、曳航条件の裁判管轄、仲裁及び適用法令その他の事項について曳航開始前に届出がされ、組合の承認を受けた曳航条件により被曳船を曳航する場合に、その曳航条件に基づき組合員に生じた責任及び費用。ただし、他の保険によりてん補されないものに限り、かつ、曳航契約上の責任であるか否かを問わず、被曳船又は被曳船上の積荷その他の財物の損害並びに被曳船の船骸撤去費用及び被曳船上の積荷その他の財物の残骸処理に関する組合員の責任及び費用は、組合があらかじめ承認した場合を除きてん補しない。
イ 連合王国標準曳航条件、ネーデルランド曳航条件又はスカンジナビア標準曳航条件
ロ 「タウコン」又は「タウハイヤー」曳航契約
ハ ロイズ海難救助契約標準書式又は同等の内容の海難救助契約書式
ニ 加入船舶の組合員、被曳船の所有者及び被曳船上の積荷その他の財物の所有者等が、加入船舶又は被曳船の損害及び被曳船上の積荷その他の財物の損害について並びに加入船舶又は被曳船上の乗組員等の死傷等に関する責任及び費用について、過失の有無を問わず、自らの責任及び費用を自らが負担し、互いに求償権を放棄する自損自弁の原則(ノック・フォー・ノックの原則)を採用している曳航条件
ホ 加入船舶が定期用船に差し立てられており、加入船舶の組合員と被曳船の所有者との間に曳航契約が締結されていない場合、被曳船の損害及び被曳船上の積荷その他の財物の損害並びに被曳船の船骸及び被曳船上の積荷その他の財物の残骸処理に関する組合員の責任及び費用は、当該用船契約に用船者自身の財物及び再用船者その他の者の財物についてノック・フォー・ノックの原則又はこの原則に比し不利でない曳航条件が摂取されていると、組合があらかじめ承認した場合に限りてん補する
2 前項による組合の承認を得ることができない曳航条件によって、又はどのような曳航条件によるかを定めることなく、組合員が他船による加入船舶の曳航又は加入船舶による被曳船の曳航を行おうとするときは、組合は、割増保険料を徴収し、又はてん補の範囲を限定した保険契約内容によってその曳航に関する組合員の責任をてん補することができる。
第27条(第三者との契約に関する責任)
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組合は、組合員が第三者との契約により、船員及び船客以外の人の死傷等並びに積荷及びその他財物の損害に関して負う責任をてん補する。
ただし、契約の内容について事前に組合の承認を受けなければならない。
第28条(防疫に関する費用)
組合は、伝染病の発生により、組合員が加入船舶、その積荷又は船員等の消毒及び検疫のために要した余分の費用をてん補する。ただし、加入船舶が航海に関する契約で定める寄港地以外の港若しくは地に寄港した場合に、その港若しくは地では検疫が必要であることを予見し、又は当然予見できた場合を除く。
第29条(積荷に関する責任及び費用)
1 組合は、加入船舶の積荷(加入船舶に船積み予定のもの又は加入船舶から荷揚げされたものを含む。)の船積み、荷扱い、積付、運送、保管、荷揚げ又は引渡しについての運送契約上の義務違反及びこれに準ずる事由で組合の認めるものにより組合員が負う次に掲げる責任及び費用をてん補する。また、組合員自身の積荷の損害で他の保険により回収できないものは、これを第三者の所有物とみなして、てん補する。
(1) 積荷に生じた損害に関する責任。ただし、通し運送契約による場合は第4号の規定による。
(2) 損害を被った積荷の荷揚げ、処分又は再積付に要した費用のうち、通常生ずべき費用を超える部分で荷主又はその他の者から回収不能となった額。
(3) 海難により加入船舶の安全な航海の継続に支障が生じたため、積荷の荷揚げ、処分又は再積付を行いそれに要した費用のうち、荷主又はその他の者から回収不能となった額。ただし、共同海損費用の一部となる場合を除く。
(4) 加入船舶及びこれに接続する陸上、水上又は空路の輸送手段による通し運送契約に基づき運送された積荷の損害に対する責任。ただし、あらかじめ当該通し運送契約につき組合の承認を受けなければならない。
(5) 荷受人が受取りを拒否した積荷又は受取りに現われなかった積荷の荷揚げ、保管及び処分に要した費用のうち、通常生ずべき費用を超える部分で、荷主又はその他の者から回収不能となった額。ただし、共同海損費用の一部となる場合を除く。
2 組合は、前項の定めにかかわらず、次に掲げる責任及び費用をてん補しない。
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(1) 1924年8月25日にブラッセルで署名された船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約(ヘーグ・ルール)、1968年2月23日にブラッセルで署名されたヘーグ・ル-ルを改正する議定書(ヘー
グ・ヴィスビー・ル-ル)、又はこれらと同等の法令及び条約において規定されている運送条件よりも運送人に不利な条件にて積荷の運送を行うことにより加重される責任及び費用。なお、日本国内のみを航海する船舶については、日本国の法令において規定されている運送条件よりも運送人に不利な条件にて積荷の運送を行うことにより加重される責任及び費用とする。ただし、加重される責任及び費用につきあらかじめ組合の承認を得た場合は、この限りでない。
(2) 離路(運送契約からの逸脱を含む。)による責任及び費用。ただし、組合員が離路を知った後、ただちに組合に通知しその承認を得た場合、若しくは組合があらゆる状況により判断して特にてん補することが相当であると認めた場合は、この限りでない。
(3) 積荷の1包又は1単位当たり米貨2,500ドル(又は他通貨の場合はその同等額)を超える額が申告又は記載された従価船荷証券、類似の権利証券、貨物運送状(ウェイビル)又はその他運送契約による運送で、この申告又は記載の結果、運送人の責任を制限する権利が損なわれ、またその申告又は記載がない状態よりも責任が加重されたことにより、積荷の1包又は1単位当たり上記金額を超える組合員の責任。ただし、これを超える責任のてん補につき、組合と特約を締結した場合は、この限りでない。
(4) 次に掲げる責任及び費用。ただし、組合があらゆる状況により判断して特にてん補することが相当であると認めた場合は、この限りでない。
イ 加入船舶の船積地への到達不能若しくは遅延又は積荷の全部若しくは一部の船積不能によるもの
ロ 運送契約に定められた港又は地以外での積荷の荷揚げによるもの
ハ
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i) 船荷証券又は類似の権利証券(電子船荷証券を含む、以下「船荷証券類」という。)により運送された積荷の引取人によるこれら船荷証券類の提出(電子船荷証券の場合には提出に相当する行為)を受けない積荷の引渡しによるもの。ただし、積荷が非流通船荷証券、貨物運送状(ウェイビル)又は類似の書類(以下「非流通証券類」という。)に基づき加入船舶によって運送され、それらの非流通証券類の規定に従って適切に引き渡されたにもかかわらず、加入船舶及びこれに接続する他の輸送手段による運送を提供した組合員以外の者が発行した船荷証券類により組合員が責任を
負った場合を除く。
また、組合の承認を受けた電子商取引システムに従って貨物が適切に引き渡されたにもかかわらず、組合員が負った責任を除く。
ii) 非流通証券類により運送された積荷の引渡しにおいて、これらの証券類の提出又は証券類に指定されている荷受人への引渡しが運送契約の明文規定又は当該証券類又は運送契約に適用される法令に定められているにもかかわらず、
(a) 積荷の引取人によるこれらの証券類の提出を受けない引渡しによるもの、又は(b)これらの証券類に指定されている荷受人と異なる者への引渡しによるもの。
ただし、上記(i)(ii)のいずれにおいても、運送人に適用されるその他の法令の規定により、運送人がこれらの証券類の提出を受けずに、又は、指定された荷受人と異なる者へ引き渡した場合、あるいは積荷の保管又は管理が不可能となった場合は、この限りでない。
ニ 日付を繰上げ若しくは繰下げた船荷証券、貨物運送状(ウェイビル)又は運送契約を裏付けるその他の書類を発行したことによるもの
ホ 船荷証券、貨物運送状(ウェイビル)又は運送契約を裏付けるその他の書類に、事実と異なることを知りながら、積荷の種類、数量、状態又はその船積港若しくは荷揚港を記載して発行したことによるもの
(5) 組合の承認を受けていない電子商取引システムの使用から生じる責任又は費用で、紙面取引システムであれば生じないもの。なお、本号においては次のとおりとする。
イ 電子商取引システムには、物品の売買又はその海上運送若しくは海上その他の混合運送のために使用される次の書類証券に代わる、若しくは代わる目的を有するあらゆるシステムを含む。
i) 権利証券、
ii) その所持人が当該書類証券に記載された貨物の引渡し又は占有の移転を請求する権利を付与する書類証券、又は
iii) 契約当事者の一方が有する権利及び義務を第三者に譲渡することが可能な運送契約の証拠である書類証券
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ロ 書類とは何らかの特徴、種類、銘柄が記録されているものを意味し、コンピュータに記録された又はその他電子的に作成された情報を含むが、それに限らない。
第30条(共同海損)
組合は、共同海損分担額について、組合員が負う次に掲げる費用をてん補する。
(1)(回収不能の共同海損の積荷等の分担額)
共同海損、特別費用及び救助費であって、組合員の運送契約違反により法律上回収不能となった荷主その他の利害関係者の分担額。ただし、第29条(積荷に関する責任及び費用)に定める責任等に関する保険契約を締結している場合に限るものとし、同条第2項の規定を適用する。
(2)(共同海損の船舶分担額)
共同海損、特別費用及び救助費の船舶分担額で、分担額決定のために評価された加入船舶の無損傷状態の価額が船舶保険の保険価額
(超過額特別保険が付保されている場合は保険金額とする。)を超過したことにより船舶保険から回収不能となったときは、その分担額。ただし、組合は、加入船舶の船舶保険価額が不当に低いと認めるときは、事故発生時における加入船舶の市場価額に基づき適正な評価額を決定し、その評価額を基礎としてそのてん補額を決定する。
第31条(過怠金)
1 組合は、出入国管理官、厚生官その他の官憲並びに税関その他の政府又は公の機関により加入船舶に関して組合員に対して課せられた次に掲げる違反に対する過怠金をてん補する。また、組合は船員又は組合員の使用人若しくは代理人に対して課せられた同様の過怠金について組合員が法律上負担する義務を負う場合、又は負担することが相当であると組合が認めた場合はこれをてん補する。
(1) 積荷の過少又は過剰荷渡し並びに申告又は記録に関する規則の違反。ただし、第29条(積荷に関する責任及び費用)に定める責任等に関する保険契約を締結している場合に限るものとし、同条第 2項の規定を適用する。
(2) 船長、船員等による密輸に関する規則の違反
(3) 出入国管理に関する規則の違反
(4) 油又は汚濁物質の流出又は排出による汚濁に関する規則の違反のうち、意図されたものではない偶発的な流出又は排出によるもの。ただし、第25条(汚濁に関する責任及び費用)の下でてん補される金額と合わせ同条第2項の限度額を適用する。
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(5) 前各号以外の規則の違反で組合が認めたもの。この場合、組合員は過怠金が生ずるに至った事態を回避するため、合理的と思われる
すべての手段を尽くしたことを証明しなければならない。また、そのてん補にあたっては組合が適当と認める額を限度とする。
2 組合は、前項の定めにかかわらず、次の事由による過怠金をてん補しない。
(1) 過積
(2) 不法漁労
(3) 組合員(代理人を含む。)が当然知っていたか若しくは知りうべきことを怠ったこと又は防止のための適切な手段を講じることを怠ったことによる規則違反
(4) 安全航海に関する規則(最新の海図の所持も含む。)の違反。ただし、組合員が規則の遵守のための努力を十分払ったと組合が認めた場合はこの限りでない。
(5) 油水分離機その他汚濁防止機器を使用しなかった又は不正に使用したことによる1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書(MARPOL)の違反
(6) 加入船舶の没収。ただし、関税規則違反により生じたもので、組合があらゆる状況により判断して特にてん補することが相当であると認めた場合はこの限りでない。なお、このてん補にあたってはいかなる場合でも没収時の当該加入船舶の評価額を限度とする。
第32条(責任防衛等のための費用)
組合は、てん補対象となるべき損害及び費用が生じた事故に関し、組合員がその責任を防衛又は軽減するために要した次に掲げる費用又 は損失をてん補する。ただし、これらの費用又は損失のてん補については、あらかじめ組合の承認を得たもの又は組合が必要かつ有益と認めたものに限る。
(1) 弁護士及び鑑定人等の費用並びに訴訟に関する諸費用
(2) 事故の発生に伴い組合員が出費した費用
(3) 組合事業の目的に照らし有益であるとの判断の下に、組合の特別な依頼により生じた組合員の損失又は余分な費用
第33条(組合の容認する特例)
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組合は、加入船舶の運航に伴って生じた損害及び費用で、個々の事件につき組合が組合事業の目的に照らし特例としててん補することが相当であると認めたものは、その全部又は一部をてん補することができる。
第3章 免責金額、除外規定、てん補責任の制限及び特別条項
第34条(免責金額)
1 組合は、保険金額の定めのない保険契約については、保険金の支払いに際し、損害賠償金及び費用から事前に組合員と合意した金額を控除する。
2 組合は、保険金額の定めのある保険契約については、保険金の支払いに際し、損害賠償金及び費用から次に揚げる金額を控除する。
(1) 第19条(船員に関する責任及び費用)に規定する損害及び費用
5万円
(2) その他の損害及び費用 10万円
(3) 前各号にかかわらず、別途、金額の定めがある場合は、その金額
3 前各項の規定は、第 32 条(責任防衛等のための費用)第 1 号及び第 37 条(てん補責任の制限)(責任制限額が適用される場合に限る。)の規定に基づき組合が保険金を支払う場合には適用しない。
第35条(一般除外規定)
1 組合は、次に掲げる損害及び費用をてん補しない。
(1) 組合員(代理人を含む。)の故意による損害及び費用
(2) 組合員(その使用人、代理人を含む。)の寄与過失の有無にかかわらず、次に掲げる事由によって生じた損害及び費用。ただし、組合と別段の合意をした場合は、この限りでない。また、本号イのテロリズム行為に該当するか否かに関し争いが生じた場合には、理事会の決定を最終のものとする。
イ 戦争、内乱、革命、暴動、反乱、政治又は社会騒じょうその他類似の事変、交戦国による又は交戦国に対する敵対行為及びテロリズム行為
ロ だ捕、捕獲、強留、抑止又は抑留(海賊行為及び船員の悪行は除く。)及びこれらの結果又はこれらを目的とした行為 ハ 機雷、水雷、爆弾、ロケット、砲弾その他類似の戦争兵器の使用。ただし、本保険契約規定のもとでてん補対象となる組合 員の責任及び費用を回避又は軽減する目的で、政府の命令により 又は当組合の同意のもとで使用する場合、並びにこれらの輸送
に関する場合はこの限りではない。
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なお、化学兵器、生物兵器、生化学兵器若しくは電磁兵器の使用又は危害を加える手段としてのコンピュータ、コンピュータに関す
るソフトウェア・プログラム・不正コード・ウイルスの使用が、直接又は間接を問わず起因し又は寄与したことにより組合員の損害及び費用が生じたときは本号の規定は適用しない。ただし、本号の適用がなくなることによりてん補される組合員の損害及び費用、てん補される金額の総額、てん補対象となる地域等の諸条件については、組合が別に定めるところによる。また、組合は、保険年度の開始前、開始時、又は期間中のいかなる時点においても、組合員に対する24時間前の通知をもって、てん補を縮小、終了又は復活することができる。
上記にかかわらず、次の事由により生じたものは除く。
i) 爆発物やその起爆や装着によるもの
ii) 加入船舶及び加入船舶の積荷が危害を加える手段として使用されたことによるもの。ただし、加入船舶の積荷が本号で定める生化学兵器等であった場合は除く。
iii) 兵器やミサイルの発射・誘導・点火装置として本号で定めるコンピュータ、その他電子システム等が使用されたことによるもの
(3) 組合員(その使用人、代理人を含む。)の寄与過失の有無にかかわらず、次に掲げる事由が、直接又は間接を問わず起因し、又は寄与したことによって生じた損害及び費用。ただし、積荷として、連合王国の1965年の原子力施設法及び同法に基づく規則に定める「適用外物質」を運送する場合は、この限りでない。
イ いかなる核燃料、核廃棄物又は核燃料の燃焼(核分裂)から生じる電離放射線又はそれら放射性物質による汚染
ロ いかなる原子力施設、原子炉、その他の原子力機器又はそれらの構成部品の放射性、有害性、爆発性、又はその他の危険な若しくは汚染を生じさせる特性
ハ 原子若しくは原子核の分裂、融合又はこれらと同種の反応又は放射能若しくは放射性物質を使用したいかなる兵器又は機器
ニ その他のいかなる放射性物質の放射性、有害性、爆発性、又はその他の危険な若しくは汚染を生じさせる特性
(4) 加入船舶による禁制品の輸送、封鎖侵破又は不法貿易により生じた損害及び費用
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(5) 組合があらゆる状況から判断して不穏当で、著しく危険があり、かつ、慎重さを欠くとみなした航海により生じた損害及び費用
(6) 加入船舶又は組合員による救助作業(船骸撤去作業を含む。)によって生じた損害及び費用。ただし、人命救助を行う場合並びに救助船の救助作業中の責任に関する特約及び救助者の油濁責任に関する特約を締結した場合を除く。
(7) 次に掲げる損害及び費用。
イ 油又はガスの探査又は生産に関して、掘削作業を行うことを目的として建造又は改造された加入船舶による損害及び費用。
ロ 油又はガスの探査又は生産に関して、掘削又は生産作業を行っている加入船舶(当該作業に不可欠な部分として係留又は設置された宿泊施設を含む。)により生じた損害及び費用で、当該作業から生じた又は当該作業中に生じたものに限る。
なお、上記ロにおいて、加入船舶が油の貯蔵に従事する貯蔵タンカー又はその他の船舶(以下、本号において「貯蔵船」と総称する。)で、以下のいずれかに該当する場合、当該船舶は生産作業を行っているものと見なされる。
i) 油が直接油井から貯蔵船に移送される場合
ii) 貯蔵船が油とガスの分離設備を有しており、ガスが貯蔵船上で油から分離されている場合(自然放出を除く。)
油又はガスの生産に関する生産作業を実施するために使用される加入船舶については、加入船舶が契約に基づき直接的又は間接的に油井に接続したときから最終的に契約に基づき油井から分離するまで本号の除外規定を適用する。
ただし、あらかじめ組合との間で特別な合意がなされている場合はこの限りではない。
(8) 浚渫、爆破、杭打、掘削、ケーブル・パイプ敷設、建設、設置・管理作業、採掘調査、土砂廃棄、専門業者としての汚濁処理あるいは汚濁対応訓練及び加入船舶以外でのタンククリーニング等の特殊作業(消火作業は除く。)によって生じた損害及び費用。ただし、あらかじめ組合との間で特別な合意がなされている場合並びに次に掲げる事由によって生じた損害及び費用はこの限りでない。
イ 加入船舶上の人の死傷ロ 加入船舶の船骸撤去
ハ 加入船舶からの油濁(おそれを含む。)
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(9) 廃棄物の焼却又は処理その他の特殊作業によって生じた損害及び費用
(10) 組合員が潜水艇(小型水中船・ダイビングベル、その他類似の装置及び舟艇を含む。)を用いて潜水作業に携わることにより発生した損害及び費用。ただし、あらかじめ組合との間で特別な合意がなされている場合はこの限りではない。
(11) 専門潜水士・職業潜水士の作業から生じる損害及び費用。ただし、あらかじめ組合との間で特別な合意がなされている場合及び次のいずれかに該当する場合はこの限りではない。
i) 当該潜水士が加入船舶(あるいは加入船舶から操作されるダイビングベル、その他類似の装置及び舟艇)の船員の一部を構成し、組合員が当該潜水士の活動に責任を負う場合であって、当該損害及び費用が当該加入船舶により行われた救助作業から生じた場合(ただし、救助船の救助作業中の責任に関する特約又は救助者の油濁責任に関する特約を締結した場合に限る。)
ii) 潜水作業が加入船舶の検査、修繕若しくは保守に付随する場合、又は加入船舶により引き起こされた損害に関連して当該作業が行われる場合
iii) 当該活動が娯楽目的である場合
(12) 半潜水式の重量物運搬船又は専ら重量物運搬用に設計された加入船舶により輸送された積荷の損害及び撤去費用。ただし、当該積荷が、「ヘヴィコン」条件又は組合が予め認めた条件で輸送される場合はこの限りではない。
2 組合は、本条第1項第2号及び第3号に規定する戦争危険及び原子力危険に関する損害及び費用の除外規定にかかわらず、組合員のために発行又は提供した次の保障契約(ブルーカード)又は保証等に基づき生じる責任又は費用を組合員を代理して支払う。
(1) 米国公法第89-777号第2条(Section 2 of US Public Law 89-777)に従って組合が連邦海事委員会(FMC)に対して提供した保証
(2) 1969年又は1992年の「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(CLC条約)」第7条に従って組合が発行した保障契約
(ブルーカード)
(3) 小型タンカー油濁補償協定(STOPIA)に従って組合が1992年国際油濁補償基金に対して提供した保証
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(4) 2001年の「燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(バンカー条約)」の第7条に従って組合が発行した保障契約(ブルーカード)
(5) 「1974年の旅客及びその手荷物の海上輸送に関するアテネ条約及び2002年改定議定書の第4条の2」、又は「事故に際しての船客運送人の責任に関する2009年4月23日付欧州議会並びに欧州理事会規則第392/2009号」のいずれかに従い組合が発行した戦争危険を除く保障契約(非戦争危険ブルーカード)
(6) 2007年の「海難残骸物の除去に関するナイロビ国際条約(船骸撤去条約)」第12条に従って組合が発行した保障契約(ブルーカード)
(7) 2006年の海上の労働に関する条約(MLC条約)第2.5規則 A2.5基準及び第4.2規則 A4.2基準1(b)に従って組合が提供した保証
ただし、以下を条件とする。
i) 組合員は、上記の保障契約(ブルーカード)又は保証等に基づく責任又は費用の支払のうち、組合員が標準的なP&I戦争危険カバーを付保していれば当該保険カバーにより回収可能であったものは、その額を限度として組合に弁済する。
ii) 組合員は次のとおり合意する。
(a) 組合による上記の保障契約(ブルーカード)又は保証等に基づく責任又は費用の支払は、貸金形式により行われる。ただし、組合員が他の保険契約又は組合との別途の合意に基づき提供される追加保険カバーによって回収可能な額をその対象とする。
(b) 組合員は、組合が実行可能と判断する範囲及び条件で、他の保険契約の下で有する権利及び第三者に対する権利を全て組合に譲渡する。
3 組合は、次に掲げるものについては、てん補しない。
(1) 組合との保険契約により担保される危険と同一の危険の全部又は一部を担保する他の保険契約があり、組合が重複保険とみなした部分
(2) ロンドン保険業者協会制定の期間建標準船舶保険約款(衝突損害賠償金てん補条項付)又はこれらと同等以上のてん補範囲を有すると組合が認める保険約款に基づく船舶保険契約が締結されていないことにより、又は締結されているが当該船舶保険契約の保険価額が適正でないことにより船舶保険から回収できない部分
第36条(特別除外規定)
組合は、次に掲げる損害及び費用をてん補しない。ただし、第32条(責任防衛等のための費用)第3号による場合を除く。
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(1) 加入船舶自体の損害(第31条(過怠金)第2項第6号の規定により没収された場合を除く。)及び組合員又は組合員と特別な関係にあ
ると組合が認めた者が所有又は賃借する加入船舶上の装置、属具、備品、貯蔵品、燃料油若しくはコンテナの損害
(2) 加入船舶の修繕に関する一切の費用(共同海損分担額を構成する部分を除く。)
(3) 加入船舶の運賃又は用船料の損失。ただし、これらが積荷に関する責任の一部を構成する場合を除く。
(4) 加入船舶に対する救助費(人命救助費、1989年海難救助条約第14条及び組合が認めた救助契約における特別補償を構成する救助費分担額又は共同海損分担額を構成する部分を除く。)
(5) 加入船舶の滞船料、滞泊損害又は遅延損害。ただし、これらが積荷に関する責任の一部を構成する場合を除く。
(6) 回収不能の債権、倒産及び代理人の詐欺行為から生じる損害
(7) 加入船舶の用船その他の契約の解約から生じる損害
(8) 加入船舶の曳航又は加入船舶による他船その他の被曳航物の曳航に関する損害及び費用(第26条(曳航に関する責任)による場合を除く。)
(9) 組合が手配する再保険契約(国際P&Iグループのプール協定、同グループが手配する再保険契約、その他組合が独自に手配する再保険契約を含む)の再保険者が損害及び費用のてん補を行うことにつき、監督官庁その他の政府又は公の機関より、その再保険者に対して制裁、禁止、制限等の措置が課され、又はそのおそれがあるために、組合が再保険者から回収できない損害及び費用。
第37条(てん補責任の制限)
1 組合は、法令の下で組合員が負担する責任を限度としててん補する。ただし、組合員の責任が損害賠償責任を制限する法律により制限される場合は、その責任制限額を限度とする。
2 組合員が法律の下で認められる責任制限の手続きを行わない場合でも、組合は、その責任制限額を限度としててん補する。
3 組合が組合員のオーバースピルクレームについて負担するてん補責任は、国際P&Iグループのプール協定に基づき、加入組合員からのオーバースピル保険料の徴収額の総額と他のプール加盟組合からの回収額の総額との合計額とする。
なお、オーバースピルクレームの取扱いに関する詳細は、本規定の補則に定める。
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4 定期用船者等の責任に対するてん補については、組合が別途定めるところによる。
5 保険金額の定めのある保険契約については、組合は、前各項のもとで組合員が負担する金額又は保険金額のいずれか少ない額を限度としててん補する。ただし、組合員があらかじめ組合の承認を得た場合は、この限りでない。
第38条(貴金属等に関する組合の責任の制限)
組合は、加入船舶上の正貨、地金銀、貴金属、宝石、銀行券、債券その他の流通証券及びその他類似の財物の損害(共同海損の分担額及 び救助費を含む。)に関する組合員の責任については、てん補しない。ただし、組合と別段の合意をした場合は、この限りでない。
第39条(特別条項)
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組合は、理事会の決議により保険契約規定の運用に当たっての取扱いを定める特別条項を設けることができる。
第4章 事故発生の場合の処置
第40条(事故発生の場合の処置)
1 組合員は、組合のてん補対象となるべき損害及び費用を生じる事故の発生を知ったときは、次の処置をとらなければならない。
(1) 速やかにこれを組合に通知すること
(2) 組合員の責任を防衛し、又は軽減するため、鑑定人の手配、弁護士の起用、訴訟その他の適切な手段を講ずること
(3) 組合員又はその代理人が有する事故に関する必要な情報・書類を組合に提供すること
(4) 組合が事故に関し必要であると判断した場合には、組合による組合員の使用人又はその代理人に対する調査に協力すること
2 組合は、組合員が前項の処置を怠ったために生じた損害又は費用のてん補を拒否し、又はてん補額を減額することができる。
第41条(事故処理に関する組合の権限)
1 組合は、前条に規定する事項に関し、正当な理由がある場合には、次の措置をとることができる。ただし、いずれの措置が講じられた場合でも定款に定める組合の権利を放棄するものではない。
(1) 組合が、適当と判断する方法と条件で解決することを組合員に要求すること
(2) 提訴、上訴、応訴その他必要と認める手続をとることを組合員に要求すること及びこれに必要な弁護士、鑑定人その他の者を組合員に代わって任命すること。ただし、この場合でも、これら弁護士等の任命は、組合員によりなされたものとみなす。
(3) 組合が必要と認めた場合に限り、組合員のために保証を提供すること。ただし、その提供の条件は組合が任意に認めるものとする。なお、組合は、いかなる場合でも保証の義務を負うものではなく、また、保証を提供することによって、その事故について組合のてん補責任を認めたこととはならない。組合員は、組合が発行又は提供した保障契約(ブルーカード)又は何らかの保証等に基づいて、組合が組合員を代理して支払った金額のうち、組合によるてん補の対象にならない金額については、組合からの要求があり次第直ちに組合に弁済する。
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2 組合員が、前項第1号又は第2号に掲げる組合の要求に従わなかったときは、組合はてん補を拒否し、又はてん補額を減額することができる。
第5章 保険金の請求等
第42条(保険金の請求)
1 組合員は、保険金の請求をする場合には、組合員の責任及び費用が発生した事実を証する書類及び損害賠償金及び費用の支払いの完了を証明する証ひょうを組合に提出しなければならない。
2 前項の書類に事実と異なることが記載され、又は事実を隠蔽し、記載されていなかったときは、組合は、保険金を支払わない。
3 第1項の請求は、組合員が支払った日から3年以内に同項の書類を添えて、これを行わなければならない。ただし、組合員に正当な事由があり、あらかじめ書面により組合に通知した場合は、この限りでない。
4 組合員は、組合員の支払い責任が損害賠償責任である場合に、保険契約規定に従って取得する保険給付請求権を譲り渡し、又は質権の目的とすることができない。ただし、次の場合はこの限りでない。
(1) 保険事故に係る損害賠償請求権を有する者に譲り渡す場合
(2) 第18条(てん補の範囲)の規定により、組合員が保険金支払請求権を行使できる場合
第43条(保険金の支払)
1 本保険契約規定に別途定める場合を除き、組合は、保険金の支払いを組合員に対して行うものとする。ただし、組合が組合員と特別な関係にあると認める者が、本来組合員が負うべき責任又は費用を負担した場合には、その者に対して保険金を支払うことができる。
2 前条第1項及び第3項の規定に基づいて保険金支払の請求がなされたときは、組合は、当該請求書類を受理した日から起算して30日以内に保険金を支払う。ただし、組合は、この期間内に必要な調査が終了しないときは、終了後遅滞なく支払うものとする。
第44条(利 息)
組合は、いかなる場合も保険金についての利息を支払わない。
第45条(保険金支払による権利の移転)
1 組合は、組合員の損害賠償金及び費用をてん補したときは、てん補した限度において組合員の権利を取得する。
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2 前項の損害賠償金及び費用が第三者の行為によって生じた場合に、組合がその第三者に対して求償権を行使しようとするときは、組合員は組合の要求に応じて権利の移転に必要なすべての書類を組合に提出し、組
合の求償に協力しなければならない。
第46条(仲 裁)
保険契約に関し、組合と組合員との間に紛争が生じたときは、当事者は一般社団法人日本海運集会所の仲裁に付し、その仲裁判断をもって最終決定とする。ただし、当事者の合意がある場合は、ロンドン海事仲裁人協会登録の海事仲裁人による仲裁に付すことができる。
第47条(保険契約規定に定めなき事項)
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保険契約規定に規定のない事項については、日本国の法令に準拠する。
オーバースピルクレーム及びオーバースピル保険料に関する補則
第1条 解釈
1-1 本規則において、次の用語及び表現は以下の意味を有する。
“条約上の責任限度額” : 船舶に関して、オーバースピルクレーム
の発生日時において1976年の海事債権についての責任の制限に関する国際条約(以下 “条約”という。)第6条1(b)項に従って計算される当該船舶所有者の責任限度額。ただし、
(a) 船舶がトン数の一部分(以下“当該部分”という。)のみで加入している場合は、条約上の責任限度額の当該部分とする。
(b) 条約の反対の規定に拘わらず、各船舶は条約が適用される海上航行船舶とみなされる。
“グループ再保険の
限度額”
“オーバースピル保険料”
“オーバースピルクレーム”
“オーバースピル
クレーム発生日時”
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“オーバースピル準備金”
: 組合又は国際P&Iグループのプール協定(以
下、本規則において”プール協定”という。)の他の加盟組合によって締結されるグループ超過額再保険契約におけるてん補最高額
: オーバースピルクレームを支払う目的で、
第5条に基づき組合によって徴収される保険料
: 組合又はプール協定の他の加盟組合に生じ
たクレームであって、グループ再保険の限度額を超える部分
: オーバースピル保険料の請求事由である、
オーバースピルクレームの原因となる事故又は出来事が発生した日時、あるいは当該事故又は出来事が発生した保険年度が6-1及び6-2の規定に従い終了している場合は、組合が6-3に基づき宣言する保険年度の8月20日グリニッジ標準時の正午
: 8-1に基づき組合が積立てる準備金
1-2 組合又はプール協定の他の加盟組合に生じた同一船舶に関わるクレームは、一事故又は一つの出来事から直接生じたものであれば、船骸の撤去又は放置の場合の責任に関するクレームを含み、本規則の適用上、一つのクレームとして取扱われる。
1-3 組合又はプール協定の他の加盟組合に生じたクレームには、そのクレームに付随して発生するコストおよび費用を含むものとみなされる。
第2条 オーバースピルクレームのてん補
2-1 組合が組合員に対して負うオーバースピルクレームのてん補責任は、下記の金額の合計を超えないものとする。ただし、他のいかなるてん補に関する制限を妨げるものではない。
(a) プール協定の条件に合致するオーバースピルクレームにつき組合が分担義務を負う金額
(b) 組合がオーバースピルクレームの分担金としてプール協定の他の加盟組合から回収し得る最高額
2-2 2-1に定める総金額は、組合が次の事項を証明し得るならば、その金額の範囲において減額されるものとする。
(a) 次の(i)又は(ii)を回収若しくは回収につとめるに際して、費用が合理的に組合に生じたこと
(i) オーバースピルクレームのうち2-1(a)に定める部分を支払う資金を賄うために徴収されるオーバースピル保険料
(ii) 2-1(b)に定める金額
(b) 2-1(a)に定める金額又はその一部の徴収が経済的に不可能であること。ただし、その後その金額が徴収可能となったときは、2-1に定める総金額は、その金額の範囲において復活するものとする。
2-3 2-2(b)に定める事項を証明するに際して、組合は、以下(a)および(b)を立証しなければならない。
(a) 2-1に定めるオーバースピルクレームに関して、組合が第5条で認められている最高の金額でオーバースピル保険料をその組合員の全員に課徴したこと
(b) 組合が時宣に適した方法でオーバースピル保険料を課徴したこと及びオーバースピル保険料を徴収するためにあらゆる合理的な手段を講じたこと
第3条 オーバースピルクレームのてん補資金
3-1 組合に生じたオーバースピルクレームの支払に要する資金は、以下(a)
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~(e)から拠出されるものとする。
(a) オーバースピルクレームの分担金として、組合がプール協定の他の加盟組合から回収し得る金額
(b) オーバースピルクレームの支払リスクに対して組合を保護するために、組合の裁量により付保した特別の保険から回収し得る金額
(c) 組合が自己の判断で積立てた〔オーバースピル〕準備金の残高のうち、自ら決定する金額
(d) 組合が3-1(b)に定める金額の全部又は一部を回収したか、又は回収に努めたかに拘わらず、第5条に従って一回又はそれ以上の回数にわたってオーバースピル保険料として徴収した金額。ただし、組合は最初に3-1(c)による決定をしなければならない。
(e) 前記の資金に対して組合に生ずる利息
3-2 プール協定の他の加盟組合に生じたオーバースピルクレームであって、組合がプール協定の条件に基づき責任を負う分担部分の支払に要する資金は、3-1(b)~(e)に定める方法で拠出されるものとする。
3-3 当該組合に生じたオーバースピルクレームの支払資金を3-1(d)の方法によって調達しようとする場合においては、組合は、調達出来た金額のみをそれが調達出来た時点で支払えば足りる。ただし、その資金の回収に際して、組合が2-3(a)及び(b)に定める手段を講じたことを証明し得ることを条件とする。
第4条 オーバースピルクレームに関する紛争の処理
4-1 4-2に定める事項であって、組合と組合員の間で合意できないものは、プール協定に定める手続に従って設置される審査委員会(以下“委員会”という。)に付託されるものとする。委員会は、仲裁機関ではなく専門機関として行動し、その紛争を解決する。
4-2 オーバースピルクレーム(以下“当該オーバースピルクレーム”という。)に関して2-2、2-3または3-3を適用する場合において、以下(a)~(c)に定める事項については本条の定めるところによる。
(a) オーバースピル保険料を回収又は回収に努めるに際して生じた費用は合理的なものか否か
(b) オーバースピル保険料又はその一部は経済的に回収可能か否か
(c) 3-3に定める資金の調達に努めるに際して、組合は同規則に定める手段を講じたか否か
4-3 委員会が設置されていない場合には、組合員の要求に基づき、組合はプール協定の定めるところにより、委員会の設置に関する指図を与えなければならない。
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4-4 組合は、事柄を調査し、速やかに結論を出すべく、委員会の正式な指図
を求めることができる(組合員の指図があれば、そうしなければならない。)。
4-5 委員会は、事柄を決定するためにいかなる情報、書類、証拠ならびに意見書を要するか、及びこれらを如何に取得するかを自己の判断で決定しなければならない。組合と組合員は、委員会に協力しなければならない。
4-6 本条に基づき付託された事柄を決定するに際して、委員会は、プール協定に基づき委員会に付託される当該オーバースピルクレームに関する事柄を決定するに際して採る手続と同様の手続を採るように努力しなければならない。
4-7 事柄を決定するに際して、委員会の委員は、
(a) 自己の知識と専門技術に依拠しなければならない。
(b) 組合又は組合員により委員会に提出され、委員会が適当と認める情報、書類、証拠若しくは意見書に依拠することができる。
4-8 委員会の3名の委員が合意できない事項については、過半数の見解が優先する。
4-9 委員会は如何なる決定についても理由を付すことを要しない。
4-10 委員会の決定は最終的なものであり、組合及び組合員を拘束するものとし(4-11についてはこの限りでない。)、その決定について上訴する権利を有しない。
4-11 4-10に拘わらず、委員会が4-2(b)又は(c)に定める事柄について決定を下す場合、組合若しくは組合員は、委員会が決定を下して以来の状況が著しく変化したと考える場合は、その事柄を委員会に差戻すことができる。
4-12 委員会の費用は組合によって支払われる。
4-13 オーバースピルクレームに関する費用、補償及び組合により委員会に支払われるべきその他の金額は、本条若しくはプール協定に基づき委員会に付託されたか否かに拘わらず、2-2(a)の適用に当たっては、そのオーバースピルクレームに関して合理的に組合に生じた費用とみなされる。
第5条 オーバースピル保険料の徴収
5-1 (a) オーバースピルクレーム(組合又はプール協定の他の加盟組合のいずれに生じたかに拘わらず)の一部の支払に資金を要するか若しくは将来要すると組合が判断し、及び
(b) オーバースピルクレームに関してオーバースピル保険料を徴収するために保険年度を未確定とする旨、組合が6-1または6-3に基づき宣言する場合
宣言後、何時でも組合は、自己の判断で5-2に従い当該オーバースピルクレームについて一回又はそれ以上の回数のオーバースピル保険料を徴収することができる。
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5-2 組合は、次の要領でオーバースピル保険料を徴収しなければならない。
(a) オーバースピルクレームの発生日時における加入船舶に関して、その日時に組合に加入している全ての組合員から徴収する。
オーバースピルクレームの発生日時が組合が6-3に基づき宣言した保険年度に属する場合には、その保険年度の加入船舶の全ての組合員から徴収する。
(b) 各船舶の条約上の責任限度額に対する組合が自己の判断で決定する割合で徴収する。
5-3 オーバースピルクレームの発生日時に加入している船舶であって、グループ再保険の限度額以下又はそれと同額をてん補限度額として契約している船舶からは、組合は、オーバースピル保険料を徴収してはならない。
5-4 一つのオーバースピルクレームに関する各船舶の一回又はそれ以上のオーバースピル保険料の総額は、その船舶の条約上の責任限度額の2.5パーセントを超えないものとする。
5-5 保険年度内に組合に加入している組合員からオーバースピル保険料を徴収した後、徴収した保険料の全部をオーバースピルクレームに充当することが不要であると組合が判断する場合、組合は、次の方法の一つ又は双方により不要となった部分の処分を決定することができる。
(a) 超過額部分又はその一部を第8条の規定に従いオーバースピル準備金に繰り入れる。
(b) 超過額部分又はその一部を、オーバースピル保険料を支払った組合員にその支払割合に応じて払戻す。
第6条 オーバースピル保険料に関する保険年度の終了
6-1 保険年度(以下“当該保険年度”という。)の始期から36ヶ月の期間満了以前に、プール協定の加盟組合が当該保険年度に事故又は出来事が発生し、オーバースピルクレームが生じたか又はその恐れがある旨プール協定に従って通知(以下“オーバースピル通知”という。)する場合、組合は、そのクレームに関する当該保険年度のオーバースピル保険料を未確定とする旨、速やかに宣言しなければならない。そして組合がそのクレームに関するオーバースピル保険料の確定を決定する日まで当該保険年度を終了してはならない。
6-2 6-1に定める36ヶ月の期間が満了した時に、6-1に定めるオーバースピル通知がない場合、当該保険年度は自動的に終了する。
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6-3 6-1及び6-2の規定に従い保険年度が終了した後、その終了した保険年度の期間中に生じた事故又は出来事からオーバースピルクレームが生じる恐れがあると組合が判断する場合、組合は最も早い次の未確定保険年度(組合が6-1又は6-3に従って既に宣言した保険年度でない。)をそのクレーム
に関するオーバースピル保険料については未確定とする旨、速やかに宣言しなければならない。そしてこの未確定保険年度は、そのクレームのオーバースピル保険料につき組合が別途決定する日まで終了してはならない。
6-4 オーバースピル保険料に関する限り、本条に従う場合のほか保険年度を終了してはならない。
第7条 保険契約の解約又は解除に際してのオーバースピル保険料の担保
7-1 (a) 組合が、6-1又は6-3に従ってある保険年度はオーバースピル保険料については未確定とする旨宣言し、
(b) 第5条に従って組合が徴収するオーバースピル保険料を支払う責任を負う組合員が何等かの理由で組合に対する付保を解約するか、若しくは組合がかかる組合員の保険を解除する旨決定したときは、
組合は、かかる組合員に対してオーバースピル保険料に対する組合員の将来の支払責任に関する保証又はその他の担保を組合が決定する期日(以下“差入期日”という。)までに提供するよう求めることができる。かかる保証又は担保は、組合が自己の判断で状況に応じて適当と考える様式、金額(以下“保証金額”という。)及び条件でなければならない。
7-2 組合が要求する保証又はその他の担保が提供されない限り、組合員は、いかなる保険年度においても加入船舶に関して生ずる一切のクレームについて組合からのてん補をうけることはできない。
7-3 かかる保証又は担保が差入期日までに組合に提供されない場合、組合員は保証金額に相当する金額を差入期日までに組合に対して支払わなければならず、組合は、適当と考える条件でその金額を担保の供託として確保しなければならない。
7-4 組合が要求する保証又はその他の担保(7-3に従った支払を含む。)の提供は、いかなる場合においても、第5条に従って組合が徴収するオーバースピル保険料を支払うべき組合員の責任を制限又は限定するものではない。
第8条 オーバースピル準備金
8-1 組合は、自己の判断でオーバースピルクレームに対処するための準備金
(以下“オーバースピル準備金”という。)を積立て、維持することができる。
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8-2 オーバースピル準備金の積立額は、次のいずれかの方法で増額することができる。
(a) 組合は、保険年度の前払保険料又は追加保険料の料率を決定する時に、その保険料の特定額又は特定の割合をオーバースピル準備金のために繰り入れ、使用することを決議することができる。
(b) 組合は、保険年度の終了時又はそれ以後何時でも、その保険年度の勘定となる資金の特定額又は特定の割合をオーバースピル準備金のために繰り入れ、使用することを決議することができる。
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(c) 5-5(a)に定めるとおり、組合は、オーバースピルクレームのために徴収したのち、そのクレームに充当することが不要となったオーバースピル保険料の残余の金額をオーバースピル準備金として繰り入れることができる。
沿 革
1.1995年7月改定(1996年2月20日より実施)
従来の定款中、総則、組合員、機関及び保険業務に関する基本事項を定款規定とし、保険契約の内容に関する事項を分離・独立させ「保険契約規定」として新設
1.1996年8月改定(8月1日実施)
要旨、船員の遭難、脱船又はストライキに関するてん補内容の明確化(第 19条第7号)
1.1997年2月改定
要旨、共同契約に関する取扱いの明確化、加入船舶の曳航又は被曳航に関する取扱いを国際P&Iグループのプール協定及び海外クラブのルールとの整合を図り改定、並びに免責金額の取扱いの明確化のための改定(第 15条、第26条、第34条他)
1.1998年2月改定
要旨、日本船舶保険連盟の解散、国際P&Iグループにおけるオーバースピル保険料の限度額の引下げ、国際海事機関(IMO)における国際安全管理
(ISM)コードの船舶の安全運行と汚染防止に関する国際標準としての海上人命安全条約(SOLAS条約)への取入れ、並びに油濁責任に関するタンカー船主間自主協定(TOVALOP)の廃止に伴う改定(第1条、第6条、第 16条、第23条、第25条、第35条、補則第5条他)
1.1999年2月改定(前払保険料返戻に関する第6条第2項及び第9条第1項は定款条項改定との関係から1999年度総会決議後8月1日改定)
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要旨、保険金額の定めのない保険契約に関する保険料の返戻規定の新設、精算保険料の支払いはオーバースピル保険料の支払いを免除するものではないことの明確化、コンピュータ西暦2000年日付問題への対応義務規定の新設、並びに規定の整備・明確化(第6条、第9条、第17条の2、第19条、第24条)
1.2000年2月改定(仲裁申立てに関する第46条は定款条項改定との関係から
2000年度総会決議後8月1日改定)
要旨、解除及び解約の用語の使用方法を改めたことによる改定、保険料受領前に生じた責任・費用についてはてん補しない旨の規定の主旨の徹底を図り、併せて適用猶予期間を設けることの規定の新設、休航による保険料の払戻し規定の内容の簡略化、船員及び船客以外の人、及び積荷に関するてん補範囲の拡大、船員及び積荷に関するてん補範囲の明確化、海運集会所等への仲裁申立て案件の対象を保険契約全般に拡大、一般除外規定と国際P&Iグループのプール協定及び海外クラブのルールとの整合を図るための改定並びに条文・文言の整理(第7条、第8条、第10条、第12条、第17条、第19条、第21条、第29条、第35条、第46条)
1.2002年2月改定
要旨、途中契約の保険期間の取扱い、引渡し後の汚濁危険物などに関する責任のてん補除外、SCOPIC報酬のてん補、過怠金に関するてん補範囲、テロリズム行為によって生じた責任及び費用のてん補除外の明確化、国際P&Iグループ協定及び海外クラブのルールとの整合を図るための改定、並びに規定の整備(第4条、第25条、第31条、第35条)
1.2003年2月改定
要旨、船客に関する責任及び費用のてん補に関し、てん補の対象となる事故の範囲を明確化、過怠金に関するてん補の範囲の明確化、並びに規定の整備(第20条、第31条、第36条)
1.2004年2月改定
要旨、休航の場合の払戻しの対象となる保険料の明確化、ISPSコードの導入に伴う法令順守要件の変更、船員に関する離路費用のてん補対象費目の明確化、衝突責任並びに曳航に関する責任に関する規定の文言整備、積荷に関する責任及び費用のてん補範囲に関する文言を海外クラブ・ルールとの整合を図るための改定、CLC証書・FMC証書上の保証者としてのリスクカバーの明確化、並びに規定の整備(第12条、第16条、第19条、第 23条、第26条、第29条、第35条)
1.2004年6月改定
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要旨、戦争及びテロ危険におけるバイオケミカルリスクの一部を復活てん補するための改定(第35条)
1.2005年2月改定
要旨、船員に対する失業手当のてん補範囲の明確化、保険金額の定めのある場合の責任限度額超過部分の保険引受けに関する規定の整備(第19条、第37条)
1.2006年2月改定
要旨、他船との衝突による責任及び費用のてん補の条件の明確化及び条文の整理、汚濁に関する責任及び費用の条文の整理、ロイズ海難救助契約標準書式以外の救助契約による責任についてのてん補範囲の拡大、共同海損、過怠金に関するてん補条件の明確化、一般除外規定と再保険の条件との整合性を図るための改定、並びにてん補責任の制限に関する規定の文言の整備(第23条、第25条、第30条、第31条、第35条、第37条)
1.2007年2月改定
要旨、加入船リストをウェブサイト上で公開することに伴う規定の整備、国際P&Iグループにおけるサブ・スタンダード船対策の導入に伴う情報開示に関する規定の新設、西暦2000年問題に関する条文の削除、船員及び船客以外の人の人命救助に関する離路等の余分の費用に関する規定の文言整定並びに規定の整備(第1条、第17条、第17条の2、第21条、第29条、第35条)
1.2007年7月改定
要旨、国際P&Iグループのプール協定(Appendix)の条文番号との整合性を図るための改定(第17条)
1.2008年2月改定
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要旨、定款、事業方法書の表現に合せ「加入申込証」との語の「加入申込書」への文言変更、外航船保険の船客の単体損害及び船客と船員の複合損害のてん補金額に関する規定の新設、国際P&Iグループのプール協定の文言に合せたてん補条件の明確化、従来保険契約承諾証に記載していた契約条件の保険契約規定への摂取並びに規定の整備(第1条、第19条、第20条、第29条)
1.2009年2月改定
要旨、船員死傷クレームの船員又は遺族への直接払いに関する規定の整備、電子商取引の場合のてん補制限規定の明確化、バンカー条約及び STOPIA協定に基づく保証者としてのリスクカバーの明確化、重量物運搬船により運送される積荷に関するてん補条件の明確化、組合員の依頼で組合が行う保証に基づく責任のうちてん補対象とならないものの取扱いの明確化並びに規定の整備(第19条、第29条、第35条、第41条)
1.2010年2月改定
要旨、保険契約申込時等における告知義務に関する規定の整備、予告による保険契約継続拒否の場合の予告日の明確化、組合員による保険契約解約事由の明確化及び組合の保険契約解除権並びにてん補義務に関する規定の新設、休航場所に関する規定の整備、共同契約の場合の告知義務に関する規定の整備、事故発生時の処置とてん補の関係の明確化、保険法との整合を図るための保険金請求期限の改定及び保険金請求権譲渡の禁止等に関する規定の新設、保険金の支払に関する他規定との整合性を図るための整備(第2条、第10条、第11条、第12条、第15条、第40条、第 42条、第43条)
1.2010年11月改定
要旨、米国によるイラン制裁に関する法律施行又はその可能性等を考慮して監督官庁その他の政府機関等が組合に対して制裁措置等を課す場合又はそのおそれがあると組合が判断する場合において組合が保険契約を解除できるようにする規定の新設(第11条)
1.2011年2月改定
要旨、保険契約承諾証及び加入承諾証を組合員の選択により書面又は電磁的方法のいずれでも発行できるようにする規定の整備、他規定との文言整合性を図るための整備(第1条、第10条)
1.2011年3月改定
要旨、組合員の請求により保険料率等の記載を省略し保険契約承諾証を発行した場合に組合員の請求によりそれら事項を記載した保険料明細書を書面又は電磁的方法のいずれでも発行できるようにする規定の新設(第
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1条)
1.2012年2月改定
要旨、未収保険料への対応強化のため先取特権の行使権を留保する規定の新設、積荷に関する責任及び費用に関する国際P&Iグループのプール協定の文言に合せたてん補対象外となるリスクの明確化、再保険契約への Sanction Clause導入に伴い国際P&Iグループがプール協定に新たな規定を設けたことに合わせた規定の新設、他規定との文言整合性を図るための整備(第8条、第17条、第29条、第36条、第37条)
1.2013年8月改定
要旨、2006年の海上の労働に関する条約で金銭的保証の手当てを義務付けられる船員の送還費用をてん補対象とし、組合員が条約上の支払義務を履行しない場合、組合が組合員を代理して直接支払うことができるようにするための改定(第19条)
1.2014年2月改定
要旨、2006年の海上の労働に関する条約上の船員の送還費用を3か月前の解約通知、売船または制裁規定違反による解約を除き、保険契約承諾証記載の保険期間を通じててん補できるようにするための改定、アテネ条約等に基づく船主責任、非戦争危険ブルーカード上の組合責任、及び保険カバー限度額との関係を明確にするための改定(第19条、第20条)
1.2015年2月改定
要旨、国際P&Iグループのプール協定の文言に合せたてん補対象外となるリスク(加入船舶又は組合員による救助作業には船骸撤去作業が含まれること)の明確化、アテネ条約及びナイロビ国際条約に基づく保証者としてのリスクカバーの明確化、他規定との文言整合性を図るための整備
(第6条、第19条、第20条、第25条、第35条、オーバースピルクレーム及びオーバースピル保険料に関する補則第1条)
1.2016年2月改定
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要旨、2006年の海上の労働に関する条約の改正に伴い金銭上の保証の手配を義務付けられる「船主破綻時の未払い賃金」をてん補対象とするための規定の整備、国際P&Iグループのプール協定の改定文言に合わせた油又はガスの掘削又は生産作業、及び潜水艇又は潜水士による潜水作業に関する除外規定の明確化(第19条、第35条)
1.2017年2月改定
要旨、2006年の海上の労働に関する条約の改正及び2016年ヨーク・アントワープ規則の採択に伴う規定文言の整備、国際P&Iグループのプール協定の改定文言に合わせたてん補対象外となるリスク(油又はガスの生産作業期間)の明確化及び電子船荷証券の取り扱いの明確化、組合員から組合への重要事項の通知は「書面」でおこなわれることの明記(第2条、第10条、第11条、第16条、第19条、第25条、第29条、第35条)
1.2018年2月改定
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要旨、加入船舶が保険契約期間中に組合が認めていない船級協会等による船級等に変更した場合に組合が保険契約を解約することができることの明文化、組合員が社会的な要請に基づき特に負担する費用のてん補に関する規定の整備、汚濁物質の流出元の明記、国際P&Iグループのプール協定との整合を図るための改定(第10条、第16条、第19条、第24条、第 25条、第30条)
特 約
Ⅰ.用船者責任保険特約
第1条(特約の締結)
本特約を締結しようとする者は、所定の申込書に特約の目的である船舶その他所定の事項を記載し、署名又は記名なつ印して組合に申し込み、組合の承諾を得て、保険料の全部又は一部を払い込まなければならない。
第2条(てん補の範囲)
1 組合は、組合員が用船する船舶の運航に伴い発生した損害及び費用について、組合員が用船契約上又は法律上の責任及び費用を負担した場合、保険契約規定第2章「てん補の範囲」の規定に従いこれをてん補する。
2 組合は、前項の他、あらかじめ行った特別の合意に従い、次に掲げる責任及び費用をてん補する。
(1) 加入船舶につき生じた損害に関し用船者が負う責任及び費用
(2) 加入船舶上の燃料油その他財物につき生じた損害に関し用船者が負う責任及び費用
(3) 用船契約に基づく用船料及び運賃に関し用船者が負う責任及び費用
第3条(てん補限度額)
この特約により組合がてん補する金額は、保険契約承諾証記載の保険金額を限度とする。
第4条(保険契約規定との関係)
この特約に規定のない事項については、保険契約規定の規定を適用する。
Ⅲ.救助船の救助作業中の責任に関する特約
第1条(特約の締結)
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保険契約規定第35条第1項第6号のただし書に基づき、本特約を締結しようとする者は、所定の申込書に特約の目的である船舶その他所定の事項を記載し、署名又は記名なつ印して組合に申し込み、組合の承諾を得て、保険料の全部又は一部を払い込まなければならない。
第2条(てん補の範囲)
組合は、加入船舶又は加入船舶内に雇用されている者が救助作業を行う場合において、その作業によって発生した損害及び費用につき組合員が責任を負担した場合、次に掲げるものをてん補する。ただし、組合が救助契約が適当でないと認めたときは、てん補を拒否し、又はてん補額を減額することができる。
(1) 保険契約規定第19条(船員に関する責任及び費用)から第22条(密航者又は難民等に関する費用)までの規定による人に関する責任及び費用
(2) 保険契約規定第23条(他船との衝突による責任及び費用)から第 25条(汚濁に関する責任及び費用)までの規定による第三者に生じた損害及びこれらの損害で被救助船を通じて発生したもの
(3) 保険契約規定第31条(過怠金)の規定による過怠金
(4) 保険契約規定第32条(責任防衛等のための費用)の規定による責任防衛等のための費用
第3条(油濁損害てん補限度額)
油濁損害に関し、前条の規定によりてん補される金額の総額は、保険契約承諾証に記載する保険金額又は別途油濁損害につき国際P&Iグループのプール協定による制限金額の定めがある場合はその金額のいずれか低い額を限度とする。
第4条(定 義)
この特約において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 加入船舶 救助作業に使用する船舶として組合に届け出たもので、組合が認める保険金額により保険契約をした船舶をいう。
(2) 救助作業 船舶、その属具若しくは積荷の救助作業又は船骸の撤去その他これらの類似の作業をいう。
(3) 油濁損害 船舶若しくは他の財物からの油(油性混合物を含む。)の流出又は排出による汚染によって生じた損害及び費用をいう。
第5条(保険契約規定との関係)
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この特約に規定のない事項については、保険契約規定の規定を適用する。
Ⅳ.救助者の油濁責任に関する特約
第1条(特約の締結)
保険契約規定第35条第1項第6号のただし書に基づき、本特約を締結しようとする者は、所定の申込書に必要事項を記載し、署名又は記名なつ印して組合に申し込み、組合の承諾を得て、保険料の全部又は一部を払い込まなければならない。
第2条(てん補の範囲)
組合は、組合員が船舶の救助を行う場合において、その作業によって発生した油濁損害により生じた責任及び費用につき組合員が責任を負担した場合、次に掲げるものをてん補する。ただし、組合が救助契約が適当でないと認めたときは、てん補を拒否し、又はてん補額を減額することができる。
(1) 保険契約規定第25条(汚濁に関する責任及び費用)第1項第1号の規定による第三者に生じた損害に対する賠償責任
(2) 保険契約規定第25条第1項第2号及び第3号の規定による清掃費用
(3) 保険契約規定第31条(過怠金)第1項第5号の規定による過怠金
(4) 組合員の下請負人、代理人又は使用人が、船舶の救助を行う場合において、それらの者が前各号の責任又は費用を負担したことにより組合員が補償する責任
(5) 前各号の損害を防止軽減するために執られた措置に要する費用で、組合員が負担したもの。ただし、組合が承認したものに限る。
第3条(免 責)
組合は、組合員が次に掲げる賠償責任を負担したことによる損害をてん補しない。
(1) 損害賠償についての特約により加重された賠償責任。ただし、前条第4号又は第5号に掲げる責任及び費用を除く。
(2) 組合員の下請負人、代理人又は使用人の特約により加重された賠償責任に基づき組合員が補償する責任
第4条(てん補限度額)
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この特約により組合がてん補する金額は、1回の救助につき、損害賠償金及び費用がこの特約による保険契約の締結時又は更新時に組合と組合員との間で合意される免責金額を超える額とし、かつ、別に定めるてん補限度額を限度とする。
第5条(定 義)
この特約において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 油濁損害 船舶若しくは他の財物からの油(油性混合物を含む。)の流出又は排出による汚染によって生じた損害及び費用をいう。
(2) 船舶の救助 航海の用に供する船舶、その属具若しくは積荷の救助又は船骸の撤去をいう。
第6条(保険契約規定との関係)
この特約に規定のない事項については、保険契約規定の規定を適用する。
Ⅴ.運賃、滞船料等に関する紛争処理費用及び損失担保特約(FD&D)
第1条(特約の締結)
本特約を締結しようとする者は、所定の申込書に特約の目的である船舶その他所定の事項を記載し、署名又は記名なつ印して組合に申し込み、組合の承諾を得て、保険料の全部又は一部を払い込まなければならない。
第2条(てん補の範囲)
1 組合は、加入船舶に関連して発生したクレーム、紛争又は訴訟(以下
「紛争等」という。)に関し、組合員が負担した次に掲げる費用及び損失をてん補する。
(1) 第3条に定める事由に関し、組合員が組合の承認の下に法律上の又はその他の手続きをとる場合、当該手続に要する費用及びその付帯費用。当該手続において相手方に対して支払義務を負う費用を含む。
(2) 第3条に定める紛争等に関して法律上の又はその他の助言を得るため、組合員が組合の同意を得て負担した費用。
(3) 第3条(3)ロの規定により、組合員が組合の指示に従った結果負担した損失。ただし、組合が適当と認める金額を限度とする。
2 前項に規定する費用又は損失に対するてん補は、第3条(2)に定めるものについて組合が別段の決定をした場合を除き、加入船舶がこの特約を締結している保険期間内に紛争等又は手続きが発生した場合に限る。紛争等又は手続きの発生時期については、次の規定を適用する。
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(1) 救助又は曳航契約に関するものについては、当該作業が開始された時。
(2) 前号に規定する契約以外の契約、不法行為又はその他の法律上の原因から生じたものについては、その請求原因となる事実が発生した時。
第3条(てん補事由)
1 前条に規定する組合がてん補する費用又は損失は、次に定める紛争等又は手続に関して生じたものに限る。
(1) 用船契約、船荷証券、数量運送契約又はその他の運送契約の下で生ずる運賃、不積運賃、用船料、滞船料、早出料及び旅客運賃に関するもの
(2) 用船契約、船荷証券、数量運送契約及びその他の運送契約の違反に関するもの及び貨物運送に伴って発生する法律上の義務違反に関するもの
(3) イ 加入船舶の滅失、損傷又は滞舶に関するもの
ロ 加入船舶が滞舶した場合において、滞舶の合法性を調査するために組合が与える指示に従い当該船舶を現地に留めた結果、組合員が支払うに至った第三者に対する賠償金及び組合員が組合の指示に基づいて行った停船の期間内に蒙った損失。ただし、他から回収できないものに限る。
(4) 共同海損又は単独海損に関するもの
(5) 加入船舶に対する粗悪、低劣又は不適当な燃料油、備品、艤装品その他の必需品の供給に関するもの
(6) 加入船舶の建造、売買、抵当権、不注意、不適当な修繕又は改造工事に関して発生するもの。ただし、船舶の建造又は購入に関するものについては、当該契約の調印日までにこの特約による保険契約がなされている場合に限る。
(7) 救助又は曳航作業に関するもの。ただし、もっぱら救助又は曳航を目的として建造された船舶による当該作業に関するものを除く。
(8) 船舶代理店、ブローカー、荷役作業員、船具会社又はその他加入船舶の運航、管理に関わる者等からの加入船に係わる請求に関するもの
(9) 貨物の不適当な積込み、艀取り、積付け、トリミング又は荷揚げに関するもの
(10) 船員、密航者及び加入船舶上又はその付近にいた者が提起するもの及びこれらの者に対するもの
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(11) 加入船舶の旅客(乗船前又は下船後を含む。)、その相続人又は被扶養者が提起するもの及びこれらの者に対するもの
(12) 保険業務を行っている個人又は会社との間で生じた船舶、貨物又は運賃の保険契約上の債権債務に関するもの
(13) 加入船舶に関して税務当局、関税当局、又は港湾当局等が提起するもの及びこれらの者に対するもの
(14) 加入船舶に関する官憲の検査、検死及びその他各種の取調べにおける立合及び陳述
(15) 前各号のほか、組合が特例として認めるもの
2 組合は、前項の定めにかかわらず、次に定める紛争等又は手続に関して生じた費用及び損失はてん補しない。
(1) 組合、組合の使用人又は代理人に対するもの
(2) 共同契約者間及び共同で契約している出資者等と組合員との間に生じたもの
(3) 船舶保険の対象となる損害及び費用に関するもの。ただし、係争金額が船舶保険の免責金額以下のため船舶保険から回収できないものを除く。この場合、船舶保険の保険価額は加入船舶の適正な市場価額であることを条件とし免責金額は保険価額の1%を超えないものとする。
(4) 保険契約規定第2章「てん補の範囲」に規定されている損害及び費用に関するもの
(5) その他の保険の対象となる損害及び費用に関するもの
第4条(組合の承認及び裁量権)
1 組合員は、前条に定める紛争等に関し法律上の又はその他の手続を開始する場合、又は責任の容認若しくは和解を行う場合には、事前に組合の承認を得なければならない。
2 組合は、個々の案件に対する援助供与開始の決定、その方策及びすでに組合の承認を得て取り上げられている事件の中止又は和解に関して絶対的裁量権を有する。
3 組合は、次に掲げる紛争等については援助供与を拒否することができる。
(1) 勝訴の見込みが低いと合理的に判断されるもの
(2) 相手方から回収できる見込みが低いと合理的に判断されるもの
(3) 紛争等の処理に要する費用と係争金額とを比較して、当該組合員に対する援助供与を行うことが不適当であると組合が判断したもの
第5条(通知及び協力義務)
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第3条に定める紛争等が発生した場合、組合員は当該事件に関し組合員が所持する関係書類、証拠物件その他の情報について速やかに組合に通知しなければならない。また、組合員は、組合の要請がある場合には、
速やかにこれに応じて関係書類を組合に提出するとともに組合が行う調査、事情聴取等に協力しなければならない。
第6条(免 責)
組合は、組合員が次のいずれかの行為を行った場合には、援助供与又はてん補を拒否し、又は取り消すことができる。この場合、組合員は、組合がすでに支払った保険金を返済しなければならない。ただし、組合はその裁量により返済の免除又は返済額の減額を行うことができる。
(1) 第4条第1項又は前条に定める組合員の義務に違反した場合。
(2) 故意に情報等を隠蔽し又は事実と異なる情報等を提供した場合。
(3) 紛争の処理、解決に関し、組合の勧告及び指示に従わなかった場合。
第7条(弁護士等の任免)
組合員から援助供与の要請があった場合には、組合は、当該要請を承認する決定の前後を問わずいつでも、適当と判断する弁護士等を任命することができる。また、任命した弁護士等をいつでも解任し、他の弁護士等を任命することができる。
第8条(免責金額)
組合は、この特約による保険金の支払いに際しては、保険契約規定第 34条(免責金額)の規定にかかわらず、保険契約承諾証記載の免責歩合による金額又は事前に組合員と合意した金額を控除する。
第9条(てん補金額)
組合は、この特約の下でてん補する費用の額を決定する絶対的裁量権を有する。
第10条(てん補限度額)
この特約により組合がてん補する金額は、1件のクレーム、紛争又は手続につき15億円を限度とする。組合は、当該クレーム、紛争又は手続が1件であるか否かを判断する絶対的裁量権を有する。
第11条(保険料)
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組合員は、保険契約規定第6条第3項の規定にかかわらず、本特約の保険料を保険契約規定第6条第1項(1)(2)及び(4)の規定により支払うものとする。
第12条(保険契約規定との関係)
この特約に規定のない事項については、保険契約規定の規定を適用する。ただし、第12条(休航による保険料の払戻し)の規定は適用しない。
Ⅵ.運送人責任保険特約
第1条(特約の締結)
1 本特約を締結しようとする者は、第2条各号に掲げるいずれかの責任について、当該責任の発生原因となる行為をなす前に(ただし、離路(運送契約からの逸脱を含む。)に関しては離路を知った後ただちに)組合に通知し、本特約の締結の承認を得た上で、所定の申込書に本特約の目的である船舶(以下本特約において「加入船舶」という。)その他所定の事項を記載し、署名又は記名なつ印して組合に申し込み、保険料の全部を払い込まなければならない。組合が本特約の締結を承認し、保険料の全部の払込みが行われた時、本特約は効力を生じる。
2 本特約を締結しようとする者は、当該加入船舶につき保険契約規定第 29条(積荷に関する責任及び費用)に規定する責任及び費用のてん補を含む保険契約を締結していなければならない。
第2条(てん補の範囲)
組合は、組合員が次の各号に掲げる船荷証券に基づく積荷に関する責任、及び当該責任を負ったことにより生じた費用を負担した場合、これをてん補する。ただし、保険契約規定第2章「てん補の範囲」に基づきてん補される責任及び費用を除く。また、各号のいずれにおいても、保護梱包されていない鋼材に生じた錆、酸化及び変色に関するものを除く。
(1) 運送契約上甲板下積みを条件としているにもかかわらず、積荷を甲板上に積み付け運送することにより生じた積荷に関する責任。ただし、組合との別段の合意がない限り、丸太を含む木材については投荷または船外流出の場合に限る。また、自動車等については錆、酸化、変色、擦過傷又は打ち傷に関するもの及び再塗装費用を除く。
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(2) 船荷証券記載の加入船舶による当該船荷証券記載の仕向け地への運送に代えて、積荷を任意の港又は地において他の船舶に積み替えることにより生じた積荷に関する責任。ただし、組合との別段の合意がない限り、仕向け地以前の港あるいは以降の港で揚荷した時から他の船舶に積み替えて仕向地まで運送する期間は保管期間を含め30日を超えないものとする。
(3) 船荷証券記載の揚地港以外の場所で積荷を加入船舶から一時的に荷揚げすること及び加入船舶へ当該積荷を再積込みすることにより生じた積荷に関する責任
(4) 船荷証券記載の加入船舶以外の船舶により積荷を代替運送することにより生じた積荷に関する責任
(5) 契約航海から地理的離路をすることにより生じた積荷に関する責任
(6) 積荷を積載したままで加入船舶の乾ドックへの入渠又は修繕を行なうことにより生じた積荷に関する責任。ただし、組合との別段の合意がない限り、積荷の付近での火気をともなう修繕により生じたものを除く。
(7) 受取り船荷証券を発行すべき場合に船積み船荷証券を発行すること、又は積荷の積載日を繰上げ若しくは繰下げた船荷証券を発行すること により生じた船積みされた積荷に関する責任
(8) 船荷証券記載の港以外の場所で積荷を船積みするか又は荷揚げすることにより生じた積荷に関する責任
(9) 荷受人又はその代理人による船荷証券の提出を受ける前に艀へ荷揚げすることにより生じた積荷に関する責任
(10) 加入船舶に積荷を積載するため、加入船舶が運送すべき区間の一部を他の船舶で運送することにより生じた積荷に関する責任
(11) トラック輸送を含む一般的に認知確立された運送方法による継続運送を余儀なくされた陸上運送又は通し運送を行うことにより生じた積荷に関する責任
(12) 組合員が実際に積荷を運送する船舶の運航者でも用船者でもない場合で、シッピングライン(実際の運送人でマスター船荷証券の発行者)が発行した船荷証券に対応する船荷証券を組合員が発行することにより生じた積荷に関する責任。ただし、当該シッピングラインに対する求償権を放棄しない場合に限る。
(13) 従価船荷証券を発行すること、又は積荷の一単位、一個若しくは一包当たりの価額が記載された船荷証券を発行することにより生じた積荷に関する責任
(14) 船荷証券の提出なしに積荷を引き渡すことにより生じた積荷に関する責任
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(15) 前各号以外の事由により生じた積荷に関する責任で、事前に組合に通知し、組合が本特約によりてん補することが相当であると認めたもの
第3条(てん補限度額)
本特約により組合がてん補する金額は、本特約に関する保険契約承諾証記載の保険金額を限度とする。
第4条(保険契約規定との関係)
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本特約及び本特約に関する保険契約承諾証に記載のない事項については、保険契約規定の規定を適用する。
特 別 条 項
油濁責任特別条項
第1条 保険金額の定めのない保険契約を締結している加入船舶の油濁損害に関する当組合の責任は、別途低い金額又は第2条及び第3条により制限される場合を除き、国際P&Iグループのプール協定に従い一船一事故につき米貨10億ドルに制限される。
第2条 遭難船に対し救助その他の援助を加入船舶が行う場合、加入船舶の油濁損害に関する責任は、当該遭難事故に関し救助その他の援助を行っている他の船舶で、(i)当組合に加入し油濁危険につき付保されている船舶、又は(ii)国際P&Iグループのプール協定及び再保険機構に参加している同種組合に油濁危険が付保されている船舶の油濁損害に関する責任と合算され、かつ、国際P&Iグループのプール協定に従い米貨10億ドルに制限される。これらの責任の総額が米貨10億ドルを超過した場合、加入船舶に関する当組合の責任の限度は、加入船舶の責任が前記遭難事故に関して救助その他の援助を行った総ての船舶の責任の合計に占める割合により米貨10億ドルを按分したものに制限される。
第3条 加入船舶に関し、船舶所有者、裸用船者又は船舶管理者が油濁損害に関する責任を個別に当組合又は国際P&Iグループのプール協定及び再保険機構に参加している同種組合に付保している場合、一船一事故当りのこれら組合に対する油濁損害は全て合算され、かつ、国際P&Iグループのプール協定に従い米貨10億ドルに制限される。これら合算された油濁損害の総額が米貨10億ドルを超過した場合、当組合の責任の限度は、組合員に対する当組合の責任の額がこれら全ての組合の責任の総額に占める割合により米貨10億ドルを按分したものに制限される。
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第4条 この条項において“油濁損害”とは、法律上の責任であるか否かを問わず、現実の油の流出又は油流出の恐れにより生じた損害及び費用、又はこれらに関連して生じた過怠金、訴訟その他の費用をいい、かつ、このような損害を防止軽減するための責任又は費用を含むものとする。
用船者(共同契約者)責任特別条項
保険契約規定第37条第4項に定める用船者のうち、同第15条に基づき船舶所有者及び賃借人の保険契約に共同契約者として加わる用船者の責任に対するてん補は、一船一事故当り、米貨3億5千万ドルを限度とする。
内航曳航特別条項
第1条(加入船舶による曳航)
1 組合は、保険金額の定めのある保険契約を締結している加入船舶が、日本の各港間若しくは湖、河川又は港内において他船又はその他の被曳航物(以下、「被曳航物等」という。)を曳航(横抱き状態等を含む。)する場合に、曳航作業が開始された時から終了する時までに発生した当該加入船舶の保険契約承諾証の「てん補の範囲」に定める損害及び費用について、組合員がその支払いの責を負い、かつ、損害賠償金及び費用を支払ったとき、本特別条項の規定に従いてん補する。ただし、標準的な曳航条件に比し加入船舶の責任が加重されている場合は、曳航条件の内容を申し出てあらかじめ組合の承認を受けなければならない。組合は、その承認にあたり保険料及びてん補の範囲につき条件を付すことができる。
なお、加入船舶が他船の出入港又は港内での移動のための補助作業を行う場合は、この特別条項の規定によらず別に定めるハーバータグ特別条項の規定に従いてん補する。
2 組合は、前項の規定にかかわらず、次に掲げる責任及び費用はてん補しない。
(1) 曳航船列上の被曳航物等の損害及びその被曳航物等の使用利益の喪失に関する責任及び費用
(2) 曳航船列上の被曳航物等の積荷又は財物に生じた損害に関する責任及び費用
(3) 曳航船列上の被曳航物等の船骸、燃料、積荷及びその他財物の引揚げ、移動、撤去及び破壊並びに灯火・標識等の設置に関する責任及び費用
第2条(他船による加入船舶の曳航)
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1 組合は、保険金額の定めのある保険契約を締結している加入船舶が、
日本の各港間若しくは湖、河川又は港内において他船により曳航(横抱き状態等を含む。)される場合に、曳航作業が開始された時から終了する時までに発生した当該加入船舶の保険契約承諾証の「てん補の範囲」に定める損害及び費用について、組合員がその支払いの責を負い、かつ、損害賠償金及び費用を支払ったとき、本特別条項の規定に従いてん補する。ただし、標準的な曳航条件に比し加入船舶の責任が加重されている場合は、曳航条件の内容を申し出てあらかじめ組合の承認を受けなければならない。組合は、その承認にあたり保険料及びてん補の範囲につき条件を付すことができる。
2 組合は、前項の規定にかかわらず、次に掲げる責任及び費用はてん補しない。
(1) 曳航船列上の他船の損害及びその他船の使用利益の喪失に関する責任及び費用
(2) 曳航船列上の他船の積荷又は財物に生じた損害に関する責任及び費用
(3) 曳航船列上の他船の船骸、燃料、積荷及びその他財物の引揚げ、移動、撤去及び破壊並びに灯火・標識等の設置に関する責任及び費用
第3条(てん補範囲の拡張)
組合は、第1条第2項で除外される責任及び費用の全部又は一部のてん補について組合員から申し込みがあるときは、割増保険料を徴収してこれを引き受けることができる。
第4条(保険契約規定との関係)
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この特別条項に規定のない事項については、保険契約規定の規定を適用する。
内航押航特別条項
第1条(てん補の範囲)
1 組合は、保険金額の定めのある保険契約を締結している加入船舶が、日本の各港間若しくは湖、河川又は港内において他船又はその他の被押航物を押航する場合に、加入船舶と押航のためそれに連結されている船舶(以下、「連結船」という。)の運航に伴って発生した当該加入船舶の保険契約承諾証の「てん補の範囲」に定める損害及び費用について、組合員がその支払いの責を負い、かつ、損害賠償金及び費用を支払ったとき、本特別条項の規定に従いてん補する。
2 組合は、前項の規定にかかわらず、次に掲げる責任及び費用はてん補しない。
(1) 連結船の損害及び連結船の使用利益の喪失に関する責任及び費用
(2) 連結船の積荷又は財物に生じた損害に関する責任及び費用
(3) 連結船の船骸、燃料、積荷及びその他財物の引揚げ、移動、撤去及び破壊並びに灯火・標識等の設置に関する責任及び費用
第2条(同一組合員の加入船舶による損害)
組合は、押航船及び輸送艀が同一の組合員により加入している場合に、本特別条項第1条に掲げる損害賠償金及び費用が発生したときは、いずれの船舶による責任であるかを問わず、押航船の責任とみなして、押航船の保険金額を限度にてん補し、これを超えた場合は、その超過額を輸送艀の責任とみなして、輸送艀の保険金額を限度にてん補する。
第3条(保険契約規定との関係)
この特別条項に規定のない事項については、保険契約規定の規定を適用する。
内航ハーバータグ特別条項
第1条(てん補の範囲)
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組合は、保険金額の定めのある保険契約を締結している加入船舶で日本の港において他船の出入港又は港内での移動のための補助作業を行う曳船として曳航作業が開始された時から終了する時までの曳航作業において発生した保険契約規定第2章に規定するもののうち保険契約承諾証の「てん補の範囲」に定める損害及び費用について、組合員が
その支払いの責を負い、かつ、損害賠償金及び費用を支払ったとき、本特別条項の規定に従いてん補する。
第2条(てん補の制限)
前条の規定にかかわらず、日本港湾タグ事業協会制定の曳船約款又は組合がこれと同等の内容の曳航条件と認めるものよりも加入船舶に不利な条件にて曳航作業を行うことにより加重される責任及び費用はてん補しない。
第3条(てん補範囲の拡張)
組合は、前条で除外される責任及び費用の全部又は一部のてん補について組合員から申し込みがあるときは、割増保険料を徴収してこれを引き受けることができる。
第4条(保険契約規定との関係)
この特別条項に規定のない事項については、保険契約規定の規定を適用する。
内航特殊作業船特別条項
第1条(てん補の範囲)
組合は、保険金額の定めのある保険契約を締結している加入船舶で日本の各港間もしくは湖、河川又は港内のみを航行する特殊作業船(自航・非自航を問わない。)の運航に伴って発生した保険契約規定第2章に規定するもののうち保険契約承諾証の「てん補の範囲」に定める損害及び費用について、組合員がその支払いの責を負い、かつ、損害賠償金及び費用を支払ったとき、本特別条項の規定に従いてん補する。ただし、当該船舶の工事・作業遂行中に発生した損害及び費用については、次に掲げる責任及び費用をてん補する。
(1) 加入船舶の船員に生じた死傷等に関する責任及び費用。ただし、船員については、船員保険、その他法令により担保する保険への加入を義務づけられている場合は、当該保険の付保の有無にかかわらず、その保険給付の対象となる部分についてはてん補しない。
(2) 加入船舶の船骸、燃料及びその他財物の引揚げ、移動、撤去及び破壊並びに灯火・標識等の設置に関する責任及び費用
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(3) 加入船舶よりの積荷油、燃料油及びその他物質の流出、排出又はそれらの防止に関する責任及び費用
第2条(てん補の制限)
組合は、特殊作業船の工事・作業中に発生した損害及び費用に関し、いかなる場合でも次に掲げる責任及び費用についてはてん補しない。
(1) 工事・作業現場において加入船舶の工事・作業遂行に伴って工事対象物及びその付帯関連物・施設に与えた損害に関する責任及び費用
(2) 工事・作業の請負人として組合員が負う担保責任及び仕事完成義務から生じる責任及び費用
(3) 工事・作業の請負契約の特約で組合員に加重された責任及び費用
(4) 工事・作業の請負契約の解約に伴って発生した損害に関する責任及び費用
第3条(対象船舶)
この特別条項でいう特殊作業船とは、浚渫、吊り上(下)げ、杭打、揚土、砕岩、探鉱、爆破、ケーブル・パイプ敷設、掘削、地質調査、海洋開発、廃棄物の焼却、潜水等の特殊作業を行う船舶をいう。
第4条(保険契約規定との関係)
この特別条項に規定のない事項については、保険契約規定の規定を適用する。
P&I戦争危険特別条項
第1条 組合は、保険金額の定めのない保険契約及び用船者責任保険特約に関して、加入船舶の保険契約承諾証の「てん補の範囲」に定める損害及び費用で、保険契約規定第 35 条第 1 項第 2 号により除外された損害及び費用について、組合員がその支払いの責めを負い、かつ、その損害賠償金及び費用を支払ったとき、本特別条項の規定に従いてん補する。ただし、2006 年タンカー油濁補償協定(2017 年改正)に基づき組合員が負担する責任は除く。
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第2条 本特別条項によるてん補は、保険契約規定第 35 条第 3 項第 2 号に規定された加入船舶の適正な保険価額(当該船舶の適正な保険価額が米貨 1 億ドルを超える場合は、米貨 1 億ドルとみなす。)、又は加入船舶の船舶戦争保険者からの回収可能額のいずれか高い方の米貨相当額を超える部分を対象とする。ただし、本超過規定は、用船者責任保険特約による場合は適用されない。又、組合は、その裁量により、判断
理由を開示することなく、前記の超過額部分の損害の一部又は全部の支払いを認めることができる。
第3条 1 本特別条項によるてん補は、一船一事故あたり米貨 5 億ドル、又は加入船舶の保険契約承諾証に記載する保険金額のいずれか低い金額を限度とする。
2 加入船舶に関して、本船の契約者である組合員又はそれ以外の者により、本特別条項又は国際P&Iグループのプール協定及び共同再保険契約に参加している他の同種組合の本特別条項と同等な保険を別途付保している場合、これらによるてん補の総額は、一船一事故あたり米貨5億ドルを限度とする。これらてん補責任の総額が米貨5億ドルを超過した場合、当該保険契約での当組合のてん補責任は、当該保険契約で当組合から回収可能な最高金額が、かかる事故で当組合及び他の同種組合から回収可能な損害の総額に占める割合により米貨5億ドルを按分したものに制限される。ただし、加入船舶の保険契約承諾証に記載する保険金額を上回らないものとする。
第4条 組合は、保険年度の開始前、開始時、又は期間中の如何なる時点においても、その裁量により、組合員に対する 7 日前の通知を以って、本特別条項によるてん補対象から除外すべき港・場所・国・地域・水域を設定すること、並びに本特別条項によるてん補を終了することができる(組合が通知を発した日の 24 時(グリニッジ標準時)から 7 日が経過した時点でその効力が生じる)。組合は、その裁量により、終了通知の発行後いつでも、組合が決定する条件とてん補限度により、本特別条項によるてん補を復活することができる。
第5条 前条に規定する通知の有無にかかわらず、本特別条項によるてん補は次の各号により自動的に終了し、それらから発生した損害、責任、及び費用はてん補しない。
(1) 連合王国、アメリカ合衆国、フランス共和国、ロシア連邦、中華人民共和国のうちいずれかの国の間で戦争が勃発(宣戦布告の有無を問わない)した場合
(2) 加入船舶が徴用された場合
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第6条 本特別条項では、如何なる場合でも、次の各号が直接又は間接を問わず起因し、又は寄与したことにより生じた損害、責任、又は費用をてん補しない。
(1) 化学兵器・生物兵器・生化学兵器・電磁兵器によるもの
(2) 危害を加える手段としてのコンピュータ・ウイルスの使用、操作によるもの
特殊法人等保険料支払特別条項
組合は、下記の組合員と締結する保険契約については、保険契約規定第1条第2項の規定にかかわらず、下記期日までに組合宛保険料を支払うことを条件に、組合が契約を承諾した時に保険契約の効力が発生したものとし、かつ第7条第1項及び第2項並びに第8条第1項の規定の適用を免除することができる。
(1) 独立行政法人、国立大学法人及び地方公営企業:政府又は地方自治体が予算よりこれらの組合員へ運営費又は補助金を交付し、これらの組合員がその交付金を収受した日の翌営業日
(2) 地方自治体:予算が執行可能となった日の翌営業日
バイオケミカル特別条項
第1条 組合は、保険金額の定めのない保険契約及び用船者責任保険特約に関して、保険契約規定第 35 条第 1 項第 2 号「なお書」に該当し同号の適用がなくなることによりてん補される次に掲げる損害及び費用について、組合員がその支払いの責めを負い、かつ、その損害賠償金及び費用を支払ったとき、本特別条項の規定に従いてん補する。
(1) 保険契約規定第19条(船員に関する責任及び費用)に規定する責任及び費用
(2) 保険契約規定第19条から第31条までに規定する損害及び費用が生じた事故に関する第32条(責任防衛等のための費用)に規定する費用又は損失
ただし、組合員が保険契約規定第35条第1項第2号により除外され た損害及び費用について組合との別段の合意に基づき提供される追 加保険カバー又は他の同種戦争保険契約から回収不能なものに限る。
第2条 1 本特別条項によるてん補は、一船一事故あたり米貨 30 百万ドルを限度とする。
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2 加入船舶に関して、本船の契約者である組合員又はそれ以外の者が、
本特別条項又は国際P&Iグループのプール協定及び共同再保険機構に参加している他の同種組合の本特別条項と同等な保険を別途付保している場合、これらによるてん補の総額は、一船一事故あたり米貨30百万ドルを限度とする。これらてん補責任の総額が米貨30百万ドルを超過した場合、当該保険契約での組合のてん補責任は、当該保険契約で当組合から回収可能な最高金額が、かかる事故で組合及び他の同種組合から回収可能な損害の総額に占める割合により米貨30百万ドルを按分した金額に制限される。
第3条 組合は、保険年度の開始前、開始時、又は期中の如何なる時点においても、その裁量により、組合員に対する 24 時間前の通知を以って、組合が指定した日時で本特別条項によるてん補を終了することができる。組合は、その裁量により、終了通知の発行後いつでも、組合が決定する条件とてん補限度額により、本特別条項によるてん補を復活することができる。
第4条 組合は、本特別条項による保険金の支払いに際し、損害賠償金及び費用から加入船舶の保険契約承諾証記載の「免責金額」を控除する。
第5条 本特別条項は、英国法とその手続きに準拠する。
2006 年小型タンカー油濁補償協定(2017 年改正)特別条項
2006年小型タンカー油濁補償協定(2017年改正)(以下「2006年 STOPIA協定(2017年改正)」という。)の対象となる船舶に関する保険契約を締結している組合員は、あらかじめ組合の承認を得た場合を除き、当該船舶が組合に加入している間、2006年STOPIA協定(2017年改正)の当事者になるものとする。
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また、組合は、当該船舶が組合に加入している間といえども、組合員が 2006 年 STOPIA 協定(2017 年改正)の当事者に該当しない期間中に生じた保険契約規定第 25 条に規定する責任及び費用については、組合員があらかじめ組合の承認を得た場合、または組合があらゆる状況により判断して特にてん補することが相当であると認めた場合を除き、これをてん補しない。
2006 年タンカー油濁補償協定(2017 年改正)特別条項
2006年タンカー油濁補償協定(2017年改正)(以下「2006年TOPIA協定(2017年改正)」という。)の対象となる船舶に関する保険契約を締結している組合員は、あらかじめ組合の承認を得た場合を除き、当該船舶が組合に加入している間、2006年TOPIA協定(2017年改正)の当事者になるものとする。
また、組合は、当該船舶が組合に加入している間といえども、組合員が2006年TOPIA協定(2017年改正)の当事者に該当しない期間中に生じた保険契約規定第25条に規定する責任及び費用については、組合員があらかじめ組合の承認を得た場合、または組合があらゆる状況により判断して特にてん補することが相当であると認めた場合を除き、これをてん補しない。
出資者等特別条項
第1条(保険契約の締結)
組合は次の各号の条件を満たす場合に限り、船舶の運航に伴って生じる、第2条に定める出資者等の費用及び責任に関する損害保険を、本特別条項に基づき以下の条件により引き受けることが出来る。
(1) 当該船舶に関する組合員との間の有効な保険契約に付随し、出資者等を組合員に準じて共同契約者として引き受けること
(2) 当該船舶に関して保険契約を締結する組合員が同意し、組合員が出資者等の代理人として出資者等が署名・捺印した組合所定の書類を添付して契約申込み手続きを代行すること
(3) 監督官庁が承認していること
第2条(定義)
本特別条項において、「出資者等」とは保険契約規定第1条第1項に規定する加入船舶(その運航に伴って生じる費用及び責任を目的とする保険契約が組合と組合員との間に成立しているものに限る。)に関し、船主相互保険組合法施行規則第1条の2第3項に定める次のイからニの行為をしている者(組合員及び組合員たる資格を有する者を除く。)をいう。
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イ 出資
ロ 融資
ハ 担保の設定
ニ 当該船舶に所有、賃借又はイ若しくはロに掲げる行為をしている法人の債務につき無限の責任を負っていること
第3条(てん補の範囲)
組合は、保険金額の定めのない保険契約及び用船者責任保険特約に関して、加入船舶の保険契約承諾証の「てん補の範囲」に定める損害及び費用で、出資者等がその支払いの責めを負い、かつ、その損害賠償金及び費用を支払ったとき、保険契約規定第2章以下の規定に従い「組合員」を「出資者等」に読み替えたうえでてん補する。ただし、本特別条項によるてん補の範囲は、出資者等と共同で契約している組合員の危険と責任で通常行われる運航及び行為により生じる危険、責任及び費用の範囲に限定され、また、保険契約規定及び保険契約承諾証上の特別の条件によって規定される範囲に限定されるものとする。
第4条(保険契約の終了)
1 理由の如何を問わず、当該船舶に関する組合員との間の保険契約が終了したときは、本特別条項に基づく保険契約は同時に終了する。
2 出資者等が第2条に定める出資者等に該当しなくなった場合には、当該組合員及び出資者等はその事実を速やかに組合に書面により通知しなければならない。本特別条項に基づく保険契約はその事実が発生した時に終了する。ただし、本特別条項に基づく保険契約の終了は、当該船舶に関する組合員との保険契約に影響を与えるものではない。
第5条(保険契約規定との関係)
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この特別条項に規定のない事項については、保険契約規定の規定を出資者等に準用する。この場合において、保険契約規定中「組合員」とあるのは文脈上明らかに不適当な場合を除くほかは「出資者等」と読み替えるものとする。
船客及び船員責任特別条項
第1条 保険金額の定めのない保険契約を締結している加入船舶の船客及び船員に対する当組合の責任は、別途低い金額又は第 2 条及び第 3 条により制限される場合を除き、国際 P&I グループのプール協定に従い船客の単体損害については一船一事故当り米貨 20 億ドル、船客と船員との複合損害については一船一事故当り米貨 30 億ドルに制限される。
第2条 加入船舶に関し、船舶所有者、裸用船者又は船舶管理者が船客に関する責任を個別に当組合及び国際 P&I グループのプール協定に参加している同種保険者に付保している場合、一船一事故当りのこれら組合に対する船客の単体損害は全て合算され、かつ、国際 P&I グループのプール協定に従い米貨 20 億ドルに制限される。これら合算された船客の単体損害の総額が米貨 20 億ドルを超過した場合、当組合の責任の限度は、組合員に対する当組合の責任がこれら全ての保険者の責任の総額に占める割合により米貨 20 億ドルを按分したものに制限される。
第3条 加入船舶に関し、船舶所有者、裸用船者又は船舶管理者が船客及び船員に関する責任を個別に当組合及び国際P&Iグループのプール協定に参加している同種保険者に付保している場合、一船一事故当りのこれら組合に対する船客と船員との複合損害は全て合算され、かつ、国際 P&Iグループのプール協定に従い米貨30億ドルに制限される。ただし、
(1) 第2条の規定に従い、船客に対する責任が米貨20億ドルに制限された場合、当組合の船員に対する限度は、組合員に対する当組合の責任がこれら全ての保険者の責任の総額に占める割合により、米貨30億から米貨20億を差し引いた残額の米貨10億ドルを按分したものに制限される。
(2) これら合算された船客と船員との複合損害の総額が米貨30億ドルを超過した場合、当組合の責任の限度は、組合員に対する当組合の責任がこれら全ての保険者の責任の総額に占める割合により米貨30億ドルを按分したものに制限される。
第4条 この特別条項において“船客”とは、運送契約に基づき、船舶に乗船して運ばれる人、又は、運送人の同意のもとで物品の運送契約に基づき、自動車又は生動物を伴って船舶に乗船して運ばれる人をいい、 “船員”とは船舶に乗船している“船客”以外の人をいう。
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第5条 この特別条項に規定のない事項については、保険契約規定の規定を適用する。
制裁対象航海特別条項
第1条 組合が手配する再保険契約(国際P&Iグループのプール協定、同グループが手配する再保険契約、その他組合が独自に手配する再保険契約を含む)の再保険者に対して、各国の法令、施行令等に基づき、監督官庁その他の政府又は公の機関による制裁、禁止、制限等の措置が課されることにより、組合の保険てん補に影響が生じる、又はそのおそれがある航海から発生した事故に関する全ての損害及び費用は、組合員が下記の条項に従うことを条件に保険契約規定の条項に基づきてん補される。
(1) 監督官庁その他の政府又は公の機関による制裁、禁止、制限等の措置が課されることにより当組合の保険てん補に影響が生じる、又はそのおそれがある航海については、当該航海の詳細(航海の予定、積荷の性状又は詳細、船積地及び荷揚地の港又は場所の名称、当該貨物のエンドユーザー名等)について、当該航海の予定が判明次第遅滞なく書面により組合に申告すること。及び、
(2) 組合員は、次に掲げる事項を約する確約書を組合に提出すること。イ 当該航海に対して、(組合員がその管轄権に服さない場合であっても)米国及び欧州連合を含む監督官庁その他の 政府又は公の機関による制裁、禁止、制限等の措置が課さ れるおそれがあることを認識し、これら制裁、禁止、制限 等の措置の結果、てん補の制限を受ける可能性があること
を了承する。
ロ 当該航海を行うことにより、保険契約規定第11 条3 項(3)号、同第 36 条(9)号等の規定に基づき組合による保険契約の解約又は解除、もしくはてん補の制限を受ける可能性があることを十分に理解した上で当該航海を実施する。
ハ 当該航海に伴って生じる責任又は費用のうち、保険契約規定に従い組合のてん補対象とならない金額については、組合員が責任を持って自己の負担により支払い、又は負担する。また、これらの金額については組合による保証の提供がなされないことを十分に理解する。
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ニ 組合が発行又は提供した保障契約(ブルーカード)又はその他何らかの保証等に基づいて、組合が組合員の保証人として又は組合員のために支払った金額のうち、保険契約規定に従い組合によるてん補の対象とならない金額については、組合からの要求があり次第直ちに組合に支払うこと。
(3) 組合員は、組合の求めに応じて、確約者と連帯して確約書に規定する事項につき履行の責任を負担する連帯確約者を設定する。連帯確約者の是認については組合の裁量によるものとし、予め組合の承認を得ることとする。
第2条 組合員が前条に規定する事前申告もしくは確約書の提出を怠ったときは、組合は次に掲げる保障契約(ブルーカード)を取り下げることができる。
(1) 1969 年又は 1992 年の「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(CLC 条約)」第 7 条に従って組合が発行した保障契約(ブルーカード)
(2) 2001 年の「燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(バンカー条約)」第 7 条に従って組合が発行した保障契約
(ブルーカード)
(3) 「1974 年の旅客及びその手荷物の海上輸送に関するアテネ条約及び 2002 年改定議定書の第 4 条の 2」、又は「事故に際しての船客運送人の責任に関する 2009 年 4 月 23 日付欧州議会並びに欧州理事会規則第 392/2009 号」のいずれかに従って組合が発行した戦争危険を除く保障契約(非戦争危険ブルーカード)
(4) 2007 年の「海難残骸物の除去に関するナイロビ国際条約(船骸撤去条約)」第 12 条に従って組合が発行した保障契約(ブルーカード)
2006 年の海上の労働に関する条約特別条項
第1条 組合は、保険契約規定第 19 条に関し、本特別条項に基づき、2006 年の海上の労働に関する条約(MLC 条約)又はこれに基づく締約国における国内法令の下で組合員が負う次の責任及び費用について、組合員を代理して支払う。
(1) MLC 条約第 2.5 規則 A2.5 基準並びにB2.5 指針の規定に基づく船員の未払い賃金及び付帯費用を含む船員の送還費用
(2) MLC 条約第 4.2 規則 A4.2.1 基準並びにB4.2 指針の規定に基づく船員の死亡又は長期後遺障害補償
第2条 組合員は、以下の場合、全額を組合に弁済する責任を負う。
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(1) 組合が本特別条項第 1 条第 1 号に従って支払った場合。ただし、保険契約規定第19 条第1 項第6 号イに規定する費用を除く。
(2) 組合が本特別条項第 1 条第 2 号に従って支払った場合。ただし、保険契約規定第 19 条第 1 項第 1 号に規定する責任及び費用を除く。
第3条 社会保障、他の保険、その他同様の手配、もしくは他の利害関係者から回収できる場合には、本特別条項第1条第 1 号又は第 2 号に関する当組合の支払は、それらから回収できる金額を控除したものを限度とする。
第4条 組合は、組合員(その使用人、代理人を含む。)の寄与過失の有無にかかわらず、次に掲げる事由が、直接又は間接を問わず起因し、又は寄与したことによって本特別条項第1 条第 1 号又は第 2 号に規定する責任及び費用が生じた場合、それらを支払わない。
(1) いかなる化学兵器、生物兵器、生化学兵器若しくは電磁兵器
(2) 危害を加える手段としてのコンピュータ、コンピュータ・システム、コンピュータ・ソフトウェア・プログラム、コンピュータ・ウィルス若しくは処理又はその他電磁的システムの使用又は操作
第5条 組合は、本特別条項における戦争危険に関する支払いを 30 日前の通知を以って終了することができる(組合が通知を発した日の 24 時(グ
リニッジ標準時)から 30 日が経過した時点でその効力が生じる)。上記に規定する通知の有無にかかわらず、次の場合には本特別条項による支払いは自動的に終了し、それらから発生した責任及び費用は支払わない。
(1) 連合王国、アメリカ合衆国、フランス共和国、ロシア連邦、中華人民共和国のうちいずれかの国の間で戦争が勃発(宣戦布告の有無を問わない)した場合
(2) 加入船舶が徴用された場合
第6条 本特別条項については、保険契約規定第 11 条第 3 項第 3 号、保険契約規定第 35 条第 1 項第 3 号及び保険契約規定第 36 条第 9 号の規定を適用する。
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第7条 本特別条項第5 条に規定する場合を除き、組合が船籍国当局に対して、 MLC 条約第 2.5 規則 A2.5.2.11 基準又は第 4.2 規則 A4.2.1.12 基準に従って保険契約の解約又は解除の通知を行った日から 30 日後に、本特別条項に基づくカバーは終了する。
第8条 本特別条項に関し、組合と組合員との間に紛争が生じたときは、一般社団法人日本海運集会所の仲裁に付し、その仲裁判断をもって最終決定とする。ただし、当事者の合意がある場合は、ロンドン海事仲裁人協会登録の海事仲裁人による仲裁に付すことができる。
第9条 本特別条項のてん補において、
「組合員」は組合加入に際し保険料その他の支払義務を負う被保険者を指す。
「船員」は MLC 条約において定義されているものと同義とする。
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「戦争危険」は保険規定第 35 条第 1 項第 2 号に規定されているものと同義とする。