Contract
主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 原告の請求
被告が,屋久町とa株式会社との間で締結された,別紙物件目録記載の5筆の土地使用貸借契約第3条ただし書の規定に基づく協議を行わないのは違法であることを確認する。
第2 事案の概要
1 本件事案の要旨
本件は,xxxxxxxxxx(以下「屋久町」又は単に「町」という。)の住民である原告が,同町がa株式会社(以下「a」という。)との間で締結した町xxの使用貸借契約について,被告が,これを有償の賃貸借契約に変更すべくaとの間で協議を行う義務があるにもかかわらず,これを行っていないのは,違法に財産の管理を怠る事実に該当すると主張して,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,その違法確認を求めた事案である(なお,使用貸借の対象となる土地は,後記のとおり,同使用貸借契約締結後,地籍調査の結果に基づいて変更されているが,原告の請求は,その変更を前提として同様の違法確認を求めるものと解される。)。
2 基礎となる事実(証拠を掲記したもの以外は,争いがないか,当裁判所に顕著な事実である。)
(1) 当事者等(甲3)
原告は,屋久町の住民であり,被告は,同町長である。
aは,旅客鉄道事業,旅行業,旅館業及び飲食店業等を目的とする株式会社である。
(2) 屋久町とaとの土地使用貸借契約(甲6,乙9~11)
ア 屋久町は,平成16年11月27日,aとの間で,別紙物件目録記載の各土地を30年間無償で貸与する使用貸借契約(以下「本件使用貸借契約」という。)を締結した。同契約の締結については,屋久町議会の議決を経ている。
その後,現況に合わせて道路及び遊歩道の地籍を調査した結果,地番が確定され,貸与の対象である土地の地番及び面積に変更が生じたことから,屋久町は,同町議会の議決を経た上,平成18年7月13日,aとの間で,上記調査結果に則り,本件使用貸借契約をその目的物について変更する契約を締結した(以下,本件使用貸借契約の対象である各土地をまとめて単に「本件土地」という。)。
イ 本件使用貸借契約第3条は,以下のとおり規定している。
「本件土地の使用料は,無償とする。ただし,やむを得ない事情があると認められるときは甲乙協議のうえ,変更することができるものとする。」
(甲は屋久町を,乙はaをそれぞれ示す。以下,xxxxx書に基づく協議を「本件協議」ということがある。)
ウ 屋久町は,本件使用貸借契約の締結から現在に至るまで,aに対し,本件土地の使用収益にかかる対価を一切請求しておらず,また,受領もしていない。
エ aは,本件土地を敷地として平成17年2月から「b」を建設し,同年
10月1日,その営業を開始した。
オ その後,現時点に至るまで,特段の事情変更はない。
(3) 原告による監査請求
ア 原告は,平成18年7月31日,町監査委員に対し,地方自治法242条1項に基づく監査請求を行った。この監査請求の趣旨は,「屋久町長は,屋久町がa株式会社に対し,町所有の普通財産である別紙物件目録記載の
5筆の土地を使用させながら,同会社からいかなる対価も徴収していない
ことが『違法に財産の管理を怠る行為』であることを確認するとともに,所要の措置を講ぜよ。」との勧告を求めるものであった。なお,ここでいう「5筆の土地」とは,本件土地を指す趣旨である。
イ 町監査委員は,原告の上記監査請求に対し,同年9月21日付けで,同請求に基づく勧告は行わない旨の監査結果を通知し,原告は,同月23日これを受領した。
(4) 原告による本訴提起
原告は,同年9月29日,本件の訴状を提出したところ,その請求の趣旨は,「屋久町がaに対し,本件土地を使用収益させながら,同会社から対価を徴収していないのは,被告が『違法に財産の管理を怠る行為』であることを確認する。」というものであったが,原告は,同年11月22日付けの準備書面2(同月24日受理,同年12月22日第1回弁論準備手続期日において陳述)において,請求の趣旨を,前記第1に記載のとおり補正した。
3 争点
(1) 原告の請求の趣旨の補正が,訴えの変更に当たるかどうか。
(被告の主張)
ア 補正前の訴えが「対価を徴収していない」ことに関するものであるのに対し,補正後の訴えは「協議を行わない」ことに関するものであり,異なる怠る事実(不作為にある事実)にかかるものであるから,訴えの変更に当たる。
イ 原告の準備書面2は,平成18年11月24日に裁判所に受理されており,同日に新訴が提起されたものであるというべきところ,監査結果が原告に通知された同年9月23日からの30日の提訴期間を既に経過しているから,不適法なものとして却下されるべきである。
(2) 本件協議が,財産管理行為(地方自治法242条1項)に当たるかどうか。
(被告の主張)
地方自治法242条1項にいう「財産の管理」とは,財産的価値の維持・保全を直接目的とするもので,判決の既判力をもってその作為義務の履行を促し,その履行によって財産的価値の維持・保全が実現できるものに限られる。
判決によって協議を行わないことが違法とされ,その履行がされたとしても,相手方であるaには,協議内容を承諾するか否かの自由があるから,被告がaに有償使用を申し入れて協議をしても,有償使用となる保証はない。したがって,本件協議は,財産的価値の維持・保全に直接寄与するとはい えないから,「財産の管理」に当たらず,本件訴えは不適法なものとして却
下されるべきである。
(3) 被告が本件協議を行わないことが違法であるか否か。
(原告の主張)
ア 地方公共団体の有する財産の無償貸付けに関する一般的規制
(ア) 地方公共団体がその財産を無償で貸し付けるには,特段の公益上の必要性がなければならない。
(イ) 地方公共団体の保有する普通財産の貸付けについては,地方自治法
237条2項の反対解釈から,条例又は議会の議決によるのであれば,適正な対価なく無制限に貸し付けることができると解する余地があるかにみえる。
しかしながら,そのような解釈は,国が保有する普通財産について,無償貸付けの相手方を公共団体に限り,使用目的を限定し(国有財産法
22条1項),さらに,公共団体による当該施設の経営が営利を目的とし,又は利益を上げる場合には行うことができない(同条2項)等と,極めて厳格な法規制がされていることと均衡を失する。国に属すると地方公共団体に属するとを問わず,公有財産が広く住民・国民の貴重な共
有物であることに差異はなく,公共性に配慮しつつ効率的運用を要請されるとともに,負担のxxの観点からも「適正な対価」の徴収を原則とすべきことに変わりはないからである。
(ウ) 文献(xxxxx「公有財産管理の実務」)は,「普通財産の貸付けは,住民負担のxx化の見地から,時価によることが建前とされるところであるが,公益上必要があると認めるときは金銭で寄付又は補助をすることができる(地方自治法232条の2)とされているのと同様に,公益上の必要があると認められるときは,時価よりも低れんな価格で普通財産の貸付けをすることが容認されてよい」,「普通財産の無償貸付けは,借受人に対する経済的援助という点からは,減額貸付けよりも徹底しているので,その運用は,減額貸付けをする場合よりも,より強い公益性が存する場合に行われるべきものである」と述べており,xxに規定されている「条例又は議会の議決」という形式的要件以外に「公益上の必要」の要件を満たすことが必要であると指摘している。
同書は別の箇所で,普通財産の時価以下での貸付けにつき「条例又は議会の議決」が求められているのは,「補助金の支出が予算形式において議会のコントロール下におかれると同趣旨において,普通財産の減額貸付けについても議会の承認があったものに限り行えることとされている」としており,この説に従えば,前記法規制の趣旨は,公益上の必要の存否の判断権限を議会に付与しているというにとどまり,当該地方公共団体の議会に無制限の裁量権を付与しているものではない。
同書はまた,借受人に対する経済的援助という点からは,無償貸付けよりも緩やかな減額貸付けにおいてさえ,その対象範囲を「一 地方公共団体その他公共団体において,公用または公共用に供するため,当該地方公共団体その他公共団体に普通財産の貸付けをするとき。二 当該地方公共団体の指導監督を受け,当該地方公共団体の事務事業を補佐し,
又は代行する団体において,補佐又は代行する事務又は事業の用に供するため当該団体に普通財産の貸付けをするとき。」とし,「いやしくも,営利法人に対し,その利益のみのために普通財産の減額貸付けをするがごときことは絶対に避けなければならない」としている。このことは,借受人に対する経済的援助という点からは,減額貸付けよりも徹底している無償貸付けに対し,更に強く働く。
さらに同書は,議会における公益上の必要の存否の判断につき「その目的からみて公益上の妥当性がある場合,いいかえれば,住民全体にとってxxを欠くことがなく,客観的に見て…何人からも承認される妥当性を有するものである場合に限り行えるものである」と説いて,無制限の裁量ではなく客観的な妥当性が求められるとしており,その根拠を,時価以下での貸付けが「借受人に経済的援助を与えるものであり,実質的には補助金の支出と変わるところはない」ことに求めている。これに従うなら,時価以下での貸付けの可否をめぐる公益上の必要の存否判断は,補助金交付の可否と同様,ないしはそれに準ずる基準をもって判断されることを要することになる。
(エ) 多くの地方公共団体は,普通財産の適正な対価によらない貸付けについての「条例又は議会の議決」にいう「条例」を有しているが,これは,上記文献が「一般に普遍的な減額貸付けの範囲については,条例で定めておき,その範囲内の現実の貸付けは,管理機関限りで行うこととしているのが通例である」,「普遍的かつ疑問の余地のない事項については,あらかじめ,条例で定めることとし,個々の決定は,管理機関が条例の法規裁量により行っている」と説くところに一致している。
現実に施行されている条例のほとんどすべてにおいて,無償又は減額貸付けは「国や他の地方公共団体」などの相手方が「公用若しくは公共用に供する」場合のほか,自然災害時の緊急避難措置などに限定されて
おり,上記文献の示す認識が,ほぼすべての地方公共団体の議会において共有されていることを示している。営利企業が行う営利事業の用に供する施設のための無償貸付けはまったく想定されておらず,これと異なる運用を行う余地がある条文を置いている条例は,原告の調査の範囲では絶無である。
屋久町における「財産の交換,譲与,無償貸付等に関する条例」4条も「普通財産は,次の各号の一に該当するときは,これを無償又は時価より低い価額で貸し付けることができる。①他の地方公共団体その他公共団体又は公共的団体において公用若しくは公共用又は公益事業の用に供するとき。②地震,火災,水害等の災害により普通財産の貸付けを受けた者が,当該財産を使用の目的に供しがたいと認めるとき。」と定め,無償貸付けまたは減額貸付けは極めて限定された場合でしか許容されないとの趣旨を踏襲している。
(オ) 普通財産の適正な対価によらない貸付けの要件として,条例と共に議会の議決が法定されている趣旨は,単に議会の議決という形式による承認を要件としているのではなく,これと併せて,当該貸付けが「客観的にみて…何人からも承認される妥当性を有するものである」との実質要件をも充足することを求めていると解するのが相当であり,単に議会の議決という形式による承認を経たことをもって,当該貸付けを適法とすることはできない。
イ aに本件土地を無償で貸し付けることに特別の公益上の必要性はなく,違法であること
(ア) 本件使用貸借契約の相手方は営利企業であり,本件土地の利用目的は,営利事業であるホテル業に用いる建物の敷地としての利用である。無償貸付けは,貸付けの相手方に対する補助金支出と同様の効果(前出文献)をもち,「借受人に対する経済的援助という点からは,減額貸付
けよりも徹底しているので,その運用は,減額貸付けをする場合よりも,より強い公益性が存する場合に行われるべき」(同)ものであり,その判断基準として,地方自治法232条の2の類推適用によるべきとの法理等によれば,本件使用貸借契約は,そもそも法制度の想定外である。
aの事業活動は,固定資産税(建物部分のみ。当初3年間を除く。),入湯税の税収が見込まれること,雇用の増大や観光客の増加による地域経済の活性化への寄与が期待できる等の点で,町民に対する一定の福祉向上効果がないといえなくもないが,これらはいずれも営利目的の営業の反射的効果である。わずかに,大浴場の町民による利用に対し,料金の軽減が図られていることに固有の公益性を見いだせなくもないが,これに供されている施設が,ホテル施設全体からみればごく一部である点,利用に時間制限があり,自ずから対象となる町民が限定される点,軽減されているとはいえ近傍の共同浴場よりも高い入湯料を徴収している点などを考慮すると,「より強い公益性」を認めることは困難である。
(イ) 本件使用貸借契約の期間は30年とされ,更新条項があるが,一般に,普通財産の長期貸付けは,その暫定的有効利用という本来の趣旨からは適切でないし,1回の更新を含めると60年間の長期にわたって土地の無償貸付けという契約を行うことが,通常の賃貸借契約では考えられないことであって,実態的に土地を無償譲与するのに近い内容となり,貸付けとして妥当とはいえない。
また,本件使用貸借契約では,地方自治法238条の5第4項(公用
・公共用使用のための解除権)の行使につき,「ホテルの運営に支障のない範囲で」との制限を設けているが,公益に対して私権を優先させる誤った規定であり,憲法29条3項違反の疑いがある。同規定は,公益優先のために法が特別に認めた授権を,私法上の契約において自ら放棄したもので,その効力を巡って将来,紛議の種となる蓋然性がある。
(ウ) 仮に本件土地を無償譲与した場合,向こう30年間に固定資産税評価額の100分の42(税率100分の1.4の30倍)の税収が見込まれる。町の利害得失からみれば,無償貸付けは無償譲与にも劣る最悪の選択である。
(エ) 本件使用貸借契約についての町議会の審議では,本件土地上に当時存在した旧町営国民宿舎の建物について,本来町が負担すべきであるが高額が予想されるその解体撤去費用と,本件土地の借地料を考慮し,aに対して無償貸与したい旨の説明が町の職員からされており,この両者が交換条件になっていることが明示された。
しかしながら,このような取扱いは,地方公共団体の財政運営として決して許されない。
仮に許されるとしても,交換とされた両条件が,少なくとも等価以上であることを要すると思われるところ,上記説明では,両者の費用の数額が何ら示されていない。
普通地方公共団体は,その保有する普通財産の貸付料の年額を,固定資産税評価額の100分の5と定めるところが最も多い。これに基づいて本件土地の貸付料を試算すると,年額693万4800円から128
2万9380円の貸付料が,貸付期間の30年間には,2億804万4
000円から3億8488万1400円の貸付料が期待できることになる。これに対し,「高額が予想される」解体撤去費は,最大でも数千万円程度であり,原告が調査したところでは,現実に発注された旧国民宿舎建物の解体撤去費は約3000万円とされているから,両者は等価にはxxxに及ばず,このような交換条件は町にとって極めて不利なものであった。
仮に,交換とされた両条件がその数額において等価以上であったとしても,交換とされたのが,一方は原則として単年度に支出すべき解体撤
去費,他方は将来30年にわたって収入をもたらす貸付料であり,両者はその趣旨・性格が異なるばかりか,財政上処理すべき年度が異なっている。地方自治法は,経費相互間でも,項,款の異なる費目の間でこれを流用することを禁じており,歳出と歳入を振り替えることは許されないし,同法208条2項は,同法所定の継続費,繰越明許費等を除くほか,各会計年度における歳入を以て同年度の歳出をまかなう予算単年度主義を採用しており,単一会計年度に支出すべき費用を将来の歳入との交換に供することは,同規定を潜脱するものである。実質的に判断しても,このような取扱いは,帳簿上に残さず後年度に密かに負担を先送りする「ヤミ付回し」とでも呼ぶべき行為であって,財政の健全運営を甚だしく害するものである。
なお,屋久町の財政は危機的状況にあり,給付行政の切りつめと住民負担の増高政策が進められており,それらの影響を直接被る住民からみれば,本件使用貸借契約の有償への変更は焦眉の課題である。
(オ) 被告は,本件使用貸借契約により貸付料を免除しながら,これに重ねて,aがxxしたホテル建物の固定資産税を3年間免除し,さらに,ホテル建設に先立ってaが行った温泉掘削に対し,温泉権を共有した上,温泉を近傍公共施設で利用するためと称して3000万円の支出を行いながら(平成16年11月27日付け基本協定書,甲5),現在なお,上記近傍施設での利用を行っておらず,温泉権を町財産に計上することすら行っていないし,温泉xx,町所有部分の使用対価の徴求も行っていない。
(カ) 町が上記(エ)の交換条件による本件使用貸借契約を提案するに当たり,それ以外に掲げられたエコツーリズムの推進,地産地消への貢献,雇用の確保,住民が利用できる施設の設置などが,他の事業者による同種事業の展開に比して特筆すべき公益性を帯びるとの必要は寸毫も見当
たらないし,提案に際してその旨の説明も行われていない。
また,同種同程度の公益上の貢献をしている他の事業者は,屋久町内に多数存在するところ,これらの事業者に対して町が直接,特別な経済的援助を与えているとの事実もない。
これらによれば,本件使用貸借契約についての屋久町議会の議決は,同契約に特段の公益上の必要性があるか否かの審査をせず,また,これがないことを看過してされたものであり,これは,無償使用を本則と定めた本件使用貸借契約3条本文を承認した限りにおいて,同議会に付与された裁量権を消極的に濫用した違法なものである。
(キ) 以上のとおり,本件土地のaに対する無償貸付けは,違法である。ウ 被告が本件使用貸借契約に関して負う義務とその懈怠
(ア) 被告は,地方自治法138条の2及び同法149条6号に基づき,屋久町の保有する財産を善良な管理者の注意をもって管理する一般的義務を負う。
(イ) 本件使用貸借契約が既に締結され,同契約3条本文に基づく履行がされているとの事実関係の下における被告の作為義務の具体的内容は,遅滞なく本件協議を行い,これを通じて本件使用貸借契約を有償契約に変更して賃料債権を発生させ,これを適切に行使することである。ところが,被告は現在まで,この協議を行っていない。
(ウ) 本件使用貸借契約には3条ただし書があり,協議請求権の行使を通じた有償契約への変更の可能性が残されており,上記イで論じた町議会議決の違法性は,事後的に治癒される余地が残されている。本件訴えは,これを通じて,本件使用貸借契約に係る屋久町議会の議決と,同契約3条本文による履行の違法性を後発的に治癒するよう求めるものである。
(エ) なお,本件使用貸借契約にあっては,契約締結当時とその後の期間とにおいて,契約の客観的前提条件に変化はないが,契約締結当時,当
事者において契約の前提条件に関する重大な誤認があり,それが契約締結後に明らかになった場合には,契約の内容を変更することが私法秩序に反し,又は,それが当該契約によってあらかじめ禁じられている場合を除くほか,客観的前提条件に変化が生じたときに準じて,これを「やむを得ない事情」として取り扱うことを排すべき理由はない。イで論じたとおり,aに対する本件土地の無償貸付けは許されないものであり,これを端的に「やむを得ない事情」として扱うべきである。
(被告の反論)
本件使用貸借契約上,aに対して協議を申し入れることは,法律や条例等によって被告の義務とはされておらず,協議を申し入れるか否かは,被告に裁量がある。
よって,被告がaに対して協議を申し入れなくても,被告が法律や条例に定められた義務を怠っていることにはならない。
なお,本件使用貸借契約3条ただし書によれば,「やむを得ない事情があると認められるとき」に初めて,被告がaに対して使用料にかかる協議を求めることができるにすぎないが,これがないことは原告も認めるところであり,被告は,aに対し,使用料を有償とすることについて協議を申し入れる権利はないものである。
第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(原告の請求の趣旨の補正が訴えの変更に当たるか)について
(1) 本件訴状13頁には,「第4 怠る行為」として,「被告は,(中略)速やかに上記但し書きの規定に従い,本件会社との間で協議を行った上,適正な対価徴収を行うべき作為義務を負う」との記載があり,違法確認の対象となる怠る行為の内容として,本件使用貸借契約の有償契約への変更を目的とした同契約3条ただし書に基づく協議を行わず,これによって対価を徴収していないことと主張していることが明らかである。
そうすると,原告の請求の趣旨の補正は,訴状に記載されているものとは別個の「怠る事実」について違法の確認を求めて訴えを変更したのではなく,請求の趣旨を明確にするため補正を行ったにすぎないものというべきである。
(2) 被告は,本件請求の趣旨の補正が訴えの変更に当たる理由として,補正の前後で「怠る事実」が異なる旨主張するが,上記(1)のとおり,怠る事実の内容に変更はないから,同主張は採用できない。
2 争点(2)(本件協議の財産管理行為該当性)について
(1) 地方自治法242条の2が定める住民訴訟は,地方自治の本旨に基づく住民参政の一環として,住民に対し,同法242条1項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実の予防又は是正を裁判所に請求する権能を与え,もって地方財務行政の適正な運営を確保することを目的とするものである。
よって,住民訴訟により,その懈怠を違法確認の対象とすべき財産管理行為(同条項後段)は,当該財産の財産的価値に着目し,その価値の維持,保全を図る財務的処理を直接の目的とする財務会計上の行為をいうと解すべきである(最高裁第xx法廷平成2年4月12日判決,民集44巻3号431頁参照)。
(2) 前記「基礎となる事実」(2)イ記載のとおり,本件協議は,本件土地について使用料を徴収することを目的とし,本件土地の使用料を無料とした合意を変更するために行われるものである。
この点,本件使用貸借契約が賃貸借契約に変更された場合に得られる使用料(賃料)は,本件土地の使用の対価として得られる運用利益であって,その財産的価値の一内容をなすものといえ,本件協議は,その意味での本件土地の財産的価値を,町財政への具体的な金銭収入という形で十全に享受できるようにすることを直接の目的とするものであるから,本件土地の財産的価値に着目し,その価値の維持,保全を図る財務的処理を直接の目的とする財
務会計上の行為であるといえる。
(3) 被告は,財務会計行為は,その履行により財産的価値の維持・保全が実現できるものに限られるとして,本件協議を行っても有償契約となる保証はないから,本件協議は財産管理行為に該当しないと主張する。
しかしながら,本件協議を行った結果,使用料を無料から有料とする合意に達する可能性も存するから,最終的な協議の目的の成否が相手方の意思にも依存するとの一事をもって,その財産管理行為該当性が否定されるものではないというべきである。
よって,被告の主張は採用することができない。
3 争点(3)(被告が本件協議を行わないことの違法性)について
(1) 証拠(甲5,6,甲8,乙1~11)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア 町が本件土地に民間企業を誘致するに至った経緯
本件土地上には,昭和46年に町が営業を開始した国民宿舎c(昭和6
2年に「国民宿舎d」と名称を変更した。以下「国民宿舎」という。)の建物(xx)があった。屋久町では,かねてよりその管理運営方針が問題となっており,遅くとも平成8年12月ころからは建て替えも問題となった。国民宿舎は,平成14年5月ころ,建物の老朽化のため営業を休止した。
この間,町では,国民宿舎の管理・運営について,平成8年3月に国民宿舎d検討委員会及び国民宿舎dプロジェクト会議(以下「プロジェクト会議」という。)が,同年6月には町議会国民宿舎d対策調査特別委員会
(以下「特別委員会」という。)が,平成13年には町議会地域活性化対策調査特別委員会(以下「地域活性化特別委員会」という。)がそれぞれ設置され,新たな方針が模索された。
この中で,平成8年12月の第4回定例町議会で行われた特別委員会委
員長報告には,宿泊施設の建設から運営まで第3セクターにより実施するが,その出資比率については,町の存在が薄れないよう十分検討すること,という内容が含まれていた。また,平成14年6月24日には,地域活性化特別委員会から,事業意義を最大限具現化できる事業とすること,運営についてはプロに任せて民間ノウハウを十分活用すること,施設整備については,第3セクターも含め財政への影響が最小で,かつ最大に事業効果を発揮できる選択をすること等の内容が最終報告として提出された。
さらに,平成15年3月,プロジェクト会議から,国民宿舎を再建した場合に設けるべき施設の概要のほか,施設整備の方法につき,財政対策を考慮の上,①町が,xx財産を売却して財産を確保して整備する,②PF I方式(裁判所注 公共施設等の建設,維持管理,運営等を民間の資金,経営能力及び技術的能力を活用して行う手法。)による,③民間ホテルの誘致の3案が提案され,また,運営方法として,仮に町が整備する①の方法を採ったとしても,完全民間委託で経費節減を目指すべきと報告された。
これらの町議会委員会による活動・報告は,国民宿舎の跡地に宿泊機能を有する施設を早期に立地すべきという要請を内容とするものであったことから,執行機関である被告においても,それに向けての活動を行っていた。また,地域住民からも,国民宿舎の早期再建を望む声が上がっていた。
イ 民間企業からの立地提案等
町の誘致に対し,平成16年4月から同年8月にかけて,3企業から立地の提案があったが,そのうちの1社がaであった。町は,民間企業によるホテル運営であっても,町民の憩いの施設としての公共性が確保され,地域に受け入れられるものでなければならないと考えていたことから,aに対し,町が事業主体となって国民宿舎を再建するとした場合に考えていたプロジェクト会議の報告書を基本に,①宿泊施設の規模を国民宿舎程度とする,②町民が切望している温泉施設を確保する,③結婚披露宴,宴会,
会議等のイベントができる多目的スペースを設ける,④エコツーリズム,地産地消等の新しい観光スタイルに適応できる,等の条件を示して交渉に臨んだ。さらに,町が支出すべき国民宿舎の解体費用は,高額が予想されたところ,これをaが負担することの合意もできたことから,これらと借地料等を考慮して,町は,本件土地の無償貸与を提示するに至った。
同年9月,プロジェクト会議及び地域活性化特別委員会において,立地企業の選定が検討され,同年10月1日には,国民宿舎の跡地利用について,町議会全員協議会が開かれ,aによりホテル建設の構想が説明された。
その後,α区長,同区議長よりホテル建設要望書が提出され,町とe組合f支部との間でも協議が行われた。
ウ aとの契約締結
(ア) 同年11月22日,地域活性化特別委員会が開催され,aとの間で締結する基本協定及び本件土地の使用貸借契約の内容について協議が行われた。その際示された案は,最終的に締結された基本協定及び使用貸借契約とほぼ同内容であった。
(イ) 被告は,同年11月26日の屋久町議会臨時会に,国民宿舎の跡地である本件土地の無償貸付けを,地方自治法96条1項6号に基づき議題として提出した。被告の提案理由は,aが,町の企業誘致,企業立地の視点での要請活動を受けてホテルを建設するものであり,国民宿舎の解体費用の全額負担に合わせ,地域住民が利用できる施設など,町の希望する施設整備を行うこととし,また,エコツーリズムの推進や地産地消の促進等を通じ,地域作りに貢献すると共に,地域社会と連携した施設運営を理念としていることからも妥当であると判断し,無償貸付けを行いたいというものであった。
(ウ) これにつき,議員と被告との間で,要旨,次のような質疑応答が行われた(括弧内は議員の質問)。
① (エコツーリズムの推進,地産地消の促進,地域社会と連携した施設の運営の具体策)
地産地消は,町がこれまで挑戦しても,組織体制の不備のため,食材等の供給が不安定であったので,町としては,aがホテルを開業するまでには,生産農家との橋渡しや契約栽培等を実現したいと考えている。aも,地産地消を経営方針にしたいという強い希望を有しており,海産物を屋久島近海のものにこだわるなど,盛んな提案をしてくるので,それに対応できるよう町としての体制を早急に整えなければならない。エコツーリズムについては,遺産センターや観光協会等の関係諸機関との間で協議中であるが,その情報提供をaにしている。町としては「山奥一点集中」を解消したいと考えているが,aとしても,既存の拠点施設と組んだプログラム作りに協力したいという意向を示しており,集客という観点からも積極的なように見受けられる。地域社会との連携としては,地域住民が温泉を利用しやすくすると共に,雇用の面でも島内に還元するということを考えており,aから島内の高等学校へ求人の働きかけなどもしている。
② (4年目以降の固定資産税及び初年度からの入湯税の各税収を,地域振興策に利用する考えはないか)
初年度3年間の免税は,これまでも複数の例があり,aのみを特別扱いしているわけではない。税収は,町の新たな収入であるので,地元との連携という観点でも地域に還元していきたい。そのシステムは,従来の条例の枠の中で対応していくことができる。
③ (解体費用と土地の無償貸付けは,経済的合理性は理解できるが,将来にわたる無償貸与は,実際に「上げるに等し」く,町民の間で心理的抵抗感を生んでいるところ,その解消策)
町の財政状況は窮地にあり,目前の多額の支出は不可能である。町
長として,「花を取るより実を」という考え方に立った。今回,複数の企業から手が挙がっていたが,敷地を賃貸借とすることを前提とした場合,受けてくれる企業はほとんど見当たらず,誘致をする側としては企業側に対するメリットも用意しなければならなかった。交渉の当初は,町の費用で国民宿舎を解体した上で更地にした敷地を貸すとか,町の費用で温泉を掘削し,企業がその提供を受けて入湯税を支払う等の案も出されたが,町としてはそれらの出費が困難であったため,それらの案を拒絶せざるを得ず,折衷案として,無償の敷地貸与を提案した。
(エ) これらの質疑を経て,屋久町議会は,全員一致で,国民宿舎に代わるホテルを建設・運営する企業としてaを選択し,本件土地を無償で貸与する旨の議決をした。被告は,屋久町を代表し,同月27日,aとの間で,基本協定(後記オ)と本件使用貸借契約を締結した。これに基づき,同年12月以降,国民宿舎の解体工事,温泉井戸掘削,ホテル建設等が開始され,ホテルは平成17年10月1日,b(以下「本件ホテル」という。)として開業して現在に至っている。
エ 関連条例の内容
町の「財産の交換,譲与,無償貸付等に関する条例」(昭和39年3月
23日,条例第9号。以下単に「町条例」という。)の4条には,以下の規定がある。
「普通財産は,次の各号の一に該当するときは,これを無償又は時価より低い価額で貸し付けることができる。
① 他の地方公共団体その他公共団体又は公共的団体において公用若しくは公共用又は公益事業の用に供するとき。
② 地震,火災,水害等の災害により普通財産の貸付けを受けた者が,当該財産を使用の目的に供しがたいと認めるとき。」
オ 基本協定の内容
上記基本協定は,屋久町とaの相互協力のもと,本件土地上に建設されるホテルが地域社会と連携し,円滑にホテル運営が行われることを目的とし(1条),以下のことを内容としていた。
(ア) 本件土地上に建設されるホテルは,aが建設して所有するものとし,そのグループ会社が運営するが,グループ会社についてもこの協定を遵守させること,町とaはその運営面において相互に協力し,aが事業内容や主な施設を変更しようとする場合,屋久町と事前に協議しなければならないこと(2条)
(イ) 町のaに対する本件土地の無償貸与,aがその負担において旧国民宿舎を解体撤去すること,aとして地域住民も利用可能な施設を備えたホテル建設に努めること(3条)
(ウ) 町は,建設されるホテルと付帯施設に対する固定資産税を課税年度より3年間免除すること(4条)
(エ) aは,ホテルの設計・建築及びホテル事業に当たり,世界自然遺産登録の地にふさわしいホテルとして,自然景観と自然環境の保全に十分配慮すること,ホテル事業を行うに当たり,町と協力してエコツーリズムの推進を図ること(5条)
(オ) aは,ホテル事業を行うに当たり,町の行政区域内からの優先的な雇用に努め,また,町と協力して,地域における地産地消の促進に取り組むこと,町の調整のもとで地域の宿泊施設等との良好な協力,連携に努めること(6条)
(カ) aと町は,建設されるホテル及び公共施設等への給湯のため,新たに温泉源を確保すること,町は,温泉権の一部を取得するため,掘削等に要する費用の2分の1(上限は3000万円)を支出し,その額に応じた持ち分を取得すること(7条)
カ 本件ホテルの概要等
(ア) 本件ホテルは,ホテルのコンセプトとして4点を掲げているところ,うち3点は次のようなものである。
① 「屋久島を感じる出発点となるホテル」
ホテルの最大の商品は屋久島そのもの。訪れる人に対し,屋久島の自然,文化,伝統など屋久島の魅力を紹介する。
② 「地域のみなさまに身近に愛され,親しまれるホテル」
地域の施設として親しまれていた旧国民宿舎に代わるホテルとして地域の住民とのつながり,連携を積極的に進める。
③ 「屋久島におけるエコツーリズム推進に貢献するホテル」
世界自然遺産の島に建つホテルとして,屋久島の自然環境保全と地域の発展を同時に実現する仕組み作りの推進に取り組む。
(イ) 本件ホテルの施設には,温泉浴場,多目的ホールがあるほか,レストランでは,地元の食材を生かした料理が提供されている。また,温泉浴場の入浴料は,町民大人400円(それ以外600円),小人200円であり,これについては町議会全員協議会による協議を経ている。
(2) 普通地方公共団体の長は,当該団体を統轄し,これを代表して,当該団体の事務を,自らの責任と判断において,誠実に管理執行すべき義務を負う
(地方自治法138条の2,147条,148条)。
そして,地方自治法は,財産の取得,管理及び処分を長の権限において処理すべき事項としている(同法149条6号)から,財産の管理は,長がその裁量の範囲内で行うべき事項である。したがって,これが裁量の範囲を逸脱し著しく不当なものでない限り,違法とすべきではない。
本件協議は,先にみたとおり,町の普通財産である本件土地の管理に該当し,長である被告の権限に属する事項であるので,以下,本件において,被告がaとの間で本件協議を行わないことが,財産の管理として長の裁量の範
囲を逸脱し著しく不当といえるかどうかを検討する。
ア 上記(1)で認定した事実によれば,町として有効活用すべきであった本件土地が,その上に存在した使用不能な国民宿舎の建物の解体費用を町が捻出できないでいたために,国民宿舎休業後その経済的価値がまったく発揮されない状態であったのみならず,新たな温泉施設付宿泊施設の設置は町議会特別委員会や住民の強く求めるところでもあって,町としては国民宿舎に代わる施設の再建が喫緊の課題であったところ,町の財政状態が窮迫しており,それに要する資金を支出することができなかったので,町としては,その解決策を模索する中で,民間の資金や技術等を活用する方針を選択し,国民宿舎の代替施設としての観点から,町としての希望条件を提示して企業誘致を試みた結果,これを満たす業者としてaが選ばれ,本件ホテルの建設・運営に至ったのであり,これにより,町民が希望していた,町民も利用可能な温泉施設(町民については大人利用料が3分の2に設定されている。)等を有する施設が建設・運営されることとなるとともに,建物の固定資産税(当初3年間を除く。),地産地消,雇用機会の増大等の経済的効果がもたらされることとなったものである。
イ そして,その交渉の中で,町が解体費用及び温泉掘削費用を負担せず,かつ,施設を運営する企業から借地料を徴収するという前提では,町の誘致に応じる企業が存在せず,敷地の貸借を無償とすることで初めて,町と aとの間で,同会社が本件土地においてホテルを建設・運営するとの合意ができ,これにより,借地料収入こそないものの,国民宿舎の跡地に,それに代わる温泉施設付宿泊施設の建設が実現し,本件土地から経済的利益を得ることが可能となったものである。
ウ 本件使用貸借契約は,町議会の議決に基づき,被告が締結したものであるが,これもまた本件土地という財産の管理に該当する行為であるから,被告の裁量により行うべきものであり,その裁量を逸脱した著しく不当な
ものと評価されない限り,違法とならないものと解されるところ,aに対する本件土地の無償貸付けは,当時の状況に照らし,本件土地という財産の経済的価値を発揮させるために一定の必要性・合理性が認められ,違法とはいえないというべきである。
すなわち,本件土地に建設されるホテルは,もともと町が運営していた国民宿舎の再建・代替施設である点で,その建設・運営は公共性を帯びるものといえるから,その敷地の無償貸付けが町条例4条に反するとまではいい難いし,町独自の財政においては本件土地の有効利用が不可能であったこと,本件土地を賃貸借とすると町の誘致に応じる企業がなかったこと,本件ホテルは町の希望を反映させて建設・運営され,一定の経済的効果をもたらしていると認められることなどに鑑みれば,経済的観点からみても,これが地方財政法8条に照らし違法であるとまではいえないというべきであり,他にこれが違法であると評価すべき事情はない。
そして,原告も認めるとおり,その後に特段の事情変更はないのであるから,本件土地を無償で貸し付けている状態が違法であるとはいえず,したがって,被告においてその是正措置を講じる法的義務があると解することはできない。
エ そうすると,被告が,本件土地の貸借契約を有償に変更すべきと判断してaと協議を行うか否かは,いまだ被告の裁量の範囲内で決すべき事項にとどまっているというべきであるから,被告が本件協議を行わないことが,その裁量の範囲を逸脱し著しく不当であって違法であるとはいえない。
オ なお,原告は,aから本件土地につき借地料を徴収しないことが違法である理由として,aや本件ホテル事業の営利性,向こう30年間に得られたと考えられる賃料収入額,議会における審査の不十分等を主張するが,上に認定・指摘したところに照らし,いずれも採用できない。
また,原告は,本件使用貸借契約における解除権の行使の制限や温泉権
の扱いに関しても主張するが,本件で問題となっているのは,本件土地の使用料を徴収しないことの違法性であって,原告指摘の点は直接関係がなく,上記判断に影響を及ぼすものではない。
4 結語
以上によれば,原告の本件請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
鹿児島地方裁判所民事第2部
裁 判 長 裁 判 官 x x x x
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