Contract
看護・介護職場の夜勤協定のてびき
日本医療労働組合連合会
夜勤協定とは P3
夜勤協定書(モデル案) P4
夜勤点検項目 P6
夜勤協定とは ※( )は前年度
「夜勤協定」とは、労使間での合意内容を文書で、ひと月単位を基準に夜勤に関する制限を定めたものです。協定内容としては、ひと月の夜勤回数上限、1回の夜勤に就く人数や、妊産婦の保護、協定遵守の点検方法などの項目を盛り込みます。
現在の日本では、1ヶ月当たりの夜勤回数を制限する強制力のある法律はありません。しかし、1989 年からの看護師闘争の成果として、1992 年に「看護師確保法」が制定され、「看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」の中で、
「複数を主として月 8 日以内の夜勤体制の構築に向けて積極的に努力する必要があ る」とされています。但し、この努力を使用者が怠ったとしても罰則はありません。だからこそ、夜勤協定を労使で結んで、ルール作りをしていくことが必要です。
2017 年度の夜勤実態調査では、加盟組織の調査であっても、看護では「有」が
77.0%(73.5%)、「無」23.0%(26.5%)、介護では「有」が 51.8%(53.2%)、
「無」48.2%(46.8%)という結果になっています。労働組合があっても、看護で 4分の1、介護で約半分が協定を持っていません。全ての組織でルール化が必要です。使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条 件を明示しなければならないことが労基法第15条で定められています。有害と言われる夜勤を制限し、協定化することは、労働者が、健康で人間らしい生活をおくるこ
ととなり、ひいては安全・安心の看護・介護を提供することにつながります。
日本医労連が、2017 年に作成した「夜勤協定の手引き」、今回作成した「夜勤協定書(モデル案)」「夜勤点検項目」等を活用することで、すべての職場で夜勤協定を獲得し、人員不足の解消、大幅増員をかちとるたたかいにしましょう。
夜勤協定締結をめざして
使用者には、労働者を守る責任があり、組合にはこれらのことができているかチェックし見届ける役割があります。労働組合として、夜勤協定にむけた職場討議・協定案の作成、交渉を進めましょう。合わせて、締結時には、確認書等で、夜勤体制や、休憩時間等、細かな事項について労使で確認しておくことが大切です。
夜勤協定締結後
協定締結後も、協定を守らせ、労使で点検委員会をつくり、毎月、予定表と、実施表の点検を行い、さらなる改善が必要です。守られていない場合は、なぜ守られていないのか理由を明らかにさせて、組織に改善させ、対案を出させましょう。
夜勤協定書(モデル案)
記
○○病院と、○○労働組合は、夜勤に関して、下記のとおり協定を締結する。
1.協定の目的
1)看護体制の確立と労働条件の向上を目的とし、患者・利用者の立場にたった看護・介護をめざす。
2)様々な条件をもった夜勤者が互いに理解・協力し、職場の団結をより強化することをめざす。
1・協定の内容
1) 夜勤者は、複数を原則とし、1人1ヶ月 8 日以内とする。
2) 勤務間隔は、16 時間以上とする。
3)妊産婦(妊娠中および産後1年未満)の場合は、労働基準法66条を適用する。
4)師長の夜勤・当直について、職場の管理・運営上、師長(副師長を含む)は原則として夜勤要員とみなさないものとする。
5)協定の実施状況について、本協定が遵守されているか月1回点検・協議を行なう。
6)協定が遵守できない場合、使用者は事前に労働組合に通告し協議を行うものとし、実施後は、事後に対策をたてる。
○○○年○月○日 ○○病院
○○長 ○○ ○○
○○病院労働組合
執行委員長○○ ○○
確認書
1.協定にあたっての付帯事項(留意点)
1)体制と具体的実施について
現状での夜勤体制は次の通りとする。
○○病棟 | 準夜○人 | 深夜○人 |
○○病棟 | 準夜○人 | 深夜○人 |
○○病棟 | 準夜○人 | 深夜○人 |
○○病棟 | 準夜○人 | 深夜○人 |
外来 ○人(月○回)
勤務時間
準夜○○~○○(休憩時間1人目○○~、2人目○○~、3人目○○~)深夜○○~○○( 休憩時間1人目○○~、2人目○○~、3人目○○~)
※休憩時間の明示が望ましい。
夜勤点検項目
1.協定の夜勤日数・人員が守られているか例)8日夜勤は守られているか。
夜勤体制が、協定通り「準夜3人」「深夜3人」になっているか
協定で夜勤免除になっている人が、入っていないか(師長、妊娠者等)
2.連続夜勤が多くないか
3.夜勤のバランスはどうか
(人によって偏りがないか、準夜・深夜のバランスはどうかなど)
4.連続勤務になっていないか。週休が取られているか
5.休憩時間はとられているか
6.勤務と勤務の間隔は、十分とられているか(原則16時間以上、最低でも12時間以上あいているか)
7.有休や生理休暇等の諸権利が守られているか
8.超過勤務の状況はどうか
9.長期休暇(産休、育休、病休)の夜勤免除者の代替はあるか。短時間正職員の状況はどうか。入退職状況と欠員補充状況
【長時間労働・夜勤規制に関する日本医労連の提言】
① 1日の所定内労働時間は、8 時間以内にすべきである。
② 1日の労働時間は、時間外を含めて 12 時間を超えてはならない。
③ 交替勤務では、次の交替勤務まで、連続 16 時間以上(少なくとも連続 12 時間以上)の休息時間を与えねばならない。
④ 夜勤は、月 64 時間を超えるべきでない。
⑤ 夜勤時の配置人員は、患者(利用者)10 人に 1 人以上とすべきである。
⑥ 人員配置は、少なくとも年次有給休暇の完全取得を前提とすべきである。
⑦ 交替制勤務者には、年齢を問わず、乳がん・前立腺がんの定期検診を義務付けなければならない。
※「べきである」は「原則」であり、「ならない」は禁止事項
※ 健診とは総合的な健康診断、検診とは特定の病気かどうかの診察
2010年1月作成より再掲