Contract
資料2
認知症の経過、特徴と必要な支援
~高齢者との安定した契約を目指して~
2018年12月10日
京都府異業種連携による
“認知症にやさしい”サービスのあり方検討・実践
第1回キックオフミーティング
京都府立医科大学大学院医学研究科
精神機能病態学
xx x
• 認知症患者数 462万人
• 軽度認知障害 400万人
79.5
61
41.4
21.8
2.9
4.1
13.6
100
2010 年の一人暮らし世帯は全体の30%を超えており、2035年には38%と予測されている。
(国立社会保障・人口問題研究所)
80
% 60
40
20
0
00-00 00-00 00-00 00-00 00-00 00-00
95-
厚生労働科学研究費補助金(認知症対策総合研究事業)
総合研究報告書「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」(代表:xxx)2012年
認知症の原因となる病気
脳が痩せる
病気
• アルツハイマー型認知症
• レビー小体型認知症
脳卒中の
後遺症
• 血管性認知症
その他
• 脳腫瘍・正常圧水頭症
• アルコール・薬剤性
主な病気
1. アルツハイマー型認知症 (>50%)
2. 血管性認知症 (20%)
3. レビー小体型認知症 (5-10%)
アルツハイマー型認知症
• 老人斑、神経原線維変化
• 海馬、側頭葉、頭頂葉の機能低下、萎縮
• 認知機能、日常生活機能が年単位でゆっくりと低下
アルツハイマー型認知症の症状と経過
• 発症前期
– うつ、軽いもの忘れ
• 初期
– もの忘れ、日付を忘れる
• 中期
– 言葉が出ない、服が着れない、xxxの失敗
– 歩行障害、筋肉が硬くなって動かしにくい
– 今いる場所や親しい人を思い出せない
• 後期
– 言葉が出ない
– ねたきり
1年
3年
5年
7年
10年
典型的な経過
• 発症時76歳 女性
– メモをとる習慣があったが、メモを置き忘れるようになった
– 地下鉄に乗ると場所がわからなくなり迷子になった
– 抗認知症薬服用開始
• 79歳時
– 生活にxxを要するようになり娘と同居を始める
– デイサービスとホームヘルパー利用開始
• 82歳時
– 娘が家に帰ると机で泣いているようになった
– 抗うつ薬の投与で改善
• 83歳時
– トイレを失敗するようになった。
– 転倒して大腿骨を骨折し入院。退院後はぼんやりと無気力な様子となった。
– xxxxでいるときに何度か家を出て外で見つかることがあった。
– ショートステイ利用開始
• 84歳時
– かぜをひいたのをきっかけに、昼と夜が逆転して夜間興奮して家を飛び出そうとすることがあった。
15_ペルソナシート
名前 | xxxx | 家族構成 | 夫と死別してから独居息子が京都市内に居住 | ビジュアルイメージ | |
性別 | 女性 | 居住地 | 京丹後市 | ||
年齢 | 75 | 趣味 | 華道、ゲートボール | ||
職業 | 無職(元会社員) | 休日の過ごし方 | 近くの友人の家に行ってお しゃべりする、畑の手入れ、買い物 | ||
収入 | 年金(月8万円)、貯蓄(2000 万円)、持ち家、生命保険とお葬式のための積立をしてい | 好きな雑誌やメディア | テレビ(NHK)、通販雑誌 | ||
担当している主な業務 | る。 年金を月1回タクシーで郵便局へ行って下ろす。 そのままスーパーを回って重い買い物をする。普段は生協の宅配を利用している。畑の苗は通販で買っている。スマホを使ってラインで友達や息子、xとやり取りをしている。 | チャレンジしていること | ライン以外のスマホアプリを使うこと。パソコンで ブログを書くこと。 | ||
悩んで いること | 最近物忘れが増えていて、同じものを何度も発注してしまう。姑が認知症でxx介護したので、自分が認知症になると息子に迷惑がかかるのではと心配している。 | 検索(連想)している キーワード | 終活、遺言、エンディングノート健康長寿 xxxxx |
17_カスタマージャーニーマップ
タッチポイント | |||||
行動 | |||||
心理状況 | |||||
ニーズ |
高齢者の人生経過図
健常
MCI
軽度
中等度
高度
終末期
死後
経済的被害
高齢者を狙った悪徳商法親族による流用
早期啓発、予防教育
経済活
動 認知症の知識、将来の備えに関する知識習得
遺言の作成⇒定期的に意思の確認と修正
サ
ポ
ー 親族、友人など身の回りの人に自分の希望や意思を事前に共有しておく
客観的な能力評価による遺言の有効性の証明
ト
金銭管理能力の低下
ATMの操作・通帳の管理が困難に
⇒生活の困窮化
物盗られ妄想
貯金はあっても本人の生活を豊かにするために活用できな
い 意思
相続
遺言者の認知能力が争点に
窓口における遠隔技術による能力評価の実施
高齢者対応銀行サービス
認知
経済活動の契約行為時など⇒本人のレベルに応じた対応、サポート 機能
「年をとればとるほど幸せになる社会」
会員専用の介護相談ポータルサイト
トラ
介護相談窓口(対面相談、電話相談)
イ
フ 認知機能セルフチェックや会員同士
・ の情報交換
サ
遠隔コミュニケーションツール
ポー
介護が必要になっても住み慣れた地域で安心して生活でき
見守りシステム
るように専門家から情報提供
独居でも人との交流、会話の楽しみを維持
有料老人ホーム
いつまでも自分らしく独居での安心・安全な生活を維持
能力低下の程度に応じて意思決定が支援され、その人のためにお金が使える仕組み作りを目指す
誰が本人の預金を管理している?
(11.5%)
6名
(21.2%)
11名
34名
(65.4%)
1名(1.9%)
本人が管理 介護者が管理本人と介護者不明
病識の得点分布(自施設)
人数
病識得点
N=118
N=47 N=17
記憶に関する本人評価と介護者評価の差(得点が高いほど病識がない)
認知症の人と創るxx社会システム
弘前大学
真の社会イノベーションを実現する革新的「健やか力」創造拠点サテライト
科学技術振興機構(JST)
センターオブイノベーションプログラム(COI)
京丹後地域
高齢者の意思決定サポートモデル地域
意思決定サポートセンター
意思決定サポート
コミュニケーションロボット
大日本印刷
公立はこだてxx大学
実践・実証の場
同志社女子大学現代社会学部
プロジェクトリーダー
ベネッセスタイルケア
研究リーダー
京都府立医科大学
徳島大学理工学部
アールエフネットワーク 三昌商事
京都府立大学
村田製作所 住友電工
認知症の人と家族の会京都府支部、京丹後市、京都府
医師会、京都地域包括ケア推進機構、京都府丹後保健所、xx医師会、与謝医師会、京都社会福祉士会
慶應義塾大学理工学部
住友xx セコム
三井住友信託銀行 京都銀行
志學館大学人間関係学部
xxx情報総研
アシスティブテクノロジー介護支援
認知症の人にやさしい金融機関
慶應義塾大学医学部
シスコシステムズ
IIJグローバルソリューションズ
大日本印刷
中央大学法学部
遠隔評価
高齢者意思決定の特徴と支援
意思決定サポートシステム
9大学、14企業、1自治体、4団体、2機関
2013年よりJSTの助成を受け活動開始
医療行為を決めるためには
1. 医療行為に対する十分な説明(情報開示)
2. 説明を理解し、納得する(医療同意能力)
3. 自由な意思による同意(自発性)
• 情報開示の方法が患者の理解度に影響を与える
• 情報を的確に伝えられ、理解度が高い患者は満足度が高く、治療にも協力的
⇒患者がどの程度正しく理解しているか確認することが重要
Xxxxxxx, et al, 2005
「判断の複雑さ・リスク」と「意思決定能力」
意思決定困難
意思決定可能
高
判断の複雑さ
・リ
スク
低
低い 意思決定能力 高い
治療内容によるグラデーション
①予防接種
②内服治療
③抗生剤点滴
メリット 高 ①
⑥
③
④内視鏡検査
⑤抗がん剤治療
⑤
⑥大腿骨頸部骨折手術
⑦大腸がん手術
⑦
②
安全性 高
④
意思決定の分類
①
メリット 高
⑦
③
④
⑥
⑤
安全性 高
②
⑨
⑧
• xx後見制度における財産管理能力
①通帳の管理
②不動産の売買
③遺産を受け取る
④買い物、公共料金支払いなどの日常の金銭管理
• 契約能力
⑤任意後見契約
⑥不動産の賃貸契約
⑦介護サービス契約
⑧金融商品の契約
⑨遺言能力
医療同意能力評価と意思決定支援ベストプラクティス
1. 本人に丁寧に治療内容を説明する |
2. 説明にあたっては患者が安心できる環境を準備する |
3. 他の人に相談したり、記憶力低下を補えるよう説明内容のハンドアウトを準備する |
4. 医療同意能力を低下させる要因がないか確認し、あれば治療したり補ったりする |
5. 同意能力評価にあたっては患者自身の言葉で治療内容を説明してもらう |
6. 本人の同意が有効かどうかの判定には治療内容の複雑xxリスクも考慮する |
7. 本人の価値観や好みを吟味した上で、医療者として推奨する治療を提案する |
8. 地域での支援者を含む多職種から本人の希望に関する情報を集める |
9. 家族の意思決定を支援するにあたり、家族関係に注目する |
10. 治療開始後も柔軟に軌道修正する |
臨床現場でよく起きる間違い
[もくじ]
認知症の理解(医学的見地から)
●主な認知症ごとの特徴
●地域連携、多職種連携の必要性
知っておくべき基本知識
●高齢者とのコミュニケーションのとり方
●高齢者との信頼関係の築き方
●意思決定能力とは
●金融機関における認知症気づきのポイント
●金融機関と公的支援窓口との連携
今すぐ活かせる! ケース・スタディ
●「通帳や印鑑を繰り返しなくす」
●「経済的虐待」
●「詐欺被害」
金融機関の困りごと〔対面編〕
●来店目的不明で長時間銀行に居続けるケース
●何度もかけてくる電話への対応
●預金を盗られたという訴えへの対応
●本人の認知機能が変動しているケース
金融機関の困りごと〔訪問編〕
●長くお付き合いのある顧客宅を訪問したら、以前と様子が違うケース
●長くお付き合いのある顧客が保険料を滞納するケース
●長くお付き合いのある顧客が、最近、
自動車事故を頻繁に起こす
ケース
金融機関が準備できること
●リスク性商品の売買を行う場合
●金融機関の組織的な対応
方針について
●決められない本人に代わって、家族が預金解約を
希望するケース
●本人がxx後見制度の利用を拒否するxxx
●家族間の意見の対立があり、本人が特定の家族の言いなりになっているケース
xxな契約と意思決定サポートのために
1. 本人に丁寧に安心できる環境で契約内容を説明する |
2. 他の人に相談したり、記憶力低下を補えるよう説明内容の資料を準備する |
3. 契約能力確認にあたっては本人自身の言葉で契約内容を説明してもらい記録する |
4. 契約能力の確認手順設定にあたっては契約内容の複雑xxリスクも考慮する |
5. 高価な商品や損害のリスクがある場合は、複数で本人の理解や意向を確認する |
6. 契約のプロセスが1~5の要件を満たしているかを確認する仕組みがある |
一般社団法人日本意思決定支援推進機構
(意思決定能力評価・サポートセンター)
医療同意能力評価
意思決定支援
認知症高齢者を対象とした医療現場における支援つき意思決定
日本意思決定支援推進機構
【権利擁護と適切な意思決定支援のための研究開発及びサービス提供の継続的推進】
• 他分野への応用展開
• 意思決定支援のための技術開発と普及啓発
民間事業者
(金融機関、小売)
• 金融商品・保険
• サービス契約
法律
(弁護士・司法書士)
• 遺言作成
• xx後見制度利用
介護福祉
(ケアマネジャー・介護士)
• 介護サービス契約
• 施設入所
医療
(病院・製薬会社)
• 医療同意
• 治験プロトコール
京都府からの委託事業として今年
度4回の研修を実施
金融機関対象 2回
医療福祉関係者対象 1回
弁護士、司法書士等対象 1回
一般社団法人「日本意思決定支援推進機構」業務概要図
支援者の役割 適切なデシジョンエイドの作成 第三者の役割
• xxなリスクの説明
• 重要かつ有効な治療・サービスを受けてもらえるよう説得
• リスクの説明・必要性の訴求
• ケースに応じたナッジの活用
• 本人が選択する内容・結果をフィードバック
• 提供者側と本人双方の反応の記録
• 契約のxxさの証明
医療同意
• 医療行為の妥当性・必要性の確認
• 同意の妥当性保証
• ハイリスクな医療行為提供時のリスク説明の重要性
契約
意思決定支援
遺言
• 本人にとっての必要性
確認
• 同意の妥当性保証
• 遺言が及ぼすであろう結果をフィードバック
日常金銭管理
• 適合性原則
• 本人にとっての必要性確認
• 同意の妥当性保証
• ハイリスクな契約に関するリスク説明の重要性
• 本人にとっての必要性確認(例:介護サービスの有無・程度など)
• 電子マネーによる履歴確認など
意思決定サポートシステム構想
意思決定サポートシステム | xx後見制度 | |
対象 | 地域 | 全国 |
根拠・手続 | 民法及び民法特別法要綱、条例 ガイドライン、マニュアル | 民法及び民法特別法 家庭裁判所の審判(法定後見) 契約(任意後見) |
支援 | 日常生活での意思決定意思決定支援 地域の連携 例)日常生活自立支援事業 | 法律行為 代理権、同意権、取消x xx後見人等、指定された者 |
家族 | 家族の意向・関与を尊重 | 家族はxx後見人等の候補者 |
判断能力 | 生活能力 意思疎通能力 | 意思能力 事理弁識能力 |
能力判定 | 財産管理、日常生活能力対面と遠隔、ICT利用 | 財産管理 医師の鑑定・診断 |
支援時期 | 健康時から死亡まで 予防、事前・事後の支援 | 判断能力低下の判定後事後の支援 |
医療契約 | 患者と医師の協働関係 | 双務契約、対向関係 |
医療同意 | 患者の意思 第三者の関与 | 患者の意思 xx後見人等に権限なし |
個人情報 | 支援者間の共有 プライバシー保護 | 原則として本人の同意 プライバシー保護 |
公と私 | 公私協働における民法 | 私法としての民法 |
制度像 | 弾力性、柔軟性、個別性 | 堅実性、厳格性、統一性 |
(中央大学法学部 xxxxx ・ 京都府立医科大学 xx x 作成)
認知症の人も生活
できる街づくり
認知症になって
も利用できる
飲食店
迷っても安心外出を楽しめる
交通機関
不動産
認知症に気づいてさりげなくサポート
自分に合った物件を借りられる
認知症に
なっても利用
でき、必要な xx
xxサービスを利用できる
金融機関
生活に必要なお金をおろすことができる。詐欺や虐待から守ってく れる。
必要な介護
サービスを 福祉
利用できる
コンビニ・スーパー
医療
必要な医療が受けられる
安心して買い
物ができる
高齢者、認知症の人への対応レベルの底上げ、関係機関との連携促進
高齢者、認知機能障害のある人が利用しやすい銀行
金融ガイドを用いた行員研修
認知症になっても、自分の意思を周りに伝えられる
アバターによる意思の保存と提供
事前指示
遺言
能力評価サービス
アシスティブテクノロジーによる意思決定サポート
コミュニケーションロボッ
ト
遺言時評価契約時評価
認知機能が低下しても、本人のレベルに応じた契約が可能に
遠隔評価
迅速かつ、その場での客観的評価が可能
フィンテックの利用
後見業務の効率化と透明性の確保