(GCP)」(厚生省令第 28 号、平成 9 年 3 月 27 日)及びその関係通知に基づいて、治験の取扱いについて必要な事項を定めるものとする。
治験標準業務手順書横浜市立市民病院
制定:平成 16 年 4 月 1 日改訂:令和2年 12 月 1日
目 次
第 1 章 総則 2
(目的と適用範囲) 2
第 2 章 病院長の業務 2
(治験委託の申請等) 2
(治験の決定等) 2
(治験実施の契約等) 3
(治験の継続) 3
(治験実施計画書等の変更) 4
(治験実施計画書からの逸脱) 4
(重篤な有害事象の発生) 5
(安全性情報等に関する情報の入手) 5
(治験の中止、中断及び終了) 5
(直接閲覧) 5
第 3 章 受託研究審査委員会 6
(受託研究審査委員会及び受託研究審査委員会事務局の設置) 6
(治験審査委員会の選択) 6
(外部治験審査委員会等との契約) 6
(外部治験審査委員会への依頼等) 7
第 4 章 治験責任医師の業務 7
(治験責任医師の要件) 7
(治験責任医師の業務) 8
(被験者の同意の取得) 9
(被験者に対する医療) 10
(治験実施計画書からの逸脱等) 11
第 5 章 治験薬、治験機器及び治験製品の管理 11
(治験薬、治験機器及び治験製品の管理) 11
第 6 章 治験事務局 12
(治験事務局の設置及び業務) 12
(構成員) 12
第 7 章 記録の保存 12
(記録の保存責任者) 12
(記録の保存期間) 13
第 8 章 補則 13
(契約の締結) 13
第 1 章 総則
(目的と適用範囲)
第 1 条 本手順書は、横浜市立市民病院において、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令
(GCP)」(厚生省令第 28 号、平成 9 年 3 月 27 日)及びその関係通知に基づいて、治験の取扱いについて必要な事項を定めるものとする。
2 本手順書は、医薬品及び医療機器、再生医療等製品の製造販売承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験に対して適用する。
3 医薬品及び医療機器、再生医療等製品の再審査申請、再評価申請等の際提出すべき資料の収集のための製造販売後臨床試験を行う場合には、本手順書において、「治験」とあるのを「製造販売後臨床試験」と読み替えるものとする。
4 医療機器の治験に対しては、「医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令」(厚生労働省令第 36 号、平成 17 年 3 月 23 日)及びその関連通知に基づくほか、本手順書を準用する。
5 再生医療等製品の治験に対しては、「再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(厚生労働省令第 89 号、平成 26 年 7 月 30 日)及びその関連通知に基づくほか、本手順書を準用する。
6 治験業務支援システム(カット・ドウ・スクエア等)を用いて電磁的記録の作成及び保管を行う場合は、別途定める補遺「横浜市立市民病院 治験手続きの電磁化における標準業務手順書」のとおりとする。
7 治験に関する調査審議について、外部の治験審査委員会を選択する場合は、「受託研究審査委員会」を「外部治験審査委員会」に読み替えるものとする。
第 2 章 病院長の業務
(治験委託の申請等)
第 2 条 病院長は、治験に関する治験責任医師と治験依頼者との文書による合意が成立した後、治験依頼者及び治験責任医師に治験依頼書(書式 3)とともに治験責任医師の履歴書
(書式 1)及びその他 GCP 第 10 条に定める審査に必要な資料等を提出させるものとする。
2 病院長は、事前に治験責任医師から提出された治験分担医師・治験協力者リスト(書式 2)に基づき、治験関連の重要な業務の一部を分担させる者を了承する。病院長が了承した治験分担医師・治験協力者リスト(書式 2)は、その写しを保存するとともに治験責任医師に提出する。また、治験依頼者にその写しを提出するものとする。
(治験の決定等)
第 3 条 病院長は、治験責任医師に対して治験の実施を承認する前に、治験審査依頼書(書式 4)、治験責任医師の履歴書(書式 1)及び治験実施計画書等の審査の対象となる文書を受託研究審査
委員会に提出し、治験の実施について受託研究審査委員会の意見を求めるものとする。
2 病院長は、受託研究審査委員会が治験の実施を承認する決定を下し、又は治験実施計画書、同意文書及びその他の説明文書並びにその他の手順について何らかの修正を条件に治験の実施を承認する決定を下し、その旨を治験審査結果通知書(書式 5)で通知してきた場合は、これに基づく病院長の指示、決定を、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。なお、受託研究審査委員会の決定と病院長の指示及び決定が同じである場合には、当該通知書(書式 5)の表下の欄を使用し、異なる場合には別途治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)を使用する。
3 病院長は、受託研究審査委員会が、修正を条件に治験の実施を承認し、その点につき治験責任医師及び治験依頼者が治験実施計画書等を修正した場合には、治験実施計画書等修正報告書(書式 6)及び該当する資料を提出させるものとする。また、治験実施計画書等修正報告書(書式 6)を入手した場合には、その内容を確認した上で当該文書下部の通知日及び実施医療機関の長欄を記載し、受託研究審査委員会に通知するものとする。ただし、電磁的に通知する場合は治験業務支援システムの機能を用いて入力し保管する。
4 病院長は、受託研究審査委員会が治験の実施を却下する決定を下し、その旨を治験審査結果通知書(書式 5)で通知してきた場合は、治験の実施を承認することはできない。病院長は、当該通知書の下欄を使用し、治験の実施を承認できない旨の病院長の決定を、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
5 病院長は、治験依頼者から受託研究審査委員会の審査結果を確認するために審査に用いられた治験実施計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
6 病院長は、受託研究審査委員会の審議結果について異議のある場合には理由書を添えて受託研究審査委員会に再審査を求めることができる。
(治験実施の契約等)
第 4 条 横浜市病院事業管理者は、受託研究審査委員会の意見に基づいて治験の実施を承認した後、治験依頼者と研究受託契約書により契約を締結し、双方が記名捺印又は署名し、日付を付すものとする。
2 受託研究審査委員会が修正を条件に治験の実施を承認した場合には、病院長が前条第 3 項の治験実施計画書等修正報告書(書式 6)により確認した後に、横浜市病院事業管理者は研究受託契約書により契約を締結するものとする。
3 研究受託契約書の内容を変更する際には、本条第 1 項に準じて研究受託契約変更契約書を締結するものとする。
(治験の継続)
第 5 条 病院長は、実施中の治験において少なくとも年 1 回、治験責任医師に治験実施状況報告書(書式 11)を提出させ、その写しを受託研究審査委員会に提出し、治験の継続について受託研究審査委員会の意見を求めるものとする。
2 病院長は、受託研究審査委員会の審査結果を、治験審査結果通知書(書式 5)で入手した場合、これに基づく病院長の指示及び決定を治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。なお、受託研究審査委員会の決定と病院長の指示及び決定が同じである場合には、当該通知書
(書式 5)の表下の欄を使用し、異なる場合には別途治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)を使用する。ただし、修正を条件に承認する場合には、第 3 条第 3 項に準じるものとする。
3 病院長は、受託研究審査委員会が実施中の治験の継続審査等において、受託研究審査委員会が既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断を含む)の決定を下し、その旨を治験審査結果通知書(書式 5)で通知してきた場合は、これに基づく病院長の指示、決定を、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。なお、受託研究審査委員会の決定と病院長の指示及び決定が同じである場合には、当該通知書(書式 5)の表下の欄を使用し、異なる場合には別途治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)を使用する。
4 病院長は、治験依頼者から受託研究審査委員会の継続審査等の結果を確認するために 審査に用いられた治験実施計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
(治験実施計画書等の変更)
第 6 条 病院長は、治験期間中、受託研究審査委員会の審査対象となる文書が追加、更新又は改訂された場合は、治験責任医師又は治験依頼者から、それらの当該文書のすべてを速やかに提出させるものとする。
2 病院長は、治験責任医師及び治験依頼者から治験に関する変更の申請(書式 10)があった場合には、治験の継続の可否について、受託研究審査委員会の意見を求め(書式 4)、その結果を治験審査結果通知書(書式 5)で通知してきた場合は、これに基づく病院長の指示、決定を、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。なお、受託研究審査委員会の決定と病院長の指示及び決定が同じである場合には、当該通知書(書式 5)の表下の欄を使用し、異なる場合には別途治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)を使用する。
(治験実施計画書からの逸脱)
第 7 条 病院長は、治験責任医師から被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ない事情のための逸脱報告書(書式 8)があった場合には、受託研究審査委員会の意見を求め(書式 4)、その結果を治験審査結果通知書(書式 5)で通知してきた場合は、これに基づく病院長の指示、決定を、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。なお、受託研究審査委員会の決定と病院長の指示及び決定が同じである場合には、当該通知書(書式 5)の表下の欄を使用し、異なる場合には別途治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)を使用する。
2 病院長は、前項の緊急時の逸脱に関する合意を治験依頼者から文書(書式 9)により得るものとする。
(重篤な有害事象の発生)
第 8 条 病院長は、治験責任医師により重篤な有害事象発生及び医療機器、再生医療等製品の治験においてその発生のおそれがあると認めたときの報告(書式 12~書式 15 及び書式 19~書式 20、詳細記載用書式又は治験実施計画書等に定められた文書)があった場合には、治験の継続の可否について、受託研究審査委員会の意見を求め(書式 4)、その結果を治験審査結果通知書(書式 5)で通知してきた場合は、これに基づく病院長の指示、決定を、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。なお、受託研究審査委員会の決定と病院長の指示及び決定が同じである場合には、当該通知書(書式 5)の表下の欄を使用し、異なる場合には別途治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)を使用する。
(安全性情報等に関する情報の入手)
第 9 条 病院長は、治験依頼者から安全性情報等に関する報告書(書式 16)を入手した場合は、治験の継続の可否について受託研究審査委員会の意見を求め(書式 4)、その結果を治験審査結果通知書(書式 5)で通知してきた場合は、これに基づく病院長の指示、決定を、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。なお、受託研究審査委員会の決定と病院長の指示及び決定が同じである場合には、当該通知書(書式 5)の表下の欄を使用し、異なる場合には別途治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)を使用する。
(治験の中止、中断及び終了)
第 10 条 病院長は、治験依頼者が治験の中止又は中断、若しくは被験薬の開発中止を決定し、その旨を開発の中止等に関する報告書(書式 18)で報告してきた場合は、当該報告書写し下部の通知日及び実施医療機関の長欄を記載し、治験責任医師及び受託研究審査委員会に通知するものとする。
2 病院長は、治験責任医師が治験を中止又は中断、若しくは終了し、その旨を治験終了
(中止・中断)報告(書式 17)してきた場合は、当該報告書写し下部に通知日及び実施医療機関の長欄を記載し、治験依頼者及び受託研究審査委員会に通知するものとする。
(直接閲覧)
第 11 条 病院長は、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに受託研究審査委員会及び国内外の規制当局による調査を受け入れるものとする。これらの場合には、モニター、監査担当者、受託研究審査委員会又は国内外の規制当局の求めに応じ、原資料等の全ての治験関連記録を閲覧に供するものとする。
2 本院におけるモニタリング及び監査は、治験実施計画書に記載されているモニター・監査担当者に限定するものとする。
3 病院長は、閲覧の実施日前までに、直接閲覧の日程等について治験依頼者に通知させるものとする。
第 3 章 受託研究審査委員会
(受託研究審査委員会及び受託研究審査委員会事務局の設置)
第 12 条 病院長は、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査審議を行わせるため、受託研究審査委員会を院内に設置する。
2 病院長は、受託研究審査委員会の委員を指名し、受託研究審査委員会と協議のうえ、受託研究審査委員会の運営の手続き及び記録の保存に関する標準業務手順書を定めるものとする。 なお、治験依頼者から、受託研究審査委員会の標準業務手順書及び委員名簿の提示を求められた場合には、これに応ずるものとする。
3 病院長は、自らが設置した受託研究審査委員会に出席することはできるが、委員になること並びに審議及び採決に参加することはできない。
4 病院長は、受託研究審査委員会の業務の円滑化を図るため、受託研究審査委員会の運営に関する事務及び支援を行う者を指名し、臨床研究部に受託研究審査委員会事務局を設置するものとする。
(治験審査委員会の選択)
第13条 病院長は、第3条第1項に規定する受託研究審査委員会に代わり、GCP省令第27条第1項第2号から第8号に掲げる、院内に設置した受託研究審査委員会以外の治験審査委員会(以下、「外部治験審査委員会」という。)の中から、治験ごとに適切な治験審査委員会を選択することができる。
2 病院長は、前項の規定により外部治験審査委員会を選択する際、GCP省令等に関する適格性を判断するにあたり、以下の最新の資料を確認する。
(1) 治験審査委員会標準業務手順書
(2) 治験審査委員会名簿及び会議の記録の概要
(3) その他必要な事項
(外部治験審査委員会等との契約)
第14条 病院長は、外部治験審査委員会(病院長が設置したGCP省令第27条第1項第1号に掲げる治験審査委員会及び同項第5号から第8号までに掲げる治験審査委員会のうち当該医療機関を有する法人が設置したものを除く。)に調査審議を依頼する場合には、予め、次に掲げる事項を記載した文書により当該外部治験審査委員会の設置者との契約を締結する。
(1) 当該契約を締結した年月日
(2) 当該実施医療機関及び当該外部治験審査委員会の設置者の名称及び所在地
(3) 当該契約に係る業務の手順に関する事項
(4) 当該外部治験審査委員会が調査審議を行う範囲および意見を述べるべき期限
(5) 被験者の秘密の保全に関する事項
(6) 業務終了後も当該外部治験審査委員会で継続して保存すべき文書又は記録及びその期間
(7) 当該外部治験審査委員会の設置者は、本院が行う調査及び規制当局による調査の受け入れ、またそれらの求めに応じて当該外部治験審査委員会が保存すべき文書又は記録の全てを直接閲覧に供すること
(8) その他必要な事項
(外部治験審査委員会への依頼等)
第15条 病院長は、外部治験審査委員会に審査を依頼する場合、GCP省令第32条第1項各号に掲げられた文書の提出等を行う。
2 病院長は、第22条第1項に規定される治験事務局に当該外部治験審査委員会の審査依頼等、当院の手続きに関わる事務業務を行わせる。
3 病院長は、審査依頼を行った治験について外部治験審査委員会より治験概要等の説明を依頼された場合は、当該治験の治験責任医師にこれを行わせる。
4 病院長は、当該外部治験審査委員会の審査結果を治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
第 4 章 治験責任医師の業務
(治験責任医師の要件)
第 16 条 治験責任医師は、以下の要件を満たさなくてはならない。
(1) 治験責任医師は、教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施しうる者でなければならない。また、治験責任医師は、このことを証明する最新の履歴書及び治験分担医師を置く場合には病院長が了承した当該治験分担医師の氏名リストの写し(求めがあった場合には治験分担医師の履歴書)を、治験依頼者に提出するものとする。
(2) 治験責任医師は、治験依頼者と合意した治験実施計画書、最新の治験薬概要書又は治験機器概要書、治験製品概要書、製品情報及び治験依頼者が提供するその他の文書に記載されている治験薬又は治験機器、治験製品の適切な使用法に十分精通していなければならない。
(3) 治験責任医師は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」第 14 条第 3 項、第 23 条の 2 の 5 第 3 項、第 23 条の 25 第 3 項及び第 80 条の 2 に規定する基準並びにGCPを熟知し、これを遵守しなければならない。
(4) 治験責任医師は、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに受託研究審査委員会並びに国内外の規制当局による調査を受け入れなければならない。治験責任医師は、xxxx、監査担当者、受託研究審査委員会又は国内外の規制当局の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供しなければならない。
(5) 治験責任医師は、合意された募集期間内に必要数の適格な被験者の確保が可能であることを示さなければならない。
(6) 治験責任医師は、合意された期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有していなければならない。
(7) 治験責任医師は、治験を適正かつ安全に実施するため、治験の予定期間中に十分な数の治験分担医師及び治験協力者等の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できなければならない。
(8) 治験責任医師は、治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、分担させる業務と分担させる者のリストを作成し、予め病院長に提出し、その了承を得なければならない。
(9) 治験責任医師は、治験分担医師、治験協力者等に、治験実施計画書、治験薬又は治験機器、治験製品及び各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督しなければならない。
(治験責任医師の業務)
第 17 条 治験責任医師は次の事項を行う。
(1) 治験実施計画書の被験者の選択・除外基準の設定及び治験を実施する際の個々の被験者の選定にあたっては、人権保護の観点から及び治験の目的に応じ、健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、治験責任医師等との依存関係、他の治験への参加の有無等を考慮し、治験に参加を求めることの適否を慎重に検討すること。
(2) 同意能力を欠く者については、当該治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としないこと。
(3) 社会的に弱い立場にある者を被験者とする場合には、特に慎重な配慮を払わなくてはならないこと。
(4) 治験実施計画書について治験依頼者と合意する前に、治験依頼者から提供される治験実施計画書案及び最新の治験薬概要書又は治験機器概要書、治験製品概要書その他必要な資料・情報に基づき治験依頼者と協議し、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討すること。治験実施計画書が改訂される場合も同様である。
(5) 治験実施の申請をする前に、治験依頼者の協力を得て、被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる同意文書及びその他の説明文書を作成する。
(6) 治験実施前及び治験期間を通じて、受託研究審査委員会の審査の対象となる文書のうち、治験責任医師が提出すべき文書を最新のものにすること。当該文書が追加、更新又は改訂された場合は、その全てを速やかに病院長に提出すること。
(7) 治験依頼の申し出があった場合、治験依頼者との合意を行った後、治験依頼者とともに病院長に治験実施の申請をすること。
(8) 受託研究審査委員会が治験の実施又は継続を承認した場合に、これに基づく病院長の指示、決定が文書で通知された後に、その指示、決定に従って治験を開始又は継続すること。ただし、何らかの修正を条件に治験の実施又は継続を承認した場合は修正を確認した後に、治験を開始又は継続するものとする。また、受託研究審査委員会が実施中の治験に関して承認した事項を取消し(治験の中止又は中断を含む)、これに基づく病院長の指示、決定が文書で通知された場合には、その指示、決定に従うこと。
(9) 受託研究審査委員会が当該治験の実施を承認し、これに基づく病院長の指示、決定が文書で通知される前に、被験者を治験に参加させてはならない。
(10) 本手順書第 20 条で規定する場合を除いて、治験実施計画書を遵守して治験を実施すること。
(11) 治験薬、治験機器及び治験製品は承認された治験実施計画書を遵守した方法のみで使用すること。
(12) 自己管理が必要な治験薬、治験機器及び治験製品については、正しい使用法を各被験者に説明、指示し、当該治験薬、治験機器及び治験製品にとって適切な方法で、各被験者が説明された指示を正しく守っているか否かを確認すること。
(13) 治験の開始時に 1 症例ごとに治験概要を作成し、医事課に提出する。また、終了若しくは中止したときも開始時と同様とすること。
(14) 実施中の治験において少なくとも年 1 回、治験実施状況報告書(書式 11)を病院長に提出する。この場合において、以後、その報告書を提出して 1 年を経過する度に同様とすること。
(15) 治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更について、治験依頼者と協議の上で病院長に速やかに治験に関する変更申請書を提出するとともに、変更の可否について病院長の指示を受けること。
(16) 治験実施中に重篤な有害事象が発生した場合、また医療機器及び再生医療等製品の治験においてはその発生のおそれがあると認めたときは、重篤で予測できない副作用又は不具合を特定したうえで速やかに病院長及び治験依頼者に文書で報告するとともに、治験の継続の可否について病院長の指示を受けること。
(17) 治験実施計画書の規定に従って正確な症例報告書を作成し、記名捺印又は署名し、治験依頼者に提出すること。
(18) 治験終了後、速やかに病院長に治験終了(中止・中断)報告書を提出すること。なお、治験が中止又は中断された場合においても同様の手続きを行うこと。
(19) 治験に係る文書又は記録等を第 22 条第 1 項に定める期間が終了するまで保管するものとする。ただし、臨床研究部に保管を依頼することもできる。
(被験者の同意の取得)
第 18 条 治験責任医師及び治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、被験者に対して同意文書及びその他の説明文書を用いて十分に説明し、治験への参加について自由意思による同意を文書により得るものとする。
2 同意文書には、説明を行った治験責任医師又は治験分担医師、被験者が記名捺印又は署名し、各自日付を記入するものとする。なお、治験協力者が補足的な説明を行った場合には、当該治験協力者も記名捺印又は署名し、日付を記入するものとする。
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、前項の規定に従って記名捺印又は署名と日付が記入された同意文書の写し及びその他の説明文書を被験者に渡さなければならない。また、被験者が治験に参加している間に、同意文書及びその他の説明文書が改訂された場合は、その都度新たに前項の規定に従って記名捺印又は署名と日付を記入した同意文書の写し及び改訂されたその他の説明文書を被験者に渡さなければならない。
4 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は、治験への参加又は治験への参加の継続に関し、被験者に強制又は不当な影響を及ぼしてはならない。
5 同意文書及びその他の説明文書並びに説明に関して口頭で提供される情報には、被験者に権利を放棄させる語句又は、それを疑わせる語句、また治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、医療機関、治験依頼者の法的責任を免除する語句又はそれを疑わせる語句が含まれていてはならない。
6 口頭及び文書による説明並びに同意文書には、被験者が理解可能で、可能な限り非専門的で平易な言葉が用いられていなければならない。
7 治験責任医師又は治験分担医師は、同意を得る前に、被験者が質問をする機会と、治験に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与えなければならない。その際、当該治験責任医師、治験分担医師又は補足的説明者としての治験協力者は、全ての質問に対して被験者が満足するよう答えなければならない。
8 被験者の同意に関連し得る新たな重要な情報が得られた場合には、治験責任医師は、速やかに当該情報に基づき同意文書及びその他の説明文書を改訂し、予め受託研究審査委員会の承認を得なければならない。また、治験責任医師又は治験分担医師は、すでに治験に参加している被験者に対しても、当該情報を速やかに被験者に伝え、治験に継続して参加するか否かについて、被験者の意思を確認するとともに、改訂された同意文書及びその他の説明文書を用いて改めて説明し、治験への参加の継続について被験者から自由意思による同意を文書で得なければならない。
注)安全性情報等に関する情報の入手 第 9 条参照
9 治験に継続して参加するか否かについての被験者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には、治験責任医師又は治験分担医師は、当該情報を速やかに被験者に伝え、治験に継続して参加するか否かについて被験者の意思を確認しなければならない。この場合、当該情報が被験者に伝えられたことを文書に記録しなければならない。
10 被験者の同意取得が困難な場合、非治療的治験を実施する場合、緊急状況下における救命的治験の場合及び被験者が同意文書等を読めない場合については、医薬品 GCP 省令第 50 条第 2 項、3 項、4 項、5 項、第 52 条第 3 項及び第 4 項並びに第 55 条(医療機器及び再生医療等製品については各 GCP 省令第 70 条第 2 項、3 項、4 項、5 項、第 72 条第 3 項及び第 4 項並びに第 75 条)を遵守する。
11 被験者に交付する説明文書には受託研究審査委員会の手順書等(受託研究審査委員会の手順書、委員名簿及び会議の記録の概要)を一般の閲覧に供していること及び閲覧方法について記載するものとする。
(被験者に対する医療)
第 19 条 治験責任医師は、治験に関連する医療上の全ての判断に責任を負うものとする。
2 治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証するものとする。また、治験責任医師又は治験分担医師は、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝えなければならない。
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせなければならない。
4 被験者が治験の途中で参加を取り止めようとする場合、又は取り止めた場合には、被験者はその理由を明らかにする必要はないが、治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の権利を十分に尊重したうえで、その理由を確認するための適切な努力を払わなければならない。
(治験実施計画書からの逸脱等)
第 20 条 治験責任医師又は治験分担医師は、治験依頼者との事前の文書による合意及び受託研究審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし、被験者の緊急の危険を回避するためのものであるなど医療上やむを得ないものである場合又は治験の事務的事項(例えば、電話番号の変更)のみに関する変更である場合は、この限りではない。
2 治験責任医師又は治験分担医師は、承認された治験実施計画書から逸脱した行為を全て記録しなければならない。
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ない事情のために、治験依頼者との事前の文書による合意及び受託研究審査委員会の事前の承認なしに治験実施計画書からの逸脱又は変更を行うことができる。その際には、治験責任医師は、逸脱又は変更の内容及び理由並びに治験実施計画書の改訂が適切な場合には、その案を可能な限り早急に依頼者並びに病院長及び病院長を経由して受託研究審査委員会に提出(書式 8)してその承認を得るとともに、病院長の承認及び病院長を経由して治験依頼者の合意を文書(書式 9)で得なければならない。
第 5 章 治験薬、治験機器及び治験製品の管理
(治験薬、治験機器及び治験製品の管理)
第 21 条 治験薬、治験機器及び治験製品の管理責任は、病院長が負うものとする。
2 病院長は、治験薬を保管、管理させるため薬剤部長(薬剤部長が欠けたときは副薬剤部長)を治験薬管理者とし、病院内で実施される全ての治験の治験薬を管理させるものとする。なお、治験薬管理者は必要に応じて治験薬管理補助者を指名し、治験薬の保管、管理を行わせることができる。
3 治験薬管理者は、治験依頼者が作成した治験薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書に従って適正に治験薬を保管、管理する。
4 治験薬管理者は次の業務を行う。
(1) 治験薬を受領し、治験薬受領書を発行する。
(2) 治験薬の保管、管理及び払い出しを行う。
(3) 治験薬管理表及び治験薬出納表を作成し、治験薬の使用状況及び治験進捗状況を把握する。
(4) 被験者からの未服用治験薬の返却記録を作成する。
(5) 未使用治験薬(被験者からの未服用返却治験薬、使用期限切れ治験薬、欠陥品を含む)を治験依頼者に返却する。
(6) その他、第 3 項の治験依頼者が作成した手順書に従う。
5 病院長は、医療機器や再生医療等製品の治験の実施に当たり、当該医療機器、再生医療等製品の保管・管理について必要と認めるときは、別途治験ごとに治験機器管理者又は治験製品管理者を選任するものとする。なお、治験機器管理者及び治験製品管理者は必要に応じて治験機器管理補助者、治験製品管理補助者を指名し、医療機器又は治験製
品の保管、管理を行わせることができる。
6 治験機器管理者及び治験製品管理者は、治験依頼者が作成した治験機器及び治験製品の使用方法、保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書に従って適正に治験機器及び治験製品を保管、管理する。
第 6 章 治験事務局
(治験事務局の設置及び業務)
第 22 条 病院長は、治験の実施に関する事務及び支援を行う者を指名し、臨床研究部に治験事務局を設けるものとする。なお、治験事務局は受託研究審査委員会事務局を兼ねるものとする。
2 治験事務局は、病院長の指示により、次の業務を行うものとする。
(1) 受託研究審査委員会の委員の指名に関する業務(委員の名簿の作成を含む)
(2) 治験依頼者に対する必要書類の交付と治験依頼手続きの説明
(3) 治験依頼書及び受託研究審査委員会が審査の対象とする審査資料の受付
(4) 治験審査結果通知書に基づく病院長の治験に関する指示・決定通知書の作成と治験依頼者及び治験責任医師への通知書の交付(受託研究審査委員会の審査結果を確認するために必要とする文書の治験依頼者への交付を含む)
(5) 治験契約に係わる手続き等の業務
(6) 治験終了(中止・中断)報告書の受領及び治験終了(中止・中断)通知書の交付
(7) 記録の保存
(8) 治験の実施に必要な手続きの作成
(9) 治験に係わる診療の保険外併用療養費制度による依頼者負担費用の事務処理を円滑に行うための治験概要取り扱いに関する支援
(10) 外部治験審査委員会の調査審議手続きに関わる事務業務
(11) その他治験に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援
(構成員)
第 23 条 治験事務局は臨床研究部員により構成する。
第 7 章 記録の保存
(記録の保存責任者)
第 24 条 病院長は、医療機関において保存すべき治験に関する記録の保存責任者を指名するものとする。
2 記録ごとに定める保存責任者は次のとおりとする。
(1) 診療録・検査データ・同意文書等:医療情報課長
(2) 治験受託に関する文書、受託研究審査委員会資料等:臨床研究部担当課長
(3) 治験薬に関する記録:治験薬管理者
なお、治験機器に関する記録については治験機器管理者、治験製品に関する記録について
は治験製品管理者とする。
(4) 合意書・症例報告書の写し等:治験責任医師(ただし、臨床研究部で保管する場合は上記 (2)に準ずる。)
3 病院長又は記録の保存責任者は、医療機関において保存すべき治験に係る文書又は記録が第 22 条第 1 項に定める期間中に紛失又は廃棄されることがないように、また、求めに応じて提示できるよう措置を講じるものとする。
4 電磁的記録の保存を行う場合には、治験業務支援システムの機能を用いる。ただし、治験依頼者より提供された電磁的保管システムを使用することも許容する。
(記録の保存期間)
第 25 条 病院長は、医療機関において保存すべき治験に関する記録を、(1)又は(2)の日のうち後の日までの間保存するものとする。ただし、治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について治験依頼者と協議するものとする。
(1) 当該被験薬又は被験機器、被験製品に係る製造販売承認日(開発が中止された場合には開発中止が決定された日から 3 年が経過した日)。なお、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第 23 条の 26 第 1 項の規定により条件及び期限を付したものは除くものとする。
(2) 治験の中止又は終了後 3 年が経過した日
2 病院長は、製造販売後臨床試験の場合は、再評価または再審査後 5 年が経過した日までの間保管するものとする。ただし、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第 23 条の 25 第 3 項(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第 23 条の 26 第 5 項において読み替えて適用する場合に限る。)に規定する資料を収集するために行った製造販売後臨床試験については、製造販売の承認を受ける日又は製造販売後臨床試験の中止若しくは終了の後 3 年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間保管するものとする。
3 病院長は、治験依頼者より本条第 1 項・第 2 項にいう承認取得、再審査・再評価の結果、あるいは開発中止の連絡を受けるものとする。
第 8 章 補則
(契約の締結)
第 26 条 横浜市病院事業管理者と依頼者は、治験の実施を可とする決定があったときは、速やかに文書により契約を締結し、当該契約を変更又は中止する必要が生じたときは、速やかに文書により変更契約又は解除契約を締結するものとする。
(附則)
1 この要領は、平成 16 年 4 月 1 日から施行する。
2 この要領は、平成 18 年 9 月 1 日から施行する。
3 この要領は、平成 19 年 5 月 1 日から施行する。
4 この要領は、平成 20 年 4 月 1 日から施行する。
5 この要領は、平成 20 年 10 月 1 日から施行する。
6 この要領は、平成 21 年 6 月 1 日から施行する。
7 この要領は、平成 24 年 5 月 1 日から施行する。
8 この要領は、平成 25 年 7 月 1 日から施行する。
9 この要領は、平成 26 年 12 月 1 日から施行する。
10 この要領は、平成 30 年 3 月 1 日から施行する。
11 この要領は、平成 30 年 8 月 1 日から施行する。
12 この要領は、平成 30 年 12 月 1 日から施行する。
13 この要領は、令和2年 12 月1日から施行する。