Contract
公共工事用保証委託契約基本約款
第1条 ( 保証の委託)
( 1 ) 債務者たる保証委託者( 以下「保証委託者」といいます。) は、保証委託契約申込書記載の契約( 以下「主契約」といいます。) に基づく債務者の債務( 以下「主債務」といいます。) の履行にあたり、保証委託契約申込書記載の保険会社( 以下「引受保険会社」といいます。) に対し、引受保険会社所定の公共工事用保証契約基本約款および特約条項( 以下「保証約款」といいます。) に基づく債権者に対する保証を委託します。
( 2 ) 保証委託者は、( 1 ) の保証の委託にあたり、引受保険会社に対しこの委託約款および特約条項の規定を遵守し、引受保険会社に一切損害をおよぼさないことを確約します。
第2条 ( 主債務の誠実な履行)
保証委託者は、主債務をその内容に従い誠実に履行します。
第3条 ( 保証債務履行等の方法の選択)
( 1 )保証委託者は、引受保険会社が、保証約款に規定する保証債務( 以下「保証債務」といいます。) を履行し、または保証債務を消滅させるために保証金額を債権者に支払い、もしくは自ら主債務を履行し、もしくは債権者が認め、かつ、主契約に基づく保証委託者の権利義務を承継した第三者( 以下「代替履行業者」といいます。)に主債務を履行させることに異議はありません。
( 2 )保証委託者は、引受保険会社が主債務または保証債務の消滅・軽減をはかる場合には、( 1 ) に定める方法のほか引受保険会社が任意の方法をとることに異議はありません。
( 3 )( 1 ) および( 2 ) の場合、保証委託者および連帯保証人に対する事前の通知・催告を要しません。
第4条 ( 通知義務)
( 1 ) 保証委託者は、次の① から⑤ までの事由が発生した場合は、遅滞なく、その事実を引受保険会社に通知します。
① 保証委託者の債務不履行もしくは主契約違反または引受保険会社が保証債務を履行すべき事態の発生
② 保証委託者につき、支払の停止または破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始もしくは特別清算開始の申立があった場合
③ 保証委託者の財産に対する強制換価手続の開始、仮差押命令または保
全差押( 引受保険会社に対し保証委託者以外の者が担保を提供している場合は、その担保物についての強制換価手続の開始、仮差押命令または保全差押を含みます。)
④ 保証委託者の取引金融機関または手形交換所の取引停止処分
⑤ 保証委託者の商号、名称もしくは氏名または住所の変更、および保証委託者が法人の場合の代表者の変更
( 2 ) 保証委託者は、次の① から④ までの事由が発生した場合は、遅滞なく、その旨を証する書面を添えて引受保険会社に通知します。
① 工事目的物に瑕疵がある場合の、債権者からのその瑕疵の修補請求または修補に代えもしくは修補とともに行われる損害の賠償請求
② 工事目的物に契約不適合(注 )がある場合の、債権者からのその契約不適合に起因する債務( 履行の追完、代金減額、または損害賠償)の履行請求
③ 主契約における工事目的物の引渡し( 引渡しを要しない場合は完成)
④ 主債務のすべての履行、または主債務の消滅
( 注) 契約不適合
主契約の工事目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない状態をいいます。
第5条 ( 主契約の内容の変更等)
( 1 ) 保証委託者は、次の① から⑦ までの事由が発生した場合は、遅滞なく、その旨を証する書面を添えて引受保険会社に通知します。
① 設計変更に伴う契約変更。ただし、軽微な設計変更に伴うものは、除きます。
② 債権者からの保証金額の変更要請
③ 工事の全部または一部の施工の中止
④ 工事の主要な工法の変更
⑤ 工事目的物または工事用の資材もしくは機器に生じた重大な損害
⑥ 工事の施工に伴い第三者に損害をおよぼしたことにより、保証委託者が受けた損害賠償請求
⑦ その他主債務の履行について重大な影響をおよぼす事態の発生
( 2 )( 1 ) にしたがい通知した事実を引受保険会社が承認した場合は、引受保険会社からの要請によりただちに保証契約の内容変更等のために必要とされる手続をとります。また、保証料の追加支払が必要となる場合には、引受保険会社の請求に基づきただちに支払います。
第6条 ( 調査協力義務)
引受保険会社が主債務の履行状況および保証委託者の財産 、経営または業況等について調査しようとする場合は、保証委託者は、引受保険会社に対し帳簿その他関係書類の閲覧等調査に必要なすべての便益を提供します。
第7条 ( 保証料)
( 1 )保証委託者は、引受保険会社所定の保証料をこの保証委託契約の締結と同時に支払います。
( 2 )保証委託者は、引受保険会社が保証契約の締結を取り止めた場合または著しく保証金額が減額された場合でかつ引受保険会社が認める場合を除き、
( 1 ) の保証料は、一切返還されないことを承認します。
( 3 )引受保険会社は、保証契約の締結を取り止めた場合は、保証料を全額返還するものとし、著しく保証金額が減額された場合は、減額前の保証料と減額後の保証料との差に基づき、未経過期間に対し日割をもって計算した保証料を返還します。
第8条 ( 求償債務の負担とその範囲)
引受保険会社が保証債務を履行した場合、または主債務もしくは保証債務の消滅・軽減のために費用を支出しもしくは債務を負担した場合は、保証委託者は、引受保険会社に対しただちに償還するものとし、その範囲は、引受保険会社の支出額もしくは債務負担額のほか、引受保険会社が支出した日の翌日以降年1 4 % の割合による( ただし、年3 6 5 日の日割計算によるものとします。) 損害金および支払のために要した費用その他保証委託者に対する債権の実行または保全に要した費用を含むものとします。
第9条 ( 事前求償)
( 1 )保証委託者は、次の① から④ までに該当する場合は、引受保険会社から通知・催告等がなくても当然引受保険会社が保証している金額について、あらかじめ求償債務を負い、ただちに弁済します。
① 保証委託者につき、支払の停止または破産手続開始、再生手続開始、会社更生手続開始もしくは特別清算開始の申立があった場合
② 保証委託者の財産につき強制換価手続が開始された場合、仮差押命令が発せられた場合または保全差押としての通知が発せられた場合( 引受保険会社に対し保証委託者以外の者が担保を提供している場合には、その担保物について強制換価手続が開始された場合、仮差押命令が発せられた場合または保全差押としての通知が発せられた場合を含みます。)
③ 保証委託者が取引金融機関または手形交換所の取引停止処分を受けた場合
④ 住所変更の届出を怠るなど保証委託者の責めに帰すべき事由によって、引受保険会社に保証委託者の所在が不明となった場合
( 2 )保証委託者は、次の① から⑨ までに該当した場合は、引受保険会社の請求によって引受保険会社が保証している金額についてあらかじめ求償債務を負い、ただちに弁済します。
① 保証委託者が主債務の一部でも履行を遅滞した場合
② 保証委託者がこの委託約款の規定の一つにでも違反 した場合
③ 引受保険会社が保証債務を履行すべき事態が発生した場合
④ 引受保険会社が保証金額を支払って保証債務を消滅させる場合
⑤ 引受保険会社が保証委託者に代わって自ら主債務を履行する場合または代替履行業者に主債務を履行させる場合
⑥ 引受保険会社の承諾なしに、主契約に基づく保証委託者の権利を譲渡質入れした場合または請負代金の受領権限を引受保険会社以外の者に委任した場合
⑦ 担保の差し入れをしている場合において、担保の目的物について、差押または競売手続の開始があった場合
⑧ 連帯保証人を立てている場合において、連帯保証人が( 1 )① から④までのいずれかに該当したとき。
⑨ その他引受保険会社が債権保全を必要とする相当な事由が生じた場合
( 3 )( 1 )、( 2 ) の場合、保証委託者は、引受保険会社に対する求償債務または主債務に担保があると否とを問わず求償に応じるものとし、また、引受保険会社に対して担保の提供または主債務の免責を主張しません。
第1 0 条 ( 弁済の充当順位)
保証委託者または連帯保証人の弁済した金額が引受保険会社に対する債務の金額に足りない場合は、引受保険会社が適当と認める順序および方法により充当されても異議はありません。
第1 1 条 ( 保証契約の取り止め)
引受保険会社がこの保証委託契約を締結した後において、保証契約の締結を取り止めても、保証委託者は、一切異議を申し述べず、また、保証料の返還以外の請求は行いません。
第1 2 条 ( xx証書)
保証委託者は、引受保険会社の請求がある場合は、公証人に委嘱してこの委託約款および特約条項に基づく債務についての承認および強制執行の承諾あるxx証書の作成に必要な手続きをします。そのために要した費用は、保証委託者が負担します。
第1 3 条 ( 請負代金債権の譲渡)
保証委託者は、主契約に基づく債権者に対する請負代金債権を他人に譲渡する場合、他の債務のための担保権の目的とする場合、またはその請求受領の権限を引受保険会社以外の者に委任しようとする場合は、あらかじめ引受保険会社の書面による承諾を得ることとします。
第1 4 条 ( 担保)
( 1 )保証委託者は、引受保険会社の請求があった場合には、ただちに担保を差し入れ、または連帯保証人を立てることに応じます。
( 2 )引受保険会社に差し入れた担保につき、その担保の全部もしくは一部が滅失したとき、価格の下落等により担保価値に変動が生じたとき、または連帯保証人の破産手続開始もしくは死亡その他保証能力に著しい変動が生じたときは、ただちに増担保を差し入れ、または連帯保証人を追加します。
( 3 )保証委託者は、債権者または第三者に提供した担保を引受保険会社が譲り受ける場合には、異議なく承諾します。
( 4 )引受保険会社に差し入れた担保は、必ずしも法定の手続きによらず、一般に適当と認められる方法、時期および価格等により引受保険会社において処分できるものとします。
第1 5 条 ( 連帯保証人)
( 1 )連帯保証人は、保証委託者がこの保証委託契約によって負担する債務について、この保証委託契約を承認のうえ、保証委託者と連帯して履行の責めを負い、引受保険会社の都合によって担保または他の保証を変更または解除されても異議はありません。
( 2 )連帯保証人が( 1 )の債務を履行した場合、代位によって引受保険会社から取得した権利が保証委託者に対する引受保険会社の求償権と競合するときは、連帯保証人は、引受保険会社の同意がなければこれを行使しません。連帯保証人は、もし引受保険会社の請求があれば、その権利または順位を引受保険会社に無償で譲渡します。
( 3 )連帯保証人が主債務の保証人であって、主債務を履行した場合において
も、( 2 ) と同様とします。
( 4 ) 連帯保証人が引受保険会社に対して他の債務を保証している場合には、その債務は、この保証委託契約によって変更されないものとします。
第1 6 条 ( 管轄裁判所)
保証委託者は、この保証委託契約に関する訴訟、和解および調停については、引受保険会社の本店所在地を管轄する裁判所を管轄裁判所とすることに合意します。
第1 7 条 ( 準拠法)
保証委託者は、この委託約款に規定のない事項については、日本国の法令に準拠することに合意します。
代替履行に関する特約条項
第1 条( 代替履行の特則)
保証委託契約申込書記載の保険会社( 以下「引受保険会社」といいます。)所定の公共工事用保証委託契約基本約款( 以下「基本約款」といいます。)第3 条( 保証債務履行等の方法の選択)( 1 ) の規定により、 引受保険会社が自己の選択に基づき、債権者が認め、かつ、保証委託契約申込書記載の契約( 以下「主契約」といいます。) に基づく保証委託者の権利義務を承継した第三者( 以下「代替履行業者」といいます。) に履行させるときには、保証委託者は、この特約条項に基づき、代替履行業者による主契約の承継および履行に協力します。
第2 条( 代替履行業者の求償権)
前条の場合において、保証委託者は、代替履行業者が主契約を承継し履行するために代替履行業者が支出しまたは支出すべき金額について、代替履行業者に対し求償債務を負い、ただちに弁済します。
第3 条( 保全措置)
前条の場合、引受保険会社は次の① から⑤ までに定める保全措置を取り得るものとし、保証委託者はこれに協力します。
① 主契約の工事現場への立ち入りと調査
② 主契約の工事現場の管理
③ 工事現場にあると否とを問わず、主契 約の工事用の資材および機器の占有
④ 主契約に基づく請負代金債権の請求権の移転
⑤ その他求償権保全のために必要な措置
第4 条( 工事の引継)
(1)引受保険会社が債権者より代替履行請求の通知を受けたときは、保証委託者は、遅滞なく、主契約の工事の設計図、仕様書その他工事の施工に要する一切の書類および資料ならびに主契約の工事現場( 工事の出来形部分、工事に存する工事仮設物、現場搬入資材、工事用機器その他本件工事に関する一切の物件を含みます。) を確保し、これを引受保険会社または代替履行業者に引き渡し、代替履行業者の着工および施工に支障のないようにします。
( 2 )保証委託者が、主契約の工事用資材または機器として現場以外の場所に準備している物件についても、( 1 ) と同様とします。
(3 )引受保険会社および代替履行業者は、保証委託者が主契約の工事の施工のため、債権者以外の者と締結した工事下請負、資材購入、雇用その他一切の契約およびそれらの契約に基づく権利義務を承継しません。ただし、引受保険会社および代替履行業者がその相手方と合意した場合は、これらの権利義務を承継できるものとします。
( 4 ) 保証委託者は、( 1 ) の引き渡しにあたり、引渡物件の明細を書面をもって明らかにします。ただし、その書面が保証委託者の責任によって作成されなかった場合は、引受保険会社が適正に作成した書面をもってこれに代えます。
第5 条( 請負代金債権の譲渡)
(1)保証委託者が基本約款第9 条( 事前求償)( 1 )① から④ までに該当したこと、引受保険会社が( 2 ) の規定に基づき事前求償権を行使したこと、または、債権者より代替履行請求があったことを条件として、保証委託者は、債権者に対して有する請負代金債権( 前払金または部分払金として既に保証委託者に支払われたものを除きます。以下同様とします。) を引受保険会社に譲渡します。
( 2 )( 1 ) に定める条件が成就したときには、請負代金債権は、何らの意思表示を要せず当然に引受保険会社に譲渡されたものとします。
第6 条( 請負代金の清算)
保証委託者は、代替履行業者が主契約を履行したときは、前条の規定に基づき引受保険会社に譲渡した請負代金債権のうち、既施工部分に相応する未払い部分から、引受保険会社が保証委託者に対して有する求償債権額を控除した金額を引受保険会社に返還請求することができます。
第7 条( 契約内容の開示)
保証委託者は、代替履行業者が主契約の承継および履行のため必要があると認めて請求したときは、下請業者、資材供給業者、労務者等との間に締結した一切の契約の内容、工事の進行、その他の事項をすべて報告し、説明し、資料の閲覧に応じ、また、関係文書の写を交付します。
第8 条( 基本約款との関係)
この特約条項に規定のない事項については、この特約に反しないかぎり、基本約款の規定を準用します。