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工事請負契約における設計変更ガイドライン
平成29年4月
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舞鶴市総務部契約検査室指導検査課
目 次
1 本ガイドライン策定の背景
◆ 土木請負工事の特徴
◆ 適切な設計変更の必要性
◆ ガイドライン策定の理由
2 発注者・受注者の留意事項
3 設計変更が不可能なケース
4 設計変更が可能なケース
◆ 舞鶴市工事請負契約約款・舞鶴市工事共通仕様書に定められている所定の手続きを経て(契約約款第18条、舞鶴市工事共通仕様書1-15、1-19)、発注者が設計図書を訂正又は変更する必要があると認めた場合
◆ 発注者が変更の必要を認め、設計図書の変更に係る指示を行う場合(契約約款第 19条)
◆ 発注者が工事を中止させた場合(契約約款第20条)
◆ 受注者から工期の延長の請求があり、発注者が妥当と認めた場合(契約約款第21条)
◆ 発注者から工期の短縮を請求した場合(契約約款第22条)
◆ 「設計図書の照査」の範囲をこえる作業を発注者が指示した場合
5 設計変更手続きフロー
1 策定の背景
◆土木請負工事の特徴
土木工事は、個別に設計された極めて多岐にわたる目的物を、多種多様な自然条件・環境条件の下で生産されるという特殊性を有している。
当初設計時に予見できない事態、例えば土質・地下水位等の変化に備え、その前提条件を明示することにより設計変更の円滑化を工夫する必要がある。
◆ 適切な設計変更の必要性
改正品確法の基本理念に「請負契約の当事者が対等な立場における合意に基づいてxxな契約を適正な額の請負契約代金で締結」が示されているとともに、「設計図書に適正な施行条件を明示するとともに、必要があると認められたときは適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこと」が規定されている。
◆ ガイドライン策定の理由
設計変更に係る業務の円滑化を図るためには、発注者と受注者がともに、設計変更が可能なケース・不可能なケース、手続きの流れ等について十
分理解しておく必要がある。
「工事請負契約における設計変更ガイドライン」の策定
2 発注者・受注者の留意事項
◆ 発注者は・・・
工事発注にあたり、各工事において必要となってくる条件明示につい
て、特記仕様書等の設計図書への記載を徹底する。
工事に必要な関係機関との調整、住民合意、
用地確保、法定手続等の進捗状況を踏まえ、現場の実態に即した施工条件(自然条件を含む。)の明示等により、適切に設計図書を作成し、積算内容との整合を図るように努める。
舞鶴市工事請負契約約款(以下「契約約款」という。)の内容を理解の上、契約後は「契約約款第18条~第24条」に基づき、施工前及び施工途中に、必要に応じて設計変更を行う。
◆ 受注者は・・・
契約約款の内容を理解の上、契約後は「舞鶴市工事共通仕様書第1節
1-14 設計図書の照査等」により施工前及び施工途中において、自らの負担により設計図書の照査を行う。
照査の結果「契約約款第18条第1項第1号~第5号(条件変更等)」に該当する事実がある場合は、監督員にその事実が確認できる資料(現地地形図、設計図との対比図、取り合い図、施工図等)を「舞鶴市共通仕様書に記載の工事打合簿」等の書面により提出し、確認を求めなければならない。
3 設計変更が不可能なケース
◆ 契約約款・舞鶴市工事共通仕様書に定められている所定の手続きを経ていない場合
(契約約款第18条~第24条、舞鶴市工事共通仕様書1-14、15、19)等は、設計変更できない。
(ただし契約約款第26条(臨機の措置)での対応はこの限りではない。)
(具体例)
1)「工事打合簿」等の書面がない場合
2)設計図書に条件明示のない事項において、発注者と「協議」を行わず受注者が独自に判断して施工(工法・材料等)を実施した場合
3)発注者と「協議」をしているが、協議の回答がない時点で施工(工法・材料等)を実施した場合
4)任意事項において、施工方法及び施工期間を変更する場合(ただし、設計図書に特別の定めがある場合や現地条件が一致しない場合を除く。)
例1) 根固めブロックの据付におけるクレーン規格を変更した場合例2) 護岸工事における仮締切工の範囲を拡大した場合
5)「承諾」で施工した場合
例1) 基礎工において、砕石の代わりにコンクリートで施工することを承諾した場合
例2) コンクリート強度18KN/mm2 の基準に対して、21KN/mm2 を使用することを承諾した場合
承諾:受注者自らの都合により施工方法等について監督職員に同意を得るもの
⇒設計変更不可
協議:発注者と書面により対等な立場で合意して発注者の「指示」によるもの
⇒設計変更可能
4 設計変更が可能なケース
◆ 契約約款・舞鶴市工事共通仕様書に定められている所定の手続きを経て(契約約款第18条、舞鶴市工事共通仕様書1-15、19)、発注者が設計図書を訂正又は変更する必要があると認めた場合、設計変更を行う。
(具体例)
1)設計図書に誤り又は脱漏がある場合(契約約款第18条第1項第2号)
受注者は、xxxx、設計図書が誤っていると思われる点を発注者に確認すべきであり、発注者は、それが本当に誤っている場合には設計図書を訂正する必要がある。また、設計図書に脱漏がある場合には、受注者としては、自分で勝手に補って施工をつづけるのではなく、発注者に確認して、脱漏部分を訂正してもらうべきである。
例)
・ 条件明示する必要がある場合にも関わらず、土質に関する一切の条件明示が無い場合
・ 条件明示する必要がある場合にも関わらず、地下水位に関する一切の条件明示が無い場合
・ 条件明示する必要がある場合にも関わらず、交通整理員についての条件明示が無い場合
2)設計図書の表示が明確でない場合(契約約款第18条第1項第3号)
設計図書の表示が明確でないことは、表示が不十分、不正確、不明確で実際の工事施工にあたってどのように施工してよいか判断がつかない場合などのことである。この場合においても、受注者が勝手に判断して、施工することは不適当である。
例)
・ 土質柱状図は明示されているが、地下水位が不明確な場合
・ 水替工実施の記載はあるが、作業時若しくは常時排水などの運転条件の明示がない場合
3)設計図書に示された自然的又人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合
(契約約款第18条第1項第4号)
自然的条件とは、例えば、掘削する地山の高さ、埋め立てるべき水面の深さ等の地表面の凹凸等の形状、地質、湧水の有無又は量、地下水の水位、xxxの除去すべき物の有無。
また、人為的な施工条件の例としては、地下埋設物、地下工作物、xx(捨)場、工事用道路、通行道路、工事に関する法令等が挙げられる。
例)
・ 設計図書に明示された土質等が現地条件と一致しない場合
・ 設計図書に明示された地下水位が現地条件と一致しない場合
・ 設計図書に明示された交通誘導員の人数等が規制図と一致しない場合
・ 前項の手続きにより行った設計図書の訂正・変更で、現地条件と一致しない場合
・ その他、新たな制約等が発生した場合
4)設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じた場合(契約約款第18条第1項第5号)
例)
・ 埋蔵文化財が発見され調査が必要になった。
・ 工事範囲の一部に軟弱な地盤があり、地盤改良が必要になった。
◆ 発注者が変更を必要と認め、設計図書の変更に係る指示を行う場合(契約約款第19条)
例)
・ 地元調整等の結果、施工範囲、施工内容、施工期間等の変更が必要になった。
・ 同時に施工する必要がある工種が判明し、その工種を追加する。
◆ 発注者が工事を中止させた場合(契約約款第20条)
受注者の責に帰することができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められる場合。
例)
・ 設計図書に工事着工時期が定められた場合、その期日までに受注者の責によらず施工できない場合
・ 警察、河川・鉄道管理者等の管理者間協議が未了の場合
・ 管理者間協議の結果、施工できない期間が設定された場合
・ 受注者の責によらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合
・ 設計図書に定められた期日までに詳細設計が未了のため、施工できない場合
・ 予見できない事態が発生した(地中障害物の発見等)場合
・ 工事用地の確保ができない等のため工事を施工できない場合
・ 設計図書と実際の施工条件の相違又は設計図書の不備が発見されたため施工を続けることが困難な場合
・ 埋蔵文化財の発掘又は調査、その他の事由により工事を施工できない場合
◆ 受注者から工期の延長の請求があり、発注者が妥当と認めた場合(契約約款第21条)
受注者は、天候の不良、関連工事の調整協力、その他受注者の責めに帰することができない事由により工期内に工事を完成することができない場合は、発注者へその理由を明示した書面により工期延長変更を請求することができる。
例)
・ 天候不良の日が例年に比べ多いと判断でき、工期の延長が生じた場合
・ 設計図書に明示された関連工事との調整に変更があり、工期の延長が生じた場合
・ その他受注者の責めに帰することが出来ない事由により工期の延長が生じた場合
◆発注者から工期の短縮を請求した場合(契約約款第22条)
発注者は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に書面にて請求することができる。
例)
・ 工事一時中止にともない工期延長が予想され、工期短縮が必要な場合
・ 関連工事等の影響により、工期短縮が必要な場合
・ その他の事由(地元調整、関係機関調整など)により工期の短縮が必要な場合
◆「設計図書の照査」の範囲をこえる作業を発注者が指示した場合
例)
・ 現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの。又は縦断図計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
・ 施工の段階で判明した推定岩盤線の変更に伴う横断図の再作成が必要となるもの。ただし、当初横断図の推定岩盤線の変更は「設計図書の照査」に含まれる。
・ 現地測量の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの。
・ 構造物の位置や計画高さ、延長が変更となり構造計算の再計算が必要となるもの。
・ 構造物の載荷高さが変更となり、構造計算の再計算が必要となるもの。
・ 現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるもの(標準設計で修正可能なものであっても照査の範囲をこえるものとして扱う)。
・ 構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。
・ 基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算及び図面作成。
・ 土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造図面作成
・ 「設計要領」・「各種示方書」等との対比設計
・ 設計根拠まで遡る見直し、必要とする工費の算出。
・ 舗装修繕工事の縦横断設計(当初の設計図書において縦横断図が示されており、その修正を行う場合とする。なお、設計図書で縦横断図が示されておらず土木工事共通仕様書
「2-6-15路面切削工」「2-6-17オーバーレイ工」等に該当し縦横断設計を行うものは設計照査に含まれる)。
(注)なお、適正な設計図書に基づく数量の算出及び完成図については、受注者の費用負担によるものとする。
5 設計変更手続きフロー
① 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと。
② 設計図書に誤り又は脱漏があること。
③ 設計図書の表示が明確でないこと。
④ 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事規模が一致しないこと。
⑤ 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状
態が生じたこと。
◆ 契約約款第18条(条件変更等)関連
調査終了後 14 日以
変更内容・変更根拠の明確化、変更図面、変更数量計算等の変更設計図書の作成
受注者
発注者
協議 ①工期の変更【第23条】 ②請負金額の変更【第24条】
必要があると認められるときは工期若しくは請負
代金額を変更【第18条第5項】
設計図書の変更
【第 18 条第 4 項第 2,3 号】
設計図書の訂正
【第 18 条第 4 項第 1 号】
発注者において工事目的物の変更を伴わないと判断した場合は協議
【第18条4項第3号】
必要があると認められるときは設計図書の訂正又は変更【第18条第4項】
受理
調査結果の通知:(とるべき措置の指示を含む。)
【第18条第3項】
意見【第 18 条第 3 項】
調査結果のとりまとめ【第 18 条第 3 項】
通知し確認を請求
【第18条第2項】
発注者:調査の実施
受注者:立会い【第18条第2項】
上記の一つに該当する事実を発見【第18条第2項】
上記の一つに該当する事実を発見【第18条第2項】
受注者
受理
◆ 契約約款第19条(設計図書の変更)関連
発注者
協議 ①工期の変更【第23条】 ②請負金額の変更【第24条】ただし、発注者が必要であると認めた場合
「契約約款第19条」に基づき、設計図書の変更が必要と判断し通知:(とるべき措置の指示含む)