平成 22 年 10 月1日より金融分野における裁判外紛争解決制度(ADR 制度)に関する規定が施行され、貸金業界では日本貸金業協会が紛争解決機関(ADR 機関)として指定を受けました。
貸金業のxxx
令和3年1月
三重県雇用経済部
中小企業・サービス産業振興課
目 次
第1 用語の定義(法第2条) P1
1.「貸金業」の定義
2.「貸金業者」の定義
3.「貸付けの契約」の定義
第2 登録(法第3条~12 条) P3
1.登録制度(法第3条)
2.登録を受ける必要がある者
3.登録の申請に必要なもの
4.登録の有効期間(法第3条第2項)
5.変更の届出(法第8条)
6.廃業等の届出(法第 10 条)
7.具体的な申請の方法(三重県の場合)
8.登録の拒否(法第6条)
9.登録の取り消し(法第 24 条の6の4~同条6の6)
第3 業務(法第 12 条の2~24 条の6) P9
1.業務運営に関する措置(法第 12 条の2)
2.指定紛争解決期間との契約締結義務(法第 12 条の2の2)
3.貸金業務取扱xx者(法第 12 条の3)
4.証明書の携帯(法第 12 条の4)
5.禁止行為(法第 12 条の6)
6.生命保険契約に係る規則(法第 12 条の7、16 条の3)
7.利息、保証料等に係る制度等(法第 12 条の8)
8.返済能力の調査(法第 13 条)
9.過剰貸付け等の禁止(法第 13 条の2) 10.貸付条件等の掲示(法第 14 条)
11.標識の掲示(法第 23 条)
12.貸付条件の広告(法第 15 条)
13.誇大広告の禁止(法第 16 条)
14.契約締結前の書面の交付(法第 16 条の2)
15.契約締結時の書面の交付(法第 17 条)
16.受取証書の備付け(法第 18 条)
17.帳簿の備付け(法第 19 条)
18.帳簿の閲覧(法第 19 条の2)
19.債権証書の返還(法第 22 条)
20.取立て行為の規制(法第 21 条)
21.債権譲渡等の規制(法第 24 条)
22.相談及び助言(法第 12 条の9)
第4 監督(法第 24 条の6の2~同条6の 12) P23
1.業務改善命令(法第 24 条の6の3)
2.監督上の処分(法第 24 条の6の4)
3.登録の取消し(法第 24 条の6の5)
4.開始等の届出など(法第 24 条の6の2、同条6の6)
5.報告聴取及び立入検査(法第 24 条の6の9、同条6の 10)
第5 貸金業協会(法第 25 条~41 条の 12) P25
1.会員
2.業務
3.加入のメリット
第6 指定信用情報機関(法第 41 条の 13~同条の 38) P27第7 指定紛争解決機関(法第 12 条の2の2、41 条の 39~同条の 61) P28
<貸金業法の目的>
第1条 この法律は、貸金業が我が国の経済社会において果たす役割にかんがみ、貸金業を営む者について登録制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うとともに、貸金業者の組織する団体を認可する制度を設け、その適正な活動を促進するほか、指定信用情報機関の制度を設けることにより、貸金業を営む者の業務の適正な運営の確保及び資金需要者等の利益の保護を図るとともに、国民経済の適切な運営に資することを目的とす る。
第1 用語の定義(法第2条)
1 「貸金業」の定義
「貸金業」とは、「貸付け」を「業として」行うものをいいます。
「貸付け」とは「金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介」のことであり、これには「手形の割引、売渡担保その他これに類する方法によってする金銭の交付又は当該方法によってする金銭の授受の媒介」も含まれます。
「業として」行うとは、繰り返し且つ継続して行う意思を持って「貸付け」を行うことを意味します。「繰り返し且つ継続して」いれば、利益を得ることを目的としない場合や、「貸付け」の相手方が不特定多数でない場合でも、「業」であるとみなされるとされています。
<参 考>
金銭の貸借の媒介 … 貸手と借手の間に入って金銭の貸借(授受を含む)の成約に尽力すること。
手形の割引 … 顧客が取引先等から受け取った期日前の手形の額面金額から、期日までの金利分を差し引き、差額を顧客に交付すること。
売渡担保 … 借手が自分の所有する物件を相手方(貸手)に売り渡し、引換えに売買代金を得る形式の担保方法。貸手は、代金の返済まではその物件の所有権を保持し、弁済された場合、所有権は借手に戻される。
反覆継続して行う意思で、
● 金銭の貸付けをする
● 手形の割引や売渡担保等の方法による金銭の交付をする
貸金業
※売買契約であっても買い戻しの条件が付いていれば、金銭消費貸借契約のひとつである売渡担保契約とみなしますのでご注意ください。
● 金銭の貸付け
● 手形の割引や売渡担保等の方法による金銭の交付
媒介
意 反思 覆で 継
続の
媒媒介介
貸貸金金業業
貸金業
2 「貸金業者」の定義
「貸金業者」とは、登録(「第2 登録」参照)を受けた者をいいます。
「貸付け」を行う者であれば、金銭の貸借の媒介業者、手形割引専業者の他、質屋、信販会社、クレジットカード会社、流通業者なども含まれます。
3 「貸付けの契約」の定義
「貸付けの契約」とは、貸付けに係る契約又は当該契約に係る保証契約をいいます。
第2 登 録(法第3条~12 条)
1 登録制度(法第3条)
法第3条により、貸金業を営もうとする者は、登録を受けなければなりません。
登録の申請先は、営業所又は事務所(以下「営業所等」という)の設置状況に応じ、次のとおりとなっています。
1つの都道府県内にのみ営業所等を設置する場合 … 当該都道府県知事
2以上の都道府県に営業所等を設置する場合 … 主たる営業所等の所在地を管轄す
る財務局(財務支局)長
登録を受けない者は貸金業を営むことはできません(法第 11 条)。無登録で貸金業を営ん
だ場合、処罰の対象となります(法第 47 条第1項第2号:10年以下の懲役若しくは3千万円以下の罰金、又はその併科)。
また、自己の名義で登録を受けておきながら実際には他人に貸金業を営ませることを「名義貸し」といい、禁止されています(法第 12 条)。違反した場合は行政処分(法第 24 条の6の
5・登録の取消し)の対象になる他、貸した方も借りた方も刑罰(法第 47 条第1項第3号・10年以下の懲役若しくは3千万円以下の罰金、又はその併科)の対象となります。
但し、次の場合は貸金業登録を必要としません。
(1)国又は地方公共団体が行うもの
(2)貸付けを業として行うにつき他の法律に特別の規定のある者が行うもの
(銀行等の金融機関など)
(3)物品の売買、運送、保管又は売買の媒介を業とする者がその取引に付随して行うもの
(商社が取引先に対して行う商品の売却代金の貸付けなど)
(4)事業者がその従業者に対して行うもの(別会社の形式を取る場合は登録が必要)
(5)国家公務員、地方公務員等の職員団体・組合等、及び労働組合法に基づく労働組合が行うもの
(6)公益社団法人および公益財団法人が行うもの(収益を目的とする事業として行うものを除く)
(7)私立学校法その他の特別の法律に基づき設立された法人が行うもの(収益を目的とする事業として行うものを除く)
(8)主としてコール資金の貸付け又はその貸借の媒介を業として行う者で金融庁長官の指定するもの(短資業者)
(9)商品取引所法第2条第1項に規定する商品取引所の会員等たる法人で当該商品取引所の会員等のみに対する貸付けを行うもので金融庁長官が指定するもの
(10)コール資金の貸付けを行う投資信託及び投資法人に関する法律第2条第 13 項に規定する登録投資法人
(11)親会社と会社法上の実質支配力基準に基づく子会社(会社法施行規則第3条第3項第3号の子会社を除く)で構成される「会社グループ」に属する会社間で行われる貸付け
(12)合弁事業における合弁会社の株主から当該合弁会社への貸付けのうち、「全ての株主の同意」があり、かつ貸付を行う株主が当該合弁会社の「議決権の20%以上」を保有している場合の貸付け
2 登録を受ける必要がある者
登録を受ける必要があるのは、代表者の他に次のとおりです。 (1)重要な使用人
政令で次の者を「重要な使用人」として定め、登録を受けなければならないとしています。
(イ) いかなる名称であるかを問わず、営業所等の業務を統括する者
(例:支配人、本店長、支店長、営業所長、事務所長 他)
(ロ) 主たる営業所等において、いかなる名称であるかを問わず、貸付け、債権の回収及び管理その他資金需要者等の利益に重大な影響を及ぼす業務について、一切の裁判外の行為をなす権限を有する者 (例:部長、次長、課長 他)
(ハ) 貸付けに関する業務に従事する使用人が50人以上の従たる営業所等において、いかなる名称であるかを問わず、(イ)の権限を代行し得る地位にある者
(例:支店次長、副支店長、副所長 その他)
たとえ役職名が付いていない者であっても、これらに相当する立場で業務に従事しているのであれば登録を受ける必要があります。
(2)役員
法人である場合は、役員(下記の者)についても登録を受けなければなりません。
(イ) 当該法人の総株主等の議決権の25%を超える議決権に係る株式または出資を自己又は他人の名義をもって所有している個人
(ロ) 当該法人の親会社の総株主等の議決権の50%を超える議決権に係る株式等を自己または他人の名義をもって所有している個人
(ハ) 当該法人の業務を執行する社員又はこれらに準ずる者が法人である場合におけるその職務を行うべき者
(ニ) 当該法人の業務を執行する社員、取締役、執行役、代表者、管理人もしくはこれらに準ずる者または(イ)から(ハ)に該当する者が未xx者である場合はその法定代理人
(3)貸金業務取扱xx者
営業所又は事務所ごとに置かれている貸金業務取扱xx者についても登録を受けなければなりません。
3 登録の申請に必要なもの
登録を受ける場合に必要なものは次のとおりです。
書類の名称等 | 法 人 | 個 人 |
登録申請書 (別紙様式第1号) | ○ | ○ |
誓約書 (別紙様式第1号の2) | ○ | ○ |
履歴書 (登録申請者、役員、重要な使用人・別紙様式第2号) | ○ | ○ |
沿革(別紙様式第2号の2)、法人である役員の登記事項証明書 ※ 役員の中に法人である役員がいる場合添付必要 | ○ | |
登録申請者、役員、重要な使用人及び貸金業取扱xx者の氏名等 (別紙様式第3号の2) | ○ | ○ |
住民票抄本(登録申請書記載の全員分:登録申請者、役員、重要な使用人 | ○ | ○ |
及び貸金業取扱xx者) ※外国人の場合も住民票を添付します。 | ||
身分証明書(登録申請書記載の全員分・下記注釈を参照) ※外国人の場合は別紙様式第1号の2により作成した誓約書 | ○ | ○ |
株主又は社員の名簿など (別紙様式第3号) | ○ | |
定款又は寄附行為等 | ○ | |
商業登記簿謄本 | ○ | |
役員及び重要な使用人に係る運転免許証、旅券その他本人確認に利用できるものとして内閣府令で定める書類の写し | ○ | |
登録申請者及び重要な使用人に係る運転免許証、旅券その他本人確認に 利用できるものとして内閣府令で定める書類の写し | ○ | |
代理店がある場合には、代理店契約書又はこれに代わる書面 | ○ | ○ |
申請日の前事業年度の貸借対照表又はこれに代わるもの | ○ | |
申請日の前事業年度の監査報告書の写し(規則第4条第3項第8号に該当 する法人である場合) | ○ | |
財産に関する調書(別紙様式第4号) 根拠書類 | ○ | |
指定紛争解決機関との契約締結等の状況 | ○ | ○ |
社内規則、組織図、貸付けの業務の経験者の業務経歴書(別紙様式第4号 の2) | ○ | ○ |
貸金業務取扱xx者の登録完了通知の写し | ○ | ○ |
営業所等に係る登記事項証明書又は賃貸借契約書の写し | ○ | ○ |
営業所等の写真 | ○ | ○ |
営業所等の地図及び見取図 | ○ | ○ |
※ 身分証明書(又は身元証明書)とは、xx被後見人又は被保佐人、破産者で復権を得ないもののいずれにも該当しないことを証明するものであり、本籍地の市町村で発行してもらいます。
※ 官公署が証明する書類は、申請の日前3か月以内のものでなければなりません。
4 登録の有効期間(法第3条第2項)
登録の有効期間は3年間ですので、引き続き貸金業を営もうとする場合は、登録を更新する必要があります。
登録の更新の申請先、申請方法等は新規登録の場合と同じですが、有効期間満了の日の
5か月前~2か月前の間に申請しなければなりません。(この期間内に雇用経済部中小企業・サービス産業振興課に受理されなければなりませんので、日本貸金業協会三重県支部に余裕を持って提出するようにしてください。)
5 変更の届出(法第8条)
登録事項に変更が生じた場合は、変更届出書(別紙様式第5号)により別表1、2のとおり変更の届出をしなければなりません。
(1) 届出の期間
営業所等の名称又は所在地の変更(新設を含む)、広告又は勧誘する際に表示等をする営業所等の電話番号その他の連絡先等の変更…事前に届け出る
その他の事項の変更…変更の日から2週間以内
※ 期限内に届出をしなかった場合、「遅延理由書」を添付することが必要になります。また、変更の届出をしなかった場合、行政処分(法第 24 条の6の4・業務の停止)や刑罰(法第
50 条第1項第1号、第2号・50万円以下の罰金)の対象になることがありますので、必ず届け出るようにしてください。
6 廃業等の届出(法第 10 条)
貸金業を廃止した場合等には、30日以内に廃業等届出書(別紙様式第6号)により、次のとおり届け出なければなりません。
登録失効事由 | 届出をする者 | 添 付 書 類 |
貸金業者の死亡 | 相続人 | 届出者の戸籍謄本・死亡貸金業者の 除籍簿謄本 |
合併による法人の消滅 | 代表者であった者 | 消滅法人の登記簿謄本・ 合併契約書の写し |
貸金業者の破産 | 破産管財人 | 裁判所が破産管財人として選定したこ とを証する書面の写し |
上記以外の理由による法 人の解散 | 清算人 | 清算人に係る登記簿の謄本 |
貸金業の廃止 | 個人…申請者 法人…代表者 |
※ いずれの場合も、登録の際に送付された登録済通知書を添付すること。紛失された場合は、顛末書(任意様式)を添付してください。
※ 個人貸金業者が死亡し、その相続人が事業を継承する場合、従前の登録番号をそのまま引継ぐこともできます(但し括弧内の数字は1に戻る)。詳しくは、貸金業協会か三重県に問い合わせてください。
7 具体的な申請の方法(三重県の場合)
(1) 提出部数
登録申請書(新規・更新)・変更届出書・廃業等届出書
… xx1部 + 副本2部(計3部)
その他の添付書類 … 1部
(2) 手数料
審査手数料として三重県証紙で150,000円必要(消印不可)。証紙は、県内の主要金融機関各本支店等で購入できます。
※ 登録換えの場合は、変更の内容により異なるので注意してください。
(3) 登録申請用紙等の購入
日本貸金業協会三重県支部登録申請取扱窓口で取り扱っています。料金、郵送料が必要な場合もあります。詳しくは、協会へ確認してください。
また、三重県庁 中小企業・サービス産業振興課のホームページの様式をダウンロードして使用することもできます。
(4) 提出先
日本貸金業協会三重県支部登録申請取扱窓口に提出してください。
<参 考>
貸金業の登録申請、変更届、廃業届等についてのお問い合わせ先
部 署 名 | 電話番号 | 所在地 |
三重県雇用経済部 中小企業・サービス産業振興課金融支援班 | 059-224-2447 | xxxxx00xx xx0x |
登録申請書取扱窓口についてのお問い合わせ先
機 関 名 | 電話番号 | 所在地 |
日本貸金業協会三重県支部 | 059-226-9777 | xxxxx000xx0 x0xxxxx0x |
※ 三重県と貸金業協会とは、行政協力事務協定を結んでおり、協会員、非協会員にかかわらず、登録申請においては、日本貸金業協会三重県支部登録申請取扱窓口を経由して提出いただくことになっています。
(5) 登録完了後の注意事項
三重県雇用経済部中小企業・サービス産業振興課により登録が行われた後、日本貸金業協会三重県支部登録申請取扱窓口を経由して登録済通知書が送付されますので、必ず大切に保管して下さい。廃業届提出の際に必要となります。
8 登録の拒否(法第6条)
次に該当する場合には、登録を拒否されます。
(1) 登録を受けようとする者が、次の事項のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているとき
ア 心身の故障により貸金業を適正に行うことができない者として内閣府令で定める者イ 破産者で復権を得ないもの
ウ 登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(取消しの日前30日以内に登録を取り消された法人の役員であった者を含む)
エ 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
オ この法律、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律、旧貸金業者の自主規制の助長に関する法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、又は貸付けの契約の締結若しくは当該契約に基づく債権の取立てに当たり、物価統制令第 12 条の規定に違反し、若しくは刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
カ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
キ 貸金業者に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として内閣府令で定める者(登録取消処分のための聴聞の通知後に廃業の届出を行ったことにより登録取消処分を免れた者で5年を経過しない者など)
ク 営業に関しxx者と同一の行為能力を有しない未xx者でその法定代理人が前各号のいずれかに該当するもの
ケ 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちにアからキまでのいずれかに該当
する者のあるもの
コ 政令で定める使用人のうちにアからキまでのいずれかに該当する者のあるものサ 暴力団員等がその事業活動を支配する者
シ 暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある者
ス 営業所又は事務所について法第 12 条の3に規定する要件を欠く者
セ 純資産額が貸金業の業務を適正に実施するため必要かつ適当なものとして政令で定める金額に満たない者(資金需要者等の利益を損なうおそれがないものとして内閣府令で定める事由がある者を除く。)
※ 基準:貸借対照表若しくは財産に関する調書等において、資産の合計額から負債の合計額を控除した純資産の額が、5千万円以上であること
ソ 貸金業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者タ 他に営む業務が公益に反すると認められる者
登録拒否の審査基準
・ 定款または寄附行為の内容が法令に適合していること(法人の場合)
・ 常務に従事する役員のうちに貸付けの業務に3年以上従事した経験を有する者があること(申請者が個人の場合は、申請者が貸付けの業務に3年以上従事した経験を有すること)
・ 営業所等ごとに貸付けの業務に1年以上従事した者が常勤の役員または使用人として1人以上在籍していること
・ 資金需要者等の利益の保護を図り、貸金業の適正な運営に資するため十分な社内規則を定めていること
・ 貸金業の業務に関して取得した資金需要者等に関する情報の適正な取扱い、運営を確保するための措置が講じられていること
9 登録の取消し(法第 24 条の6の4~同条6の6)
次のいずれかに該当する場合には、登録を取り消されます。
(1) 代表者、役員、重要な使用人及び法定代理人のいずれかが、「8 登録の拒否」の項のア若しくはエからシまでのいずれかに該当するに至ったとき、又は登録の時点において法第6条第1項各号のいずれかに該当していたことが判明したとき
(2) 登録換えに該当する場合に、必要な手続きをせずに貸金業を営んでいるとき
(3) 不正の手段により登録を受けたとき
(4) 名義貸の禁止の規定に違反したとき
(5) 暴力団員等の使用禁止の規定に違反したとき
(6) 登録を受けた業者が、「8 登録の拒否」の項のいずれかに該当することとなったとき
(7) 貸金業の業務に関し法令又は法令に基づく内閣総理大臣若しくは都道府県知事の処分に違反したとき
(8) 当該貸金業者の営業所若しくは事務所の所在地又は当該貸金業者の所在を確知できない場合において、その事実を公告し、30日を経過しても申出がないとき
(9) 正当な理由がないのに、当該登録を受けた日から6月以内に貸金業を開始しないとき、又は引き続き6月以上貸金業を休止したとき
帳簿類は完済(又は債権消滅)後 10 年間保存
完済(債権証書を顧客に返還)→法第 22 条
第3 業 務(法第 12 条の2~24 条の6)貸付け業務の基本的な流れは次のとおりです。
契約締結前の書面の交付 → 融資の申し込み(借入申込書により借入意思を確認)返済能力調査義務 指定信用情報機関が保有する信用情報の使用義務生命保険契約に係る同意前の書面の交付義務 → | 法第 16 条の2 法第 13 条・施行規則監督指針 法第 16 条の3 | |||
監 法 回 督 第 規 収 指 20 制 ( 針 条 を 取 、 遵 立 法 守 て 第 す に 21 る 係 条 ) る 各 種 | 債権 法 管 第 理 19 (帳条 簿の 備 付け ) | |||
貸付けの契約 (債権証書 | ||||
《契約書等》を作成し、顧客に交付)→法第 17 条 | ||||
弁済 (弁済の都度、受領証書《領収書等》 | ||||
を作成し、顧客に交付)→ 法第 18 条 |
これらについては、法の他、政令や施行規則、監督指針により、しなければならない事柄や書面への記載事項について細かく決まりごとが定められており、違反した場合には行政処分や刑罰などの厳しい罰則が規定されています。
1 業務運営に関する措置(法第 12 条の2)
貸金業者に資金需要者等の情報管理、業務の委託先に対する監督、貸金業にかかる社内規則の整備等、貸金業を適切に営むために必要な内部管理体制の整備を求めている条文です。貸金業者が遵守しなければならない法令は貸金業法だけではなく、個人情報保護法、犯罪収益移転防止法など多岐に渡っており、社内規則の制定や役職員の教育、チェック体制の構築などに必要な措置を講じなければ貸金業を適切に営むことはできません。
具体的な措置は規則に、「監督指針」には留意事項が示されていますので参考に体制整備を行ってください。
2 指定紛争解決機関との契約締結義務(法第 12 条の2の2)
平成 22 年 10 月1日より金融分野における裁判外紛争解決制度(ADR 制度)に関する規定が施行され、貸金業界では日本貸金業協会が紛争解決機関(ADR 機関)として指定を受けました。
そのため、平成 22 年 10 月1日以降全ての貸金業者には日本貸金業協会との手続実施基本契約の締結が義務付けられました。また、当該契約が締結されない場合は、行政処分の対象となります。
※ 詳細については日本貸金業協会へお問い合わせください。
3 貸金業務取扱主任者(法第 12 条の3)
従来の制度の下での貸金業務取扱主任者は、貸金業者から選任を受けた従業者をいいましたが、第3施行後は、国またはその委託を受けた者が行う資格試験に合格し、内閣総理大臣の登録を受けた者をいいます。
第4施行後は、営業所又は事務所ごとに貸金業務取扱主任者を置くだけでなく、営業所等において貸金業の業務に従事する者が50人を超えている場合には、50人ごとに1名以上の主任者を置く必要があります。主任者の設置後に主任者が常勤者でなくなることによりまたは主任者の退職等によりその数が内閣府令で定める数を下回った場合、主任者を置かなかった場合について100万円以下の罰金に処せられます。(法第 49 条第1項第3号)。
4 証明書の携帯(法第 12 条の4)
貸金業者は、貸金業の業務に従事させる場合は、その使用人その他の従業員に従業員であることを証する証明書を携帯させなければなりません。これに違反した者は、(法第 49 条第
1項第3号)100万円以下の罰金の対象になります。
5 禁止行為(法第 12 条の6)
貸金業者は、その貸金業の業務に関し、次のことを禁止しています。
(1)資金需要者等に対し、虚偽のことを告げ、又は貸付けの契約の内容のうち重要な事項を告げない行為
(2)資金需要者等に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤認させるおそれのあることを告げる行為
(3)保証人となろうとする者に対し、主たる債務者が弁済することが確実であると誤解させるおそれのあることを告げる行為
(4)前三号に掲げるもののほか、偽りその他不正又は著しく不当な行為
なお、(1)の規定に違反して虚偽のことを告げた者は、1年以上の懲役若しくは300万円以下の罰金の対象となります。(法第48条)
6 生命保険契約に係る規制(法第 12 条の7、法第 16 条の3)
貸金業者が借り手又は保証人の死亡を保険事故として生命保険契約を結ぶことが、不適切な取引行為を招き、ひいては借り手等の自殺を誘発しているのではないかなどの社会的批判が見られました。こうした批判を踏まえ、貸金業者が保険会社と、住宅資金貸付契約以外の貸付について、貸付の契約の相手方又は相手方となろうとする者を被保険者とする生命保険契約を締結する場合には、自殺を保険事故としてはならないとされています。
また、自殺を保険事故としないものについては、保険契約の内容を説明する書面をあらかじめ借り手等に対して貸金業者が交付することを義務づけることとしています。いずれの場合にも、違反した者は、刑罰(法第 48 条第1項第3号の3・1年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はその併科)の対象となります。
7 利息、保証料等に係る制限等(法第 12 条の8)
(1)完全施行時より出資法の上限金利が利息制限法の水準まで引き下げられました。
出資法 上限金利 年 20% | 利息制限法 元本 10 万円未満 | 年 20% |
10 万円以上100 万円未満 | 年18% | |
100 万円以上 | 年15% |
引き続き、出資法と利息制限法の間には「刑事罰の対象ではないが民事上は無効」の金利帯が残ります。この金利帯における貸付(貸金業法で利息契約、利息の要求、受領)を禁止しました。そのためこの規定に違反した場合は行政処分の対象となります。
なお、施行令附則第 13 条において、完全施行日より前に締結された利息の契約については、本項の規定は適用されないこととされています。
(2)旧出資法と利息制限法では、いわゆる「みなし利息」の規定が一致していなかったため、出資法における上限金利引下げに伴い民事・刑事の規定調整がなされました。改正後は、契約の締結および債務の弁済の費用のうち、公租公課の支払に充てられるべきもの、強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用その他公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの、借り手が金銭の受領または弁済のために利用する現金自動支払機その他の機械の利用料(利用額1万円以下の場合は 110 円、1
万円超の場合は 220 円の範囲)、ローンカードの再発行費用など借り手の要請により貸し手が行う事務の費用については例外として利息とみなさないこととされました。
8 返済能力の調査(法第 13 条)
貸金業者による過剰貸付けの抑制を図る観点から、貸付の契約を締結しようとする場合において、顧客等の返済能力に関する事項を調査することが義務づけられました。原則として、個人である顧客等と貸付けの契約を締結しようとする場合には、指定信用情報機関が保有する信用情報を使用しなければなりません。法人向けの貸付については、法人の作成する帳簿等により借入状況等を踏まえた返済能力の把握が可能であると考えられますが、個人向けの貸付けの場合、本人からの申告に係る信用情報だけでは精緻な与信審査を行うことが困難であると考えられることから利用が義務付けられたものです。
また、貸付けの契約を締結しようとする場合で保証人と保証契約を締結する場合にも適用される規定ですので注意してください。
なお、個人向け貸付についてもその都度返済能力調査を行う合理性がない契約類型として、内閣府令においてこの義務の例外が以下の契約と定められています。
① 極度方式貸付けに係る契約
② 手形(融通手形を除く)の割引を内容とする契約
③ 金融商品取引業者が保護預かりをしている有価証券を担保として当該金融商品取引業者が行う500万円を超える貸付に係る契約
④ 貸金業者を債権者とする金銭の貸借の媒介に係る契約
個人顧客に対する貸付については、指定信用情報機関への信用情報の照会に加え、返済能力調査をより精緻に行う観点から、
① 当該貸付けの金額(極度方式基本契約にあっては、極度額)が当該貸金業者の既存
の貸付の残高(極度方式基本契約にあっては、極度額)と合算して50万円を超える貸付に係る契約
② 当該貸付けの金額(極度方式基本契約にあっては、極度額)が当該貸金業者の既存の貸付けの残高(極度方式基本契約にあっては、極度額)と指定信用情報機関から提供を受けたほかの貸金業者の貸付けの残高と合算して100万円を超える貸付に係る契約の場合は、源泉徴収票等顧客の資力に関する客観的な資料を徴求することも義務付けられています。
顧客等と貸付けの契約を締結した場合には、返済能力の調査に関する記録を作成し、契約類型に応じ定められた期間保存しなければなりません。記録しておくべき項目としては、
① 契約年月日
② 顧客等から資力を明らかにする書面等の提出を受けた年月日
③ 顧客等の資力に関する調査の結果
④ 顧客等の借入れの状況に関する調査の結果
⑤ その他返済能力の調査に使用した書面又はその写し等となっています。
9 過剰貸付け等の禁止(第 13 条の2)
借り手の収入、借入状況、借入目的等に照らして、借り手が返済期間内に完済することが合理的に見込まれない貸付けのことを「返済能力を超える貸付け」とし、「個人過剰貸付契約その他顧客等の返済能力を超える貸付けの契約」の締結を禁じています。「貸付けの契約」には保証契約も含まれ、保証人と保証契約を締結しようとする場合には、保証人になろうとする者の返済能力調査や、当該保証人になろうとする者が個人である場合には、指定信用情報機関の個人信用情報を使用した調査が義務付けられており、違反した場合は行政処分の対象となることに注意が必要です。
個人顧客の借入残高が、当該個人顧客の年収等の3分の1を超えることとなる貸付けに係る契約の締結は原則禁止されています。この総量規制は、借り手が自らの返済能力を超えた過大な債務を負うことで多重債務に陥ることを防ぐことが目的であり、個人顧客の年収等の3分の1を超える貸付けに係る契約であっても、「個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約」として貸付けを行うことが可能な契約もあり、下記の通り定められています。
(例外規定)
① 個人顧客に一方的に有利となる借換えに係る契約
② 借入残高を段階的に減少させるための借換え契約
③ 顧客または顧客の親族等の緊急に必要と認められる医療費を支払うための貸付け契約
④ 社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付け
(当該顧客の返済能力を超えない貸付けに係る契約であること緊急個人顧客合算額が10万円を超えないこと
返済期間が3ヶ月を超えないこと 以上全ての要件を満たすもの)
⑤ 配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け(配偶者の同意が必要)
⑥ 個人事業主に対する貸付けに係る契約(事業計画、収支計画、資金計画により返済能力を超えないと認められる場合には貸付けが可能。さらに貸付金額が100万円以下の場合には、上記計画の提出に代えて、事業・収支・資金繰りの状況が確認できる書面の
提出により貸付けが可能。)
⑦ 新たに事業を営む個人事業者に対する貸付けに係る契約(要件については⑥と同様)
⑧ 預金取扱金融機関からの貸付けを受けるまでのつなぎ資金に係る貸付け
総量規制になじまないと考えられる以下の契約については、総量規制の対象としないこととされています。
(除外規定)
① 不動産の建設若しくは購入のため又は不動産の改良に必要な資金の貸付契約
② ①の貸付けが行われるまでのつなぎとして行う貸付けに係る契約
③ 自動車の購入時の自動車担保貸付契約
④ 個人顧客又は当該個人顧客の親族で当該個人顧客と生計を一にする者の高額療養費を支払うために必要な資金の貸付けに係る契約
⑤ 有価証券を担保とする貸付けに係る契約
⑥ 不動産(個人顧客または担保提供者の居宅等を除く)を担保とする貸付けに係る契約
⑦ 売却予定不動産の売却代金により弁済される貸付けに係る契約
⑧ 手形(融通手形を除く)の割引を内容とする契約
⑨ 金融商品取引業者が保護預かりをしている有価証券を担保として当該金融商品取引業者が行う500万円を超える貸付けに係る契約
⑩ 貸金業者を債権者とする金銭の貸借の媒介に係る契約
「除外規定」については、総量規制にかかわらず借入れが可能であり、借入額が借入残高に算入されないため、その後の借入れには影響を与えません。しかし「例外規定」については、あくまでも総量規制の例外であるため、総量規制にかかわらず借入れは可能ですが、借入額が借入残高に算入され、借入残高が総量規制の基準を超過した場合、その後の「除外規定」や「例外規定」を除く借入れはできなくなります。
また、これらの貸付けを行う場合には、貸金業者は、それぞれの契約類型に応じて、当該貸付けが要件等を満たすことを明らかにする書面等を保存しなければなりません。
10 貸付条件等の掲示(法第 14 条)
貸金業者は、営業所等ごとに、顧客の見やすい場所に、次表の事項を記載した貸付条件表及び貸金業務取扱主任者の氏名を掲示しなければなりません。
掲示事項貸付けの種類 | 貸付利率 | 返済方式 | 返 返済 済回 期数 間 | 含 〔 す 元 賠む 違 る 本 償 〕 約 割 に 額 金 合 のを 対 | す 担る 保事 に 項 関 | 返 主済 な例 | 料 媒の 介割 手 合 数 |
金銭の貸付け | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
金銭の貸借の媒 介 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
手形の割引・売渡 担保及びこれらの媒介 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ 媒介のみ |
貸金業務取扱主任者の氏名
掲示事項
※ 「貸付けの利率」、「賠償額の元本に対する割合」及び「媒介手数料の割合」について
は、実質年率を百分率で少なくとも小数点以下第1位まで表示すること。
※ 手形の割引及びその媒介については、「貸付けの利率」の表示は割引率(年率を百分率で少なくとも小数点以下第1位まで表示)を表示してもかまいません。
登録を受けている以上は、たとえ貸付実績が全くなくても、貸付条件表は必ず掲示しなけれ ばなりません。違反した場合は刑罰(法第 49 条第4号・100万円以下の罰金)の対象となります。
なお、現金自動設備(ATM)により、包括契約(あらかじめ定める条件により継続して貸付けを行う契約。リボルビング)に基づく金銭の交付・回収を行うのみのものであるときは、貸付条件表の掲示は必要ありません。
(参考)貸付条件表例
貸 付 条 件 | 表 | (ここに貸付の種類を記載) | |||
貸 付 利 | 率 | 実質年率 | % | ||
返 済 の 方 | 式 | 方 式 | |||
返 済 期 | 間 | (最短及び最長期間を記載) | |||
返 済 回 | 数 | (最短及び最長期間を記載) | |||
貸 金 業 務 取主 任 者 の 氏 | 扱名 | ||||
賠 償 額 の 元に 対 す る 割 | 本合 | 実質年率 | % | ||
担 保 に つ い | て | (担保の徴求の有無を記載) (担 保 の 種 類 を記 載) (保 証 人 の要 否 を記 載) | |||
貸 付 限 度 | 額 | ||||
主 な 返 済 | 例 | (返 済 | 例 | を 記 | 載) |
媒 介 条 件 表 | |
媒 介 手 数 料の 計 算 方 法 | |
媒 介 に 係 る 貸 付 け の 条 件 | |
貸 付 け の 種 類 | |
貸 付 利 率 | 実質年率 % |
返 済 の 方 式 | 方 式 |
返 済 の 期 間返 済 の 回 数 | (最短及び最長期間を記載) (最短及び最長期間を記載) |
貸 金 業 務 取 扱主 任 者 の 氏 名 |
11 標識の掲示(法第 23 条)
たとえ貸付実績が全くない場合でも、営業所等には、法で定められた様式の標識を掲示しな ければなりません。
30 ㎝以上
貸 金 業 者 登 録 票
登 録 番 号 三重県知事 ( ) 第
号
登録有効期間
年 月 日 ~
年 月 日
(貸金業者の商号、名称又は氏名)
25 ㎝以上
注 1 金属、プラスチックなどの丈夫な素材であることが望ましい。
2 貸金業協会会員である場合にあっては、その者の貸金業協会会員番号を、商号、名称又は氏名の下に掲記することを妨げない。(協会員のみが記載可能)
ただし、CD・ATM等の設備は、縦5cm 以上、横6cm 以上とし、材質については堅固なもの
(金属製、プラスチック製等)とし、これらは営業所又は事務所ごとに、入口等の公衆の見やすい場所に掲示されていなければなりません。
公衆の見やすい場所とは、人が自由に往来できる場所に面したところを意味し、店内ではなく店外へ掲示する必要があります。
なお、違反した場合は行政処分(法第 24 条の6の4・監督上の処分)や刑罰(法第 49 条・
100万円以下の罰金)の対象となります。
12 貸付条件の広告(法第 15 条)
広告に貸付条件に関する記載をする場合、次表の事項を表示しなければなりません。
なお、貸金業者は、広告又は書面若しくは電子メール等による勧誘をするときは、電話番号 その他の連絡先については、貸金業者登録簿に登録されたもの以外のものを用いることができません。
掲示事項 貸付けの種類 | 貸付け の利率 | 登録簿に登録された商号・名称又は氏名 | 登録番号 | 返済の 方 式 | 返済期間 返済回数 | 賠償額の元 本に対する割合 (違約金含) | 担保に関する事 項 | 媒 介 手 数料 の割 合 | |
金 銭 の 貸 付 け | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
金銭の貸借の媒介 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
手形の割引・売渡担保 及びこれらの媒介 | ○ | ○ | ○ | ○ (媒介のみ) |
※ 「貸付けの利率」、「賠償額の元本に対する割合」及び「媒介手数料の割合」については、実質年率を百分率で少なくとも小数点以下第1位まで表示すること。
※ 手形の割引及びその媒介については、「貸付けの利率」の表示は割引率(年率を百分率で少なくとも小数点以下第1位まで表示)を表示してもかまいません。
※ 広告、勧誘の際に表示できる連絡先として、場所を特定できない携帯電話やIP電話の電話番号は除外されています。なお、ホームページアドレス又は電子メールアドレスについて広告等に表示するときは、業者の場所を特定できる電話番号も併せて表示しなければなりません。
違反した場合は、行政処分(法第24 条の6の4・監督上の処分)や刑罰(法第48 条第1項第2号・1年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はその併科)の対象となります。
13 誇大広告の禁止 (第 16 条)
業務に関する広告をするときに、次のような広告をすることは出来ません。
(1) 貸付けの利率その他の貸付けの条件について、著しく事実に相違する表示若しくは説明をし、又は実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような表示や説明をすること
(2) 資金需要者等を誘引することを目的とした特定の商品を当該貸金業者の中心的な商品であると誤解させるような表示又は説明をすること
(3) 他の貸金業者の利用者又は返済能力がない者を対象として勧誘する表示や説明
(4) 借入れが容易であることを過度に強調することにより、資金需要者の借入れ意欲をそそるような表示や説明
(5) 公的な年金、手当等の受給者の借入意欲をそそるような表示や説明
(6) 貸付けの利率以外の利率を貸付けの利率と誤解させるような表示や説明
(7) 上記に掲げるもののほか、資金需要者等の利益の保護に欠けるおそれがある表示や説明として内閣府令で定めるもの
(8) 貸付けの契約の締結を勧誘した場合において、当該勧誘を受けた資金需要者等から
当該貸付けの契約を締結しない旨の意思が表示されたときの再勧誘
違反した場合は行政処分(法第 24 条の6の4・監督上の処分)や刑罰(法第 48 条第1項第
3号・1年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はその併科)の対象となります。
また、安易な借入れを助長するような過大な広告活動は好ましくないことから、貸金業者は、資金需要者等の返済能力を超える貸付けの防止に配慮するとともに、その広告又は勧誘が過度にわたらないように努めなければなりません。(法第 16 条第3項)
14 契約締結前の書面の交付(第 16 条の2)
(1) 貸付けの契約を締結する際、借り手等に対し、事前に契約の内容を説明する書面を交付することで、契約に先立って十分に借入条件等を理解させ借入の判断ができるようにしなければなりません。事前交付書面には下記の事項を記載する必要があります。
① 貸金業者の商号、名称または氏名及び住所
② 貸付けの金額
③ 貸付けの利率
④ 返済の方式
⑤ 返済期間および返済回数
⑥ 賠償額の予定に関する定めがあるときは、その内容
⑦ 貸金業者の登録番号
⑧ 債務者が負担すべき元本および利息以外の金銭に関する事項
⑨ 借入金返済能力に関する情報を信用情報に関する機関に登録するときはその旨およびその内容
⑩ 利息の計算の方法
➃ 返済の方法および返済を受ける場所
⑫ 各回の返済期日および返済金額の設定の方式
⑬ 契約上、返済期日前の返済ができるか否かおよび返済ができるときはその内容
⑭ 期限の利益の喪失の定めがあるときは、その旨およびその内容
⑮ 将来支払う返済金額の合計額
⑯ 手続実施基本契約の相手方である指定紛争解決期間の商号又は名称
いわゆるリボルビング契約等の極度方式基本契約を締結する際にも、借り手に対し事前に契約内容説明書面を交付する必要があります。貸付けに係る契約を締結する場合とは、多少内容が異なっていますのでご注意ください。
(2) 貸付けに係る契約について保証契約を締結しようとする場合には、当該保証契約を締結するまでに、下記の事項を明らかにし当該保証契約の内容を説明する書面を当該保証契約の保証人となろうとする者に交付しなければなりません。なおこの事前説明書は、保証契約の概要について簡潔かつ明瞭に記載した「概要書面」と、詳細を記載した「詳細書面」の2種類を作成し、両者を同時に交付しなければなりません。
① 貸金業者の商号、名称または氏名及び住所
② 保証期間
③ 保証金額
④ 保証の範囲に関する事項で内閣府令で定めるもの(施行規則第 12 条の2第3項参照)
⑤ 保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担するときは、連帯保証の趣旨その他の連
帯保証債務の内容に関する事項として内閣府令で定めるもの
⑥ 前各号に掲げるもののほか内閣府令で定める事項
連帯保証人には、催告の抗弁権及び検索の抗弁権がない旨の記載が義務付けられ、連帯保証人、または連帯保証人となろうとする者が、保証人に比べ責任が重くなっていることを正確に認識できるようにしなければなりません。
なお、この規定に違反した場合は、1年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、またはその併科の対象となります。(法第 48 条第1項第3号)
15 契約締結時の書面の交付(第 17 条)
(1) 書面の交付義務
貸付けの契約 (それに対する保証契約を含む) を結んだときは、契約の内容を明らかにする書面 (契約書、借用証書等) を相手方に交付しなければなりません。
契約内容が書面で明らかにされていなかったり、書面があっても相手方に交付していなかったりすると、後になってトラブルが発生するおそれがあります。そのため、法では、契約締結後は遅滞なく債権証書を顧客に交付しなければならない旨を定めたうえで、その記載内容についても細かく規定しており、違反した場合は行政処分(法第 24 条の6の
4・監督上の処分)や刑罰(法第 48 条第1項第4号・1年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科)の対象になります。
書面に記載しなければならない事項は、下記のとおり定められています。これらをすべて満たしていれば様式は問いません。
① 貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所
② 契約年月日
③ 貸付の金額
④ 貸付の利率
⑤ 返済の方式
⑥ 返済期間及び返済回数
⑦ 賠償額の予定(違約金を含む)に関する定めがあるときは、その内容
⑧ その他内閣府令で定める事項 (施行規則第 13 条第1項参照)
(2) 極度方式基本契約の場合の書面の交付
極度方式基本契約を締結したときも、遅滞なく下記の事項について明らかにする書面をその相手方に交付しなければなりません。
① 貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所
② 契約年月日
③ 極度額
④ 貸付けの利率
⑤ 返済の方式
⑥ 賠償額の予定に関する定めがあるときは、その内容
⑦ その他の内閣府令で定める事項 (施行規則第 13 条3項参照)
この規定に違反した場合は、1年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科の対象となります。(法第 48 条第1項第4号)
16 受取証書の交付 (第 18 条)
債権の全部又は一部について弁済を受けたときは、その都度、直ちに、受取証書を交付しなければなりません。これは、債務者に代わって第三者が弁済をした場合も同様であり、弁済をした者に対しては必ず交付する義務があります。
受取証書の交付がないと、後になって支払の有無をめぐってトラブルが発生するおそれがあります。そのため、受取証書は弁済をした者からの請求の有無に関わらず、必ず交付しなければならないとされており、違反した場合は行政処分(法第 24 条の6の4・監督上の処分)や
刑罰(法第 48 条第1項第4号・1年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科)の対象になります。
ただし、預金又は貯金の口座に対する振込みにより弁済を受けた場合にあっては、 弁済をした者の請求がない限り、受取証書を交付する必要はありません。
受取証書に記載する事項は次のとおりです。
① 貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所
② 契約年月日
③ 貸付けの金額
④ 受領金額及びその利息、賠償額の予定に基づく賠償金又は元本への充当額
⑤ 受領年月日
⑥ 弁済を受けた旨を示す文字
⑦ 貸金業者の登録番号
⑧ 債務者の商号、名称又は氏名 (契約番号等で貸付契約を特定できる場合には省略可)
⑨ 債務者以外の者が債務の弁済をした場合には、その者の商号、名称又は氏名
⑩ 当該弁済後の残存債務の額
なお、上記⑦⑧については、契約番号等で契約内容を特定できる場合には省略しても構いません。
17 帳簿の備付け(第 19 条)
(1) 帳簿の備付け及び保存
貸金業者は、営業所または事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、債務者ごとに保存しなければなりません。保存期間は、貸付の契約ごとに最終の返済期日から少なくとも10年間とされています。ただし、極度方式基本契約を締結した場合には、当該極度方式基本契約の解除の日又はこれらの契約に定められた最終の返済期日のうち最後のもののうちいずれか遅い日から少なくとも10年間保存しなければならないこととされています。
違反した場合は行政処分(法第 24 条の6の4・監督上の処分)や刑罰(法第 49 条第1項第5号・100万円以下の罰金)の対象となります。
債権管理をコンピュータ等で行っており、その内容を直ちに取り出せるようになっている場合や、貸付契約、保証契約、債権譲渡契約の契約内容を明らかにする書面の写しを保存している場合は、それにより帳簿の記載部分に代えることができます。
また、現金自動設備(ATM)のみの営業所等には備付けが不要です。
18 帳簿の閲覧(法第 19 条の2)
債務者、債務者等であった者、保証人、その他の債務の弁済を行おうとする者、代理人、法定代理人、後見人等は帳簿の閲覧又は謄写を請求することが出来ます。この場合において、貸金業者は、当該請求が当該請求を行った者の権利の行使に関する調査を目的とするものでな
いことが明らかであることを除き、当該請求を拒むことが出来ません。違反した場合は刑罰(法第 49 条第1号第6号・100万円以下の罰金)の対象となります。
交渉の経過の記録
債務者等その他の者との「交渉の経過の記録」を貸金業者の帳簿の一部として保存しなければなりません。
記録する具体的な内容は次のとおりです。
① 債権の回収に関する記録、貸付けの契約条件の変更(条件変更に至らなかったものを除く)に関する記録、契約の締結以降における交渉の経過の記録
② 記録の記載事項は、おおむね、交渉の相手方、交渉日時、場所及び手法、交渉担当者、交渉内容としています。
③ 「交渉の経過の記録」の保存期間は、帳簿の保存期間と同じで、契約で定められた最終返済期日から少なくとも10年は保存しなければなりません。
19 債権証書の返還(第 22 条)
債権額の全額の弁済を受けた場合は、受取証書を交付するとともに、契約締結時に作成した、借用書や契約書などの債権の存在を証する書類を返還しなければなりません。
全額の弁済を受けたにも関わらず、貸金業者が債権証書を所持したままでいると、後になって、完済したか否かをめぐってトラブルが発生するおそれがあります。そのため、法では、相手の請求の有無に関わらず、必ず遅滞なく債権証書を返還するよう、貸金業者に義務づけしています。弁済したのが、債務者以外の第三者である場合には、その弁済した者に対して返還します。
違反した場合には、行政処分(法第 24 条の6の4・監督上の処分)や刑罰(法第 52 条・10万円以下の過料)の対象になります。
20 取立て行為の規制(第 21 条)
(1) 規制される行為等
貸金業者の取立て行為に対しては、法による厳しい規制が課せられており、「私生活又は業務の平穏を害するような言動」の具体的態様が法律上例示されました。
規制を受けるのは、貸金業者の他に、「債権の取立てについて貸金業者その他の者から委託を受けた者」や、貸金業者から債権譲渡を受けた者も含まれます。
禁止される行為等は、具体的に次のとおりであり、違反した場合は行政処分(法第 24
条の6の4・監督上の処分)や刑罰(法第 47 条の3・2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科)の対象になります。
債務者、保証人等を威迫(脅迫までは至らないが、他人に対して言語、動作等をもって気勢を示し、不安の念を生じさせること)し、又は私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはなりません。
① 正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯(午後9時から午前8時までの間)に、債務者等に電話をかけたり、ファックス送信をしたり、債務者等の居宅を訪問すること。
② 債務者等が弁済し、又は連絡し、若しくは連絡を受ける時期を申し出た場合において、その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他の正当な理由がな
いのに、前号に規定する内閣府令で定める時間帯以外の時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファックス送信をしたり、債務者等の居宅を訪問すること。
③ 正当な理由がないのに、債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけたり、電報の送達、ファックス送信をしたり、債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること。
④ 債務者等の居宅又は勤務先その他の債務者等を訪問した場所において、債務者等から当該場所から退去すべき旨の意思を示されたにもかかわらず、当該場所から退去しないこと。
⑤ はり紙、立看板その他何らかの方法を問わず、債務者の借入れに関する事実や私生活に関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること。
⑥ 債務者等に対し、他の貸金業を営む者からの金銭の借入れなどにより債務の弁済資金を調達することを要求すること。
⑦ 債務者等以外の者に対し、債務者等に代わって債務を弁済することを要求すること。
⑧ 債務者等以外の者が債務者等の居所又は連絡先を知らせることその他の債権の取立てに協力することを拒否している場合において、更に債権の取立てに協力することを要求すること。
⑨ 債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士等に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続きをとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があった場合において、正当な理由がないのに、債務者に対し、電話をかけ、電報を送達し、ファックス送信し、又は訪問により、当該債務の弁済を要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務の弁済を要求すること。
⑩ 債務者等に対し、前各号(第6号を除く。)のいずれかに掲げる言動をすることを告げること。
※ 「正当な理由」:債務者の自発的な承諾がある場合、債務者等と連絡を取るための合理的方法が他にない場合など
(2) 支払を催告するための書面等の記載事項
債権の取立てに際し、債務者に対し、支払を催告するための書面又は電磁的記録を送付するときは、貸金業を営む者の商号、名称、住所、電話番号、書面等の送付者の氏名、契約年月日、貸付けの金額、貸付けの利率、支払を催告する金額、弁済期、その他内閣府令で定める事項(残存債務の額、催告する金額の元本、利息及び賠償額毎の内訳等)について記載しなければなりません。違反した場合は行政処分(法第 24 条の6の4・監督
上の処分)や刑罰(法第 49 条・100万円以下の罰金)の対象になります。
(3) 取立ての際における相手方からの要求
貸付けの契約に基づく取立てを行うにあたり、相手方から請求があったときは、貸金業を営む者の商号・名称、取立てを行う者の氏名等について、内閣府令で定める方法により相手方に明らかにしなければなりません。
※ 「内閣府令で定める方法」とは、書面によるものとし、債務者等に取立てを行う場合、明らかにしなければならない事項については、催告書面の内容と同じです。また、債権の取立てを貸金業者から委託を受けた者の名称、氏名等の明示の要求があった場合は法第 13 条の2に規定する証明書の提示によって代えることができます。
21 債権譲渡等の規制(第 24 条)
(1) 債権の譲受人に対する通知
貸金業者が債権譲渡をする場合には、譲受人に対し、下記の規定の適用がある旨を通知しなければなりません。これは、債権譲渡を行うことで、貸金業者に対する行為規制の一部が譲受人に準用されることを周知することにより、確実な法令遵守を求めるものです。通知については書面によることが原則となっていますが、譲受人の承諾を条件に、電磁的方法によることも可能です。
この規定に違反した場合は、100万円以下の罰金の対象となります。(法第 49 条第8号)
準用される規定
①法第 12 条の7 生命保険契約の締結に係る制限
②法第 16 条の2第3項・第4項 契約締結前の書面の交付
③法第 16 条の3 生命保険契約に係る同意前の書面の交付
④法第 17 条(第6項を除く) 契約締結時の書面の交付
契約締結時ではなく債権譲渡時に書面の交付義務がかかるよう読替規定が置かれている点に注意してください。
⑤法第 18 条 受取証書の交付
⑥法第 19 条 帳簿の備え付け
⑦法第 19 条の2 帳簿の閲覧
⑧法第 20 条 特定公正証書に係る制限
⑨法第 20 条の2 公的給付に係る預金通帳等の保管等の制限
⑩法第 21 条 取立て行為の規制
➃法第 22 条 債権証書の返還
⑫法第 24 条第1項 債権譲渡時における譲渡人に対する規制
⑬法第 24 条の6の 10 報告徴収および立入検査
(2) 債権譲渡の制限
貸金業者は、相手が暴力団員等であることを知って債権譲渡等をすることは禁止されています。違反した場合は行政処分(法第 24 条の6の4・監督上の処分)や刑罰(法第 48 条第1項第6号・1年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科)の対象になります。
22 相談及び助言(第 12 条の9)
貸金業法の改正は多重債務問題の改善を図ることを目的として段階的に施行されてきました。
「貸金業者は、資金需要者等の利益の保護のために必要と認められる場合には、資金需要者等に対して、借入れ又は返済に関する相談又は助言その他の支援を適正かつ確実に実施することができると認められる団体を紹介するよう努めなければならない」と規定されておりますので、資金需要者等からの相談にあたっては丁寧に説明を行い理解を得るように努めていただくとともに、下記の相談窓口をご紹介いただきますようお願いします。
・ 多重債務に関する相談
三重県消費生活センター 059-228-2212
東海財務局 金融ほっとライン 052-951-9620
(財)日本クレジットカウンセリング協会 0570-031640
・ 多重債務に関する相談を法律の専門家に直接行う窓口
三重弁護士会消費者被害救済センター(津)059-222-5957
(四日市)059-352-1756
三重県司法書士会 059-221-5553日本司法支援センター(法テラス三重) 050-3383-5470
第4 監 督(法第 24 条の6の2~24 条の6の 12)
貸金業者は、法の規定に基づき登録行政庁(三重県知事)の監督を受けます。
1 業務改善命令(法第 24 条の6の3)
貸金業者が業務の運営方法や内部管理等に問題があり、資金需要者等の利益の保護の観点から早急に改善させる必要があるが、経営陣の自主的な判断に委ねたのではその改善が期待できない場合に、業務改善命令が出されます。
2 監督上の処分(法第 24 条の6の4)
貸金業者が以下に該当した場合には、登録取消及び1年以内の期間、業務の全部又は一部の停止を命じられることがあります。
・営業所又は事務所ごとの貸金業務取扱主任者の設置
・財産的基礎の基準を満たしていない者
・貸金業を的確に遂行するために必要な体制が整備されていない者
・他に営む業務が公益に反すると認められる者
・貸金業の業務に関して法令や処分に違反した場合
・取立て制限者であることを知りながら、債権譲渡等を行った場合 など
また、法第24 条の6の4第1項第2号第12 号に該当することになった場合には、当該貸金業者に対して、役員の解任を命じられることがあります。
3 登録の取消し(法第 24 条の6の5)
貸金業者が以下に該当した場合には、登録取消処分を命じられます。
・法第6条第1項第1号若しくは第4号から第12号までのいずれかに該当するに至ったとき、又は登録の時点において同項各号のいずれかに該当していたことが判明したとき。
・法第7条各号のいずれかに該当して引き続き貸金業を営んでいる場合において、新たに受けるべき法第3条第1項の登録を受けていないことが判明したとき。
・不正の手段により法第3条第1項の登録を受けたとき。
・法第12条(名義貸しの禁止)の規定に違反したとき。
・法第12条の5(暴力団員等の使用の禁止)の規定に違反したとき。
登録の取消しは、行政処分の中でもっとも厳しいものであり、登録を取消された貸金業者は、取消しの日後、業務を営むことができなくなります。(ただし、法第 43 条の規定により、既に締結してあった「貸付けの契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、なお貸金業者とみなされる」ので、回収業務のみは引き続き行うことができます)。
また、登録を取消された者は、取消しの日から5年間は、自ら個人事業主として貸金業登録を受けたり、貸金業者の役員、重要な使用人、貸金業務取扱主任者及び法定代理人になることもできなくなります。(法第6条の登録拒否要件に該当することになるため)。
※ 登録取消しの事由については、「9 登録の取消し」を参照
4 開始等の届出など(法第 24 条の6の2、同条6の6)
貸金業を開始、休止及び再開したとき、指定信用情報機関と信用情報提供契約を締結したときや財産的基礎の基準に満たなくなった場合などに届出が義務づけられています。
また、正当な理由がないのに、登録を受けた日から6月以内に貸金業を開始しないときや引き続き6月以上貸金業を休止したときには、その登録を取り消される場合があります。
5 報告徴収及び立入検査(法第 24 条の6の9、同条6の 10)
(1) 業務報告書の提出
貸金業者は、毎年3月末現在の貸付残高等の業務の状況について、5月末までに、三重県知事宛に業務報告書を提出しなければなりません。
業務報告書の提出先、様式等については、文書通知しますので、貸付実績が全くない場 合でも、必ず提出してください。
(2) 事業報告書、残貸付債権の状況等に係る報告書の提出
毎年、すべての貸金業者は事業年度経過後3ヶ月以内に三重県知事宛に必ず提出してください。添付書類として、法人の場合は、最終事業年度に係る貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書等、個人の場合は、財産に関する調書を提出してください。
みなし貸金業者については、事業報告書の提出に代えて残貸付債権の状況等に係る報告書の提出が求められます。取引の全てが結了するまでは毎事業年度経過後3ヶ月以内に報告書を提出してください。
(3) 立入検査
三重県知事は、県内で貸金業を営む者に対して、「資金需要者等の利益の保護を図るために必要があると認めるとき」は、三重県職員を営業所等に立ち入らせ、帳簿、書類その他業務に関係ある物件を検査させ、又は関係者に質問させることができます。
この立入検査については、貸付実績が全くない場合でも、拒否することはできません。
立入検査を拒否、妨害等した場合や、虚偽の答弁をした場合などには、刑罰(法第 48 条・1年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科)の対象となります。
第5 貸金業協会(法第 25 条~41 条の 12)
貸金業協会(以下「協会」という。)は、全国を区域とし、法第 26 条第2項により内閣総理大臣の認可を受けた貸金業者により設立された法人です。
協会は、資金需要者等の利益の保護を図り、貸金業の適正な運営を資することを目的としています。
また、協会は、都道府県の区域ごとに支部を設け、支部は協会の目的の達成のため、支部に所属する協会員に対する指導を行います。
1 会 員
貸金業者は、県内に営業所等があれば自由に協会に加入することができます。貸金業者の適正な運営と不正金融の防止を図るためには業界の自主的な努力が必要ですので、一人でも多くの方が加入し、業界の発展と正常化に努力することが重要です。
2 業 務
貸金業協会が行わなければならない業務は、主に次のとおりです。
① 協会員が貸金業法及び関係法令を遵守し、協会員間の秩序を保持することを強化促進すること。
② 協会員に、法令及び定款、業務規程その他の規則を遵守するための当該協会員又はその役員若しくは従業員が遵守すべき規則及び管理体制を整備させることにより、法令又は定款、業務規程その他の規則に違反する行為を防止し、資金需要者等の信頼を確保すること。
③ 協会員の法令、法令に基づく行政官庁の処分又は定款、業務規程その他の規則の遵守の状況並びに営業及び財産の状況を調査すること。
④ 協会員が営む貸金業の業務に対する資金需要者等からの苦情の解決を図ること。
⑤ 資金需要者等に対する借入れ及び返済に関する相談又は助言その他の支援を行うこと。
⑥ 協会員の役員及び従業員の研修等を行い、その資質の向上を図ること。
⑦ 法令に基づく登録の申請、届出その他必要な事項に関し、内閣総理大臣又は都道府県知事に協力すること。
⑧ 金融に係る知識の普及及び啓発を図ること。
⑨ 貸金業に関する課題を調査研究し、必要に応じて政府等に建議要望すること。
⑩ 協会員間及び貸金業に関係のある団体等との意思の疎通及び意見の調整を図ること。
➃ 貸金業務取扱主任者に係る資格試験、主任者登録、登録講習を実施すること。
⑫ 指定紛争解決機関(ADR機関)として金融トラブルの苦情・紛争解決に取組むこと。
⑬ 前各号に掲げるもののほか、本協会の目的達成に必要な業務を行うこと。
3 加入のメリット
(1) 協会ホームページの利用
協会では、ホームページに会員専用ページを設け、タイムリーな情報配信、業務に関する Q&A の掲載等によるサポートを行っています。また、業務に必要な様式や規則の雛形なども掲載しています。
(2) 業務研修会等の実施
協会では、協会員に法令や規則を遵守した適正な業務を支援するため、貸金業務に関連した情報配信や法務相談を行っています。また法改正に伴う業務上の注意点や業務を行うにあたって必要となる知識の習得を目的とし外部から弁護士や有識者を講師に招き、協会員が参加できるように業務研修会を毎年実施しています。
(3) 貸金業登録申請用書式の頒布
協会では、法律で定められた申請書・届出書などの様式を協会ホームページの会員専用ページに掲載し、協会員がいつでもダウンロードできるようにしています。
また、三重県支部の窓口でも協会員には無料で頒布しています。
(4) 貸金業登録更新のご案内
貸金業登録の有効期間は3年間であり、更新する場合には、有効期間満了の日の5か月前から2か月前までに更新の申請をしなければなりません。協会員に対しては、登録有効期間満了の5か月前に日本貸金業協会から更新手続きが開始されることを知らせる文書が通知されますので、更新忘れを防止することができます。
(5) 協会員証明書の発行
申請の手続きにより協会に加入している証明として、「協会員証明書」が発行されます。このことは、貸金業に係る自主規制を行い資金需要者等の利益の保護を図るため貸金業の適正な運営を進める全国唯一の公益法人として設立された日本貸金業協会が、その実績により国民の高い評価を得ることになれば、その会員として大きな信用力が付くことにつながります。
(6) 指定紛争解決機関(ADR 機関)との手続実施基本契約締結費用の割引
日本貸金業協会は業界唯一の指定紛争解決機関として金融庁長官から認可を受けています。非会員が手続実施基本契約を締結する場合、年会費として10万円必要ですが、協会員については費用が不要です。
〈参 考〉
日本貸金業協会三重県支部
〒514-0006 津市広明町112番地5 第3いけだビル4階
TEL 059-226-9777 FAX 059-226-9417
第6 指定信用情報機関(法第 41 条の 13~同条の 38)
個々の顧客のリスクを精緻に把握することによって返済能力を超える貸付けを防止し、多重債務問題解決の重要な柱の一つである過剰貸付規制が実効性あるものとするため、貸金業者が個々の借り手の総借入残高を把握できる仕組みとして、指定信用情報機関制度が創設され、平成 22 年3月 11 日に株式会社 日本信用情報機構(JICC)と、株式会社 シー・アイ・シーが内閣総理大臣の指定を受けました。完全施行後は、個人の顧客等と貸付の契約(個人保証人と保証契約する場合を含む)を締結する場合には、指定信用情報機関への個人情報の提供と、指定信用情報機関を使用した返済能力の調査義務が生じます。
(1)個人信用情報の提供
貸金業者は、指定信用情報機関と新たに信用情報提供契約を締結したときは、個人顧客の個人信用情報を指定信用情報機関に提供しなければなりません。なお、指定信用情報機関に提供する情報は次のとおりです。
ア 信用情報提供締結前に締結した個人顧客との貸付けに係る契約で、当該信用情報提供契約を締結した時点において貸付残高がある顧客の個人信用情報
イ 個人顧客と貸付けに係る契約を締結したときは、当該貸付けに係る個人信用情報ウ 指定信用情報機関に提供した個人信用情報に変更があったときは、その変更情報
(2)同意の取得等
貸金業者は、個人顧客と貸付けに係る契約を締結しようとする場合は、当該個人顧客から次に掲げる同意の取得を書面等により得なければならないことを定められています。また、貸金業者は同意に関する記録を作成・保存しなければなりません。なお、取得が必要な同意は次のとおりです。
ア 新規の借入申込みがあった場合において、指定信用情報機関に信用情報の提供を依頼する旨の同意
イ 個人顧客と貸付けに係る契約を締結する場合、次の同意
○ 加盟している指定信用情報機関に対して、貸付けに係る信用情報を提供する旨の同意
○ 加盟している信用情報機関に提供した信用情報を他の指定信用情報機関に加盟する貸金業者に提供し、返済能力の調査に利用する旨の同意
○ 他の指定信用情報機関の依頼に応じ、他の指定信用情報機関に加盟する貸金業者に提供し、返済能力の調査に利用する旨の同意(ただし、加入している指定信用情報機関との信用情報提供契約の締結前に締結した極度方式基本契約に基づく極度方式貸付けに係る契約については当該同意をとる必要はありません。)
なお、加入貸金業者またはその役員若しくは職員は、返済能力調査以外の目的に使用若しくは第三者に提供してはなりません。この規定に違反した場合は、2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金またはこれの併科の対象となります。(法第 47 条の3)
<加入申請にかかる問い合わせ先>
株式会社日本信用情報機構 https://www.jicc.co.jp/ TEL 03-6701-0315
株式会社シー・アイ・シー https://www.cic.co.jp/中部支店 TEL 052-231-4381
近畿支店 TEL 06-6346-3160
第7 指定紛争解決機関 (法第 12 条の2の2 法第 41 条の 39~同条の 61)
金融商品取引法等の一部を改正する法律において利用者保護の充実を図るため金融分野における裁判外紛争解決制度(金融 ADR 制度)が設けられたことに伴い、貸金業者における貸金業務に関連した相談、苦情及び紛争につき、専門性を生かしつつ公正な立場から柔軟、迅速かつ適切な処理・解決を図り、もって、資金需要者その他の貸金業の顧客等の利益の保護を図るとともに、貸金業務に対する信頼を確保して貸金業の健全な発展を確保することを目的として指定紛争解決機関が設けられました。
平成 22 年9月 15 日に日本貸金業協会は指定紛争解決機関として貸金業法第 41 条の 39
第1項の規定に基づく指定を受けたため、すべての貸金業者は貸金業法第 12 条の2の2に
基づき平成 22 年 10 月1日以降指定紛争解決機関と手続実施基本契約の締結が義務付けら
れます。未締結の場合は、法第 24 条の6の4の規定に基づく処分対象となりますのでご注意ください。
貸金業者の義務
①法令等及び規則に定めるところに従い、日本貸金業協会との間で手続実施基本契約を締結しなければなりません。
②手続実施基本を締結した場合には、当該手続実施基本契約の相手方である指定紛争解決機関の商号又は名称を公表しなければなりません。
③貸金業相談・紛争解決センターの実施する苦情処理手続及び紛争解決手続に対して積極的に協力し、苦情及び紛争の解決に誠実に努めなければなりません。
④契約者等に対し貸金業相談・紛争解決センターによる紛争解決等業務の実施について周知するため、必要な情報の提供その他の措置を講じなければなりません。
⑤新規登録及び更新の際登録申請書の添付書類として「指定紛争解決機関との契約締結等の状況」を添付しなければなりません。
⑥平成22 年10 月1日以降に終了する事業年度からは新様式にて事業報告書を提出しなければなりません。
⑦金融分野における裁判外紛争解決制度(金融 ADR 制度)に係る監督指針等及び金融 ADR 関係の政省令を踏まえた内容で社内規則を整備しなければなりません。
⑧契約締結前書面、契約締結時の書面等において手続実施基本契約を締結した相手方である指定紛争解決機関の商号又は名称を記載しなければなりません。(平成 23 年 10 月
1日まで経過措置期間あり)
その他、手続実施基本契約締結後の、貸金業者の義務等についての問い合わせ先日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター
TEL 03-5739-3861