特に、大規模災害復旧・復興事業、大規模事業等においては、業務量が著しく増大し、通常の発注者の体制では、業務を適切に遂行できない場合がある。その場合、国、都道府 県、市町村等の発注者が相互に連携し、技術的知見・情報の共有や、必要な体制の確保を図るととも に、必要に応じて、発注者における体制確保を図る方式(事業促進PPP、CM 方式等)の活用も考えることが望ましい。
公共工事の入札契約方式の適用に関するガイドライン
【本 編】
平成 27 年5月
(令和4年3月改正)
国土交通省
目 次
<本 編>
Ⅰ.ガイドラインの位置付け 3
Ⅱ.入札契約方式の選択に当たっての基本的な考え方 6
2.1 事業プロセスにおける入札契約方式の選定時期 6
2.2 発注者における体制確保 9
2.3 調査及び設計業務の調達 10
2.4 工事の調達 11
2.4.1 工事調達の入札契約方式の全体像 11
2.4.2 入札契約方式の選択時に考慮する事項 12
Ⅲ.入札契約方式の概要及び選択の考え方 16
3.1 発注者における体制確保を図る方式 16
CM方式
事業促進PPP方式
...................................................................................................... 17
......................................................................................................................... 20
3.2 契約方式 22
3.2.1 事業プロセスの対象範囲に応じた契約方式 22
工事の施工のみを発注する方式 | ||
設計段階から施工者が関与する方式(ECI方式) | .. | |
設計・施工一括発注方式、詳細設計付工事発注方式 | ||
維持管理付工事発注方式 |
................................................................................... 23
................................................. 25
................................................. 27
............................................................................................... 29
3.2.2 工事の発注単位に応じた発注方式 30
包括発注方式、複数年契約方式
................................................................................... 31
3.3 包括協定(フレームワーク)の有無 34
3.4 競争参加者の設定方法 36
一般競争入札方式 | |
指名競争入札方式 | |
随意契約方式 |
.......................................................................................................... 37
.......................................................................................................... 38
.................................................................................................................. 40
3.5 落札者の選定方法 43
3.5.1 落札者の選定方法に応じた方式 44
価格競争方式 | ||
総合評価落札方式 | ... | |
技術提案・交渉方式 |
.................................................................................................................. 45
....................................................................................................... 46
...................................................................................................... 48
3.5.2 落札者の選定の手続に関する方式 51
段階的選抜方式
.............................................................................................................. 52
3.6 支払方式 54
総価契約方式 | ||
総価契約単価合意方式 | ............................................. | |
コストプラスフフィー契約・オープンブック方式 |
.................................................................................................................. 55
..................................................... 56
..................................................... 57
1
Ⅳ.参考資料 58
4.1 参考資料一覧 58
4.2 国土交通省における相談窓口 60
2
Ⅰ.ガイドラインの位置付け
1.1 背景及び策定の目的
我が国の社会資本は、豊かな国民生活の実現及びその安全の確保、環境の保全、自立的で個性豊かな地域社会の形成等に寄与するものであるとともに、現在及び将来の代にわたる国民の貴重な財産である。これらの社会資本は高度経済成長期などに集中的に整備され、形成された社会資本ストックが更なる経済成長を支えてきており、安全なインフラサービスを将来にわたって継続的に提供していくことは社会資本の管理者の責務である。
その調達に目を向けると、時宜の課題に対応した制度の見直し等を経て、現在では国土交通省直轄工事のほとんどにおいて、一般競争入札・総合評価落札方式を採用している。
現在、中長期的な担い手の確保、行き過ぎた価格競争の是正、地域のインフラメンテナンスや維持管理、発注者のマンパワー不足、受発注者の負担軽減等の課題が顕在化しているなかで、公共工事の品質確保のためには、引き続き、透明性、xx性、必要かつ十分な競争性の確保を前提としつつ、発注者の技術力や体制を踏まえ、事業の特性や地域の実情等に応じて多様な入札契約方式の中から最も適切な入札契約方式が選択されることが必要である。一方で、公共工事において適用される入札契約制度は多様であり、競争参加者の設定方法や落札者の決定方法、契約方式などの様々な組合せがあるが、その運用が画一的となっており、時代のニーズや事業の特性に応じた多様な入札契約方式が活用されにくい状況にあった。
このため、国土交通省では、平成 25 年 11 月に設置した「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」において、発注者の視点から、「事業特性等に応じた入札契約方式」について審議を行ってきたところである。また、平成 26 年 6 月には「公共工
事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律」(平成 26 年法律第 56 号、以下「公共工
事品確法」という)が公布・施行され、新たに第 14 条において、「発注者は、入札及び契約の方法の決定に当たっては、その発注に係る公共工事の性格、地域の実情等に応じ、この節に定める方式その他の多様な方法の中から適切な方法を選択し、又はこれらの組合せによることができる」ことが明記された。
本懇談会における議論等を踏まえ、改正法の基本理念の実現に資するため、発注者による適切な入札契約方式の選択が可能となるよう、多様な入札契約方式を体系的に整理し、その導入・活用を図ることを目的として、本ガイドラインは平成 27 年 5 月に策定された。
本ガイドラインの策定後、多様な入札契約方式の導入・活用に関して、以下のガイドラインが整備されるなど、公共工事の性格、地域の実情等に応じた多様な入札契約方式の適用が進められるとともに、実工事への適用により、多様な入札契約方式に関してさらに知見の蓄積が進んできた。
・国土交通省直轄工事における技術提案・交渉方式の運用ガイドライン
(平成 27 年7月策定、令和 2 年 1 月最終改正)
・災害復旧における入札契約方式の適用ガイドライン
3
Ⅰ.ガイドラインの位置付け
1.1 背景及び策定の目的
(平成 29 年 7 月策定、令和 3 年 5 月最終改正)
・国土交通省直轄の事業促進PPPに関するガイドライン
(平成 31 年 3 月策定、令和 3 年 3 月最終改正)
こうした状況を踏まえ、公共工事の性格や地域の実情等に応じた入札契約方式の適用が一層進むことの一助となるよう、令和 4 年 3 月に本ガイドラインを改正するものである。
なお、本ガイドラインは、現時点における各入札契約方式の活用状況等を踏まえたものであり、各入札契約方式の活用状況や社会情勢の変化等に合わせて、不断の見直しを図るものとする。
4
1.2 全体構成
本ガイドラインでは、本編において、懇談会における議論等を踏まえた入札契約方式の選定の基本的な考え方、各方式の概要及びその選択の考え方について詳説するとともに、別冊の事例編では、
・入札契約方式ごとの事例と適用の背景
・入札契約方式ごとの事例と適用により得られた効果
・多様な入札契約方式の活用の事例などについて紹介する。
本ガイドラインの各項目の概要は、以下のとおりである。
< 本編 >
Ⅱ.入札契約方式の選択に当たっての基本的考え方
入札契約方式の選択は、設計の上流段階(予備設計の前段階)において検討することを基本とし、設計段階、発注手続の各段階で見直しを行う旨を解説する。
Ⅲ.入札契約方式の概要及び選択の考え方
契約方式の選択、フレームワーク※の有無、競争参加者の設定方法の選択、落札者の選定方法の選択、支払方式の選択において適用される各入札契約方式の具体的な内容を示すとともに、各方式の選択に当たって考慮する点等を解説する。
※フレームワークの定義等については「3.3 包括協定(フレームワーク)の有無」を参照のこと
Ⅳ.参考資料
本ガイドラインで引用した資料、参考になると考えられる資料及び国土交通省の各地方整備局、事務所等に設置している相談窓口(運用指針に関する相談窓口として、適切な発注関係事務の実施のための相談、問合せに幅広く対応)について紹介する。
< 事例編 >(別冊)
Ⅰ.入札契約方式ごとの事例と適用の背景
入札契約方式ごとの事例と適用の背景について整理している。
Ⅱ.入札契約方式ごとの事例と適用により得られた効果
入札契約方式ごとの事例と適用により得られた効果について整理している。
Ⅲ.多様な入札契約方式の活用事例
各入札契約方式の活用事例及び、工事の品質確保とその担い手の育成・確保に資する入札契約方式の活用の事例について整理している。
5
Ⅱ.入札契約方式の選択に当たっての基本的な考え方
2.1 事業プロセスにおける入札契約方式の選定時期
公共事業における一般的な「事業」の範囲は、始まりは新規事業採択時、つまり事業予算が箇所付けされた時点であり、終わりは目的物が完成した時点(維持管理が始まる時点、道路の場合は供用する時点)となっている。
このガイドラインでは、事業の開始から終了までに行われる調査・設計や工事の調達に関する入札契約方式の選択に関して、工事に関する事項を中心に基本的な考え方等を示している。
公共事業は、その事業プロセスの中で、気象、地質等の自然条件、地元協議、関係機関協 議,地中障害物、用地の契約状況等の様々なリスクが発生する。こうしたリスクを適切に管理し、事業を円滑に進めていくためには、事業プロセスの中で、事業の計画・評価段階から、将来のリスクを予測し、調査・計画、設計、施工、維持管理の各段階へリスク情報を適切に伝達することが重要である。また、事業着手後の早い段階から、調査・設計や工事の調達における入札契約方式の検討を行い、入札契約方式(契約方式、フレームワークの有無、競争参加者の設定方法、落札者の選定方法、支払方式等)を適切に選択することが重要である。
また、一度選択した入札契約方式に関して、設計段階、工事発注手続の段階で、状況の変化等があった場合には、適用する入札契約方式の見直しを行う必要がある。
6
図-2.1 入札契約方式の選定時期(イメージ)
7
事業採択後の事業プロセスは、例えば、「調査・計画」、「概略設計」、「予備設計」、「詳細設計」、
「施工」の各段階からなり、事業の完了後は「維持管理」段階となる。こうした事業の流れにあって、事業の特性によっては、リスク管理を効果的に行うため、調査・計画、設計、施工、維持管理の各段階別の対応にとどまらずプロセス間の連携が必要となる。そのため、調達する範囲(設計、施工、維持管理)の設定は、入札契約方式を選定する上で重要である。
図-2.2 事業段階と調達範囲の例
8
2.2 発注者における体制確保
公共事業は、その事業プロセスの中で、様々なリスクを適切に管理し、事業を円滑に進めていくため、適切な入札契約方式の選定、技術提案の審査・評価、事業の工程・コスト管理等の発注関係事務を適切に実施できる発注体制を必要とする。各発注者においては、自らの発注体制を把握し、体制が十分でないと認められる場合には、国及び都道府県等の他機関の協力・支援も得ながら、発注関係事務を適切に実施することができる体制確保に取り組むよう努める必要がある。
特に、大規模災害復旧・復興事業、大規模事業等においては、業務量が著しく増大し、通常の発注者の体制では、業務を適切に遂行できない場合がある。その場合、国、都道府県、市町村等の発注者が相互に連携し、技術的知見・情報の共有や、必要な体制の確保を図るととも に、必要に応じて、発注者における体制確保を図る方式(事業促進PPP、CM 方式等)の活用も考えることが望ましい。
国土交通省直轄の大規模災害復旧・復興事業、大規模事業等においては、事業促進PPP の導入例がある。事業促進PPP の導入にあたっては 3.1 を参照のこと。
9
2.3 調査及び設計業務の調達
調査及び設計業務の調達に当たっては、業務の性格等に応じ、適切な入札契約方式(契約方式、競争参加者の設定方法、落札者の選定方法、支払方式等)を選択するよう努めるものとする。入札契約方式の中で、特に落札者の選定方法に着目し、各方式に相応しい業務の性格等を整理すると以下のとおりとなる。
a. 価格競争方式
一定の技術者資格、業務の経験や業務成績等を競争参加資格として設定することにより品質を確保できる業務。
b. 総合評価落札方式
事前に仕様を確定することが可能であるが、競争参加者の提示する技術等によって、調達価格の差異に比して、事業の成果に相当程度の差異が生ずることが期待できる業務。
なお、業務の実施方針のみを求めることで品質向上が期待できる業務の他、業務の実施方針と合わせて評価テーマに関する技術提案を求めることにより品質向上が期待できる業務がある。
c. プロポーザル方式
内容が技術的に高度な業務又は専門的な技術が要求される業務であって、提出された技術提案に基づいて仕様を作成する方が優れた成果を期待できるもの。
国土交通省における調査・設計業務の発注に当たっては、その内容に照らして技術的な工夫の余地が小さい場合を除き、以下のとおり、総合評価落札方式、プロポーザル方式のいずれかの方式を選定することを基本としている。なお、競争参加資格要件として、一定の資格・成績等を付すことにより品質を確保できる業務は、価格競争方式を選択することとしている。
出典)「建設コンサルタント業務等におけるプロポーザル方式及び総合評価落札方式の運用ガイドライン」
(平成 21 年3月(最終:平成 26 年3月)国土交通省)
図-2.3 業務における発注方式選定
10
2.4 工事の調達
2.4.1 工事調達の入札契約方式の全体像
入札契約方式は多様であるが、その性格等に応じて、主に以下の要素で構成される。
・契約方式 :契約の対象とする業務及び施工の範囲の設定方法
・フレームワーク※の有無:個別工事の発注(期間、工事量の目安、契約の相手方の選定
方法等)に関するフレームワークの有無
・競争参加者の設定方法 :契約の相手方を選定する際の候補とする者の範囲の設定方法
・落札者の選定方法 :契約の相手方の候補とした者から、契約の相手方とする者を
選定する方法
・支払方式 :業務及び施工の対価を支払う方法
※フレームワーク方式やフレームワークの定義等については「3.3 包括協定
(フレームワーク)の有無」を参照のこと
工事調達における入札契約方式は、方式ごとに必要な技術力や発注体制を踏まえつつ、工事の性格や地域の実情等に応じて、適切な方式を選択し、組み合わせて適用されるものである。
契約方式 3-2
フレームワークの有無 3-3 | 競争参加者の設定方法 3-4 | 落札者の選定方法 3-5 | 支払方式 3-6 |
• 工事の施工のみを発注する方式
• 設計・施工一括発注方式
• 詳細設計付工事発注方式
• 設計段階から施工者が関与する方式(ECI方式)
• 維持管理付工事発注方式
• 包括発注方式
• 複数年発注方式
など
• 個別発注方式
• 一般競争入札 • 価格競争方式
• 総価請負方式
• フレームワーク方式 • 指名競争入札
(包括・個別発注方式)
• 随意契約
• 総合評価落札方式
• 総価契約単価合意方式
• 技術提案・交渉方式
• コスト+フィー契約・
オープンブック方式
• 段階的選抜方式
など
• 単価・数量積算契約方式
など
図-2.4 工事調達の入札契約方式の全体像
2.4.1 工事調達の入札契約方式の全体像 11
2.4.2 入札契約方式の選択時に考慮する事項
発注者は、入札契約方式の選択において事業・工事の特性や地域の実情等を含めて種々の事項を考慮し、契約方式、フレームワークの有無、競争参加者の設定方法、落札者の選定方法、支払方式の適切な組合せを選定することが重要である。
入札契約方式の選択は、以下の事項を考慮する。
契 約 方 式 :「仕様、前提条件や工事価格の確定度」、「事業・工事の複雑度」、
「施工の制約度」等
フレームワークの有無 :「不調不落の発生のおそれ」、「競争参加者又は受注者選定の透
明性の確保」 等
競争参加者の設定方法 :「契約の性質又は目的※」、「災害時の緊急的な対応」等
落 札 者 の 選 x x x :「価格以外の要素の評価の必要性」、「最良の提案を採用する必
要性」、「競争参加者数の見込み等を踏まえた受発注者双方の事務負担軽減の必要性」等
支 払 方 式 :「工事進捗に応じた支払い」、「煩雑な設計変更」、「コスト構造の透明性の確保」 等
※現場条件の厳しxx工事発注の一時的な集中等に起因する不調不落の発生のおそれ等を含む
選択した入札契約方式に応じて、発注者においては、施工者からの技術提案の妥当性等の審査・評価、受注者が提案した工法に基づく設計成果の確認等を実施する必要があることから、発注者のこれまでの発注経験や発注体制も考慮し、入札契約方式を選択することが望ましい。また、入札契約方式の選択に際しては、受注者の状況(受注者(競争参加者)の実績や数、技
術開発の状況等)も考慮する。
さらに、発注関係事務を発注者が実施する上で、支援が必要な場合は、発注者における体制確保を図る方式(事業促進PPP、CM方式等)の活用も考えることが望ましい。
なお、公共工事の入札において、透明性、xx性、競争性の確保が求められてきたことから、近年では国土交通省直轄工事のほとんどは、一般競争入札・総合評価落札方式を適用している。一方で、近年頻発する災害時には、緊急性等に応じて、早期復旧や復興のため、平常時とは異なる入札契約方式を適切に選択する必要があり、また、厳しい条件下における高度な技術が必要とされる工事等では従来の方式のみでは効率的・効果的な調達が困難となってきたことから、仕様の確定が困難な工事等に対しては「技術提案・交渉方式」を適用するなど、多様な入札契約方式の活用が必要となっている。こうしたことを背景に近年、「国土交通省直轄工事における技術提案・交渉方式の運用ガイドライン(平成 27 年 7 月策定、令和 2 年 1 月最終改正)」、「災
害復旧における入札契約方式の適用ガイドライン(平成 29 年 7 月策定、令和 3 年 5 月最終改正)」等が整備され、技術提案・交渉方式や災害復旧における随意契約又は指名競争入札等の適
12 2.4.2 入札契約方式の選択時に考慮する事項
用工事が増加しており、引き続き、公共工事の性格、地域の実情を踏まえ、一般競争入札・総合評価落札方式以外の入札契約方式の適用についても、適時適切に検討することが重要である。
図-2.5 工事の性格、地域の実情に応じた入札契約方式の選択
災害復旧における入札契約方式の適用ガイドライン
災害時
スタート
災害・平常
国土交通省直轄工事における
技術提案・交渉方式の運用ガイドライン
・高度な施工技術を要する工事
・追加調査を要する修繕工事
高
緊急度
平常時
仕様・前提条件
不確定(リスク大)
・多くの協議を要する輻輳工事
・・・・・
応急復旧
・啓開
・がれき撤去
・段差処理
・迂回路
・仮堤防
・・・・・・本復旧
・孤立集落解消
・住民生活支障
・・・・・・
標準 本復旧・復興
仕様・前提条件確定(リスク少)
技術的工夫余地
少
施工体制確保
確定(リスク少)
技術的工夫余地
少 施工体制確保
(不調・不落のおそれ)
多
標準
標準
難
例)
国土交通省直轄工事における
総合評価落札方式の運用ガイドライン多
不確定(リスク大)
例)
・高度な施工技術を要する工事
・追加調査・協議等を要する復旧工事
・・・・・
有
目的物変更
例) 難
災害復旧期で
維持・修繕工事等 無
参加できる者が限定
参加できる者が限定
無
(実績で評価)
施工計画での
能力確認 有
技術提案・交渉方式
随意契約
(災害協定の活用)
指名競争入札 Ⅱ型 Ⅰ型 S型 A型
通常 公募
フレームワーク方式
一般競争入札 総合評価落札方式
発注者が任意の特定の者を選定
通常:発注者が有資格者より競争参加者を指名公募:公募による審査を通過した者を指名 フレームワーク方式:公募により選定した者に対し、所定期間内の複数の個別工事を発注
A型:目的物の変更を伴う技術提案を求める
S型:目的物の変更を伴わない技術提案を求める
Ⅰ型:企業・技術者能力を評価、施工計画の提出を求める
Ⅱ型:企業・技術者能力を中心に評価(施工計画の提出を求めない)
最も優れた提案を行った優先交渉権者と価格や施工方法等を交渉し、交渉が成立した場合に、契約の相手方とする
図-2.6 工事の性格、地域の実情に応じた入札契約方式の選択
2.4.2 入札契約方式の選択時に考慮する事項 13
本来、工事の発注においては、価格と技術による適正な競争のため、発注者は公告時に工事の仕様や前提条件を確定的に明示する必要がある。一方で、公共事業は、気象、地質等の自然条 件、地元協議、関係機関協議、地中障害物、用地の契約状況等の様々なリスクを伴い、工事の契約後、条件が変更となり、修正設計や契約変更への対応が生じることがある。こうした手続の負担やそれに伴う手戻りを減らすためには、リスクを早期に検知し低減することが重要である。高度な施工技術を要する工事、追加調査を要する修繕工事、多くの協議を要する輻輳工事等、調 査・設計の過程で十分にリスクを低減できない場合等においては、施工者が設計等の段階から参画して検討を行うことが有効と考えられ、技術提案・交渉方式を適用し、施工者を早期の段階から参画させることを検討する。また、技術提案・交渉方式は、施工者の知見を的確に反映するため、適切な時期から、適切な評価項目、スケジュール、予算計画等により導入する必要があり、計画、調査、予備設計等、事業全体プロセスの早い段階から、技術提案・交渉方式の適用が検討されることが重要である。技術提案・交渉方式を適用する場合は、「国土交通省直轄工事における技術提案・交渉方式の運用ガイドライン(平成 27 年 7 月策定、令和 2 年 1 月最終改正)」を参照のこと。
図-2.7 事業全体プロセスにおけるリスク管理
また、緊急度が高く、速やかな施工が求められるとともに、施工体制の確保が困難となりやすい災害復旧工事においては、随意契約、指名競争入札を適切に適用する。災害復旧における入札契約方式の適用に関しては、「災害復旧における入札契約方式の適用ガイドライン(平成 29 年 7
月、令和 3 年 5 月最終改正)」を参照のこと。
14 2.4.2 入札契約方式の選択時に考慮する事項
図-2.8 災害復旧における入札契約方式の適用の考え方
2.4.2 入札契約方式の選択時に考慮する事項 15
Ⅲ.入札契約方式の概要及び選択の考え方
3.1 発注者における体制確保を図る方式
発注者における体制確保を図る方式には、事業促進PPP、CM方式がある。
事業促進PPPは、事業促進を図るため、直轄職員が柱となり、官民がパートナーシップを組み、官民双方の技術者が有する多様な情報・知識・豊富な経験を融合させながら、事業全体計画の整理、測量・調査・設計業務等の指導・調整等、地元及び関係行政機関等との協議、事業管理等、施工管理等を行う方式である。CM方式は、建設生産に関わるプロジェクトにおいて、コンストラクションマネージャー(CMR)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計・発注・施工の各段階において、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、品質管理、コスト管理などの各種のマネジメント業務の全部又は一部を行うものである。
CM方式は、技術職員がいない又は著しく少ない発注者において導入される場合があり、国土交通省直轄事業の事業促進PPPとは、導入する背景や目的が異なっている。
発注者における体制確保を
図る方式
事業促進PPP方式
CM方式
図-3.1 発注者における体制確保を図る方式
16
事業促進PPP方式
方式の概要
事業促進PPPは、事業促進を図るため、直轄職員が柱となり、官民がパートナーシップを組み、官民双方の技術者が有する多様な情報・知識・豊富な経験を融合させながら、事業全体計画の整理、測量・調査・設計業務等の指導・調整等、地元及び関係行政機関等との協議、事業管理等、施工管理等を行う方式である。事業促進PPPについては、「国土交通省直轄の事業促進PP Pに関するガイドライン(平成 31 年 3 月策定、令和 3 年 3 月最終改正)」を参照のこと。なお、事業促進PPPは、技術職員を有する国土交通省の直轄事業への適用を前提としている。そのため、地方公共団体の事業に適用する場合には、発注者の体制の状況に応じて、受注者が行う業務範囲等が異なることに注意が必要である。一例として、技術職員がいない場合には適用できないが、技術職員が一定数存在する地方公共団体等においては、発注者の体制の状況等を考慮しながら、事業促進PPPの受注者が行う業務範囲等を見直しつつ、事業促進PPPを準用できる場合もある。
図-3.2 事業促進PPPの業務内容
事業促進 PPP 方式 17
図-3.3 事業促進PPPの体制
本方式は、官民双方の情報・知識・経験を融合させた効率的なマネジメントにより、事業の促進を第一の目的とする方式である。発注者と民間技術者が一体となり、事業全体計画の整理、測量・調査・設計業務等の指導・調整等、地元及び関係行政機関等との協議、事業管理等、施工管理等を行う方式であり、積算、監督、技術審査等の比較的定型的な補助業務を行う発注者支援業務、単純な資料作成を行う資料作成補助業務とは区別される。
方式の効果等
大規模災害復旧・復興事業、大規模事業等において、業務量が著しく増大する場合に、発注者が必要な体制確保を図ることができる。
官民双方の技術者が有する情報・知識・経験の融合により、調査及び設計段階から効率的なマネジメントが可能となる。
事業進捗の課題等に関して設計分野、用地分野、施工分野など多方面の分野からの検討が可能となる。
18 事業促進 PPP 方式
適用に当たっての留意点
事業促進PPPは、技術職員を有する国土交通省の直轄事業への適用を前提としている。そのため、地方公共団体の事業に適用する場合には、発注者の体制の状況に応じて、受注者が行う業務範囲等が異なることに注意が必要である。
発注者が柱となり、官民双方の技術者の情報・知識・経験を融合させる取組であり、発注者が、的確な判断・指示等を行いながら、事業促進PPP、発注者支援業務(積算・監督・技術審査等)、業務(測量・調査・設計等)、工事(維持・準備・本体)を組み合わせた体制において、各者が有する多様な知識・経験・能力を引き出し、融合させるマネジメントを行うことにより事業は促進される。
民間技術者が従来の業務・工事では経験していないマネジメント業務を含み、受注者側での体制確保が課題となりやすいことから、受注インセンティブの向上や、大規模災害時に限らず、平常時から民間技術者がマネジメント業務に携わる機会の確保により、マネジメント業務の経験を有する民間技術者の確保、育成に取り組むことが重要となる。
技術提案・交渉方式を適用することにより、施工者が事業の上流段階において、効率的な施工が行えるよう、測量・調査・設計業務等への技術協力、地元及び関係行政機関等との協議支援、近隣工事等との工程調整等、事業促進PPPと同様のマネジメント業務に携わることができるため、目的に応じて、技術提案・交渉方式の適用についても検討することが重要である。
事業促進 PPP 方式 19
CM※1方式
方式の概要
「CM方式」とは、建設生産に関わるプロジェクトにおいて、コンストラクションマネージャー(CMR※2)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計・発注・施工の各段階において、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、品質管理、コスト管理などの各種のマネジメント業務の全部又は一部を行うものである。
CM方式には、ピュア型CM方式、アットリスク型CM方式があり、ピュア型CM方式については、「地方公共団体におけるピュア型CM方式活用ガイドライン(令和 2 年 9 月)」を参照のこと。
図-3.4 CM方式の類型
方式の効果等
複数工事が輻輳するあるいは関係機関等との頻繁な調整が必要な事業に対応する方式である。短期的に発注者の人員が不足し、現場状況の確認や迅速な対応が難しい場合に、適宜それらの確認・対応が可能となる。
複数工事の工区間調整や関係機関等との協議等において、発注者の職員の代わりに、CMRが助言・提案・資料作成等を実施することで発注者を補完できる。
設計業務・工事等の経験の少ない監督職員が、高度な技術力を要する判断・意思決定を行う必要がある場合に、CMRが適切な助言・提案・資料作成等を実施することで発注者を補完できる。
設計業務・工事等の経験が少ない監督職員が、高度な専門技術力を持つCMRとともに監督を実施することで、監督職員の技術力向上が期待できる。
CMRからの地元業者に対する書類作成や施工上の助言を通じて、地元業者の技術力の向上が
※1 CM: Construction Management の略。
※2 CMR: Construction Manager の略で、監督職員・請負者以外の第三者として、監督業務の一部を補完する技術者チームを指す。
20 CM方式
期待できる。
最終的な判断・意思決定までのプロセスにCMRが参画することで、透明性・説明性の向上が期待できる。
適用に当たっての留意点
発注者の職員と設計業務・工事等の受注者の間にCMRが介在することから、最終的な判断・意思決定の手続が、一時的に滞る可能性がある点に留意する。
設計業務・工事等の監督に関して、発注者とCMRそれぞれの権限範囲について明確化し、その内容を設計業務・工事の受注者に対して明示・周知する必要があることに留意する。
CM方式 21
3.2 契約方式
3.2.1 事業プロセスの対象範囲に応じた契約方式
事業プロセスの対象範囲に応じた契約方式のうち、設計とは分離して「工事の施工のみを発注する方式」が一般的であるが、その他の方法として、
・設計段階の技術協力実施期間中に施工の数量・仕様を確定した上で契約する「設計段階から施工者が関与する方式(ECI方式)」
・設計と施工を一括して発注する「設計・施工一括発注方式」、「詳細設計付工事発注方式」
・施工と供用開始後の初期の維持管理業務を一体的に発注する「維持管理付工事発注方式」などがある。
契 約 方 式
事業プロセスの対象範囲
に応じた契約方式
工事の施工のみを発注する方式
設計段階から施工者が
関与する方式(ECI方式)
設計・施工一括発注方式
詳細設計付工事発注方式
維持管理付工事発注方式
工事の発注単位
に応じた契約方式
包括発注方式
複数年契約方式
図-3.5 主な契約方式
22 3.2.1 事業プロセスの対象範囲に応じた契約方式
工事の施工のみを発注する方式
方式の概要
「工事の施工のみを発注する方式」とは、別途実施された設計に基づいて確定した工事の仕様により、その施工のみを発注する方式である。
発注に際しては、設計者が実施した設計によって確定した工事の仕様(数量、使用する資材の規格等)を契約の条件として提示して発注することとなる。
この方式は、事業プロセスのうち、調査・計画から詳細設計までの全ての段階が完了した後の施工段階における適用となる。
図-3.6 工事の施工のみを発注する方式(イメージ)
方式の効果等
発注時において、設計成果並びに関係機関及び地元との協議結果等に基づいて発注工事の仕様を確定させて発注することとなる。また、確定した仕様により、精度の高い工事費の算出が可能となる。
環境に対する影響評価、関係機関との協議等に関して、設計段階全体を通じての調整等が可能となる。
建築物の工事においては、設計段階を通じて施設の利用方法を具体的かつ詳細に確認する必要があるため、この方式を活用した場合、利用方法を十分に確認し、発注工事の仕様(設計成果)に反映することが可能となる。
発注時に示した仕様・条件と異なる状況が発生(地質条件の相違等)した場合、契約の変更により対応することとなり、増加費用については、基本的には発注者が負担することとな る。
仕様を確定させてから工事を発注するため、契約変更を必要とする施工条件が明確である。 工事の施工とは別に設計業務が発注されるため、設計者は施工者に対して、中立的な立場で
設計を行うことができる。
設計者は施工費用に対するリスクを負担しないため、耐久性等の品質・安全性を当該環境に応じて確保することができる。
詳細な図面にて施工を発注することにより、発注条件の明確化、入札価格への余分なリスク費用の上乗せを防止できる。
その他、設計と施工の役割が分担されていることにより、相互に過失などの防止を図ることができる。
3.2.1 事業プロセスの対象範囲に応じた契約方式 23
工事の施工のみを発注する方式
適用に当たっての留意点
施工条件の制約に対しては、施工方法の選択により対応することとなるが、この方式では、工事目的物の設計に遡った対応が基本的にはできないことから、設計段階における施工性の確認が重要であることに留意する。なお、予期することのできない施工条件の変化等により、設計に遡った対応が必要となる場合は、発注者は適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行う必要がある。
24 3.2.1 事業プロセスの対象範囲に応じた契約方式工事の施工のみを発注する方式
設計段階から施工者が関与する方式(ECI※1方式)
方式の概要
「設計段階から施工者が関与する方式(ECI方式)」とは、設計段階の技術協力実施期間中に施工の数量・仕様を確定した上で工事契約をする方式である。(施工者は発注者が別途契約する設計業務への技術協力を実施)この方式では別途契約している設計業務に対する技術協力を通じて、当該工事の施工法や仕様等を明確にし、確定した仕様で技術協力を実施した者と施工に関する契約を締結する。
また、施工者が行う技術協力については、技術協力の開始に先立って技術協力業務の契約を締結する。
この方式は、事業プロセスのうち、予備設計又は詳細設計の段階における適用が考えられる。また、事業の初期段階から施工者の関与を必要とする場合には、概略設計段階における適用も考えられる。
図-3.7 設計段階から施工者が関与する方式(ECI方式)(イメージ)
方式の効果等
設計段階から施工者が関与することで、発注時に仕様や前提条件の確定が困難な事業に対応する方式であり、発注者、設計者、施工者の三者がパートナーシップを組み、発注者が柱となり、三者が有する情報・知識・経験を融合させることにより、以下に示すようなメリットを引き出すことができる。
設計段階で、発注者と設計者に加えて施工者も参画することから、施工者の知識、経験を踏まえた代替案の検討が可能となる。
地元及び関係行政機関との協議、近隣工事の進捗状況、作業用道路・ヤード等、事業のリスクに関する情報を施工者が設計段階から把握し、リスクへの対処方針を発注者と施工者が検討し、設計に反映することができる。
別途発注された設計業務の実施者(設計者)による設計に対して、施工性等の観点から施工者の提案が行われることから、施工段階における施工性等の面からの設計変更発生リスクの減少が期待できる。
施工者によって、設計段階から施工計画の検討を行うことができる。
※1 Early Contractor Involvement の略
3.2.1 事業プロセスの対象範囲に応じた契約方式 25
設計段階から施工者が関与する方式(ECI方式)
適用に当たっての留意点
発注者、設計者、施工者の三者からなる体制において、発注者が、施工者による提案の適用可否、追加調査や協議等の必要性の判断を行う必要があることに留意する※。
※落札者の選定方法としては技術提案・交渉方式が適用可能であり、同方式の留意点等も参照されたい。発注 者、設計者、施工者の三者による設計業務、技術協力業務の手順、役割分担の詳細は、「国土交通省直轄工事における技術提案・交渉方式の運用ガイドライン(平成 27 年 7 月策定、令和 2 年 1 月最終改正)」を参照のこ と。
26 3.2.1 事業プロセスの対象範囲に応じた契約方式設計段階から施工者が関与する方式(ECI方式)
設計・施工一括発注方式、詳細設計付工事発注方式
方式の概要
「設計・施工一括発注方式」とは、構造物の構造形式や主要諸元も含めた設計を、施工と一括して発注する方式である。この方式は、事業プロセスのうち、構造物の構造形式や主要諸元の検討・決定を行う設計段階(下図の例では予備設計段階)における適用となる。
図-3.8 設計・施工一括発注方式の適用段階
「詳細設計付工事発注方式」とは、予備設計等を通じて、構造物の構造形式や主要諸元、構造一般図等を確定した上で、施工のために必要な詳細設計(仮設を含む)を施工と一括して発注する方式である。この方式は、事業プロセスのうち、構造物の製作・施工を行うための設計を行う段階(下図の例では詳細設計段階)における適用となる。
図-3.9 詳細設計付工事発注方式の適用段階(イメージ)
3.2.1 事業プロセスの対象範囲に応じた契約方式 27
設計・施工一括発注方式、詳細設計付工事発注方式
方式の効果等
施工者のノウハウを反映した現場条件に適した設計や、施工者の固有技術を活用した合理的な設計を図る方式である。
設計と施工(製作も含む。)を一元化することにより、施工者のノウハウを反映した現場条件に適した設計、施工者の固有技術を活用した合理的な設計が可能となる。
設計時より施工を見据えた品質管理が可能となるとともに、施工者の得意とする技術の活用により、より優れた品質の確保につながる技術導入の促進が期待される。
設計の全部又は一部と施工を同一の者が実施するため、当該設計と施工に関する責任の所在を一元化できる。
適用に当たっての留意点
設計を完了しない段階から、設計と施工を一括して契約するため、地質等の自然条件、地元及び関係行政機関との協議、地中埋設物等の社会条件に関するリスクが大きくなりやすい。そのため、施工者によりコントロールすることが難しい場合が多いこれらの自然条件・社会条件に関するリスクがある工事には適用できないことに留意する。
設計と施工を分離して発注した場合と比べて、設計者の視点や発注者におけるチェック機能が働きにくく、施工者の視点に偏った設計となる可能性がある点に留意する。
契約時に受発注者間で具体的な設計・施工条件の共有及び明確な責任分担がない場合、受発注者間で必要な契約変更ができないおそれがある点や、発注者のコストに対する負担意識がなくなり、受注者側に過度な負担が生じることがある点に留意する。
発注者側が、設計施工を“丸投げ”してしまうと、本来発注者が負うべきコストや工事完成物の品質に対する責任が果たせなくなる点に留意する。
提案された技術を対象構造物に適用することについて、発注者が審査・評価を行い、確実性や成立性等を判断する必要がある点に留意する。
28 3.2.1 事業プロセスの対象範囲に応じた契約方式設計・施工一括発注方式、詳細設計付工事発注方式
維持管理付工事発注方式
方式の概要
「維持管理付工事発注方式」とは、施工と供用開始後の初期の維持管理業務を一体的に発注する方式である。
この方式では、目的物が完成した段階で発注者が工事目的物の引渡しを受け、引渡しを受けた工事目的物に対する維持管理業務の継続的な実施を施工者に求めることとなる。
このため、発注に際しては、工事目的物に関する仕様だけでなく、維持管理に関する仕様(点検頻度等)についても提示して発注することとなる。
図-3.10 維持管理付工事発注方式(イメージ)
方式の効果等
初期の維持管理業務を施工とともに発注することにより、受注者が実施する維持管理に関する品質の向上を図るための方式である。
維持管理の容易化を念頭に置いた機器製作・据付調整が行われ、効率的な維持管理となることが期待できる。
例えば、通信設備工事において、設備の完成、引渡後に初期の動作不具合等が発見された場合、最初に点検業者による原因調査を行ったうえで、関係者の責任範囲の切り分けが行われるため、その後の修理までに時間を要している。一方、本方式では、施工と維持管理が一元化されていることから、受注者による迅速な原因調査、責任範囲の切り分けが可能となり、円滑な設備運用が期待できる。
適用に当たっての留意点
維持管理の契約は、工事完了後複数年継続するものもあるが、受注者が契約の相手方として相応しくない状況が生じた場合の措置が必要となることに留意する。
維持管理段階の業務に関して、当該設備の障害時の支援体制や保守部品の供給体制、発注者からの技術的事項に関する問合せ等への対応体制の確保等を発注に当たっての仕様等で規定する必要があることに留意する。
3.2.1 事業プロセスの対象範囲に応じた契約方式 29
維持管理付工事発注方式
3.2.2 工事の発注単位に応じた発注方式
工事の発注単位に応じた契約方式には、
・複数の種類の業務・工事を一つの契約により発注する「包括発注方式」
・複数の年度にわたり一つの契約により発注する「複数年契約方式」などがある。
契 約 方 式
事業プロセスの対象範囲
に応じた契約方式
工事の施工のみを発注する方式
設計段階から施工者が関与
する方式(ECI方式)
設計・施工一括発注方式
詳細設計付工事発注方式
維持管理付工事発注方式
工事の発注単位
に応じた契約方式
包括発注方式
複数年契約方式
図-3.11 主な契約方式(再掲)
30 3.2.1 事業プロセスの対象範囲に応じた契約方式維持管理付工事発注方式
包括発注方式、複数年契約方式
方式の概要
「包括発注方式」とは、既存施設の維持管理等において、同一地域内での複数の種類又は工区の業務・工事を一つの契約により発注する方式である。
この方式では、例えば、河川管理施設、道路管理施設の以下のような維持に係る工事・業務の中から、一括して発注することが可能なものを選択して、一つの契約により発注する。複数の工区を統合して、広域的な工区で発注する場合もある。
表-3.1 維持修繕工事の種類
日常時:インフラの機能及び構造の保持、回復を目的とする日常的な維持修繕工事非常時:自然災害(地震、大雨等)やその他異常時における初動対応
「複数年契約方式」とは、既存施設の維持管理等において、継続的に実施する業務・工事を複数の年度にわたり一つの契約により発注する方式である。
方式の効果等
包括発注方式や複数年契約方式は、複数の種類、エリアの業務・工事や、複数年の業務・工事を一つの契約により発注することで、施工の効率化や施工体制の安定的確保を図るための方式である。例えば、事業協同組合、地域維持型建設共同企業体として、地域の複数の建設業者が共同受注し、継続的な協業関係を確保する場合は、地域インフラの維持管理、災害復旧に必要な体制の安定的確保に寄与することができる。
[包括発注方式]
受発注者双方の事務負担の軽減が期待できる。
巡回、点検等の対象構造物の状況把握を行う業務と、不具合等に対する補修工事を一体的に発注することで、緊急的な不具合への対応の迅速化が期待できる。
3.2.2 工事の発注単位に応じた発注方式 31
包括発注方式、複数年契約方式
巡回、点検等に加えて補修工事を包括的に発注することで、補修工事等に関して計画的な対応を図ることが可能となる。
[複数年契約方式]
契約期間中は、一般的に年度単位での契約更新の手続が不要となる。
受注者においては、長期的な収入予測が可能となり、それを元に計画的な設備投資や人材の確保が期待できる。
受注者にノウハウやデータが蓄積されることによる重点的、効率的なパトロールの実施や、継続した業務を通じた住民ニーズの的確な把握によるサービスの向上が期待できる。
適用に当たっての留意点
[包括発注方式]
発注者に代わり、組合や代表企業が個々の業務・工事の分担等を調整するため、組合や代表企業の業務負担が増えることに留意する。
異業種の業務・工事を包括化した場合、異業種の複数の協力企業の参画が必要となり、受注者の体制確保や効率化が難しくなる場合があることに留意する。
受注者の構成員が少数の場合、地域インフラの維持管理、災害復旧に必要な体制の安定的確保につながらない場合があることに留意する。
発注者は、組合や代表企業を通じて、連絡調整を行うため、発注者と個々の企業との関係が薄れる可能性があることに留意する。
[複数年契約方式]
2~3 年の維持管理の複数年契約では、小規模な修繕に限定され、技術的工夫の余地が限定される場合があることに留意する。
受注者の構成員が少数の場合、地域インフラの維持管理、災害復旧に必要な体制の安定的確保の観点につながらない場合があることに留意する。
複数年にわたって、同一の技術者の配置を求めることとなるため、受注者にとって負担となる側面があることに留意する。
【公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成 17 年法律第 18 号。抜粋)】
(地域における社会資本の維持管理に資する方式)
第二十条 発注者は、公共工事等の発注に当たり、地域における社会資本の維持管理の効率的かつ持続的な実施のために必要があると認めるときは、地域の実情に応 じ、次に掲げる方式等を活用するものとする。
一 工期等が複数年度にわたる公共工事等を一の契約により発注する方式二 複数の公共工事等を一の契約により発注する方式
三 複数の建設業者等により構成される組合その他の事業体が競争に参加することができることとする方式
32 3.2.2 工事の発注単位に応じた発注方式包括発注方式、複数年契約方式
【公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針(抜粋)】第2 4 多様な入札及び契約の方法
(6)地域における社会資本の維持管理に資する方式
災害時における対応を含む社会資本の維持管理が適切に、かつ効率的・持続的に行われるために、発注者は、必要があると認めるときは、地域の実情に応じて、工期が複数年度にわたる公共工事を一の契約により発注する方式、複数の工事を一の契約により発注する方式 災害応急対策除雪、修繕、パトロールなどの地域維持事業の実施を目的として地域精通度の高い建設業者で構成される事業協同組合や地域維持型建設共同企業体(地域の建設業者が継続的な協業関係を確保することによりその実施体制を安定確保するために結成される建設共同企業体をいう )が競争に参加することができることとする方式などを活用することとする。
表-3.2 地域維持型JV及び事業協同組合
3.2.2 工事の発注単位に応じた発注方式 33
包括発注方式、複数年契約方式
3.3 包括協定(フレームワーク※1)の有無
方式の概要
フレームワーク方式は、同種の工事又は業務の調達を繰り返すことが見込まれる場合に、所定の期間内の調達の概要・条件等を示した上で、公募により選定した複数の企業(以下、「フレームワーク企業」という。)に対して、個別の工事又は業務の発注を行う包括・個別二段階契約方式である。
図-3.12 フレームワーク方式の概要
方式の効果等
フレームワーク企業の選定の段階で、実績や能力を評価し、個別工事発注における手続を省略できるため、個別工事・業務の調達における発注者、受注者双方の手続が大幅に簡素化され、個別工事等の手続きに要する期間、事務コストを削減できる。
個別工事等を指名競争入札等により発注することにより、災害復旧工事、維持修繕工事等において、入札不調を回避する効果が期待できる。
フレームワーク企業にとっては、その経営上重要と考えられる受注計画が立てやすくなるため、結果として、企業による人材確保、育成や必要機材の長期確保、新技術の活用等を促す。また、フレームワークを複数年など長期にわたって組む場合や同様のフレームワーク企業を繰り返し募集し、意欲があって資格・要件を満たす者が継続的に参加できる場合には、より大きな効果が期待できる。
事業協同組合や地域維持型事業協同組合による共同受注の場合と異なり、発注者は、フレームワークを構成する個々の企業と個別契約を締結するため、すべてのフレームワーク企業との良好なパートナーシップを形成しやすい。
※1 一連の工事又は業務群とフレームワーク企業で構成される関係を「フレームワーク」という
34
フレームワーク企業の選定に当たり、災害協定の締結状況、災害協定に基づく災害復旧活動の実績等を考慮することにより、災害復旧に当たる企業に対して、安定的な受注機会の見通しを提供できるため、地域インフラを支える体制の確保に寄与する。
適用に当たっての留意点
調達対象やその数量が具体的でない段階に発注見通しの公表、発注計画の公表、フレームワーク企業の選定が行われるため、発注計画の見通しが立ちやすい種類の工事等において適用することが妥当である。
フレームワーク企業が少数の場合は、競争性を維持しづらくなる場合があることに留意する。定期的なフレークワーク企業の再募集や見直し等を行うことにより、フレームワーク外の企業への配慮や、競争性、透明性の確保に努めることが必要となる。
35
3.4 競争参加者の設定方法
競争参加者の設定方法とは、契約の相手方を選定する際の候補とする者の範囲の設定方法のことであり、
・資格要件を満たす者のうち、競争の参加申込みを行った者で競争を行わせる「一般競争入札方式」
・発注者が指名を行った特定多数の者で競争を行わせる「指名競争入札」
・競争の方法によらないで、発注者が任意に特定した者を選定して、その者と契約する「随意契約方式」
がある。
競争参加者の設定方法
一般競争入札方式
指名競争入札方式
随意契約方式
図-3.13 競争参加者の設定方法
競争参加者の設定方法の選択に当たっては、原則として一般競争入札を選択する。ただし、以下に示す点についても考慮する。
指名競争入札の活用
契約の性質又は目的により競争に加わるべき
者が少数で一般競争に付する必要がない場合又は一般競争に付することが発注者に不利となる場合に該当するか
契約に係る予定価格が少額である場合その他政令で定める場合に該当するか
随意契約方式の活用
契約の性質又は目的が競争を許さない場合、競争に付することが発注者に不利となる場合又は災害時の応急的な復旧工事等のように緊急の必要により競争に付することができない場合に該当するか
図-3.14 競争参加者の設定方法の選択に当たって考慮する点
36
一般競争入札方式
方式の概要
「一般競争入札」とは、資格要件を満たす者のうち、競争の参加申込みを行った者で競争を行わせる方式である。
【会計法(昭和 22 年法律第 35 号。抜粋)】
第二十九条の三 契約担当官及び支出負担行為担当官(以下「契約担当官等」とい う。)は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、第三項及び第四項に規定する場合を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。
②~⑤ (略)
【地方自治法(昭和 22 年法律第 67 号。抜粋)】
(契約の締結)
第二百三十四条 売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。
2~6 (略)
方式の効果等
機会均等の原則に則り、透明性、競争性、公正性及び経済性を確保することができる方式である。
発注者の裁量の余地が少ないため、高い客観性を確保できる。 第三者による監視が容易であるため、高い透明性を確保できる。
入札に参加する可能性のある潜在的な競争参加者の数が多く、高い競争性を確保できる。
適用に当たっての留意点
公募の手続を行うことなどにより、受発注者双方にとって、契約事務手続上の負担が大きくなる場合がある点に留意する。
競争参加資格の設定等の運用次第では、不良・不適格業者が参加する可能性が大きくなる点に留意する。
37
一般競争入札方式
指名競争入札方式
方式の概要
指名競争入札」とは、発注者が指名を行った特定多数の者で競争を行わせる方式である。指名競争入札には、競争参加資格者のうち、競争参加者を発注者の定める指名基準により 指名する通常指名競争入札、公募による審査を通過した者を指名する公募型指名競争入札がある。以下本項目の「方式の効果等」や「適用に当たっての留意点」は主に通常指名競争入札を念頭に記載している。
【会計法(抜粋)】
第二十九条の三 契約担当官及び支出負担行為担当官(以下「契約担当官等」とい う。)は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、第三項及び第四項に規定する場合を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。
② (略)
③ 契約の性質又は目的により競争に加わるべき者が少数で第一項の競争に付する必要がない場合及び同項の競争に付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、指名競争に付するものとする。
④ (略)
⑤ 契約に係る予定価格が少額である場合その他政令で定める場合においては、第一項及び第三項の規定にかかわらず、政令の定めるところにより、指名競争に付し又は随意契約によることができる。
【予算決算及び会計令(昭和 22 年勅令第 165 号。抜粋)】
(指名競争に付することができる場合)
第九十四条 会計法第二十九条の三第五項の規定により指名競争に付することができる場合は、次に掲げる場合とする。
一 予定価格が五百万円を超えない工事又は製造をさせるとき。二~六 (略)
2 随意契約によることができる場合においては、指名競争に付することを妨げない。
38
指名競争入札方式
【地方自治法(抜粋)】
(契約の締結)
第二百三十四条 売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。
2 前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。
【地方自治法施行令(昭和 22 年政令第 16 号。抜粋)】
第百六十七条 地方自治法第二百三十四条第二項の規定により指名競争入札によることができる場合は、次の各号に掲げる場合とする。
1 工事又は製造の請負、物件の売買その他の契約でその性質又は目的が一般競争入札に適しないものをするとき。
2 その性質又は目的により競争に加わるべき者の数が一般競争入札に付する必要がないと認められる程度に少数である契約をするとき。
3 一般競争入札に付することが不利と認められるとき。
方式の効果等
一般競争に付した場合と比較して、容易に発注者の定める条件にあった業者(指名業者)の中から受注者を選定することができる方式である。
一般競争入札と比べて、契約担当者の事務上の負担や経費の軽減を図ることができる。
一般競争入札と比べて、業者の施工実績や技術的適性等を適切に考慮することにより、不良・不適格業者を排除し信頼できる業者を選定することが容易である。
入札・契約事務の簡素化、受注の偏りの緩和、良質な施工に対するインセンティブの付与を行うことができる。
適用に当たっての留意点
指名される者が固定化することのないよう、公平性の確保に留意する。談合が容易であるとの指摘がある点に留意する。
指名基準の公表や業者選定時における適切な情報管理の徹底等を通じて、透明性・客観性、競争性を向上させ、発注者の恣意性を排除する必要があることに留意する。
適用にあたっては、会計法や地方自治法等の関係法令における要件を満たす必要があることに留意する。
39
指名競争入札方式
随意契約方式
方式の概要
「随意契約方式」とは、競争(価格競争)の方法によらないで、発注者が任意に特定の者を選定して、その者と契約する方式である。
【会計法(抜粋)】
第二十九条の三 (略)
②・③ (略)
④ 契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、随意契約によるものとする。
⑤ 契約に係る予定価格が少額である場合その他政令で定める場合においては、第一項及び第三項の規定にかかわらず、政令の定めるところにより、指名競争に付し又は随意契約によることができる。
【予算決算及び会計令(抜粋)】
(随意契約によることができる場合)
第九十九条 会計法第二十九条の三第五項の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。
一 国の行為を秘密にする必要があるとき。
二 予定価格が二百五十万円を超えない工事又は製造をさせるとき。三~二十五 (略)
第九十九条の二 契約担当官等は、競争に付しても入札者がないとき、又は再度の入
札をしても落札者がないときは、随意契約によることができる。この場合においては、契約保証金及び履行期限を除くほか、最初競争に付するときに定めた予定価格その他の条件を変更することができない。
第九十九条の三 契約担当官等は、落札者が契約を結ばないときは、その落札金額の
制限内で随意契約によることができる。この場合においては、履行期限を除くほか、最初競争に付するときに定めた条件を変更することができない。
40
随意契約方式
【地方自治法(抜粋)】
(契約の締結)
第二百三十四条 売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。
2 前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。
【地方自治法施行令(抜粋)】
第百六十七条の二 地方自治法第二百三十四条第二項の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。
一 売買、貸借、請負その他の契約でその予定価格(貸借の契約にあつては、予定賃貸借料の年額又は総額)が別表第五上欄に掲げる契約の種類に応じ同表下欄に定める額の範囲内において普通地方公共団体の規則で定める額を超えないものをするとき。
二~四 (略)
五 緊急の必要により競争入札に付することができないとき。六 競争入札に付することが不利と認められるとき
七 (略)
八 競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がないとき。九 落札者が契約を締結しないとき。
2 前項第八号の規定により随意契約による場合は、契約保証金及び履行期限を除くほ か、最初競争入札に付するときに定めた予定価格その他の条件を変更することができない。
3 第一項第九号の規定により随意契約による場合は、落札金額の制限内でこれを行うものとし、かつ、履行期限を除くほか、最初競争入札に付するときに定めた条件を変更することができない。
41
方式の効果等
競争に付した場合の期間を短縮することができ、しかも契約の相手方となるべき者を任意に選定するものであることから、特定の資産、信用、能力等のある業者を容易に選定することができる方式である。
契約担当者の事務上の負担を軽減し、事務の効率化が期待できる。
一般競争入札、指名競争入札と比して、一般的に手続期間を短縮できる。
適用に当たっての留意点
会計法や地方自治法等の関係法令に規定される特定の要件を満たした場合にのみ、その適用が認められるものである。
発注者と特定の業者との間に発生する特殊な関係をもって、単純に活用される可能性や、適正 な価格によって行われるべき契約が不適正な価格によって行われることがないように留意する。契約事務の公正性を保持し、経済性の確保を図る観点から、発注工事ごとに技術の特殊性、経 済合理性、緊急性等を客観的・総合的に判断し、慎重に適用を判断する必要があることに留意 する。
42
随意契約方式
3.5 落札者の選定方法
落札者の選定方法は、「落札者の選定方法に応じた方式」と「落札者の選定の手続に関する方式」に分類される。
落札者選定方法
落札者の選定方法
に応じた方式
価格競争方式
総合評価落札方式
技術提案・交渉方式
落札者の選定の手続
に関する方式
段階的選抜方式
図-3.15 主な落札者の選定方法
主な落札者の選定方法の選択に当たって以下の点を考慮する。
施工者の能力により工事品質へ大きな影響が生じるか 等
価格以外の要素の評価の必要性
工事品質の確保や担い手の中長期的な育成・確保のために、技術提案を求めるなどによ り、価格と性能等を総合的に評価することが望ましいか 等
最良の提案を採用する必要性
最も優れた技術提案を採用することが望まし
いか 等
図-3.16 主な落札者の選定方法の選択に当たって考慮する点
43
3.5.1 落札者の選定方法に応じた方式
落札者の選定方法に応じた方式としては、発注者が示す仕様に対し、価格提案のみを求め、落札者を決定する「価格競争方式」のほか、
・工事価格及び性能等を総合的に評価して落札者を決定する「総合評価落札方式」
・最も優れた提案を行った者と価格や施工方法等を交渉し、契約相手を決定する「技術提案・交渉方式」
などがある。
落札者選定方法
落札者の選定方法
に応じた方式
価格競争方式
総合評価落札方式
技術提案・交渉方式
落札者の選定の手続
に関する方式
段階的選抜方式
図-3.17 主な落札者の選定方法(再掲)
44 3.5.1 落札者の選定の基準に関する方式
価格競争方式
方式の概要
「価格競争方式」とは、発注者が示す仕様に対し、価格提案のみを求め、落札者を決定する方式であり、発注者の示した仕様を満たす競争参加者のうち、最低の価格をもって申込みをした者と契約するものである。
方式の効果等
発最低価格を提示した者を落札者とするため、他の落札者の選定方法に比して入札手続に係わる事務上の負担の軽減や手続期間の短縮が期待できる。
落札者を選定する手続に関して、公平性・公正性・透明性が高く、発注者の恣意性が働く余地がない。
適用に当たっての留意点
落札者を選定する段階では、受注者の施工能力は考慮できない方式であることから、施工者の能力によって工事品質に影響を与える可能性があることに留意する。
3.5.1 落札者の選定の基準に関する方式 45
価格競争方式
総合評価落札方式
方式の概要
「総合評価落札方式」とは、品質確保のために、工事価格と品質を総合的に評価して落札者を選定する方式である。総合評価落札方式については、「国土交通省直轄工事における総合評価落札方式の運用ガイドライン」を参照のこと。
【価格競争方式と総合評価落札方式】
【評価値の算出方法】
【総合評価落札方式の概要(国土交通省)】
46 3.5.1 落札者の選定方法に応じた方式総合評価落札方式
方式の効果等
総合的なコストの縮減に関する技術提案、工事目的物の性能・機能の向上に関する技術提案、社会的要請への対応に関する技術提案等が審査・評価の対象となり、これらの技術提案に対する評価が低い場合、落札しにくくなるため、工事の品質の向上が期待できる。
企業の施工実績や配置予定技術者の能力も評価することが可能であることから、施工能力の乏しい者が落札することによる、公共工事の品質の低下や工期の遅れ等の防止が期待できる。 入札の段階で、施工計画が現場条件(地形、地質、環境、地域特性等)を反映しているか等の審査を行うため、想定される問題を事前に把握することができる。
騒音の低減、周辺の環境や街並みと景観との調和などを評価対象にすることができるため、周辺住民や利用者の不便や不満の減少が期待できる。
技術的能力や技術提案を審査するため、建設業者の適切な施工や技術力の向上に対する意欲を高め、結果として、建設業者の育成・技術力の向上につながることが期待できる。
適用に当たっての留意点
技術提案に関して、審査・評価を行う体制が必要である点に留意する。
価格競争方式に比して手続期間が長期にわたることを考慮した計画的な発注が必要になることに留意する。
競争参加者に高度な技術等を含む技術提案を求める場合、最も優れた提案に対応した予定価格とすることができるよう留意する。また、この場合、技術提案の評価に当たり、中立かつ公正な立場から判断できる学識経験者の意見を聴取する必要があることに留意する。
技術提案を求める場合には、競争参加者の技術提案に係る事務負担に配慮するとともに、工事の性格、地域の実情等を踏まえた適切な評価内容を設定する必要があることに留意する。その際、過度なコスト負担を誘発しないよう、いわゆるオーバースペックと判断される技術提案を優位に評価しないよう留意するとともに、単に提案の数が多いことが優位に評価されることのないよう、求める提案数を明確にする等配慮する必要がある。
落札者の決定に際し、評価の方法や内容を公表する必要があることに留意する。その際、技術提案が提案者の知的財産であることから、提案内容に関する事項が他者に知られたり、提案者の了承を得ることなく提案の一部のみを採用することがないようにするなど、その取扱いに留意する。
技術提案に対して提案の改善を行う機会を与えた場合、透明性の確保のため、技術提案の改善に係る過程の概要を、契約後速やかに公表する必要があることに留意する。
技術提案を求める場合は、その履行を確保するための措置や履行できなかった場合の措置について予め契約上の取り決めを行う必要があることに留意する。
3.5.1 落札者の選定方法に応じた方式 47
総合評価落札方式
技術提案・交渉方式
方式の概要
「技術提案・交渉方式」とは、技術提案を募集し、最も優れた提案を行った者を優先交渉権者とし、その者と価格や施工方法等を交渉し、契約の相手方を決定する方式である。
技術提案・交渉方式は、施工者独自の高度で専門的なノウハウや工法等を活用することを目的としており、この目的を達成するため、一般的な「工事の施工のみを発注する方式」と異なり、設計段階において施工者が参画することが必要となる。このため、技術提案・交渉方式の適用が考えられる契約方式は、「設計・施工一括発注方式」又は「設計段階から施工者が関与する方式
(ECI 方式)」の2種類である。
技術提案・交渉方式には、設計と施工を一括して契約する「設計・施工一括タイプ」、別途、契約する設計業務に対して施工者が技術協力を行う「技術協力・施工タイプ」、施工者が実施設計を行う「設計交渉・施工タイプ」の3種類の契約タイプがある。技術提案・交渉方式については、
「国土交通省直轄工事における技術提案・交渉方式の運用ガイドライン(平成 27 年 7 月策定、令
和 2 年 1 月最終改正)」を参照のこと。
(a)設計・施工一括タイプ
(b)技術協力・施工タイプ
(c)設計交渉・施工タイプ
図-3.18 技術提案・交渉方式の契約タイプ
48 3.5.1 落札者の選定方法に応じた方式技術提案・交渉方式
【公共工事の品質確保の促進に関する法律(抜粋)】
(技術提案の審査及び価格等の交渉による方式)
第十八条 発注者は、当該公共工事等の性格等により当該工事等の仕様の確定が困難である場合において自らの発注の実績等を踏まえ必要があると認めるときは、技術提案を公募の上、その審査の結果を踏まえて選定した者と工法、価格等の交渉を行うことにより仕様を確定した上で契約することができる。この場合において、発注者は、技術提案の審査及び交渉の結果を踏まえ、予定価格を定めるものとする。
2 発注者は、前項の技術提案の審査に当たり、中立かつ公正な審査が行われるよう、中立の立場で公正な判断をすることができる学識経験者の意見を聴くとともに、当該審査に関する当事者からの苦情を適切に処理することその他の必要な措置を講ずるものとする。
3 発注者は、第一項の技術提案の審査の結果並びに審査及び交渉の過程の概要を公表しなければならない。この場合においては、第十五条第五項ただし書の規定を準用する。
【公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針(抜粋)】
第2 4 多様な入札及び契約の方法
(4)技術提案の審査及び価格等の交渉による方式(技術提案・交渉方式)
技術的難易度が高い工事等仕様の確定が困難である場合において、自らの発注の実績等を踏まえて必要があると認めるときは、技術提案を広く公募の上、その審査の結果を踏まえて選定した者と工法、価格等の交渉を行うことにより仕様を確定した上で契約することができる。この場合において、発注者は、技術提案の審査及び交渉の結果を踏まえて予定価格を定めるものとする。
3.5.1 落札者の選定方法に応じた方式 49
技術提案・交渉方式
方式の効果等
発注者による仕様の確定が困難で、最も優れた技術提案によらないと、工事目的の達成が難しい場合に対応するための方式である。
「発注者が最適な仕様を設定できない工事」又は「仕様の前提となる条件の確定が困難な工事」への適用が考えられる方式である。
厳しい条件下での高度な技術が必要とされる工事等において、最も優れた技術提案を採用することができる。
仕様の前提条件に不確実性がある工事において、追加調査や協議の上、条件・仕様・価格を定めることができるため、施工者にとっては参加しやすく、入札不調のリスクを減らす効果が期待できる。
適用に当たっての留意点
技術提案・交渉方式は、価格競争のプロセスがない(随意契約の一種と位置付けられている)調達を行うことから、技術提案・交渉方式の適用判断、技術提案の審査・評価、価格等の交渉の結果を踏まえた予定価格等の妥当性の確認に当たり、学識経験者への意見聴取を行う等、中立性・公平性・透明性の確保に留意する。
競争参加者により提案される目的物の品質・性能や価格等に大きな振れ幅が生じることを防ぐため、発注者が目的物の品質・性能のレベルの目安として、あらかじめ参考額を示す場合には、学識経験者に意見聴取を行う等、恣意的な設定とならないように留意する。
優先交渉権者との交渉によっては、交渉が不成立となる場合があることにも留意する。
事業の緊急度に留意しつつも、施工者の知見の設計への反映や、リスクへの対応に当たり、必要な追加調査や協議を行うため、十分な技術協力期間、設計期間の確保に努めることが重要であることに留意する。
仕様が確定しない段階から技術提案を求めるため、技術提案は、定量的な事項、要素技術の有無や提案数よりも、主たる事業課題に対する提案能力を中心に、工事の特性に応じて、理解度、実績等による裏付け、不測の事態への対応力等を重視して評価することに留意する。
発注者に技術提案の審査・評価、価格や施工方法等に関する交渉等を的確に行える体制を整備する必要があることに留意する。
50 3.5.1 落札者の選定方法に応じた方式技術提案・交渉方式
3.5.2 落札者の選定の手続に関する方式
落札者の選定の手続に関する方式としては、技術提案を求める方式において、一定の技術水準に達した者を選抜した上で、これらの者の中から提案を求め、落札者を決定する「段階的選抜方式」がある。
落札者選定方法
落札者の選定方法に
応じた方式
価格競争方式
総合評価落札方式
技術提案・交渉方式
落札者の選定の手続
に関する方式
段階的選抜方式
図-3.19 主な落札者の選定方法(再掲)
3.5.2 落札者の選定の手続に関する方式 51
段階的選抜方式
方式の概要
「段階的選抜方式」とは、競争に参加しようとする者に対し技術提案を求める方式において、一定の技術水準に達した者を選抜した上で、これらの者の中から提案を求め落札者を決定する方式である。
段階的選抜方式は選定プロセスに関する方式であり、「総合評価落札方式」、「技術提案・交渉方式」と併せて採用することができる。
【公共工事の品質確保の促進に関する法律(抜粋)】
(段階的選抜方式)
第十六条 発注者は、競争に参加する者に対し技術提案を求める方式による場合において競争に参加する者の数が多数であると見込まれるときその他必要があると認めるときは、必要な施工技術又は調査等の技術を有する者が新規に競争に参加することが不当に阻害されることのないように配慮しつつ、当該公共工事等に係る技術的能力に関する事項を評価すること等により一定の技術水準に達した者を選抜した上で、これらの者の中から落札者を決定することができる。
【公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針(抜粋)】
第2 4 多様な入札及び契約の方法
(2)段階的選抜方式
競争参加者が多数と見込まれる場合においてその全ての者に詳細な技術提案を求めることは、発注者、競争参加者双方の事務負担が大きい。その負担に配慮し、発注者は、競争参加者が多数と見込まれるときその他必要と認めるときは、当該公共工事に係る技術的能力に関する事項を評価すること等により一定の技術水準に達した者を選抜した上で、これらの者の中から落札者を決定することができる。
なお、当該段階的な選抜は、一般競争入札方式の総合評価落札方式における過程の中で行うことができる。
加えて、本方式の実施に当たっては、必要な施工技術を有する者の新規の競争参加が不当に阻害されることのないよう、また、恣意的な選抜が行われることのないよう、案件ごとに事前明示された基準にのっとり、透明性をもって選抜を行うこと等その運用について十分な配慮を行うものとする。
52 3.5.2 落札者の選定の手続に関する方式段階的選抜方式
方式の効果等
競争参加者が多く見込まれる場合において、受発注者双方の技術提案に係る事務負担の軽減を図ることができる。
適用に当たっての留意点
本方式の実施に当たっては、恣意的な選抜が行われることのないよう留意する。
第一段階の選抜の基準の設定方法によっては、技術提案を求める者が固定化してしまう可能性がある点に留意する。
3.5.2 落札者の選定の手続に関する方式 53
段階的選抜方式
3.6 支払方式
支払方式とは、「業務及び施工の対価を支払う方法」のことであり、工種別の内訳単価を定めず、総額をもって請負金額とする「総価契約方式」が一般的であるが、その他の方式として、
・単価等を前もって協議し、合意しておく「総価契約単価合意方式」
・震災復興事業において独立行政法人都市再生機構が実施している、工事のコストを実費精算し、これにあらかじめ合意された報酬(フィー)を加算して支払う「コストプラスフィー契約・オープンブック方式」
などがある。その他、工事材料等について単価を契約で定め、予定の施工数量に基づいて概算請負代金額を計算して契約し、工事完成後に実際に用いた数量と約定単価を基に請負代金額を確定する支払方式(「単価・数量精算方式」)の考え方もある。
支払方式
総価契約方式
総価契約単価合意方式
コストプラスフィー契約・
オープンブック方式
単価・数量精算方式
図-3.20 主な支払方式の全体
主な支払方式の選択に当たっては以下の点を考慮する。
工事進捗に応じた支払い
工事の進捗に応じた支払いの実施が想定され
るか 等
煩雑な設計変更
煩雑な設計変更が発生することが想定される
か 等
コスト構造の透明性の確保
材料費、労務費等の全てのコストの構成を明らかにすることが求められるか 等
図-3.21 主な支払方式の選択に当たって考慮する点
54
総価契約方式
方式の概要
「総価契約方式」とは、工種別の内訳単価を定めず、総額をもって請負金額とする方式であり、契約対象に含まれる各工種の工事費の単価は問わず、明示した各数量と総価が契約事項となるものである。
方式の効果等
契約書に基づいて提出される内訳書に示された個々の単価等は、受発注者を契約上拘束しない。総額をもって請負金額とするため、発注者にとって、コスト管理しやすい方式である。
適用に当たっての留意点
契約時に確定された請負代金額は、設計図書の変更等契約書に定められた請負代金額を変更する事ができる事由が無い限り、実際にかかった費用が請負代金額を超える状況が発生しても増加費用の負担をすることはできない契約方式である。本方式の実施に当たっては、恣意的な選抜が行われることのないよう留意する。
55
総価契約方式
総価契約単価合意方式
方式の概要
「総価契約単価合意方式」とは、総価契約方式において、請負代金額の変更があった場合の金額の算定や部分払金額の算定を行うための単価等を前もって協議し、合意しておくことにより、設計変更や部分払に伴う協議の円滑化を図ることを目的として実施する方式である。
【総価契約単価合意方式の概要】
出典)「総価契約単価合意方式の導入について」(平成 22 年6月国土交通省東北地方整備局)
方式の効果等
総価で工事を請け負い、請負代金額の変更があった場合の金額の算定や部分払金額の算定を行うための単価等を前もって協議し、合意しておくことにより、設計変更や部分払に伴う協議の円滑化を図ることを目的として実施する方式である。
工事請負契約における受発注者間の双務性の向上や受発注者間の契約変更協議の円滑化が期待できる。
適用に当たっての留意点
請負代金額の変更は、単価合意書に記載の合意単価等を基礎として行うこととなるが、単価合意書に記載の合意単価等を用いることが不適当となる場合(工事材料等の購入量が大幅に増え材料単価が安くなる場合等)、受発注者間で協議することもあることに留意する。
56
総価契約単価合意方式
コストプラスフィー契約・オープンブック方式
方式の概要
「コストプラスフィー契約・オープンブック方式」とは、工事の実費(コスト)の支出を証明する書類とともに請求を受けて実費精算とし、これにあらかじめ合意された報酬(フィー)を加算して支払う方式である。
【コストプラスフィー契約・オープンブック方式について】
「コストプラスフィー方式」とは、工事においては施工業者のコスト(外注費、材料費、労務費等)とフィー(報酬)をガラス張りで開示する支払方法。
(中略)
オープンブック方式とは、工事費用を施工者に支払う過程において、支払金額とその対価の公正さを明らかにするため、施工者が発注者に全てのコストに関する情報を開示し、発注者又は第三者が監査を行う方式のことをいう。
オープンブック方式では、
① CMRと施工者との契約金額が明らかにされること
② 施工者の領収書が添付され出来高払いによる実際の支払代金が毎月又は四半期ごとに明らかになること
③ 共通仮設費、現場管理費、一般管理費などについても実費精算がなされ、労務費、材料費、外注費などの全てのコストが発注者に明らかになること
④ 必要な場合は発注者が第三者にオープンブックの監査を依頼すること
などによってコスト構成の透明化が確保される。
出典)「CM方式活用ガイドライン」(平成 14 年2月国土交通省)
方式の効果等
支払い内容の透明性の確保や契約後における実態に即した支払いに対応する方式である。
総価契約のように費用の内訳を問わず契約するのではなく、支出した費用(コスト)の内訳が明らかとなるため、費用の透明性の向上が期待できる。
適用に当たっての留意点
公共工事においては、報酬(フィー)について積算上の位置付けがないため、通常の契約との積算上の違いを明らかにした上で、法的な整理も含め、十分な検討が必要であることに留意する。
支出した費用の内容を明らかにするため、支払請求書とともに支出を証明する書類が提出されるため、受注者の提出書類が増加することに留意するとともに、支出した費用の内容の妥当性を確認した際、妥当性が認められない場合の契約上の措置を講じる必要があることに留意する。報酬(フィー)を支出費用に応じた支払いとした場合、支出費用の増加に伴って報酬も増加することから、支出費用を抑制する仕組みを合わせて組み入れる必要があることに留意する。
57
コストプラスフィー契約・オープンブック方式
Ⅳ.参考資料
4.1 参考資料一覧
各入札契約方式の導入・活用に当たって参考となる資料一覧を以下に記載する。
資 料 名 | 日 付 | 所管省庁等 | URL |
国土交通省直轄工事における技術提案・交 渉方式の運用ガイドライン | 平成 27 年 5 月 (最終:令和 2 年 1 月) | 国土交通省 | http://www.nilim.go.jp/lab/ peg/siryou/2015_koshoguid e/2015_koshoguide.pdf |
国土交通省直轄工事における総合評価落札 方式の運用ガイドライン | 平成 25 年 3 月 (最終:平成 28 年 4 月) | 国土交通省 | http://www.mlit.go.jp/com mon/000996238.pdf |
災害復旧における入札契約方式の適用ガイドライン | 平成 29 年 7 月 (最終:令和 3 年 5 月) | 国土交通省 | http://www.nilim.go.jp/lab/ peg/siryou/20170825_saiga ifukkyu_guideline/170825_ saigaifukkyu_guideline_ho nbun.pdf |
国土交通省直轄の事業促進PPPに関する ガイドライン | 平成 31 年 3 月 (最終:令和 3 年 3 月) | 国土交通省 | http://www.nilim.go.jp/lab/ peg/siryou/2019_koshoguid e/2019_ppp_guideline.pdf |
地方公共団体におけるピュア型CM方式活 用ガイドライン | 令和 2 年 9 月 | 国土交通省 | https://www.mlit.go.jp/toti kensangyo/const/content/0 01362396.pdf |
CM方式活用ガイドライン | 平成 14 年 2 月 | 国土交通省 | eisaku/const/sinko/kikaku/ cm/cmguide1.htm |
建設コンサルタント業務等におけるプロポーザル方式及び総合評価落札方式の運用ガ イドライン | 平成 21 年 3 月 (最終:令和 3 年 3 月) | 国土交通省 | http://www.mlit.go.jp/com mon/000165858.pdf |
公共土木設計業務等標準委託契約約款 | 平成 7 年 5 月 (最終:令和 2 年 3 月) | 国土交通省 | kensangyo/const/sosei_con st_tk2_000050.html |
公共建築設計業務標準委託契約約款 | 平成 8 年 2 月 (最終:令和 2 年 3 月) | 国土交通省 | https://www.mlit.go.jp/juta kukentiku/build/jutakuken tiku_house_fr_000096.htm l |
公共工事標準請負契約約款 | 昭和 25 年 2 月 (最終:令和元年 12 月) | 中央建設業審議 会 | kensangyo/const/1_6_bt_00 0092.html |
工事請負契約書の制定について | 平成 7 年 6 月 (最終:令和 2 年 3 月) | 国土交通省 | http://www.mlit.go.jp/com mon/000993707.pdf |
公共土木設計施工標準請負契約約款 | 平成 26 年 12 月 | (公社) 土木学会 | https://committees.jsce.or.j p/cmc/system/files/01_Cont ract%20clause_5.pdf |
総価契約単価合意方式実施要領 | 平成 23 年 9 月 | 国土交通省 | pbg/theme/theme2/soutan/ soutan_youryou2016.4.pdf |
地方公共団体向け総合評価実施マニュアル | 平成 19 年 3 月 (最終:平成 20 年 3 月) | 国土交通省 | http://www.mlit.go.jp/com mon/000020197.pdf |
58
Ⅳ.参考資料
4.1 参考資料一覧
資 料 名 | 日 付 | 所管省庁等 | URL |
国土交通省直轄事業における発注者支援型 CM方式の取組み事例集(案) | 平成 21 年 3 月 | 国土交通省 | http://www.mlit.go.jp/com mon/001068240.pdf |
総価契約単価合意方式実施要領 | 平成 23 年 9 月 | 国土交通省 | pbg/theme/theme2/soutan/ soutan_youryou2016.4.pdf |
設計・施工一括及び詳細設計付工事発注方式 実施マニュアル(案) | 平成 21 年 3 月 | 国土交通省 | peg/siryou/hatyusha/db_m anual.pdf |
59
4.2 国土交通省における相談窓口
本ガイドラインの内容に関する問い合わせは、品確法の運用指針の内容に関する問合せや発注関係事務の運用に関する相談に応じるために設置している、以下の「品確法運用指針に関する相談窓口」で受け付けることとしている。
地整 | 窓口 | 住所 | 電話番号 | メールアドレス |
大臣官房 | 〒100-8918 | 03-5253- | ||
国土交通省 | 技術調査課 | 東京都千代田区霞が関 2-1-3 | 8111 | - |
国土交通省 国土技術政策総合研究所 | 社会資本マネジメ ント研究センター 社会資本マネジメ ント研究室 | 〒305-0804 茨城県つくば市旭 1 番地 | 029-864- 4239 | nil-kenmane@ mlit.go.jp |
北海道開発局 | 事業振興部工事管理課 | 〒060-8511 北海道札幌市北区北8条西2 | 011-709- 2311 | hkd-ky- hinkaku02@gxb .mlit.go.jp |
東北地方整備局 | 企画部 技術管理課 | 〒980-8602 宮城県仙台市青葉区本町3-3-1 仙台合同庁舎 B 棟 | 022-225- 2171 | hinkaku@thr.m lit.go.jp |
関東地方整備局 | 企画部 技術調査課 | 〒330-9724 埼玉県さいたま市中央区新都心2-1 | 048-600- 1332 | ktr- hattyukyo@gxb. mlit.go.jp |
北陸地方整備局 | 企画部 技術管理課 | 〒950-8801 新潟県新潟市中央区美 | 025-280- 8880 | hinkaku@hrr.m lit.go.jp |
咲町1-1-1 | ||||
中部地方整備局 | 企画部 技術管理課 | 〒460-8514 名古屋市中区三の丸2 | 052-953- 8131 | gikanmado@ cbr.mlit.go.jp |
-5-1 | ||||
近畿地方整備局 | 企画部 技術管理課 | 〒540-8586 大阪市中央区大手前1 -5-44 | 06-6942- 1141 | hinkaku@kkr.m lit.go.jp |
中国地方整備局 | 企画部 技術管理課 | 〒730-8530 広島市中区上八丁堀6 | 082-221- 9231 | hinkaku@cgr.m lit.go.jp |
-30 | ||||
四国地方整備局 | 企画部 技術管理課 | 〒760-8554 高松市 サンポート3 -33 | 087-851- 8061 | skr- hinkaku@mlit.g o.jp |
九州地方整備局 | 企画部 技術管理課 | 〒812-0013 福岡市博多区博多駅東 2-10-7 | 092-476- 3546 | qsr- hinkaku@mlit.g o.jp |
開発建設部 | 〒900-0006 | 098-866- | ||
沖縄総合事務局 | 技術管理課 | 那覇市おもろまち2- | 1904 | - |
1-1 |
60