Contract
杉並区職員措置請求監査結果
((仮称)荻外荘公園整備事業に係る建物取得補償契約に関する住民監査請求)
令和元年9月
杉 並 区 監 査 委 員
第1 | 請求の概要と受理 | |
1 | 請求人 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 1 |
2 | 請求書の提出 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 1 |
3 | 請求の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 1 |
4 | 請求の受理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 2 |
第2 | 監査の実施 | |
1 | 証拠の提出 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 3 |
2 | 監査対象事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 3 |
3 | 対象部局とその抗弁要旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 3 |
第3 | 監査の結果 | |
1 | 結 論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 7 |
2 | 本件建物の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 7 |
3 | 本件契約に至るまでの主な経緯等 ・・・・・・・・・・・・・・ | 7 |
4 | 判 断 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 9 |
<別紙> | ||
1 | 職員措置請求書及び事実証明書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 19 |
2 | 追加の証拠 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 29 |
3 | xxxxの抗弁書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 31 |
<資料>
1 用地事務取扱要綱 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
2 xxxの事業の施行に伴う損失補償基準 ・・・・・・・・・・・・・・ 47
【注】 請求人の氏名は仮名(A)で表示し、その住所等の記載は省略した。
請求人が提出した職員措置請求書及び事実証明書は別紙1のとおりであり、その概要は次のとおりである。
(1)xxxx(以下「区長」という。)は、平成 30 年7月 18 日に、宗教法人天理教(以下「本件法人」という。)との間で、(仮称)荻外荘公園整備事業に必要な建物の取得に係る建物取得補償契約(以下「本件契約」という。)を締結した。
本件契約は、杉並区(以下「区」という。)が約 31 億円で買収した荻外荘及びその敷地を(仮称)荻外荘公園として整備するに当たり、締結されたものであり、具体的には、本件法人が所有していた荻外荘の客間棟・玄関棟(以下「本件建物」という。)を区に譲渡し、移築させることが目的であった。
(2)本件建物の譲渡により、本件法人に支払われた補償金は、総額「2,946 万 7,458
円」であり、平成 30 年 10 月に本件法人に支出した(以下「本件支出」という。)。その金額の大きさもさることながら、その支出内訳が不明であることに疑問 を持った請求人は、平成 31 年杉並区議会予算特別委員会において情報提供を
求めたところであるが、具体的に説明されることのないまま閉会となった。これを受け、請求人は、改めて杉並区情報公開条例(昭和 61 年杉並区条例
第 38 号)に基づく公開請求を行ったところ、総額「2,946 万 7,458 円」の内訳
が、①建物取得補償料(1,394 万 3,625 円)、②工作物等補償料(44 万 2,940円)、③動産移転補償料(85 万 3,908 円)、④移転雑費補償料(651 万 69 円)、
⑤仮住居補償金(771 万 6,916 円)であったことが判明し、全体としてみると、建物への補償が「約 1,394 万円」、それ以外の補償が「約 1,552 万円」となる。本件は、建物取得のための補償と説明されてきたものであるが、その過半が
建物以外の補償となっていたことが、ここで初めて明かされたのである。
(3)憲法第 89 条は、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」と定め、公金の使途を厳しく制限している。
すなわち、憲法は、宗教上の組織又は団体に対しては、その事業のいかんを問わず、公金を当該宗教上の組織又は団体の使用、便益又は維持そのもののために支出することを禁じているのである。
本件支出は、この観点から全く問題がないといえるものであろうか。もちろん、これは、区が宗教とかかわり合いを持つことを全く許さないとする趣旨ではないことから、その是非を判断するに当たっては、資金供与の目的及び効果について、詳細にわたり個別具体的に検証することが必要である。
(4)そこで、請求人は、令和元年第2回杉並区議会定例会において、本件支出は具体的に何を補償したものであるか説明を求めるとともに、その根拠や補償対象範囲などについて説明を求めたところ、そのいずれについても十分な説明が行われることはなく、疑問はさらに深まる結果となった。例えば、次のような疑問である。
ア なぜ、宗教活動上使用される教職舎・仮住居の費用を公金で支払うことが正当化できるのか。また、新たな教職舎を建築する期間中に宗教活動等に使用される代替建物の賃貸費用などへの補償として「771 万 6,916 円」の支払を行った算定根拠は何であったのか。
イ なぜ、古い木造平屋の建物取得補償に「1,394 万 3,625 円」もの支払を行う必要があったのか。また、その算定根拠は何であったのか。
ウ 建物以外の設備等を移転する工作物等補償の(対象範囲の)妥当性及びその補償額を「44 万 2,940 円」とした算定根拠は何であったのか。また、移転家具の対象範囲の妥当性及びこれに係る動産移転補償「85 万 3,908 円」の算定根拠は何であったのか。
エ 移転雑費とされる「651 万 69 円」の補償対象範囲の妥当性は、どのように根拠づけられているのか。また、その算定根拠は何であったのか。
(5)本件支出については、公金の使途制限を定めた憲法第 89 条及び公益上必要
のない公金支出を禁じた地方自治法(昭和 22 年法律第 67 号)第 232 条の2に抵触している疑いが拭えず、その支出対象範囲の妥当性についても疑問が尽きない。
この間の経緯からみても、自治体が本来負担すべきではない資金供与を行っている蓋然性は極めて高く、現状では「2,946 万 7,458 円(区の支払額)」の過半がそうである可能性さえも否定できず、損害の回復が必要である。
(6)区長は、本件支出の相手方が宗教法人であり、憲法に抵触する資金供与が禁止されていることを踏まえた上で説明責任を果たすとともに、財務会計上においても必要な措置を講じなければならない。
よって、請求人は、監査委員による監査を求めるとともに、監査委員が区長に対して必要な措置を講じるよう勧告することを求める。
本件監査請求については、令和元年7月 29 日の監査委員会議において、監査委員4名(xxxx監査委員、xxxx監査委員、xxxx監査委員及びxxxx監査委員)の合議により、地方自治法第 242 条所定の要件を具備しているものと認め、受理することに決定した。
なお、請求人には、同年7月 30 日付けで文書によりこの旨を通知した。
第2 監査の実施
なお、請求人の陳述聴取については、その候補日を提示したところ、請求人から出席することができない旨の回答があったことなどから、本件監査においては実施しないことに決定した。
請求人は、本件支出については憲法第 89 条及び地方自治法第 232 条の2に抵触している疑いが拭えず、その支出対象範囲の妥当性についても疑問が尽きないなどと主張していることから、本件契約及びこれに基づく本件支出の違法性・不当性の有無等を調査し、それらを踏まえて監査結果を導くこととした。
都市整備部土木計画課及び都市整備部xxx公園課を本件監査の対象部局とし、抗弁書の提出を求め、令和元年8月5日に区長の抗弁書の提出を受けるとともに、同年8月9日に説明聴取を実施した。
同年8月5日付けの区長の抗弁書(別紙3)の要旨は、次のとおりである。
当該抗弁書には、①荻外荘の移築建物を取得するに至った背景、②建物取得の経過、③補償算定根拠等、④措置請求に関する区の見解及び⑤その他(公共用地の取得に伴う損失補償)について、それぞれ記載されている。
「補償算定根拠等」及び「措置請求に関する区の見解」の概要は、次のとおりである。
(1)補償算定根拠等についてア 補償根拠について
本件建物の取得に当たっては、(仮称)荻外荘公園整備事業に必要な建物
取得であり、当該建物には居住者がいることから、適正かつ客観的な移転補償が必要である。
区の用地事務取扱要綱(昭和 44 年7月3日xx経発第 588 号)(資料1)
第 13 条においては、用地取得に伴う建物その他の物件の評価及び補償料の算定については、「xxxの事業の施行に伴う損失補償基準」(以下「補償基準」という。)(資料2)に準じて行うこととされており、本件のように、用地取得を伴わない事案についても、同一の算定基準により補償を行うことが適切であることから、本件法人に対する補償(以下「本件補償」という。)
については、補償基準に準じて算定を行った。
なお、補償基準に対し、それを補完する「xxxの事業の施行に伴う損失補償基準実施細目」(以下「実施細目」という。)、「補償算定要領」(以下「算定要領」という。)及び「補償算定要領(補償標準単価表)」(以下「単価表」という。)が定められていることから、これらも用いて補償算定を行った。
イ 補償算定について
(ア)建物取得補償料
補償基準第15条では、「取得する建物その他の土地に定着する物件に対する補償については、第1節に規定する土地の取得に係る補償の例による」とされ、正常な取引価格を基準とすることとされている。
本件については、本件建物と同様な歴史的建物の取引事例が存しないことから、補償基準第16条(近傍同種の建物その他の工作物の取引の事例がない場合においては、前条の規定にかかわらず、取得する建物その他の工作物に対して、当該建物その他の工作物の推定再建築費を、取得時までの経過年数及び維持保存の状況に応じて減価した額をもって補償するものとする)に基づき、建物の推定再建築費に経過年数に応じた減価(現価率)を乗じて、建物取得補償料を「1,394万3,625円」と算定した。
(イ)工作物等補償料
補償対象とした工作物は、玄関ポーチ土間、コンクリート叩き、踏石、ガス湯沸器、壁付扇風機及び電話設備である。
移設不可物件である玄関ポーチ土間及びコンクリート叩きについては、補償基準第16条に基づき、新設費に現価率を乗じて、補償料を「24万1,481円」と算定した。
移設可物件である踏石、ガス湯沸器、壁付扇風機及び電話設備については、補償基準第28条に基づき、補償料(移設費)を「20万1,459円」(消費税及び地方消費税相当額(以下「消費税相当額」という。)を含む。)と算定した。なお、ガス湯沸器、壁付扇風機及び電話設備については、生活に密着した工作物で、仮住居等へ移転し使用することが必要と認められるため、二度の移転に要する費用を補償するものとした。
以上のとおり、工作物等補償料を「44万2,940円」と算定した。
(ウ)動産移転補償料
補償基準第31条(土地等の取得又は土地等の使用に伴い移転する動産に対する補償については、第28条第1項前段に規定する建物等の移転に係る補償の例による)に基づき、通常妥当と認められる移転先に、通常妥当と認められる移転方法によって移転するのに要する費用を補償するものである。
本件建物に存する動産については、建物内の屋内動産(住居用家財)及び一般動産(金庫)を補償対象と判断し、各動産については、仮住居を経由し再建建物に移転する必要が生じるため、二度の移転に要する費用を補償するものとした。
屋内動産(住居用家財)の補償料を「77万4,031円」、一般動産(金庫)の補償料を「6万3,440円」、消費税相当額を「1万6,437円」として、動産移転補償料を「85万3,908円」と算定した。
(エ)移転雑費補償料
補償基準第 37 条に基づき、法令上の手続に要する費用、移転旅費等その他の費用及び就業不能により通常生ずる損失を補償するものである。
法令上の手続に要する費用を「561万3,500円」、移転旅費等その他の費用を「31万1,400円」、就業不能により通常生ずる損失を「47万6,900円」、消費税相当額を「10万8,269円」として、移転雑費補償料を「651万69円」と算定した。
(オ)仮住居補償金
補償基準第32 条に基づき、建物に居住する者の仮住居を新たに確保し、及び使用する際に通常要する費用を補償するものである。
算定要領に基づき、仮住居等について、権利金・敷金の比準額を「5,300円」、家賃の比準額を「3,500 円」、所要面積を「169.19 ㎡」、補償期間を
「11.5 か月」、年利率を「1.2%」と認定した上で、権利金(礼金)を「89万 6,707 円」、敷金等一時金の運用益を「1 万 312 円」、家賃相当額を「680
万 9,897 円」と算定した。
以上のとおり、仮住居補償金を「771万6,916円」と算定した。
(カ)消費税及び地方消費税(以下「消費税」という。)の補償について
建物取得費については、消費税課税業者の対価が伴う資産の譲渡であることから、消費税(8%)を補償(負担)した。
消費税相当額の補償に当たっては、本件法人から「消費税及び地方消費税確定申告書(控)」の提供を受け、一括比例配分方式を採用していることを確認し、移転に伴い負担することとなる消費税について、仕入れ控除が可能であることから、補償用課税売上割合により消費税額の一部を補償した。
(2)措置請求に関する区の見解
ア 補償根拠及び補償対象範囲について
請求人が説明を求めている補償根拠及び補償対象範囲は、上記(1)の「補償算定根拠等について」のとおりであり、本件契約の補償金「2,946 万 7,458円」は、補償基準に則り、適正に算定したものである。
また、請求人は、「宗教活動上使用される教職舎・仮住居の費用を公金で支払うことが正当化できるのか」と主張しているが、公共事業の施行に伴い移転を迫られる者に対する補償は、宗教法人であることをもって他の場合と異なる対応とし、憲法上の財産権を侵してよいとはならないため、補償基準に基づき算定された補償金の支払は適切である。
イ 公金の支出について
請求人は、「本件支出については、公金の使途制限を定めた憲法第 89 条
及び公益上必要のない公金支出を禁じた地方自治法第 232 条の2に抵触
している疑いが拭えず、その支出対象範囲の妥当性についても疑問が尽きない。自治体が本来負担すべきではない資金供与を行っている蓋然性が極めて高い」と主張しているが、本件支出は、本件法人が所有権を有する建物(荻外荘)を、区が取得することに伴い被る損失に対し、客観的基準(補償基準)により適正に算定した建物取得補償料、工作物等補償料、動産移転補償料、移転雑費補償料及び仮住居補償金を支払ったものである。
宗教法人に対する公金支出については、津地鎮祭訴訟や愛媛県靖国神社玉 串料訴訟において、「当該行為が宗教的意義をもつか、その効果が宗教に対 する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為に当たるか」とい う、いわゆる「目的効果基準」が示されているところ、本件支出はそのいず れにも該当するものではなく、相手方が宗教法人であるか否かにかかわらず、財産権に対する補償としてなすべき必要があるものであり、憲法第 89 条の
「宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため」及び地方自治法第 232 条の2の「寄附又は補助」に当たらず、「公益上必要のない公金支出」との主張に対しても、(仮称)荻外荘公園整備事業に必要不可欠な建物取得であることから、公益上必要な公金支出である。
第3 監査の結果
本件監査請求については、令和元年9月3日に監査委員4名(xxxx監査委員、xxxx監査委員、xxxx監査委員及びxxxx監査委員)の合議により、次のように決定した。
本件監査請求については、理由がないものと認められるので、これを棄却する。
2 本件建物の概要
(1)所 在
豊島区駒込七丁目 875 番地1
(2)家屋番号
875 番1の4
附属建物 符号3
(3)種 類
教職舎
(4)構 造
木造瓦葺xxx
(5)床面積(実測)
202.38 ㎡ ※公簿:202.32 ㎡
【内 訳】
ア 創建部分(昭和2年4月新築):186.51 ㎡イ 増築部分(昭和 19 年1月増築):2.49 ㎡ ウ 増築部分(昭和 35 年 12 月増築):13.38 ㎡
※ 建築年月日については、登記簿に記載がないことから、平成 25 年 10 月の「荻外荘移築部分建物調査及び耐震診断調査業務報告書」の記載等により認定したものである。
3 本件契約に至るまでの主な経緯等
(1)平成 25 年2月8日付けの不動産売買契約により、杉並区土地開発公社は、荻外荘及びその土地(6,156.09 ㎡)を取得した。
(2)平成 25 年3月1日に、区は、本件法人に対し、本件建物の移築に対する協力要請を行い、建物調査等を行うことについて、了解を得た。
(3)平成 25 年6月 28 日付けで、区は、「荻外荘移築部分建物調査及び耐震診断
調査業務委託契約」を締結し、同年 10 月に、「荻外荘移築部分建物調査及び耐震診断調査業務報告書」が提出された。
(4)平成 26 年1月 15 日付けで、区長は、都市計画法(昭和 43 年法律第 100 号)の規定により、次のとおり、東京都市計画緑地の変更について、告示を行った。
都市計画の種類及び名称 | 都市計画を定める土地の区域 |
東京都市計画緑地第 86 号 荻窪二丁目緑地 | 追加する部分 杉並区荻窪二丁目地内約 0.61ha |
(5)平成 26 年2月 19 日付けの不動産売買契約により、区は、荻外荘及びその土地(6,156.09 ㎡)を取得した。
(6)平成 27 年 11 月 20 日付けで、文化審議会から文部科学大臣に、「荻外荘(x
xxx旧宅)」の史跡指定について、答申が行われ、平成 28 年3月1日付けで、史跡に指定された。
(7)平成 27 年 12 月 22 日に、区は、本件法人に対し、補償算定のための建物調査に対する協力要請を行い、了解を得た。
(8)平成 28 年1月 14 日付けで、区は、「平成 27 年度建物等調査及び補償金算定業務委託契約」を締結し、同年3月に、「物件調査報告書」が提出された。
(9)その後、区は、本件法人に対し、補償に関する説明・交渉を行い、平成 28
年 11 月 22 日に、区から示された補償額で、本件建物を区に譲渡することについて、了解を得た。
(10)平成 28 年 12 月 26 日付けで、区と本件法人は、「天理教東京教務支庁に存する荻外荘の移築建物に関する覚書」を締結し、区が定める用地事務取扱要綱により適正に算定される補償の内容を基に、その補償金額及び譲渡の実施時期等を誠実に協議するものとし、協議の結果、合意した内容に基づいて、別途「合意書」を締結することとされた。
(11)区は、平成 29 年 12 月 12 日付けの都市整備部長決裁により、算定基準日を
同年 12 月1日として、補償額(2,946 万 7,458 円)を決定した。
(12)平成 29 年 12 月 18 日付けで、区は、本件法人に対し、補償額(2,946 万 7,458
円)を提示し、同年 12 月 26 日付けの承諾書を受領した。
(13)杉並区公有財産管理規則(昭和 39 年杉並区規則第 26 号。以下「公有財産管
理規則」という。)第 41 条の規定により、「財産の取得もしくは処分に関する価格または貸付料の決定に関しては、杉並区財産価格審議会(以下「財産価格審議会」という。)の議を経るものとする」とされていることから、区は、本件建物の買取価格について、平成 30 年1月 15 日開催の同審議会に、買取予定価格を「1,291 万 764 円(税抜きの建物取得補償料)」として諮問し、同日に、
「原案どおり適正な価格である旨決定する」旨の答申を受けた。
(14)平成 30 年7月 17 日開催の本件法人の責任役員会において、区と「建物取得補償契約」等を締結することについて、承認された。
(15)平成 30 年7月 18 日付けで、区と本件法人は、「建物取得補償契約」を締結し、本件建物の譲渡、物件の移転及びこれに伴い通常生じる損失の補償金(本件法人が負担することとなる消費税相当額を含む。)は「2,946 万 7,458 円(①建物取得補償料「1,394 万 3,625 円」、②工作物等補償料「44 万 2,940 円」、③動産移転補償料「85 万 3,908 円」、④移転雑費補償料「651 万 69 円」、⑤仮住
居補償金「771 万 6,916 円」)」、本件建物の引渡し期限は「平成 30 年9月 30
日」、補償金の支払期限は「本件建物の引渡し後、請求があった日から 30 日以内」とされた。
また、同日付けで、区と本件法人は、「天理教東京教務支庁に存する荻外荘の移築建物に関する合意書」を締結し、移築工事の実施時期について、工事着手は平成30 年10 月1日以降、工事完了の期限は平成31 年3月30 日とされた。
(16)平成 30 年9月 28 日付けで、区は、本件法人から、本件建物に存する物件(踏石、ガス湯沸器、壁付扇風機、電話設備、その他動産)の移転に関する「完了届」を受領し、同日付けで、本件建物の引渡しを受けた。
(17)平成 30 年 10 月 16 日付けで、区は、本件法人に、補償金(2,946 万 7,458円)を支出した。
4 判 断
1ページ及び2ページの「請求の概要」に記載したとおり、請求人は、本件支出については、公金の使途制限を定めた憲法第 89 条及び公益上必要のない公金
支出を禁じた地方自治法第 232 条の2に抵触している疑いが拭えず、また、その支出対象範囲の妥当性についても疑問が尽きないことなどから、自治体が本来負担すべきではない資金供与を行っている蓋然性は極めて高く、現状では「2,946万 7,458 円(区の支払額)」の過半がそうである可能性さえも否定できず、損害の回復が必要であるなどとして、説明責任を果たすとともに、財務会計上においても必要な措置を講ずるよう、区長に対して勧告することを求めている。
そこで、本件契約及びこれに基づく本件支出の違法性又は不当性の有無について、具体的には、①本件契約に基づく補償の対象範囲及び金額は適正なものであるか(論点1)、②憲法第 89 条に違反するか(論点2)及び③地方自治法第 232条の2に違反するか(論点3)について、以下判断する。
(1)本件契約に基づく補償の対象範囲及び金額は適正なものであるか(論点1)ア 本件契約に基づく補償の算定基準は適正なものであるか
本件補償は、補償算定基準日(平成 29 年 12 月1日)における補償基準及
びこれを補完する実施細目、算定要領及び単価表(以下「補償基準等」という。)に基づき算定されたものである。
まず、補償の必要性についてみると、本件においては、区が本件法人の所有する本件建物を取得するとともに、本件建物には居住者がおり、現に使用されていることなどから、本件建物の取得補償を行うとともに、仮住居、移転雑費等の補償を行う必要があると認められる。
そして、この場合の補償の算定基準に関する規定は、特段、設けられていないところであるが、区の用地事務取扱要綱第 13 条において、「建物その他の物件の評価又はその移転除去の補償料の算定は、xxxの「事業の施行に伴う損失補償基準」(昭和 38 年9月 30 日 38 財用評発第5号知事決裁)に準じて行い、総務部長の決裁を得なければならない」と規定されているとおり、事業用地の取得に伴う建物その他の物件の評価又はその移転除去の補償料
の算定は、補償基準に準じて行うこととされており、本件のように、事業用地の取得を伴わない事案についても、特段の差異を設ける必要性は認められず、同一の算定基準により補償を行うことが適切であり、また、同要綱に基づき補償料の算定を行うことについて本件法人と合意していることからすると、補償基準等に基づき本件補償の算定を行ったことは、相当であるというべきであり、かつ、公有財産管理規則の規定に基づき、財産価格審議会の議を経て建物取得補償料の額が決定されていることから、その手続面においても違法な点はなく、是認できるものである。
イ 算定基準(補償基準等)に基づき適正に算定されているか
上記のとおり、補償基準等に基づき補償料の算定を行うことは相当であると認められることから、補償基準等に基づき適正に算定されているか、以下、補償項目ごとに検討する。
(ア)建物取得補償料
建物等の取得に係る補償について、補償基準第15条によると、「取得する建物その他の土地に定着する物件に対する補償については、第1節に規定する土地の取得に係る補償の例による」とされている。
また、補償基準第16条によると、「近傍同種の建物その他の工作物の取引の事例がない場合においては、前条の規定にかかわらず、取得する建物その他の工作物に対して、当該建物その他の工作物の推定再建築費を、取得時までの経過年数及び維持保存の状況に応じて減価した額をもって補償するものとする」とされ、実施細目第4(補償基準第16条関係)によると、建物の取得補償額は、「延べ面積1㎡当たり推定再建築費×現価率×建物の延べ面積」により算定した額とされている。
本件においては、本件建物と同様の歴史的建物の取引事例がないことから、補償基準第16条により、次のとおり、推定再建築費に現価率を乗じて、算定されており、その歴史的価値については、評価の要素とされていない。
a 推定再建築費
単価表の「木造建物評価表」に基づき、延べ面積1㎡当たり「30 万 4,000 円」(純工事費(25 万 5,240 円)に諸経費(4 万 8,750 円)を加え
た額の 100 円未満を四捨五入した額)と算定されている。 b 現価率
算定要領の「木造建物現価率表」に基づき、①昭和2年新築部分(経過年数90 年)が「20%」、②昭和19 年増築部分(経過年数73 年)が「20%」、
③昭和 35 年増築部分(経過年数 57 年)が「34.9%」と、それぞれ算定されている。
c 補償料
(a)昭和2年新築部分
30 万 4,000 円×186.51 ㎡×0.2=1,133 万 9,808 円(A)
(b)昭和 19 年増築部分
30 万 4,000 円×2.49 ㎡×0.2=15 万 1,392 円(B)
(c)昭和 35 年増築部分
30 万 4,000 円×13.38 ㎡×0.349=141 万 9,564 円(C)
(d)消費税の税額
1,291 万 764 円(A+B+C)×0.08=103 万 2,861 円(D)合計:1,394 万 3,625 円(A+B+C+D)
以上のとおり、建物取得補償料は、補償基準等に基づき適正に算定されていることが認められる。
(イ)工作物等補償料
本件補償の対象となる工作物は、移設不可物件である玄関ポーチ土間
(縁石・コンクリート叩き・磁器質タイル)及びコンクリート叩き、移設可物件である踏石、ガス湯沸器、壁付扇風機及び電話設備である。
まず、移設不可物件については、先に述べた補償基準第16条により、次のとおり、新設費に算定要領の「工作物現価率表」の現価率(20%)を乗じて、算定されている。
a 玄関ポーチ土間(昭和 35 年 12 月設置、経過年数 57 年)
(a)縁石(10.51m)
84 万 8,003 円(純工事費(67 万 8,946 円)+諸経費(16 万 9,057円))×0.2=16 万 9,600 円
(b)コンクリート叩き(8.45 ㎡)
5 万 6,569 円(純工事費(4 万 5,292 円)+諸経費(1 万 1,277 円))
×0.2=1 万 1,313 円
(c)磁器質タイル(8.45 ㎡)
27 万 2,294 円(純工事費(21 万 8,010 円)+諸経費(5 万 4,284円))×0.2=5 万 4,458 円
小計:23 万 5,371 円(A)
b コンクリート叩き(昭和 35 年 12 月設置、経過年数 57 年)
3万550円(純工事費(2万4,460円)+諸経費(6,090円))×0.2=6,110円(B)
次に、移設可物件については、補償基準第28条によると、「土地等の取得又は土地等の使用に係る土地等に建物等で取得せず、又は使用しないものがあるときは、当該建物等を通常妥当と認められる移転先に、通常妥当と認められる移転方法によって移転するのに要する費用を補償するものとする」とされており、工作物の移設費として、補償されたものである。
また、算定要領によると、「電話、エアコン等の生活に密着した工作物で、仮住居等へ移転し、使用することが必要と認められるものについては、二度の移転に要する費用を補償できるものとする」とされており、ガス湯沸器、壁付扇風機及び電話設備については、二度の移転に要する費用として、補償されたものである。
なお、移設費は、単価表の「工作物標準移転費」で定める移設費及び諸経費率等により、算定されている。
a 踏石
4 万 4,089 円(純工事費(3 万 5,300 円)+諸経費(8,789 円)) b ガス湯沸器
7 万 6,688 円(純工事費(6 万 1,400 円)+諸経費(1 万 5,288 円)) c 壁付扇風機
5 万 6,205 円(純工事費(4 万 5,000 円)+諸経費(1 万 1,205 円)) d 電話設備
2 万 600 円(諸経費を含む金額)小計:19 万 7,582 円(C)
e 消費税相当額
本件法人は、一括比例配分方式を採用しており、仕入れ控除が可能であることから、次のとおり、消費税の税率に補償用課税売上割合による率を乗じて、消費税額の一部が補償されている。
C×0.08×補償用課税売上割合による率=3,877 円(D)合計:44 万 2,940 円(A+B+C+D)
以上のとおり、工作物等補償料は、補償基準等に基づき適正に算定されていることが認められる。
(ウ)動産移転補償料
動産の移転に係る補償について、補償基準第31条によると、「土地等の取得又は土地等の使用に伴い移転する動産に対する補償については、第28条第1項前段に規定する建物等の移転に係る補償の例による」とされ、補償基準第28条第1項前段によると、「土地等の取得又は土地等の使用に係る土地等に建物等で取得せず、又は使用しないものがあるときは、当該建物等を通常妥当と認められる移転先に、通常妥当と認められる移転方法によって移転するのに要する費用を補償するものとする」とされている。
また、実施細目第16(補償基準第31条関係)によると、住居用家財、店頭商品、事務用什器、その他の動産で普通引越荷物として取り扱うことが適当なものを「屋内動産」とされ、木材、薪炭、石炭、砂利、庭石、鉄鋼、据付けをしていない機械器具又は金庫その他の動産で、容積及び重量で台数積算を行うのが適当なものを「一般動産」とされている。
本件建物に存する動産については、屋内動産である住居用家財及び一般動産である金庫が本件補償の対象となり、工作物等補償料のガス湯沸器等と同様に、二度の移転に要する費用として、補償されたものである。
a 屋内動産(住居用家財)
算定要領の「屋内動産移転料標準単価表(時間制)」の(1)住居用家財の移転費に基づき、次のとおり、算定されている。
(a)25 ㎡以下の部分の補償額 12 万 8,200 円
(b)25 ㎡を超える部分の補償額 64 万 5,831 円小計:77 万 4,031 円(A)
b 一般動産(金庫(285 ㎏))
算定要領の「一般動産移転料標準単価表(距離制)」の(3)金庫移転費に基づき、次のとおり、算定されている。
3 万 1,720 円(200 ㎏以上 300 ㎏未満の単価)×2=6 万 3,440 円(B) c 消費税相当額
(A+B)×0.08×補償用課税売上割合による率=1 万 6,437 円(C)合計:85 万 3,908 円(A+B+C)
以上のとおり、動産移転補償料は、補償基準等に基づき適正に算定されていることが認められる。
(エ)移転雑費補償料
移転雑費に係る補償について、補償基準第37条第1項によると、「土地等の取得若しくは土地等の使用に伴い建物等を移転する場合又は従来の利用目的に供するために必要と認められる代替の土地等を取得し、若しくは使用する場合において、移転先又は特例代替地等の選定に要する費用、法令上の手続に要する費用、転居通知費、移転旅費その他の雑費を必要とするときは、通常これらに要する費用を補償するものとする」とされ、同条第2項によると、「前項の場合において、移転先等を必要とする者が就業できないときは、第44条、第47条及び第51条に規定するものを除き、それらの者が就業できないことにより通常生じる損失を補償するものとする」とされている。
本件補償においては、法令上の手続に要する費用(建築物等の建築等の確認に要する費用、建物の登記に要する費用、その他法令上の手続に要する費用、法令上の手続に要する交通費及び日当)、その他の雑費(建物の移転のための契約に要する費用、地鎮祭・上棟式・建築祝いの費用)及び就業できないことにより通常生じる損失が対象とされている。
a 法令上の手続に要する費用
(a)建築物等の建築等の確認に要する費用
① 建築物確認申請手数料
算定要領の「建築物確認申請手数料等」に基づき、次のとおり、算定されている。
4 万 2,000 円(床面積が 200 ㎡を超え 500 ㎡以内のものの手数料)
(A)
② 設計及び工事監理等に要する費用
実施細目第 22(補償基準第 37 条関係)で定める計算式(1時間当たりに要する人件費×設計及び工事監理等に要する業務量×2)により、次のとおり、算定されている。
なお、人件費及び業務量については、算定要領の「設計及び工事監理等に要する費用及び工作物確認申請業務報酬額」で定める単価等により、算定されている。
3,750 円×725 時間×2=543 万 7,500 円(B)
(b)建物の登記に要する費用
① 建物表示(変更)登記報酬額
算定要領の「建物表示登記等標準報酬額表」に基づき、次のとおり、算定されている。
3 万 3,280 円(C)
② 建物調査測量報酬額
算定要領の「建物調査測量標準報酬額表」に基づき、次のとおり、算定されている。
3 万円(床面積が 200 ㎡を超え 300 ㎡以下のものの報酬額)(D)
③ 建物所有権保存登記報酬額
算定要領の「建物所有権保存登記報酬額表」に基づき、次のとおり、算定されている。
1 万 5,520 円(課税標準が 1,000 万円までのものの報酬額)(E)
④ 登録免許税相当額
実施細目第 22(補償基準第 37 条関係)で定める計算式(建物の価額×登録免許税の税率(1,000 分の 4))により、次のとおり、算定されている。
なお、建物の価額については、算定要領の「東京法務局の認定価格(新築建物価格認定基準表)」に基づき、算定されている。
991 万 3,000 円(4 万 9,000 円×202.32 ㎡、1,000 円未満切捨て)
×4÷1,000=3 万 9,600 円(100 円未満切捨て)(F)
(c)その他法令上の手続に要する費用(証明手数料)
算定要領の「官公署に対する手数料等補償額表(対象地区:xx区)」に基づき、次のとおり、算定されている。
1,200 円(G)
(d)法令上の手続に要する交通費及び日当
算定要領の「法令上の手続に要する費用」に基づき、次のとおり、算定されている。
4,800 円×3日(※)=1 万 4,400 円(H)
※ 建物の登記(2日)+各種証明手続(1日) b その他の雑費
(a)建物の移転のための契約に要する費用(工事請負契約書に貼付する印紙代)
算定要領の「契約に係る印紙税額表」の(2)工事請負契約に基づき、次のとおり、算定されている。
1 万円(契約金額が 1,000 万円を超え 5,000 万円以下のものの金額)
(I)
(b)地鎮祭・上棟式・建築祝いの費用
算定要領の「地鎮祭・上棟式・建築祝いの費用」に基づき、次のとおり、算定されている。
30 万 1,400 円(建物の補償額が 1,000 万円以上 3,000 万円未満のものの金額)(J)
c 就業できないことにより通常生じる損失
実施細目第 22(補償基準第 37 条関係)によると、移転先等を必要とする者が就業できないときとは、「これらの者が移転先等選定、移転前後の動産の整理、転居、法令上の手続、移転工事監督その他の事由のため就業できなくなる場合をいう」とされており、当該規定で定める計算式(平均労働賃金×補償日数)により、次のとおり、算定されている。
なお、平均労働賃金については算定要領の「就業不能による日当相当額表」により、補償日数については算定要領の「補償日数内訳表」により、それぞれ算定されている。
2 万 5,100 円×19 日=47 万 6,900 円(K) d 消費税相当額
(B+C+D+E)×0.08×補償用課税売上割合による率=10 万8,269円(L)
合計:651 万 69 円(A+B+C+D+E+F+G+H+I+J+K+L)以上のとおり、移転雑費補償料は、補償基準等に基づき適正に算定され
ていることが認められる。
(オ)仮住居補償金
仮住居等に要する費用に係る補償について、補償基準第32条第1項によると、「土地等の取得若しくは土地等の使用に係る土地にある建物又は取得若しくは使用する建物に現に居住する者がある場合において、その者が仮住居を必要とするものと認められるときは、仮住居を新たに確保し、及び使用する際に通常要する費用を補償するものとする」とされており、仮住居建物の権利金等の一時金相当額(権利金(礼金)、敷金等一時金の運用益)及び家賃相当額が、本件補償の対象とされている。
まず、これらの補償料を算定するに当たり必要となる①権利金等・敷金等・家賃の比準額、②仮住居所要面積、③仮住居補償期間及び④年利率は、次のとおり、算定されている。
① 権利金等・敷金等・家賃の比準額(1㎡当たりの単価)
算定要領の「主要駅別家賃等の比準額表」に基づき、本件建物の最寄り駅であるJR山手線巣鴨駅の比準額(権利金等の比準額「5,300円」、敷金等の比準額「5,300円」、家賃の比準額「3,500円」)とされている。
② 仮住居所要面積
算定要領の「仮住居所要面積」(100㎡以下の部分は「100%」、100
㎡を超え160㎡以下の部分は「80%」、160㎡を超える部分は「50%」として算定することとされている)に基づき、次のとおり、算定されている。
100 ㎡+48 ㎡(60 ㎡×0.8)+21.19 ㎡(42.38 ㎡×0.5)=169.19 ㎡
③ 仮住居補償期間
算定要領の「建物の移転工法別標準工期表」の(1)木造建物標準工期表に基づき、次のとおり、算定されている。
なお、算定要領における解体工期は「0.5月」とされているが、本件においては、移築のための解体工事を行うものであることから、解体工期を「6か月」として算定されている。
前後の準備期間「0.5か月(0.25か月×2)」+区が行う解体工期「6か月」+純工期(再築期間)「5か月」=11.5か月
④ 年利率
算定要領で定める年利率である「1.2%」とされている。
次に、仮住居等に要する費用に係る補償として、権利金(礼金)、敷金等一時金の運用益及び家賃相当額の金額が、次のとおり、算定されている。
a 権利金(礼金)
算定要領で定める計算式(1㎡当たりの権利金等の比準額×仮住居所要面積)により、次のとおり、算定されている。
5,300円×169.19㎡=89万6,707円(A)
b 敷金等一時金の運用益
算定要領で定める計算式(1㎡当たりの敷金等の比準額×仮住居所要面積×年利率÷12×仮住居補償期間)により、次のとおり、算定されている。
5,300円×169.19㎡×0.012(年利率)÷12×11.5か月=1万312円(B) c 家賃相当額
算定要領で定める計算式(1㎡当たりの家賃の比準額×仮住居所要面積×仮住居補償期間)により、次のとおり、算定されている。
3,500円(月額)×169.19㎡×11.5か月=680万9,897円(C)合計:771 万 6,916 円(A+B+C)
以上のとおり、仮住居補償金は、補償基準等に基づき適正に算定されていることが認められる。
ウ まとめ
以上のとおり、本件補償は、補償算定基準日(平成 29 年 12 月1日)における補償基準等に基づき適正に算定されており、その対象範囲及び金額は適正なものであると認められる。
(2)憲法第 89 条に違反するか(論点2)
憲法第 89 条では、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」と規定されている。
この点につき、請求人は、憲法第 89 条は、宗教上の組織又は団体に対しては、その事業のいかんを問わず、公金を当該宗教上の組織又は団体の使用、便
益又は維持そのもののために支出することを禁じているのであり、本件支出については、公金の使途制限を定めた同条に抵触している疑いが拭えないなどと主張する。
しかしながら、憲法第 89 条は、宗教上の組織又は団体を他の一般の団体等よりも不利益に取り扱うべきことを要請するものではなく、一定の条件のもとにその目的のいかんを問わず誰もが享受することができる利益は、宗教上の組織又は団体にも付与されなければならないものである。
本件においては、宗教上の組織又は団体以外の団体等にも一律に適用される補償基準等に基づき適正に算定されたものであり、補償内容に補償基準等で定められていない項目が含まれているとか、補償基準等で定められた金額を超えて補償が行われているなどといった事情は一切うかがわれないことから、本件支出が、宗教法人たる本件法人に対して、特別に財政的援助を与えるものとして憲法第 89 条に違反するということはできない。
(3)地方自治法第 232 条の2に違反するか(論点3)
地方自治法第 232 条の2では、「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる」と規定されている。
この点につき、請求人は、本件支出について、公益上必要のない公金支出を禁じた地方自治法第 232 条の2に抵触している疑いが拭えないと主張するが、上記のとおり、本件支出は、区による本件建物の取得等に伴う補償のために行われたものであるから、そもそも同条の「寄附又は補助」に該当せず、同条は適用されないものと解される。
(4)まとめ
以上のとおり、本件補償は、補償算定基準日(平成 29 年 12 月1日)における補償基準等に基づき適正に算定され、また、建物取得補償料については、財産価格審議会の議を経て決定されたものであり、本件契約及びこれに基づく本件支出には、その内容面、手続面のいずれの点においても、何ら違法又は不当な点は認められない。
したがって、本件監査請求については、理由がないものと認められるので、これを棄却する。
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31 杉並第 25625 号令和元年8月5日
杉並区監査委員 様
xxxx xx x
(仮称)荻外荘公園整備事業に係る建物取得補償契約に関する住民監査請求に基づく監査の実施に伴う抗弁書の提出について
令和元年7月29日付31杉監査第203号により通知のあった標記の件について、別紙のとおり提出します。
1 荻外荘の移築建物を取得するに至った背景
平成 28 年(2016)3 月に国の史跡に指定された荻外荘(xxxx旧宅)は、内閣総理大臣を三度務めた政治家・xxxxが、昭和 12 年の第一次内閣期か
ら 20 年 12 月の自決に至る期間を過ごし、xx会談や荻外荘会談などが行われたxxxx史上重要な場所である。また、築地本願寺等の設計で知られる建築家・xxxxが設計した数少ない邸宅建築でもあるが、昭和 35 年には、荻外荘の東側部分の玄関、応接間、客間などがxx区の天理教東京教務支庁に移築された。
荻外荘については、xx区に移築された部分を荻窪の元の位置に再移築し、現在ある荻窪の建物と合わせ、重要な政治会談が行われた昭和 16 年頃の姿に復原することで、史跡としての価値をより一層高めることとなる。幸い、移築された建物は、重要な会談が行われた客間や応接間など往時の姿が奇跡的に残存していたため、これを杉並区が取得したものである。
2 建物取得の経過
(1)平成 25 年 3 月 1 日に区は天理教に対し、建物の移築に対する協力要請を行った。
また、その前段となる、建物の移築の可能性調査を行うため、立入調査への協力を求め調査に対する了解を得た。
(2)平成 25 年 7 月 22 日から 9 月 3 日の期間で、区は「荻外荘移築部分建物調査及び耐震診断調査業務」による現地調査を行った。
同年 10 月 31 日に、区は建物の保存状態、学識的価値に対する評価結果についての報告(「荻外荘移築部分建物調査及び耐震診断調査業務 報告書」)をとりまとめた。
(3)平成 25 年 11 月 29 日に、区は天理教に対し、建物の移築の可能性診断のための調査結果について報告し、建物の移築が可能である調査結果をもって正式に、建物の移築に対する協力要請を行った。
(4)平成 27 年 7 月、区が史跡指定候補として文化庁に意見具申していた「荻外荘(xxxx旧宅)」が、平成 27 年 11 月 20 日付けで史跡指定の答申がされた。
(5)平成 27 年 11 月 20 日付け、文化庁から史跡指定の答申を受け、都市計画
緑地の事業として整備することとし、同年 12 月 22 日、天理教に対し、建物の移築(譲渡)にあたっては、用地事務取扱要綱により算定された補償を行うことを伝え、補償算定のための建物調査への協力を求め調査に対する了解を得た。
(6)平成 28 年 2 月 8 日、補償算定のための建物調査をxx区にて実施し、平成 28 年 3 月 25 日補償算定結果をまとめた。
(7)平成 28 年 3 月 31 日から平成 28 年 11 月 11 日にかけて、天理教に対し補償説明を行い、平成 28 年 11 月 19 日に天理教東京教区から、同年同月 22 日に天理教本部から、それぞれ補償の考え方について了解され、用地事務取扱要綱により算定された補償をもって、区に譲渡することが決定された旨の報告を受けた。
(8)平成 28 年 12 月 26 日付けで、区と天理教は荻外荘の建物移築にあたり、
「天理教東京教務支庁に存する荻外荘の移築建物に関する覚書」を締結した。
(9)平成 29 年 12 月 12 日付け都市整備部長決裁で、算定基準日平成 29 年 12
月 1 日の補償額を決定した。
(10)平成 29 年 12 月 18 日付けで、天理教に対し損失補償協議書(補償額
29,467,458 円)を提示し、平成 29 年 12 月 26 日付けで、天理教より提示額にて建物を譲渡する旨の回答を得て「承諾書」を受領した。
(11)平成 30 年 1 月 15 日に開催した、平成 29 年度第3回杉並区財産価格審議会へ「xx区内に存する荻外荘の移築建物」の買収価格について諮問し、適正な価格である旨の答申を得た。
買収予定価格 12,910,764 円(建物取得補償料の税抜き価格)
(12)平成 30 年 7 月 17 日に開催した宗教法人「天理教」責任役員会において、天理教は「建物取得補償契約書」を締結することを決議した。
(13)平成 30 年 7 月 18 日付けで、区と天理教は「建物取得補償契約」及び「天理教東京教務支庁に存する荻外荘の移築建物に関する合意書」を締結した。
(14)平成 30 年 9 月 28 日に、区は建物取得補償契約書第 3 条に基づき現地調査を行い契約の履行を確認し、同日付けで、区は天理教より「完了届」を受領し引渡しを受けた。
(15)平成 30 年 10 月 16 日に、区は天理教に対し建物取得補償契約書第4条に基づく支払を行った。
(16)平成 30 年 10 月より、区は天理教の敷地において移築に伴う建物解体工
事に着手し、平成 31 年 3 月 15 日に解体工事を完了させ、同年同月 20 日に、天理教に対し土地を明け渡した。
3 補償算定根拠等について
(1)補償根拠について
本件建物の取得にあたっては、(仮称)荻外荘公園整備事業に必要な建物取得であり、当該建物には居住者がいることから、適正かつ客観的な移転補償が必要である。
区の用地事務取扱要綱第 13 条においては、用地取得に伴う建物その他の物件の評価及び補償料の算定については、「xxxの事業の施行に伴う損失補償基準」(以下「補償基準」という。)に準じて行うこととされており、本件のように、用地取得を伴わない事案についても、同一の算定基準により補償を行うことが適切であることから、xxxの補償基準に準じて算定を行った。算定の詳細については以下のとおりである。
なお、補償基準に対し、同基準を補完する「xxxの事業の施行に伴う損失補償基準実施細目」(以下「実施細目」という。)、「補償算定要領」及び「補償算定要領(補償標準単価表)」が定められていることからこれらも用いて補償算定を行った。
(2)補償算定についてア 建物取得補償料
補償基準第15条では、「取得する建物その他の土地に定着する物件(以下「建物等」という。)に対する補償については、第1節に規定する土地の取得に係る補償の例による。」とあり、正常な取引価格を基準とすることとされている。
本件については当該建物と同様な歴史的建物の取引事例が存しないことから、同第16条「近傍同種の建物その他の工作物の取引の事例がない場合においては、前条の規定にかかわらず、取得する建物その他の工作物に対して、当該建物その他の工作物の推定再建築費を、取得時までの経過年数及び維持保存の状況に応じて減価した額をもって補償するものとする。」に基づき、建物の推定再建築費に、経過年数に応じた減価(現価率)を乗じて建物取得補償料を算定した。
【取得対象物件】
所在地 xxxxxxxx 000 xx 0
家屋番号 875 番 1 の 4 附属建物 3種 類 教職舎
構 造 木造瓦葺平屋建
床面積 公簿 202.32 ㎡ 実床面積 202.38 ㎡
① 創建部分 昭和 2 年 4 月 29 日新築 床面積 186.51 ㎡
② 増築部分 昭和 19 年 1 月 増築 床面積 2.49 ㎡
③ 増築部分 昭和 35 年 12 月 増築 床面積 13.38 ㎡基準日 平成 29 年 12 月 1 日(補償算定日)
※ 当該建物は、875 番1の4の附属建物3として登記されているが、登記簿には建築年月日の記載がないことから、当該建物の建築年月日の認定にあたり「荻外荘移築部分建物調査及び耐震診断調査業務」(以下「報告書」という。)内の荻外xxxx報告書によって、建築年月日を認定した。
(ア) 推定再建築費
建物調査及び木造建物評価により推定再建築費 1 ㎡当たりの建築
単価を 304,000 円と認定した。
①推定再建築費 304,000 円/㎡× 186.51 ㎡= 56,699,040 円
②推定再建築費 304,000 円/㎡× 2.49 ㎡= 756,960 円
③推定再建築費 304,000 円/㎡× 13.38 ㎡= 4,067,520 円 (イ) 現価率
補償算定要領の木造建物現価率表により、次のとおり現価率を認定した。
①経過年数 | 90 年 | 現価率 | 20.0% |
②経過年数 | 73 年 | 現価率 | 20.0% |
③経過年数 | 57 年 | 現価率 | 34.9% |
(ウ) 補償料
①推定再建築費 56,699,040 円 ×20.0%= 11,339,808 円
②推定再建築費 756,960 円 ×20.0%= 151,392 円
③推定再建築費 4,067,520 円 ×34.9%= 1,419,564 円
(ウ)①+(ウ)②+(ウ)③= 12,910,764 円
消費税及び地方消費税(8%) 1,032,861 円合 計 13,943,625 円
イ 工作物等補償料
移設不可物件については補償基準第 16 条に基づき新設費に現価率を
乗じ、移設可能物件については補償基準第 28 条に基づき移設費を算出した。
当該箇所において補償対象とした工作物は、玄関ポーチ土間、踏石、コンクリート叩き、ガス湯沸器、壁付扇風機、電話設備であり、ガス湯沸器、壁付扇風機、電話設備については生活に密着した工作物で、仮住居等へ移転し使用することが必要と認められるため、二度の移転に要する費用を補償するものとした。
【補償算定】
(ア) 移設不可物件
①玄関ポーチ土間(昭和 35 年 12 月設置)縁石(自然石切石 150 mm×210 mm)
10.51m(0.96m+3.57m+4.11m+1.87m)
848,003 円 × 現価率 20% = 169,600 円
コンクリート叩き(厚さ 150 mm)8.45 ㎡ 56,569 円 × 現価率 20% = 11,313 円
磁器質タイル 8.45 ㎡
272,294 円 × 現価率 20% = 54,458 円
②コンクリート叩き(厚さ 60 mm)(昭和 35 年 12 月設置)13.44 ㎡ 30,550 円 × 現価率 20% = 6,110 円
(ア)小計 241,481 円
(イ) 移設可物件 | ||
①踏石 | 移設費 | 44,089 円 |
②ガス湯沸器(移設2回) | 移設費 | 76,688 円 |
③壁付扇風機(移設2回) | 移設費 | 56,205 円 |
④電話設備 (移設2回) | 移設費 | 20,600 円 |
(イ)小計 | 197,582 円 |
(ウ) 消費税及び地方消費税相当額補償分 3,877 円
・ 移設可物件については、上記(イ)小計の額に消費税及び地方消費税の税率を乗じた額に、補償用課税売上割合による率を乗じた額とした。
・ 移設不可物件については、対価補償で、移転に伴う負担が想定さ
れないことから、消費税及び地方消費税相当額補償分は不要とした。
工作物等補償料((ア)+(イ)+(ウ)) 442,940 円ウ 動産移転補償料
補償基準第31条「土地等の取得又は土地等の使用に伴い移転する動産
に対する補償については、第28条第1項前段に規定する建物等の移転に係る補償の例による。」に基づき、通常妥当と認められる移転先に、通常妥当と認められる移転方法によって移転するのに要する費用を補償するものである。
本件建物に存する動産については、建物内の屋内動産(住居用家財)、一般動産(金庫)を補償対象と判断し、各動産については、仮住居を経由し再建建物に移転する必要が生じるため、二度の移転に要する費用を補償するものとした。
【補償算定】
(ア) | 屋内動産(住居用家財) | ||
床面積が 25 ㎡以下の補償額 | 128,200 円 | ||
床面積が 25 ㎡を超える部分の補償額 | 645,831 円 | ||
(ア)小計 | = | 774,031 円 | |
(イ) | 一般動産(金庫:285Kg) | ||
31,720 円 × 2 回 | = | 63,440 円 | |
(ウ) | 消費税及び地方消費税相当額補償分 | 16,437 円 |
・ 上記(ア)と(イ)の合計額に消費税及び地方消費税の税率を乗じた額に、補償用課税売上割合による率を乗じた額とした。
動産移転補償料((ア)+(イ)+(ウ)) 853,908 円エ 移転雑費補償料
補償基準第 37 条に基づき、当該建物を区が取得することにより、天理教が通常生ずる損失として、法令上の手続に要する費用、移転旅費等その他の費用及び就業不能により通常生ずる損失を補償するものである。
(ア) 法令上の手続に要する費用
①建築物等の建築等の確認に要する費用
a 建築物確認申請手数料 b 設計及び工事監理等に要する費用 | 42,000 円 | |
人件費 3,750 円/1h×業務量 725 時間×2 | = | 5,437,500 円 |
②建物の登記に要する費用
a 表示または表示変更の登記報酬額 33,280 円
b 建物調査測量報酬額 30,000 円
c保存登記報酬額 15,520 円
d登録免許税相当額
課税標準価格 9,913 千円×4.0÷1000 ≒ 39,600 円
③その他の法令上の手続に要する費用(証明手数料) 1,200 円
④法令上の手続に要する交通費及び日当
4,800 円/人日 × 3 日分 = 14,400 円
(ア)小計 = 5,613,500 円
(イ)移転旅費等その他の費用
契約に要する印紙税額(工事請負契約用印紙代) 10,000 円
地鎮祭上棟式等の費用 301,400 円 (イ)小計 = 311,400 円
(ウ)就業不能により通常生ずる損失
移転の作業に従事する人件費相当額
(平均労働賃金 25,100 円×補償日数 19 日) 476,900 円
(エ)消費税及び地方消費税相当額補償分 108,269 円
・ 上記(ア)①b、②a、②b、②cの項目については、その合計額に消費税及び地方消費税の税率を乗じた額に、補償用課税売上割合による率を乗じた額とした。
・ 上記(ア)①b、②a、②b、②c以外の項目については、手数料等で消費税及び地方消費税が考慮されているため、消費税及び地方消費税相当額補償分は不要とした。
移転雑費補償料((ア)+(イ)+(ウ)+(エ)) 6,510,069 円オ 仮住居補償金
補償基準第 32 条に基づき、建物に居住する者の仮住居を新たに確保し、及び使用する際に通常要する費用を補償するものである。なお、仮住居等権利金・敷金・家賃の比準額、補償期間及び仮住居所要面積については、補償算定要領に基づき以下のとおり認定し算定した。
(ア)権利金・敷金・家賃の比準額
当該建物の近接駅が JR 山手線「巣鴨駅」であることから、補償算定要領「主要駅別家賃等の比準額表」の巣鴨の比準額(権利金・敷金等比準額 5,300 円/㎡、家賃の比準額 3,500 円/㎡)を認定した。
(イ)仮住居所要面積
仮住居所要面積については実施細目第 17 の規定で、建物の用途別に
適正に定めた面積を認定することから 169.19 ㎡と認定した。
床面積 100 ㎡まで 100% = 100 ㎡ 100 ㎡~160 ㎡の部分 80% = 48 ㎡
160 ㎡を超える部分 50% = 21.19 ㎡ 合計 169.19 ㎡
(ウ)仮住居等補償期間
補償期間は、移転前後の準備期間(0.25 箇月×前後2)に区が行う解体工期(6箇月)と純工期(再築期間5箇月)を加えた 11.5 箇月と認定した。
なお、補償算定要領による解体工期は「0.5 箇月」であるが、区は移築のための解体を行うことから建材の調査・梱包を要する解体工事となり、6 箇月の工期を必要としたものである。
(エ) 敷金等一時金の運用益(年利率)
年利率は補償算定要領により「1.2%」とした。
①権利金(礼金) 5,300 円×169.19 ㎡=896,707 円
②敷金等一時金の運用益
5,300 円×169.19 ㎡×1.2%/12×11.5=10,312 円
③家賃相当額 3,500 円×169.19 ㎡×11.5=6,809,897 円
仮住居補償金(①+②+③) 7,716,916 円カ 消費税の補償について
建物取得費については、消費税課税業者の対価が伴う資産の譲渡であることから消費税及び地方消費税(8%)を補償(負担)した。
消費税相当額の補償にあたっては、当該法人(天理教)から「消費税及び地方消費税確定申告書(控)」の提供を受け、一括比例配分方式を採用していることを確認し、移転に伴い負担することとなる消費税について、仕入れ控除が可能であることから、課税売上割合により消費税及び地方消費税相当額の一部を補償した。
(3)本件建物の取得にあたり締結した書面について
本件建物の取得にあたっては、覚書・合意書・契約書の 3 書面により、区と天理教は合意事項の確認を行い、区は契約(建物の取得)に至った。書面の作成にあたっては、合意確認される内容を考慮し、双方協議の上
で作成したものである。
なお、本件契約にあたり、建物売買契約とせず建物取得補償契約としたことに関しては、本件建物の取得費用(建物取得価格)の算出にあたり、
補償基準に基づき算出していること並びに、建物取得契約及び建物取得に伴う損失補償を一つの契約書によって行っていることから、建物取得補償契約としたものであり、契約の相手方の債務等を補償する補償契約とは異なるものである。
(4)補償額決定に対する区の意思決定
(2)で算定を行った補償費については、用地事務取扱要綱第 13 条の規
定により平成 29 年 12 月 12 日付け、29 杉並第 47178 号で都市整備部長の決裁を受け決定している。
また、(2)ア 建物取得補償料については、杉並区公有財産管理規則第 41条の規定により平成 30 年 1 月 15 日開催の杉並区財産価格審議会に諮問し、適正な価格であるとの答申を得ている。
4 措置請求に関する区の見解
(1)補償根拠や補償対象範囲について
請求人が、職員措置請求書(6)のなかで求める補償根拠や補償対象範囲は、前段のとおりであり、平成 30 年 7 月 18 日付xx経契第 30002 号で「天
理教」と締結した「建物取得補償契約書」記載の補償金 29,467,458 円に対する補償料算定は、補償基準に則り、適正に算定したものである。
また、職員措置請求書(6)①のなかで「宗教活動上使用される教職舎・仮住居の費用を公金で支払うことが正当化できるのか」と主張しているが、公共事業の施行に伴い移転を迫られる者に対する補償は、宗教法人であることをもって他の場合と異なる対応とし、憲法上の財産権を侵してよいとはならないため、補償基準に基づき算定された補償の支払いは適切である。
(2)公金の支出について
請求人が、職員措置請求書(7)のなかで、「本件公金支出については、公金の使途制限を定めた憲法89 条及び公益上必要のない公金支出を禁じ
た地方自治法 232 条の2に抵触している疑いが拭えず、その支出対象範囲の妥当性についても疑問が尽きない、自治体が本来負担すべきでない資金供与を行っている蓋然性が極めて高い」と主張しているが、本件公金支出は、宗教法人天理教が所有権を有する建物(荻外荘)を、区が取得することに伴い宗教法人が被る損失に対し、客観的基準(補償基準)により適正に算定した建物取得補償料、工作物等補償料、動産移転補償料、移転雑費補償料及び
仮住居補償金を支払ったものである。
宗教法人に対する公金支出については、津地鎮祭訴訟や愛媛県靖国神社玉串料訴訟において、「当該行為が宗教的意義をもつか、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為にあたるか」という、いわゆる目的効果基準が示されているところ、本件支出はそのいずれにも該当するものではなく、相手方が宗教法人であるか否かに関わらず、財産権に対する補償としてなすべき必要があるものであり、請求人の主張する憲法 89 条「宗教上の組織若しくは団体の使用、便益もしくは維持のため」及び地方自治法 232 条の2「寄附又は補助」に当たらず、「公益上必要のない公金支出」との請求人の主張に対しても、
(仮称)荻外荘公園整備事業に必要不可欠な建物取得であることから公益上必要な公金支出である。
5 その他
公共用地の取得に伴う損失補償について
日本国憲法第 29 条第3項は「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる」と定め、公共のために必要がある場合は、正当な補償の基に私有財産を収用できる旨規定している。
また、公共用地の取得に伴う損失補償にあたっては、昭和 37 年6月 29 日に「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」が閣議決定され、これをもって土地収用法その他の法律により土地等を収用し、又は使用することが出来る事業の円滑な遂行と、損失の適正な補償の確保が図られている。
資 料
用地事務取扱要綱
昭和44年7月3日xx経発第588号
改正 | 昭和46年7月5日xx経発第616号 | 昭和51年6月30日xx経発第378号 |
平成3年4月1日xx経発第235号 | 平成5年4月1日xx経発第2613号 | |
平成11年3月5日xx経発第874号 | 平成13年3月28日xx経発第964号 | |
平成23年12月19日杉並第48411号 | 平成24年3月19日杉並第65940号 | |
平成26年1月15日杉並第52484号 |
第1章 総則
(目的)
第1条 この要綱は、用地事務の取扱いを定め、その円滑な執行を図ることを目的とする。
(用地情報の処理)
第2条 請願・陳情又は民間情報等による用地情報の取り扱いについては、「未利用国有地及び民有地に係る情報提供等への今後の対応について」(平成22年9月28日政策調整会議60号)の方針に基づき取り扱うものとする。
(用地事務)
第3条 この要綱において、用地事務とは次の各号に掲げる事務で、総務部経理課がこれを処理する。
(1) 用地に関する調査および情報の収集、管理
(2) 事業用地の買収(借地買収を含む。)、交換及び借地権の取得、更改に伴う折衝、調査、測量、協議、契約の締結、登記及び支払いに関する事務
(3) 取得処分に伴う土地、建物及び借地xxの評価事務
(4) 建物その他の物件の移転除却に伴う補償料の算定事務
(5) 土地収用法(昭和26年法律第219号)に基づく事業認定申請及び租税特別措置法(昭和32年法律第26号)に基づく課税の特例に関する事前協議に関する事務
(折衝相手の制限)
第4条 用地事務を行うにあたり土地所有者、借地権者、建物所有者、借家人その他正当な権利を有する者又はその委任を受けたもの(以下「権利者等」という。)以外のものと折衝し、又は折衝に応じてはならない。
第2章 用地取得計画
(用地取得計画の作成)
第5条 政策経営部長は、必要に応じ実施計画等に基づき杉並区用地取得計画を作成するものとする。
(用地取得依頼等)
第6条 事務事業を所管する部局の長は、用地取得計画に基づく用地の買収、交換及び借地権の取得
(以下「用地買収」という。)のうち、総務部経理課の所管する用地買収については、用地取得依頼若しくは予算の執行委任を行わなければならない。なお、事業計画に変更のあったときも同様とする。
(用地担当者の指名)
第7条 第2条に基づき折衝することが決定した用地について、経理課長は当該用地の買収を進めるため、事案ごとに用地買収担当者(以下「用地担当者」という。)を指名する。
(用地担当者の職務)
第8条 用地担当者は上司の命を受け、折衝を円滑かつ明確に行うとともに、進捗の状況を常時上司に報告し、その完結に至るまでの経過を「買収処理経過調書」に記録しなければならない。
第3章 用地取得
(現地調査)
第9条 用地担当者は、用地買収折衝にあたっては、地形、道路等の現状について必要な調査を行わなければならない。
2 移転補償を必要とする地上物件については、補償の算定に必要な資料として写真撮影をしておくものとする。
(登記簿等の調査)
第10条 用地担当者は、所管法務局出張所において、公図、登記簿により、所有関係、抵当xxの有無その他用地に関するかxx有無を調査し、かxxあるときは上司に報告するとともに、買収折衝の進捗に応じて、その是正を求めなければならない。
(近隣・類似取引事例地等の調査)
第11条 用地担当者は土地、建物及び借地権の評価について、次に掲げる事項で、必要な資料の収集整備に努めるものとする。
(1) 固定資産税課税標準額
(2) 相続税課税標準額
(3) 近隣及び類似の取引事例
(4) 民間精通者価格及び世評価格
(5) 前各号のほか、評価上特に必要な事項
(6) 建物、その他の再取得価格等の同業種の営業所製造所への照会
2 経理課長は、土地建物及び借地権の評価のため必要があると認めるときは、不動産鑑定士の鑑定に付することができる。
(土地の評価)
第12条 用地担当者は、前3条の各調査に基づき「土地評価調書」を作成し、総務部長の決裁を得なければならない。
2 前項の評価にあたっては、別に定める「土地評価事務処理要領」に基づき評価するものとする。
(建物その他物件の評価及び補償料の算定)
第13条 建物その他の物件の評価又はその移転除去の補償料の算定は、xxxの「事業の施行に伴う損失補償基準」(昭和38年9月30日38財用評発第5号知事決裁)に準じて行い、総務部長の決裁を得なければならない。
(買収協議)
第14条 用地担当者は、第12条及び第13条の規定により評価、算定した評価格及び補償料をもとに、経理課長の指示を受け、権利者等と買収価格および物件移転補償料等の協議(以下「買収協議」という。)を行わなければならない。
2 前項の買収協議に際しては、用地の買収、物件の移転及び権利者等の立ち退きについて、土地の所有者、物件の所有者及びその他権利者に対し同時に承諾を得るよう協議をするものとする。
3 買収協議が成立したときは、権利者等から承諾書を徴するものとする。
(買収協議不調の場合の措置)
第15条 用地担当者は、前条による協議を重ねた結果、容易に協議が成立し難いと判断したとき、経理課長にその旨を報告しなければならない。
2 経理課長は前項の報告を受けたとき、総務部長の指示を受け、再評価の手続を用地担当者に命じ、または買収取りやめについて当該所管部局と協議しなければならない。
(再評価)
第16条 用地担当者は、経理課長の指示により権利者等との買収協議の経過、権利者等の主張する価格、あるいは提示する近隣類似地の取引事例を検討し、客観的経済要因による物価変動等により修正をするときは、再評価をする。
(土地収用等の手続)
第17条 経理課長は、土地収用法等を適用するとき、当該所管部局に対し、事業認定手続等に要する資料の提出を求めるものとする。
2 用地担当者は、所管部局から資料の送付を受け、事業認定申請等とその後の事務を行う。
(測量等の通知)
第18条 買収地の面積及び土地境界を確定させるため、測量又は測量の調査を行うものとする。
2 用地担当者は、測量又は測量の調査を行う場合、他人の土地に立ち入る必要があるときは、あらかじめ、立入場所、日時及びその他必要な事項を所有者に通知し、その承諾を得るものとする。
(境界の立会)
第19条 用地担当者は、測量を行うため、あらかじめ測量を行う場所の境界を確定する必要のあるときは、隣接地の所有者と協議をしなければならない。
2 前項の協議を行う場合は、あらかじめ隣接地の所有者に対し、立会の日時場所等を通知をしなければならない。
(契約締結についての手続)
第20条 用地担当者は、第14条の買収協議の結果、協議が成立する見とおしが得られたときは、財産価格審議会の答申を受け、契約の締結について手続をとらなければならない。
2 前項の契約の締結についての決裁には、土地売買契約書案及び物件移転補償契約書案、登記嘱託書、登記承諾書のほか、必要な関係書類を添付しなければならない。
(前提登記)
第21条 用地担当者は、必要に応じて、分筆、合筆、地積更正、相続、抵当権の抹消等の前提登記の手続きを権利者等に求めなければならない。
(契約の締結)
第22条 用地担当者は、土地売買契約等の締結にあたっては、権利者等に直接面接して、土地売買契約書、物件移転補償契約書、登記承諾書等に押印を求め、契約書についてはその1通を権利者等に手交するものとする。
(登記の嘱託)
第23条 用地担当者は、所管法務局出張所に出張し、登記簿を閲覧して一切のかxx有無を再調査のうえ、土地所有権移転登記嘱託書に登記承諾書を添付して提出しなければならない。
(登記完了の復命)
第24条 用地担当者は、登記の完了後xxxxに登記簿謄本及び登記済証を添付して上司に復命しなければならない。
(支払)
第25条 経理課長は、土地売買代金又は移転補償料等の支出について、杉並区会計事務規則及び杉並区公有財産管理規則(昭和39年規則第26号)の定めるところにより、権利者等の請求に基づき支出命令の手続きをとらなければならない。
(買収用地の引継)
第26条 経理課長は、前条の土地売買代金等支払い後、当該部局に杉並区公有財産管理規則第10条の規定によりその用地引継ぎ手続をとらなければならない。
2 経理課長は、取得した用地について必要があると認めるときは、囲障等を設置のうえ引継ぐものとする。
3 前2項の引継ぎは、当該所管部局の立会のうえ、現地で行うものとする。第4章 特例
(用地事務の特例)
第27条 第3条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事務は当分の間当該事業を所管する部局が処理する。
(1) 借地権の取得、現借地の更改に伴う調査、測量、協議、契約の締結、登記及び支払に関する事務
(2) 都市整備部に属する用地の買収、それに伴う土地収用等の手続き、調査、測量、協議、契約の締結、登記、支払に関する事務
(規定の準用)
第28条 前条に定める事務の処理は、この要綱を準用するものとする。この場合において、総務部長または経理課長とあるときは、当該所管部局の長または課長とそれぞれ読み替えるものとする。
(評価及び補償料の算定依頼)
第29条 各所管部局の長は、第27条(1)及び(2)に定める用地事務に要する土地、建物その他物件の評価及び移転除去の補償料の算定を総務部長に依頼するときは、公図の写しその他評価及び補償料の算定に要する資料を送付するものとする。
(完了後の処置)
第30条 各所管部局の長は、第27条に定める事務が完了したとき、引継ぎの手続きを要するものについては、経理課長に、契約書の写し、登記簿謄本、登記済証、公図の写し、案内図、実測図を送付
し、第26条に定める引継ぎを受けなければならない。
(この要綱により難い場合の措置)
第31条 この要綱に定めのない事項またはこの要綱により難い特別の理由のあるときは、総務部長の指示を受けて特別な措置をとることができる。
附則及び様式(省略)
京 | 都 | の | 事 | 業 | の | 施 | 行 | |
に | 伴 | う | 損 | 失 | 補 | 償 | 基 | 準 |
x x x
目 次
第1章 総則(第 1 条~第7条)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 1 | |
第2章 土地等の取得に係る補償・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 2 | |
第1節 土地の取得に係る補償(第8条~第 10 条)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 2 | |
第2節 土地に関する所有権以外の権利の消滅に係る補償(第 11 条~第 14 条)・・・・・・・ | 3 | |
第3節 建物、土石砂れき、漁業xxの取得又は消滅に係る補償(第 15 条~第 23 条)・・ | 4 | |
第3章 土地等の使用に係る補償(第 24 条~第 27 条)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 6 | |
第4章 土地等の取得又は土地等の使用により通常生じる損失の補償・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 7 | |
第1節 移転料等(第 28 条~第 37 条)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 7 | |
第2節 xx補償(第 38 条~第 42 条の2)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 9 | |
第3節 営業補償(第 43 条~第 45 条)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 11 | |
第4節 農業補償(第 46 条~第 49 条)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 12 | |
第5節 漁業権の消滅又は制限により通常生じる損失の補償(第 50 条~第 52 条)・・・・・・・ | 13 | |
第6節 | 残地等に関する損失の補償(第 53 条~第 54 条の2)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 14 |
第7節 | その他通常生じる損失の補償(第 55 条~第 59 条)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 15 |
第5章 | 土地等の取得又は土地等の使用に伴うその他の措置(第 60 条~第 62 条)・・・・・・・・・・ | 16 |
第6章 | 事業の認定を受けた起業地に係る補償(第 63 条)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 17 |
附 則 | ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 17 |
第 1 章 x x
(目 的)
第1条 この基準は、xxxの事業に必要な土地等の取得又は土地等の使用に伴う損失の補償の基準を定め、もって事業の円滑な遂行と損失の適正な補償の確保を図ることを目的とする。
(定 義 等)
第2条 この基準において「土地等」とは、土地、土地収用法(昭和 26 年法律第 219 号)第5条に掲げる権利、同法第6条に掲げるxx、建物その他土地に定着する物件及び同法第7条に掲げる土石砂れきをいう。
2 この基準において「土地等の取得」とは、前項に掲げる土地、物件及び土石砂れきの取得並びに同項に掲げる権利の消滅をいう。
3 この基準において「土地等の使用」とは、第1項に掲げる土地及び物件の使用並びに同項に掲げる権利の制限をいう。
4 この基準において「土地等の権利者」とは、土地等の取得又は土地等の使用に係る土地等に関して権利を有する者、第1項に掲げる土石砂れきの属する土地に関して権利を有する者及び当該土地、当該権利の目的となっている土地又は当該土石砂れきの属する土地にある物件に関して権利を有する者をいう。
5 この基準において「権利」とは、社会通念上権利と認められる程度にまで成熟した慣習上の利益を含むものとする。
(補償額算定の時期)
第3条 土地等の取得又は土地等の使用に係る補償額は、契約締結の時の価格によって算定するものとし、その後の価格の変動による差額については、追加払いしないものとする。
(補償を受ける者)
第4条 損失の補償は、第5章に規定する場合を除き、土地等の権利者(建物の区分所有等に関する法律(昭和 37 年法律第 69 号)の適用のある建物(以下「区分所有建物」という。)の管理組合等の共有に係る土地等の権利者の団体で、代表者の定めがあるものを含む。)に対してするものとする。
(個別払いの原則)
第5条 損失の補償は、各人別にするものとする。ただし、各人別に見積ることが困難であるときはこの限りでない。
(損失補償の方法)
第6条 損失の補償は、原則として、金銭をもってするものとする。
2 土地等の権利者が金銭に代えて土地又は建物の提供、耕地又は宅地の造成その他金銭以外の方法による給付を要求した場合において、その要求が相当であり、かつ、真にやむを得ないものであると認められるときは、事情の許す限り、これらの給付を行うよう努めるものとする。
(特殊な土地に対する損失の補償)
第7条 文化財保護法(昭和 25 年法律第 214 号)等により指定された特殊な土地等の取得又は土地等の使用の場合において、この基準の規定によることが困難なときは、その実情に応じて適正に補償するものとする。
第2章 土地等の取得に係る補償
第1節 土地の取得に係る補償
(土地の補償額算定の基本原則)
第8条 取得する土地(土地の附加物を含む。以下同じ。)に対しては、正常な取引価格をもって補償するものとする。
2 前項の場合において、当該土地に建物その他の物件があるときは、当該物件がないものとしての当該土地の正常な取引価格によるものとする。
3 第1項の場合において、土地を取得する事業の施行が予定されることによって当該土地の取引価格が低下したと認められるときは、当該事業の影響がないものとしての当該土地の正常な取引価格によるものとする。
(土地の正常な取引価格)
第9条 前条の正常な取引価格は、近傍類地(近傍地及び類地を含む。以下同じ。)の取引価格を基準とし、これらの土地及び取得する土地について、次の各号に掲げる土地価格形成上の諸要素を総合的に比較考量して算定するものとする。
一 宅 地 形状、地積等画地の状態、街路の状態、交通施設、公共的施設等との接近の程度、供給・処理施設等の整備の状態、土地の利用に関する公法上の規制の程度、自然的環境等
二 農 地 地味、水利、消費地との距離、その他の農業立地条件、収益性等
x x 地 土質、地勢、消費地との距離、林道等の整備の状態、その他の林業立地条件、収益性等
四 その他の土地 当該土地の種別に応じて必要と認められるもの
2 前項の場合において基準とすべき近傍類地の取引価格については、取引が行われた事情、時期等に応じて適正な補正を加えるものとする。
3 地代、小作料、借賃等の収益を資本還元した額、土地所有者が当該土地を取得するために支払った金額、改良又は保全のために投じた金額及び課税の場合の評価額は、第 1 項の規定により正常な取引価格を定める場合において、参考となるものとする。
4 第1項の規定により正常な取引価格を定める場合においては、一般の取引における通常の利用方法に従って利用することができるものとして評価するものとし、土地所有者がその土地に対して有する
主観的な感情価値及び土地所有者又は特定の第三者がその土地を特別の用途に用いることを前提として生じる価値は、考慮しないものとする。
(地価の公示区域における土地の正常な取引価格算定の準則)
第9条の2 地価公示法(昭和 44 年法律第 49 号)第2条第1項の公示区域内の土地を取得する場合において、前条の規定により当該土地の正常な取引価格を決定するときは、同法第6条の規定により公示された標準地の価格を規準とする。
(所有権以外の権利の目的となっている土地に対する補償)
第10条 土地に関する所有権以外の権利の目的となっている土地に対しては、当該権利がないものとして前3条の規定により算定した額から次節の規定により算定した当該権利の価格を控除した額をもって補償するものとする。
第2節 土地に関する所有権以外の権利の消滅に係る補償
(土地に関する所有権以外の権利の補償額算定の基本原則)
第11条 消滅させる土地に関する所有権以外の権利に対しては、正常な取引価格(一般的に譲渡性のないものについては、土地の正常な取引における当該権利の有無による土地の価格の差額)をもって補償するものとする。
2 第8条第3項の規定は、前項の場合について準用する。
(地上権、永xxx及び賃借権の正常な取引価格)
第12条 地上権、永xxx又は賃借権に係る前条の正常な取引価格は、近傍類地に関する同種の権利の取引価格を基準とし、当該同種の権利の目的となっている土地及び消滅させる権利の目的となっている土地の価格並びに当該同種の権利及び消滅させる権利に係る地代、小作料又は借賃、権利金、権利の存続期間その他の契約内容、収益性、使用の態様等を総合的に比較考量して算定するものとする。
2 第9条第2項から第4項までの規定は、前項の規定により地上権、永xxx又は賃借権の正常な取引価格を定める場合について準用する。
(使用貸借による権利に対する補償)
第13条 使用貸借による権利に対しては、当該権利が賃借権であるものとして前条の規定に準じて算定した正常な取引価格に、当該権利が設定された事情並びに返還の時期、使用及び収益の目的その他の契約内容、使用及び収益の状況等を考慮して適正に定めた割合を乗じて得た額をもって補償するものとする。
(占 有 権)
第14条 占有権に対しては、補償しないものとする。
第3節 建物、土石砂れき、漁業xxの取得又は消滅に係る補償
(建物等の取得に係る補償の基本原則)
第15条 取得する建物その他の土地に定着する物件(以下「建物等」という。)に対する補償については、第1節に規定する土地の取得に係る補償の例による。
(建物その他の工作物の取得に係る補償)
第16条 近傍同種の建物その他の工作物の取引の事例がない場合においては、前条の規定にかかわらず、取得する建物その他の工作物に対して、当該建物その他の工作物の推定再建築費を、取得時までの経過年数及び維持保存の状況に応じて減価した額をもって補償するものとする。
(xxの取得に係る補償)
第17条 近傍同種のxxの取引の事例がない場合においては、第15条の規定にかかわらず、取得するxxに対して、次の各号に掲げる額をもって補償するものとする。
一 用材林のxxであって、伐期未到達のもので市場価格のあるものについては、伐期における当該xxの価格の前価額と現在から伐期までの純収益(粗収入から経営費(自家労働の評価額を含む。)を控除した額をいう。以下同じ。)の前価合計額との合計額
二 用材林のxxであって、伐期未到達のもので市場価格のないものについては、第39条第1項第
2号ア又はイによる額
三 薪炭林のxxの幹及び枝条部であって、伐期未到達のもので市場価格のあるものについては、伐期における当該幹及び枝条部の価格の前価額と現在から伐期までの純収益の前価合計額との合計額
四 薪炭林のxxの幹及び枝条部であって、伐期未到達のもので市場価格のないものについては、第
40条第1項第2号ア又はイによる額
五 薪炭林の台木については、第40条第1項第3号による額
六 果樹等の収穫樹については、第41条第2項第1号又は第2号による額七 xxについては、当該xxの平均年間純収益を資本還元した額
2 事業に必要な場合のほか、次の各号に定める場合においては取得又は使用する土地に存するxxを取得することができるものとする。
一 土砂の流出、崩壊等を防止するため、土地を事業の用に供するまでの間、xxを残存させることが適当であると認められる場合
二 土地が事業の用に供されるまでに相当な期間があるため、xxを移転することにより当該土地の維持管理に相当の費用が必要となると見込まれる場合
三 用材林又は薪炭林のxx(天然生林を除く。)であって、当該xxに通常必要とされる管理が適正に行われていないと認められる場合
3 前項第3号に定める場合に該当するときは、第 1 項第 1 号から第5号までに掲げる額を、当該xxの管理の状況に応じて減価した額をもって補償するものとする。
(建物等に関する所有権以外の権利の消滅に係る補償)
第18条 消滅させる建物等に関する所有権以外の権利に対する補償については、前節に規定する土地に関する所有権以外の権利の消滅に係る補償の例による。
(xxxxxの取得に係る補償)
第19条 取得する土地収用法第7条に掲げる土石砂れきに対しては、正常な取引価格をもって補償するものとする。
2 前項の正常な取引価格は、近傍類地に属する土石砂れきの取引価格を基準とし、これらの土石砂れき及び取得する土石砂れきの品質その他一般の取引における価格形成上の諸要素を総合的に比較考量して算定するものとする。
(漁業xxの消滅に係る補償)
第20条 消滅させる漁業権、入漁権その他漁業に関する権利(以下「漁業xx」という。)に対しては、当該権利を行使することによって得られる平年の純収益を資本還元した額を基準とし、当該権利に係る水産資源の将来性等を考慮して算定した額をもって補償するものとする。
(鉱業権、租鉱権又は採石権の消滅に係る補償)
第21条 消滅させる鉱業権、租鉱権又は採石権に対しては、正常な取引価格をもって補償するものとする。
2 近傍同種の鉱業権、租鉱権又は採石権の取引の事例がない場合においては、前項の規定にかかわらず、消滅させる鉱業権、租鉱権又は採石権に対して、当該権利の態様及び収益性並びに当該権利の取得に関して要した費用等を考慮して算定した額をもって補償するものとする。
(温泉利用権の消滅に係る補償)
第22条 消滅させる温泉利用権に対しては、正常な取引価格をもって補償するものとする。
2 近傍類似の温泉利用権の取引の事例がない場合においては、前項の規定にかかわらず、消滅させる温泉利用権に対して、次の各号に掲げる額をもって補償するものとする。
一 源泉に関する権利については、固定資産評価基準(昭和 38 年 12 月 25 日自治省告示第 158 号)に定める鉱泉地の基本価格に同基準に定めるゆう出量指数及び温泉地指数のそれぞれを乗じて得た価格をもとに、当該鉱泉地の立地条件等を考慮して適正に算定した額。ただし、分湯している場合においては、次号に掲げる額を控除するものとする。
二 分湯された権利については、前号の評価額を基準として分湯量の割合及び分湯条件等を考慮して適正に算定した額
三 未利用の温泉利用権であって、将来利用される見込みがあり、かつ、その収益が不確定なものについては、その温泉利用権に関し投下された適正な費用を現価に換算した額
(水を利用する権利等の消滅に係る補償)
第23条 消滅させる河川の敷地若しくは流水又は海水その他の水を利用する権利に対しては、当該権利の態様及び収益性、当該権利の取得に関して要した費用等を考慮して適正に算定した額をもって補償するものとする。
第3章 土地等の使用に係る補償
(土地の使用に係る補償)
第24条 使用する土地(空間又は地下のみを使用する場合における当該土地を除く。以下この条において同じ。)に対しては、正常な地代又は借賃をもって補償するものとする。
2 第8条第3項の規定は、前項の規定により正常な地代又は借賃を定める場合について準用する。
3 第1項の正常な地代又は借賃は、使用する土地及び近傍類地の地代又は借賃に、これらの土地の使用に関する契約が締結された事情及び時期等並びに権利の設定の対価を支払っている場合においては、その額を考慮して適正な補正を加えた額を基準とし、これらの土地の第9条の規定により算定した正常な取引価格、収益性、使用の態様等を総合的に比較考量して算定するものとする。
(空間又は地下の使用に係る補償)
第25条 空間又は地下の使用に対しては、前条の規定により算定した額に、土地の利用が妨げられる程度に応じて適正に定めた割合を乗じて得た額をもって補償するものとする。
2 前項の場合において、当該空間又は地下の使用が長期にわたるときは、同項の規定にかかわらず、第9条の規定により算定した当該土地の正常な取引価格に相当する額に、当該土地の利用が妨げられる程度に応じて適正に定めた割合を乗じて得た額を一時払いとして補償することができるものとする。
(土地の使用に代わる取得)
第25条の2 土地を使用しようとする場合(空間又は地下を使用しようとする場合で、土地の通常の用法を妨げないときを除く。)において、土地所有者から当該土地の取得を請求され、かつ、次の各号のいずれかに該当し、及びやむを得ないものであると認められるときは、当該土地を取得することができるものとする。
一 土地を3年以上使用しようとするとき。
二 土地の所有者が所有し、自ら使用している建物が使用しようとする土地にある場合において、当該所有者が仮住居若しくは仮営業所において生活若しくは営業をすること又は使用終了後に使用対象地において生活若しくは営業をすることが困難である事情が存すると認められるとき。
2 土地を使用しようとする場合において、第24条の規定により算定した補償額及びこれに伴い通常生じる損失の補償額(第58条の規定により算定した補償額を含む。)の合計額が当該土地を取得した場合の価額及びこれに伴い通常生じる損失の補償額の合計額を超えるときは、当該土地を取得することができるものとする。
(建物等の使用に係る補償)
第26条 使用する建物等に関する補償については、第24条に規定する土地の使用に係る補償の例による。
(権利の制限に係る補償)
第27条 第20条から第23条までに規定する権利の制限に対しては、当該権利が消滅するものとし
てそれぞれそれらの規定により算定した額に当該権利の制限の内容等を考慮して適正に定めた割合を乗じて得た額をもって補償するものとする。
第4章 土地等の取得又は土地等の使用により通常生じる損失の補償
第1節 移転料等
(建物等の移転料)
第28条 土地等の取得又は土地等の使用に係る土地等に建物等(xxを除く。以下この条から第30条まで及び第42条の2において同じ。)で取得せず、又は使用しないものがあるときは、当該建物等を通常妥当と認められる移転先に、通常妥当と認められる移転方法によって移転するのに要する費用を補償するものとする。この場合において、建物等が分割されることとなり、その全部を移転しなければ従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、当該建物等の所有者の請求により、当該建物等の全部を移転するのに要する費用を補償するものとする。
2 建物等の移転に伴い木造の建築物に代えて耐火建築物を建築する等の建築基準法(昭和 25 年法律第 201 号)その他の法令の規定に基づき必要とされる既設の施設の改善に要する費用は、補償しないものとする。ただし、法令の規定に基づき改善を必要とする時期以前に当該既設の施設の改善を行うこととなったときは、それにより通常生じる損失を補償するものとする。
(移転困難な場合の建物等の取得)
第29条 建物等を移転することが著しく困難であるとき又は建物等を移転することによって従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、当該建物等の所有者の請求により、当該建物等を取得するものとする。
(区分所有建物の取得等)
第29条の2 区分所有建物で移転することが著しく困難であるものがあるときは、当該区分所有建物の区分所有者全員の請求により、これに係る区分所有権、共用部分の共有持分及び敷地利用権を取得することができるものとする。ただし、敷地利用権が所有権以外の権利であるときは、敷地利用権が設定されている土地の所有権を取得する場合に限る。
(移転料多額の場合の建物等の取得)
第30条 建物等を移転させるものとして第28条の規定により算定した補償額が第15条の規定により算定した当該建物等の価額を超えるときは、当該建物等を取得することができるものとする。
(動産移転料)
第31条 土地等の取得又は土地等の使用に伴い移転する動産に対する補償については、第28条第1項前段に規定する建物等の移転に係る補償の例による。
(仮住居等に要する費用)
第32条 土地等の取得若しくは土地等の使用に係る土地にある建物又は取得若しくは使用する建物に現に居住する者がある場合において、その者が仮住居を必要とするものと認められるときは、仮住居を新たに確保し、及び使用する際に通常要する費用を補償するものとする。
2 土地等の取得又は土地等の使用に伴い移転する動産を他に一時保管する必要があると認められるときは、その保管に通常要する費用を補償するものとする。
(家賃減収補償)
第33条 土地等の取得又は土地等の使用に伴い建物の全部又は一部を賃貸している者が当該建物を移転することにより移転期間中賃貸料を得ることができないと認められるときは、当該移転期間に応ずる賃貸料相当額から当該期間中の管理費相当額及び修繕費相当額を控除した額を補償するものとする。
(借家人に対する補償)
第34条 土地等の取得又は土地等の使用に伴い建物の全部又は一部を現に賃借りしている者がある場合において賃借りを継続することが困難となると認められるときは、その者が新たに当該建物に照応する他の建物の全部又は一部を賃借りするために通常要する費用を補償するものとする。
2 前項の場合において、従前の建物の全部又は一部の賃借料が新たに賃借りする建物について通常支払われる賃借料相当額に比し低額であると認められるときは、賃借りの事情を総合的に考慮して適正に算定した額を補償するものとする。
(改葬の補償)
第35条 土地等の取得又は土地等の使用に伴い墳墓について改葬を行うときは、通常改葬に要する費用を補償するものとする。
(祭 し 料)
第36条 土地等の取得又は土地等の使用に伴い神社、仏閣、教会等の宗教上の施設を移転し、又は墳墓について改葬を行うときは、移転又は改葬に伴う供養、祭礼等の宗教上の儀式に通常要する費用を補償するものとする。
(移転雑費)
第37条 土地等の取得若しくは土地等の使用に伴い建物等を移転する場合又は従来の利用目的に供するために必要と認められる代替の土地等(以下「特例代替地等」という。)を取得し、若しくは使用する場合において、移転先又は特例代替地等(本条において「移転先等」という。)の選定に要する費用、法令上の手続に要する費用、転居通知費、移転旅費その他の雑費を必要とするときは、通常これらに要する費用を補償するものとする。
2 前項の場合において、移転先等を必要とする者が就業できないときは、第44条、第47条及び第
51条に規定するものを除き、それらの者が就業できないことにより通常生じる損失を補償するものとする。
第 2 節 xx補償
(xxの移植補償)
第38条 土地等の取得又は土地等の使用に係る土地にxx(鑑賞上の価値又は防風、防雪その他の効用があると認められるxx(第42条の2において「庭木等」という。)を除く。以下この条から第
42条まで同じ。)がある場合において、これを移植することが相当であると認められるときは、掘起し、運搬、植付け等の移植に通常必要とする費用及び移植に伴う枯損等により通常生じる損失(収穫樹にあっては、移植に伴う減収による損失を含む。 )(第42条の2において「移植費用等」という。)を補償するものとする。
(用材林の伐採補償)
第39条 土地等の取得又は土地等の使用に係る土地に用材林のxxがある場合において、これを伐採することが相当であると認められるときは、次の各号に掲げる額を補償するものとする。
一 伐期未到達xxで市場価格のあるものについては、伐期における当該xxの価格の前価額と現在から伐期までの純収益の前価合計額との合計額から、当該xxの現在価格を控除した額
二 伐期未到達xxで市場価格のないものについては、伐採除却に通常要する費用相当額とそれぞれ次に掲げる額との合計額から、伐採により発生した材料の価格を控除した額
ア 人工林については、現在までに要した経費の後価合計額から、現在までの収益の後価合計額を控除した額
イ 天然生林については、伐期における当該xxの価格の前価額
2 通常妥当と認められる伐採方法、伐採時期等を選定できないことによって伐採搬出に要する費用が増加し、又は木材価格が低下すると認められるときは、当該増加額又は当該低下額に相当する額をもって補償するものとする。
3 伐期未到達xxで市場価格のあるものが次の各号のいずれかに該当し、かつ、やむを得ないものであると認められるときは、第1項の規定にかかわらず、当該xxを取得することができるものとする。一 人工林については、伐期における当該xxの価格の前価額と現在から伐期までの純収益の前価合
計額との合計額が、伐採搬出に通常要する費用相当額と第1項第2号アによる額との合計額を下回る場合
二 天然生林については、現在から伐期までの純収益の前価合計額が、伐採搬出に通常要する費用相当額を下回る場合
4 前項の場合においては、第1項第2号ア又はイによる額を補償するものとする。ただし、伐期における当該xxの価格から、伐採搬出に通常要する費用相当額を控除した額を超えないものとする。
5 第3項の場合であって、かつ、第17条第2項第3号に定める場合に該当するときは、第1項第2号アによる額を、当該xxの管理の状況に応じて減価した額をもって補償するものとする。ただし、当該xxの現在価格から、伐採搬出に通常要する費用相当額を控除した額を超えないものとする。
(薪炭林の伐採補償)
第40条 土地等の取得又は土地等の使用に係る土地に薪炭林のxxがある場合において、これを伐採することが相当であると認められるときは、次の各号に掲げる額を補償するものとする。
一 伐期未到達xxの幹及び枝条部で市場価格のあるものについては、伐期における当該幹及び枝条部の価格の前価額と現在から伐期までの純収益の前価合計額との合計額から、当該幹及び枝条部の現在価格を控除した額
二 伐期未到達xxの幹及び枝条部で市場価格のないものについては、伐採除却に通常要する費用相当額とそれぞれ次に掲げる額との合計額から、伐採により発生した材料の価格を控除した額
ア 人工林については、現在までに要した経費の後価合計額から、現在までの収益の後価合計額を控除した額
イ 天然生林については、伐期における当該幹及び枝条部の価格の前価額三 薪炭林の台木については、将来の各伐期における純収益の前価合計額
2 薪炭林のxxを伐採する場合においては、前条第2項の規定を準用する。
3 伐期未到達xxで市場価格があるものが次の各号のいずれかに該当し、かつ、やむを得ないものであると認められるときは、第1項の規定にかかわらず、当該xxを取得することができるものとする。一 人工林については、伐期における当該xxの幹及び枝条部の価格の前価額、現在から伐期までの
純収益の前価合計額及び第1項第3号による額の合計額が、伐採搬出に通常要する費用相当額と第
1項第2号アによる額との合計額を下回る場合
二 天然生林については、現在から伐期までの純収益の前価合計額と第1項第3号による額との合計額が、伐採搬出に通常要する費用相当額を下回る場合
4 前項の場合においては、第1項第2号ア又はイによる額と第1項第3号による額との合計額を補償するものとする。ただし、伐期における当該xxの幹及び枝条部の価格と第1項第3号による額との合計額から、伐採搬出に通常要する費用相当額を控除した額を超えないものとする。
5 第3項の場合であって、かつ、第17条第2項第3号に定める場合に該当するときは、第1項第2号アによる額と第1項第3号による額との合計額を、当該xxの管理の状況に応じて減価した額をもって補償するものとする。ただし、当該xxの幹及び枝条部の現在価格と第1項第3号による額の合計額から、伐採搬出に通常要する費用相当額を控除した額を超えないものとする。
(果樹等の収穫樹の伐採補償)
第41条 土地等の取得又は土地等の使用に係る土地に果樹等の収穫樹がある場合において、これを伐採することが相当であると認められるときは、当該果樹等の収穫樹の正常な取引価格と伐採除却に要する費用相当額との合計額から伐採により発生した材料の価格を控除した額を補償するものとする。
2 近傍同種の果樹等の収穫樹の取引の事例がない場合においては、前項の規定にかかわらず、当該果樹等の収穫樹の伐採について、伐採除却に要する費用相当額と次の各号のいずれかに掲げる額との合計額から、伐採により発生した材料の価格を控除した額を補償するものとする。
x x収益樹については、現在までに要した経費の後価合計額
二 収益樹については、残存効用年数に対する純利益の前価合計額
(xxの補償)
第42条 土地等の取得又は土地等の使用に係る土地にxxがある場合において、これを移植することが相当であると認められるときは、第38条に準じて算定した額を補償するものとする。
2 前項の場合において、これを伐採することが相当であると認められるときは、当該xxの正常な取引価格と伐採除却に要する費用相当額との合計額から伐採により発生した材料の価格を控除した額を補償するものとする。
3 近傍同種のxxの取引の事例がない場合においては、前項の規定にかかわらず、当該xxの平均年間純収益を資本還元した額と伐採除却に要した費用相当額との合計額から伐採により発生した材料の価格を控除した額を補償するものとする。
(庭木等の補償)
第42条の2 土地等の取得又は土地等の使用に係る土地に庭木等がある場合は、移植費用等を補償するものとする。ただし、庭木等を伐採することが相当であると認められるときは、当該庭木等の正常な取引価格と伐採除却に要する費用相当額との合計額から伐採により発生する材料の価格を控除した額を補償するものとする。
2 土地等の取得又は土地等の使用に伴い残地(同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を取得し又は使用することによって生じる残地をいい、同一の権利者に属する一体として同一の目的に供している権利の一部を消滅させ、又は権利を制限することによって生じる残存する権利の目的となる土地及び同一の土地所有者に属する土石砂れきの一部を取得することによって生じる当該土石砂れきの属する土地の残地を含む。)に庭木等が存することとなる場合において、建物等を移転することに伴い当該庭木等を移転することが相当であると認められるときは、当該庭木等を移転するのに要する費用を補償するものとする。
第 3 節 営業補償
(営業廃止の補償)
第43条 土地等の取得又は土地等の使用に伴い通常営業の継続が不能となると認められるときは、次の各号に掲げる額を補償するものとする。
一 免許を受けた営業等の営業の権利等で、独立に取引される慣習があるものについては、その正常な取引価格
二 機械器具等の資産、商品、仕掛品等の売却損その他資本に関して通常生じる損失額
三 従業員を解雇するため必要となる解雇予告手当相当額、転業が相当と認められる場合において従業員を継続して雇用する必要があるときにおける転業に通常必要とする期間中の休業手当相当額その他労働に関して通常生じる損失額
四 転業に通常必要とする期間中の従前の収益相当額(個人営業の場合においては従前の所得相当
額)
2 前項の場合において、解雇する従業員に対しては第62条の規定による離職者補償を行うものとし事業主に対する退職手当補償は行わないものとする。
(営業休止の補償)
第44条 土地等の取得又は土地等の使用に伴い通常営業を一時休止する必要があると認められるときは、次の各号に掲げる額を補償するものとする。
一 通常休業を必要とする期間中の営業用資産に対する公租公課等の固定的な経費及び従業員に対する休業手当相当額
二 通常休業を必要とする期間中の収益減(個人営業の場合においては所得減)
三 休業することにより、又は店舗等の位置を変更することにより、一時的に得意を喪失することによって通常生じる損失額(前号に掲げるものを除く。)
四 店舗等の移転の際における商品、仕掛品等の減損、移転広告費その他店舗等の移転に伴い通常生じる損失額
2 営業を休止することなく仮営業所を設置して営業を継続することが必要かつ相当であると認められるときは、仮営業所設置の費用及び前項第4号に掲げる額を補償するものとする。
(営業規模縮小の補償)
第45条 土地等の取得又は土地等の使用に伴い通常営業の規模を縮小しなければならないと認められるときは、次の各号に掲げる額を補償するものとする。
一 営業の規模の縮小に伴う固定資産の売却損、解雇予告手当相当額その他資本及び労働の過剰遊休化により通常生じる損失額
二 営業の規模の縮小に伴い経営効率が客観的に低下すると認められるときは、これにより通常生じる損失額
2 前項の場合において、解雇する従業員に対しては第62条の規定による離職者補償を行うものとし事業主に対する退職手当補償は行わないものとする。
第4節 農業補償
(農業廃止の補償)
第46条 土地等の取得又は土地等の使用に伴い通常農業の継続が不能となると認められるときは、次の各号に掲げる額を補償するものとする。
一 農具等の売却損その他資本に関して通常生じる損失額及び解雇予告手当相当額その他労働に関して通常生じる損失額
二 転業に通常必要とする期間中の従前の所得相当額(法人経営の場合においては従前の収益相当額)
2 前項の場合において、解雇する従業員に対しては第62条の規定による離職者補償を行うものとし
事業主に対する退職手当補償は行わないものとする。
(農業休止の補償)
第47条 土地等の取得又は土地等の使用に伴い通常農業を一時休止する必要があると認められるときは、次の各号に掲げる額を補償するものとする。
一 通常農地を再取得するために必要とする期間中の固定的な経費等
二 通常農地を再取得するために必要とする期間中の所得減(法人経営の場合においては収益減)
(農業の経営規模縮小の補償)
策48条 土地等の取得又は土地等の使用に伴い通常農業の経営規模を縮小しなければならないと認められるときは、次の各号に掲げる額を補償するものとする。
一 農業の経営規模の縮小に伴う資本及び労働の過剰遊休化により通常生じる損失額
二 農業の経営規模の縮小に伴い経営効率が客観的に低下すると認められるときは、これにより通常生じる損失額
2 前項の場合において、解雇する従業員に対しては第62条の規定による離職者補償を行うものとし事業主に対する退職手当補償は行わないものとする。
(農業補償の特例)
第49条 前3条の場合において、現に宅地化が予想される農地等に関して農業補償に相当するものの全部又は一部の額が土地等の正常な取引価格に含まれていると認められるときは、前3条の規定にかかわらず、当該額を前3条に規定する額から控除した額をもって補償するものとする。
第5節 漁業xxの消滅又は制限により通常生じる損失の補償
(漁業廃止の補償)
第50条 漁業xxの消滅又は制限に伴い通常漁業の継続が不能となると認められるときは、次の各号に掲げる額を補償するものとする。
一 漁具等の売却損その他資本に関して通常生じる損失額及び解雇予告手当相当額その他労働に関して通常生じる損失額
二 転業に通常必要とする期間中の従前の所得相当額(法人経営の場合においては従前の収益相当額)
2 前項の場合において、解雇する従業員に対しては第62条の規定による離職者補償を行うものとし事業主に対する退職手当補償は行わないものとする。
(漁業休止の補償)
第51条 漁業xxの消滅又は制限に伴い通常漁業を一時休止する必要があると認められるときは、次の各号に掲げる額を補償するものとする。
一 通常漁業を休止することを必要とする期間中の固定的な経費等
二 通常漁業を休止することを必要とする期間中の所得減(法人経営の場合においては収益減)
(漁業の経営規模縮小の補償)
第52条 漁業xxの消滅又は制限に伴い通常漁業の経営規模を縮小しなければならないと認められるときは、次の各号に掲げる額を補償するものとする。
一 漁業の経営規模の縮小に伴う資本及び労働の過剰遊休化により通常生じる損失額
二 漁業の経営規模の縮小に伴い経営効率が客観的に低下すると認められるときは、これにより通常生じる損失額
2 前項の場合において、解雇する従業員に対しては第62条の規定による離職者補償を行うものとし事業主に対する退職手当補償は行わないものとする。
第6節 残地等に関する損失の補償
(残地等に関する損失の補償)
第53条 同一の土地所有者に属する一団の土地の一部若しくは同一の物件の所有者に属する一団の物件の一部を取得し、若しくは使用し、同一の権利者に属する一体として同一目的に供している権利の一部を消滅させ、若しくは制限し、又は同一の土地所有者に属する一団の土地に属する土石砂れきの一部を取得することによって、残地、残存する物件、残存する権利又は当該土石砂れきの属する土地の残地(以下本条において「残地残権利等」という。)に関して、価格の低下、利用価値の減少等の損失が生じるとき(残地残権利等の一部の持分に関してこれらの損失が生じるときを含む。)は、これらの損失額を補償するものとする。ただし、事業の施行により生じる日陰、臭気、騒音その他これらに類するものによる不利益又は損失については、補償しないものとする。
(残地等に関する工事費の補償)
第54条 前条本文の場合において、残地、残存する物件の存する土地、残存する権利の目的となっている土地、当該土石砂れきの属する土地の残地(以下第60条において「残地等」という。)、残存する物件又は残存する権利の目的となっている物件に関して、通路、みぞ、かき、さく、その他の工作物の新築、改築、増築若しくは修繕又は盛土若しくは切土(次条第2項において「残地工事」という。)をする必要が生じるときは、これに通常要する費用を補償するものとする。
(残地の取得)
第54条の2 同一の土地所有者に属する一団の土地の一部の取得に伴い当該土地所有者から残地の取得を請求された場合において、次の各号のすべてに該当するときは、これを取得することができるものとする。
一 当該残地がその利用価値の著しい減少等のため従来利用していた目的に供することが著しく困難になると認められるとき。
二 当該残地を取得しないことが土地所有者の生活再建上支障となると認められるとき。
2 同一の土地所有者に属する一団の土地の一部の取得に伴い残地について残地工事をする必要が生じる場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該残地を取得することができるものと
する。
一 前2条の規定により算定した補償額の合計額が当該残地を取得する場合の価額及びこれに伴い通常生じる損失の補償額の合計額を超えるとき。
二 取得する土地に存する建物を残地に移転させるものとして算定した補償額が当該残地を取得する場合の価額及びこれに伴い通常生じる損失の補償額の合計額を超えるとき。
3 前2項の規定は、残地が所有権以外の権利の目的となっている場合においては、原則として、適用がないものとする。
4 第1項又は第2項の規定により残地を取得する場合の当該残地の価格の算定については、事業に必要な土地の例による。
第7節 その他通常生じる損失の補償
(立毛補償)
第55条 土地等の取得又は土地等の使用に係る土地に農作物の立毛があるときは、当該立毛の粗収入見込額から当該土地の引渡時以降に通常投下される農業経営費(自家労働の評価額を含む。)を控除した額を補償するものとする。この場合において、当該立毛に市場価格があるときは、当該立毛の現在の処分価格を控除するものとする。
2 前項に掲げる土地に農作物を作付するためすでに費用を投下したときは、当該費用を補償するものとする。
(養殖物補償)
第56条 土地等の取得又は土地等の使用に伴い藻類、魚介類等の養殖物を他に移殖することが相当であると認められるときは、その移殖に要する経費と移殖に伴う減収予想額との合計額を補償するものとする。
2 土地等の取得又は土地等の使用に伴い養殖物を移殖することが困難又は不可能なときは、前条の規定に準じて補償するものとする。
(特産物補償)
第57条 土地等の取得又は土地等の使用に伴い松たけ、しいたけ等の特産物を移殖することが困難又は不可能なときは、当該特産物を収穫することによって得られる平年の純収益を資本還元した額を補償するものとする。
2 土地等の取得又は土地等の使用に伴い特産物を移殖することが相当であると認められるときは、前条第 1 項の規定に準じて補償するものとする。
(土地等の返還に伴う補償)
第58条 使用する土地等を返還する場合において、当該土地等を原状に回復することが必要と認められるときは、当該土地等の原状回復に通常要する費用相当額及び当該土地等の原状回復に通常必要な期間中の地代又は借賃相当額の範囲内で通常生じる損失額を補償するものとする。
2 使用する土地等を原状に回復することが困難な場合において、返還時の原状のまま引き渡すときは当該土地等の形質変更、改造等によって生じる損失を適正に算定した額を補償するものとする。
3 第1項の規定による補償額又は前項の規定による補償額は、当該土地等を取得するものとして算定した当該土地等の価格を超えないものとする。
(造成費用の補償)
第58条の2 土地等の取得又は土地等の使用に伴い、急しゅんな地形等の制約、生業の状況等の事情を総合的に勘案して、周辺の類似する地域において斜面地等を宅地として造成することにより建物等の移転先を確保しなければ生活再建を図ることが著しく困難であると認められるときは、当該移転先の造成に要する費用の全部又は一部を補償するものとする。
(その他通常生じる損失の補償)
第59条 本節及び前6節に規定するもののほか、土地等の取得又は土地等の使用によって土地等の権利者について通常生じる損失は、これを補償するものとする。
第5章 土地等の取得又は土地等の使用に伴うその他の措置
(隣接土地に関する工事費の補償)
第60条 土地等の取得又は土地等の使用に係る土地を事業の用に供することにより、当該土地、当該物件の存する土地、当該権利の目的となっている土地及び当該土石砂れきの属する土地並びに残地等以外の土地に関して通路、みぞ、かき、さくその他の工作物の新築、改築、増築若しくは修繕又は盛土若しくは切土をする必要があると認められるときは、これらの工事をすることを必要とする者に対して、その者の請求により、社会通念上妥当と認められる限度において、これに要する費用の全部又は一部を補償するものとする。
(少数残存者補償)
第61条 土地等の取得又は土地等の使用に係る土地を事業の用に供することにより、生活共同体から分離される者が生じる場合において、これらの者に受忍の範囲を超えるような著しい損失があると認められるときは、これらの者に対して、その者の請求により、個々の実情に応じて適正と認められる額を補償することができるものとする。
(離職者補償)
第62条 土地等の取得又は土地等の使用に伴い、土地等の権利者に雇用されている者が職を失う場合において、これらの者が再就職するまでの期間中所得を得ることができないと認められるときは、これらの者に対して、その者の請求により、再就職に通常必要とする期間中の従前の賃金相当額の範囲内で妥当と認められる額を補償することができるものとする。
第6章 事業の認定を受けた起業地に係る補償
(事業の認定を受けた起業地に係る補償)
第63条 土地収用法第26条第 1 項の規定による事業の認定の告示があった起業地に係る土地等で、同法第71条(同法の規定を準用し、又はその例による場合を含む。)の規定により補償すべきものに対しては、第2章から第4章までの規定の例により算定した事業の認定の告示の時における当該土地等の価格に土地収用法第八十八条の二の細目等を定める政令(平成 14 年政令第 248 号)の例により算定した契約締結の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額をもって補償するものとする。
附 則 (昭和 38 年 9 月 30 日付 38 財用評発第 5 号知事決裁)
1 この基準は、昭和 38 年 10 月 1 日から適用する。
2 xxxの用地取得に伴う補償等の基準を定める要綱(昭和 36 年 3 月 30 日知事決裁)は廃止する。
3 この基準の規定にかかわらず、現に土地等の権利者と補償について協議中のものについては、なお従前の例によることができる。
附 則 (昭和 43 年 2 月 24 日付 43 財用評発第 1 号知事決裁)
1 この基準による改正後のxxxの事業の施行に伴う損失補償基準は、昭和 43 年 2 月 24 日から適用する。
2 土地収用法の一部を改正する法律施行法(昭和 42 年法律第 75 号)第3条の規定によりなお従前の例によるものとされた土地等の取得又は土地等の使用については、この基準による改正後のxxxの事業の施行に伴う損失補償基準第63条の規定は、適用しない。
附 則 (昭和 45 年 6 月 15 日付 45 財用評発第 3 号知事決裁)
この基準による改正後のxxxの事業の施行に伴う損失補償基準は、昭和 45 年 4 月 1 日から適用する。
附 則 (昭和 46 年 5 月 12 日付 46 財用評発第 7 号知事決裁)
この基準による改正後のxxxの事業の施行に伴う損失補償基準は、昭和 46 年 4 月 1 日から適用する。
附 則 (昭和 49 年 5 月 29 日付 49 財用評発第 5 号知事決裁)
この基準による改正後のxxxの事業の施行に伴う損失補償基準は、昭和 49 年 5 月 1 日から適用する。
附 則 (平成 11 年 3 月 19 日付 10 財用評発第 255 号財務局長決定)
1 この基準による改正後のxxxの事業の施行に伴う損失補償基準(この附則において「新基準」という。)は平成 11 年 4 月 1 日(以下この附則において「施行日」という。)から施行する。
2 施行日前より継続して施行する事業については、平成 11 年 6 月 1 日(以下この附則において「適用日」という。)から新基準を適用する。ただし、施行日から新基準を適用することを妨げない。
3 新基準の規定にかかわらず、適用日においてこの基準による改正前のxxxの事業の施行に伴う損失補償基準(以下この附則において「旧基準」という。)に基づく補償額で協議中の土地等の権利者に対する補償は、なお従前の例によることができる。
4 旧基準により補償した土地等の権利者に対しては、新基準により算定した補償額との精算は行わないものとする。
附 則 (平成 15 年 4 月 30 日付 14 財財評測第 426 号知事決定)
1 この基準による改正後のxxxの事業の施行に伴う損失補償基準は、平成 15 年 5 月 1 日から適用する。
2 この基準の規定にかかわらず、現に土地等の権利者と補償について協議中のものについては、なお従前の例による。
附 則 (平成 17 年 5 月 25 日付 17 財財評測第 25 号知事決定)
1 この基準による改正後の東示都の事業の施行に伴う損失補償基準(以下この附則において「新基準」という。)は、平成 17 年 5 月 25 日(以下この附則において「適用日」という。)から適用する。
2 新基準の規定にかかわらず、適用日においてこの基準により改正前のxxxの事業の施行に伴う損失補償基準に基づき現に土地等の権利者と補償について協議中のものについては、なお従前の例による。
附 則 (平成 19 年 11 月 8 日付 19 財財評測第 86 号知事決定)
1 この基準による改正後のxxxの事業の施行に伴う損失補償基準(以下この附則において「新基準」という。)は、平成 20 年 4 月 1 日(以下この附則において「適用日」という。)から適用する。
2 新基準の規定にかかわらず、適用日においてこの基準により改正前のxxxの事業の施行に伴う損失補償基準に基づき現に土地等の権利者と補償について協議中のものについては、なお従前の例による。