Contract
様々なソフトウェアライセンスの考え⽅並びに現在の契約の留意点
IT資産管理評価認定協会
理事 相⽥ 雄⼆
ソフトウェアは著作物として著作xxで保護されておりますが、通常の利⽤においてはメーカー側が設定した使⽤許諾条件=ライセンス条件の範囲内での使⽤が必要です
著作物として保護
著作xx
ソフトウェアを使⽤する権利を購⼊
著作(製作) 設定
使⽤許諾
遵守
ソフトウェア
著作者
(メーカー)
設定
利⽤者
ライセンス監査とは、ライセンス提供側(メーカー、パブリッシャー、ベンダー)側による、ライセンス利⽤者側に対して、設定している利⽤条件に合致しているかどうかの確認を⾏う⾏為になります。特に⼤⼿外資系ソフトウェアメーカーにおいては、ライセンス提供時(ユーザーにとってはライセンス購⼊時)の契約書にライセンス監査についての説明と、関係する義務や条件の記載があります。
ライセンス監査/遵守状況の確認
利⽤者
ソフトウェア
メーカー
ソフトウェア利⽤
使⽤許諾条件の遵守
ライセンス提供
使⽤許諾条件・契約
+
使⽤許諾条件
必要なライセンス監査対策を取った上で、もしマイクロソフト社よりライセンス監査レターが来た場合、必要な対応を⾏うことにより更なるリスクの最⼩化を図ることができます。
留意すべきポイント
1. レター内容を精査する
2. 無視せず、必要最低限の対応を⾏う
3. ライセンス上の正しい権利義務を確認し、反論を含めた対応を⾏う
4. メーカー(代理⼈)よりの要求事項については論拠、根拠を求める
5. すべてのフェーズにおいて交渉する
ソフトウェアライセンスの基本的な考え⽅としては前述の通り、パブリッシャー(メーカー、著作権者)が独⾃に設定したソフトウェア利⽤におけるルールになります。
利⽤に関するルール(ライセンス、使⽤許諾条件)はパブリッシャーが独⾃に設定していますので、ソフトウェアの利⽤については、下記の3点が重要になります。
1. ソフトウェアライセンスについての基本的な種類や考え⽅を理解する
2. ソフトウェアライセンスはパブリッシャーの独⾃ルール設定がある
3. ソフトウェアライセンスはいつでも変更されるため、最新情報の確認が必要
様々な種類 購買者タイプ 購買プログラム
デバイス ライセンス
企業向け
包括契約
ユーザー ライセンス
公共機関向け
都度購買
Server CALライセンス
アカデミック向け
第三者向け
NUP ライセンス
特定業界向け
組み込み系
パッケージ
CPU ライセンス
・
・
・
コア ライセンス
OEM
プリインストール
・ ・
・ ・
・ ・
ソフトウェアライセンスについてはパブリッシャーの独⾃ルール設定があります。同じユーザーライセンスでも、1ライセンス辺りでは単⼀のシステムにのみアクセスできるものや、同じバージョンのサー バーであれば1ライセンスで複数のシステムにアクセス可能なライセンス等、様々です。
またサーバーでのライセンス使⽤では下記のような制約条件が付帯していることがあります例
• 最低割り当てライセンス数
• CPU/コア係数
• バックアップ⽤のシステム利⽤
• 仮想化での必要ライセンス数
• ・・・・
ソフトウェアライセンスはパブリッシャー同時の設定となりますので、常に変更される可能性があります。
例としてマイクロソフト社のソフトウェア製品の利⽤に関するルールを記載している「製品条項」というドキュメントは毎⽉リリースされています。
また都度契約や、包括契約の契約⽂書もパブリッシャー側が必要に応じて都度変更しており、注意が必要です。ポイントとしては、基本的には契約時点(または調達時点)の契約や、利⽤ルールが適⽤されますので、今のルールには合致していなくても、契約時点/調達時点の契約書や付 帯ドキュメントの確認が推奨されます。
また契約書によっては、契約期間中に発⽣するユーザーにとって不利益な使⽤権変更は、契約期間中に限り適⽤除外とされている契約もあれば、契約期間中であってもパブリッシャー側が⾃由に使⽤権を変更できます、というようなものもあります。
ライセンス契約については主に以下のような留意点、注意点があります。
1. 必要なITサービス⽤のソフトウェアを選択する際、ライセンス上の制約条件や想定利⽤期間でのコストについても事前確認し、適切なソフトウェアとライセンスを選択する。
2. また都度契約でも、包括契約でも購⼊契約(プログラム)毎の違いやルールについて、予め詳細を理解した上で選択する
3. 相対契約(包括契約等)については、打ち合わせで合意した内容が適切な⽂⾔で、すべて契約書内に反映されていることを確認する
4. パブリッシャー営業担当やリセラー営業担当からの説明で、重要な点や少しでも疑義がある際は、契約書上のどこに該当する記載があるのか必ず確認する
各社の包括的な契約においては、相対契約、つまり交渉によって条件や価格が決定されるものがあります。
その際、必ずしもという訳ではありませんが、特別対応を求めすぎず、下記のような理由からも価格に集中して交渉する形がより推奨されます。
1. 特別条件を得る代わりに調達価格が下がらない可能性がある
2. 特別条件は契約期間中のみ適⽤されるため、契約更新時(通常は3-5年程度)に再度特別条件得られるとは限らない
3. 特別条件に依存した組織xx⽤や管理が出来てしまうと、同じく契約更新時の交渉で著しく不利になる可能性、また⾼価格での更新等のリスクがある
同じソリューションやソフトウェアを利⽤する際にも、調達ライセンスの形態による特性があり、またメリットとデメリットが存在します。
単体契約
クラウド契約
包括契約
サブスクリプション契約
サイトライセンス契約
開発プロジェクト等で⼀時的に利⽤ボリュームが⾮常に⼤きくなる場合、または特定ベンダー技術に依存する際に限定されます
クラウド契約と同様ですが、特にハードウェアの調達と管理を組織内で⾏いたい場合の選択となります
バージョン、エディションがある程度標準化されており、更に最新版が出た場合は、概ね3,4年で最新版にアップグレードして利
⽤する組織向け
新規で導⼊するサービス、かつ利⽤ボリュームの上下が⾒込まれる場合に適します。最新版の利⽤が求めれたり、バックアップや BCP対策が必要なシステム向けにも
⼀般的な組織向け。但し同じ法⼈のみで利⽤できるものや、関連会社や海外⼦会社でも使えるもの等、正しいライセンス契約を選択する必要がある
クラウドサービスという⾔葉の中にも、各種のサービス提供形態があります。下記3つは代表的な提供形態の種別となります。また同じ種別でも、提供会社やサービスにより提供/利⽤形態の違いがあります。
IaaS
Infrastructure as a Service
サーバーハードウェアやデータセンター環境を主に仮想技術を利⽤して提供するサービス
Amazon AWS, Google Compute Engine
PaaS
Platform as a Service
サーバーハードウェアやデータセンター環境に加えて、OSやミドルウェアも提供されるサービス
Amazon AWS, Microsoft Azure, Google App Engine
SaaS
Software as a Service
従来オンプレミス環境で提供されていたサービスをクラウド環境で提供されるサービス
Google Apps, Microsoft Office365, Salesforce, Service Now
クラウド契約、特にSaaS系の契約の主な特徴になります。
クラウド契約の主な特徴(SaaS)
ユーザー単位契約
最新版(のみ)利⽤可能
契約期間内のみ利⽤可能
⽉額、年額課⾦や契約
データ格納場所/地域
オフライン利⽤の可否と特徴
オンプレとは異なる運⽤管理
様々な追加ベネフィット
良くあるケース あるべき姿
1
クラウド契約
運用設計
2
導入検証
導入検証
3
運用設計
テスト
4
テスト+導入
クラウド契約+導入