十六総合研究所は、十六銀行が十六リース株式会社(以下、「十六リース」)に対してポジティブインパクトファイナンス(以下、「PIF」)を実施するにあたって、同社の 事業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブインパクトおよびネガティブインパクト)を分析・評価した。この分析・評価は、国連環境計画金融イニシアティ ブ(UNEP FI)が提唱した PIF 原則および PIF 実施ガイド(モデル・フレームワーク)、ESG 金融ハイレベル・パネルにおいてポジティブインパクトフ...
2022年3月30日
各位
ポジティブインパクトファイナンスの取扱い開始について
~ 十六リース株式会社との間で岐阜県下初となる契約を締結 ~
株式会社十六銀行(頭取 xx xx、以下「当行」といいます。)および株式会社十六総合研究所(社長 xx xx、以下「当社」といいます。)は、本日よりポジティブインパクトファイナンス(詳細後述、以下「本商品」といいます。)の取扱いを開始するとともに、十六リース株式会社(社長 xx xx、以下「十六リース」といいます。)と岐阜県下初となる契約を締結いたしましたので、下記のとおりお知らせします。
当行および当社は、本商品を通じて事業者さまと共通価値の創造をはかり、ともに持続的な成長をめざしてまいります。
記
1.本商品の概要
(1)ポジティブインパクトファイナンスとは
事業者さまの活動が外部(環境・社会・経済)に与えるインパクト(影響)を評価(特定・分析)し、ポジティブなインパクトの創出とネガティブなインパクトの低減に資する KPIを設定のうえ、モニタリングを通じてご支援していくことを目的とする資金調達手段です。
本商品の取扱い開始に先立ち、当行のポジティブインパクトファイナンス実施体系には、株式会社格付投資情報センター(R&I)より、国連環境計画・金融イニシアティブが制 定したポジティブインパクト金融原則(以下「PIF原則」といいます。)に適合してい る旨のセカンドオピニオンを取得しています。
(2)特長
事業者さまの活動が外部(環境・社会・経済)に与えるインパクト(影響)を明確化し、設定したKPIの達成に向けて取り組む過程を利害関係者に広く発信することで、企業価値の向上、社会的支持の獲得、資金調達基盤の強化に繋がります。
(3)お取扱い条件
コース | ローンコース | 私募債コース |
ご利用いただける方 | 法人のお客さま(当行所定の審査がございます。) | |
形態 | 証書貸付(実行可能期間付も可) | 銀行保証付私募債 |
資金使途 | 運転資金もしくは設備資金 | |
ご融資・発行金額 | 50百万円以上 | |
利率 | 当行所定の変動金利もしくは固定金利 | 当行所定の固定金利 |
返済・償還方法 | ※ | 定時償還もしくは満期一括償還 |
期間 | ※ | 2~10年 (満期一括償還の場合は2~7年) |
担保・保証人 | ※ | |
インパクト評価 KPI設定 | 当社の作成する事業者さまのインパクト評価・KPI設定内容に対し ては、PIF原則への適合性を確認するため、外部機関よりセカンドオピニオンを取得します(費用は事業者さまのご負担となります)。 | |
モニタリング | KPIの達成状況について年1回のモニタリングを実施します。 |
※最寄りの営業部店までお問い合わせください。
2.十六リースとの契約締結内容(詳細は後掲の「評価書」をご参照ください。)
(1)企業概要
所 在 地 | 岐阜市xx町 7 丁目12番地 | 設 立 | 1975年3月11日 |
事業内容 | リース、割賦販売、キャピタル業務 | 資本金 | 1億200万円 |
(2)インパクト評価(要旨)
目標 | KPI | 関連SDGs |
取引先のESGリース利用拡大 | 2028年度までにESGリースを 300件実行する。 | |
メンテナンスリース 取組件数拡大に向けた推進体制の構築 | 第5次中期経営計画(2024年4月~ 2027年3月)にメンテナンスリースについての数値目標を盛り込む。 | |
リース終了物件の適切な管理 | 法令違反をゼロにする。 | |
①有給取得率 ②本部のテレワーク 体制(ノートPCのモバイル化)の整備 | ①2026年度までに85%にする。 ②2022年度までに65%、2023 年度までに85% 、2024年度までに100%にする。 |
(3)契約概要
コース | ローンコース | 資金使途 | 運転資金 |
ご融資金額 | 10億円 | 期間 | 7年 |
以 上
【本件ご照会先:経営企画部 広報・IR室 TEL 058-266-2511】
十六リース株式会社
ポジティブインパクトファイナンス評価書
2022 年 3 月 30 日
十六総合研究所は、十六銀行が十六リース株式会社(以下、「十六リース」)に対してポジティブインパクトファイナンス(以下、「PIF」)を実施するにあたって、同社の事業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブインパクトおよびネガティブインパクト)を分析・評価した。この分析・評価は、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した PIF 原則および PIF 実施ガイド(モデル・フレームワーク)、ESG 金融ハイレベル・パネルにおいてポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、十六総合研究所が十六銀行と共同で開発し
た評価体系に基づいている。
目次
⑴十六リースの概要ならびに経営理念.................................................................................- 3 -
⑵十六フィナンシャルグループのサステナビリティ .......................................................................- 6 -
⑶第4次中期経営計画....................................................................................................- 8 -
2.インパクトの特定 ...........................................................................................................- 9 -
⑴バリューチェーン分析........................................................................................................- 9 -
⑵インパクトレーダーによるマッピング ....................................................................................- 12 -
⑶特定したインパクト ........................................................................................................- 18 -
⑷インパクトニーズの確認..................................................................................................- 23 -
⑸ポジティブインパクトに対する追加性、十六銀行との方向性の確認.....................................- 26 -
3.インパクトの評価 .........................................................................................................- 27 -
4.モニタリング..................................................................................................................- 31 -
⑴十六リースにおけるインパクトの管理体制と開示方法........................................................- 31 -
⑵当社によるモニタリング ...................................................................................................- 31 -
1.企業概要と理念、サステナビリティ
十六リースは、昭和 50 年 3 月に、岐阜県下初の総合リース会社として発足した。
「リース・割賦という金融サービスの提供を通じ、お客さまとともに成長し、地域社会の持続的な発展に貢献する企業を目指します。」という経営理念、そして、「我々の願い、それはお客さまとともに成長すること~With you 16 リース~」のキャッチフレーズを掲げ、岐阜県、愛知県を中心に事業基盤をもつ。
地元企業の成長と地域社会の発展に貢献するため、同社では「リース及び割賦販売業務」と「キャピタル業務」を展開している。
キャピタル業務では十六フィナンシャルグループのネットワークを通じ、情報収集と蓄積されたノウハウ、確かな実績のもと成長の可能性を秘めた企業や創造的な製品・技術を擁する企業(ベンチャー企業)を発掘し、エクイティ投資やコンサルティングの提供により、株式公開・M&Aまでの企業の育成・支援を行っている。
リース及び割賦販売業務の取扱対象物件は一般物件(自動車以外の動産物件)と自動車に区分され、各部門の取扱商品(サービス)は以下の項目となる。
【一般物件の取扱商品(サービス)】
⮚ ファイナンスリース
ユーザーが選択した機械設備をリース会社が代わりに購入し、設定したリース期間に亘り貸与するもの。以下の3つの特徴がある。
① 物件の選択
ユーザーの希望する物件をリース会社が購入し、その物件を比較的長いリース期間を設定してユーザーに貸与(リース)する。
② フルペイアウト
ユーザーが支払うリース料には、物件の購入代金、金利、固定資産税、損害保険料などのコストが含まれている。
③ 解約不能
原則としてリース期間中に、契約を中途解約することはできない。
⮚ オペレーティングリース
リース期間満了時の物件価値を見込んで残存価格として設定し、購入価格から同価格を差し引いた金額を基準にリース料を算定するもの。以下の 3 つの特徴がある。
① 割安なリース料
通常のファイナンスリースと比べてリース料が割安となる。また、税務上も会計上も「賃貸借」による処理が適用可能となる。
② 柔軟な期間設定
ファイナンスリースにおけるの適正期間に捉われることなく、リース期間を設定することができるため、ユーザーの生産計画や受注計画等の事業計画に即した柔軟な期間設定が可能となる。
③ 期間満了時の選択肢が増える
期間満了時の状況に合わせて、以下を選択することができる。
◆満了時のxx市場価格での買い取り
◆残存価格をベースとした二次リース
◆物件の返却
⮚ 割賦販売
ユーザーが希望する設備・機械をリース会社が購入し、ユーザーに分割払いで販売する契約。契約終了後、所有権はユーザーに移転し資産取得となる。以下のようなメリットがある。
➀長期延払のため、物件取得時に多額の資金を必要としない
➁ユーザーの事業計画に沿った契約(分割回数・期間等)を組成することができる。
➂動産総合保険をxxするため、万一の場合も安心。
【自動車の取扱商品(サービス)】
⮚ ファイナンスリース
ユーザーが選択した車両をリース会社が購入し、希望する期間終了時の車両価値を残存価格として設定。購入価格から残存価格を控除してリース料を回収するもの。
車両本体価格に加えて、契約期間中の自動車税、登録時の各種税金、自賠責保険料等を組み込んだ契約である。
⮚ メンテナンスリース
ユーザーが選択した車両をリース会社が購入し、希望する期間終了時の車両価値を残存価格として設定。購入価格から残存価格を控除して、リース料を回収するもの。車両本体価格、契約期間中の諸税、自賠責保険料及び、車検・定期点検・整備費用等を組み込んだ契約。車両ライフサイクルに関するほぼ全ての手続きが付帯された契約である。
⮚ 割賦販売
ユーザーが選択した車両をリース会社が購入し、賦払方式にてユーザーに販売する契約である。
同社は十六フィナンシャルグループの一員であり、同社の経営方針は十六フィナンシャルグループの「グループ経営理念」に準拠している。「グループ経営理念」は、十六フィナンシャルグループにおける基本的な精神として、全役職員の活動のよりどころとするものであり、「私たちの使命」「私たちの目指す姿」「私たちの価値観」から構成される。また、これを実践していくための役職員の具体的な行動を「私たちの行動軸」としている。
【出所:十六フィナンシャルグループ】
十六フィナンシャルグループは、使命である「お客さま・地域の成長と豊かさの実現」を目指し、ともに地域のxxを創造し、ともに持続的な成長を遂げる総合金融グループとして、「地域経済の活性化」「地域社会の持続的発展」「多様な人材の活躍推進」「環境保全と気候変動対策」「ガバナンスの高度化」を重点課題(マテリアリティ)としている。
【出所:十六フィナンシャルグループ】十六フィナンシャルグループでは SDGs 推進に向けて、「投融資方針」「環境方針」「健康宣言」を方
針として掲げている。同社の活動方針も同グループの方針に準拠している。
基本方針
十六フィナンシャルグループ(当社および連結子会社により構成される企業グループをいう)は、環境・社会的課題解決に向けた取組みを、投融資業務を通じて積極的に支援することにより、お客さまの中長期的な企業価値向上や持続的成長に寄与するよう努めます。
一方、環境・社会に対する重大なリスクまたは負の影響を与える可能性のある投融資については、慎重に判断することで、その影響を低減・回避するよう努めます。
〈特定セクターに対する方針〉
⑴石炭火力発電
石炭火力発電所の新設および既存発電設備の拡張を資金使途とする投融資等は行いません。ただし、災害時対応や日本政府のエネルギー政策に沿った案件等を例外的に検討する場合は、慎重に対応します。
⑵兵器
クラスター弾、対人地雷、生物・化学兵器の非人道性を踏まえ、資金使途にかかわらず、こうした兵器を製造する企業に対する投融資等は行いません。
⑶森林伐採
違法な伐採や焼却が行われている事業に対して投融資等を行いません。また、森林伐採を伴う資金使途に対する投融資等については、地域経済や環境への影響を考慮したうえで慎重に対応
します。
「環境方針」
十六フィナンシャルグループ(当社および連結子会社により構成される企業グループをいう)は、環境保全への取組みを社会全体ではたすべき責務であると認識し、地域社会に奉仕する良き企業市民の責任として、事業活動を通じて環境問題に誠実に取り組むことで、持続可能な社会の形成に貢献するとともに企業価値の創造につなげます。
行動指針
⑴ 環境関連の法律、規則、協定等を遵守します。
⑵ 環境保全への取組みは経営課題のひとつであると認識し、活動の情報開示に努めます。
⑶ 自らの企業活動による環境への影響を正しく捉え、省エネルギー・省資源等の環境負荷の軽減に努めます。
⑷ 環境に配慮した金融商品・サービスの開発・提供を通じ、お客さまの環境保全の取組みを支援します。
⑸ 長期的な視野に立ち、幅広く社会と連携・協力し社会貢献活動を推進します。
⑹ 役職員一人ひとりの環境意識の向上をはかるため、啓発・教育を行います。
「十六フィナンシャルグループ 健康宣言」
十六フィナンシャルグループは企業価値を高め、永続的に地域社会の成長に貢献するためには、従業員とその家族の心身の健康が重要であると考え、健康保持・増進に取り組みます。
また、お客さまとともに地域の活力を創造する「地域の共創活動」を通じて、健康で活力ある地域づくりを積極的にサポートしてまいります。
主な取組内容
⑴からだの健康づくり
定期健康診断受診の徹底
特定保健指導の実施率の向上
健康保険組合と連携した健康増進活動の実施
⑵xxxの健康づくり
相談窓口利用による早期発見
メンタルヘルス不調者に対する個別サポート
ストレスチェックの実施と結果を踏まえた職場環境の改善
⑶働きやすい職場環境づくり
ワークライフバランスの推進(有給休暇の取得推進等)業務効率化等による総労働時間の短縮化
完全禁煙実施による受動喫煙の防止健康経営推進体制
経営管理部長の指揮・命令の下、経営管理部人事グループと従業員組合や健康保険組合等が相互に連携し、従業員とその家族の心身の健康保持・増進をはかるための施策等に取り組んでいます。
十六リースは、2020 年 3 月策定の第 4 次中期経営計画(2020 年 4 月~2023 年 3 月)において、営業・業務・マネージメントにおける【質の向上】をテーマとしており、コロナ禍での業務継続(BCM)対応としての「テレワーク・リモートワーク」の取組み、従来からの業務フローの改善、新分野参入による事業領域の拡張をはかるなど、本業における付加価値向上を目指している。
ユーザーの経営環境の変化や市場ニーズの動向をいち早く把握し、投資減税・補助金制度等の活用といった設備投資に関わる本業支援、また、ベンチャー支援、事業承継・事業継続に向けた成長支援など、ユーザーに提供できるソリューションは何か、真に求められる顧客ニーズは何かを追求する「マーケッイントアプローチ」によりお客さまとともに成長を目指している。
2.インパクトの特定
同社が環境・社会・経済に与えるインパクトを特定するために、同社のバリューチェーンを分析する。
下図は、同社から開示された情報をもとに作成した、リース事業の商流を表したものである。同社の事業を「一般物件リース・割賦販売」と「自動車リース・割賦販売」の2部門に分けて分析を行う。サプライヤーやユーザーなど、同社との取引契約が多い業種を特に絞り込み、ステークホルダーを洗い出した。
「一般物件リース・割賦販売」では、「一般卸売業」「一般設備工事業」「一般機械器具製造業」
「小売業」等の業種が主なサプライヤーとなる。また、「一般機械器具製造業」「輸送品機械器具製造業」「食料品製造業」「医療業」「金属製品製造業」等の業種が主なユーザーとなる。
「自動車リース・割賦販売」では、多くの取引契約で「自動車販売業」(自動車ディーラー)がサプライヤーとなる。また、「道路貨物輸送業」「総合工事業」「卸売業」「職別工事業」等の業種が主なユーザーとなる。
リース契約が終了した時点で、ユーザーが「再リース契約」または「リース契約終了」を選択する。「リース終了」を選択された物件は、状況に応じて、中古機械商社への売却、サプライヤーへの売却または下取り、産業廃棄物処理業者への処分依頼等、同社が選択し各種法令やガイドラインに則って適切な処理が行われている。
以上の「一般卸売業」「一般設備工事業」「一般機械器具製造業」「小売業」「輸送品機械器具製造業」「食料品製造業」「医療業」「金属製品製造業」「自動車販売業」「道路貨物輸送業」「総合工事業」「卸売業」「職別工事業」「産業廃棄物処理業」を同社の主なステークホルダーと定義する。そのステークホルダーの大半は、同社の営業基盤である岐阜県、愛知県に事業拠点をおく事業者である。
【一般物件リース・割賦販売】
【自動車リース・割賦販売】
【出所:十六リース】
【出所:十六リース】
同社の事業、及び、先述のバリューチェーン分析により特定した同社のステークホルダーの事業について、インパクトマッピングを実施する。UNEP FI が提供するインパクトレーダーを用いて業種ごとに「ポジティブイ ンパクト」(以下 PI)と「ネガティブインパクト」(以下 NI)を想定。それぞれ、22 のインパクトカテゴリの、どのカテゴリにおいて発現するかを特定する。
バリューチェーン分析に従い、同社の事業を「一般物件リース・割賦販売」「自動車リース・割賦販売」に分けて、サプライヤーの事業、同社の事業、ユーザーの事業、及び、処理業者の事業について、国際産業標準分類上の類似業種を洗い出し、インパクトマッピングを実施する。
同社の事業については PI・NI が発現するカテゴリを、ステークホルダーの事業については、NI について特に重要なインパクトが発現するカテゴリを赤枠で示し、PI の拡大、及び NI の緩和について検討を加える。
【一般物件リース・割賦販売】
◼ サプライヤーの事業(xxの事業)
◎:主要カテゴリ 〇:関連カテゴリ
xxの事業 | ||||||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 卸売業 | 設備工事業 | 一般機械器具製造業 | 小売業 | ||||
【4659】 その他機械器具卸売業 | 【4329】 その他のxx物設備設置工事業 | 【2819】 その他の一般機械製造業 | 【4719】 その他の非専門店小売業 | |||||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | ||||||||
食料 | ||||||||
住居 | ◎ | |||||||
健康・衛生 | ||||||||
教育 | ||||||||
雇用 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
エネルギー | ||||||||
移動手段 | ||||||||
情報 | ||||||||
文化・伝統 | ||||||||
人格と人の安全保障 | ||||||||
xx・xx | ||||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||||
水(質) | 〇 | 〇 | ||||||
大気 | 〇 | 〇 | ||||||
土壌 | 〇 | |||||||
生物多様性と生態系サービス | 〇 | |||||||
資源効❹・安全性 | 〇 | |||||||
気候 | 〇 | 〇 | ||||||
廃棄物 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
包括的で健全な経済 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
経済収束 |
サプライヤーの事業においては、特に重要な NI の発現はないものと考えられる。
◼ 同社の事業
◎:主要カテゴリ 〇:関連カテゴリ
同社の事業 | ||||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 金融サービス業 | 物品賃貸・リース業 | ||||
【6491】 金融リース業 | 【6499】 他に分類されない その他の金融サービス業 | 【7730】 その他の機械器具・有形財賃貸・ リース業 | ||||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | ||||||
食料 | ||||||
住居 | ||||||
健康・衛生 | ||||||
教育 | ||||||
雇用 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
エネルギー | ||||||
移動手段 | ||||||
情報 | ||||||
文化・伝統 | ||||||
人格と人の安全保障 | ||||||
xx・xx | ||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||
水(質) | ||||||
大気 | ||||||
土壌 | ||||||
生物多様性と生態系サービス | ||||||
資源効❹・安全性 | 〇 | |||||
気候 | ||||||
廃棄物 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
包括的で健全な経済 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
経済収束 | 〇 |
同社の事業では、「雇用」「資源効率・安全性」「包括的で健全な経済」「経済収束」のカテゴリにおいて PI の発現が考えられる。一方で、「雇用」「廃棄物」のカテゴリにおいて NI の発現が考えられる。
「雇用」のカテゴリにおいては、労働によって従業員の生活が支えられるPI と、労働環境によっては従業員の健康状態が脅かされる NI が発現する。これらの PI を拡大し、NI を緩和するためには働きがいの向上や労働環境の整備が有用であると考えられる。
「資源効率・安全性」のカテゴリの PI とは、設備投資による資源効率性のxxxである。特に資源効率性の良い設備投資を促進することが、この PI を拡大すると考えられる。
「包括的で健全な経済」「経済収束」のカテゴリの PI とは、リースによる経済の活性化、社会の発展等である。リースの利用を促進すること自体が、この PI を拡大させると考えられる。
「廃棄物」のカテゴリにおいては、後述の処理業者の事業で検討を加える。
◼ ユーザーの事業(xxの事業)
◎:主要カテゴリ 〇:関連カテゴリ
xxの事業 | ||||||||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 一般機械製造業 | 自動車、トレーラ及びセミトレーラ製造業 | その他の食料品製造業 | 保健衛生事業 | 金属製品製造業 | |||||
【2819】 その他の一般機械製造業 | 【2930】 自動車部品及び付属品製造業 | 【1079】 他に分類されない その他の食料品製造業 | 【8610】病院事業 | 【2599】 他に分類されないその他の金属製品製造業 | ||||||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | ||||||||||
食料 | 〇 | |||||||||
住居 | ||||||||||
健康・衛生 | ◎ | ◎ | ◎ | |||||||
教育 | ||||||||||
雇用 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 |
エネルギー | ||||||||||
移動手段 | 〇 | 〇 | ||||||||
情報 | ||||||||||
文化・伝統 | 〇 | |||||||||
人格と人の安全保障 | 〇 | |||||||||
xx・xx | ||||||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||||||
水(質) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
大気 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||
土壌 | 〇 | 〇 | ||||||||
生物多様性と生態系サービス | ||||||||||
資源効❹・安全性 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | ||||||
気候 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
廃棄物 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | |||||
包括的で健全な経済 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
経済収束 | 〇 |
ユーザーの事業では、輸送品機械器具製造業において「健康・衛生」「資源効率・安全性」「気候」のカテゴリにて、食料品製造業において「健康・衛生」「廃棄物」のカテゴリにて、それぞれ重要な NI の発現が考えられる。
輸送用機械器具製造業における「健康・衛生」「資源効率・安全性」「気候」の NI とは、自動車の排ガスによる健康被害、生産工程でのエネルギー源や鉱物資源の採取、温室効果ガスの排出等である。輸送用機械器具製造の段階で発現するこれらの NI をリース会社が直接緩和することは難しいと考えられる。
食料品製造業における「健康・衛生」の NI とは、製造した食料品の摂取により発生する消費者への健康被害である。この NI をリース会社が直接緩和することは難しいと考えられる。
食料品製造業における「廃棄物」の NI とは、食料品加工時の切れ端等または食料品製造に使用する機械等の廃棄物発生である。前者の NI をリース会社が直接緩和することは難しいと考えられる。後者の NI は、後述の処理業者の事業で検討を加える。
xxの事業者における「気候」の NI に関しては、後述の ESG リースの提供により、ユーザーの脱炭素化を支援できる。
【自動車リース・割賦販売】
◼ サプライヤーの事業(xxの事業)・同社の事業
◎:主要カテゴリ 〇:関連カテゴリ
xxの事業 | 同社の事業 | |||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 自動車卸売業 | 物品賃貸・リース業 | ||
【4510】 自動車販売業 | 【7710】 自動車賃貸・リース業 | |||
PI | NI | PI | NI | |
水 | ||||
食料 | ||||
住居 | ||||
健康・衛生 | 〇 | 〇 | ||
教育 | ||||
雇用 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
エネルギー | ||||
移動手段 | ◎ | 〇 | ||
情報 | ||||
文化・伝統 | ||||
人格と人の安全保障 | ||||
xx・xx | ||||
強固な制度・平和・安定 | ||||
水(質) | ||||
大気 | 〇 | 〇 | ||
土壌 | ||||
生物多様性と生態系サービス | ||||
資源効❹・安全性 | 〇 | 〇 | ||
気候 | 〇 | 〇 | ||
廃棄物 | 〇 | 〇 | ||
包括的で健全な経済 | ||||
経済収束 |
サプライヤーの事業においては、特に重要な NI は発現されていない。
同社の事業では、「雇用」「移動手段」「資源効率・安全性」のカテゴリにおいて PI の発現が考えられる。一方で、「健康・衛生」「雇用」「大気」「気候」「廃棄物」のカテゴリにおいて NI の発現が考えられる。
「雇用」「資源効率・安全性」のカテゴリにおいては PI の拡大・NI の緩和ともに先述のとおり。
「移動手段」のカテゴリの PI とは、自動車所有によらないモビリティの確保である。自動車リースを促進すること自体が、この PI を拡大していくと考えられる。
自動車リース業における「健康・衛生」「大気」「気候」のカテゴリの NI とは、自動車を利用することによる交通事故、ガソリンの使用、大気汚染、温室効果ガスの排出等である。自動車のメンテナンスを適切に実施することで、安全性能や燃費性能が保たれる。そのため、メンテナンスリースの促進がこれらの NI を緩和していくと考えられる。
「廃棄物」のカテゴリにおいては、後述の処理業者の事業で検討を加える。
◼ ユーザーの事業(xxの事業)
◎:主要カテゴリ 〇:関連カテゴリ
xxの事業 | ||||||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | その他陸運業 | 建築工事業 | 卸売業 | 専門工事業 | ||||
【4923】 道路貨物陸運業 | 【4100】建築工事業 | 【4659】 その他の機械器具卸売業 | 【4390】 その他の専門工事業 | |||||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | ||||||||
食料 | ||||||||
住居 | ◎ | ◎ | ||||||
健康・衛生 | ◎ | 〇 | 〇 | |||||
教育 | ||||||||
雇用 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
エネルギー | 〇 | 〇 | ||||||
移動手段 | 〇 | |||||||
情報 | ||||||||
文化・伝統 | 〇 | |||||||
人格と人の安全保障 | 〇 | |||||||
xx・xx | ||||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||||
水(質) | 〇 | 〇 | ||||||
大気 | ◎ | 〇 | 〇 | |||||
土壌 | ◎ | 〇 | ||||||
生物多様性と生態系サービス | ◎ | 〇 | 〇 | |||||
資源効❹・安全性 | ◎ | 〇 | ||||||
気候 | ◎ | ◎ | 〇 | |||||
廃棄物 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | ||||
包括的で健全な経済 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
経済収束 | 〇 |
ユーザーの事業では、道路貨物運送業において「健康・衛生」「大気」「土壌」「生物多様性と生態系サービス」「資源効率・安全性」「気候」のカテゴリにて、総合工事業において「気候」「廃棄物」のカテゴリにて、それぞれ重要な NI の発現が考えられる。
道路貨物運送業における「健康・衛生」「大気」「土壌」「生物多様性と生態系サービス」「資源効率・安全性」「気候」のカテゴリの NI とは、自動車の排ガスによる健康被害、大気汚染、ガソリンが流出した際の土壌汚染・生態系の破壊、輸送に伴うエネルギーや資材の消費、温室効果ガスの排出等である。リース会社が、道路貨物運送業者に対してこれらの NI を網羅的に緩和する施策を実施することは難しいと考えられる。
総合工事業における「気候」のカテゴリの NI とは、工事により排出される温室効果ガス等である。この NI をリース会社が直接緩和することは難しいと考えられる。
総合工事業における「廃棄物」のカテゴリの NI とは、工事に使用する機械等が廃棄されることである。この NI は、後述の処理業者の事業で検証を加える。
【「一般物件リース・割賦販売」「自動車リース・割賦販売」共通】
◼ 処理業者の事業(xxの事業)
◎:主要カテゴリ 〇:関連カテゴリ
xxの事業 | ||||||||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 廃棄物収集・処理・処分活動、材料再生業 | |||||||||
【3811】 非有害廃棄物収集 | 【3812】 有害廃棄物収集業 | 【3821】 非有害廃棄物処理・処分業 | 【3822】 有害廃棄物処理・処分業 | 【3830】材料再生業 | ||||||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
食料 | ||||||||||
住居 | ||||||||||
健康・衛生 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ | 〇 | ◎ | |||
教育 | ||||||||||
雇用 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
エネルギー | 〇 | |||||||||
移動手段 | ||||||||||
情報 | ||||||||||
文化・伝統 | 〇 | |||||||||
人格と人の安全保障 | ||||||||||
xx・xx | ||||||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||||||
水(質) | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |
大気 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
土壌 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |
生物多様性と生態系サービス | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ | 〇 | ◎ | |||
資源効❹・安全性 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 |
気候 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
廃棄物 | ◎ | 〇 | ◎ | 〇 | ◎ | 〇 | ◎ | 〇 | ◎ | 〇 |
包括的で健全な経済 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
経済収束 |
処理業者の事業では、「水(質)」「土壌」のカテゴリにおいて、特に重要な NI の発現が考えられる。これは、廃棄物の不適切な処理による水質汚染、土壌汚染等である。
リース会社は産業廃棄物処理業法に基づき、リース満了引上物件を適切に処理する必要がある。リース会社は引上物件を「自ら処理する」もしくは「産業廃棄物処理業者等への委託」のいずれかの方法で対応する。同社は「産業廃棄物処理業者等への委託」方式を採用している。
「産業廃棄物処理業者等への委託」を行う場合、産業廃棄物収集運搬業者及び産業廃棄物処理業者に委託しなければならず、委託に際しては「委託する業者の事業の範囲を許認可等により確認する。併せて、施設の能力有無等も確認し、適切な者に委託する必要がある。」等政令で定める基準に従う必要がある。
同社は「収集運搬及び中間処理業者」1社、「最終処分業者」2社と委託契約を結んでいる。同社は各社の業務運営及び管理体制を毎年視察し、処分の状況や許認可を確認している。なお、最終処分業者 2 社は、岐阜、愛知県における優良処分業者として認定を受けている。
以上から、各種法令ガイドラインに則った廃棄物の適切な管理が、NI の緩和につながると考えられる。
先述の「バリューチェーン分析」「インパクトマッピング」を踏まえて、下記5つのインパクトを特定した。
◼ 地域経済の活性化と地域社会の持続的発展
◼ 環境保全と気候変動対策
◼ メンテナンスリースによる、安全で持続可能な自動車利用の促進
◼ リース終了物件の適切な管理
◼ 従業員満足度の向上
◼ 地域経済の活性化と地域社会の持続的発展
同社は地域経済の活性化のため、多様なソリューションの提供を通じてユーザーと共通価値の創造をはかり、ともに持続的な成長を目指している。
同社では、設備ファイナンスに付随する業務として、減税施策・補助金提案や事業計画策定などのソリューションの提供に力を入れている。同社が提案する減税施策・補助金の活用には、「ESG リース促進事業」「中小企業経営強化法(税制)」「先進的省エネルギー投資促進事業」などがある。なかでも同社は「ESG リース促進事業」を活用したソリューション営業に尽力している。
【ESG リース促進事業の概要】(一般社団法人環境金融支援機構 HP より抜粋)
<ESG リース促進事業とは>
環境省が定める基準を満たす脱炭素機器をリースにより導入した場合に、当初リース契約期間の総リース料(消費税及び再リース料を除く)の 1~4%の補助金を指定リース事業者に対して交付します。更に、ESG 要素を考慮した優良な取組みには、1%上乗せします。また、リース先(中小企業等)及び指定リース事業者の両社が ESG 要素を考慮した優良な取組みを行っている場合、極めて先進的な取組みとして 2%上乗せします。(パンフレット)
<対象となるリース先>
対象先は、中小企業、個人事業主等とする。
中小企業の定義:・資本金の額又は出資の総額が 3 億円以下の会社法上の会社。
・ベッド数 199 床以下の医療施設
・政府機関、地方公共団体又はこれに準ずる機関でないこと。サプライチェーン上の脱炭素化に資する取組みを行っているものとする。
(以下引用)
ESG リース促進事業は、指定リース事業者、並びにユーザーの ESG に関する取組みが評価され、補助金額が決定される事業である。同社も ESG を考慮する取組に関する要件を満たしているとして、環境省よりESG リース促進事業に係る指定リース事業者として採択されている。
ESG リースの対象となるリース先は中小企業、個人事業主等である。同社の既存取引先は大半が中小企業、個人事業主等であり、新規取引の営業推進の対象も中小企業、個人事業主等を主体としている。本事業を推進することにより、取引先に経済的なメリットをもたらすだけでなく、ESG 要素を考慮した取組みの意識を高めることにもなる。
以上から、同社が ESG リースを推進することは、ユーザー並びに地域社会の持続的発展に資するものであるといえる。
このインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「包括的で健全な経済」のカテゴリに該当し、経済的側面においてポジティブインパクトを拡大すると考えられる。SDGs では「8.3」「9.4」のターゲットに該当
すると考えられる。
◼ 環境保全と気候変動対策
先述の「ESG リース促進事業」の推進は、経済的側面のポジティブインパクトを拡大するだけでなく、環境的側面においてユーザーの NI を緩和することが期待される。
ESG リースの対象機器は、環境省が定めた基準を充足する以下の脱炭素機器である。
〇業務部門(熱源設備、厨房用設備、空調用設備、業務用設備、業務用冷凍冷蔵設備、照明設備)
〇産業部門(建設機械、工業炉、鋳造設備、省エネ型ダイカストマシン、エネルギー変換設備、工作機械、鍛圧機械)
〇運輸部門(電気自動車、燃料電池自動車)
上記の機器をユーザーが導入することは、「省エネ効果が高い機器を導入することによるエネルギー消費量の削減」「エネルギー消費量の削減による生産性向上及び効率化」「最先端設備の導入による生産性向上及び効率化」等の効果が期待できる。これらの効果は、地球温暖化の抑制につながるものである。
以上から、同社が ESG リースを推進することは、環境保全と気候変動対策に資するものであるといえる。
このインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは主に「気候」のカテゴリに該当し、環境的側面においてユーザーのNI 緩和に貢献すると考えられる。SDGs では「7.3」「13.3」のターゲットに該当すると考えられる。
◼ メンテナンスリースによる、安全で持続可能な自動車利用の促進
同社は自動車のメンテナンスリースの推進に今後注力していく予定である。
メンテナンスリースは、車両代金・登録諸費用・諸税・各種保険料の支払いから、車検・定期点検・一般整備・事故対応まで、車両ライフサイクルに関するほぼ全ての手続きが付帯されたプランである。
【出所:十六リース】
メンテナンスリースでは、通常のファイナンスリースのサービスに加えて、「定期(法定)点検、車検、スケジュール点検及び故障修理」「タイヤ・バッテリー・オイル・その他の消耗品の交換」「代車サービス(車検・整備時に提供)」「安全運転講習の協力」「法定点検・車検のご案内 DM サービス」「点検・整備未実施車フォローサービス」「メンテナンス実施報告サービス」「事故状況報告サービス」のサービスが付帯されている。
上記のサービスにより、ユーザーは「車両関係の経費を一本化」「車両管理のアウトソーシング効果」
「常に整備された車両を安心し利用可能」「事故・故障時のスピーディな対応」等のメリットが享受できる。さらに、適切なメンテナンスによって、リース終了時の車両のリセールバリューが向上すると考えられる。
以上から、同社がメンテナンスリースを推進することは、安全で持続可能な自動車利用の促進に資するものであると言える。
このインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは、「健康衛生」「移動手段」「資源効率・安全性」のカテゴリに該当し、環境的側面において PI を拡大、社会的側面において NI を緩和すると考えられる。 SDGs では「3.6」「12.5」のターゲットに該当すると考えられる。
◼ 廃棄物の適切な管理
同社では、リース終了物件について各種法令・ガイドラインに基づき管理を徹底している。
先述のバリューチェーン分析のとおり、リース終了物件は、中古機械商社への売却、サプライヤーへの売却または下取り、産業廃棄物処理業者による処分の中から、同社が適切な処理方法を選択している。
同社では、可能な限り3R(リデュース:リユース:リサイクル)の取組を推進し、処分すべき物件については、マニフェスト制度に準拠し、産業廃棄物処理業者と連携して適正に処分している。
「マニフェスト」とは、廃棄物処理法に定められた「産業廃棄物管理票」のことである。リース会社は、返還を受けたリース物件が廃棄物に該当し、産業廃棄物処理業者に処分を委託する場合にはマニフェストを交付する義務がある。
同社ではマニフェスト制度をはじめ、各種法令・ガイドラインを徹底し、法令違反ゼロを目指している。
このインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは、「水(質)」「土壌」「廃棄物」のカテゴリに該当し、環境的側面において NI を緩和すると考えられる。SDGs では「11.6」「12.4」のターゲットに該当すると 考えられる。
◼ 従業員満足度の向上
同社では、働きがいの向上に努め、多様な人材が最大限に能力を発揮できる労働環境の整備に取り組んでいる。
具体的な環境整備の施策として、「柔軟な働き方の推進・ワークライフバランスの実現」「業務効率化の促進」等に着手している。
「柔軟な働き方の推進・ワークライフバランスの実現」では、在宅勤務やワークシェアを推奨し、従業員の育児や介護への支援体制の整備や、「十六フィナンシャルグループ健康宣言」に基づいた、心身ともに
健康な職場づくりの支援を行っている。
「業務効率化の促進」では、ペーパーレス化と業務改善の取組みを実施している。営業用のタブレット端末や、リモート会議用のモニターを積極的に導入するなど、従業員の業務効率を後押ししている。
以上の取組みは、同社の従業員満足度の向上に資するものであるといえる。
このインパクトはUNEP FI のインパクトレーダーでは、「雇用」のカテゴリに該当し、社会的側面においてPIを拡大、NI を緩和すると考えられる。SDGs では「8.5」のターゲットに該当すると考えられる。
特定したインパクトとインパクト・カテゴリおよび SDGs との対応関係について記載してきたが、ここではインパクトの重要度を確認すべく、同社の事業エリアにおけるインパクトニーズとの関係性について見ていきたい。
① 日本におけるインパクトニーズ
同社の売上高のほとんどが日本国内におけるものである。国内における SDGs インデックス&ダッシュボードを参照し、そのインパクトニーズと同社のインパクトとの関係性を確認した。
特定したインパクトに対応するSDGs のゴールのうち「7」「13」は、日本において「課題が残る」「重要な課題が残る」と位置付けられていることが確認できるため、日本における同社のインパクトは重要度が高いと判断できる。
【出所:SDSN】
② 岐阜・愛知県におけるインパクトニーズ
また、同社のほとんどが、岐阜・愛知県内のものであることから「岐阜県 SDGs xx都市計画」「愛知県 SDGs xx都市計画」を参照し、岐阜および愛知県内における SDGs 達成に向けての課題を確認した。
下記のとおり、特定したインパクトに対するSDGs のゴール「3」「7」「8」「9」「11」「12」「13」は、岐阜・愛知県のSDGs 課題達成に向けて、重要度が高いものであると判断できる。
「岐阜県 SDGs xx都市計画」より今後取り組む課題を抜粋
1.環境:豊かな自然との共生による地域づくり
○地球温暖化対策や気候変動適応対策の推進
○プラスチックごみ対策の推進や食品廃棄物対策の推進
○豊かな自然環境の保全と利用
○「長良川システム」の持続的な発展に向けた取組み
○「常態化する想定外」の災害への備えの推進
2.経済:県民所得の向上と技術革新への対応
○各政策分野における IoT やビッグデータ、AI の活用など、Society5.0 の実現による新たな付加価値の創出と県民所得の向上
○本県出身の外交官「xxxx」氏をテーマとした人道観光や中部山岳国立公園の魅力 増進など、歴史・文化、自然、産業といったテーマ性を持った旅行商品の造成と、その魅力の国内外への発信、競争力の高い観光地域づくり等による観光の基幹産業化
3.社会:人口減少・少子高齢化に伴う担い手の確保
○性差、障がいの有無、国籍、年齢等に関わらず誰もが活躍できる社会の確立
○小・中学校に加え、全ての高等学校における教育段階に応じたふるさと教育の展開
「愛知県 SDGs xx都市計画」より今後取り組む課題を抜粋
(経済面)
〇基幹産業である自動車産業が大きな環境変化にある中、AIやIoTといった技術の進化に対応しながら、次世代自動車の開発・普及への取組が必要。
(社会面)
○今後、人口減少局面に転じるとともに、急速に高齢者が増加。すべての人が活躍できる全員参加型の社会を築いていくことが課題。
〇若年女性の東京圏への流出超過が拡大する中で、持続的な発展のためには、若年女性の流入・定
着が重要で、企業等で女性が活躍できる環境を作っていくことが課題。
(環境面)
〇都市化や産業活動により失われた各地域の生態系を再生・回復、維持していくためには、多様な主体が連携して生態系を守っていくことが課題。また、企業等と連携しながら温室効果ガスの排出削減に取り組んでいくことが重要。
⑸ポジティブインパクトに対する追加性、十六銀行との方向性の確認
ここでは特定した PI について、追加性があること、十六銀行の SDGs の取組みと方向性が同じであることを確認する。本 PIF で特定した PI は「地域経済の活性化と地域社会の持続的発展」「メンテナンスリースによる安全で持続可能な自動車利用の促進」「従業員満足度の向上」である。
「地域経済の活性化と地域社会の持続的発展」では、ESG リースの推進により同社の取引先の ESG への取組みを支援していくことを目標としている。同社は、リース業務による金融支援に留まらず、ユーザーの ESG の取組みを支援することで、「地域社会の活性化と地域社会の持続的発展」を目指す。ユーザーのESG の領域への対処を促すビジネスモデルであり、SDGs 達成のための大きな前進になると考えられる。
「メンテナンスリースによる安全で持続可能な自動車利用の促進」では、リース終了車両のリセールバリューを向上させることによって、「持続可能な自動車利用」を目指す。リース契約期間内に留まらず、リース終了時までに目を向けた事業施策であり、SDGs 達成に向けた有効な取組みであると考えられる。
「従業員満足度の向上」では「柔軟な働き方の推進・ワークライフバランスの実現」「業務効率化の促進」を目指す。時代に合わせた働き方を推進する施策であり、このインパクトについても SDGs 達成に効果が期待できる取組みであると考えられる。
また、上記3つの PI が、十六銀行の SDGs の取組みと方向性が一致することを確認する。十六フィナンシャルグループでは、「十六フィナンシャルグループ SDGs 宣言」の中で「地域社会の活性化」「地域社会の持続的発展」「多様な人材の活躍推進」「環境保全と気候変動対策」「ガバナンスの高度化」の 5つを SDGs 達成に向けた重点課題(マテリアリティ)としている。
本 PIF で特定したインパクトは、特に「地域社会の活性化」「地域社会の持続的発展」「環境保全と気候変動対策」「多様な人材の活躍支援」という視点で方向性が一致する。
以上から、本 PIF の取組みは追加性のある PI 創出支援を行うものであり、その本源的目的との合致を確認したうえで SDGs 達成に向けた資金需要と資金供給とのギャップを埋めることを目指すものである。
3.インパクトの評価
ここでは、特定したインパクトの発現状況を今後も測定可能なものにするため、先に特定したインパクトに対し、それぞれに KPI を設定する。
◼ 地域経済の活性化と地域社会の持続的発展
◼ 環境保全と気候変動対策
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 経済的側面においてポジティブインパクトを拡大 環境的側面においてユーザーのネガティブインパクトを緩和 |
インパクト・カテゴリ | 「包括的で健全な経済」 「大気」「気候」 |
関連するSDGs |
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内容・対応方針 | 地域経済の活性化と地域社会の持続的発展のため、金融サービスを通じた取引先の支援を行う 環境保全と気候変動対策を考慮した、取引先の設備導入支援を 行う |
目標とKPI | 目標:取引先の ESG リースの利用の拡大 KPI:2028 年度までに ESG リースを 300 件実行する |
◼ メンテナンスリースによる、安全で持続可能な自動車利用の促進
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 環境的側面においてポジティブインパクトを拡大社会的側面においてネガティブインパクトを緩和 |
インパクト・カテゴリ | 「資源効率・安全性」 「健康・衛生」 |
関連するSDGs |
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内容・対応方針 | 安全で持続可能な自動車利用を促進するため、メンテナンスリースの推進体制を強化する |
目標とKPI | 目標:メンテナンスリース取組件数拡大に向けた、推進体制の構築 KPI:第5次中期経営計画(2024 年4月~2027 年3月) にメンテナンスリースについての数値目標を盛り込む |
◼ 廃棄物の適切な管理
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 環境的側面においてネガティブインパクトを緩和 |
インパクト・カテゴリ | 「資源効率・安全性」 「健康・衛生」 |
関連するSDGs |
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内容・対応方針 | リース終了物件について、法令・ガイドラインに則り適切な管理を行う |
目標とKPI | 目標:リース終了物件の適切な管理 KPI:法令違反ゼロ |
◼ 従業員満足度の向上
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 社会的側面においてポジティブインパクトを拡大社会的側面においてネガティブインパクトを緩和 |
インパクト・カテゴリ | 「雇用」 |
関連するSDGs | |
内容・対応方針 | 有給取得の推進、テレワークの推進を行い、従業員満足度を向上させる |
目標とKPI | 目標:有給取得率、テレワーク体制の整備 KPI: ・有給休暇の取得率を 2026 年度までに 85%にする ・本部のテレワーク体制(ノート PC のモバイル化)を 2022 年度までに 65%、2023 年度までに 85% 、2024 年度までに 100%にする |
4.モニタリング
同社では、本 PIF 組成にあたり、xx社長を統括責任者とする横断的なプロジェクトチームを組成。業務企画部・総務部が中心となり、経営方針、中期経営計画、同社事業内容の棚卸を行い、本 PIFのインパクトの特定および目標と KPI の策定を行った。
本 PIF 実行後においては、各部門での主体的な管理・推進体制を強化していくほか、社外への周知浸透を図るため各 KPI やその達成状況について同社ウェブサイトで公表を行う予定である。
【モニタリング体制】
統括責任者 | 代表取締役社長 xx xx |
プロジェクトリーダー | 常務取締役 xx x |
プロジェクトチーム | 営業統括部 部長 xx x、室長 xx xx業務企画部 部長 xx xx、次長 xx x 総務部 部長 xx x、次長 xx x |
本 PIF で設定した KPI および進捗状況については、同社と十六銀行、十六総合研究所の担当者が定期的な場を設けて情報共有する。少なくとも年に1回実施するほか、日々の情報交換や営業活動を通じて実施する。
【留意事項】
1. 本評価書の内容は、十六総合研究所が現時点で入手可能な公開情報、十六リースから提供された情報や同社へのインタビューなどで収集した情報に基づいて、現時点での状況を評価したものであり、将来における実現可能性、ポジティブな成果等を保証するものではありません。
2. 十六総合研究所が本評価に際して用いた情報は、十六総合研究所がその裁量により信頼できると判断したものではあるものの、これらの情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。十六総合研究所は、これらの情報の正確性、適時性、網羅性、完全性、および特定目的への適合性その他一切の事項について、明示・黙示を問わず、何ら表明または保証をするものではありません。
3. 本評価書に関する一切の権利は十六総合研究所に帰属します。評価書の全部または一部を自己使用の目的を超えての使用(複製、改変、送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳及び翻案等を含みます)、または使用する目的で保管することは禁止されています。