Contract
2.知的財産の契約に関する基礎知識
1)知的財産とは何ですか
ポイント:知的財産とは、知的創造活動から生み出された、経済的・社会的に価値のあ る無形の成果物のことをいいます。
技術面での発明・考案・意匠、営業上識別の面での商標、文化面での著作物等がその例です。最近では、無形の情報を包含する有体物も重要視されてきています。
1980 年代の後半から、科学技術の発展と産業のグローバル化とともにコンピュータ・ソフトウェア、データ・ベース、半導体回路配置、植物の新品種等の新しい価値情報、事業活動を支える技術ノウハウ・営業上の重要情報等への保護が叫ばれるようになり、これらも含めて経済社会における知的財産の重要性が認識されるようになりました。
我が国政府は「知的財産立国」の実現を目指し、知的財産の創造・保護・活用を図るための知的財産権制度を整備し、様々な施策を進めています。
【知的財産立国】 「知的財産立国」とは、発明・創作を尊重するという国の方向を明らかにし、ものづくりに加えて、技術、デザイン、ブランドや音楽・映画等のコンテンツといった価値ある「情報づくり」、すなわち無形資産の創造を産業の基盤に据えることにより、我が国経済・社会の再活性化を図るというビジョンに裏打ちされた国家戦略であるとされています。(平成14年7月「知的財産戦略大綱」) |
知的財産又は知的財産権についての法律上の考え方については、知的財産基本法(平成 15 年 3 月 1 日施行)をご参照ください。
2)産業財産権とは何ですか
ポイント:知的財産権のうち、特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の 4 つを「産業 財産権」といいます。
産業財産権制度は、新しい技術、新しいデザイン、ネーミングなどについて独占権を与え、模倣防止のために保護し、研究開発へのインセンティブを付与したり、取引上の信用を維持したりすることによって、産業の発展を図ることを目的にしています。これらの権利は、出願し登録されることによって、一定期間、独占的に実施(使用)できる権利となります。
知的財産権のうち産業財産権は、特許庁が所管しています。著作権は、文化庁が所管しています。
3)ノウハウとは何ですか
ポイント:秘密に管理されている情報や手法のことをいいます。
主として産業上の技術に係わる秘密性を有する知識・経験に基づくもので、経済的価値を持つものです。
技術的知識・経験・秘訣・個人的熟練や秘密方式等多様な例が示されています。ノウハウは、ライセンス契約の対象になります。
特許は、特許庁に出願し一定の手続を経て登録されれば、特許権として成立し排他的な権利として発明の実施を専有することができますが、発明の内容が公開されるため模倣されやすいこと、権利期間が一定であること、多額の費用を要することなどがあります。
一方、ノウハウは、その成立に特段の手続や費用がいらず、秘密として管理されている限り保護期間に定めはありません。しかし、同じものを他者が独自に開発した場合には権利主張はできず、また他者により特許化されると実施に一定の制限を受けることになります。
このように、特許とノウハウには一長一短があるので、発明を保護する場合には、その内容、将来性、費用等を勘案して、特許出願するかあるいはノウハウとして管理するか、ケースバイケースで判断する必要があります。
4)知的財産に関する契約の種類はどのようなものがありますか
ポイント:主に以下のものが存在しています。
なお、ここでは産業財産権を念頭に置いており、著作xxに関わる契約(著作物利用許諾契約、著作権譲渡契約他)は、含まれておりません。
契約の種類 | 定 義 |
秘密保持契約 | ・情報交換・技術評価等の目的のため、未公開発明・技術ノウハウ等を開示するに当たり、その内容を第三者に開示・ 漏洩してはならないことを取り決める契約をいう。 |
サンプル提供契約 | ・ライセンサーが製造・販売している製品のサンプルを第三者に見せることにより、サンプルを見せられた第三者がライセンスを受けるか否かを検討できるようにするための契 約をいう。 |
試作品の製作契約 | ・第三者に産業財産権に基づく試作品の製作を委託する契約をいう。 ・また、開示を受けた側が自己又は第三者を介して評価する ために試作品を製作するための契約をいう。 |
原料・部品・製品等の 供給契約 | ・産業財産権を使用している原料・部品・製品等を供給する 契約をいう。 |
オプション契約 | ・当事者の一方が相手方に対し、ある技術(特許等)の企業化の評価・検討に必要な情報、資料等を提供・使用させるとともに、オプション行使の期間内に当該技術につき実施許諾を受けるか否か、また相手方と共同研究を受けるか否 かの選択権(オプション)を与える契約をいう。 |
共同研究・開発契約、研究委託契約 | ・当事者双方が共同で新技術の研究開発をすることを目的とする契約をいう。 ・また、当事者の一方が相手方に対して、新技術の研究開発 を委託する契約をいう。 |
技術指導契約 | ・当事者の一方が相手方に対して、ある技術の実施に必要な助言・指示・検討・相談・技術者の訓練などの役務を提供 する契約をいう。 |
実施許諾契約 (ライセンス契約) | ・当事者の一方が相手方に対して保有する産業財産権(出願 中を含む。)を実施許諾(ライセンス)する契約をいう。 |
譲渡契約 | ・権利者の産業財産権(出願中を含む。)を第三者に有償又は 無償で移転することを目的とする契約をいう。 |
OEM契約 | ・自社で生産した製品に相手方商標(ブランド)をつけて相 手方に供給する契約をいう。 |
クロスライセンス契約 | ・複数の権利者の保有する産業財産権をお互いに等価とみな し、相手方の産業財産権を使用できる契約をいう。 |
ノウハウ契約 | ・産業財産権ではなく、ノウハウを実施許諾(ライセンス) の対象とする契約をいう。 |
共同出願契約 | ・産業財産権を受ける権利の共有者が共同で出願を行うこと を約する契約をいう。 |
不実施補償契約 (共有特許実施契約) | ・共有特許において、一方の当事者が産業財産権を実施する場合に、実施しない他方の当事者に対価を支払う契約をい う。 |
5)産業財産権の譲渡契約とは何ですか
ポイント:産業財産権の権利を持つ者が、権利そのものを有償又は無償で相手方に譲る 契約です。
産業財産権は、それぞれ権利を他人に原則として譲渡することができます。産業財産権 を譲り受けた相手方は、原則として、自由に産業財産権を利用することができます。また、権利が成立したもののみではなく、出願中の産業財産権を譲り受けることもできます。
各産業財産権を譲り受けるにあたっては、以下の点に注意することが必要です。
①譲り受ける産業財産権を正しく特定しているか
契約書に各産業財産権につき以下の内容を明記し、譲渡対象となる産業財産権を双方の認識の誤りがないよう特定しましょう。契約書別紙として特許庁より発行されている各産業財産権の公報の写しを添付することも有効です。
特許権・実用新案権 | ・出願中のものは出願番号・出願日・出願人・発明の名称等 ・権利化後のものは登録番号・出願日・出願人・発明の名称等 |
意匠権 | ・出願中のものは出願番号・出願日・出願人・意匠にかかる物品等 ・権利化後のものは登録番号・出願日・意匠権者・意匠にかかる 物品等 |
商標権 | ・出願中のものは出願番号・出願日・出願人・商標等 ・権利化後のものは登録番号・登録日・権利者・存続期間満了日・商標等 |
②譲渡人は産業財産権の真の権利所有者であるか
当初産業財産権の権利者であっても、他人に譲渡済みであったり、権利が失効しているにもかかわらず、自身が権利者であるように装って権利の譲渡契約を結んだりするケースも想定されます。
契約締結前に公報等を調査することと併せて、契約書に「産業財産権の譲渡人は、産業財産権の真の権利者であることを保証する」等の条文を追記しましょう。
6)産業財産権の許諾契約とは何ですか
ポイント:産業財産権の権利を持つ者が相手方に産業財産権の実施又は使用を許諾(ラ イセンス)する契約のことです。
各産業財産権は、権利者自身によって実施されるだけでなく、他人に実施又は使用(特許・実用新案・意匠に関しては「実施」、商標に関しては「使用」を用います。以下、総称して「実施」といいます。)を認めることによっても利用されます。そのような実施の許諾を「ライセンス」ともいいます。そして、ライセンス契約とは、権利者(ライセンサー)が相手方(ライセンシー)に対して、産業財産権の実施を許諾する契約をいいます。
ライセンス契約を結ぶことによって、権利者(ライセンサー)は、相手方から実施料を得ることもできます。一方、実施権者(ライセンシー)は、自社の技術やデザイン等を補完し、研究開発の費用や時間を節約することができます。
なお、ライセンス契約の内容や条件は、原則として両者が自由に決められますが、契約内容が不xxな取引(販売価格の制限など)に該当する場合は、独占禁止法違反となるお
それがあるので注意してください。
特許の実施許諾契約(ライセンス契約)の例を下図に示します。
7)譲渡又は許諾の対象となるものにはどういうものがありますか
ポイント:次に掲げる 3 つが対象となります。
①権利化後の産業財産権 |
②出願中の産業財産権 |
③ノウハウ(産業上の技術に係わる秘密性を有する知識・経験に基づくもの) |
8)許諾契約におけるライセンサー/ライセンシーの立場について教えてください
ポイント:xxな契約が原則です。
ライセンサーとライセンシーのいずれにとっても、契約を締結するためにはxxが原則であることは言うまでもありませんが、立場によって契約内容が変わってくることがあります。
ライセンサーの立場で契約書を作成する場合とライセンシーの立場で契約書を作成する場合の2通りがありますが、結局、当事者同士の交渉・合意により契約が調印されます。
したがって、それぞれの立場を考慮の上、各契約の案を検討して、納得の行く契約を締結してください。
xx取引委員会は、技術の利用に係る制限行為に関して、「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」(平成 19 年 9 月 28 日公表、平成 28 年 1 月 21 日最終改正)を公表していますので、ご参照ください。
例えば、この指針(ガイドライン)に従わず、ライセンサーが強い立場でライセンシー
に対して不当な制限を課した場合には、独占禁止法に違反することとなり、処罰もあり得ますので、注意を要します。
9)産業財産権の実施について教えてください
ポイント:各産業財産権によって、法律で定める「実施」の定義が異なります。
各産業財産権につき、それぞれ下表【産業財産権の「実施」・「使用」の定義】のように実施の定義が定められています。
ここでいう実施を包括的にみれば、ライセンシーが自らのビジネスに各産業財産権に基づく発明等を活用することということができます。
実施許諾契約(ライセンス契約)によって、ライセンシーは、実施許諾(ライセンス)された産業財産権を実施できる権利をもちます。これにより、自らのビジネスに活用することができます。この権利を「実施権」といいます。
実施許諾契約(ライセンス)を締結するにあたり、ライセンサーがライセンシーに対して実施権を許諾する場合の実施権の態様が下表【産業財産権の「実施」・「使用」の定義】の実施又は使用のどれかに該当することになります。
ここで注意していただきたいのは、物の製造・販売に関するライセンスにおいて、ライセンサーがライセンシーに製造権のみ、あるいは販売権のみを実施許諾する例が見受けられますが、製造・使用・販売はセットで実施許諾するのが一般的であるということです。すなわち、製造権のみを実施許諾されているライセンシーは、物を製造できても販売はできません。物の製造と販売が一体となって許諾された実施権が生きるわけです。
実施権の範囲を製造(Make)、使用(Use)又は販売(Sell)のいずれか1つに限定していないか
実施権の範囲はセットで許諾!!
*製造(Make)+使用(Use)
*製造(Make)+販売(Sell)
【産業財産権の「実施」・「使用」の定義】
【特許法】…特許法第2条3項各号に以下の定めがある。 「実施」とは、次に掲げる行為をいう。 (1)物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。)をする行為 (2)方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為 (3)物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為 |
【実用新案法】…実用新案法第2条3項に以下の定めがある。 「実施」とは、考案に係る物品を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、輸出し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。)をする行為をいう。 |
【意匠法】…第2条2項に以下の定めがある。 「実施」とは、次に掲げる行為をいう。 (1)意匠に係る物品の製造、使用、譲渡、貸渡し、輸出若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。以下同じ。)をする行為 (2)意匠に係る建築物の建築、使用、譲渡若しくは貸渡し又は譲渡若しくは貸渡しのx xをする行為 (3)意匠に係る画像(その画像を表示する機能を有するプログラム等を含む。以下同じ。)について行う次のいずれかに該当する行為 イ 意匠に係る画像の作成、使用又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出 (提供のための展示を含む。以下同じ。)をする行為 ロ 意匠に係る画像を記録した記録媒体又は内蔵する機器の譲渡、貸渡し、輸出若し くは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為 |
【商標法】…商標法第2条3項に以下の定めがある。 また、商標は実施ではなく、使用と定義される。 「使用」とは、次に掲げる行為をいう。 (1)商品又は商品の包装に標章を付する行為 (2)商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為 (3)役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為 (4)役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為 (5)役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為 (6)役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為 (7)電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為 (8)商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為 (9)音の標章にあつては、前各号に掲げるもののほか、商品の譲渡若しくは引渡し又は役務の提供のために音の標章を発する行為 (10)前各号に掲げるもののほか、政令で定める行為 |
10)専用実施権と通常実施権の違いは何ですか
ポイント:ライセンサーも実施できるかどうかという点で違いがあります。
ライセンサーは、ライセンシーに対して、その保有する産業財産権の対象となる知的財産(特許発明・実用新案・意匠・商標を指します。以下「発明等」と略します。)の実施権を許諾(ライセンス)します。専用実施権と通常実施権は、このライセンスの形態を表しています。なお、商標については、「専用実施権」「通常実施権」ではなく「専用使用権」
「通常使用権」といういいかたをしますが、ここでは便宜上産業財産権をまとめて「専用実施権」「通常実施権」と表記します。
専用実施権は、発明等を専用実施権者が独占排他的に実施できる権利のことをいい、特許庁への設定登録が必要です。設定された実施の範囲内において権利者自身も実施できなくなります。
専用実施権者は、実施許諾を受けた範囲内において無権限の他者が発明等を実施した場 合には、差止請求や損害賠償請求を行うことができます。専用実施権設定後に、発明等が 他者に譲渡されても、ライセンスを継続して受け続けることができます(第三者対抗要件)。
他方、通常実施権は、専用実施権のような独占的排他的権利でなく、対象となった発明等を単に実施することができる権利のことをいいます。
通常実施権者は、専用実施権者と異なり、許諾を受けた範囲内において無権限の他者が発明等を実施した場合であっても、差止請求や損害賠償請求を行うことはできません。
なお、産業財産権のうち特許・実用新案・意匠に関して、特許法等の改正(平成 23 年)前には、通常実施権者が第三者対抗要件を備えるためには、特許庁への設定登録が必要でしたが、当該改正により、通常実施権の当然対抗制度が導入され、通常実施権について特許庁へ設定登録をしなくても第三者対抗要件を備えることになりましたので、特許庁への設定登録の必要がなくなりました。もっとも、商標に関しては、現在でも、第三者対抗要件を備えるためには、特許庁への設定登録が必要です。
【第三者対抗要件】 第三者対抗要件とは、すでに効力の生じている権利関係の変動などを第三者に主張するための要件のことをいいます。第三者対抗要件を備えていれば、産業財産権をライセンスされているライセンシーは、例えライセンサーがその権利を他者に譲渡等を行ったことにより、ライセンサーが別の権利者に変わった場合でも、引き続き発明等の実施を続けることができます。 通常実施権の当然対抗制度について、後記「2.13)通常実施権者・仮通常実施権者がいるのにライセンサーが別の者に専用実施権・仮専用実施権を許諾した場合、通常実施権者・仮通常実施権者の立場はどうなりますか」(37ページ)をご参照くだ さい。 |
また、通常実施権には実務上、独占的通常実施権と非独占的通常実施権があります。これは、法律上の区分ではなく、契約実務上使用する用語です。独占的通常実施権が許諾された場合、ライセンサー及びライセンシーしか実施することはできませんが、非独占的通常実施権の場合、権利者は、更に別の者にも実施許諾することができ、複数のライセンシーが実施することができます。
専用実施権と通常実施権の内容を比較すると以下の表の通りとなります。
専用実施権と通常実施権の対比表
視点 | 専用実施権 | 通常実施権 |
ライセンサー (実施権を与えることができる者) | ・権利者のみが専用実施権をライセンスできる。 | ・権利者・専用実施権者いずれも通常実施権をライセンスできる。ただし、専用実施権者による場合 は、権利者の承諾が必要となる。 |
原簿への設定登録 (登録免許税が必要) | ・設定登録により専用実施権と第三者対抗要件の効力が発生する。 | ・特許・実用新案・意匠については設定登録をしなくても第三者へ対抗できる(法定)。 ・商標については設定登録により第 三者対抗要件の効力が発生する。 |
第三者への請求 | ・差止請求や損害賠償請求を行うことができる。 | ・差止請求や損害賠償請求を行うことができない。(なお、独占的通常実施権者は、損害賠償請求権が認 められる。) |
ライセンサーの 自己実施権の留保 | ・ライセンサーは、専用実施権の 設定範囲については実施ができない。 | ・ライセンサーは、実施権設定後も自身で実施ができる。 |
ライセンスの重複の可否 | <設定登録前> ・通常実施権を誰かにライセンスした後に、専用実施権を新たにライセンスすることはできる。 <設定登録後> ・専用実施権の設定後、その設定範囲については、専用実施権と通常実施権の別にかかわらず、ライセンスすることはできない。 | ・権利者は、非独占的通常実施権の許諾後、その許諾の範囲についても、専用実施権又は通常実施権をライセンスできる。 |
サブライセンス (再実施権) | ・権利者の承諾が必要となる。 | ・権利者の承諾が必要となる。 ・専用実施権についての通常実施権 にあっては、権利者及び専用実施権者の承諾も必要となる。 |
企業間のビジネスにおいては、短期間で契約交渉や契約締結後の柔軟な事業戦略の観点などから、手続きの煩雑さが伴う専用実施権の設定という方法を採らない傾向にあるといわれています。それに代わり、「独占的」又は「非独占的」という契約上のカテゴリーにより、契約条件を定めることが多いといわれており、この場合には、独占的通常実施権又は非独占的通常実施権の用語により契約条項を規定することになります。
専用実施権の設定登録登状況については、下表をご参照ください。
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
特許権 | 112 | 129 | 170 |
実用新案権 | 2 | 3 | 2 |
意匠権 | 18 | 8 | 3 |
商標権 | 193 | 141 | 276 |
【専用実施権の設定登録状況】(特許行政年次報告書 2021 年版)
海外との英文契約において、「Exclusive License to use the Technology to manufacture and sale the Products」のように、単に独占的実施権を許諾する意味で表現することがありますが、わが国の専用実施権と解する人もいますから、ライセンサーも実施できる場合は、契約書にその旨を明確に規定することにより、将来のトラブルを避ける必要があります。
11)仮専用実施権/仮通常実施権とは何ですか
ポイント:出願中の産業財産権(特許・実用新案・意匠)も実施権の設定ができる権利 のことです。ただし、仮専用実施権が認められているのは特許権のみです。
特許法等の改正(平成 21 年)がなされる前は、特許権として権利が確定している場合のみ専用実施権/通常実施権の特許庁への設定登録が認められ、特許権として権利が確定していない出願中の段階では、設定登録が認められていませんでした。
しかし、企業間のビジネスにおいて、出願中の段階でも特許を受ける権利について第三者にライセンスを行うニーズがあることから、同改正により、出願中であっても特許を受ける権利を第三者にライセンスすることができるように、仮専用実施権/仮通常実施権の設定登録制度が創設されました。これにより出願中の特許を受ける権利も第三者に対抗できる制度が確立され、ライセンシーの保護がはかれるようになりました。
その後、特許法等の改正(平成 23 年)により、特許を受ける権利に加えて実用新案登録を受ける権利と意匠登録を受ける権利についても仮通常実施権の制度が導入されました
(商標登録を受ける権利は、含まれていません。)。なお、実用新案登録を受ける権利と意匠登録を受ける権利については、仮専用実施権の制度は設けられませんでした。
更に、特許法等の改正(平成 23 年)においては、通常実施権と同様に仮通常実施権につ
いても当然対抗制度が導入されましたので、特許法等の改正(平成 23 年)以降は、いずれの場合も仮通常実施権設定登録申請を行う必要がなくなりました。
当然対抗制度及び第三者対抗要件については、上記「2.10)専用実施権と通常実施権の違いは何ですか」(34 ページ)及び後記「2.13)通常実施権者・仮通常実施権者がいるのにライセンサーが別の者に専用実施権・仮専用実施権を許諾した場合、通常実施権者・仮通常実施権者の立場はどうなりますか」(37 ページ)をご参照ください。
【仮専用実施権の設定登録状況】(特許行政年次報告書 2021 年版)
仮専用実施権の設定登録登状況については、下表をご参照ください。
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
特許を受ける権利 | 39 | 43 | 24 |
12)通常実施権・仮通常実施権における独占的と非独占的の違いは何ですか
ポイント:複数の者に通常実施権を許諾できるかどうかという点で違いがあります。 通常実施権・仮通常実施権に関しては、契約において、ライセンサーがライセンシーに
対して独占的又は非独占的通常実施権の形態でライセンスすることがあります。これは法律上の定めではなく実務上の取り決めです。
独占的通常実施権者・独占的仮通常実施権者となるのは、ライセンシーが自分以外にライセンスをされては困る場合等に、ライセンサーに対し、ライセンサーが他の者にライセンスしないことを約束させ、自分だけがただ一つの通常実施権・仮通常実施権のライセンスを受けることとなるライセンシーです。この場合、ライセンサーが自己の実施権を留保するケースとしないケースとがあります。
そして、これ以外の通常実施権・仮通常実施権のライセンスを受けることとなるライセンシーを非独占的通常実施権者・非独占的仮通常実施権者といいます。非独占的通常実施権・非独占的仮通常実施権の場合は、ライセンサーがライセンシーによる産業財産権に基づく実施を承認するだけで、ライセンサーが自ら実施することも他に複数のライセンシーにライセンスすることも何ら制限されるものではありません。
一般に、契約書で特約がなく通常実施権・仮通常実施権と規定があれば、非独占的通常実施権・非独占的仮通常実施権を意味するものと理解されます。
実施権相互の関係については、次の「実施権の関係図」をご参照ください。
【実施権の関係図】
専用実施権
ライセンス
(実施権)
独占的通常実施権
通常実施権
非独占的通常実施権
13)通常実施権者・仮通常実施権者がいるのにライセンサーが別の者に専用実施権・仮専用実施権を許諾した場合、通常実施権者・仮通常実施権者の立場はどうなりますか
ポイント:特許・実用新案・意匠に関しては、通常実施権・仮通常実施権について当然 対抗制度が導入されましたので、通常実施権者・仮通常実施権者は引き続き発明等を実施することができます。商標に関しては、設定登録していなければ使用できません。特許法等の改正(平成 23 年)により特許・実用新案・意匠に係る通常実施権・仮通常実
施権について当然対抗制度が導入されましたので、通常実施権者・仮通常実施権者は、それまでライセンスされていた権利に基づき発明等の実施を続けることができます。
【通常実施権・仮通常実施権の当然対抗制度】
通常実施権・仮通常実施権の当然対抗制度とは、通常実施権者・仮通常実施権者が特許庁に設定登録申請を行うことなく、通常実施権・仮通常実施権の存在を立証することにより、その通常実施権・仮通常実施権について第三者対抗要件を備えることができるとする制度です。第三者対抗要件については、34ページをご参照ください。
商標は、当然対抗制度が導入されていませんので、ライセンシーが第三者に対して対抗
するためには、通常使用権・仮通常使用権の特許庁への設定登録が必要となります。
なお、専用実施権・通常実施権については、上記「2.10)専用実施権と通常実施権の違いは何ですか」(34 ページ)をご参照ください。
また、仮専用実施権・仮通常実施権については、「2.11)仮専用実施権/仮通常実施権とは何ですか」(36 ページ)をご参照ください。
14)出願中と権利成立後では、権利はどうなりますか。また、契約にあたっては何に留意すればよいですか
ポイント:出願中と権利成立後では権利の範囲が変わることがあります。出願中と権利 成立後の実施権の許諾では、契約条件が変わることがありますが、基本的には同等の扱いと考えてよいでしょう。
出願中の権利として法律上規定されるものとして次のものがあげられます。
特許について、出願者は、出願公開された後、特許権設定登録までに、当該発明を無断で実施している者に対して警告をしておくことにより、特許権設定登録後に、補償金請求権を行使することができます。
商標について、出願者は、商標登録出願後、当該商標を無断で使用している者に対して警告することにより、商標権設定登録後に、金銭的請求権を行使することができます。
出願中の段階で契約条件を検討する際には、権利範囲(特許請求の範囲等)が確定していない状況であることから、契約対象範囲等について想定と異なる場合があることも考慮に入れて検討することが必要です。
また、出願中には、公開される前の段階と公開された後の段階とがある点も考慮に入れる必要があります。公開前についての留意点については、次の「15」公開される前の産業財産権をライセンスする際の留意点を教えてください」をご参照ください。
なお、産業財産権のうち、特許と商標については出願公開制度がありますが、実用新案と意匠については、出願公開制度はありませんので、留意してください。
15)公開される前の産業財産権をライセンスする際の留意点を教えてください ポイント:公開前の産業財産権も実施許諾の対象となります。秘密保持に特別の考慮を払う必要があります。
公開前の産業財産権は、権利範囲が確定していない状態であり、かつ、出願の内容は公開されていない状態にあります。
このような状況において、ライセンス希望者に発明等の内容を説明又は開示する場合には、ライセンス希望者に秘密保持義務を負わせる必要があります。
また、出願書類は秘密性のある資料として位置付けられるので、その内容を開示し使用を許諾する場合には、ノウハウ契約の対象として扱う必要があります。
ただし、公開された後は出願書類が秘密性のある資料から秘密性がない資料としての位置付けになりますので、秘密保持条項にその旨の配慮が必要となります。
16)オプション契約とは何ですか
ポイント:予約契約のことです。
当事者の一方が、相手方に、自分の持っている技術情報・図面等を開示・提供して、相手方に事業化の可能性について評価させて、オプション期間内に実施許諾等を受けるか否かの選択権(オプション)を与える契約をいいます。
相手方は、オプション期間内に限り、上記技術情報・図面等を上記目的のみに使用する権利を有し、オプション期間経過後は、原則としてその権利を失います。
オプション契約は、その締結時点で、将来締結することとなるライセンス契約(本契約ともいいます。)の内容が確定している場合と確定していない場合とがあります。
契約内容が確定している場合は、当該オプション契約書にライセンス契約書(本契約書)が添付され、相手方がオプションを行使すれば直ちにライセンス契約(本契約)が成立し ます。
契約内容が確定していない場合は、オプションの行使にあわせ、ライセンス契約(本契約)の内容について当事者間で協議し、確定しなければなりません。
17)不実施補償契約とは何ですか
ポイント:共有特許において、実施しない当事者に対価を補償する契約のことです。 不実施補償契約とは、共有特許において、一方の当事者のみが実施をする場合に、実施
しない当事者に対価の支払い等を補償する契約をいいます。例えば、大学と企業が共同発明をして 1 つの特許権を共有しているときに、企業側のみが特許の実施をする場合が該当します。また、企業同士の共同発明でも、発明を実施し製品を製造するメーカー企業と製造された製品を利用するユーザー企業との共同発明の場合でも同様の事態が生じます。
いずれの場合も、共同して完成した研究成果のメリットを一方の当事者のみが得る結果になっているので、共有者の合意により、他の共有者に対して対価を払うことにより、両者の利益を均衡させるために不実施補償契約が締結されるのです。
なお、不実施補償として授受される対価は、例えば、持分割合が均等の場合は、一般に第三者にライセンスする場合に採用される実施料に不実施者の持分割合の1/2 を乗じた金額を不実施補償料とする例などがあります。
近年、契約当事者間の共有特許を効果的に活用する観点から、不実施補償契約の対価は、これまで多く用いられた金銭補償に限定せずに、契約当事者間の権利義務を総合的に考慮 して決定する方向にあります。
不実施補償契約の対価検討の要素として、次のものがあげられます。
①金銭補償 ②権利持分の譲渡 ③独占的通常実施権の許諾 ④通常実施権の許諾 ⑤再実施権の許諾 ⑥優先的交渉権の供与 ⑦出資 ⑧これらの組合せ |
また、共有特許実施契約という形で契約することもあります。
さらに、公的研究機関においては企業との連携、成果の普及を加速するため、共有知財の取扱い方針を見直し、不実施補償を廃止したところもあります。
18)サブライセンス(再実施権)と下請けの違いは何ですか
ポイント:実施権者は、権利者の実施許諾がなければ、第三者にサブライセンスをする ことができませんが、一定の条件の下での下請けは、実施権者の実施行為と認められ、権利者の許諾を必要としないとされています。
サブライセンス(再実施権)とは、許諾者が実施権者と締結した契約(主契約)において、実施権者が第三者に主契約の範囲内において、実施権を許諾する権利をいいます。
実施権者が子会社に実施させる場合も、再実施権のないときは、実施させることはできません。
一方、下請けは次の要件を全部備えている場合は、許諾者の承諾がなくても、実施権者は、特許製品の全部または一部を第三者に実施できるとされています。
この場合の製造を特に下請製造といいます。
① 実施権者が下請製造業者に工賃を支払うこと |
② 実施権者が原材料の購入、品質管理等について下請製造業者を指揮、監督すること |
③ 実施権者が下請製造業者から製品の全部を引き取ること |
以上のように、下請製造業者は、実施権者の一機関として許諾特許を実施するに過ぎませんが、再実施権者は実施者とは別個独立の責任において許諾特許を実施する点で、大きな違いがあります。
19)ライセンス契約の対価の算定方法について教えてください
ポイント:無償の実施許諾を除き、権利者(ライセンサー)は実施権者(ライセンシー) から何らかの対価を得るわけですが、その方式は様々なものがあります。
対価(ロイヤルティ)をいくらにし、どのような方法で支払うのかはライセンス契約に おいて重要なことです。しかし、対価の決め方については確立した算定方法はありません。
最終的には、権利者(ライセンサー)と実施権者(ライセンシー)の力関係や交渉力によるといわれていますが、産業界の場合、販売価格の3~5%を対価として実施権者(ライセンシー)が支払うのが平均的のようです。
以下に支払方法を例示します。
① 実績を考慮しない対価( 定額実施料 Fixed Sum Royalty) | ・ライセンスの実績に関係なく決まる固定額を一定の対価として払うものをいいます。 ・頭金(Initial Payment又はDown Payment)、一時金、一括金(Lump Sum)、定額実施料(Fixed Sum Royalty)等様々な名称で呼ばれています。 |
② 実績を考慮した対価 ( 経 常 実 施 料 Running Royalty) | ・ライセンスの実績に比例した額を支払うもので、実施料率に基づいて一定の対価を支払うものです。 ・販売価格の○%相当額を支払う方式(料率法)と、製品 1個あたり○円を支払うという方式(従量法)の2つがあります。 ・また、経常実施料(ランニングロイヤルティ)の前払金としてあらかじめ一定額を支払っておき、実績が上がるたびに前払金から差し引いていく前払実施料方式があり ます。 |
特許権のロイヤルティ料率に関して、下表をご参照ください。
【特許権のロイヤルティ料率の平均値】
(出典)「知的財産の価値を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究報告書
~知的財産(資産)価値及びロイヤルティ料率に関する実態把握~本編 平成 22 年 3 月 帝国データバンク」 要約 vii ページ
平成 21 年度特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書
20)最低実施料(ミニマムロイヤルティ)とはどういう意味ですか
ポイント:ライセンサーがロイヤルティとして受け取る最低実施料のことです。
実施許諾契約等において、ある期間中に発生する実績実施料が契約で定めた実施料額に達しないときには、ライセンサーは、その差額をライセンシーに保証してもらうことを決めることになります。これを最低実施料(ミニマムロイヤルティ)といいます。
ライセンサーの立場としては、せっかく実施許諾契約等をしたのですから、最低保証となる金額を要求することになりますが、ライセンシーとしては、契約で定めた実施料額に達しない場合は、差額を保証しなければなりませんので、お互いに納得した形でミニマム条項を設けるかどうかを判断することが大切です。
21)正味販売価格(純販売価格)とは何ですか
ポイント:総販売価格から運賃、保険料、梱包費などを控除した価格のことです。
特許製品の売上げなどに比例して実施料を支払う場合(ランニングロイヤルティ)、簡単に販売価格の何%を実施料と決めることがあります。しかし、何の販売価格をベースにするのかによって実施料の額が変わることに注意してください。一般的には、正味販売価格
(純販売価格)の 3~5%を実施料として支払うことが多いようです。
特許権のロイヤルティ料率について、上記「2.19)ライセンス契約の対価の算定方法について教えてください」(40 ページ)をご参照ください。
正味販売価格(純販売価格)とは、総販売価格から運賃や保険料、梱包費などの経費を控除した販売価格のことです。控除できるものは一律には決まっていないので、契約交渉において、販売価格から控除するものを明確に決めておく必要があります。販売価格から控除できる経費が多ければ、実施料の額は少なくなります。
控除すべき諸経費として、運賃・保険料・梱包費・関税・代理店手数料などがあげられます。
22)ライセンス契約終了後に、契約に基づき開示されたノウハウを使用するとどうなりますか
ポイント:特約がない場合、契約終了後にノウハウを使用することは契約違反となり、
損害賠償等を請求される可能性があります。
ノウハウは、秘密性を有している限り、契約終了後においてもライセンシーは秘密保持の義務を負うとされています。実際の契約では、契約終了後にノウハウの使用を無期限又は一定期間禁止するのが普通です。このため、契約終了後にノウハウを使用した場合は、契約違反として損害賠償等を請求されることがあります。
なお、契約書の中には終了後のノウハウ使用の取扱いについて規定がない場合でも、契約終了後のノウハウは使用できないとする学説が主流を占めています。
開発途上国とのライセンス契約においては、契約終了後は自由に使用できるという法制度を採っている国もありますので、外国へのライセンス契約においては、十分に注意してください。
23)特許、実用新案、意匠の発明者、考案者、創作者(以下、発明者等)が実施許諾をすることはできますか
ポイント:発明者等が権利を他人に譲渡した場合は、実施許諾することはできません。
権利者になるのは出願人であって、発明者等ではありません。発明者等が特許を受ける 権利を他人に譲渡しその譲受人が出願した場合には、発明者等は、出願人になることはで きません(発明者等自身が出願人として出願した場合には、発明者等が出願人となります)。
したがって、出願人ではない発明者等は、その特許発明を実施することも、第三者に実施許諾をすることもできません。
発明者等の中には、譲渡した後もその発明を自由に実施できると誤解している人もいます。特に「職務発明」の適用を受ける企業や大学・研究機関の発明者等は、原則として、権利がありませんので、こうした者との契約においては、出願人であるかどうかの確認が必要です。
なお、特許法等の改正(平成 27 年)により、職務発明制度が改正され、使用者等の職務発明を原始的に所属機関に帰属させることができるようになっています。発明者等の所属機関の発明規程等に原始帰属の定めがある場合には、特に注意が必要です。
24)社長が個人で所有している産業財産権(出願中を含む。) を会社が契約当事者としてライセンス契約を締結する場合は、どうすればよいですか
ポイント:実施許諾対象の産業財産権の許諾権限を会社が持つことです。
社長が個人でなした発明については、自己が社長を務める会社への権利譲渡の手続きが煩雑なため、個人名義のままで権利化及びその維持を行っているケースがしばしば見受けられます。このような状況にある産業財産権(出願中を含む。)を、会社を契約当事者としてライセンス契約を締結する場合には、当該会社が当該産業財産権について実施許諾権限を有していることが必要となります。
会社が許諾対象の産業財産権について実施許諾権限を持つ方法としては、大別して、次の 2 つの方法が考えられます。
(2)個人(権利者)と会社とで契約を締結し、許諾対象の産業財産権の許諾権限を付与してもらう。
*専用実施権の許諾を受けると共に、第三者に対する通常実施権を許諾することについての承諾を得る。
*再実施許諾権限付の通常実施権の許諾を受ける。
(1)許諾対象の産業財産権について権利の譲渡を受ける。
いずれの形態にするかについては、実施許諾対象の産業財産権に係る事業の今後の展開及びライセンス先の意向等を勘案の上、権利者自らが決定する必要があります。また、いずれの形態においても、社長個人からの権利取得については、社内の取締役会における決議等の手続が必要となりますので留意が必要です。
25)ライセンサーが倒産した場合、許諾契約はどうなりますか
ポイント:特許・実用新案・意匠に関しては、ライセンサーが倒産してもライセンス契 約を継続できます。商標に関しては、設定登録がなければ継続は困難です。
産業財産権に関するライセンス契約の当事者であるライセンサーが破産した場合、破産管財人がライセンサーとライセンシー間の契約を解除すると、ライセンシーは大きな不利益を被ることになります。
破産法は「賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を設定する契約」について、対抗要件を備えている場合には、上記の解除等の規定(破産法 53 条 1 項 2 項)は適用しな
いと定めています(破産法 56 条)。これにライセンス契約が含まれます。そして専用実施
権については設定登録により対抗要件を備えていますし、特許法等の改正(平成 23 年)により、特許・実用新案・意匠に関しては、通常実施権についても当然対抗制度が導入されましたので、ライセンサーの倒産に伴い破産管財人からライセンス契約を一方的に解除されるおそれがなくなりました。
しかし、破産手続きが進み破産管財人によってライセンス対象となる権利が売却されることが予想されますので、新たな法律関係に留意が必要です。
商標に関しては、当然対抗制度はありませんので、通常使用権に関しては、特許庁への設定登録がなされなければ、破産管財人からライセンス契約を一方的に解除されるおそれが生じます。
なお、ライセンサーが破産した場合で、許諾を受けているノウハウの場合は、上記の保護はありませんので留意してください。
26)ライセンシーは、許諾契約において、製品をライセンサーの了解を得ないで輸出できますか
ポイント:輸出権があるかどうかの将来のトラブルを回避するため、契約書に輸出権の
有無、独占、非独占の区別を明確にしておくことです。
ライセンシーがライセンス契約の下で製造した製品を輸出する行為は、産業財産権の実施になります。上記「2.9)産業財産権の実施について教えてください。」(32 ページ)をご参照ください。
したがって、ライセンシーが当該製品をライセンサーの事前の了解なしに輸出することはできません。ライセンシーが輸出するためには、ライセンサーから輸出権を得ることが必要となります。
なお、ライセンサーがライセンシーに対し、当該技術を用いた製品を輸出することを禁 止する行為は、独占禁止法上原則として不公正な取引方法に該当しないとされていますが、ライセンサーの指定する事業者を通じて輸出する義務や、ライセンサーによる輸出数量の 制限あるいは価格制限は、独占禁止法上の問題も生じますので公正取引委員会に照会して ください。
27)産業財産権が共有とされている場合について教えてください
ポイント:共有者の一方は、他方の共有者の同意を得ないでも発明等を自由に実施できます。第三者へのライセンスには、共有者の同意が必要です。
共有特許の場合、共有者のいずれも、原則として他の共有者の承諾を得ないで特許発明 を実施できると特許法 73 条第 2 項に規定してあります。この条文は、実用新案法、意匠法、商標法でも準用されていますので、他の産業財産権でも同様の扱いとなります。
他方、共有の産業財産権を第三者にライセンスしようとする場合には、他の共有者の同意を得ないでこれを行うことはできません。
なお、共有者の一方が企業倒産した場合には、裁判所が関与する形での特別清算や破産手続きが進められます。共有の産業財産権の持ち分は、主体となる会社が存在しない訳ですから、清算人や破産管財人が管理することになります。清算人や破産管財人は、この産業財産権の持ち分を未清算の財産や残余財産として裁判所に申し立てて清算や残余財産の分配をすることになります。この手続きを完了して、初めて他の共有者が第三者に実施許諾する準備ができます。
この場合、他の共有者としては、当該特許権の持ち分を放棄してもらうか自らに譲渡してもらうことが望ましいでしょう。
いずれにしても、裁判所への申し立て費用等はかなりの金額がかかることに留意してください。
28)譲渡条項について教えてください
ポイント:ライセンサーによる譲渡とライセンシーによる譲渡について取り決めるのが 一般的です。
ライセンサーによる譲渡は、①対象の産業財産権の譲渡 ②契約の譲渡 ③契約に規定されている権利義務の譲渡、に分けることができます。
ライセンシーによる譲渡は、①契約の譲渡 ②契約に規定されている権利義務の譲渡、に分けることができます。
ライセンサーは、ライセンシーの承諾を得ないで対象の産業財産権を自由に第三者に譲渡できますが、ライセンサーが対象の産業財産権を譲渡する場合には、ライセンシーの承諾なしに第三者に譲渡した場合のライセンシーと第三者間のトラブルなども想定されますので、ライセンシーに譲渡の受諾の意向を確認する規定を設けることが考えられます。
また、ライセンサーによる第三者への契約の譲渡は、相続、合併のような一般承継の場合をのぞいて、ライセンシーの承諾が必要となります。
ライセンサーは、契約に規定されている義務を第三者に譲渡することは、原則として、できません。ライセンサーが契約に規定されている義務を第三者に譲渡しようとする場合は、ライセンシーの承諾が必要です。
一方、ライセンシーにおいても、第三者への契約の譲渡は、相続、合併のような一般承継の場合をのぞいて、ライセンサーの承諾が必要となります。
ライセンシーも、契約に規定されている義務を第三者に譲渡することは、原則として、できません。ライセンシーが契約に規定されている義務を第三者に譲渡しようとする場合は、ライセンサーの承諾が必要です。
なお、一般承継に関して、相続については民法 896 条を、合併・分割については会社法 2
条 27 号~30 号を、特許権の移転については特許法 98 条をご参照ください。
一般には、上記の点等を踏まえて、ライセンス契約書に次のような譲渡禁止条項を加えます。
第○○条(譲渡禁止)
甲及び乙は、本契約から生じる権利若しくは義務の全部又は一部を、相手方の書面による事前の承諾なしに、第三者に譲渡し又は担保に供してはならない。
29)ライセンサーの担保責任とはどういうことですか
ポイント:契約時点ですでに存在する対象の産業財産権に欠陥があるためにライセンシ ーが対象特許等を実施できない場合のライセンサーの責任をいいます。
ライセンサーの知らない無効事由のために、産業財産権の全部又は一部が消滅した場合で契約書に規定がない場合には、ライセンシーは、ライセンサーに対して契約を解約する権利とロイヤルティの減額を請求できます。また、ライセンサーが無効理由を知りながらライセンシーに告げなかった場合には、損害賠償も請求できます。
従来、上記の責任は、「瑕疵担保責任」として扱われてきましたが、民法の改正(令和 2
年 4 月 1 日から施行)により、「契約不適合責任」という考え方に代わりました。
「契約不適合責任」については、前記「1.(3)4)契約不適合責任について教えてく
ださい」(17 ページ)をご参照ください。
なお、実務上では、ライセンスの対象となった産業財産権が第三者の権利を侵害しないものであることを保証するか否かの局面で、次の例のように「担保責任」の用語を用いることもあります。
第〇条(第三者の権利侵害に関する担保責任) 甲は、乙に対し、本契約に基づく本製品の製造、使用若しくは販売が第三者の特許権、実用新案権、意匠権等の権利を侵害しないことを保証しない。 |
上記の担保責任を含めて、ライセンサーの保証責任というとらえ方もあります。
【ライセンサーの保証責任】 ①産業財産権の有効性の保証(正当な権利者であること、欠陥がないことの保証) ②第三者知的財産権の非侵害の保証 ③技術的効果の保証(製品などの成果物の保証、生産される量などの性能の保証) |
30)改良発明・改良技術とは何ですか。また取扱いはどうすればよいですか
ポイント:ライセンサー、ライセンシーが対象特許等に基づいてなした改良発明・改良 技術のことです。取扱いが不公平にならないようにします。
ライセンスの対象となった特許等に基づく製品や製造プロセスについての改良発明・改良技術のことをいいます。新規発明・新技術との区分けが必要となりますので、何に関する改良発明・改良技術かを特定することが大切です。
一般的には契約期間中に発生した改良発明・改良技術をライセンサー、ライセンシーのいずれの当事者も相手方に開示する義務はありませんが、実際の契約では、自分のなした改良発明・改良技術を相手方に開示し、実施させる取り決めが一般的です。
ライセンサーとライセンシーが相互に改良発明・改良技術を開示し合うことで、ライセンス契約の中で実質的に共同研究・共同開発を行う意味合いもあります。
ライセンシーのみがライセンサーに改良発明・改良技術を開示する義務を負うケースも有りますが、①ライセンサー又はライセンサーの指定する事業者に無償でその権利を帰属させる場合や、②ライセンサーに無償で独占的ライセンスをさせるような場合などは、ライセンサーとライセンシーとの間で改良発明・改良技術の取扱いについて不公平が生じ、独占禁止法上問題となりますので十分気をつける必要があります。
31)不争条項とは何ですか
ポイント:ライセンサーの産業財産権の効力を争わない旨を取り決めることです。
不争条項とは、直接、間接とを問わず、ライセンシーは、ライセンサーから許諾を受けている産業財産権についての効力を争ってはならないとの義務を課す条項のことです。
ライセンサーがライセンシーに対して、ライセンス技術に係る権利の有効性について争わない義務を課す行為は、独占禁止法上の不公正な取引方法に該当する場合もあるとされています。
なお、ライセンシーがライセンスを受けた権利の有効性を争った場合に、当該権利の対
象となっている技術についてのライセンス契約を解除する旨を定めることは、原則として不公正な取引方法に該当しないとされています(公正取引委員会「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」)。ただし、外国の法制度においては、不争条項は、必ずしも当然に合法的とは考えられていませんので、留意してください。
32)最恵待遇条項とは、どういうものですか
ポイント:ライセンサーが他のライセンシーに対し、先のライセンシーよりも有利な条 件でライセンスした場合、先のライセンシーにも有利な条件を享受できるようにする条項のことです。
非独占の実施許諾契約において、ライセンサーは、非独占の実施権を許諾した後にも第三者に同一の産業財産権につき、当該第三者にとって、より有利な条件で実施権を許諾することがあります。
このように、ライセンサーが他のライセンシーに対し、先のライセンシーよりも有利な条件でライセンス契約を締結した場合、先のライセンシーは、後のライセンシーよりも不利でない条件で競争できるように、ライセンサーに対し同等以上の待遇を申し入れ、これにライセンサーが応じる旨の規定を、あらかじめ先のライセンス契約で規定することがあります。これを最恵待遇条項といいます。
国内契約においては、最恵待遇条項を設けることは少ないように思われます。
33)完全合意条項とは何ですか
ポイント:契約締結前に取り交わした文書が無効になり、契約書が当事者の意思を解釈 する唯一の資料であることを取り決める条項のことです。
ライセンス契約等を締結する前に当事者間において取り交わした文書、メモ(口頭を含む。)が、ライセンス契約等を締結する際に、当該ライセンス契約書等に反映されなかった場合には、以前当事者で交わした文書等が無効になり、当該ライセンス契約等が当事者の意思を解釈する唯一の資料であることを取り決める条項をいいます。
国内契約においては、完全合意条項を設けることは少ないように思われます。
34)共同研究契約とは何ですか
ポイント:共同研究契約とは、特定の技術や製品の研究開発を他の企業等と共同で行う 場合に締結する契約をいいます。
技術の高度化に伴い、1 社だけの技術力や資金力では研究開発が難しくなってきていることから、他の企業・大学・研究機関と共同で研究開発を行うケースが増えています。共同研究を行う際に、不測の事態を避けるため、事前に双方の権利義務を定めておくための契約です。
規定する項目としては、研究目的、研究内容、研究分担、研究費用の分担、知的財産権等があげられます。
企業間での共同研究の相手方としては、次の型が考えられます。
〇垂直型→原料メーカーとそのユーザー(化学合成/医薬品) 部品メーカーと完成品メーカー(電気部品/自動車)
〇水平型→同種の企業(半導体機器メーカー等)
35)共同で研究開発する際の留意点を教えてください
ポイント:必ず書面で、万一に備え詳細に契約することです。
共同で研究開発を行う場合、単に口約束の下で行われたり、契約の内容が大まかで、成果物の帰属や産業財産権・ノウハウ情報の提供、守秘義務等の詳細が書面で定められていなかったりする場合もあります。トラブルが生じてから、あるいは不仲になってからでは遅いので、事前にできるだけ詳細に契約書に盛り込んでおくことが、紛争防止の観点から望まれます。
事業化を目指した最終製品に近い段階での共同研究開発では、当該研究開発が終了した後のマーケット対応も含めて、当事者間の権利義務を明確にすることが重要です。
36)共同研究で生まれた成果物(発明等)の取扱いについて教えてください
ポイント:当事者間で前もって明確に決めておく必要があります。
共同研究の成果をどちらに帰属させるかについて当事者同士の利害が対立し、争いになってしまうことがあります。このようなトラブルを未然に防ぐために、できるだけ明確な取り決めを共同研究契約書に規定しておくことが重要です。
例えば、次のような取り決めが考えられます。
・当事者が共同で作業して得られたものは、共有とする。 |
・相手方からもらった情報を利用して得られたものは共有とする。 |
・研究成果への各当事者の貢献を基に、共有持分を定める。 |
・発明等の維持管理費用の負担及び発明等利用対価の分配は、共有持分に基づき定 める。 |
・一方の当事者のみが共有特許を実施する場合は、実施しない当事者に補償金を支 払う。 |
・当事者は、相手方のみに帰属することになった成果を無償で実施できる。 |
共同研究によって得られた成果である特許等については、共同出願するのが一般的です。なお、共有特許等は、特別の約束がない限り、共有者が自由にその発明を実施できます。
その際、発明を実施しない企業・機関(大学、公的研究機関等)と発明を実施する企業との共有特許については、実施する企業が、不実施企業・機関に補償金を支払うことが少なくありません。
不実施企業・機関への対応に関しては、「2.17)不実施補償契約とは何ですか」(39ページ)をご参照ください。
また、第三者に実施許諾する場合は他の共有者の同意が必要となることに注意してください。これに関しては、「2.27)産業財産権が共有とされている場合について教えてください」(44 ページ)をご参照ください。
37)産業財産権と独占禁止法の関係について教えてください
ポイント:産業財産権を含む知的財産権の行使は、独占禁止法の適用除外になると考え られています。
独占禁止法第 21 条は、次の通り規定しています。
独占禁止法第21条 この法律の規定は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。 |
公正取引委員会は、この規定の下に、企業等の事業活動に伴う独占禁止法違反を未然に防止する観点から各種のガイドライン等を作成・公表しています。
知的財産との関係については、不公正な取引方法等関係のガイドライン等の一部として、次の 3 つのものがあります。
「共同研究開発に関する独占禁止法上の指針」(平成5年4月20日公表) |
「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」(平成19年9月28日公表) |
「標準化に伴うパテントプールの形成等に関する独占禁止法上の指針」 (平成17年6月29日公表) |
38)ソフトウェアの使用に関する契約について教えてください
ポイント:ソフトウェア(コンピュータプログラム及びそれを用いたシステム)に関す る権利を有している者が第三者に対し、当該権利に基づき、当該ソフトウェアの使用を許諾する契約のことをいいます。
ソフトウェア(コンピュータプログラム及びそれを用いたシステム)は、著作権による保護とともに特許権によっても保護されています。著作権はプログラムの表現を保護し、特許権はプログラムのアルゴリズムを保護するといわれています。
ソフトウェア使用許諾契約は、ソフトウェアに関する著作権や特許権を有している者が、第三者に対し、当該権利に基づき、当該ソフトウェアの使用を許諾する契約です。
ソフトウェア使用許諾契約の形式は、権利に基づく使用を許諾することに重点を置いた形の契約が一般的です。他方で、パッケージソフトのような場合に、ソフトウェアを体現する媒体(CD等)に重点をおいて、この媒体を製品と呼び、ソフトウェア譲渡契約の形式をとるものもあります。
契約に規定する項目としては、使用許諾契約の形式の場合、ソフトウェアの特定、使用の形態、製品の提供、対価、著作権者/特許権者、保証・免責等があげられます。譲渡契約の形式の場合、製品の引渡し・納入、契約不適合責任、複製の禁止等も規定されることもあります。
また、ソフトウェアの維持管理・バージョンアップ対応等の規定を盛り込むこともあります。
39)知的財産権に関わる契約等を行う上での契約書の雛形及び参考となる WEB サイトを紹介してください
ポイント:ここで紹介する契約書等はサンプルにすぎません。自己にとって適切かどう かという点を含め、必ず全条項の内容を確認してください。
ライセンス契約等を行う上で参考となる WEB サイトを紹介します。ただし、契約書の条項の内容は、個別具体的事情によって異なります。したがって、これらはあくまでサンプル(一例)に過ぎないことを十分に理解していただくとともに、全条項について、自らが契約の一方の当事者になる場合に適切な内容になっているかどうかを必ず確認してください。
【参考となる WEB サイト】
●知的財産取引検討会報告書 (経済産業省 中小企業庁)報告書のP61 以降に契約書雛形が掲載されています。
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/chizaitorihiki/2021/210331chizaito rihiki_report.pdf
●オープンイノベーションポータルサイト(経済産業省 特許庁)サイト上に各種モデル契約書が掲載されています。
https://www.jpo.go.jp/support/general/open-innovation-portal/index.html
●秘密情報の保護ハンドブック(経済産業省)
ハンドブックの参考資料 2 として「業務提携の検討における秘密保持契約書の例」が掲載されています。 https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/handbook/full.pdf
●秘密保持契約書(NDA)雛形(東北大学)
日本語及び英語の秘密保持契約書雛形が掲載されています。 https://www.rpip.tohoku.ac.jp/jp/information/himitsu