Contract
中華人民共和国契約法(技術契約部分)
第十八章 技術契約第xx 一般規定
第三百二十二条 技術契約は、当事者が技術の開発、譲渡、コンサルティング又はサービスについて締結する、相互間の権利及び義務を確立する契約である。
第三百二十三条 技術契約の締結は、科学技術の進歩並びに科学技術成果の移転、応用及び普及に寄与しなければならない。
第三百二十四条 技術契約の内容は、当事者が取決めをする。一般的には次の条項を含む。
(一)プロジェクト名称
(二)標的とする内容、範囲及び要求
(三)履行の計画、進度、期限、地点、地域及び方式
(四)技術情報及び資料の秘密保持
(五)起こりうる危険の責任負担
(六)技術成果の帰属及び収益の分配方法
(七)検査の上引き取る際の標準及び方法
(八)代価、報酬又は使用料並びにそれらの支払方法
(九)違約金又は損失賠償の計算方法
(十)紛争解決の方法
(十一)名詞及び用語の解釈
契約履行に関連する技術背景資料、実行可能性についての論拠及び技術評価報告、プロジェクト任務書及び計画書、技術標準、技術規格、プロトコル設計及び製法書類並びにその他の技術書類は、当事者の取決めに基づいて、契約の構成部分とすることができる。
技術契約が特許に係るときは、発明創造の名称、特許出願人及び特許権者、出願日、出願番号、特許番号及び特許権の有効期限を明記しなければならない。
第三百二十五条 技術契約の代価、報酬及び使用料の支払方法を当事者が取り決めるときは、一次精算一括払い又は一次精算分割払いを採用することができ、ランニングロイヤリティ又は頭金付きランニングロイヤリティの方式を採用することもできる。
ランニングロイヤリティを取り決めるときは、製品の価格、特許の実施及び技術秘密の使用の後に新たに増加する生産額若しくは利潤、又は製品の販売額の一定の比率に基づいてロイヤリティを決定することができ、取り決められたその他の方式に基づいて計算することもできる。ロイヤリティ支払いの料率は、固定料率、逐年増加料率又は逐年減少料率を採用することができる。
ロイヤリティ支払いを取り決めたときは、当事者は契約において関連する会計帳簿を調べる方法を取り決めなければならない。
第三百二十六条 職務技術成果の使用権及び譲渡権は、法人又はその他の組織に属し、法人又はその他の組織は当該職務技術成果について技術契約を締結することができる。法人又はその他の組織は、当該職務技術成果の使用及び譲渡によって取得した収益の中から一
定の割合を取り出して、当該職務技術成果を完成させた個人に奨励又は報酬を与えなけれ ばならない。法人又はその他の組織が技術契約を締結して職務技術成果を譲渡する際には、職務技術成果を完成した者は、同等の条件で優先的に譲り受ける権利を享有する。
職務技術成果は、法人又はその他の組織の職務を執行し、又は主に法人又はその他の組織の物質的又は技術的な条件を利用して完成させた技術成果である。
第三百二十七条 非職務技術成果の使用権及び譲渡権は、技術成果を完成させた個人に属し、技術成果を完成させた個人は、当該非職務技術成果について技術契約を締結することができる。
第三百二十八条 技術成果を完成させた個人は、関連する技術成果の書類上に自らが技術成果を完成させた者であると明記する権利並びに栄誉証書及び奨励を取得する権利を有する。
第三百二十九条 不法に技術を独占し、技術進歩を阻害し、又は他人の技術成果を侵害する技術契約は無効とする。
第二節 技術開発契約
第三xx十条 技術開発契約とは、当事者間で新技術、新製品、新製法又は新材料及びそれらのシステムの研究開発について締結する契約をいう。
技術開発契約には、委託開発契約及び共同開発契約が含まれる。技術開発契約は、書面形式を採用しなければならない。
当事者間において産業応用価値のある科学技術成果の実施及び移転について締結する契約は、技術開発契約の規定を参照する。
第三xx十一条 委託開発契約の委託者は、取決めに従って研究開発経費及び報酬を支払い、技術資料及び原始データを提供し、協力事項を完成させ、研究開発の成果を受け取らなければならない。
第三xx十二条 委託開発契約の研究開発者は、取決めに従って研究開発計画を制定し、及び実施し、研究開発経費を合理的に使用し、期限どおりに研究開発業務を完成させて研究開発成果を提出し、関連する技術資料及び必要な技術指導を提供して、委託人が研究開発成果を理解できるよう協力しなければならない。
第三xx十三条 委託者は、取決めに違反して研究開発業務の停滞、遅延又は失敗を招いたときは、違約責任を負わなければならない。
第三xx十四条 研究開発者は、取決めに違反して研究開発業務の停滞、遅延又は失敗を招いたときは、違約責任を負わなければならない。
第三xx十五条 共同開発契約の当事者は、取決めに従って、技術による投資を含む投資を実施し、研究開発業務に分業参与し、研究開発業務に協力しなければならない。
第三xx十六条 共同開発契約の当事者は、取決めに違反して研究開発業務の停滞、遅延又は失敗を招いたときは、違約責任を負わなければならない。
第三xx十七条 技術開発契約の標的としての技術が既に他人経由で公開されていることにより、技術開発契約の履行に意義がなくなっているときは、当事者は契約を解除することができる。
第三xx十八条 技術開発契約の履行過程において、克服できない技術的困難が発生したことにより、研究開発が失敗又は部分的失敗に至ったときは、当該危険の責任は、当事者の取決めによる。取決めがなく、又は取決めが不明確であり、この法律第六十一条の規定に基づいても依然として決定することができないときは、危険の責任は当事者が合理的に分担する。
当事者の一方が前項に規定する研究開発が失敗又は部分的失敗に至る恐れがある状況を発見したときは、速やかに他方に通知し、かつ、損失を減少させる適当な措置を取らなければならない。速やかに通知せず、適当な措置も取らずに、損失の拡大を招いたときは、拡大した損失について責任を負わなければならない。
第三xx十九条 委託開発によって完成した発明創造については、当事者が別途取決めをしている場合を除き、特許を出願する権利は、開発研究者に属する。開発研究者が特許権を取得したときは、委託者は、無償で当該特許を実施することができる。
研究開発者が特許出願権を譲渡するときは、委託人は同等の条件で優先的に権利を譲り受ける権利を享有する。
第三百四十条 共同開発によって完成した発明創造については、当事者が別途取決めをしている場合を除き、特許を出願する権利は、共同開発契約の当事者が共有する。当事者の一方が、その者が共有する特許出願権を譲渡するときは、その他の共有者は同等の条件で優先的に権利を譲り受ける権利を享有する。
共同開発の当事者の一方が、その者が共有する特許出願権を放棄する声明をしたときは、他方は、単独で出願し、又はその他の者と共同で出願することができる。出願人が特許権 を取得したときは、特許出願権を放棄した一方は、無償で当該特許を実施することができ る。
共同開発の当事者の一方が特許出願に同意しないときは、他方又はその他の者は、特許出願をすることができない。
第三百四十一条 委託開発又は共同開発によって完成した技術秘密成果の使用権及び譲 xx並びに利益の分配方法は、当事者の取決めによる。取決めがなく、又は取決めが不明 確であり、この法律第六十一条の規定に基づいても依然として決定することができないと きは、当事者は何れも使用及び譲渡する権利を有する。但し、委託開発の研究開発者は、委託者に研究開発の成果を引き渡す前には、研究開発成果を第三者に譲渡してはならない。
第三節 技術譲渡契約
第三百四十二条 技術譲渡契約には、特許権の譲渡、特許出願権の譲渡、技術秘密の譲渡、特許実施許諾の契約が含まれる。
技術譲渡契約は、書面形式を採用しなければならない。
第三百四十三条 技術譲渡契約では、譲渡人及び譲受人が特許を実施し、又は技術秘密を使用する範囲を取り決めることができる。但し、技術の競争及び技術の発展を制限してはならない。
第三百四十四条 特許実施許諾契約は、当該特許権の存続期間内でのみ有効とする。特許権の有効期間が満了し、又は特許権が無効宣告されたときは、特許権者は、当該特許について他人と特許実施許諾契約を締結してはならない。
第三百四十五条 特許実施許諾契約の譲渡人は、取決めに従って、譲受人に特許の実施を許諾し、特許を実施するための関連する技術資料を引き渡し、必要な技術指導を提供しなければならない。
第三百四十六条 特許実施許諾の譲受人は、取決めに従って特許を実施しなければならず、取り決められた以外の第三者に当該特許の実施を許諾してはならず、かつ、取決めに従っ て使用料を支払わなければならない。
第三百四十七条 技術秘密契約の譲渡人は、取決めに従って、技術資料を提供し、技術指導を行い、技術の実用性及び信頼性を保証し、秘密保持義務を負わなければならない。
第三百四十八条 技術秘密譲渡契約の譲受人は、取決めに従って、技術を使用し、使用料を支払い、秘密保持義務を負わなければならない。
第三百四十九条 技術譲渡契約の譲渡人は、自らが提供に係る技術の合法的な所有者であることを保証し、かつ、提供に係る技術が完全で、誤りがなく、有効で、取決めの目標を達成することができることを保証しなければならない。
第三百五十条 技術譲渡契約の譲受人は、取決めの範囲及び期限に従って、譲渡人が提供した技術中の未公開の秘密部分について、秘密保持義務を負う。
第三百五十一条 譲渡人が取決めに従って技術を譲渡していないときは、一部又は全部の使用料を変換しなければならず、かつ、違約責任を負わなければならない。特許の実施若しくは技術秘密の使用が、取決めの範囲を超えたとき、又は取決めに違反して無断で第三者に当該特許の実施若しくは当該技術秘密の使用を許諾したときは、違約行為を停止し、違約責任を負わなければならない。取決めの秘密保持義務に違反したときは、違約責任を負わなければならない。
第三百五十二条 譲受人が取決めに従って使用料を支払っていないときは、使用料を支払い、かつ、取決めに従って違約金を支払わなければならない。使用料を支払わず、又は違約金を支払わないときは、特許の実施又は技術秘密の使用を停止して、技術資料を返還し、違約責任を負わなければならない。特許の実施又は技術秘密の使用が取決めの範囲を超えたとき、譲渡人の同意を得ずに無断で第三者に当該特許の実施又は当該技術秘密の使用を許諾したときは、違約行為を停止して、違約責任を負わなければならない。取決めの秘密
保持義務に違反したときは、違約責任を負わなければならない。
第三百五十三条 譲受人が取決めに従って、特許を実施し、又は技術秘密を使用して、他人の合法的な権益を侵害したときは、譲渡人が責任を負う。但し、当事者が別途取決めをしている場合は、この限りでない。
第三百五十四条 当事者は相互利益の原則に基づいて、技術譲渡契約において、特許の実施又は技術秘密の使用による後続の改良技術成果についての利益分配方法を取り決めることができる。取決めがなく、又は取決めが不明確であり、この法律第六十一条の規定に基づいても依然として決定することができないときは、一方の後続の改良技術成果については、他方の者は利益分配を受ける権利を有しない。
第三百五十五条 法律又は行政法規が技術輸出入契約又は特許若しくは特許出願の契約について、別途規定しているときは、それらの規定に従う。
第四節 技術コンサルティング及び技術サービス契約
第三百五十六条 技術コンサルティング契約には、特定の技術プロジェクトについての実行可能性の論拠、技術予測、特定テーマについての技術調査、分析評価報告等を提供する契約が含まれる。
技術サービス契約とは、当事者の一方が技術知識をもって他方の特定の技術課題を解決するために締結する契約をいい、建設工事契約及び請負契約は含まれない。
第三百五十七条 技術コンサルティング契約の委託人は、取決めに従って、コンサルティングに係る問題を明確に述べ、技術背景資料並びに関連する技術資料及びデータを提供しなければならず、受託人の業務成果を受け取ったときは、報酬を支払わなければならない。
第三百五十八条 技術コンサルティング契約の受託人は、取決めの期限に従って、コンサルティング報告又は問題の解答を完成させなければならない。提出するコンサルティング報告は、取決めの要求に達していなければならない。
第三百五十九条 技術コンサルティングの委託人は、取決めに従って必要な資料及びデータを提供せず、業務の進度及び質に影響を及ぼし、業務成果を受け取らず、又は期限を過ぎても受け取らない場合には、支払った報酬を取り戻してはならず、未払いの報酬は支払わなければならない。
技術コンサルティング契約の受託人は、期限に従ってコンサルティング報告を提出せず、又は提出したコンサルティング報告が取決めに適合していないときは、報酬の減免等の違 約責任を負わなければならない。
技術コンサルティング契約の委託人が、取決めに適合する受託人のコンサルティング報告及び意見に従って方策を決定したことにより招いた損失は、委託人が負担する。但し、当事者が別途取決めをしている場合は、この限りでない。
第三百六十条 技術サービス契約の委託人は、取決めに従って、業務の条件を提供し、協力事項を完成させ、業務成果を受け取って報酬を支払わなければならない。
第三百六十一条 技術サービス契約の受託人は、取決めに従って、サービスプロジェクトを完成させ、技術課題を解決し、業務の質を保証し、かつ、技術課題を解決する知識を伝授しなければならない。
第三百六十二条 技術サービス契約の委託人は、契約の義務を履行せず、又は契約の義務の履行が取決めを満たさず、業務の進度及び質に影響を及ぼし、業務成果を受け取らず、又は期限を過ぎても受け取らないときは、支払った報酬を取り戻してはならず、未払いの報酬は支払わなければならない。
技術サービス契約の受託人は、契約の取決めに従ってサービス業務を完成させなかったときは、無報酬等の違約責任を負わなければならない。
第三百六十三条 技術コンサルティング契約又は技術サービス契約の履行中に、受託人が委託人の提供した技術資料及び業務条件を利用して完成させた新たな技術成果は、受託人に帰属する。委託人が受託人の業務成果を利用して完成させた新たな技術成果は、委託人に帰属する。但し、当事者が別途取決めをしているときは、その取決めに従う。
第三百六十四条 法律又は行政法規が技術仲介契約又は技術育成契約について別途規定をしているときは、それらの規定に従う。