Contract
4. 官民xxxに際しての公契約のあり方
ケーススタディの結果を踏まえ、官民xxxを行う際の公契約のあり方について整理を行った。
1)民間事業者公募について
官民xxxを行う民間事業者を選定する際には、xx性の観点から原則として公募とすることが望ましいと考えられる。また、公募にあたっては、契約書(案)などを募集要項に添付して事前に提示し、契約条件の考え方を民間事業者に理解してもらうことも重要である。
2)事業の継続性について
長期安定的に事業を継続させるため、民間事業者の選定にあたっては、参加資格要件などを設け、応募者は安定的な経営基盤を持っているのか、過去に類似施設の運営実績を持っているかなどを検証しておくことが重要である。また、契約条件として、民間施設の用途は公序良俗に反しないこと、公共施設との相乗効果が高いことなどが求められ、適切な用途として継続させるよう義務づけることも重要である。
3)事業の可変性について
民間施設の用途について継続性が求められる反面、民間事業者の採算性を確保するためには、社会ニーズの変化に合わせて事業内容を変更できる契約条件とすることも重要である。例えば、当初提案した民間施設の用途は、当初 5 年間は継続を求めるが、5 年以降は地方公共団体との協議により変更できる契約条件などが考えられる。
4)民間事業者の倒産、撤退リスクについて
事業が長期にわたる場合には、民間事業者が倒産する、あるいは収支悪化により事業から撤退するなどのリスクが想定される。こうしたリスクを回避するためには、民間事業者の経営状況を定期的にモニタリングしたり、履行保証金を事前に徴収することなども重要である。また、応募者には、バックアップサービサー(事業者が破綻した場合に事業を引き継ぐ者)を事前に確保するように求めることも考えられる。
5)民間事業者の収益向上について
民間事業者からよい提案を引き出すためには、民間事業者の収益性を確保しやすい契約条件とすることが重要であり、できるだけ民間事業者に裁量権を持たせることが重要である。また、民間事業者に対して公共施設と民間施設との一体的な維持管理運営を依頼する場合には、要求水準書などにおいて、仕様発注ではなく性能発注として民間の創意工夫を発揮しやすい契約条件とすることも重要である(例:維持管理において「清掃は 1 日●回以上」と定めず、「清潔さの利用者満足度が●%以上」と定める等)。
6)公共サービスの停止及び売却について
将来的に、住民の減少や少子高齢化等により公共サービスのニーズが変化し、公共サービスの停止が求められる場合も想定される。そうした状況になった場合の官民での対応について、事前に契約で定めておくことが重要である。例えば、官民両者が合意すれば民間事業者が時価で公共施設を買い取って新たな民間施設として転用することも考えられる。
7)災害等の緊急時における協力について
公の施設は、災害時には避難所や救援物資の物流拠点として活用されることが多い。官民xxxによる公共施設部分が避難所に指定されている場合には、多くの住民等が避難してくることが想定され、その場合には、民間施設においてもその支援を行うことが期待される。そのため、民間事業者と事前に協定等を締結し、災害時に協力を求めることも重要である。
8)市民出資・寄付の活用について
人口が少ない地方公共団体においては、民間事業に対する需要が少なく、必ずしも民間事業者が進出する条件が整わない場合も想定される。むしろ、日常の生活利便性の維持・向上の視点から、ワンストップで様々なサービスが受けられるよう、住民が自ら事業会社に出資あるいは寄付して事業の実現を後押しする仕組みが求められる可能性はある。民間事業者の進出が難しい場合には、市民出資・寄付などの手法を検討することも重要である。