技術検証(PoC)契約書
技術検証(PoC)契約書
(新素材)
X社(以下「甲」という。)とY社(以下「乙」という。)は、甲乙による開発対象となるヘッドライトカバーに対して、甲の開発した放熱特性を有する新素材αを導入・適用することの可否についての技術検証に関して、本契約を締結する。
第1条(目的)
本契約は、以下に定める対象技術を対象製品に対して導入・適用するための共同研究開発を甲乙が行うことの可否を判断するために行う技術検証(以下「本検証」という。)における、甲と乙の権利・義務関係を定めることを目的とするものである。
対象技術:甲が開発した放熱特性を有する新素材α
対象製品:自動車用ヘッドライトカバー
第2条(定義)
本契約において使用される次に掲げる用語は、各々次に定義する意味を有する。
① 本検証
第1条に定める甲の技術の導入・適用に関する検証をいい、具体的な内容は別紙●●に定める。
② 本報告書
甲が乙に提供する、本検証に関する報告書をいい、具体的な内容は別紙●●に定める。
③ 知的財産x
x的財産基本法2条2項に定める権利および外国におけるこれらに相当する権利をいう。
第3条(本検証)
乙は、甲に対し、本検証の実施を依頼し、xはこれを引き受ける。
2 甲は、本契約締結後3週間以内に、乙に本報告書を提供する。
3 本報告書提供後、xが甲に対して本報告書を確認した旨を通知した時または乙が甲に対してから書面で具体的な理由を明示した上で異議を述べることなく1週間が経過した時に、乙による本報告書の確認が完了する。本報告書の確認の完了をもって、xによる本検証にかかる義務の履行は完了する。
4 乙は、甲に対し、本報告書提出後1週間以内に前項の異議を述べた場合に限り、本報告書の修正を求めることができる。
5 前項に基づき、乙が本報告書の修正を請求した場合、xは、速やかに本報告書を修正して再提出し、乙は、再提出された本報告書につき再度確認を行う。再度の確認については、本条第3項および第4項を準用する。
第4条(委託料)
本検証の委託料は●万円(税別)とし、本契約締結時から10営業日以内に全額を、甲が指定する金融機関の口座に振込送金する方法により支払う。振込手数料は乙の負担とする。
第5条(甲の義務)
甲は、善良なる管理者の注意をもって本検証を遂行する義務を負う。
ただし、前条の委託料の支払を受けるまでは、甲は本検証に着手する義務およびこれによる責めを負わない。
2 甲は、本検証に基づく何らかの成果の達成や特定の結果等を保証するものではない。
第6条(共同研究開発契約の締結)
甲および乙は、本検証から共同研究開発段階への移行および共同研究開発契約の締結に向けて最大限努力し、乙は、本契約第3条第3項に定める本報告書の確認が完了した日から2ヶ月以内に、甲に対して共同研究開発契約を締結するか否かを通知する。
変更オプション条項:共同研究開発契約を締結しない場合の追加委託料
甲および乙が、本契約第3条第3項に定める本報告書の確認が完了した日から4ヶ月以内に、共同研究開発契約を締結しなかった場合は、乙は、甲に対し、本検証の追加の委託料として、本報告書確認完了から5ヶ月以内に●万円(税別)支払う。
第7条(乙の義務)
乙は、甲に対し、本検証に合理的に必要な資料、データ、機器、設備等の提供、開示、貸与その他本検証に必要な協力(以下「提供等」という。)を行う。
追加オプション条項:乙提供資料等についての責任
2 乙は、甲に対し、前項に定める資料、データ、機器、設備等を甲に提供等することについて、正当な権限があることおよびかかる提供等が法令に違反するものではないことを保証する。
3 乙が甲に対し提供等を行った資料もしくはデータの内容に誤りがあった場合またはかかる提供等を遅延した場合、これにより生じた本検証の遅延、本報告書の瑕疵(法律上の契約不適合を含む。)等の結果について、xは責任を負わない。
第8条(秘密情報の取扱い)
甲および乙は、本検証の遂行のために、書面、口頭、電磁的記録媒体その他開示の方法および媒体を問わず、また、本契約の締結前後にかかわらず、一方当事者(以下「開示者」という。)が相手方(以下「受領者」という。)に対して開示した一切のデータその他の情報、素材および機器その他の有体物ならびに本検証によって得られた情報(本報告書に記載された情報を含む。)(別紙●●に列挙のものを含む。以下「秘密情報」という。)を秘密として保持し、開示者の事前の書面または電磁的記録(以下「書面等」という。)による承諾を得ずに、第三者に開示または漏えいしてはならない。
2 前項の定めにかかわらず、次の各号のいずれか一つに該当する情報については、秘密情報に該当しない。
開示を受けたときに既に保有していた情報
開示を受けた後、秘密保持義務を負うことなく第三者から正当に入手した情報
開示を受けた後、相手方から開示を受けた情報に関係なく独自に取得しまたは創出した情報
開示を受けたときに既に公知であった情報
3 受領者は、秘密情報を、開示者の事前の書面等による承諾を得ずに、本検証の遂行以外の目的で使用、複製および改変してはならず、本検証の遂行に合理的に必要となる範囲でのみ、使用、複製および改変できる。
4 受領者は、秘密情報等について、開示者の事前の書面等による承諾を得ずに、秘密情報の組成または構造の分析・解析その他類似の行為を行ってはならない。
5 受領者は、秘密情報を、本検証の遂行のために知る必要のある自己の役員および従業員(以下「役員等」という。)に限り開示するものとし、この場合、本条に基づき受領者が負担する義務と同等の義務を、開示を受けた役員等に退職後も含め課す。
6 前各項の定めにかかわらず、受領者は、次の各号に定める場合、秘密情報を開示することができる。(ただし、1号または2号に該当する場合には可能な限り事前に開示者に通知する。)また、受領者は、かかる開示を行った場合には、その旨を遅滞なく開示者に対して通知する。。
法令の定めに基づき開示すべき場合
裁判所の命令、監督官公庁またはその他法令・規則の定めに基づく開示の要求がある場合
受領者が、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士、司法書士等、秘密保持義務を法律上負担する者に相談する必要がある場合
7 本条第1項および同条第3項ないし第5項の定めにかかわらず、甲および乙は、相手方の事前の承諾なく、以下の事実を第三者に公表することができる。
甲乙間で、本検証が開始された事実
8 受領者は、本契約の有効期間中であるか終了後であるかを問わず、開示者からの書面等による請求があった場合、開示者の指示に従い、自らの選択および費用負担により、受領者または受領者から開示を受けた第三者が保持する秘密情報(その複製物および改変物を含む。)を速やかに破棄または返還する。
9 受領者は、開示者が秘密情報の廃棄を要請した場合には、速やかに秘密情報が化体した媒体を廃棄し、開示者の指示に従い、当該廃棄にかかる受領者の義務が履行されたことを証明する書面等を提出する。
10 受領者は、本契約に別段の定めがある場合を除き、秘密情報の開示により、開示者の知的財産権が譲渡、移転または利用許諾されるものでないことを確認する。
11 本条は、本条の主題に関する両当事者間の合意の完全なる唯一の表明であり、本条の主題に関する両当事者間の書面等または口頭による提案およびその他の連絡事項の全てに取って代わる。
12 甲乙は、甲乙間の●年●月●日付秘密保持契約書における秘密情報を、本条においても秘密情報として取り扱うことに合意する。
13 本条の規定は、本契約の終了後もなお5年間有効に存続する。
第9条(本報告書等の知的財産権)
本報告書および本検証の遂行に伴い生じた知的財産権は、乙または第三者が従前から保有しているものを除き、甲に帰属する。
2 甲は、乙に対し、乙が本検証の遂行のために必要な範囲に限って、乙自身が本報告書を使用、複製および改変することを許諾するものとし、著作者人格権を行使しない。
追加オプション条項:出願の事前通知
甲は、本条第1項の知的財産権のうち、特許権、実用新案権、回路配置利用権、意匠権および商標権について出願をしようとするときは、予め乙にその概要を書面等で通知する。
追加オプション条項:フィードバック規定
本検証の遂行の過程で、乙が甲に対し、本検証に関して何らかの提案や助言を行った場合、xはそれを無償で、甲の今後の製品の改善のために利用することができる。
第10条(損害賠償)
甲および乙は、本契約に違反して相手方に損害(合理的な範囲の弁護士費用を含む。)を与えたときは、相手方に対して当該損害を賠償する責任を負う。
2 前項の損害賠償の総額は、故意または重大な過失に基づくものである場合を除き、本契約の委託料を限度とする。
第11条(差止め)
甲および乙は、相手方が、本契約に違反しまたは違反するおそれがある場合には、相手方に対し、その差止め、損害の予防および信用回復措置を請求することができる。
第12条(解除)
甲または乙は、相手方に次の各号のいずれかに該当する事由が生じた場合には、何らの催告なしに直ちに本契約の全部または一部を解除することができる。
本契約の条項について重大な違反を犯した場合
支払いの停止があった場合または競売、破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始、特別清算開始の申立てがあった場合
手形交換所の取引停止処分を受けた場合
その他前各号に準ずるような本契約を継続し難い重大な事由が発生した場合
2 甲または乙は、相手方が本契約のいずれかの条項に違反し、相当期間を定めてなした催告後も、相手方の債務不履行が是正されない場合は、本契約の全部または一部を解除することができる。
解除事由としてのCOC条項の例
⑤ 合併、株式交換、株式移転、会社分割、事業譲渡または株主が全議決権の●分の1を超えて変動した場合など、支配権に実質的な変動があった場合
第13条(期間)
本契約の有効期間は、本契約締結日から第3条第3項に定める確認が完了する日までとする。
第14条(存続条項)
本契約が期間満了または解除により終了した場合であっても本契約第5条(甲の義務)第2項、第6条(共同研究開発契約の締結)、第7条(乙が甲に提供する資料等)第2項および第3項、第9条(本報告書等の知的財産権)から第11条(差止め)、本条から第17条(協議解決)の定めは有効に存続する。
第15条(準拠法)
本契約に関する紛争については、日本国法を準拠法とする。
第16条(裁判管轄)
本契約に関する紛争については、●地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
第16条(変更オプション条項1:知財調停)
本契約に関する知的財産権についての紛争については、まず[東京・大阪]地方裁判所における知財調停の申立てをしなければならない。
2 前項に定める知財調停が不成立となった場合、前項に定める地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
3 第1項に定める紛争を除く本契約に関する紛争(裁判所の知財調停手続きを含む。)については、日本国法を準拠法とし、第1項に定める地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
第16条(変更オプション条項2:仲裁)
本契約に関する一切の紛争については、(仲裁機関名)の仲裁規則に従って、(都市名)において仲裁により終局的に解決されるものとする。
第17条(協議解決)
本契約に定めのない事項または疑義が生じた事項については、協議の上解決する。
本契約の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各自1通を保有する。但し、本契約を電子契約により締結する場合には、本契約の成立を証するため、本書の電磁的記録を作成し、甲乙が合意の後電子署名を施し、各自その電磁的記録を保管する。
年 月 日
甲
乙
第●条(追加オプション条項:再委託)
xは、乙が書面等によって事前に承認した場合、本検証の一部を第三者(以下「委託先」という。)に再委託することができる。なお、乙が上記の承諾を拒否するには、合理的な理由を要する。
2 前項の定めに従い委託先に本検証の遂行を委託するこの場合、甲は、本契約における自己の義務と同等の義務を、当該委託先に課す。
3 甲は、委託先による業務の遂行について、乙に帰責事由がある場合を除き、自ら業務を遂行した場合と同様の責任を負う。ただし、乙の指定した委託先による業務の遂行については、甲に故意または重過失がある場合を除き、責任を負わない。
第●条(追加オプション条項:契約内容の変更)
甲および乙は、本検証の遂行の過程で検証事項が想定外に拡大した等の事情により、検証期間、委託料その他の契約条件の変更が必要となった場合、書面等でその旨を相手方に通知し、協議を申し出る。当該申し出があった場合、甲および乙は、速やかに契約条件の変更の要否および変更する場合の内容について協議する。
2 前項の協議に基づき、本契約の内容の全部または一部を変更する場合、甲および乙は、当該変更内容が記載された変更契約を締結する。
第●条(追加オプション条項:権利義務の譲渡禁止)
甲および乙は、相手方の事前の書面等による承諾を得ずに、本契約上の地位を第三者に承継させまたは本契約から生じる権利義務の全部もしくは一部を第三者に譲渡し、引き受けさせもしくは担保に供してはならない。
第●条(追加オプション条項:遅延損害金)
甲および乙が、本契約に基づく金銭の支払を遅滞したときは、当該当事者は、支払を遅滞した金額につき当該支払期限の日の翌日から支払済に至るまでの期間につき年率14.6%の割合で計算される遅延損害金を支払わなければならない。
(別紙●●)
本検証(第2条1項)
本検証のプロセスは概ね以下のとおりとする。なお、本別紙と本モデル契約本文が矛盾抵触する場合、本別紙が優先する。
乙は、甲に対して、本検証の対象となる製品(ヘッドライトカバー)に関する図面、仕様に関する情報、本検証において期待される放熱性能を含めた目標スペック、その他本検証を甲が進めるにあたり必要となる情報を提供する。
甲は、乙から提供された情報を基に、本検証にかかる詳細計画を提示する。詳細計画は以下を含む。-※
新素材αを添加したヘッドライトカバーの材料を成形して製造される試験片の形状・寸法などの詳細
試験片に対して行われる試験項目(放熱特性の他、機械的強度や疲労特性などを含む。)
その他、乙により特に要望された事項が存する場合、当該事項
甲は、詳細計画に沿って本検証を行い、乙に対して本報告書を納品する。乙は本報告書を速やかに確認し、その後、以下の事項を含む通知を相当な期間内に行う。
共同研究開発を締結するか否かの結論
(評価結果が当初想定されたレベルの場合、原則として共同研究開発フェーズへと移行する。)
共同研究開発に移行しない場合はその理由
(改善すべき特性の指摘など、具体的な事柄を明記すること。)
放熱特性を含む以下の項目に関する生データを含めた乙の評価結果
※ 秘密保持契約段階で②まで終了している場合は、詳細計画を別紙として添付する。
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