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工事請負契約書約款第 22 条第1項から第5項まで(増額)の規定の運用(取扱い)について
(平成25年7月5日 区長決定)
1 適用対象工事
工事請負契約書約款第 22 条第1項から第5項まで(増額)の規定(以下「全体スライド条項」という)の適用対象工事は次の全てに該当するものとする。
(1)契約日から 12 月を経過した工事(ただし、既に全体スライド条項により契約金額の
変更を行っている場合は、基準日(直前のものに限る。)から 12 月を経過していること。)
(2)残工期が2ヶ月以上あること。
(3)変動前残工事金額と変動後残工事金額との差額のうち変動前残工事金額の 1,000 分
の 15 を超えていること。
2 定義
(1)請求日
全体スライド条項の規定により、受注者が契約金額の変更の請求を書面により提出した日とする。
(2)基準日
全体スライド条項の規定によるスライド額算出の基準とする日をいい、出来高を算定する基準となる日、賃金水準及び物価水準の変動後単価の基準となる日。請求日と同じ日とすることを基本とし、請求日から起算して 14 日以内で発注者と受注者とが協議して定める日とする。
(3)残工期
基準日以降の工期までの工事期間とする。ただし、基準日までに契約変更を行っていない場合でも先行指示等により工期延長が明らかな場合には、その工期延長期間を考慮する。
(4)出来形数量
工事請負契約書約款第 22 条3項の規定による既済部分に係る設計数量
(5)スライド額
工事請負契約書約款 22 条3項及び第4項の規定による契約変更の対象となる額
3 申請方法
(1)変更請求
受注者が全体スライド条項の規定により、契約金額の変更を請求する場合、対象工事が1で示す条件に全て該当することを確認の上、書面(様式1-1)により工事主管部署に提出するものとする。合わせてスライド条項を適用するかを判断するため、概算スライド額計算書(様式1-2)を添付する。
(2)協議開始日及び基準日の通知(様式2)
工事主管部署は、スライド額協議開始日及び基準日を定め、請求日から7日以内
に、受注者に通知する。
(3)出来形部分の確認の協議(様式3)
発注者は受注者と協議のうえ、請求日から 14 日以内に出来形部分の確認を行う。
(4)残工事量内訳書の作成
残工事量の確定に当り、受注者は基準日時点での工事出来形数量の確認書(様式4
-1)とともに残工事量内訳書(様式4-2)を作成する。
4 出来形数量の確認
(1) スライド額の基礎となる残工事量を算出するため、工事主管部署は、請求日から
14日以内に、基準日時点における出来形数量の確認を行う。
受注者は、出来形数量の確認に当たり、残工事量内訳書を提出する。
(2) 出来形数量の確認は、残工事量内訳書に基づき行う。
(3) 出来形数量の基本的な扱い
ア 現場搬入材料について、監督員が搬入を確認したものは出来形数量として取り扱う。また、下記の材料等についても出来形数量として取り扱うことができるものとする。
・ 工場製作品については、工場での確認又はミルシート等で在庫確保が証明できる材料は出来形数量として取り扱う。
・ 基準日以前に配置済みの現地据付型の建設機械及び仮設材料等(架設用クレーン、仮設鋼材など)も出来形の対象とできる。
・ 契約書にて工事材料契約の完了が確認でき、近隣のストックヤード等で在庫確認が可能な材料は出来形数量として取り扱う。
イ 工事設計内訳書等で一式計上した仮設工事等について、出来形数量の対象とする場合、その数量は発注者の積算に係る数量とする。
ウ 各工事におけるア及びイの詳細については、工事主管部署へ確認する。
(4) 受注者の責めに帰すべき事由により工事が遅延していると認められる部分は、出来形数量に含めるものとする。
5 スライド額の算出
(1) スライド額は、次式により算出するものとする。 S=[P2-P1-(P1×15/1000)]
この式において、S、P1及びP2は、それぞれ次の額を表するものとする。 S :スライド額
P1:変動前残工事金額(契約金額から基準日における既済部分に相応する契約金額を控除した額)(税込み)
P1=α×Z1×105/100
P2:変動後残工事金額(変動後の賃金又は物価等を基礎として算出した(P1)に相当する額)(税込み)
P2=α×Z2×105/100
α :落札率(当初契約金額/予定価格)
Z1:発注者の積算金額から基準日における既済部分に相応する積算金額を控除した額(税抜き)
Z2:変動後の賃金又は物価等を基礎として算出した(Z1)に相当する額(税抜き)
(2) P1及びZ1の算出に用いる単価は、起工時における積算単価とする。
(3) P2及びZ2は、基準日の物価指数等(積算に使用する単価の変動率)により定めることとし、残工事に係る全ての単価を基準日時点のものに入れ替えて算出する。ただし、受発注者の協議資料等に基づき双方で合意した場合は、別途の物価指数を用いることができる。また、見積単価については、原則見直さないこととするが、価格の変動が著しい場合は、物価変動率等から妥当性を判断し、見直すものとする。
(4) P2及びZ2を算出する際に用いる単価については、基準日時点の積算単価とする。
(5) (4)によることが著しく不適当であると認められる場合には、受発注者の協議によることとする。
(6) 発注者から協議書(様式5-1)及びスライド額計算書(様式5-2)により受注者にスライド額(案)を提示し、異議のない場合は、スライド額協議開始日から 14 日以内に承諾書(様式6)を提出する。
なお、スライド額協議開始日から 14 日以内に協議が整わない場合には、発注者がスライド額を決定し、通知する(様式7)。
6 契約変更の時期
原則として、xx区工事施行規定に基づきスライド額の決定後、速やかに行う。ただし、工期末の清算変更時に行うこともできることとする。
7 その他
(1) 平成25年4月1日から工事請負契約書約款が改正されているため、スライド条項運用にあたり、平成25年4月1日以降の契約については、第 22 条第1項から第
5項までの規定は第 25 条第1項から第4項及び第7項までの規定と読替えるものとする。
(2) 減額の場合は、別途通知することとする。
(参考)工事請負契約書約款抜粋
平成25年3月31日まで(賃金又は物価の変動に基づく契約金額の変更)
第 22 条 甲又は乙は、工期内に賃金又は物価の変動により契約金額が不適当になったと認めたときは、相手方に対して書面をもって契約金額の変更を求めることができる。
2 前項の規定による請求は、契約締結の日から12月を経過した後でなければこれを行うことができない。
3 甲又は乙は、第1項の規定による請求があったときは、変動前残工事金額(契約金額から既済部分に相応する契約金額を控除した額をいう。以下同じ。)と変動後残工事金額(変動後の賃金又は物価を基礎として算出した変動前残工事金額に相応する額を言う。以下同じ。)との差額のうち変動前残工事金額の1,000 分の15 を超える額につき、契約金額の変更に応じなければならない。
4 変動前残工事金額及び変動後残工事金額は、請求のあった日を基準とし、物価指数等に基づき甲乙協議して定める。
5 第1項の規定による請求は、本条の規定による契約変更を行った後再度これを行うことができる。この場合においては、第2項中「契約締結の日」とあるのは、「直前の本条に基づく契約金額変更の 基準とした日」とするものとする。
平成25年4月1日から(賃金又は物価の変動に基づく契約金額の変更)
第 25 条 発注者又は受注者は、工期内で契約締結の日から 12 月を経過した後に日本国内における賃金水準又は物価水準の変動により契約金額が不適当となったと認めたときは、相手方に対して契約金額の変更を請求することができる。
2 発注者又は受注者は、前項の規定による請求があったときは、変動前残工事金額(契約金額から当該請求時の既済部分に相応する契約金額を控除した額をいう。以下同じ。)と変動後残工事金額(変動後の賃金又は物価を基礎として算出した変動前残工事金額に相応する額をいう。以下同じ。)との差額のうち変動前残工事金額の 1,000 分の 15 を超える額につき、契約金額の変更に応じなければならない。
3 変動前残工事金額及び変動後残工事金額は、請求のあった日を基準とし、物価指数等に基づき発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議が整わない場合にあっては、発注者が定め、受注者に通知する。
4 第1項の規定による請求は、この条の規定により契約金額の変更を行った後再度行うことができる。この場合においては、同項中「契約締結の日」とあるのは、「直前のこの条に基づく契約金額変更の基準とした日」とするものとする。
7 第2項の場合において、契約金額の変更額については、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議が整わない場合にあっては、発注者が定め、受注者に通知する。