1.本ガイドライン策定の背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・P. 1 (1) 土木請負工事の特性
工 事 請 負 契 約 における設 計 変 更 ガ イ ド ラ イ ン
平成29年4月
沖縄県 土木建築部
この「工事請負契約における設計変更ガイドライン」は、沖縄県土木建築部(営繕工事を除く)の所掌する工事請負契約に適用するもので、設計変更の取扱いについての様々な課題に対して受発注者間で共通の目安を有することを目的としてとりまとめたものです。
沖縄県 土木建築部 技術・建設業課技術管理班 TEL098-866-2374
目 次
1.本ガイドライン策定の背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・P. 1 (1) 土木請負工事の特性
(2) 発注者・受注者の留意事項
(3)設計変更の現状
(4)適切な設計変更の必要性
(5)ガイドライン策定の目的
(6)設計変更ガイドラインの契約図書への位置づけ
2.設計変更が不可能なケース ・・・・・・・・・・・・・・・P.4
【基本事項】
3.設計変更が可能なケース ・・・・・・・・・・・・・・・・P. 5
【基本事項及び留意事項】
(1) 設計図書に誤びゅう又は脱漏がある場合の手続き (契約書18条1-
2)
(2) 設計図書の表示が明確でない場合の手続き (契約書18条1-3) (3) 設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合
の手続き (契約書18条1-4)
(4) 工事中止の場合の手続き (契約書20条) (5) 「設計図書の照査」の範囲をこえるもの
(6) 受注者からの請求による工期の延長 (契約書第21条)
(7) 発注者の請求による工期の短縮 (契約書第22条)
4.設計変更手続きフロー ・・・・・・・・・・・・・・P. 13
5.設計変更に関わる資料の作成 ・・・・・・・・・・・・・・P.14
6.条件明示について ・・・・・・・・・・・・・・・P.16
7.指定・任意の使い分け ・・・・・・・・・・・・・・・P.18
8.入札・契約時の設計図書等の疑義の解決 ・・・・・・P.20
9.参考資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.21
(1) 設計変更事例
1.設計変更ガイドライン策定の背景
(1)土木請負工事の特性
土木工事では、個別に設計された極めて多岐にわたる目的物を、多種多様な現地の自然条件・環境条件の下で生産されるという特
殊性を有している。
当初積算時に予見できない事態、例えば土質・湧水等の変化に備え、その前提条件を明示して 設計変更の円滑化を工夫する必
要がある。
(2)発注者・受注者の留意事項
書面で行う
発注者
受注者
工事に必要な関係機関との調整、住民合意、用地確保、法定手続などの進捗状況を踏まえ、現場の実態に即した施工条件(自然条件を含む。)の明示等により、適切に設計図書を作成し、積算内容との整合を図るよう努める。『発注関係事務の運用に関する指針』P4 抜粋
工事の着手に当たって設計図書を照査し、着手時点における疑義を明らかにするとともに、施工中に疑義が生じた場合には、発注者と
「協議」し進めることが重要であ
る。
設計積算にあたって、平成14年 4 月 12 日付通知「条件明示について」に記載されている工事内容に関係する項目については、必ず条件明示するよう徹底する。
(3)設計変更の現状
~次のような業界からの意見がみられる~
<設計成果>
○設計と現場があっていない。現場に即した設計としてほしい。
<発注時の条件整備>
○関係機関との協議が整ってから発注してほしい。
<条件明示>
○施工上影響がある条件については条件明示をしてほしい。
○施工条件を明示し、施工条件に変更が生じたら適切な設計変更をしてほしい。
<照査の範囲外>
○照査の範囲を超える設計変更の業務に対して対価を支払ってほしい。
<設計変更>
○設計変更に伴う増加費用として、一体性のある工事であれば、30%を超える増加費用の変更を認めてほしい。
<一時中止>
○工事中止時の増加費用を適切に見込んでほしい。
○設計変更:契約変更の手続きの前に当該変更の内容をあらかじめ受注者に指示すること
○契約変更:契約内容に変更の必要が生じた場合、当該受注者との間において、既に締結されている契約内容を変更すること
(4)適切な設計変更の必要性
改正品確法の基本理念に「請負契約の当事者が対等の立場における合意に基づいてxxな契約を適正な額の請負契約代金で締結」が示されているとともに、「設計図書に適切に施工条件を明示するとともに、必要があると認められたときは適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこと」が規定されている。
また、一体施工の必要性から分離発注できないものについては、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこととする。
(5)ガイドライン策定の目的
設計変更業務の円滑化を図るためには、発注者と受注者がともに、設計変更が可能なケース・不可能なケース、手続きの流れ等について十分理解しておく必要がある。
「工事請負契約における設計変更ガイドライン」の策定
(6)設計変更ガイドラインの契約図書への位置づけ
契約の一事項として扱うこととし、特記仕様書へその旨記載する。
土木工事特記仕様書
○○条 ガイドライン等の遵守について
1.設計変更等については、契約書18条から24条及び共通仕様書1-1-13から1-1-15に記載しているところであるが、その具体的な考え方や手続きについては、「工事請負契約における設計変更ガイドライン」(沖縄県土木建築部)及び「工事一部中止に係るガイドライン(案)」(沖縄県土木建築部)によるものとする。
2 「設計図書の照査」については、「設計図書の照査ガイドライン(案)」(沖縄県土木建築部)を参考とする
2.設計変更が不可能なケース
【基本事項】
◆下記のような場合においては、原則として設計変更できない。
① 設計図書に条件明示のない事項において、発注者と「協議」を行わず受注者が独自に判断 して施工を実施した場合
(対応例)受注者は契約書第18条第1項により設計図書と工事現場の不一致、条件明示の無い事項等発見したときは、その事実が確認できる資料を書面により監督員に提出し確認を求める。
② 発注者と「協議」をしているが、協議の回答がない時点で施工を実施した場合
(対応例)協議の回答は契約書により発注者が契約書第18条第3項により調査の終了後14日以内にすることとなっており速やかな回答は発注者の責務である。しかしながら、協議内容によっては各種検 討・関係機関調整が必要などやむを得ず受注者の意見を聴いたうえで回答までの期間を延長する場合もある。その為、受注者はその事実が判明次第、出来るだけ早い段階で協議を行うことが重要である。
③ 「承諾」で施工した場合
(対応例)承諾とは受注者が自らの都合による施工方法等について監督員に同意を得るものである。設計図書と工事現場の不一致・条件明示の無い事項等の場合は契約書第18条による協議をすることが必要であり、安易な承諾による施工は避けるべきである。
④ 工事請負契約書・土木工事共通仕様書・空港土木工事共通仕様書・港湾工事共通仕様書
((公社)日本港湾協会)に定められている所定の手続を経ていない場合(契約書第18条~24 条、共通仕様書1-1-3~1-1-15)
(対応例)発注者及び受注者は協議指示・一時中止・工期延期・請負代金の変更など所定の手続を行う。
⑤ 正式な書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合
(対応例)発注者は速やかに書面による指示・協議等を行う。受注者は書面による指示・協議等の回答を得て施工する。
※契約書第 26 条(臨機の措置)については別途考慮する。
承諾: 受注者自らの都合により施工方法等について監督員に同意を得るもの
⇒設計変更不可
協議 : 発注者と書面により対等な立場で合意して発注者の「指示」によるもの
⇒設計変更可能
3.設計変更が可能なケース
【基本事項】
◆下記のような場合においては、所定の手続きを踏むことにより設計変更が可能である。
① 仮設(任意仮設を含む)において、条件明示の有無に係わらず当初発注時点で予期しえな かった土質条件や地下水位等が現地で確認された場合。
② 当初発注時点で想定している工事着手時期に、受注者の責によらず、工事着手出来ない場 合。
③ 所定の手続き(「協議等」)を行い、発注者の「指示」によるもの。
(「協議」の結果として、軽微なものは金額の変更を行わない場合もある。・・・・・協議書において明示する。)
④ 受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を実施する場合。
(「設計図書の照査ガイドライン(案)」参照)
⑤ 受注者の責によらない工期の延期・短縮を行う場合で協議により必要があると認められるとき。
【留意事項】
◆設計変更にあたっては下記の事項に留意し、受注者へ指示する。
① 当初設計の考え方や設計条件を再認識して、設計変更「協議」にあたる。
② 当該事業(工事)での変更の必要性を明確にし、設計変更は契約書第19条にもとづき書面で行う。
(規格の妥当性、変更対応の妥当性(別途発注すべきではないか)を明確にする。)
③ 設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた都度、遅滞なく行うものとする。
④ 設計変更の協議文書に、設計変更による概算増(減)額の記載を行う。
(発注者は、設計変更の内容と概算増(減)額を受注者へ提示の上、受注者と設計変更の協議を行う。)
⑤ 設計変更に伴う現場の着手については、原則として、発注機関における必要な手続きを終了し、かつ、設計変更の協議後に受注者の同意を書面で得たのちに、現場着手の指示を行う。
(臨機の措置により緊急に対応する必要のある工事を除く。)
(1)設計図書に誤びゅう又は脱漏がある場合の手続き
(契約書第18条第1項の二)<設計変更可能なケース>
○受注者は、xxx上、設計図書が誤っていると思われる点を発注者に確認すべきであり、発注者は、それが本当に誤っている場合には設計図書を訂正する必要がある。
また、設計図書に脱漏がある場合には、受注者としては、自分で勝手に補って施工をつづけるのではなく、発注者に確認して、脱漏部分を訂正してもらうべきである。
発注者は第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂
正・変更(当初積算の考え方に基づく条件明示)
受注者 発注者
「契約書第18条(条件変更等)第 1項の二」に基づき、その旨を直ちに監督員に通知
受注者及び発注者は第23条、第24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額
を定める
(例) ア.条件明示する必要がある場合にも係わらず、土質に関する一切の条件明示がない場合
イ.条件明示する必要がある場合にも係わらず、地下水位に関する一切の条件明示がない場合
ウ.条件明示する必要がある場合にも係わらず、交通誘導警備員についての条件明示がない場合
(2)設計図書の表示が明確でない場合の手続き
(契約書第18条第1項の三)<設計変更可能なケース>
○設計図書の表示が明確でないことは、表示が不十分、不正確、不明確で実際の工事施工にあたってどのように施工してよいか判断がつかない場合などのことである。この場合においても、受注者が勝手に判断して、施工することは不適当である。
受注者 発注者
「契約書第18条(条件変更等)第 1項の三」に基づき、その旨を直ちに監督員に通知
発注者は第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂
正・変更(当初積算の考え方に基
づく条件明示)
受注者及び発注者は第23条、第24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額 を定める
(例) ア.土質柱状図は明示されているが、地下水位が不明確な場合
イ.水替工実施の記載はあるが、作業時もしくは常時排水などの運転条件等の明示がない場合
(3)設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合の手続き
(契約書18条第1項の四)<設計変更可能なケース>
○自然的条件とは、例えば、掘削する地山の高さ、埋め立てるべき水面の深さ等の地表面の凹凸等の形状、地質、湧水の有無又は量、地下水の水位、xxxの除去すべき物の有無。
また、人為的な施工条件の例としては、地下埋設物、地下工作物、xx(捨)場、工事用道路、通行道路、工事に関係する法令等が挙げられる。
調査の結果、その事実が確認された場合、発注者は第4項・第5項に基づき、必要に応じて設計 図書の訂正・変更
「契約書第18条(条件変更等)第 1項の四」に基づき、設計図書の条件明示(当初積算の考え)と現地条件とが一致しないことを直ち
に監督員に通知
受注者 発注者
受注者及び発注者は第23条、第24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額 を定める
(例) ア.設計図書に明示された土質が現地条件と一致しない場合
イ.設計図書に明示された地下水位が現地条件と一致しない場合
ウ.設計図書に明示された交通誘導警備員の人数等が規制図と一致しない場合
エ.前頁の手続きにより行った設計図書の訂正・変更で、現地条件と一致しない場合オ.その他、新たな制約等が発生した場合
(4)工事中止の場合の手続き
(契約書第20条)<設計変更可能なケース>
○受注者の責に帰することができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められる場合の手続
き) (「工事一時中止に係るガイドライン(案)」参照)
受注者 発注者
地元調整や予期しない現場条件等のため、受注者が工事を施工することができない。
基本計画書に基づいた施工の実施
承諾した基本計画書に基づき、施
工監督及び設計変更を実施
発注者は、現場管理上、最低必要 な施設・人数を吟味し、基本計画を
承諾
不承諾の場合は、基本計画書を修
正し、再度承諾を得る。
発注者より、一時中止の指示(契約上一時中止をかけることは発注者の
義務)
受注者は、土木・空港土木・港湾工事共通仕様書1-1-13第3項に基づき、基本計画書を作成し、発注者
の承諾を得る。
「契約書第20条(工事の中止)第1項」により、発注者は工事の全部又は一部の施工を原則として一時中
止しなければならない。
受注者からの中止事案の確認請求も可。
(例) ア.設計図書に工事着工時期が定められた場合、その期日までに受注者の責によらず施工できない場合
イ.警察、河川・道路管理者等の管理者間協議が未了の場合 ウ.管理者間協議の結果、施工できない期間が設定された場合
エ.受注者の責によらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合
オ.設計図書に定められた期日までに詳細設計が未了のため、施工できない場合カ.予見できない事態が発生した(地中障害物の発見等)場合
キ. 工事用地の確保が出来ない等のため工事を施工できない場合
ク. 設計図書と実際の施工条件の相違又は設計図書の不備が発見されたため施工を続けることが困難な場合
ケ. 埋蔵文化財の発掘又は調査、その他の事由により工事を施工できない場合
(5)「設計図書の照査」の範囲をこえるもの
<設計変更可能なケース>
受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲をこえる行為としては、以下のものなどが想定される。
(「設計図書の照査ガイドライン(案)」参照)
○横断図の再作成が必要となるもの。
○構造計算の再計算が必要となるもの。
○目的物に変更が生じる図面作成。
○構造物の応力計算書のチェック。等。
1. 現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの。又は縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
2. 施工の段階で判明した推定岩盤線の変更に伴う横断図の再作成が必要となるもの。ただし、当初横断図の推定岩盤線の変更は「設計図書の照査」に含まれる。
3. 現地測量の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの。
4. 構造物の位置や計画高さ、延長が変更となり構造計算の再計算が必要となるもの。
5. 構造物の載荷高さが変更となり、構造計算の再計算が必要となるもの。
6. 現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるが標準設計で修正可能なもの。
7. 構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。
8. 基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算および図面作成。
9. 土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成。
10. 「設計要領」・「各種示方書」等との対比設計。
11. 設計根拠まで遡る見直し、必要とする工費の算出。
12. 舗装修繕工事の縦横断設計(当初の設計図書において縦横断面図が示されており、その修正を行う場合とする。なお、設計図書で縦横断図が示されておらず土木工事共通仕様書「15-4-3路面切削工」「15-4-5切削オーバーレイ工」「15-4-6オーバーレイ工」等に該当し縦横断設計を行うものは設計照査に含まれる)。
(注)なお、適正な設計図書に基づく数量の算出及び完成図については、受注者の費用負担によるものとする。
詳細については「設計図書の照査ガイドライン(案)」参照。
(6)受注者からの請求による工期の延長
(契約書第21条)<設計変更可能なケース>
○受注者は、天候の不良、関連工事の調整協力、その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができない場合は、発注者へその理由を明示した書面により、工期延長変更を請求することができる。
協議
発注者は第2項に基づき、必要があると認められるときは、工期を延長しなければならない。
請負代金についても必要と認めら
れるときは変更を行う。
「契約書第21条(受注者の請求による工期の延長)第1項」に基づき、その理由を明示した書面により監督員に通知
受注者 発注者
受注者及び発注者は第23条、第24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額 を定める
(例) ア.天候不良の日が例年に比べ多いと判断でき、工期の延長が生じた場合
イ.設計図書に明示された関連工事との調整に変更があり、工期の延長が生じた場合ウ.その他受注者の責めに帰することができない事由により工期の延長が生じた場合
(7)発注者の請求による工期の短縮
(契約書第22条)<設計変更可能なケース>
○発注者は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に書面にて請求することができる
受注者
発注者は、「契約書第22条(発注者の請求による工期の短縮等)第
1項」に基づき、特別な理由により工期を短縮する必要があるとき は、工期の短縮変更を書面により
受注者に請求。
受注者は発注者からの請求に
基づき、工期短縮を図るための施工計画を発注者に提出し、承諾を得る。
協議
発注者
受注者及び発注者は第23条、第24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額 を定める
(例) ア.工事一時中止にともない工期延長が予想され、工期短縮が必要な場合イ.関連工事等の影響により、工期短縮が必要な場合
ウ.その他の事由(地元調整、関係機関調整など)により工期の短縮が必要な場合
4.設計変更手続きフロー
① 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと。
② 設計図書に誤謬、脱漏があること
③ 設計図書の表示が明確でないこと
④ 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと
⑤ 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと 【第18条第1項】
受注者
契約書第 18 条第 1 項第1号~5 号の一つに該当する事実を発見
【第 18 条第 3 項】
【第 18 条第 4 項第 1 号】
【第 18 条第 4 項第 2・3 号】
調査終了後 14 日以内にその結果を通知(とるべき措置の指示含む)
先行承認決裁、重要な事項についてはxx監督員まで(原則14日以内)
調査結果のとりまとめ
発注者
発注者:直ちに調査の実施【第 18 条第 2 項】
受注者:立会い【第 18 条第 2 項】
※受注者からの確認請求を受領後概ね7 日以内を目処に調査終了予定日を受注者へ通知
通知し確認を請求
【第 18 条第 1 項】
意見
【第 18 条第 3 項】
受理
変更設計決裁:受注者と協議
重要な設計変更については、契約担当者の承認。
【第 18 条第 3 項】
必要があると認められるときは設計図書の訂正又 は変更<発注者が行う> 【第 18 条第 4 項】 | |
設計図書の訂正 | 設計図書の変更 |
必要があると認められるときは設計図書の訂正又は変更<受発注者で協議し、発注者が行う>
・工事目的物の変更を伴わない設計図書の変更【第 18 条第 4 項第3号】
【重要な設計変更の場合】
<設計変更審査会>
設計変更の妥当性の審議を行う。
内容変更・変更根拠の明確化、変更図面、変更数量計算書等の変更設計図書の作成
必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更【第 18 条第 5 項】
協議 :①工期の変更【第 23 条】
②請負代金の変更【第 24 条】
5.設計変更に関わる資料の作成
設計変更に関わる資料の作成についての具体的対応方法
①設計照査に必要な資料作成
受注者は、当初設計等に対して「工事請負契約書」第18条第1項に該当する事実が発見された場合、監督員にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。なお、これらの資料作成に必要な費用については契約変更の対象としない。
沖縄総合事務局開発建設部 平成 27 年 9 月 「工事請負契約における設計変更ガイドライン」より
②設計変更に必要な資料作成
「工事請負契約書」第18条第1項に基づき設計変更するために必要な資料の作成については、「工事請負契約書」第18条第4項に基づき発注者が行うものであるが、受注者に行わせる場合は、以下の手続きによるものとする。
① 設計照査に基づき設計変更が必要な内容については、受発注者間で確認する。
② 設計変更するために必要な資料の作成について書面により協議し、合意を図った後、発注者が具体的な指示を行うものとする。
③ 発注者は、書面による指示に基づき受注者が設計変更に関わり作成した資料を確認する。
④ 書面による指示に基づいた設計変更に関わる資料の作成業務については、契約変更の対象とする。
⑤ 増加費用の算定は、設計業務等標準積算基準書を基本とする。
沖縄総合事務局開発建設部 平成 27 年 9 月 「工事請負契約における設計変更ガイドライン」より
6.条件明示について
施工条件は、契約条件となるものであることから、設計図書の中で明示するものとする。また、明示された条件に変更が生じた場合は、契約図書の関連する条項に基づき、適切に対応するものとする。
なお、条件明示等に記載漏れがないようチェックすること。
沖縄総合事務局開発建設部 平成 27 年 9 月 「工事請負契約における設計変更ガイドライン」より
沖縄総合事務局開発建設部 平成 27 年 9 月 「工事請負契約における設計変更ガイドライン」より
7.指定・任意の使い分け
【基本事項】
指定・任意については、工事請負契約書第1条第3項に定められているとおり、適切に扱う必要がある。
1. 任意については、その仮設、施工方法の一切の手段の選択は受注者の責任で行う。
2. 任意については、その仮設、施工方法に変更があっても原則として設計変更の対象としない。
(受注者による施工計画書等の修正、提出は必要)
3. ただし、指定・任意ともに当初積算時の想定と現地条件が異なることによる変更は行う。
【留意事項】
◆指定・任意の使い分けにおいては、下記の事項に留意する。
1. 仮設、施工方法等には、指定と任意があり、発注においては、指定と任意の部分を明確に する必要がある。
2. 発注者(監督員)は、任意の趣旨を踏まえ、適切な対応をするように注意が必要
※ 任意における下記のような対応は不適切
・ ○○工法で積算しているので、「○○工法以外での施工は不可」との対応。
・ 標準歩掛かりではバックホウで施工となっているので、「クラムシェルでの施工は不可」との対応。
・新技術の活用については受注者から申し出があった場合に、「積算上の工法で施工」するよう対応。
3. ただし、任意であっても、当初積算時の条件と現場条件に変更がある場合は、設計変更を 行う。
【参考資料】
沖縄総合事務局開発建設部 平成 27 年 9 月 「工事請負契約における設計変更ガイドライン」より
8.入札・契約時の設計図書等の疑義の解決
・契約図書等に関する疑義については、下記により、入札前の段階、設計照査の段階で解決しておくことが、スムーズな設計変更に繋がることになる。(受注者等への指導)
【入札前】
∙ この工事の入札に当たっては、一般競争入札の公告、指名通知書、図面、仕様書、沖縄県土木建築部競争契約入札心得、工事請負契約書案及びこの現場説明書をよく確認のうえ、入札書を提出するものとする。(現場説明資料 説明事項 1.入札について(1))
∙ 入札参加者は仕様書、図面、契約書案及び現場等を熟覧のうえ、入札しなければならない。この場合において仕様書、図面、契約書案等について疑義があるときは、関係職員へ説明を求めることができる。(競争契約入札心得第2条(入札等))
【契約後】
∙ 受注者は、施工前及び施工途中において、自らの負担により契約書第18条第1項第1号から第5号に係る設計図書の照査を行い、該当する事項がある場合は、監督員にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。なお、確認できる資料とは、現場地形図、設計図との対比図、取合い図、施工図等を含むものとする。また、受注者は監督員から更に詳細な説明又は書面の追加の要求があった場合は従わなければならない。(共通仕様書1-1-1-3 2.設計図書の照査等)
9.参考資料
(1)設計変更事例
(沖縄総合事務局開発建設部 平成 27 年 9 月 「工事請負契約における設計変更ガイドライン」を参考に一部加筆)
◆事例の分類
1-1. 工事目的物の形状・寸法や仕様の変更
1-2. 工事目的物の追加
1-3. 施工数量の増減
1-4. 施工方法等(施工場所、施工時期、工法)の変更
1-5. 工事の中止、工事着手時期の変更、工期の変更
※引用文献:「公共土木工事設計変更事例集」山海堂