Lecture on Contract
契約法各論講義
明治学院大学法科大学院教授
xxx x
2014/12/23
Lecture on Contract
1
寄託の意義
◼ 第657条(寄託)
◼ 寄託は,当事者の一方が相手方のために保管をすることを約して
◼ ある物を受け取ることによって,その効力を生ずる。
◼ 典型例
◼ 駅または空港の手荷物預かり所に,荷物を預ける。
◼ 美術館または劇場にあるクロークに,荷物を預ける。
◼ 具体例
◼ Aは,たぬき大の犬(キク)を飼っているが,家族を伴って海外赴任することになった。そこで,愛犬家のBに頼んで,帰国するま で,xxの世話をお願いすることにした。
◼ Bは,Aが帰宅するまで,自宅で飼育することを引き受けて,キクを受け取った。
◼ 寄託に該当しない典型例
◼ コインロッカーに荷物を預ける場合
◼ 賃貸借契約(駐車場に自動車を預ける場合も同じ)
◼ 子どもを託児所に預ける場合
◼ 委任契約(動物を訓練するために預ける場合も同じ)
◼ 冒頭条文の欠陥
◼ 賃貸借の冒頭条文と同様,寄託の冒頭条文には,「返還合意」が欠けている。
◼ 民法657条(改正・暫定版)
◼ 寄託は,当事者の一方(寄託者)が相手方(受寄者)のために,ある物
(寄託物)を保管し,その後返還することを約して
◼ その物を受け取ることによって,その効力を生じる。
2014/12/23
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寄託の性質
◼ 第657条(寄託)
◼ 寄託は,当事者の一方が相手方のために保管をすることを約して
◼ ある物を受け取ることによって,その効力を生ずる。
◼ 要物契約
◼ 消費貸借契約の場合と同様,要物契約とする意味は薄弱である。
◼ 債権法改正(案)
◼ 【3.2.11.011】(寄託の定義)
◆寄託は,当事者の一方(受寄者)
が
◆相手方(寄託者)から物を受け取り,その物を相手方のために保管し,返還する義務を負う契約である。
◼ 無償の場合(片務契約)
◼ 義務を負わないのはどちらか?
◼ 寄託者(引渡を完了しているから)
◼ 相手方は何の義務を負うか?
◼ 保管と返還の義務
◼ 有償の場合(双務契約)
◼ 寄託者の義務は?
◼ 報酬支払義務
◼ 受寄者の義務は?
◼ 保管(民法400条)及び返還義務(662条)
◼ 無償と有償との相違点
◼ 無償寄託の注意義務
◼ 自己の物と同一の注意義務
◼ 有償寄託の注意義務
◼ 善管注意義務
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寄託契約の位置づけ
貸借型契約との類似点
◼ 無償寄託は,使用貸借に類似しており,有償寄託は,賃貸借に類似している。
◼ それにもかかわらず,寄託と使用貸借・賃貸借と寄託とは区別されている。
◼ 例えば,荷物を預けるという例を とっても,手荷物預かり所に荷物を預けるのは寄託であるが,コイン ロッカーに荷物を預けるのは,賃 貸借である。
◼ このような区別が生じているのはなぜか?
◼ これらの区別は,物の利用(使用貸借,賃貸借)か,それとも,労務の利用(寄託)かという基準に従っている。
役務提供契約内での位置づけ
◼ 役務の提供契約の中で,寄託は,保管事務の委託なのであるから,広い意味での委任
(準委任)契約に包摂されるはずである。
◼ それにもかかわらず,寄託契約が,委任とは異なる契約として位置づけている理由は何 であろうか?
◼ その理由は,寄託契約には,貸借型契約必須のアイテムである「返還合意」が含まれているからである。
◼ 寄託は,役務提供契約の中で,貸借型の契約として独自の存在意義を有している。
◼ 特に,消費寄託は,寄託契約よりも,消費貸借契約としての性格を強く有している。
2014/12/23
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受寄者の義務(1/6)
物の保管義務
◼ 第657条(寄託) ◼ 寄託物が第三者に譲渡された場合
◼ 寄託は,当事者の一方が
相手方のために保管し,その後返還することを約して
◼ ある物を受け取ることに
よって,その効力を生ずる。
◼ 物の保管
◼ 受寄者の支配(所持)内において物を盗難や紛失から守り(保持し),その物の滅失・損傷を防止して原状維持のために必要とされる措置を講じること。
の寄託者の地位の移転
◼ 寄託物の譲受人は,引渡がなくても,受寄者に対抗できる(判例)。
◼ 大判昭13・7・9民集17巻1409頁(最三判昭29・8・31民集8巻8号1567頁)
◼ 単に物の寄託を受け之を寄託者の為に保管する者は,
◼ 返還時期の定あると否とを問はず請求次第何時にても之が返還を為すべき義務を負担し〔民法662条〕,
◼ 寄託物に付所有権を取得したる者に対し之が引渡の欠缺を主張する正当の利益を有するものに非ざれば,
◼ 民法第178条に所謂第三者に該当せざるものとす。
2014/12/23
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受寄者の義務(2/6)
本人保管義務とその例外(復寄託)
◼ 第658条(寄託物の使用
及び第三者による保
管)
◼ ①受寄者は,寄託者の承諾を得なければ,寄託物を使用し,又 は第三者にこれを保管させることができない。
◼ ②第105条〔復代理人を選任した代理人の責任〕及び第107条第2項〔復代理人の権利・義務〕の規定は,受寄者が第三者に寄託物を保管させることができる場合について準用する。
寄託者
(本人)
受寄者
(代理人)
復寄
託契約
復受寄者
(第三者)
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受寄者の義務(3/6)
受寄者の注意義務
◼ 第659条(無償受 ◼商法 第593条【寄託寄者の注意義務) を受けた商人の責任】
◼無報酬で寄託を受 ◼商人が其営業の範囲けた者は,自己の 内に於て寄託を受けた財産に対するのと るときは,報酬を受け同一の注意をもっ ざるときと雖も,善良なて,寄託物を保管 る管理者の注意を為 する義務を負う。 すことを要す。
2014/12/23
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7
受寄者の義務(4/6)
受寄者の通知義務
◼ 第660条(受寄者の通 ◼ 第615条(賃借人の通知義務) 知義務)
◼ 寄託物について権利を ◼ 賃借物が修繕を要し, 主張する第三者が受寄 又は賃借物について権者に対して訴えを提起し, 利を主張する者がある又は差押え,仮差押え ときは,賃借人は,遅滞若しくは仮処分をしたと なくその旨を賃貸人に通きは, 知しなければならない。
◼ 受寄者は,遅滞なくその ◼ ただし,賃貸人が既にこ事実を寄託者に通知し れを知っているときは,なければならない。 この限りでない
2014/12/23
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受寄者の義務(5/6)
受寄者による受取物の引渡し等
◼ 第665条(委任の規定の準用)
◼ 第646条から第650条まで(同
条第3項を除く。)の規定は,寄託について準用する。
◼ 民法646条2項の権利移転
◼ 第646条(受任者による受取物の引渡し等)
◼ ①受任者は,委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても,同様とする。
◼ ②受任者は,委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。
第三者
(債務者)
権利権利
譲渡通知
受寄者
(譲渡人)
抗弁
権利
譲渡
寄託者
(譲受人)
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受寄者の義務(6/6)
受寄者の金銭の消費についての責任
◼ 第665条(委任の規定の準用)
◼ 第646条から第650条まで(同条第3項を除く。)の規定は,寄託について準用する。
◼ 第647条(受任者の金銭の消費についての責任)
◼ 受任者は,委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは,
◼ その消費した日以後の利息を支払わなければならない。
◼ この場合において,なお損害があるときは,その賠償の責任を負う。
◼ 第419条(金銭債務の特則)
◼ ①金銭の給付を目的とする債務の不履行については,その損害賠償の額は,法定利率によって定める。ただし,約定利率が法定利率を超えるときは,約定利率による。
◼ ②前項の損害賠償については,債権者は,損害の証明をすることを要しない。
◼ ③第1項の損害賠償については,債務者は,不可抗力をもって抗弁とすることができない。
◼ 第190条(悪意の占有者による果実の返還等)
◼ ①悪意の占有者は,果実を返還し,かつ,既に消費し,過失によって損傷し,又は収取を怠った果実の代価を償還する義務を負う。
2014/12/23
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10
寄託者の義務(1/2)
委任の規定の準用による寄託者の義務
◼ 第665条(委
任の規定の準用)
◼ 第646条から第650条まで
(同条第3項を除く。)の規定は,寄託について準用する。
◼ 寄託者の義務(民法665条)
◼ 報酬支払義務
◼ 民法648条(受任者〔受寄者〕の報酬)
◼ 保管費用前払義務
◼ 民法649条(委任者〔受寄者〕による費用の前払請求)
◼ 立替費用償還義務
◼ 民法650条1項(受任者〔寄託者〕による費用の償還請求)
◼ 代弁済義務・担保供与義務
◼ 民法650条2項(受任者〔受寄者〕による代弁済請求・担保供与請求)
2014/12/23
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11
寄託者の義務(2/2)
寄託者の損害賠償義務
◼ 第661条(寄託者による損害賠償)
◼ 寄託者は,寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。
◼ ただし,寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき,又は受寄者がこれを知っていたときは,この限りでない。
◼ 具体例
◼ AからBが預かった犬(キク)が凶暴な犬で,Bが手を噛まれて大けがをした場合。
◼ 第650条(委任者の損害賠償責任)
◼ ③受任者は,委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは,委任者に対し,その賠償を請求することができる。
2014/12/23
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期間の定めなし
いつでも返還を請求できる
(民法662条)
いつでも返還できる
(民法663条1項)
寄託契約の終了
任意解約権のまとめ
寄託者
受寄者
期間の定めあり
いつでも返還を請求できる
(民法662条)
やむを得ない事由がなければ,期限
前に返還できない(民法663条2項)。
2014/12/23
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13
寄託物の返還の場所
◼ 第664条(寄託物の返還の場所)
◼ 寄託物の返還は,その保管をすべき場所でしなければならない。
◼ ただし,受寄者が正当な事由によってその物を保管する場所を変更したときは,その現在の場所で返還をすることができる。
◼ 第484条(弁済の場所)
◼ 弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは,
◼ 特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所〔要物契約の場合は,債務者の住所地〕において,
◼ その他の弁済は債権者の現在の住所において,そ
れぞれしなければならない。
2014/12/23
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14
委任の規定の準用
◼ 第665条(委任の規定の準用)
◼ 第646条から第650条まで(同条第3項を除く。)の規定は,寄託について準用する。
◼ 受寄者の義務
◼ 民法646条(受任者〔受寄者〕による受取物の引渡し等)
◼ 民法647条(受任者〔受寄者〕の金銭の消費についての責任)
◼ 寄託者の義務
◼ 報酬支払義務
◼ 民法648条(受任者〔受寄者〕の報酬)
◼ 保管費用前払義務
◼ 民法649条(委任者〔受寄者〕による費用の前払請求)
◼ 立替費用償還義務
◼ 民法650条1項(受任者〔寄託者〕による費用の償還請求)
◼ 代弁済義務・担保供与義務
◼ 民法650条2項(受任者〔受寄者〕による代弁済請求・担保供与請求)
2014/12/23
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15
消費寄託契約の意義(1/3)
寄託と消費寄託との比較
◼ 第666条(消費寄託)
◼ ①第5節(消費貸借)の規定は,受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合について準用する。
〔旧・第666条本文〕
◼ ②前項において準用する第 591条第1項〔返還の時期・ 貸主による返還の催告〕の規定にかかわらず,前項の契約に返還の時期を定めなかったときは,寄託者は,いつでも返還を請求することができる。 〔旧・第666条ただし書〕
◼ 寄託と消費寄託との違い
◼ 寄託
◼ 特定物を預けて,その後,その物自体を返還する契約。
◼ 特定物を預けて,その後,その物自体を返還するという使用 貸借・賃貸借契約と似ている。
◼ 消費寄託
◼ 代替物を預けて,その後,これと種類,品質および数量の同じものを返還する契約。
◼ この点で,代替物を借りて,その後,これと同じ種類,品質および数量の同じものを返還するという消費貸借契約と似ている。
2014/12/23
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16
消費寄託契約の意義(2/3)
混蔵寄託と消費寄託との比較
◼ 第666条(消費寄託)
◼ ①第5節(消費貸借)の規定は,受寄者が契約により寄託物を 消費することができる場合について準用する。 〔旧・第666条本文〕
◼ ②前項において準用する第591条第1項〔返還の時期・貸主による返還の催告〕の規定にかかわらず,前項の契約に返還の時 期を定めなかったときは,寄託者は,いつでも返還を請求することができる。 〔旧・第666条ただし書〕
◼ 混蔵寄託([xx・債権各論〔中巻二〕
(1962)716‐718頁])
◼ 複数の寄託者から保管を依頼された油類,穀物,清酒,証券など,同種・同等の代替物を混合して保管する寄託(→スイス債務法484条)。
◼ 混和した寄託物は,寄託者との個別の所有関係を離れ,寄託者全員によるいわゆる共有物となる。
◼ 受寄者は,寄託者からの返還請求があれば,預かったのと同量の物を,他の寄託者の同意なしに返還できる。
◼ 寄託者が特定の寄託物の所有権を維持していない点で消費寄託に似るが,受寄者に消費する権限がない点ではむしろ通常の寄託に近い。
2014/12/23
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17
消費寄託契約の意義(3/3)
消費寄託と消費貸借との比較(1/4)
◼ 第666条(消費寄託)
◼ ①第5節(消費貸借)の規定は,受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合について準用する。
〔旧・第666条本文〕
◼ ②前項において準用する第 591条第1項〔返還の時期・貸主による返還の催告〕の規定にかかわらず,前項の契約に返還の時期を定めなかったときは,寄託者は,いつでも返還を請求すること ができる。 〔旧・第666条ただし書〕
◼ 消費貸借の定義を使って,消費寄託の冒頭条文を作成する(1/3)。
◼ 第587条(消費貸借)
◼ 消費貸借は,当事者の一方〔借主〕が種類,品質及び数量の同じ物をもって返還をす
ることを約して
◼ 相手方〔貸主〕から金銭その他の物を受け取ることによって,その効力を生ずる。
◼ 第666条1項の改正(暫定版)
◼ ①消費寄託は,当事者の一方(受寄者)が種類,品質及び数量の同じ物をもって返 還をすることを約して,
◼ 相手方(寄託者)から金銭その他の物を受け取ることによって,その効力を生ずる。
2014/12/23
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消費寄託契約の意義(3/3)
消費寄託と消費貸借との比較(2/4)
◼ 第666条(消費寄託)
◼ ①第5節(消費貸借)の規定は,受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合について準用する。 〔旧・第666条本 文〕
◼ ②前項において準用する第591条第1項〔返還の時期・貸主による返還の催 告〕の規定にかかわらず,前項の契約に返還の時期を定めなかったときは,寄託者は,いつでも返還を請求することができる。
〔旧・第666条ただし書〕
◼ 消費寄託の冒頭条文を作成する(2/3)。
◼ 第591条(返還の時期)
◼ ①当事者が返還の時期を定めなかったときは,貸主は,相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。
◼ ②借主は,いつでも返還をすることができる。
◼ 第666条2項の改正(暫定版)
◼ ②当事者が寄託物の返還の時期を定めたとき は,受寄者は,期限の利益を放棄し,xxxを 支払って,返還をすることができる(民法136条)。これに対して,寄託者は,期限到来まで返還を 請求できない(民法135条)(約款は肯定)。
◼ ③当事者が返還の時期を定めなかったときは,受寄者は,いつでも返還することができる(民法 591条2項の準用)。寄託者もまた,いつでも返還を請求することができる(民法666条2項)。
2014/12/23
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19
消費寄託契約の意義(3/3)
消費寄託と消費貸借との比較(3/4)
◼ 第666条(消費寄託)
◼ ①第5節(消費貸借)の規定は,受寄者が契約により寄託物を消費することがで
きる場合について準用する。
〔旧・第666条本文〕
◼ ②前項において準用する 第591条第1項〔返還の時 期・貸主による返還の催 告〕の規定にかかわらず,前項の契約に返還の時期を定めなかったときは,寄託者は,いつでも返還を請求することができる。 〔旧・第666条ただし書〕
◼ 第666条の改正(完成版)
◼ ①消費寄託は,当事者の一方(受寄者)が種類,品質及び数量の同じ物をもって返 還をすることを約して,相手方(寄託者)から金銭その他の物(消費寄託物)を受け取ることによって,その効力を生ずる。
◼ ②当事者が返還の時期を定めたときは,受寄者は,期限の利益を放棄し,有償の場合には,xxxを支払って返還することができる。これに対して,寄託者は,期限が到来するまで,返還を請求することができない。
◼ ③当事者が返還の時期を定めなかったときは,受寄者は,いつでも返還することができる。寄託者もまた,いつでも返還を請求することができる。
2014/12/23
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消費寄託契約の意義(3/3)
消費寄託と消費貸借との比較(4/4)
消費貸借(借主保護) 消費寄託(受寄者保護)
期限の定めあり 期限の定めあり
借主は,期限の利益を 貸主は,期限が来るま 受寄者は,期限の利益放棄して(民法136条), で返還を請求できない を放棄し,xxを払って
返還できる。 (民法135条)。 返還できる(民法136条)。
期限の定めなし
期限の定めなし
できる(民法591条2項)。 定めて返還の催告を
借主は,いつでも返還
貸主は,相当の期間を 受寄者は,いつでも返 寄託者は,いつでも返
還できる(民法591条2 還を請求できる(民法する(民法591条1項)。 項の準用)。 666条2項)。
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寄託者は,期限到来まで返還を請求できない
(民法135条)。
消費寄託の性質
◼ 第666条の改正(完成版)
◼ ①消費寄託は,当事者の一方(受寄 者)が種類,品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して,相手方
(寄託者)から金銭その他の物(消費寄託物)を受け取ることによって,その効力を生ずる。
◼ ②当事者が返還の時期を定めたとき は,受寄者は,期限の利益を放棄し,有償の場合には,xxxを支払って返還することができる。これに対して,寄託者は,期限が到来するまで,返還を請求することができない。
◼ ③当事者が返還の時期を定めなかっ たときは,受寄者は,いつでも返還することができる。寄託者もまた,いつでも返還を請求することができる。
◼ 要物契約
◼ 準用される消費貸借契約と同じ。
◼ 片務契約
◼ 無利息消費寄託
◼ 寄託者は債務を負わない。
◼ 受寄者は返還債務を負う。
◼ 利息付消費寄託
◼ 寄託者は債務を負わない。
◼ 受寄者は,利息を支払う債務とともに,返還債務を負う。
2014/12/23
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22
受寄者
利息支払
義務
元本返還
義務
有償寄託と有償消費寄託との比較
有償寄託(双務契約)
有償消費寄託(片務契約)
寄託者
寄託者
報酬支払義務
債務を負わない
2014/12/23
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23
受寄者
保管義務 返還義務
参考図書
◼ 現行民法の立法理由
x xxxx『民法修正案(前三編)の理由書』有斐閣(1987)
◼ 法務大臣官房司法法政調査部
『法典調査会民法議事速記録3』商事法務研究会(1984)
◼ 教科書
◼ xxx『債権各論中巻二 (民法講義Ⅴ3)』岩波書店(1962)
◼ xxxx『契約法講義』〔第2版〕信山社(2005)
◼ xxxx『契約法』日本評論社
(2007)
◼ コンメンタール
◼ xx・xx『コンメンタール民法
-総則・物権・債権-』〔第2版〕日本評論社(2008)
◼ xxxx・xxxx『新・コンメンタール民法(財産法)』日本評論社(2012)
◼ 債権法改正
◼ 民法(債権法)改正検討委員会『詳解・債権法改正の基本方針Ⅴ-各種の契約(2)』商事法務(2010)
2014/12/23
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24