Contract
不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項について
目次
第1 不動産特定共同事業法の目的第2 不動産特定共同事業契約
第2- 1 令第1条第1号に掲げる契約第2- 2 令第1条第2号に掲げる契約第2- 3 その他
第3 不動産特定共同事業に係る許認可・届出第3- 1 許可の申請
第3- 2 許可の基準第3- 3 変更の認可第3- 4 変更の届出第3- 5 主務大臣等
第4 小規模不動産特定共同事業に係る登録・届出第4- 1 登録の申請
第4- 2 登録の拒否事由第4- 3 変更の登録
第4- 4 変更の届出第4- 5 主務大臣等
第4- 6 出資の価額及び出資の合計額に関する考え方第5 特例事業に係る届出
第6 適格特例投資家限定事業に係る届出第7 業務に関する事項
第7- 1 投機的取引の抑制第7- 2 標識の掲示
第7- 3 広告の規制
第7- 4 不当な勧誘行為等の禁止第7- 5 約款に基づく契約の締結
第7- 6 不動産特定共同事業契約の成立前の書面の交付第7- 7 情報通信の技術を利用した提供
第7- 8 不動産特定共同事業契約の成立時の書面の交付第7- 9 電子取引業務に関する特則
第7- 10 許可又は登録の取消し等に伴う業務の結了第7- 11 その他
第8 行政処分を行う際の留意点第8- 1 行政処分の基準
第8- 2 行政手続法との関係
第8- 3 不利益処分の公表に関する考え方第9 取引時確認等の措置
第10 反社会的勢力による被害の防止第11 障害者への対応
第1 不動産特定共同事業法の目的
不動産特定共同事業法( 平成6 年法律第7 7 号。以下「法」という。) の目的は、不動産特定共同事業を営む者について許可等の制 度を実施して、その業務の遂行に当たっての責務等を明らかにし、 及び事業参加者が受けることのある損害を防止するために必要な措 置を講ずることにより、その業務の適正な運営を確保し、もって事 業参加者の利益の保護を図るとともに、不動産特定共同事業の健全 な発展に寄与することにある( 法第1 条)。また、不動産特定共同 事業法の一部を改正する法律( 平成29年法律第46号) において、小口資金による空き家・空き店舗等の再生を通じた地方創生の推進、観光等の成長分野における良質な不動産ストックの形成の促進を図 るための所要の措置が講じられた。これらの法の目的を踏まえ、不 動産特定共同事業の適正な運営を確保する観点から監督に当たって の留意事項を定めるものとする。
第2 不動産特定共同事業契約
法第2 条第3 項に規定する不動産特定共同事業契約から、契約
( 予約を含む。) の締結の態様、当事者の関係等を勘案して収益又は利益の分配を受ける者の保護が確保されていると認められる契約
( 予約を含む。) として除かれるものが不動産特定共同事業法施行令( 平成6年政令第413 号。以下「令」という。) 第1条各号に掲げる「不動産特定共同事業契約から除かれる契約」であるが、この不動産特定共同事業契約から除かれる契約の範囲については、以下のとおり判断するものとする。
第2- 1 令第1条第1号に掲げる契約
(1) 令第1条第1号に掲げる契約は、法第2条第3項第3号に掲げる契約のうち、対象不動産を共有することとなった原因が、不動産特定共同事業契約締結以前に、宅地建物取引業者により、又はその代理若しくは媒介により不特定又は多数の者に販売されたことによるもの以外のものを除外するものであること( 例えば、相続によって共有となった不動産や共同で開発して共有する不動産を目的とする賃貸又は賃貸の委任に係る契約は、不動産特定共同事業契約から除かれる。)。
(2) 令第1条第1号に規定する「販売」とは、不特定又は多数の者に対して売却することを意味するものであること( 例えば、等価交換及びこれらに類すると認められるもの又はあらかじめ特定された者のみに対して売却することは含まれない。)。
(3) 法第2条第3項第3 号に規定する契約に関し、単に宅地建物取引業者が賃貸又は賃貸の委任を受けることを約束して不動産を売却する行為自体は、私法上の契約又は宅地建物取引業にすぎない行為であり、不動産特定共同事業には当たらないこと。
(4) 宅地建物取引業者が法第2条第3項第3号に規定する賃貸又は賃貸の委任の目的となることを示さずに、単に賃貸又は賃貸の委任の目的であることを約して不動産の販売又は媒介若しくは代理を行った後、当該不動産の賃貸又は賃貸の委任を受け、第三者に賃貸を行う行為も不動産特定共同事業には当たらないものであること。
第2- 2 令第1条第2号に掲げる契約
令第1 条第2 号に掲げる契約は、法第2 条第3 項各号に掲げる契約で、不動産特定共同事業法施行規則( 平成7年大蔵省・建設省令第2号。以下「規則」という。) 第1条に規定する国内で契約の締結の勧誘が行われ、契約の当事者が一時的に外国に移動して外国において締結されるもの以外の契約とされていること。すなわち、その後の収益又は利益の分配等の行為が国内で行われる場合に事業参加者の利益の保護の確保がすでに図られているものとは認められないもの以外の契約とされていること。
第2- 3 その他
(1) 法第2条第3項第1号及び第2 号に掲げる契約には、例えば、 森林組合法( 昭和5 3 年法律第3 6 号) に基づき設立された法人である森林組合又は森林組合連合会が、組合員から同法に基づく出資を受けるための契約など、特別の法律に基づき設立された組合が行う同法に基づく出資を受けるための契約は含まれないこと。
(2) 法第2条第1項に規定する不動産には外国の不動産も含まれていることから( 法第6 6 条参照) 、不動産取引の対象となる不動産が外国にある場合であっても、法第2 条第3 項に規定する不動産特定共同事業契約から除外されるものではないこと。
(3) 法第2条第3 項第1号に掲げる不動産特定共同事業契約に基づき不動産特定共同事業を行う場合等、事業参加者が当該事業に対し無限責任を負う場合には、事業参加者の出資額が当該責任に見合うものとなっているか留意すること。
第3 不動産特定共同事業に係る許認可・届出
不動産特定共同事業を行おうとする者からの許可申請並びに不動産特定共同事業者からの認可申請及び届出があった場合には、以下のとおり事務処理を行うものとする。
第3- 1 許可の申請
法第5 条第1 項に規定する許可の申請及び法第8 条第1 項に規定する変更の許可の申請があったときは、次に掲げる事項に留意するものとする。
(1) 許可申請書の添付書類において必要な官公署が証明する書類は、
申請日前3月以内に発行されたものであること。
(2) 外国法人である場合は、法第5 条第2項第1号に規定する「こ れに代わる書面」として、定款に準ずる書面を添付していること。
(3) 外国法人である場合は、法第5 条第2項第2号に規定する「これに代わる書面」として、本国における主たる事務所に係る登記事項証明書又はこれに準ずる書面及び国内の主たる事務所に係る登記事項証明書を添付していること。
第3- 2 許可の基準
(1) 法第7条第4号の事務所が法第17条第1 項に規定する要件を満たしているかを審査する場合において、業務管理者の要件については以下に留意するものとする。
業務管理者は、原則として、不動産特定共同事業を営む事務所に常勤( 不動産特定共同事業者の通常の勤務時間を勤務することをいう。I T の活用等により適切な業務ができる体制を確保した上で、不動産特定共同事業者の事務所以外において通常の勤務時間を勤務する場合を含む。) して、当該事務所に係る法第17条第
1 項各号に掲げる業務の実施に関し必要な助言、指導その他の監督管理を行うことができる状態である必要がある。
また、当該事務所において一時的に不動産特定共同事業の業務が行われていない間に、I T の活用等により、業務管理者が同一の不動産特定共同事業者の他の事務所に係る不動産特定共同事業の業務に従事することは差し支えないが、この場合において、当該他の事務所における業務管理者を兼ねることができるわけではないことに留意すること。
さらに、不動産特定共同事業の事務所における業務管理者が宅地建物取引業法( 昭和2 7 年法律第1 7 6 号) 、建築士法( 昭和
2 5 年法律第2 0 2 号) 、建設業法( 昭和2 4 年法律第1 0 0号) 等の法令により専任を要する業務に従事しようとする場合については、他の業種の業務量等を斟酌のうえ、支障がないと認められる特別な事情があるものを除き、業務管理者とは認められないものとする。
(2) 法第7条第5号の不動産特定共同事業契約約款の内容が基準に適合しているかを審査する場合において、特例投資家以外の者を相手方又は事業参加者として不動産特定共同事業を行おうとする者( 第一号事業又は第三号事業を行おうとする者に限る。) の法第2 条第3 項第1 号及び第2 号に掲げる契約( 対象不動産変更型契約を除く。) に係る不動産特定共同事業契約約款の内容を審査するときは、一般社団法人不動産証券化協会作成のモデル約款
( 平成2 9 年度版) の内容を参考とすること。また、対象不動産変更型契約に係る不動産特定共同事業契約約款の内容を審査するときは、国土交通省作成のモデル約款( 令和元年度版) の内容を
参考とすること。さらに、以下の点に留意すること。
① 規則第1 1 条第2 項第7 号に規定する「やむを得ない事由」とは、例えば、不動産特定共同事業者が対象不動産に係る不動産取引や収益又は利益の分配等の不動産特定共同事業契約上の重要な義務を正当な理由なく履行しない場合や、当該義務を履行することができなくなった場合、規則第1 1 条第2 項第1 2号ロ又は第1 5 号イ( 5 ) に掲げる合理的な価格に該当しない価格により対象不動産の売却等又は追加取得を行った場合など、不動産特定共同事業者に不動産特定共同事業契約上の重大な契約違反がある場合や、不動産特定共同事業者に重大な法令違反がある場合のほか、任意組合型において、事業参加者が属する組合の営業方針の変更により、当該事業参加者の利益が著しく害され、共同経営をするに耐えない程度に至った場合を含み、事業参加者が重篤な病気に罹患した場合や重傷を負った場合、地震・ 火災等に罹災した場合等の事業参加者の自己都合は、
「やむを得ない事由」に含まれないこと。
② 対象不動産変更型契約に基づき不動産特定共同事業を行う場合であって、特に特例投資家に該当しない者を事業参加者とし、契約期間が長期にわたる場合には、規則第1 1 条第2 項第7 号の2 に規定する定めとして、例えば営業年度ごとに発行済み出資口数の一定割合について、 契約の解除又は組合からの脱退
( 以下「契約の解除等」という。) が可能である旨の定め等があることが望ましいこと。
③ 規則第1 1 条第2 項第8 号の2 に規定する「公正な方法」とは、例えば、対象不動産の価額や不動産取引により生じた収益又は利益に一定割合を乗じた金額を不動産特定共同事業者の報酬とするなど、事業参加者と不動産特定共同事業者の利益が連動することにより、対象不動産変更型契約に基づく不動産特定共同事業を事業参加者のために適切に実施することを動機付けるような方法をいい、対象不動産の価額や不動産取引により生じた収益又は利益に一切連動することなく、契約時のみに一定額を不動産特定共同事業者の報酬とする等の方法は、原則として「公正な方法」に該当しないこと。
④ 規則第1 1 条第2 項第1 2 号ロ及び第1 5 号イ( 5 ) に規定する「必要かつ適切な措置」とは、例えば、当該不動産の鑑定評価額や近傍同種の不動産の取引価格等を示す客観的な資料を示すことにより、当該売却等又は追加取得の価格がこれらの資料により示した価格と比して、合理的な価格となっていることを事業参加者に説明する等の措置をいうこと。
⑤ ④ に掲げる「合理的な価格」とは、例えば、客観的な資料により示した価格を、概ね1 割以上下回るような売却等の価格や、概ね1 割以上上回る追加取得の価格であって、合理的な理由が
ないものは「合理的な価格」に該当しないこと。
⑥ 規則第1 1 条第2 項第1 2 号ハに規定する「その他これに準ずる公正な定め」とは、例えば、対象不動産の一部の売却等をした場合に、当該売却等により生じた収益又は利益の分配を、その次に到来する計算期間の末日において行う旨の定めをいい、対象不動産の大部分の売却等をしたにもかかわらず、当該売却等により生じた収益又は利益の分配を遅滞なく行わないことを可能とする規定は「その他これに準ずる公正な定め」に該当し ないこと。
⑦ 規則第1 1 条第2 項第1 5 号イ( 1 ) ( ⅳ ) に規定する「その他事業参加者の判断に重要な影響を与える事項」とは、例えば、追加取得する対象不動産の稼働率の基準等、当該不動産に係る収益やコンプライアンス等に関わる事項であって、事業参加者の保護や投資判断に重大な影響を与えるものをいうこと。
⑧ 規則第1 1 条第2 項第1 5 号イ( 3 ) に規定する「明確かつ公正な定め」とは、例えば、対象不動産の追加取得の方針の変更の内容及び時期等を事業参加者に通知する方法、通知から変更までの期間の目安並びに当該変更に反対する事業参加者が契約上の権利及び義務の買取等を求める方法等についての具体的な定めをいい、事業参加者が当該変更を踏まえて引き続き事業に参加するか否か等の判断を行うために十分な情報及び期間を事業参加者に提供することなく対象不動産の追加取得の方針を変更することができるとする規定は「明確かつ公正な定め」に該当しないこと。
⑨ 規則第1 1 条第2 項第1 5 号イ( 4 ) に規定する「その他の事業参加者の保護のため必要かつ適切な措置」とは、例えば、対象不動産の追加取得の方針の変更に反対する事業参加者の契約の解除等を認める旨の定めをいうこと。
⑩ 規則第1 1 条第2 項第1 5 号ハ及び第1 6 号イに規定する
「公正な定め」とは、例えば、同項第1 4 号イ又はロに掲げる方法、他の不動産の小口化・証券化商品への投資、不動産を信託する信託の受益権の取得、リスクヘッジ目的で行われるオプション取引等に運用方法が限定されているものをいい、不動産とは無関係の高リスクな運用方法を可能とする規定は「公正な定め」に該当しないこと。
➃ 規則第1 1 条第2 項15 号ホに掲げる行為又は取引及び同号トに掲げる追加募集は、同号に掲げる書面を交付し又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供した日から、原則として2週間以上の期間をおいて行うこと。
⑫ 規則第1 1 条第2 項第1 5 号ホ( 3 ) に規定する「利害関係人」は、不動産特定共同事業者との関係が次に掲げる者に該当する者を含むこと。
イ 当該不動産特定共同事業者
ロ 金融商品取引法( 昭和二十三年法律第二十五号) 第3 1 条の4第3項に規定する親法人等
ハ 同条第4項に規定する子法人等
ニ 不動産特定共同事業者が金融商品取引法施行令第1 5 条の
1 6 第4 項に規定する他の会社等の関連会社等である場合における当該他の会社等
ホ 金融商品取引法第29条の4第2項に規定する主要株主ヘ 役員及び使用人
ト イからヘに掲げる者が総株主又は総出資者の議決権の過半数を保有している法人
チ イからヘに掲げる者とアセットマネジメント関連業務委託契約を締結している法人( 業務を委託している他の特例事業者を含む。)
⑬ 規則第1 1 条第2 項第1 5 号ト( 4 ) に規定する「想定されるその変動の概要」とは、例えば、優先劣後構造がある場合において、優先出資部分に係る追加募集を行う場合における劣後出資部分の既存の事業参加者や、同順位の出資であっても追加募集の条件がそれ以前の募集に係るものより有利なものである場合における既存の事業参加者が有する不動産特定共同事業に係る権利の価格が下落すること等、当該追加募集により事業参加者の権利の価格に生ずることが想定される主な変動の概ねの内容が分かるものをいう。
⑭ 規則第1 1 条第2 項第1 5 号リに規定する「必要かつ適切な措置」とは、対象不動産の売却等及び追加取得を行う際に、投資判断に関する委員会の開催や、意見書の提出を受けることにより、弁護士、公認会計士、不動産鑑定士その他の者であって、不動産取引に係る実務に関する知識を有する者( ⑫ に掲げる利害関係人に該当する者を除く。) の意見を聴取し、当該取引が事業参加者にとって必要かつ合理的な取引であること等について同意を得る旨の定めをいうこと。なお、例えば古民家再生に資するファンド等と銘打ちながら、都心部のワンルームマンションに相当部分入れ替えるようなことは、「事業参加者にとって必要かつ合理的な取引」に該当しないこと。
(3) 法第7条第6号に規定する不動産特定共同事業を適確に遂行するに足りる財産的基礎を有するものとして規則第12 条第1 号に規定する基準を審査するに当たっては、最終の決算において当期利益を有し、かつ、金融支援( 経営再建等を目的とする金利の減免、利息の支払猶予、元本の返済猶予、債権放棄等をいう。以下同じ。) を受けていないなど、財務内容が良好であることを審査すること。その際、例えば、次に掲げるように、許可申請者の行おうとする不動産特定共同事業の種別及び方法並びにその事業者
が行っている実績や実態などに即して、実質的に判断することを妨げるものではないこと。
① 第二号事業又は第四号事業のみを行い、かつ、電子取引業務を行おうとする者にあっては、規則第4 9 条第2 項の規定により金銭信託を利用した分別管理が義務づけられていることに鑑み、不動産特定共同事業以外のクラウドファンディング等の実績がある場合には、最終の決算において当期利益を有していることを必ずしも求めないこと。
② 許可申請者が直前3 年の各事業年度分の規則第8 条第2 項第
2 号に掲げる書類を有していない新設法人であり、当該許可申請者の総株主又は総出資者の議決権の三分の二以上を不動産特定共同事業者が保有している場合においては、当該許可申請者が第二号事業又は第四号事業のみを行い、かつ、電子取引業務を行おうとする者であって、当該許可申請者の資本金又は出資の額が原則1 億円以上の者である場合にあっては、規則第4 9条第2 項の規定により金銭信託を利用した分別管理が義務づけられていること及び十分な財産的基礎を有していると考えられることに鑑み、規則第8 条第2 項第2 号に掲げる書類については、直前3 年の各事業年度分の提出を必ずしも求めないこと。
③ 許可申請者が直前3 年の各事業年度分の規則第8 条第2 項第
2 号に掲げる書類を有していない新設法人であり、当該許可申請者の総株主又は総出資者の議決権の過半数を保有している法人( 以下「親法人」という。) が、資本金又は出資の額が1 億円以上の不動産特定共同事業者であって、許可申請者の行う不動産特定共同事業に関して連帯して債務を保証する場合にあっては、許可申請者の規則第8 条第2 項第2 号に掲げる書類に代えて、親法人に係る当該書類を審査することにより法第7 条第
6 号に規定する不動産特定共同事業を適確に遂行するに足りる財産的基礎を有するものとして規則第1 2 条第1 号に規定する基準を満たすか否かを審査することができること。
(4) 法第7条第7号に規定する電子取引業務を適確に遂行するために必要な体制が整備されているかを審査するに当たっては、法第
3 1 条の2 第1 項に規定する事項をホームページ上の見やすい箇所に表示するか、規則第54 条に定める業務管理体制が整備されているか否か等を審査すること。その際、「不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン」記載の措置を的確に実施するための態勢が整備されているか否かについて審査すること。
第3- 3 変更の認可
法第9 条に基づく変更の認可の申請があったときは、次に掲げる事項に留意するものとする。
(1) 不動産特定共同事業の種別を変更する場合にあっては、当該変
更後法第7 条第1 号及び第6 号に規定する許可の基準を満たしていること。
(2) 新たに不動産特定共同事業契約約款の作成をし、又は不動産特定共同事業契約約款の追加若しくは変更をする場合にあっては、当該変更後法第7 条第5 号に規定する許可の基準に適合していること。
( 注) 規則第14 条の規定により軽微な追加又は変更とされている 事項については、認可を受ける必要はない。また、不動産特定共同事業契約約款の追加又は変更のうち、単に字句を修正する程度 のものについては、この趣旨に照らして認可を受ける必要はない。
(3) 事務所を追加して設置しようとするときは、当該追加した事務所について法第7条第4号に規定する基準を満たしていること。
(4) 新たに電子取引業務を行おうとするときは、法第7条第7号に規定する基準を満たしていること。
第3- 4 変更の届出
法第1 0 条に基づく変更の届出を受理したときは、当該変更によって、法第7 条に掲げる許可の基準に適合しなくなるものでないことに留意するものとする。
( 注) 変更により、法第7 条に掲げる基準に適合しないと認められ るときは、当該変更の届出に係る不動産特定共同事業者に対し、速やかに、法第3 9 条に基づく指導等が必要となることに留意 するものとする。
第3- 5 主務大臣等
不動産特定共同事業者が法第3条第1項の許可を受けた後次の(1)又は(2 )のいずれかに該当し引き続き不動産特定共同事業を営もうとする場合においては、主務大臣の変更が生じ新たに許可を行う必要があるため、法第73条第1項第1 号に該当する場合にあっては金融庁長官及び国土交通大臣に、同項第2号に該当する場合にあっては国土交通大臣に、法第5条に基づき許可の申請が必要であることに留意するものとする。
(1) 国土交通大臣の許可を受けた者が法第73 条第1項第1号に掲げる事項に係る事業を行おうとするとき。
(2) 金融庁長官及び国土交通大臣の許可を受けた者が法第73条第
1項第2号に掲げる事項に係る事業のみを行おうとするとき。
第4 小規模不動産特定共同事業に係る登録・届出
小規模不動産特定共同事業を行おうとする者からの登録申請並びに小規模不動産特定共同事業者からの変更の登録及び届出があった場合には、以下のとおり事務処理を行うものとする。
第4- 1 登録の申請
法第4 2 条第1 項に規定する登録の申請及び法第4 1 条第3 項に規定する更新の登録の申請があったときは、次に掲げる事項に留意するものとする。なお、当該登録の更新の申請に関する事前相談については、幅広に応じるものとする。
(1) 登録申請書の添付書類において必要な官公署が証明する書類は、申請日前3月以内に発行されたものであること。
( 2 ) 外国法人である場合は、法第4 2 条第2 項第1 号に規定する
「これに代わる書面」として、定款に準ずる書面を添付していること。
( 3 ) 外国法人である場合は、法第4 2 条第2 項第2 号に規定する
「これに代わる書面」として、本国における主たる事務所に係る登記事項証明書又はこれに準ずる書面及び国内の主たる事務所に係る登記事項証明書を添付していること。
(4) 規則第6 1条第2項第2号に規定する貸借対照表及び損益計算書又はこれらに代わる書面については、「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」に基づくものでなければならないが、必ずしも「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」に準拠する必要はなく、登録申請者の属性に応じて、「中小企業の会計に関する指針」( 以下「中小指針」という。) 又は「中小企業の会計に関する基本要領」( 以下「中小要領」という。) 等に準拠して作成されていても差し支えないこと。
( 注) 中小指針では、「とりわけ、会計参与設置会社が計算書類を作成する際には、本指針に拠ることが適当である。」とされ、また、「特例有限会社、合名会社、合資会社又は合同会社についても、本指針に拠ることが推奨される」とされている。中小要領では、「中小指針と比べて簡便な会計処理をすることが適当と考えられる中小企業を対象」とするとされている。
第4- 2 登録の拒否事由
(1) 法第44 条第6号の事務所が法第50条第2項において準用する法第1 7 条第1 項に規定する要件を満たしているかを審査する場合においては、第3 - 2( 1 ) に掲げる業務管理者の要件について留意すること。
(2) 法第44 条第7号の不動産特定共同事業契約約款の内容が基準に適合しているかを審査する場合において、特例投資家以外の者を相手方又は事業参加者として小規模不動産特定共同事業を行おうとする者の法第2 条第3項第1 号及び第2 号に掲げる契約に係る不動産特定共同事業契約約款の内容を審査するときは、国土交通省作成のモデル約款( 平成2 9 年度版) の内容を参考とすること。また、第3 - 2 ( 2 ) に掲げる点については、小規模不動産特定共同事業においても留意すること。
(3) 法第44 条第8号に規定する小規模不動産特定共同事業を適確に遂行するに足りる財産的基礎を有するものとして規則第6 4 条第1 号に規定する基準を満たすかを審査するに当たっては、同条各号に掲げる要件につき、誓約書をもって確認すること。
なお、同条第1 号ロ( 2 ) の要件については、これらの手続につき、裁判所による開始の決定や命令を受けていないことについて、官報公告を確認することも可能である。
(4) 法第44 条第9号に規定する電子取引業務を適確に遂行するために必要な体制が整備されているかを審査するに当たっては、法第3 1 条の2 第1 項に規定する事項をホームページ上の見やすい箇所に表示するか、規則第5 4 条に定める業務管理体制が整備されているか否か等を審査すること。その際、「不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン」記載の措置を的確に実施するための態勢が整備されているか否かについて審査すること。
第4- 3 変更の登録
法第4 6 条第1 項及び第2項に基づく変更の登録の申請があったときは、次に掲げる事項に留意するものとする。
(1) 小規模不動産特定共同事業の種別を変更する場合にあっては、当該変更後法第4 4 条第2号に規定する登録の拒否事由に該当しないこと。
(2) 新たに不動産特定共同事業契約約款の作成をし、又は不動産特定共同事業契約約款の追加若しくは変更をする場合にあっては、当該変更後法第4 4 条第7号に規定する登録の拒否事由に該当しないこと。
( 注) 規則第65 条の規定により軽微な追加又は変更とされている事項については、変更の登録を受ける必要はない。また、不動産特定共同事業契約約款の追加又は変更のうち、単に字句を修正する程度のものについては、この趣旨に照らして変更の登録を受ける必要はない。
(3) 事務所を追加して設置しようとするときは、当該追加した事務所について法第44条第6号に規定する登録の拒否事由に該当しないこと。
(4) 新たに電子取引業務を行おうとするときは、法第44条第9号に規定する登録の拒否事由に該当しないこと。
第4- 4 変更の届出
法第4 7 条に基づく変更の届出を受理したときは、当該変更によって、法第4 4条に掲げる登録の拒否事由に該当するものでないことに留意するものとする。
( 注) 変更により、法第4 4条に掲げる登録の拒否事由に該当すると認められるときは、当該変更の届出に係る小規模不動産特定
共同事業者に対し、速やかに、法第5 7 条において準用する法第3 9 条に基づく指導等が必要となることに留意するものとする。
第4- 5 主務大臣等
小規模不動産特定共同事業者が法第4 1 条第1 項の登録を受けた後次の(1)又は(2)のいずれかに該当し引き続き小規模不動産特定共同事業を営もうとする場合においては、主務大臣の変更が生じ新たに登録を行う必要があるため、法第7 3条第1項第1号に該当する場合にあっては金融庁長官及び国土交通大臣に、同項第2号に該当する場合にあっては国土交通大臣に、法第45条に基づき登録の申請が必要であることに留意するものとする。
(1) 国土交通大臣の登録を受けた者が法第73 条第1項第1号に掲げる事項に係る事業を行おうとするとき。
(2) 金融庁長官及び国土交通大臣の登録を受けた者が法第73条第
1項第2号に掲げる事項に係る事業のみを行おうとするとき。
第4- 6 出資の価額及び出資の合計額に関する考え方
小規模不動産特定共同事業に係る令第2条に規定する出資の価額及び出資の合計額については、同一の小規模不動産特定共同事業者又は小規模特例事業者に対して一事業参加者が出資できる出資額の上限及び同一の小規模不動産特定共同事業者又は小規模特例事業者が営む全ての小規模不動産特定共同事業に係る出資額の合計額の上限であることに留意するものとする。
小規模不動産特定共同事業について、出資の合計額や事業参加者ごとの出資の価額が令第2条に規定する金額の範囲内であるかどうかについて、事業参加者に係るリスクを限定するという法の趣旨に照らして不適切であると認められる場合には、法第51条第1項に基づく指示等が必要となる場合があることに留意するものとする。
例えば、事実上一の特例事業を合理的な理由なく複数の小規模特例事業に分け、小規模特例事業者ごとに不動産特定共同事業契約に基づく出資をさせること等により、令第2条に規定する出資の合計額や事業参加者ごとの出資の価額を実質的に超える事業を行うことは、上記の法の趣旨に鑑みて不適切であると考えられる。
なお、当該出資の価額及び出資の合計額については、基本的にはその後の組合持分等の譲渡の際の価額等ではなく、当該出資がなされたときの価額で判断するものとする。
また、期中に出資金( 元本部分) の実質的な返還があった場合には、基本的に、当初の出資の合計額から当該返還された元本額を控除した 額を当該事業に係る出資の合計額として扱うこととする。事業参加者 の出資の価額についても同様とする。
第5 特例事業に係る届出
(1) 法第58 条第2項に基づき特例事業の開始に係る届出を受理したときは、当該届出が法第2 条第8 項に規定する特例事業の要件に適合しないものではないことに留意するものとする。その際、以下に掲げる行為を行うことにより、法第2 条第8項に規定する
「当該行為を専ら行うことを目的とする法人」に直ちに該当しなくなるものではないことに留意するものとする。
① 税務・会計事務所等への業務委託、工事請負契約等の締結及び対象不動産変更型契約における特定金銭及び業務外金銭( 以下「追加取得準備等金銭」という。) の運用等、特例事業を行うにあたり当然に予定されている行為
② 対象不動産の買主からの要望により対象不動産を信託した上で、同日に当該信託の受益権を譲渡する場合や、不動産に係る信託の受益権を取得後、直ちに信託を終了させ、不動産を譲り受ける場合等、取引の形態が異なるものの、特例事業者が倒産する危険性を高める行為ではない行為
③ 対象不動産取得時に、当該不動産に付随する温泉権を取得する場合や、専有部分ごとに売却され、一部の専有部分に信託が設定されている区分所有建物の一棟全体を取得する場合、再生可能エネルギーを用いて発電した電力を対象不動産に供給するための設備を取得する場合、対象不動産の屋上に設置された太陽光発電設備を取得する場合等、不動産特定共同事業に付随・関連して資産を取得する行為
(2) 法第58 条第4項に基づき変更の届出を受理したときは、当該届出によって法第2 条第8項に規定する特例事業の要件に適合しなくなるものではないことに留意するものとする。
(3) (1)及び(2)の届出を受理したときは、次に掲げる事項に留意するものとする。
① 届出の添付書類において必要な官公署が証明する書類は、申請日前3月以内に発行されたものであること。
② 外国法人である場合は、法第5 8 条第3 項第1号に規定する
「これに代わる書面」として、定款に準ずる書面を添付していること。
③ 外国法人である場合は、法第5 8 条第3 項第2号に規定する
「これに代わる書面」として、本国における主たる事務所に係る登記事項証明書又はこれに準ずる書面及び国内の主たる事務所に係る登記事項証明書を添付していること。
第6 適格特例投資家限定事業に係る届出
適格特例投資家限定事業を行おうとする者からの届出があった場合には、以下のとおり事務処理を行うものとする。
(1) 法第59 条第2項に基づき適格特例投資家限定事業の開始に係
る届出を受理したときは、当該適格特例投資家限定事業を行おうとする者が同条第4 項の欠格事由に該当するものではないことに留意するものとする。
(2) 届出記載事項のうち、当該適格特例投資家限定事業を行おうとする者に出資する適格特例投資家が、規則第5 条第1 項に規定する適格特例投資家として実在するものであるかを確認するものとする( 実在が確認できない場合には、当該適格特例投資家に係る登記事項証明書又はこれに代わる書面の提示を求めるものとする。)。
(3) 法第59 条第5項に基づき変更の届出を受理したときは、当該届出によって適格特例投資家限定事業者が同条第4項の欠格事由に該当するものではないことに留意するものとする。
(4) (1)及び(3)の届出を受理したときは、次に掲げる事項に留意するものとする。
① 届出の添付書類において必要な官公署が証明する書類は、申請日前3月以内に発行されたものであること。
② 外国法人である場合は、法第5 9 条第3 項第1号に規定する
「これに代わる書面」として、定款に準ずる書面を添付していること。
③ 外国法人である場合は、法第5 9 条第3 項第2号に規定する
「これに代わる書面」として、本国における主たる事務所に係る登記事項証明書又はこれに準ずる書面及び国内の主たる事務所に係る登記事項証明書を添付していること。
第7 業務に関する事項
法第1 4 条第2 項、第1 6 条第1 項、第1 8 条、第2 0 条、第2
1 条、第2 1 条の2 、第2 2 条、第2 3 条、第2 4 条第1 項及び第
3 項、第2 5 条第1 項、第3 1 条の2 及び第6 5 条の規定等に係る監督に当たっては、投資家保護の観点から、次に掲げる事項に留意するものとする。
第7- 1 投機的取引の抑制( 法第14条第2項)
例えば、不動産特定共同事業者、小規模不動産特定共同事業者、特例事業者又は適格特例投資家限定事業者( 以下「不動産特定共同事業者等」という。) が地価の上昇による転売益のみを目的として対象不動産を短期的に売却する行為は、行ってはならないものであること。
( 注) 法第1 4条第2 項に違反したと認められる場合には、法第3
4 条又は第3 5 条に規定する指示又は業務停止命令の対象となりうることに留意するものとする。
第7- 2 標識の掲示( 法第16条第1項)
(1) 法第16 条第1項に規定する「公衆の見やすい場所」とは、事務所の内外を問わず事業参加者が容易に見ることができる場所をいうものであること。
(2) 標識の材質については、金属等長期の使用に耐え得るものを用いていること。
第7- 3 広告の規制( 法第18条)
不動産特定共同事業者又は小規模不動産特定共同事業者が行う広告の表示は、投資家への投資勧誘の導入部分に当たり、明瞭かつ正確な表示による情報提供が適正な投資勧誘の履行を確保する観点から最も重要であるが、その徹底に当たっては、以下の点に特に留意するものとする。
( 注) なお、広告には、勧誘資料やインターネットのホームページ、郵便、信書便、ファックス、電子メール、ビラ、パンフレット等による多数の者に対する情報提供が含まれるが、実際に広告に該当するか否かの判断は、投資家との電子メール等のやり取り、イメージCM、ロゴ等を記載した粗品の提供などの外形ではなく、 実態をみて個別具体的に判断する必要がある。
(1) 申込者の判断に影響を及ぼすこととなる重要事項に関する留意事項
① 申込者が支払うべき手数料、報酬、その他の対価又は費用が無料又は実際のものよりも著しく低額であるかのように誤解させるような表示をしていないか。
② 出資を伴う契約にあっては、元本の返還について保証されたものではない旨を表示しているか。また、「元本保証」「元本保全」など元本の返還について保証されているかのように誤解させるような表示をしていないか。
③ 法第5 条の許可申請書に記載した商号又は名称と異なるものを用いた表示をしていないか。
(2) 明瞭かつ正確な表示
① 取引の長所に係る表示のみを強調し、短所に係る表示が目立ちにくい表示を行っていないか。
② 当該広告を画面上に表示して行う場合に、表示すべき事項の全てを判読するために必要な表示時間が確保されているか。
(3) 誇大広告に関する留意事項
① 不動産特定共同事業に係る不動産取引により確実に利益を得られるかのように誤解させて、投資意欲を不当に刺激するような表示をしていないか。
② 利回りの保証若しくは損失の全部若しくは一部の負担を行う旨の表示又はこれを行っていると誤解させるような表示をしていないか。
③ 申込みの期間、対象者数等が限定されていない場合に、これらが限定されていると誤解させるような表示を行っていないか。
④ 金融庁長官、国土交通大臣その他の公的機関が、不動産特定共同事業者を推薦し、又はその広告の内容を保証し、その商品の内容を事前審査しているかのように誤解させるような表示をしていないか。
⑤ 不当景品類及び不当表示防止法( 昭和3 7 年法律第1 3 4号) 、屋外広告物法( 昭和2 1 年法律第1 8 9 号) に基づく都道府県の条例その他の法令に違反する又は違反するおそれのある表示をしていないか。
⑥ 不動産特定共同事業者に有利な不動産特定共同事業契約の締結又はその代理若しくは媒介の実績のみを掲げる行為をしていないか。
⑦ 根拠を示さずに、不動産特定共同事業に係る販売の実績、内容又は方法が他の不動産特定共同事業者よりも著しく優れている旨を掲げる表示をしていないか。
⑧ 社会的に過剰宣伝であるとの批判を浴びるような表示をしていないか。
第7- 4 不当な勧誘行為等の禁止( 法第20条、第21条、第21条の2及び第22条)
(1) 法第20 条、第21 条、第21 条の2及び第22条並びに規則第3 8 条により不当な勧誘等に該当するかについては、以下のとおり判断するものとする。
① 社会的に過剰な営業活動であると批判を浴びるような勧誘をする行為は、規則第3 8 条第2 号及び第3 号の規定により禁止されるものであること。
② 不動産の空室リスク等を投資家に負わせないよう、一括転貸借契約、保証契約その他により、信用補完措置が適正になされている場合において、その根拠を示し予想利回りを表示する行為は、規則第3 8 条第5 号及び第6 号により禁止されるものではないこと。一方、合理的な根拠を示さずに予想利回りを表示する行為は、同条第5 号及び第6 号により禁止されるものであること。
③ 法第2 条第3 項第3 号に規定する不動産特定共同事業契約締結以前に、宅地建物取引業者により、又はその代理若しくは媒介により不特定又は多数の者に不動産を販売する場合において、共有持分の購入代金に関し金銭の貸付け又はその媒介等を行う行為は「不動産特定共同事業に関し」て行うものではないため、法第22条により禁止されるものではないこと。
(2) 不動産特定共同事業者及び小規模不動産特定共同事業者は、法第2 1 条の2 で準用する金融商品取引法( 昭和2 3年法律第2 5
号) 第4 0 条の規定に基づき、投資家の知識、経験、財産の状況、投資目的やリスク管理判断能力等に応じた取引内容や取引条件に留意し、投資家属性等に即した適正な投資勧誘の履行を確保する必要がある。
そのため、投資家の属性等及び取引実態を的確に把握し得る投資家の管理態勢を確立することが重要であり、例えば以下のような点に留意することとする( 特に、インターネット取引については、その非対面性に鑑みて細心の注意を払うこと。)。
① 投資家属性等の的確な把握及び投資家情報の管理の徹底
イ. 投資家の投資意向、投資経験等の投資家属性等を適時適切に把握するため、投資目的・意向を十分確認し、当該投資目的・意向を不動産特定共同事業者又は小規模不動産特定共同事業者と投資家の双方で共有しているか。また、投資家の申出に基づき、投資家の投資目的・意向が変化したことを把握した場合には、変更後の内容を不動産特定共同事業者又は小規模不動産特定共同事業者と投資家の双方で共有するなど、投資勧誘に当たっては、当該投資家属性等に即した適正な勧誘に努めるよう役職員に徹底しているか。
ロ. 元本の安全性を重視するとしている投資家に対して商品を販売する場合には、執ような勧誘が行われていないか、元本欠損が生ずるリスクを十分に説明しているかを確認するなどの慎重な販売管理を行っているか。
ハ. 管理部門においては、投資家属性等の把握の状況及び投資家情報の管理の状況を把握するように努め、必要に応じて、投資家属性等に照らして適切な勧誘が行われているか等についての検証を行うとともに、投資家情報の管理方法の見直しを行う等、その実効性を確保する態勢構築に努めているか。
② 投資家の取引実態の的確な把握及びその効果的活用
イ. 投資家の取引実態の把握については、例えば、投資家ごとの損益、取引回数、手数料の状況等といった取引状況を、投資家の取引実態の把握の参考としているか。
ロ. 取引実態の把握において、取引内容を直接投資家に確認する必要があると判断した投資家については、例えば業務管理者等による取引実態の的確な把握に努めているか。
(3) さらに、高齢の投資家は、過去の投資経験が十分であったとし ても、身体的な衰えに加え、短期的に投資判断能力が変化する場合もあることから、 高齢の投資家に対する投資勧誘においては、適合性の原則に基づいて、慎重な勧誘・販売態勢を確保するとともに、問題のある勧誘・販売を早期に発見するためのモニタリング態勢を整備する必要がある。また、商品販売後においても、丁寧にフォローアップしていく必要がある。以上を踏まえ、以下の点に留意して監督するものとする。
① 高齢の投資家に対する勧誘・販売に関する社内規則を整備するとともに、社内規則の遵守状況をモニタリングする態勢を整備しているか。
② 商品の販売後においても、高齢の投資家の立場に立って、きめ細かく相談にのり、投資判断をサポートするなど丁寧なフォローアップを行っているか。
第7- 5 約款に基づく契約の締結( 法第23条)
(1) 不動産特定共同事業者、小規模不動産特定共同事業者又は特例事業者が締結する不動産特定共同事業契約は、法第3 条第1 項の許可、法第9 条第1 項の認可、法第4 2 条第1 項の登録又は法第
4 6 条第1 項の変更登録に係る不動産特定共同事業契約約款に基づいて締結する必要があるものの、必ずしも不動産特定共同事業契約約款と一字一句同一の文言の契約である必要はなく、不動産特定共同事業契約において字句を修正する程度のものは法第2 3条に反するものではないこと。
(2) 令第6条及び規則第11条に規定する不動産特定共同事業契約約款の内容の基準に反しない範囲で、かつ、法第3条第1 項の許可、法第9 条第1 項の認可、法第4 2 条第1 項の登録又は法第4
6 条第1 項の変更登録に係る不動産特定共同事業契約約款の内容に反しない範囲で個別に合意した内容を規定した不動産特定共同事業契約を締結することは法第23 条に反するものではないこと。
(3) 規則第1 4条又は第65条に規定する軽微な追加又は変更に該当する事項についての不動産特定共同事業契約約款の変更については、法第9 条第1 項の認可又は法第4 6 条第1 項の変更登録を受ける必要はないこと。
(4) 特例投資家のみを相手方又は事業参加者として不動産特定共同事業契約を締結する場合であって、当該不動産特定共同事業契約上の権利義務を他の特例投資家以外の者に譲渡することが禁止されているときは、約款に基づいて契約を締結する必要はないこと
( 法第68条第3項及び第4項)。
第7- 6 不動産特定共同事業契約の成立前の書面の交付( 法第24条第1項)
(1) 法第24 条第1項の規定により交付される不動産特定共同事業契約の成立前の書面において、規則第4 3 条第1 項に規定する事項が記載されていること。また、以下の点に留意すること。
① 特例事業の場合、 規則第4 3 条第1 項第1 1 号に規定する
「不動産特定共同事業契約の法第2 条第3 項各号に掲げる契約の種別及び当該種別に応じた不動産特定共同事業の仕組み」には、不動産特定共同事業契約の締結の相手方が不動産特定共同事業者ではなく特例事業者であること、特例事業者が法第4 条
第1 号に掲げる行為を専ら行うことを目的とする法人であること等が記載されていること。
② 規則第4 3 条第1 項第1 3 号に規定する「利害関係人」は、不動産特定共同事業者又は小規模不動産特定共同事業者との関係が第3- 2( 2) ⑫に掲げる者に該当する者を含むこと。
③ 規則第4 3 条第1 項第1 4 号に規定する「不動産特定共同事業契約に係る法令に関する事項の概要」とは、例えば、法、金融商品取引法、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律( 昭和2 9 年法律第1 9 5 号) 、個人情報の保護に関する法律( 平成1 5 年法律第5 7 号) 、犯罪による収益の移転防止に関する法律( 平成1 9 年法律第2 2 号。以下「犯収法」という。) など、不動産特定共同事業契約に係る法令に関する事項について、当該概要が事業参加者及び勧誘の相手方に分かりやすく記載されていること。
④ 規則第4 3 条第1 項第1 5 号ハに規定する「契約の解除又は組合からの脱退に当たり事業参加者が出資の返還を受けることができる金額の計算方法及び支払方法」とは、例えば、対象不動産の前営業年度末時点の鑑定評価額に基づき当該事業参加者が有する不動産特定共同事業契約に係る権利の価格を計算する旨の定めなど、償還額の根拠となる対象不動産の価額の計算方法が具体的に記載されていること。また、業務上の余裕金や追加取得準備等金銭の一部又は全部の運用の中止、流動性の高い対象不動産の売却、新規の借入れや追加募集等、事業参加者に償還する金銭を調達する方法が具体的に記載されていること。
⑤ 規則第4 3 条第1 項第1 6 号ニに規定する「対象不動産に係る借入れ」とは、当該不動産特定共同事業契約に基づく不動産特定共同事業の目的のための借入れをいい、不動産特定共同事業者又は小規模不動産特定共同事業者が行う無担保の借入れであっても、これに該当する場合があること。
⑥ 規則第4 3 条第1 項第1 8 号に規定する「対象不動産の価格の算定方法」については、対象不動産の価格と鑑定評価額( 小規模な不動産の改修・建替事業等、事業採算性等の観点から不動産鑑定士による鑑定評価を受けることが困難な場合には、公示価格又は路線価等) との差異が合理的な範囲内であるかを説明することが望ましいこと。
⑦ 規則第4 3 条第1 項第2 6 号イに規定する「契約の解除又は組合からの脱退の可否及びその条件」とは、例えば、契約の解除等が可能な出資口数は、営業年度ごとに発行済み出資口数の一定割合の出資口数を上限( 以下「返還上限額」という。) とする旨の定めなど、契約の解除等が可能となる条件が具体的に記載されていること。加えて、例えば、複数の事業参加者による契約の解除等の申込口数が返還上限額を超過した場合におい
ては、返還上限額を申込口数に応じて按分した出資口数についてのみ契約の解除等に応じる旨の定めなど、可能な限り契約の解除等に応じる旨の定めがあることが望ましい。また、規則第
1 1 条第2 項第7 号に掲げる「 やむを得ない事由が存する場合」以外の場合に契約の解除等を認めない場合にあっては、組合持分等を換価する方法が契約上の権利及び義務の第三者への譲渡に限定されること等を事業参加者に説明することが望ましい。
⑧ 規則第4 3 条第1 項第3 1 号に規定する「損失発生要因に関する事項」は、空室の発生、賃料の下落、対象不動産の評価額の下落等により元本欠損が生ずるおそれがあるときは、その旨を含むこと。なお、法第2 条第3 項第3 号に規定する不動産特定共同事業契約については、安定した事業の継続又は円滑な事業の終了を確保するための措置の有無及びその内容が記載されていること。
⑨ 対象不動産変更型契約に基づき不動産特定共同事業を行う場合であって、特に特例投資家に該当しない者を事業参加者とし、契約期間が長期にわたる場合には、規則第4 3 条第1 項第3 5号に掲げる事項として、例えば、第二号事業者又は第四号事業者が運営するホームページ上において、事業参加者がその有する契約上の権利及び義務を第三者に譲渡することができる旨の定めなど事業参加者が円滑にその有する契約上の権利及び義務の譲渡を行うことができるための措置に関する定めがあることが望ましいこと。
⑩ 規則第1 1 条第2 項第1 5 号イに掲げる対象不動産の追加取得の方針及び手続に関する定めは、規則第4 3 条第1 項第3 7号に掲げる事項に当然に含まれるものであるが、事業参加者保護の観点から特に重要な事項であるため、法第2 4 条第1 項の規定により交付される不動産特定共同事業契約の成立前の書面に記載し、不動産特定共同事業契約の申込者に対し丁寧に説明すること。
➃ 第四号事業を行う不動産特定共同事業者が法第2 4 条第1 項の規定により交付する不動産特定共同事業契約の成立前の書面においては、当該不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引に係る業務を委託された不動産特定共同事業者( 第三号事業を行う者に限る。) 又は小規模不動産特定共同事業者
( 小規模第二号事業を行う者に限る。) に係る規則第4 3 条第
1項に規定する事項も記載されていること。
(2) 法第24 条第1項の規定により行う説明については、申込者に不動産特定共同事業契約の内容及びその履行に関する事項を理解させることを目的に行うものである。この目的を踏まえ、説明に当たっては、図表等及び電子機器を用いる等適宜投資家の理解を
深めるために適切に実施されるものであること。なお、申込者が遠隔地に居住する場合等、対面による説明を行うことが困難な場合には、必ずしも対面による説明を要しないが、その場合には、ビデオ、D V D 等の電子媒体を適切に活用するとともに、投資家からの個別の質問に対応できる体制を確保すること。
第7- 7 情報通信の技術を利用した提供( 法第24条第3項)
(1) 令第8条第1項に規定する承諾については、あらかじめ包括的に承諾を得ることも可能であるが、その際には、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示す必要があること。
(2) 法第24 条第1項の規定により交付される不動産特定共同事業契約の成立前の書面が電磁的方法により提供される場合には、投資家がその操作する電子計算機の画面上に表示される説明事項を読み、その内容を理解した上で画面上のボタンをクリックする等の方法で、投資家が理解した旨を確認することにより、法第2 4条第1項に規定する説明を行ったものと考えられること。
第7- 8 不動産特定共同事業契約の成立時の書面の交付( 法第25条第1項)
法第2 5 条第1 項の規定により交付される不動産特定共同事業契約の成立時の書面において、法第25 条第1項及び規則第4 7条に規定する事項が記載されていること。
第四号事業を行う不動産特定共同事業者が法第2 5条第1 項の規定により交付する不動産特定共同事業契約の成立時の書面においては、当該不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引に係る業務を委託された不動産特定共同事業者( 第三号事業を行う者に限る。) 又は小規模不動産特定共同事業者( 小規模第二号事業を行う者に限る。) に係る法第25条第1 項及び規則第47条に規定する事項も記載されていること。
第7- 9 電子取引業務に関する特則( 法第31条の2)
電子取引業務に係る監督に当たっては、「不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン」記載の措置を的確に実施するための態勢が整備されているか否かに留意すること。
第7- 10 許可又は登録の取消し等に伴う業務の結了( 法第65条)法第6 5 条に規定する「不動産特定共同事業契約に基づく業務を結了する目的」とは、私法上の契約を確実に履行させるためのものをいい、事業参加者の利益を損なうものであってはならないこと。
第7- 11 その他
(1 ) その運営するホームページ上において、他の不動産特定共同
事業者等が当事者となる不動産特定共同事業契約に係る情報を掲載し、当該情報を閲覧した投資家と当該他の不動産特定共同事業者等が不動産特定共同事業契約を締結する場を提供する行為は、法第2 条第4 項第2 号及び第4 号に規定する「不動産特定共同事業契約の締結の代理又は媒介をする行為」に該当すること。
(2 ) 対象不動産変更型契約において、不動産特定共同事業者等と事業参加者の間で利益相反が生じる対象不動産の変更や、対象不動産の追加取得の方針の変更で、変更の必要性が著しく乏しい場合や事業参加者にとって著しく不利益となる場合等は、個別の事例にもよるが、善管注意義務や忠実義務に違反するものとして損害賠償請求の対象となる場合があること。また、上記のような対象不動産の変更や対象不動産の追加取得の方針の変更を可能とするおそれが高い不動産特定共同事業契約は、個別の事例にもよるが、消費者契約法第10条に抵触する場合があること。
(3 ) 追加取得準備等金銭を運用する場合にあっては、金融商品取引法第2 条第1 項及び第2 項に掲げる「有価証券」により運用する金銭の割合が、資産総額の2 分の1 を超える場合、その期間にかかわらず金融商品取引法第2 条第8 項第1 5 号に規定する行為に該当すること。
(4 ) 特定金銭及び業務外金銭を同一の方法で運用している場合にあっては、規則第1 1 条第2 項第1 6 号ハの規定に基づき事業参加者に返還される追加取得準備等金銭に占める特定金銭及び業務外金銭の割合は、それぞれ返還前の追加取得準備等金銭の合計額に占める特定金銭又は業務外金銭の割合と原則として同一の割合であること。
第8 行政処分を行う際の留意点第8- 1 行政処分の基準
監督部局が行う主要な不利益処分( 行政手続法( 平成5 年法律
第8 8 号) 第2 条第4 号に規定する不利益処分をいう。以下同じ。) としては、① 法第34 条、第5 1 条及び第61 条第5 項に基づく指示、② 法第3 5 条、第5 2 条及び第6 1 条第6 項に基づく業務停止命令、③ 法第36 条及び第5 3 条に基づく許可又は登録の取消し、④ 法第3 7 条及び第5 4 条に基づく業務管理者の解任命令、⑤ 法第5 8 条第7項及び第6 1 条第3 項に基づく必要な措置の命令( 以下「是正措置命令」という。) 、⑥法第6 1 条第
8 項に基づく事業の廃止命令( 以下「業務廃止命令」という。)があるが、これらの発動に関する基本的な流れを例示すると、以下のとおりである。
(1) 法第40条第1項及び第58条第9項に基づく報告徴収命令
① 立入検査や、ヒアリングなどを通じて、リスク管理態勢、法
令遵守態勢、業務運営態勢等に問題があると認められる場合においては、法第4 0 条第1 項及び第5 8 条第9 項に基づき、当該事項についての事実認識、発生原因分析、改善・対応策その他必要と認められる事項について、報告を求めることとする。
② 報告を検証した結果、さらに精査する必要があると認められる場合においては、法第40条第1項及び第58条第9項に基づき、追加報告を求めることとする。
(2) 法第40 条第1項及び第58条第9項に基づき報告された改善
・対応策のフォローアップ
① (1) の報告を検証した結果、公益又は事業参加者の利益の保護の観点から重大な問題が発生しておらず、かつ、不動産特定共同事業者等の自主的な改善への取組みを求めることが可能な場合においては、任意のヒアリング等を通じて上記(1) において報告された改善・対応策のフォローアップを行うこととする。
② 必要があれば、法第40 条第1 項及び第5 8 条第9 項に基づき、定期的な報告を求め、フォローアップを行うこととする。
(3) 法第34 条から第3 7条まで、第51条から第54条まで、第
5 8 条第7 項及び第6 1 条第3 項、第5 項、第6 項、第8 項に基づく指示、業務停止命令、許可又は登録の取消し、業務管理者の解任命令、是正措置命令、業務廃止命令
(1) の報告を検証した結果、公益又は事業参加者の利益の保護の観点から重大な問題が認められる場合等においては、以下① から③ に掲げる要素を勘案するとともに、他に考慮すべき要素がないかどうかを吟味した上で、
・ 改善に向けた取組みを不動産特定共同事業者等の自主性に委ねることが適当かどうか、
・ 改善に相当の取組みを要し、一定期間業務改善に専念・集中させる必要があるか、
・ 業務を継続させることが適当かどうか、
等の点について検討を行い、最終的な行政処分の内容を決定することとする。
① 当該行為の重大性・悪質性イ. 公益侵害の程度
不動産特定共同事業者等が、不動産市場に対する信頼性を大きく損うなど公益を著しく侵害していないか。
ロ. 被害の程度
広範囲にわたって多数の事業参加者が被害を受けたかどうか。個々の事業参加者が受けた被害がどの程度深刻か。
ハ. 行為自体の悪質性
例えば、事業参加者から多数の苦情を受けているのにもかかわらず、引き続き同様の商品を販売し続けるなど、不動産特定共同事業者等の行為が悪質であったか。
ニ. 当該行為が行われた期間や反復性
当該行為が長期間にわたって行われたのか、短期間のものだったのか。反復・継続して行われたものか、一回限りのものか。また、過去に同様の違反行為が行われたことがあるか。
ホ. 故意性の有無
当該行為が違法・不適切であることを認識しつつ故意に行われたのか、過失によるものか。
ヘ. 組織性の有無
当該行為が現場の個人の判断で行われたものか、あるいは管理者も関わっていたものか。更に、経営陣の関与があったものか。
ト. 隠蔽の有無
問題を認識した後に隠蔽行為はなかったか。隠蔽がある場合には、それが組織的なものであったか。
チ. 反社会的勢力との関与の有無
反社会的勢力との関与はなかったか。関与がある場合には、どの程度か。
② 当該行為の背景となった経営管理態勢及び業務運営態勢の適切性
イ. 代表取締役や取締役会の法令遵守に関する認識や取組みは十分か。
ロ. 内部監査部門の体制は十分か、また適切に機能しているか。ハ. コンプライアンス部門やリスク管理部門の体制は十分か、
また適切に機能しているか。
ニ. 業務担当者の法令遵守に関する認識は十分か、また、社内教育が十分になされているか。
③ 軽減事由
以上① 及び② の他に、行政による対応に先行して、不動産特定共同事業者等が自主的に事業参加者の利益の保護のために所要の対応に取り組んでいる等、といった軽減事由があるか。
(4) 検査結果に基づく監督上の処分にかかる標準処理期間
法第3 4 条から第3 7 条まで、第3 9 条( 第5 7 条で準用する場合を含む。) 、第5 1 条から第5 4 条まで、第58 条第7 項及び第6 1 条第3 項、第5 項、第6 項、第8 項に基づき監督上の処分を命ずる場合には、上記(1) の報告書を受理したときから、おおむね2ヶ月以内を目処に行うものとする。
( 注1 )「報告書を受理したとき」の判断においては、以下の点に留意する。
ⅰ) 複数回にわたって法第40条第1項及び第58条第9項に基づき報告を求める場合( 直近の報告書を受理したときから上記の期間内に報告を求める場合に限る。) には、最
後の報告書を受理したときを指すものとする。
ⅱ) 提出された報告書に関し、資料の訂正、追加提出等を求める場合には、当該資料の訂正、追加提出等が行われたときを指すものとする。
( 注2 ) 弁明・聴聞等に要する時間は、標準処理期間に含まれない。
( 注3) 標準処理期間は、処分を検討する基礎となる情報ごとに適用する。
第8- 2 行政手続法等との関係
(1) 行政手続法との関係
指示、業務停止命令の発出、許可若しくは登録の取消し又は是正措置命令等の不利益処分を行おうとする場合には、行政手続法に基づく聴聞又は弁明の機会の付与の手続きを適切に実施すること。業務廃止命令を行おうとする場合には、法第61 条第9 項の規定に基づき、聴聞の手続きを適切に実施すること。
また、いずれの場合においても、行政手続法第1 4条に基づき、処分の理由を示さなければならないことに留意すること。
(2) 行政不服審査法との関係
報告徴収命令、指示若しくは業務停止命令の発出、許可若しくは登録を取り消す処分、是正措置命令又は業務廃止命令等をしようとする場合には、行政不服審査法( 平成2 6 年法律第6 8 号)第2 条に基づく審査請求ができる旨を書面で教示しなければならないことに留意すること。
(3) 行政事件訴訟法との関係
報告徴収命令、指示若しくは業務停止命令の発出、許可若しくは登録を取り消す処分、是正措置命令又は業務廃止命令等をしようとする場合には、行政事件訴訟法( 昭和3 7 年法律1 3 9 号)第8 条に基づく処分の取消しの訴えを提起することができる旨を書面で教示しなければならないことに留意すること。
第8- 3 不利益処分の公表に関する考え方
(1) 法第38 条( 法第5 7条において準用する場合を含む。) に基づき法第3 5 条第1 項若しくは第2 項、第3 6 条、第5 2 条第1項若しくは第2 項又は第53 条の規定による処分の公告を行う場合は、次の事項を記載するものとする。
①商号又は名称
②代表者の氏名
③主たる事務所の所在地
④法人番号
⑤ 許可番号( 小規模不動産特定共同事業者にあっては、登録番号)
⑥ 許可年月日( 小規模不動産特定共同事業者にあっては、登録年月日)
⑦処分の年月日
⑧処分の内容
(2) 法第61 条第10項に基づき同条第6項又は第8項の規定による処分の広告を行う場合は、次の事項を記載するものとする。
①商号又は名称
②代表者の氏名
③主たる事務所の所在地
④法人番号
⑤届出番号
⑥届出年月日
⑦処分の年月日
⑧処分の内容
(3 ) 不利益処分( 法第3 4 条第1 項若しくは第2 項又は第5 1 条第1 項若しくは第2 項に基づく指示処分を含む。)については、他の不動産特定共同事業者等における予測可能性を高め、同様の事案の発生を抑制する観点から、公表により処分対象事業者の経営改善に支障が生ずるおそれのあるものを除き、処分の原因となった事実及び処分の内容等を公表することとする。
(4 ) 監督部局は、無許可又は無登録で不動産特定共同事業を営んでいることが判明した者について、故意性・悪質性があると認められる場合、その他投資家保護上必要と認められる場合には、捜査当局に連絡するとともに、当該行為を直ちに取り止めるよう必要に応じて文書による警告を行うことができるものとする。また、警告の措置をとった場合、これらの措置の対象となった者の商号、名称又は氏名( 法人の場合は代表取締役又はこれに相当する者の氏名を含む。) 、所在地又は住所、及び無許可又は無登録で行っていた不動産特定共同事業の内容等について、必要に応じてホームページで公表を行うことができるものとする。
第9 取引時確認等の措置
犯収法に基づく取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の 届出等の措置( 犯収法第11条に定める取引時確認等の措置をいう。以下「取引時確認等の措置」という。) に関する内部管理態勢を構 築することは、組織犯罪による不動産特定共同事業の濫用を防止し、我が国の不動産投資市場に対する信頼を確保するためにも重要な意 義を有している。不動産特定共同事業者等の監督に当たっては、以 下の点に留意するものとする。
(1) 主な着眼点
① 犯収法に基づく取引時確認等の措置及びリスクベース・アプローチを含む「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策
に関するガイドライン」( 以下「マネロン・テロ資金供与対策ガイドライン」という。) 記載の措置を的確に実施するための態勢の整備に当たっては、以下の措置を講じているか。
( 注1) 取引時確認等の措置の的確な実施に当たっては、「犯罪収益移転防止法に関する留意事項について」( 平成24年
10月金融庁)を参考にすること。
( 注2) リスクベース・アプローチとは、自己のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与リスクを特定・評価し、これを実効的に低減するため、当該リスクに見合った対策を講ずることをいう。
イ. 管理職レベルのテロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策のコンプライアンス担当者など、犯収法第11条第3号の規定による統括管理者として、適切な者を選任・配置すること。
ロ. テロ資金供与やマネー・ローンダリング等に利用されるリスクについて、調査・分析し、その結果を勘案した措置を講じるために、以下のような対応を行うこと。
a . 犯収法第3 条第3 項に基づき国家公安委員会が作成・公表する犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案し、取引・商品特性や取引形態、取引に関係する国・地域、顧客属性等の観点から、自らが行う取引がテロ資金供与やマネー・ローンダリング等に利用されるリスクについて適切に調査・分析した上で、その結果を記載した書面等(以下「特定事業者作成書面等」という。) を作成し、定期的に見直しを行うこと。 b . 特定事業者作成書面等の内容を勘案し、必要な情報を収集・分析すること、並びに保存している確認記録及び取引記
録等について継続的に精査すること。
c . 犯収法第4 条第2 項前段に定める厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引若しくは犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則( 以下「犯収法施行規則」という。) 第5条に定める顧客管理を行う上で特別の注意を要する取引又はこれら以外の取引で犯罪収益移転危険度調査の内容を勘案してテロ資金供与やマネー・ローンダリング等の危険性の程度が高いと認められる取引( 以下「高リスク取引」という。) を行う際には、統括管理者が承認を行い、また情報の収集・分析を行った結果を記載した書面等を作成し、確認記録又は取引記録等と共に保存すること。
ハ. 社内規則等において、取引時確認等の措置を行うための社内体制や手続が明確に定められているか。また、役職員に対して、その内容について周知徹底を行い、その理解が十分に図られているか。
ニ. 取引時確認等の措置を行うに当たって、生年月日や住所等
の事業参加者の属性を適切に把握するとともに、取引時確認書類の提出等により、その信憑性・妥当性の確認が行われているか。申込者に関して特に問題等が認められた場合、適正に対応・管理を行っているか。
また、事業参加者から取得した取引時確認情報については、取引の継続的な点検等を通じて、その属性の把握に常時努め、最新のものとすることが確保されているか。
ホ. 事業参加者の取引時確認に当たって、取引形態を考慮した措置が講じられているか。
ヘ. 役職員の採用に当たって、マネー・ローンダリング対策の適切な実施の観点も含めて選考が行われているか。
ト. 役職員に対して、取引時確認に関する研修・教育が定期的かつ継続的に実施されているか。また、研修等を受けた役職員の理解状況について、日常業務における実践も踏まえ、評価及びフォローアップが適宜行われているか。
チ. 取引時確認の実施に関して、社内における定期的な点検や内部監査を通じて、その実施状況を把握・検証し、実施方法の見直しを行う等、その実効性が確保されているか。
② 法人顧客との取引における実質的支配者の確認や、外国PEPs
( 注) 該当性の確認、個人番号や基礎年金番号の取扱いを含む本人確認書類の適切な取扱いなど、取引時確認を適正に実施するための態勢が整備されているか。
( 注) 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令( 以下
「犯収法施行令」という。) 第12条第3項各号及び犯収法施行規則第15条各号に掲げる外国の元首及び外国政府等において重要な地位を占める者等をいう。
とりわけ、犯収法第4条第2 項前段及び犯収法施行令第1 2条各項に定める、下記a. ~d. のような厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引を行う場合には、顧客の犯収法第4 条第1 項第1 号に規定する本人特定事項を、通常と同様の方法に加え、追加で本人確認書類又は補完書類の提示を受ける等、通常の取引よりも厳格な方法で確認するなど、適正に
( 再) 取引時確認が行われているか。また、資産及び収入の状況の確認が義務づけられている場合について、適正に確認が行われているか。
a . 取引の相手方が犯収法第4 条第2 項第1 号イに規定する関連取引時確認に係る顧客等又は代表者等になりすましている疑いがある場合における当該取引
b . 関連取引時確認が行われた際に当該関連取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある顧客等との取引
c . 犯収法施行令第1 2 条第2 項に定める、犯罪による収益の移転防止に関する制度の整備が十分に行われていないと認
められる国又は地域に居住し又は所在する顧客等との取引等
d. 外国PEPsに該当する顧客等との特定取引
③ 犯収法に基づく疑わしい取引の届出を的確に実施するための態勢が整備されているか。
イ. 社内規則等において、疑わしい取引の届出を行うための社内体制や手続が明確に定められているか。また、役職員に対して、その内容について周知徹底を行い、その理解が十分に図られているか。
ロ. 疑わしい取引に該当すると判断された場合には、統括部署において、速やかに当局に届出を行うこととされているか。
ハ. 疑わしい取引の届出に該当するか否かの判断を行うに当たって、不動産特定共同事業者等が取得した取引時確認情報、取引時の状況その他不動産特定共同事業者等が保有している当該取引に係る具体的な情報を総合的に勘案した上で犯収法第8 条第2 項及び犯収法施行規則第2 6 条、第2 7 条に基づいた届出の必要性の判断が行われているか。また、その取引等に関して特に問題等が認められた場合、適正に対応・管理を行っているか。なお、判断に当たっては、特に以下の点に留意しているか。
a . 不動産特定共同事業者等の行っている業務内容・業容に応じて、マニュアル等により、疑わしい顧客や取引等を検出
・監視・分析する態勢を構築すること。
b. 犯罪収益移転危険度調査の内容を勘案の上、国籍( 例: F ATFが公表するマネー・ローンダリング対策に非協力的な国
・地域)、外国PEPs該当性、顧客が行っている事業等の顧客属性等その他の事情を十分考慮すること。また、既存顧客との継続取引や高リスク取引等の取引区分に応じて、適切に確認・判断を行うこと。
ニ. 役職員の採用に当たって、マネー・ローンダリング対策の適切な実施の観点も含めて選考が行われているか。
ホ. 役職員に対して、疑わしい取引の届出に関する研修・教育が定期的かつ継続的に実施されているか。また、研修等を受けた役職員の理解状況について、日常業務における実践も踏まえ、評価及びフォローアップが適宜行われているか。
ヘ. 疑わしい取引の届出に関して、社内における定期的な点検や内部監査を通じて、その実施状況を把握・検証し、実施方法の見直し等を行う等、その実効性が確保されているか。
④ 取引時確認と疑わしい取引の届出が相互に関連性を有していることを十分に認識し、取引時確認の的確な実施により事業参加者の基礎的な情報を把握し、その上で当該情報及び事業参加者の取引態様等を総合的に勘案のうえ判断し、疑わしい取引の届出が行われるよう、一体的、一元的な社内体制等が構築され
ているか。
(2) 監督手法・対応
立入検査や日常の監督事務を通じて把握された取引時確認等の措置、疑わしい取引の届出、マネロン・テロ資金供与対策ガイドライン記載の措置に係る課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、ヒアリングを実施し、必要に応じて法第4 0 条第1 項及び第5 8 条第9 項に基づき報告書を徴収することにより、不動産特定共同事業者等における自主的な業務改善状況を把握することとする。
また、顧客管理態勢に不備があるなど事業参加者の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、不動産特定共同事業者、小規模不動産特定共同事業者又は適格特例投資家限定事業者に対し、法第3 4条、第5 1 条又は第6 1条第5 項の規定に基づく指示等を発出するものとする。更に、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、不動産特定共同事業者、小規模不動産特定共同事業者又は適格特例投資家限定事業者に対し、法第3 5 条、第5 2 条又は第6 1 条第6 項に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする( 行政処分を行う際に留意する事項は第8- 1による。)。
( 注) 取引時確認の取扱いについては、必要に応じ別途、犯収法に基づき必要な措置をとることができることに留意する。
第10 反社会的勢力による被害の防止
(1) 不動産特定共同事業者等のコンプライアンスにとっての意義
反社会的勢力を社会から排除していくことは、社会の秩序や安全を確保する上で極めて重要な課題であり、反社会的勢力との関係を遮断するための取組みを推進していくことは、企業にとって社会的責任の観点から必要かつ重要なことである。
もとより不動産特定共同事業者等として公共の信頼を維持し、業務の適正な運営を確保するためには、反社会的勢力に対して屈することなく法令等に則して対応することが不可欠であり、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」
( 平成1 9 年6 月1 9 日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ。) の趣旨を踏まえ、平素より、反社会的勢力との関係遮断に向けた態勢整備に取り組む必要がある。
特に、近時反社会的勢力の資金獲得活動が巧妙化しており、関係企業を使い通常の経済取引を装って巧みに取引関係を構築し、後々トラブルとなる事例も見られる。こうしたケースにおいては経営陣の断固たる対応、具体的な対応が必要である。
なお、役職員の安全が脅かされる等不測の事態が危惧されることを口実に問題解決に向けた具体的な取組を遅らせることは、かえって不動産特定共同事業者等や役職員自身等への最終的な被害
を大きくし得ることに留意する必要がある。
( 参考)「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」( 平成1 9 年6 月1 9 日犯罪対策閣僚会議幹事会申合わせ)
① 反社会的勢力による被害を防止するための基本原則
○組織としての対応
○外部専門機関との連携
○取引を含めた一切の関係遮断
○有事における民事と刑事の法的対応
○裏取引や資金提供の禁止
② 反社会的勢力のとらえ方
暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会的標榜ゴロ、政治活動標榜ゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが必要である( 平成2 3 年1 2月22日付警察庁次長通達「組織犯罪対策要綱」参照)。
(2) 主な着眼点
反社会的勢力とは一切の関係をもたず、反社会的勢力であることを知らずに関係を有してしまった場合には、相手方が反社会的勢力であると判明した時点で可能な限り速やかに関係を解消するための態勢整備及び反社会的勢力による不当要求に適切に対応するための態勢整備の検証については、個々の取引状況等を考慮しつつ、例えば以下のような点に留意することとする。
① 組織としての対応
反社会的勢力との関係の遮断に組織的に対応する必要性・重要性を踏まえ、担当者や担当部署だけに任せることなく取締役等の経営陣が適切に関与し、組織として対応することとしているか。また、不動産特定共同事業者等単体のみならず、不動産特定共同事業における反社会的勢力との関係遮断のため、グループ一体となって、反社会的勢力の排除に取り組むこととしているか。さらに、グループ外の他社( 金融機関等) との業務委託や提携による金融サービスの提供などの取引を行う場合においても、反社会的勢力の排除に取り組むこととしているか。
② 反社会的勢力対応部署による一元的な管理態勢の構築
反社会的勢力との関係を遮断するための対応を総括する部署
( 以下「反社会的勢力対応部署」という。) を整備し、反社会的勢力による被害を防止するための一元的な管理態勢が構築さ
れ、機能しているか。
特に、一元的な管理態勢の構築に当たっては、以下の点に十分留意しているか。
イ. 反社会的勢力対応部署において反社会的勢力に関する情報を積極的に収集・分析するとともに、当該情報を一元的に管理したデータベースを構築し、適切に更新( 情報の追加、削除、変更等) する体制となっているか。また、当該情報の収集・分析等に際しては、グループ内で情報の共有に努め、警察、暴力追放運動推進センター・弁護士等の外部専門機関等から提供された情報を積極的に活用しているか。さらに、当該情報を取引先や事業参加者の審査や当該不動産特定共同事業者又は特例事業者における株主の属性判断等を行う際に、適切に活用する体制となっているか。
ロ. 反社会的勢力対応部署において対応マニュアルの整備や継続的な研修活動、警察・暴力追放運動推進センター・弁護士等の外部機関との平素からの緊密な連携体制の構築を行うなど、反社会的勢力との関係を遮断するための取組みの実効性を確保する体制となっているか。
ハ. 反社会的勢力との取引が判明した場合及び反社会的勢力による不当要求がなされた場合等において、当該情報を反社会的勢力対応部署へ迅速かつ適切に報告・相談する体制となっているか。また、反社会的勢力対応部署は、当該情報を迅速かつ適切に経営陣に対し報告する体制となっているか。さらに、反社会的勢力対応部署において実際に反社会的勢力に対応する担当者の安全を確保し担当部署を支援する体制となっているか。
③ 適切な事前審査の実施
反社会的勢力との取引を未然に防止するため、反社会的勢力に関する情報等を活用した適切な事前審査を実施するとともに、契約書や取引約款への暴力団排除条項の導入を徹底するなど、反社会的勢力が取引先や事業参加者となることを防止している か。
④ 適切な事後検証の実施
反社会的勢力との関係遮断を徹底する観点から、既存の契約の適切な事後検証を行うための態勢が整備されているか。
⑤ 反社会的勢力との取引解消に向けた取組み
イ. 反社会的勢力との取引が判明した旨の情報が反社会的勢力対応部署を経由して迅速かつ適切に取締役等の経営陣に報告され、経営陣の適切な指示・関与のもと対応を行うこととしているか。
ロ. 平素から警察・暴力追放運動推進センター・弁護士等の外部専門機関と緊密に連携しつつ、反社会的勢力との取引の解
消を推進しているか。
ハ. 事後検証の実施等により、取引開始後に取引の相手方が反社会的勢力であると判明した場合には、反社会的勢力への利益供与とならないよう配慮しているか。
ニ. いかなる理由であれ、反社会的勢力であることが判明した場合には、資金提供や不適切・異例な取引を行わない態勢を整備しているか。
⑥ 反社会的勢力による不当要求への対処
イ. 反社会的勢力により不当要求がなされた旨の情報が反社会的勢力対応部署を経由して迅速かつ適切に取締役等の経営陣に報告され、経営陣の適切な指示・関与のもと対応を行うこととしているか。
ロ. 反社会的勢力からの不当要求があった場合には積極的に警察・暴力追放運動推進センター・弁護士等の外部専門機関に相談するとともに、暴力追放運動推進センター等が示している不当要求対応要領等を踏まえた対応を行うこととしているか。特に、脅迫・暴力行為の危険性が高く緊急を要する場合には直ちに警察に通報を行うこととしているか。
ハ. 反社会的勢力からの不当要求に対しては、あらゆる民事上の法的対抗手段を講ずるとともに、積極的に被害届を提出するなど、刑事事件化も躊躇しない対応を行うこととしているか。
ニ. 反社会的勢力からの不当要求が、事業活動上の不祥事や役職員の不祥事を理由とする場合には、反社会的勢力対応部署の要請を受けて、不祥事案を担当する部署が速やかに事実関係を調査することとしているか。
⑦ 株主情報の管理
定期的に自社株の取引状況や株主の属性情報等を確認するなど、株主情報の管理を適切に行っているか。
第11 障害者への対応
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律( 平成2 5 年法律第6 5号。以下「障害者差別解消法」という。) により、事業者には、障害者に対する不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の努力義務が課せられているところである。また、不動産特定共同事業者等については、「国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」及び「金融庁所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」
( 以下「両省庁障害者差別解消対応指針」という。) において、差別の解消に向けた具体的な取組を適切に行うための基本的な考え方等が示されている。
不動産特定共同事業者等の監督に当たっては、これらの趣旨を踏
まえ、以下の点に留意するものとする。
(1) 主な着眼点
障害者への対応に当たって、顧客保護及び利用者利便の観点も含め、障害者差別解消法及び両省庁障害者差別解消対応指針に則り適切な対応を行っているか。
(2) 監督手法・対応
日常の監督事務や、障害者からの苦情等を通じて把握された不動産特定共同事業における障害者への対応については、ヒアリングの実施や報告の徴求により、内部管理態勢を含め不動産特定共同事業者等の対応を確認することとする。また、その結果、内部管理態勢や対応状況に問題が認められる場合には改善を促すこととする。