Contract
令和3年度
包 括 外 部 監 査 結 果 報 告 書
委託契約に関する事務の執行について
八尾市包括外部監査人田 上 智 子
<目次>
1 外部監査の種類....................................................................................................- 3 -
2 選定した特定の事件(監査テーマ) ..................................................................- 3 -
3 監査テーマの選定理由.........................................................................................- 3 -
4 監査対象期間........................................................................................................- 4 -
5 監査対象とした委託契約.....................................................................................- 4 -
6 監査対象部局........................................................................................................- 4 -
7 監査の視点............................................................................................................- 4 -
8 監査の方法(主な監査手続)..............................................................................- 6 -
9 補助者 ...................................................................................................................- 8 -
10 利害関係の有無....................................................................................................- 9 -
11 結果と意見の書き分け等.....................................................................................- 9 -
第2 委託契約に関する事務の概要 ...........................................................................- 10 -
1 委託契約の定義..................................................................................................- 10 -
2 契約締結及び支出の一般的手順........................................................................- 11 -
3 契約締結方法......................................................................................................- 12 -
4 契約等に関する規律(予算等との関係).........................................................- 22 -
5 八尾市における委託契約事務............................................................................- 24 -
6 八尾市における委託契約の全体像....................................................................- 26 -
第3 監査対象とした契約の全体像 ...........................................................................- 28 -
1 抽出方法..............................................................................................................- 28 -
2 監査対象の抽出にあたって採用した考え方.....................................................- 28 -
3 監査対象とした委託契約一覧............................................................................- 29 -
4 発見事項の分類..................................................................................................- 31 -
第4 包括外部監査による監査の結果及び意見(共通事項)..................................- 33 -
1 選定手法(一般競争入札) ...............................................................................- 33 -
2 選定手法(指名競争入札) ...............................................................................- 35 -
3 選定手法(随意契約).......................................................................................- 36 -
4 選定手法(公募型プロポーザル方式) ............................................................- 38 -
5 契約保証金のあり方...........................................................................................- 39 -
6 再委託 .................................................................................................................- 42 -
7 随意契約における「予定価格」を定める手続のあり方について...................- 43 -
8 文書管理..............................................................................................................- 45 -
第5 包括外部監査による監査の結果及び意見(各論事項)..................................- 47 -
1 〔広報・公民連携課〕番組制作及び放送業務委託契約..................................- 47 -
2 〔総務課〕本庁舎警備及び建物総合管理業務委託契約 .- 57 -
3 〔財政課〕記念品調達・送付等関係業務委託契約..........................................- 59 -
4 〔人権政策課〕八尾市外国人相談窓口運営業務委託契約..............................- 64 -
5 〔人権政策課〕八尾市男女共同参画センター業務委託契約 ..........................- 70 -
6 〔人権政策課〕外国人市民情報提供事業委託契約..........................................- 75 -
7 〔人権政策課〕人権啓発関係業務委託契約.....................................................- 81 -
8 〔人権政策課〕八尾市人権啓発事業業務委託契約..........................................- 84 -
9 〔市民課・コミュニティ政策推進課〕市民課及び庁内案内の窓口業務委託- 87 -
10 〔地域共生推進課〕八尾市福祉生活相談支援事業業務委託契約...................- 97 - 11 〔高齢介護課〕八尾市介護保険の窓口業務委託契約 ...................................- 102 - 12 〔健康保険課〕診療報酬明細書等点検業務委託契約 ...................................- 107 -
13 〔健康保険課〕国民健康保険料納付案内コールセンター業務委託契約.....- 110 -
14 〔健康保険課・障がい福祉課〕
八尾市国民健康保険・高齢者医療及び障がい者医療窓口業務委託契約 .....- 114 - 15 〔健康推進課〕定期予防接種業務委託契約...................................................- 119 -
16 〔健康推進課〕妊婦健康診査業務委託契約...................................................- 122 -
17 〔健康推進課〕集団検診業務に係る委託契約...............................................- 125 -
18 〔健康推進課〕
休日急病診療所窓口業務,診療報酬明細書作成及び総括業務.....................- 128 -
19 〔産業政策課〕八尾市立中小企業サポートセンター事業業務委託契約.....- 132 -
20 〔労働支援課〕八尾市パーソナル・サポート事業業務委託契約.................- 137 -
21 〔労働支援課〕地域就労支援コーディネーター業務委託契約 ....................- 141 -
22 〔循環型社会推進課〕
8種分別・指定袋制に係るごみ袋の製作及び配送業務委託契約.................- 149 -
23 〔環境施設課〕八尾市リサイクルセンター運転管理業務委託契約.............- 158 - 24 〔土木管財課〕道路・水路台帳更新業務委託契約.......................................- 160 -
25 〔土木管理事務所〕公園・緑地等環境保全清掃業務委託契約 ....................- 163 -
26 〔水道局お客さまサービス課〕八尾市水道料金徴収等総合業務委託契約.....- 166 -
27 〔水道局お客さまサービス課〕八尾市水道料金システム保守業務委託契約 .- 170 -
28 〔水道局工事管理課〕
令和2年度平日昼間水道施設修繕補修業務(①)............................................- 173 -
令和2年度休日夜間水道施設修繕補修業務(②)............................................- 173 -
29 〔水道局施設整備課〕八尾市水道施設運転管理等業務................................- 181 -
30 〔学校教育推進課〕八尾市英語指導者派遣事業...........................................- 192 -
31 〔学校教育推進課〕八尾市研究拠点校学習支援事業 ...................................- 201 -
32 〔学務給食課〕八尾市中学校給食調理業務委託契約 ...................................- 205 -
33 〔学務給食課〕八尾市小学校給食調理業務委託契約 ...................................- 208 -
第1 包括外部監査の概要
1 外部監査の種類
地方自治法第252条の37第1項及び包括外部監査契約に基づく特定の事件に関する監査
2 選定した特定の事件(監査テーマ)
委託契約に関する事務の執行について
3 監査テーマの選定理由
(1)八尾市の財政構造の弾力性を示す指標である経常収支比率については,過去5年間
(平成27年度から令和元年度)で,98.8%から100.4%と類似団体のなかでも高い水準で 推移している。市民に必要なサービスを持続的に提供していくためには,事務事業に ついて不断の見直しをする必要があり,市民目線による無駄の削減と,事業の有効性 向上によるサービス提供の確保が必要である。八尾市における「委託料」の一般会計 に占める割合は,継続的に概ね6%前後を占め続けており(平成27年度から令和2年 度の実績,詳細は,第2・6参照),「委託料」は,重要な支出項目であるといえる。これらのことから,その事務の執行について,「合規性」はもとより,特に「有効 性」・「経済性」・「効率性」の観点等から,組織横断的な監査を行うことは,八尾 市の行財政改革へも寄与するものと考えた。
(2)「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」(平成18年法律第51号)が 施行されて以降,八尾市を含む全国の多数の自治体において,民間ができることは, できるだけ民間に委ねるとの考えのもと,窓口業務をはじめとした各種業務の民間委 託等が推進されてきたところ,近時,一部の自治体では外部委託の継続による市職員 のスキル・ノウハウの低下への懸念,民間委託の費用対効果への疑念があるとされ, あるいは,民間委託により期待された市民サービスの向上や業務効率化が図られなか ったことなどから,一旦,外部委託を進めた事務事業が直営に戻された例もあること から,八尾市でも,民間への業務委託の妥当性等を確認する意義があると思料される。
(3)加えて,委託契約における「競争性」,「公平性」,「透明性」の確保は,内部の
視点のみからではなく,外部の視点からの監査を受けることが有用である。
(4)八尾市では,平成21年度に「委託契約及び工事請負契約の事務の執行について」とのテーマで包括外部監査が行われているが,平成21年度当時は,八尾市でも策定したばかりの「公民協働による公共サービスの提供に関する基本方針」に沿って各種業務の民間委託等の推進を進め拡大しようとしていた時期であり,その効果や問題点を振り返って検証すべき時期ではなかったといえる。したがって,それから10年を経過した現時点において,改めて,その監査の焦点を「委託契約」に絞って包括外部監査を行う意義が高いと思料し,本テーマを選定した。
4 監査対象期間
令和2年度(令和2年4月1日から令和3年3月31日まで)
ただし,必要に応じて,令和2年度以前の各年度及び令和3年度についても対象とした。
5 監査対象とした委託契約
契約金額が100万円以上の委託契約から,第3・1(抽出方法)のとおり抽出の上,第3・3記載の委託契約を対象とした。
6 監査対象部局
委託契約の所管部局(ただし,新型コロナウィルス感染症対策のため繁忙である保健所,病院,消防等は,監査対象から除外)のうち,監査人が抽出した各委託契約を所管する部局 及び契約事務を所管している契約検査課。
7 監査の視点
(1)包括外部監査における基本的視点
①合規性(地方自治法第2条第16項)
②経済性,効率性,有効性(同法第2条第14項)
③住民の福祉に寄与するものであるか(同法第2条第14項)
④組織及び運営の合理化が図られているか(同法第2条第15項)
⑤透明性,公平性,競争性が確保されているか
⑥履行の確保が図られているか
(2)監査にあたり特に意識した点
上記(1)の包括外部監査における基本的視点の下で,具体的には,特に以下の観点からの監査を行った。
①合規性の視点
・委託に関する事務は,地方自治法,地方自治法施行令,市が定める条例,規則その他の法令等及びその趣旨に従い適切に行われているか。
②経済性,効率性,有効性等の視点
・委託契約を導入している各種事業について,PDCAは行われているか。
・必要な場合に事業実施手法,又は事業そのものの見直しが行われているか。
・委託料は合理的に決められているか(委託料の算定過程は明確になっているか。委託内容に比して,委託料は合理的な水準となっているか。業務内容・量によってではなく,委託先の組織を基準として委託料を算定するなど,実質,委託先への補助金となっていないか。)
・委託した業務内容が適切に実施されたか,実績確認や委託による効果測定を行っているか。
③住民福祉の視点
・委託契約及びその内容は,住民福祉の増進につながるものか。
④組織及び運営の合理化の視点
・委託により,八尾市の組織の運営が合理化されているか。
・委託業務の間の重複等がないか。
⑤競争性,公平性,透明性の確保の視点
・委託先の選定は適切に行われているか(委託先の選定にあたり,一般競争入
札,指名競争入札の際に競争性・透明性の確保,機会均等及び公平性に十分配慮されているか。随意契約を採用する場合は,その理由に十分な合理性が認められるか。)。
8 監査の方法(主な監査手続)
(1)予備調査(初期における問題点の把握)
予備調査として,八尾市における委託契約の全体像を把握するため,行財政改革の流れ(その流れにおける民間委託の増加),事務分掌,効果測定,平成21年度の包括外部監査への対応等についてのヒアリングを行い,また,資料として,委託契約に関連する要綱・指針・マニュアルの提出を求め,その確認を行った。さらに,100万円以上の委託契約について,八尾市において作成している一覧表を確認した。
(2)監査対象となる委託契約の抽出
第3・3のとおり,監査対象となる委託契約を,33個抽出している(新型コロナウィルス感染症対策のため繁忙である保健所,市立病院,消防局等は,除外して抽出している。)。
これ以外についても,本調査において調査対象として取り上げた契約が存在する。ただし,本調査を進めるうちに,合規性及び3E監査の観点から目立った問題点が現れる可能性が少ないものは除外することとし,上記の33個に注力したものである。
(3)監査手続き
第一に,監査対象とした業務委託に関する財務事務について,各所管部局に「調査票」を配布して,下記の事項について回答を求めた。これについては,意見交換のために記載を求めたものを除き,整理の上,この報告書に引用している。
(調査票の記載事項)
① 契約の概要 | 契約名 |
契約先名(所在地) | |
業務概要 | |
現契約期間 |
同一相手先への委託開始時期 | |
予定価格(税込) | |
契約金額(税込) | |
決算額 | |
変更契約の有無 | |
契約保証金の有無及び契約保証金を免除した場合その根拠 | |
支払方法(根拠法令) | |
当初の契約方法及び根拠法令 | |
履行の実績確認方法 | |
再委託先の有無,ある場合は件数 | |
再委託の業務範囲 | |
再委託金額 | |
再委託確認方法 | |
個人情報取扱の有無 | |
② 委託の理由 | 委託の理由 |
同種の業務につき,委託と直営の併存の有無 | |
併存が有の場合,委託と直営の割合に関する方針及び割合 | |
併存の理由 | |
委託契約の分割の有無 | |
委託契約の分割数 | |
委託契約を分割している場合の分割の方針 | |
③ 随意契約の概要 | 随意契約の理由 |
根拠法令 | |
随意契約理由を公表しているか否か,公表している場合の方法 | |
予定価格の積算方法 | |
相見積の有無(有の場合は見積件数) | |
相見積を取っているが一番低い相手先としていない場合はその理由 | |
前回の契約方法(時期)及び契約先 | |
前々回の契約方法(時期)及び契約先 | |
④ 入札の概要 | (一般競争入札以外の場合)指名競争入札又は総合評価方式を選択した理由 |
応札者数等 | |
予定価格の積算方法 | |
前回の契約方法(時期)及び契約先 | |
前々回の契約方法(時期)及び契約先 | |
⑤ 効果測定 | 事業の目的 |
期待する効果 | |
効果指標 |
効果指標の過去5年の推移 | |
効果指標の前事業者(または直営)との比較 所管課としての意識を聴いたもので,この報告書では特に記載していない。 | |
委託によるメリット・デメリット 所管課としての意識を聴いたもので,この報告書では特に記載していない。 | |
⑥ その他 | 当該契約について,所管課として感じている問題意識 所管課としての意識を聴いたもので,この報告書では特に記載していない。 |
その他特記事項 | |
これまでの契約相手方の選定方法 |
そのうえで,契約締結に関する起案文書等の関連文書の閲読及び所管部署の担当者への質問等を行い,関係法令等への準拠性,経済性,効率性,有効性等を始め各監査視点について検討した。また,適宜,契約事務を所管する契約検査課への質問等も実施した。
なお,監査対象となる委託契約について,実際の業務が行われている「現地」の確認も,本来,積極的に実施したいと考えていたところであるが,監査を行っている令和3年の新型コロナウィルス感染症の問題1の影響もあり,市役所本庁舎で行われている各種「窓口業務」の確認を行ったことを除いては,実施していない。
弁 | 護 | 士 | 木 | 虎 | 孝 | 之 |
弁 | 護 | 士 | 福 | 岡 | 智 | 彦 |
弁 | 護 | 士 | 稲 | 辺 | 大 | 志 |
弁 | 護 | 士 | 木 | 岡 | 昌 | 裕 |
弁 | 護 | 士 | 橋 | 本 | 亮 | 太 |
公認会計士 玉 置 寿 子
公認会計士 長 谷 川 史 世
公認会計士 増 田 千 春
1 特に令和3年夏から秋にかけての時期の感染者数の増加,及び緊急事態宣言の発令
10 利害関係の有無
包括外部監査の対象とした事件につき,地方自治法第252条の29に規定されている利害関係はない。
11 結果と意見の書き分け等
監査の結果については,原則として次のとおり書き分けている。
【結果】適法性,合規性の観点から是正・改善を求めるもの。
【意見】経済性,効率性,有効性(同法第2条第14項),住民の福祉に寄与するものであるか(同法第2条第14項),組織及び運営の合理化が図られているか(同法第2条第 15項)の観点から,是正・改善を求め,又は意見を述べるもの。
なお,本監査結果報告書に記載した金額等の数値の多くは概数であるため,合計した数値がその内訳と一致しない場合があることにご留意いただきたい。
第2 委託契約に関する事務の概要
1 委託契約の定義
(1)契約とは
契約とは,相対する2人以上の者が同一の法律効果を発生させることを目的として,合意することにより成立する法律行為であり,地方公共団体を当事者とする契約は, 公法上の契約と私法上の契約とに区分される。
私法上の契約は,地方公共団体が私人と対等の地位で締結するものであるが,公益を目的とする地方公共団体の性質等により,地方自治法,地方自治法施行令,地方公共団体の条例,規則その他の法令によりその内容,手続きについて一定の制限が課せられている。
(2)私法上の契約としての「委託契約」
委託は,地方自治体等が直接行うべき業務を地方自治体等に代わって受託者が実施 するものである。前述のとおり,委託契約にも,公法上の契約と私法上の契約がある が,その多くは,通常,地方公共団体が私人と対等の地位で締結する「私法上の契約」である。そのため,上記の地方自治法等の適用があることを除き,基本的には,民法 その他の私法の規定により規律される。民法上の契約類型には「委託契約」という契 約はない。
この点,総務省が設置した「地方公共団体における民間委託の推進等に関する研究会」の平成19年3月付け報告書2は,委託契約の定義として「私法上の請負契約及び準委任契約」とする。実際,一般的な「委託契約」の内容は,個々の契約ごとに異なるが,多くは委任ないし準委任契約や請負契約に相当する。
なお,地方自治法施行規則第15条第1項及び別記では支出科目を27節に区分しているところ,委託契約に係る支出額は,通常,第12節の「委託料」に集約される。
(3)委託契約が利用される場面
地方公共団体が「委託契約」を用いる典型例としては,市の職員ではそもそも担うことができない業務につき,外部の事業者に委託を行い,その事業者の物的・人的資
2 https://www.soumu.go.jp/main_content/000156783.pdf
源(専門性・ノウハウ・見識・知見)等を活用する形で,当該事業者に実施させるこ
.......... となどがあげられる。また,必ずしも,市の職員が担うことができないわけではない
が,委託先事業者に委ねる方が,効率的・効果的に事業の実施が可能である場合等にも,委託契約が利用されることになる。
2 契約締結及び支出の一般的手順
(1)契約に関する予算の確定
地方公共団体の契約は,予算の裏付けが必要となるところ,一般に,一定の事業についての予算は,市内部において,①事業についての仕様の作成,②仕様に基づく予算の積算により,担当部局において予算要求額を算定し,これに基づき,財政部門が査定を行って,予算案が策定される。予算案は,議会の議決により確定した予算となる。
(2)契約の相手方の選定・契約締結
地方公共団体の契約は,一般競争入札,指名競争入札,随意契約又はせり売りの方法により締結するものとされている(地方自治法第234条第1項)。
また,地方公共団体の規則に基づき,入札参加者には入札保証金を,契約の相手方には契約保証金を原則として納付させる(地方自治法施行令第167条の7第1項,同 167条の13,同167条の16)。
(3)契約の履行・監督検査
契約締結後,契約の相手方は契約に基づく義務を履行することとなる(委託契約であれば,委託された役務を提供する。)。
この点,地方公共団体の職員は,契約の適正な履行を確保するため又はその受ける給付の完了の確認をするため必要な監督又は検査をしなければならない(地方自治法第234条の2第1項)。監督は,立ち会い,指示その他の方法により行い(地方自治法施行令第167の15第1項),検査は,契約書,仕様書及び設計書その他の関係書類に基づき行う(地方自治法施行令第167条の15第2項)。
(4)支出命令及び支出
地方公共団体による支出は,会計管理者が,長の支出命令を受けて,その根拠となる支出負担行為(契約等)が法令又は予算に違反していないこと及び当該支出負担行為に係る債務が確定していること(ただし,概算払等の例外がある)を確認したうえで,支出をする(地方自治法第232条の4)。
3 契約締結方法
(1)契約締結方法
契約の締結方法については,地方自治法第234条第2項において「前項の指名競争入札,随意契約又はせり売りは,政令で定める場合に該当するときに限り,これによることができる。」と定められている。地方公共団体では,公正かつ適正な価格の契約を締結するという点を重視して一般競争入札によることを原則とし,一定の要件を満たす場合に,他の方法によることができるとされている。
(2)一般競争入札
ア 一般競争入札とは
入札公告によって不特定多数の者を誘引して,入札により申込をさせる方法により競争を行わせ,その申込のうち,地方公共団体にとって最も有利な条件(価格)をもって申込をした者を選定して,その者と契約を締結する方法である。上記(1)のとおり,地方公共団体が契約の相手方を選定する場合の,原則的な方法である。一般的に,その長所としては,機会均等の原則に則り,透明性,競争性,公正性,経済性を最も確保することができることがあげられる。
一方,短所としては,契約担当者の事務上の負担が大きく,経費の増嵩をきたすこ
と,不良・不適格業者の混入する可能性が大きいことがあげられる。
イ 入札参加資格(法令上の制限)
入札の参加については,法令上の資格制限がある。
まず,①契約を締結する能力のない者,②破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者,③暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第32条第1項各号に掲げる者は,入札に参加させることができない(地方自治法施行令第167条の4第1項)。ま
た,過去に契約で不正行為を行った者などは,その事実後,3年以内の期間を定めて入札に参加させない処分をすることができるとされている(同条第2項,詳細は「八
尾市入札参加停止要綱」により定まる。)。
ウ 条件付一般競争入札
一般競争入札では,通常は,契約の履行確保のため,あらかじめ契約の種類及び金額に応じ,下記要件についての参加資格を定めて入札公告を行う「条件付(制限付)一般競争入札」が行われる(地方自治法施行令第167条の5)。この資格を定めたときは,これを公示しなければならない。
① 契約の種類及び金額に応じ,工事,製造又は販売等の実績,従業員の数,資本の額その他の経営の規模及び状況
② 事業所の所在地又はその者の当該契約に係る工事等についての経験若しくは技術的適正の有無
八尾市においては,委託・役務等の契約については,原則として3年ごとに定期に,参加資格を定め,事業者の申請について審査の上,有資格者の名簿を作成し,名簿へ の登録をもって参加資格としている。有資格者名簿の有効期間は,原則として3年と
されている(八尾市財務規則第100条)。
エ 予定価格
予定価格とは,契約を締結する場合にあらかじめ作成する契約の基準となる価格で ある。地方自治法第234条第3項の規定中に原則「予定価格の制限の範囲内で最高又は 最低の価格をもって申込みをした者を契約の相手方とするものとする。」と規定され ている。予定価格の作成に関しては法令に別段の定めはないが,作成に当たっては当 該物件又は役務等の実例価格,需給の状況,履行の難易度,数量の多寡,履行期間の 長短等を考慮して適性に定めなければならないとされる。一般競争入札の場合であっ ても,指名競争入札の場合であっても,予定価格は,書面に記載して「封書」にして,
開札場所に置かれることになる(八尾市財務規則第110条,第115条)。
オ 手続き
次頁の図参照
①内部事務
・仕様書,入札公告等の作成
・予定価格(最低制限価格)の設定
・入札参加資格及び条件の設定
・入札参加資格審査申請書等の配布期間及び受付期間の設定
・資料配布(入札説明会),入札日開札日の設定
②入札審査委員会(開催する場合のみ)
③公告
入札参加資格申請書関係書類の配付(公告文,仕様書,入札心得,申請書等)及び受付期間(約7日程度)
④資格審査
⑤資料配付(入札関係書類)又は入札説明会
⑥仕様についての質問及び回答(2~3日程度)
⑦入札(入札保証金の納付及び入札保証金の返還又は免除)
⑧開札(落札)
⑨契約締結(契約保証金の納付又は免除)
(八尾市契約事務研修資料に基づき,監査人作成)
(3)指名競争入札
ア 指名競争入札とは
地方公共団体が資力,信用その他について適切と認める特定多数を通知によって指名し,その特定の参加者をして入札の方法によって競争させ,契約の相手方となる者を決定し,その者と契約を締結する方法である。指名競争入札は,地方自治法施行令第167条により,以下の場合3に行うことができるとされている。
①工事又は製造の請負,物件の売買その他の契約でその性質又は目的が一般競争入札に適しないものをするとき(例えば,特殊の技術を要するために契約の相手方がある程度特定し,不特定多数の業者による一般競争入札に適しないような場合又は特殊の構造・品質を要求するもので監督・検査が著しく困難であり,一般競争入札に適しないような場合等をいう)。
②その性質又は目的により競争に加わるべき者の数が一般競争入札に付する必要がないと認められる程度に少数である契約をするとき(加わるべきものが少数であって,一般競争入札によることが無意味な場合等を指す)。
③一般競争入札に付することが不利と認められるとき(入札参加の資格は有していてもその時の経営状態などから競争を真剣に行う意思を有しないなどの不信用・不誠実な者が入札に参加する恐れがあるときや,契約上の義務違反の恐れがあり事業に著しく支障をきたす恐れがある時などを予想している。ただし,八尾市においては,一般競争入札において入札参加資格を定め,その資格を有する者に限って競争に参加させることができ,不信用・不誠実な業者を排除することとしているので,不信用・不誠実な者の一般競争入札への参加は理論上ないため適用ができないとしている。)。
指名競争入札は,不信用・不誠実な業者を排除でき,事務量も軽減できるが,指名
3 各要件の趣旨については,松本英昭「新版逐条地方自治法(第6次改訂版)」837ページ以降を参照した。
が一部の者に固定化すると,公平性が失われ,談合が容易になるおそれがあるなどの弊害がある。そのため,その運用においては,指名が公正,適切に行われなければならない。
イ 手続き
①内部事務
・仕様書,入札要領等の作成
・予定価格(最低制限価格)の設定
・指名の資格及び条件の設定
・資料配布(入札説明会),入札日開札日の設定
②入札審査委員会(開催する場合のみ)
③指名通知
④受領確認後資料配付(仕様書・入札要領・入札心得・入札関係書類)又は入札説明
以下,一般競争入札の⑥以降と同様
(4)総合評価方式
総合評価落札方式とは,地方自治法施行令第167条の10の2の規定により,価格その他の条件をもって落札者を決定する方式である。契約の目的や内容により,価格面だけでなく,技術的要素等の価格以外の要素を評価値により総合的に評価し,合計評価値が最も高い者を落札者として契約する方式である。したがって,合計評価値によっては,必ずしも最低価格を提示した参加者と契約が締結されない場合もある。
(5)随意契約
ア 随意契約の要件
号 数 | 要 件 |
① (少額随契) | 契約の予定価格が,施行令別表第5に定める額の範囲内において普通地方公共団体の規則で定める額を超えないものをするとき。 * 八尾市財務規則は,上記の規則で定める額として,以下のとおり定めている。 (1)工事又は製造の請負 1,300,000 円 (2)財産の買入れ 800,000 円 (3)物件の借入れ 400,000 円 (4)財産の売払い 300,000 円 (5)物件の貸付け 300,000 円 (6)前各号に掲げるもの以外のもの 500,000 円 |
② (2号随契) | 不動産の買入れ又は借入れ,普通地方公共団体が必要とする物品の製造,修理,加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。 |
③ | 地方公共団体の規則で定める手続により,法令で定められている障害者関係施設又はこれに準ずる者として総務省令で定める手続により地方公共団体の長が認定した者で生産される物品を買い入れる契約又は役務の提供を受ける契約,認定生活困窮者就労訓練事業を行う施設であって総務省令で定める手続により地方公共団体の長が認定したもので生産される物品を買い入れる契約又は役務の提供を受ける契約,シルバー人材センター等又はこれに準ずる者として総務省令で定める手続により地方公共団体の長が認定した者による役務の提供を受ける契約,母子福祉団体又はこれに準ずる者として総務省令で定める手続により地方公共団体の長が認定した者による役務の提供を受ける契約をするとき。 |
④ | 地方公共団体の規則で定める手続により,いわゆるベンチャー企業として総務省令で定める手続による地方公共団体の長の認定を受けたものより新商品として生産する物品を買い入れ若しくは借り入れる契約又は新役務の提供を受ける契約をするとき。 |
地方公共団体が競争の方法によらないで,任意に特定の者を選定してその者と契約を締結する方法である。地方自治法施行令第167条の2第1項において,随意契約によることができる場合は,同項各号記載の以下のとおりとされている。
⑤ (緊急随契) | 緊急の必要により競争入札に付することができないとき。 |
⑥ | 競争入札に付することが不利と認められるとき。 |
⑦ | 時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき。 |
(不落随契) | 競争入札に付し入札者がないとき,又は再度の入札に付し落札者がないとき。 |
⑨ | 落札者が契約を締結しないとき。 |
上記のうち,地方自治法施行令第167条の2第1項2号(上記②その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき,以下「2号随契」という。)により随意契約をする場合の要件について,八尾市は「随意契約のガイドライン」において,以下のとおり考え方及び注意点を規定している。
<考え方>
◎特定の者と契約しなければ,その目的が達成できないような場合
◎特別な経験や知識,手法等を必要とする場合
◎国,地方公共団体や外郭団体等と契約を行う場合
◎なお,民間事業者のノウハウにより仕様内容のいっそうの向上を要求するコンペ方式やプロポーザル,デザインビルド方式等により契約の相手方を選定した場合や,本市の他の計画・指針等に基づき契約相手方を選定した場合などの随意契約については,本号に該当すると解される。
<注意点>
○その業務が特定の者でないと出来ないのかどうかを客観的に検討する必要がある。
○その業務が再委託される場合は,随意契約を行う根拠と不整合となる恐れがあるので,注意が必要である。
○国,地方公共団体や外郭団体等と契約を行う場合でも,単に当該団体となら無条件で随意契約できるのではなく,必ず業務との関連に着眼して慎重に判断をすること。
○契約相手方を恣意的に指定するなど公正性を欠く場合や,契約相手方に
関する遂行能力の調査を全く怠った場合など,契約相手方の選定におい
て容認できないような事情がある場合には,その契約の締結が違法とされることがあるので,注意が必要である。
イ 八尾市における随意契約に関する手続き
八尾市における随意契約に関しては,八尾市財務規則第116条第2項により,「予定価格を定め,なるべく2人以上の者から見積書を徴さなければならない。」とされている。
ウ 八尾市における随意契約の公表
1 公表の目的
(略)
2 公表の対象とする随意契約
地方自治法施行令第167条の2第1項第2号から第9号までを根拠とする随意契約(同項第1号の少額随契を除いたもの。)すべてを公表の対象とする。
※業務委託,物品購入,賃貸借及び工事など,すべての随意契約を公表対象とする。
※また,対象項目の情報が,八尾市情報公開条例第6条に該当する場合(公文書の公開の対象外となる場合)に限っては,当該項目は公表の対象外とする。
※公表の対象となる随意契約の金額
・工事又は製造の請負1,300,000円を超える随意契約
・財産の買入れ800,000円を超える随意契約
・物件の借入れ400,000円を超える随意契約
・財産の売払い300,000円を超える随意契約
・物件の貸付け300,000円を超える随意契約
・上記以外(業務委託など)500,000円を超える随意契約
・ただし,施行令第167条の2第1項第3号及び第4号による随意契
約については,年度当初にとりまとめて事前と事後の公表を行っているが,今後,契約締結後の公表について,他の随意契約と同様,契約
八尾市は,契約の透明性及び公正性をより高めることを目的に,「随意契約の公表指針」4を定め,情報公開室での閲覧およびホームページへの掲載の方法により,以下のとおり,随意契約に関する情報を公表することとしている。
4 制定(平成 20 年2月4日)施行(平成 20 年4月1日)
担当課(原課)において公表を行い,公表形式は,当該指針に従って公表すること。
3 公表の内容
(略)
4 公表の時期及び方法
(略)
(6)プロポーザル方式
ア プロポーザル方式とは
プロポーザル方式とは,業務の委託先を決定する際に,公募又は指名により複数の業者からその目的に合致した企画の提案を受け,その中から価格及び実績,専門性,技術力,企画力,創造性等を勘案し,総合的な見地から判断して最も優れた企画・提案を提示した者を委託先として選定する方法である。プロポーザル方式は,競争性なく相手方と契約行為を行う他の随意契約とは異なるが,同方式は,地方自治法及び施行令に特に規定された方式ではなく,また,プロポーザル方式により特定された事業
者と契約を締結するため,随意契約の一種とされている。
イ 八尾市におけるプロポーザル
・特に専門性の高い事項にかかる調査・企画立案業務
・催事,公演,イベント等で特に企画力等が求められる業務
・類似業務の実施実績・ノウハウ等,事業者の保有する業務遂行能力により,事業の成果や市民サービス等への影響が大きい業務
・映像の制作やデザイン等,芸術性,創造性及び技術力が求められる業務
・その他,市で作成する仕様のみでは業務の確実な遂行に支障が生じる恐れがある業務等
八尾市は,平成31年3月に「八尾市公募型プロポーザル方式の実施に関するガイドライン」を定め,プロポーザル方式によることができる契約について,「あくまで随意契約の予備手続きである」と明記し,対象業務として,以下の通り例示する。
ただし,これに該当しない業務でも「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするときに該当する契約」はプロポーザルの「対象となりうる」としつつ,例示に含まれる業務についても,「入札による実施ができないか,内容や仕様を精査し,検討する必要がある。」と示されている。
また,同ガイドラインでは,事業者の選定にあたっては,事業者の業務遂行能力や提案内容を評価するため,実施する事案ごとに,選定委員会を設置することとしている。
選定委員会について,外部有識者を委員に含む場合は,執行機関の附属機関に関する条例に規定する「八尾市公募型プロポーザル方式等事業者選定委員会」を事案ごとに設置することとなるため,八尾市公募型プロポーザル方式等事業者選定委員会規則に基づき,選定の手続きを行うとともに,同規則に定めのない事項について別途要綱に規定することとなる。庁内委員(市職員)のみで選定委員会を設置する場合は,その選定委員会は附属機関にはならないため,同規則の適用は受けず,同規則に定めのある事項も含め,要綱に定める方式をとる。
(7)相手方選定方法別の利点と欠点
区分 | 利点 | 欠点 |
一般競争入札 | ・広範な参加機会が得られ,機会均等性及び公平性が確保されやすい ・業者選定の過程が透明で公正 ・競争性が高まり経済的に優れている ・発注者の恣意性が排除できる ・談合防止に一定の効果が期待できる | ・施工能力の劣る業者や不誠実な業者の排除が困難になる恐れがある(有資格者の条件を付ければ問題が無くなる可能性が高い。) ・過当競争,ダンピング(適正な施工が見込めないような著しい低価格での受注)の発生による質の低下を招く恐れがある ・一定の公告期間を要する等入札事務に時間がかかる ・入札事務量が増えることにより事務経費 も増える |
指名競争入札 | ・不信用,不誠実な業者を排除でき,品質を確保できる ・次回以降にも指名が得られるよう良い施工を行おうとする意欲を業者に与える ・過当競争を抑え,中小企業の受注機会の確保に配慮できる ・一般競争に比べて入札期間が早い | ・指名する過程が不透明となり,恣意的な運用になる恐れがある ・入札参加機会が公平でない ・一般競争入札に比べて競争性が働かない恐れがある ・指名により入札参加者を限定するため談合を誘発しやすい |
随意契約 | ・手続きが簡単で,事務経費を抑え | ・競争性が働かない恐れがある |
ることができる ・主観的に信頼のできる業者が選定できる | ・発注する過程が不透明となり,恣意的な運用になる恐れがある ・機会不均等になる恐れがある ・契約相手が固定されやすく,不正が起こる恐れがある |
(出典:八尾市契約事務研修会資料)
4 契約等に関する規律(予算等との関係)
(1)予算
ア 契約と予算の関係
あらゆる契約を行う場合の前提条件として,地方自治法第232条の3の規定により,予算の裏付けが必要となる。支出の原因となる契約は,「支出負担行為」として,歳出予算,継続費,繰越明許費及び債務負担行為の経費の金額の範囲内で行われる必要がある。
イ 予算編成の流れ
八尾市財務規則における,予算編成の事務の流れは,以下のとおりである。
① 予算編成方針の決定
② 財政部長による予算編成方針及び予算見積書作成の要領の通知
③ 各部局において,歳入予算見積書,歳出予算見積書,事業経費予算見積書,議会に対する議案,(必要な場合には,継続費,繰越明許費,債務負担行為の見積書)を作成し,財政部長に提出
④ 財政部長による査定案作成,副市長審査,市長査定
⑤ 予算書等の作成・市長決裁
このうち,上記③の各部における予算の見積もりにおいては,委託契約に関しては,委託業務の仕様の策定及びこれを前提とした予算の積算が行われる。仕様とは,業務 の内容,業務内容の範囲等(頻度,程度等),その他の業務に応じて必要な項目を規 定しており,予算の積算の前提となるものである。
積算は,客観的な積算基準があればこれにより,なければ,工数に単価を乗じた見積もりや物件費・労務費等の費目別の見積もりを用いる方法により,契約履行に必要な金額の算定を行うものである。
(2)継続費及び債務負担行為
通常の予算は,地方自治法第208条の規定により,単年度予算となり,その会計年度内に,対外的な契約締結手続きを開始し,契約の履行を終える必要があるが,単年度内に入札事務から契約の履行を終えることができないような場合には,同法第214条の規定により,債務負担行為として予算措置をすることが必要となる。複数年契約が必要な場合は,同法第212条の規定による継続費又は債務負担行為として予算措置が必要となる。
(3)長期継続契約
同法第234条の3は「普通地方公共団体は,第214条の規定にかかわらず,翌年度以降にわたり,電気,ガス若しくは水の供給若しくは電気通信役務の提供を受ける契約
...........
又は不動産を借りる契約その他政令で定める契約を締結することができる。この場合
においては,各年度におけるこれらの経費の予算の範囲内においてその給付を受けなければならない。」としている。
これを受けて,地方自治施行令第167条の17は,「地方自治法第234条の3に規定する政令で定める契約は,翌年度以降にわたり物品を借り入れ又は役務の提供を受ける
契約で,その契約の性質上翌年度以降にわたり契約を締結しなければ当該契約に係る
......
事務の取扱いに支障を及ぼすようなもののうち,条例で定めるものとする。」として
いる。
(1) 業務用機器に関する賃貸借契約
(2) 警備,清掃,保守点検等施設の維持管理に係る業務委託契約その他の年間を通じて役務の提供を受ける必要がある契約
これを受けて,八尾市では,下記の2つを条例で定めている(八尾市長期継続契約を締結することができる契約を定める条例第2条)。
なお,長期の継続契約を締結する場合において,債務負担行為を設定することなく,条例の規定を適用するときは,経常的な経費であって,次に掲げる要件のすべてを満たすものであることに留意すること。
さらに,「八尾市長期継続契約に関する取扱要領」においては,地方自治法,施行令,条例第2条各号に定める契約について,次のとおり取り扱うこととしている。
ア 行政運営を行っていく上で欠かせないものであって,契約の相手方から役務の提供を受け続ける必要があること。
イ 商慣習上,複数年にわたって契約を締結することが一般的なものであること。
ウ 契約の性質上,翌年度移行にわたり契約を締結しなければ当該契約に係る
事務の取扱いに支障を及ぼすようなものであること。(中略)
これにあてはまるものについては,長期継続契約として,継続費又は債務負担行為の設定をすることなく,複数年にわたる契約を締結することができる。
つまり,地方自治法第234条の3が明示する電気,ガス若しくは水の提供若しくは電気通信役務の提供を受ける契約等,地方公共団体が存在する限り一日も欠かすことのできない,絶対的に必要なサービスについては,長期にわたって契約を締結できることとするのが合理的であり,また,同様に法が明示する不動産を借りる契約についても,長期にわたって契約を締結するのが実情であることから,毎年更新を繰り返す不合理をなくすために,長期(翌年度以降を含めた形)の契約を締結することが認められているものである。
八尾市として,条例で類型的に定めているものも,上記同様の趣旨から定められているものである。
5 八尾市における委託契約事務
(1)組織体制
八尾市において,契約事務を所管する部局は,総務部契約検査課である。
契約検査課は,①公正な入札の執行と適正な契約事務を実施するため,その手法に ついて庁内へ周知を図るとともに,入札制度の改善・検討を行っている。また,②予 定価格が200万円以上の工事等の入札や契約に係る業務,各課からの要求に応じて物品 や印刷物の発注業務等を行っている。さらに,③工事等の設計審査や工事検査,成績 評定を行っている。特に「委託契約」については,全体の管理,統括的事務としては,庁内の事務担当者を対象とした契約事務研修等において適切な契約事務について周知 に努めるとともに,詳細については各課と個別相談を行っている。また,入札参加資
格者の名簿の作成管理も行っている。
なお,委託契約の締結事務自体は,各事業の所管部局において実施され,上記の随意契約の公表も,共通の指針によってではあるが原則として各所管部局が実施している。ただし,情報システム関連は,全て,政策企画部行政改革課ICT推進室が契約締結においてより専門的なチェックを行う運用としている
また,八尾市の場合,「入札等監視委員会」は,下記に列記した事項を担っている。
(1) 市が発注した工事に関し,入札及び契約の手続の運用状況等について報告を行うこと。
(2) 市が発注した工事のうち委員会が抽出したものに関し,一般競争入札に係る入札参加資格の設定の経緯及び指名競争入札に係る指名の経緯等を審議し,意見の具申又は勧告を行うこと。
(3) 市が発注した工事の入札及び契約についての再苦情処理を行うこと。
(4) その他公共工事等に関する入札及び契約の適正化を図るため,委員会の審査を必要とする事項に関すること。
(2)委託契約事務に関する動向
八尾市においては,行財政改革の一連の流れのなかで,近年の厳しい財政状況や市民ニーズの多様化に対応した質の高い公共サービスの提供をめざし,平成19年に「公民協働による公共サービスの提供に関する基本方針」を掲げ,市民・企業・行政の協働の取組を推進している。その中で公共サービス提供手法の一つとして外部委託を位置付けており,効果性・効率性の向上が図れるものは行政責任を確保したうえで外部委託化を行い,政策立案といったコア業務へ職員の職務をシフトさせられるよう取組を進めてきた。
その後,平成28年には,「八尾市行財政改革行動計画」の中で,専門性が高い業務については技術やノウハウを次代に継承しつつ,効率的に運営していく必要があることから,すでに業務委託により実施している業務について,評価見直しを行い委託業務の範囲見直し(一部の内製化等)を行った。
令和元年に策定した「新やお改革プラン・同実行計画」でも公民協働推進の考えを
継承し,地方行政サービス改革の各市の取組状況や,トップランナー方式の対象となっている業務を中心に,外部委託化等を検討している。
(3)関係する八尾市の例規
委託契約に関連する八尾市の条例及び規則は,以下のものがあげられる5。
条 例 | ・八尾市契約条例 ・八尾市長期継続契約を締結することができる契約を定める条例 |
規 則 | ・八尾市財務規則 |
要綱・ガイドライン等 | ・随意契約のガイドライン ・八尾市公募型プロポーザル方式の実施に関するガイドライン ・八尾市IT調達ガイドライン ・八尾市長期継続契約に関する取扱要領 |
このほかに,「契約事務に関する研修会資料」として,契約検査課が各課の契約事務担当者向けに実施する研修資料があり,この中で,契約締結事務における各種留意点や,市の規則・要綱の解釈運用等が示されている。
6 八尾市における委託契約の全体像
(1)金額の推移
年度 | 一般会計の歳出合計 (単位:万円) | 指定管理料を除いた委託料 (単位:万円) | 委託料の割合 (%) |
平成 27 年度 | 10,718,709 | 670,699 | 6.3 |
平成 28 年度 | 9,568,197 | 570,610 | 6.0 |
平成 29 年度 | 9,936,246 | 528,862 | 5.3 |
平成 30 年度 | 10,167,849 | 538,043 | 5.3 |
令和元年度 | 9,997,777 | 598,544 | 6.0 |
令和2年度 | 13,413,726 | 701,908 | 5.2 |
過去6年度における,八尾市における,一般会計の歳出合計,指定管理料を除いた委託料(予算上の節の区分が「委託料」である歳出)の額及びその一般会計歳出に占める割合は,下記のとおりである。変動はあるが,一般会計歳出の概ね6%程度が委託料となっている6。
5 水道局等に関する「規程」は省略している。
6 特別会計では,社会保険給付等の歳出が多い等の特殊性から,概ね1~2%程度となっている。
(2)契約手法
50
8%
契約方法の件数
136
21%
85
13%
374
58%
一般競争入札
指名競争入札随意契約
随意契約(プロポーザル)
八尾市において作成されている,100万円を超える委託契約の一覧に基づき,一般会 計及び特別会計について,契約手法別の契約件数及び契約金額について抽出した結果 は,以下のとおりである7。グラフのとおり,随意契約が,件数単位でも金額単位でも,過半数を占めている8。
644,785,648
9%
契約方法別の契約額(円)
1,649,911,620
24%
335,848,612
5%
4,376,879,854
62%
一般競争入札
指名競争入札随意契約
随意契約(プロポーザル)
7 ただし,IT関係の契約は,一覧表が別に作成されており,また,長期継続契約や,設備の賃貸借等を同時に締結しているものも多く,合わせて集計することが困難なため除外した。
8 IT関係の契約についても,随意契約が大部分を占めている。
第3 監査対象とした契約の全体像
1 抽出方法
予備調査において,100万円を超える委託契約の一覧(八尾市において各年度,作成 されているもの)をベースとして,監査対象とする委託契約の抽出を行った(ただし,予備調査を行った令和3年4月ないし5月の時点では,暫定的に令和元年度の当該一 覧表を受領し,その後に令和2年度の委託契約の一覧を得て,監査対象の一部を入れ 替える等している。)。
その結果,下記記載の33個が監査対象となった。
2 監査対象の抽出にあたって採用した考え方
監査対象の抽出にあたっては,委託契約の金額のみに着目する方法(いわば機械的に契約金額の大きい順に選択する方法)も考えたが,その場合,特定の部局に偏りやすいと思われたため,以下の観点から,抽出を行った。なお,できる限り,委託契約を通じて,実現しようとしている「事業」自体の目的・狙いを把握することに努め,
3Eの観点からの監査を行うことを念頭において進めた。
(1) 所管部局(市長部局と教育委員会事務局,水道局等)の間で,偏りがないようにする。
(2) 一般会計に属するもの,特別会計に属するものについて,偏りがないようにする。
(3) 契約相手方の選択手段として,一般競争入札,指名競争入札,随意契約
(プロポーザル方式以外のもの),随意契約(プロポーザル方式)などがあり,これらにつき偏りがないようにする。
(4) 特に,市民に接点を有する「窓口業務」及びそれに類する業務について,八尾市では,近年,業務委託契約が多用されていることから,それらについては重点的に監査を行う。
(5) 外郭団体との間で随意契約によって締結されている委託契約については,重
点的に監査を行う。
3 監査対象とした委託契約一覧
No | 担当課 (所管課名は,令和3年度時点) | 契約方法 | 会計 | 結果/意見 |
1 | [広報・公民連携課] 番組制作及び放送業務委託契約 | 随意契約 (外郭団体) | 一般 | 意見 11-13 |
2 | [総務課] 本庁舎警備及び建物総合管理業務委託契約 | 一般競争入札 | 一般 | 意見 14 |
3 | [財政課(債権管理室)] 記念品調達・送付等関係業務委託契約 | 随意契約 (外郭団体) | 一般 | 意見 15-18 |
4 | [人権政策課] 八尾市外国人相談窓口運営業務委託契約 | 随意契約 (外郭団体) | 一般 | 意見 19-20 |
5 | [人権政策課] 八尾市男女共同参画センター業務委託契約 | 随意契約 | 一般 | 意見 21 |
6 | [人権政策課] 外国人市民情報提供事業委託契約 | 随意契約 | 一般 | 意見 22-24 結果2 |
7 | [人権政策課] 人権啓発関係業務委託契約 | 随意契約 | 一般 | 意見 25-26 |
8 | [人権政策課] 八尾市人権啓発事業業務委託契約 | 随意契約 | 一般 | 意見 27-28 |
9 | [市民課] [コミュニティ政策推進課] 市民課及び庁内案内の窓口業務委託 | 随意契約 (プロポーザル) | 一般 | 意見 29-33 |
10 | [地域共生推進課] 八尾市福祉生活相談支援事業業務委託契約 | 随意契約 | 一般 | 意見 34-38 |
11 | [高齢介護課] 八尾市介護保険の窓口業務委託契約 | 随意契約 (プロポーザル) | 介護 | 意見 39-42 結果3 |
12 | [健康保険課] 診療報酬明細書等点検業務委託契約 | 指名競争入札 | 国保 | 意見 43-44 |
13 | [健康保険課] 国民健康保険料納付案内コールセンター業務委託契約 | 指名競争入札 | 国保 | 意見 45-49 |
14 | 〔健康保険課・障がい福祉課〕 八尾市国民健康保険・高齢者医療及び障がい者医療窓口業務委託契約 | 随意契約 (プロポーザル) | 一般/国保/ | 意見 50-57 |
後期 | ||||
15 | [健康推進課] 定期予防接種業務委託契約 | 随意契約 | 一般 | 意見 58 |
16 | [健康推進課] 妊婦健康診査業務委託契約 | 随意契約 | 一般 | 意見 59 |
17 | [健康推進課] 集団検診業務に係る委託契約 | 指名競争入札 | 一般 | 意見 60-61 |
18 | [健康推進課] 休日急病診療所窓口・診療報酬明細書作成及び総括業務 | 随意契約 | 一般 | 意見 62-63 |
19 | [産業政策課] 八尾市立中小企業サポートセンター事業業務委託契約 | 随意契約 | 一般 | 意見 64-65 |
20 | [労働支援課] 八尾市パーソナル・サポート事業業務委託契約 | 随意契約 | 一般 | 意見 66-68 |
21 | [労働支援課] 地域就労支援コーディネーター業務委託契約 | 随意契約 | 一般 | 意見 69-71 |
22 | [循環型社会推進課] 8種分別・指定袋制に係るごみ袋の製作及び配送業務委託契約 | 一般競争入札 | 一般 | 意見 72-74 |
23 | [環境施設課] 八尾市立リサイクルセンター運転管理業務委 託契約 | 随意契約 | 一般 | 結果4 |
24 | [土木管財課] 道路・水路台帳更新業務委託契約 | 随意契約 | 一般 | 意見 75 |
25 | [土木管理事務所] 公園・緑地等環境保全清掃業務委託契約 | 随意契約 (2号以外) (外郭団体) | 一般 | 意見 76 |
26 | [水道局 お客さまサービス課] 八尾市水道料金徴収等総合業務委託契約 | 随意契約 (プロポーザル) | 水道 | 意見 77-78 |
27 | [水道局 お客さまサービス課] 八尾市水道料金システム保守業務委託契約 | 指名競争入札 | 水道 | 意見 79 |
28 | [水道局 工事管理課] 令和2年度平日昼間水道施設修繕補修業務令和2年度休日夜間水道施設修繕補修業務 | 一般競争入札 | 水道 | 意見 80-82 |
29 | [水道局 施設整備課] 八尾市水道施設運転管理等業務 | 一般競争入札 | 水道 | 意見 83-86 |
30 | [学校教育推進課] 八尾市英語指導者派遣事業 | 一般競争入札 | 一般 | 意見 87-90 |
31 | [学校教育推進課] 八尾市研究拠点校学習支援事業 | 随意契約 | 一般 | 意見 91-92 |
32 | [学務給食課] 八尾市中学校給食調理業務委託契約 | 随意契約 (プロポーザル) | 一般 | 意見 93 |
33 | [学務給食課] 八尾市小学校給食調理業務委託契約 | 随意契約 (2号以外) :4件 | 一般 | 意見 94-95 |
指名競争入札 :5件 | ||||
一般競争入札 :19 件 |
(注)
契約方法に関して,随意契約のうち,地方自治法施行令第167条の2第1項第2号以外の理由
によるものについては「随意契約(2号以外)」とした。また,外郭団体が相手方となっている契約については,契約方法の末尾に(外郭団体)と付記した。
会計区分のうち「国保」は,国民健康保険事業特別会計を,「介護」は,介護保険事業特別会計を,「後期」は後期高齢者医療事業特別会計を,「水道」は水道事業会計をいう。
4 発見事項の分類
契約名 | 意見・結果の種類 | ||||
●事業の実施・ | ●委託費の支出 | ●委託している事 | ●契約相手方の選 | ●その他 | |
手法等のあり方 | のあり方(金額 | 業の効果の把握 | 定手法の改善 | ||
の決定方法) | |||||
・事業の枠組みやあり方の見直し,統廃合等の提案 ・事業の業務水準や仕様等の改善・ 見直し | 積算のあり方・検討・保存(見積書の入手等も含む。) | 受託者からの「報告」のあり方の見直しや,市としての事業の効果の測定等 | 随意契約 一般競争入札指名競争入札 といった契約手法の関するもの | 左記以外の論点に関するもの | |
1 コミュニティ放送 | ● | ● | ● | ||
2 本庁舎警備 | ● | ||||
3 ふるさと納税 | ● | ● | ● | ● |
以下は,個別の契約ごとの発見事項の分類である。「契約名」は略称を用いているため,正式名称は,上記第3・3等を参照されたい。
契約名 | 意見・結果の種類 | ||||
4 外国人相談窓口 | ● | ● | |||
5 男女共同参画セ | ● | ||||
6 外国人市民情報 | ● | ● | ● | ||
7 人権啓発関係業務 | ● | ● | |||
8 人権啓発事業 | ● | ||||
9 市民課(等)窓口 | ● | ● | ● | ● | ● |
10 福祉生活相談 | ● | ● | ● | ||
11 介護保険の窓口 | ● | ● | |||
12 診療報酬明細書 | ● | ● | |||
13 国民健康保険料 | ● | ● | ● | ||
14 国保(等)窓口 | ● | ● | |||
15 定期予防接種 | ● | ||||
16 妊婦健康診査 | ● | ||||
17 集団検診 | ● | ||||
18 休日急病診療所 | ● | ||||
19 中小企業 | ● | ● | |||
20 パーソナル・サポ | ● | ● | ● | ||
21 地域就労支援 | ● | ● | |||
22 ごみ袋 | ● | ● | ● | ||
23 リサイクルセ | ● | ||||
24 道路・水路台帳 | ● | ||||
25 公園・緑地等 | ● | ||||
26 水道料金徴収等 | ● | ● | |||
27 料金システム | ● | ||||
28 水道施設修繕 | ● | ● | |||
29 水道施設運転 | ● | ||||
30 英語指導者派遣 | ● | ● | ● | ||
31 研究拠点校学習 | ● | ● | |||
32 中学校給食 | ● | ||||
33 小学校給食 | ● |
第4 包括外部監査よる監査の結果及び意見(共通事項)
1 選定手法(一般競争入札)
(1)[意見1]入札を経ているが,同一の相手方との契約が継続しているものの見直し ついて
(事実)
今回,監査対象とした契約のうち,4件について,下記のとおり,一般競争入札を行っているにもかかわらず,繰り返しかつ長期間,同一の相手方との契約が続いていた。このうち,No.5の男女共同参画センター受付運営業務については,単年度契約の上,翌年度以降も次の入札開催まで随意契約により落札業者と契約しているもので,その他の業務は,入札により複数年契約を締結しているものである。
番号 | 業務名称 | 同一業者との継続年数(又は)始期 | 入札・プロポーザル実施状況 /参加者数 |
No.2 | 八尾市本庁舎警備及び建物総合管理業務 | 20 年以上 | 令和2年度 一般競争入札 2者平成 29 年度 一般競争入札 4者 |
No.5 | 八尾市男女共同参画センター受 付運営業務 | 平成 24 年7月 以降 | 平成 28 年度 一般競争入札 1者平成 24 年度 一般競争入札 2者 |
No.29 | 八尾市水道施設運転管理等業務 | 10 年以上 | 平成 30 年度 一般競争入札 2者 平成 25 年度 プロポーザル 2者 |
No.30 | 八尾市英語指導者派遣事業 | 平成 21 年8月以降 | 平成 30 年度 一般競争入札 2者 平成 27 年度 一般競争入札 2者平成 24 年度 一般競争入札 5者 |
いずれも,直近の入札における参加者数が1者又は2者であり,それ以前の入札の参加者数も低調である。
この点,No.2の契約について,所管課とのヒアリングを重ねたところ,所管課とし ては,地方公共団体等の発注する警備業務の利益率が低いため,警備業に携わる事業 者全般が,市の発注する警備等の案件への参加意欲が低いのではないか,そこに理由 があるのではないかという仮説を持ち,それをヒアリングにおいて説明していた。た だし,推測にとどまり裏付けは無かった。そのため,他の原因(①警備と庁舎(建物)管理とを一体とした発注形態が参加の障壁になっており,警備と庁舎管理を分離して 発注すれば入札参加者が増加する可能性や,②現在の業者と新規参入業者との間に情
報格差があり参入障壁となっている可能性など)も考えられた。
この点,各担当課や契約検査課とのヒアリング結果によれば,八尾市では,1者応札が続く案件や,長期間にわたり入札参加者が少ない案件,あるいは不落随契となった案件など,入札方法に何らかの問題を抱えている可能性が高い案件(以下「問題案件」という。)についても,その原因を知るための参加事業者からの聞き取りなどは行われていないとのことであった。
この点,工事に関する請負契約,及び工事に関する委託契約(設計・監理委託等)については,入札監視委員会による入札・契約手続の運用状況の確認や抽出調査が存在している。他方で,八尾市をはじめとする多くの地方公共団体では,工事に関係しない業務委託契約は対象外であり9,問題案件の改善策については一般的な議論の対象になって来なかったようである。
(意見)
以上のような,入札参加者が低調で,長期間同一事業者との契約が続くなどの問題案件については,入札に参加しなかった事業者に聞き取り調査(アンケート調査)を行い,構造的要因の把握を行うことが有用であると思われる。国(中央官庁)や他の先進的な地方公共団体では,そういう取り組みが既になされている。
例えば,具体的には,入札参加者が1者以下の場合や状況から判断して必要と認める場合に,入札に参加した業者のみならず,参加資格があるが参加しなかった業者へのヒアリング10を,下記のような項目について実施し,入札参加資格,設計価格,発注単位(分割発注の当否など),時期の見直し等の参考とすることなどが考えられる11。
9 大阪府内では,大阪府や大阪市は工事に関係しない委託契約も対象としている。
10 複数の職員により面談で行う方法(入札の公正への疑念を持たれないため。)
11 当該契約固有のヒアリング項目を入れるのも良いと考えられる。
<ヒアリング項目例>
① 本件に参加した理由(参加しなかった理由)
② 本件について参加者が1者であった理由として考えられる事項はあるか。
③ 入札参加資格は適当か12。
④ 入札の時期,仕様等は適当であるか13。
すべての案件について,ヒアリングなどの調査をすることは,コストの面から適切 ではないが,契約検査課として,一定の基準(調査が必要となる場合についての基準)を示し,又は問題事例などを示して,所管課においてヒアリングなどの措置をとるべ きとする事案は契約検査課と協議をすることができるようにするべきである。八尾市 として,全体的な改善に取り組むべきである。
2 選定手法(指名競争入札)
(1)[意見2]指名競争入札おける指名ついて
(事実)
八尾市財務規則上,指名競争入札の際には「なるべく5人以上の指名」(同規則第 114条)が定められている。
No.12(診療報酬明細書等点検業務)に関して,監査対象年度の契約に係る選定においては,実績調書に記載されている他自治体での受注実績,業務名,金額規模より判断し,3の事業者に対しての指名が行われている一方,5者以上の指名ができなかった合理的な理由は認められなかった。
また,No.13(国民健康保険納付案内コールセンター業務)については,①監査対象年度の契約に係る選定においては7の事業者に対し指名が行われているところ,指名を受けた事業者以外にも相当数(10者弱),指名の対象となってよいと思われる業者が存在し,②監査年度の前回の選定(前年度)においては,6の事業者に対して指名
12 不要な資格や過度な条件が課せられていないかなどについて検討する端緒となる。
13 無理な仕様を設定していないか,参加しやすい時期に,十分な参加のための期間をとって入札手続を行っているかなどについて検討する端緒となる。
が行われているところ,そのうち5者は監査年度と同一の事業者であった,という問題があった。また,No.12及びNo.13のいずれも,過去の八尾市又は他の自治体等(特に,同規模自治体)での同種の業務実績をも基準として,業務履行が可能と判断できるかという観点から指名がされているところ,いずれについても,その業務の性質として,八尾市及び同規模自治体等での実績を特に重視することが合理的とは認められなかった。
(意見)
指名競争入札は,不信用・不誠実な業者の排除や事務量の軽減といったメリットがあるが,指名が一部の者に固定化し公平性が失われる,競争性が低くなるといったデメリットもあり,特に,指名相手が少数となる場合や,指名について合理的な根拠がない場合に,この傾向が顕著になる。指名競争入札における指名業者の選定方法及び業者数について,指名基準の策定等を検討されたい。
また,地方公共団体の契約方式の原則は一般競争入札であることも踏まえ,参加者が特に限定されるなどといった指名競争入札を行うことがコスト等の観点で特に有利といえるような場合以外は,入札参加資格により業者の履行能力を確保した一般競争入札や,総合評価方式による一般競争入札等への方式変更も検討されたい。
3 選定手法(随意契約)
(1)[意見3]特定の相手方との継続的な随意契約の可否の定期的な見直しついて
(事実)
番号 | 委託業務 | 同一の相手方との契約 開始時期,継続年数 |
No.1 | 番組制作及び放送業務 | 15 年以上 |
No.3 | 記念品調達・送付等関係業務 | 平成 28 年 10 月 |
下記のとおり,今回監査対象とした契約中14件について,同一の相手方との,地方自治法施行令第167条の2第1項2号に基づく随意契約(2号随契)が,5年以上継続している。
No.6 | 外国人市民情報提供事業 | 平成 21 年5月 |
No.7 | 人権啓発関係業務 | 15 年以上 |
No.8 | 八尾市人権啓発事業業務 | 18 年以上 |
No.15 | 定期予防接種業務 | 20 年以上 |
No.16 | 妊婦健康診査業務 | 平成 20 年6月 |
No.20 | 八尾市パーソナル・サポート事業業務 | 平成 24 年4月 |
No.21 | 地域就労支援コーディネーター業務 | 平成 14 年 |
No.23 | 八尾市立リサイクルセンター運転管理業務 | 平成 21 年4月 |
No.24 | 道路・水路台帳更新業務 | 平成 17 年頃 |
(意見)
随意契約を継続する理由については,契約ごとに個別の事情があり,一概に長期間の随意契約が否定されるものではない。しかし,委託業務の範囲等の枠組みの変更により競争性を導入しうるもの,他の事業者でも実施自体が不可能とまでは言い難いもの等について,長期間の随意契約を継続する場合,価格および品質についての競争が働かず,効率性・有効性の強化が困難になるといったデメリットがある。また,契約が競争入札に適さない理由,その業者でなければ契約の目的を達成することができないという点の検討が十分されておらず,説明責任として不十分とも評価しうる。
本件で監査対象となった契約以外の委託契約においても,長期間,随意契約による 契約締結が継続されているものは存在すると思われる。①他の事業者による実施がで きないか,②委託業務の枠組みの変更による競争性の導入の余地がないか等について,適宜,検討されたい。
外国人市民情報提供事業(No.6),パーソナル・サポート事業業務(No.20),道 路・水路台帳更新業務(No.24)に関しては,それぞれに個別の意見を付しているため,参照されたい。
4 選定手法(公募型プロポーザル方式)
(1)[意見4]プロポーザルの活性化ついて
(事実)
番号 | 委託業務名 | 同一業者との継続年数,始期 | プロポーザル実施状況(プロポ ーザルの結果に基づき契約した年度及び応募者数) |
No.11 | 八尾市介護保険の窓口業務 | 平成 25 年3月 | 平成 24 年度 3者平成 28 年度 1者 令和元年度 2者 |
No.14 | 国民健康保険・高齢者医療及び障がい者医療の窓口業務 | 平成 22 年8月 | 平成 22 年度 5者14 平成 25 年度 2者令和2年度 1者 |
No.19 | 八尾市中小企業サポートセンター 事業業務 | 平成 24 年4月 | 平成 29 年度 1者 (平成 24 年度は随意契約) |
No.26 | 八尾市水道局料金徴収等総合業務 | 10 年以上 | 平成 19 年度 6者平成 25 年度 2者平成 28 年度 2者 令和元年度 1者 |
No.32 | 八尾市中学校給食調理業務 | 平成 27 年8月 | 平成 27 年度 3者 令和元年度 1者 |
数年おきにプロポーザルにより事業者を選定している契約のうち,下記5件において,長期間,同一事業者が,契約相手方として選定される状態が生じていた。
(意見)
より多くの事業者から,より多くの提案を受けるようなプロポーザル手続とすることは,特に意識して頂きたい。今回,監査対象とした,個別の契約だけでなく,全体的な改善についての取り組みを期待したい。具体的には,①公募にあたっては周知期間を十分に確保すべきこと,②広く参加者を募るため周知方法も工夫するべきこと,
③予定する契約年数が複数年度になりうる場合(予定であったとしても)可能な限りそれを明記することが望ましいこと等について,全体的な改善を期待する。
八尾市中小企業サポートセンター事業業務(No.19),水道局料金徴収等総合業務
(No.26),八尾市中学校給食調理業務(No.32)に関しては,それぞれに,個別の意見を付しているため,それぞれ参照されたい。
14 平成 22 年及び 25 年は国保及び高齢者医療の窓口業務の委託のみ
(2)[意見5]プロポーザルと入札の選択ついて
(事実)
上記のとおり,数年おきにプロポーザルにより事業者を選定している契約のうち,
5件において,長期間,同一事業者が契約相手方として選定される状態が生じている。
(意見)
そもそも,プロポーザルとは,専門性,企画力,知識等が特に要求される業務や,高い成果を求める必要がある業務,市で作成する仕様のみでは業務の確実な遂行に支障がある業務などに関して,仕様について事業者の提案を受け,提案内容を考慮して事業者を決定することに重要な意義がある。再度のプロポーザルを行う必要性のあるケース15があることも否定しないが,業務内容によっては,必ずしも仕様について繰り返し提案を受ける必要性がない(市において仕様を作成しても差し支えない)場合もある。
No.26の契約において意見を述べた点であるが,その他の契約に関しても,プロポーザル手続を実施する必要性(各事業者に仕様についての提案をさせ,複数の提案をさせることについての必要性)が低減してきている場合には,価格のみの競争による一般競争入札や,品質等を加味した総合評価落札方式の入札によるべきであると解されるため,検討されたい。
5 契約保証金のあり方
(1)[結果1]契約保証金の免除関する財務規則の適用関係ついて
(事実)
ア 地方自治法の定め
地方自治法は,契約の相手方が契約上の義務を履行しないときを想定して,その抑止のために,契約保証金(同法第234条の2第2項,同法施行令第167条の16)を徴収することを制度化している。これについては「(略)契約履行をより一層確実
15 例えば,①仕様を提案できるような専門性等を求める場合,②よりよい仕様を更に求める場合,③従前の仕様に基づき市で仕様を作成し入札を行うことに支障があるような場合,が考えられる。
に担保しようとするものであり,この趣旨に反しない限り,規則で定めるところにより,(中略)契約保証金の全部又は一部を納付させないことができる」(自治省行政局長通知「入札保証金及び契約保証金について」自治行第19号,平成12年4月18日)とされている。
上記の自治行政局長通知には「別掲に掲げる場合」は免除することができるとして「規則で定めうるものの準則」が示されており,現在は,各都道府県・市町村において,これに準拠した形で,財務規則や契約規則が定められている(各都道府県・市町村で定められている「規則」は,ある程度,独自のものとなっており,それぞれの裁量的判断も可能である。)。
イ 八尾市財務規則における契約保証金免除の定め
上記のとおりの契約保証金の法的性質に照らし,全ての件で,契約保証金を契約の相手方に支払わせることは妥当ではないことから,各地方公共団体の規則で,一定の条件を定めて,これを免除することが許容されている。
(契約保証金の免除)
第122条 契約担当者は,次の各号の1に該当するときは,契約保証金の全部又は一部を免除することができる。
(1)契約の相手方が保険会社との間に本市を被保険者とする履行保証保険契約を締結し,当該保険証書が提出されたとき。
(2)契約の相手方から委託を受けた保険会社と工事履行保証契約を締結したとき。 (3)有資格者と契約を締結する場合において,その者が過去2年の間に国(公社, 公団を含む。)又は地方公共団体と種類及び規模をほぼ同じくする契約を数回以上にわたつて締結し,これらをすべて誠実に履行し,かつ,契約を履行しな
いこととなるおそれがないと認められるとき。
(4)法令に基づき延納が認められる場合において,確実な担保が提供されたとき。 (5)普通財産又は物品を売り払う契約を締結する場合において,売払代金が即納さ
れるとき。
(6)随意契約を締結する場合において,契約金額が少額であるとき又は契約の相手方が国若しくは他の地方公共団体である等契約が履行されないこととなるおそ
八尾市財務規則では,次のような定めがあり,これらの各号のいずれかに当てはまる場合にあっては,契約保証金の免除を行うことが可能となる。
れがないとき。
(資格審査申請等)
第100条 請負又は買入れの一般競争入札に参加しようとする者は,3年毎の定期又は市長が特に指定する時期に,市長があらかじめ告示する方法により,資格審査の申請をしなければならない。
2 市長は,前項の申請に基づく審査の結果,前2条の資格を有すると認めた者
(以下「有資格者」という。)の名簿(以下「有資格者名簿」という。)を作成する。
3 略
監査対象とした契約では,多くの場合で,財務規則第122条第3号が適用されて, 契約保証金の免除が行われていた。財務規則第122条第3号により保証金の免除をす るためには,①「有資格者」で,②過去2年の間に地方公共団体と種類及び規模を ほぼ同じくする契約を締結している履歴があり,③それを誠実に履行しており,④ 契約を履行しないこととなるおそれがないと認められるという,4要件を満たす必 要がある。この「有資格者」の定義が定められているのは規則第100条第2項(下記)であり,同規則第98条・第99条の入札参加資格審査を経て,市長からそれが認めら れている者(いわゆる名簿に掲載された要件)であることが要件となっている。
ウ 実際の運用
しかし,八尾市においては,例えば,①公募型プロポーザルの審査を通過し,契 約した者と翌年度以降にも随意契約により契約の締結をする場合や,②過去から同 種の契約をしていた特定の1者と特命随意契約を行う場合の契約相手方となる者に ついて,上記のような意味での「有資格者」の該当性を検討せず,契約相手として 的確な団体であるといった意味で財務規則第122条第3号に該当していると取り扱い,契約保証金の免除を行っている例が,多く見受けられた。
(結果)
これについては,本来,同条第122条第3号を用いることが出来ないものについて,同号を適用したものとして,例規の適用問題自体としては誤りであると言える(ただし,随意契約の場合,同条第6号により契約保証金の免除を行い得る場合もあったと
思われる。この点,後記参照)。したがって,財務規則の解釈適用の誤りといえる部 分については,契約検査課において,財務規則の当該部分に関する正しい解釈を示し,それを全庁に通知する等,全庁的な見直しが必要である。
(2)[意見6]財務規則第 122 条第6号よる契約保証金の免除のあり方ついて
(事実)
上記(1)と同様。
(意見)
随意契約の場合は,八尾市財務規則第122条第3号に基づく免除の可否・要否のみならず,第6号に基づく免除の可否・要否も検討することになる。財務規則第122条第6
....... 号は,随意契約の場合であって,契約金額が少額であるとき,又は,契約の相手方が
.................
国若しくは他の地方公共団体である等契約が履行されないこととなるおそれがないと
きに,契約保証金の免除を可能としている(傍点は引用者)。この傍点部分は例示的な文言であり,それ以外の場合であっても,全体としてみて「契約が履行されないこととなるおそれがない」場合は,契約保証金の免除が可能となる。
財務規則第122条第6号の適用においては,契約相手方の性質(規模,財務状況等を含む)や,相手方の実績,委託契約の内容,随意契約理由等を総合的に考慮する必要があるが,現在,どのように総合的な判断をして契約保証金の免除をすべきかについては,具体的な適用基準や例がない。
この点,他の地方公共団体における契約保証金の免除に関する規則及びその運用の状況もふまえ,八尾市として実際にどのように総合的な判断をして保証金の免除の可否を決するべきかを含めて検討し,八尾市財務規則の改正や財務規則の解釈の運用指針等において具体的な適用基準や例を示すなどして,契約保証金免除のあり方を検討されたい。
6 再委託
(1)[意見7]再委託の承認の要否ついて
(事実)
外国人市民情報提供事業(No.6),リサイクルセンター運転管理業務(No.23)について,委託契約上,再委託について発注者の承諾を要することとされているにもかかわらず,発注者の承諾なしに一部業務が外注されていた。また,再委託の有無については,委託者から承認申請がないため,再委託されていないものと理解しているとの回答が多数に及んだ。
(意見)
上記の業務については,委託業務の中心的な部分や,仕様書上委託者の事務として明記されているような業務について再委託がされているものであり,仕様上,委託業務に複数の事務が含まれることや,見積書や精算書の費目に照らして,特定の業務について再委託がされていることや,その可能性が大きいことについて把握し得たと思われる。
この点,再委託の確認の要否を判断するうえでは,「再委託」に該当する事実の有無の把握を各所管課において試みることが必要となる。しかし,この点については,各所管課の担当者に任せることによっては困難があったと思われる。再委託の承認に関係する事務の取り扱いについては,現在,研修資料等にも記載のない点である。注意点等について,契約検査課が発信することが望ましい。
7 随意契約おける「予定価格」を定める手続のあり方ついて
(1)[意見8]予定価格の積算関する文書の作成・保存
(事実)
第 116 条 略
2 契約担当者は,随意契約を行おうとするときは,予定価格を定め,なるべく2人以上の者から見積書を徴さなければならない。
八尾市財務規則は,随意契約により契約を締結する場合の,予定価格の決定について,次のように定めている。
しかるに,随意契約に関しては,予定価格が定められていたのか否かが明確になっていない事案が散見され,また,支出負担行為前に見積書の提示を受けた際も,見積
書に記載された価格と見積書の提出を求める前に定めていた予定価格を対照して適否を検討するという意識が乏しいと思われる例もあった。
(意見)
一般に,予定価格の意義は,支出の原因となる契約については,「相手方の申出に 係る価格の適否を判断する基準」とし,かつ,契約によって地方公共団体が負担する 債務の額が,予算の範囲内でなければならないとの制約(地方自治法第232条の3)の 下に限度を示すものである16とされている。随意契約は,多数の者の競争には付さない が,適正な価格によって契約を締結しなければならないことは当然であり,予定価格 を定める必要性について何ら変わるところはない17。八尾市財務規則は,上記のとおり,随意契約により契約を締結する場合も,予定価格を決めることが必要であるとしてい るところ,これは,上記のような趣旨で定められたものと解される18。
契約担当者においては,予算獲得時に契約の相手方となりうる者から取得した見積 書を参考にするなどして(例えば,その内訳明細が人件費単価に必要時間を乗じるも のである場合に,安易に見積書に記載された単価や必要時間を受け入れるのではなく,市の判断として,これらの要素を適正な額に修正するなどして,適正額を算出するな ど),適正な予算額を獲得するようにしているものと思われる。予算獲得段階で,こ のような努力をすることは重要であることはいうまでもない。
しかし,さらに「予定価格」とは,「予算額」とは異なり,市の契約担当者が,契約事務の適正のために契約ごとに支出負担行為をする際に見積書を取得する前に決めておくべき金額である(方法としては,例えば,予算獲得時に取得した見積書やその内訳明細,その他の資料を参考にすることが考えられる。)。予め「予定価格」を決
16 一般財団法人大蔵財務協会「平成 23 年改訂版会計法精解」555,556 ページ参照。
17 同上。ただし,随意契約による場合は,入札の手続をとらないので,予定価格調書を開札の場に置くようなこともないことから,必ずしも予定価格を書面で作成しなければならないというものではない
(一般財団法人大蔵財務協会「平成 23 年改訂版会計法精解」556 ページ)。
18 江原勲「詳説自治体契約の実務」も,随意契約の場合,「業者にその代価を算定させ,見積書の提出
を求めるとともに,発注者は,競争入札の場合に準じてあらかじめ予定価格を作成し,業者の提出した見積書と対照し,見積価格が適当かどうかを検討しなければならない。」とする。
めることなく,単に「予算額」の範囲内であれば契約をすることが可能であるとの考えに基づいて契約事務を行った場合は,必要以上に高額の契約を締結することにつながる恐れがある。
契約担当者は,支出負担行為にあたり八尾市財務規則第116条第2項に基づき「(なるべく)2人以上の者から見積書」を徴することになるが,その際は,取得した見積書に記載された価格と見積書の提出を求める前に定めていた予定価格を対照して適否を検討し,より適切な金額にて契約締結を行うこととするべきである。
8 文書管理
(1)[意見9]契約関する文書の保存期間
(事実)
八尾市では,文書の保存等に関する全般的なルールが,「八尾市文書取扱規程」及
び「八尾市役所文書保存種別の標準規程」(以下「標準規程」という。)で定められている。このうち,文書の保存期間については,(1)永年,(2)10年,(3)5年,(4)3年,(5)1年という5種類を示し,それについては「別に定める基準」(八尾市役所文書保存種別の標準規程)に従うものとしている。
「この別に定める基準」において,「工事又は物品等に関する契約で重要なもの」は10年保存とされており,「工事又は物品に関するもので重要でないもの」は5年保存とされている。この規程には,工事請負契約や物品調達契約以外の契約類型については,明文の規定がない。
(意見)
委託契約について,実際の運用では,「工事又は物品「等」」に含まれるとする運用や,他の例示を参考に,重要度に応じて保存年限を決定する運用がされており,担当部局ごとに実際の運用に相違が生じている。しかし,そもそも,この区別自体に合理性がないものと思われ,委託契約も含め,様々な「契約」についての統一的なルール(安定的に運用が行えるルール)に基づく運用がされるべきである。
委託契約に関する文書(単に契約書や仕様書のみでなく,選定過程の文書も含む。)
を適切に保存するために,規程を整備しておくことが必要である。例えば,「取扱規程」「標準規程」を改正するか,解釈運用を見直すなどといった方法が考えられる。
(2)[意見 10]「文書の完結の日」年度の理解
(事実)
(文書の完結日)
第44条 文書の完結の日は,次の各号に定めるところによる。 (1)出納に関する証拠書類は,当該出納のあった日
(2)契約文書は,当該契約事項の履行の終わった日 (3)~(8) 略
(保存期間の起算日)
第45条 文書の保存期間の起算日は,その文書が完結した日の属する年度の翌年度
の4月1日とする。ただし,暦年により保管するものは,その文書が完結した日の属する年の翌年1月1日とする。
八尾市文書取扱規程第34条第2項本文は「文書は,完結の日の属する会計年度又は暦年によって保管しなければならない。」と定めている。そして,この完結の日について,同規程第44条は,次のとおり,定めており,契約文書は,履行完了日を起算点に,翌年度から保存を行うことになる。
(意見)
これについて,「複数年度にまたがる契約」や「長期継続契約」については,それらの履行期を全体として1個の契約として見て,最終年度を「完結」の日として理解して,正しく文書保存をすべきである。そうでないとすると,契約の履行期間の途中に,初年度の契約締結時の文書が破棄されてしまうことになる。しかしながらそれに関して,契約時を始期とするなど誤って解釈しているものが見受けられた。
第5 包括外部監査よる監査の結果及び意見(各論事項)
1 〔広報・公民連携課〕番組制作及び放送業務委託契約
(1)概要
➀基本情報
契約名 | 番組制作及び放送業務委託 |
契約先名(所在地) | やおコミュニティ放送株式会社19(八尾市) |
業務概要 | 市提供番組の企画,制作及び放送 |
現契約期間 | 令和2年4月1日~令和3年3月 31 日(単年) |
同一相手先への委託開始時期 | 15 年以上 |
予定価格(税込) | 39,417,350 円 |
契約金額(税込) | 39,417,350 円 |
令和2年度決算額(税込) | 39,417,350 円 |
変更契約の有無 | 無 |
契約保証金 | 免除(八尾市財務規則第 122 条第6号に基づく) |
支払方法 | 概算払い |
当初の契約方法 | 随意契約(2号)20 |
履行の実績確認方法 | 契約書第 10 条に従い,各期における業務完了後,業務報告書を提出,業務期間終了後に業務完了届の提出を受け,履行を確認してい る。 |
再委託の有無 | 無 |
個人情報取扱の有無 | 無 |
➁委託の理由
委託の理由 | 幅広く市民に市政情報を発信するために,広報紙,ホームページ, SNSなどに加えて,広報手段の一つとして,コミュニティFM放送による情報発信を行うため。放送業務を行えるのは,市内で放送 免許を有する同社しかないため,直営では実施できない。 |
③随意契約の概要
随意契約の理由 | 幅広く市民に市政情報や魅力情報,災害情報等を発信するための有効な広報手段の一つであるコミュニティFM放送による情報発信を行うにあたり,同放送業務を行えるのは,市内で放送免許を有する 同社しかないため。 |
根拠法令 | 随意契約(2号) |
随意契約理由の公表 | 公表している |
予定価格の積算方法 | 事業者から徴取した見積書を参考の上,決定 |
相見積の有無 | 無 |
④事業の目的・効果指標
事業の目的 | ラジオを通じた広報により,市民の市政への参画と市民活動の活性化を推進するとともに,災害時の地域に身近な情報を発信する機能 を確保する。 |
19 市の外郭団体である。資本金は1億円であり,このうち 2,500 万円が市の出資部分にあたるため,出資割合は 25%である。
20 地方自治法施行令第 167 条の2第1項各号の「号」のみを記載している(全ての表について同じ)。
期待する効果 | 幅広い広報を実施するとともに,災害時の広報手段としての機能も 担う。 |
効果指標を設定しているか | 設定している。 |
効果指標 | 認知率 |
効果指標の過去5年の推移 | R2 72.5% R1 90.8% H30 84.3% H29 92.2% H28 91.1% |
⑤これまでの契約相手方の選定方法
年度 | 契約方法 | 随意契約理由 | 契約相手方 |
令和2年度 | 随意契約 | 2号 | やおコミュニティ放送株式会社 |
令和元年度 | 随意契約 | 2号 | やおコミュニティ放送株式会社 |
平成 30 年度 | 随意契約 | 2号 | やおコミュニティ放送株式会社 |
平成 29 年度 | 随意契約 | 2号 | やおコミュニティ放送株式会社 |
平成 28 年度 | 随意契約 | 2号 | やおコミュニティ放送株式会社 |
※「やおコミュニティ放送」が設立された当時から,随意契約が継続してきた。 |
(2)[意見 11]各番組の聴取状況の把握の必要性
(事実)
番組名 | 放送回数 |
八尾市からのお知らせ(30分) | 365日 |
119番だより(5分) | 365日 |
情報プラザやお(45分) | 261日(月~金曜) |
八尾散歩(6分) | 209日(月~木曜) |
サウンドアルバム(24分) | 52日(土曜) |
現在,この外部監査で監査対象とした「番組制作及び放送業務委託」という1個の契約で,下記の5番組を委託している。
このほか,市全体では,下記のとおりの契約を「やおコミュニティ放送株式会社」との間で締結している(①は監査対象とした委託契約である。)。なお,①②③⑤⑦
⑨(下記表の左列に金額を記載したもの)がFM放送に関するものであり,④⑥⑩
⑪⑫(下記表の右列に金額を記載したもの)はFM放送以外に関するものである。
所管課 | 契約名 | 金額 | 金額 | |
① | 市政情報課 (現)広報・公民連携課 | 番組制作及び放送業務委託契約 | 39,417,350 | - |
② | 市政情報課 (現)広報・公民連携課 | 番組制作及び放送業務委託契約 (河内音頭振興特別番組) | 772,200 | - |
③ | 番組制作及び放送業務委託契約 (新春挨拶) | 49,500 | - | |
④ | 八尾市情報発信コーナー企画管理運営業務委託契約 | - | 3,300,000 | |
⑤ | 生涯学習スポーツ課 (現)生涯学習課 | 番組制作放送委託業務契約(番 組:スポーツ・文化のお知らせ) | 847,000 | - |
⑥ | 国勢調査八尾市実施本部 | 国勢調査PR・ちゃおスタ広告掲載料 | - | 55,000 |
⑦ | 危機管理課 | 番組制作放送委託業務契約(番組:地域安全だより) | 1,980,000 | - |
産業政策課 | 「おまたせしました!!インターネット・ラジオではじまる河内音 頭!!」動画配信業務 | - | 250,000 | |
⑨ | コミュニティ政策推進課 | 地域活動PR番組等制作放送業務 (番組:わがまちNow,校区まちづくり協議会等活動告知,校区まちづくり協議会活動成果報告会収録・編集) | 869,000 | - |
⑩ | - | 165,000 | ||
⑪ | 人事課 | 庁内放送データ制作 一式 | - | 5,500 |
⑫ | 青少年課 (現)こども若者政策課 | 第 68 回八尾市成人式 実施補助業務 | - | 577,500 |
受託者である「やおコミュニティ放送株式会社」は,阪神淡路大震災後の平成9年 10月に設立され,その翌年である平成10年4月に開局し,20年以上の歴史を有している。その間,インターネットやスマートフォンの急速な普及により,市民が,市政に関する情報やローカルな情報を得る手段も大きく変化しつつある。
こうした社会変化を踏まえ,現在のFМ放送の,どの番組,どの時間帯を,どうい った市民(性別・年齢等)が聴取しているのかに関する定量的なデータが存在してい ない状況を立ち止まって把握する必要があるが,現状,市が委託費を支出している総 額は約5,000万円の高額に及びながら,支出に見合った効果を得られているかについて,検討材料となる情報が存在しない。
(意見)
どの時間帯の,どの番組が聴取されているか,また,市民に認知されているかについて,定量的な指標となるものを測定すべきである(なお「認知度」に関するアンケート調査は,委託先である「やおコミュニティ放送株式会社」が,イベント等でブー
...... スを設置し実施しているとのことである。これに対し,ラジオ局として認知されてい
.. ........
るかではなく,市が委託している個別的な番組が聴取されているかを調べることが,
それぞれの委託契約の効果の有無を測定する意味では重要である。)。
「聴取率」(テレビ番組にいう視聴率)が正確に把握できれば望ましいが,仮に,それが難しい場合であっても,どの時間帯の,どの番組が聴取されているか,また,市民に認知されているかについて,定量的な指標となるものを測定し,それを番組の見直しに繋げるべきである。
特に,どういった性別・年齢層が,各番組を聴取しているか,また,どの時間帯であれば,よく聴取されているのか,そもそも聴取者がどの時間帯に何名程度いるのか
(既にラジオ放送を聴取する人数自体が少ない可能性もある。)に関する把握は不可欠である。こうした調査は,必ずしも高額な費用を要するものではなく,簡易なアンケート方式でも,ある程度の実像をつかむことは可能である。
例えば,在宅していることが多い高齢者世代が比較的聴取している傾向があったり,現役世代は平日に聴取していることが少ないという傾向があるのであれば,それに即 した番組にシフトしていくこと等が必要となるが,現在は,そうしたことを検討する 材料自体に欠けている状況であった。
さらに,市が提供している番組について,仮に聴取率自体が低く,例えば,市民のうち,実際に聴取している割合が1%(約2,000人から3,000人)前後であるというような状況であることが判明した場合,聴取者としての市民1名あたり年間1万円から1万5,000円以上のコストを費やし情報発信をしていることになる。市政についての情報発信手段としては過大な支出なのではないかという問題意識は常に残ることになり,近時のSNSの利用による低コストでの即時性のある情報発信の有効性が高まってい
ることからしても,今後のあり方自体を継続的に検討することが必要と思われる。
(3)[意見 12]出演者の個別の外注単価ついて
(事実)
現在,外郭団体である「やおコミュニティ放送株式会社」の年間売上額は,5,517万 3,622円(税込)(令和2年度)である。このうち,八尾市からの放送委託等の発注は,
4,828万8,050円(税込)(令和2年度)となっている。これらは随意契約であり,特に価格競争等は働かず,実質的には受託者側が定めた単価(1時間あたりの放送料金)で価格が決まっている。
また「やおコミュニティ放送株式会社」は,従業員数は5名(常勤役員1名,社員
2名,臨時職員2名)の小規模な会社であり,市が委託する番組について,実際の放 送に従事するアナウンサーないしタレントについては,第三者との間での出演契約等 が交わされているが,こうした出演契約に基づく出演料などの外注費について,現在,個別の公開はされていない。
ただし「やおコミュニティ放送株式会社」の決算資料を見ると,令和2年度の売上高5,517万円のうち,当期製品製造原価が3,839万円であり,そのうちの出演料が2,240万円である。つまり,売上の約40%が出演料に充てられている構造になっている。
(意見)
上記のように自社でアナウンサー・タレントを抱えない会社である以上,「出演料」が受託者の費用の大きな構成要素であり,逆に言えば,どのような出演者により番組 を制作するかによって,市が受託者に発注する契約金額が大きく変動する状況にある。
したがって,今後,毎年の見積書を徴取する手続において,単なる番組の放送時間 についての「単価」だけでなく,予定している出演料の内訳と,出演者名を記載させ る等して,市としても,委託費の大きな構成要素である「出演料」の内実を把握し, その要素を調整することによって委託費を上下することができるのかについての情報 を保有できるようにし,その上で,価格交渉を行い,あるいは,交渉により一定の経 費削減効果があったとしても,なお,上記(2)記載の聴取者の人数などに照らして,費用対効果があるといえるのかどうかの検証を行うべきであると言える。また,各年 度終了時の業務完了届が提出され,精算を行う際にも,出演料の実績を把握すること
も求めるべきである。
外注するアナウンサー・タレント等の出演を減らしたり,番組の一部を再放送とするといった方法で,個別の放送内容ごとに支払いうる価格が下がるのであれば,市と受託者が十分に前提条件自体を協議した上で,価格が,合理的に定まっていくべきであると考える。
(4)[意見 13]外郭団体としてのあり方ついて
(事実)
ア 平成28年度外部監査との関係
平成28年度の外部監査は「外郭団体の財務に関する事務の執行及び 当該外郭団体の出納その他の事務の執行について」をテーマとして実施され,外郭団体の1つとして「やおコミュニティ放送株式会社」も取り上げられた。
当時の監査人は,中期計画の策定が重要であるとし「具体的な繰越損失の解消計画や人員計画のみならず,将来の新たなビジョンや経営戦略も定めた中期計画を策定すべきである。」との意見を述べていた。これについて,令和3年8月26日付けで公表されている措置(令和3年7月20日までの措置状況)では,措置を行う主体としての外郭団体側として「(略)コミュニティFMとしての取組を踏まえつつ,新たな役割や取組を含めた今後の営業方針の検討を行い,市が決定する方針との整合性をとりながら,将来の新たなビジョンや 経営戦略も定めた中期計画の策定に向け,具体的な検討を進めてまいります。」と述べられている。しかしながら,当該監査結果報告書は平成29年1月に発表されたにもかかわらず,中期計画が未だ策定されておらず,既にそれから約4年の月日が経過している。
イ 令和2年度「市民意識調査」
新型コロナウィルス感染症問題が生じてから行われた,八尾市の「市民意識調査」
(報告書は令和3年3月に完成し,市のウェブサイトで公表されている。)において
は,次のような調査結果が得られている。
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これを整理すると,「市政だより」が圧倒的に読まれており,町会(自治会)などの掲示板・回覧板,市のホームページ(スマートフォンサイト),市のホームページ(パソコンサイト)までが,約20%前後の者の情報入手ルートということになる(回答者の性別により,若干の差がある)。これに対し,「FMちゃお」は,男性1.4%,女性0.6%の者のみが,情報入手方法として選択しているに過ぎない。
監査人も,紙媒体の「市政だより」を確認しているが,紙面はかなり分かりやすく,見やすいものが作成されており,全戸配布されているということであれば,平常時は,例えば市等が実施するイベント情報等について,これを軸に情報を得てい
る者が多いことは肌感覚にも合致する(なお「市政だより」は,新型コロナウィルス感染症問題に対応して,令和2年度,令和3年度のいずれにおいても「臨時号」が機動的に発行されている。)。また,上記調査からは,直近10年の急激なスマートフォンの普及に伴い,市民は,自己が調べたい情報を,スマートフォン及びパソコンで調べるという傾向が急速に強まっていることも伺える。
また,「市民意識調査」においては,「あなたは,八尾市役所が実施する新型コロナウィルス感染症に関する対策(中略)や,市民に向けた支援制度(給付金等)に関する情報を得るときにどこから情報を得たいと考えますか。」という,別個の問いが存在した(なお,複数回答が可能とされていた。)。これについては,次頁に記載のとおりの結果となっている。
今後,さらに時間が経過すると,現在の現役世代が,順次,高齢者世代となっていき,高齢者世代もスマートフォンを操作して,各種情報を取得することが当たり前の状況を迎えていくことが予想される。したがって,高齢者においても,旧来的な媒体ではなく,インターネットを通じ情報を入手するという傾向は,今後も強まっていくのではないかと推測される。
こうしたことから,FМコミュニティ放送の市政についての情報発信手段として の役割は,長期的に見ても漸減的に低下していくことが予想される(ただし,これ は一般的な予測的議論であり,今後,番組の放送委託を続ける限りにおいては,個 別的な番組ごとに聴取率に関する情報調査を行うことが望ましいことは,上記(1)のとおりである。)。
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ウ 令和2年度の売上高に占める,市の委託費の割合
売上高 | 金額 | |
同社の令和2年度の売上高 | 55,173,622円 | |
(うち市の委託部分) | 48,288,050円 | ①(43,935,050円) |
②( 4,353,000円) |
令和2年度の「やおコミュニティ放送株式会社」の売上高と,市の委託費を比較すると下記のようになる。したがって,売上のうち80%台後半を,市の委託費が占めており,同社は,民間会社等の委託者から売上を得られていないことが分かる(市の委託番組以外の放送時間はそれなりに長い。放送時間の長さに応じた売り上げを得ていないのだろうと推測される。)。
(内訳①は番組放送委託部分を示しており,内訳②はそれ以外の委託を示している。)
(意見)
監査人としては,これを,同社の営業努力不足といった問題として捉えるべき問題 ではないと考えた。コミュニティ放送が若者層・働き盛り層へのリーチ力のある媒体 となりにくいことは,ある程度,普遍的な傾向だと推測され,上記のとおり,令和2 年度の「市民意識調査」への結果でも現れている。こうした傾向が続くことに照らす と,第三者(市以外の者)からの提供番組を増やして,売上高を増やしていくことは,かなりの難しさが存在するのではないかと考えた。
このように考えると,本年度の外部監査は,あくまでも委託契約を監査対象としていることを踏まえて,各番組の聴取状況の把握を求め(意見[11]),また,出演者の個別の外注単価の把握(意見[12])を求めるという2点を指摘したが,それらの措置を検討してもなお「やおコミュニティ放送株式会社」が,独立した事業主体として存立しえるのかという問題に直面する可能性が高い。
したがって,平成28年度の外部監査自体で示された意見に対する措置がまだ未了
(中期計画の策定がなされていない)という状況下で,そこに重ねる形で意見を述べ ることにはなるが,市は,毎年,高額な委託費を支出しており歳出額が大きいこと, 費用対効果が必ずしも明らかではなくむしろ乏しいというべき状況にあることに鑑み,
「やおコミュニティ放送株式会社」の今後のあり方に関する議論を進めるべきである。なお,阪神大震災や東日本大震災のように,大規模な停電が生じたり,市の職員が
出勤することが困難になった場合,インターネットを用いた手段(市のウェブサイト)やSNS(FacebookやTwitter等)だけでは,必ずしも十分な手段た りえない可能性がある。災害時の市民への情報伝達手段のツールとして存在してきた 経緯もあり,八尾市においても,危機管理・防災の見地からの議論も含め,検討を進 めて頂きたい旨を付言しておく。
2 〔総務課〕本庁舎警備及び建物総合管理業務委託契約
(1)概要
➀基本情報
契約名 | 八尾市本庁舎警備及び建物総合管理業務委託契約 |
契約先名(所在地) | 伸和サービス株式会社(大阪市) |
業務概要 | (1) 警備業務 (2) 建物総合管理業務 (3) 駐車場管理業務 |
現契約期間 | 令和2年8月1日~令和5年9月 30 日(長期継続契約) |
同一相手先への委託開始時期 | 平成 12 年4月 |
予定価格(税込) | 219,436,122 円 |
契約金額(税込) | 214,360,850 円(落札率:97.7%) |
令和2年度決算額(税込) | 警備及び建物総合管理委託料(8月以降は,市庁舎植栽等散水業務も含む。) 64,775,700 円 地下駐車場誘導業務委託料(4~7月分のみ。8月以降は,警備及び建物総合管理委託業務に含む。) 701,712 円 |
変更契約の有無 | 無 |
契約保証金 | 免除(八尾市財務規則第 122 条第1号に基づく) |
支払方法 | 債務が確定したことを確認した上で支出(地方自治法第 232 条の4 第2項) |
当初の契約方法 | 条件付一般競争入札 |
履行の実績確認方法 | 契約書第 20 条及び仕様書に従い,月報及び日報の提出を受け,履 行を確認している。(必要に応じ適宜ヒアリングも実施。) |
再委託の有無 | 有(8件) |
再委託の業務範囲 | ① 空気環境測定 ② 害虫駆除業務 ③ 飲料水水質検査業務 ④ 汚水槽・貯水槽清掃業務 ⑤ 防災管理点検 ⑥ 防火設備点検 ⑦ 簡易専用水道検査 駐車場料金計算装置点検 |
再委託金額 | 不明(金額までは確認していない。) |
再委託の確認方法 | 契約相手先に再委託先の有無を文書で提出させ,内容を把握してい る。 |
個人情報取扱の有無 | 有(契約書第7条により,個人情報の保護の重要性を認識し,個人 情報の取り扱いについては,万全を期すものとしている。) |
➁委託の理由
委託の理由 | 市の職員による庁舎管理に関する調整業務等を委託事業者が一部担うことにより,事務管理の効率化とコスト抑制を図る。また,庁舎警備及び設備を包括的に管理委託することで,指示命令系統を明確化し,迅速かつ効率的・効果的な視点で市庁舎の快適な環境を維持 促進する。 |
③入札の概要
入札の種別 | 一般競争入札 |
応札者数等 | 応札者:2者 |
予定価格の積算方法 | 業者から徴取した見積もりを参考のうえ,決定。 |
④事業の目的・効果指標
事業の目的 | 事務管理の効率化とコスト抑制 |
期待する効果 | 市の職員による庁舎管理に関する調整業務等を委託事業者が一部担うことにより,事務管理の効率化とコスト抑制を図る。また,庁舎警備及び設備を包括的に管理委託することで,指示命令系統を明確化し,迅速かつ効率的・効果的な視点で市庁舎の快適な環 境を維持促進する。 |
効果指標を設定しているか | 設定していない |
⑤これまでの契約相手方の選定方法
年度 | 契約方法 | 応札者数等 | 契約相手方 |
令和2年度 | 一般競争入札 | 2者 | 伸和サービス株式会社 |
令和元年度 | (長期継続契約) | 伸和サービス株式会社 | |
平成 30 年度 | (長期継続契約) | 伸和サービス株式会社 | |
平成 29 年度 | 一般競争入札 | 4者 | 伸和サービス株式会社 |
平成 28 年度 | (長期継続契約) | 伸和サービス株式会社 | |
(平成 27 年以前分は保存年限が経過しているが,これまでも,入札を重ねてきたとのことであっ た。) |
(2)[意見 14]同一の業者よる応札が継続している状況ついて
(事実)
本件契約については,入札を経ても,過去20年以上に及び同一の事業者との契約が 継続している。これにつき,所管課とのヒアリングを重ねたところ,所管課としては,次の説明を述べていた。
すなわち,地方公共団体等の発注する警備業務の利益率が低いため,警備業に携わ る事業者全般が,市の発注する警備等の案件への参加意欲が低く,そこに理由がある のではないかという「仮説」である。ただし,推測にとどまり裏付けは無かった。そ のため,他の原因(①警備と庁舎(建物)管理とを一体とした発注形態が参加の障壁 になっており,警備と庁舎管理を分離して発注すれば入札参加者が増加する可能性や,
②現在の業者と新規参入業者との間に情報格差があり参入障壁となっている可能性など)も考えられた。入札に参加しなかった事業者からの聞き取り(アンケート及びヒアリング)を行う取り組みが八尾市には存在しないこともあり,監査人としては,所管課の説明が正しいのかについての判断が付きかねるところであった。
(意見)
庁舎管理や建物警備といった分野は,本来,特定の数者のみが,寡占的に,技術や ノウハウを有するという業種ではなく,国,地方公共団体その他の公的団体が発注す る警備業務委託に関する入札では,入札への参加者がどちらかといえば多い傾向にあ る。したがって,この契約の入札で,長期間にわたり同一業者の応札が継続している 状況は,潜在的な理由があると考えられる。まずは,背景事情の解明に努められたい。
第4・1に記載したとおりの方法で,全庁的な取り組みを進めるなかで,背景事情が解明し,改善に繋がることを期待する。
3 〔財政課〕記念品調達・送付等関係業務委託契約
(1)概要
➀基本情報
契約名 | 記念品調達・送付等関係業務委託契約 |
契約先名(所在地) | 一般社団法人八尾市観光協会21(八尾市) |
業務概要 | (1) 本市へのふるさと納税寄附者に提供する記念品の調達及び発送に関する業務 (2) 上記(1)に係る記念品に関する寄附者等からの問い合わせ,苦情対応等に関する業務 (3) その他上記に関係する業務 |
現契約期間 | 令和2年4月1日~令和3年3月 31 日(単年) |
同一相手先への委託開始時期 | 平成 28 年 10 月 |
予定価格(税込) | 単価契約 (下記のとおり) |
契約金額(税込) | 単価契約 (①記念品代金,②送料,③箱代,④手数料の4種類を「経費」と呼称しており,これを受託者に支払う。手数料は,どのようなふるさと納税であっても,1件あたり 1000 円とされている。) |
令和2年度決算額(税込) | 61,726,591 円 ・上記の内,観光協会の手数料は,7,889,000 円 ※その他は,記念品代(47,476,000 円)と送料(6,361,591 円) |
変更契約の有無 | 無 |
契約保証金 | 免除(八尾市財務規則第 122 条第6号) |
支払方法 | 概算払い |
当初の契約方法 | 随意契約(2号) |
履行の実績確認方法 | 契約書第 12 条及び仕様書に従い,業務完了後,業務完了届や精算書 等の提出を受け,履行を確認している。 |
21 市の外郭団体である。
再委託の有無 | 無 |
個人情報取扱の有無 | 有(契約書第 18 条により,個人情報取扱特記事項を遵守させてい る。) |
➁委託の理由
委託の理由 | 本業務は,寄附者に対して本市の魅力を発信することができる記念品の調達(発掘,調整,事業者支援等)や発送を行う業務であり,八尾市内の様々な地域資源に精通し,多くの市内事業者と関わりが あることが必要となるため。 |
③随意契約の概要
随意契約の理由 | 本業務は,寄附者に対して本市の魅力を発信することができる記念品の調達や発送をする業務です。 当該業務の委託先は八尾市内の様々な地域資源に精通しており,多くの市内事業者と関わりがあることが必要となります。本業務の委託先である事業者は,様々な観光資源を活用して,訪れる人にも住む人にも魅力あるまちであることを発信し,賑わいと交流を創造すること等を目的として活動を行っており,協賛会員の加入を通じて市内事業者とのつながりも深いものがあります。具体的には,本市を訪れる観光者への案内をはじめ,本市の商業・農業・工業・自然・歴史など様々なものを紹介する季刊誌「Yaomania(ヤオマニア)」の発行,市内事業者と協働し,各種イベントでのブース出展,観光ガイドマップの作成などを手掛けております。 最近では,シティプロモーション関連の事業にも携わり,本業務で構築した市内事業者とのつながりを活用し,本業務以外でも,八尾市内の様々な観光資源等を市内外に発信することがこれまで以上にできており,魅力発信はもちろんのこと,本事業を通じて新商品の開発等の発展的な取り組みも大いに期待できます。 よって,市内事業者の商品等を単にふるさと納税寄附者への記念品として取り扱うことによる効果のみならず,上述した取り組みや本市を訪れる観光者へのPRなどとの相乗効果も期待でき,より一層の魅力発信及び産業振興を推進することができます。以上のことは,本市への寄附の増加にも大きく寄与するものであり,これは本市の魅力発信に関連する事業を日ごろから行っている本事業者にし かできないと考えられるため。 |
根拠法令 | 随意契約(2号) |
随意契約理由の公表 | 公表している |
予定価格の積算方法 | - |
相見積の有無 | 無 |
④事業の目的と効果指標
事業の目的 | 魅力発信及び歳入確保 |
期待する効果 | 直営で行う場合と比較し,より魅力的な記念品の拡充や,きめ細や かな事業者支援等を通じて,がんばれ八尾応援寄附金の実績を向上させること |
効果指標を設定しているか | 設定している |
効果指標 | がんばれ八尾応援寄附金の寄附件数 |
効果指標の過去5年の推移 | R2 7,898 件 R1 4,250 件 H30 2,699 件 H29 2,065 件 |
H28 589 件 |
⑤これまでの契約相手方の選定方法
年度 | 契約方法 | 随意契約理由 | 契約相手方 |
令和2年度 | 随意契約 | 2号 | 一般社団法人八尾市観光協会 |
令和元年度 | 随意契約 | 2号 | 一般社団法人八尾市観光協会 |
平成 30 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般社団法人八尾市観光協会 |
平成 29 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般社団法人八尾市観光協会 |
平成 28 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般社団法人八尾市観光協会 |
(2)[意見 15]業務結果の報告方法ついて
(事実)
この委託契約は,いわゆる「ふるさと納税」について,寄附者に対して贈呈する記念品として,八尾市の地域資源のPRとなる商品等を仕様書で定める事業者等から調達し,仕様書のとおり八尾市が送付する記念品発送リストに従い寄附者の希望する記念品の発送及びこれに関する問い合わせの対応に関する業務を行う,というものである。
現在の契約書上,「事業者等から調達」という言葉が用いられており,必ずしも明確ではないが,受託者は「ふるさと納税」の記念品(いわゆる返礼品)の新しい商品の新規開拓・発掘等を行い,また,それらに関する事業者側からの問い合わせ等にも応じる業務が想定されている(市はこうした新しい商品の新規開拓・発掘等に直接従事することはなく,ある程度,実現に向かった段階で,具体的に実現した「商品」を承認するかどうかの判断を示し,また,実際に承認するということになる。)。市としては,これを,地域に根差した一般社団法人八尾市観光協会だからこそ行うことができる業務であると期待し,2号随契による契約締結をしてきた。
しかし,現在のところ,新規開拓・発掘等の業務について,受託者がどういう動きをしたのかに関する業務活動報告等の提出は義務付けられていない。
(意見)
「ふるさと納税」の新規商品の開発・発掘等に関する業務は,委託業務の重要な部分であることから,市としては,定期的な頻度で報告書の提出を求め,業務内容を把握すべきである。必ずしも,新規の記念品が発掘できた場合に限らず,そうではない
場合を含め,どのような事業者と,どのような折衝が続き,記念品の発掘・開拓業務が進んだのかについて,市に情報が蓄積されることや,市が情報を随時的に把握することが重要であるといえる。また,受託業者としては,記念品の発掘・開拓業務を透明性・公平性を保って,その業務を行うべきであるし,市はこの観点からも,業務遂行状況の把握をすべきである。
(3)[意見 16]PR業務ついての業務水準の確定
(事実)
契約書では,受託者は「PR業務」も行うとされている。これは,八尾市の「ふるさと納税」を,対外的に広くPRし寄附の増加につなげる業務(=ふるさと納税を行おうとしている人に対する情報発信)と,既に「ふるさと納税」を行った者に,八尾市の観光地を紹介するなどして,市への来訪に繋げる業務等を指すが,仕様書の記載が具体的でない。また,市と受託者との間で業務水準や目標設定がなされていない。
現状,例えば,八尾市観光協会は季刊誌「新Yaomania」(シン・ヤオマニア)を,市からの補助事業として,年間36,000部(令和2年度)発行している。誌面には,八尾市のご当地カレーが新たに「ふるさと納税」の記念品になったことを紹介している部分が見受けられたものの,さらに,踏み込んだ掲載方法を模索する余地もあるものと思われた。また,八尾市観光協会ホームページ(www.yaomania.jp)に「ふるさと納税」についてのバナーやリンクが設けられているわけではなかった。また,同協会のFacebook(www.facebook.com/yaomania.osaka)でも直接的な言及が見当たらなかった。
(意見)
八尾市としては,八尾市観光協会が有する既存の媒体(これらの発出についても市費が投入されている)と「ふるさと納税」のPRとを,有機的に連携し,相乗効果を発揮することを期待しているからこそ,同協会を受託者として随意契約をしている。そのことに鑑みると,「ふるさと納税」をどのようにPRしていくかについて,例えば,年度当初にPRに関する計画を受託者に提出させ,また年度終了時に報告させる等して,PR業務の内容の充実と,水準の確保を行うべきである。
(4)[意見 17]民法上の法律関係の整理
(事実)
ふるさと納税の記念品について,何らかの欠陥・不具合等があった場合につき,これに対応する契約条項が存在していなかった。
(意見)
ふるさと納税の記念品については,「寄附者」は「市」に寄附を行い,それに対し,
「事業者」が「寄附者」に対し,記念品を贈呈するという三角的な法律関係(八尾市観光協会のような受託者は,記念品の発送業務に従事する)という関係にある。この場面において,記念品のやりとりは売買ではなく,寄附者と市は物の売買に該当するような契約関係には立たず,市は契約不適合責任等を負うことはないと整理することが一般的である。
記念品の発送等を取り扱う受託者も,発送事務のみを取り扱うため,記念品に対する直接的な責任を負わないことになり,記念品提供事業者が責任を行うことになる。このような観点につき,委託契約書ないし仕様書には特に記載がないが,他の地方公共団体が締結する類似の委託契約書ないし仕様書には,その旨の記載があるものが多かった。市の責任の有無の明確化の見地からこのような整理を行い,契約書又は仕様書に明記することが望ましい。
(5)[意見 18]今後の手数料のあり方ついて
(事実)
寄附金額 (八尾市収入額) | 支払額 (八尾市支払額) | (うち手数料部分) | |
平成28年 | 24,200,173円 | 3,506,450円 | 285,000円 |
平成29年 | 73,901,901円 | 20,838,486円 | 1,990,000円 |
平成30年 | 103,806,469円 | 22,000,006円 | 2,833,000円 |
令和元年 | 140,067,123円 | 34,111,437円 | 4,237,000円 |
令和2年 | 198,655,199円 | 61,726,591円 | 7,889,000円 |
八尾市は,観光協会に委託してから,これまでのところ,継続して同一の単価を設
定している(1寄附あたり単価1,000円の手数料)。しかし,この間,寄附金額は,増加の一途をたどっており,それに応じ,支払額も増加を続けている。
受託者である観光協会は,この手数料(収入)を,主として,従事する職員の人件費等の固定費に充てているものと思われ,その費用構造は,ふるさと納税の「数」が増えるにつれて,比例的に増えると思われる部分(発送関係業務や,問い合わせ対応業務)と,必ずしも比例的に増えるわけではない業務(PR業務や,新しい記念品の発掘業務)とに充てられている。
(意見)
こうした点に鑑みると,平成28年当初(この枠組みでの契約を開始した年度)と比較して「ふるさと納税」の件数が大幅に増加しているため,単価契約としての1件あたりの1,000円を維持するのではなく,適宜のタイミングで見直しを行うことも考えられたい。
ところで,市は,八尾市観光協会に運営に要する経費について,補助金の交付を続 けている(令和2年度では,年間2,600万円)。これについて,平成28年度の外部監査 で「交付要綱においては補助対象経費の範囲が事業費及び運営費ごとに明確にされて いない。」との指摘がなされたが,その点は措置がなされている。また,平成30年度 の外部監査では「最終的に観光協会が一般社団法人として自立した運営が実施できる よう,今後も補助対象経費の見直しと自助努力の促進を継続されたい。」との言及が あった(ただし,結果及び意見ではない。)。その後,八尾市観光協会が作成した令 和2年度の「事業計画書」で,同協会は,この受託事業が「自主財源の確保」に繋が るものとして位置づけ,協会が自立して運営していく中核的な事業と位置づけている。こうした流れのなかで,市としても,この委託契約が八尾市観光協会において「自主 財源」としての柱になっていることを理解して契約締結を進めている状況にあるが, 契約である以上,支払う対価としての「手数料」については,適正で合理的なものに 設定し続ける必要がある。
4 〔人権政策課〕八尾市外国人相談窓口運営業務委託契約
(1)概要
➀基本情報
契約名 | 八尾市外国人相談窓口運営業務委託契約 |
契約先名(所在地) | 公益財団法人八尾市国際交流センター22(八尾市) |
業務概要 | 八尾市に在住する外国人を主な対象として,外国人が安心して暮らすために必要な生活に関する相談や情報の提供を行う外国人相談窓口を運営する。窓口の運営にあたっては,八尾市国際交流センターに設ける基幹窓口とあわせて,市内2地域の外国人集住地域にサテライト窓口を設け,外国人が英語,中国語,韓国・朝鮮語,ベトナム語,タイ語,やさしい日本語等で身近に相談ができる環境を整え る。 |
現契約期間 | 令和2年4月1日~令和3年3月 31 日(単年) |
同一相手先への委託開始時期 | 令和元年 12 月 |
予定価格(税込) | 17,114,000 円 |
契約金額(税込) | 17,114,000 円 |
令和2年度決算額(税込) | 14,646,785 円23 |
変更契約の有無 | 無 |
契約保証金 | 免除(八尾市財務規則第 122 条第3号) |
支払方法 | 概算払い |
当初の契約方法 | 随意契約(2号) |
履行の実績確認方法 | 契約書第5条及び仕様書に従い,毎月の相談案件の集計報告を受け,履行を確認している。また,相談内容等で疑義が生じた場合 は,随時,報告を受けている。 |
再委託の有無 | 有(1件) |
再委託の業務範囲 | 八尾市外国人相談窓口サテライト窓口運営業務 |
再委託金額 | 9,727,433 円 |
再委託の確認方法 | 契約相手先に再委託申請書を文書で提出させ,内容を把握してい る。 |
個人情報取扱の有無 | 有(契約書特記事項により,秘密の保持,個人情報の取扱い,個人 情報保護に反する違約金等を定めている。) |
➁委託の理由
委託の理由 | 当該業務は,外国人に対して,在留手続き,医療,子育て,雇用等の生活に関わる様々な事柄について,悩みや不安を抱いたときに,適切な情報や相談場所に迅速に到達できるよう,多言語で情報提供及び相談を行う窓口を運営するものである。 相談員には相談対応スキルだけでなく語学力が求められ,日本との文化・生活習慣・制度などの違いも知識として求められる。 また外国人が相談しやすい環境づくりが求められるため,相談者に 応じた柔軟な対応が図れること,専門性を持って対応することが必要である。 |
③随意契約の概要
随意契約の理由 | 公益財団法人八尾市国際交流センターは,従来から国際理解や外国人相談を行っており,市の外郭団体として,本市の多文化共生施策 |
22 八尾市の外郭団体である。
23 契約金額とのずれは,実績に基づく精算による。
を推進していく役割を担っており,これまでも,日本語学習事業, 交流事業等を通して,本市の外国人市民支援業務の中心的な役割を果たしている。 | |
根拠法令 | 2号 |
随意契約理由の公表 | 公表している |
予定価格の積算方法 | 事業者から徴取した見積書を参考の上,決定 |
相見積の有無 | 無 |
④事業の目的と効果指標
事業の目的 | 八尾市に在住する外国人を主な対象として,外国人が安心して暮らすために必要な生活に関する相談や情報の提供を行う外国人相談窓口を運営する。窓口の運営にあたっては,八尾市国際交流センターに設ける基幹窓口とあわせて,市内2地域の外国人集住地域にサテライト窓口を設け,外国人が英語,中国語,韓国・朝鮮語,ベトナム語,タイ語,やさしい日本語等で身近に相談ができる環境を整え る。 |
期待する効果 | 外国人市民のニーズに対して,柔軟に対応し,より相談しやすい窓 口を整えること |
効果指標を設定しているか | 設定している |
効果指標 | 外国人相談事業件数 1,500 件(月 125 件) |
効果指標の過去5年の推移 | R2 2,314 件(月 193 件) R1 (12 月~) 511 件(月 128 件) |
⑤これまでの契約相手方の選定方法
年度 | 契約方法 | 随意契約理由 | 契約相手方 |
令和2年度 | 随意契約 | 2号 | 公益財団法人八尾市国際交流センター |
令和元年度 | 随意契約 | 2号 | 公益財団法人八尾市国際交流センター |
令和元年以前は,より小規模な窓口相談業務を特定非営利活動法人トッカビに対し随意契約により委託していたが,令和元年度に国の外国人受け入れ環境整備交付金事業が開始し,現在の委託契約の 内容となったものである。 |
(2)[意見 19]外国人相談窓口の在り方ついて
(事実)
2020年3月末時点で外国籍を持つ市民は,7,908人で,総人口に対する割合は2.97%である。国籍別では,韓国・朝鮮籍2,913人,ベトナム籍2,095人,中国籍2,090人,フィリピン籍288人,ブラジル籍56人,タイ籍55人,その他411人となっている24。
この委託契約に基づく,令和2年度の相談実績は,次のとおりとなっている。
24 「第2次八尾市多文化共生推進計画」に記載の「八尾市の外国籍を有する市民の現状」
基幹 | 安中 | 桂 | 合計 | ||
相談件数 | 206 | 1,394 | 714 | 2,314 | |
うち初回相談件数(※1) | 171 | 847 | 355 | 1,373 | |
うち継続相談件数(※2) | 27 | 547 | 359 | 933 | |
メールなどで特定できず | 8 | - | - | 8 |
※ 同一人による継続利用は,継続相談件数に計上。最多は8回の相談。
なお,初回相談件数が,相談を利用者した実人数に近い数字となるが,月単 位でリセットされており,相談利用実人数は初回相談件数の合計数よりも小さい。
相談区分
相談 | 通訳 | 翻訳 | 同行 | その他 |
2,234 | 1,611 | 86 | 1,205 | 338 |
対応言語
日本語 | 英語 | 韓国語 | 中国語 | ベトナム語 | タイ語 | その他 |
72 | 39 | 1 | 752 | 1,448 | 0 | 2 |
相談内容(複数回答可)
入管手続 | 雇用労働 | 社会保険年金 | 税金 | 医療 | 出産子育 | 教育学校大学 等 | 日本語 学習 | 防災災害 | 住宅 | 結婚離婚 DV等 | 在留資格国籍 | 交通運転免許 | その他 |
31 | 172 | 77 | 56 | 1,379 | 205 | 57 | 23 | 1 | 74 | 65 | 177 | 15 | 586 |
※多い類型として,病院への同行通訳を行うというものがある(監査人集計によれば,基幹4件,安中498件,桂511件の合計1,013件)
(意見)
のべ2,314件の相談に対し,事業費として約1,700万円を投じている事業である。これを相談件数1件当たりの事業費に割り戻すと,7,346円/件となり,初回相談件数が相談利用者数であると仮定すると(実際には,利用者数はもっと少ない),1,373人の利用者に対し,事業費として約1,700万円を投じていることになり,相談利用者1名当
たりの事業費に割り戻すと,12,380円/利用者となっている。
現在は,国の外国人受入環境整備交付金事業の制度内で実施しており,国からの交 付金や交付税措置もあり,市単費での負担は大きくはなく,国の制度の枠内での実施 が要求されていることから自由度が小さい部分があり,やむを得ない部分もある。も っとも,将来的には,国の交付金事業も終了する時期が来るため,市として財政負担 を軽減したうえ持続可能な方法のもとで,外国人と共生する社会を実現するためには,外国人相談窓口運営事業のあり方の見直しは不可避である。その際,例として,以下 のような観点から,事業のあり方の見直しをすることが想定される。
ア サービス水準の見直しについて
窓口相談業務としていかなるサービス水準とするのかについて,精査することが考えられる。
この事業の相談対応では,例えば,病院への「同行通訳」を行うという類型が最も 多くなっている(監査人集計によれば,基幹4件,安中498件,桂511件の合計1,013件)が,同行通訳は,投入する人的コストが非常に大きいと言える。病院への同行通訳は,専門的判断を要するものではなく,通訳としての機能が求められているのであり,こ ういった専門性が必ずしも高くない類型については,地域コミュニティに属する外国 人住民間での共助を促す取り組みを行いつつ,市の行う相談業務は,地域の共助では 解決困難な,専門性の高い相談内容に注力する方向を目指すということも検討するべ きである。
また,対象言語として,韓国・朝鮮語,タイ語が設定されているが,利用実績がほとんど無い。市内の在日韓国・朝鮮籍の方は,国内居住期間が長く,既に多くの者が日本語に通じており,特に外国人相談窓口を利用せずとも,日本国籍を有する市民と同様の支援を利用していることによるものと考えられる。タイ語については,居住者数が少ないことに起因するものか,地域コミュニティ内で解決しているものか等は不明であるが,利用者数が少ない。国の交付金事業として採択されるための要件との関係で,多数の言語対応体制としているものであるが,対応言語を増やすことは,コス
トアップにつながるものと推測される。将来的には対応言語ごとの費用対効果や必要
性を勘案し,対応言語を精査することを検討するべきである。イ 受益者負担の導入について
上記のとおり,同一人が8回も利用している例がある一方で,全く利用をしていない外国人もいる。
サービス水準を高いまま維持しつつ,市の財政的負担をより軽減する方法としては,本事業の特質として受益関係が明確であることに鑑み,例えば,病院への付き添い同 行に代表されるようにサービス提供のために市が投入するコストが特に大きい類型の サービスについて,存続させるのであれば,受益者負担を導入することが考えられる。
(3)[意見 20]今後の契約相手方選定あたっては競争性を取り入れた方法とすべきで
あること
(事実)
本件契約は,令和元年度の事業開始以来,2号随契により,八尾市の外郭団体である公益財団法人八尾市国際交流センターが契約相手方として選定されている。
同契約の履行については再委託がされており,その再委託金額は9,727,433円(業務委託費14,646,785円のうちの66%)に及ぶ。また,その業務委託の性質(範囲)をみても,下記の基幹窓口を自ら行うものの,ほかの2つのサテライト窓口(安中,桂)の相談窓口運営業務そのものを再委託している状況である。
(意見)
上記のように,業務の多くの範囲の再委託がされている状況は,2号随契により契約相手方を選定し,競争性を排除していることと,矛盾している。
この点,2号随契によるべきか否かについては,一定の行政側の裁量があり,八尾市国際交流センターを八尾市の外国人支援の中核と位置づけ,その役割を果たしうる団体として育成するため,そして,同所に外国人情報を集約させるため,いわば,政策的な判断をした上で,価格の有利性や,競争性といった点の価値を超える価値を見出して,2号随契をしたものと理解され,現時点で直ちにかかる裁量の範囲を逸脱するとは言えない。もっとも,これまでは,そのような政策的な判断に基づく随意契約が続いてきた経緯があるとしても,必ずしも現在の契約相手方では行いえないものでは
ないことに照らし,遠からぬ時期には,契約相手方の選定にあたり,競争性・公平性が確保される契約方法(すなわち,指名競争入札,総合評価方式の一般競争入札,プロポーザル方式)を採用すべきである。
なお,プロポーザル方式を採用すべき方式のうちの一つとして挙げたのは,今後の ICT技術の活用見込みなどを踏まえると,これらの技術の活用に長じた業者への業務委託が,予算の有効活用につながる可能性が十分に考えられたためである。契約の競争性を確保するに当たり,その前の仕様書を作成する際に,どのような方法により行政目的を達成するべきかという具体的手法について,民間からの提案を受けることが有効である可能性があると思料したためである。この点も併せ検討されたい。
5 〔人権政策課〕八尾市男女共同参画センター業務委託契約
(1)概要
➀基本情報
契約名 | 八尾市男女共同参画センター業務委託契約 |
契約先名(所在地) | 一般財団法人大阪市男女共同参画のまち創生協会25(大阪市) |
業務概要 | (1) 八尾市男女共同参画センター受付管理運営業務 (2) 啓発イベント企画運営業務 (3) 上記業務と密接に関連する事項に関する業務 |
現契約期間 | 令和2年4月1日~令和3年3月 31 日(単年) |
同一相手先への委託開始時期 | 平成 24 年 7 月 |
予定価格(税込) | 3,144,790 円 |
契約金額(税込) | 3,144,790 円 |
令和2年度決算額(税込) | 3,144,790 円 |
変更契約の有無 | 無 |
契約保証金 | 免除(八尾市財務規則第 122 条第3号) |
支払方法 | 債務が確定したことを確認した上で支出(地方自治法第 232 条の4 第2項) |
当初の契約方法 | 随意契約(2号)26 |
履行の実績確認方法 | 契約書第3条及び仕様書に従い,毎月の業務完了後,運営業務報告書の提出を受け,履行を確認している。 |
再委託の有無 | 無 |
個人情報取扱の有無 | 有(契約書第 15 条により,個人情報を取り扱う場合の規定を設けて いる。)(八尾市個人情報保護条例第 11 条第3項の規定及び個人情報 保護取扱特記事項に掲げる事項を遵守するよう規定) |
25 愛称「大阪市男女いきいき財団」
26 平成 28 年に一般競争入札を行った後,同一の相手方と随意契約を継続している。
➁委託の理由
委託の理由 | 八尾市男女共同参画推進条例に基づき「八尾市はつらつプラン~第 3次八尾市男女共同参画基本計画~」を策定し,性別にかかわりなくすべての人が活躍できる男女共同参画社会の実現をめざし,取り組みを進める中で,男女共同参画推進の拠点施設における啓発事業や情報発信には,民間の知見を活用した効果的な実施が求められるため。 |
③-1随意契約の概要
随意契約の理由 | 当該事業者は大阪市域において女性の社会参加・参画と自立を支援する事業を実施するとともに,男女の対等な参画をめざす市民の主体的な活動の援助育成に寄与することなどを目的に,女性に対する暴力防止事業等の自主事業やカウンセラー派遣業務等の受託事業を行っており,活動実績が豊富である。 委託業務のうち,施設の管理運営業務については大阪市立男女共同参画センター(愛称:クレオ大阪)の5館において,指定管理者として長年にわたり指定管理事業を行うなど実績が豊富である。また,本業務について平成 28 年度に委託する以前から継続して委託し,八尾市の実情にも精通しており,当該事業者に業務委託を行うことで男女共同参画センターが担う業務の効果的な展開が期待でき る。 |
根拠法令 | 2号 |
随意契約理由の公表 | 公表している |
予定価格の積算方法 | 過去の実績を踏まえ精査したうえで積算 |
相見積の有無 | 無 |
③-2入札の概要
入札の種別 | 一般競争入札 |
応札者数等 | 平成 28 年 11 月の一般競争入札(応札者数:1者) |
予定価格の積算方法 | 過去の実績を踏まえ精査した上で,平成 29 年度予算を算出してお り,これを入札予定価格とした。 |
④事業の目的と効果指標
事業の目的 | 男女共同参画社会の実現 |
期待する効果 | 一般財団法人大阪市男女共同参画のまち創生協会は,大阪市域において女性の社会参加・参画と自立を支援する事業を実施するとともに,女性に対する暴力防止事業等の自主事業やカウンセラー派遣業務等の受託事業を行っており,男女共同参画推進の取り組みを進めていく際に,ノウハウを有した団体に委託することにより,効率的 に事業を推進することが可能となる。 |
効果指標を設定しているか | 設定していない |
⑤これまでの契約相手方の選定方法
年度 | 契約方法 | 随意契約理由 | 契約相手方 |
令和2年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人大阪市男女共同参画のまち創 生協会 |
令和元年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人大阪市男女共同参画のまち創 生協会 |
平成 30 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人大阪市男女共同参画のまち創 生協会 |
平成 29 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人大阪市男女共同参画のまち創 |
生協会 | |||
平成 28 年度 | 一般競争入札(応札:1者) | 一般財団法人大阪市男女共同参画のまち創 生協会 | |
平成 27 年度 | 随意契約 | 一般財団法人大阪市男女共同参画のまち創 生協会 | |
平成 26 年度 | 随意契約 | 一般財団法人大阪市男女共同参画のまち創 生協会 | |
平成 25 年度 | 随意契約 | 一般財団法人大阪市男女共同参画のまち創 生協会 | |
平成 24 年度 | 一般競争入札(応札:2者) | 一般財団法人大阪市男女共同参画のまち創 生協会 | |
平成 23 年度 | 随意契約 | 有限会社ウィメンズセンター大阪 | |
平成 22 年度 | 随意契約 | 有限会社ウィメンズセンター大阪 | |
※ただし,古い時期の契約については,文書が破棄されており,残存資料からの推測による。 |
(2)[意見 21]男女共同参画センター(すみれ)の行う情報発信事業の再構築ついて
(事実)
ア 令和2年度における男女共同参画にかかわる事業の見直し
八尾市では,市民向け講座は他部署でも実施されていること,男女共同参画センター(愛称:すみれ)の知名度が低迷している状況(市民への周知度7.9%,「男女共同参画についての市民意識調査」令和元年度)等を踏まえ,男女共同参画にかかわる事業について,①男女共同参画センターで,従前行っていた市民向け講座事業を廃止するとともに,②より多くの市民に男女共同参画センターの周知・啓発を行うべく,公民連携による情報発信を強化する,③男女共同参画センターでの女性相談の拡充という方向での見直しが行われた。
その結果,男女共同参画にかかる事業費は次の通り見直されている。
令和元年度 | 令和2年度 | |
①男女共同参画センター受付管理運営業務 2,511,360 円 ②講座企画運営業務 2,374,020 円 ③男女共同参画センター相談業務 1,274,820 円 (①~③のいずれも委託先は(一財)大阪市男女共同参画のまち創生協会) | ①男女共同参画センター受付管理運営業務 3,144,790 円 ②男女共同参画センター相談業務 1,381,600 円 (①及び②の委託先は(一財)大阪市男女共同参画のまち創生協会) | |
③男女共同参画・女性活躍の推進にかかる情報発信業務 1,375,000 円 (③の委託先は,株式会社関西ぱど) | ||
合計 | 6,160,200 円 | 5,901,390 円 |
イ 男女共同参画センターで行っている事業の実績
男女共同参画センターで行われている事業は,相談事業,図書貸出,自主グループ活動支援,啓発事業・情報発信などがある。これらの実績は,以下のとおりである。
(ア) 相談事業
女性の人権尊重の視点に立ち,女性の抱える様々な悩みに対応し自立を支援するために,女性相談員による相談を行うもの。
相談実績(件)
平成 29 年度 | 平成 30 年度 | 令和元年度 | 令和2年度 | |
面接相談 | 194(内DV77) | 189(内DV30) | 221(内DV19) | 227(内DV16) |
随時相談 | 123(内DV29) | 148(内DV26) | 122(内DV27) | 118(内DV31) |
(窓口/電話) | (27/96) | (30/118) | (22/100) | (9/109) |
法律相談 | 12(内DV4) | 9(内DV1) | 10(内DV2) | 16(内DV4) |
※従前より継続的に実施していることから,平成 29 年度以降の実績を監査人において整理した。
DVは,ドメスティック・バイオレンスに関する相談の件数
(イ) 図書貸出
男女共同参画に資する内容の図書を市民に貸出す業務
(ウ) 自主グループ活動支援
男女共同参画センターの講座受講者による自主的なグループの結成や,情報提供,活動場所の提供等の支援を行うもの
登録グループ:3団体
(エ) 啓発事業・情報発信
①サンキュー女性キャンペーン
令和2年度の新型コロナウィルス感染症の影響を受けて実施内容を変更し,職 場や家庭,地域の身近な女性に,日ごろの感謝を伝えるメッセージ等を募集し,ウェブ媒体,すみれだより等で紹介
②「すみれだより」の発行 年4回
平成 30年度 | 6月号 スポーツ分野の男女共同参画 9月号 八尾市で取り組まれている女性活躍推進! 12 月号 毎年 11 月 12 日~25 日は女性に対する暴力をなくす運動期間です 2月号 見つけよう!見直そう!私らしい暮らし方 |
令和元 年度 | 6月号 あなたの働き方,変わりましたか? 9月号 人生 100 年時代の女性のきらり☆チャレンジ |
情報紙を発刊し,人権政策課,八尾市男女共同参画センター,市内各公共施設の窓口等で配架
12 月号 毎年 11 月 12 日~25 日は女性に対する暴力をなくす運動期間です 2月号 3月8日は「国連女性デー」です | |
令和2年度 | 6月号 自分らしい人生を実現するための時間の使い方 9月号 9月は「OSAKA女性活躍推進月間」です 12 月号 あらゆる暴力を許さない社会にしよう 臨時号 あなたへ,わたしへ贈る感謝のメッセージ |
③男女共同参画センターウェブサイトでの情報発信
④男女共同参画センター公式Facebookでの情報発信ウ 情報誌に企画記事を掲載する方法による情報発信
上記のほか,情報誌「ぱど」大阪東版03八尾エリアに,男女共同参画・女性活躍推進に関連した取り組みに関する企画記事を掲載する情報発信(5月号~翌年2月
号)が行われている。
(意見)
委託事業の一環として行われている「すみれだより」の発行は,その発信内容が近 年固定化しつつあり,また,人権政策課(市役所本庁舎3階),八尾市男女共同参画 センター,市内各公共施設の窓口等で配架するという方法で配布していることからも,情報の発信相手が限定されている。
他方,一般の市民に対する発信を目的として,令和2年度から新たにフリーペーパーとして各戸配布される情報誌「ぱど」による情報発信も始まっている。令和2年度は,上記の事業見直しが行われた初年度であるうえ,同時に,新型コロナウィルス感染症の影響により予定した事業が実施できなかった状況でもあり,評価をなすには時期尚早ではあるものの,男女共同参画関係の啓発活動は,「すみれだより」,新たに開始した情報誌による情報発信事業と,役割・機能の重複がみられ,すみ分けがはっきりしない部分がある。また,近年は様々な分野でSNSなどのデジタルツールを用いた情報発信も採用されている。
これらの事情を踏まえ,男女共同参画にかかる情報発信についても,いかなる情報を誰に向けて発信するのか,その目的と効果との関係からいかなるツールを用いるのが効果的であるのかといった観点から,再度,見直しを行い,事業内容のさらなる整理を検討すべきである。
6 〔人権政策課〕外国人市民情報提供事業委託契約
(1)概要
➀基本情報
契約名 | 外国人市民情報提供事業委託契約 |
契約先名(所在地) | 一般財団法人八尾市人権協会(八尾市) |
業務概要 | 本市に生活する外国人市民に対する情報提供として,英語・中国 語・ベトナム語の3言語による情報誌の発行等を行う。 |
現契約期間 | 令和2年4月1日~令和3年3月 31 日(単年) |
同一相手先への委託開始時期 | 平成 21 年5月 |
予定価格(税込) | 6,408,000 円 |
契約金額(税込) | 6,407,500 円 |
令和2年度決算額 | 6,407,500 円 |
変更契約の有無 | 無 |
契約保証金 | 免除(八尾市財務規則第 122 条第6号) |
支払方法 | 概算払い |
当初の契約方法 | 随意契約(2号) |
履行の実績確認方法 | 仕様書に従い,多言語情報誌は毎月末に発行しているので,毎月の 配布完了の報告により,履行を確認している。 |
再委託の有無 | 再委託の有無については相手先に未確認。 |
再委託の業務範囲 | 上記のとおり不明 |
再委託金額 | 上記のとおり不明 |
再委託の確認方法 | 再委託の有無については相手先に未確認。 |
個人情報取扱の有無 | 有(契約書特記事項により,秘密の保持,個人情報の取扱い,個人 情報保護に反する違約金等を定めている。) |
➁委託の理由
委託の理由 | 当該業務は,外国人市民のコミュニティ形成を支援するとともに,外国人市民が地域社会の構成員として地域コミュニティとの共生を図れるよう支援することを目的に英語・中国語・ベトナム語の3言語で多言語情報誌を作成し,市政情報を発信するものである。 多くの国籍を有する外国人市民が生活している本市では,多様なメディア,言語による情報提供を幅広く多方面で推進する必要があ り,公民協働の基本的な考え方に基づき,公共サービスを推進するため,外部委託で実施することが有効であるため。 また,外国人市民に広く市政情報を提供するためには,外国人市民の日常生活における課題やニーズについて理解する必要があり,外国人コミュニティ等とのネットワークを有している団体に委託し, 実施することが,効果性や専門性の観点からも有効であるため。 |
③随意契約の概要
随意契約の理由 | 外国人市民への情報提供を行うにあたり,地域との幅広い連携が不可欠であり,市民との協働の取り組みを前提に考える必要がある。 一般財団法人八尾市人権協会については,下記理由から本事業を委託することに最も適している。 ・これまで,本市の人権施策を推進する上での協力機関として, 外国人市民の人権問題などさまざまな人権課題に関わる啓発活動の実績があり,知識やノウハウを有している。 |
・広範な分野や地域の団体から構成されており,幅広い視点で,情報誌の作成に取り組むことが見込まれる。 ・生活や就労などの相談事業を通じて,外国人市民の生活や課題を把握できる。 ・一般財団法人八尾市人権協会の構成員に外国人市民団体も加入しており,当事者の立場で外国人市民が地域で抱える問題を理解 し把握することができる。 | |
根拠法令 | 2号 |
随意契約理由の公表 | 公表している |
予定価格の積算方法 | 事業者から徴取した見積書を参考の上,決定 |
相見積の有無 | 無 |
④事業の目的と効果指標
事業の目的 | 本市に生活する外国人市民に対する情報提供の充実を図り,多文化共生施策を推進していくため,英語・中国語・ベトナム語の3言語 による情報誌の発行等を行う。 |
期待する効果 | 多言語での市政情報の発信を通して,外国人市民のコミュニティ形成を支援するとともに,外国人市民が地域社会の構成員として地域 コミュニティとの共生を図れるよう支援することを期待している。 |
効果指標を設定しているか | 設定していない |
⑤これまでの契約相手方の選定方法
年度 | 契約方法 | 随意契約理由 | 契約相手方 |
令和2年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人八尾市人権協会 |
令和元年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人八尾市人権協会 |
平成 30 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人八尾市人権協会 |
平成 29 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人八尾市人権協会 |
平成 28 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人八尾市人権協会 |
平成 27 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人八尾市人権協会 |
平成 26 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人八尾市人権協会 |
平成 25 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人八尾市人権協会 |
平成 24 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人八尾市人権協会 |
平成 23 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人八尾市人権協会 |
平成 22 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人八尾市人権協会 |
(2)[意見 22]情報発信の方法・手段のさらなる検討と地域コミュニティの醸成向けて事業自体の目標を一歩進める必要性ついて
(事実)
外国人市民向けに発信すべき情報を,紙媒体の情報誌(中国語800部,ベトナム語 800部,英語500部)として作成・発行する事業である。なお,情報誌のデータは八尾市役所のウェブサイトにも掲載されている。
(意見)
言語の障壁により必要な情報の入手に不利な部分がある外国人市民に対し,必要な情報を届けようとする本事業の重要性は認められる。もっとも,その情報発信の手段
として,現在の「紙媒体の情報誌を印刷したうえ,外国人市民に届ける」方法は,紙 媒体の印刷部数に限りがある以上,情報を必要とする先にすべて行き届いているとは 限らない。八尾市内に居住する外国人市民は,国籍別では,韓国・朝鮮籍2,913人,ベ トナム籍2,095人,中国籍2,090人,フィリピン籍288人,ブラジル籍56人,タイ籍55人,その他411人であるところ,情報誌の配布数からして,全員に配布できていない可能性 が高く,また,発信できていない言語もある。
「令和2年度 在留外国人に対する基礎調査報告書」(法務省出入国在留管理庁)に よれば,「公的機関(市区町村・都道府県・国)が発信する情報の入手先」において,広報誌・雑誌は10%以下にとどまっているという現実がある。現在は,SNSなどの ツールが発展しており,市民が情報を入手するルートも紙媒体から,デジタルに移行 している。市においても,外国人コミュニティ内ではSNS等のツールで情報共有が 盛んに行われており,国籍毎に普及しているアプリの種類が違うという実態も把握し ている。
このように,情報を入手するルートの変化に対応して,今後,情報発信の手段につ いては,紙媒体やウェブサイト以外のツールによる情報発信を検討するべきと考える。また,外国人市民の購読者数増加のためには,コミュニティ内で購読が推奨される仕 掛けづくりや,外国人市民が市役所と接点を持った際に適時に案内するなどの工夫が 求められる。
また,本事業の目的の一つとして「外国人市民のコミュニティ形成を支援する」とされているところ,外国人市民のコミュニティ形成という観点では,一方的な情報発信にならざるを得ない紙媒体の情報誌よりもSNSのようなデジタルツールの方が効果的な可能性がある。外国人市民にとって必要な公的情報が的確に得られるとして,外国人との間で継続的な接点を確保することが確立できれば,この事業が,外国人コミュニティ形成の連結点となりうる。
令和3年2月に策定された「八尾市第6次総合計画」では,「多文化共生の推進」
として,様々な国籍の人たちの共生,外国人市民も入った地域コミュニティ推進を進めていくこととされている(同計画の「施策29」)。
SNSの特徴として,読み手が必要な情報に検索機能などを利用してたどり着きや すいこと,情報の発信から伝達までの時間が短く,情報の拡散も容易であることから,様々な催しの告知などにも適しているという面がある。このようなSNSのメリット も活用し,外国人コミュニティの形成を「てこ」としつつ,さらには,外国人が地域 社会の構成員として「地域コミュニティとの共生」をすることができることにつなが る情報も織り交ぜるような工夫をすべきである。
(3)[意見 23]現在の受託者対する随意契約ついて
(事実)
本業務は,10年間以上,2号随契により,一般財団法人八尾市人権協会に委託されている。本業務を委託する理由として,「外国人市民に広く市政情報を提供するためには,外国人市民の日常生活における課題やニーズについて理解する必要があり,外国人コミュニティ等とのネットワークを有している団体に委託し,実施することが,効果性や専門性の観点からも有効」とされている。一般財団法人八尾市人権協会の令和2年度の決算関係書類によれば,この業務の実施のために,支払い報酬として200万円超を支出している。
(意見)
いかなる情報を発信するかは,地域の外国人コミュニティの実情についての知見が必要である側面もあり,記事の内容決定は,受託事業者との編集会議を経て発信情報が確定されているとのことである。
地域の外国人コミュニティの実情についての知見が必要というのであれば,地域の NPO法人等の団体や,公益財団法人八尾市国際交流センターもそのような知見を有する事業者として想定される。また,発信すべき情報を決定した後の原稿作成業務
(ライターとしての業務)は,必ずしも八尾市人権協会でなければ行えない業務ではないし,支払報酬が支払われている状況からすれば翻訳業務は,外注27によっている。さらに上記(2)のとおり,今後,情報発信の方法については,新たな情報ツールを
27 再委託の確認が未了であることについて後記参照
用いることを模索していくべき時期になっており,新たな情報発信のノウハウを持つ事業者への委託を検討する必要性が高まっている。
これらを踏まえると,今後の契約相手方の選定にあたっては,競争性・公平性が確保される契約方法(すなわち,指名競争入札,総合評価方式の一般競争入札,プロポーザル方式)を採用するよう検討すべきである。
(4)[意見 24]八尾市外国人相談窓口運営業務委託事業との統合と競争性のある契約方
式の採用ついて
(事実)
「外国人相談窓口運営業務委託」と「外国人市民情報提供事業委託」は,同じく,八尾市に在住する外国人を主な対象としてこれを支援する業務である。また,業務内容は,前者が「外国人が安心して暮らすために必要な生活に関する相談や情報提供を行う相談窓口を運営する」業務であり,後者は「外国人市民に対する情報提供の充実を図り,多文化共生施策を推進してゆくため,・・の3言語による情報誌の発行などを行う」業務である。両業務はいずれも2号随契により,前者は公益財団法人八尾市国際交流センターに,後者は一般財団法人八尾市人権協会に対し委託している。
外国人相談窓口運営業務委託は,現在,国の「外国人受入環境整備交付金事業」に採択され,同制度内で,国からの交付金を受け実施している。
(意見)
「外国人相談窓口運営業務委託」と「外国人市民情報提供事業委託」とは,上記のとおり,業務目的は重複しているといえる。
両業務の内容と相互の関連性を踏まえると,「外国人市民情報提供業務」は,外国 人からの相談を日々受けている窓口業務委託運営業務委託契約の受託事業者が,外国 人に対する情報提供を行う際に,同時にかつ,その関係も意識しながら有効に行う方 が合理的であるように思われる。このような業務の統合により,2業務をトータルとし てみれば業務コストの低減につながり得ることが期待できる。また,従前,別々に委 託されていた契約が統合されることによって,1契約当たりの委託金額が大きくなり,受託業者にとって参入意欲が増大し,適切な価格競争につながることも期待できる。
また,現在,両業務とも,2号随契により契約相手方が決められているところ,両者の随意契約理由は,上記4(1)及び6(1)の表のとおりであって,外国人相談窓口運営業務委託が,公益財団法人八尾市国際交流センターと契約しなければ「その目的が達成できないような場合」で「特別の経験や知識,手法等を必要とする場合」に該当するのであれば,外国人市民情報提供事業委託をなしうるのが一般財団法人八尾市人権協会に限られるとはいえないと思料される。
この点,2号随契によるべきか否かについては,一定の行政側の裁量があり,外国人相談窓口運営業務委託に関しては,八尾市国際交流センターを八尾市の外国人支援の中核と位置づけ,いわば,政策的な判断をした上で,2号随契をしたものと解されるが,少なくとも,外国人市民情報提供事業委託につき,一般財団法人八尾市人権協会を2号随契により契約相手方とする理由は乏しい。
以上を踏まえ,両業務については,将来的には28統合し,その前提として,業務の重 複の有無を確認し,より合理的で効果的な利用となるよう業務を整理したうえ(その 際,それぞれの契約に関し各論として述べたことを参照されたい。),プロポーザル 方式により相手方を選定する方式とし,競争性を適切に取り入れるとともに,民間を 含めた様々な応募者からの提案により,よりよい業務内容へ仕様を高めてゆくことを,検討するべきである。
(5)[結果2]再委託の確認未了ついて
(事実)
本業務においては,契約上,再委託(下請負)が原則禁止され,一部の業務の再委託をする場合には,発注者の承諾を要することとされている。また,再委託等の先について,暴力団等を排除すべきことが規定されている。この点,所管課では,再委託等の有無について確認していない。
一般財団法人八尾市人権協会の令和2年度の決算関係書類によれば,本業務の実施
28 現在,外国人相談窓口運営業務委託は国の制度の枠内で実施しており,直ちに実施することは難しい部分があると思われるので,将来的な課題として検討を求めるものである。
のために,支払い報酬として200万円超を,印刷製本費として45万円超を支出している。
(結果)
本業務の性質上,少なくとも印刷業務は外注が必要となり,また,受託事業者の決算関係書類の内容によれば業務の一部も外注されていると認められる。しかるに再委託等の有無について確認されていないことは適当でない。再委託等の確認を徹底すべきである。
7 〔人権政策課〕人権啓発関係業務委託契約
(1)概要
➀基本情報
契約名 | 人権啓発関係業務委託契約 |
契約先名(所在地) | 一般財団法人八尾市人権協会(八尾市) |
業務概要 | 世界人権宣言普及啓発業務 ひゅーまんフェスタ関係業務 地域人権啓発推進関係アドバイザー業務 差別事象連絡・啓発検討会事務局補助業務 差別事象等防止啓発イベントの企画,開催業務 その他,人権啓発に関し本市が必要と認める業務 |
現契約期間 | 令和2年4月1日~令和3年3月 31 日(単年) |
同一相手先への委託開始時期 | 15 年以上 |
予定価格(税込) | 5,676,000 円 |
契約金額(税込) | 5,676,000 円 |
令和2年度決算額(税込) | 5,676,000 円 |
変更契約の有無 | 無 |
契約保証金の取扱い | 免除(八尾市財務規則第 122 条3号) |
支払方法 | 概算払い,年2回分割にて支払い。 |
当初の契約方法 | 随意契約(2号) |
履行の実績確認方法 | 契約期間満了後,速やかに精算書に業務完了報告書を添えて市に提 出させている。 |
再委託先の有無 | 無 |
個人情報取扱の有無 | 有(契約書第9条により,個人情報を取り扱う場合の規定を設けて いる。)(八尾市個人情報保護条例第 11 条第3項の規定及び個人情報保護取扱特記事項に掲げる事項を遵守するよう規定) |
➁委託の理由
委託の理由 | 八尾市人権尊重の社会づくり条例において,世界人権宣言の趣旨や日本国憲法の理念に基づき,一人ひとりの人権が尊重される社会づくりに努めているところ,とりわけ市民との協働において,人権意識の高揚,人権教育・啓発の推進,市民活動の支援・育成及びネットワークに関する活動の促進等が求められている。こうした取り組みを進めていく際に,ノウハウを有した団体に委託することによ り,効率的に事業を推進することが可能になり,さらに市民活動の |
支援育成につながるため。 | |
同種の業務につき,委託と直 営の併存の有無 | 有(人権啓発セミナーや交流会といった人権啓発業務を市が直営で 行っている。) |
併存の理由・状況 | 人権が尊重される社会づくりは,市民との協働において,人権意識の高揚・人権教育・啓発の推進,市民活動の支援・育成及びネットワークに関する活動の促進等が求められているため,人権啓発にお いて委託と直営が併存している。 |
③随意契約の概要
随意契約の理由 | これまで長年にわたり広く人権啓発事業や人材育成に取り組んできた実績とその蓄積された知識・技術や人的ネットワークを有している団体であり,市が多様な人権施策を推進していくための協力機関として位置付けている団体であり,本業務を委託するのに最も適し ているため。 |
根拠法令 | 2号 |
随意契約理由の公表 | 公表している |
予定価格の積算方法 | 見積書,過去実績 |
相見積の有無 | 無 |
④事業の目的と効果指標
事業の目的 | 一人ひとりの人権が尊重された社会の実現 |
期待する効果 | 人権啓発の取り組みを進めていく際に,ノウハウを有した団体に委託することにより,効率的に事業を推進することが可能となり,さ らに市民活動の支援育成にもつながる。 |
効果指標を設定しているか | 設定していない |
⑤これまでの契約相手方の選定方法
年度 | 契約方法 | 随意契約理由 | 契約相手方 |
令和2年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人八尾市人権協会 |
令和元年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人八尾市人権協会 |
平成 30 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人八尾市人権協会 |
平成 29 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人八尾市人権協会 |
平成 28 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般財団法人八尾市人権協会 |
確認できる範囲では,平成17年度から現在の委託事業者に随意契約を行っている。なお,平成22年 度に八尾市人権協会が一般財団法人となったことから,一般財団法人八尾市人権協会への委託は同年から開始となっている。 |
(2)[意見 25]仕様書おいて業務内容が明確なっておらず,業務実施内容の詳細が記載された報告書も提出されていない
(事実)
(1) 世界人権宣言普及啓発業務
(2) ひゅーまんフェスタ関係業務
(3) 地域人権啓発推進関係アドバイザー業務
(4) 差別事象連絡・啓発検討会事務局補助業務
受託業者との間の仕様書において,「業務内容」として,次のような実施項目の記載があるのみである。
(5) 差別事象等防止啓発イベントの企画,開催
また,受託事業者からは,業務終了後,業務完了届という報告書が提出されている のみで,提出された業務完了届は行った業務内容の詳細がわかるものとなっていない。
(意見)
同一事業者との間で長年続けている委託業務であり,業務内容が定型化している部分があるためとも理解されるが,仕様書で委託業務の内容がほとんど特定されていない。しかし,委託業務の仕様の詳細が特定されていないままでは,委託内容の範囲が抽象的であるため,そもそも予定価格の積算が困難であること,受託者が受託した業務の履行を完了したのかの判断が客観的に確認できないこと,などの問題があり不適切である。
また,業務の実施内容の見直し・改善や,委託費の正確な積算のためには,実施内容の客観的な記録が必要であり,業務報告書の提出を受けることが必要である。
以上から,委託業務の発注時に業務内容を明確に特定すべきであるとともに,業務実施内容の詳細が記載された報告書の提出を受けるべきである。
(3)[意見 26]委託費の積算根拠が不明確であり,また,委託費の精算もされていない
(事実)
本業務の委託費の積算は,受託者から提出された,実施項目毎の概括的な金額を積 算した見積書のみを根拠としている。また,委託業者との委託契約上,業務完了時に 事業費を精算するとの約定となっているところ,委託業者から提出された精算書は, 実施項目ごとの事業費が概括的に記載されているに過ぎず,その細目が不明であると ともに,実際に支出した内容が確認できる証票も確認していない。特に,令和2年度 においては,コロナ禍の影響により,当初予定していた「映画上映会」が中止となり,市との協議により,これに代えて,啓発物品の作成に業務内容を変更しているが,そ の支出内容についても確認がされていない。
(意見)
特定の者と随意契約を行う以上,委託費については,実際に要している費用の実態 を把握して,その金額を踏まえた真に必要な金額を精緻に積算する必要がある。また,
委託費を概算払いとし,精算を予定している以上,精算の要否を検討するための支出実績の確認は必要であり,これをしていないことは不適切である。特に,令和2年度は業務内容が変動しているのであるから,精算の要否を確認する必要性は一層高かった。
なお,契約内容を確認すると,いかなる費目を精算対象とするのかの基準が明確にされていないことに起因し,精算の要否の判断が困難となっているように思われる。消耗品の購入や印刷に要する費用などは,実績を確認の上,精算の要否を確認すべきである。これに対し,人件費にかかるコスト部分は精算対象とする事になじまないと思われるが,そうである以上,業務量に対し人件費が過大でないかは不断に検討すべきことが求められる。
8 〔人権政策課〕八尾市人権啓発事業業務委託契約
(1)概要
➀基本情報
契約名 | 八尾市人権啓発事業業務委託契約 |
契約先名(所在地) | 八尾市人権啓発推進協議会(八尾市) |
業務概要 | (1) 加盟団体,各地域による研修会 (2) 地区人権研修 (3) 人権啓発推進委員養成研修 (4) 人権に関する映画上映会 (5) みんなのしあわせを築く八尾市民集会 (6) その他本市が必要と認める業務 |
現契約期間 | 令和2年4月1日~令和3年3月31日(単年) |
同一相手先への委託開始時期 | 少なくとも 18 年以上 |
予定価格(税込) | 2,280,000 円 |
契約金額(税込) | 2,280,000 円 |
令和2年度決算額 | 1,725,435 円 |
変更契約の有無 | 無 |
契約保証金 | 免除(八尾市財務規則第 122 条第3号) |
支払方法 | 概算払い |
当初の契約方法 | 随意契約(2号) |
履行の実績確認方法 | 契約書第5条及び仕様書に従い,業務完了後,精算書と業務完了報 告書の提出を受け,履行を確認している。 |
再委託の有無 | 無 |
個人情報取扱の有無 | 無(契約書第 10 条により,個人情報の保護について規定は定めてい る) |
➁委託の理由
委託の理由 | 人権啓発活動を推進するにあたり,市民が主体となって人権啓発を 進めることが重要であり,事業を委託することによって,市民との協働の促進や地域コミュニティの活性化が期待できるため。 |
委託と直営の併存の有無 | 有 |
併存の理由・状況 | 人権啓発活動を推進するにあたり,市民が主体となって人権啓発を進めることが重要であるとともに,本市としても人権啓発活動を推 進していく必要があるため。 |
③随意契約の概要
随意契約の理由 | 八尾市人権尊重の社会づくり条例に基づき,人権を尊重するまちづくりを進めており,本市第2次人権教育・啓発プランにおいても市民が主体となった人権啓発事業を支援していくことを位置付けている。八尾市人権啓発推進協議会は,八尾市における人権啓発の推進を図り,人権尊重のまちづくりに寄与することを目的に設置された団体で,市内の各種団体及び全地区の福祉委員会で組織されており,市民との協働の促進や地域コミュニティの活性化などにより,市民主体で人権啓発を進めている協議会であり,これらの活動を促 進していくため市事業を委託するものである。 |
根拠法令 | 2号 |
随意契約理由の公表 | 公表している |
予定価格の積算方法 | 事業者から徴取した見積書を参考の上,決定 |
相見積の有無 | 無 |
④事業の目的と効果指標
事業の目的 | あらゆる人権問題について正しい理解と認識を深め,啓発に努めるとともに,民主主義の根幹をなす基本的人権尊重の理念を市民一人ひとりの心の中に育て,「差別のない明るいまちづくり」を推進す る。 |
期待する効果 | 地域内で人権教育・啓発を推進する指導者の育成など,市民主体に よる人権啓発活動が展開されることが期待される。 |
効果指標を設定しているか | 設定していない |
⑤これまでの契約相手方の選定方法
年度 | 契約方法 | 随意契約理由 | 契約相手方 |
令和2年度 | 随意契約 | 2号 | 八尾市人権啓発推進協議会 |
令和元年度 | 随意契約 | 2号 | 八尾市人権啓発推進協議会 |
平成 30 年度 | 随意契約 | 2号 | 八尾市人権啓発推進協議会 |
平成 29 年度 | 随意契約 | 2号 | 八尾市人権啓発推進協議会 |
平成 28 年度 | 随意契約 | 2号 | 八尾市人権啓発推進協議会 |
確認できる範囲では平成 14 年度から現在の委託事業者に随意契約を行っている。 |
(2)[意見 27]公金外現金の管理方法ついて
(事実)
委託相手である八尾市人権啓発推進協議会は,市内の各種団体及び全地区の福祉委員会で組織される,権利能力なき社団である。所管課は,八尾市人権啓発推進協議会の預金通帳を保有し,金銭出納の管理など八尾市人権啓発推進協議会の事務局機能を担
っている。八尾市においては,このような,職員が公金外現金を取り扱う際の明文化されたルールはない。
(意見)
まず,所管課において,受託団体の事務について事務局機能を果たす状況について は,職員の職務専念義務違反とならないかという観点からの検討が必要である。この 点,八尾市人権啓発推進協議会は,八尾市における人権啓発の推進を図り,人権尊重 のまちづくりに寄与することを目的とし(規約第2条29),八尾市内の各種団体及び地 区福祉委員会並びに協力者をもって組織した(同第3条)団体である。また,八尾市人 権啓発推進協議会は,本業務により受託した事業のみを行い,本業務においては,委託 費は概算払いとし,講師謝金,事務費などすべての費目を対象に支出実績を把握し, 毎年度全面的に精算していることから,受託者に利益が残る仕組みとはなっていない。これらをふまえると,職員が八尾市人権啓発推進協議会の事務に関与することについ て,公益性が認められるとともに特定者に対する不当な便宜供与の側面も認められず,職務専念義務違反の問題はないと判断される。
八尾市人権啓発推進協議会に委託するという事業実施方法は,八尾市人権啓発推進協議会の構成員である各種団体が,受託事業者を構成する者として主体的に人権啓発に取り組む意識付けのための仕掛けであるように思われる。その際,八尾市人権啓発推進協議会の事務局機能の弱さを市が補ったという経緯と思われる。
このように,市が事務局機能を担うことに伴い,所管課職員が,八尾市人権啓発推進協議会に帰属する金銭(以下「公金外現金」という。)を取り扱っている(通帳を所管課が保管している。)。その具体的な管理方法に関しては,複数名の職員による相互監視の下で管理をしており,不明瞭な金銭出納があるなどの問題は見受けられなかった。もっとも,担当職員は,所管課において従前から引き継がれてきた方法によっているものであり,客観的にルール化された管理方法によっているものではない。
職員が公務として公金外現金を取り扱うものである以上,そのような場合について
29 「八尾市人権啓発推進協議会規約」
の,取り扱いルールを制定すべきである。他の自治体では公金外現金の取り扱いルールが制定されているところも多く存在する。
さらに,実体的な取り扱いルールの内容についてみれば,委託者側である市の事務担当職員と,受託者側で事務局機能を担う職員が同一であることは,事務について適切なチェックが働きがたい状況となる懸念があり好ましくない。所管課において,市の事務を担当する職員と,受託事業者で事務局機能を担当し金銭管理に携わる職員とは分離し,さらには,受託事業者自身として金銭管理に関するチェック機能を独自に持たせるようにするべきである。
(3)[意見 28]契約書の違約金条項の不備ついて
(事実)
委託契約書では,事業者側の問題による解約権を規定するだけでなく,市が直接事業を実施する場合など,市の都合により契約を中途解約することも想定した解約権を留保している(契約書第5条)。そして,そのような受託業者側の問題による解除の場合だけでなく,市の都合により契約を解除する場合であっても,業務委託料の10分の1の金額を受託者に支払わせるとの約定となっている。
(意見)
市側の政策判断の変更により契約を解除することができるとの条項は事業内容に鑑みると合理的であるが,ただ,市の都合により契約を解除する場合に,業務委託料の 10分の1の金額を受託者に支払わせるとの約定は,著しく不合理である。法的には,当該合意は,著しく不合理であり公序良俗に反し無効となると思われるが,不合理な条項は訂正すべきである。
9 〔市民課・コミュニティ政策推進課〕市民課及び庁内案内の窓口業務委託
(1)概要
➀基本情報
契約名 | 市民課及び庁内案内の窓口業務委託 |
契約先名(所在地) | ~令和2年9月 30 日 株式会社パソナ(大阪市) 令和2年 10 月1日~ パーソルテンプスタッフ株式会社(大阪市) |
業務概要 | (1) 証明書発行業務,印鑑登録業務,本人通知制度受付・登録業 |
務,閲覧申請受付業務,住民異動届出関係業務,マイナンバー関係業務,戸籍届出関係業務,住居番号付番業務等の市民課窓口業務及び各種報告書作成業務等(市は別途認証・確認行為を実施) (2) 庁内案内業務・フロア業務,し尿汲み取り受付業務 (3) その他関連業務 | |
現契約期間 | 令和2年 10 月1日~令和5年9月 30 日(債務負担行為) |
同一相手先への委託開始時期 | 令和2年 10 月から |
予定価格(税込)30 | 539,550,000 円 |
契約金額(税込)31 | 539,510,400 円 |
令和2年度決算額(税込)32 | 当初契約分 市民課所管(窓口委託業務部分) 130,779,000 円 コミュニティ政策推進課所管(フロア案内業務部分) 17,965,200 円 変更契約分 市民課所管(赤ちゃん応援給付金事業に伴う電話応対業務) 8,550,964 円 |
変更契約の有無 | 有 (パソナ) 変更日:令和2年8月 12 日変更額:1,290,964 円 変更理由:赤ちゃん応援給付金事業に伴う電話対応のため (パーソルテンプスタッフ)変更日:令和2年9月 30 日変更額:7,260,000 円 変更理由:赤ちゃん応援給付金事業に伴う電話対応のため |
契約保証金 | 免除(八尾市財務規則第 122 条第1号) |
支払方法 | 債務が確定したことを確認した上で支出(地方自治法第 232 条の4 第2項) |
当初の契約方法 | 随意契約(2号) ※公募型プロポーザル方式により受託予定者を決定したもの。 |
履行の実績確認方法 | 日々の認証・確認行為と売上手数料の確認をもって,履行を確認 |
再委託の有無 | 無 |
個人情報取扱の有無 | 有(契約書第 15 条において,個人情報保護条例等の遵守規定を設 け,仕様書において,受注者より遵守事項を記載した誓約書の提出を求めており,提出させている。) |
➁委託の理由
委託の理由 | 民間事業者のアイデアやノウハウ等を活用することにより,さらなる市民サービスの向上を図るとともに,繁閑に応じた人員配置が可能となる。また,窓口サービスの維持に向け,窓口スタッフを安定 的に確保・配置できる。 |
30 現契約(令和2年 10 月1日から令和5年9月 30 日まで)にかかる総額
31 同上
32 令和2年4月1日から同年9月 30 日のパソナとの契約及び同年 10 月1日から令和3年3月 31 日のパーソルテンプスタッフとの契約の合計
③随意契約の概要
随意契約の理由 | 市民課及び庁内案内の窓口業務は,業務内容が多様でかつ広範囲であることから,高いスキルとノウハウを持った民間事業者を選定し,効率的・効果的な窓口サービスの提供と,質の高いサービスを 行うため公募型プロポーザル方式で行った。 |
根拠法令 | 2号 |
随意契約理由の公表 | 公表している |
予定価格の積算方法 | 事業者から徴取した見積書を参考の上,決定。 |
相見積の有無 | 有(2者) |
相見積を取っているが一番低 い相手先としていない場合はその理由 | 事業者選定はプロポーザル方式で行っており,金額が一番低い事業者が必ずしも契約相手方になるとは限らない。 |
④事業の目的と効果指標
事業の目的 | 市民サービスの一層の向上と効率的な業務運営 |
期待する効果 | 繁忙期・閑散期などに応じた適切な人員配置の他,民間のノウハウを活用することによる,より質の高い行政サービスの提供。職員の マンパワーを職員でしかできない部分に集中させる。 |
効果指標を設定しているか | 設定していない(ただし,市としては,マイナンバーカードの普及率が大阪府下トップクラスを継続していること,本人通知制度登録者割合が大阪府下№1を継続していることを,実績と認識している とのことであった。) |
⑤これまでの契約相手方の選定方法
年度 | 契約方法 | 契約相手方 |
令和2年度 10 月 ~ | 随意契約(プロポーザル) (2者参加) (随意契約理由:2号) | パーソルテンプスタッフ株式会社 |
令和2年度~9 月 | 債務負担・複数年 | 株式会社パソナ |
令和元年度 | 債務負担・複数年 | 株式会社パソナ |
平成 30 年度 | 債務負担・複数年 | 株式会社パソナ |
平成29 年度10 月 ~ | 随意契約(プロポーザル) (2者参加) (随意契約理由:2号) | 株式会社パソナ |
平成 29 年度~9 月 | 債務負担・複数年 | 株式会社パソナ |
平成 28 年度 | 債務負担・複数年 | 株式会社パソナ |
平成 27 年度 | 債務負担・複数年 | 株式会社パソナ |
平成 26 年度(平 成 27 年1月)~ | 随意契約(プロポーザル) (7者参加) (随意契約理由:2号) | 株式会社パソナ |
(2)[意見 29]事業費削減向けた事業者選考方法ついて
(事実)
令和2年度途中で,3年間の委託契約期間終了に伴い,新たな委託契約の締結がなされ,その前後において,委託費は次のとおり変動している(次の表はそれぞれ契約
期間欄に対応する委託金額を比較したもの。)。
契約期間 | 契約相手 | 金額 | |
① | 令和2年4月1日~令和2年9月 30 日 | 前委託事業者 | 59,802,600 円 |
② | 令和2年 10 月1日~令和3年3月 31 日 | 現委託事業者 | 89,918,400 円 |
①と②とにおいて,委託業務内容の大きな変更はないものの,この間の賃金上昇の流れや,既存業務において取り扱う業務量の増加(「電子証明書」の更新手続の増加やマイナンバーカード申請支援への対応等)の影響などもあり,同じ委託期間(6か月間)に対し,委託金額は約1.5倍になっている。
また,令和2年に行われた,受託事業者のプロポーザルによる選定手続では,提案金額については採点項目に入っているが,その全体に占める割合は低い(評価点1,300点のうち価格点は100点。そのことは募集要項で公開されている。)。応募者2者からの提案価格は,いずれも提案上限額に近い金額に張り付いている。
(意見)
プロポーザル方式により,提案内容と価格を含む総合的な提案の優劣により受託事業者を決めてきたところ,令和元年度におこなわれた令和2年10月1日以降の委託事業者を選定するプロポーザル手続での評価基準では,価格点の割合が1,300点中100点と低く,その評価基準は予め公表されていた。この評価基準のもとでは,応募者の立場からは,低い価格の提案をしても評価において有利になる余地が低く,予定価格の上限額に近い金額で提案することが合理的であった(価格競争をするメリットが少ない)ように思われる。
「八尾市公募型プロポーザル方式の実施に関するガイドライン」(平成31年3月)によれば,直営業務の外部委託化において,業務仕様を定めずに,当該業務が満たすべきサービス水準や成果・現状の処理手順等を示し,民間事業者の自由な発想による委託化の提案を募集し外部委託化の検討実施を行う制度として,提案型公共サービス実施制度を構築しているとされ,本業務はこの提案型公共サービス実施制度によっている。これまでのプロポーザルの過程では,市が業務内容や業務量,処理手順等を示したうえで,提案を募集し,その提案内容の評価を行ってきたと思われるが,提案事
業者から提案された業務処理方法が,一定の水準を満たすものであれば,提案内容の些細な差違が,実際の業務水準に大きな相違を生じさせるとは言えず,審査の技術的限界もあって審査時にそのことが明確に評価できるとは限らない。
現在,本業務では,人件費の上昇という社会情勢も背景にあると考えられるものの,委託費の大幅な増大に直面している。人件費単価の上昇に伴う委託費の増大はそれ自 体避けられないことであるにせよ,委託費の増大抑制をより重視して,受託事業者を 選定する工夫をすべきである。そのために,次期の選定手続の際には,提案者間での 価格競争が働くよう,価格点の評価の割合を増やすべきである。
(3)[意見 30]業務量の実態把握努めるべきこと
(事実)
八尾市では,市民課窓口業務は,平成26年まで直営で行っていた。そのため,直営で運営していた時代の職員数のデータはある(ただし平成26年まで)。他方,平成27年1月から委託を開始した後は,委託業務の実施方法は,仕様の範囲内において受託事業者の裁量にゆだねる以上,委託業務が遂行されている成果面で確認すれば足りるとの考えから,所管課は,受託事業に従事している日々の従事者の数を把握していない。
令和2年10月以降の委託費の予算を確保する過程では,複数の事業者から見積もり を取得している。その際,業務水準を保つための参考として,一定の「業務遂行人数」を示しているが,その人数は平成30年度における在籍者の平均に,業務の変動を見据 えた人員を加味するという考え方によっていた。この際に,受託業者から提出された 見積書の見積もり額は,A社B社は近似しているが,C社は大きく異なる金額となっ ていた(3年間の見積額につき,最大と最小とで3億5,000万円程度の開きがあっ た。)。
また,所管課において,窓口業務の委託について,直営とのコスト比較を試みた結果,年間2,700万円程度,直営の方がコストが高いという試算をしている。
(意見)
民間事業者に委託する以上,業務遂行の方法は委託事業者の創意工夫・裁量にゆだ
ねられるとしても,発注者である市としてその業務がどのように行われているのかの 把握や,委託費額が適切かどうかについて,市自身で検証することも必要である。八 尾市でもかつては直営で行っていた業務であり,委託開始後まだ10年も経過しておら ず,直営時代に獲得していた業務運営上のノウハウはまだ失われてはいないと思われ る。しかし,民間委託を開始してから,マイナンバーに関わる業務が新たに加わり, また,料金収納のシステムが変更になるなど,業務の遂行方法は直営時代から変動も しており,市が直営時代に有していたノウハウは,徐々に陳腐化しているはずである。
また,委託費額の検証の際,過年度の実績を一つの資料とすることや相見積もりを取得すること自体は合理的であるが,他方でそれだけでは委託費の適切性の検証としては十分とは言えないと考えられる。
本業務は,債務負担行為に基づく複数年契約であることから,毎年実施することま では不要と思われるが,事業者選定を行う準備段階において,発注者である市として,改めて業務のボリュームも含めどのように行われているのかの把握に努めるべきであ る。このことが,事業者に示す業務内容等の精度の高さにつながり,その結果,応募 事業者の価格競争を促すことにもつながってくると考えられ,今後の窓口業務のあり 方検討の際の基礎データとしても活用し得る。
(4)[意見 31]仕様ついて(サービス要求水準と指標の設定ついて)
(事実)
業務仕様において,複数のサービス要求水準を定め,受託事業者に対し要求水準の達成・維持向上を求めている。その例として,①「標準処理時間」に関し「市職員と同等以内の処理」であることを測定し達成することを求め,②「業務改善提案回数」に関し「年12回以上」であることを求めている。
(意見)
サービス品質の確保を目的として,指標を設定し,これを測定することは重要なことである。本件委託の目的は,「民間事業者のアイデアやノウハウ等を活用することにより,さらなる市民サービスの向上を図るとともに,繁閑に応じた人員配置が可能となる。また,窓口サービスの維持に向け,窓口スタッフを安定的に確保・配置でき
る」ことであった。そのため,指標の設定は,上記目的に向け,より的確に業務の成果を測定し得るものである必要があり,実情に即して見直すべきものは見直すべきである。
上記①の指標については,市民目線からは,本来,受付から目的達成(例えば,印 鑑登録証明書の交付申請から交付を受けるまで)の時間が重要であり,受託業者の入 力時間と市職員実施時の入力時間とを比べていずれが早いかは余り問題ではなく,指 標として適当であるかは疑義がある。もっとも,処理時間を指標として設定するには,合理的なコストの範囲内で測定可能であることが大前提であるし,受託事業者の業務 を的確に測定しない指標で受託業務の評価を行うことは不当である。
また,上記②の指標については,「業務改善提案回数」に関し「年12回以上」を求めるものであるが,民間委託開始当初であればともかく,すでに民間委託開始から6年が経過した現状においては,やや過大な要求になっているようにも思われる。現に,近年の受託事業者からの提案内容を確認したところ,形式的な提案が増えている傾向が見受けられる。
これらを踏まえ,一つの試案として,委託により実施される部分と市職員により実施される部分とからなる窓口業務全体の成果指標として,市民が番号発券ボタンを押してから交付までの時間は継続的に測定し(ただし,そこには受託業者の責任領域ではない,市職員による認証時間も含まれることから,受託業務の達成度を評価するためには用いない。),委託業務におけるサービス要求水準としての年間改善提案数は,現在の年12回から減少させたうえ,市職員の事務部分も提案対象に含め,受付から交付までの時間を短縮するための提案を,年2回(回数は例示)行うことを求めるということが考えられる。これらも含め,改めて市民サービス向上という目的に向け,業務の成果を測定し得る的確な指標を設定することが求められる。
(5)[意見 32]納入成果物関する著作権処理ついて
(事実)
受託事業者に対し,受託業務に関する納入成果物として,「業務マニュアル」「業務引継ぎ書」などを提出させることとしている。契約書では,「委託契約に基づき著
作物が作成される場合,当該著作物に関するすべての著作権(著作権法第27条及び第 28条に規定する権利を含む)は受注者に属するものとする。ただし,当該著作物に関して,発注者は修正・加工の上,使用することができる」との定めがある。
(意見)
契約書では,提出させた「著作物に関するすべての著作権(著作権法第27条及び第 28条に規定する権利を含む)は受注者に属する」ことが原則とされている。しかし,本業務の過程で作成される著作物は,市の業務のために作成されるものであり,市に著作権を帰属させるのが,原則であるべきである。例えば,「業務引継書」は,次の事業者に業務内容を引き継がせるためのものであり,その内容については,八尾市が自由に利用し,処分できるものとしなければ,目的を達成しない。また,実際の業務マニュアルの内容をみても,その基本的部分は市が提供し,また市と受託事業者との間で協議して定めた情報により構成されており,市の有したノウハウが,受託事業者に帰属するかのような約定には違和感がある。
この点,「修正・加工の上,使用することができる」との定めは,二次的著作物の創作・利用に関する著作権法第27条及び第28条の権利を市に移転させる趣旨であると読み取れるが,その射程は不明確である。
第○条 業務の成果品に関する著作権(著作権法(昭和 45 年法律第 48 号)第 27 条及び第 28 条の権利を含む。)は,発注者に属するものとする。ただし,成果品にこの契約の前から受注者が著作権を有するものは,受注者に留保されるものとする。
2 発注者は,受注者に了解を得ることなく,成果品を著作権法第47 条の2の規定に基づき複製又は翻案することができる。この場合において,発注者は,公益上の目的に限り,これを第三者に利用させることができる。
3 発注者は,著作権法第20 条第2項第3号又は第4号の規定に該当しない場合であっても,第1項の規定による著作権の帰属を受けた著作物を必要に応じて改変することができるものとする。
4 受注者は,この契約により作成された著作物に関する著作者人格権を行使しない。ただし,発注者が承諾をした場合は,この限りでない。
もちろん事業者のノウハウも存在する部分でもあり,その競争上の地位には配慮しなければならないが,市の業務に関し市に提出される著作物である以上,その著作権は市に帰属させるという取り扱いが原則であるべきである。この点,契約検査課による「契約事務に関する研修会」で示された条項例を参考に,次のような規定が考えられる。
(6)[意見 33]赤ちゃん応援給付金事業関する変更契約
(事実)
八尾市では,新型コロナウィルス感染症問題の影響が長引く中,特別定額給付金の基準日(令和2年4月27日)を過ぎて出生した子の子育てを独自に支援するため,令和2年4月28日から令和3年3月31日までの間に生まれた子1人当たりに10万円を支給するという支援事業(赤ちゃん応援給付金事業)を実施した。
その際,受託業者に,窓口業務委託契約の一部変更(業務内容の拡張)によって,
「赤ちゃん応援給付金事業コールセンター」(電話により,給付要件に該当するか,書類の書き方の問い合わせに応じるというもの)の業務を,追加発注している。変更契約によったことの理由として,内容の性質上,窓口と相互の連携・意思疎通が必要であり,同一の事業者で実施することが合理的であるため変更契約によったとの説明である。
赤ちゃん応援給付金事業コールセンターに要した費用と実績は,以下のとおりであ
る。
(ア)業務内容
問い合わせ回線 2回線を開設する
(イ)変更契約額
区 分 | 期 間 | 金 額 |
前委託者変更契約分 | 8月 13 日から9月 30 日まで (1.6 か月) | 1,290,964 円 |
現委託者変更契約分 | 10 月1日から3月 31 日まで (6か月) | 7,260,000 円 |
(ウ)問い合わせ実績
8月 | 9月 | 10 月 | 11 月 | 12 月 | 1月 | 2月 | 3月 |
29 件 | 26 件 | 16 件 | 18 件 | 12 件 | 11 件 | 13 件 | 24 件 |
(意見)
・変更契約によって対応したことについて
赤ちゃん応援給付金事業は,新型コロナウィルス感染症の拡大のなか,乳児を養育する市民に対する支援として行われたもので,コールセンターを設置するという判断自体は政策判断としてありうることである。しかし,業務実施の緊急性,業務の類似
性も加味して,窓口業務と同一の事業者で実施することとし,既存契約の変更契約という手法が用いられているが,問題がある。
すなわち,市民課の窓口対応業務とコールセンター業務とは,対応者も重ならず,業務遂行場所も異なり,必ずしも窓口業務と同一の事業者によって行わなければならないとまでは言えず,合理的であるか疑問がある。単独の業務として複数の事業者から相見積もりを取った上,緊急性があるのであれば,緊急随契(5号)により委託するべきであった。
・費用対効果の問題
経験のない緊急の状況の中,必要性があると判断してコールセンターを設置したものの,結果論ではあるが,149件の問い合わせ対応のために,8,550,964円を使っており,問い合わせ1件あたり57,389円を支出したことになる。掛けたコストに対し問い合わせ件数が小さく,著しく費用対効果の低い業務となってしまった。今回の結果を真摯に検証して,今後の事務事業に反映されたい。
(会計年度任用職員を用いる方法の可能性)
まず,内容面で専門性が高くなく,人材募集期間が確保できたのであれば,会計年度任用職員(アルバイト職員)の雇用によっても十分対応出来た業務と思われる。
(派遣契約を利用する可能性)
また,契約方法について,より柔軟な対応が可能なやり方を工夫する余地があった と思われる。例えば,この業務では問い合わせ回線2回線を開設するものであるから,人員2名を貼り付けるということになるが,委託費から割り戻せば,1名3,000円/時 間という単価で委託していることになる。これにつき,一般に派遣社員の単価は, 2,000円~2,300円/時間程度であることから,派遣社員を受ける方が安価に対応出来 た可能性がある。
(委託契約を用いる場合の,契約期間の設定について)
また,業務開始時には業務量の見通しが明らかでなかったのであれば,契約期間を短めに定めておき,契約更新時に業務量の実態に応じ,必要な範囲で更新することも考えられる。コールセンター業務の業務量の見通しが不明な中で,半年間という期間,拘
束された形で契約した点については,工夫の余地があった。
特に,令和2年8月13日に前委託者に対する委託の形で業務を開始し,同社に対する委託は9月30日で終了しているところ,その間に,問い合わせ件数が少ないことは把握できたはずである。そうであれば,10月1日からの現委託者への委託契約前に,契約内容の見直しの余地があった可能性がある。これをせずに,漫然と同じ業務を半年間発注するのではなく,工夫の余地があった。
10 〔地域共生推進課〕八尾市福祉生活相談支援事業業務委託契約
(1)概要
➀基本情報
契約名 | 八尾市福祉生活相談支援事業業務委託契約 |
契約先名(所在地) | 一般財団法人八尾市人権協会(八尾市) |
業務概要 | (1) 相談の受付と支援 来所された(必要に応じ訪問した)相談者からの相談に応じ,相談者の課題を的確に把握し,適切な助言・指導を行うとともに,適宜課題にあった支援を行う。 (2) 他機関との連携 他の関係機関へのつなぎ等が必要かの判断を行うこと。必要に応じケース会議を招集または出席し,他機関との連携を行う。 (3) 相談記録の作成 面接や訪問等により相談活動を行った場合は,相談の内容や助言指導の内容等を記録し適宜保管するものとする。 (4) 啓発活動 福祉生活相談支援員の活動の啓発については市と協議の上,必要に応じて行うこと。 (5) 関係会議・研修会への出席 市が指定する関係会議や研修会等へ出席する。 (6) 事業実施状況の報告 事業履行状況を要綱施行細則に基づき市に報告する。 |
現契約期間 | 令和2年4月1日~令和3年3月 31 日(単年) |
同一相手先への委託開始時期 | 平成 30 年4月 |
予定価格(税込) | ― |
契約金額(税込) | 34,386,000 円 |
令和2年度決算額(税込) | 34,386,000 円 |
変更契約の有無 | 無 |
契約保証金 | 免除(八尾市財務規則第 122 条第3号) |
支払方法 | 概算払い |
当初の契約方法 | 随意契約(2号) |
履行の実績確認方法 | 契約書第7条及び仕様書に従い,毎年の業務の履行を確認してい る。 |
再委託先の有無 | 無 |
個人情報取扱の有無 | 有(契約書第 16 条に,八尾市個人情報保護条例(平成10 年八尾市条 例第 15 号)第 11 条第3項の規定及び「個人情報保護取扱特記事項」に掲げる事項を遵守する旨を明記している。) |
➁委託の理由
委託の理由 | 当該業務は寄り添い型の相談支援について,専門スキルをもって,市域全域を網羅し,地域をフィールドとして展開することが必要であり,それらを持ちうる事業者へ委託することが効果的であるた め。 |
③随意契約の概要
随意契約の理由 | 当該事業については専門的機能を有するとともに,市域に精通している団体でなければ実施が困難であり,当該団体は,多年にわたり,本市就労・生活相談事業を受託しており,その実績も良好であ り,当該事業の円滑な業務の遂行が見込まれるため。 |
根拠法令 | 2号 |
随意契約理由の公表 | 公表している |
予定価格の積算方法 | 要綱施行細則に定めがあるため,それに基づき積算をしている。 |
相見積の有無 | 無 |
④事業の目的と効果指標
事業の目的 | 制度の狭間や複数の福祉的課題を抱えるなど,既存の福祉サービスだけでは対応困難な事案の解決に取り組み,地域における見守り・ 発見・つなぎ機能の強化を図ることを目的に実施する。 |
期待する効果 | オーダーメイドの寄り添い型相談支援により,個人や世帯の抱える 困りごとの解決等が可能となる。 |
効果指標を設定しているか | 設定している |
効果指標 | 実相談者数 |
効果指標の過去5年の推移 | R2 245 人 R1 233 人 H30 191 人33 H29 ― H28 ― |
⑤これまでの契約相手方の選定方法
年度 | 契約方法 | 随意契約理由 | 契約相手方 |
令和2年度 | 随意契約 | 2号 | 一般社団法人八尾市人権協会 |
令和元年度 | 随意契約 | 2号 | 一般社団法人八尾市人権協会 |
平成 30 年度 | 随意契約 | 2号 | 一般社団法人八尾市人権協会 |
(2)「地域就労支援コーディネーター事業」との関係
後述の第5・21の「〔労働支援課〕地域就労支援コーディネーター業務委託契約」の記載で,両事業の関係性や枠組みについての意見を記載している。
(3)[意見 34]事業計画書・事業報告書の様式・記載方法の見直し
(事実)
33 事業開始が平成 30 年度からである。