L. 120-1 条 Ⅰ.― 不公正取引方法は、禁止される。取引方法は、それが職業上の注意の要請に反するとき、かつ、それが、物または役務に関して、標準的に知識 を有しており合理的に注意深く慎重な消費者の経済的態度を実質的に歪めまたは歪める可能性を有するとき、不公正である。
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比較法 条文一覧
1 【契約締結過程の規律】①広告規制
【フランス消費法典】
第 1 編 消費者への情報提供および契約の成立第 2 章 取引方法
前加節 不公正取引方法
L. 120-1 条 Ⅰ.― 不公正取引方法は、禁止される。取引方法は、それが職業上の注意の要請に反するとき、かつ、それが、物または役務に関して、標準的に知識を有しており合理的に注意深く慎重な消費者の経済的態度を実質的に歪めまたは歪める可能性を有するとき、不公正である。
精神的もしくは身体的な弱さ、年齢、もしくは信じやすさゆえに脆弱である消費者の特別のカテゴリーまたは消費者のグループを対象とする取引方法の不公正性は、当該カテゴリーまたはグループの平均的な事理弁識能力に照らして評価される。
Ⅱ.― L.121-1 条および L.121-1-1 条に定める誤認惹起取引方法ならびに L.122-11 条および L.122-11-1 条に定める攻撃的取引方法は、とりわけ、不公正取引方法を構成する。
第 1 節 規制対象となる取引方法
第 1 款 誤認惹起取引方法および広告第 1 目 誤認惹起取引方法※1
L.121-1 条Ⅰ.― 取引方法は、それが以下の状況のうちの一つにおいて犯された場合に、誤認惹起的である:
1° 取引方法が、他の物または役務、競争者の商標、商号、その他の識別記号との混同を生じさせるとき;
2° 取引方法が、虚偽のもしくは誤解を生じさせる性質を有する言明、記載、または表示によるものであり、かつ、それらが以下に掲げる要素の一または複数を対象とするとき: a)物もしくは役務の存在、入手・利用可能性、または性質;
b)物または役務の本質的特徴、すなわち、実質的品質、構成、付属物、原産地、数量、製造の方法および日付、使用条件および使用適性、属性および使用により期待されうる結果、ならびに、物または役務に対して行われた試験および検査の結果ならびに主な特徴;
c)価格または価格の計算方法、価格の販売促進性、および、物または役務の販売・支払・引渡に関する条件;
d)アフター・セールス・サービス、アフター・セールス・サービスの必要性、部品の必要性、交換の必要性、修理の必要性; e)広告主の約務の範囲、売買もしくは役務提供の性質、手順、または動機; f)事業者の身元、資格、適性、および権利;
g)クレームの処理および消費者の権利;
3° 取引方法を行わせた者の身元がはっきりしないとき。
Ⅱ.― 取引方法は、用いられた通信手段に固有の制限およびそれを取り囲む諸事情を考慮した上で、それが、実質的な情報を提供せず、隠蔽し、もしくは、理解不可能な、曖昧な、もしくは時期を外した仕方で提供するとき、または、それが、真の取引上の意図を示さず、当該状況からその意図を知ることもできないときも同様に、誤認惹起的である。
購入への誘引を構成し、消費者に宛てられ、申し入れられた物または役務の価格および特徴を記載するすべての取引上の通信において、以下の情報は、実質的と見なされる:
1° 物または役務の主な特徴;
2° 事業者の宛先および身元;
3° すべての税を含めた価格および消費者が負担する配達料金、または、事前に確定できない場合には、それらの計算方法;
4° 当該事業活動の領域において通常用いられるものとは異なる方法である限りにおいて、支払方法、配達方法、履行方法、および消費者によるクレームの処理方法;
5° 法律に定めがある場合には、撤回権の存在。
Ⅲ.― 本条Ⅰは、事業者を対象とする取引方法にも適用される。
L.121-1-1 条 [以下の事項]を目的とする取引行為は、L.121-1 条の意味において誤認惹起的とみなされる:
1° 事業者が、そうでないにもかかわらず、自主行動基準の署名者であると自称すること;
2° 必要な許可を得ていないにもかかわらず、証明書、品質保証票、その他これに類するものを掲示すること;
3° 自主行動基準が、そうでないにもかかわらず、公的または民間の機関の承認を受けたと主張すること;
4° 事業者(取引方法を介する場合を含む)または生産物もしくは役務が、そうでないにもかかわらず、公的もしくは民間の機関により認可され、承認され、もしくは許可されたと主張すること、または、受けた認可、承認、もしくは許可の条件を遵守しないこと;
5° 生産物または役務、生産物または役務について行われた広告の規模、および申し入れられた価格を考慮して合理的であるはずの表示価格、期間、および数量で、当該生産物もしくは役務または同等の生産物もしくは役務を事業者自らが供給することも他の事業者に供給させることもできないと考える、事業者側の、もっともらしい理由を示すことなく、その表示価格で当該生産物の購入または役務の供給を申し入れること;
6° 表示価格で生産物の購入または役務の供給を申し入れること、かつ、別の生産物もしくは役務の販売促進を目的として、
a)広告の対象である商品を消費者に見せることを拒むこと; b)または、これらの生産物もしくは役務に関する注文を受けることを拒むこと、もしくは、それらを合理的な期間内に引き渡すこともしくは供給することを拒むこと; c)または、広告商品の欠陥ある見本を見せること;
7° 即座に決断させ、事情を知った上での選択を行うための機会または十分な期間を消費者から奪うために、非常に限られた期間しか生産物もしくは役務を利用できない、または、非常に限られた期間に特別の条件の下でしか利用できないと偽って述べること;
8° 事業者が、営業所を有するヨーロッパ連合加盟国の公式言語ではない言語で取引前に通信した消費者に対してアフター・セールス・サービスを供給することを約束すること、かつ、当該取引において消費者が約束する前に消費者に明瞭に説明することなく、別の言語のみを用いてこのサービスを実施すること;
9° 生産物の販売もしくは役務の供給が、そうでないにもかかわらず、適法であると述べること、または、そのような印象を与えること;
10° 法律により消費者に与えられる権利を、事業者によりなされる申入れに固有の特徴として示すこと;
11° 事業者自身が販売促進に資金提供しているにもかかわらず、そのことをコンテンツのなかで明瞭に示さずに、または、消費者が明瞭に確認できる映像もしくは音声を用いて、生産物または役務の販売促進を行うためにマスメディアにおける編集コンテンツを利用すること;
12° 消費者が当該生産物または役務を購入しない場合に、消費者が本人の安全または家族の安全の面でさらされるリスクの性質および規模について、実質的に不正確な主張を述べること;
13° 明瞭に特定される他の供給者のそれと類似する生産物または役務を、当該生産物または役務が、そうでないにもかかわらず、この供給者に由来すると消費者に故意に思い込ませる仕方で販売促進すること;
14° 事業者が、そうでないにもかかわらず、活動をやめようとしている、または、他の場所で活動を行おうとしていると述べること;
15° 生産物または役務について、それが賭事に勝つ機会を増大させると主張すること;
16° 生産物または役務提供が、疾病、機能障害、または奇形を治す性質を有すると偽って主張すること;
17° 生産物または役務を市場の通常の条件より不利な条件で消費者に取得させる目的で、市場の条件について、または、生産物もしくは役務を入手する可能性について、実質的に不正確な情報を伝えること;
18° 記述された賞品または合理的な同等品が与えられないにもかかわらず、競争[による賞金提供]が企画されていること、または、賞品が与えられるかもしれないことを取引方法の枠内において主張すること;
19° 取引方法への応答および商品の入手・配達行為に関する免れ得ない費用を除く何らかの費用を消費者が支払わなければならない場合に、生産物または役務を「無償 gratuit」「無料 à titre gracieux」
「費用負担なし sans frais」その他類似の表現で説明すること;
20° そうでないにもかかわらず、販売されている生産物もしくは役務をすでに注文してしまったとの印象を消費者に与える請求書または支払いを求める類似の文書を広告媒体に含めること;
21° 事業者が、その商業、工業、手工業、もしくは専門職活動の枠内に入る目的で行動しないと偽って主張すること、もしくは、そのような印象を与えること、または、消費者であると偽って自称すること;
22° 生産物または役務が販売された国とは別のヨーロッパ連合加盟国において、当該生産物または役務に関するアフター・セールス・サービスが利用できるとの印象を偽って生じさせること。
本条は、事業者を対象とする取引行為に適用される。
L.121-3 条 誤認惹起取引方法の差止めは、あるいは検察の請求に基づき、あるいは[裁判官の]職権により、予審判事または受訴裁判所が命ずる。こうして講じられた措置は、あらゆる不服申立てにかかわらず、執行力を有する。差止めの解除は、差止めを命じた裁判所または事件を受理した裁判所が与える。この措置は、免訴または無罪が決定された場合には、効力を有することをやめる。
解除請求について下される決定は、決定が予審判事により言い渡されたか受訴裁判所により言い渡されたかに応じて、[控訴院]予審部または控訴院における不服申立ての対象となりうる。
予審部または控訴院は、書類の受理から起算して 10 日の期間内に判決を下す。
L.121-4 条 有罪判決が下された場合には、裁判所は、判決の公表を命ずる。裁判所は、加えて、受刑者の費用で、一または複数の訂正広告の伝播を命ずることができる。判決は、訂正広告の文言およびその伝播手段を定め、受刑者にそれを行わせるための期間を与える。履行されない場合には、L.121-7条に定める刑罰にかかわらず、検察の発意により、受刑者の費用で、この伝播が行われる。
L.121-5 条 他者に誤認惹起取引方法を行わせた者は、犯された犯罪について、主犯として、責任を負う。
本軽罪は、取引方法が行われた時、または、フランスにおいて効果を生じた時に成立する。 L.121-6 条 誤認惹起取引方法は、L.213-1 条 1 項に定める刑で罰せられる。
罰金は、軽罪を構成する広告または取引方法の費用の 50%を上限とする。
法人の刑事責任について定める L.213-6 条の諸規定は、これらの犯罪に適用される。
L.121-7 条 L.121-6 条を適用するために、裁判所は、当事者に対しても広告主に対しても、あらゆる有用な文書の提出を求めることができる。これを拒む場合には、裁判所は、これらの文書の押収またはあらゆる適切な証拠調べを命ずることができる。裁判所は、加えて、これらの文書の提出のために裁判所が定めた日から起算して1 日の遅滞につき4500 ユーロを上限とするアストラントを言い渡すことができる。
L.121-6 条 1 項に定める刑罰は、L.121-2 条 1 項に定める条件において求められた証拠または伝播された広告の提出を拒む場合、および取引方法の差止めを命ずる決定を遵守しない場合または猶予期間内に訂正広告を履行しない場合にも適用される。
第2目 広告※2
L.121-8 条 黙示的であれ明示的であれ、競争者または競争者により提供される物もしくは役務を特定することによって物または役務を比較するあらゆる広告は、[以下の場合]でなければ、適法でない:
1° 広告が、誤認惹起的でない、または、誤解を生じさせる性質を有しない場合;
2° 広告が、同一の要求に応えるもしくは同一の目的を有する物または役務を対象とする場合;
3° 広告が、これらの物または役務の本質的で、関連性を有し、検証可能で、代表的な一または複数の特徴(価格もそのなかに含まれうる)を客観的に比較する場合。
特別提供にかかわるあらゆる比較広告は、提供される物または役務を入手・利用できる日を、場合により、在庫品を限度とするという提供の制限および適用される特有の条件を、明瞭に記載しなければならない。
L.121-9 条 比較広告は、[以下のこと]をすることができない:
1° 競争者の商標、商号、その他の識別記号、または、競合産品の原産地呼称および地理的保護表示
に結びついた周知性から不正に利益を引き出すこと;
2° 競争者の商標、商号、その他の識別記号、物、役務、活動、もしくは状況の信用失墜または中傷をもたらすこと;
3° 広告主と競争者の混同、または、広告主の商標、商号、その他の識別記号、物、もしくは役務と競争者のそれらとのあいだの混同を生じさせること;
4° 保護された商標もしくは商号を使用する物もしくは役務の模造または複製として、物または役務を表示すること。
L.121-10 条 原産地呼称または地理的保護表示を使用する生産物については、比較は、それぞれ同一の原産地呼称または同一の地理的保護表示を使用する生産物のあいだでなければ許されない。
L.121-11 条 包装、請求書、乗車券、決済手段、見せ物または公共施設への入場券に、L.121-8 条および L.121-9 条に定めるような比較広告を掲載することは、禁止される。
L.121-12 条 L.121-2 条の規定を妨げることなく、他人に比較広告を伝播させた広告主は、当該広告に含まれる言明、記載、および表示の実質的な正確さを短期間内に証明することができなければならない。
…中略…
L.121-15 条 加えて、[以下の事項]を対象とするあらゆる広告は、禁止される:
1° あるいは商業および手工業の発展ならびに向上に関する 1996 年 7 月 5 日の法律 603 号の 26 条、 27 条、28 条、29 条、および 30 条、あるいは商業および手工業の方向付けに関する 1973 年 12 月 27日の法律 1193 号の 29 条および 32 条に基づく許可に服する、かつては許可の対象でなかった取引行為;
2° それを行うためには労働法典第 1 編第 3 章第 2 節に基づき許可を申請する従業員の雇用を必要とし、かつ、この許可の事前取得をせずに行われる取引行為、または、モーゼル県、バーラン県、オーラン県において適用される職業法典 41 a 条および b 条、105a 条ないし 105i 条に違反する取引行為;
3°労働法典L.3132-29 条の規定に違反して行われ、または行われたはずの取引行為;
4° 商法典 L.740-2 条に定める申請に服する、かつては申請の対象でなかった商業イベント。
前数項により禁止される広告を実施しまたは実施させるあらゆる広告主は、37500 ユーロの罰金で罰せられる。罰金の上限額は、違法な広告にあてられた費用総額の 50 パーセントとする。
裁判所は、前数項に定める犯罪につき有罪と認められる者の費用で、禁止される広告の差止めを命ずることができる。
L.121-15-1 条 電子メールにより送信される広告、とりわけ値引き、景品またはプレゼントのような販売促進のための提供や販売促進のための競争または賭事は、その受け手がそれを受領するや否や、または、それが技術的に不可能な場合には、メッセージの本文において、明瞭にかつ不明確でないように確認できなければならない。
L.121-15-2 条 L.121-1 条に定める誤認惹起取引方法を罰する規定を妨げることなく、販売促進のための提供を受けることの可否および販売促進のための競争または賭事に参加することの可否が服する条件は、これらの提供、競争、または賭事が電子的手段により申し入れられるときは、明瞭に説明され、かつ、容易に理解できるものでなければならない。
L.121-15-3 条 L.121-15-1 条および L.121-15-2 条は、同様に、事業者に対してなされる広告、提供、
競争、または賭事に適用される。
L.121-15-1 条および L.121-15-2 条の規定に対する違反は、L.121-6 条に定める刑罰が科される。違反は、L.121-2 条に定める条件において調査され、検証される。L.121-3 条およびL.121-4 条も、同様に、適用される。
第5款 攻撃的取引方法
L.122-11-1 条 [以下のこと]を目的とする取引行為は、L.122-11 条の意味において攻撃的と見なされる:
1°~4°(省略)
5° 広告のなかで、広告の対象である生産物を購入するよう、または、それを彼らに買い与えるように両親その他の大人を説得するよう、子どもに直接的に推奨すること;
6°~8°(省略)
L.122-12 条 攻撃的取引方法を行う行為は、2 年を上限とする拘禁刑および 150000 ユーロを上限とする罰金で罰せられる。
L.122-13 条 L.122-12 条に定める軽罪を犯した自然人は、最長で 5 年間、直接的にまたは間接的に取引活動を行うことの禁止が科される。
L.122-14 条 L.122-12 条に定める軽罪を犯した法人は、刑法典 131-39 条に掲げる刑罰が科される。 L.122-15 条 攻撃的取引方法により契約締結に至ったとき、当該契約は、無効である。
※1 誤認惹起広告を含む広い概念
※2 比較広告
【不正競争防止法(UWG)】
UWG1 条(本法の目的)
本法は、競争事業者、消費者及びその他市場参加者を不公正な取引行為から保護することに資するものである。本法はまた、健全な競争についての公共の利益をも保護する。
UWG2 条(定義)
(1) 本法では、次の定義を用いる。
1. 「取引行為」とは、自己又はその他事業者のためになす、商品若しくは役務の販売若しくは購入の促進若しくは商品若しくは役務に関する契約の締結若しくは履行と客観的に関連のある取引の締結の前の、締結の際の、又は締結の後のすべての行為をいう。物については不動産も含み、役務については権利及び義務も含む。
2. 「市場参加者」とは、競争事業者及び消費者を除いて、商品若しくは役務の供給者又は需要者として行動するすべての者をいう。
3. 「競争事業者」とは、商品若しくは役務の供給者又は需要者として、一つ若しくは複数の事業者と具体的な競争関係に立つすべての事業者をいう。
4. 「通知」とは、公に開放された電子通信サービスを通じて、一定数の当事者間において交換され、又は転送されるすべての情報をいう。これについては、情報を、これを取得する本人確認可能な関係者又は利用者と関連づけることができない限りで、放送サービスの一部として電子通信ネットワーク
を通じて公衆に転送される情報を含まない。
5. 「行為準則」とは、経済分野又は個々の取引行為について、事業者が拘束されることを引き受けた行為態様に関する合意又は規定であり、そのような行為義務が法律上又は行政上の規定により生じるものではないものをいう。
6. 「事業者」とは、営業活動、手工業活動又は職業活動の範囲内で取引行為を行うすべての自然人又は法人、及びその者の名において、又はその者の委託を受けて行動するすべての者をいう。
7. 「専門的な注意」とは、事業者が、その行動範囲において、市場慣行を考慮して信義誠実に基づいて消費者に対して遵守することが正当であると認めることができる専門的知識及び注意の基準をいう。
(2) 消費者概念については、民法典第 13 条の規定を準用する。
UWG4 条(不正な取引行為の例)
次に掲げる行為を行う者は、不正な行為をするものとなる。
1.圧力の行使、軽蔑又はその他不適切な事実に即さない影響を通じて、消費者又はその他市場参加者による決定の自由を侵害するに足りる取引行為を行う者
2. 消費者の精神障害、身体障害、年齢、取引上の経験のなさ、だまされやすさ、不安又は窮地を利用するに足りる取引行為を行う者
3. 取引行為が広告の性質を有することを隠蔽する者
4. 割引、景品又は贈物といった販売促進手段において、その利用のための条件を明白かつ明確に示さない者
5. 広告の性質を有する懸賞又は賞金ゲームにおいて、参加条件を明確に述べることをしない者
6. 懸賞又は賞金ゲームがその性質上、商品又は役務と関連する場合を除き、消費者が懸賞又は賞金ゲームに参加するにあたって商品の購入又は役務の利用を条件とさせる者
7. 競争事業者の標識、商品、役務、活動又は個人的な関係若しくは取引上の関係を誹謗又は中傷する者
8. 競争事業者の商品、役務若しくは事業又は事業者若しくは事業者幹部構成員について、事業の経営又は事業者の信用を傷つけるに足りる事実が真実であることを実証できない場合に、その事実を主張し、又は流布する者;機密情報の通知が問題となり、かつこれを通知した者と通知された者が、その通知について正当な利益を有するときは、通知された事実が真実に反して主張され、又は流布された場合に限り、その通知行為は不正である。
9. 次に掲げるいずれかのときに、競争事業者の商品又は役務を模倣した商品又は役務を提供する者
a) その者が、経営上の出所について購入者の避けることのできない欺罔を惹起するとき
b) その者が、模倣された商品又は役務の価値を不当に利用又は侵害するとき
c) その者が、模倣のために必要とされる知識又は書類を不誠実な方法で入手したとき
10. 特定の競争事業者を標的とし、これを妨害する者
11. 市場参加者のために市場行動を規制するための法規に違反する者 UWG5 条(誤認惹起的な取引行為の禁止)
(1) 誤認惹起的な取引行為を行う者は、不正な行為をするものとなる。取引行為は、次に掲げるいずれかの事情について虚偽の表示又は欺罔行為とされるに足りるその他表示を含む場合において、誤認惹起的となる。
1. 処分可能性、種類、品質、利点、危険、構成、付属品、生産、供給若しくは提供の手続若しくは時期、目的有用性、数量、性状のような商品若しくは役務の主たる特徴、顧客サービス及び苦情処理申立手続、地理上若しくは経営上の出所、利用により期待される結果又は商品テスト若しくは役務テストの結果若しくは重要部分
2. 価格について特別なメリットが存在するような販売の誘因、価格若しくは価格算定方法又は商品供給若しくは役務提供の条件
3. 人、識別情報のような事業者の資格若しくは権利、知的財産を含む財産、債務負担の範囲、能力、地位、許認可、構成員の資格若しくはその関連性、表彰もしくは顕彰、取引行為の動機又は販売方法
4. 直接的又は間接的な支援と関連し、又は事業者若しくは商品若しくは役務の許認可に関する表現又は符号
5. 給付、交換部品、交換又は修理の必要性
6. 事業者が、自ら拘束されることを引き受け、これに拘束されることを示した行為準則を遵守すること
7. 消費者の諸権利、たとえば保証の約束に基づく権利又は給付障害における瑕疵担保権など。
(2) 取引行為は、比較広告である場合を含む商品又は役務の商品化との関連で、これとは異なる商品若しくは役務又は競争事業者の商標若しくはその他標識と混同する危険を生じさせるときも、誤認惹起的である。
(3) 第 1 項第 2 文にいう表示は、比較広告に含まれる範囲内での表示並びにその表示の代わりとなることを目的とし、かつそれで足りる図表を用いた表現及びその他行為も該当する。
(4) 価格の値下げについての広告は、不当に短い期間についてのみ値下げ価格が実施されていた限りで、誤認惹起的であると推定される。値下げ価格が実施されていたかどうか、及びどの期間に価格の値下げが実施されていたかについて争いがあるときは、証明責任は価格の値下げを広告する者にある。
UWG5a 条(不作為による誤認惹起)
(1) ある事実の沈黙が誤認惹起的であるかどうかを判断するにあたって、特に、取引通念上、取引上の決定について沈黙が有する意義及び沈黙がその決定に及ぼす適性が考慮されなければならない。
(2) 第 3 条第 2 項にいう消費者が決定する能力に対して、具体的な事例において伝達手段の制限を含むすべての事情を考慮して重要である情報を提供しないことで影響を及ぼす者は、不正な行為をするものとなる。
(3) 商品又は役務が、利用される伝達手段にとって適切な方法で特徴及び価格を指摘することで提供され、平均的な消費者がその取引を結ぶことができるときは、次に掲げる情報は、これが必ずしも直接的に諸々の事情から生じない限りで、第 2 項にいう重要であるとみなされる。
1. 商品又は役務及び利用される伝達手段にとって適切な範囲における商品又は役務のすべての主たる特徴
2. 事業者の識別情報及び住所、場合により、その事業者のために取引を行う事業者の識別情報及び住
所
3. 最終価格、その価格が商品若しくは役務の性状に基づいて事前に算定することができない場合には価格算定の方法並びに、場合により、すべての追加的な運送費用、供給費用及び配達費用又はこれらの費用が事前に算定することができない場合にはそのような追加的な費用が生じうる事実
4. 支払条件、供給条件、提供条件及びこれらが専門的な注意として求められるものとは異なる限りで、苦情を取り扱うための手続
5. 解除権又は撤回権の発生
(4) 共同体法上の規則に基づき、又は広告及びマーケティングも含む商業通信に関する共同体法上の指令を国内法化するための法規定に従い、消費者に対して提供することを差し控えてはならない情報も、第 2 項にいう重要なものとみなされる。
UWG6 条(比較広告)
(1) 比較広告とは、直接的若しくは間接的に、競争事業者を認識可能とさせ、又は競争事業者によって提供される商品若しくは役務を認識可能とさせるすべての広告をいう。
(2) 次に掲げるいずれかのときに比較広告を行う者は、不正な行為をするものとなる。
1. 比較広告が、類似の必要性又は同一の目的設定を有する商品又は役務に関係しないとき
2. 比較広告が、商品若しくは役務について、客観的にみて、一つ若しくは複数の重要で、関連性があり、事後的に検証可能かつ典型的な性質又は価格に関係しないとき
3. 比較広告が、商取引において、広告主と競争事業者との間、この競争事業者によって提供されている商品若しくは役務との間又はこの競争事業者によって用いられている標識との間で混同を生じさせる危険があるとき
4. 比較広告が、競争事業者によって用いられている標識の評判を不正な方法で利用し、又は侵害するとき
5. 比較広告が、競争事業者の商品、役務、活動又は個人的な関係若しくは取引上の関係を誹謗し、又は中傷するとき
6. 比較広告が、商品又は役務を、保護される標識の下で販売される商品若しくは役務の模造品又は模倣品として提示するとき
UWG7 条(受忍を求めることができない迷惑行為)
(1) 市場参加者が受忍を求めることができない方法で迷惑を受ける取引行為は、許容されない。これは特に、名宛人とされた市場参加者がこれを要望していないことが明確に認識可能となる広告にも妥当する。
(2) 次に掲げるいずれかの場合には、常に、受忍を求めることができない迷惑行為となる。
1. 広告が、消費者が望まないにもかかわらず、第 2 号及び第 3 号に該当せず、かつ通信販売に適切な商業上の伝達手段を利用してその消費者に対して執拗に行われる場合
2. 広告が、消費者に事前の明示的な同意なしに、又はその他市場参加者に少なくとも推定的な同意なしに架電することで行われる場合
3. 広告が、名宛人による事前の明示的な同意なしに、自動架電機、ファックス、電子メールを利用し
て行われる場合
4. 通知を伴う広告において、通知の伝達を委託する送信者の識別情報を隠蔽し、若しくは秘匿する場合又は名宛人が、基本料金による通知費用以外の費用をかけることなく、その通知の中止を要求することができる有効な住所が存在しない場合
(3) 第 2 項第 3 号の規定にかかわらず、次に掲げる内容のすべてを充たすときは、電子メールを利用して行われる広告において受忍を求めることができない迷惑行為とならない。
1. 事業者が、商品又は役務の販売に関連して、顧客からその電子メールアドレスを取得したこと
2. 事業者が、このアドレスを、自己の類似の商品又は役務を直接的に広告するために用いること
3. 顧客が、その利用に対して異議を申し立てなかったこと
4. 顧客が、そのアドレスを収集される際に、及び、そのアドレスが利用されるたびに、基本料金による通知費用以外の費用をかけることなく、いつでも異議を申し立てることができることを明白かつ明確に顧客に対して指摘していること
2 【契約締結過程の規律】②誤認類型
【ドイツ民法】
第 119 条(錯誤による取消し)
(1) 意思表示をなすにあたり、その内容につき錯誤があった者、または当該内容の表示をする意思をまったく有さなかった者は、表意者が事情を知っており、かつ、事実関係を合理的に判断していれば意思表示をしなかったであろうと認められるときは、当該意思表示を取り消すことができる。
(2)取引上重要と認められる人または物の性質に関する錯誤も、意思表示の内容に関する錯誤とみなす。第 120 条(誤った伝達による取消し)
意思表示が伝達のために用いられた人または機関によって誤って伝達されたときは、第119条の規
定にいう錯誤による意思表示と同一の要件において、これを取り消すことができる。
【オランダ民法】
第 6 編第 228 条
(1) 錯誤の影響の下で成立し、かつその行為についての正しい認識があれば締結されなかったであろう契約は、以下の場合に取り消すことができる。
(a) 錯誤が相手方からの情報によるものであるとき。ただし、その情報がなかったとしても契約が締結されただろうと相手方が想定できた場合はこの限りでない。
(b) 相手方が錯誤について知りまた知るべきことに関して錯誤者に知らせるべきであったとき。
(c) 相手方が契約の締結に際して錯誤者と同一の誤った前提を有していたとき。
ただし、相手方が、その行為に関して正しい認識を有していたとしたら、それによって錯誤者が契約の締結を思いとどまったであろうことを知るべきであったとはいえない場合はこの限りでない。
(2) 錯誤がもっぱら将来の事情のみに関するとき、または契約の性質、取引通念、ならびに当該事案の状況に照らして錯誤者がその錯誤について責任を負うべきときは、その錯誤によっては取消しは基礎付けられない。
第 6 編第 229 条
当事者間で既に存在する法律関係を拡張することを目的とする契約は、この法律関係が存在しないと
きは、取り消すことができる。ただし、契約の性質、取引通念、または当該事案の状況に照らして、こ
の法律関係の不存在を主張する者が責任を負うべき場合はこの限りでない。
【スイス債務法】
第 18 条
(1) 契約をその方式および内容から評価するにあたっては、当事者間で一致した真意を考慮しなければならず、当事者が錯誤に陥り、または真実の性質を隠蔽する意図をもってなした不実の表示または記載は考慮しないものとする。
(2) 債務者は、書面による債務承認を信頼して債権を取得した第三者に対し、それが仮装行為である旨の抗弁を対抗することができない。
第 23 条
契約は、その締結に際して本質的な錯誤があった者に対しては拘束力を有さない。第 24 条
(1) 錯誤は、とりわけ以下の場合に本質的であると認められる。
1. 錯誤者が同意を表示した契約とは別の契約をなすことを欲していたとき
2. 錯誤者の意思が表示されたのとは異なる物を対象とし、または特定の人を考慮しながらも別人を対象とする契約が締結されたとき
3. 錯誤者がその真の意思よりも著しく過重な給付を約し、または、著しく過少な反対給付での約束をさせられていたとき
4. 取引上の信義誠実に照らして錯誤者により契約の必要不可欠な基礎とされた事情に関して錯誤があったとき
(2) 契約締結の動機に錯誤があるに止まるときは、本質的な錯誤があったとは認められない。
(3) 単なる計算上の過誤は、契約の拘束力を妨げない。ただし、これを訂正することを要する。第 25 条
(1) 錯誤の援用は、それが信義誠実に反するときは許されない。
(2) 錯誤者は、とりわけ、錯誤者の意図した内容で契約が有効に成立したことを相手方が認容する旨を表示した場合については、その内容で有効に成立したものとしなければならない。
第 26 条
(1) 錯誤者が契約を自己に対して有効なものと認めていない場合であって、当該錯誤が自己の過失に帰せられるべきときは、契約の消滅によって生じた損害を賠償する義務を負う。ただし、相手方が錯誤を知りまたは知るべきであったときは、この限りでない。
(2) 裁判官は、衡平の観点から、その他の損害についても賠償すべき旨の判断を下すことができる。第 27 条
契約締結に際して申込みまたは承諾が、使者またはその他の方法により、誤って伝達されたときについては、錯誤に関する規定を準用する。
【フランス民法】
第 1109 条
同意がもっぱら錯誤によって与えられた場合、または強迫によって強いられ、もしくは詐欺によって
騙取された場合には、なんら有効な同意がない。
第 1110 条
(1) 錯誤は、合意の目的物の実体そのものに関わるときでなければ、その無効の事由ではない。
(2) 錯誤は、契約を締結しようとする相手方のみに関わるときは、なんら無効原因でない。ただし、その者についての考慮が合意の主たる原因である場合には、その限りでない。
第 1117 条
錯誤、強迫または詐欺によって締結された合意は、なんら法律上当然に無効ではない。それは、単に、この章第 5 節第 7 款に説明する場合および方法にしたがって、無効または取消しの訴権を生じさせる。
【フランス民法改正草案(カタラ草案)】
第 1110 条
(1) 契約当事者のうち、他方の当事者にとって決定的な重要性がある情報を知る者、または知るべき者で、その重要性を知っている者は、他方当事者に情報を与える義務を有する。
(2) ただし、この情報提供義務は、自ら情報を取得することができない状況にある者、または、とりわけ契約の性質、もしくは当事者の資質を理由として、契約相手方に対して正当に信頼をすることができた者のためにしか存在しない。
(3) 情報提供義務の債権者であると主張する者が、他方当事者が問題となっている情報を知っていた、または知るべきであったことを証明する義務を負う。情報保有者は、自らの義務を果たしたことを証明することにより解放される。
(4) 契約の目的または原因と直接的かつ不可欠な関係を示す情報は、関連性がある pertinent とみなされる。第 1110-1 条
欺く意図のない情報提供義務の違反は、その義務を負う者の責任を生じさせる。第 1111 条
同意がもっぱら錯誤によって与えられた場合、または詐欺によって騙取され、もしくは強迫によって強いられた場合には、有効な同意は存在しない。
第 1111-1 条
(1) 錯誤、詐欺および強迫は、それらの性質が著しかったために、それらがなかったのであれば、当事者の一方またはその代理人が契約を締結しなかったであろう場合、または異なる条件で契約をしていたであろう場合は、同意を無効とする。
(2) それらを決定づける性質は、人と状況を考慮して評価される。第 1113 条
詐欺とは、契約の一方当事者が他方当事者の同意を術策または虚言により騙取する行為である。第 1113-1 条
契約の一方当事者が、もし他方当事者が知っていたならば、少なくとも合意された条件で契約することを思いとどまったであろう事実を、意図的に隠ぺいした場合も同様に、詐欺となる。
【フランス民法改正草案(司法省 2008 年草案)】
第 50 条
(1) 契約当事者のうち、他方当事者の同意にとって決定的な重要性を有する情報を知る、または知ることができる状態にある者は、他方当事者がその情報を知らないことが正当である場合、または契約相手方を信頼することが正当である場合には、情報を提供しなければならない。
(2) 契約の内容または当事者の資質と直接的かつ不可欠の関係を有する情報は、決定的である。
(3) 情報提供義務違反の不履行を主張する契約当事者は、他方当事者がこの情報を知っていた、または知ることができる状態にあったことを証明しなければならない。ただし、他方当事者が、自分も知らなかったこと、またはその義務を果たしたことを証明することを妨げない。
(4) この情報提供義務の違反はすべて、合意の瑕疵の場合の契約の無効を妨げることなく、この義務を
負う者の不法行為責任を負わせる。
【フランス民法改正草案(司法省 2009 年草案)】
第 44 条
(1) 契約当事者のうち、他方当事者の同意にとって決定的な重要性を有する情報を知る、または知ることができる状態にある者は、他方当事者がその情報を知らないことが正当である場合、または契約相手方を信頼することが正当である場合には、情報を提供しなければならない。
(2) 契約の内容または当事者の資質と直接的かつ不可欠の関係を有する情報は、決定的である。
(3) 情報提供義務(devoir)の不遵守を主張する契約当事者は、他方当事者がこの情報を知っていた、または知ることができる状態にあったことを証明しなければならない。ただし、他方当事者が、自分も知らなかったこと、またはその義務を果たしたことを証明することを妨げない。
(4) この情報提供義務(devoir)の違反はすべて、合意の瑕疵の場合の契約の無効を妨げることなく、この義務を負う者の不法行為責任を負わせる。
第 45 条
(1) 錯誤、詐欺および強迫は、それらの性質が著しかったために、それらがなかったのであれば、当事者の一方またはその代理人が契約を締結しなかったであろう場合、または異なる条件で契約をしていたであろう場合は、同意を無効とする。
(2) それらを決定づける性質は、当該事案における人と状況を考慮して評価される。第 52 条
詐欺とは、契約の一方当事者が、術策、虚言、又は同意にとって決定的な事実の意図的な隠ぺいにより、他方当事者の同意を騙取する行為である。
第 53 条
詐欺が、契約相手方の代理人、事務管理者、被用者、または請合人により生ぜしめられた場合、並びに、第三者により詐欺が生ぜしめられ、契約相手方がそれを知り、そこから利益を引き出した場合も同様に、詐欺となる。
【フランス民法改正草案(テレ草案)】
第 33 条
(1) 他方当事者にとって決定的な性質を有する情報を知る、または知るべき当事者で、その情報が決定的な性質を有することを知っている者は、他方当事者が知らないことが正当であるとき、情報を提供しなければならない。
(2) 一方当事者の知らないことは、その者が自ら情報を取得することができない場合、または、とりわけ契約の性質、もしくは当事者の資質のために、その者が適切に契約の相手方を信頼していた場合、正当である。
(3) 情報が提供されるべきであったと主張する者が、他方当事者がその者に情報を提供すべきであった
ことを証明する義務を負う。他方当事者は、自らが情報を提供したことを証明しなければならない。第 34 条
情報提供義務の違反は、その義務を負う者の責任を生じさせ、場合によっては、35 条以下の条件で、契約の無効を生じさせる。
第 44 条
契約の一方当事者が、33 条にしたがって提供しなければならない情報を意図的に隠ぺいすることも同様に、詐欺となる。
【ユニドロワ国際商事契約原則 2010】
第 3.2.1 条(錯誤の定義)
錯誤とは、契約締結時に存在する事実または法に関する誤った想定をいう。第 3.2.2 条(取消原因となる錯誤)
(1) 当事者が錯誤により契約を取り消すことができるのは、錯誤に陥った当事者と同じ状況に置かれた合理的な者が、真の事情を知っていれば、実質的に異なる条項のもとでのみ契約を締結し、または契約を全く締結しなかったであろうほどに、錯誤が契約締結時において重要なものであり、かつ以下の各号のいずれかに該当するときに限られる。
(a) 相手方が、同じ錯誤に陥っていた場合、錯誤当事者の錯誤を生じさせた場合またはその錯誤を知りもしくは知るべき場合であって、錯誤当事者を錯誤に陥ったままにすることが公正な取引についての商取引上の合理的な基準に反するとき。
(b) 相手方が、取消時までに、契約を信頼した合理的な行動をしていないとき。
(2) 前項の規定にかかわらず、以下の各号のいずれかに該当するときには当事者は契約を取り消すことができない。
(a) 錯誤に陥るにつき重大な過失があったとき。
(b) 錯誤が、錯誤のリスクが錯誤当事者によって引き受けられた事柄にかかわるとき、または、諸事情を考慮すれば、錯誤のリスクが錯誤当事者によって負担されるべきとき。
【ヨーロッパ契約法原則】
第 4:103 条事実または法律に関する本質的な錯誤
(1) 当事者は、次の各号のすべてを充たす場合には、契約締結時に事実または法律に関する錯誤が存在することを理由として、当該契約を取り消すことができる。
(a) (ⅰ) 錯誤が相手方によって与えられた情報によって惹起された場合、(ⅱ) 相手方が錯誤を知りまたは知るべきであって、錯誤者を錯誤に陥った状態に放置することが信義誠実および公正取引に反する場合、または、(ⅲ) 相手方が同一の錯誤に陥っている場合
(b) 錯誤者が真実を知っていたならば契約を締結しなかったであろうこと、または、本質的に異なる条件でなければ契約を締結しなかったであろうことを、相手方が知りまたは知るべきであった場合
(2) 前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合には、当事者は契約を取り消すことができない。
(a) 当該状況において、その者の錯誤が宥恕されない場合
(b) その者によって錯誤のリスクが引き受けられていたか、または当該状況において引き受けられるべきであった場合
第 4:106 条不正確な情報
相手方により与えられた不正確な情報を信頼して契約を締結した当事者は、その情報が 4:106 条に定める本質的な錯誤を生じさせていない場合であっても、4:117 条 2 項および 3 項に従って損害賠償を請求することができる。ただし、情報を与えた当事者がその情報が真実であると信じる理由を有していた場合は、このかぎりでない。
第 4:107 条詐欺
(1) 当事者は、言葉によるものであれ行為によるものであれ相手方の詐欺的な告知によってまたは信義誠実および公正取引によれば開示すべきであった情報の詐欺的な不開示によって契約を締結させられた場合には、当該契約を取り消すことができる。
(2) 当事者の告知または不開示は、欺罔の故意をもってされた場合には、詐欺的である。
(3) 当事者がある情報を開示するよう信義誠実および公正取引が要求しているか否かについて判断する際には、次に掲げるものを含むあらゆる事情が考慮されなければならない。
(a) その当事者が特別な専門性を有していたか否か
(b) その当事者が当該情報を取得するために支払った費用
(c) 相手方が合理的に独力でその情報を得ることができたか否か
(d) 相手方にとってのその情報の明白な重要性
【アメリカ第 2 次契約法リステイトメント】
第 164 条いかなる場合に不実表示によって契約を取消すことができるか
①当事者の一方による同意の表示が、相手方による詐欺的または重大な不実表示によって誘引され、かつその表示を受領者が信頼するのが正当であった場合、その受領者は契約を取り消すことができる。
②当事者の一方による同意の表示が、当事者ではない者による詐欺的または重大な不実表示によって誘引され、かつその表示を受領者が信頼するのが正当であった場合、その受領者は契約を取り消すことができる。ただし、取引の相手方が、善意(in good faith)かつ不実表示について知りうべきでない状態で(withoutreason
to know)、対価(value)を与えまたは当該取引を著しく信頼した場合は、この限りでない。
3 【契約締結過程の規律】③困惑類型
【ドイツ民法】
第 138 条(良俗違反の法律行為;暴利)
1 善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
2 特に相手方の強制状態、無経験、判断力の不足または著しい意志薄弱に乗じて、給付に対して著しく不相当な財産的利益を自己または第三者に約束または提供させる法律行為は、無効とする。
【オランダ民法】
第 3 編第 44 条
1 法律行為が強迫、詐欺または状況の濫用によって成立したときは、その法律行為を取り消すことができる。
4 状況の濫用は、相手方が窮状、従属、軽率、異常な精神状態、または無経験のような、特別の状況によって法律行為への着手に導かれたことを知りまたは理解しなければならない者が、その者が知りまたは理解しなければならない事情によればそれを思いとどまるべきであったにもかかわらず、当該法律行為の実現を促したときに、認められる。
【フランス民法改正草案(カタラ草案)】
第 1114-3 条
1 一方当事者が窮乏状態、または従属状態の下で債務を負担し、他方当事者が当該合意から明らかに過剰な利益を取得して、この衰弱状態を利用した場合も。強迫が存在する。
2 衰弱状態は、とりわけその状態に服している当事者の脆弱性、両当事者の以前の関係の存在、また
はそれらの者の経済的不平等を考慮に入れながら、状況の相対から評価がなされる。
【ヨーロッパ契約法原則】
第 4:109 条(過大な利益取得または不公正なつけ込み)
1 当事者は、契約締結時に以下に掲げる全ての事情が存在した場合には、当該契約を取り消すことができる。
(a) その当事者が、相手方に依存し、もしくは相手方と信頼関係にあった場合、経済的に困窮し、もしくは緊急の必要があった場合、または、軽率であり、無知であり、経験が浅く、もしくは交渉技術に欠けていた場合
(b) 相手方が、このことを知りまたは知るべきであり、かつ、当該契約の事情および目的を考慮すると、著しく不公正な方法でその当事者の状況につけ込み、または過大な利益を取得した場合
2 裁判所は、適当と認める場合には、取消権者の請求により、信義誠実および公正取引の要請すると
ころに従っていたならば合意されていたであろう内容へと、当該契約を改訂することができる。
【EU・不公正取引方法指令(2005/5/11)】
第 5 条 不公正商慣行の禁止 4.商慣行は、とりわけ次の場合には不公正とされる: (a)第 6 条及び第 7 条にいう誤認させる場合 または (b)第 8 条及び第 9 条にいう攻撃的である場合
第 8 条 攻撃的な商慣行
商慣行は、現実の前後関係を含めて、その特徴の全てと諸事情を考慮した場合に、困惑、物理的圧力の行使を含む強制、又は不当威圧によって、平均的消費者の製品に対する選択や行動の自由を著しく侵害し、又は侵害の恐れがあると認められ、平均的消費者にそれがなければしなかったであろう取引上の決定を下させ、又は下させる恐れがあるとき、攻撃的であるとみなされる。
第 9 条 困惑(harassment; Belästigung)、強制(coercion)及び不当威圧(undue influence)の行使
商慣行が困惑、物理的圧力の行使を含む強制、又は不当威圧を行使しているか否かを決するに当っては、次の事情を考慮するものとする:
(a)そのタイミング、場所、性質又はしつこさ (b)威迫的又は濫用的な言動の行使
(c)事業者が特別の不幸又はその他の重大な事情を認識した上で、当該製品に対する消費者の決定に影響を与えるべく活用して消費者の決定を侵害していること
(d)契約の解除、又は他の製品もしくは他の事業者への変更を含む、契約上の権利を行使しようとする消費者に対して事業者が課す、煩わしい、又は不相当な契約外の障壁
(e)適法性を欠くような強迫手段の行使
4 【契約締結過程の規律】④取消しをめぐる問題
【フランス民法】
第 1312 条
未成年者または後見に付された成年者がその資格ゆえにその約務を取り消すことを認められる時は、それらの者に対して未成年または成年後見の間にその約務の結果として弁済されたものの償還を要求することができない。ただし、弁済されたものがそれらの者の利益に転じたことが証明される場合には、この限りでない。
【フランス民法改正草案(カタラ草案)】
第 1130-3 条
(1) 無効の合意は、初めから存在しなかったものと見なされる。
(2) 履行された給付については、第 1161 条から第 1164-7 条に定められる区別に従って、現実の、または価額による原状回復が認められる。
【フランス民法改正草案(テレ草案)】
第 88 条
(1) 無効とされた契約は、初めから存在しなかったものと見なされる。
(2) 履行された給付については、原状回復に関する権限についての要件の下で、原状回復が認められる。
【ユニドロワ国際商事契約原則 2010】
第 3.2.15 条(原状回復)
(1) 取消により、各当事者は、契約または契約の取り消された部分に基づき自己が給付したものの返還を請求することができる。ただし、契約または契約の取り消された部分に基づき自己が受領したものを同時に返還するときに限る。
(2) 現物による返還が可能でないときまたは適切でないときは、それが合理的である限り金銭による価額の返還がなされなければならない。
(3) 現物による返還が不可能となった原因が相手方にあるときは、その給付の受領者は金銭による価額の返還をすることを要しない。
(4) 受領された給付の保存または保守のために合理的に要した費用については、その賠償を請求することができる。
【ヨーロッパ契約法原則】
第 4:115 条取消しの効果
取消しがされた場合には、各当事者は、当該契約により給付されたものの原状回復を請求することができる。ただし、その者は、自らが受領したものを同時に原状回復しなければならない。何らかの理由により現物による原状回復が不可能である場合には、受領したものに対応する合理的な金額が支払われなければならない。
5 約款の採用条件
【ドイツ民法】
第 305 条約款の契約への組み入れ
(1) 約款とは多数の契約に用いるためにあらかじめ定式化されたすべての契約条項であって、一方の契約当事者
(約款使用者)が他方の契約当事者に対して契約締結の際に設定したものをいう。その規定が外観上区別された契約の構成部分となっており、または、契約証書に記載されている場合も同様とし、その規定の範囲、書式、契約の方式は問わない。契約条項につき契約当事者間で個別に交渉がなされたものは、約款ではない。
(2) 約款は、次の各号に定める要件をすべて満たし、かつ、他方当事者が約款の適用につき了解した場合に限り、契約に組み入れられるものとする。
1.約款使用者が、他方の契約当事者に対して約款を明示的に提示し、または、契約締結の形態故に明示的な提示が不相当に困難を伴う場合には契約締結の場所に約款を明確に認識可能な状態に置くこと 2.約款使用者が、他方の契約当事者に対して、約款の内容を認識する機会を、約款使用者に認識で
きる同人の身体的障害も考慮したうえで期待可能な形で与えたこと
(3) 契約当事者は、本条第 2 項の定める要件に鑑みて、特定の種類の法律行為のための約款の適用につき、あらかじめ合意をすることができる。
第 305a条特別な場合における契約の組入れ
次に掲げる各号のいずれかに該当する場合において、契約相手方が約款の効力を了解したときは、第 305 条第 2 項第 1 号および第 2 号所定の要件を満たさなくとも、約款は契約に組み入れられる。
1.権限ある交通当局が認可した料金表または国際条約に基づいて告示された料金表、運送契約のための定期交通に関する鉄道の施行規則、旅客運送法に準拠して認可された市街電車、トローリーバスおよび自動車の運送規定
2.テレコミュニケーションおよび郵便のために監督官庁の官報において公表され、かつ、約款使用者の営業所に用意された約款であって、次に掲げるいずれかに関するもの
a 営業所以外の場所にある郵便ポストに郵便物を投函することにより締結される郵送契約
b テレコミュニケーション、情報その他のサービス提供に関する契約であって、直接、隔地的コミュニケーション手段の使用によりもたらされ、かつ、当該テレコミュニケーションサービスが1度に履行される場合であって、契約締結前に契約相手方に対して約款を入手可能にすることが極めて困難であるとき
第 305c条不意打ち条項および多義的な条項
(1) 約款中の条項であって、諸事情とりわけ契約の外形に照らして、約款使用者の相手方が予期する必要がないほどに異例なものは、契約の構成部分とならない。
(2) 約款の解釈に疑義があるときは、約款使用者に不利に解釈しなければならない。
【オランダ民法】
第 6 編第 231 条
本節においては、次に掲げる語は、以下のように解するものとする。
a. 約款とは、多数の契約において用いられることを目的とした、一つまたは多数の書面による条項をいう。ただし、明確かつ分かりやすい言葉で表現されている限り、給付の核心について定める条項は除かれる。
b. 使用者とは、契約において約款を用いる者をいう。
c. 相手方とは、書面への署名またはその他の方法により、約款の適用を承諾した者をいう。第 6 編第 232 条
相手方は、相手方が約款の内容を知らないことを契約締結に際して使用者が知りまたは知るべきであったときでも、約款に拘束される。
第 6 編第 233 条
約款中の条項は、以下のいずれかの場合には、無効とされ得る。
a. その条項が、契約の種類およびその他の内容、約款が作成された方法、相互に認識し得る当事者の利益、ならびにその他の事態の状況を考慮して、相手方にとって不相当に不利益となるとき。
b. 約款使用者が、相手方に対して、約款を了知する合理的な機会を与えなかったとき。第 6 編第 234 条
(1) 使用者は、以下のいずれかの場合には、第 233 条第 b 号において定められた機会を与えたものとする。
a. 使用者が、相手方に対し、契約締結の前または契約締結時に約款を交付したとき。
b. 以上が合理的に可能ではないときは、使用者が約款の閲覧を可能にし、または、約款を使用者によって指定された商工会議所または裁判所の文書課に保管されていること、および、求めに応じて相手方に送付されべきことを、契約締結前に使用者が相手方に対して知らせたとき。
c. 契約が電子的方法で締結された場合において、相手方が後に約款を精査できるように相手方が約款を保存することを可能にすることによって、契約締結の前または契約締結時に約款が相手方に利用可能とされていたとき、または、以上が合理的に可能でないときは、約款の条項を電子的方法で調べることができ、また求めに応じて約款が電子的またはその他の方法で送付されることを、契約の締結に先立って相手方が知らされたとき。
(2) 約款が契約締結の前または契約締結時に相手方に交付されなかった場合において、使用者が求めに応じて遅滞なく自らの費用で相手方に約款を送らないときは、その条項は無効となり得る。
(3) 約款の送付義務に関する第 1 項第 b 号および第2項は、約款を送付することが使用者に対し合理的に要求され得ない限り、適用されない。
第 6 編第 235 条
(1) 以下の者は、第 233 条および第 234 条において定められた無効原因を主張することができない。
a. 契約締結時にその直近の年次決算を公表している第 2 編第 360 条所定の法人、またはその時点において直近に第 2 編第 403 条第 1 項が適用された法人。
b. 第 a 号の規定が適用されない当事者で、同号に定める時点において 50 人以上の者がそこで働いている場合、または、その時点で 1996 年商業登記法に基づく記載によって 50 人以上の者がそこで働いていることが示されている場合における当事者。
(2) 約款がその代理人によって使われていた当事者は、相手方が同一の約款またはほとんど同一の約款が適用される契約を複数回締結していたときは、第 233 条第 a 号の定める無効原因を主張することができる。
(3) 契約において同一の約款またはほとんど同一の約款を複数回使用している当事者は、第 233 条および第 234 条の定める無効原因を主張することができない。
(4) 第 3 編第 52 条第 1 項第 d 号所定の期間は、条項が主張された日の翌日の初めをもって開始する。
【韓国約款規制法】
第 6 条(一般原則)
①信義誠実の原則に反し、公正を失した約款条項は無効である。
②約款において次の各号の一に該当する内容を定めている場合においては、当該約款条項は公正を失したものと推定される。
1 顧客に対して不当に不利な条項
2 契約の取引形態など、諸事情に照らし、顧客が予想し難い条項
3 契約の目的を達成できないほど、契約上の本質的権利を制限する条項
【フランス民法改正草案(カタラ草案)】
第 1102-5 条
(1) 附合契約は、条件が、討議を経ずに他方当事者があらかじめ一方的に定めた通りに当事者の一方によって承諾される契約である。
(2) ただし、そのような契約は、交渉に基づく個別的な条件をそれに付加することができる。
【フランス民法改正草案(テレ草案)】
第 23 条
(1) 当事者の一方は、その同意を他方当事者による約款の承諾にかからしめることができる。
(2) ある当事者によって示された約款は、状況から他方当事者がそれを承諾したことが明らかとなるときは、他方当事者に対して効力を有する。
(3) 当事者の一方と他方とによって示された約款の間に不一致があるときは、両立し得ない条項は効力
を有しない。
【フランス民法改正草案(司法省草案 2008 年版)】
第 10 条 2 項
附合契約は、本質的な約定が討議を経ずに予め一方的に定められる契約である。第 29 条
申込みが約款を参照させている場合、承諾者がそれを知っており、かつ反対の意思を表明しなかった
場合には、承諾は約款の承認をもたらす。
【フランス民法改正草案(司法省草案 2009 年版)】
第 11 条第 2 項(2008 年版第 10 条第 2 項)
附合契約は、本質的な約定が討議を経ずに予め一方的に定められる契約である。第 24 条
申込みが約款を参照させている場合、承諾者がそれを知っており、かつ、状況から他方当事者がそれを承諾したことが明らかになるときのみ、承諾は約款の承認をもたらす。
一方当事者と他方当事者とによって示された約款の間に不一致があるときは、両立し得ない条項は効力を有しない。
【フランス消費法典】
L.132-1 条
①事業者と非事業者または消費者の間の契約において、非事業者または消費者を害する形で、契約当事者の権利義務の間の判然とした不均衡を生みだすことを目的または効果とする条項は、濫用的である。
④これらの規定[濫用条項に関する規定]は、契約の形式、媒体が何であれ、適用される。自由に交渉された条項もしくはそうでない条項、または既に作成された約款への参照を含んだ注文書、請求書、保証書、引渡明細書もしくは引渡証書、切符もしくは券についても同様である。
⑦第1 項の意味における条項の濫用的な性質の評価は、条項が明確かつ理解可能な形で規定されている限り、契約
の主たる目的の決定、および売買された物または提供された役務の代金または報酬の適合性を対象としない。
【1993 年 4 月 5 日付けヨーロッパ共同体閣僚理事会指令】
第 3 条
1. 個別に交渉されなかった契約条項は、それが、信義誠実の要請に反して、契約から生じる当事者の権利および義務に重大な不均衡を生じさせて消費者の利益を害する場合、不公正なものとみなされる。
2. 条項は、それがあらかじめ作成され、そのために消費者が当該条項の内容に影響を及ぼすことができなかった場合、とりわけ、あらかじめ書式化された標準契約を用いる場合、常に、個別に交渉されなかったものとみなされる。
条項のある一定の側面またはある特定の条項について個別に交渉されたという事実があっても、契約の全体的評価から、あらかじめ書式化された標準契約であることが示される場合、契約の残余に対する本条の適用を排除するものではない。
売主または提供者は、標準契約条項について個別の交渉があった旨を主張する場合、その立証責任を負う。
【ユニドロワ国際商事契約原則 2010】
第 2.1.10 条(不意打ち条項)
(1) 定型条項に含まれる条項のうち、相手方が合理的に予期し得なかった性質の条項は、効力を有しない.ただし、相手方がそれに明示的に同意していたときはこの限りではない。
(2) ある条項が前項の性質を有するか否かを判断するにあたっては、その内容、言語および表示の仕方
が考慮されなければならない.
【ヨーロッパ契約法原則】
第 2:104 条個別に交渉されなかった条項
(1) 当事者の一方は、個別に交渉されなかった契約条項を相手方が知らなかった場合において、契約の締結前または締結時にその条項につき相手方に注意を促すための合理的な措置を講じたときにかぎり、相手方に対し、その条項を主張することができる。
(2) 契約書において条項を参照するだけでは、相手方がその契約書に署名したとしても、その条項につ
いて相手方の注意を適切に促したことにはならない。
【アメリカ第二次契約法リステイトメント】
第 211 条標準化された合意書
①第 3 項に定める場合を除き、合意の当事者の一方が書面に署名し、または他の方法で同意を表示した場合において、同様の書面が同種の合意の条項を表現するために常に用いられているとその者が考えるべきであったときは、その者は当該書面を書面に含まれている条項に関する完成合意書として採用したことになる。
②そのような書面は、類似の状況におかれているすべての者を同様に扱うことが合理的である場合には、それらの者が書面の標準的条項について知りまたは理解していたかどうかにかかわらず、常にそのように解釈される。
③書面にある特定の条項が含まれていることを知ったならば当事者はそのような同意を表示しないであ
ろうと相手方が考えるべきであった場合は、その条項は合意の一部とはならない。
6 約款の明確性
【1993 年 4 月 5 日付けヨーロッパ共同体閣僚理事会指令】
第 3 条
1 個別に交渉されなかった契約条項は、それが、審議誠実の要請に反して、契約から生じる当事者の権利および義務に重大な不均衡を生じさせて消費者の利益を害する場合、不公正なものとみなされる。
2 以下省略第 4 条
2 条項の不公正性の評価は、当該条項が平易かつ明瞭な言葉で表現されている限りにおいて、契約の主
たる目的の確定、ならびに提供されるサービスや物品の対価として支払われる代金や報酬の金額の妥
当性には及ばない。
第 5 条
消費者に対して契約の全部または一部の条項が書面によって提示されるときは、それらの条項は、つねに平易かつ明瞭なことばで起草されなければならない。ある条項の意味について疑問がある場合、消費者にとってもっとも有利な解釈が優先する。この解釈準則は、第 7 条第 2 項で定められた手続きとの関係においては、適用されない。
【ドイツ民法】
第 307 条 内容規制
(1) 約款中の条項は、当該条項が審議誠実の原則に反して約款使用者の契約相手方を不相当に不利益に取り扱うときは、無効とする。不相当な不利益は、条項が明確でなく、または平易でないことからも生ずる。
(2) 省略
【オランダ民法】
第 6 編第 231 条
本節においては、次に掲げる語は、以下のように解するものとする。
a 約款とは、多数の契約において用いられることを目的とした、一つまたは多数の書面による条項をいう。ただし、明確かつ分かりやすい言葉で表現されている限り、給付の核心について定める条項は除かれる。
b 以下省略
第 6 編第 233 条
約款中の条項は、以下のいずれかの場合には、無効とされ得る。
a その条項が、契約の種類およびその他の内容、約款が作成された方法、相互に認識し得る当事者の利益、ならびにその他の事態の状況を考慮して、相手方にとって不相当に不利益となるとき。
b 約款使用者が、相手方に対して、約款を了知する合理的な機会を与えなかったとき。
【フランス消費法典】
L132-1 条
① 事業者と非事業者または消費者の間の契約において、非事業者または消費者を害する形で、契約当事者の権利義務の間の判然とした不均衡を生み出すことを目的又は効果とする条項は、濫用的である。
② ・・省略
⑦ 第 1 項の意味における条項の濫用的な性質の評価は、条項が明確かつ理解可能な形で規定されている限り、契約の主たる目的の決定、および売買された物または提供された役務の代金または報酬の適合性を対象としない。
【オランダ民法】
第 6 編 238 条 44
(1) (略)
(2) 第 236 条および第 237 条所定の契約における条項は、明確かつ理解可能な言葉で記載されなければならない。条項の意味に疑義があるときは、相手方の有利に解釈するものとする。
【ユニドロワ国際商事契約原則 2010】
第 2.1.10 条(不意打ち条項)
(1)定型条項に含まれる条項のうち、相手方が合理的に予期しえなかった性質の条項は、効力を有しない。
ただし、相手方がそれに明示的に同意していたときはこの限りではない。 (2)ある条項が前項の性質を有するか否かを判断するにあたっては、その内容、言語および表示の仕方が
考慮されなければならない。
【ヨーロッパ契約法原則】
第 4:110 条 個別に交渉されていない不公正条項
(1)個別に交渉されていない条項が、審議誠実および公正取引の要請に反して、当該契約において生じる両当事者の権利義務に著しい不均衡をもたらし、当事者の一方に損害を与える場合には、その当事者は、当該条項を取り消すことができる。その際、当該契約の下で提供されるべき履行の性質、当該契約における他の全ての契約条件および契約締結時の事情が考慮される。
(2)本条の規定は、次の各号のいずれかに該当するものについては、適用されない。 (a)契約の主たる内容を定める条項。ただし、その条項は、平易でわかりやすい言葉によるのでなけれ
ばならない。
・・・
7 約款条項の解釈
① <約款使用者不利の解釈準則について>
【ドイツ民法】
第 305 条c
(1) 略
(2) 約款の解釈に疑義があるときは、約款使用者に不利に解釈しなければならない。
【オランダ民法】
第 6 編 238 条
(1) (略)
(2) 第 236 条および第 237 条所定の契約における条項は、明確かつ理解可能な言葉で記載されなければならない。条項の意味に疑義があるときは、相手方の有利に解釈するものとする。
第 6 編 240 条第 1 項
(1) 第 3 項所定の法人の請求に基づいて、特定の約款における特定の条項につき、不相当に不利益なものと宣言することができる。第 233 条 a 号、第 236 条および第 237 条は、準用される。前 2 文の適用に関しては、強行的な法律上の規定に反する約款中の条項は、不相当に不利益なものと見なされる。条項の評価に際しては、第 238 条第 2 項第 2 文に定める解釈規定は、適用しない。
【ユニドロワ国際商事契約原則】
第 4.6 条(「作成者不利に(contra proferentem)」の原則)
当事者の一方により準備された契約条項が不明瞭なときは、その当事者に不利となるように解釈されることが望ましい。
【ヨーロッパ契約法原則】
5:103 条「作成者に不利に」の準則
個別に交渉されなかった契約条項の意味について疑いがあるときは、当該条項をもち出した当事者に不利となる解釈が優先されなければならない。
【DCFR第 2 編第 8 章 解釈 第 1 節:契約の解釈】
II.-8:103: 条項の供給者または支配的な当事者に不利な解釈
(1) 個別に交渉されていない条項の意味について疑問が生じた場合には、当該条項を与えた当事者に不利な解釈が望ましい。
(2) その他の条項の意味について疑問が生じた場合であって、かつその条項が一方当事者の支配的な影
響力の下で定められた場合には、当該当事者に不利な解釈が望ましい。
【フランス消費法典】
L.133-2 条
事業者によって消費者または非事業者に提案される契約の条項は、明瞭かつ理解しやすい方法で提示および作成されなければならない。
疑いがある場合には、当該条項は消費者または非事業者に最も有利に解釈される。ただし、前条は[消費法典]L421-6 条に基づいてなされる訴訟手続[訳注:消費者団体による不正行為差止訴権のことで
ある]には適用されない。
②<個別交渉条項の優先について>
【DCFR第 2 編第 8 章 解釈 第 1 節:契約の解釈】
II.-8:104: 交渉された条項の優先
個別に交渉された条項は、交渉されなかった条項よりも優先される。
【ヨーロッパ契約法原則】
5:104 条交渉された条項の優先
個別に交渉された条項は、個別に交渉されていない条項に対して優先する。
<契約の解釈について>
【フランス民法】
第 1156 条 合意においては、その文言の時義に拘泥するよりもむしろ、契約当事者の共通の意図がどの
ようなものであったかを探求しなければならない。
第 1157 条 ある条項が二つの意味にとれるときは、なんらの効果も生じることができない意味においてよりもむしろ、何らかの効果を有することができる意味において理解しなければならない。
第 1158 条
第 1159 条る。
第 1160 条
二つの意味にとれる文言は、契約の内容に最もふさわしい意味にとらなければならない。
曖昧なものは、契約が締結される地方において慣習とされているところに従って解釈され
契約においては、それが明示されない場合であっても、その地方で慣習とされている条項を
補充しなければならない。
第 1161 条
釈される。第 1162 条れる。
第 1163 条
合意のすべての条項は、それぞれにその行為全体から生じる意味を与えるように、相互に解
疑いがある場合には、合意は、債務を負わせたものに不利に債務を負った者に有利に解釈さ
合意は、それを言い表す文言がどのように一般的であっても、当事者がそれについて締結し
ようとしたと思われるものでなければ、含まない。
第 1164 条 契約において債務の説明のために一つの場合を表示したときも、そのことによって、表示されていない場合に約務に当然与えられる範囲を制限しようとしたとはみなされない。
【フランス民法改正草案(カタラ草案)】
第 1136 条①合意においては、その文言の時義に拘泥するよりもむしろ、契約当事者の共通の意図がどのようなものであったかを探求しなければならない。
②同様に、単独行為においては、行為者の真の意図を優先させなければならない。
③集団による決定行為の解釈において、集団の構成員の共通の利益に最も適合的な意味を優先させなければならない。
第 1137 条① 合意のすべての条項は、それぞれに行為全体の一貫性を尊重した意味を与えるように、相互に解釈される。
② 複数の契約が形成する契約の統合体 ensemble contractuel において、相互依存的な契約は、それらの契約が命じられている作用に応じて、解釈される。
第 1138 条 明白で正確な条項は、解釈を要さず、せいぜい行為の変性をもたらすのみである。
第 1138-1 条 合意は、それを言い表す文言がどのように一般的であっても、当事者がそれについて締結しようとしたと思われるものでなければ、含まない。
第 1138-2 条 契約において債務の説明のために一つの場合を表示したときも、そのことによって、表示されていない場合に約務に当然与えられる範囲を制限しようとしたとはみなされない。
第 1139 条 契約は合理的に、公平に解釈される。
第 1139-1 条 ある条項が二つの意味にとれるときは、なんらの効果も生じることができない意味においてよりもむしろ、何らかの効果を有することができる意味において理解しなければならない。
第 1139-2 条 二つの意味にとれる文言は、契約の内容に最もふさわしい意味にとらなければならない。第 1139-3 条 曖昧なものは、契約が締結される場所において慣習とされているところ、および当事者の慣行にしたがって解釈される。
第 1140 条 疑いがある場合には、合意は、債務を負わせたものに不利に債務を負った者に有利に解釈される。
第 1140-1 条 ただし、契約上の法規範が、一方当事者の支配的な影響下で作成されたときは、他方当事者に有利に解釈しなければならない。
第 1141 条 契約の解釈は、その構成要素全体の分析に根拠を置く。契約の本質的な要素の誤解は、変性となる。
【フランス民法改正草案(テレ草案)】
第 136 条① 契約は、条項の文言どおりの意味に基づいてというよりもむしろ、当事者の共通の意図に基づいて、解釈される。
② 当事者の共通の意図を見つけだすことができないとき、契約は、同様の状況に置かれた合理人が与えるであろう意味に基づいて、解釈される。
第 137 条① 契約のすべての条項は、それぞれに行為全体の一貫性を尊重した意味を与えるように、相互に解釈される。
② 契約当事者の意図において、複数の契約が一つの全体的な作用へと競合しているとき、それらの契
約は、その作用に応じて解釈される。
第 138 条 明白で正確な条項は、解釈を要さず、せいぜい行為の変性をもたらすのみである。
第 139 条 ある条項が二つの意味にとれるときは、なんらの効果も生じない意味においてよりも、何らかの効果を有することができる意味を優先しなければならない。
第 140 条① 疑いがある場合、契約は債務者に有利に解釈される。
② あいまいな場合は、交渉されていない契約条項は、むしろ作成者に不利に解釈される。
【フランス民法改正草案(司法省草案(2008 年 7 月版))
第 152 条① 契約は、条項の文言どおりの意味に基づいてというよりもむしろ、当事者の共通の意図に基づいて、解釈される。
② 当事者の共通の意図を見つけだすことができないとき、契約は、同様の状況に置かれた合理人が与えるであろう意味に基づいて、解釈される。
第 153 条① 契約のすべての条項は、それぞれに行為全体の一貫性を尊重した意味を与えるように、相互に解釈される。
② 複数の契約が形成する契約の統合体 ensemble contractuel において、相互依存的な契約は、それらの契約が命じられている作用に応じて、解釈される。
第 154 条 解釈は、明白で正確な契約条項の変性をもたらさない。
第 155 条① ある条項が二つの意味にとれるときは、なんらの効果も生じない意味においてよりも、何らかの効果を有することができる意味を優先しなければならない。
② 曖昧な場合は、契約条項は作成者の不利に解釈される。
【オランダ法】
第 6 編 238 条 44
(1) (略)
(2) 第 236 条および第 237 条所定の契約における条項は、明確かつ理解可能な言葉で記載されなければならない。条項の意味に疑義があるときは、相手方の有利に解釈するものとする。
第 6 編 240 条第 1 項
(1) 第 3 項所定の法人の請求に基づいて、特定の約款における特定の条項につき、不相当に不利益なものと宣言することができる。第 233 条 a 号、第 236 条および第 237 条は、準用される。前 2 文の適用に関しては、強行的な法律上の規定に反する約款中の条項は、不相当に不利益なものと見なされる。条項の評価に際しては、第 238 条第 2 項第 2 文に定める解釈規定は、適用しない。
【ユニドロワ国際商事契約原則】
第 4.1 条(当事者の意思)
(1) 契約は当事者の共通の意思に従って解釈されなければならない。
(2) 前項の意思を証明することができないときは、契約は、当事者と同種の合理的な者が同じ状況のもとでその契約に与えるであろう意味に従って解釈されなければならない。
第 4.2 条(言明およびその他の行為の解釈)
(1) 当事者の言明およびその他の行為は、相手方がその意思を知りまたは知らないことはあり得なかったときは、その意思に従って解釈されなければならない。
(2) 前項の規定が適用されないときには、当事者の言明およびその他の行為は、相手方と同種の合理的
な者が同じ状況のもとでその行為に与えるであろう意味に従って解釈されなければならない。第 4.3 条(考慮すべき事情)
前 2 条の適用にあたっては、次に掲げる事情その他一切の事情を考慮しなければならない。
(a) 契約準備段階における当事者間の交渉
(b) 当事者がその間で確立させている慣行
(c) 契約締結後の当事者の行為
(d) 契約の性質および目的
(e) 当該取引分野において条項や表現に一般に与えられている意味
(f) 慣習
第 4.4 条(契約全体または言明全体との一貫性)
条項および表現は、それらが含まれている契約または言明の全体に照らして解釈されなければならない。
第 4.5 条(すべての条項に効果を与える解釈)
契約条項は、そのうちのいくつかの条項の効果を奪うよりも、それらすべての条項に効果を与えるように解釈されなければならない。
第 4.6 条(「作成者に不利に(contra proferentem)」の原則)45
当事者の一方により準備された契約条項が不明瞭なときは、その当事者に不利となるように解釈されることが望ましい。
第 4.7 条(言語間の齟齬)
契約に 2 つ以上の言語で作成された版があり、それらが等しく拘束力を有する場合において、それらの間に齟齬があるときは、最初に作成された版に従って解釈されることが望ましい。
第 4.8 条(条項の欠缺とその補充)
(1) 契約の当事者が、双方の権利義務の確定にとって重要な条項について合意していないときは、当該状況のもとで適切な条項が補充されなければならない。
(2) 何が適切な条項であるかを判断するにあたっては、他の要素とともに以下の各号に定める要素が考慮されなければならない。
(a) 当事者の意思
(b) 契約の性質および目的
(c) 信義誠実および公正取引
(d) 合理性
【ヨーロッパ契約法原則】
5:101 条解釈の一般的準則
(1) 契約は、文言の字義と異なるときであっても、両当事者の共通の意思に従って解釈されなければならない。
(2) 当事者の一方が契約に特別の意味を与える意思を有していたこと、および、相手方が契約締結時にその意思を知らずにいることなどありえなかったことが証明されたときは、契約は、その当事者の意思に従って解釈されなければならない。
(3) 1 項または 2 項によって意思を証明することができないときは、契約は、両当事者と同種の合理
的な者であれば同じ状況の下で与えるであろう意味に従って解釈されなければならない。
5:102 条考慮すべき事情
契約を解釈するにあたっては、とりわけ、次の各号に掲げる事情を考慮しなければならない。
(a) 契約が締結された際の諸事情。契約準備段階における交渉を含む。
(b) 当事者の行為。契約締結後の行為も含む。
(c) 契約の性質および目的。
(d) 両当事者が類似の条項に対してかつて与えていた解釈、および両当事者間で確立されている慣行。
(e) 当該活動分野において条項および表現に対し一般に与えられている意味、ならびに類似の条項に対してすでに得られた解釈。
(f) 慣習。
(g) 信義誠実および公正取引。 5:103 条「作成者に不利に」の準則
個別に交渉されなかった契約条項の意味について疑いがあるときは、当該条項をもち出した当事者に不利となる解釈が優先されなければならない。
5:104 条交渉された条項の優先
個別に交渉された条項は、個別に交渉されていない条項に対して優先する。 5:105 条契約全体との関連
条項は、それが含まれている契約全体に照らして解釈されなければならない。 5:106 条条項を有効とする解釈
契約条項を適法または有効とする解釈は、そうでない解釈よりも優先されなければならない。 5:107 条言語間の齟齬
契約に異なった言語で作成された複数の版があり、それらのいずれについても正文である旨が表示されていない場合において、それらの間に齟齬があるときは、当該契約を最初に作成した際の版に従った解釈が優先する。
【DCFR第 2 編第 8 章 解釈 第 1 節:契約の解釈】
II.-8:101: 原則
(1) 契約は、それが文言の言葉上の意味と異なる場合であっても、両当事者の共通の意思に従って解釈される。
(2) 一方当事者が契約またはこれに用いられる条項もしくは表現に特定の意味を持たせようとした場合であって、かつ契約締結時に他方当事者が当該一方当事者の意図に気付いていたか、または気付くことが合理的に期待された場合には、契約は、当該一方当事者の意図していたように解釈される。
(3) ただし、契約は、以下の場合には、合理的な人がそのように解するであろう意味にしたがって解釈される。
(a) 前項に基づいて意図が明確にできない場合。
(b) 合理的かつ誠実に契約の表現上の意味に依拠した、契約の当事者でなく、また法律上そのような当事者以上の権利は有しない人について、問題が生じた場合。
II.-8:102: 関連事項
(1) 契約を解釈するにあたり、特に以下の事項につき考慮することができる。
(a) 事前の交渉を含め、契約が締結された状況。
(b) 契約締結の後も含めた、当事者の行動。
(c) 当事者間において確立している契約または実務において用いられるものと同一または類似の、当
事者によって既に与えられている条項または表現への解釈。
(d) 問題となっている活動の一分野においてそのような条項または表現について一般的に与えられる意味、およびそのような条項または表現について通常与えられる解釈。
(e) 契約の性質および目的。
(f) 慣行。
(g) 誠実かつ公正な取引。
(2) 合理的かつ誠実に契約の表現上の意味に依拠した、契約の当事者でなく、また譲受人等のように法律上そのような当事者以上の権利は有しない人について問題が生じた場合、上記(a)から(c)に述べられた状況は、当該人物が知っていたまたは合理的に知っていることが期待された状況の範囲においてのみ、考慮することができる。
II.-8:103: 条項の供給者または支配的な当事者に不利な解釈
(1) 個別に交渉されていない条項の意味について疑問が生じた場合には、当該条項を与えた当事者に不利な解釈が望ましい。
(2) その他の条項の意味について疑問が生じた場合であって、かつその条項が一方当事者の支配的な影響力の下で定められた場合には、当該当事者に不利な解釈が望ましい。
II.-8:104: 交渉された条項の優先
個別に交渉された条項は、交渉されなかった条項よりも優先される。 II.-8:105: 契約全体としての参照
条項および表現は、これらが表された契約全体に照らして解釈される。 II.-8:106: 条項を有効にする解釈の優先
契約の条項を合法または有効にする解釈は、そうしない解釈よりも望ましい。 II.-8:107: 言語上の不一致
契約文書が二つ以上の言語によって存在し、いずれも正式であるとの記述がない場合において、これらの文書間に不一致があったときには、契約が最初に起草された際の文書に従った解釈が優先される。
8 不招請勧誘
【フランス消費法典】
第 2 節 違法な取引方法第 5 款 攻撃的取引方法
L.122-11 条 Ⅰ.―取引方法は、それを取り囲む諸事情を考慮して、反復される執拗な勧誘または物理的もしくは精神的強制の使用により、[以下]のときに攻撃的である:
1° 取引方法が、消費者の選択の自由を著しく歪めまたは歪める性質を有する[とき];
2° 取引方法が、消費者の同意を瑕疵あるものにし、または瑕疵あるものにする性質を有する[とき];
3° 取引方法が、消費者の契約上の権利の行使を妨げる[とき]。
Ⅱ.― 取引行為が、困惑行為、有形力を含む強制、または不当な影響を用いているか否かを判断するために、以下の要素が考慮される;
1° 取引行為が行われた時および場所、その性質および執拗さ;
2° 物理的または口頭による脅しの使用;
3° 生産物に関する消費者の決断に影響を与える目的で、事業者が、事情を知った上でする、消費者の判断を歪めてしまうほど重大なあらゆる不幸または特別な事情へのつけ込み;
4° 消費者が、自らの契約上の権利、とりわけ契約を終了させる権利または生産物もしくは供給者を変更する権利を主張しようとするときに、事業者によって課される、重大なまたは並外れた契約外のあらゆる障害;
5° 法律上可能でないにもかかわらず行われる、あらゆる訴訟提起の脅し。
L.122-11-1 条 [以下のこと]を目的とする取引行為は、L.122-11 条の意味において攻撃的と見なされる:
1° 契約が締結されるまでその場を離れることができないという印象を消費者に与えること;
2° 事業者がその場所を離れる旨またはその場所に再び現れない旨の消費者による求めを無視して、消費者の自宅への個人的訪問を行うこと。ただし、国の定める法が、契約上の債務の履行を行うために事業者が個人訪問を行うことを許可している場合は、この限りでない;
3° 電話、ファックス、電子メール、その他のあらゆる遠隔通信手段による、反復されかつ招請されていない勧誘を行うこと;
4° 保険証券の名義で補償金を請求しようとする消費者に対して、請求の有効性を証明するにつき関連性を有するとみなすことが合理的に不可能な文書を提出するよう義務づけること、または、この消費者に契約上の権利を行使することを断念させることを目的として、関連性を有する通信文に対して故意に返信しないこと;
5° 広告のなかで、広告の対象である生産物を購入するよう、または、それを彼らに買い与えるように両親その他の大人を説得するよう、子どもに直接的に推奨すること;
6° 消費者により求められていないにもかかわらず事業者により供給された生産物に対する即時のもしくは繰延べられた支払いを求めること、または、その返送もしくは保存を求めること。ただし、それが、L.121-20-3 条に従って供給された代替品である場合は、この限りでない;
7° 消費者が当該生産物または役務を購入しないと、事業者の雇用または生活手段が脅かされることを消費者に明示的に述べること;
8° 実際には[以下のようである]にもかかわらず、消費者が賞品もしくは他の同等の利益をすでに獲得した、これから獲得する、または、ある行為を行うことにより獲得するという印象を与えること;
― あるいは賞品も他の同等の利益も存在しない;
― あるいは賞品または他の同等の利益の請求と関係する行為を行うことが、消費者の金銭支払債務または費用負担債務に従属している。
L.122-12 条 攻撃的取引方法を行う行為は、2 年を上限とする拘禁刑および 150000 ユーロを上限とする罰金で罰せられる。
L.122-13 条 L.122-12 条に定める軽罪を犯した自然人は、最長で 5 年間、直接的にまたは間接的に取引活動を行うことの禁止が科される。
L.122-14 条 L.122-12 条に定める軽罪を犯した法人は、刑法典 131-39 条に掲げる刑罰が科される。 L.122-15 条 攻撃的取引方法により契約締結に至ったとき、当該契約は、無効である。
【郵便通信法典】(フランス)
L.34-5 条 当該方法による直接的勧誘を受けることにつき事前の同意を示していない自然人の連絡先を
いかなる形であれ利用する、自動音声装置、ファックス、電子メールによる直接的勧誘は、禁止される。
【フランス民法】
1369 条の 2 契約締結のために求められる情報または契約履行過程において送信される情報は、情報の受け手が当該通信手段の使用を承諾した場合には、電子メールによって伝達することができる。
1369 条の 3 事業者が自らのメールアドレスを伝えた場合には、事業者のための情報は、電子メールに
よりその者に送ることができる。
【ドイツ民法典】
BGB241a 条(注文のない給付)
(1) 事業者が消費者に対して、注文されていない物を引き渡し、又は注文されていないその他給付を提供することでは、消費者に対する請求権は生じない。
(2) 給付が受領者のために向けられたものではないこと又は給付が注文を誤って理解したことで行われたことについて、受領者が認識していたとき、又は取引上必要とされる注意を払っていれば認識したであろうときは、法律上の請求権は排除されない。
(3) 注文された給付ではなく、性質及び価格に関して同等の価値を有する給付が消費者に提供された場合において、消費者がこの給付について受領義務を負わないこと、かつ返送費用を負担する必要もな
いことが明示されていたときは、注文のない給付とはならない。
【不正競争防止法(UWG)】
UWG7 条(受忍を求めることができない迷惑行為)
(1) 市場参加者が受忍を求めることができない方法で迷惑を受ける取引行為は、許容されない。これは特に、名宛人とされた市場参加者がこれを要望していないことが明確に認識可能となる広告にも妥当する。
(2) 次に掲げるいずれかの場合には、常に、受忍を求めることができない迷惑行為となる。
1. 広告が、消費者が望まないにもかかわらず、第 2 号及び第 3 号に該当せず、かつ通信販売に適切な商業上の伝達手段を利用してその消費者に対して執拗に行われる場合
2. 広告が、消費者に事前の明示的な同意なしに、又はその他市場参加者に少なくとも推定的な同意なしに架電することで行われる場合
3. 広告が、名宛人による事前の明示的な同意なしに、自動架電機、ファックス、電子メールを利用して行われる場合
4. 通知を伴う広告において、通知の伝達を委託する送信者の識別情報を隠蔽し、若しくは秘匿する場
合又は名宛人が、基本料金による通知費用以外の費用をかけることなく、その通知の中止を要求することができる有効な住所が存在しない場合
9 適合性原則
【FINRA 規則 2111(a)】
2111(a) 会員または関係者は、顧客の投資プロファイルを確認するため合理的努力により得られた情報に基づいて、勧誘した取引または単一証券あるいは複数証券を含む投資戦略が当該顧客に適合すると信ずるに足る合理的根拠を持つべきである。顧客の投資プロファイルは、顧客の年齢、他の投資状況、財産状態とニーズ、納税状況、投資目的、投資経験、投資期間、流動性の必要、リスク耐性、および顧客により会員または関係者に開示された勧誘に関係する他の情報を含むが、これらに限られない。
2111(b) 会員または関係者は、(1)会員または関係者が、機関投資家が一般的、かつ特定の取引や単
一証券あるいは複数証券を含む投資戦略の双方において独自に投資リスクを評価する能力があると信ずるに足る合理的根拠を持つ場合、及び(2)機関投資家が会員または関係者の勧誘を評価するにおいて独自な判断を行っていると積極的に表明する場合には、規則 4512(c)に定められる機関投資家に対して、特定顧客への適合性義務を果たしている。機関投資家が、投資助言者または銀行信託部門のような代理人(agent)に判断権限を与えている場合、この規定は当該代理人(agent)に適用される。
(王 冷然 訳)
注:規則 4512(c)は機関投資家の条件を定めるものである。FINRA の正式名称は金融取引業規制機構
「Financial Industry Regulatory Authority」である)
さらに、FINRA は付記 2111.05 において、業者の適合性義務を三つに分けて説明している。 (a)商品の複雑さやリスク及び自社の職員の理解度についての合理的な精査に基づき、勧誘した商
品および投資戦略が少なくとも一定の顧客に 適合すると信ずる合理的根拠があるという「合理的根拠適合性(reasonable-basis suitability)義務」、(b)顧客の投資 投資プロファイル に照らして、取引が当該顧客に適合すると信ずる合理的根拠があるという「特定顧客の適合性(customer-specific suitability)義務」、(c)個々の取引だけでなく、顧客の投資プロファイル全体からみて一連の取引が過剰あるいは不適合になっていないと信じる合理的根拠があるという「量的適合性(quantitative suitability)義務。」
10 不当条項リストの補完
(1)損害賠償の予定・違約金条項について
①損害賠償額の予定・違約金条項、違約罰条項を規制する規定
【消費者契約における不公正条項に関するEC指令(1993 年)】
3 条 3 項 付表には、不公正とみなすことのできる条項の例示的かつ非網羅的リストが含まれる。付表
1 以下の目的または効果を有する条項
(e) 義務を履行していない消費者に対して、不当に高い賠償額を課する
【ドイツ民法】
309 条(評価の余地のない禁止条項)
法規定からの逸脱が許される場合であっても、普通取引約款における以下に定める条項は無効である。 5 号 (損害賠償請求の包括定額化)次の場合における、約款使用者の損害賠償請求または減価賠償請求の包括的予定額の合意
(a) 条項の定める場合において事物の通常の成り行きによれば予測される損害もしくは価値減少を、包括予定額が超えるとき、または
(b) 損害または価値減少がまったく生じていないか予定額よりも著しく少ないことの証明が契約相手に明らかには許されていない場合
309 条
6 号 (違約罰)給付の不受領もしくは受領遅滞、支払い遅滞、または契約相手方が契約を解消する場合に、約款使用者に対して違約罰の支払いを約束する条項
【韓国約款規制法】
8 条 (損害賠償の予定)
顧客に対し不当に過重な遅延損害金等の損害賠償義務を負担させる条項は、無効とする。
【フランス消費法典】
R.132-2 条
事業者と非事業者または消費者の間の契約において、以下のような目的または効果を持つ条項は、事業者が反証を提出した場合を除いて、L.132-1 条第 1 項及び第 2 項の規定の意味で、濫用的であると推定される。
1. (略)
2. (略)
3. 債務を履行しない非事業者または消費者に、明らかに均衡を欠いた額の賠償金を義務付けること。
(以下略)
②契約解消時の清算に関する条項を規制する規定
EC指令付表1(d)(f)は、事業者にある権利を認め、あるいは義務を免除しておきながら、消費者にはこれを認めないことは不公正であるという観点からの規制がなされている点に特徴がある。
【1993 年EC指令】
付表
1 以下の目的または効果を有する条項
(d)事業者が契約の締結や履行を放棄した場合には、消費者にそれと同額の賠償金をあたえることを予定せずに、消費者が契約を締結すること、又は履行することを放棄した場合において、事業者は消費者が支払った金銭を保持できるとする
(f)同様の権利が消費者には認められていないにもかかわらず、事業者には、自由に契約を解消することが認められている。または、事業者が自ら契約を解消しておきながら、未だ提供されていないサ
ービスに対して消費者が支払った代金を保持しうるとする
【ドイツ民法】
308 条 普通取引約款においてとくに以下の条項は無効である。
7 号 (契約の清算)
契約相手方が契約を解除または解約告知するときに、約款使用者が (a)物または権利の使用もしくは利用または履行された給付について、不相当に高額の対価を請求できる
ことになる条項、または
(b)費用について不相当に高額な償還請求ができることになる条項
【韓国約款規制法】
9 条 契約の解除・解約に関して定める条項のうち、各規定の一に該当する内容を定める条項はこれを無効とする。
3 号 契約の解除もしくは解約による顧客の原状回復義務を相当な理由なく過重に負担させ、又は原状回復請求権を不当に放棄させる条項
4 号 契約の解除・解約による事業者の原状回復義務又は損害賠償義務を不当に軽減する条項
(2)契約条項の明瞭化
①代価関連条項として審査対象外となる場合には明瞭化が必要というもの
【オランダ民法】
第 6 編第 231 条a
約款とは、多数の契約において用いられることを目的とした、一つまたは多数の書面による条項をいう。ただし、明確かつ分かりやすい言葉で表現されている限り、給付の核心について定める条項は除かれる。
【フランス消費法典】
L 132-1 条⑦
第 1 項の意味における条項の濫用的な性質評価は、条項が明確かつ理解可能な形で規定されている限り、契約の主たる目的の決定、および売買された物または提供された役務の代金または報酬の適合性を対象としない。
【1993 年 4 月 5 日付EC指令】
第 4 条 2
条項の不公正性の評価は、当該条項が平易かつ明瞭な言葉で表現されている限りにおいて、契約の主たる目的の確定、ならびに提供されるサービスや物品の対価として支払われる代金や報酬の金額の妥当性には及ばない。
②条項の不明確性が不当条項審査の際の考慮要素となること
【ドイツ民法】
307 条 約款中の条項は、当該条項が信義誠実の原則に反して約款使用者の契約相手方を不相当に不利益に取り扱うときは、無効とする。
不相当な不利益は、条項が明確でなく、または平易でないことからも生ずる。
【フランス消費法典】
L.133-2 条
事業者によって消費者または非事業者に提案される契約の条項は、明瞭かつ理解しやすい方法で提示および作成されなければならない。
疑いがある場合には、当該条項は消費者または非事業者に最も有利に解釈される。ただし、前条は[消
費法典]L.421-6 条に基づいてなされる訴訟手続[訳注:消費者団体による不正行為差止訴権のことである]には適用されない。
11 人的・物的適用範囲
(1)消費者概念-指令の状況
【訪問販売指令】(85/577)Art.2
「消費者」とは、自然人であって、この指令が適用される取引において、その者の商取引および職業の
範囲外にあるとみなすことができる目的で行為する者をいう。
【包括旅行指令】(90/314)Art.2(4)
「消費者」とは、パッケージ旅行をすること、またはそれをすることに同意する者(本人たる契約者)、
または、本人たる契約者がパッケージ旅行を購入することに同意することによってその利益を受ける者
(他の受益者)、本人たる契約者あるいは他の受益者からパッケージ旅行を譲渡された者(譲受人)をい
う。
【不公正条項指令】(93/13)Art.2(b)
「消費者」とは、自然人であって、この指令が適用される契約において、その者の商取引、事業または
職業の範囲外にある目的で行為する者をいう。
【タイムシェアリング指令】(94/47)Art.2
「購入者」とは、自然人であって、この指令が適用される取引において、その者の職業の範囲外にあるとみなすことができる目的で行為する者であって、この者に譲渡された契約の対象となる権利を有し、
または、この者のために契約の対象となる権利が設定されたものを意味することとする。
【通信販売指令】(97/7)Art.2(2)
「消費者」とは、自然人であって、この指令が適用される契約において、その者の商取引、事業又は職
業の範囲外にある目的で行為する者をいう。
【価格表示指令】(98/6)Art.2(e)
消費者とは、自然人であって、製品をその者の商取引または職業上の活動の範囲に該当しない目的で購
入する者をいう。
【消費者売買指令】(99/44)Art.1(2)(a)
消費者とは、自然人であって、この指令が適用される契約において、その者の商取引、事業または職業
に関係しない目的で行為する者をいう。
【消費者信用指令】(87/102)Art. 1(2)(a)
「消費者」とは、自然人であって、この指令が適用される取引において、その者の商取引および職業の
範囲外にあるとみなすことができる目的で行為する者をいう。
【電子商取引指令】(2000/31)Art.2(e)
「消費者」とは、自然人であって、この指令が適用される契約において、その者の商取引、事業又は職
業の範囲外にある目的で行為する者をいう。
【通信金融サービス取引指令】(2002/65)Art.2(d)
「消費者」とは、自然人であって、この指令が適用される隔地者間契約において、その者の商取引、事
業又は職業の範囲外にある目的で行為する者をいう
【不公正取引方法指令】(2005/29)Art.2(a)
「消費者」とは、自然人であって、この指令が適用される取引方法において、その者の商取引、事業、
手工業または職業の範囲外の目的で行為する者をいう。
【消費者権利指令】(2011/83)Art.2(1)
「消費者」とは、この指令が適用される契約において、自らの商業、工業、手工業又は自由専門職と関
係のない目的で行動する自然人をいう。(馬場圭太訳)
【ヨーロッパ共通売買法草案(CESL)】Art.2(1)(f)
「消費者」とは、自然人であって、その者の商取引(trade)、事業(business)、手工業(craft)、又は職業(profession)以外の目的のために行為する者をいう。
*Art.2(1)(d)「事業者」とは、自然人または法人であって、その者の商取引、事業、手工業又は職業に
関する目的のために行為する者をいう。
Cf.*内田貴監訳『共通欧州売買法(草案)』44 頁:
Art.2(1)(f) 「消費者」とは、自然人であって、その者の取引、事業、仕事又は職業以外の目的のために行為する者をいう。
Art.2(1)(d)「事業者」とは、自然人または法人であって、その者の取引、事業、仕事又は職業に関する
目的のために行為する者をいう。
【モデル法:★共通参照枠草案(DCFR)】Ⅰ.-1:105(1)
「消費者」とは、自然人であって、主として、自己の商取引、事業又は職業と関係しない目的のために行為する者をいう。
Ⅰ.-1:105(2) 「事業者」とは、その者が自ら営む商取引、仕事又は職業に関係する目的で行為する自然人又は法人をいう。法人については、公法人であるか私法人であるかを問わない。これらの者は、当該行為を通じて収益を得ることを目的としない場合であっても、事業者に当たる。
Ⅰ.-1:105(3) (1)及び(2)のいずれにも該当する者は、この者が消費者である場合に保護を与える規定に関しては、(1)にのみ該当するものとみなし、それ以外の規定に関しては、(2)にのみに該当するもの
とみなす。
(2)加盟国における消費者概念の拡張
①最終名宛人の概念 | ES EL HU LU | (4) | |
②通常のものではない契約を締結した事業者の保護 | FR LU LV PL | (UK) (5) | |
③一定の法人の保護 | AT BE CZ DK EL | ES FR HU SK | (9) |
④被用者(労働者)の保護 | DE (1) | ||
⑤事業を開始する行為における保護 | AT (1) | ||
⑥混合目的の契約 | |||
・純粋な私的目的 | AT BE (2) | ||
・「混合」目的、優先目的による | DE, DK, FI, SE | (4) | |
・混合目的――私的目的の優先は不明 | IT (1) | ||
・明確なルールなし | CY CZ EE EL | ES FR HU | IE LU |
LT LV MT NL | PL PT SK | UK(17) |
※EU 加盟国 (略記方法:ドメイン名)
ベルギー(BE)、ブルガリア(BG)、チェコ(CZ)、デンマーク(DK)、ドイツ(DE)、エストニア(EE)、ギリシャ(EL)、スペイン(ES)、フランス(FR)、アイルランド(IE)、イタリア(IT)、キプロス(CY)、ラトビア(LV)、リトアニア(LT)、ルクセンブルク(LU)、マルタ(MT)、ハンガリー(HU)、オランダ(NL)、オーストリア(AT)、ポーランド(PL)、ポルトガル(PT)、ルーマニア(RO)、スロヴァキア(SK)、フィンランド(FI)、スウェーデン(SE)、英国(UK)
参照文献等
本資料の条文の和訳については、以下の文献等から引用、提供いただいた。
○法制審議会民法(債権関係)部会 部会資料
○丸山絵美子「損害賠償額の予定・違約金条項および契約解消時の清算に関する条項」別冊NBL128 号『消
費者契約における不当条項の横断的分析』(商事法務、2009 年)169 頁以下
○大澤彩「フランスにおける濫用条項のリストについて-2008 年の消費法典改正および 2009 年のデクレの紹介-」法学志林 107 巻 2 号(2009 年)37 頁以下
○角田美穂子「EU における競争法の動向―2004 年ドイツ不正競争防止法と 2005 年EU 不公正取引慣行指令」
(研究ノート)クレジット研究 35 号(2005 年 10 月)126~156 頁
○石田喜久夫編『注釈ドイツ約款規制法改訂普及版』(同文館出版、1999 年)
○潮見佳男=中田邦博=松岡久和監訳オーレ・ランドー/ヒュー・ビール編『ヨーロッパ契約法原則Ⅰ・Ⅱ』
(法律文化社 2006 年)
○潮見佳男=中田邦博=松岡久和監訳オーレ・ランドー/エリック・クライフ/アンドレ・プリュム/ラインハルト・ツィンマーマン編『ヨーロッパ契約法原則Ⅲ』(法律文化社、2008 年)
○フランス消費者法典の不招請勧誘および広告関係規定については、馬場圭太教授(関西大学)から翻訳の提供を受けた。
○不正競争防止法、ドイツ民法典の不招請勧誘および広告関係規定については、寺川永准教授(関西大学)から翻訳の提供を受けた。