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請負契約書はなぜ必要か
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工事請負契約とは:14項目
契約内容をあらかじめ書面で明確にすることで、請負代金、施工範囲等に係る紛争を未然に防ぐことが目的です。
請負契約の締結にあたっては、契約の内容となる一定の重要事項を明示した適正な契約書を作成し、下請工事着工前までに署名または記名押印して相互に交付しなければなりません。建設業法では以下の 14 項目を満たしていなければなりません。(建設業法 第 19 条参照)
なお、この場合、相互に交付する契約書ごとに収入印紙が必要となります。
契約書に記載しておかなければならない重要事項 14 項目 | |||
① | 工事内容 | ⑧ | 工事の施工により第三者が損害を受けた場合におけ |
② | 請負代金の額 | る賠償金の負担に関する定め | |
③ | 工事着手の時期および工事完成の時期 | ⑨ | 注文者が工事に使用する資材を提供し、または建設 |
④ | 請負代金の全部または一部の前払金または出来高部 | 機械その他の機械を貸与する時は、その内容および | |
分に対する支払いの定めをするときは、その支払い | 方法に関する定め | ||
の時期および方法 | ⑩ | 注文者が工事の全部または一部の完成を確認するた | |
⑤ | 当事者の一方から設計変更・工事着手の延期・工事 | めの検査の時期および方法ならびに引渡の時期 | |
の中止の申し出があった場合における工期の変更、 | ⑪ | 工事完成後における請負代金の支払いの時期および | |
請負代金の額の変更または損害の負担およびその額 | 方法 | ||
の算出方法に関する定め | ⑫ | 工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任または当該責 | |
⑥ | 天災その他の不可抗力による工期の変更または損害 | 任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その | |
の負担およびその額の算出方法に関する定め | 他の措置に関する定めをするは、その内容 | ||
⑦ | 価格等の変動もしくは変更に基づく請負代金の額ま | ⑬ | 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合に |
たは工事内容の変更 | おける遅延利息、違約金その他の損害金 | ||
⑭ | 契約に関する紛争の解決方法 |
なお、建設リサイクル法対象工事の場合は、以下の 4 項目を書面で記載しなければなりません。
①分別解体の方法
②解体工事に要する費用
③再資源化するための施設の名称および所在地
④再資源化等に要する費用
注文書・請書の交換による場合
建設業法では、基本的には両者の署名または記名押印により契約書を作成することとされていますが、注文 書および請書(または、発注書および受注書)の形態により請負契約を締結する場合は、次の方法でも可能です。なおこの場合、契約の成立を証明する書面については、収入印紙が必要となります。詳しくは国交省のホー
ムページで確認してください。
公共工事・民間工事とも契約内容を以下のいずれかの書面で作成します。
基本契約の締結
(上記14項目のうち、左記の事項以外を記載)
注文書・請書の交換
(工事内容・請負代金・工期等、個別事項を記載)
+
基本契約約款の添付または印刷
(上記14項目のうち、左記の事項以外を記載)
注文書・請書の交換
(工事内容・請負代金・工期等、個別事項を記載)
+
注)注文書および請書(または、発注書および受注書)には、個別記載事項以外の事項について基本契約書または基本契約約款の定めによることが明記されていること。
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工事請負契約とは:下請契約
適正な手順による下請契約締結とは
適正な元請下請関係の構築のためには、個々の下請契約が各々の対等な立場における合意に基づいて締結される必要があります。
見積依頼<書面で依頼>
工事見積条件を明確にするため、見積依頼は以下の事項が記載された書面で行いましょう。
①工事名称
②工事場所
③工事概要
➃予定工期
(全体工期および見積対象工事の双方)
⑤工法
⑥支給品の有無 ⑨現場説明・図面渡しの日時・場所
⑦施工条件・範囲 ⑩見積書の提出期限
⑧支払条件 ⑪制約条件等その他の必要な事項
標準的な見積項目
見積依頼業者の選定
直接工事費 + 共通仮設費 + 現場管理 + 諸経費
下請契約締結までのフロー図
見積期間
書面で依頼
打合せ
現場説明・図面渡し
合意形成
書面契約
見積書提出
見積依頼
内容が明らかな見積書対等の立場で
着工前に書面契約
見積期間
建設工事の合理的かつ適正な施工を図るためには、あらかじめ契約の重要な事項を下請に提示し、下請が適切に見積りを行うに足りる期間を設けなければなりません。
下請内容の提示から下請契約の締結までの間に設けなければならない見積期間については以下のように定められています。
下請工事の予定価格の金額 | 見積期間 |
①500万円に満たない工事 | 中1日以上 |
②500万円以上5,000万円に満たない工事 | 中10日以上 |
③5,000万円以上の工事 | 中15日以上 |
KSKは、元請として下請との打合せ時に査定の詳細を下請に説明します
注)予定価格が②③の工事については、やむを得ない事情がある時に限り、見積期間をそれぞれ、5日以内に限り短縮することができます。
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