• 日•シンガポールEPA (2002年11月発効、2007年9月改正議定書発効)
日本のEPA:経緯,現状及び今後の見通し
2018年9月21日
在ブラジル大使館 xx xx
日本のEPA:経緯,現状及び今後の見通し
1 EPA交渉の経緯及び現状
2 EPAの内容
3 EPA交渉の今後の見通し
FTAとEPA
FTA:物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃することを目的とする協定
EPA:貿易の自由化に加え,投資,人の移動,知的財産,競争政策等に関するルール作り,様々な分野での協力の要素等を含む,幅広い経済関係の強化を目的とする協定
1 EPA交渉の経緯及び現状
発効済みのEPA(15)
• 日•シンガポールEPA (2002年11月発効、2007年9月改正議定書発効)
• 日•メキシコEPA
(2005年4月発効、2007年4月追加議定書発効、2012年4月改正議定書発効)
• 日•マレーシアEPA (2006年7月発効)
• 日•チリEPA (2007年9月発効)
• 日•タイEPA (2007年11月発効)
• 日•インドネシアEPA (2008年7月発効)
• 日•ブルネイEPA (2008年7月発効)
• 日ASEAN•EPA (2008年12月からxx発効)
• 日•フィリピンEPA (2008年12月発効)
• 日•スイスEPA (2009年9月発効)
• 日•ベトナムEPA (2009年10月発効)
• 日•インドEPA (2011年8月発効)
• 日•ペルーEPA (2012年3月発効)
• 日豪EPA (2015年1月発効)
• 日•モンゴルEPA (2016年6月発効)
署名済み•交渉中等のEPA
1.署名済み(3)
• TPP12 (環太平洋パートナーシップ)(2016年2月署名,日本は2017年1月締結)
• TPP11 (包括的•先進的TPP協定)(2018年3月署名,日本は2018年7月締結)
• 日EU•EPA (2018年7月署名)
2.交渉中等
• RCEP(2013年5月交渉開始,2018年7月第23回交渉会合開催)
• 日中韓FTA(2013年3月交渉開始,2018年3月第13回交渉会合開催)
• 日•トルコEPA(2014年12月交渉開始,2018年9月第11回交渉会合開催)
• 日•コロンビアEPA(2012年12月交渉開始,2015年9月第13回交渉会合開催)
• 日•カナダEPA(2012年11月交渉開始,2014年11月第7回交渉会合開催)
• 日GCC•FTA(2006年9月交渉開始,2007年1月第2回交渉会合開催)
• 日韓EPA(2003年12月交渉開始, 2004年11月第6回交渉会合開催)
我が国の経済連携協定(EPA)の取組
2018年8月現在
これまで21か国•地域と18の経済連携協定(EPA)が発効済•署名済。
•発効済•署名済EPA相手国との貿易が貿易総額に占める割合は51.6%。(※米国を除くTPP11の場合は36.5% ) (比較:米:47.2%(T PPを除くと39.0%),韓:68.2%,EU:36.2%)
•発効済•署名済EPAに加えて交渉中EPA相手国との貿易が貿易総額に占める割合は85.8%。
[参考]『xx投資戦略2018』では2018年までにFTA比率を70%に引き上げることを政策目標として掲げている。
: 既にEPA/FTAが発効済・署名済の国・地域 : 現在、EPA/FTAを交渉している国・地域
日本の貿易総額に占める国・地域の貿
易額の割合(小数点第3位四捨五入)
EU
スイス
モンゴル
日中韓
韓国
TPP12
TPP11
カナダ
GCC 6.15%
台湾
4.82% 香港
2.72%
トルコ
0.28%
その他
6.65%
メキシコ
1.24% チリ
0.61%
ASEAN 15.24%
スイス
0.94%
ペルー
0.21%
トルコ
GCC
中国 日本
インド
米国
メキシコ
コロンビア
0.14%
韓国
5.94%
豪州
米国 4.01%
インド
1.04%
ラオス
カンボジアミャンマー
タイ
フィリピン
インドネシア
ASEAN
ベトナム マレーシア
ブルネイ シンガポール
豪州
ペルー
チリ
コロンビア
中国
21.70%
EU 11.33%
15.10%
カナダ
1.50%
モンゴル
0.03%
ニュージーランド 0.36%
NZ
RCEP
※GCC: 湾岸協力理事会(Gulf Cooperation Council)
(アラブ首長国連邦,バーレーン,サウジアラビア,オマーン,カタール,クウェート)
: 計 51.6%
交渉中
発効済+署名済
: 計 34.2%
発効済+署名済+交渉妥結+交渉中
: 計 85.8%
※韓国は2004年11月から交渉が中断,GCCは2010年から交渉を延期出典: 財務省貿易統計(2018年4月),ただし,米,韓,EUについては,IMF Direction of Trade Statistics (2018年4月)
(各国の貿易額の割合については,小数点第3位四捨五入)
投資関連協定(注)の交渉状況
(注)投資協定及び投資章を含むEPA/FTA
・
・
・
発効済: 41本(投資協定29本,EPA12本)
署名済・未発効: 5本(投資協定2本,EPA3本)交渉中: 24本(投資協定19本,EPA5本)
74の国・地域をカバー
交渉中のものも発効すると
92の国・地域をカバー
投資協定
1 エジプト(1978)
( ):発効年 ※:「自由化型」協定
16 クウェート(2014)※
2 スリランカ(1982) 17 イラク(2014)
3 中国(1989) 18 日中韓(2014)
4 トルコ(1993) 19 ミャンマー(2014)※
5 香港(1997) 20 モザンビーク(2014)※
6 パキスタン(2002) 21 コロンビア(2015)※
7 バングラデシュ(1999) 22 カザフスタン(2015)
8 ロシア(2000) 23 ウクライナ(2015)
9 韓国(2003)※ 24 サウジアラビア(2017)
10 ベトナム(2004)※ 25 ウルグアイ(2017)※
11カンボジア(2008)※ 26 イラン(2017)
12 ラオス(2008)※ 27 オマーン (2017)
13 ウズベキスタン(2009)※ 28 ケニア(2017)
14 ペルー(2009) ※ 29 イスラエル(2017)※
15 パプアニューギニア(2014)
(注)台湾との間では2011年に日台民間投資取決め
(自由化型)を作成。
投資章を含むEPA
1 シンガポール(2002)※
2 メキシコ(2005)※
3 マレーシア(2006)※
4 チリ(2007)※
5 タイ(2007)※
6 ブルネイ(2008)※
7 インドネシア(2008)※
8 フィリピン(2008)※
9 スイス(2009)※
10 インド(2011)※
11 豪州(2015)※
12 モンゴル(2016)※
投資関連協定の現状
■発効済(終了したものを除く)
2018年7月
外務省経済局投資政策室
発効済
署名済・未発効
交渉中他(実質・大筋合意等を含む)
投資協定 投資章を含むEPA/FTA | ||
1 アンゴラ | 11 | ジョージア 1 AJCEP** |
2 アルジェリア | 12 | ヨルダン 2 カナダ |
3 カタール | 13 | セネガル 3 日中韓 |
4 ガーナ | 14 | キルギス 4 RCEP *** |
5 モロッコ | 15 | ナイジェリア 5 トルコ |
6 タンザニア | 16 | ザンビア |
7 アルゼンチン | 17 | エチオピア |
8 コートジボワール | 18 | タジキスタン *投資保護規律・投資紛争解決について交渉 |
9 バーレーン | 19 | EU * **AJCEP:日・ASEAN包括的経済連携 |
10 トルクメニスタン | ***RCEP:東アジア地域包括的経済連携 |
■交渉中
■署名済・未発効
•TPP *協定(2016年2月署名,承認済)(EPA)※
•アルメニア(2018年2月署名,承認済)※
•包括的•先進的TPP *協定(2018年3月署名,承認済)
(EPA)※
•アラブ首長国連邦( 2018年4月署名,未承認)
•日EU•EPA (2018年7月署名,未承認)(投資自由化規律)※
*TPP:環太平洋パートナーシップ
2 EPAの内容
主な交渉分野
•総則
•物品貿易
•原産地規則
•税関手続
•SPS(衛生食物検疫措置)
•TBT(貿易の技術的障害)
•サービス貿易
•投資
•自然人の移動
•知的財産
•競争政策
•電子商取引
•政府調達
•ビジネス環境整備
•紛争解決
•最終規定
新しい交渉分野
•エネルギー•鉱物資源
•食料供給
•国有企業
•労働
•環境
•中小企業
物品貿易
*物品貿易に関する関税撤廃•削減等(市場アクセス)及び内国民待遇等の基本的なルール。
1 市場アクセス(品目ごとに譲許表に記載)
•関税撤廃•削減(ステージング)
•関税割当等
•再協議,見直し,除外
2 ルール
•内国民待遇
•セーフガード措置(二国間,特定品目)
原産地規則
*関税撤廃•削減の対象となる原産品として認められるための要件,証明手続等。
•品目別規則
-付加価値基準,関税分類変更基準等
•累積制度:域内で付加価値の足し上げが可能
•域内の原産地規則の統一
税関手続
*税関手続の透明性•予見可能性の確保,簡素化•迅速化等。
•事前教示制度:税関当局は,輸入者,輸出者又は生産者の要請を受けて,関税分類,原産性等について事前に回答。
•自動化:輸出入手続を単一の窓口において電子的に完了するよう努める。
•急送貨物:必要な税関書類の提出後,一定時間内に引き取りを許可。
サービス貿易
*サービス貿易に関する内国民待遇,最恵国待遇,市場アクセス,拠点設置要求禁止等に関するルール。
•ネガティブ•リスト方式:市場アクセス(数量制限の禁止等)等の義務が適用されない措置•分野を附属書に列挙。
•ラチェット条項
•金融サービス,電気通信サービス
投資
*投資家間の無差別原則(内国民待遇,最恵国待遇),投資に関する紛争解決手続等。
•内国民待遇,最恵国待遇(投資財産の設立段階と設立後)
•特定措置の履行要求(現地調達,技術移転等)の禁止
•収用及び補償
•ISDS(投資家対国家の紛争解決手続き)
自然人の移動
*ビジネス関係者の一時的な入国の許可,要件,手続等に関するルール等。
•短期の商用訪問者,企業内転勤者,投資家等に対する入国及び滞在の許可,滞在期間の長期化
•手続の透明性
•審査の遅滞のない実施
知的財産
*特許,商標,意匠,著作権,地理的表示等の保護,権利行使手続等。
•内国民待遇
•知的財産権の保護(特許,著作物等の保護期間の延長等)
•知的財産に関する制度の運用における透明性,手続事項の簡素化
•国境措置に係る権利行使(税関での取り締まり等)
•民事上の救済に係る権利行使(損害賠償等)
•刑事上の手続及び刑罰に係る権利行使
政府調達
*中央政府,地方政府等による物品•サービスの調達に関するルール。
•附属書に対象機関及び基準額を記載
•調達手続の透明性,公開入札の原則
•入札における内国民待遇及び無差別原則
•調達の過程におけるxx性,xx性
新しい交渉分野(1)
*エネルギー•鉱物資源,食料
(例:日豪EPA)
•GATTの規定に基づく場合であっても,輸出の禁止•制限を導入•維持しないよう努める。
•GATTの規定に基づき輸出の禁止•制限を行おうとするときは,必要な範囲に限定し,他の締約国へ通知し,協議を行う。
新しい交渉分野(2)
*国有企業:国有企業と民間企業の間の対等な競争条件の確保のための規律等。
*労働,環境:貿易•投資の促進のために労働,環境基準を緩和しないこと等。
*中小企業:中小企業が協定による商業上の機会を利用することを支援する方法を特定すること等。
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定
⮚ 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定について、離脱を表明した米国以外の国の間で 一部条文を除く同協定の内容を実現するための協定。 ⮚ 米国の不在に伴い停止する項目を絞り込み、TPP協定の高い水準を維持。 【交渉経緯】 | |
2010年3月 TPP協定交渉開始(当初は8か国) 本が主催)) 2013年7月 日本が交渉参加 11月8-10日 TPP閣僚会合(於:ベトナム):大筋合意 2016年2月 署名(於:NZ・オークランド) 2018年 2017年 1月22-23日 TPP高級事務レベル会合(於:日本・東京) 1月20日 日本、国内手続完了を寄託者(NZ)に通報 → 協定本文及び凍結項目を確定。 1月23日 トランプ米大統領、TPP離脱の大統領覚書を発出 3月8日 署名式(於:xx・xxxxxx) 3月14-15日 TPP閣僚会合(於:チリ) 7月6日 日本、国内手続完了を寄託者(NZ)に通報 5月21日 TPP閣僚会合(於:ベトナム) → TPP協定の早期発効に向けた選択肢を、11月のAPEC首脳会議までに検討。 | |
主な内容(全7条) | |
第1条:TPP協定の組込み 第2条:特定の規定の適用の停止 ※ISDS(投資合意、投資許可)、生物製剤データ保護等の22項目を停止(うち11項目は知財関係) 第3条:効力発生 ※6か国の締結完了 第4条: 脱退第5条: 加入 第6条: 本協定の見直し ※TPP協定の効力発生が差し迫っている場合又はTPP協定が効力を生ずる見込みがない場合には、いずれかの締約国の要請に応じ、本協定の改正及び関係する事項を検討するため、本協定の運用を見直す。 第7条:xx(英、西、仏) |
背景
7月-11月 TPP高級事務レベル会合(計4回開催(3回は日
参加国 | 日本 オーストラリアブルネイ カナダチリ マレーシアメキシコ ニュージーランド ペルー シンガポールベトナム |
人口合計 | 約5億人 |
G D P 合計 | 約10兆ドル |
貿易総額 | 約5兆ドル |
【出典】世界銀行
(数字は2015/2016年)
21
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定
早期締結の必要性
⚫ 参加国間で、物品及びサービスの貿易並びに投資の自由化及び円滑化を進めるとともに、幅広い分野で新たなルールを構築するTPP協定を実施する。
⚫ 海外の成長市場を取り込み、我が国のxx投資戦略2017に寄与する。
• 実質GDP:約1.5%押し上げ(2016年度GDP水準で換算すると約8兆円に相当)
• 労働供給:約0.7%(約46万人)増加
⚫ 世界で保護主義的傾向が強まる中、自由でxxな21世紀型のルールを作っていく上で重要な一歩であり、米国や他のアジア太平洋諸国•地域に対しても積極的なメッセージになる。
【21世紀型ルールの例】
<投資>
投資先の国が投資企業に対し技術移転等を要求することの禁止
<貿易円滑化>
急送貨物の迅速な税関手続(6時間以内の引取)を明記
<電子商取引>
国境を越える情報の自由な流通の確保、デジタル・コンテンツへの関税賦課禁止
ソースコード(ソフトウエアの設計図)移転・アクセス要求の禁止、サーバー現地化要求の禁止
<国有企業>
非商業的援助により他の締約国の利益に悪影響を及ぼすことの禁止
<知的財産>
模倣・偽造品等に対する厳格な規律
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定
凍結項目一覧
〇急送少額貨物(第5•7条1(f)の第2文)
〇ISDS(投資許可、投資合意)関連規定(第9章)
〇急送便附属書(附属書10-B 5及び6)
〇金融サービス最低基準待遇関連規定(第11•2条の一部等)
〇電気通信紛争解決(第13•21条1(d))
〇政府調達(参加条件)(第15•8条5)
〇政府調達(追加的交渉)(第15•24条2の一部)
〇知的財産の内国民待遇(第18•8条(脚注4の第3~4文))
〇特許対象事項(第18•37条2、第18•37条4の第2文)
〇審査遅延に基づく特許期間延長(第18•46条)
〇医薬承認審査に基づく特許期間延長(第18•48条)
〇一般医薬品データ保護(第18•50条)
〇生物製剤データ保護(第18•51条)
〇著作xxの保護期間(第18•63条)
〇技術的保護手段(第18•68条)
〇権利管理情報(第18•69条)
〇衛星•ケーブル信号の保護(第18•79条)
〇インターネット•サービス•プロバイダ(第18•82条、附属書18- E、附属書18-F)
〇保存及び貿易(第20•17条5の一部)
〇医薬品•医療機器に関する透明性(附属書26-A第3条)
○ブルネイの投資•サービス留保表の一部(附属書Ⅱの一部)
○マレーシアの国有企業留保表の一部(附属書Ⅳの一部)
TPP11参加国の基礎データ(2016年)
単位(億米ドル) | ||
GDP | 割合 | |
日本 | 49,365 | 48.4% |
カナダ | 15,298 | 15.0% |
豪州 | 12,617 | 12.4% |
メキシコ | 10,469 | 10.3% |
シンガポール | 2,970 | 2.9% |
マレーシア | 2,965 | 2.9% |
チリ | 2,470 | 2.4% |
ベトナム | 2,013 | 2.0% |
ペルー | 1,953 | 1.9% |
NZ | 1,817 | 1.8% |
ブルネイ | 114 | 0.1% |
合計 | 102,051 | 100% |
日本 | カナダ | 豪州 | メキシコ | シンガポール | マレーシア | |
人口 (万人) | 12,696 | 3623 | 2437 | 12,227 | 561 | 3,163 |
GDP/人 (ドル) | 38,883 | 42,225 | 51,737 | 8,562 | 52,961 | 9,374 |
貿易総額 (億ドル) | 12,681 | 7,836 | 3,843 | 7,606 | 4,888 | 4,338 |
チリ | ベトナム | ペルー | NZ | ブルネイ | ||
人口 (万人) | 1,820 | 9,269 | 3,148 | 478 | 42 | |
GDP/人 (ドル) | 13,576 | 2,172 | 6,204 | 38,278 | 26,935 | |
貿易総額 (億ドル) | 1,185 | 4,087 | 701 | 674 | 81 |
メキシコ
10% 日本
(参考)
TPPの発効要件
(2013年のGDP)
メキシコ
4%
豪州
12%
カナダ
15%
48%
豪州
5%
カナダ
7%
日本
18%
米国
60%
5
(出典)IMF, World Economic Outlook Database, October 2017 United Nations Commodity Trade Statistics Database
TPPに関するトランプ大統領の立場
• 2017年1月23日,米国をTPP交渉及び協定から離脱させる旨通商代表に指示する大統領覚書 に署名。
「我々はxxな貿易を望む。我々は外国をxxに扱うが,外国も我々をxxに扱う必要がある。」
(2017年1月23日 ビジネスリーダーとの会議におけるトランプ大統領発言)
• 2018年1月25日のCNBCのインタビュー及び2月25日のターンブル豪首相との共同記者会見にて
TPPへの復帰の可能性に言及。
「もし我々が,かつての合意内容より,十分より良い合意内容ができるのであればT PPに参加する。」 (2018年1月25日のCNBCのインタビュー)
「TPPは米国にとって非常に悪いディールであった。(中略)しかし,我々は入る可能性がある。」 (2018年2月25日のxx首脳合同記者会見)
• 2018年4月13日,ホワイトハウスのウォルター副報道官は👉明を発表。
「大統領はライトハイザー通商代表と国家経済会議のクドロー委員長に,TPPがよりよい協定になるよう交渉できるかどうか検討するよう求めた。」
• 2018年4月18日の日米首脳合同記者会見においてもTPPについて言及。
「アメリカにとっては二国間の方が好ましい。拒むことができない協定でなければ,TPPに戻ることはない。」
7
日EU•EPA 【署名】
平成30年7月外務省経済局
第25回日EU定期首脳協議等
7月17日(火曜日),東京にて,xxxx内閣総理大臣は,xxxx・xxxx欧州理事会議長及びxxxxxxxx・xxxx欧州委員会委員長との間で第25回日EU定期首脳協議及び少人数会合を実施しました。定期首脳協議後には,日EU・EPA及びSPAの署名式,共同記者会見が行われました。また,今回の定期首脳協議に際し,共同声明が発出されました。
日EU・EPA及びSPAへの署名
⚫ 両首脳は,5年以上に及ぶ交渉を経て,日EU経済連携協定(EPA)及び戦略的パートナーシップ
協定(SPA)に署名しました。
⚫ xx総理は,両協定の署名は,日EU関係をより高い次元に引き上げる価値のある画期的なものであるとの認識を示した上で,EPAへの署名は,保護主義的な動きが世界で広がる中,日本とEU が自由貿易のxxとして,世界をリードしていくとの揺るぎない政治的意思を世界に鮮明に示すものであり,EPAを礎に,今後も日EUが自由貿易のxxとして,WTOを中心とする多角的自由貿易体制を堅持,発展させていきたい旨述べました。
⚫ これに対し,トゥスク議長から、欧州と日本は地理的には遠く離れているが,日EUが政治的にも経済的にも,これ程までに近づいたことはない旨の発言がありました。また,ユンカー委員長から, 日EU・EPAは、xx性と価値を核とした協定であり,世界に対して範を示すものである旨の発言がありました。
日EU•EPA 【意義と経緯】
平成30年7月外務省経済局
日EU・EPAの意義・経済上のメリット
⚫ 本協定は,アベノミクスの成長戦略の重要な柱。(総理施政方針演説等)
⚫ 本協定署名は,日EUが引き続き自由貿易のxxとして世界に範を示し続けるとの力強いメッセージ。
⚫ 自由でxxなルールに基づく,21世紀の経済秩序のモデル(国有企業,知財,規制協力等)。
⚫ 世界のGDPの約3割,世界貿易の約4割を占める日EUによる世界で最大級の規模の自由な先進経済圏が新たに誕生。
⚫ 我が国にとっての経済効果は,実質GDPを約1%(約5兆円)押し上げ,雇用を約0.5%(約29万人)増加させる見込み。
⚫ 本協定の署名により,我が国の署名・発効済みFTAカバー率(TPP12含む)は,40.3%から51.6%まで増加の見込み。
(※TPP11の場合は25.2%から36.5%)
経緯
平成25年3月:交渉開始 ⇒ 平成29年7月:大枠合意 ⇒ 同年12月:交渉妥結 ⇒ 平成30年7月:署名
人口(2017年)
日本+EU=8.5%(6億人)
GDP(2017年) 日本+EU=27.8%
貿易(輸出+輸入)(2017年)日本+EU=36.9%
人口 (2017年,百万人) | シェア(%) | |
日本 | 127 | 1.7% |
EU | 512 | 6.8% |
米国 | 326 | 4.3% |
中国 | 1,386 | 18.4% |
その他 | 5,179 | 68.8% |
世界計 | 7,530 | - |
GDP (2017年,10億ドル) | シェア(%) | |
日本 | 4,872 | 6.1% |
EU | 17,309 | 21.7% |
米国 | 19,391 | 24.3% |
中国 | 12,015 | 15.0% |
その他 | 26,279 | 32.9% |
世界計 | 79,865 | - |
貿易(輸出+輸入) (2017年,10億ドル) | シェア(%) | ||
日本 | 1,369 | 3.9% | |
EU | 11,705 | 33.1% | |
域内 | 7,468 | 21.1% | |
米国 | 3,888 | 11.0% | |
中国 | 4,112 | 11.6% | |
その他 | 14,309 | 40.4% | |
世界計 | 35,384 | - |
出典:World Bank, World Development Indicators, May 21, 2018
出典:IMF, World Economic Outlook Database, April 2018
出典:IMF, Direction of Trade Statistics, May 25, 2018
日EU•EPA 【効果】
平成30年7月外務省経済局
(1)日本産品のEU市場へのアクセス(「攻め」)
🞐 EU側関税撤廃率:約99%(注1)(注2)
⚫ 工業製品
✓ 100%の関税撤廃を達成。
✓ 乗用車(現行税率10%):8年目に撤廃。
✓ 自動車部品:貿易額で9割以上が即時撤廃。
⚫ 農林水産品等
✓ 牛肉,茶,水産物等の輸出重点品目を含め,ほぼ 全ての品目で関税撤廃(ほとんどが即時撤廃)。
✓ 日本ワインの輸入規制の撤廃(醸造方法の容認,業者の自己証明の導入)。自由な流通が可能。
✓ 農産品や酒類(日本酒等)に関する地理的表示
(GI)の保護を確保。
(2)EU産品の日本市場へのアクセス(「守り」)
🞐 日本側関税撤廃率:約94%(注2)
(農林水産品:約82%,工業品等:100%)。
⚫ 農林水産品
✓ コメは,関税撤廃・削減等の対象から除外。
✓ 麦・乳製品の国家貿易制度,糖価調整制度,豚肉の差額関税制度は維持。関税割当てやセーフガード等の有効な措置を確保。
✓ ソフト系チーズは関税割当てとし,枠数量は国産の生産拡大と両立可能な範囲に留めた。
✓ 牛肉は15年の関税削減期間とセーフガードを確保。
⚫ 工業製品
✓ 化学工業製品,繊維・繊維製品等:即時撤廃。
✓ 皮革・履物(現行最高税率30%):11年目又は16年目
に撤廃。
我が国産品の輸出拡大や市場拡大の実現
⚫ 工業製品 :乗用車・自動車部品に加え,一般機械,化学工業製品,電気機器も高い割合でEU側関税の即時撤廃を実現。
大企業のみならず,メーカーに部品を納入する中小企業にも裨益。
⚫ 農林水産品:牛肉,茶,水産物等の輸出重点品目を含め,ほぼ全ての品目で関税撤廃(ほとんどが即時撤廃)を獲得し,5億人を超えるEU市場への我が国農林水産物輸出促進に向けた環境が整備。GI保護によるブランド価値向上。
⚫ 酒類 :酒類の輸出拡大(EU側は全ての関税を即時撤廃)。GI保護によるブランド価値向上。
(注1)EU側の撤廃率はEU側公表資料による。交渉中に使用した2012年のHSコードに基づくもの。
(注2)撤廃率は,品目数ベースで算出したもの。
東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉
概要
⮚RCEP(アールセップ)は,東アジア地域包括的経済連携
(Regional Comprehensive Economic Partnership)の略
⮚交渉参加国:ASEAN10か国+6か国(日本,中国,
韓国,オーストラリア,ニュージーランド,インド)
⮚交渉分野:物品貿易,原産地規則,税関手続•貿易円滑化,衛生植物検疫措置(SPS),任意規格•強制規格•
適合性評価手続(STRACAP),貿易救済,サービス貿易,金融サービス,電気通信サービス,人の移動,投資,競争, 知的財産,電子商取引,経済技術協力,中小企業,
政府調達,紛争解決等
経緯 共同首脳声明の要旨(2017年11月)
●保護主義の台頭及び反グローバリゼーションの風潮においても我々の経済は強靱さを維持。貿易の開放性と地域経済統合がもたらす有益な貢献が強靱な経済の維持に繋がることを認識。
●市場アクセス,ルール及び協力のxxxにおいて成果を出す。
●現代的な,包括的な,質の高い,かつ互恵的な経済連携協定を達成するというコミットメントを再確認。
●RCEP交渉の妥結に向けて2018年に一層努力することを指示。
中国
韓国
ラオス
ミャンマー
タイ
日本
フィリピン
インド
ベトナム
カンボジア
ブルネイマレーシア
シンガポール
インドネシア
オーストラリア
ニュージーランド
2012年11月
2013年 5月
2017年 11月
RCEP交渉立上げを宣言 於:カンボジア
第1回RCEP交渉会合 於:ブルネイ
RCEP首脳会議 於:フィリピン
2018年 7月1日 第5回中間閣僚会合 於:東京
7月下旬
8月末
第23回RCEP交渉会合
於:タイ
第6回閣僚会合 於:シンガポール
※閣僚レベルは6回の閣僚会合に加え,5回の中間会合等も行われた。
RCEPの意義
●世界人口の約半分,世界のGDP及び貿易総額の約3割を占める広域経済圏。世界的に保護主義的な声が高まる中,国際社会に対して自由貿易推進の力強いメッセージを発信。
●世界の成長センターであるアジア太平洋地域の取り込みは,我が国が経済成長を維持・増進していくために不可欠。多くの我が国企業が活動するこの地域において自由でxxな経済圏を構築し,サプライチェーンの効率的な形成等に寄与。
●市場アクセス(関税削減等)の改善により,地域の貿易・投資を促進。また,税関手続,知的財産,電子商取引等のルールを整備することにより,非関税分野における我が国企業の活動を支援。
日本の貿易総額に占めるRCEP参加国の割合
(2017年,小数点第2位四捨五入)
日本と交渉参加国(ASEAN,中,韓,豪,NZ,印)の貿易構造
その他
25.3%
EU
ASEAN 15.2%
中国
21.7%
交渉参加国→日本(2016年) 輸入総額 約33.9兆円
電気機器
22%
その他
34%
総額
日本→交渉参加国(2016年)
輸出総額 約30.4兆円
一般機械
20%
その他
32%
総額
11.3%
米国
15.1%
韓国
5.9%
インド 豪州
金属鉱等 3%
33兆8,731
億円
一般機械
12%
農林水産品
1%
元素及び化合物
30兆4,193
億円
電気機器
20%
NZ 0.4%
1.0%
4.0%
石炭•コーク
ス•練炭 4%
天然ガス等•製造ガス 6%
衣類等
8%
農林水産品
11%
4%
プラスチッ
ク 鉄鋼
5% 6%
輸送用機器
12%
RCEP参加国
: 計 48.3%
出典: 財務省貿易統計
出典: 財務省貿易統計
日中韓FTA交渉
1 意義
●主要な貿易相手国である中国(第1位,約21%)及び韓国(第3位,約6%)を相手とするFTA。3か国のGDP及び貿易額は,世界全体の約2割,アジアの約7割を占める。両国の取り込みは,我が国が経済成長を維持•増進していくためにも不可欠。RCEPを上回る付加価値をどれだけ付与できるかが焦点。
●日中韓3か国間の経済関係の強化を通じ,この地域の安定•外交関係の強化に貢献。
2 経緯
2012年 5月 日中韓サミット(於:中国•北京)において,日中韓FTAの年内の交渉開始につき一致。
2012年11月 ASEAN関連首脳会議の機会に開催された日中韓経済貿易担当大臣会合(於:カンボジア•プノンペン)において,日中韓FTA交渉の開始を宣言。
2013年 3月 第1回交渉会合を開催(於:韓国•ソウル)。2018年3月までに計13回の交渉会合を実施
3 交渉の現状
●物品貿易,投資,サービスをはじめとする幅広い分野において,交渉を実施してきた。第13回交渉会合以降は,3か国ともに参加しているRCEP交渉が最終段階に入っているため,RCEP交渉の進展の現状を確認し,いかなる付加価値を付与することができるかを討議している。
日中韓サミット共同宣言における日中韓FTAへの言及
日中韓サミット共同👉明(仮訳抜粋) 2018年5月9日(東京)
我々は,多角的貿易体制を補完し強化する二国間,地域的,及び複数国間の貿易協定の重要性を強調する。我々は,日中韓FTAが, 3か国の経済•貿易協力を深化させ,東アジアにおける貿易•投資の自由化及び円滑化を促進するための重要な方途であり,3か国の共通の利益に資することを再確認する。我々は,日中韓FTAについて,独自の価値を有する,包括的な,質の高い互恵的な協定を実現す るため,交渉を加速すべく一層努力することを再確認する。また,我々は,市場アクセス及びルールの重要な進展が必要であることに留意し,東アジア地域包括的経済連携(RCEP)について,現代的で,包括的な,質の高い互恵的な協定の迅速な妥結に向けて協定の交渉を加速するため一層努力するという,強いコミットメントを再確認する。我々は,全ての分野において,質の高い,かつ,商業的に意味のある成果を実現するために協力していく。
(参考)日中及び日韓間の貿易構造
日本→中国(2017年)
日中貿易構造
中国→日本(2017年)
日本→韓国(2016年)
日韓貿易構造
韓国→日本(2016年)
対中輸出総額 14兆8,897億円
電気機器
対中輸入総額 18兆4,593億円
対韓輸出総額 5兆204億円
0.9 3.3
農林水産品
対韓輸入総額 2兆7,221億円
農林水産品
0.5%
0.8%
2.9%
9.4%
14.3%
22.7%
26.6%
0.6%
29.7%
電気機器 一般機械 原料別製品化学製品
食料品
7.5
2.9
13.6
15.9
7.5
石油製品等化学製品
プラスチック•ゴム繊維製品
卑金属
1.9
3.2
14.5
8.2
9.8
9.8
石油製品等化学製品
プラスチック•ゴム繊維製品
卑金属
11.8%
15.4%
22.2%
原料品
鉱物性燃料食料品
その他
1.1%
2.7%
4.9%
6.1%
11.5%
16.9%
輸送用機械原料品
鉱物性燃料その他
13.6
21.1
12.9
0.8
機械類
電気機器自動車 精密機器その他
17.1
13.1
14.4
6.2
1.9
機械類
電気機器自動車 精密機器その他
出所:財務省貿易統計(2017年) 出所:財務省貿易統計(2016年)
33
3 EPAの今後の見通し
EPAの基本方針
●TPP11及び日EU•EPAの早期発効を目指すとともに,R CEP,日中韓FTA等の経済連携交渉を戦略的かつスピード感をもって推進する。
EPAの今後
●TPP11:署名国の過半数の国が国内法上の手続きを完了した旨を書面により寄託者(NZ)に通報後60日で発効。
●日EU•EPA:日EU双方の手続き完了通告後,翌々月の初日に発効。
●RCEP:「閣僚は,パッケージの完成により本年にRCEP交渉が実質的に完了することへの期待を表明。」
●日中韓FTA,日トルコEPA等:交渉中
今後の注目点
●日EU•EPA発効の見通し
●TPP11の発効時期とTPPへの参加の動き
●日米経済対話とFFR協議の進展
●RCEP等の交渉の進展
ありがとうございました!