eSports & Game Industry Newsletter
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2023 年 4 月 17 日(No. 6)
炎上事例を踏まえた契約条項
弁護士 xx xx / 弁護士 xx xx/ 弁護士 xx xx
Contents
Ⅰ. はじめ
Ⅱ. e スポーツ選手の不祥事事例
Ⅲ. 契約条項
Ⅳ.おわり
I. はじめ
近年注目を集めている e スポーツであるが、メディアを通じた報道は e スポーツ界 とって明るいものだけではない。選手の活躍を報じるものだけでなく、不適切発言、未xx飲酒あるいは淫行等、選手の不祥事が取り上げられるケースも増加しているのが現実である。そこで、今回のニュースレターでは、実際発生した e スポーツ選手の不祥事事例を取り上げ、e スポーツチームが選手と契約する あたり留意すべき事項ついて検討したい。
II. e スポーツ選手の不祥事事例
(1) 不適切発言
【事例】e スポーツ選手がゲーム実況の配信中や自身の SNS 上おいて、他選手を罵倒し、その人格を否定するような発言をした不適切発言事例
【結果】契約解除、活動停止処分
(2) 未xx飲酒
【事例】e スポーツ選手が未xxでありながら友人と飲酒をした未xx飲酒事例
【結果】契約解除、サポート提供の停止
(3) 異性関係
【事例】e スポーツ選手が女性 わいせつな行為や不貞行為をした異性関係事例
【結果】契約解除
III. 契約条項
上記の通り、選手の不祥事はゲーム内外を問わず生じ、炎上するのはプライベート関するものである傾向が強い。では、チームは選手の私生活も管理しなければならないのだろうか。チームは所属選手が大会おいてよい成績を残すことを含めたサポートをすることが目的であるはずなので、選手の私生活まで管理することは容易ではない。しかし、選手の不祥事はチームの名をも傷つけることは事実である。チームとしては、選手個人の身勝手な行為より自身の社会的評価泥をぬられることを避けたいのは当然であろう。そのようなリスクを回避するため重要なのが、選手との契約である。そこで、上記の不祥事を踏まえ、チームが選手と契約を締結するあたり留意すべき条項ついて検討したい。
(1) 表明保証条項
表明保証条項とは、一方当事者が一定の事項がxxかつ正確であることを相手方当事者対して表明し、保証する条項である。不祥事よるリスクの予防の観点からは、選手対して、チーム所属するあたって過去の不適切な行為等がないことを表明し保証させることが望ましい。上記のような事案を踏まえると、選手個人が過去問題行為をしていないこと、具体的は、SNS やネット配信等おける問題発言をしていないこと、法令抵触するような行為をしていないこと、チートの使用等の不適切なゲームプレイをしていないこと等を表明し保証させることが考えられる。表明保証おいて、何を表明し保証させるかは、各チームおいて、どのような過去の行為がある場合は容認できないかという視点から考えることなるだろう。
(2) 誓約事項
誓約事項とは、一方当事者が、相手方当事者対して、一定の行為をすること、またはしないことを約する条項である。選手契約おいては、上記事案を踏まえると、チームが加盟するリーグ・連盟等の諸規程、チームの諸規則を遵守すること、チーム運営会社、チームまたはスポンサーの社会的評価信用の低下を惹起し、またはそのおそれのある行為をしないことを誓約させることが望ましい。内容としては、上記(1)の表明保証と似ているが、表明保証が現在および過去のこと、誓約事項が将来のことを規定するものであるという点で異な る。したがって、規定する事柄自体は、表明保証と誓約事項とでは類似しており、条項の内容を定めるあたり、チームとして不適切と考える選手の行為は何かという視点は同じであるといえる。また、チームとして参加する予定の大会やリーグへの参加義務またはスポンサー活動への協力義務など、禁止行為だけではなく選手が行うべき行為や行動ついての義務を盛り込むことも考えられる。
具体例
(1) 善良な風俗または公の秩序反する行為
(2) 犯罪の嫌疑を受ける状況を惹起する行為
(3) チーム、スポンサー等またはそれらの関連会社のブランドイメージ傷つけ、またはそのおそれのある行為
(4) チーム、スポンサー等またはそれらの関連会社の社会的評価または信用の低下を惹起し、またはそのおそれのある行為
(5) メディアまたはソーシャルメディア上で他者の誹謗・中傷を行う行為
表明保証および誓約事項で規制すべき具体例としては、次のような例が考えられる。
(3) 秘密保持条項
秘密保持条項とは、契約の締結・遂行の過程で得た相手方の秘密情報ついて、外部への漏えいや目的外利用がないよう秘密保持(守秘)義務を課す条項をいう。選手契約おける秘密情報としては、選手がチームからサポートを受けるあたり知った所属チームや企業の情報などが考えられる。その他は、ゲームの戦略、戦術、選手の起用、トレーニングの内容等が考えられる。企業の機密情報やチームの戦術などが世間 流出すれば、当該情報の価値が下がるととも、企業としての損失も大きいことは容易想像できる。チームとしては、選手との契約おいて、選手が内部情報を漏洩しないよう秘密保持条項を定めるべきである。
(4) 制裁条項
制裁条項とは、契約当事者が当該契約おいて規定された内容違反した場合その罰として一定の不利益を及ぼすことを規定するものである。例えば誓約条項違反した場合、契約を解除するという内容の規定などである。契約解除の他も、制裁内容としては陳謝、選手サポートの停止または損害賠償などが考えられる。
制裁条項は、ある条項違反した場合契約当事者科せられる不利益であるが、選手契約おける機能は、不祥事の発生抑止あり、契約当事者対して条項違反すれば制裁が科されることで条項違反を抑止する抑止効果、すなわち違反してはいけない、守らなければいけない事項つきその拘束力を強める働きがある。もっとも、やみくも強い制裁条項を規定すればよいというわけではない。契約は契約者間の合意であるから、契約当事者双方が合意すれば、法令違反しない限り、契約内容とすることができる。しかし、違反が軽微もかかわらず重大な制裁を科すような条項を規定した場合、そもそも契約当事者の間で合意が成立したと言えるか疑問が生じるリスクがあると考えられる。また、そのよう違反内容と制裁内容が均衡しない契約内容は、選手の立場の弱さを考えると妥当ではない。
したがって、チーム側と選手側の立場の差異鑑み、選手を不必要強く拘束するような条項は避け、チームが選手をサポートするあたり最低限選手守ってほしいことは何か、どのようなリスクが考えられるかなどを整理した上で、妥当な契約内容とすることが望ましい。
IV. おわり
今回はe スポーツ選手の不祥事事例をもと 、選手契約の内容 ついて検討した。e スポーツは、比較的若い世代の選手が活躍しており、ゲーム配信は基本的ネット上で行われるため、若い選手があまり考えずとった行動より炎上する事例がしばしば見受けられる。e スポーツがいまだ発展途上であるからこそ、選手契約等は典型的なひな型のようなものもない。それゆえ契約締結あたっては、一方が過度有利ならないよう留意すべきである。業界の状況は刻一刻と変化するため、状況変化は敏感であるべきであり、時と
場合よっては契約内容の変更も検討しなければならない。選手がより良いサポートを受けることができ、チームとしての社会的評価も高まるような契約が締結され、e スポーツが健全 発展することが望ましい。
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