CONTENTS
マンションリフォーム技術協会 会報 第 38 号
〔20 周年記念講演〕
◇ 高経年マンションのプロパティマネジメントに向けて
◇ 社員総会・設立20 周年記念式典 開催
◇〔CCU シンポ〕マンション修繕設計監理契約約款
CONTENTS
◆会長就任挨拶 会長 xxxx 2
◆ 20 周年記念式典講演
高経年マンションのプロパティマネジメントに向けて 東洋大学名誉教授 xxxx 4
◆ 2023 年度定時社員総会・設立20 周年記念式典開催
…………………………… 16
◆新理事就任にあたって 21
xxxx/xxxx/xxxx/xxxxxxxxx/xxxx
◆ marta 会員コーナー〈新技術・製品情報〉
•新型改修用水性弾性サーフェーサー
エスケー化研㈱ 24
◆(一社)クリーンコンサルタント連合会企画シンポジウム
……………………………………… 26
◆会員一覧 31
◆編集後記 39
〈表紙写真 タリン地区(エストニア)〉
会長就任ご挨拶
一般社団法人マンションリフォーム技術協会会長 xx xx
マンションリフォーム技術協会(marta)が20 周年を迎えた2023 年3月に会長に就任いたしましたxxxxです。あらためて20 周年記念式典にはたいへん多くの方々のご列席ならびにご祝辞を賜り心より御礼を申し上げます。マンション改修業界を取り巻く環境は一層厳しさを増しており、構造的な人手不足やコロナ禍、そしてロシアによるウクライナ侵攻を受けた資材の高騰や遅配など課題は山積しています。設計事務所、施工会社、材料メーカーが三位一体となって改修技術の向上に努めてマンション管理組合のみなさまに安全・安心・快適な住環境を届けられるよう研鑽を続けていきますが、みなさまからのご指導ご鞭撻を引き続きお願い申し上げます。
xxxxx の生い立ち 建築家としてマンションの修繕に積極的に取り組むメンバーが集まって1987 年に現在の JIA xxx 築家協会の技術部会にメンテナンス分科会が誕生します。のちのメンテナンス部会です。門戸を大きく広げた部会で JIA 会員になる前の私も参加させてもらっていました。さらに会員以外の改修工事会社や材料メーカーも加わってリフォーム技術研究会を立ち上げ、市民のための大規模修繕工事セミナーを展開して多くの集客を得ていきます。当時はバブル経済の真っ只中で建築家も羽振りのいい時代です。他人が設計したマンションをちまちまと繕うなど建築家の仕事ではないとメンテナンス部会は JIA の中で蔑まれていましたが、会員でもないメンバーがセミナーで好評を博していることに JIA 本部から小言が伝わってきます。居心地がわるくなって思い切って外に飛び出したのが2003 年マンションリフォーム技術協会(marta)の設立です。新橋のxxビルに事務所を構えますが、2006 年には JASO 耐震総合安全機構がやはり JIA の事務所を退去させられてxxビルに同居することになります。1995 年の阪神淡路大震災を受けて1996 年に JIA 日本建築家協会と JSCA 日本建築構造技術者協会と JABMEE 建築設備技術者協会が設立した JARAC 建築耐震設計者連合が JASO の前身です。メンテナンス部会も阪神淡路大震災には調査団を派遣しています。この縁の深い2つの組織が奇しくも同じビルで産声を上げた
わけです。
温暖化の進行 わが家の食卓からサンマが消えてずい ん経ちます。脂が乗って内臓も細い骨も食べられる安くて旨 い庶民の味方でした。サンマのシーズンに魚屋を覗いてみるとびっくりするような値段で売っていました。しかも小 りで痩せていて脂が乗っているようには見えません。旨いサンマはどこに行ってしまっ
たのでしょうか。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書では「大気や海洋などの広い範囲で急速な変化が起こっている」とした上で、漁業など食料生産にも悪影響が及んでいるとして、サンマの不漁の原因の一つに地球温暖化の影響が指摘されています。
1世紀以上にわたり化石燃料を燃やしてきたことと、不平等で持続不可能なエネルギー・土地の利用によって、世界の温暖化は産業革命以前と比べて1.1℃進んでいます。その結果、異常気象の頻発化、激甚化が進み、世界のあらゆる地域の自然と人々にますます危険な影響をもたらしています。温暖化がわずかでも進むと被害は急速に深刻化していきます。激しさを増す熱波、降水量の増加などの異常気象は、人々の健康や生態系にとってのリスクをさらに増大させていきます。気候変動に起因する食料と水の供給の不安定化は、温暖化の進行とともに拡大すると予想されています。こうしたリスクがパンデミックや紛争などのほかの有害な事象と共に起きた場合に、これらを管理することはさらに困難となります。
カーボンニュートラル
政府は2050 年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの
「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。そのためには、温室効果ガスの排出量を削減ならびに吸収作用を保全および強化する必要があります。
建築物省エネ法が改正されて2025 年4月からはすべての新築住宅にも省エネ基準適合が義務付けられます。適合しないと確認済証や検査済証が発行されません。住宅金融支援機構では、脱炭素社会の実現に向け、住宅の省エネ性能の向上を促進するため、フラット35S 等の省エネルギー基準を変更して、 2023 年4月よりフラット35 は省エネ基準が要件化されました。
例えば東京23 区の地域では、屋根の外張断熱工法で断熱材の熱抵抗 R が4.0 以上(押出法ポリスチレンフォーム3種 bA を65 ㎜+ 50 ㎜など)、有効な庇や軒等がない所に設置する開口部(窓、ドア)の熱貫流率 U が4.7 以下(Low-E 二層複層ガラスA6 など)、給湯設備は石油潜熱回収型給湯機エコフィール、ガス潜熱回収型給湯機エコジョーズまたは電気ヒートポンプ給湯機エコキュートのいずれかを設置しなくては省エネ基準に適合しません。これからは、マンションの大規模修繕工事においても省エネの意識が求められます。屋上防水の外断熱改修、外壁の外断熱改修、サッシやドアの断熱改修、照明器具のLED 化、専有部分であっても給湯機の省エネ化を管理組合が区分所有者に推奨するなどの取り組みが考えられます。
出典「カーボンニュートラルとは」(環境省脱炭素ポータルより)
省エネ改修 そうは言っても修繕積立金は現状維持の大規模修繕工事ですら心許ない現実があります。少しずつ省 エネ改修をおこなっていかざるを得ません。屋上防水の外断熱化は公共建築改修工事標準仕様書において標準仕様になっています。マンションにおいてもその断熱効果を最新の省エネ基準に適合させればいいわけです。サッシやドアの断熱改修には国(国土交通省や経済産業省など)の省エネ補助金と自治体(xxxなど)の省エネ補助金を併用することができます。住宅金融支援機構はマンション共用部分リフォーム融資で省エネ改修を含む大規模修繕工事には20 年返済の枠を用意してくれています。マンション管理計画認定を取得していると金利を下げてくれます。管理組合にとって大きなインセンティブになっているのです。一つずつ省エネ改修を積み重ねて2050 年までにカーボンニュートラルなマンションが
実現できればいいと思います。
これからの課題
働き方や休み方の改革が社会の急務になっています。平日働いて土日にマンション管理組合との打ち合わせが集中するのがマンション改修業界の現実です。長時間労働を是正して労働生産性を上げるためにわれわれはどのように取り組んでいけばいいのでしょうか。今のままだと特に若い方々にマンション改修という仕事が魅力あるものに映っていないでしょう。これからはxxxxxxxや Z 世代にも刺さる職業にしなくてはなりません。女性の方々にも大規模修繕工事の設計監理や現場監督、材料メーカーの担当者としてもっともっと活躍してもらう必要があります。外国の方々にもさらに就労を加速してもらわないと工事が成り立たなくなります。マンション管理組合の支援をいただきながらマンションリフォーム技術協会としてマンション改修業界の適切な人材の育成と改修技術の向上に努めてまいります。
xxxxx 20 周年記念式典講演
於:アキバプラザ(2023.3.28)
高経年マンションの
プロパティマネジメントに向けて
東洋大学名誉教授 xx xx
今日は私が最近考えていることというより、martaをはじめマンション改修に関わられている皆さんや管理組合の方々とコミュニケーションさせて頂いている中で実感していることをお話したいと思います。
今日のテーマ「高経年マンションのプロパティマネジメントに向けて」の高経年マンションとは、築40 年超の3回目の大規模修繕を終えて次はどうしようと考えているマンションのことです。また、プロパティマネジメントというのは、聞きなれない、あるいはご存じでも色々な考え方があり、テナントが入居するオフィスビルのような収益性を重視する不動産についてよく使われていて、マンションの場合は、そのような短期的な収益性とは異なる価値が求められるのでちょっと似つかわしくない言葉だと思われるかもしれませんが、私の友人でxxxOB のプロパティマネージャーをされている方と議論していると、プロパティマネジメントは不動産を単に運営管理するだけでなく、価値を最大化、あるいは安定化させることなのだというように言われています。特に「新たな付加価値の創造(Value Up)を行い、テナントの満足度を高めていく」こと、そしてテナントの満足度を
上げていくためには改修などのハード面だけではなくソ
フト面のバリューアップも含めて取り組んでいるという話でした。マンションのプロパティマネジメントに置き換えると、テナントは区分所有者とか居住者になり、とりわけマネジメントの対象期間としては4~5年とかの短期的な話ではなく、長期修繕計画のガイドラインでは大規模修繕工事の周期が元々12 年で明示されていたのが15 年と長くなっているので、計画期間が30 年以上と非常に長期にわたる価値を考えるのがマンションのプロパティマネジメントの話になります。そして付加価値というのは資産価値だけではなく、むしろ住んでいる居住者の満足度を高めるという使用価値の方がウェイトが高いと思っているわけで、今日はそうした価値の話を皆さんと共有して考えていきたいと思います。
話の内容は5つに分けて、始めに触りとして、マンシ
ョンの価値を維持するために、空き家を含めた問題先送りにしないマンションに向けてという話をさせて頂きます。次に、これからのマンション改修マーケットについて共有部分と専有部分に分けてお話しますが、この辺は皆さんご存じなので飛ばしていくイメージで、3番目は定期的に実施するのが定着している共有部分改修に対し
て、専有部分改修は区分所有者が勝手に色々な時期に実施するということで意思決定が全然違うわけですが、共有部分の改修時に専有部分も関係するし、専有部分をやるときに共用部分も関係してくることを考えると、両者の改修を計画的にしていくことが今後必要になってくる、特に高経年ではそうなると考えているので、その話をします。4番目は、マンションの機能や性能は年代別に全然違うわけですが、管理組合の方はその辺が十分に理解できないこともあって、その違いと、自分のマンションと同年代の他のマンションのどこが違うかということを十分認識したうえで改修目標を決めていくことが大事だろうということで、ここでは私が勝手に名前を付けていますが、自らのマンションの“ポジショニングマップ”を作って専門家と一緒に考え、改修工事目標を作っていくという話、これはトライアルなので結論的には皆さんが各自考えて頂ければいいと思っています。そして最後がまとめになります。
はじめに~マンションの価値を維持するために~
写真は首都圏ではなく、大阪の超高層マンションの屋上から撮影したもので、多様なマンションが建っていることがよく分かると思いますし、それぞれの竣工時期も違い、住んでいる方も管理組合もまったく違うということで、これらのマンションの価値を維持していくための計画目標も多様であるし、その多様な計画目標を作っていくのに皆さん方、専門家が丁寧にサポートしていかないといけない、このような情景を俯瞰的に見るだけで、
林立する多様なマンションストック
図 1 新築マンション供給戸数の推移フローとストック(国交省資料)
その必要性が感じられます。皆さんもご存じですが、高経年といわれる40 年超のマンションは今のところ赤で囲まれた100 万戸くらい(図1)ですが、国交省のデータ(図 2)で見るとどんどん増えていきます。次に
(図 3)、縦軸は戸あたりの平均床面積、横軸は右の方が賃貸系、左が分譲系で、その
○ 我が国の居住されている住宅ストックは5,362 万戸あり、うち 6 割が持家で 4 割が借家となっている
○ 床面積の持家と借家の比率は、8:2 で、持家が大きく上回っている
ストック戸数の割合で分けていて、戸建は戸当たり床面積が約130 ㎡でストック戸数全体の4割くらい、マンションはその隣で面積は70 ㎡強です。私が学生の頃は住宅すごろくというものがあると教えられており、結婚したての民借に始まり、その後、公団などの賃貸に入って、そ
の次がマンション、最後はやっぱり戸建で上りみたいな話でした。マンションというのは、まあ、半分我慢してでも住んで次を目指すという位置づけが普通だったのですが、皆さんもご存じのようにマンション総合調査
(図4(次頁 )を見ても、も
う終の棲家にしようと思っている人が多くなっている。ということは長期間住む、そのための価値が重要だということになり、次の段階ではなく、マンションで最大の
※ 括弧内は築40 年以上となるマンションの築年を示す。
※ 建築着工統計等を基に推計した分譲マンションストック戸数及び国土交通省が把握している除却戸数を基に推計。ただし、2016 年末、2011年末、2006 年末時点の築40 年以上の分譲マンションの戸数の推計に当っては除却戸数は加味していない。
図 2 高経年マンション(築40 年超)今後の推移(国交省資料)
価値を目指さなくてはいけないということになっていることは、皆さんももう納得されていると思います。
※ 数値は居住世帯あり住宅総数を示す。なお、空き家等を含む住宅総数は6,241 万戸。
※ 持家3,272 万戸の内数として、「戸建」に「xxx」分(30 万戸(0.6% )が含まれている。「その他」は含まれない。
※ 持家・借家の他、不詳(175 万戸(3.3% )がある。
出典:総務省「平成30 年住宅・土地統計調査」。( )内は「平成25 年住宅・土地統計調査」
図 3 日本の所有関係別住宅ストック
日本全体で見ると空き家ストックがどんどん増えていて、既にストック全体の約 14 %、7軒に1軒が空き家という時代になっています。図5はマンションも一般の戸建も入っているのですが、これもご存じと思うのですが、最新のマンション総合調査で空き家の調査(図6)もやられていて、円グラフの部分を見ると、空き家があるマンションが35 %くらい、空き家の区分所有者と連絡がつかない住戸が存在するというのが4%程度ということで、今のところはそれほど問題があるわけではないのですが、その隣のグラフを見ると年代別には古いマンションほど連絡がつかない住戸の割合が多く、昭和54 年以前のマンションの場合連絡がつかない方が10 数%いらっしゃるということになって、このような場合特別決議などの場合に合意形成も取りづらいということになりかねません。そうしたことで高経年ほど問題は大きいし、みんなで一緒に取り組まなくてはいけないことが多くなる一方で管理組合としての意思決定を進めていくことができない、そのようなリスクがどんどん増えてきていることを国もある程度意識して調査をしている段階にきているということです。
次はxxxの話です。私の元同僚のxx
図 4 マンションにおける永住意識
(国交省 マンション総合調査(平成30 年度))
資料:総務省「住宅統計調査」・「住宅・土地統計調査(2018 年)」
xxxxという明治大学の先生が、現時点 図 5 増加する空き家ストック(戸建・xxx・共同建を含む)
図 6 マンションにおける空き室
(国交省 マンション総合調査(平成30 年度 2018 年度))
ではなくてこれから空き家になる“空き家予備軍”の統計を出しています。ちょっと調査時期が古いのですが、 2013 年の住宅土地統計調査で、その時点で65 歳以上の人しか住んでいない住宅、つまり20 年後には85歳以上の人しか住んでいないという住宅に焦点をあてた分析です。残念ながらその人たちはそのころにはお亡くなりになっている確率が高い、空き家になる確率が高いので空き家予備軍と彼女は呼んでいるのですが、それが横浜とか東京で結構あり、しかも3割を超えています。戸建て住宅市場では、既に17 %程度を占めている空き家が更に増えていく可能性が高いということを紹介されています。戸建とマンションとではマーケットが違うと思いますが、空き家が増加していく状況になっていくことが想定されています。その当時、戸建の空き家を持ってらっしゃる方に市町村がアンケートをしたところ、売却したいと思っている
人よりも、具体的な内容は分からないので
すが現状のままとか、あまり考えていない人が多い、私も京都に住んでいた家があって、中々売れずにそのままにしていて定年になったら処分しようと決めましたが、日本人というのは親や自分がxx所有していたものを手放すとか処分し難いという、つまり適切なプロパティマネジメント的判断ができない可能性があると思っています。マンションは毎月管理費や修繕積立金などを支払わなければいけないプレッシャーが
ものですが、大規模修繕3回目、築40 年くらいまでしか書かれていません。でも管理組合の方々が必要なのは、その先をどう考えていくかという話で、それを示していくことが皆さんに期待されていることです。戸建住宅の場合は自己責任なので自分で判断すればよいのですが、区分所有というマンションは計画的な対応が必要なので意思決定をする前、決定までの準備期間を含めて計画しないといけない非常に特徴的な建物になります。図8は、私の研究室も協力したマンションリフォーム推進協議会(REPCO)の調査研究の一部で、左側ほど購入時期が新しいマンション、それに対していつ大規模修繕を実施したかという統計です。10年から15 年の間に1回目というのが典型的なほぼxx分布を示して高いピークができていますが、2回目、
3回目となるにつれてピークが落ちてきています。周
あるので少し違うかもしれませんが、そのような時代に直面しつつあると思います。
では、計画的にどう対応するかという話
です。図7は国交省監修の「マンション再生手法に関するマニュアル」から引用した
(出典:「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」/国土交通省に一部加筆)
①改修:現状レベルを現時点で望まれるレベルまで回復させる(修繕+改良)
②修繕:現状レベルを新築当初のレベルまで回復させる
③補修:現状レベルを実用上支障のないレベルまで回復させる
図 7 マンションの補修・修繕・改修の概念図
◦ 1 回目は比較的計画通りに実施されている
◦ 2 回目、3 回目は実施時期がずれてマンションの個別性(ハード・ソフト)が反映された工事が実施される
◦工事を実施できていないマンションも見受けられる
出典:REPCO 2021 年度マンションリフォームxxxx需要推計報告書
図 8 大規模修繕工事の実施状況
期的には2回目は大体25 年とかにピークがあります。この調査では4回目以降のマンションの調査対象がないので、この先がどのように推移するか見えない状況です。国交省が示してきた改定前の長期修繕計画ガイドラインの修繕周期12年に対して正規分布の山崩れがあるのは、劣化が早いので前倒しでやろう、あるいは劣化診断してみたらあまり劣化していないので後倒しにしよう、もしくは修繕積立金が足りないので止むを得ず遅らすというようなことでマンションごとにカスタマイズされていくわけです。それぞれのマンションの特性に合わせた工事の実施の仕方が表れてきて、それは皆さんのサポートがあったうえでの実態だと思いますが、今後、この個別性はより高くなっていくのではないかと思っています。そこで先ほどの図に30 年先、40 年先を書き足してみたのですが(図9)、その時に当初よりも徐々に、その時代の新しい性能水準に近づけていこうという考えが元々あって、それに合わせて青い部分はどんどん上げて行くパターンですが、赤の部分はそうもいかない、修繕積立金の話も絡んで性能を上げられない、改修周期も長くせざるを得ないという、あるいは赤い線がもっと下に行くかもしれないということも想定されます。ただ、周期は防水や塗装、シーリングなど材料の寿命があるのでどんどん伸ばすわけにもいかず、ある程度の周期性は考えなくてはなりません。また、性能アップについては 2050 年のカーボンニュートラルに向けて省エネ性能などをできるだけ高めていくような改修が社会的にも求められそうなので優先せざるを得ないような話もあり、ターゲットをどこにするのか、かなり難しい話になってくるように思います。そして先ほど話したように、専有部分と共用部分の両方を合わせて計画的に対応していかないといけない。皆さんは、基本は共用部分を中心にやられていると思いますが、後でお話しますが何百万円もするような専有部分改修も出てくるわけで、やはり専有部分も含めた計画は必要であり、専有部分と共用部分が合わさったいわば道連れ工事という範囲があって、そこをきちんと計画することが大事な時代になると思ってい
ます。とりわけ1980 年代以前の建物が、その対象になると思います。
これからのマンション改修のマーケット
皆さんご存じのことですが、図10 は国交省の修繕積立金ガイドラインに示されている大規模修繕の工事 の割合で、半分くらいが足場を掛ける大規模修繕工事、残りの半分が設備中心の足場を掛けない工事です。今日は説明を飛ばしますが、REPCO では、そのそれぞれについて調査していて、周期については今のところ12 年がピークになって、後ろの方にずれていくのが多いことが分かっています。図11 は、それぞれ1回目、2回目、
3回目の大規模修繕工事の戸当たり平均工事 で、修繕積立金の積立て具合によりますが大体100 万円超になっています。以前にこのデータを宮城秋治さんに見て頂いたときに、3回目以降はバリューアップを踏まえた付帯工事が増えていくのでもっと工事 自体は増えていくのではないかということで、この結果をちょっと心配されていた感じでした。ただ、REPCO メンバーとともに詳細に調べてみても、なぜ経年に伴って大規模修繕の工事 が増加していないのか、という理由はあまり分析できていません。ということで、経年を経るにしたがって工事 が増えていく可能性も高いと思われます。そして、修繕積立金不足というのが1回目でも約25 %あるのが若干心配で、特に4回目以降にどうなるのかということです。足りない分をどうしたかというと、3回目がほぼ借入金という形で融資を受けていることを考えると4回目には借入金前提で改修プログラムを組まないと難しい
状況になっている、一方で負担する区分所有者も年金収
入だけの方とかで借入金までして工事を実施することに抵抗を持たれる方も多いであろう中でどうするのか。管理会社の担当者の話を整理すると、管理組合としては積立金見直しに消極的かつ当初が非常に低額だったこともあって中々改訂できない、などシビアな話になってきます。
次に、設備関係の工事の話になります。図12 は足場
築 40 年以上の高経年の場合?????
築100 年へ
12 年~ 15 年~ 18 年防水、塗装、コーキング
2050
カーボンニュートラル
(出典:「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」/国土交通省に一部加筆)
図 9 高経年マンションの改修の考え方
を掛けない工事で工事 が1000 万円以上の工事の発生状況で、赤が5年前、青が最近の調査です。右に行くほど設備改修工事実施の山が出てきて、右端部分はデータがないので減少しています。一般的に工事実施を先送り気味のサッシやエレベータの交換、電気設備の交換、耐震改修などは築40 年以降から発生してきそうで、それらと外壁等の足場を掛ける工事をどう組み合わせていくか、長期修繕計画の中でどう位置付けていくか、そこでも積立金不足が発生してきていることが分かっていて、この話はもう当たり前だと皆さん考えられているわけですが、その辺も管理組合の方と上手く計画していく時間を取る必要があると思っています。
専有部分について、図12 のとおり青いヒス
トグラムが新しい調査ですが、5年前に比べ
て高経年の方で工事が増えてきています。図 13(次頁)は工事金額の話で、20 万円以下の工事は調査外として扱っていませんが、もちろん小さい工事が多いのですが、400 万円を超えるような大きな工事も発生しています。図 14(次頁)は年代別の工事金額を箱ひげ図で示しているもので、中央値は大体 100 万円くらいですが、古いマンションほど非常に大きい工事が発生していることが分かります。この古いものほど大きな工事が増えていく傾向が見られるのは中古流通も関係してきて、その場合は平均380 万円くらい、また、住みながらの工事の場合でも平均170 万円くらいとなっており、キャッシュで支払うには高額なので計画化していかなくてはならないと思いま
図 10 長期修繕計画に含まれる改修工事費の割合・内訳
参考:REPCO 調査
図 11 共用部分改修工事の単価推移
図 12 新築時期別専有部分改修工事件数分布
出典:REPCO 調査
す。そこで、これからのマンション改修で共用部分と専有部分の工事では、マンションリフォーム市場の中でボリューム的にどちらが多いかというと、共用部分が多いと思われがちですが、図15 の左側の青色が専有部分、その上の白い部分が共用部分で、やはり共用部分の方がウェイトは高いのですが、伸びしろで見ると白い方は
1.0 であまり増えておらず、青い方が大きい傾向になっています。この時点の調査の結論として言うと、マンションのストックが増えていくのでマンション改修工事のマーケットは大きくなりますが、新築マンションの戸数は減少しているので増加のスピードは鈍化します。共用部分に比べて専有部分は伸びしろがあるので共用部分と専有部分の両方を考えて価値をアップする方向を目指さざるを得ないだろうと思われます。また、専有部分の改修について促進要因と抑制要因を考えてみると、促進要因は居住性の維持向上、即ち使用価値を高めることと中古流通などによる改修需要が見込めるのに対し
て、抑制要因は住みながらの工事にな
ること、階高やスラブ厚、設備の状況など元々のストックとしての制約といったことともう一つ、管理組合が定めている専有部分のリフォームに関するルールがかなり抑制的な内容になっていることがあり、この辺も解決する必要があると思っています。この専有部分のルールについては REPCO でも、また、長年の共同研究者の宇治康直さんの博士論文でも言及していますが、当初の標準管理規約やそれに類するものでは特に記述がなく、1990 年代の後半頃から使用細則モデルの中で専有部分改修工事のルール作りを誘導するような内容になってきています。
ています。ただし、これを理事会で判断するのは中々難しく、結局、何か新しい要求が出てきたらそのまま認める形になっていたり、逆に改修不可のままにしたりしているのが実態のようです。図16 は古いマンションが下側、新しいマンションが上側で、横線の時期が標準管理規約に専有部分のリフォーム細則の規定が規定された年
出典:REPCO 調査
図 13 専有部分改修工事 工事金額別件数分布
出典:REPCO 調査
表1は2016 年に出された「別添 2」の内容で、ここではそれぞれ専有部分について、区分所有者が独自に行う工事に対して届出不要、届出必要、管理組合の承認必要とがあり、例えば、エアコンをつけるために躯体にスリーブを開けなければならない場合に絶対に開けさせないというパターンがあると、せっかくの居住性向上ニーズに対応できないマンションになってしまいます。新しいマンションの場合は、あまり改変しないようにするのが大事ですが、古くなって現状の標準的な仕様とかけ離れてきたときにどうするかという工夫はしていく必要があると思っ
図 14 経年別の専有部分改修工事の築後年数別の工事金額分布
出典:2021 年度マンションリフォーム市場将来需要推計報告書 REPCO
図 15 マンションの市場推計(共用部分改修と専有部分改修の規模)
表 1 マンション標準管理規約における「別添 2」の内容
部 位 | 共用部分 (専用使用権あり) | 共用部分 (専用使用権なし) | ||||
窓 | 玄関 | 面格子・ルーバー | バルコニー | 躯体・梁・スラブ・壁 | ||
工事の実施主体と制限の考え方 | ◦管理組合が管理するが、区分所有者が専用使用する ◦区分所有者の責任と負担で実施することが合理的な工事について、取扱いを定める | ◦管理組合が管理する ◦区分所有者が行う専有部分の工事が影響する場合の取扱いを定める | ||||
制限の目的 | 外観の統一、防犯・防音の確保(区分所有者の意識を踏まえて必要な場合に限り制限する) | バルコニーとしての適正な利用 | 主要構造部の構造安全性の確保 | |||
制限すべき負の影響 (事象) | 美観、防犯・防音性能の低下(建物全体に影響) | 避難等の障害(他住戸に影響) 防水機能の破壊(他住 戸に影響) | 躯体損傷(建物全体に影響) | |||
理事会承認の必要な工事 | 理事会承認を要する工事 | 共用部分である窓の工事で現在と異なる部材を用いるもの | 玄関(扉・枠)の工事で現在と異なる部材を用いるもの | 面格子・ルーバーの工事で現在と異なる部材を用いるもの | バルコニーに物品を固定する工事であらかじめ定められた場所への設置(エアコン室外機でないもの) | 躯体コンクリートへの穿孔又はアンカーボルト等の金物の打込みを伴う工事 |
承認の条件 | ◦色彩、形状、位置、防犯・防音性の低下の可能性を確認する | ◦色彩、形状、位置、防犯性の低下の可能性を確認する | ◦色彩、形状、位置、防犯性の低下の可能性を確認する | ◦避難上の支障等がないかを確認する ◦防水層、排水に悪影響がないかを確認する ◦躯体にボルト等を打 込まないか確認する | ◦穿孔や金物の打込みにより躯体に悪影響を与えないこと | |
届出が必要な工事 | ◦工事業者が出入りする工事については、工事時間、工事内容と業者名を管理組合に届出 ◦騒音・振動が発生する工事については、他の区分所有者がわかるよう工事期間と工事内容を掲示 | |||||
届出も不要の工事 | ◦他の区分所有者への直接・間接の影響がない工事(例:専有部分の電球の取替え、水道のパッキンの取替え、シャワーヘッドの取替え、温水洗浄便座の取替え) |
代を示しています。それより新しくなると青が増えていて管理規約を変えてリフォームに対応できるようになっているのですが、それより古いもの、ネズミ色の部分は規約に何も書かれていず勝手にできてしまう状況になっているので、何とかしていく必要もあると思われます。図17 は、管理会社の担当者がそのような状況をどう考えているかということで、ルールはやっぱり変えていった方がいい、あるいは一度決めたとしても条件に合わせて弾力的に変えていく必要もあるという考え方が多く、この辺は管理組合だけでは判断できないので、皆さんのような技術的な専門家と、トラブルになる可能性もあるので弁護士など法曹分野の方と相談しつつ改訂をすることも必要だと思っていて、それが専有部分のリフォームの促進に関係してきていると思っています。その辺の話をまとめると、勝手なイメージですが、共用部分の工事と道連れ工事があり、さらに道連れでもないオプション工事と呼 ようなもの、せっかくだから追加で居住性を良くしようというような工事がどんどん発生していって、それが連鎖して、元々
出典:宇治康直博士論文 2022
図 16 管理規約の専有部分改修工事に関する記載状況
出典:宇治康直博士論文 2022
図 17 専有部分改修ルールについての考え
の発生源は共用部分の工事なのですが、それに合わせて専有部分もどんどん性能アップしていこうという動きが出てきます。そのためには修繕積立金を使ってどこまで専有部分の工事をやるのか、とりわけ設備改修が関連すると思いますが、どこまでをみんなの財布で賄って、その先は自分の財布でということを予め決めておいて計画的に対応していくという話になります。一方、専有部分の方から言うと、やはり道連れ工事や取合い工事が発生するため専有部分に手を付けると共用部分も触らなくてはいけない、そうすると先ほど話したように改修ルールも必要になり、それがきっかけとなって他の区分所有者も専有部分を改修して、付随して共用部分も変わっていくというようなことがどんどん動いていって、最終的に専有部分と共用部分を全体として価値向上していくことになると思っています。可能であれば、専有部分については共用部分改修と一緒にやってもいいのだけれど、例えば、柳下雅孝さんたちが提案されているように区分所有者それぞれの状況によって、条件が合わなかったら何年か後にやってもいいという、ただし、そのための準備はしておくような時間の系列を考慮した計画、そのような考え方が大事で、とりわけ共用部分と専有部分という異なる領域の工事に対してタイムラグを飲み込むような計画化が必要ではないかということを皆さんの取組や工夫を伺いながら思いました。
マンションの機能・性能の年代別の特徴を理解して改修目標を考える
ここからの提案が今日皆さんにも一緒に考えて欲しいと思っていることです。マンションの機能・性能を年代別に考えること、それは改修目標を立てるためです。とりわけボリュームも多く、課題も含まれている1980年代の民間マンションを中心に考えてみたいと思います。REPCO との共同研究の紹介ですが、国交省の長期修繕計画ガイドラインの中でも取り上げられているのですが、マンションの現状の性能・機能のありようについて、調査・診断の結果を踏まえて、長期修繕計画の見直しの計画期間においてどのような生活環境を望むのか、そのためにはどのようなビジョン、目標が必要なのかを検討する必要があるということです。宮城さんもたまたま東洋大学の非常勤講師をして頂いた関係もあって、そうした目標を立てることの必要性を学生によく教えて頂いていた経緯があります。私自身もこの目標策定が非常に大事だと思っており、その目標作成の手順として、年代別に、まず、自分のマンションが1980 年代だとしたら平均的な性能はどのようなものか、それに比べて、また、他の80 年代マンションと比べてどこが良くてどこがダメなのか、これまでどのような改修をして、これから先どうするのかということを考えておく必要があるだろうと考えています。
これから説明するのは REPCO のメンバーと一緒に日本建築学会で発表したものですが、年代ごとに共用部分と専有部分とを両方から考えるという視点です。共用部分と専有部分を年代別に比べると70 年代、80 年代、
90 年代と耐震性はもちろん省エネや設備、配管など、それ以外もまったく違うわけで、皆さんは分かっていらっしゃるけれど、管理組合の方は十分に理解できていません。しかも、JIA メンテナンス部会の30 周年記念誌などでも、それぞれの項目については歴史的な展開が書かれていますが、分野ごとの縦割りになっており、それらを横並びで見たらどうなのかということが多分管理組合の方には分からないので、それが一目で分かるものが必要ではないかと思っていました。そして、それぞれの項目ごとにどのような改修工事が必要なのか、どのような道連れ工事が発生するかといったことを年代ごとにまず認識して頂くことが大事だろうと提案したところ、 REPCO の方が協力してくださって、例えば、表2のような1980 年代のものの分析に基づいたポジショニングマップ作成案が整理されてきました。結論から言うと、
①同一年代のマンションの竣工当初の標準的な性能状況を示す
②当該マンションが標準的なマンションではない可能性があるので、その特徴を落とし込む
③改修履歴を反映させた性能改善状況を示す
④今後何をすべきかといった性能向上項目を洗い出す
⑤工事の優先順位を決める
⑥長期修繕計画を見直して反映させる
という手順が要るだろうと考えています。まだポジショニングマップの作成手順自体は完成していないのですが、耐震性から始まる性能の諸項目についてパッと見てマンションの性能履歴が分かる図を想定しています。内側ほど築年数が古く、ゼロから1、2、3、4、5と外に行くにつれて新しい性能が反映されるようになっていきます。ただ、この軸が必ずしも年代に沿って外側にグレードアップしているのではなく、この辺は、その指標の置き方次第で、例えば耐震性は、図のように旧々耐震、旧耐震、新耐震、検査済証の有無、などによってレベル感を出すような感じにしています。この指標設定が妥当かは皆さんで検討して頂ければと思っています。そのような感じで、60 年代以降各年代の性能レベルを当てはめていくと図18 のようになり、外に向いていくほど現代仕様になっていくということで、これを共同研究者の宇治さんが自分のマンションに適用した結果が図19 です。大規模修繕を3回、そのほか小規模工事を何回か実施しているマンションですがその工事履歴を反映していくと徐々にポジションが外側に広がっていって、どこを目標にしてきたかということがよく分かるので面白いし、役に立つかもという話でした。ただ、このチャートは点数式で分かり易いのですが、管理組合の人にとっては性能向上のための工事 用がいくら掛かるか分からないので実際の工事優先順位を決める際には、これだけでは判断材料にならないというもっともな指摘をいただきました。REPCO では工事 用を反映した形を含めて充実させていく予定になっていますが、皆さんもこれを参考にして何か考えて頂けるといいかなという提案です。昨年の6月に東洋大の公開講座でこの話題をしたら、参
表 2 年代の俯瞰−約10 年ごとに仕様を整理・課題等考察
黎明期 (60 年~ 70 年代) | 普及期 (1980 年代) | 拡大期 (1990 年代) | 品確対応期 (2000 年~) | |
背 景 | 60 年代 公団先行 70 年代 民間増加 | 民間本格参入 プラン フロンテージセーブ | マンション安定供給 | 高層化の進行 シェアハウス・民泊など発生 |
階高/スラブ厚 | 2600 / 130 | 2650 / 150 | 2700 / 180 | 3000 / 260 |
構造関連 | 旧耐震(帯筋規定 71) | 新耐震へ(81) | 性能評価 | |
省 エ ネ | 規制なし | 旧省エネ(80) | 新省エネ(92) | 次世代省エネ(99) |
設 備 | 在来浴室 | ユニットバス普及 | 設備多様化 | 低床 バリアフリー |
配 管 | 階下配管 鋼管 | 階上配管 銅管・鋼管 | 樹脂管の普及 | ヘッダ採用進行 |
換 気 | 直接排気 システムダクト | 個別ダクトの普及 | 中間ダクトファン | 24 時間換気義務化 |
内 装 | 直天・直床 | 置床導入期 | 置床普及・ダウンスラブ | 置床 |
大規模修繕時期共用部修繕内容 | 第 3 回以降 建替も視野に入る時期 | 第 3 回 配管更新時期・建具改修 | 第 2 回 | 第 1 回 タイル剥離対策・高層対応 |
年代イメージ | 高経年対応 | ボリューム大・直近の課題 | バブル期・設備多様化 | 性能評価・高層化対応 |
リフォームの課題 | 高経年・耐震・配管 | 配管対応 | 設備のグレード UP | 性能評価有効利用 |
優良リフォーム | フルスケルトン・配管全更新 | 配管更新を視野 | バリアフリー化 | 新築並みの性能向上 |
リフォームルール | 技術基準(開口ルール)スケルトン想定 | 共用部考慮の基準 (開口・配管) | 規約化(届出) | 高層対応の遵法ルール技術基準の明確化 |
道連れ工事 | 大きく関連(大前提) | 発生しやすい | 新省エネ(92) | 次世代省エネ(99) |
年代別ポイント | 配管がらみ、水回り難しい高度な経験が必要 | 大規模リフォームに発展共用部との関連が多い | 設備単純交換は容易ルール化は必要 | ルールは届出中心 高層化対応等ルール化へ |
作成協力:REPCO
図 18 共用部分修繕の供給年代ごとのポジショニングマップ(供給時点の標準仕様)
宇治康直博士作成・提供
図 19 共用部分改修工事のポジショニングマップ事例
加者は大体管理組合の方だったのですが、興味を持たれた方がいてポジショニングマップの作り方をお教えしたところ、自分でやってみたいということでした。ご本人は定年になって自分のマンションのこともゆっくり考えるようになり、周りが見えるようになってきたので、こういうものも使いながら管理組合の中で改修目標の設定に向けて合意形成を図っていくうえで活用していこうと思っていると話されていたので、全く意味がないことでもないと思っています。
東洋大学で宮城さんの後、非常勤講師を務めて頂いている江守芙実さんが学生向けに教えている資料の中
には、工事範囲というか工事パッケージを決めるときに先ほどの話で私が取り込めていなかった工事 用の関係を示されていて、工事 用と工事優先度の2軸を設定して、その中にプロットされた工事項目の中から工事のパッケージを計画的に確認していく手順を踏んでおられるようです。みなさんにとってもさほど目新しくもないかもしれませんが、先日お伺いしたところ、その改良版を作成されていて、ここで詳しくは紹介できませんけど、横軸に劣化度合、縦軸に建物性能に及ぼす影響度合、各工事項目の工事 のボリュームを丸印の大きさで表して、工事の優先順序を決めたり、先
延ばし、取捨選択をしたりしていくという、新しい取り組みを進めておられる状況を紹介していただきました。皆さんもこうした工夫をしながら、それぞれで取り組んでおられているとは思いますが、それを管理組合の人に理解してもらうためのツールとしてビジュアル化したのはかなりのノウハウだと思います。特に、マンションの長期修繕計画で30 年先とか将来を考える意味では時間の要素も入れることができるツールになっていると思うので、皆さんも色々な方法でどんどんチャレンジしながら検討していただき、marta もそのようなソフトの計画技術を相談し合うような組織として発展してもらいたいと思っています。
まとめ~高経年マンションの
プロパティマネジメントに向けて~
最近の話題として管理計画認定制度があります。その認定制度の中身を検討する会議にたまたま参加させて頂く機会があって、その時に、とりわけ弁護士の委員が言われていたのですが、今回の告示の最初に書かれている
「管理組合は、自らの責任を自覚し、必要に応じて専門家の支援を得ながら適切に管理を行う」ということと、
「区分所有者は、管理組合の一員としての役割及び修繕の必要性を十分に認識して、管理組合の運営に関心を持ち、積極的に参加する」ということ、言ってみれば当然の話ですが、これがこれまであまり明確に表現されていなかったこともあり、きちんと書いておこうという話になったので、一応、今日の話でも強調しておきたいと思います。もう一つ、自分のマンションのことだけではなく、相対化していくこと、他のマンションとどう違うのか、自分のマンションの長所・短所を把握しておくことが非常に大事で、そのような情報が中々ないわけですが、それらを理解しながら自分のマンションの目標を設定していくことが非常に大事だろうと思っています。それができたら長期修繕計画に反映して修繕積立金も予め準備していくという話になると思います。
私は、計画というのは見直しが非常に大事だと思って
いて、最初に計画を立てることももちろん大事なのですが、思い通りにいかないのが人生でもあるわけで、環境条件が変わったときに当初の計画目標通りを目指すのか、場合によっては目標も変えるかという見直しのプロセスが絶えず必要で、長期修繕計画のガイドラインでも
5年程度で見直しのパターンになっていますが、その見直しも深い見直しと浅い見直しのような濃淡があって、その辺を理解しながら見直していく必要があると思っています。とりわけ定期的な見直しの場合で最近大変気になるのは建築 が上昇していることで、公共工事では価格変化が大きい時にはスライド条項を適用して調整されたりすることがありますが、民間工事はそうはいかない状況だと思われます。最近の建設物価の状況はバブル期を上回る勢いで上昇しているという話もあって、それが中々受発注者間で分かりづらい状況があります。また、公共工事設計労務単価でも職人さんの賃金がここ3~4年でどんどん上がってきている、一方で管理組合の決め
られた財布の中身でどう対応していくかという難しい話があります。最近ヒアリングさせて頂いた管理組合で、長期修繕計画に基づいた修繕積立金のシミュレーションですが、価格上昇率1%以内の場合は現状の修繕積立金の範囲で計画の遂行が維持できるが、工事 のインフレが1%を超えてしまうと収支計画が収まらなくなることを自ら算出し明示されているのを見てびっくりしました。これこそプロパティマネジメントの一つだと言えますが、そういうことを考えて計画策定を進めておられる人がいました。その人は、実は頼まれて管理組合の会計を担当されていたそうですが、会計といえば普通は日常の管理 が適正に執行されているかを管理・確認するところかと思いますが、より長期にわたる会計の意味と認識して長期修繕計画の内容の妥当性確認も考えられるようになったようなのです。ただ、個人的に思ったのは、ここにいらっしゃる専門家としてのコンサルタントの方々と管理組合の方がキャッチボールする中で、多分こういう分析も必要だろうと考えることができるようになったのではないかなと思うに至りました。管理組合の方の能力も凄いのですが、それだけではなく、コンサルタントとしては管理組合の担当者に長期マネジメント計画の重要性を認識してもらうような状況を伝えるということが重要ではないかと思います。そして日常の狭い意味での会計ではない長期修繕計画のマネジメント担当のような人が必要であるとすれば、その位置づけを管理組合の中できちんとする必要もあるのではないかと、その時に感じました。
皆さんも長期修繕計画の見直しはこれから質的に変わっていくだろうと実感されていると思います。まあ、 40 年までは定期的に調査診断に基づいて改修工事をデザインして、修繕積立金との整合性を取りながらインフレの影響など各時点で修正していくようなやり方だと思いますが、高経年の場合は、まず、改修目標自体をもう一度考え直すことになろうかと思います。そして工事については、先ほど紹介した江守さんの工事優先度に基づいた改修工事パッケージの選定ツールなどを使いながら大規模修繕の改修周期とどうすり合わせていくか、もちろん修繕積立金との関係やマンションのエンディングの話も考えながら計画していくので、かなり質的に違うものになり、時間の掛け方とか、当面の5年先あるいは3年先のプロジェクトに向けた長期修繕計画の見直しではなく、そのプロジェクトが終わった後にどうするかという非常に長期の話になると思います。
中長期的な長期修繕計画の見直しを含めたプロパティ
マネジメントとなると私が経験したり研究したりしている範囲を超えているのですが、資産価値については次世代への継承とか中古流通時の評価、空き家の解消が関係してきて、そのようなテーマで研究されている方と連携しながら考えていく、また、使用価値についても住み心地の確保とか居住の安全性、良好な区分所有者の関係など、もっと色々あると思いますが、この両方を考えてバランスをとっていく必要があり、管理組合の方だけでは難しいので、皆さん方のサポートが必要だと思っていま
す。そして繰り返しになりますが、モデル事例と相対化して目標を設定する、また、既に marta メンバーの中では取り組まれていると思いますが、管理組合と専門家とはプロジェクト単位での付合いではなく、継続的な支援関係あるいは顧問コンサルタント的な契約とかが必要になると思います。マンションのビジョンとして国交省の長期修繕計画のガイドラインにも書かれていますが、計画期間にどのような生活環境を望むのかといったこと、建替えか修繕かの判断の必要性も出てきますが、この辺は、私は経験不足なのでもっと新しい方、別な分野の方との情報交換が必要かと思います。そうしたことについての考え方は、マンション管理センターが2020 年に公表したマンションの長期マネジメント計画作成の手引きにまとめられています。ここでは30 年間とかではなく、より長期でのマネジメントについてハードだけではなくソフトも含めた計画化が必要であること、そして年代別に80 年代以前と、 80 年代から2000 年、その20 年後、40 年後、60年後のそれぞれを区別して考える必要性が指摘されていて、私もそれが大事だと思っています。
つい最近、これもびっくりしたのですが、marta メンバーの鈴木和弘さんが関係されているマンションでたまたまヒアリングしたときに、そこの管理組合の方が主体的に作られた長期修繕計画で100 年くらい、やるべきことなど世代が代わっていく先まで、色々なことが書かれているのです。やはり管理組合の方が主体的に作っていて、現在の2回目の大規模修繕後も色々考えていらっしゃって、具体的にどのような工事を組み合わせていくかといったことは鈴木さんに宿題として課されているそうですが、このような要望が管理組合から出てくるということが凄いと思いました。多分上手くいくと思いますが、そうした専門家との関係がつながっていって、計画の中には多分変わっていくものがあるのですが、それがなぜ変えられたのかといったことも引き継がれていきます。それも3世代にわたって自分の前に住んでいた人や自分の親たちが計画していたことが記録にも残っていくし、本当にきちんとやろうと思っていることにびっくりしました。そうした管理組合もありますし、それに対応して一緒に、そ
の場限りのプロジェクト単位でなく、プロジェクトを超えてその時々に合わせていく関係が既にできているところもあるので、それを目指していって欲しいし、そのような関係ができる社会になって欲しいと最近思うようになって、この話はぜひ紹介させて頂こうとお願いしてきました。
最後に、最初に大阪の超高層マンションからみた写真からお見せして、多様なマンションがあり多様な計画目標があると、そして自らのマンションにどのような価値を求めるか、それはそれぞれ違っていて、それを自分だけで考えるのではまとまらないので周辺のマンションや自分のマンションと同年代のマンションと相対比較しながら目標を作っていく、目標を立てたら組み換えももちろんあるのですが40 年経っているとして、さらに30 年、40 年、50 年と、その先には、今日は触れませんでしたがエンディングの話もあります。そこで期待されるのがプロパティマネージャーで、建物価値を高めるための専門家が必要であり、高経年の場合は中低年よりも、より高い計画能力が求められるという、そこがミソだろうということで皆さんもすでに実感されていることと思っています。一方、管理組合としてのプロパティマネジメント能力が高経年化
に伴い弱まっていくとすると、逆に、皆さんへの外部
依存度が高まり、第三者管理とかもありますが、その中で建築をベースとする技術者はもっと大事になるだろうし、そうした計画をするために合意形成を含めた準備期間もより長く十分に取らないといけないと思っています。そうした方向で marta の方々を始め、地方公共団体の支援もこれから見直されていくと思いますが、その辺も含めて今後は、かなりダイナミックに変わっていく、そういう10 年になると思っています。
最後になりますが、marta の次の30 周年が、皆さんが長期マネジメント計画と呼 かどうかは別にして、そうした先進的な事例が報告されていく機会になるのではないか、あるいは、そうなって欲しいと思っているということで、結論はありませんが専門家集団として頑張って欲しいなという気持ちでお話させて頂きました。以上です。有り難うございました。
〈2023.3.28 於:アキバプラザ〉
新会長に宮城氏、未来へつなぐ新たなステップへ始動
東洋大・秋山名誉教授が記念講演
2023 年度定時社員総会・設立20 周年記念式典開催
設立 20 周年を迎えた当協会( 田中昭光会長)の 2023 年度(第15 期)定時社員総会並びに記念式典が
3月28 日午後3時30 分から東京・千代田区神田練塀町のアキバプラザで開催されました。総会では新年度事業計画等全議案を全会一致で承認すると共に、宮城秋治新会長を始め新理事6名が選任され組織若返りを図った新執行部体制がスタート、また、20 周年記念式典では東洋大学名誉教授・秋山哲一先生を講師とする特別講演が行われたほか、久々の対面立食による懇親会も催され、来賓共々大いに歓談を弾ませ20 周年の節目を祝いました。
総会は星野泰史理事の進行のもと、宮城副会長が「今日は久し りに対面での総会となり感慨深い。重ねて marta 20 周年式典も企画され大きな節目を迎えた」と述べると共に開会を表明、続いて壇上に立った田中会長が「一般社団法人として15 期、任意団体としては発足20 年を数え、会員数も当初の48 から倍以上となり、着々と大きく育っている協会だと自負している。martaは賛助会員制を取らず、設計者、メーカー、施工業者がすべて平等の立場であり、そのため皆さんには執筆関係を始め色々なことで本当に手を煩わせたり、お手伝いをして頂いたりで感謝しているが、それが皆さんで作り上げていく協会なのだとご理解頂きたい。また、多くの団体が存在する中で最も活発に活動しているのが恐らく marta ではないかと思っているが、それも皆さん方の多大なご協力の結果だ。コロナの状況下で講習会等も開催できず、皆さん方との勉強会も行えなか
ったが、その一方で分科会活動がここ1~2年非常に
充実を見せている。また、対面での活動の制約からユーチューブに marta チャンネルを作るなどでき得る限りの手法を用いながら情報の発信・交換を続け、今日の20 周年を迎えることができた。“未来へつなぐ”という20 周年のコンセプトに基づいて、このあと皆さ
んにご承認頂けるよう理事など執行部体制の若返りを図っている。これまで一所懸命やってきたつもりだが、年老いてくる設計者では追い付かず中々難しいところもあるので marta の未来に向けて若い力を発揮して頂ければと考えている。ぜひこの機会に皆様の更なるご協力を頂いて、この20 年から一層の充実を図りながら30 周年を迎えることができるようにして頂ければと思っている」と挨拶、同氏を議長に選出、議案審議に入りました。
議案は① 2022 年度(第14 期)事業報告承認 ②同収支予算書及び財務諸表承認、監査報告 ③交代役員承認 ④ 2023 年度(第15 期)事業計画(案)承認 ⑤同収支予算計画(案)承認の各件で、いずれも満場一致で承認され、このうち③交代役員承認後に行われた臨時理事会では新会長に宮城氏が選任されたほか、新副会長に奥澤健一氏が加わり、新理事6名を含む新たな執行部体制(別掲)が決定、承認されました。また、新年度事業計画については宮城氏から基本方針が述べられた後、各委員会を代表して、技術委員会の尾崎京一郎建築部会長と町田信男設備部会長、広報委員会・山田俊二委員長、事業委員会・宮城委員長から具体的な活動
総会で挨拶する田中会長 講演会風景
会 長
副会長副会長
理理理理理理理理理理理理理監
監
事事事事事事事事事事事事事事
事
2023 年度役員体制(敬称略)宮城 秋治(宮城設計一級建築士事務所)奥澤 健一(㈱スペースユニオン)
井上 幸雄(建装工業㈱)
今井 章晴(㈱ハル建築設計)
尾崎京一郎(㈲モア・プランニングオフィス一級建築士事務所)岸崎 孝弘(㈲日欧設計事務所)〈新任〉
鈴木 和弘(㈲八生設計事務所)〈新任〉水白 靖之(水白建築設計室)
柳下 雅孝(㈲マンションライフパートナーズ)〈新任〉横尾佳奈子(㈱ジャトル)〈新任〉
日下 清治(㈱ NB 建設)〈新任〉
塩田 隆一(化研マテリアル㈱)
白岩
博(㈱サカクラ)
相談役
田所 保浩(タキロンマテックス㈱)〈新任〉戸田 雅巳(AGC ポリマー建材㈱)
新田 徳健(㈱ SMCR)
山田 俊二(㈲八生設計事務所)星野 泰史(エスケー化研㈱)
柴田 幸夫(柴田建築設計事務所)
新入会員(敬称略)
個人会員 江守 芙実(㈱江守建築設計)
坪内 真紀(坪内一級建築士事務所)
飯塚 敏志(㈲テーアイエンジニアリング)法人会員 アイカ工業㈱ (担当:外山 雅之)
内容、スケジュール等が紹介されました。
審議終了後、事務局から別掲の新入会員(個人会員3名、法人会員1社)が紹介され、それぞれ挨拶が述べられた後、井上幸雄副会長の閉会の辞でつつがなく総会を終了しました。
休憩後、午後5時から20 周年記念講演会に移り、宮城会長の進行により第9回総会(2011 年)でも講演を頂いた講師の東洋大学名誉教授・秋山哲一先生が紹介され、「高経年マンションのプロパティマネジメントに向けて」を演題とする講演が行われました。講演では、築40 年超の高経年マンションの価値を維持していくための修繕計画に焦点を当て、先生のこれまでの研究や経験に基づく考え方や提案、最近のトピックなど示唆に富む内容が披露され、来賓も交えた聴講者の注目を集めました。(当日の講演内容は4頁~)
20 周年を盛大に祝う
講演会終了後、午後6時30 分からレセプションホールに場所を移し、記念懇親会が開かれました。多数の参会者で賑わい、20 周年を期して制作さ
れた marta 記念動画が会場両サイドのスクリーンに流され雰囲気も盛り上がる中、山田俊二理事を進行役に、まず、20 周年記念事業委員長・柴田幸夫相談役が来賓を始めとする参会者に謝辞を述べると共に今回の 20周年事業について「この事業は“未来へつなぐ”というテーマで、これまで marta 20 年の歴史と活動、実績を継承し、更なる未来へつなぐという主旨で企画、5つの事業コンセプトをもとに3つの事業を行ってきた。一つは記念誌『未来へつなぐ』の編纂、2つ目は記念動画の作成、3つ目は先ほどの講演会とこの場の懇親会だ。まず、記念誌について、marta のこれまでの歴史と実績、現在の活動とその成果、そしてこれからの活
動を未来へつなげる展望と意気込みといった内容でまとめた marta の履歴書ともいえるものだが、マンション改修技術の歴史から未来への展望を模索しているので、ぜひご一読頂ければと思う。次に、今、会場のスクリーンに流されている動画が今回作成した記念動画 ,で、皆様にお配りした記念品の USB メモリにデータが入っている。約40 分と少々長いが折を見ながら我々の生の声と姿をぜひご覧になって頂きたい。記念講演会は先ほど秋山先生から『高経年マンションのプロパ
進行役の山田理事 謝辞を述べる柴田記念事業委員長 marta 設立20 周年記念誌
ティマネジメントに向けて』という演題でお話を頂き、改めてお礼申し上げる。従来の長期修繕計画を質的にも超え、終末期を見据えた長期計画の必要性をご提示頂いたと思う。また、marta に対しては10 年後の30周年において長期プロパティマネジメントに関わる先進的活動報告を期待されていたので、ぜひご期待に応えられるよう未来につないでいきたいと思う。改めて皆様に感謝申し上げたい」と述べ、開会の辞としました。続いて壇上に立った田中会長が「先ほどの総会で会長 は代わったが、今日のこの場までは会長として挨拶させて頂きたい」との前置きで「本来あるべき20 周年に際しての皆様への感謝やこれまでの経緯については記念誌や動画に紹介されているので、ここでは今日の秋山先生のお話が大変興味深かったので、それに関係して感じた話をしたい。プロパティマネジメントを簡単に言うと、新たなバリューアップをして住んでいる人の満足度を上げていくというような話だと思うが、昨年11月頃から三重県四日市の石油工場がマシントラブルで停止したのは皆さんもご存じと思う。そのため、いわゆる熱アス、防水用アスファルトを作るブローンアスファルトの製造がストップして、いつ再開するかという話からスーパーゼネコンを始め強烈なブローンアスの争奪戦が起きた。私が思ったのは、まだそんなに熱アスを使うところがあるのかと、新築は大体2月初旬が防水屋さんのピークになるが、それに合わせて注文が殺到して在庫がなくなり、一部では道路用のストレートアスファルトに添加剤を入れて、改質アスファルトとは言わないまでも、それで凌ぐような状況だ
ったと聞いている。そこで考えて頂きたいのは今、SDGs やカーボンニュートラルなどがいわれている中で、アスファルト関係もそうだし、建築には石油製品の使用がもの凄く多い。秋山先生の話の新たなバリューアップに対して私たちはこうした石油製品をどうしていくのか、また、職人の賃金アップや材料の値上げなどすべてがコストアップして、さらに脱炭素だけでなく発がん物質の抑制など健康リスクが絡んで色々なも
得る建物を作らなくてはいけない。もう私たちの古い頭では到底付いていけないところで迎えた今回の20 周年だが、未来につなぐという思いで私が一番嬉しかったのは marta の若返りだ。宮城会長を始め、平均で 13 歳ばかり若くなったと思う。秋山先生からも30 周年に向けたお話を頂いたが、新会長を始め新しい理事にこの思いを託していきたい。他団体を凌ぐ marta の活動の継続・発展に向けて今後とも皆さんのご協力をお願いする次第だ」と述べ、挨拶としました。
引き続き、列席の来賓が紹介された後、来賓を代表して公益社団法人マンション管理センター総合研究所・石原晃彦所長、NPO 法人日本住宅管理組合協議会・柿沼英雄会長、一般社団法人マンション計画修繕施工協会・坂倉徹会長から祝辞(別掲)が述べられ、続いて乾杯の挨拶に立った宮城副会長が「明日から marta 会長を拝命することになった。工事 が上がり、高齢化がマンションでも進み、カーボンニュートラルも実現しなくてはいけない非常に多難な時代に田中会長から若返りを図るということで、決してそんなに若くはないのだが諸先輩に比べれば若僧ということで選んで頂けたと思っている。ただ、これからは我々よりもっと若い世代に、そして女性の力を marta でもぜひ発揮して頂いて頑張ってもらわなければいけない、そのスタート地点に立ったとも云え、今日ご来賓の皆様も含め、みんなで力を合わせてマンション管理組合の方々のた
めに多くの汗をかいてい行きたいと思っている」と述
べ、同氏による「ご列席の皆様の益々のご健勝、企業様の益々のご発展、そして何より世界の1日も早い平和
のが排除されていく一方で、満足し
懇親会で挨拶する田中会長 宮城副会長が乾杯の挨拶
懇親会会場風景
を祈念して乾杯!」との発声で、一同、歓談の場へと入りました。
歓談が打ち続く中、marta 20 年間の活動における功労者として星川晃二郎氏(相談役、元副会長・理事)、島村利彦氏(監事、元・理事)、下山田哲夫氏(化研マ
テリアル㈱、代理・杉山友秀氏)の3氏に田中会長から感謝状が手渡され、会場からも大きな拍手が送られるなど、その後も引き続き井上副会長の中締めの挨拶(別掲)まで、コロナ禍のうっ憤を晴らすかのような和気あいあいの雰囲気で懇親の宴が繰り広げられました。
■ マンション管理センター・石原晃彦氏
来賓ご挨拶(要旨)
マンションリフォーム技術協会が設立20 周年を迎えられ、誠におめでとう。マンションリフォーム技術協会様におかれてはマンションリフォームに関わる多様な構成員を有する独自の協会として長年にわたり質の高い様々な活動を展開されてきたことに心から敬意を表する次第だ。また、マンション管理センターとしても日頃から様々な局面でお世話になっており、改めてお礼申し上げたい。本日の秋山先生のご講演でも指摘されているように、近年の高経年マンションの増加に伴う適切な管理、再生は喫緊の課題になっており、一方で今日のお話にもあった令和2年の法令改正により創設されたマンション管理計画認定制度の施行から約
1年が経過して本格的な普及が期待されると共に、国においてもマンションの長寿命化に向けて適切な修繕工事を促す新たな税制の創設、あるいは今後のマンション政策に係る検討などが始まっている。このようにマンションの長寿命化対策
の重要性の認識が広まりつつあるこの時期に、マンションリフォーム特有の技術に関する多様な専門家や専門会社からなる貴協会への期待は益々高まっていると思う。社会の期待に応えられ、貴協会の活動が今後一層発展されることを心よりお祈り申し上げる。また、マンションのリフォームあるいはリノベーションに関しては当センターでも秋山先生を中心に開催している研究会において、つい昨日、長期的なスパンで運用面まで考慮したような場合でも建替えと遜色ない総合的な省エネ性などを確保する課題なども話題となっている。このようなリフォーム、リノベーション等が広く話題になる中、マンション管理センターとしても貴協会と協力しながら管理組合への適切な情報提供などの支援に引き続いて努めて参りたいと思っている。
■ 日本住宅管理組合協議会・柿沼英雄会長
本日はマンションリフォーム技術協会様の創立20 周年、おめでとう。心からお祝い申し上げる。私たちにとって本当に身近な団体として、いつも個人会員の技術者の方、施工会社等の皆様、メーカーの皆様にご指導を頂いている。日住協には日々管理組合から多くの相談が寄せられており、その中で特に気を遣うのがやっぱり大規模修繕、それから給排水管設備の工事に関する問合せだ。そうした技術的なことについて私たちは全く分からないので、皆さんにご相談したり引き受けて頂いたりしている。また、いつも marta 会報をお送り頂いており、届くと大切に読んで参考にさせて頂き、会員管理組合にも配布している。居住者が安心してマンションに住むことができ、マンションの管理、特にハード面から支えて頂く団体、それが marta であり、次の20 年、30 年先にも皆様のご活躍を期待しているので、ぜひ今後ともよろしくお願いする次第だ。
■ マンション計画修繕施工協会・坂倉徹会長
marta さんには何かとご指導を頂いており、私ども施工業者の団体として皆さん方のそうした技術が現場で生かされることが非常に有り難いことだと喜んでいる。歴代の会長、新会長の宮城先生、そして会長を支えてこられた皆さん方、創立 20 周年誠におめでとう。設立15 年の私どもにとって尊敬する先輩であり共に頑張っていきたいが、組織運営としては現場で仕事をする我々とは視点も異なることを踏まえて取り組んでいきたい。先日、国交省住宅局の要望もあって、大規模修繕を実施した管理組合の区分所有者の固定資産税を軽減する処置を議員に働き掛けたことから今年度の予算に組み込まれることになった。これが突破口になり建物維持保全に関する補助制度が拡充されればと考えている。また、たまたまテレビの管理組合特集を見ていたら、大規模修繕の工事 を当初予算から大幅に減額して実施した新しい理事長さんを称えるような筋書きだったが、早い話が当初
予定の工事を減らして減額しただけのことで、果たして管理組合のためになっているのか疑問の残る内容だった。そうした工事に対するアドバイスなど、我々の立場から何かできないかと考え、相談窓口的なものを作りマスコミに CM を流そうというような検討をしており、その際は marta さんに協力して頂ければ有り難いと思っている。何はともあれ設計技術と施工能力が一体となって進んでいくことも必要だと思うので、ぜひ皆様方のご協力をお願い申し上げたい。
感謝状を授与された星川氏、島村氏、杉山氏(下山田氏代理)
井上副会長 中締め挨拶
本日は本当に多数のご参加を頂きお礼申し上げると共に、その分、皆様には狭い思いをさせお詫び申し上げる次第だ。2年半前に20 周年記念事業委員会を立ち上げ準備をしてきた。その中で今回の最大テーマ“未来へつなぐ”というのは単に世代交代をしていくのではなく、マンション大規模修繕工事の先駆者たちが作り上げた土台を、これからのマンション改修工事並びに管理組合様との付合いでどう展開して次の世代に託していくか、我々の世代も既成概念にとらわれずに新しいことを次の世代に伝えていかなくてはならないということだと考えている。来年、2024 年は働き方改革関連法案が施行され、今まで緩和措置がとられていた建設業も来年はそうはいかず、職方さんの労務条件はもちろん、全てにおいて責任が生じ、罰則規定も課されることから本当に厳しい情勢になると考えている。コロナの反動もあって今、市場が非常に活発化してきた中で我々施工業者は技術者不足により仕事をお断りして管理組合の方々、
設計の先生方にご迷惑をお掛けしたことを、この場を借りてお詫び申し上げたい。さらにここ1~2年の工事 の高騰は皆さんも肌に感じられていると思う。それが働き方改革により、建設業も就労時間の問題に関わってくるが、最も影響が大きいと言われる運送業は諸々の要因で単価が倍くらいになる可能性もあり、そうした世の中の流れを先生方も管理組合に説明して頂ければと思っている。2年前に比べ同じ仕事でも工事 が約2割上がっている厳しい状況で、特に首都圏では政策や法改正によるちょっとした景気の変化で大きな波が訪れるので、我々もその波をできるだけなだらかにする努力をしていきたい。未来へつなぐという大きなテーマと、この業界をさらに発展させていくためには、まずは、今の時代で求められるものにいかに応えていくか、従前の考え方をいかに切り換えていくか、色々な補助金制度の活用方策も含め、我々施工業者ももっと勉強して発信できるようにしていきたいと考えており、その中心を marta に担って頂いて情報も提供していきたい。我々も努力するし、皆さんとも一緒にやっていきたいと思っている。本日ご列席の皆様のご健勝、marta の益々の発展と共に、先ほど宮城先生が言われた世界平和への願いも込めて3本で締めさせて頂きたい。
プロフィール、活動内容をリアルに紹介 marta20 周年記念動画が完成
今回の20 周年記念事業の一環として marta のプロフィールや過去から現在進行中の活動概要などを、それぞれ関わってきた会員がコメントを加えながら紹介する動画が製作され、記念式典当日に来場者への記念品(USB メモリ)として配布されました。
田中会長の挨拶、柴田相談役の組織の生い立ちや20 周年事業の説明に始まる約45 分の動画です。内容のハイライトは、何といっても marta の活動を支えている技術委員会の各部会、分科会のリーダー自らのスピーチによる活動内容の紹介。marta ならではの技術に対する真摯な取組み姿勢が各画面から伝わってきます。また、終盤には次代を担う若手コンサルタント 5 氏による“未来へつなぐ”をテーマとする座談会のハイライトシーンが流され、各
氏からマンション改修の未来に向けたメッセージが発信されるなど、20 周年に相応しい構成で全体がまとめられています。制作は20 周年記念事業委員会動画 WG。
新理事就任にあたって
㈲日欧設計事務所
岸崎 孝弘
今年度から理事に就任、更に広報委員長を拝命いたしました日欧設計事務所の岸崎です。
皆様すでにご存知の通り、私のようなやや特殊(見た目も経歴も改修思想も(笑 )な設計コンサルが、いきなりこのような重責を担うのが団体として良いのか、という話もあるとは思いますが、なんとかマンションリフォーム技術協会発展のためのお役に立てればと思います。
私のマンション改修における基本的な考え方は、いかに管理組合の共用の資産である修繕積立金を節約しつつ、建物を長期にわたって維持管理できるか、にあります。そのためであればやや長めの周期設定をし、最小限の改修で最大限の効果が得られるような仕様や工法の工夫、これまでは一般的であった中
間時点での中規模な修繕を省略するなど、若干極端な長期修繕計画を策定することもあり得ます。
マンションは、適切に設備なども含めた長期修繕計画を策定し、想定される工事 用が適切に積み立てられるように修繕積立金の改訂などを行い、居住者間のコミュニケーションが良好なコミュニティがあれば、200 年でも維持管理は可能である、と考えています。こういったことを素人集団である管理組合に如何にうまく説明できるか、合意形成のための周到な説明の積み重ねを厭わないか、が極めて重要であり、そのためのコンサルティング業務というのは、単純に改修技術の知識があるとか、材料や工法を熟知しているなどといったこととは異なる、誰にでも分かりやすく説明ができるコミュニケーション能力が高いという、一種の特殊技術であると考えており、これは私が最も得意とするところでもあります。
全ては管理組合の、そしてマンションの維持管理のため、これからも研鑽を積み重ねていきたいと考えています。
㈲八生設計事務所
鈴木 和弘
今期から理事に就任しました有限会社八生設計事務所の鈴木です。
marta 発足時に弊社の近藤武志が理事を務め、 2011 年に近藤が亡くなった後は山田俊二が理事を務めました。今期山田に変わって私が理事を務めることで、八生設計事務所における3代目の理事となります。
私は2009 年にmarta に個人会員として入会しました。入会後は、建築部会の品質保証分科会に所属し、2011 年に発刊した「精度の限界」の作成に関わらせていただきました。品質保証分科会は、 2012 年に外壁分科会と統合して外装・品質保証分科会(その後大規模修繕実践マニュアル作成分科会に名称変更)となり、2013 年の「精度の限界Ⅱ」、 2018 ~ 2019 年の「マンション修繕工事施工実践マニュアル」上下巻の発刊に際し、作成に関わらせていただきました。現在は、改良製品開発分科会
Bグループのコーディネーターとして、新製品の共同開発などの活動をメンバーと共におこなっています。
2017 年からは事業委員会にも所属し、各種セミナー開催等のお手伝いをさせていただきました。今まで marta でお手伝いさせていただいた本の
出版やセミナー開催などによる改修技術の発信は、 marta の重要な活動の一つであると考えています。理事に就任してからも、改修技術の発信活動に注力していければと考えています。
marta は今年の3月で20 周年を迎えました。この20 年の中で、マンション改修業界も少しずつ変化をしていますが、今後は人手不足やデジタル技術の発達から、更なる変化が求められると考えています。marta でも、この変化に合わせて新たな事業の取り組みや現在の事業内容を変化させていくことが必要であり、今後模索していければと考えています。
また、私が marta に入会した頃に若手コンサルと言われてから、現在までの14 年間ずっと若手と言われ続けています。それだけマンション改修業界
(特にコンサル)に若手が入ってこないということであり、大きな課題であります。この課題にも取り組んでいかなければと考えています。
㈲マンションライフパートナーズ
柳下 雅孝
この度、町田信男さんの後任として設備部会長、並びに理事を仰せつかりました有限会社マンションライフパートナーズの柳下雅孝と申します。
町田信男さんと言えば、言わずと知れたマンション設備改修分野の第一人者であり、marta の母体とも言うべき JIA メンテナンス部会の黎明期から活動されていた方です。昭和の頃から既にマンションの改修を手掛け、2005 年には「マンション設備改修の手引き」を当協会から発刊されております。ちょうど同じ年に私は現在の会社を設立しました が、その時に町田さんに声を掛けていただいたご縁で、本日までマンションの設備改修の経験を積ませ
ていただくことができました。
marta 設備部会のみならず、マンション設備改修業界そのものを築いてこられた方の後を継ぐのは恐縮至極なことですが、設備部会には数多くのベテラン会員さんがおられますので、これまで通りご指導を賜りながら更なる改修技術の向上と業界の発展のため精一杯努めさせていただく所存です。
新理事就任にあたって
さて、設備配管の改修は専有部分の中へ入室して行われることが常ですが、今回のパンデミックにより我々は新たなスキルを手にしました。築50 年という物件が増えてきて、これまでの考え方では問題解決できない場面も出てきました。昔は耐久性が高いと言われていた排水用鋳鉄管の更新がこれから盛んに行われることになります。配管の老朽化対策のみならず住まいやすくするための設備改修や、2050年のカーボンニュートラルに向けた挑戦をしていかなければなりません。時代の変化の先を見極めながら、どんどん早まる新たなステージを乗りこなすためのアップデートを marta を通して行えたらよいと思っております。
㈱ジャトル
横尾 佳奈子
このたび、理事を拝命いたしました株式会社ジャトルの横尾でございます。
マンション改修の設計者としての知見も経験も諸先輩方には遠く及ばない中、このような大役を仰せつかり身の引き締まる思いです。理事、会員の皆様方のご助言、ご協力をいただきながら、職責を果たすことができればと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
わたしが当協会の前会長でもある田中前社長から代表を引き継いだのが2021 年1月。間もなく新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく第2回目の緊急事態宣言が発出され、マンション管理組合の活動も軒並み中断を余儀なくされる中での船出でした。それまで積算事務所、ゼネコンに勤務し、新築しか知らなかったわたしにとっては、改修を専門とする設計事務所があることも大規模修繕工事コン
サルタントなる仕事があることも驚きでしたし、知れば知るほどにその実務は奥が深く領域は広く、一般個人の団体である管理組合の皆様と仕事を進めていくことの難しさも相まって、暗澹たる思いを抱いたことは一度や二度ではなかったと記憶しています。そのような中でも、社業を通してマンション改修に携わる方々に様々なことを教えていただきながら、少しずつですが設計者として成長していると感じることも増えてきました。また、新型コロナウイルス対策の変遷に伴い、当協会の活動も対面で行われる機会が増え、特に昨年から参加している実践マニュアルポケット版作成分科会の活動では、設計者、メーカー・工事業者会員の各メンバーが意見を出し合い、出版に向けて打合せを重ねる様子に、当協会の方針をまた少し身をもって知ることができたように感じました。
「女性」、「若手(語弊があるかもしれませんが)」、
「世代交代」と冠はいくつかありますが、そのどれでもなく、本質的なところで一設計者として共に学ばせていただき、当協会の活動が未来へつながる一助となれますよう取り組ませていただきたいと存じます。
新理事就任にあたって
㈱NB 建設
日下 清治
この度、marta 理事を拝命いたしました株式会社NB 建設 日下(くさか)でございます。
弊社は marta 加盟10 年を経過していない比較的新参者ではありますが、現在、事業委員会、超高層マンション改修分科会、改良製品開発分科会に属しております。
marta は設計事務所の諸先生方、施工会社の皆様、材料メーカーの皆様の全てが正に三位一体となり、精力的に活動をしている団体、とのイメージがあり、緊張感と興味を持って参加しており、多々、ご教授を頂いております。
弊社は横浜の地場ゼネコンでございます。マンションに関する工事は建築改修・設備改修・新築を手掛けており、特に大規模修繕工事は25 年ほどの実
績がございます。また、私自身も早いもので建築と設備の施工管理10 年、営業17 年の経験を持ち合わせており、会社としてのみならず、個人的にも技術(ハード面)的にお役に立てる場面があれば、との所存でございます。
今回拝命いたしました理事では技術的な面のみならず、組織運営というソフト面も重要な職務と認識しており、marta がますます大きく、充実した団体へと発展していくため、潤滑油のような役目として少しでも(多大に、でなくてはいけませんね)寄与できればとの抱負を持っております。
まだまだ至らない点だらけでございます。月並みではございますが、皆様からより一層のご指導ご鞭撻を頂きたく存じます。
最後になりますが、marta 加盟の皆様でまだお会いしたことの無い方も多くいらっしゃいますが、新型コロナウイルスも現時点では沈静化したこともあり、懇親会や研修旅行、見学会等、様々な機会でご挨拶をさせて頂くことを楽しみにしております。今後とも宜しくお願い申し上げます。
タキロンマテックス㈱
田所 保浩
マンションリフォーム技術協会の活動に携わる会員の皆様、管理組合の皆様、日頃は大変お世話になっております。タキロンマテックス株式会社の田所保浩でございます。この度、会員として当協会の理事という大役を拝命させて頂きました。
当社は、プラスチック製品の加工業を生業としております。マンション向けの製品と致しましては、
「安心・安全」に主眼を置かせて頂き、共用廊下・バルコニー・共用階段向けの防滑性シートを販売させて頂き、皆様の貴重なアドバイスを反映させて頂きました製品開発の成果もございまして、長きに亘り様々なマンションにご採用頂いております。更には、防災の観点からゲリラ豪雨対策としてエレベーター等の浸水防止に向けた止水板も取り扱いさせて頂いております。これらの商品は、皆様方のアドバイスの賜物であると考えております。改めまして略
儀ながら本文をもちまして御礼申し上げます。今回の理事就任にあたり、管理組合様は勿論、弊社の発展にご助力頂きました会員の皆様方に対して、恩返し出来ればと考えております。微力ではございますが、当協会の活動に邁進させて頂きますので、何卒宜しくお願い申し上げます。
さて、私事ではございますが、本年は弊社の防滑性シートの発売50 周年となります。マンション共有部にご採用頂く以前は全国各地のプール、特に教育施設を中心に官公庁様を中心に御採用頂いてまいりました。そうした活動の結果として、昨今では 2022 年に東京で開催された世界規模の体育大会のプールや、今年度に福岡で開催される世界大会のプールでもご採用頂く運びとなりました。このプール用製品も管理組合様の皆様にご使用頂いております製品と基本的には同じ製法で製造させて頂いており、屋外プールで培った高い耐久性の製品を皆様にも提供させて頂いておると自負しております。7月に福岡で開催される大会に親近感を感じて頂き、是非皆様も一緒に盛り上げて頂けましたら幸いです。末筆となりますが、本年度の当協会の活動に御助
力頂きますよう、宜しくお願い申し上げます。
marta 会員コーナー
新技術・製品情報
水性特殊合成樹脂エマルション系新型改修用サーフェーサー
■開発の背景
近年のマンション外壁の塗り替えでは、工期短縮のためにシーラーが不要でコスト面に優れる微弾性サーフェーサーが最も多く使用されている。しかし、汎用の微弾性サーフェーサーはコスト面に優れるがひび割れ追従性が劣り、また、従来の高品質サーフェーサーは付着力、ひび割れ追従性共に優れるが、コスト面が負担となっている。今回の新型サーフェーサーは端的に述べると両者の良いところを取り入れ、グレード的に市場の要望が高かった中間タイプとして上市されたものである。新型製品は従来の微弾性サーフェーサーより比重が軽く使いやすいので環境に優しく、微弾性タイプより躯体の保護性能、ひび割れ追従性に優れるなどの性質を有し、この製品を下塗りに用いて、上塗りを高耐候性の製品と組み合わせれば、サーフェーサーの躯体保護性能の相乗効果により、今の時代に求められている建物の長寿命化、メンテナンスサイクルの長期化にも貢献出来るものである。
■新型改修用サーフェーサーの4つの優れた特徴
①「優れた隠蔽性」
従来型の汎用サーフェーサーに比べて、新型改修用サーフェーサーは下地の隠蔽性(塗り重ねた時に以前の外壁の色が表面に透けず遮る効果)に優れる。
②「優れた低スパッタ性」
従来型の汎用サーフェーサーに比べて、新型改修用サーフェーサーはスパッタ面積率
(塗装時の塗料飛び散りによる汚れ)が約1/5に低減される。
③「優れた塗装作業性」
新型改修用サーフェーサーは粒子制御およびレオロジーコントロール技術により、軽
隠蔽性
低スパッタ性
※ いずれも左:汎用サーフェーサー、右:新型会収容サーフェーサー
くて伸びやすい優れた作業性を実現している。また、滑らかな表面は、上塗りの仕上がりをよりきれいにする。
* 従来品の汎用サーフェーサーは、塗付量(1㎡あたりの塗装重量)が厚塗り仕上(ゆず肌模様)で約 0.8
~ 1.5 ㎏、薄塗り仕上(平滑模様)
で約 0.3 ~ 0.6 ㎏だったが、新型改修用サーフェーサーは比重が軽くなったので厚塗り仕上で約 0.5
~ 1.0 ㎏、薄塗り仕上で約 0.2 ~ 0.5 ㎏となり、従来品より塗付量を少なく施工する事が可能になった。そのため従来品より高品質になっただけでなく、作業負担軽減による工期短縮につながりトータルコスト低減にも貢献出来る。
④「優れたひび割れ追従性」
新型改修用サーフェーサーの弾性性能を有する塗膜は既存塗膜に発生している微細なひび割れ、巣穴等をカバーすると共に、ひび割れ追従性を発揮する。従来品に比べて約1.5倍の伸び比となる。
■改修用サーフェーサーの性能比較表
(S 社製品の場合、全て水性タイプ、高弾性塗材のみサーフェーサーが無くシーラー要)* 2023.4 月度時点
一般名称 | 製品名 | 設計単価 | 所要量 | 伸び比 | コメント |
微弾性サーフェーサー | 水性ソフトサーフ SG | ¥1,760/ ㎡ | 0.8 ~ 1.5kg/ ㎡ | 1(基準) | 汎用タイプ シェア約 9 割 |
新型弾性サーフェーサー | エスケー弾性 プレミアムフィラー | ¥1,790/ ㎡ | 0.5 ~ 1.0kg/ ㎡ | 約 1.5 倍 | 新型タイプ省エネ化 |
弾性サーフェーサー | 水性弾性サーフエポ | ¥2,620/ ㎡ | 0.8 ~ 1.5kg/ ㎡ | 約 2 倍 | 従来の高品質タイプ |
高弾性塗材 | レナエクセレントAローラー用 | ¥4,020/ ㎡ | 2.4kg/ ㎡(2 回) | 約 3 倍 | 追従性に一番優れる |
■製品仕様
一般名称 水性特殊合成樹脂エマルション系弾性サーフェーサーホルムアルデヒド放散等級 F ☆☆☆☆
主要構成成分 特殊合成樹脂(*人工的に加工された樹脂の事)用途 一般内外壁改装
荷姿 15kg 石油缶 標準塗坪 15 ~ 75 ㎡/ 缶
設計価格 薄付け仕上げ:1,100 円/ ㎡ 厚付け仕上げ:1,790 円/ ㎡
エスケー化研株式会社 東京支店 改装開発チーム 西村岳志
一般社団法人 クリーンコンサルタント連合会 企画シンポジウム
マンション修繕設計監理契約約款の制定
~設計コンサルタントの役割を明確にする~
(一社)クリーンコンサルタント連合会(CCU)企画のシンポジウム「マンション修繕設計監理契約約款の制定~設計コンサルタントの役割を明確にする
~」が当協会会員セミナーも兼ねて昨年12 月2日 YouTube 配信により開催されました。今回テーマとなったマンション修繕設計監理契約約款が昨年4月に制定された背景には、本会報記事に端を発し、CCU設立の契機ともなった“不適切設計コンサルタント問題”があります。この問題への対応、是正に向けて業界側で検討してきた成果が今回の約款でもあり、コンサルタント業務を明確にして発注者である管理組合と共通認識に立って適正業務の遂行につなげることを目的ともしています。国もマンション施策の一環として強い関心を持ちながら制定されたこの新たな約款について、作成作業を担った当事者を始め、現在のマンション改修業界団体を代表する経験豊富なコンサルタントをパネリストとして今後への足掛かりともなる有意義な意見交換が行われました。
■基調講演
板橋弘和
四会連合協定建築設計・監理等業務委託契約約款調査研究会運営委員会委員民間(七会)連合協定工事請負契約約款委員会委員
株式会社久米設計 プロジェクト管理本部副本部長
■パネリスト(所属は当時)
奥澤健一
日本建築家協会(JIA) 関東甲信越支部メンテナンス部会会長株式会社スペースユニオン一級建築士事務所代表
田中昭光
マンションリフォーム技術協会(marta) 会長株式会社ジャトル相談役
柴田幸夫
クリーンコンサルタント連合会(CCU) 会長柴田建築設計事務所代表
■コーディネーター
宮城秋治
建築再生総合設計協同組合(URD) 代表理事宮城設計一級建築士事務所代表
〈敬称略〉
【基調講演】
マンション修繕設計監理契約約款制定の経緯について
マンション関連約款は大きく請負と設計の2つに分けられ、請負は民間(七会)連合協定工事請負契約約款委員会が先行して2016 年4月に民間(七会)連合協定マンション修繕工事請負契約約款を制定、2018 年に若干の改正、2020 年の民法改正を受けた大幅改正を経て現在に至っている。設計が今回、四会連合協定建築設計・監理等業務委託契約約款調査委員会によって策定された四会連合協定マンション修繕設計・監理等業務委託契約約款となる。請負約款策定時に設計約款もという要望もあったが、必ずしも一級建築士資格を必要としないマンションの改修設計業務に対して設計事務所団体が
策定することに疑問があったのが当時実現に至らなかった要因でもある。今回の経緯における直接的なきっかけがマンション修繕設計・監理業務委託契約約款作成協議会(構成団体:建物診断設計事業協同組合、一般社団法人マンション改修設計コンサルタント協会、一般社団法人マンション大規模修繕協議会、マンションリフォーム共同組合、一般社団法人マンションリフォーム技術協会、NPO 法人リニューアル技術開発協会)からの作成依頼で、この要請に基づいて日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会、日本建築士会連合会、日本建設業連合会の各団体の委員による四会連合協定建築設計・監理等業務委託契約約款調査研究会運営委員会で作成が提案された。提案内容は、マンション大規模修繕工事における設計監理業務について不適切な設計コンサルタントによる不正が社会問題化、それを助長している要因がマンション大規模修繕に適合した業務委託書や契約約款が存在しないためコンサルタントの業務内容が不明確なまま発注者が業務委託せざる得ない現状にあること、それを作成することによってマンション大規模修繕工事における課題解決や問題発生時の効率的解決に貢献するといったことで、前記協議会が「四会連合協定建築設計・監理等業務委託契約約款」をベースに作成した原案に対し、研究会内に検討 WG(主査・板橋)を立ち上げ、顧問弁護士のリーガルチェックや後押し、国交省担当官のアドバイスも受けながら作業が進められ2022 年4月に発行された。
設計監理約款(新築)との違い
今回ベースとした新築の設計監理約款(以下、設監約款)との相違点を中心に説明する。第1条(総則)では業務内容にマンション大規模修繕に関わる調査、改修、耐震診断など新築とは異なるところを列挙、第3条(委託者の連絡担当者)では理事など管理組合からの複数情報の錯綜を防止するため委託者も受託者も受付窓口を明確にするなどの条項、第9条(個人情報の取扱い)として個人情報の取扱いが多いマンションの場合を考慮して新築にはない条項が設定された。
今回のポイントが、第24 条(委託者の解除権の行使)の「解除該当理由」の9番目に、コンサルタントが不正に安い業務料で受託して施工会社から利益を受けることを抑制するため新たに「受託者が、本件委託業務又は本件修繕工事に関し、第三者から、社会的儀礼の範囲を超えて、利益の供与を受けたとき」の条文を明記したことにある。この条文の設置には色々意見があった。管理組合が「契約不適合または債務不履行責任」を立証するのは困難なので法的に意味がない、業界全体が
問題改善に取り組んでいるところに発注者(管理組合)に誤解や悪いイメージを与えかねないので記載すべきでないなど。大森弁護士の「法律的に実効性がないにしても少しでも不適切業務の抑止になるのなら入れるべき」の意見もあり全員一致で記載を決定した。この載せ方についても独立した条文を新たに設ける案、受託者の根本的な注意義務として総則に入れる案など議論されたが、記載自体に反対意見があったことも踏まえ、「委託者の解除権」の一つとして入れるようにした。
業務委託内容書も今回の約款策定の大きな目的の一つで、大規模修繕工事における設計監理業務の内容があいまいだったために不適切コンサルタントが安い値段で受注して管理組合に入り込み、発注段階で施工会社からバックマージンを得るというやり方を、マンション大規模修繕工事設計監理に適合した業務委託書を作ることによって阻止しようというものだ。項目を細かくリストアップし、実際の業務に適合するよう修正してダウンロードできるようにしている。業務内容は「調査・診断」、「改修設計」、「耐震診断・補強設計」、「工事施工者選定補助」、「監理」、「その他」に大きく分け、それぞれを細分化した業務項目にチェックボックスを設け、チェックしたものは業務に含まれ、逆にチェックしなかったものは入らないというように業務内容が明確になるようにしている。管理組合との打合せや相談時の材料としても利用できるもので、また、各項目に併せて「委託者が対応する内容」という欄を設け、委託者も業務を発注する以上、過去の調査資料の整理や情報収集などやるべきことがあるので、それを明示した。
契約書は、例えば、調査業務だけの契約にも使えるように「マンション修繕設計等に関する業務委託契約書」というシンプルなタイトルにして、ダウンロードできるようにしている。見積要項書、見積様式を添付してどちらもダウンロード可能にしており、見積様式は一式の不明確な額ではなく内訳が分かるようにするために示している。
現在、民法改正を反映したマンション修繕工事請負契約約款の解説書と今回の設監約款の解説を一冊にした解説書を作成中で、来春には発行を予定している。
パネルディスカッション
宮城 それでは各パネリストから、これまで設計監理業務に携わられてきた立場からマンション修繕設計監理の課題といった点についてお話しを頂きたい。
奥澤 マンション大規模修繕(改修)は、建築基準法で規定されている主要構造部の大規模な修繕や模様替えといわれる建築士でなければできない独占業務ではなく、建築士の資格がなくても設計や業者選定、工事監理などを行える
のが実態だ。建物に手を入れる改修には材料の成り立ちや相性、構造的知識も含めてトータルに考えねばならない場面が少なからずあり、相応の建築的な知識が求められる。また、ハード的な技術面だけでなく発注者である管理組合との関係性というソフト面も重要だ。マンション管理組合は執行機関である理事会が大体1~2年で入れ替わるため、大規模修繕工事という長期にわたるプロジェクトではクライアントのメンバーが変わっていく。そこで課題になるのが事業の継続性であり、求められるのが信頼関係の構築だ。技術をベースにそうしたコミュニケーション力も含めて管理組合を支援していくことがマンション大規模修繕工事に携わる設計者の本来の役割だと感じている。特に改修工事は着手前の調査段階でその状況を正確に把握することは困難に近い。目視と立入り可能な範囲での状況確認によって建物の損傷具合を判断し、工法、仕様などを考えていくためには経験値にも大きく左右され、それでもなお足場が掛かって実際に調査すると思いがけない状況が隠れていたりする。例えば、外壁タイルが予想以上に浮いていて予算も含めて施工段階で問題になることも少なくない。そういった改修工事ならではのやってみないと分からない事態に遭遇したときの管理組合と施工会社の間のコーディネーター役も大きな役割の一つだ。そうした中で今回ご提示頂いた設計監理契約約款はかなり現場の実態などを踏まえてまとめられたと感じているが、その中でよく起きるのが
工事終了後の問題で、良かれと思って対処したことが数年後に不具合を生じ、管理組合の要求に応えられないような思わぬ事態を招くこともある。それが着工前に確認できたことならば一定の責任を負う必要もあると思うが、やってみなければ分からないリスクを抱えながら設計や施工管理などの業務を行っていく中で、我々の責任はどのように問われてくるのか、それに対してどう取り組んでいけばよいのかといった点についても皆様のご意見をお聞きしたいと思っている。
田中 今回のマンション修繕設計監理
委託契約約款については非常に役立つ第一歩と感じているが、我々マンションリフォーム技術協会(marta)は設計者、メーカー、施工者の3者に対して組合とのやりとりから材料や工事の品
質も含めた技術向上を求める組織であり、この約款にもそうしたことを組み入れて頂ければと思っている。マンション大規模修繕は外壁や屋上防水の修繕のほかにもスロープや手すりの設置など修繕以外の改修も含まれ、そうした勉強も行い技術者の育成に努めながら、これまで技術マニュアルの出版、器工具や大学との共同研究により超高層建物に適用する超高強度コンクリート補修材の開発も行ってきた。ただ、私どもは実際の監理や修繕計画を行う前に管理組合と接していかなくてはならない。先ほどお話があったように管理組合の理事会や修繕委員会メンバーが1~2年で変わる中で我々がコンサルを続けていくときに、理事会の考えが変わり計画も変わってしまう場合はどうするのか。また、新築と異なり必ず人が居て、様々な制約がある中での作業に対する設計監理であることも、この約款にプラスして考えていく必要があるのではないか。チェックリスト方式も適切だが追加項目もあると思う。また、管理組合には予算があり、例えば、タイルの浮きもすべてを直すのは簡単だが予算が不足している場合、何を削減するか、
付着力によってどの範囲まで直すかといったことも計画していかねばならない。今回の約款については今後補足しながら大規模修繕に特化した内容で出来上がっていけばと思う。
柴田 今回の約款が策定されたのは
2016 年11 月にマンションリフォーム技術協会が会報誌に当時会長だった私が書いた「不適切コンサルタント問題への提言」を掲載したことが端緒になったと思っているが、その結果、国交
省から通知が出されたり管理組合や管理組合団体から多くの反響があった。その流れの中で CCU 設立に至っているわけだが、提言を発表した当時、今回の約款制定につながるとは全く予想していず、望外のことと喜ばしく思っている。今回のマンション修繕設計監理契約約款が作成される以前は、建築設計監理契約約款を基本にマンション大規模修繕に適合するように修正しながら流用していた。建物の修繕・改修の仕事はマンションに限らず建物が存在する以上あるわけで、一般的な建物の修繕約款が作られる前に今回の約款が作られたのは意義深い。この内容についてマンション修繕コンサルタント業務の要注意点あるいは特徴的な部分を3点取り上げたい。第1点は不適切コンサルタントの排除規定、私が勝手に呼称を変えているが、24 条の「委託者の解除権の行使」の⑨の部分について、今回の約款の中で非常に大事な部分だと思う。訴えるにはハードルが高すぎ実効性がないという意見もあったそうだが象徴的な意味合いでも入れておくことは非常に大事なことで、特に管理組合に承知して頂くことが不適切コンサルタントを減らすためにも重要だと思う。第2点はかなり細かく項目を挙げている契約業務一覧について、大項目では耐震関係、施工者選定補助がマンション修繕における新しい項目で、前者は当然としても後者の施工者選定は違和感もあるが、マンション改修においては非常に大きなウェイトを占めており、不適切問題でキーポイントになる部分でもあるので追加されたのだと思う。もう一つ、長期修繕計画作成業務が調査診断業務の一部として記載されている点、分類を集約して煩雑にしないためかとも思うが、これは単独の項目であるべきではないか。第3点は見積要項に提示されているコンサルタントの業務報酬の見積書式について。管理組合がコンサルタントの業務見積を比較するために参考として示されているのだと思うが、新築の約款には記載がなく、内容も一般の見積書と同じような形式でもあり、参考とするのであれば国交書の告示に従った書式を採用して頂きたかった。以上、利用するのは管理組合であり、内容をよくチェックして契約書や見積要項など修正することを前提にご利用頂ければと思っている。
業務資格、理事会の継続性、
設計瑕疵等の業務リスクなどに焦点
宮城 皆さんから色々テーマを出して頂き、これからパネルディスカッションに入るが、奥澤部会長、田中会長からは建築士法には縛られない業務の中でクライアントである
管理組合の執行部が1~2年で変わっていく難しさ、板橋先生の基調講演でもマンション修繕の業務がそもそも建築士法で定義されていないという話も頂いた。まず、この設監約款が誕生した段階で四会連合として、マンションの修繕設計業務は一級建築士が行うことが望ましいと考えているのか、板橋先生にお伺いしたい。
板橋 建築士の資格の必要性については、技術的な裏付け
として建築士資格は必要であるという意見も少なくなかったが、国交省として、国交省管轄のマンション管理士の業務を狭めることになりかねないため、一級建築士資格が必須と明言することは避けて欲しいとの要望があったと思う。また、理事会が変わって継続性がないという点について、継続して関わっていくコンサルが、短期間の任期で交代する理事の考えを継続させていくような役割を果たして頂けると管理組合も非常に助かるのではないかと感じた。宮城 管理組合を相手に仕事をしていく以上、継続性は重要であるにしても、考え方が執行部の交代で変わってしまうといった点に対して、メンテナンス部会の設計者はどのような対応をされているのか。
奥澤 管理組合の体制には理事会主体で運営される場合と、理事会をサポートする大規模修繕委員会のような諮問機関のもとで運営される場合の大きく2つあると思う。問題になりがちなのは理事会主体で運営していかざるを得ない小規模なマンションで、理事の引き継ぎに苦労される場面が少なくないと思われる一方、小規模なだけに組合内部
でのコミュニティは上手くいくケースもある。逆に、諮問機関タイプでも修繕委員会がプロジェクトを主導的に進めていく中で組合内部が対立する場面もあり、それはそれでかなり苦労する。メンテナンス部会のメンバーは、そうした中で継続的に付合いをしている管理組合が多いと思う。私自身も新規でご依頼を頂くのは極めて少なく、随時相談等に関わらせて頂きながら継続していく形がほとんどという状態だ。
宮城 柴田会長からは今回の設監約款の一式メニューが策
定された中で、約款における不適切コンサル排除条項の位置づけと共に、業務一覧の中のマンション修繕に特化した条項、見積様式についても少し違和感があるというお話があったが、この辺について田中会長の受け止め方、今後、実際の業務で約款がしっかり機能していくための課題といった点はいかがか。
田中 その前に、資格の有無についてはもちろん一級建築
士が望ましいが、少なくとも一級建築士事務所としてほしい。工事自体は仕様書ができていれば新築に比べてそう難しいとは思わないが、フェンスを作る時の窓先空地避難通路関係、自転車置場の移動、足場の避難経路、万が一の出火時の居住者の避難経路、消防隊の進入マークの掲示など、あまり目立たない法的な事柄は一級建築士がリーダーになってやらなければならないと思っている。約款については設計瑕疵の問題が一番気になっている。何かあるとコンサルタントに責任が向かいがちで、コンサルタントが全てを監理しているのだから部屋の前、内部、バルコニーまで見にきてくれるはずだったとか、超高層ではゴンドラがない
と目視できない写真判定になるようなところも結構あり、それらが理事会が変わった段階でコンサルは何をやっていたのだとクレームになったりする。修繕委員会など継続性がある諮問機関であっても、理事会も諮問機関も住民なので、その間でトラブルにはしたくない、それで何かミスがあった場合に第三者の責任にしようという動きも見られ、中には、議事録にコンサルタントのミスリードによるといった記載がされていて責任を一方的に負わされるようなこともあり、そうした場合の監理の在り方や対応についても検討して頂ければと思う。また、500
~ 600 戸という大型物件では全てを見ることが難しいので、それに対応する適切な重要事項の説明書があればとも思っている。
宮城 重責を担っている設計監理者の立場からクライア
ントの継続性や過剰ともいえる要求といった点も含めて色々な切り口で皆さんから意見を頂いたが、それぞれご自由にお話を頂きたい。
板橋 興味を持ったのは継続の話と責任の所在の話、そ
れと柴田会長から一般的な建物の修繕約款よりもマンション改修の設監約款が先にできたという話があったが、今、遅ればせながら一般建物改修の請負契約約款が必要かという議論を始めている。難しいのはやはり既存建物の不具合問題で、誰の責任で見つけて誰の責任で直すのか、発注者にそれを調べる義務を与えるか、あるいは設計段階の設計約款でその義務を明記するか、設計の請負約款とするにしても改修については改修設監約款の存在が重要ではないかという意見もあり、その辺を今後研究していく必要があると思っている。コンサルに対する過度な要求については、業務委託書もしくは業務内容書に盛り込むか、約款に条文を設定するか、例えば、結露は新築でも設計の責任になったりするが、条件が揃うと防ぐには金も掛かり大変なので発注者に対する説明がポイントになることから、業務委託書に注意書きを入れて、このような場合には結露の可能性があると盛り込んでおく、そのようなことで問題化する事態を阻止する手立てとなるのではないか。
奥澤 マンションの大規模修繕に取り組んできて、やはり改修の設計監理は調査診断と設計で完結するものではなく、現場に出て隠れた部分をいかに拾い出し、直していくか、設計段階では確認しえない部分を補完していくような仕事でもあり、現場が重要だと常に思っている。その中で、費用や時間など色々なことで妥協した部分は
必ず後で不具合として出てくることを教訓、課題として持っているが、設計・調査段階では分かり得ないこともある。例えば、手の届かない部位のタイルの不具合などは中々確認できない。それが発見されたときに設計者として監理者として何ができるか。それを仲間とも話し合いながら管理組合側のスタンスで支援していくことが我々メンテナンス部会の方向性だと思っており、今回の約款では21条の受託者の責任についても整理されているので、この辺も含めて部会でも議論していきたいと思うと同時に、経験値の高い皆さんのご意見も伺っていきたい。
田中 marta では経験や実績に基づいた不具合対策の実態本を作ったりしているが、そうした中で、従来標準とされてきた考え方を見直す必要が出てきているように感じることがある。また、塗料やシール関係にしても品質がグレードアップしてきているので、それらへの対応も図りながら監理の仕方も考えていきたい。そうしたことが四会連合協定に反映されるかどうかは別にして、色々なことを足掛かりにして調整していかないと技術的にもバランスを欠く恐れがあるので、関連する団体や機関と協力体制をとっていくことが大切だと考えている。
柴田 不適切コンサル問題については、今回この約款が示されたこと自体に意義があると思っている。契約業務一覧表はよくここまで網羅したと思うくらい書かれているが、管理組合が誤解しないようにして頂きたいのは、これは業務を行うときの最大値ではなく、この中から選択をするということで、多ければいいというものではな
いということ。管理組合との打合せで、あれもこれもと要望されることがあるが、必要なことを必要なだけ行えばいいのであって、そのための相談材料として使って頂きたい。見積様式については先ほど言ったように国交省の告示第15号に示されている報酬基準とは違和感があり、約款では例として示されているので深く考える必要はないかもしれないが、人工と単価を加算して直接経費と間接経費を合計するという通常の物品売買と基本的に変わらない方式であり、経費の算定にも隔たりがあるので見直して頂ければと思う。最後に、管理組合にとって有効な武器として利用して頂きたいが、色々注意すべき点もある。管理組合とコンサルタント双方の合意に基づき Web サイトからダウンロードして修正、追記しながら使って頂きたい。場合によっては CCU,JIA メンテナンス部会、marta などをセカンドオピニオンとして利用して頂ければとも思っている。
まずは運用して議論の俎上に、新たな資格制度も視野に
宮城 それでは最後に、まとめに向けてご意見などご自由にご発言を頂きたい。
板橋 業務内容書について一番重要だと思っているのが、入っていない業務が明確になっていること。新築の約款もそうだったが、以前はオプション業務を契約書に追記するようなケースがあり、入っている業務は分かる一方で、入っていない業務が分からず、発注者が当然入って
いると思っていた業務を後から指摘され、やらざるを得なくなることがあった。それを新築の改定した約款と同様に、項目をチェックする形式にして業務内容を明確にしたことが今回のポイントでもある。また、業務内容が若干異なるような場合もあると思うが、必要に応じて表現を変えて頂いて煩雑にならないように使って頂ければと思う。
田中 例えば、シーリング材の物性試験方法が参考として
チェックリストに記載されているが、実際には物性以外にはく離や断面形状を調べるケースが多いので、そういった情報も備考などとして付記して頂くといいかと思う。
板橋 先ほどお話したように現在、解説書を作成中で、そ
うしたお気づきの点があればご指摘頂いて、ぜひ取り込ませて頂きたい。
奥澤 試験施工などが何を目的にしているのか根本的なこ
とを分からないまま行っている例も見受けられる。解説書には、その技術的な意味にも触れてほしい。冒頭に柴田会長が調査診断の中に長期修繕計画が設定されていると言われたが、それと並列して劣化図面作成業務が入っている。個人的にはいくら高精度で診断時に劣化図面を作ったとしてもあまり意味はないと思っているので、この辺も今後議論できればと思う。
柴田 調査段階の劣化図では精度に限界があり、かえって
実際の工事に支障をきたすことにもなりかねない。では調査だけのために足場を架けるかという話にもなるので、やはり考えるべきところだ。
板橋 奥澤さんが改修工事の場合、着工してから見つかる
不備とかが結構あるので施工者が困ったりしているように話されていたが、改修の約款を考えていく中で、例えば、開けてみたら豆板だらけだったというようなときにどのような対応をしているのか、そのような事例があると参考になるのだが。
されている工事監理では、その工事が契約通り行われているかどうか、その者の責任において確認するとされている。設計通りに行われているかどうかを見定めることが我々に
◇マンション管理でお困りのこと
◇大規模修繕などでお悩みのこと
◇本誌で取り上げて欲しい記事など
ご質問・ご要望を当協会宛お寄せ下さい。
?
する情報を発信して頂ければと思う。長時間にわたり有り
難うございました。
奥澤 今、具体的には思い浮かばないが、建築士法で定義
求められていることではあるが、何か起きたときに後々不具合が出ないように現場監督をサポートし、適切なアドバイスをするのも我々の重要な役割だと思っている。ただ単に見てチェックするだけではなく、彼らをサポートして底上げしていくことも求められていると常々思っている。 板橋 良心的な施工者が見つけた不備に正直に対処すると、仕事が増えて逆に不利益を被るとか、場合によっては見て見なかったことにしようとか、そうならないようにするにはどうすればよいかということも非常に重要なことだと考えている。
宮城 パネリストの皆さんから大切な
話をお伺いした。全体をまとめることはとてもできないが、課題、問題点も色々頂いたと思う。今回の約款作成においても国としてはマンション管理士活用の関係から一級建築士の独占業務
とするには程遠い印象があった。マンション修繕に特化した今回の約款については管理組合(発注者)と設計監理者が業務一覧を互いに納得しながら取捨選択をして、それに費用がリンクしていくことを留意して、現場に適合し、管理組合の意向に沿った契約書式を作って頂ければと思う。そのためには設計監理者に今回の約款を用いて議論の俎上に載せて頂くことがスタートでもあり、実際に利用して得ることも多いと思うし、それを四会連合に伝えて検討して頂くことも重要かと思う。柴田会長からお話があった告示について、場合によっては国としてもマンション修繕特有の算定方法を考えていく、あるいは資格についても建築士の基礎的な知識・能力に加えて求められる管理組合とのコーディネートやソフト面の計画技術をカバーした新たなマンション修繕に対する資格制度も視野に入ってくるのではないかという印象を持った。CCU としても今回の設監約款の制定を機に、改めて修繕設計の適正な姿、在り方に関
マンションリフォーム技術協会 会員一覧
(2023.6.10 現在)
20
2
飯塚 敏志 ㈱テーアイエンジニアリング(東京都荒川区) Tel. 03-6458-3035
今井 章晴 ㈱ハル建築設計(東京都千代田区) Tel. 03-6265-3639
江守 芙実 ㈱江守建築設計(東京都新宿区) Tel. 03-6240-2922
設計・コンサルティング 名 / 個人 名
奥澤 健一 ㈱スペースユニオン(東京都新宿区) Tel. 03-5990-2890尾崎京一郎 ㈲モア・プランニングオフィス一級建築士事務所(神奈川県横浜市) Tel. 045-532-9260岸崎 孝弘 ㈲日欧設計事務所(東京都練馬区) Tel. 03-3557-4711
齊藤 武雄 ㈱汎建築研究所(東京都中央区) Tel. 03-5623-3881
柴田 幸夫 柴田建築設計事務所(埼玉県さいたま市) Tel. 048-767-6454
鈴木 和弘 ㈲八生設計事務所(東京都墨田区) Tel. 03-3624-7311
田中 昭光 (千葉県鴨川市) Tel. 090-4727-1226
田村日出男 ㈱ミュー建築(東京都新宿区) Tel. 03-3361-3045
坪内 真紀 坪内一級建築士事務所(東京都武蔵野市) Tel. 0422-56-8893
仲村 元秀 ㈱ジェス診断設計〈設備〉(東京都千代田区) Tel. 03-6403-9782
町田 信男 ㈲トム設備設計〈設備〉(神奈川県横浜市) Tel. 045-744-2711
水白 靖之 水白建築設計室(千葉県鎌ヶ谷市) Tel. 047-384-2159
宮城 秋治 宮城設計一級建築士事務所(東京都渋谷区) Tel. 03-5413-4366
柳下 雅孝 ㈲マンションライフパートナーズ〈設備〉(東京都新宿区) Tel. 03-3364-2457
山田 俊二 ㈲八生設計事務所(東京都墨田区) Tel. 03-3624-7311
横尾佳奈子 ㈱ジャトル(東京都港区) Tel. 03-5843-8340
渡辺 友博 ㈱ UG 都市建築(東京都新宿区) Tel. 03-5369-3120
伊藤 益英 シャルム商事㈱(東京都中央区) Tel. 03-3571-2508
渋谷 貴博 (一社)マンションあんしんセンター(東京都渋谷区) Tel. 050-3479-1551
50
㈱アシレ 〒 241-0802 神奈川県横浜市旭区上川井町 359 − 1 Tel. 045-923-8191
㈱アルテック 〒 231-0801 神奈川県横浜市中区新山下 2 − 12 − 43 Tel. 045-621-8917
一起工業㈱ 〒 110-0012 東京都台東区竜泉 1 − 12 − 7 Tel. 03-3874-1964
井上瀝青工業㈱ 〒 141-0022 東京都品川区東五反田 1 − 8 − 1 Tel. 03-3447-3241
内野建設㈱ 〒 176-8536 東京都練馬区豊玉北 5 − 24 − 15 Tel. 03-5999-2135
エースレジン㈱ 〒 206-0801 東京都稲城市大丸 327 Tel. 042-378-7221
㈱ SMCR 〒 104-0033 東京都中央区新川 2 − 27 − 1 東京住友ツインビルディング東館18 階 Tel. 03-4582-3402
NS リノベーション㈱ 〒 104-0032 東京都中央区八丁堀 1 − 9 − 6 吉半八重洲通りビル 4 階 Tel. 03-3523-0611
㈱ NB 建設 〒 221-0052 神奈川県横浜市神奈川区栄町 5 − 1 YCS ビル 10 階 Tel. 045-451-8816
㈱エフビーエス 〒 103-0025 東京都中央区日本橋茅場町 3 − 1 − 11 日本橋ピアザビル Tel. 03-3639-7601
奥村組興業㈱ 〒 103-0015 東京都中央区日本橋箱崎町 27 − 8 Tel. 03-3669-7051
工事会社
川本工業㈱ 〒 231-0026 神奈川県横浜市中区寿町 2 − 5 − 1 Tel. 045-662-2759
㈱カンドー 〒 143-0016 東京都大田区大森北 3 − 3 − 13 Tel. 03-5493-2516
京浜管鉄工業㈱ 〒 171-0031 東京都豊島区目白 2 − 1 − 1 目白NT ビル 6 階 Tel. 03-6871-9961
建設塗装工業㈱ 〒 101-0044 東京都千代田区鍛冶町 2 − 6 − 1 堀内ビルディング 6 階 Tel. 03-3252-2512
音順
建装工業㈱ 〒 105-0003 東京都港区西新橋 3 − 11 − 1 Tel. 03-3433-0503
㈱サカクラ 〒 235-0021 神奈川県横浜市磯子区岡村 7 − 35 − 16 Tel. 045-753-5700
三和建装㈱ 〒 188-0011 東京都西東京市田無町 1 − 12 − 6 Tel. 042-450-5811
㈱シー・アイ・シー 〒 110-0014 東京都台東区北上野 1 − 10 − 14 Tel. 03-3845-8601
㈱ジェイ・プルーフ 〒 130-0011 東京都墨田区石原 4 − 32 − 4 JP ビル 2 階 Tel. 03-3624-9616
㈱シミズ・ビルライフケア 〒 104-0031 東京都中央区京橋 2 − 10 − 2 ぬ利彦ビル南館 3 階 Tel. 03-6228-7836
㈱ジャパンリフォーム 〒 160-0022 東京都新宿区新宿 1 − 17 − 3 末松ビル Tel. 03-3358-5666
シンヨー㈱ 〒 210-0858 神奈川県川崎市川崎区大川町 8 − 6 Tel. 044-366-4840
㈱スターテック 〒 144-0052 東京都大田区蒲田 3 − 23 − 8 蒲田ビル 9 階 Tel. 03-3739-8852
㈱太平エンジニアリング 〒 113-8474 東京都文京区本郷 1 − 19 − 6 Tel. 03-3817-5565
㈱大和 〒 231-0017 神奈川県横浜市中区港町 6 − 28 Tel. 045-225-8200
高橋電気工業㈱ 〒 104-0045 東京都中央区築地 3 − 7 − 10 JS 築地ビル 3 階 Tel. 03-6281-5893
㈱ダックビル 〒 135-0016 東京都江東区東陽 3 − 8 − 5 日向野ビル 4 階 Tel. 03-6458-6440
㈱ティーエスケー 〒 111-0056 東京都台東区小島 2 − 13 − 3 ティーエスケービル Tel. 03-5809-3151
㈱藤輝工業 〒 183-0014 東京都府中市是政 3 − 23 − 32 Tel. 042-207-4951
㈱ニーズワン 〒 151-0073 東京都渋谷区笹塚 2 − 26 − 2 Tel. 03-5351-1188
㈱西尾産業 〒 135-0022 東京都江東区三好 2 − 4 − 10 Tel. 03-3820-2403
㈱日装・ツツミワークス 〒 170-0013 東京都豊島区東池袋 3 − 4 − 3 NBF 池袋イースト14 階 Tel. 03-5956-6777
工事会社
日本設備工業㈱ 〒 103-0015 東京都中央区日本橋箱崎町 36 − 2 Daiwa リバーゲート Tel. 03-4213-4915
日本ビソー㈱ 〒 108-0023 東京都港区芝浦 4 − 15 − 33 Tel. 03-5444-3887
日本防水工業㈱ 〒 177-0034 東京都練馬区富士見台 4 − 43 − 5 Tel. 03-3998-8721
不二サッシリニューアル㈱ 〒 101-0064 東京都千代田区猿楽町 2 − 8 − 4 猿楽町菊英ビル Tel. 03-5259-6020
音順
㈱ベルテック 〒 111-0042 東京都台東区寿 3 − 19 − 5 JS ビル 6 階 Tel. 03-5830-0231
㈱北栄 〒 142-0063 東京都品川区荏原 1 − 23 − 7 パルテノンオンダ 1 階 Tel. 03-3784-5660
社
前田道路㈱ 〒 141-8665 東京都品川区大崎 1 − 11 − 3 Tel. 03-5487-0022
㈱マサル 〒 135-8432 東京都江東区佐賀 1 − 9 − 14 Tel. 03-6880-9030
ヤシマ工業㈱ 〒 165-0026 東京都中野区新井 2 − 10 − 11 Tel. 03-6365-1818
㈱ヨコソー 〒 238-0023 神奈川県横須賀市森崎 1 − 17 − 18 Tel. 046-834-5191
リノ・ハピア㈱ 〒 145-0062 東京都大田区北千束 3 − 1 − 3 Tel. 03-3748-4021
㈱ YKK AP ラクシー 〒 130-0014 東京都墨田区亀沢 3 − 22 − 1 YKK 60 ビル 6 階 Tel. 03-6628-5240
アーキヤマデ㈱ 〒 131-0034 東京都墨田区堤通 1 − 19 − 9 リバーサイド隅田・セントラルタワー Tel. 03-6657-1563
㈱アイ・エス 〒 103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町 17 − 4 綱川ビル 3 階 Tel. 03-3249-3531
アイカ工業㈱ 〒 176-0012 東京都練馬区豊玉北 6 − 5 − 15 アイカ東京ビル 3 階 Tel. 03-5912-2841
アサヒボンド工業㈱ 〒 173-0031 東京都板橋区大谷口北町 3 − 7 Tel. 03-3972-4929
宇部興産建材㈱ 〒 105-0023 東京都港区芝浦 1 − 2 − 3 シーバンス S 館 10 階 Tel. 03-5419-6203
AGC ポリマー建材㈱ 〒 103-0013 東京都中央区日本橋人形町 1 − 3 − 8 沢の鶴人形町ビル7 階 Tel. 03-6667-8421
エスケー化研㈱ 〒 169-0075 東京都新宿区高田馬場 1 − 31 − 18 高田馬場センタービル8 階 Tel. 03-3204-6601
㈱オンダ製作所 〒 101-0032 東京都千代田区岩本町 1 − 10 − 5 TMM ビル 3 階 Tel. 03-5822-2061化研マテリアル㈱ 〒 105-0003 東京都港区西新橋 2 − 14 − 1 興和西新橋ビル B 棟 Tel. 03-5860-9956関西ペイント販売㈱ 〒 144-0045 東京都大田区南六郷 3 − 12 − 1 Tel. 03-5711-8905
菊水化学工業㈱ 〒 171-0022 東京都豊島区南池袋 2 − 32 − 13 タクトビル 4 階 Tel. 03-3981-2500
メーカー・資材
㈱クボタケミックス 〒 104-8307 東京都中央区京橋 2 − 1 − 3 京橋トラストタワー 19 階 Tel. 03-3245-3085
㈱小島製作所 〒 454-0027 愛知県名古屋市中川区広川町 5 − 1 Tel. 052-361-6551
コニシ㈱ 〒 338-0832 埼玉県さいたま市桜区西堀 5 − 3 − 35 Tel. 048-637-9950
㈱サンゲツ 〒 140-8611 東京都品川区東品川 3 − 20 − 17 Tel. 03-3474-1245
サンスター技研㈱ 〒 105-0014 東京都港区芝 3 − 8 − 2 芝公園ファーストビル 4 階 Tel. 03-3457-1990
三和アルミ工業㈱ 〒 170-0005 東京都豊島区南大塚 3 − 40 − 5 三和ビル 4 階 Tel. 03-5952-0221
音順
シーカ・ジャパン㈱ 〒 107-0051 東京都港区元赤坂 1 − 2 − 7 赤坂 K タワー 7 階 Tel. 03-6434-7634
積水化学工業㈱ 〒 105-8566 東京都港区虎ノ門 2 − 10 − 4 オークラプレステージタワー22 階 Tel. 03-6748-6510
社
双和化学産業㈱ 〒 108-0073 東京都港区三田 3 − 1 − 9 大坂家ビル 7 階 Tel. 03-5476-2371
㈱染めQ テクノロジィ 〒 306-0313 茨城県猿島郡五霞町元栗橋 5971 Tel. 0280-80-0005
タキロンマテックス㈱ 〒 108-6015 東京都港区港南 2 − 15 − 1 品川インターシティA 棟15 階 Tel. 03-5781-8150
田島ルーフィング㈱ 〒 101-8579 東京都千代田区外神田 4 − 14 − 1 秋葉原UDX 21 階 Tel. 03-6837-8888
タマガワ㈱ 〒 141-0031 東京都品川区西五反田 7 − 22 − 17 TOC ビル Tel. 03-5437-0170
ナカ・テクノメタル㈱ 〒 110-0014 東京都台東区北上野 2 − 23 − 5 住友不動産上野ビル2 号館1 階 Tel. 03-5826-0603
日新工業㈱ 〒 120-0025 東京都足立区千住東 2 − 23 − 4 Tel. 03-3882-2571
日本ペイント㈱ 〒 140-8677 東京都品川区南品川 4 − 7 − 16 Tel. 03-5479-3613
白水興産㈱ 〒 105-0004 東京都港区新橋 5 − 8 − 11 新橋エンタービル 3 階 Tel. 03-3431-9713
山本窯業化工㈱ 〒 141-0031 東京都品川区西五反田 8 − 1 − 2 第2平森ビル9階 Tel. 03-6417-0250
㈱ LIXILリニューアル 〒 130-0013 東京都墨田区錦糸 1 − 2 − 4 アルカウエスト Tel. 050-1790-5492
ロンシール工業㈱ 〒 130-8570 東京都墨田区緑 4 − 15 − 3 Tel. 03-5600-1866
YKK AP ㈱ 〒 130-8521 東京都墨田区亀沢 3 − 22 − 1 YKK 60 ビル Tel. 03-5610-8130
50
32
50
45
施工管理型・誘導加熱装置
IH ジョインター
位置検知
温度管理
仕上げ 3つの仕組みで
マグ
誰でも確実施工
設計推進本部東日本設計推進課
東京都墨田区堤通1-19-9
リバーサイド隅田・セントラルタワー Tel.03-6657-1563
〒105-0003 東京都港区西新橋2丁目14番1号 興和西新橋ビルB棟 TEL:03-5860-9956 FAX:03-6206-1085
ホームページ http://www.kaken-material.co.jp
壊さないことへの挑戦。
ヤシマ工業は建物の長寿命化を通じ、社会と地球環境に貢献します。
ヤシマ工業株式会社 tel:03-6365-1818 URL:www.yashima-re.co.jp
建物調査診断
大規模修繕工事
耐震診断設計工事
リノベーション設計工事
マンションリフォーム技術協会が発足から20 年経過した。~ 2003 年の発足時は任意団体マンションリフォーム協会で、2009 年から一般社団法人マンションリフォーム技術協会となっている~
2003 年の発足総会時の会員は個人会員19 名、法人会員(工事会社)15 法人、法人会員(メーカー) 15 法人の合計49 会員であったが、2023 年総会時には個人会員21 名、法人会員(工事会社)45 法人、法人会員(メーカー)32 法人で合計98 会員と丁度
2倍になっている。会員数はこの20 年の間に倍増しているが、20 年の経年により設立当初からの個人会員は5名だけになり、他は退会あるいは交代し、また法人会員の担当者も多くが交代している。
設立時の趣意書によると、年ごとに増えていくマンションの耐久性の追求のみならず時代に応じた居住環境の改善を視野に入れた総合的居住性能の追求を、設計者の「総合計画力」、工事会社の「技術力」、メーカーの「開発力」による共同生産行為によっていかに組織的・経済的・合理的に進めるか議論を重ね、
整理体系化し実践していく為の研究・討論・情報交換の場をつくることを目的として発足している。
この趣意は、代替わりした会員の中にも生きており、実践されてきている。今まで発行された全37号の marta 会報に掲載されてきた工事事例報告、セミナー開催情報、新技術・製品情報、書籍出版案内、業界紙への連載記事などがそれを物語っている。発足当初から代々のメンバーのボランティアで培われてきた実績である。この先更なる10 年後には、会員も更に倍増し活動内容も豊富になり、業界やマンション管理組合への認知度がより高くなっていることを期待する。
(S . Y)
特 長
一般社団法人マンションリフォーム技術協会は、設計コンサルタント、工事会社、メーカーが三位一体となった組織です。それぞれの立場のプロフェッショナルたちが一つになって質の高いマンションリフォームを実現します。
設計コンサルタント
豊富な経験に基づくマンションリフォームの提案
•調査診断 •修繕計画 •設計
•工事監理 •長期修繕計画
管理組合
工事会社
良質で安全・安心な工事の実現
•大規模修繕工事(建築・電気・機械・ガス)
•エレベーター・機械式駐車場工事
•グレードアップ(バリアフリー・省エネ)
•耐震補強工事
メーカー・流通
マンション改修に最適で良質な製品の提供
•塗装材 •防水材 •シーリング材
•タイル資材 •下地補修材 •建具・金物類
•設備機器・配管材料
一 般社団法人
〒 101-0033 東京都千代田区神田岩本町 4 長谷川ビル 3 階 Tel.03-5289-8641 Fax.03-5289-8642
E-mail:mansion@marta.jp URL:http://www.marta.jp/
40 marta 第 38 号 2023.6
2023(令和 5)年 6 月 20 日 発行