Contract
県が発注する建設工事の債権譲渡(売掛債権担保融資保証制度)の承諾に関する取扱要領
(目的)
第1条 この要領は、佐賀県建設工事請負契約約款(以下「約款」という。)第5条第1項ただし書の規定により、契約によって相手方(以下「請負者」という。)に生ずる権利のうち、請負者が平成15年4月10日付け総行行第50号・国総振第205号総務省自治行政xxx課長・国土交通省総合政策局建設振興課長通知「工事請負契約に係る債権譲渡の承諾に関する事務取扱いについて」による中小企業信用保険法に基づく売掛債権担保融資保証制度を利用する場合における、公共工事に係る工事請負代金債権の譲渡(以下「債権譲渡」という。)を承諾する場合の取扱について定めるものとする。
(対象工事及び譲渡債権の範囲)
第2条 売掛債権担保融資保証制度を利用する場合における債権譲渡を承諾する対象となる工事は、次の各号の要件を全て満たさなければならないものとする。
(1) 約款第31条第2項に規定する工事の完成を確認する検査( 以下、「完成検査」という。) に合格した工事であること、若しくは当該建設工事の出来形が40%以上( 約款第34条第3項の規定に基づく中間前払金の支払を受けた場合は60%以上)に到達した工事であること。
(2) 債権取立てについて、国、地方公共団体その他から差押え等の通告がなく、かつ今後そのおそれがないこと。
(3) 佐賀県信用保証協会の行う売掛債権担保融資保証制度を利用し、金融機関から融資を受けるための債権譲渡であること。
(4) 履行保証を付したもののうち、佐賀県が役務保証を必要としない工事であること。
(5) その他債権譲渡の承諾に不適当な事由がない工事であること。
2 債権譲渡額は、当該請負代金額から既に支払いをした前払金、中間前払金、部分払金及び当該請負工事契約により発生する佐賀県の請求権に基づく金額を控除した額の全額である。ただし、請負契約が解除された場合においては、約款に定められた検査に合格し引渡を受けた出来形部分に相応する請負代金額から既に支払いをした前払金、中間前払金、部分払金及び請負契約により発生する違約金等の佐賀県の請求権に基づく金額を控除した額の全額である。
3 請負契約の内容に変更が生じた場合の譲渡される債権は、請負代金額の増減に連動して債権譲渡額も増減するものとする。
4 債権譲渡の承諾は、1請負契約について1回とし、下請セーフティネット債務保証事業との併用は、認めないものとする。
(債権譲渡人及び債権譲受人)
第3条 債権の譲渡人は売掛債権担保融資保証制度を利用しようとする請負者(以下「債権譲渡人」という。)とし、債権の譲受人(以下「債権譲受人」という。)は、佐賀県内に本店又は支店を有する中小企業信用保険法施行令(昭和25年政令第350号)第1条の2
に規定する金融機関及び佐賀県信用保証協会とする。譲渡された債権は、金融機関と佐賀県信用保証協会が準共有する。ただし、佐賀県信用保証協会の事務手続は金融機関が代理して行う。
(債権譲渡承諾願)
第4条 債権譲渡人及び債権譲受人は、債権譲渡の承諾申請を行う場合は、以下の書類を発注者に提出するものとする。
(1) 完成検査に合格した工事
① 債権譲渡承諾願(様式第1号その1) 1通
② 下請負人等不存在確認書(様式第3号) 1通
※ 下請負人等が存在しない場合のみ必要
③ 下請負人等への支払状況・支払計画書(様式第4号) 1通
※ 下請負人等が存在する場合のみ必要
④ 保証委託契約約款等において、工事請負代金債権の譲渡につき保証人等の承諾が必要とされている場合には、当該譲渡に関する保証人の承諾書 1通
(2) 工期途中( 出来形40%(中間前払金支払時60%)以上)の工事
① 債権譲渡承諾願(様式第1号その2) 1通
② 債権譲渡契約証書の写し(任意様式。調印前のもの) 1通
③ 下請負人保護に関する特約条項の写し(様式第2号、調印前のもの) 1通
※ 前号の債権譲渡契約証書に第9条(1)-②-イに定める措置が講じられていない場合のみ必要
④ 下請負人等不存在確認書(様式第3号) 1通
※ 下請負人等が存在しない場合のみ必要
⑤ 下請負人等への支払状況・支払計画書(様式第4号) 1通
※ 下請負人等が存在する場合のみ必要
⑥ 工事履行報告書(様式第5号) 1通
⑦ 保証委託契約約款等において、工事請負代金債権の譲渡につき保証人等の承諾が必要とされている場合には、当該譲渡に関する保証人の承諾書 1通
2 前項の債権譲渡承諾願等の提出は、次に掲げる期間または時期に行うことができる。
(1) 完成検査に合格した工事
工事完成検査合格後における債権譲渡の承諾申請については、工事完成検査合格の時点以後
(2) 工期途中( 出来形40%(中間前払金支払時60%)以上)の工事
工期途中における債権譲渡の承諾申請については、当該工事請負契約の履行期間末日の 2週間前まで
3 発注者は第1項の承諾願等の提出があった日以降は、約款第34条第3項の規定に基づく中間前払金及び約款第37条の規定に基づく部分払を行わないものとする。ただし、債権譲渡について発注者の承諾が得られなかった場合はこの限りでない。
(債権譲渡の承諾)
第5条 債権譲渡の承諾は、前条第1項に基づく適正な債権譲渡承諾願等の提出を受けた後、発注者において、第2条から第4条の規定及び次に掲げる事項について確認が得られたときは、確定日付を記載した債権譲渡承諾書(様式第6号その1又はその2)を債権譲渡人及び債権譲受人にそれぞれ1通を交付することにより行う。
(1) 債権譲渡承諾願(様式第1号)
① 本要領に定める様式を使用し、定められた必要事項の全てが記載されていること。
② 次の内容が契約書と一致していること。
○ 工事名、工事場所、契約年月日、工期、請負代金額
○ 債権譲渡人の所在地、商号又は名称、代表者職氏名
○ 債権譲渡人が使用した印
③ 支払済の前払金額、中間前払金額及び部分払額に誤りがなく、債権譲渡額( 申請時点)が請負契約に基づき債権譲渡人が請求できる債権金額と一致していること。
④ 債権譲受人に対し、口頭、電話等により債権譲渡の承諾申請に関し、売掛債権担保融資保証制度を利用するものとして、直接意思確認が得られること。
(2) 債権譲渡契約証書の写し(任意様式)
① (1)の②及び③に関する記載事項が一致していること。
② 下請負人等が存在する場合において、第9条(1)-②-イに定める措置が講じられていること。また、講じられていない場合は、「下請負人保護に関する特約条項」( 様式第2号) が添付されていること。
(3) 下請負人等不存在確認書(様式第3号)
現場監督職員及び施工体制台帳(対象額以上の工事に限る)において、下請負人等の存在が確認されていないこと。
(4) 下請負人等への支払状況・支払計画書(様式第4号)記載事項が漏れなく記載されていること。
(5) 工事履行報告書(様式第5号)
工事進捗率が40%以上(中間前払金の支払を受けた場合は60%以上)であることを確認できること。なお、融資時の出来高確認は第10条の規定によるものとし、承諾に当たっての発注者の当該出来高の確認については、工事履行報告書の受領をもって足りることとする。
2 前項の承諾を行う場合の決裁区分は支出命令書に準じて行うものとする。
3 発注者は第1項の債権譲渡承諾書の交付にあたっては、郵送をする場合は配達証明扱いとし、直接交付する場合は受領書を徴しておくものとする。
4 第1項の承諾を行った工事の請負契約に係る支出負担行為伺(財務規則様式第39号)における債権者は、変更の必要はないものとする。
5 第1項の交付は、債権譲渡承諾願等の提出を受けた後、概ね1週間以内に遅滞なく行うものとする。ただし、完成検査に合格した工事における申請に対する承諾は、債権譲渡承諾願等の提出を受けた後、速やかに行うものとする。
(債権譲渡契約)
第6条 債権譲渡人及び債権譲受人は、債権譲渡契約を締結したときは、債権譲渡契約通知
書(様式第7号その1又はその2)に次の書類を添えて、直ちに発注者に通知しなければならない。
(1) 完成検査に合格した工事
① 債権譲渡契約証書の写し(任意様式。調印済のもの) 1通
(2) 工期途中( 出来形40%(中間前払金支払時60%)以上)の工事
① 債権譲渡契約証書の写し(任意様式。調印済のもの) 1通
③ 下請負人保護に関する特約条項の写し(様式第2号、調印済のもの)
※ 前号の債権譲渡契約証書に第9条(1)-②-イに定める措置が講じられていない場合のみ必要
(債権譲渡整理簿等)
第7条 発注者は債権譲渡を承諾したときは、債権譲渡整理簿( 債権譲渡共通様式第1号)に記載して整理するものとする。請負契約の内容に変更が生じた場合も債権譲渡整理簿に変更の内容を記載するものとする。
2 発注者は翌月10日までに債権譲渡報告書(債権譲渡共通様式第2号)を建設・技術課へ提出するものとする。
(債権譲渡の不承諾)
第8条 第4条に定める債権譲渡承諾願等の提出がない場合又は債権譲渡承諾願等の内容について確認ができない場合若しくは債権譲渡の承諾に不適当な事由がある場合には、債権譲渡の承諾を行わない。
2 前項の場合には、発注者は債権譲渡人及び債権譲受人に対し、速やかに承諾しない理由を付した債権譲渡不承諾通知書(様式第8号)を交付するものとする。
(下請保護方策)
第9条 債権譲渡の承諾を行うに当たり、下請保護の観点から、以下のいずれかの措置が講じられていることを確認するものとする。措置が講じられていない場合は、債権譲渡を承諾しないものとする。
なお、債権譲渡時の債権譲渡人の倒産時等の下請保護に関しては、債権譲渡人及び債権譲受人が責任をもって行うこととし、発注者は関与しないものとする。
(1) 下請保護方策の確認
① 下請負人等が存在しない場合
債権譲渡人及び債権譲受人は、第4条の規定により、債権譲渡の承諾申請時に下請負人等不存在確認書(様式第3号)を提出するものとする。
② 下請負人等が存在する場合ア 完成検査に合格した工事
下請負人等が存在する場合は、債権譲渡人は、債権譲渡の承諾申請を行う際及び金融機関に借り入れ申込みを行う際に、事前に当該工事に関する下請負人等に対する支払状況・支払計画書(様式第4号)を債権譲受人に提出すること。
債権譲渡人及び債権譲渡人は、第4条の規定により、債権譲渡の承諾申請時に下請負人等に対する支払状況・支払計画書を発注者に提出するものとし、融資実行時
に変更がある場合は、第11条の規定により、融資実行の通知時に変更後の下請負人等に対する支払状況・支払計画書を発注者に提出するものとする。
イ 工期途中( 出来形40%(中間前払金支払時60%)以上)の工事)
上記アの下請負人等に対する支払状況・支払計画書の提出に加え、債権譲渡契約証書締結時において、次に掲げる債権譲渡人倒産時におけるいずれかの措置が講じられていること。
(a) 債権譲渡人が倒産により下請人等への支払ができなくなった場合には、債権譲受人は、債権譲受人が発注者から受け取る当該請負代金額の一定割合を限度として、債権譲渡人に代わって下請負人等に代金を支払う旨の特約。
なお、一定割合の部分は、当該工事の下請割合、下請代金支払方法等を勘案して、債権譲渡人と債権譲受人の間で任意に定めるものとし、発注者は関与しないものとする。
(b) 債権譲渡人の倒産により下請負人等への支払ができなくなった場合には、債権譲受人は、債権譲受人が発注者から受け取る当該工事請負代金額から債権譲渡人への貸付金等を精算の上、残余の部分を債権譲渡人に代わって下請負人等に支払う旨の特約。
(2) 下請保護方策にかかる下請負人等の範囲
前項の下請保護方策の対象となる下請負人等は、請負者が本件工事請負契約を履行するために使用する下請負人(請負者と直接の契約関係を有する者であって、法人、個人を問わない)及び本件工事請負契約を履行するために資材を提供する資材業者( 請負者と直接の契約関係を有する者であって、法人、個人を問わない)とする。
(融資時の出来高確認)
第10条 融資時における譲渡債権担保価値の査定は、債権譲受人において行うこととし、発注者は担保価値の査定のための出来高確認は行わない。
2 債権譲受人において出来高確認を行うにあたり、現場確認の必要がある場合は、債権譲受人は、工事出来高確認協力依頼書(様式第9号)を発注者に提出するものとする。
3 発注者は、前項の工事出来高確認協力依頼書の提出があった場合は、工程に支障のない範囲内で工事現場への立入りを承認するものとする。
(融資実行の通知)
第11条 債権譲渡人及び債権譲受人は、第5条第1項の承諾後、金銭消費貸借契約等を締結し、当該契約に基づき融資等が実行された場合には、速やかに連署にて、発注者に融資実行報告書(様式第10号その1又はその2)を提出するものとする。なお、下請負人等が存在する場合において、債権譲渡の承諾申請時に提出した下請負人等への支払状況・支払計画書(様式第4号)に変更がある場合は、債権譲渡人が借り入れ申込みを行う際に債券譲受人に事前に提出した変更後の下請負人等への支払状況・支払計画書を添付するものとする。
2 前項のほか、工事請負契約に変更が生じた場合は、債権譲渡人は、遅滞なく債権譲受人に変更後の契約書の写しを提出するものとする。
3 発注者は、融資実行報告書を受領した場合は、以後の工事請負代金の支払を債権譲受人
が指定した口座に行うものとする。
(債権譲渡に係る請負工事代金の支払)
第12条 債権譲受人が当該工事代金を請求するときは請求書に承諾書xxの写しを添えて、発注者に提出するものとする。
2 発注者は、前項の規定により提出された承諾書の写しを原本と照合確認し、相違ない場合は、当該承諾書の写しに「原本照合確認済」と記載押印のうえ、債権譲渡整理簿の写しを添付し、支出の手続きをするものとする。
3 前項の場合、支出命令書(財務規則様式第44号)の受取人区分コードは「5」(債権
譲受人)を、摘要欄には「売掛債権担保融資保証制度による融資のための債権譲渡」を記入するものとする。
(不正行為への措置)
第13条 債権譲渡人及び債権譲受人が佐賀県に提出した書面について、明らかな偽造・改ざん等の不正行為が認められたときは、発注者は、債権譲渡人及び債権譲受人の監督官庁その他関係機関に対してその事実を通報するものとする。
(様式類の整備)
第14条 本要領に基づく債権譲渡を実施するに当たって必要な様式類等で、本要領に定めのないものは、債権譲受人において定めたものを使用することとする。
x x
この要領は、平成19年5月1日から施行する。