1 基本情報 (1)案件名 ラオスにおける障がいインクルーシブな地域社会推進事業 (2)事業地 ラオス人民民主共和国ウドムサイ県パクベン郡、ベン郡、ナモー郡、ラー郡 (3)贈与契約締結日及び事業期間 ・贈与契約締結日:2022 年 10 月 5 日・事業期間:2022 年 10 月 5 日~2023 年 10 月 4 日・延長事業期間:27 日、2023 年 10 月 31 日まで (4)供与限度額及び実績(返還額) ・供与限度額:321,573.00 米ドル・総支出:262,342.09...
(様式4)
日本NGO連携無償資金協力 完了報告書
1 | 基本情報 | ||
(1)案件名 | ラオスにおける障がいインクルーシブな地域社会推進事業 | ||
(2)事業地 | ラオス人民民主共和国ウドムサイ県 パクベン郡、ベン郡、ナモー郡、ラー郡 | ||
(3)贈与契約締 結日及び事業期間 | ・贈与契約締結日:2022 年 10 月 5 日 ・事業期間:2022 年 10 月 5 日~2023 年 10 月 4 日 ・延長事業期間:27 日、2023 年 10 月 31 日まで | ||
(4)供与限度額 及び実績 (返還額) | ・供与限度額:321,573.00 米ドル ・総支出:262,342.09 米ドル(返還額:59,230.91 米ドル、利息なし) | ||
(5)団体名・連 絡先、事業担当者名 | ア 団体名:特定非営利活動法人 難民を助ける会 【法人番号:0000000000000】イ 電話:00-0000-0000 ウ FAX:00-0000-0000 エ E-mail: xxxxx@xxxxxxxx.xx.xx オ 事業担当者名:事業統括 xxxx、事業担当充、xxxx | xxxx、xxx | |
(6)事業変更の有無 | ア 事業変更承認の有無:有 (ア) 申請日:2023 年 7 月 12 日承認日:2023 年 8 月 7 日 カウンターパート政府「高齢者障がい者委員会」との活動の共同実施 (イ) 申請日:2023 年 9 月 25 日承認日:2023 年 9 月 28 日内容:事業期間の延長 イ 事業変更報告の有無:有 (ア) 報告日:2022 年 11 月 25 日 内容:人役変更(現地スタッフの変更) (イ) 報告日:2023 年 3 月 20 日 内容:人役変更(本部スタッフの変更) (ウ) 報告日:2023 年 4 月 29 日 内容:現地政府関係者の日当・宿泊費の変更 (エ) 報告日:2023 年 5 月 25 日 内容:本部スタッフ離任、現地スタッフ退職 (オ) 報告日:2023 年 5 月 25 日 内容:本部スタッフ航空券経路の変更 (カ) 報告日:2023 年 7 月 3 日内容:現地スタッフの採用 (キ) 報告日:2023 年 8 月 1 日 内容:現地スタッフの給与支給をドル建てに変更 |
2 事業の概要と成果 | |
(1)プロジェクト目標の達成度 (今期事業達成目標) | ウドムサイ県において障がい者の社会活動への参加促進および障がい当事者団体(LDPA)の組織強化を通じ、障がいインクルーシブな社会を推進するた めの基盤が構築される。 |
(今期事業達成目標) ウドムサイ県パクベン郡およびベン郡において、第 1 年次に設立した自助グループおよびインクルーシブなネットワークが活動を継続し、障がい者の参加が推進される。 ウドムサイ県ナモー郡およびラー郡において、自助グループ活動および障がいインクルーシブなネットワークの設立を通じ、障がい者の参加を推進す るための基盤が整備される。 | |
(2) 活動内容 | 総括 本事業は、ウドムサイ県パクベン郡、ベン郡、ナモー郡、ラー郡の 4 郡で、地域社会における障がいインクルーシブなネットワークの基盤を構築するとともに、障がい者が社会活動に参加するための手段として、自助グループによるキノコ栽培、バイク修理、ヤギ飼育といった生計活動や、介助者研修などの生活改善を支援する活動を実施する。 第 2 年次ではナモー、ラー両郡で、障がい者とその家族、村委員会等を含む関係者によるネットワークの基盤を構築し、その支援を受けて生計活動および生活改善活動を行う障がい者と家族による自助グループの設立を補助し た。 ベン郡においては、第 1 年次に選定した受益者に対し、ラオス障がい者協会 (以下、LDPA)ウドムサイ県支部を通じて生計活動に必要な技術や資材を提供した。また、第 1 年次に選定したパクベン、ベン両郡の照会支援の候補者を対象に、車いすなどの補助具を製作・配付する専門機関と連携し、補助具やリハビリテーションといった福祉サービスへのアクセシビリティの向上を図った。 さらに、パクベン、ベン両郡の公共施設においてバリアフリー改修工事を実施し、障がい者の域内のアクセシビリティ改善に取り組むとともに、ナモ ー、ラー両郡でもバリアフリー改修工事を行う公共施設を選定した。LDPA 県支部職員の能力強化と組織強化を継続して実施し、事業の進捗報告と連携の確認を行うため、年 2 回政府関係者との合同会議を開催した。 活動 1. 障がいインクルーシブな社会推進のための基盤構築 1-1 事業オリエンテーション、障がい者情報リスト作成、更新 (オリエンテーション) 2023 年 5 月から、ナモー郡およびラー郡の郡労働社会福祉局(以下、LSW 局) 職員と協議し、両xx 31 村で、生計活動の事業オリエンテーションを開催した。事業の目的を説明するとともに、会場で聞き取り調査を実施し、ナモーxx 11 村 58 名、ラーxx 20 村 109 名の障がい者情報リストを作成した。それに基づき、障がい者世帯を個別訪問し、世帯収入や障がいの程度などを聞き取り、各郡 50 名、本事業の活動 2 で支援する障がい当事者(受益者)を選定した。同リストは LDPA 県支部と共有し、第 3 年次以降もリストの確認、更新を継続する。 1-2 インクルーシブネットワークの設立 障がい者情報リストと受益者選定調査をもとに、ナモー、ラー各郡で LDPA 県支部職員、村長、村委員会、障がい当事者とその家族、地域住民から 構成される「インクルーシブネットワーク」(約 20 人)を、2 郡で 5 グルー |
プずつ設立し(合計約 200 人)、障がいによらず誰もが参加できる地域社会を目指すべく課題を共有した。LDPA 県支部職員や郡 LSW 局職員、xxxが連携し、当会スタッフと定期的に生計活動の実施状況を確認している。 1-3 LDPA 県支部職員による障がいに関する啓発活動 ① インクルーシブネットワークへの障がい啓発研修の実施(啓発研修①) 2023 年 6 月、障がい啓発研修を上記各インクルーシブネットワークに対して 2 日間ずつ、ナモー、ラー両郡で実施した。講師研修を修了した LDPA 県支部職員と当会スタッフが講師を務め、障がい者の権利や障がいの種類などの基礎知識について誰もが理解しやすいよう写真や絵などを用いながら説明した。 ② 行政担当者を対象とした障がい啓発活動の実施(啓発研修②) 2023 年 6 月、ナモー、ベン各郡で、行政職員および受益者を対象にした障 がい啓発研修を実施した。参加者はナモー郡が 22 名、ラー郡が 16 名であった。講師には LDPA 本部から講師を招聘し、グループワークや、車いす・松葉杖などを実際に使う障がい体験を通して、障がいの基礎やインクルーシブな地域社会の必要性に関する理解を促進した。 ③地域住民等を対象とした障がい啓発イベント 2023 年 2 月にパクベン、ベン両郡で、障がい啓発イベントを開催し、それぞれ地域住民ら 50~100 人が参加した。障がい当事者団体によるワークショップの開催(キーホルダー作り、髪留め作り)、目隠しによる視覚障がいの疑似体験、当会の活動写真ブースの設置、を実施した。また、障がい啓発バッグ 200 枚を障がい当事者ハンドクラフト団体と協力し作成、障がい当事者とその家族、各関係者へ配付した。 活動 2.自助グループによる活動を通じた障がい者の社会活動参加促進 2-1 障がい者と家族による自助グループの設立サポート、自助グループ運営のための研修の実施 2023 年 7、8 月にナモー、ラー両郡で、自助グループ設立サポート、その運営のための研修(自助グループ研修①)を実施した。各郡 50 名の障がい当事 者とその介助者に対し、各郡 5 つの自助グループの設立を支援した。研修内容は、自助グループ設立の目的の理解、各グループのリーダーの選出、グループファンドの説明などを盛り込み、メンバーの相互理解を深めることを目的に、自己紹介やグループワークを組み合わせ、受益者間のコミュニケーションを深められる場となるよう工夫した。さらに、対象 2 郡で選出されたグループリー ダー各 5 名を対象に、自助グループの運営や役割の理解などを目的としたリーダーシップ研修を開き、継続的な自助グループの運営体制を整備した。 2-2 自助グループによる活動のための技術研修の実施、資材の配付 ①生計活動のための技術研修(自助グループ研修②)・資材配付 2022 年 10 月~12 月、ベン郡 15 村の障がい当事者 49 名(キノコ栽培研 修 26 名、ヤギ飼育研修 15 名、バイク修理研修 8 名)の技術研修を各 3 日間実施した。キノコについては、ベン郡農林水産局畜産担当者を講師に招き、栽培パック作り、ドラム缶での殺菌作業、菌糸の植菌など実演を通して実施した。ヤギ飼育研修についても、ベン郡農林水産局畜産担当者を講師に招き、適切な飼育方法、繁殖方法や防疫に関する知識を座学・実習を通して実施した。バイク修理研修については、第 1 年次事業に引き続きベン郡でバイク修理店を営む障がい当事者を講師に招き、バイクの基本的な 構造や故障の起きやすい箇所、その修理方法について学んだ。各研修終了 |
後、ベン郡労働社会福祉局およびラオス障がい者協会(LDPA)ウドムサイ県支部を通じ、障がい当事者宅に活動に必要な資材を配付し、資材が正しく管理・使用されることを担保するため、当会、LDPA 県支部、ベン郡 LSW 局、障がい当事者および各村長の間で合意書に署名した。 本事業期間中、数回に分けて実施したパクベン、ベン両郡での生計活動のモニタリングでは、約 8 割が一定の収入を得て生計活動を継続し、自宅の近隣で販売するなどして、経費を除き最も多い人で月 2 万円、大半は月 3~4 千円相当の収入を得ており、ラオス国民の平均月収 1~2 万円と比べても同活動が受益者世帯にとって一定の収入源になっていることが確認された。 ② 生活改善のための研修(自助グループ研修③) 2023 年 8 月、ナモー、ラー両郡で、LDPA 県支部、各郡 LSW 局と自助グループメンバーで、日常生活における課題解決や改善のために必要な研修内容を協議した。その結果を受けて、ナモー、ラー各郡 50 名の自助グループメンバーを対象に、グループファンドの管理方法や自助グループ内での役割の確認など、自助グループの持続的な活動と組織強化を目的とした研修を実施した。自助グループのリーダーが中心となり、グループワークを通してどのように収入を貯蓄し記録していくかなど、実践的な研修を通じてメンバー個々の能力強化を図った。 2-3 自助グループでの活動推進・成果共有、地域住民を対象とした成果報告 2023 年 1 月、ベン郡の 5 つの自助グループに対し、生計活動を行う上で想定される課題や問題点についてグループディスカッションを交えて共有し、それぞれの生計活動に関する計画を立てる自助グループセミナー①を実施した。障がい当事者は 1 年間の活動目標と年間予定表を作成することで、目的を明確にし、より持続的な活動が行えるように準備を進めた。パクベン郡でも、5つの自助グループに対して、生計活動の成功例や課題を障がい当事者間で共有する自助グループセミナー②を実施した。当会職員及び LDPA ウドムサイ県支部職員がファシリテーターとなり、障がい当事者から活動経過や成功体験、直面した課題などを聴取し、それがグループ内で共有されることで、参加者にとって持続的に生計活動を実施するための学びの機会となった。 活動 3. 公共施設および福祉サービスへのアクセシビリティ向上 3-1 公共施設におけるバリアフリー環境の整備 2022 年 11 月に建設コンサルタント会社である Disability Mainstreaming Advisory Service Center(以下 DMAS)とバリアフリー環境の整備に関する契約書を締結した。同契約に基づき 2022 年 12 月~23 年 2 月にかけて、パクベ ン郡 3 ヵ所、ベン郡 1 ヵ所でバリアフリートイレやスロープを整備した。建設時は、郡 LSW 局職員および LDPA ウドムサイ県支部職員と共に進捗状況の確認と建設会社との協議を行い、整備に不備がないよう連携した。また、2 週間ごとの進捗報告書を DMAS に作成・提出してもらうことにより、整備内容を正確に精査した。 2023 年 4 月、DMAS 職員 2 名と LSW 職員、当会スタッフで、xxx、ラー両郡の病院や郡役場を訪問し、第 3 年次の事業となるバリアフリー整備の必要な箇所を確認した。その結果、ナモー郡で1ヵ所(郡役場:トイレ改修、スロープ設置)、ラー郡 2 ヵヵ所(郡病院、地区病院のトイレ改修、スロープ設置)を選定した。工事予定の3か所では、施設管理者向けのバリアフリー啓発研修も実施し、改修前にバリアフリー化の意義への理解を深めた。 |
3-2 村長や村の委員会など公共施設の管理者を対象とした、バリアフリー施設維持管理研修の実施(バリアフリー研修) 2023 年 2 月にバリアフリー環境整備を行ったパクベン、ベン両郡 4 ヵ所(村役場、学校、郡 LSW 事務所)で、障がい当事者やその家族、施設管理者、地域住民に対し、バリアフリー施設維持管理研修を実施、11~17 人が参加した。講師に DMAS のオペレーションマネージャーを招聘し、座学にて施設の説明や管理上の注意点、実際の整備内容の確認などを実施した。また、障がい当事者と施設管理者に分かれて、施設の管理方法を話し合い発表する機会を設けた。研修の後半では、DMAS の建設責任者より施設の使用方法について、現場にて車いすや補助具を用いて指導があり、その後施設管理者へ建設の引き渡しを実施した。今後、当会スタッフが郡 LSW 局職員および LDPA ウドムサイ県支部職員と協力し、施設が安全かつ適正に使用されているか、モニタリングを続けていく。 3-3 専門機関への照会、福祉サービス専門機関リスト作成、福祉サービスの提供 2023 年 1 月より、ラオス保健省が管轄するメディカルリハビリテーションセンター(Center for Medical Rehabilitation、以下 CMR)ルアンパバーン県支部と連携し、パクベン郡 5 名、ベン郡 9 名の障がい当事者に対して照会支援を実施した。CMR 医療職員による診療と身体機能評価をもとに、必要な補助具について協議した。その結果、計 3 名の障がい当事者に対して、CMR から補助具の支援を実施することが決定した。今後の課題として、CMR で作成可能な補助具の種類が限られていることで、車いすや医療的ケアの必要な障がい当事者に対して十分な支援が行えなかったことが挙げられる。CMR の支援対象外となった障がい当事者に対しては、当会自己資金にて必要な補助具の提供などの支援を行った。 第 3 年次は、ナモー、ラー両郡でも、CMR と連携し、必要に応じて補装具や歩行補助具などの提供を目的に照会支援を進めていく。 活動 4. 障がいインクルーシブな社会推進活動の波及 4-1 LDPA 県支部の組織強化 事業を協働で実施する LDPA ウドムサイ県支部職員と共に、技術研修や活動推進・成果共有を通して、地域住民をフォローアップする体制を整えた。LDPA県支部職員は、ナモー、ラー両郡での事業オリエンテーションや住民向けバリアフリー啓発研修で講師を務め、障がい当事者目線で本事業の一翼を担った。また、受益者が生計活動に取り組んでいるパクベン、ベン両郡で、持続した活動ができているかどうか、当会スタッフや各郡 LSW 職員と共にモニタリングを実施し、フォローアップを継続するよう依頼した。 4-2 LDPA 職員による障がいインクルーシブ事例集の作成と LDPA 本部および他県の LDPA 支部職員への共有(① 事業中間会議およびモニタリング) 2023 年 3 月にウドムサイ県ベン郡で、ラオス国労働社会福祉省、カウンターパートである国家障がい者高齢者委員会(以下、NCDE)、外務省、県・郡労働社会福祉省、LDPA 本部およびウドムサイ県支部職員などと生計活動に従事する障がい者宅を回り、モニタリングを実施した。同月の中間会議や、同年 9月の年間会議で、当会から事業の進捗を報告し、参加した行政関係者らとの意見交換で課題や今後の目標などを共有した。6~8 月にもパクベン、ベン両郡で生計活動のモニタリングを行い、各郡で約 8 割の受益者が一定の収入を得 て、生計活動を継続していることを結果としてまとめ、LDPA 職員とも共有し、 |
年間会議で報告した。第 3 年次は、LDPA 職員が当会スタッフと協力しながら、事例集の作成を進める。 | |
(3) 達成された成果 | 【成果 1】 障がい当事者団体(LDPA)を中心に域内に障がいインクルーシブな社会を推進のためのネットワーク基盤が整備される 【指標】 1-2 ナモー、ラー郡の計 10 グループにおいて障がい啓発活動に参加した障がい当事者および家族、地域住民の障がいに関する理解度が研修後の理解度チェックテストで平均 80%以上となる 2023 年 6 月、ナモー郡(行政 22 人、住民 74 人)、ラー郡(行政 20 人、x x 88 人)で、障がいに対する正しい理解が得られているか理解度チェックテストを実施した。住民ナモー郡では正答率 90%、ラー郡では正答率 83%であった。行政担当者を対象とした障がい啓発活動においても、ナモー郡で平均 94%、ベン郡にて平均 95%の高い正答率を得られており、障がいへの理解を深めることができた。持続可能な開発目標(SDGs)目標 8「包摂的かつ持続可能な経済成長およびすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」におけるターゲット 8.5「2030 年までに、若者や障がい者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用および働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する」の達成に向けて、地域社会の障がいに関する理解が深まることにより、インクルーシブな地域社会の発展と障がい者の生計支援を支える地域の基盤構築に貢献した。 |
【成果 2】 障がい者が自助グループによる生計活動を通じて地域の一アクターとして社会活動に参加するための知識と能力を得る 【指標】 2-2 ベン郡、ナモー郡、ラー郡の計 15 グループ(各郡 5 グループで活動することを想定)において自助グループメンバーが生計活動の実施計画を策定し、ベン郡の 90%以上の受益者が活動を開始する【第 2-3 年次】 ベン郡の 50 名の受益者(100%:2023 年 2 月末現在)が実際に活動を開始したことを確認した。ナモー、ラー両郡に関しては、生計活動の実施計画書を第 3 年次に作成予定である。 2-3 パクベン郡、ベン郡の計 10 グループにおいて生計活動を通じて自助グループメンバーの 80%以上が生計活動に関する正しい理解を得る 2023 年 1、2 月、自助グループ研修を通してパクベン郡の障がい当事者 50 名、ベン郡の障がい当事 50 名への理解度チェックテストを実施した。パクベ |
ン郡は事前テスト 70%、事後テスト 79%、ベン郡は事前テスト 47%、事後テスト 85%だった。 【成果 3】 障がい者が社会活動に参加するための、公共施設や地域の福祉サービスへのアクセシビリティが向上する 【指標】 3-1 パクベン郡、ベン郡の計 4 グループにおいて障がい者とその家族の 80%以上が「施設の利便性が向上した」と回答する パクベン郡、ベン郡の計 4 グループにおいて障がい者とその家族に対しアンケートを実施した結果、公共施設の利便性が向上したと回答した人が両郡でいずれも 90%超となった。 3-3 パクベン郡、ベン郡の計 4 グループにおいて維持管理研修の参加者 80%以上がバリアフリー施設の維持管理方法を理解する パクベン郡、ベン郡の計 4 グループにおいて維持管理研修の参加者へ理解度チェックテストを実施し、両郡でいずれも 90%以上が正しく理解した。 【成果 4】 LDPA の県支部の能力強化を通じて障がいインクルーシブな社会推進活動のノウハウが蓄積される 【指標】 4-2 LDPA 県支部職員が中心となって障がい啓発研修を実施し、参加者の障がいに関する理解度チェックテストで平均 80%以上となる 2023 年 6 月、ナモー、ラー両郡で開いた障がい者当事者や住民向けの障が い啓発研修で、ナモー郡の 74 名、ラー郡の 88 名へ理解度チェックテストを実施し、ナモー郡で 90%、ラー郡で 83%に上った。 | |
(4) 持続発展性 | 第2年次に実施した生計活動のモニタリングを通じて、パクベン、ベン両郡の障がい者各 100 人の約 8 割が一定の収入を得て、半年以上経過しても活動を継続していることがわかった。「自分のような障がい者が家計を助けることができるとは思わなかった」「家計が安定して助かる」「知り合いが増えた」といった声も聞かれたように、単なる収入向上だけではなく、生計活動に必要な材料の購入、収穫したキノコの販売、バイクの修理などの活動を通じて、近所や地域社会との交流が増えたことで、障がい者の生きがいや自己肯定感につながっていることがうかがえた。これは活動を継続していく原動力になり、社会参加の促進にもつながる。 生計活動のフォローアップは、当会スタッフは、LDPA ウドムサイ県支部職員、LSW の県、郡職員、村長らとともに続けており、受益者に関する情報交換だけでなく、材料の追加購入をサポートしたり、売買記録をつけるようアドバイスしたりと、継続的なサポートの重要性も共有できており、地域全体で障がい者を支える体制づくりは着実に進んでいる。 さらに、確認できた重要な点は、グループ内やグループ間での障がい者同士のつながりが様々な局面で広がっていることである。キノコの栽培がうまく行かなかった障がい者が、近所の同じ生計活動に参加するメンバー宅に聞きに行くなどして助け合っているほか、他のグループが集まる会合でも、キノコ栽培は水のやりすぎに留意することなど栽培上のコツや課題を共有できた。バイク修理に従事する障がい者がエンジンの修理方法を近くの別のメンバーに聞きに行くなど、生計活動を通じた自発的な交流の中で、自分たちでも問題解決を図ろうとするケースもみられた。 キノコ栽培がうまくいかなかったり、バイクの部品修理がうまくできなかっ たり、生計活動で問題が生じることは当然想定される中で、こうした自発的な |
助け合いは生計活動の継続性だけでなく、本事業で目標とする障がい者の社会参加の促進にも資すると考えられ、将来につながる。 また、障がい啓発研修や生計活動の開始前の研修など全ての活動で、当会スタッフは LDPA ウドムサイ県支部職員、LSW の県、郡職員と協力し、意見交換や情報共有を密にしている。受益者への聞き取り調査を分担したり、研修の講師を担当してもらったり、研修でのグループワークのファシリテーターを務めてもらったりと、「全員野球」で取り組んでいる。当会事業の「イロハ」は LDPA職員や LSW の行政職員にも着実に浸透しており、これまでの活動で蓄積した経験は、活動対象郡だけでなく、他の地域でも生かすことができる。 本事業のカウンターパートであり、社会福祉行政を担う NCDE の幹部職員らも、第 2 年次途中から事業地活動に同行し、当会事業オリエンテーションで直接受益者に当会事業の重要性について説明してもらったり、受益者選定の際の聞き取りで受益者に障がいの程度や生活状況を尋ねたりと、現場で事業の一翼を担ってもらった。これにより、県や郡レベルだけでなく、国レベルでも、障がい者の積極的な社会参加とそれを受け入れる地域社会の仕組みづくりの重要性をより深く認識してもらうとともに、今後の障がい者施策において、本事業で得た知見が反映されることが期待される。 第 3 年次も、引き続き、LDPA 本部、県支部や行政職員、地元の村長らと連携しながら、障がいインクルーシブな地域社会の発展を目指していく。 |
3 | その他 | |
(1)固定資産譲渡先 | 特になし | |
(2)特記事項 | 特になし |
完了報告書記載日:2024 年 1 月 30 日
団体代表者名: 特定非営利活動法人 難民を助ける会
理事長 xx xx
✅団体としての最終版であることを確認済み(要チェック)
【添付書類】
① 日本NGO連携無償資金収支表(様式4-a)
② 日本NGO連携無償資金使用明細書(様式4-b)
③ 人件費実績表(様式4-c)
④ 一般管理費等 支出集計表(様式4-d)
⑤ 事業内容、事業の成果に関する写真(様式4-e)
⑥ 外部調査報告書
⑦ 残余金発生の理由書