Contract
平成14年10月11日 問い合わせ先
監 査 事 務 局 監査事務局総務課
電話 03-5320-7016
自動車税納税済等照合事務の委託契約にかかる経費の支出を違法・不当として必要な措置を求める住民監査請求監査結果
xxx監査委員 | x | x | xxx |
同 | x | x | xxx |
同 | x | x | x |
同 | x | x | x x |
第1 請求の受付 |
1 請求人
xxx x x xxx
0 請求書の提出
平成14年8月16日
3 請求の内容
(1) 主張事実
ア 請求の趣旨
都主税局は、自動車税納税済等照合事務委託の名目で、平成13年度は、金
1,079万3,046円を支払い、平成14年度も支払を予定している。しかし、以下の理由で法律上の根拠がない上、道路運送車両法第97条の2(以下
「第97条の2」という。)に基づく陸運支局長の公権力行使の妨害であり、多数の弊害も発生しており、xxxの事務委託は、違法・不当な支払の委託である。
イ 違法・不当事由
(ア) ケースA 自動車税納税済等照合事務が国(国土交通省等)から都が委託等を受けている場合
① 道路運送車両法により、車検に係る処分及び公権力行使(第97条の2の納税確認)は陸運支局長であり、都の関与は違法であり許されない。
② 都が第97条の2を国土交通省等から委託等がなされ、納税確認がなされた自動車の有効期限(車検の有効期限)は無効(処分が違法のため無効もある)となり、(xxxにおいては、車検の有効期限の切れた翌年度以降の自動車税の課税は、一時停止されることになっている。)xxxの課税にも違法に当たる可能性を生んでしまう。
③ 都が委託している「自動車税納税済等照合印」の捺印(以下「捺印」という。)には、車検の使用時に有効期限がなく、一度捺印をもらえば、翌年度以降、自動車税の滞納後でも自由に車検を受けることができ、(例1 5月
29日捺印を受け、車検を滞納が発生する6月1日に受ける。例2 納税証明書を数部取得して、数部に納税印を受け、次回以降の車検に使用する。なお、車検の発行に係る自動車検査票の有効期限は14日となっているが、捺印からではなく、車検のコース時の検査からである。)第97条の2の業務を妨害しており違法である。
④ 国と都のどのような合意があろうとも、第97条の2の業務は、国の業務であり、その業務に都は、すべての費用を支出しており、国が一銭の費用も負担がないことから、都の納税推進の目的があったとしても、都が国の業務に費用を支出していることは違法である。
(イ) ケースB 自動車税納税済等照合事務が国(国土交通省等)から都が委託等を受けていない場合(都が独自に納税推進業務で陸運局は別途第97条の2を行っている場合)
① 第97条の2は、滞納がないことがわかる書面を求めており、捺印は書面ではなく、陸運支局長は納税確認ができず、国の業務を妨害しており違法である。
② 捺印等業務と第97条の2業務は、二重業務の支出であり違法である。
③ ケースA③と同じウ 捺印等業務の弊害
(ア) 車検の使用時に有効期限がなく、一度捺印をもらえば、翌年度以降、自動車税の滞納後でも自由に車検を受けることができる。
(イ) 車検は、車検書の有効期限の延長処分を受ける場合、納税確認は、車検の受付時のみならず、総合判断時にも必要であり、その時点に証明書は必要である
(証明書は、捺印時に回収される)。
(ウ) 車検申請者の意向(不合格等)により、自動車検査票の変更を行う場合があり、その際、再度捺印を受ける場合があり、業務委託費の二重払いになる。
(2) 措置請求
自動車税照合事務委託に関する平成14年以前の経費の支出を違法・不当として、その返還と今後の支払の停止及び委託事務の契約解除と事務の改善を求める。
4 請求の要件審査
本件請求のうち、平成13年度及び平成14年度の自動車税納税済等照合事務委託契約にかかる経費の支出については、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下
「法」という。)第242条所定の要件を備えているものと認め、監査を実施した。なお、平成12年度以前の本件委託契約については、平成13年8月16日以前に 支出されていることが認められ、支出日から請求日までの期間が1年を経過しているにもかかわらず、正当な理由を主張・立証していないことから、法第242条の要件を備えているものと認められず、同条第3項に定める監査を実施しないこととした。また、本件請求は、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第172条第1 項に定める1,000字の制限字数を超えているが、超過の程度が著しいとはいえず、監査委員において請求の趣旨を把握することは可能であるため、適法な請求と認
めた。
第2 監査の実施
1 監査対象事項
平成13年度及び平成14年度の自動車税納税済等照合事務委託契約にかかる経費の支出を監査対象とした。
2 監査対象局
主税局を監査対象とした。
3 請求人の証拠の提出及び陳述
法第242条第5項の規定に基づき、平成14年9月11日に、新たな証拠の提出及び陳述の機会を与えた。
請求人は、陳述において本件請求の趣旨の補充を行うとともに、主税局が作成した
平成13年10月22日付13主課課第181号「住民監査請求に関する見解について」の写しほか1件を提出した。
また、請求人は、平成14年9月13日、カセットテープ1巻を提出した。
第3 監査の結果
本件請求については、合議により次のように決定した。本件請求には、理由がないものと認める。
以下、事実関係の確認、主税局の説明及び判断理由について述べる。
1 事実関係の確認
(1) 都は、社団法人xxx自動車整備振興会(以下「本件振興会」という。)と、平成13年度に自動車税納税済等照合事務委託(12主総経契第1096号の2。以下「平成13年度契約その1」という。)及び自動車税納税済等照合事務委託(1
3主総経契第500号の2。以下「平成13年度契約その2」という。)を、また、平成14年度に自動車税延滞金確認等照合事務委託(13主総経契第1213号。以下「平成14年度契約その1」という。)及び自動車税延滞金確認等照合事務委託(14主総経契第132号2。以下「平成14年度契約その2」という。)を契約締結している。
平成13年度契約その1、平成13年度契約その2、平成14年度契約その1及び平成14年度契約その2(以下「本件委託契約」という。)の概要は次の表のとおりである。
(表)本件委託契約の概要
平成13年度契約 その1 | 平成13年度契約 その2 | 平成14年度契約 その1 | 平成14年度契約 その2 | |
契約年月日 | 平成13.4.1 | 平成13.12.26 | 平成14.4.1 | 平成14.6.26 |
契 約 期 間 | 平成13.4.1~ 平成13.12.31 | 平成14.1.1~ 平成14.3.31 | 平成14.4.1~ 平成14.6.30 | 平成14.7.1~ 平成14.9.30 |
単 価 | 6円50銭 | 6円50銭 | 6円50銭 | 6円50銭 |
委 託 x x | ・自動車税納税証明書等の照合 ・自動車税納税済等照合印の押印 | ・自動車税納税証明書等の照合 ・自動車税延滞金等照合印の押印 |
処 理 件 数 | 1,168,233 件 | 413,166 件 | 280,743 件 | - |
支 出 金 額 | 7,973,189 円 | 2,819,857 円 | 監査日現在、支出されていない。 | |
(消費税相当額を含む) |
(2) 継続検査に関する道路運送車両法(昭和26年法律第185号。以下「車両法」という。)の規定の概要は次のとおりである。
ア 登録自動車の使用者は、自動車検査証の有効期間の満了後も当該自動車を使用しようとするときは、当該自動車を提示して、国土交通大臣の行なう継続検査を受けなければならない(第62条第1項)。
イ 継続検査の申請をする場合には、申請者は、当該自動車の所有者が当該自動車について現に自動車税等の滞納がないことを証するに足る書面を呈示しなければならない。国土交通大臣は、この書面の呈示がないときは、継続検査をしないものとする(第97条の2)。
2 主税局の説明
(1) 自動車税は、地方税法(昭和25年法律第226号)第145条の規定に基づき、自動車の所有者等に課するものであるが、実際には転売しても名義移転登録を怠ったり、また、転居により住所地の変更があったにもかかわらず、住所地の変更登録をしないケースが多く、課税・徴収上の問題が発生している。
加えて、一台当りの税額が3~5万円程度と比較的低いため、車検時に納税すればよいと安易に考えがちであることなどから、積極的な納税PRや滞納整理の実施などの対策を講じているものの、累積滞納の発生を余儀なくされている。
(2) 自動車税の徴収確保については、昭和29年に追加された車両法第97条の2の規定により、継続検査の申請をする際に、自動車の所有者が当該自動車について自動車税の滞納がないことを証するに足る書面を国土交通大臣に呈示することとされている。
(3) しかし、昭和57年の地方税法改正により、それまで、本税に先立って延滞金の徴収を行っていたものが、本税を延滞金に優先して徴収することとなったため、本税のみを納付するケースが発生し、滞納となった延滞金の徴収漏れが生じることとなった。
(4) この自動車税の延滞金を確実に徴収するため、運輸支局又は各自動車検査登録事務所が行っている継続検査事務の流れの中で、自動車税の延滞金徴収漏れを防止するための照合事務を行うこととし、継続検査事務を取り扱っている本件振興会と都内登録車両の自動車税延滞金照合事務(以下「本件照合事務」という。)について委託契約を行ってきたところである。
このような取扱いが長期間にわたって継続されていることから、継続検査の申請時に行う都の本件照合事務が国土交通大臣の行う継続検査事務を阻害するものではない。
以上のことから、本件委託契約に伴う支出については、何ら違法・不当ではないと考える。
3 判 断
以上のような事実関係の確認及び主税局の説明に基づき、本件請求について次のように判断する。
本件請求において、請求人は、本件照合事務は車両法第97条の2に基づく国の事務を都が行っているものであること及び国の納税確認事務に支障をきたすなど多数の弊害があることを理由として、本件委託契約にかかる経費の支出は違法・不当であると主張していると解されるので、以下このことについて判断する。
先に行った住民監査請求の監査結果(平成13年10月24日付13監総第521号)において、
① 車両法第97条の2の規定により、国には、自動車税の滞納がないことを証するに足る書面の呈示の有無について確認する義務があるが、延滞金については、本税ではないことから確認する義務はないこと。
② 昭和57年の地方税法改正により、地方税本税を延滞金に優先して徴収することとなり(地方税法第14条の5第1項)、金融機関等の窓口で発行する自動車税本税の領収書によっても車検が行われることとなったため、車検の機会に延滞金を確実に徴収するために必要であるとして、都が本件照合事務を行っていることは妥当な措置であること。
が認められることから、本件照合事務は、延滞金の徴収漏れを防止する地方税法に基づく都の事務であると認められ、地方税法及び車両法相互間に、車検時における延滞
金徴収確保の取扱いについて、十分な措置が講じられていない状況にあっては、本件照合事務が車両法第97条の2の規定に基づく国の事務であるとは言いきれないと解されると判断したところである。
現在、この判断を変更する事情はない。
また、本件照合事務は、同一仕様のもとに長期間にわたって継続されていることが認められることから、国の納税確認事務に支障をきたすなどの弊害は生じていないことが推認できる。
よって、本件委託契約にかかる経費の支出は違法・不当であるとする請求人の主張には理由がない。
資料(xxx職員措置請求書等)
自動車税照合事務委託に関する経費の支出を違法・不当としてその返還等を求める住民監査請求
第一
1、請求人 ( 略 )
2、請求日 平成14年8月16日
3、請求の内容
(1)主張の事実ア 請求の趣旨
都主税局は、自動車税納税済等照合事務委託の名目で、平成 13 年度は、金10、79
3、046円を支払い、平成 14 年度も支払いを予定している。しかし、以下の理由で法
律上の根拠がない上、道路運送車両法第 97 条の 2(以下「第 97 条の 2」という。)に基づく陸運支局長の公権力行使の妨害であり、多数の弊害も発生しており、xxxの事務委託は、違法、不当な支払いの委託である。
イ 違法・不当事由
ケースA 自動車税納税済等照合事務が国(国土交通省等)から都が依託等を受けている場合。
① 道路運送車両法により、車検に係る処分および公権力行使(第 97 条の 2 の納税確認)は、陸運支局長であり、都の関与は、違法であり許されない。
② 都が第 97 条の 2 を国土交通省等から委託等がなされ納税確認がなされた自動車の有効期限(車検の有効期限)は、無効(処分が違法の為無効もある)となり、(xxxにおいては、車検の有効期限の切れた翌年度以降の自動車税の課税は、一時停止されることになっている。)xxxの課税にも違法にあたる可能性を生んでしまう。
③ 都が委託している「自動車税納税済等照合印」の捺印(以下「捺印」という。)には、車検の使用時に有効期限がなく、一度捺印をもらえば、翌年度以降、自動車税の滞納後でも自由に車検を受けることができ、(例 1、5 月 29 日に捺印を受け、車検を滞納が発生する 6 月 1 日に受ける。例 2、納税証明書を数部取得して、数部に納税印を受け、次回以降の車検に使用する。尚、車検の有効期限に発行係る自動車検査票の有効期限は14日となっていますが、捺印からではなく、車検のコース時の検査からである。)第 97 条の 2 の業務を妨害しており違法である。
④ 国と都のどのような合意があろうとも、第97条の2の業務は、国の業務であり、その業務に都は、すべての費用を支出しており、国が一銭の費用も負担がないことから、
都の納税推進の目的があったとしても都が国の業務に費用を支出していることは、違法である。
ケースB 自動車税納税済等照合事務が国(国土交通省等)から都が依託等を受けていない場合。(都が独自に納税推進業務で陸運局は別途第 97 条の 2 を行なっている場合)
① 第 97 条の 2 は、滞納がないことがわかる書面を求めており、捺印は、書面ではなく、陸運支局長は納税確認ができず国の業務を妨害しており違法である。
② 捺印等業務と第 97 条の 2 業務は、2 重業務の支出は、違法である。
③ ケースA③と同じ
是正措置
以上のことから、自動車税照合事務委託に関する平成 14 年以前経費の支出を違法・不当としてその返還と今後の支払の停止および委託事務の契約解除と事務の改善を求める。
第二
1、捺印等業務の弊害
ア 車検の使用時に有効期限がなく、一度捺印をもらえば、翌年度以降、自動車税の滞納後でも自由に車検を受けることができる。
イ 車検は、車検書の有効期限の延長処分を受ける場合、納税確認は、車検の受付時のみならず、総合判断時にも必要であり、その時点に証明書は必要である。(証明書は、捺印時に回収される)。
ウ 車検申請者の意向(不合格等)により、自動車検査票の変更を行なう場合があり、その際、再度捺印を受ける場合があり、業務委託費の2重払いになる。
(以上、原文のまま掲載)
事実証明書
ア 請求人作成の「事実証明書1」
イ 平成13年8月30日付けで受け付けた「自動車税等照合事務委託に関する経費の支出を違法・不当としてその返還等を求める住民監査請求監査結果」を監査事務局ホームページからダウンロードしたものの写し
ウ 平成14年6月7日付けで受け付けた「自動車税納税済等照合事務の委託契約にかかる経費の支出を違法・不当としてその返還等の必要な措置を求める住民監査請求監査結
果」の写し
エ 主税局が作成した平成13年10月22日付13主課課第181号「住民監査請求に関する見解について」の写し
オ 平成13年度自動車税納税済等照合事務委託契約の仕様書の写し