1 設計変更ガイドライン策定の背景(P4)
工事請負契約における設計変更ガイドライン
令和3年3月策定令和3年12月改正xxxxxx
0
公共工事の施工においては、自然的・社会的条件が複雑かつ多様で、不確実である。このため、契約時点で設計図書に定められた条件が、現地の条件と異なる場合には、施工方法や使用材料等の設計内容について、変更が生じる場合がある。
平成26年6月に改正された「公共工事の品質確保の促進に関する法律(改正品確法)」において、発注者責務の明確化が明記され、「発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)」の内容に必ず実施すべき事項として「適切な設計変更」が義務付けられた。
本町では、設計変更については「xx町土木工事請負契約約款」及び「xx町建築工事請負契約約款」(以下、「約款」という。)においてその手続きを定め、また、「xx町工事等事務の手引」では設計変更及びこれに伴う契約変更の取扱いについて必要な事項(変更理由、変更の範囲、手続及び様式)を定めている。
本ガイドラインは、設計変更が可能なケース・不可能なケース、手続きの流れ等をまとめ、これを受注者・発注者の共通の目安とすることにより、設計変更が適切に実施されることを目的とし、策定したものである。
本ガイドラインの策定にあたって
1 設計変更ガイドライン策定の背景(P4)
2 設計変更が適切に実施されるためには(P6)
3 設計変更手続きフロー(P7)
(1)設計変更手続きフロー
(2)その他変更の対象となる事項
(3)設計変更手続き参考フロー
4 設計変更が不可能なケース(P10)
5 設計変更が可能なケース(P11)
(1)設計変更が可能なケース(土木)
(2)設計変更が可能なケース(建築)
6 xx町工事等事務の手引より(P13)
(1)第3章 設計変更事務取扱より①②
(2)具体的な手続き(変更協議)(変更契約)
7 工事中止の場合の手続き(P19)
(1)工事中止の手続き
(2)例
8 「設計図書の照査」の範囲をこえるもの(P21)
9 受注者からの請求による工期の延長(P22)
10 発注者の請求による工期の短縮(P23)
11 設計変更に関わる資料の作成(P24)
(1)設計変更に関わる資料の作成
(2)設計変更に関わる資料の作成(xx)
(3)やむを得ず受注者に依頼する場合
12 関連事項(P27)
(1)発注者の指定事項以外は受注者の裁量の範囲
(2)入札・契約時の契約図書等の疑義の解決
(3)設計図書の照査について①②
※参考資料(P32)
xxにおいて、「標準仕様書」とは、「土木工事標準仕様書(愛知県)」を示す。
「愛知県設計変更ガイドライン」とは「工事請負契約における設計変更ガイドライン(愛知県)」を示す。
設計変更ガイドライン目次
(1)土木請負工事の特徴
当初積算時に予見できない事態、例えば土 質・湧水等の変化に備え、その前提条件を明示して設計変更の円滑化を工夫する必要がある。
土木工事では、個別に設計された極めて多岐にわたる目的物を、多種多様な現地の自然条件・環境条件の下で生産されるという特殊性を有している。
(2)建築請負工事の特徴
工事の進捗とともに、当初発注時に予見でき ない施工条件や環境の変化などが起こり得る。
建築物は、不特定多数の利用者や施設管理者等の様々な要望を総合的に勘案し設計された一品受注清算である目的物を多種多様な自 然・社会・環境条件の下において生産するという特殊性を有している。
1 設計変更ガイドライン策定の背景①
(3)発注者・受注者の留意事項
工事に必要な関係機関との調整、住民合意、用地確保、法定手続などの進捗状況を踏まえ、現場の実態に即した施工条件(自然条件を含む。)の明示等により、適切に設計図書を作成し、積算内容との整合を図るよう努める。『発注関係事務の運用に関する指針』P4抜粋
発注者は
設計積算にあたって、工事内容に関係する現場条件については、特記仕様書の条件明示の項目に記載するよう努めること。
受注者は
工事の着手にあたって設計図書を照査し、着 手時点における疑義を明らかにするとともに、施工中に疑義が生じた場合についても、条件 変更の手続きを行うことが重要である。
(4)適切な設計変更の必要性
改正品確法の基本理念に「請負契約の当事者が対等の立場における合意に基づいてxxな契約を適正な額の請負契約代金で締結」が示されているとともに、「設計図書に適切に施工条件を明示するとともに、必要があると認められたときは適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこと」が規定されている。
また、変更見込金額が請負代金額の30%を超える場合においても、一体施工の必要性から分離発注 できないものについては、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更 を行うこととする。この場合において、特に、指示等で実施が決定し、施工が進められているにも関 わらず、変更見込金額が請負代金額の30%を超えたことのみをもって設計変更に応じない、もしくは、設計変更に伴って必要と認められる請負代金の額や工期の変更を行わないことはあってはならない。
(5)ガイドライン策定の目的
設計変更に係る業務の円滑化を図るためには、発注者と受注者がともに、設計変更が可能なケー
ス・不可能なケース、手続きの流れ等について十分理解しておく必要がある。
(6)ガイドラインの適用範囲
東浦町が発注する工事に適用する。
なお、工事とは、本体工事及び仮設工事、またはそれらの一部をいう。
1 設計変更ガイドライン策定の背景②
現場で施工した内容に見合った設計変更とするために
発注者
受注者
工事発注段階では、条件明示を徹底する。施工段階では指示・協議は書面にて約款第 19条第3項により調査の終了後14日以内に関係部局の調整を行ったうえで回答する。
工事の着手にあたって設計図書を照査し、疑義が生じた場合は、速やかに約款第19条第1項による発注者に確認を請求し書面にて回答を得てから施工を行う。施工途中でも同様。
・積算前の現地調査
・条件明示項目の記載の有無の確認
・ワンデーレスポンス※に基づく速やかな意思決定及び回答を行う。
・「愛知県設計変更ガイドライン」に掲載の設計図書の照査要領(案)を準用
・工程を考慮した早い段階での確認の請求
※受注者が発議した打合せ簿に対して速やかに回答する。回答が遅れる場合は、回答予定日を連絡する。等
2
設計変更が適切に実施されるためには
工事請負契約の成立
発注者
受注者
設計図書の変更
(発注者が設計図書の
変更を必要と認めたとき)
約款第20条
約款第19条第1項
条件変更等【標準仕様書参照】
標準仕様書、特記仕様書等
設計図書の照査等(受注者)設計図書の照査要領(案)
設計図書受注者からの設計図書の条件変更の確認
照査結果の報告(受注者)
通知(受注者)
内容の確認(発注者)
設計図書の変更(発注者)
約款第20条
工事目的物の変更を伴うもの指定仮設の変更
工事目的物の変更を伴うが受注者の都合によるもの 任意仮設の変更
設計図書の変更は行わない
設計図書の訂正又は変更(発注者)
約款第20条 約款第19条第4項
設計変更通知書にて変更内容を通知
工期若しくは請負代金の変更
約款第20条 約款第19条第5項
軽微な設計変更は施工後に請負代金額及び工期の変更協議を行うため、概算金額については別途工事打合せ簿にて通知する。
それ以外は、契約変更の手続きをその都度行う。
3
設計変更手続きフロー(約款第19条・第20条)
<その他変更の対象となる事項>
その他「約款」に記載されている設計・変更の対象となる事
項は、次のとおりです。
◆第9条:特許xxの使用
◆第16条:支給材料
◆第18条:設計図書不適合の場合の改善義務及び破壊検査等
◆第21条:工事の中止
◆第22条:受注者の請求による工期の延長
◆第23条:発注者の請求による工期の短縮等
◆第26条:賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更
◆第27条:臨機の措置
◆第28条:一般的損害
◆第30条:不可抗力による損害
※土木工事標準仕様書の改定(R3.4.1改定)により、「設計図 書の照査」及び「条件変更確認通知」の手続きは変更しました。
3
設計変更手続き参考フロー
(愛知県設計変更ガイドライン抜粋)
【基本事項】
次のような場合は、原則として設計変更ができない。(ただし約款第27条(臨機の措置)での対応の場
合はこの限りではない。)
1.契約図書に条件明示のない事項において、発注者に条件変更の確認を行わず受注者が独自に判断して施工を実施した場合
対応例)受注者は約款第19条第1項に該当する事項等発見したときは、その事実が確認できる資料を工事打合簿により監督員に提出し確認を求める。
2.発注者に条件変更に伴う工事打合簿を提出しているが、回答がない時点で施工を実施した場合
対応例)回答は、発注者が約款により調査の終了後14日以内にすることとなっており、速やかな回答は発注者の責務である。しかしながら、条件変更の確認内容によっては各種検討・関係機関調整が必要など、やむを得ず受注者の意見を聴いたうえで回答までの期間を延長する場合もある。そのため、受注者はその事実が判明次第、出来るだけ早い段階で条件変更の確認請求手続きを行うことが重要である。
3.「承諾」で施工した場合
対応例)承諾とは受注者が自らの都合による施工方法等について発注者に同意を得るものである。設計図書と工事現場の不一致・条件明示の無い事項等の場合は約款による条件変更の確認請求をすることが必要であり、安易な承諾による施工は避けるべきである。
4.xx町土木及び建築工事請負契約約款・標準仕様書に定められているxx町設計変更事務取扱要領第5(設計変更の手続)の手続きを経ていない場合
対応例)発注者及び受注者は協議指示・一時中止・工期延期・請負代金の変更など所定の手続を行う。
5.正式な(指示・協議等)書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合
対応例)発注者は速やかに書面による指示・協議等を関係部局の調整後に行う。受注者は書面による指示・協議等の回答を得るまでは施工しない。
4
設計変更が不可能なケース
【基本事項】
◆次のような場合においては設計変更が可能である。
1.仮設(任意仮設を含む)において、条件明示の有無に係わらず当初発注時点で予期しえなかった土質条件や湧水等が現地で確認された場合。(ただし、所定の手続きが必要。)
2.当初発注時点で想定している工事着手時期に、受注者の責によらず、工事着手出来ない場合。
3.所定の手続き(設計変更の手続)を行い、発注者の「設計変更内容の通知」によるもの。
(「通知」の結果として、軽微なものは金額の変更を行わない場合もある。)
4.受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を実施する場合。
5.受注者の責によらない工期の延期・短縮を行う場合で協議により必要があると認められるとき。
【留意事項】
◆設計変更にあたっては下記の事項に留意し受注者へ通知する。
1.当初設計の考え方や設計条件を再確認し、工事打合簿により通知する。
2.当該事業工事での変更の必要性を明確にし、設計変更は約款にもとづき設計変更通知書により通知す
る。(規格の妥当性、変更対応の妥当性別途発注すべきか)を明確にする。)
3.設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた都度、遅滞なく行うものとする。
4.xx町工事等事務の手引第3章設計変更事務取扱3-6「軽微な変更等」の設計変更を行う場合は、設計変更通知書とともに、別途工事打合簿にて以下の通り概算金額を通知する。
①概算金額は、受注者の見積書を参考とすることができる。
②概算金額通知に『概算金額は「参考値」であり、契約変更額を拘束するものではない』と記載。
5
設計変更が可能なケース(土木)
◆工事請負契約約款第19条(条件変更等)に該当
受注者は、以下の事実を発見したときは、その旨を直ちに監督員に通知し、その確認を請求しなければな
らない。
1.設計図書の内容が一致しないこと(第19条第1項第1号)、誤びゅう又は脱漏があること(第19条第1項第2号)
例) 工事施工上必要な材料名について、図面ごとに一致しない場合。
建築、電気設備及び機械設備の各分野の設計内容が互いに整合していない場合。
2.設計図書の表示が明確でないこと(第19条第1項第3号)。
例) 図面の記載内容が読み取れない場合。
3.設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと(第19条第1項第4号)。
例) 設計図書に明示された想定支持地盤と実際の工事現場が大きく異なる事実が判明した場合。
施工中に設計図書に示されていないアスベスト含有建材を発見し、調査および撤去が必要となった場合。
設計図書に明示された配管・配線等と実際の工事現場における配管・配線等が大きく異なる事実が判明した場合。
4.設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じた場合(第 19条第1項第5号)
例) 施工中に地中障害物を発見し、撤去が必要となった場合。施工中に埋蔵文化財を発見し、調査が必要となった場合。
5
設計変更が可能なケース(建築)
【設計変更理由】(3-3)
設計変更は、約款に規定する事項又は特に定めた契約条件に規定する事項に該当し、次に掲げる理由により原設計を変更する必要が生じた場合に行う。
(1)発注後に発生した外的条件によるものア 自然現象、その他不可抗力による場合イ 他事業及び施行条件等に関連する場合ウ 地元調整等の処理による場合
エ 交通誘導員、仮設工等の安全対策に基づく場合
(2)発注時において確認困難な要因に基づくもの
ア 推定岩盤線の確認に基づく場合イ 地盤支持力の確認に基づく場合ウ 土質の確認に基づく場合
エ 地下埋設物の撤去等に基づく場合
オ 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号)等に基づく数量、処理方法、処理場等の変更をする場合
カ 諸経費調整に基づく場合
キ 施工条件の明示項目の変更に基づく場合 ク 測量・地質調査時等に判明が不可能な場合
ケ 設計図書の不一致、誤謬、脱漏、不明確な表示、設計図書の施工条件と工事現場の不一致及びその他確認困難な要因による場合。
6
xx町工事等事務の手引
第3章 設計変更事務取扱より①
【設計変更による契約変更の範囲】(3-4)
◆設計変更により契約変更のできる範囲は、以下のいずれかに該当する場合とする。
(1)設計変更による増加額が当初契約金額の30パーセント以内の場合。
ただし、30パーセントを超えるものであっても、現に施工中の工事と分離して施工することが著しく困難な場合については、契約変更することができるものとする。 なお、「30パーセント」という範囲は、契約変更が2回、3回と重なることがあっても、当初契約金額に対する各回毎の累計概算増減額がこの範囲を超えてはならない。
(2)設計変更により現契約金額を減額する場合
【設計変更の手続】(3-5)
◆設計変更はその必要が生じた都度、町長が、行わなければならない。
ただし、以下の(1)から(3)のいずれかの条件を満たす変更は、当該変更に係る工事施工後に行うことができるものとする。
(1)工事施工前に数量が定まらないもの。
(2)防災及び安全管理のため、緊急施工が必要なもの。
(3)受注者の責によらない事由で、設計変更を待つことができないもの(第三者への影響があるもの)
◆町長は当該変更の内容を設計変更通知書に整理し、受注者に対し設計変更内容を通知しなければならない。
◆事前に約款に基づく受注者から条件変更に伴う工事打合簿の提出があった場合は、調査を行ったうえ調査結果を受注者へ回答するものとする。
【契約変更の手続】(3-6)
◆設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた場合に遅滞なく行うものとする。
ただし、以下の(1)から(3)のいずれかの条件を満たす変更、又は(4)の条件を満たす「軽微な変更等」は当該変更に係る工事施工後に行うことができるものとする。
(1)工事施工前に数量が定まらないもの
(2)防災及び安全管理のため、緊急施工が必要なもの
(3)受注者の責によらない事由で設計変更を待つことができないもの(第三者への影響があるもの)
(4)累積概算増減額が当初契約金額の20パーセント未満かつ1,000万円未満のもの
◆契約変更に伴う変更予算執行書に添付する設計変更理由書には、「第3章 設計変更事務取扱3-3」の「設計変更理由」に該当
6
xx町工事等事務の手引
第3章 設計変更事務取扱より②
具体的な手続き(変更協議)
~一般的な変更の場合~
変更手続後に施工
分の
工部
協議書
合簿
受注者
施象
事対
工更
変
設計変更
工事打
変更対象事由発生
発注者
(担当課)
具体的な手続き(変更協議)
~設計変更を行う前に施工を行う場合~
3-5
ただし書きによる場合
変更協議よりも前に施工
協議書
分の
工部
合簿
受注者
設計変更
施象
事対
工更
変
工事打
変更対象事由発生
発注者
(担当課)
具体的な手続き(変更契約)
~一般的な変更の場合~
変更対象
事
遅滞なく変更契約
発注者
(契約課)
更
契約
工分
の
変
議書
簿
x
発生
受注者
工期末日
部
施象
事対
工更
変
設計変更
協
工事打合
発注者
(担当課)
具体的な手続き(変更契約)~工期末までに変更契約する場合~
軽微な設計変更の場合
発注者
(契約課)
受注者
発注者
(担当課)
工期末日
変
変
第
1回設計変
第
工分
の
部
施象
事対
工更
工分
の
部
施象
事対
工更
更
協議書
更
協議書
2回設計変
変更契
いずれかを満たすこと 約
①工種の追加がなく、累計概算金額が当初比20%未満かつ
1,000万円未満の場合
②3-5ただし書きによる場合
工期末までに変更契約できる
約款第21条
7 工事中止の場合の手続き
受注者の責に帰することができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施行できないと認められる場合の手続き
受注者
発注者
「約款第21条(工事の中止)第1項」により、発注者は工事の全部又は一部の施工を原則として一時中止しなければならない。
地元調整や予期しない現場条件等のため、受注者が工事を施工することができない
不承諾の場合は、基本計画書を修正し、再度承諾を得る。
発注者は、現場管理上、最低限必要な施設・人数等を吟味し、基本計画書を承諾
発注者より、一時中止の指示(契約上一時中止をかけることは発注者の義務)
承諾した基本計画書に基づき、施工監督
及び設計変更を実施
受注者は、標準仕様書に基づき、基本計画書を作成し、発注者の承諾を得る。
基本計画書に基いた施工の実施
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≪例≫
①設計図書に工事着工時期が定められている時に、その期日までに受注者の責
によらず施工できない場合
②受注者の責によらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合
③予見できない事態が発生した(地中障害物の発見等)場合
④設計図書と実際の施工条件の相違が発見されたため施工を続けることが困難な場合
⑤埋蔵文化財の発掘又は調査、その他の事由により工事を施工できない場合
<設計変更可能なケース>
①現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの。又は縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
②施工の段階で判明した推定岩盤線の変更に伴う横断図の再作成が必要となるもの。ただし、当初横断図の推定岩盤線の変更は「設計図書の照査」に含まれる。
③現地測量の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの。
④構造物の位置や計画高さ、延長が変更となり構造計算の再計算が必要となるもの。
⑤構造物への外力条件が変更となり構造計算の再計算が必要となるもの。
⑥現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるもの。(標準設計で修正可能なものであっても照査の範囲をこえるものとして扱う)。
⑦構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。
⑧基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算及び図面作成。
⑨土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成。
⑩「手引き」「各種示方書」等との対比設計。
⑪構造物の応力計算書の計算入力条件の確認や構造物の応力計算を伴う照査。
⑫設計根拠まで遡る見直し、必要とする工費の算出。
(注)なお、適正な設計図書に基づく数量の算出及び完成図については、受注者の費用負担によるものとする。
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「設計図書の照査」の範囲をこえるもの
受注者は、天候の不良、関連工事の調整協力、その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができない場合は、発注者へその理由を明示した書面により工期延長変更を請求することができる。
受注者
発注者
「約款第22条(受注者の請求による工期の延長)第1項」に基づき、その理由を明示した書面により発注者に通知
発注者は第2項に基づき、必要があると認められるときは、工期を延長しなければならない。請負代金についても必要と認められるときは変更を行う。
受注者及び発注者は約款第24条、第25条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
例 ア.天候不良の日が例年に比べ多いと判断でき、工期の延長が生じた場合
イ.設計図書に明示された関連工事との調整に変更があり、工期の延長が生じた場合ウ.その他受注者の責めに帰することができない事由により工期の延長が生じた場合
約款第22条
9 受注者からの請求による工期の延長
<設計変更可能なケース>
発注者は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に書面にて請求することができる。
受注者
発注者
発注者は、「約款第23条(発注者の請求による工期の短縮等)第1項」に基づき、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を書面により受注者に請求。
受注者は発注者からの請求に基づ き、工期短縮を図るための施工計 画を発注者に提出し、承諾を得る。
受注者及び発注者は約款第24条、第25条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
例 ア.関連工事等の影響により、工期短縮が必要な場合
イ.その他の事由(地元調整、関係機関調整など)により工期の短縮が必要な場合
約款第23条
10 発注者の請求による工期の短縮
<設計変更に関わる資料の作成についての具体的対応方法>
(1)設計照査に必要な資料作成
受注者は、当初設計等に対して約款第19条第1項に該当する事実が発見された場合、発注者にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。なお、これらの資料作成に必要な費用については契約変更の対象としない。
約款第19条第1項
現地と設計内容の違いについて、
確認できる資料を工事打合簿に添付し提出。
資料を確認。
この資料の作成費用は設計変更の対象としない。
約款第19条第1項に該当する事実を発見
受注者
発注者
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設計変更に関わる資料の作成①
(2)設計変更に必要な資料作成
約款第19条第1項に基づき設計変更するために必要な資料の作成については、約款第19条第4項に基づき発注者が行うものであるが、やむを得ず受注者に行わせる場合は、以下の手続きによるものとする。
①設計照査に基づき設計変更が必要な内容については、発注者・受注者間で確認する。
②設計変更するために必要な資料の作成について書面により通知後、発注者が具体的な指示を行うものとする。
③発注者は、書面による指示に基づき受注者が設計変更に関わり作成した資料を確認する。
④書面による指示に基づいた設計変更に関わる資料の作成業務については、契約変更の対象とする。
⑤増加費用の算定は、平成30年3月1日付け29建企第553号(愛知県建設企画課通知)を参考とし、受発注者間で確
認する。
約款第19条第4項
~設計変更するために必要な資料の作成を依頼するときは~
設計変更に関わる資料を作成→提出
資料を確認
この資料の作成費用は、設計変更の対象
設計変更が必要な内容について、発注者・受注者間で確認
必要な資料の作成ついて発注者が受注者に具体的な作業を指示
設計図書の訂正又は変更は発注者
発注者
受注者
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設計変更に関わる資料の作成②(土木)
<やむを得ず受注者に依頼する場合>
約款第19条第4項
やむを得ず受注者に依頼する場合とは、以下の条件を全て満たす場合に適用可能とする。
①発注者の発議により、付加的業務(受注者による変更設計図書の作成)を実施することについて、受注者と作成図書及び作成期間(納期)について事前に協議が 整っていること
②設計図書の訂正又は変更内容等が当初の構造形式から変更とならない等設計思想が変わらないこと
・寸法変更が大きく、構造タイプの変更が複数考えられる場合→不可
・直接基礎の擁壁を地盤が悪くて直接基礎では不可の場合→不可
③「設計・施工条件確認会議」等による取り合いなどの現場不一致の変更や、早急
な変更が必要な場合など、受注者以外では円滑な施工管理が困難となる場合
●それ以外にも、一般住民の生活に甚大影響を及ぼす恐れがあるなど、緊急な対応が必要な場合などで、やむを得ず受注者に再設計を含めて修正設計等を含む図面作成等を依頼するものは、調査設計業務委託積算基準や見積を用いて適切に費用計上すること。
<指定・任意の正しい運用>
仮設・施工方法等の指定・任意については、約款第1条第3項に定められているとおり、適切に扱う必要が
ある。
1.任意の仮設・施工方法等については、その仮設、施工方法の一切の手段の選択は受注者の責任で行う。
2.任意の仮設・施工方法等については、その仮設・施工方法に変更があっても原則として設計変更の対象とならない。
ただし、指定・任意ともに設計図書に示された施工条件と実際の現場条件が一致しない場合は設計変更の対象となる。
仮設、施工方法等には、指定と任意があり、発注においては、指定と任意の部分を明確にする必要がある。
任意については、受注者が自らの責任で行うもので、仮設、施工方法等の選択は、受注者に委ねられている。(変更の対象としない)
発注者(監督員)は任意の趣旨を踏まえ、適切な対応が必要。
※任意における下記のような対応は不適切
・○○工法で積算しているので、「○○工法以外での施工は不可」との対応。
・標準歩掛ではバックホウで施工となっているので、「クラムシェルでの施工は不可」との対応。
・新技術の活用について受注者から申し出があった場合に、「積算上の工法で施工」するよう対応。
ただし、任意であっても、設計図書に示された施工条件と実際の現場条件が一致しない場合は、変更できる。
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関連事項
(1)発注者の指定事項以外は受注者の裁量の範囲
■自主施工の原則
約款第1条第3項により、設計図書に指定されていなければ、工事実施の手段、仮設物等は受注者の裁量の範囲
約款第1条第3項
仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段(以下「施工方法等」という。)については、この約款及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める。
【指定と任意の考え方】
x x | 任 意 | |
設計図書 | 施工方法等について具体的に指定する。 | 施工方法等について具体的には指定しない |
施工方法等の変更 | 発注者の指示又は承諾が必要 | 受注者の任意(施工計画書等の修正、提出は必要) |
施工方法の変更がある場合の設計変更 | 設計変更の対象とする。 | 設計変更の対象としない。 |
条件明示の変更に対応 した設計変更 | 設計変更の対象とする。 | 設計変更の対象とする。 |
その他 | <指定仮設とすべき事項>・河川堤防と同等の機能を有する仮締切のある場合・仮設構造物を一般交通に供する場合・関係官公署との協議により制約条件のある場 合・特許工法又は特殊工法を採用する場合・その他、第三者に特に配慮する必要がある場合・他工事等に使用するため、工事完成後も存置される必要のある仮設 |
(2)入札・契約時の契約図書等の疑義の解決
契約図書等に係る疑義については、下記により、入札前の段階、設計図書の照査の段階で解決しておくことが、スムーズな設計変更に繋がることになる。
【入札前】
・入札参加者は、xx町から指示された設計書、図面及び仕様書(以下「設計図書」とい
う。)その他契約締結に必要な条件を検討のうえ、入札しなければならない。
(xx町工事等入札者心得書第6条入札の基本的事項)
・本公告及び入札関係図書に対する質問(技術資料を作成するために必要な質問を含む。)は、次のとおりメール又はファックスすることにより受付期間内に提出する。
(公告3.(2)本公告及び入札関係図書に対する質問及び回答ア)
【契約後】
・受注者は、工事着手前及び工事途中において、自らの負担により約款第19条第1項第1号から第5号に係る設計図書の照査を行い、該当する事実がある場合は、監督員を通じて発注者にその事実が確認できる資料を添付した工事打合簿を提出し、確認を求めなければならない。
なお、確認できる資料とは、現地地形図、設計図との対比図、取合い図、施工図等を含むものとする。
また、受注者は、監督員から更に詳細な説明または書面の追加の要求があった場合は従わなければならない。
(3)設計図書の照査について①
<約款及び標準仕様書において設計照査の実施は受注者の責務>
(1)約款第19条(条件変更等)
受注者は、工事の施工に当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに発注者に通知し、その確認を請求しなければならない。
1 設計書、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと
(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。
2 設計図書に誤謬又は脱漏があること。
3 設計図書の表示が明確でないこと。
4 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
5 設計図書に明示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じたこと。
(2)標準仕様書 設計図書の照査等
受注者は、工事着手前及び工事途中において、自らの負担により約款第19条第1項第1号から第5号に係る設計図書の照査を行い、該当する事実がある場合は、監督員を通じて発注者にその事実が確認できる資料を添付した工事打合簿を提出し、確認を求めなければならない。
なお、確認できる資料とは、現地地形図、設計図との対比図、取合い図、施工図等を含むものとする。また、受注者は、監督員から更に詳細な説明または書面の追加の要求があった場合は従わなければならない。
(3)設計図書の照査について②
<設計図書の照査の範囲>
●標準仕様書により受注者が作成する資料の範囲
①現場地形図・・・・・・・実測横断図
設計図との対比図・・・・当初設計図への現地盤線等の作図
取合い図・・・・・・・・当初設計図への既設構造物の追記
施工図・・・・・・・・・施工ヤード等実施工程上問題となる施工資料
②更なる追加資料とは現地の事実が確認できない場合に限って要求できるものとする 注1)更なる追加資料とは前ページ最終行「更に詳細な説明または書面の追加」を指す
注2)現地事実の確認の範囲は、上記の資料に対して新たな比較設計や構造計算が伴うものは含まれていない。受注者の資料に対して更なる比較設計や構造計算等の検討に掛かる費用は発注者の責務において実施するものとする。
<設計図書の照査の範囲を超えるもの>
「設計図書の照査」の範囲を超えた設計図書の訂正又は変更に要する費用の負担は、発注者の責
任において行うものとする。
設計照査の範囲をこえるものの事例は本ガイドライン(P21)を参照。
<工事受注者が実施する「設計図書の照査」の項目及び内容>
工事受注者は、約款及び標準仕様書に基づいて設計照査を行うこととなるが、一般事項については、愛知県設計変更ガイドライン「設計図書の照査要領(案)」の照査の項目を実施する。
また、その他工種毎の照査についても、適宜実施する。
参考資料
・xx町土木工事請負契約約款
・xx町建築工事請負契約約款
・xx町工事等事務の手引(第3章 設計変更事務取扱)
・xx町工事等入札者心得書
・工事請負契約における設計変更ガイドライン(愛知県建設局)
担当 xx町財政課契約管財係
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