Contract
2023 年 3 月 31 日
各 位 株式会社 三十三銀行
xx印刷株式会社との「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約締結について
株式会社三十三銀行(頭取:xx xx)は、持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、xx印刷株式会社(社長:xx xx)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(※)」契約を締結しましたのでお知らせいたします。
本件の取り組みにあたっては、株式会社三十三総研(社長:xx xx)がインパクト分析・特定のうえ評価書を作成し、株式会社日本格付研究所がポジティブ・インパクト金融原則との適合性を確認しました。今後も「三十三フィナンシャルグループSDGs宣言」のもと、企業活動を通じてSDGsの達成に貢献することで、持続可能な社会の実現に努めてまいります。
(※) 企業活動が「社会・経済・環境」のいずれかに与えるインパクトを包括的に分析・特定し、ポジティブインパクトが期待できる活動と、ネガティブインパクトを低減する活動を支援するもので、借入人様によるSDGs達成への貢献度合いを評価指標とし、借入人様から情報開示を受けながら当行がその過程を定期的にモニタリングするものです。
1. 融資概要
(1) 契約日 | 2023年3月31日 |
(2) 融資金額 | 100百万円 |
(3) 期間 | 5年 |
(4) 資金使途 | 運転資金 |
2. 借入人概要
(1) 企業名 | xx印刷株式会社 |
(2) 所在地 | xxxxxxxxxxxxxx0x00x |
(3) 事業内容 | 印刷業 |
当社は主に印刷媒体、デジタル媒体、クリエイティブ、ロジスティクスの分野を中心に事業活動を行う印刷会社。紙というメディアを中心とした製造業から 「製造力を持つ情報発信型企業」へ転換し、紙の印刷物にとどまらず、デジタルやクリエイティブ技術を通じて、顧客の総合的なプロモーション活動を支援する業務を行っている。
(「CO₂ニュートラル」を取得した印刷機) (FSC認証) | |
(4) 従業員数 | 67名(パート派遣5名含む)(2023年2月末現在) |
(5) 資本金 | 15百万円 |
3. 特定インパクトと測定するKPI
(1) 経済面・ 社会面 | 包摂的で健全な経済、雇用(ポジティブ) | |
① 女性従業員が活躍できる職場環境を積極的に整備する ・女性従業員の割合を2028年3月までに40%に引き上げる (2023年2月末時点:31%) | ||
(2) 社会面 | 教育、雇用(ポジティブ) | |
① Pマーク(プライバシーマーク)や多能工化における生産性xxxの社内勉強会を積極的に実施する ・社内勉強会の実施回数を2027年度に年12回まで増加させる (2022年度:3回) ② 印刷技能士(国家資格)、印刷営業士、MUD(メディア・ユニバーサルデザイン)、プリプレス職種(国家資格)等の資格取得を積極的に推進する ・各種資格取得者を2028年3月までに以下の通り増加させる MUD:22名 (2022年2月時点:16名)オフセット印刷技能士:8名 (同:4名) 技能検定プリプレス職種:6名(同:3名(1級))印刷営業士:8名 (同:6名) | ||
(3) 社会面 | 雇用、保健・衛生(ネガティブ) | |
① 従業員の労働環境の改善に向け時間外労働の削減や福利厚生の充実等を推進する ・従業員の一人当たりの時間外労働時間を2027年に月間平均 10時間以内まで減少させる (2022年:月間平均17時間) ② 安全管理者の設置や有機溶剤等使用の注意事項など必要な掲示物の設置・管理により安全管理体制を構築する ・新しい休暇制度として従業員の誕生月に休暇を取得できる 「バースデイ休暇」を創設する ・1日以上の休業を要する重大な労働災害ゼロを維持する (2015年から8年連続でゼロを継続中) | ||
(4)環境面 | 水(質)、大気、土壌(ネガティブ) |
|
① 従来の鉱物油が使われているインキと違い再生可能資源で環境負荷が少ない植物性インキ(ベジタブルオイルインキ)の使用を徹底する ・植物性インキの使用比率100%を維持する | ||
気候(ネガティブ) | ||
② 環境保全の点から見て適切で社会的な利益にかない経済的にも継続可能な森林管理のもと生産された原料(印刷用紙)を使い製造された印刷物であるFSC認証紙を積極的に使用していく ・FSC認証紙の使用比率を2027年に10%以上に引き上げる (2022年:1.1%) ③ 富士フイルムのGreen Graphic Project(GGP)に参加し、 「カーボンオフセット制度」を利用して顧客と共にCO₂ 排出量削減に取り組む |
④ 最新型の機械であるXL106-4Pを導入し、エネルギー消費量の削減を通じてCO₂排出を抑制する ・今後、導入する機会は100%CO₂ニュートラルであるか、カーボンフットプリント(CFP値)を明示している製造機器や消耗材を導入する |
4. お問い合わせ先
(1) 三十三銀行
担当部署 | ソリューション営業部 |
担当者 | xx |
連絡先 | 059-354-7144 |
(2) 三十三総研
担当部署 | 調査部 | コンサルティング部 |
担当者 | xx | xx |
連絡先 | 059-354-7102 | 059-351-7417 |
以 上
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
2023 年3月 31 日株式会社三十三総研
目次
1.評価対象の概要 2
2.xx印刷株式会社の概要 2
2-1.基本情報
2-2.経営方針と事業内容
2-3.サスティナビリティに関連する活動
3.UNEP FI インパクトレーダーとの関連性 22
3-1.経済面のインパクト
3-2.社会面のインパクト
3-3.環境面のインパクト
4.測定するKPI とSDGs との関連性 25
4-1.経済面・社会面(ポジティブ)
4-2.社会面(ポジティブ)
4-3.社会面(ネガティブ)
4-4.環境面(ネガティブ)
4-5.その他KPI を設定しないインパクトと SDGsとの関連性
5.サスティナビリティ管理体制 30
6.モニタリング 30
7.総合評価 30
1.評価対象の概要
企業名 | xx印刷株式会社 |
借入金額 | 100,000,000 円 |
資金使途 | 運転資金 |
契約日及び返済期限 | 2023 年3月 31 日 ~ 2028 年3月 31 日 |
2.xx印刷株式会社の概要
2-1.基本情報
本部 | xxxxxxxxxxxxxx0x 00 x |
事業所 | 東京営業所… xxxxxxxxxxxxxxxxxxx xxxx 0 x物流センター…xxxxxxxxxxxxxx 00 x 0 x |
従業員数 | 67 名(パート派遣5名含む)(2023 年 2 月末現在) |
資本金 | 15 百万円 |
業種 | 印刷業 |
サービス分野 | 印刷媒体、デジタル媒体、クリエイティブ、ソリューションサービス、業務請負 |
事業内容 | 広告宣伝関係…カタログ、ポスター、DM、チラシ、CD-ROM、ホームページ等出版関係…書籍、定期刊行物、新聞等 情報加工処理…システム開発・データ処理企画室…企画制作・デザイン・写真撮影 文書処理システム開発 |
沿革 | 1923 年4月 xx采次郎氏が名古屋市中区駿河町においてxxxx堂を創業学習ノート、画用紙の製造卸を開始 1946 年3月 名古屋市中区針屋町に移転(現 第4ワシントン錦ビル)学習ノート製造に加えて活版印刷を開始 1948 年 12 月 法人組織に変更し株式会社xxxx堂を設立xxxxxがxx社長に就任 1965 年 11 月 情報化時代を迎えオフセット印刷を導入 ノート製造工場を合併、総合印刷工場一本化を目指し設備を強化 1970 年 12 月 現在地に合理化された近代的総合印刷工場を新築移転 社名をxx印刷株式会社に変更 |
1978 年3月 創業 55 周年・会社設立 30 年を迎え、xxxxxが二代目社長に就任、xxxxxは会長に就任 1983 年5月 創業 60 周年・会社設立 35 周年を記念し、地上5階建本社ビル新築ならびに工場部門の大改築完了 1992 年5月 物流センター(倉庫・駐車場)新築完成 1995 年8月 デジタル画像ライン導入 2003 年5月 ハイデルベルグ社製両面8色印刷機「スピードマスターSM74-8P」導入 2006 年3月 個人情報保護法の施行を受けて、プライバシーマークの認証を取得 2006 年6月 ハイデルベルグ社製4色両面兼用オフセット印刷機「スピードマスター SM102-4P PPF/PPD」、2色両面兼用オフセット印刷機「プリントマスターPM74-2PJ」の2機を導入 2011 年5月 プレートセッター(Heidelberg Sahira Chemfree 101)を導入 2013 年4月 創業 90 周年・会社設立 65 周年を迎える 2015 年1月 断裁機導入(ハイデルベルグ社製) 2016 年4月 2台目断裁機導入(ハイデルベルグ社製) 2016 年5月 国土交通大臣より無人航空機飛行の承認を得る 2017 年6月 東京営業所移転 2017 年9月 株式会社伊勢出版と業務提携し、グループ企業となる 2018 年4月 アドシンク株式会社と業務提携、グループ企業となるプライバシーマーク更新(6回目) 2018 年 12 月 設立 70 周年を迎える 2019 年9月 CTP システム更新(ハイデルベルグ社製) 2019 年 10 月 創業 100 周年に向けて VI(Visual Identity)を行い会社ロゴマークをリニューアル 2019 年 11 月 株式会社エイコープリントと業務提携、グループ企業となる 2020 年 10 月 株式会社アイシーソフトと業務提携 2021 年3月 東京営業所を池袋から日本橋に移転 2022 年9月 xx印刷株式会社と業務提携 「株式会社エイコープリント xx印刷営業所」となる 2022 年 11 月 用紙最適化反転xx紙揃機の「ミューパイルジョガーmini」を導入 2023 年 1 月 ハイデルベルグ社製4色両面兼用オフセット印刷機 XL106-4P を導入 <100 周年記念事業> | |
関連会社 |
2-2.経営方針と事業内容
xx印刷株式会社(以下、xx印刷)は愛知県名古屋市に本社を置く印刷会社である。1923年に名古屋で学習ノートや画用紙の製造卸を営む「xxxx堂」を創業し、その後、20 年ほどを経て活版印刷を始めることとなった。1970 年には社名を現社名に、総合印刷工場を現在の場所に移転し、ハイデルベルグ社製の印刷機を導入し業容を拡大した。現在では業界において B2Bやソフト面を志向するポジションにあり、紙の印刷物にとどまらず、デジタルやクリエイティブ技術を通じて、顧客の総合的なプロモーション活動を支援する業務を行っている。
【企業理念】
社長メッセージ
製造力を持つ情報発信型企業へ
嘘をつかず、xxに生きる姿勢を貫く
オフセット印刷全盛期からマルチメディア時代の到来、そして急速なデジタル・IT 化へと、業界の移り変わりは激しさを増しています。今では、紙というメディアを中心とした製造業から「製造力を持つ情報発信型企業」への転換による、新しいメディアによる新しい市場の開拓に取り組むことが至上命題となっています。このように、めまぐるしく変化する時代状況をしっかりと把握して、正しい判断を下していくのが経営者に課せられた使命です。その意味で、若い世代の清新な感性が必要となる場面が、次第に多くなってきているのは確かでしょう。
ただ、私自身は長く座右の銘としてきた「嘘をつかず、xxに生きる」という信念を変えることなく、これからも行動していきたいと思います。お客様のお役に立てたことで喜びと達成感を得る。それはいつの時代においても変わらぬxxだと確信しています。技術革新が進み、印刷の形態がすっかり様変わりした昨今においては、いささか古風な考え方かもしれません。しかし当社が、創業より 80 年以上にわたって事業を展開することができたのは、このxxの道理を失っていなかったからに他なりません。これからも一時の好不況に浮かれることなく堅実に一歩一歩、お客様とともに歩んでいきたい。それが「xx印刷らしさ」であると思っています。
代表取締役社長 xx xx
経営理念
xx 善意 美
xx(嘘がない)善意(良い行いをする)美(愛に満ちた生き方)は、人生においてのxxであり、ビジネスの世界においても同様である。相互信頼による親切心や思いやりの心を常に忘れないでいたい。
社是
考える 創る 行動する
お客様が繁栄するためのお手伝いをしていく「お客様第一主義」を貫く。奉仕の心、感謝の心を忘れずに、一人ひとりが世の中で役に立つ存在となりたい。そのためにはどうすればよいのか。それが「考える 創る 行動する」という言葉に現されている。
コンプライアンス宣言
xx印刷株式会社の全社員は、企業活動を行うにあたり、関係する法令や社会的規律を遵守いたします。また「真・善・美」に体現される高い倫理観を持ち、企業価値を向上させ、情報サービス産業としての社会的使命を果たすよう努力いたします。
<健全な企業活動を履行するための行動指針>
1.法令の遵守
私たちは法令を遵守し、xxxxな企業活動を実施します。 2.社会との健全な関わり
私たちは必要に応じて自社情報を開示し、社会とのコミュニケーションを深めます。 3.xxな競争の推進
私たちはxxで自由な競争を尊重し、創意工夫によりお客様へのサービスを提供します。 4.各種ハラスメント行為の撲滅
私たちは性別や年齢、国籍などによる差別を行いません。また職場においては暴力行為やモラルに欠ける行動を厳に慎みます。
5.反社会的勢力および団体との絶縁
私たちは反社会的勢力や圧力団体など、社会の安全を脅かしたり、公序良俗に反したりする個人・組織との関係を持ちません。
6.個人情報や守秘義務の厳守
私たちは個人情報保護法を遵守するとともに、業務上知りえた情報は個人・法人を問わず守秘義務を徹底して遂行します。
7.地球環境保護の促進
私たちは地球環境との共生をめざし、すべての業務で環境負荷の減少に努めます。
【事業活動】
同社は主に印刷媒体、デジタル媒体、クリエイティブ、ロジスティクスの分野を中心に事業活動を行っている。
印刷媒体
~より効率的に、最大の価値を追求する~
「スピード・価格・品質」だけにはとどまらず、価値を創造するために現場は進化し続けている。
◆製品・・・1枚ものから、冊子、各種販促物印刷まで幅広いラインナップで顧客ニーズに対応
主な媒体 | 具体的内容 |
フライヤーチラシ | 1 日最大 30 万枚まで対応。効果的な配布地域や折り込み時期の選定などについてのアドバイスを実施。
|
パンフレットカタログ | 冊子全体の方向性・ページ構成・表現スタイルなど、さまざまな角度から提案。 |
トータル プロモーション | 入学案内のパンフレット制作を核として、情報を Web に展開。体験入学イベント用の告知ポスター、DM、POP、ノベルティ印刷のほかに、学内広報誌、進学情報誌への広告ページ制作など、トータルなプロモーションを支援。 |
◆システム・・・最適のソリューションを目指し 常に設備・組織の充実を図る
同社では、顧客満足度の高いモノづくりとサービスのために、積極的に設備のバージョンアップや新システムの構築、スタッフのスキル教育を実施している。作業効率のアップや標準化を目指してQC活動にも取り組んでいる。
デジタル媒体
~情報発信・広報戦略に新しい効果を~
印刷という情報発信のノウハウを新しいメディアへも積極的に応用。
主な媒体 | 具体的内容 |
印刷物から動画 | 企業のリーフレット・パンフレットや飲食店のメニューやポスターなどの印刷物から動画を制作している。文字だけでは伝わりにくい情報を動画にすることで伝えや すく様々な情報を盛り込むことが可能。 |
デジタルブック電子書籍 | カタログ・パンフレットなどの印刷データを活用して、紙面のデザインをそのまま PC やスマートフォン・タブレット端末で、まるで本のページをめくりながら読んでいく感 覚で閲覧が可能。 |
デジタルサイネージ | 店舗の入り口や商業施設・駅などでよく見かけるデジタルサイネージはポスターや看板に比べて、動きでインパクトを強めたり、情報量を増やすことが可能であり、 今後ますます街中での需要が高まる見込み。 |
マンガ (アニメーション) | マンガやアニメーションで閲覧の可能性や HP 内の滞在時間をアップ。ストーリー作り、キャラクター作画、アニメーション化、プロのナレーターによる声入れまでトー タルで引き受けが可能。 |
動く名刺 | 名刺の顔写真をスマートフォンなどに認識させると個人のメッセージ動画が流れるユニークな仕掛け。専用の動画撮影スタジオ、納品はデータ。iPad やスマートフォンに保存し、Web やブログでの公開が可能。 |
ネット通販サイト | ページ構成やデザインの相談、公開後のメンテナンス、検索エンジン上位に表示されるための SEO 対策など。検索エンジンを使ったキーワード型連動広告や、リスティング広告などの SEM(サーチエンジン マーケティング)を駆使した方法も提案。 |
SNS | ソーシャルネットワークサービス(SNS)は、企業や商品のPRにおいてもファン層拡大や情報発信のためのツールとして利用価値があり、同社では Facebook ほか、さまざまなトレンドをいち早くキャッ チし、顧客のビジネスに役立つアイデアを提案。 |
クリエイティブ
見る人を「あっ」と驚かせ、「なるほど」と共感させる、巧みな手法や、オリジナリティあふれる企画で顧客の広報戦略に「新しい効果」を届ける。
同社は「広告効果の最大化を目指すプロ集団」として、「きれいに整えることがデザインではない。格好良く飾ることがデザインではない。そこにあるビジネスの問題を解決することがわたくしたち商業デザイナーの使命です」を合言葉に、社内に構えたデザインチームはもちろんのこと、コピーライター・カメラマン・イラストレーターなど多彩なクリエイターとネットワークを使って、企画段階からプランナー・ディレクターが担当営業とタッグを組み、の問題解決に高いクリエイティブによって臨んでいる。
クリエイティブスタッフ
Director:Xxxxxxxxx Xxxxxxxx:Horiba Designer:Xxxxxxxxx Designer:Xxxxxxxx Director:Xxxxxxx
ロジスティクス
~業務改善・コスト削減にさまざまなカタチで貢献を~
印刷完了後も一括してワンストップサービスで支援。印刷物の完成・納品後のサービスも展開。
困りごとの内容 | 具体的業務 |
保管スペース | 名古屋の中心地・中区にあるセキュリティ対策も万全な物流センターに て物品等を預かり・保管。 |
在庫管理 | 発注品目数や頻度など、様々な要件に照らし、電話やメール、ファイル 共有システム、オンライン発注までを可能にする管理システムの導入。 |
発注部数 | 印刷物をデジタル在庫からその都度製作し納品(発送)するデジタル 在庫により、数十部から数百部といった小ロットの発注が可能となり、また、途中で部分的な情報の更新にも対応。 |
DM送付コスト | ゆうメールや区内特別郵便などの料金体系を最大限活用。必要となる 各種申請業務の代行。 |
発送手配業務 | ダイレクトメールのタッグシール貼り(発送手配業務)、カタログ請求者への資料発送手配業務、名簿データの新規作成、データメンテナンスな どの業務。 |
セット・梱包 | 数種類の印刷物の丁合と封入封緘印刷物とノベルティなどの同梱、店 頭販促ツールなどのセット・梱包などの業務。 |
事務局業務 | ダイレクトメールの発送に伴う事務局業務の代行。 |
【保有設備】
種別 | メーカー | 機械名 | 説明 |
印刷機 | ハイデルベルグジャパン | XL106-4P | - |
CTP | ハイデルベルグジャパン | スープラセッター106 | 刷版 |
搬送装置 | Nela | オートベンダー、プレートソ ーティング | CTP 連携機 |
断裁機 | ポーラー | POLAR N115 plus | 2 台 |
製本機 | ホリゾン | ステッチライナー | ― |
紙積み機 | ミューテック | ミューパイルジョガーmini | ― |
フォークリフト | トヨタ L&F | エンジン車 | 2 台 |
フォークリフト | トヨタ L&F | 電動車 | 1 台 |
校正 | エプソン | SC-P9050G | 大判インクジェット |
生産管理システム | ハイデルベルグジャパン | Prinect プロダクションシス テム | ソフトウェア群 |
プリントオンデマンド | コニカミノルタジャパン | Bizhubpress 1250 | モノクロ専用 PoD デジタル 印刷機 |
リモート校正 | 富士フイルム | XMF リモート | ソフトウェア |
プリンタ | 富士フイルムビジネスイノベ ーションジャパン | Versant180i Versant180 | プリンタ2機 |
デザイン DTP | Apple | 制作用コンピュータ (Apple mac) | おおよそ 15 台 |
環境に配慮した印刷機 「XL106-4P CO2 ニュートラル」
「CO2 ニュートラル」を取得した印刷機
4色機 2色機
富士ゼロックス社の新鋭出力システム 「Versant™ 80 Press」
出力解像度 2400dpi、1200dpi の RIP 処理 で高画質を実現洋形3号から 330×488mm の用紙まで幅広いサイズに対応
プロダクションプリンタ コンビュカット(断裁機)
大幅な省力化とエコに貢献する CTP(Computer to Plate)
環境に配慮した現像液を使わないケミカルフリーのプレートセッター
版のくわえ尻り部分を自動で曲げるオートベンダーは、ハイデルベルグ社製としてxxxの第1号機
スープラセッター106
紙積み機(ミューパイルジョガーmini)
用紙を除電しながらワンプむき、反転、板取り、検品まで、すべての紙積み作業を一台で行える万能型のxx紙揃機
大型インクジェットプリンタ 製本機
【関連会社】
同社を中心に関連グループが形成されている。主な関連会社以下の通り。
xx印刷株式会社
株式会社
エイコープリントxx印刷営業所
アドシンク
株式会社
株式会社
伊勢出版
株式会社
エイコープリント
2-3.サスティナビリティに関連する活動
【MUD による多様性を容認する社会に必要な媒体製作の支援】
MUD とはメディア・ユニバーサル・デザインの略であり、弱視・色覚障がい者や高齢者など一般の人と色の感じ方が異なる人や小さな文字が読みづらい人に対して、必要とされる情報を分かりやすく伝えることを目的に「デザイン」「文字の使い方」
「色の使い方」など様々な配慮や工夫を加えた媒体デザインのことである。
同社ではMUD を推進することで、障がいを持つ人はもちろん障がいのない人を含めた全ての人に必要な情報が伝わりやすくなる媒体の提供を積極的に行っている。
また、MUD 知識を正しく理解し、アドバイスや実践ができると認められた者に付与される MUD資格については、3級(アドバイザー)から、2級(ディレクター)、1級(マイスター)までの3段階が設けられており、同社には現在 16 名(2級…1名、3級…15 名)の資格取得者が在籍している。
【名古屋市SDGs 推進プラットフォーム会員として地域における SDGs の推進】同社が本社を置く名古屋市では、市域全体における SDGs
の取り組みの一層の向上を図るため、SDGs の理念に基づいて持続可能な地域・社会づくりに取り組む企業・団体・大学等を会員とする「名古屋市 SDGs 推進プラットフォーム」を設置している。
同社はこのプラットフォームに登録し、自社がSDGsへの取り
組みを進めていくための情報の収集を進めている。
名古屋市 SDGs推進プラットフォーム会員証
【プロモーション活動の推進を通じて地域企業の活性化に貢献】
同社は単なる印刷物の作成やデジタル媒体の制作にとどまらず、「製造力を持つ情報発信型企業」を標榜して事業活動を行っている。顧客が各種媒体を通じて自社のプロモーション活動を効果的に行うことができるように、同社が持つ印刷・デジタル媒体を駆使してより効果的でオールラウンドに顧客の情報発信活動をサポートしている。こうした同社の取り組みを通じて地域企業が効果的なプロモーション活動を行うことで、企業の発展のみならず地域経済の活性化に貢献している。
【労働環境の改善】
(1)職場環境の整備
同社では従業員がより働きやすい環境で業務を行うことができるように職場環境の整備を進めている。従業員の働くスペースをより使いやすくするための取り組みとしては、会議スペース
の増設や執務部屋のデザインや内装改修などを実施してきた。また、これまで和式トイレしかなかった事務所においては洋式トイレにxx改修を行い、衛生環境の改善を図っている。
(2)福利厚生の充実
同社の年間休日数は 2022 年において年間 109 日となっている。また、同社では期の始まる前に全従業員に対して毎年5日の年次有給休暇の取得予定日の提出を義務付けており(提出後の予定日変更は可能)、本取り組みを開始した 2019 年度より現在まで全ての従業員が取得することができている。
勤怠管理についてはこれまでの IC カードを用いた勤怠時間の打刻から AI を用いた非接触型の顔認証システムを導入し、勤怠管理の効率性向上と正確性の確保に努めている。
また、社内で定期健康診断を実施し、要検査者に対しては再受診を促しており、2022 年の再受診率は 20%となっている。今後はさらに再受診を促し、再受診率を引き上げていく。
(3)システム導入による顧客折衝の効率化
同社ではオンライン校正システムである P-BOSS システム(富士フイルムの XMF システム)を導入し、作業効率性の向上やリモートワーク等の普及を図っている。具体的には、印刷物やポスター校正で修正が必要となる場合、従来は営業員が足を運び交渉を行っていたが、本システム導入により修正指示がオンライン上で行え、最終的な仕上がりも確認することが可能となっている。これにより、これまでの移動にかかる時間
や相互の打合わせ時間が短縮され、校正・校閲にかかる時間を大幅に短縮されることととなり、時間外労働の削減にもつながっている。
(4)社内ワークフロー統一・生産システム統合による業務効率化及び品質改善
同社では、社内のワークフローを Microsoft365 に統一することで業務効率化を進めている。このワークフローシステムにおいては、メールのやりとりからチャット、データ共有も一つの場所で可能となったため、その結果、社内の内線電話も減少している。
また、印刷物が完成するまでには複雑な工程に呼応する機会の連携が欠かせないが、同社では印刷物の製造工程を Heidelberg Prinect System によって統合することで、一貫した操作体系と機械の協調運転による品質の維持、改善に努めている。
(5)労働時間抑制の取り組み
リーダーや管理責任者に所属する各人別の時間外労働をコントロールする意識付けを会議等において継続的に実施している。また、時間外労働が多い従業員については社内で把握し、削減策を管理者が中心となって所属部門で検討している。
(6)紙積み機の導入による生産効率の向上
同社では 2022 年 11 月に働き方改革の一環として「紙積み機(ミューパイルジョガーmini)」を導入した。これにより、印刷オペレーターが「紙積み作業」という重労働から負担が軽減されるとともに、静電気、紙粉を防止し「用紙の最適化」が図ら
れ、生産効率の向上が図られている
同紙積み機は、用紙を除電しながらワンプむき、反転、板取り、検品まで、すべての紙積み作業を一台で行える万能型のxx紙揃機であり、作業台がなく、紙当て定規の感覚で紙の出し入れができるため、早く手軽に作業できる。どのような種類の紙でも、機械が揃えるので、専門
技術を必要としない紙積みが可能となっている。
紙積み機(ミューパイルジョガーmini)
【新印刷機械の導入による設備稼働率の向上と環境対応の推進】
同社ではこれまで3台の印刷機械を用いていた業務について、大型の新印刷機械の導入により1台へ集約することで設備稼働の効率改善を図っている。具体的には、最新型の機械である
「XL106-4P」により設備稼働効率が向上したことから、印刷工程で従来発生したエネルギー消費も削減できている。
また、大型の新印刷機械導入による業務効率化により、勤務体制を早番、夜勤のツーシフトとすることで、従業員の時間外労働を大幅に削減することが可能となった。
新印刷機械導入にあたっての火入れ式・安全祈願祭の様子
最新型の機械である「XL106-4P」は同社が 1990 年に導入した「CD102」と比較すると、印刷枚数 1,000 枚あたりのエネルギー消費量(電力使用量)が 13.8kWh から8kWh へと約 40%低減しており、エネルギー消費量の削減を通じて CO2 排出の抑制につながっている。こうしたカーボンニュートラルな特性を内外にアピールするために、機械側面に「CO2 neutral」の大判ステッカーが添付されている。
新印刷機械の導入を契機に、①印刷機を効率よく動かすための作業の標準化、②印刷機の最大パフォーマンスの使用、③作業動線の最適化、など印刷機の稼働実績から目標値を定め、その目標に向かって改善を行い行動に反映させる取り組みを実施している。これらの印刷機の使い方を最適化することで、エネルギー効率をさらに高めることが可能となっている。
【製造現場における安全管理体制の構築】
労働災害ゼロに向けた製造現場での安全管理体制については、リスクアセスメントとして安全管理者(有機溶剤作業xx者)を設置するとともに、有機溶剤等使用の注意事項など溶剤に関する必要な掲示物の設置と管理を行っている。事故の予防措置や教育の一環として、第一種有機溶剤・第二種有機溶剤・第三種有機溶剤と分けて看板を示し、取り扱いの注意点を掲示物の形にして説明を行っている。
生産現場においては、重量物の取り扱いが多いため、作業員には安全靴の着用を義務付けている。
裁断機、フォークリフトの取り扱いについては、安全講習受講を義務付けており、対象者の講習修了証を構内に掲げている。
【充実した研修制度】
従業員の能力と生産性を向上させるために同社では様々な研修を行っている。入社時の新入社員研修に始まり、社内では全体ミーティングを月1回の頻度で実施しているほか、同社が重要視している個人情報保護に関する社内体制の徹底に向けて、P マーク(プライバシーマーク)や多能工化における生産性xxxの社内勉強会を積極的に実施している。また、FSC 認証取得維持に向けた社内管理体制構築に向けて FSC 認証に関する研修会を年1回実施している。
研修項目 | 実施頻度 | 研修の具体的内容 |
新入社員研修 | 入社時 1 か月程度 | ・各部署の案内、見学 ・座学 ・外注先の見学 ・工場内見学 ・社員が講師として実施 |
全体 MTG | 月 1 回 | ・正社員対象を対象とし、連絡事項、新しい仕組みや情報の共有を目的とした会議 ・定例の社内報告会であり、本社と東京事務所をつないで 実施 |
プライバシーマーク研修 | 年 1 回 30 分程度 | ・企業等が P マークの取得をした場合に、毎年義務付けられている研修 ・P マークのしくみ、なぜ必要なのか、守らないとどういった罰 則があるのか等の重要性を説明するセッションの実施 |
FSC 認証に関する研 修 | 年 1 回 | ・紙のトレーサビリティ |
【従業員の資格取得の推進】
同社では MUD、オフセット印刷技能士、技能検定プリプレス職種、印刷営業士等の取得を積極的に推進している。デザイナーや印刷オペレーターはほぼ全員が資格を取得するなど、その数は年々増え続けている。
2023 年2月時点における各種資格取得者は MUD:16 名のほか、国家資格であるオフセット印 刷技能士:4名、技能検定プリプレス職種(DPT 作業):3名(1級)、印刷営業士:4名となっている。従業員の資格取得にかかる受験費用は同社が負担しており(初回分のみで不合格の場合、次
回以降は実費)、試験合格時には報奨金を支給することで、従業員の資格取得に対するインセンティブを付与している。
【ダイバーシティの推進】
同社では女性従業員が積極的に活躍できる職場づくりに力を入れている。従来の印刷現場においては主に男性従業員が中心となって働くというイメージが強かったが、近年はデザイン業務等のウェイトが高まっていることもあり、女性従業員が増加傾向にある。現在、同社では女性従業員(パート・アルバイト・契約社員を含む)が 21 名在籍しており、今後も業務環境の変化に応じて女性従業員が活躍できる環境を整備していく。
【厳格な個人情報の管理】
同社は総合印刷・情報サービス業務を主として広く事業展開をしており、業務上において様々な情報を取り扱っている。このた め、情報の安全管理を厳守することが重要な社会的責任であり、特に個人情報の重要性を強く認識している。同社では、取得した個人情報ならびに外部から預かった個人情報は安全かつ正確に管理し、これに対する不正アクセス、紛失、破壊、改ざん、漏えい等の問題に対して情報セキュリティ対策を実施し、その予防に努めている。
こうした取り組みを徹底するために、同社では個人情報を適切に取り扱っている法人として認定される「プライバシーマーク」を
(財)日本情報処理開発協会(JIPDEC)から取得している。
プライバシーマークを維持するためには、外部機関による厳重な2年毎の審査をクリアしていく必要があるため、社内教育や内部監査等を適正に実施している。社内教育については、全体研修を実施していることに加え、工程ごとにプライバシーマークへの対応が異なるため、部署別研修も実施している。例えば、マーケティング部門のスタッフは顧客と個人情報保護物件となる原稿類の受領/返却を行うため、特に授受や持ち運びの際の手順と注意点などの確認を行っている。
プライバシーマーク
部署別研修の様子
また、「個人情報保護マネジメントシステム」を構築するとともに、情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度である Security Action 宣言を行っている。
<個人情報保護方針>
1.個人情報の収集・利用・提供
当社は、事業の内容及び規模を考慮した適切な個人情報の取得、利用及び提供に努めます。個人情報の利用および提供は、同意を得た範囲内とし、その範囲を超えた個人情報の取扱い(目的外利用)は行わず、目的外利用防止のための措置を講じます。
•直接、ご本人から収集する個人情報の場合
個人情報の取得は、利用目的を通知し同意を得た上で適法かつxxな手段により行います。
•受託業務でお預かりする個人情報の場合
機密保持、授受、保管、返却、廃棄等のルール・契約を定め、これを遵守します。
•個人情報の含まれる業務を外部に委託する場合
機密保持、授受、保管、返却、廃棄等のルール・契約を定め、厳正な管理を行います。 2.個人情報の適正管理
当社が取得した個人情報ならびに外部からお預かりした個人情報は、安全かつ正確に管理し、これに対する不正アクセス、紛失、破壊、改ざん、漏えい等の問題に対して情報セキュリティ対策を実施し、その予防に努めます。また、万一の問題発生時には速やかに是正処置を実施します。
3.苦情相談への対応
当社では、個人情報の取扱い及び個人情報保護マネジメントシステムに関して、ご本人からの苦情及び相談を受け付け、適切かつ迅速に対応します。
4.法令・規範の遵守
個人情報保護に関する諸法令、国の定める指針、「個人情報保護マネジメントシステム-要求事項(JIS Q 15001)」、及びその他の規範を遵守した行動の実践に努めます。
5.個人情報保護マネジメントシステムの策定および継続的改善
個人情報保護に関するマネジメントシステムを定め、役員及び全従業員に周知・徹底します。また、社長を中心としてこれを定期的に見直し、その継続的な改善に努めます。
制定:2005 年 10 月 1 日
最終改訂:2021 年 9 月 1 日xx印刷株式会社
代表取締役社長 xx xx
【廃液による水質汚濁等の低減】
環境保護に対する企業の社会的責任が問われる中で、同社では早くから「環境にやさしい」生産現場の構築を進めてきた。特に製造現場において「ノン VOC」「ノン DRAIN」という二つの活動を推進している。「ノン VOC」とは光化学スモッグやシックハウス症候群の発生要因のひとつとい
われる揮発性有機化合物の排出を抑制するものであり、「ノン DRAIN」は水質汚濁の原因となる流出廃液を削減する取り組みである。
また、同社では安全衛生管理者を設置し、社内の環境管理を徹底して進めていくとともに、廃液の処理は指定業者に委託し、廃棄物は紙・インキ・溶剤系に分けて業者に処理を委託している。
上記の取り組みを通じて印刷物の生産過程で発生する廃棄物を低減し、人間が生活を営む上で欠かせない「大 気」「水」「土壌」の汚染を防ぐことで高まる環境保護への要
請に応えるなど社会的にも意義の高い取り組みを進めている。
廃棄物の分別の状況
【植物性インキの積極的活用による環境負荷低減】
同社では環境負荷の低減を目的に、印刷物に使用するインキを植物性インキ(ベジタブルオイルインキ)に切り替えている。植物性インキとは、非食用の亜麻仁油や桐油などを含めた植物油全般を使ったインキであり、従来の鉱物油が使われているイン
キと違い再生可能資源で環境負荷が少ないことが特徴であ る。従来の油性インキに比べると、顧客のコスト負担はかかるものの、環境負荷低減の視点から顧客に積極的に提案を行っている。
【FSC 認証製品の供給による森林整備への貢献】
同社は 2020 年 12 月2日に FSC/CoC 認証を取得し、これにより顧客への印刷物の提供に際して「FSC 森林認証紙」を使用することが可能となった。
FSC 認証とは、環境保全の点から見て適切で社会的な利益にかない経済的にも継続可能な森林管理のもと生産された原料(印刷用紙)を使い製造された印刷物に FSC ロゴをつけることを承認された証であり、CoC 認証とは、認証林から収穫された木材が、消費者の手元に届くまでの加工・流通過程を認証したものである。
これまでも印刷用紙では再生紙の利用などが促進されてきたが、リサイクルの繰り返しによる品質の劣化や、製造過程で発生する CO2 の排出量が問題視されるようになり、こうした問題を解決する新しい策として、そもそもの森林資源を守ろうという考え方の FSC 認証に近年期待が高まっている。
FSC の認証取得により、環境に配慮した森林管理に関心を持っている消費者やビジネスパートナーに対して、同社が環境に配慮した森林管理や木材のサプライチェーンの管理に取り組んでいることを示すことが可能となり、信頼関係の構築や需要のある市場に訴求することを可能としている。
xx印刷は FSC®森林認証紙への印刷で 世界の環境保全に貢献します。
FSC 認証
認証番号: SGSHK-COC-011098
ライセンス番号: FSC-C118254
【製造過程における CO2 排出量削減】
同社では富士フイルムの Green Graphic Project(GGP)に参加し、「カーボン・オフセット制度」※を利用して顧客と共に CO2 排出量削減に取り組んでいる。
印刷機を使用して印刷を行う際に刷版という工程があり、刷版においては CTP 装置で絵柄をレーザー照射して映像を刷版に焼き付ける作業が必要となる。従来はその焼き付けた絵柄を現像液、水、定着液という酸性およびアルカリ液剤の両方を使用して現像という処理を行っていたが、富士フイルムの「SUPERIA 完全無処理サーマルCTP プレート」を使用することで、液剤を使用した処理が不要となる。
このように、カーボンゼロの無処理プレートを使用することで印刷物の CO2 排出量を削減でき、
「ローカーボン印刷物」をクライアントに提供することができる。同社では刷版を必要とする全ての生産工程において 100%この刷版を使用している。
完全無処理サーマル CTP プレートを用いたカーボン・オフセットの仕組みと カーボンオフセット証書
(資料)富士フイルム HP より転載
富士フイルムは開発途上国の CO2 削減プロジェクトを支援することで CO2 排出権(クレジット)を得ており、無処理プレートを利用することで使用量に応じて同社はカーボン・オフセット証書を富士フイルムから取得することができ、間接的に開発途上国の CO2 削減や雇用創出といった支援に貢献している。
※「カーボン・オフセット制度」とは、日常生活や経済活動で避けることができない CO2 の排出について認識し、できるだけ削減する努力を行った上で、どうしても減らせなかった分の CO2 排出量を、他の場所での CO2 排出削減の取り組みで埋め合わせ(オフセット)すること。
3.UNEP FI インパクトレーダーとの関連性
本ファイナンスでは、xx印刷の事業を、国際標準産業分類における「印刷業」として整理した。その前提のもとでのUNEP FI のインパクト分析ツールを用いた結果、「包括的で健全な経済」「保健・衛生」「教育」「雇用」「文化・伝統」に関するポジティブ・インパクト、「雇用」「水(質)」「大気」「土壌」「資源効率・安全性」「気候」に関するネガティブ・インパクトが分析された。
一方、事業活動等を踏まえ、本ファイナンスで特定された同社のインパクトは以下の通りである。
※色の濃い項目が同社のインパクト領域
3-1.経済面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ポジティブ〉 包摂的で健全な経済 | MUD による多様性を容認する社会に必要な媒体製作の支援 | MUD(メディア・ユニバーサルデザイン)の推進により、障がいを持つ人など全ての人に必要な情報が伝わりやすくなる媒体の提供 |
ダイバーシティの推進 | 女性従業員が積極的に活躍できる職場づくり |
経済収束 | 名古屋市 SDGs 推進プラットフォーム会員として地域における SDGs の推進 | 「名古屋市 SDGs推進プラットフォーム」への登録により、自社が SDGsへの取り組みを進めていくための情報を収集 |
プロモーション活動の推進を通じて地域企業の活性化に貢献 | 印刷・デジタル媒体を活用した顧客の効果的なプロモーション活動のサポートにより、企業の発展を通じて地域経済の活性化に貢献 |
3-2.社会面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ポジティブ〉教育 雇用 | 充実した研修制度 | 従業員が能力および生産性を向上させるための研修制度を充実 |
従業員の資格取得の推進 | 従業員によるMUD、オフセット印刷技能士、技能検定プリプレス職種、印刷営業士等の資格取得を積極的に推進 | |
雇用 | ダイバーシティの推進 | 女性従業員が積極的に活躍できる職場づくりの推進 |
〈ネガティブ〉 | ||
保健・衛生 | 労働環境の改善 | 職場環境の整備 |
福利厚生の充実 | ||
製造現場における安 | 安全管理者の設置及び有機溶剤等使用の注 | |
全管理体制の構築 | 意事項など必要な掲示物の設置・管理 | |
雇用 | 労働環境の改善 | システム導入による顧客折衝の効率化 社内ワークフロー統一・生産システム統合による業務効率化及び品質改善 労働時間抑制の取り組み 紙積み機の導入による生産効率のxx |
x印刷機械の導入による設備稼働率向上と環境対応推進 | 印刷機械を1台の大型機械に集約し、業務効率化により従業員の時間外労働を大幅に削減 | |
情報 | 厳格な個人情報の管理 | 個人情報の安全かつ正確な管理および不正アクセス、紛失、破壊、改ざん、漏えい等の問 題に対する情報セキュリティ対策の実施 |
3-3.環境面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ネガティブ〉水(質) 大気 土壌 | 廃液による水質汚濁等の低減 | 揮発性有機化合物の排出を抑制する「ノン VOC」および水質汚濁の原因となる流出廃液を削減する「ノン DRAIN」を推進 |
植物性インキの積極的活用による環境負荷低減 | 環境負荷の低減を目的に、印刷物に使用するインキを従来の鉱物油性から植物性インキ (ベジタブルオイルインキ)に切り替え | |
資源効率・安全性 | 新印刷機械の導入による設備稼働率の向上と環境対応推進 | 印刷機械を1台の大型機械に集約し、設備稼働効率の向上を通じてエネルギー消費を削減するとともに、業務効率化により従業員の時 間外労働を大幅に削減 |
気候 | FSC 認証製品の供給による森林整備への貢献 | FSC/CoC 認証を取得し、認証製品の供給を通じて、適切で社会的・経済的利益をもたらす森林整備へ貢献 |
製造過程における CO2 排出量削減 | 富士フイルムのGreen Graphic Project(GGP)に参加し、「カーボン・オフセット制度」を利用して顧客と共に CO2 排出量削減に取り組み | |
新印刷機械の導入による設備稼働率の向上と環境対応の推進 | 最新型の印刷機械である XL106-4P を導入し、エネルギー消費量の削減を通じて CO2 排出を抑制 | |
廃棄物 | 廃液による水質汚濁等の低減 | 社内に安全衛生管理者を設置して環境管理を徹底するともに、廃液の処理は指定業者に委託し、廃棄物は紙・インキ・溶剤系に分けて 業者に処理を委託 |
4.測定する KPI とSDGsとの関連性
xx印刷は本ファイナンス期間において以下の通り KPI を設定する。
4-1.経済面・社会面(ポジティブ)
特定インパクト | 包摂的で健全な経済 雇用 | |
取組、施策等 | 【ダイバーシティの推進】 ・女性従業員が活躍できる職場環境を積極的に整備する | |
借入期間における KPI | ・女性従業員の割合を 2023 年2月末時点の 31%から 2028 年3月までに 40%に引き上げる | |
関連するSDGs | 5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会 を確保する。 |
4-2.社会面(ポジティブ)
特定インパクト | 教育 雇用 |
取組、施策等 | 【充実した研修制度】 ・P マーク(プライバシーマーク)や多能工化における生産性xxxの社内勉強会を積極的に実施する |
【従業員の資格取得の推進】 ・印刷技能士(国家資格)、印刷営業士、MUD(メディア・ユニバーサルデザイン)、プリプレス職種(国家資格)等の資格取得を積極的に推進する | ||
借入期間における KPI | ・社内勉強会の実施回数を 2022 年度の年3回から 2027 年 度に年 12 回まで増加させる ・各種資格の取得者を 2028 年3月までに以下の通り増加させる ①MUD:22 名(2022 年2月時点:16 名) ②オフセット印刷技能士:8名(同4名) ③技能検定プリプレス職種:6名(同3名(1級)) ④印刷営業士:8名(同6名) | |
関連するSDGs | 4.4 2030 年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。 4.7 2030 年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人 権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な 知識及び技能を習得できるようにする。 |
4-3.社会面(ネガティブ)
特定インパクト | 雇用 保健・衛生 |
取組、施策等 | 【労働環境の改善】 ・従業員の労働環境の改善に向け時間外労働の削減や福利厚生の充実等を推進する 【製造現場における安全管理体制の構築】 ・安全管理者の設置や有機溶剤等使用の注意事項など必要な掲示物の設置・管理により安全管理体制を構築する |
借入期間における KPI | ・従業員の一人当たり時間外労働時間を 2022 年の月間x x 17 時間から 2027 年に月間平均 10 時間以内まで減少させる |
・新しい休暇制度として従業員の誕生月に休暇を取得できる 「バースデイ休暇」を創設する ・1日以上の休業を要する重大な労働災害ゼロを維持する (現社長が就任した 2015 年から8年連続でゼロを継続中) | ||
関連するSDGs | 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労 働環境を促進する。 |
4-4.環境面(ネガティブ)
特定インパクト | 水(質)大気 土壌 | |
取組、施策等 | 【植物性インキの積極的活用による環境負荷低減】 ・従来の鉱物油が使われているインキと違い再生可能資源で環境負荷が少ない植物性インキ(ベジタブルオイルインキ)の使用を徹底する。 | |
借入期間における KPI | ・植物性インキの使用比率 100%を維持する。 | |
関連する SDGs | 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削 減する。 |
特定インパクト | 気候 |
取組、施策等 | 【FSC 認証製品の供給により森林整備に貢献】 ・環境保全の点から見て適切で社会的な利益にかない経済的にも継続可能な森林管理のもと生産された原料(印刷用紙)を使い製造された印刷物である FSC 認証紙を積極的に使用していく。 |
【製造過程における CO2 排出量削減】 ・富士フイルムのGreen Graphic Project(GGP)に参加し、「カーボン・オフセット制度」を利用して顧客と共に CO2 排出量削減に取り組む 【新印刷機械の導入による設備稼働率の向上と環境対応の推進】 ・最新型の機械である XL106-4P を導入し、エネルギー消費 量の削減を通じて CO2 排出を抑制する | ||
借入期間における KPI | ・FSC 認証紙の使用比率を 2022 年の 1.1%から 2027 年に 10%以上まで引き上げる ・今後、導入する機械は 100%CO2 ニュートラルであるか、カーボンフットプリント(CFP 値)を明示している製造機器や消 耗材を導入する | |
関連する SDGs | 9.4 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。 15.2 2020 年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加さ せる。 |
その他、同社がインパクトとして特定した項目の中で KPI として目標を設定しなかったものについては以下の通りであり、引き続きそれぞれの取り組みを確認していく。
4-5.その他KPI を設定しないインパクトについて SDGsとの関連性
事業活動 | 関連するSDGs のターゲット | SDGs の ゴール |
〈経済面〉 MUD による多様性を容認する社会に必要な媒体製作の支援 | 10.2 2030 年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。 | |
名古屋市 SDGs 推進プラットフォーム会員として地域における SDGs の推進 | 17.6 科学技術イノベーション(STI)及びこれらのアクセスに関する南北協定、xx協力及び地域的・国際的なxx協力を向上させる。また、国連レベルをはじめとする既存のメカニズム間の調整改善や、全世界的な技術促進メカニズムなどを通じて、相互に合意 した条件において知識共有を進める。 | |
プロモーション活動の推進を通じて地域企業の活性化に貢献 | 9.b 産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開発途上国の国内における技術開発、研究及びイノベーションを支援す る。 | |
<社会面> 厳格な個人情報の管理 | 16.10 国内法規及び国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する。 | |
〈環境面〉 廃液による水質汚濁等の低減 | 6.3 2030 年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄 物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 |
5.サスティナビリティ管理体制
xx印刷では、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組むにあたり、組織横断的なプロジェクトチームとして、出力チーム&特命担当グループを結成。xx社長を責任者とし、xxxxxxマネージャーが日々の業務やその他活動を棚卸することで、自社の事業活動とインパクトレーダーとの関連性について検討をした。
本ポジティブ・インパクト・ファイナンスの実行後、返済期限までの間においても、xx社長やxxxxxxマネージャーをリーダーとする出力チーム&特命担当グループが関係部署など
との連携体制を構築することで KPI の達成を図っていく。
最高責任者 | 代表取締役社長 xx xx |
管理責任者 | 出力チーム&特命担当グループ ゼネラルマネージャー xx x |
担当部署 | 出力チーム&特命担当グループ |
6.モニタリング
本件で設定した KPI の進捗状況は、xx印刷と三十三銀行の担当者が年に1回以上の会合を設けることで確認する。モニタリングの結果、当初想定と異なる点があった場合には、三十三
銀行は、同社に対して適切な助言・サポートを行い、KPI の達成を支援する。
7.総合評価
本件は UNEP FI の「ポジティブ・インパクト金融原則」に準拠した融資である。xx印刷は、上記評価の結果、本件融資期間を通じてポジティブな成果の発現とネガティブな影響の低減に努
めることを確認した。また、三十三銀行は年に1回以上その成果を確認する。
本評価書に関する重要な説明
1.本評価書は、三十三総研が、三十三銀行から委託を受けて作成したもので、三十三総研が三十三銀行に対して提出するものです。
2.三十三総研は、依頼者である三十三銀行および三十三銀行がポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するxx印刷から供与された情報と、三十三総研が独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。
3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した
「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合させるとともに、ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に整合させながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所から、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに関する第三者意見書の提供を受けています。
〈本件問合せ先〉
株式会社三十三総研
調査部長 主席研究員 xx xx
〒510-0087
xxxxxxxxxx 00 x 00 xxxxxxx0x
TEL:000-000-0000 FAX:000-000-0000
第三者意見書
2023 年 3 月 31 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: xx印刷株式会社に対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社三十三銀行 |
評価者:株式会社三十三総研 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省のESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、三十三銀行がxx印刷株式会社(「xx印刷」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、株式会社三十三総研による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定したPIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシア ティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、イ ンパクト分析ツールを開発した。三十三銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際 し、三十三総研と共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国 内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分 析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、 中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、三十三銀行及び三十三総研 にそれを提示している。なお、三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義 を、PIF 原則等で参照している IFC(国際金融公社)の定義に加え、中小企業基本法の定義 する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業としている。
JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえでPIF 原則との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的とし
た中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1 定義
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
三十三銀行及び三十三総研は、本ファイナンスを通じ、xx印刷の持ちうるインパクトを、 UNEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析 を行った。
この結果、xx印刷がポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2 フレームワーク
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、三十三銀行がPIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(出所:三十三銀行提供資料)
(2) 実施プロセスについて、三十三銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、三十三銀行からの委託を受けて、三十三総研が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めたPIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全て三十三総研が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、三十三総研が、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及びESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして
定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人であるxx印刷から貸付人である三十三銀行及び評価者である三十三総研に対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評
価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
(第三者意見責任者) 株式会社日本格付研究所
サステナブル・ファイナンス評価部長
梶原 敦子
担当主任アナリスト 担当アナリスト
梶原 敦子 川越 広志
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・公平な立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候変動イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026