第 12 号までの規定を置く場合には、別紙[1]及び[2]において、各データの範囲を画する必要があります(なお、さくらツールでは、「各当事者提供データ」及び「 本成果データ」の特定並びにそれらの利用方法について定めるための別紙例もモデル契約とは別途作成していますので、必要に応じてご利用ください。)。なお、データについ ての契約上の取り扱いについては、経済産業省 IoT 推進コンソーシアム「データの利用権限に関する契約ガイドライン」
モデル2(第三者機関管理・活用モデル)
コ ン ソ ー シ ア ム 型 共 同 研 x x 約 書(案)
[ ]大学(以下「甲」という。)と[ ]大学(以下「乙」という。)と[ ](以下「丙」という。)と[ ](以下「丁」という。)(以下総称して「本当事者」という。)とは、以下の研究項目に掲げる共同研究(以下「本共同研究」という。)の実施に関し、以下のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。
(契約項目表)
1.研究題目 | ||||||||||
2.研究目的 | ||||||||||
3.研究内容 | ||||||||||
4.主幹事当事者 | ||||||||||
5.プロジェクト マネージャー | ||||||||||
6.研究担当者 | 区分 | 氏名 | 所属・職名 | 本研究における役割 | ||||||
甲 | ||||||||||
乙 | ||||||||||
丙 | 派遣の有無 | |||||||||
丁 | 派遣の有無 | |||||||||
7.研究実施場所 | ||||||||||
8.研究期間 | 平成 | 年 | 月 | 日 から | 平成 | 年 | 月 | 日 | まで | |
9.研究経費の負担 | 区 分 | 研究費 | ||||||||
甲 | [ | ]円 | ||||||||
乙 | [ | ]円 | ||||||||
丙 | [ | ]円 | ||||||||
丁 | [ | ]円 | ||||||||
合 計 | [ | ]円 | ||||||||
総 額 | [ | ]円 | ||||||||
10.施設及び設備 | 区 分 | 施設の名称 | 設 備 | |||||||
名 称 | 規 格 | 数量 | ||||||||
甲 | ||||||||||
乙 | ||||||||||
丙 | ||||||||||
丁 |
1
11.活用第三者 | [一般社団法人○○]/[○○株式会社](仮称) ・設立予定日:[ 年 月 日] ・予定住所:[ ] ・主な目的:[本共同研究成果のライセンスを通じた活用] /[本共同研究成果を主に自ら実施することによる事業化] /[ ] | |
12.xxxxの秘匿期間 | 本共同研究終了日(研究期間が複数年度にわたる場合は各年 度末)の翌日から起算して[ ]年間 | |
13.秘密保持義務の有効期間 | 本共同研究終了日(研究期間が複数年度にわたる場合は各年 度末)の翌日から起算して[ ]年間 | |
14.成果に関する知的財産権の帰属 | <帰属集約型の場合> [・活用第三者の単独帰属に集約する(第 14 条第 1 項)] / <実施権集約型の場合> [・発明者主義に基づき発明者が所属する本当事者に帰属させつつ (第 14 条第 1 項)、再実施許諾権付き独占的実施権を活用第三者に許 諾する(第 14 条第 2 項)] | |
15.成果に関する権限(実施権、選択xx) | 活 用 第三者 | ・本共同研究の目的での無償かつ非独占的実施を行う権利 (第 15 条第 1 項) ・本共同研究以外の目的での独占的実施を行う権利(第 15 条第 2 項) ・本共同研究以外の目的での第三者に対する非独占的実施許諾(第 16 条第 1 項) |
本 当 事者 | ・本共同研究の目的での無償かつ非独占的実施を行う権利 (第 15 条第第 1 項) ・本共同研究以外の目的での非独占的実施許諾を受ける権利(第 15 条第 3 項) ・本共同研究以外の目的での第三者に対する実施許諾の対 価の分配を受ける権利(第 16 条第 3 項) |
イ. モデル2
(以下、余白)
第 1 条(定義)
本契約において、以下の各号に掲げる用語の意味は、当該各号に定めるところによる。
(1)「研究機関当事者」とは、[ ]及び[ ]を総称していう。
(2)「企業当事者」とは、[ ]及び[ ]を総称していう。
(3)「本研究成果」とは、本共同研究に基づき得られたもので、本共同研究の目的に関係する発明、考案、意匠、著作物、xxxx等の技術的成果をいう。
(4)「知的財産権」とは、以下に掲げるものをいう。
イ 特許法(昭和 34 年法律第 121 号)に規定する特許権、実用新案法(昭和 34 年法律第 123
号)に規定する実用新案権、意匠法(昭和 34 年法律第 125 号)に規定する意匠権、商標法(昭
和 34 年法律第 127 号)に規定する商標権、半導体集積回路の回路配置に関する法律(昭和
60 年法律第 43 号)に規定する回路配置利用権、種苗法(平成 10 年法律第 83 号)に規定する育成者権及び外国における上記各権利に相当する権利
ロ 特許法に規定する特許を受ける権利、実用新案法に規定する実用新案登録を受ける権利、意匠法に規定する意匠登録を受ける権利、商標法に規定する商標登録出願により生じた権利、回路配置利用権の設定の登録を受ける権利、品種登録を受ける権利及び外国における上記各権利に相当する権利
ハ 著作xx(昭和 45 年法律第 48 号)に規定するプログラムの著作物及びデータベースの著作物(以下「プログラム等」という。)に係る著作権並びに外国における上記権利に相当する権利
ニ 秘匿することが可能な技術情報であって、かつ、財産的価値のあるものの中から、第
21 条の規定に基づき特定するもの(以下「ノウハウ」という。)
(5)「発明等」とは、特許権の対象となるものについては発明、実用新案権の対象となるものについては考案、意匠権及び回路配置利用権の対象となるものについては創作、商標権の対象となるものについては商標並びに育成者権の対象となるものについては育成をいう。
(6)「出願等」とは、特許権、実用新案権、商標権及び意匠権については出願、回路配置利用権については設定登録の申請、育成者権については品種登録の出願、並びに外国における上記各権利に相当する権利の申請、登録及び出願(仮出願を含む。)をいう。
(7)「出願等費用」とは、知的財産xxの出願等に要する費用であって、特許庁、裁判所等の機関又はいずれの本当事者にも所属しない弁理士等の外部専門家に対し支払われるものをいう。
(8)知的財産権の「実施」とは、特許法第 2 条第 3 項に定める行為、実用新案法第 2 条第 3
項に定める行為、意匠法第 2 条第 3 項に定める行為、商標法第 2 条第 3 項に定める行為、半
導体集積回路の回路配置に関する法律第 2 条第 3 項に定める行為、種苗法第 2 条第 5 項に定める行為、著作物のあらゆる利用行為並びにノウハウの使用をいう。
[(9)「本データ」とは、個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号)2 条所定の
「個人情報」以外の情報についての電磁的記録(電子的方式、電気的方式その他人の近くによっては認識できない方式で作成される記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)をいう。
(10)「各当事者提供データ」とは、本契約締結前から各当事者が利用権限を有し、本共同研究の目的で提供する本データであって、各当事者について別紙[1]に示される。
(11)「本成果データ」とは、本研究の遂行の過程で、又は、これに関して、創出され、取得又は収集される本データであって、別紙[2]に示される。
(12)「利用権限」とは、データを利用、管理、開示、譲渡(利用許諾を含む。)又は処分することのほか、データに係る一切の権限をいう。]
<解説:第 1 条(定義)>
本条は、本契約において使用される用語の定義をあらかじめまとめて規定したものです。
第 9 号から第 12 号までは、コンソーシアムにおける共同研究のために各契約当事者から提供され又は共同研究を通じて創出されるデータの取り扱いを特に取り決める場合のみ設ける必要があり、そのような取り決めを行わない場合には、削除されるべきものです。第 9 号から
第 12 号までの規定を置く場合には、別紙[1]及び[2]において、各データの範囲を画する必要があります(なお、さくらツールでは、「各当事者提供データ」及び「本成果データ」の特定並びにそれらの利用方法について定めるための別紙例もモデル契約とは別途作成していますので、必要に応じてご利用ください。)。なお、データについての契約上の取り扱いについては、経済産業省 IoT 推進コンソーシアム「データの利用権限に関する契約ガイドライン」
(ver1.0 平成 29 年 5 月)も必要に応じてご参照ください。
第 2 条(研究題目等)
本当事者は、契約項目表 1.ないし 3.記載の共同研究を実施するものとする。
<解説:第 2 条(研究題目等)>
本条は、コンソーシアムにおいて実施する共同研究の内容を特定するためのものです。
第 3 条(研究期間)
本共同研究の研究期間は、契約項目表 8.記載の期間とする。
<解説:第 3 条(研究期間)>
本条は、共同研究の研究機関を特定するためのものです。
第 4 条(運営方法)
1 本当事者は、本共同研究における研究開発全体の管理とマネジメントを行うために、契約項目表 4.に掲げる主幹事当事者(以下「主幹事当事者」という。)と、契約項目表 5.に掲げるプロジェクトマネージャーを委員長とする研究推進委員会(以下「本研究推進委員会」という。)を設置する。
2 本研究推進委員会の運営その他必要な事項は、別途定めるところによるものとし、本研究推進委員会の委員長による承認を得て、行われるものとする。
3 本当事者は、別途協議の上合意する方法により、本共同研究に伴い得られた発明等(以下
「本発明等」という。)を管理及び活用するための契約項目表 11.に掲げる活用第三者(以下「活用第三者」という。)を設立するとともに、本契約に従った本発明等の実施及び実施許諾がなされるよう運営するものとする。
<解説:第 4 条(運営方法)>
本条は、コンソーシアムにおいて共同研究には多数の当事者が参加することとなるところ、当事者間の意見調整を行い研究開発全体の管理とマネジメントを実施するために主幹事当事者や研究推進委員会を設置することを定めたものです。本モデル契約においては、知的財産の取り扱いも含め研究推進委員会の承認を得ることと求めている事項が定められており、研究推進委員会はコンソーシアムにおいて重要な機関となります。
第 2 項において別途定めることとなっている「研究推進委員会の運営その他必要な事項」と
は、研究推進委員会の構成(各契約当事者 1 名ずつ委員を出すか・一部の契約当事者のみ委員を出すか)、開催頻度(1 ヶ月に 1 回・2 ヶ月に 1 回)、臨時開催の方法、開催場所、決議要件(委員全体の又は委員会出席者の過半数の賛成・3 分の 2 以上の賛成・全会一致、議題毎
に要件を分けるか否か)、決議方法(会合のみか・書面や電子メールでも投票を認めるか)などが考えられます。
第 3 項は、本モデル 2 の特徴である、共同研究成果を管理・活用する第三者の設立に関する条項です。共同研究開始前に設立する活用第三者の詳細について合意を要するものとしますと、共同研究の開始が遅れていってしまうため、本モデル契約においては活用第三者を設立する旨の規定にとどめておりますが、活用第三者のガバナンスや設立時期等について予めより詳細に規定することができる場合には、それを妨げるものではございません。
第 5 条(研究担当者)
1 各本当事者は、それぞれ、契約項目表 6.に掲げる者を本共同研究の研究担当者として本共同研究に参加させるものとする。
2 研究機関当事者は、企業当事者が希望する場合、企業当事者の研究担当者のうち研究機関当事者の研究実施場所において本共同研究に従事する者を共同研究員として受け入れるものとする。
3 本当事者は、本研究推進委員会の承認を得た上で、第 1 項に定める研究担当者の変更、追加又は削減を行うことができるものとする。
<解説:第 5 条(研究担当者)>
x条は、共同研究の研究担当者について規定したものです。第 1 項は、契約の相手方から開示される技術情報等は研究担当者のみに開示することができますので、あらかじめ特定しておく必要があるため、本共同研究の研究担当者を特定したものです。第 2 項は、企業の希望に応じて大学が企業側の研究担当者を、大学の施設に受け入れることを認めたものです。第 3 は、研究推進委員会の承認を得た上で、当初、指定した共同研究者の追加や変更を認めたものです。
第 6 条(研究経費の負担及び支払)
1 各本当事者は、各本当事者について契約項目表 9.記載の研究経費を、それぞれ負担するものとする。
2 企業当事者は、主幹事当事者が発行する請求書に定める支払期限までに研究経費を支払うものとする。但し、本当事者が合意した金額の研究経費を、企業当事者から他の研究機関当事者に直接支払い又は主幹事当事者から他の研究機関当事者に分配することができ、当該研究経費の支払い及び分配は、当該他の研究機関当事者が発行する請求書に定める支払期限までに行われるものとする。
3 企業当事者(及び前項に基づき研究経費の一部を他の研究機関当事者に分配することとした場合の主管当事者)は所定の支払期限までに研究経費を支払わないときは、支払期日の翌日から支払った日までの日数に応じ、その未払額に年 5%の割合で計算した延滞金を付加して支払わなければならない。
<解説:第 6 条(研究経費の負担及び支払)>
本条は、研究経費の分担及び支払方法について規定したもので、第 1 項では、各契約当事者が負担する研究経費の金額を定めています。なお、研究経費を、その性質等に応じて区別し、例えば、「研究費」と「研究料」を規定する場合もあります。その場合、それぞれの内容について誤解がないよう、契約当事者間で合意し、可能であれば、定義規定を置くことが望ましいです。
定義例)「研究費」とは、甲の施設・設備の維持・管理に必要な経常経費等を除く、謝金、旅
費、設備費、研究支援者等の人件費、消耗品費及び光熱水料等の本共同研究遂行に直接的に
必要となる経費に相当する額、並びに甲が設ける規程により定められた本共同研究遂行に付随して間接的に必要となる経費に相当する額を合算した額に消費税及び地方消費税を加算したものをいい、「研究料」とは、共同研究員を受け入れる費用で、甲が設ける規程により定められた額に、消費税及び地方消費税を加算したものをいう
第 2 項は、次条でコンソーシアムの経理を担当する主幹事当事者が発行する請求書に基づき、主幹事当事者に研究経費を支払う旨を定めています。なお、本項の但書では、企業当事者が負担する研究経費を、主幹事当事者以外の研究機関当事者が受領する場合を想定し、主幹事当事者経由又は企業当事者から直接に、当該研究機関当事者が研究経費の一部を受領することができる旨を定めています。
第 3 項は、契約当事者が請求書指定の支払期限までに支払を行わない場合には、当該契約当事者は元本額の年率 5%の延滞金を加算した額を支払わなければならない旨を定めています。
なお、プロジェクトに対して公的機関通じて公費が支給される案件など、主幹事当事者が第三者から研究費を受領し、当該研究費を契約当事者に分配する形のコンソーシアムについては、第 8 条の解説に続いて記載した代替文案をご参照ください。
第 7 条(経理)
1 前条の研究経費の経理は主幹事当事者が行う。
2 主幹事当事者以外の本当事者は本契約に関する経理書類の閲覧を主幹事当事者に申し出ることができる。主幹事当事者はその他の本当事者からの閲覧の申し出があった場合は、これに応じるものとする。ただし、当該経理書類の閲覧又は謄写により第三者の情報を開示することになるときは、主幹事当事者は、当該閲覧の申し出を行った本当事者に対しその理由を示した上で、該当部分の閲覧及び謄写を拒むことができる。
3 前条第 2 項に基づき研究経費の一部を他の研究機関当事者に支払い又は分配することとした場合、当該他の研究機関当事者は、当該支払い又は分配を受けた研究経費に係る経理書類を備えるとともに、他の本当事者からの当該経理書類の閲覧の申し出に対し、前項に準じて対応するものとする。
<解説:第 7 条(経理)>
本条は、研究費の経理について規定したものです。第 1 項は、研究経費の経理を主幹事当事
者が担当することとしています。第 2 項は、他の契約当事者から主幹事当事者大学に対し、経理書類の閲覧申出があった場合に原則としてこれに応じることとし、例外的に開示によって第三者の情報を開示することとなる場合には、当該申出をした契約当事者に対して理由を示し、当該部分の開示を拒否することができます。
第 3 条は、第 6 条第 2 項但書に基づき、研究経費の一部を主幹事当事者以外の研究機関当事者に分配した場合に、当該研究機関当事者についても、主幹事当事者と同様に経理書類の閲覧の申出に対して対応しなければならない旨を定めています。
なお、プロジェクトに対して公的機関を通じて公費が支給される案件など、主幹事当事者が第三者から研究費を受領し、当該研究費を当事者に分配する形のコンソーシアムについては、第 8 条の解説に続いて記載した代替文案をご参照ください。
第 8 条(研究経費により取得した設備等)
契約項目表 9.記載の研究経費により取得した設備等は、主幹事当事者に帰属するものとする。但し、第 6 条第 2 項に基づき研究経費の一部の支払い又は分配を受けた研究機関当事者が、当該研究経費により取得した設備等は、当該研究機関当事者に帰属するものとする。
<解説:第 8 条(研究経費により取得した設備等)>
本条は、研究経費によって購入した設備は主幹事当事者に帰属することを定め、また、但書において、第 6 条第 2 項但書に基づき研究経費の一部を主幹事当事者以外の研究機関当事者に分配した場合に、当該研究経費によって購入した設備についても当該研究機関当事者に帰属する旨を定めています。
なお、プロジェクトに対して公的機関を通じて公費が支給される案件など、主幹事当事者が第三者から研究費を受領し、当該研究費を契約当事者に分配する形のコンソーシアムについては、本解説に続いて記載した代替文案をご参照ください。
<解説:第 6 条~第 8 条(国プロ等の場合)>
モデル契約書において示している研究経費に関する第 6 条~第 8 条の条項は、ロジェクトに対して公的機関を通じて公費が支給される案件など、主幹事当事者が第三者から研究費を受領し、当該研究費を契約当事者に分配する形のコンソーシアムを想定していません。そのようなプロジェクトの場合には、第 6 条~第 8 条を以下のような規定文案に置換し本モデル契約書を語活用ください。なお、そのような案件においては、公費支出機関がプロジェクト採択条件の中で詳細な経理に関する規定を設けていることが多いため、以下の規定文案においては当該公費支出機関の規定に従うことを想定しており、「●●」には公費支出機関の名称を記載してください。
第 6 条(研究費の負担及び支払い)
主幹事当事者は、本共同研究実施にあたり、●●から拠出を受けた研究経費を他の本当事者に分配するものとし、当該研究経費の分配の方法は、●●により定められ又は本当事者が別途合意した方法によるものとする。
第 7 条(経理)
前条の研究経費の経理は、主幹事当事者が行うものとし、経理書類の備え置き及び閲覧並びに経理に係る報告の方法は、●●により定められ又は本当事者が別途合意した方法によるものとする。
第 8 条(研究経費により取得した設備等)
第 6 条の研究費により取得した設備等の帰属は、●●により定められ又は本当事者が別途合意した条件によるものとする。
第 9 条(施設及び設備の提供等)
1 本当事者は、契約項目表 10.に掲げる自己の施設・設備を本共同研究の用に供するものとする。
2 研究機関当事者は、本共同研究の用に供するため、企業当事者から契約項目表 10.に掲げる企業当事者の所有に係る設備を企業当事者の同意を得て無償で受け入れ、共同で使用するものとする。この場合、当該研究機関当事者及び当該企業当事者の合意により当該設備の所有権を無償で当該研究機関当事者に移転できるものとする。なお、当該研究機関当事者は、当該企業当事者から受け入れた設備について、その据付完了の時から返還に係る作業が開始される時まで善良なる管理者の注意義務をもってその保管にあたらなければならない。
3 前項に規定する設備の搬入、据付け、撤去及び搬出に要する経費は、関係する企業当事者の負担とする。
<解説:第 9 条(施設及び設備の提供等)>
本条は、契約当事者による施設や設備等の提供について定めたものです。第 1 項は、予め特定した施設・設備を共同研究に使用できる状態にすることを定めています。
第 2 項は、研究機関当事者と企業当事者が合意した設備を研究機関当事者に搬入して共同で使用することを定めたものです。また、当該設備の所有権を契約当事者間の合意により、研究機関当事者に移すこともできるものとしています。なお、研究機関当事者は、搬入を受けた設備を、善良な管理者の注意義務をもって保管しなければなりません。
第 3 項は、企業当事者の設備の搬入や据付に関する費用は企業当事者が負担とすると定めたものです。
第 10 条(研究の中止又は期間の延長)
1 本当事者は、天災その他やむを得ない事由があるときは、本研究推進委員会において協議した上で、本共同研究を中止し、又は本研究推進委員会において承認された場合には本共同研究の研究期間を延長することができる。この場合において、本当事者は、他の本当事者に対し、中止又は期間延長の責めを負わないものとする。
2 本当事者は、本共同研究の研究期間の延長により、第 5 条の規定により企業当事者から主幹事当事者又は他の研究機関当事者に対し支払われた本研究経費に不足が生じ、又は不足が生じるおそれがあるときは、本共同研究の継続の可否について本研究推進委員会において協議するものとする。この場合において、企業当事者が、当該不足額の追加負担をしないときは、主幹事当事者は、本研究推進委員会における協議の結果を踏まえ、本共同研究を中止することができる。
<解説:第 10 条(研究の中止又は期間の延長)>
本条は、災害などやむを得ない事由による共同研究の中止や期間の延長を行なう場合について規定しています。第 1 項では、災害等の事由により共同研究の続行が困難となった場合には、研究推進委員会で協議した上で、共同研究を中止するか、共同研究期間を延長することと定めており、この場合には、他の契約当事者に対し中止や期間延長によって生じた損害や費用を負担しないものとしています。
第 2 項は、第 1 項の研究期間を延長することによって研究経費が不足した場合には、研究推進委員会において本共同研究の継続について改めて協議し、企業当事者が、追加費用に負担をしない場合には、主幹事当事者が研究推進委員会での協議を踏まえて本共同研究を中止することができる旨を定めています。
第 11 条(研究の終了)
本共同研究は、以下のいずれかの事由が生じた時点において、終了するものとする。
(1)契約項目表 8.記載の研究期間が満了した場合
(2)研究期間満了前に共同研究が完了した場合
(3)第 27 条により、本契約が解除された場合
(4)本当事者が本共同研究の終了を合意した場合
<解説:第 11 条(研究の終了)>
xxは、本共同研究が終了する事由を列挙しています。共同研究期間が満了した場合(第 1
号)、研究期間満了前に本共同研究が完了した場合(第 2 号)、本契約が解除された場合(第
3 号)、当事者間で本共同研究を終了させることを合意した場合(第 4 号)を定めています。
第 12 条(研究の中止に伴う研究経費の取扱)
第 10 条(研究の中止又は期間の延長)の規定又は本契約の解除により、本共同研究を中止した場合において、第 6 条の規定により支払われた研究経費の額に不用が生じた場合は、企業当事者は主幹事当事者又は研究経費の支払い若しくは分配を受けた他の研究機関当事者に不用となった額の返還を請求できる。
<解説:第 12 条(研究の中止に伴う研究経費の取扱)>
本条は、本共同研究の中止により、不用となった研究経費を企業当事者が返金請求しうることを定めた規定です。さらに、予定通りに共同研究が終了した場合に残った研究経費の返金を請求する権利を企業に認める条項を定めることもできます。
第 13 条(研究の終了に伴う実績報告書の作成)
本参加者は、双方協力して、本共同研究の実施期間中に得られた本研究成果についての報告書を、本共同研究終了の翌日から[ ]日以内にとりまとめるものとする。
<解説:第 13 条(研究の終了に伴う実績報告書の作成)>
xxは、本共同研究終了後、一定期間内に、契約当事者が協力して、本研究成果についての報告書を作成することを定めたものです。
第 14 条(知的財産権の帰属・集約)
<「帰属集約型」のモデル条項>
[1 本発明等に関する知的財産権(以下「xx的財産権」という。)は、活用第三者に帰属するものとする。但し、活用第三者が設立される前に創出された本発明等に関するxx的財産権は当該本発明等の発明者が所属する本当事者にそれぞれ帰属するものとし、また、本発明等の共同発明者が二以上の本当事者にそれぞれ 1 人以上所属している発明等(以下
「共同発明等」という。)に関する知的財産権(以下「共有知的財産権」という。)は当該発明者等が所属する本当事者の共有とするが、各本当事者は、活用第三者が設立された後遅滞なく、自己に帰属するxx的財産権(共有地的財産権に係る自己の持分を含む。)を、次項に従い活用第三者に譲渡する。
2 本当事者は、それぞれの規則等により、本発明等を得た自己に所属する研究担当者等から、当該本発明等に関するxx的財産権の承継を受けるものとし、本当事者は当該自己が承継したxx的財産権を有償で活用第三者に譲渡することにより、活用第三者に帰属させるものとする。なお、研究担当者等からのxx的財産権の承継に関する当該研究担当者等への対価の支払いに関しては、当該研究担当者等が所属する本当事者が責任をもつものとする。
3 前項に基づく本当事者から活用第三者へのxx的財産権の譲渡の対価は、別途合意する。]
/
<「実施権集約型」のモデル条項>
[1 本発明等に関する知的財産権(以下「xx的財産権」という。)は、本発明等の発明者が所属する当事者にそれぞれ帰属するものとする。
2 本発明等の共同発明者が二以上の本当事者にそれぞれ 1 人以上所属している発明等(以下
「共同発明等」という。)に関する知的財産権(以下「共有知的財産権」という。)は当該発明者等が所属する本当事者の共有とする。共有知的財産権の持分については、共同発明等の発明者が所属する本当事者で協議するものとする。
3 本当事者は、それぞれの規則等により、本発明等を得た自己に所属する研究担当者等から、当該本発明等に関するxx的財産権の承継を受けるものとする。なお、研究担当者等からのxx的財産権の承継に関する当該研究担当者等への対価の支払いに関しては、当該研究
担当者等が所属する本当事者が責任をもつものとする。
4 各当事者は、活用第三者が設立された後、活用第三者に対し、自己に帰属するxx的財産権(他の本当事者と共有している共有知的財産権を含む。)について、本契約に定める条件により当該xx的財産権に係る本発明等を活用第三者が実施及び実施許諾するための独占的な権利を許諾する。本当事者は、本契約において別段の定めがない限り、当該本発明等を実施又は実施許諾することができない。なお、活用第三者に実施及び実施許諾するための権利が許諾された本発明等に係るxx的財産権について、第三者に権利行使を行う場合には、その方法について、活用第三者と当該xx的財産権を保有する本当事者とが別途協議の上決定するものとする。
5 前項に基づく本当事者から活用第三者へのxx的財産権に係る本発明等に関する独占的な権利の許諾の対価は、別途合意する方法による。]
<解説:第 14 条(知的財産権の帰属・集約)>
本条は、本共同研究成果に係る知的財産権が誰に帰属するのか及び活用第三者に集約する方法を定めるものであり、それらに関して 2 つの考え方を示すものです。いずれの考え方を採用するかは、個別のプロジェクトにおいて検討・選択することとなります。
1 つ目の考え方は「帰属集約型」であり、知的財産権は、全て活用第三者に帰属させてしまうものであり、各契約当事者は、自己に所属する研究担当者が発明等を成した場合には、当該研究担当者から当該発明等に係る知的財産権を自己の責任において承継を受けた上で、活用第三者に譲渡します。
2 つ目の考え方は「実施権集約型」であり、知的財産権は、当該知的財産権に係る発明等の発明者が所属ずる契約当事者に帰属させたままとした上で、契約当事者は、自己に帰属する知的財産権について活用第三者に対して再実施許諾権付きで独占的実施許諾を行うことで集約し、自身は当該独占的実施許諾を行った知的財産権について本契約に定める方法以外の方法で実施も実施許諾もできないこととするものです。なお、各契約当事者は、自己に所属する研究担当者から発明等の承継を受けることについては自ら責任を負います。
上記のいずれの考え方を採用した場合であっても、活用第三者に知的財産権を集約するために知的財産権を譲渡し又は独占的実施許諾を行うにあたって、活用第三者から対価を受領しなければなりません。ここでの対価の支払い方法としては、定額制、出来高制及びそれらの併用が考えられます(詳しくはさくらツール「総論」ウ B「実施料等の支払方法」をご参照ください。)。しかし、設立間もない活用第三者に当該対価を支払うための資金の準備がなく、譲渡又は独占的実施許諾を受ける時点で当該対価を支払うことができないことが容易に想像されます。そこで、当該対価の支払い方法について、上記のような方法ではなく、「活用第三者から他の契約当事者に対する対価の支払いは、活用第三者から契約当事者に対して、第 15
条第 2 項に基づく実施許諾を受ける権利の付与及び第 16 条第 3 項に基づく実施料の分配を受ける権利の付与で代えるものとする」と取り決めることも考えられます。
第 15 条(コンソーシアム内での本発明等に係る実施・実施許諾)
1 活用第三者設立後の活用第三者を通じた本当事者による本発明等の実施の方法については本条第 2 項以下に定めるものとし、活用第三者設立前は、本当事者は、次の各号の定めに従って、本発明等を実施及び実施許諾するものとする。
(1) 本当事者は、本共同研究の実施期間中、本発明等を本共同研究を遂行する目的で非独占的に実施することができるものとし、各本当事者は、他の本当事者に対して自己に帰属するxx的財産権(自己が持分を有する共有知的財産権を含む。)に係る本発明等について当該実施権を無償で許諾する。
(2) 本当事者は、自己に帰属するxx的財産権(自己が持分を有する共有知的財産権を含
む。)に係る本発明等について、本発明等を本共同研究の遂行以外の目的で自ら実施
[(自己の関係会社等に実施許諾することを含む。)]することができる。
(3) 本当事者は、他の本当事者[及び企業当事者が指定し本研究推進委員会が承認する当該企業当事者の関係会社等]に対して、自己に帰属するxx的財産権(自己が持分を有する共有知的財産権を含む。)に係る本発明等を本共同研究の遂行以外の目的で実施する非独占的な権利を無償で許諾する。
2 活用第三者設立後、本当事者は、本共同研究の実施期間中、本発明等を本共同研究を遂行する目的で非独占的に実施することができるものとし、また、本当事者は、活用第三者をして、本当事者に対して当該実施権を無償で許諾させるものとする。
3 活用第三者設立後、本当事者は、活用第三者をして、企業当事者[及び当該企業当事者が指定し本研究推進委員会が承認する当該企業当事者の関係会社等]に対して、本発明等を本共同研究の遂行以外の目的で実施する非独占的な権利を[無償/有償]で許諾させる。
4 企業当事者は、本発明等について、[本研究推進委員会の承認を得た上で、]本共同研究の遂行以外の目的の有償かつ独占的な実施権の許諾を受けることについて、活用第三者との間で優先的に交渉する権利を有する。
5 [前項]/[前二項]に基づく活用第三者から企業当事者に対する本発明等の実施許諾に関して、企業当事者が活用第三者に支払う実施料その他の許諾条件は、活用第三者と当該企業当事者が協議の上定める。
[6 活用第三者設立後、本当事者は、活用第三者をして、前条に基づく本当事者からのxx的財産xxの[譲渡/独占的実施権の許諾]の対価を支払うことを条件に、本発明等を本共同研究の遂行以外の目的で自ら実施させることができる。]
<解説:第 15 条(コンソーシアム内での本発明等に係る実施・実施許諾)>
本条は、活用第三者及び契約当事者が、共同研究成果である本発明等を実施・実施許諾する条件を定めています。第 1 項で活用第三者が設立される前の時点における契約当事者による
本発明等の実施及び実施許諾の条件を、第 2 項で活用第三者が設立された後の実施及び実施許諾の条件を定めています。
まず、第 1 項は、活用第三者が設立される前の条件を定めるものであり、本契約を締結すると研究が開始されて共同研究成果が創出され始めますが、活用第三者の設立には時間が掛かる可能性があるため、そのタイムラグを埋めるための条項です。本項で定められている活用第三者設立前の各契約当事者の本発明等の実施及び実施許諾の条件は、基本的にはモデル契約モデル 5(各当事者共有モデル)における契約当事者の本発明等の実施及び実施許諾の条件と同一であり、各契約当事者は、本成果等について、コンソーシアム目的にも事業化目的にも非独占的に無償で実施することが可能です。ただし、モデル 5 との違いは、モデル 5 に
は独占的実施許諾を受けるための優先交渉権が定められていますが、本モデル契約モデル 2の場合には、その後活用第三者に集約していくことが予定されているため、この段階での独占的実施許諾を受けることは認めていません。
次に、活用第三者が設立された後である第 2 項以下について、第 2 項は、全ての契約当事者が、本共同研究を実施する目的であれば、本発明等を無償で実施する権利を有し、本発明等の集約先である活用第三者は、契約当事者に対してかかる権利を許諾しなければならないことを定めています。
第 3 項は、企業当事者が、本共同研究以外の目的、即ち事業化目的で、本発明等を非独占的に実施する権利を有し、活用第三者は、企業当事者に対して当該権利を許諾することを定めています(活用第三者は本契約の当事者ではないため、形式上、本契約の契約当事者が活用第三者に当該権利の許諾をさせる義務を負う規定振りとなっています。)。活用第三者から企業当事者への実施許諾を無償とするか有償とするかは、個別のプロジェクトにおいて検討・
選択します。なお、企業当事者だけでなく、研究推進委員会の承認のもとで、企業当事者の関係会社に対しても実施許諾をする旨の定めを置くことを選択することもできます。
第 4 項は、企業当事者が、本発明等について第 3 項に基づく非独占的な実施権だけでなく、独占的な実施権を欲する場合に、当該独占的な実施権を得ることについて活用第三者との間で優先的に交渉する権利を有することを定めています。活用第三者から当該企業当事者に対する本項に基づく独占的な実施権の許諾は、有償となります。なお、この独占的実施権を与えるか否かは、活用第三者と企業当事者との相対で交渉して決すべきことになりますが、他の企業当事者も実施を希望する可能性もあるため、特定の企業当事者に独占的実施権を与えることについて研究推進委員会の承認を要する旨を定めることもできます。
第 5 項は、活用第三者から企業当事者に対する本発明等についての有償での実施許諾に係る対価について、活用第三者と当該企業当事者との間で協議の上で決定すべきことを定めています。当該対価の考え方として定額制、出来高制及びそれらの併用が考えられます(詳しくはさくらツール「総論」ウ B「実施料等の支払方法」をご参照ください。)。なお、本項の冒頭は、第 3 項において企業当事者に対する非独占的実施権の許諾を無償とするのであれば「前
項」と、第 3 項に基づく実施許諾を有償とするのであれば「前二項」とすべきことになります。
第 6 項は選択的な規定であり、活用第三者が大学発ベンチャー企業であり、自ら本発明等を実施する場合を念頭においています。この場合、活用第三者は、本発明等の実施について、知的財産権を活用第三者に集約するにあたって支払うべき対価の他に追加の対価の支払いを要することなく、本発明等を実施することができます。なお、このような活用第三者において自己実施する予定がないのであれば、第 6 項は削除することとなります。
なお、本条第 1 項は、活用第三者が設立される前の共同研究成果の実施条件として、モデル
5 と同等の実施条件と同等のものとしておりますが、モデル 1(非営利機関中心的活用モデル)やモデル 3(単一企業中心的活用モデル)と同等の実施条件としたい場合には、モデル 1 及びモデル 3 のモデル契約書を修正することで対応してください。修正の方法は、まず、①契約項目表.11-2 の欄を新たに作成いただき、本モデル契約の契約項目表.11 と同内容の「活用第三者」の記載を行った上で、②第 4 条第 3 項に「本当事者は、別途協議の上合意する方法により、本共同研究に伴い得られた発明等を管理及び活用するための契約項目表 11-2.に掲げる活用第三者(以下「活用第三者」という。)を設立するとともに、本契約に従った本発明等の実施及び実施許諾がなされるよう運営するものとする。」との条項を追記するとともに、③第 14 条の研究成果の集約方法として下記(1)(2)のどちらを選択するかに応じて、以下の定めを追加してください(なお、「活用機関(活用企業)」と記載している箇所は、モデル 1 を修正する場合には「活用機関」、モデル 3 を修正する場合には「活用企業」としてください。)。
(1)知的財産を全て活用第三者(活用企業)に帰属させる方法で集約した場合
第 14 条第 5 項として、「活用第三者設立後、活用機関(活用企業)は、活用第三者に
対し、自己に帰属するxx的財産権を全て譲渡するとともに、第 15 条及び第 16 条に基づき他の本当事者又は第三者に対して付与した実施権の許諾者としての地位を承継するものとする(当該xx的財産権の譲渡の対価は、別途合意する方法による。)。当該地位の承継等を行って以降、第 14 条乃至第 19 条の規定は、当該規定における「活用機関(活用企業)」を「活用第三者」と読み替えて適用するものとし、活用機関(活用企業)は、当該規定に基づき他の本当事者と同等の権利義務を有するものとする。」という規定を追加してください。
(2)知的財産権を当該知的財産権に係る発明等の発明者が所属する契約当事者に帰属させたままとした上で活用機関(活用企業)以外の契約当事者が自己に帰属する知的財産権
について再実施許諾権付きで独占的実施許諾を行う方法により集約した場合
第 14 条第 6 項として、「活用第三者設立後、活用機関(活用企業)は、第 14 条第 4 項
に基づく独占的権利の被許諾者としての地位並びに第 14 条及び第 16 条に基づき他の当事者又は第三者に対して付与した実施権の許諾者としての地位を承継するとともに、自己に帰属するxx的財産権(他の本当事者と共有している知的財産権を含む。)について、活用第三者に対し、本契約に定める条件により当該xx的財産権に係る本発明等を活用第三者が実施及び実施許諾するための独占的な権利を許諾するものとする(当該独占的な権利の許諾の対価は、別途合意する方法による。)。以降、活用機関
(活用企業)は、当該本発明等について、本契約に別段の定めがない限り実施又は実施許諾することができない。さらに、当該地位の承継等を行って以降、第 14 条乃至第
19 条の規定は、当該規定における「活用機関(活用企業)」を「活用第三者」と読み替えて適用するものとし、活用機関(活用企業)は、当該規定に基づき他の本当事者と同等の権利義務を有するものとする。」という規定を追加してください。
第 16 条(コンソーシアム外への本発明等に係る実施許諾)
[1 活用第三者設立後の活用第三者から本参加者以外の者に対する実施許諾の方法は本条第 2 項以下に定めるものとし、活用第三者設立前は、本当事者は、本当事者以外の第三者
(活用第三者を除く。)に対し、次の各号の定めに従って、本発明等の実施許諾を行うものとする。なお、本当事者は、活用第三者設立前に第三者と契約を締結した実施許諾契約に基づく自己の地位を、活用第三者が設立された後速やかに、活用第三者に対して承継させるものとする。
(1) 本当事者は、本当事者以外の第三者に対し、自己に帰属するxx的財産権(自己が持分を有する共有知的財産権を除く。)に係る本発明等を実施する非独占的な権利を有償で許諾することができる。但し、当該第三者は、本研究推進委員会の承認を得た者でなければならない。
(2) 本当事者は、本当事者以外の第三者に対し、本研究推進委員会の承認を得た上で、自己が持分を有する共有知的財産権に係る本発明等を実施する非独占的な権利を有償で許諾することができる。
(3) 本当事者は、前号に基づく本発明等の実施許諾の対価として第三者から実施料の支払いを受けた場合、当該実施許諾の対象となった本発明等についての共有知的財産権を共有の相手方である他の本当事者に対して当該実施料を分配しなければならない。当該実施料の分配の条件は、本当事者が別途協議の上決定するものとする。]
2 活用第三者設立後、活用第三者は、本当事者以外の第三者に対し、本発明等を実施する非独占的な権利を有償で許諾することができる。
3 前項に基づく活用第三者から第三者に対する本発明等の実施許諾の条件は、前条に基づく活用第三者から他の本当事者に対する本発明等の実施許諾の条件より有利な条件としてはならない。
4 活用第三者設立後、活用第三者は、本条第 2 項に基づく本発明等の実施許諾の対価として第三者から実施料の支払いを受けた場合、他の本当事者に対して当該実施料を分配しなければならない。当該実施料の分配の条件は、本当事者が別途協議の上決定するものとする。
<解説:第 16 条(コンソーシアム外への本発明等に係る実施許諾)>
本条は、活用第三者から、契約当事者以外の第三者に対する共同研究成果である本発明等を実施許諾する条件を定めています。第 1 項で活用第三者が設立される前の時点における第三
者への実施許諾の条件を、第 2 項で活用第三者が設立された後の第三者への実施許諾の条件を定めています。
まず、第 1 項は、活用第三者が設立される前の条件を定めるものであり、第 15 条第 1 項と同様、本共同研究成果が創出と活用第三者の設立のタイムラグを埋めるための条項です。活用第三者設立前、の各契約当事者は、自己に帰属する本発明等について、研究推進委員会の承認を得た上で、実施許諾を行うことが、対価を他の契約当事者に分配しなければいけません。対価を他の契約当事者に分配するのは、活用第三者設立後に活用第三者から第三者に実施許諾した場合に対価を契約当事者に分配することと平仄を合わせるためであり、また、第三者へ本発明等を実施許諾した当事者は、活用第三者設立後に当該実施許諾に関する自己の地位を活用第三者に承継させなければいけません。このように、活用第三者設立前の第三者への実施許諾は、やや複雑な法律関係をもたらすため、個別のプロジェクトにおいて、活用第三者設立前の第三者への本発明等の実施許諾を認めず、本第 1 項を削除することも選択可能で
す(この場合、モデル契約書の第 2 項以下の項数がひとつずつ繰り上がることになります。)。
次に、活用第三者が設立された後である第 2 項以下について、第 2 項は、活用第三者が、特段の研究推進委員会や契約当事者の同意を得ることなく、契約当事者以外の第三者に対して本発明等を非独占かつ有償で実施許諾することができる旨を定めています。
第 3 項は、第 2 項に基づく活用第三者から第三者に対する本発明等の実施許諾の条件が、契約当事者に対する活用第三者からの実施許諾の条件より有利なものにしてはならない旨を定めるものです。これは、本発明等の創出に寄与した契約当事者が、他の第三者より優遇されるべきとの配慮によります。
第 4 項は、活用第三者が第三者に本発明等を実施許諾したことに伴い、当該第三者から活用第三者が受領した実施許諾料を、本発明等の創出に寄与した契約当事者に分配すべきことを定めるものです。当該分配の方法の取り決め方としては、例えば以下のような取り決め方が考えられます。
規定例:活用第三者は、第三者から本発明等の実施許諾に係る実施料を受領した日の属する月の翌月末日までに、当該実施許諾の対象となった本発明等の発明者が所属する本当事者に対して、以下の金額を支払う。
①件数按分方式
「第三者から受領した実施料の金額」[×●%]×A/B
A=当該実施許諾の対象となった本発明等に係るxx的財産権のうち当該本当事者に所属する研究担当者等が発明者となっているものの件数
B=当該実施許諾の対象となった本発明等に係るxx的財産権の件数
②頭数按分方式
「第三者から受領した実施料の金額」[×●%]×1/C
C=当該実施許諾の対象となった本発明等の発明者が所属する本当事者の数
第 17 条(知的財産権の出願等)
<活用第三者が単独で行う場合のモデル条項>
[xx的財産権の出願は、活用第三者が単独で行う。但し、活用第三者設立前には、xx的財産権の出願は、当該xx的財産権に係る本発明等の発明者が所属する本当事者が単独で
(共有知的財産権にあっては、当該共有知的財産権を共有する本当事者が共同して)行う。]]
/
<発明者である研究担当者が帰属する契約当事者が行う場合のモデル条項>
[xx的財産権の出願は、当該xx的財産権に係る本発明等の発明者が所属する本当事者が単独で(共有知的財産権にあっては、当該共有知的財産権を共有する本当事者が共同して)
行う。]
<解説:第 17 条(知的財産権の出願等)>
本条は、共同研究成果である本発明等に係る知的財産権についての出願を行う当事者について定めるものです。活用第三者が単独で行う場合と発明者である研究担当者が帰属する契約当事者が行う場合の 2 つの選択肢を示していますが、第 14 条において活用第三者に譲渡により集約するのであれば前者を、活用第三者に独占的実施許諾をすることにより集約するのであれば後者を選択することが自然です。なお、前者の場合、活用第三者の設立前は後者と同様の条件で出願等を行うことになります。
第 18 条(外国における出願等)
xx的財産権の外国における出願については、前条に準じるものとする。
<解説:第 18 条(外国における出願等)>
本条は、外国における知的財産権の出願について、前条の規定と同様に、xx的財産権は企業が単独で出願すると規定しています。
第 19 条(出願等費用)
<活用第三者が全額負担する場合のモデル条項>
[前二条の出願に関する出願等費用は、活用第三者が負担する。但し、活用第三者設立前は、当該出願に係るxx的財産権に係る本発明等の発明者が所属する本当事者が(共有知的財産権にあっては、[当該共有知的財産権に係る本発明等の共同発明者が所属する本当事者が共有持分の割合に応じて共同で]/[当該共有知的財産権に係る本発明等の共同発明者が所属する本当事者のうち企業当事者が(当該企業当事者が複数ある場合には当該企業当事者が共有持分の割合に応じて共同で)])負担する。]
/
<本発明等の発明者たる研究担当者が所属する契約当事者が負担する場合のモデル条項>
[前二条の出願に関する出願等費用は、当該出願に係るxx的財産権に係る本発明等の発明者が所属する本当事者が(共有知的財産権にあっては、[当該共有知的財産権に係る本発明等の共同発明者が所属する本当事者が共有持分の割合に応じて共同で]/[当該共有知的財産権に係る本発明等の共同発明者が所属する本当事者のうち企業当事者が(当該企業当事者が複数ある場合には当該企業当事者が共有持分の割合に応じて共同で)])負担する。]
<解説:第 19 条(出願等費用)>
本条は、共同研究成果である本発明等についての知的財産権の出願・権利化・維持費用を負担する者を定めています。活用第三者が全額負担する場合と、本発明等の発明者たる研究担当者が所属する契約当事者が負担する場合とを選択肢として示していますが、第 14 条において活用第三者に譲渡により集約するのであれば前者を、活用第三者に独占的実施許諾をすることにより集約するのであれば後者を選択することが自然です。なお、前者の場合、活用第三者の設立前は後者と同様の条件で出願費用等を負担することになります。
知的財産権の出願費用等を発明者である研究担当者が所属する契約当事者が負担するものとする場合、共有の知的財産権について、出願費用等を共有持分の割合に応じて共同で負担すると定めることもできますし、企業当事者が共有当事者となる場合には企業当事者が全額を負担すると定めることもできます。
第 20 条(コンソーシアム外の第三者との共同研究)
本当事者は、第三者との間で本共同研究と同一又は関連するテーマについて学術的な研究をすることを何ら制約されない。但し、第 22 条に定めるxxxx秘匿義務等及び第 23 条に定める秘密保持義務を遵守するものとする。
<解説:第 20 条(コンソーシアム外の第三者との共同研究)>
本条は、契約当事者がコンソーシアムの研究テーマであっても第三者と学術的な研究を行うことは制約されないことを確認するものです。また、契約当事者は、コンソーシアムにおける研究内容について秘密保持義務等を負いますので、秘密情報を流用は許されないことも確認的に定めています。
第 21 条(バックグラウンド IP の取扱い)
1 各本当事者は、自己が本共同研究開始前から保有し又は本共同研究開始後に本共同研究とは無関係に保有するにいたった知的財産権(以下「バックグラウンド IP」という。)について、他の本当事者に対して、本共同研究の研究目的のために必要な範囲で、当該バックグラウンド IP に係る発明等を実施する無償且つ非独占的な権利を許諾する。但し、各本当事者は、本契約締結後[60]日以内に書面により特定することにより、当該実施許諾の対象から自己が保有するバックグラウンド IP の一部を除外することができる。
<「原則使用不可型」のモデル条項>
[2 本当事者が保有するバックグラウンド IP のうち本発明等の社会実装のために必要であると本当事者が書面により合意した場合、当該バックグラウンド IP の保有者は、活用第三者に対して、第 15 条及び第 16 条に基づく本発明等の実施又は実施許諾に付随して当該バックグラウンド IP を実施又は再実施許諾するための権利を、活用第三者との間で別途合意する条件により許諾する。]
/
<「原則使用可型」のモデル条項>
[2 [本当事者]/[研究機関当事者]が保有するバックグラウンド IP のうち本発明等を実施するために不可欠なものについて、当該バックグラウンド IP の保有者は、活用第三者に対して、第 15 条及び第 16 条に基づく本発明等の実施又は実施許諾に付随して当該バックグラウンド IP を実施又は再実施許諾するための非独占的な権利を[無償]/[有償]で許諾する。この場合、当該バックグランド IP の保有者は、第三者との合意その他の理由により、当該権利を許諾することができないことを認識した場合は速やかに、他の本当事者に対して通知するものとし、本研究推進委員会の承認を得た場合には、当該通知がなされたバックグラウンド IP については、上記の権利の許諾の対象外とする。[但し、各本当事者は、本契約締結後[60]日以内に書面により特定することにより、当該権利の許諾の対象から自己が保有するバックグラウンド IP の一部を除外することができる。]
<解説:第 21 条(バックグラウンド IP の取扱い)>
本条は、各契約当事者が本共同研究開始前から保有し又は本共同研究開始後に本共同研究とは無関係に保有するにいたった知的財産権、所謂バックグラウンド IP の取り扱いについて定めるものです。共同研究を進めるにあたり他の契約当事者が保有するバックグラウンド IP が研究に必要となる場合や、共同研究の成果が得られたとしても他の契約当事者のバックグラウンド IP が障害となり事業化ができない場合が生じうるため、バックグラウンド IP についての取決めが必要となります。
第 1 項は、本件のコンソーシアムの研究目的で他の契約当事者が保有するバックグラウンド IP を無償で使用することができることを定めています。但し、例えばコンソーシアムには大学の特定の研究室や企業の特定の事業部のみが参加し、他の研究室や事業部が管理する知的
財産をコンソーシアムにおける研究に持ち込むことができないことも想定されるため、その場合は、第 1 項但書により、契約締結後一定の日数が経過するまでに、当該知的財産(バックグランド IP)を書面により特定することにより、当該知的財産権をコンソーシアム内で用いることができないようにすることが可能です(なお、このような措置を講ずるか否か、即ち第 1 項但書の定めを設けるか否かは、個別のプロジェクトにおける検討・選択次第です。)。
第 2 項では、共同研究成果を事業化するにあたって各契約当事者が保有するバックグラウンド IP を使用することに関し、2 つの取決め方法を示しています。
①「原則使用不可型」:原則として、契約当事者が保有するバックグラウンド IP については使用できず、活用第三者と当該バックグラウンド IP を保有する契約当事者とが書面により合意した場合のみ使用する権利を許諾するという取り決め方。
②「原則使用可型」:原則として、活用第三者が、共同研究成果を事業化するために必要な範囲で契約当事者が保有するバックグラウンド IP について、無償又は有償で(無償か有償かは個別のプロジェクトにおける取決め次第となります。)使用することができるという取り決め方。ただ、バックグラウンド IP の一部を第三者に独占的にライセンスしていたなどの理由により、活用第三者にライセンスすることができない場合もあるため、その場合は他の契約当事者に通知し研究推進委員会で承認が得られれば、例外的にバックグラウンド IP の使用許諾の対象外とすることができます。なお、第 1 項について記載した契約締結後一定の日数が経過するまでに書面で特定することによりバックグラウンド IP の使用許諾の対象外とする措置も併用することができます。
なお、さくらツールでは、使用許諾の対象から除外するバックグラウンド IP を特定するための書式もモデル契約書書式とは別途作成していますので、必要に応じてご利用ください。
第 22 条(ノウハウ・プログラム・データ等)
1 本共同研究の結果、xxxxに該当するものが生じた場合は、相手方に速やかに通知し、書面にて特定するものとする。
2 特定されたノウハウは、特定の日から契約項目表 12.記載の期間まで、秘密として保持し、相手方の事前の書面による承諾なく、第三者に開示してはならない。
3 特定されたノウハウ及び本共同研究から生じたプログラム等の取り扱いについては、第 14 条から第 19 条に定める知的財産権の取り扱いに準じ、本当事者間で別途協議の上決定するものとする。
[4 当事者提供データについては当該データを提供した各本当事者がそれぞれ利用権限を有し、また、本成果データについては別紙に定めるとおりデータの利用権限を有するものとし、かかる利用権限の内容は、別紙においてデータ毎にそれぞれ定める。但し、別紙において特段の定めがないときは、各当事者は、他の当事者が提供した当事者提供データ及び本成果データについて本研究の目的で利用するための利用権限を有するものとする。なお、各本当事者は、自己が提供した当事者提供データ及び本成果データの有用性及び正確性について保証せず、何らの責任も負わない。]
<解説:第 22 条(ノウハウ・プログラム・データ等)>
本条は、共同研究から生じたノウハウ及びプログラムの取扱い並びにデータの利用方法について規定したものです。
ノウハウは、特許等と異なり、その範囲がxx的には明確でないため、第 1 項は、ノウハウが生じた場合に、速やかに相手方に通知し、範囲を特定することと定めています。
第 2 項は、前項で特定されたノウハウを秘密として取り扱い、契約相手方の事前の書面による承諾なくして、第三者に開示することを禁止しています。
第 3 項は、特定されたノウハウ及び本共同研究から生じるプログラムの帰属や利用について、
原則として、第 14 条以下の取り扱いに準じ、契約当事者間で別途協議の上、決定することとしています。本条についても、ノウハウ及びプログラムの内容及び性質に応じて、特定の契約当事者に使用させることとするなどの取り扱いをすることを妨げるものではなく、実態に応じた柔軟な取り扱いが想定されています。
第 4 項は、第 1 条第 10 号及び第 11 号で特定したデータの利用方法についての定めです。契約当事者が共同研究のために提供したデータについては、当該契約当事者が利用権を有し、共同研究の成果として創出されたデータについては、データ毎に取り扱い方法を定めることとしています(特段の定めがなければ、共同研究の目的に限り使用することができます。)。また、一般的に、データについては内容の正確性等について保証することが困難であるため、正確性等の不保証も定めています。なお、データの取り扱いを定める本項を設けるかどうかは、選択的なものと位置づけています。
第 23 条(秘密保持)
1 本当事者は、本共同研究の実施に当たり、他の本当事者より開示又は提供を受けた技術上及び営業上の一切の情報のうち、提供又は開示の際に当該他の本当事者(以下「開示当事者」という。)より秘密である旨の表示が明記され、又は口頭で開示されかつ開示に際し秘密である旨明示され開示後 30 日以内に書面で情報を開示若しくは提供を受ける者(以下
「被開示当事者」という。)に対して通知されたもの(以下「秘密情報」という。)について、第 4 条で指定する研究担当者以外に開示・漏洩してはならない。被開示当事者は、開示当事者より開示を受けた情報に関する秘密について、当該研究担当者がその所属を離れた後も含め保持する義務を、当該研究担当者に対し負わせるものとする。ただし、次のいずれかに該当する情報については、この限りではない。
(1)開示又は提供を受けた際、既に自己が保有していたことを証明できる情報
(2)開示又は提供を受けた際、既に公知となっている情報
(3)開示又は提供を受けた後、自己の責めによらずに公知となった情報
(4)正当な権限を有する第三者から適法に取得したことを証明できる内容
(5)相手方から開示又は提供された情報によることなく独自に開発・取得していたことを証明できる情報
(6)書面により事前に開示当事者の同意を得たもの
2 被開示当事者は、秘密情報を本共同研究以外の目的に使用してはならない。ただし、書面により事前に開示当事者の同意を得た場合はこの限りではない。
3 前二項の有効期間は、第 3 条の本共同研究開始の日から契約項目表 13.記載の期間までとする。ただし、本当事者間での協議の上、この期間を延長し、又は短縮することができるものとする。
<解説:第 23 条(秘密保持)>
x条は、本共同研究の実施にあたって他の契約当事者から開示又は提供を受けた技術上、営業上の情報のうち、書面等で特定したものを、原則として、研究担当者以外に開示せず、秘密として保持する旨を定めたものです。但書では、他の契約当事者から開示等を受けた情報であっても秘密保持義務を負わないものの例外を定めています。
第 2 項は、情報の重要性に鑑み、他の契約当事者から開示又は提供を受けた情報を、本共同研究以外の目的に使用してはならない旨を定めています。ただし、事前に相手方の書面による同意を得た場合には、本共同研究目的以外の目的で開示等された情報を使用することを認めています。
第 3 項は、秘密保持義務が長期にわたる場合には、双方の活動に過度の制約が生じることと
なりますのでの期間を限定しています。但し書きにおいて個別の事情に応じて、期間を延長したり、短縮したりすることを認めています。3 年から 5 年程度の期間で合意する場合が多いようですが、技術分野により異なり、化学xxxは比較的長めで合理的な範囲とされています。
第 24 条(本研究成果の公表)
1 本研究成果は原則として、公表する。ただし、公表に当たっては、第 22 条のノウハウ秘匿義務等及び第 23 条の秘密保持義務を遵守するものとする。
2 公表を希望する本当事者は、公表の[ ]日前までに、公表の目的・場所及び内容を、書面にて本研究推進委員会に通知する。
3 本研究推進委員会での協議の結果、公表により、当該公表を希望する本当事者以外の本当事者の利益が著しく害されるおそれがあると判断した場合、前項の通知を受領してから
[ ]日以内に当該公表を希望する本当事者に書面にてその旨を通知し、当該公表を希望する本当事者は、再度本研究推進委員会に諮った上で、公表範囲及び方法を決定するものとする。
4 本共同研究終了日の翌日から起算して[ ]年間を経過した後は、研究機関当事者は、第 22 条のノウハウ秘匿義務等及び第 23 条の秘密保持義務を遵守した上で、他の本当事者に対する通知を行うことなく、本研究成果の公表を行うことができるものとする。ただし、本当事者間での協議の上、この期間を延長し、又は短縮することができるものとする。
5 本当事者は、事前に本研究推進委員会の承諾を得たときは、本研究成果の発表又は公開若しくは公表を行う際に、当該本研究成果が本共同研究において得られたものである旨を表示することができる。
<解説:第 24 条(本研究成果の公表)>
本条は、コンソーシアムに参加する大学の社会的使命を踏まえて、研究成果を広く社会に公表することを原則としつつ、当事者の利益に配慮した規定を設けています。
第 1 項は、公表が原則であることを明示しつつ、但書において、特定されたノウハウ秘匿義務等や秘密保持義務を遵守することを定めて、相手方の利益に配慮しています。
第 2 項から第 4 項は、公表にあたっての具体的な手続を定めています。まず、第 2 項は、公表を希望する契約当事者が、公表の目的・内容を、事前に時間的余裕をもって書面で研究推進委員会に通知することを定めています。第 3 項は、研究推進委員会が第 2 項の通知の内容
に基づき、他の契約当事者の利益が著しく害されるおそれがあると判断した場合には、第 2項の通知を受領してから、一定期間内にその旨を公表を希望する契約当事者に書面で通知することとし、その上で再度研究推進委員会において協議を行って、公表範囲及び方法を決定することとしています。第 4 項は、大学を含む契約当事者の自由な研究活動及び自由な研究発表の観点から、共同研究を終了してから一定期間が経過している研究成果については、他の契約当事者に対する通知を行なうことなく、公表することを認めています。ただし、契約当事者間の協議に基づき、本項の期間を延長又は短縮することもができるため、研究成果の重要性や企業の利益が害される蓋然性など具体的な事情に応じて、柔軟に対応することが想定されています。
第 5 項は、研究成果の公表にあたって、研究推進委員会の承認を得た場合には、共同研究により得られた研究成果であることを表示することができるものとしています。
第 25 条(譲渡禁止)
本当事者は、事前に本研究推進委員会の承諾を得ることなく、第三者に対し、本契約上の地位又は本契約から生じる権利若しくは義務を譲渡してはならない。なお、合併又は本契約
の目的に係る事業の全部若しくは一部の譲渡を原因とするか否かを問わない。
<解説:第 25 条(譲渡禁止)>
本条は、コンソーシアム参加者の個性を重視し、事前に研究推進委員会の承認を得ない限り、第三者に対して本契約の契約上の地位や契約上生じる権利若しくは義務を譲渡することを制限したものです。企業側の事業譲渡や合併による場合でも同様としています。
第 26 条(有効期間)
1 本契約の有効期間は、本共同研究の研究期間と同一とする。
2 本契約の有効期間満了後も、第 14 条ないし第 25 条、第 30 条、第 31 条及び第 32 条の規定は、有効に存続する。なお、当該存続条項において、本研究推進委員会の承諾を要する旨が定められている場合、本契約の有効期間満了後、本研究推進委員会の承諾は、[全当事者の]/[3 分の 2 以上の当事者の]/[過半数の当事者の]合意により代替するものとする。
<解説:第 26 条(有効期間)>
本条は、本契約の有効期間を定めており、第 1 項は、本契約の有効期間は、本共同研究の研
究期間と同一とすると規定しています。他方で、知的財産の管理・活用に関する条項(第 14
条~第 21 条)、ノウハウ秘匿義務(第 22 条)、秘密保持義務(第 23 条)、損害賠償(第 31 条)、
準拠法及び裁判管轄(第 32 条)の規定については、本共同研究が終了した後も、効力を存続させています。
本契約の有効期間の満了、即ち本共同研究の研究期間の終了に伴い、研究開発全体の管理とマネジメントを目的とする研究推進委員会も解散します。そこで、第 2 項なお書において、研究推進委員会の承認に代わる意思決定方法を定めることとしています。意思決定方法のために必要な契約当事者の同意の割合は、個別のプロジェクトにおいて定めるべきですし、研究推進委員会の承認が必要だった個別の事項ごとに異なる割合を設定するなど柔軟な取り扱いをすることも検討に値します。
第 27 条(解除)
1 いずれかの本当事者(以下「違反当事者」という。)が次の各号のいずれかの事由に該当した場合、他の本当事者(以下「非違反当事者」という。)は、違反当事者に対して当該事由の是正を催告したにもかかわらず当該催告後[ ]日以内に是正されない場合には、他の非違反本当事者に対して、違反当事者との関係で本契約を解除することを申し入れることができる。非違反当事者[のうち過半数の者]が、当該申し入れに同意した場合(なお、非違反当事者は、合理的な理由なくかかる同意を留保しない。)、当該違反当事者との関係で本契約は解除され当該違反当事者は本共同研究から脱退するものとする。
(1)本契約の締結又は履行に関し、不正又は不当の行為をしたとき
(2)本契約に違反したとき
2 本当事者は、他のいずれかの本当事者(以下「破産等当事者」という。)が次の各号のいずれかに該当したときは、当該破産等当事者に対する何らの催告を要せず、また、当該破産等当事者以外の本当事者の同意を得ることなく、直ちに当該破産等当事者との関係で本契約を解除し当該破産等当事者を本共同研究から脱退させることができる。
(1)破産手続、民事再生手続、会社更生手続、特別清算手続の申立てをし、又は申立てを受けた場合
(2)銀行取引停止処分を受け、又は支払い停止に陥った場合
(3)仮差押命令を受け、又は公租公課の滞納処分を受けた場合
3 本当事者は、書面により[全当事者が]/[3 分の 2 以上の当事者が]/[過半数の当事者が]合意した場合、本契約を解約することができる。
<解説:第 27 条(解除)>
本条では、本共同契約を解除するための解除原因及び手続について定めています。第 1 項は、契約の締結又は履行において、ある契約当事者が違法行為を含む不正行為や不当行為をした場合や契約に違反した場合に、一定の期間を定めて是正を促し、当該期間内に是正されない場合には、その他の契約当事者の同意により、当該契約違反をした契約当事者との関係で契約を解除し、コンソーシアムから脱退させることを認めています。なお、脱退させるために必要な同意の割合は、全員の同意・過半数の同意・3 分の 2 の同意など、柔軟に定めることが可能です。
第 2 項は、いずれかの契約当事者が倒産手続等に陥った場合に、ただちに当該契約当事者との関係で本契約を解除し、脱退させることを認めたものです。
第 3 項は、一定の割合の契約当事者が同意した場合には、契約全体を解約することができる旨を定めています。
第 28 条(事後参画)
1 本契約の有効期間中、第三者が本共同研究への参加を希望し、本研究推進委員会により承 認をした場合、本当事者は、当該第三者を本契約の当事者として追加する。[主幹事当事者 は、本研究推進委員会による承認があった場合は、他の本当事者を代理して当該第三者と 主幹事当事者との間で当該第三者を本契約の当事者に加えるための覚書を締結することが できるものとし、他の本当事者は主幹事当事者に対して必要な権限を付与するものとする。]
2 前項に基づき本共同研究に参加した者は、[参加前に創出された本発明等について、他の本当事者と同等の権利を有する。]/[参加前に創出された本発明等については、他の本当事者と同等の権利を有さず、当該本発明等について実施する場合には第 16 条に基づき第三者として実施許諾を受けるものとする。]
<解説:第 28 条(事後参画)>
xxは、本共同研究の途中から新たにコンソーシアムに参加者を迎え入れる際の手続き及び条件を定めるものです。
第 1 項では、新たにコンソーシアムに参加するために、研究推進委員会の承認が必要であることを定めています。また、本来、新たに契約当事者になるためには、契約当事者全員の署名・押印が必要となり、参加者が多いとその手続きに手間と時間が掛かりますが、第 1 項第
2 文は、主幹事当事者が他の契約当事者を代理して、主幹事当事者と新規参加者との間での契約書の取り交わしのみで、契約当事者全員と契約を締結したことと同様の効果を得ることを可能としております(このような主幹事当事者が他の契約当事者を代理する権限を与えるか否かは、選択的です。)。
第 2 項は、新たにコンソーシアムに参加する者が、参加するまでに既に本共同研究の成果として得られていた知的財産についてどのような権利を有するかを定めるものです。ここでは 2 通りの考え方があり、1 つは、当初より参加者であった契約当事者と同等の権利、即ち参加前に創出された本発明等を実施や実施許諾をする権利を与えるとするものであり、不xxに感じる面もありますが、そのような権利を与えても良いほどに新規参加者を迎え入れたいと研究推進委員会が判断して参加を認めているとの一種の割り切りを伴うものです。もう 1 つは、あくまで途中参加者は、参加した後に創出された知的財産についてしか他の契約当事者と同等の権利を有さず、参加前に創出されていた知的財産についてはコンソーシアムに参加していない者と同様に実施許諾を受けなければならないとするものです。どちらの考え方を
採用するかは、個別のプロジェクトにおいて検討・選択することになります。
第 29 条(脱退)
1 本当事者は、本契約の有効期間中に本共同研究から脱退することを希望する場合には、本研究推進委員会にその旨を申し入れるものとし、本研究推進委員会の承諾を得なければ本共同研究から脱退することはできない。
2 前項の承諾を得て本共同研究から脱退する当事者は、当該承諾を得る過程において本研究推進委員会との間で別段の合意をしない限り、脱退により本契約の当事者ではなくなった後も、本契約により自己に課された義務を負担し続けるものとする。
3 本条第 1 項の承諾を得て本共同研究から脱退する当事者は、当該承諾を得る過程において本研究推進委員会との間で別段の合意をしない限り、[脱退により本契約の当事者ではなくなった後は、本契約に基づき取得した全ての実施権を失うものとする。]/[脱退により本契約の当事者ではなくなった後も、本契約に基づき取得した実施権を保有し続けるものとする。]
4 第 27 条第 1 項又は第 2 項の規定に基づき本共同研究から脱退することとなった当事者は、本研究推進委員会との間での別段の合意がないことを前提に前二項の適用を受けるものとする。
<解説:第 29 条(脱退)>
x条は、本共同研究から脱退する場合の手続きと効果を定めるものです。
第 1 項は、脱退する際の手続きに関するものであり、契約当事者は、一度コンソーシアムに参加し役割を与えられた以上、研究推進委員会の承諾がなければ脱退することができない旨を定めています。
第 2 項は、脱退する契約当事者は、原則として本契約上の義務を負い続けること、特に共同研究成果のうち自己に所属する研究担当者が発明者になっている本発明等について、脱退後も引き続き他の契約当事者に実施又は実施許諾する権利を与える義務を負うものです。これは、当該脱退する契約当事者が関係する本発明等を他の契約当事者が実施又は実施許諾することができなくなると、他の共同研究成果についての事業化等が困難となることを防ぐためです。なお、研究推進委員会が脱退を承認する際に別段の定めをすることは可能です。
第 3 項は、脱退する契約当事者が、脱退前に創出された共同研究成果について如何なる権利を有するのかについて定めるものです。ここでは 2 通りの考え方があり、1 つは、脱退する以上、脱退により脱退前に有していた他の契約当事者が保有する知的財産権に関する実施xxを失うというものです。もう 1 つは、脱退したとしても、脱退前に有していた上記実施権を保持し続けるというものです。どちらの考え方をとるかは、個別のプロジェクトにおいて検討・選択することになります。なお、研究推進委員会が脱退を承認する際に別段の定めをすることは可能です。
第 4 項は、第 27 条の規定により契約を解除された契約当事者について、脱退により本条第 2
項及び第 3 項の適用を受けることを確認するとともに、研究推進委員会による別段の定めを認めないことを定めています。
第 30 条(反社会的勢力の排除)
1 本当事者(法人の場合にあっては、その役員又は使用人を含む。)は、他の本当事者に対し、次の各号の事項を表明し、保証する。
① 自らが、暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団員でなくなったときから 5 年を経過しない者、暴力団関係企業、総会屋、政治活動・宗教活動・社会運動標榜ゴロ、特殊知
能暴力集団その他これらに準ずる者(以下、総称して「反社会的勢力」という。)に該当しないこと。
② 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、本契約を締結する者でないこと。
③ 自ら又は第三者を利用して、次の行為をしないこと ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
イ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は相手方の信用を毀損する行為
2 いずれかの本当事者が、次の各号のいずれかに該当した場合は、他の本当事者は、当該各号該当当事者に対する何らの催告を要せず、また、当該各号該当当事者以外の本当事者の同意を得ることなく、直ちに当該各号該当当事者との関係で本契約を解除し当該各号該当当事者を本共同研究から脱退させることができる。
① 前項①の確約に反する申告をしたことが判明した場合
② 前項②の確約に反し契約をしたことが判明した場合
③ 前項③の確約に反する行為をした場合
3 本当事者は、前項により本契約を解約したことにより他の本当事者に損害が生じたとしても、一切の損害賠償義務を負わないものとする。
<解説:第 30 条(反社会的勢力の排除)>
本条は、反社会的勢力でないことを相互に表明して保証させ、本契約の解約事由とすることで反社会的勢力の排除を推進する趣旨です。
第 31 条(損害賠償)
本当事者は、前条に掲げる事由、又は他の本当事者の故意又は重大な過失により損害等を被ったときは、当該損害等の原因となった他の本当事者に対して被った直接損害に限り賠償請求をできるものとする。
<解説:第 31 条(損害賠償)>
本条は、契約当事者が契約違反など前条に定める事由や契約相手方の故意又は重過失によって損害を受けた場合、直接損害に限って賠償することを定めたものです。これは、例えば直接に生じた損害により企業に逸失利益が生じるなど間接的に生じた損害は対象から除く趣旨です。
第 32 条(準拠法及び裁判管轄)
1 本契約の準拠法は日本法とする。
2 本契約に関する紛争については、[ ]地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
<解説:第 32 条(準拠法及び裁判管轄)>
本条は、本契約に適用される法律が日本法であることを明示し(第 1 項)、本契約から生じ
る紛争については、契約当事者が合意した裁判所を管轄裁判所と定めるものです(第 2 項)。
この契約の締結を証するため、本契約書 4 通を作成し、甲、乙、丙、丁それぞれ 1 通を保管するものとする。
平成 年 月 日
(甲) [ 所 在 地 ]
[ | 名 | 称 | ] | ||
学 | 長 | [ | ] |
(乙) | [ | 所 | 在 地 | ] | |
[ | 名 | 称 | ] | ||
学 | 長 | [ | ] |
(丙) | [ | 所 | 在 | 地 | ] |
[ | 名 | 称 | ] |
代表取締役 [ ]
(丁) | [ | 所 在 | 地 | ] |
[ | 名 | 称 | ] |
代表取締役 [ ]