勤労者の労働基本権は憲法第 25 条の生存権の保障にその基礎を置き、さらに、この憲法第 28 条において勤労者の基本的人権としてこれを保障したものであると言え ます。このような考え方は、世界の労働運動の多年にわたる努力の成果として高く評価されるものですし、日本国憲法のみならず、わが国が批准している ILO 条約 87 号や 98 号でも団結権、団体交渉権、労働協約締結権が保障されています。言うならば、労働基本権である団体交渉権は国際的に認められた勤労者の基本的権利であると言...
1.職場交渉に関する権利
(1) 団体交渉権
労働基本権(団結権・団体交渉権・争議権)のうち、さまざまな要求を具体的に実現してゆく手段として最も有効なものに団体交渉があります。交渉は当事者能力を有する各対応機関、つまり県教委や校長と対等な立場に立って行うことが必要ですが、その際の法的根拠について以下に示します。
① 憲法
憲法第 28 条
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利はこれを保障する。
陳情とは・・・公的機関に対して実情を述べてその対策を要請すること。上申とは・・・上司に対して意見や要望を申し述べること。
具申とは・・・下級行政機関が上級行政機関にしかるべき理由がある場合に、意見や願望を申し出ること。
勤労者の労働基本権は憲法第 25 条の生存権の保障にその基礎を置き、さらに、この憲法第 28 条において勤労者の基本的人権としてこれを保障したものであると言えます。このような考え方は、世界の労働運動の多年にわたる努力の成果として高く評価されるものですし、日本国憲法のみならず、わが国が批准している ILO 条約 87 号や 98 号でも団結権、団体交渉権、労働協約締結権が保障されています。言うならば、労働基本権である団体交渉権は国際的に認められた勤労者の基本的権利であると言えます。つまり、団体交渉により、組合の団結力を背景として労使対等の立場で勤務労働条件や教育諸条件の改善を求めていくことは労働者として当然の権利であり、当局や上司に対する陳情や苦情あるいは上申・具申とはxx的に異なるわけですから、全分会員が団結し自信をもって堂々と交渉に臨むことが大切です。
② 労働基準法
労働基準法第 36 条(36 協定)
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第 32 条から第 32 条の5まで若しくは第 40 条の労働時間または前条の休日に関する規定に関わらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、または休日に労働させることができる。
時間外及び休日の労働については、職場を代表する労働組合と協定を交した上で届け出なければならないことになっています。このことから、全ての労働関係の法律は、労働組合を前提としているということが言えます。ですから、私たちは職場の代表たり得るために、教職員の過半数で組織される組合であり続けなければならないのです。ただし、1971 年に「国立及び公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(以下「給特法」という)が制定され、これによって労働基準法第 37 条(超勤の際の割り増し賃
金の規定)が適用除外されることになり、この 36 協定も第 33 条の読み替えによって限定事項の場合には、適用されないことになっています。
③ 地方公務員法
地方公務員法第 55 条第1項
地方公共団体の当局は、登録を受けた職員団体から、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、及びこれに附帯して、社交的または厚生的活動を含む適法な活動に係る事項に関し、適法な交渉の申し入れがあった場合においては、その申し入れに応ずべき地位に立つものとする。
この地方公務員法(地公法)第 55 条第1項に基づいて校長交渉は行われますが、地公法第 55 条第1項は、公務員に交渉権を認めると同時に、当局はこの申し入れに応ずる義務を有することを定めています。この当局とは、当事者能力を有する対応機関、つまり県教委や校長であることは言うまでもありませんが、校長によっては、当局とは県教委であって自分ではないなどと言う場合があります。しかし、県教委は現場の校長に一週間の勤務時間の割り振りや、有給休暇の承認や入試業務においてさまざまな権限の委任をしており、その限りにおいて校長は当局たり得ると言えます。仮に校長にその最終的決定権がないにしても、少なくとも校長が窓口となって、県教委に組合の要求を提出し、それを反映させるよう努力することはできます。
(2011 年 4 月 26 日付教委教人第 332 号通知の 3 項参照。)校長の交渉拒否やいい加減な態度は、憲法が私た
校長の権限と義務
校長自身の権限によって妥結できない事項についても交渉に応じ、それを上司に正しく報告し、その実現に努力する義務がある。(大宮ろう学校事件・浦和地裁判決 1962.9.29)
ちに保障する団体交渉権の侵害であると言わざるを得ません。また、直接権限がないとされる教職員の人事についても、当然、その事務を所轄する人事担当者の中には意見具申権をもつ校長も含まれており、人事も交渉事項の1つであることは明らかです。
ドライヤー勧告 第 2229 項(1965 年6月)
定員及び配転問題は、団体交渉枠外問題とみなされるべきではない。
労働者にとって団体交渉が権利であるということは、使用者にとっては団体交渉に応ずる義務、即ち団交応諾義務があるということです。しかも、団交権が憲法上の権利である以上、使用者のその義務も憲法上のものだということになります。しかし、ただ単に形式的に団交を開催しただけでは、その法律上の義務を果たしたことにはなりません。当局側は誠実に交渉に応ずべき義務、すなわち誠実交渉義務を負っているのです。また、民間労働者に適用されている労働組合法では使用者の団交応諾義務違反は不当労働行為であるとされています。
地方公務員法第 55 条第8項
本条に規定する適法な交渉は、勤務時間中においても行うことができる。
この第8項は、勤務時間中にも職場交渉を行うことができることを定めています。当然、県教委交渉も基本的には勤務時間を含んでセットされていますが、職場では管理職が難色を示すケースが多いようです。「職場の実態に応じて」で構いませんが、授業に支障のない考査中等であれば勤務時間終了を待って行う必要は全くありません。
地方公務員法第 55 条第9項
職員団体は、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規定にてい触しない限りにおいて、当該地方公共団体の当局と書面による協定を結ぶことができる。
地方公務員法第 55 条第 10 項
前項の協定は、当該地方公共団体の当局及び職員団体の双方において誠意と責任を持って履行しなければならない。
労働組合法第 14 条では、労使間の労働条件その他に関する労働協約は書面に作成し、両当事者の署名又は記名押印により効力を発することを規定していますが、官公労働者は「労働協約を締結することができない」(地公法第 55 条第 22 項)かわりに、地方法第 55 条第2項によって書面による協定を結ぶことが認められています。「労働協約」と「書面による協定」の差異は、労働協約が労使双方で決定することを法的に保障しているのに対し、書面協定は条例判定を伴う「勤務条件法定主義」を根拠にしている点です。つまり、議会における条例や、規則、規定にてい触しないことを前提としているわけです。地公法第 55 条第9項では、労組法の労働協約のように書面の形成を定めていません。それは、本来、労使間の協定とは労使の合意そのものであって、書面、口答の形式を問わないものですが、書面にすることによって当事者間の合意内容を明確にし、後日その内容についてのトラブルを避ける効果を法的に認めたものと言えます。秋闘における校長交渉では、校長からの具申は書面協定にあたり、これを背景に私たちは当局への要求を強力なものにしています。「公文書であるのでコピーは渡すことができない」などあり得ないことです。さらに、地公法第 55 条第 10 項は、協定については誠意と責任をもって履行しなければならないことが付け加えられています。
団体交渉に関する通達(1967 年自治省行政局長通達)
地公法の協定を形式的に理解し、職員団体の交渉を不当に制限することのないように配慮されたい
(2) 交渉の対象事項
賃金、勤務時間をはじめとする勤務労働条件や、これに附帯する厚生的活動、また、xx制にかかわる校務分掌、人事、処分、さらに施設、設備に関する事項はすべて交渉の対象となります。地公法第 55 条第3項で「地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項(管理運営事項)は交渉の対象とすることができない」と規定されており、これを盾に当局が団体交渉を拒否することがあります。当局の主張する管理運営事項とは、「地方
公共団体の機関が、その職務権限として行う地方公共団体の事務の処理に関する事項」であって、具体的には、教育委員会の組織に関する事項、行政の企画立案及び執行に関する事項、職員の定数及びその配置に関する事項、予算の編成に関する事項や任命・昇任・降任・懲戒・転任などがこれにあたるとしています。 しかし、1965 年に ILO87 条約の批准と関連して提供された「ドライヤー報告」では、「管理運営事項と雇用条件の双方に影響する問題は数多くあり、従って、団体交渉の枠外の問題とみなすべきでない」とし、さらに「ある事項が純粋に使用者の専権事項だからといって管理運営事項をふりまわすことは、事実上団体交渉権の侵害にあたる」
交渉事項に関わる判例(宮崎地裁 1975.5.22)
本来、団体交渉の対象事項は流動的なものであって、固定化になじまない本質を有し、概念的に固定すべきものではない。管理運営事項もそれが勤務条件に関する事項と密接に関連する限り、その面において交渉の対象とすることができることは論を待たない(指導主事の学校訪問、指導要録などの諸表簿の提出問題等に触れて)
と勧告しています。また、下に示すように、過去の判例においても勤務労働条件に「関連する」ものはすべて交渉の対象となることが確定しています。
2.教育の自由に関する権利
(1) 学問研究の自由
教育基本法は、その第1条で教育の目的を次のように定義しています。
教育基本法第1条
教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、xxとxxを愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期
して行われなければならない。
日本国憲法には「民主的で文化的な国家を建設し世界の平和と人類の幸福に貢献しよう」という決意が込められていますが、この教育基本法第1条もまさにその条理に則していると言えます。教育の目的は幸福・平和・独立の3つを根幹とすべきであり、誠実・xx・xx・隣人愛などの人間条件の統一体としての人間像の実現を期待して定められるべきものです。その意味において、教育及び教育活動の自主性と学問の自由が真に保障されなければなりません。
さらに、教育基本法は第 16 条の中で教育行政の在り方を次のように述べています。
教育基本法第 16 条
教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、xxかつ適正に行われなければならない。
2 国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
3 地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。
4 国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。
「不当な支配」の主体とは国家権力や公権力を指しています。それゆえに、「教育行政」に「自覚」が求められているのです。つまり、公権力が教育の内容や方法を統制することの禁止を意味しており、であるがゆえに、研究・教育活動において自主性と自由が保障されなければならないのです。
(2) 自主研修権
以上のようなことを前提として、教育公務員特例法により教員の研修権が保障されています。
教育公務員特例法第 19 条(研修)
教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。
2 教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない。
国公法第 71 条・73 条や地公法第 39 条に定められている一般公務員の研修では「勤務能率の発揮及び増進」のために任命権者が計画実施することになっていますが、教員の場合にはそれとは大きく異なって自主的なものであるという大前提のもとでの学問研究や人間的修養であることがわかります。また、ここで言う研修は単
教育公務員特例法第 20 条(研修の機会)
教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。
2 教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。
3 教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。
に義務的になされるものではなく、「権利としての研修」であることを忘れてはなりません。その上で下記に示すとおり同法第 20 条において「研修の機会」が保障されています。
ある研修を、①勤務そのものとして行わせるか、②勤務に有益なものとして行わせるか、③勤務時間外を利用させるか、の判断は服務監督権者である校長の裁量権であって、いわゆる自宅研修権(職専免研修権)もその1つと言えます。ここ最近、自宅での研修は認められていないかのような発言をする校長が増えていますが、これは明らかな誤りです。
今、私たちに求められているのは、研修内容の充実とその説明責任であって、それらをクリアーした上で積極的な研修権の行使を行うことは極めて重要な意味をもっています。
(3) 教育課程の編成権
第 116 臨時国会で引き出した政府答弁
①学習指導要領は、あくまで大綱的基準であり、地域や児童・生徒の実態に応じて創意工夫できる。
②学習指導要領の法的拘束力という言葉は使いたくない、学習指導要領は本来弾力的である。
③「日の丸」「君が代」について、処分をふりかざしての指導は考えていない。
④今日の教育の荒廃状況は、教育制度とその運用の画一性、硬直性にも原因がある。
「日の丸・君が代」の強制と関連して、「学習指導要領には法的拘束力がある」という見解を、教育委員会や管理職の間でしばしば耳にします。しかし、第 116 臨時国会(1989.9.28〜12.6)での質疑を通して、日政連議員が以下のような政府答弁を引き出しています。
学習指導要領の「総則」第1款の1
各学校においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以 下に示すところに従い,生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,生徒の 心身の発達の段階や特性,課程や学科の特色及び学校や地域の実態を十分考慮 して,適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとする。
また、教育課程の編成権が学校、すなわち教職員集団にあることは、学習指導要領の「総則」第1款教育課程編成の一般方針の中で次のように示されており、その編成権が「各学校」にあることが明記されています。
3.勤務時間に関する権利
(1) 勤務時間
1.1週間の勤務時間は 38 時間 45 分とする。
2.土曜日、日曜日は勤務を割り振らない日(週休日)とする。
3.月曜日から金曜日までの5日間に1日につき7時間 45 分を割り振る。
4.校外研修、自宅研修は勤務時間に含まれる。
私たちの勤務時間は、大きくは労働基準法の適用のもと、その最低基準をみたすものとして大分県が独自に制定する「学校職員の休日休暇及び勤務時間等に関する条例」ならびに「施行規則」によって規定されています。
※勤務時間が割り振られた日のことを「勤務日」、割り振られていない日のことを「週休日」と言います。
(2) 週休日および休日の勤務
週休日や休日には勤務を命ずることができないことになっていますが、やむを得ず命ずる場合は、「週休日を他の日へ振り替える」か、または「代休日」を与えなければなりません。
(3) 休息時間と休憩時間
労基法第 34 条第1項
休息時間と休憩時間についてはそれぞれ労基法第34 条第1項と条例施行規則第11 条第1項において次のように規定されています。
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも 45 分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
(休憩時間は勤務時間に含まれないので場所に拘束されず自由に行使できる)
施行規則第9条第1項
条例第 15 条第2項の規定による勤務時間の割振りは、月曜日から金曜日までのそれぞれ午前8時 30 分から午
後5時までとし、その間に 30 分の休息時間を置く(おおむね4時間に 15 分の休息時間を設けるものとし、休息時間は勤務時間に含まれる)
(4) 時間外労働
1960 年代後半から教員の超過勤務問題が全国的な問題となったことをうけて、1971 年に「国立および公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(「給特法」)が制定され、教員の超過勤務に一定の歯止めがかけられることになりました。この「給特法」の成立に先立って人事院が行った意見の申出の中で、「教員の勤務時間については、教育がとくに教員の自発性、創造性にもとづく勤務に期待する面が大きい事および夏休等の長期の学校休業期間があること等から、その勤務について一般行政職員と同様な時間的管理は必ずしも適当ではなく、とりわけ超過勤務手当制度はなじまない」ものとして、「教職調整額」を新設しました。
これによって、①超過勤務手当て(通常賃金の 1.25〜1.5 倍)の支給を義務づけた労基法第 37 条の教員への適用除外、②教員には勤務時間内外の包括的評価として、給料月額の4%を調整額として支給されることになりました。
教育長通達 1971
原則として時間外勤務を命じない。但し、やむを得ず時間外勤務を行う場合は、次に掲げる業務に従事する場合で、臨時又は緊急やむを得ない必要があるときに限るものとする。
1.生徒の実習に関する業務 2.学校行事に関する業務
3.職員会議に関する業務 4.非常災害等やむを得ない場合の業務
校長が超過勤務を命ずる場合は、学校の運営が円滑に行われるよう関係職員の繁忙の度合い健康状況等を勘案し、その意向を十分尊重するため関係教職員と協議するよう指導する。
しかし、これらの措置によって、逆に無定量の勤務が強いられることにならないように中央および各県での交渉の成果として、①原則として超過勤務を命じない、②やむを得ず命ずる場合も臨時または緊急の場合の次の4項目に限る(限定4項目)、ことが通達や覚え書きの中で確認されています。
1995 年9月の定例県議会で「学校職員の休日休暇及び勤務時間等に関する条例」が一部改正され、祝日法による休日や年末年始の休日に休日勤務を命ずることが可能とする「休日代休制度」が設けられました。
しかし、私たちの勤務は「給特法」によって規定されており、原則として「超過勤務を命じない」ことを学校長との間で確認しておかなければなりません。
(5) 週休2日制
1992 年から段階的に導入された「週休2日制」は、2002 年から完全実施されました。これと同時に「学校5日制」もようやく完成を見ることになりましたが、2013 年には、公立学校において、世智医者の判断により、土曜日等に授業を実施することを可能とするよう、学校教育法施行規則の一部が改正されました。
この制度は、その本来の目的からすれば、私たちの職務と生活に「ゆとり」をもたらすものとして大きな期待がかけられていましたが、残念ながら完全にはその主旨が活かされたものとはなっていません。
1992 年 4週5休制実施(第2土曜日のみ)
1995 年 4週6休制実施(第2・4土曜日のみ)
2002 年 完全週休2日制(完全学校5日制)実施
2013 年 法改正により土曜日等に授業実施が可能となる
4.休暇に関する権利
(1) 有給休暇
① 年次有給休暇(年休)
労基法は第 39 条の中で「労働者に有給休暇を与えなければならない」とし、それを使用者の責務として定めています。これを年次有給休暇と呼んでいますが、勤務条例では次のように定められています。
(ア)1年(暦年)につき 20 日とする。但し、年の中途に採用された職員の年休の日数は当該年の在職期間
に応じて次のように決定する。
採用月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10 月 | 11 月 | 12 月 |
日 数 | 20 | 18 | 17 | 15 | 13 | 12 | 10 | 8 | 7 | 5 | 3 | 2 |
(イ)1日・時間で取得できる。
(ウ)20 日を超えない範囲で残日数(端数時間も)を次年度に繰越すことができる。
【形成権と時季変更権】
年休は労基法に基づく正当な権利ですから、請求(届出)するだけで法的効果が発生します。ですから「願」ではなく、あくまでも 「届」であって、理由を書く必要はありません。また、管理職が理由を尋ねることは違法な行為とされています。
しかし、条例第7条第3項で「公務の正常な運営を妨げる場合においては時季を変更できる」となっていることから、「時季変更権」 を主張する校長もいますが、これには客観的な理由の明示が必要であり恣意的な利用は許されていません。
② 慶弔休暇
(ア)結 婚
結婚の日の7日前から結婚の日の後1月を経過するまでの間 に、休日や週休日をはさんで連続する7日
(週休日・休日を除く) を取得できます。また、公務の都合上1月以内に取得が困難な場合は、最大で6月まで延長することができます。(2002.4.1 適用)
※結婚の日としうる日が複数ある場合は、職員が選択できる。(2014.4.1 ~)
(イ)忌引き
葬祭のため遠隔の地に赴く必要のある場合には、実際に要した往復日数を加算する。
死 亡した者 | 日数 | 死 亡した者 | 日数 | ||
血族 | 姻族 | 血族 | 姻族 | ||
配偶者 | 10 日 | 孫 | 1日 | 0日 | |
父 母 | 7日 | 3日※1 | 兄弟姉妹 | 3日 | 1日※1 |
子 | 3日※1 | 伯叔父母 | 1日※2 | 1日 | |
祖父母 | 1日※1 |
※1生計を同じくする姻族は血族に準ずる。
※2職員が代襲相続し、かつ祭具等の承継を受ける場合は7日とする。
③ 病気休暇
負傷、疾病のため勤務が不可能になったとき、医師の証明等に基づき必要な日または時間を単位(処理上は1日の扱い)に与えられる休暇です。以下に、休暇と休職および賃金の関係について示します。
(ア)公務傷病の場合
公務傷病休暇 | 公務傷病休職 | ||||
期 | 間 | 3 | 年 | 療養に必要な期間 | |
賃 | x | x | 額 | 全 | 額 |
(イ)結核性疾患の場合
結核療養休暇 | 結核休職 | 失職 | ||
期 間 | 90 日 | 3年 | 休職後3年以内に健康診断審議会で「復職可」と判定されなかった場合は失 職となる。 | |
賃 金 | 全額 | 2年 | 3年 | |
教員・事務職員 全額その他 80/100 | 無 |
※減額、無給期間中は共済組合から傷病手当金(給料の 80%)が3年間を限度として給付されます。(結核の場合は3年間)
(ウ)公務以外の原因による疾病又は障害を受けた場合
その他私傷病 | 精神神経系疾患 | ||
期 | 間 | 90 日:有給 | 180 日(当分の間):有給 |
取単 | 得位 | 日・時・分 (時・分で取得した日も 1 日として病休期間・給与の全額期間に算入) | |
通制 | 算度 | 連続する 8 日以上の病気休暇の 末日の翌日から、実勤務日が 20 日に達するまでの間に、再び病気休暇を取得した場合は連続しているものとみなし通算する。 ※人工透析、抗がん剤治療のための通院治 療は除外。 | 当分の間、連続する 8 日位上の病気休暇の末日の翌日から、6 ケ月に達するまでの間に、再び病気休暇を取得した場合は連続しているものとみなし通算する。 |
留意事項 | 医師の診断に基づく不妊症の治療全般も対象とする。但し、検査は対象外。 (2008.4.1~) |
※減額、無給期間中は共済組合から傷病手当金(給料の 80%)が2年間を限度として給付されます。
④ 生理休暇
「5.女性に関する権利、育児・出産に関する権利」に詳しく掲載しています。
⑤ 産前・産後休暇
「5.女性に関する権利、育児・出産に関する権利」に詳しく掲載しています。
⑥ xx休暇(2018.4.1 改定)
6月1日から9月 30 日までの間に、1日を単位(2日以上の連続も可)として合計で5日まで取得できます。
⑦ リフレッシュ休暇(長期勤続休暇)
満 35 歳、45 歳、または満 55 歳を迎えた職員に対し連続する3日 (週休日・休日をはさんでもよい)の範囲内で取得できます。ただ し、この休暇は年休と連続して取得することでより効果的なものと なります。例えば、月・火・水曜日をリフレッシュ休暇、木曜日と 金曜日を年休とすることで1週間の連続した休暇の取得が可能となります。また、公務上の都合により当該年度に取得できなかった場合は、 翌年度に限り取得することができるようになりました。
⑧ 子の看護休暇(2011.7.1 改定)
中学校就学前の子を育てる職員が、xxxの看護のために、あるいは疾病予防を図るために自宅待機する子の世話のために、勤務し ないことが相当であると認められる場合を対象とする休暇で、1暦年で 5 日(中学校就学前の子を複数有する場合は 10 日)を越えない範囲で取ることができます。
※xxの看護も対象とする。(2015.4.1~)
⑨ その他特別休暇(条例第 11 条・規則第 8 条)
項 目 | 原 因 | 期 間 | |
1 | 伝 染 病 | 伝染病予防法による交通遮断・隔離 | その都度必要と認める日又は時間 |
2 | 非常災害 | 風水震火災その他非常災害による交通遮断 | |
3 | 証人等 | 証人、鑑定人、参考人として、 国会、裁判所、 地方公共団体の議会その他の官公署への出頭 | |
4 | 骨髄移植 | 脊髄液の提供希望者の登 録・検査および提供のための入院 | |
5 | 事務停止 | 事務又は事業の全部又は一部 停止(台風の来襲等による事故 発生防止のための措置も含む) | |
6 | 不可抗力の | 交通機関の事故等の不可 抗力の事故 | その都度必要と認める時間 |
事 故 | |||
7 | 公 民 権 | 選挙権その他公民としての権利の行使 | |
8 | 受 験 | 昇任・採用のための試 験・選考を受けるための 出頭 | |
9 | 天災地変 | 風水震火災その他天災地 変による職員の現住居の 滅失又は破壊 | 1週間を超えない範囲でその都度必要と認める期間 |
10 | ボランティア | 自発的な無報酬の社会貢活動 ・災害復旧および被災者支援活動 ・心身障害および疾病者施設での支援活動 ・心身障害および疾病者の日常生活支援活動 | 暦年で5日を超えない範囲でその都度必要と認める日又は時間 (分割取得可能) ※東日本大震災対応の場合は7日 (2012 年度まで) |
11 | 研 修 | 地公法第 39 条の規定によりあらかじめ計画 された研修の実施 | 計画実施のため必要と認める期間 |
12 | 祭 日 | 配偶者・父母・子の祭日 | 慣習上最小限度必要と認める期間 |
13 | 妊婦の捕食 | 「5.女性に関する権利、育児・出産に関する権利」に詳しく掲載しています。 | |
14 | 妊娠障害 | ||
15 | 育児時間 | ||
16 | 通 院 | ||
17 | 通勤緩和 | ||
18 | 風しん休暇 | ||
19 | 出産補助 | ||
20 | そ の 他 | 前各号に準ずる原因 | その都度必要と認める日又は時間 |
5.女性に関する権利、育児・出産に関する権利
以下の番号の下の◆印は無給ですがそれ以外(12 を除く)はすべて有給休暇です。
項 目 | 期 間 | 備 考 | ||
1 | 生理休暇 女子職員が生理のため勤務することが困難なとき。 | 生理のつど2日以内 ただし、学校行事等で連続取得が不可能な場合は、行事をはさんで残りの1日 を取得できる。(2000.4.1〜) | ・診断書不要 ・時間単位の取得も可能ですが休暇処理上は1日。 ・「その他の休暇(生理休暇)」と 記入。 | |
2 | 妊娠障害休暇 妊娠中の女子職員が妊娠障害のため勤務することが 困難なとき。 | 日数で 14 日以内時間取得も可週休日・休日を除いて連続 又は分割取得可能。 | ・診断書不要 ・時間取得も可能 (2000.4.1〜) ・妊娠4ヶ月以前の分娩(流産) は分娩までを妊娠障害休暇で処理できる。 | |
3 | 通院休暇 妊娠中又は出 産後1年以内の女性職員が母子 保健法に基づく保健指導・健康 診査を受けるとき。 | 7 ヶ月まで | 4週間に1回 | ・医師等の特別な指示があった場合は左記の規定によらず指示 された回数取得可。 ・1回につき1日の勤務時間の範囲内で必要と認める時間をと ることができる。 |
8 ヶ月〜9 ヶ月 | 2週間に1回 | |||
10 ヶ月〜分娩 | 1週間に1回 | |||
産後1年まで | その間に1回 | |||
4 | 通勤緩和措置 妊娠中の女性職員が利用する交通機関の混雑の程度が母体又は胎児の健康保持に影響がある とき。 | xxの勤務時間の始め・終わりに1日を通して1時間以内(まとめどりも可)。 | ・自家用車通勤にも適用。 (1998.4.1〜) | |
5 | 産前・産後休暇 | 産前…8週間 | ・産前休暇は、「出産予定日」記 |
職員の出産 | (多胎児は 14 週間)産後…8週間 | 載の診断書が必要。 ・産後休暇は、「出産日」記載の証明書が必要。 ・出産は自然分娩に限らず、妊 娠 4ヶ月以上を分娩とし、出 産のみならず流産も含まれる。 (1ヶ月を 28 日として計算) ・予定日がわかったら、校長に 知らせ代替を申請。 | |
6 | 代替引継期間 | 産前休暇前…2日産後休暇後…1日育児休業後…1日 | ・復帰日が休日等にあたるときは翌日に延ばす。 |
7 | 補食のための特別休暇 妊娠中の女性職員 の母体又は胎児の健康維持のための休息、補食。 | その都度必要と認められる時間 | ・「その他の休暇」の扱い。 ・本人の申し出による。 |
8 ◆ | 育児休業 産後休暇に引き続き子どもが満3歳になるまで男女のどちらかが育児にあたるとき。 (申請は1ヶ月前) | 生後満3歳まで 期間は本人の希望する日数を申請する。1回に限り期間の延長ができる。 また、特別な事情が生じたとき再度延長できる。 | ・子どもを養育する男女どちらかが申請。 ・育児休業中は出勤扱いとし年 休繰越しが認められるが、無 給で在職期間には含まれない。 ・休業中は共済短期給付として、賃金の 40%相当額を支給。 (うち 10%は復帰後6月経過後に一括支給。) ・基準日に在籍していない場合でも勤務時間に応じて期末勤 勉手当を支給。(2000.4.1〜) |
9 | 育児時間 男女職員が生後満2歳に達しない乳児を育てるとき。 | 生後2年まで 1日2回、1回 60 分 (120 分1回でもよい) 生後2年から2年3ヶ月まで 1回 45 分 (90 分1回でもよい) | ・養子にも適用される。 ・男女どちらとも取得できる。 ・校内・外を問わない。 ・男性職員が育児休業取得中に配偶者(女性)の取得も可 |
10 ◆ | 部分休業 小学校就学前の子を養育する男女職員のどちらかの申し出により決定。 | 小学校就学前まで育児時間と合わせ1日2時間以内 (30 分単位) 勤務時間の始めか終わりに連続または分割で2時間以内 | ・無給。 (勤務しない時間分の賃金を減額) ・育児時間・通勤緩和措置との併用可。 |
11 | 出産補助休暇 妻の出産に際し夫が取得できる。 (事実上の婚姻関係と同様な事情 にある者も含む) | 24 時間を超えない範囲内 出産予定日より28 日 前の日又は入院した日から出産 日以後14 日後までの期間内。 | ・配偶者(男性)が取得できる。 ・妊娠4ヶ月以上の流産、死産、早産にも適用。 ・時間取得が可能。(夫と妻で分 けてとることもできる) |
12 | 体育代替教員の派遣 体育授業を行う女子教員を対象とする代替措置。 | 産前休暇開始前の4ヶ月間 (大分県独自) | ・校長に申請する。 |
13 | 風しん休暇 女子職員の風しん予防のため | 必要最小限の時間 |
抗体検査及び予防接種。 | |||
14 | 育児のための短時間勤務制度 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する職員(男女ともに可)が育児と仕事の両立を いっそう容易にするために導入 (2008.4 〜) | 小学校就学の始期に達するまで 以下のパターンから選ぶことができる。 | ・一度の申請につき 1 ヶ月〜1 年 ・賃金は勤務時間に応じた額 |
x 務 形 態 週勤務時間 ①1日3時間 55 分、週5日勤務 19 時間 35 分 ②1日4時間 55 分、週5日勤務 24 時間 35 分 ③1日7時間 45 分、週3日勤務 23 時間 15 分 ④1日7時間 45 分を2日と1日 19 時間 25 分 3時間 55 分を1日の週3日勤務 | |||
15 | 育児・介護のための時差出勤 (試行) 育児や介護により家庭生活において支障のあるとき。 | 同一年度内に1月以上 12 月以内の期間 | ・早出(遅出)勤務 始業及び終業の時刻を通常勤務の場合よりそれぞれ 15 分ま たは 30 分繰り上(下)げた時 刻とする。 |
6.介護に関する権利
長期にわたる家族の傷病の介護を保障するために地公労等の懸命なとりくみの成果として、1986 年4月に発足した看護休業制度(90 日)は、その後の粘り強い交渉の結果、1995 年 10 月より介護休暇制度として新たな法制定がなされました。同時に、従前の看護休業制度は大分県独自の介護欠勤制度としてスタートしました。また 2010 年6月より短期の介護休暇(有給)、2017 年4月より介護時間制度がスタートしました。
(1) 介護休暇・短期の介護休暇と介護時間
短期の介護休暇(2010.6.1~) | 介護休暇(1995.10.1~) | 介護時間(2017.4.1~) | |
介護対象者の範囲 | 【同居・別居を問わないもの】 ・配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、x、兄弟姉妹 【同居を条件とするもの】 ・父母の配偶者、配偶者の父母の配偶者、子の配偶者、配偶者の子 | ||
要介護者の状況 | 介護休暇の対象となる日常生活を営むのに支障がある者(要介護者)の介護その他の世話を行うため、勤務しないことが相当である と認められるとき。 | 負傷、疾病または老齢により2週間以上にわたり日常生活を営むのに支障がある場合で、職員が介護のため勤務しないことが相当であると認められるとき。 | |
取得日数等 | 一暦年において5日を超えない範囲内で、その都度必要と認められる日または時間(要介護者が2 人以上の場合は 10 日) | 介護を必要とする一の継続する状態毎に、3回を超えず、かつ通算して連続する6月の範囲内で 必要と認められる日または時間 | 連続する3年の期間内において、 1日につき2時間の範囲内 |
単位 | 1日または1時間 ・時間を単位とする場合は、始業および終業の時刻に連続する4時間の範囲内(始業から2時間、終業まで2時間の取得も可) | 30 分 ・始業時及び終業時に分けて取得も可 ・介護時間と部分休業又は育児時間を同日に取得する場合には、 合わせて2時間まで |
賃 金等 | 有給 | 欠勤の取り扱い ・勤務しない時間分の賃金を減額支給。 ・互助会より日額または時間額の 60%(共済 40%互助会 20%)を給付する。 |
7.臨時・非常勤教職員の権利
臨時・非常勤教職員の休暇は、臨時任用職員の管理に関する規程 (臨管規程)等により、次のように定められています。2016 年 4 月より、無給ではありますが、臨時・非常勤教職員も妊産婦に関する休暇が取得できるようになりました。
○給料表適用臨時職員(臨時的任用職員の管理に関する規程)
休暇の種類 | 休暇の原因、期間等 | |||||||||||||||
1 | 年次有給休暇 | 暦年にかかわらずその者について発令された任用期間の月数に応じ、次のとおり。任用期間の月数の算定については、当該任用期間に一月 未満の端数が十五日以上あるときに限り、これを一月として計算する。 | ||||||||||||||
任 用 期 間 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10 月 | 11 月 | 12 月 | ||||
休暇の 日 数 | 2 日 | 3 日 | 5 日 | 7 日 | 8 日 | 10 日 | 12 日 | 13 日 | 15 日 | 17 日 | 18 日 | 20 日 | ||||
臨時的任用職員の年次有給休暇追加付与 | 臨時的任用職員が退職し、当該退職した日の翌日から起算して 30 日を経過するまでの間に再び臨時的任用職員として任用された場合(1月を超える任用期間に限る。)の年次有給休暇については、前2項の規定により付与される年次有給休暇の日数に当該退職前の年次有給休暇の 10日を超えない範囲内の残日数(1日未満の端数があるときはこれを切り 捨てた日数とする。)を追加して付与することができる。 | |||||||||||||||
2 | 年始年末休暇 | 原因、期間等はxx職員に準ずる。 | ||||||||||||||
3 | 公民権行使休暇 | |||||||||||||||
4 | 慶弔休暇 | |||||||||||||||
5 | その他特に必要と認める場合 | |||||||||||||||
風水震火災その他非常災害による交通遮断 | その都度必要と認める日又は時間 | |||||||||||||||
女性職員が生理のため勤務することが著しく困難である場合 | その都度必要と認める期間。ただし、2日を超えることができない。 | |||||||||||||||
xx休暇 | 5日(当該年度の6月1日から9月 30 日の期間中) | |||||||||||||||
大分県公立学校教員採用選 考試験を受験する場合 | 受験に必要と認める日又は時間であること。 | |||||||||||||||
裁判員休暇 | ①裁判員候補者として裁判所に出頭する場合 ②裁判員に選任され職務に従事する場合 ③補充裁判員に選任され職務に従事する場合 ・それぞれの場合において必要と認める日又は時間 | |||||||||||||||
公務災害による休暇 | ・職員が公務上疾病にかかり、又は傷害を受けた場合、大分県教育委員会が公務 災害と認定したときは、その療養期間中は有給休暇とする。 |
ただし、任用の期間を超えることができない。 ・その都度必要と認める日又は時間 | |||
学校保健安全法施行規則第 18 条に規定する児童生徒を出席停止にする必要がある感染 症に罹患したことによる休暇 | ・職員が学校保健安全法施行規則第 18 条に規定する児童生徒を出席停止にする要件を満たす感染症にかかり、学校長が療養を要するものと承認したときは、最小限度必要と認める期間を有給休暇とする。 ・その都度必要と認める日又は時間 | ||
妊産婦の健康診査等休暇※ | ・母子保健法第 10 条に規程する保健指導又は同法第 13 条に規定する健康診査を受ける場合 ・妊娠の段階に応じて、1回につき1日の勤務時間の範囲内で必要と認 める時間 | ||
妊婦の休息・補食休暇※ | ・従事する業務が母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、休息し、又は補 食する場合 ・その都度必要と認められる時間 | ||
妊婦の通勤緩和休暇※ | ・通勤に利用する交通機関の混雑の程度が母体又は胎児の健康保持に影響がある場合 ・xxの勤務時間の初め又は終わりにおいて、1日を通じ1時間を超え ない範囲内でおのおの必要と認める時間 | ||
妊娠障害休暇※ | ・妊娠障害のため勤務することが困難である場合 ・その都度必要と認められる時間 | ||
産前休暇※ | ・出産する予定の女性 ・産前6週間(多胎妊娠は 14 週間) | ||
産後休暇※ | ・出産した女性 ・産後8週間 | ||
育児時間※ | ・生後満1年に達しない子を育てる職員 ・1日1時間又は1日2回各 30 分 | ||
子の看護休暇※ | ・小学校就学の始期に達するまでの子を養育する職員が子を看護(看病及び疾病の予防のため必要な世話)する必要がある場合に与えられる休暇 ・年5日(小学校就学の始期に達するまでの子が2人以上の場合にあっ ては、10 日) | ||
短期の介護休暇※ | ・配偶者、父母、x等の介護や、通院の付添い等の必要な世話をする職員に与えられる休暇 ・年5日(要介護者が2人以上の場合にあっては、10 日) | ||
介護時間※ | ・要介護者の介護をする場合で、1日につき2時間を超えない範囲内 | ||
部分休業※ | ・小学校就学の始期に達するまでの子を養育する場合で、1日につき2 時間を超えない範囲内 | ||
病気休暇※ | ・負傷又は疾病のため療養する必要があり、勤務しないことがやむを得ないと認められる場合 ・任用期間において付与された年次有給休暇の合計日数を超えない範囲 でその都度必要と認められる期間 |
※は無給
○県立学校非常勤職員及び学校事務非常勤職員
休暇の種類 | 休暇の原因、期間等 |
1 | 年次有給休暇 | (1)年次有給休暇の付与日数及び1年間の出勤予定日数は、暦年によらず年度を単位とすること。 (2)年次有給休暇は、1日を単位として付与する。ただし、校長が特に必要があると認めるときは、1時間を単位とすることができる。 (3)年次有給休暇を付与する非常勤職員は、前年度の全勤務日数の8割以上出勤した者とし、付与する日数は勤務日数に応じ下記の表のとおり とする。 | |||||||||
勤1務年日間数の | |||||||||||
7以年上度 | 6年度 | 5年度 | 4年度 | 3年度 | 2年度 | 初年度 | |||||
20 日 | 18 日 | 16 日 | 14 日 | 12 日 | 11 日 | 10 日 | 217 日 以 上 | ||||
15 日 | 20 日 | 20 日 | 20 日 | 20 日 | 20 日 | 20 日 | 169 日 216 日 | ||||
11 日 | 20 日 | 20 日 | 20 日 | 20 日 | 20 日 | 20 日 | 121 日 168 日 | ||||
7日 | 20 日 | 20 日 | 20 日 | 20 日 | 20 日 | 20 日 | 73 日 120 日 | ||||
3日 | 20 日 | 20 日 | 20 日 | 20 日 | 20 日 | 20 日 | 48 日 72 日 | ||||
2 | 風水震火災その他非常災害に よる交通遮断 | その都度必要と認める日又は時間 | |||||||||
3 | 選挙権その他公民としての の 行使 | その都度必要と認める日又は時間 | |||||||||
4 | 裁判員、証人、鑑定人、参考人等として国会、裁判所、地方公共団体の議会その他の官公署へxx | xx都度必要と認める日又は時間 | |||||||||
5 | 公務上の負傷又は疾病のための療養※ | その都度必要と認める日又は時間 | |||||||||
6 | 女性職員が生理のため勤務することが著しく困難である場 合 | その都度必要と認める期間。 | |||||||||
7 | 妊産婦の健康診査等休暇※ | ・母子保健法第 10 条に規程する保健指導又は同法第 13 条に規定する健康診査を受ける場合 ・妊娠の段階に応じて、1回につき1日の勤務時間の範囲内で必要と認 める時間 | |||||||||
8 | 妊婦の休息・補食休暇※ | ・従事する業務が母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、休息し、又は補食場合 ・その都度必要と認められる時間 | |||||||||
9 | 妊婦の通勤緩和休暇※ | ・通勤に利用する交通機関の混雑の程度が母体又は胎児の健康保持に影響がある場合 ・xxの勤務時間の初め又は終わりにおいて、1日を通じ1時間を超え ない範囲内でおのおの必要と認める時間 | |||||||||
10 | 妊娠障害休暇※ | ・妊娠障害のため勤務することが困難である場合 ・その都度必要と認められる時間 | |||||||||
11 | 産前休暇※ | ・出産する予定の女性 |
〜
〜
〜
〜
・産前6週間(多胎妊娠は14週間) | ||
12 | 産後休暇※ | ・出産した女性 ・産後8週間間(出産の日の翌日から) |
13 | 育児時間※ | ・生後満1年に達しない子を育てる職員 ・1日2回各 30 分 |
14 | 子の看護休暇※ | ・小学校就学の始期に達するまでの子を養育する職員が子を看護(看病及び疾病の予防のため必要な世話)する必要がある場合に与えられる休暇 ・年5日(小学校就学の始期に達するまでの子が2人以上の場合にあっ ては、10 日) |
15 | 短期の介護休暇※ | ・配偶者、父母、子等の介護や、通院の付添い等の必要な世話をする職員に与えられる休暇 ・年5日(要介護者が2人以上の場合にあっては、10 日) |
16 | 介護休暇※ | ・指定期間内において必要と認められる期間 (3回を超えず、かつ、通算して 93 日を越えない範囲内) |
17 | 介護時間※ | ・要介護者の介護をする場合で、1日につき2時間を超えない範囲内 |
18 | 部分休業※ | ・小学校就学の始期に達するまでの子を養育する場合で、1日につき2時間を超えない範囲内 |
19 | 病気休暇※ | ・負傷又は疾病のため療養する必要があり、勤務しないことがやむを得ないと認められる場合 ・任用初年度に付与された年次有給休暇の日数を超えない範囲でその都度必要と認められる期間 (例:月 18 日勤務の場合は、1の年度につき7日を超えない範囲内) |
8.職専免に関する権利
(1) 職務専念義務の免除(職専免)
地公法第 35 条で定められている「職務専念義務」は、任命権者又はその委任を受けた者の承認を得ることによって免除されます。地公法で定められた休職や労基法による年休・生休、教特法による「自宅研修」等はすべてこの中に含まれていますが、通常は条例や人事委員会規則で定められた次の場合を言います。
①研修を受ける場合
②厚生に関する計画の実施に参加する場合
③人事委員会が別に定める場合(人事委員会規則参照)
人事委員会規則 (職務に専念する義務の特例に関する規則)(抜粋)
1.地方公務員法(地公法)第 46 条の規定による勤務条件に関する措置の要求に係る審理に要求者として出席する場合
2.地公法第 49 条の2第1項による不利益処分に関する不服申し立てに係る審理に不服申立人として出席する場合
3.地方公務員災害補償法(1967 年法律第 121 号)第 51 条第1項及び第2項の規定による審査請求又は再審査請求に係る審理に審査請求人又は再審査請求人として出席する場合
7.国・地方公共団体から委嘱を受けて職務に関する講演又は講義を行う場合
8.職務に必要と認められる資格試験を受験する場合
9.このほか任命権者が必要と認め、人事委員会が承認した場合
(例)
・自動車運転免許証更新時における申請、講習及び受験等に要する最小限度必要と認める時間(1992.4.1〜)
9.公務災害と通勤災害
(1) 公務災害・通勤災害の定義
公務災害・通勤災害とは、公務上または通勤途上における負傷・疾病・障害・死亡のことを意味しています。労基法において、使用者に故意又は過失がなくとも、使用者が労働者を占有する状態のもとでは、労働中に発
生した災害に対しては、使用者が救済しなければならないと定め、さらに労働者の過失の有無によらず、救済するとも定められています。
公務上の災害と認められる具体的な内容は、次の表のようになります。
区 分 | x x | 対 象 事 例 | |
負 傷 | 職務遂行中 | 通常又は臨時の職務遂行中の場合 | 授業、クラブ活動、研修、健康診断 |
職務遂行に通常伴う合理的行為中 | 業務待機中の行為、生理的必要行為、善意行為など職務遂行に伴う合理的行為を行っている場合 | 社会教育、社会体育等の準公務、食事、トイレ | |
職務遂行に必要 な準備行為又は 後始末行為中 | 勤務時間の始めや終わりにおい て、 点検、整備、整理などの準備行為又 は後始末行為を行ってい る場合 | 実験器具の後片付け、体育用具の出し入れ | |
救助行為中 | 勤務時間において負傷し、又は疾病にかかった職員を救助する行為を行っている場合 | プールや研修地での救助活動 | |
防護行為中 | 非常災害時において勤務場所又はその附属施設を防護する行為を行 っている場合 | 台風に備えて寄宿舎に鍵をかけて回る際の負傷 | |
出張又は赴任の期間中 | 出張用務又は合理的な経路及び方法による旅行等出張用務に付随す る行為を行っている場合 | 私的行為を除く | |
特別な事情のもとの通勤途上 | 深夜や早朝あるいは休日の出退勤の途上等特別な事情のもとにおける出勤又は退勤途上の場合(通常の出退勤の場合は通勤災害となり ます) | 家庭訪問、生徒指導 | |
レクリエーション参加中 | 地方公務員法第42条の規定に基づき、任命権者が計画し、実施する等任命権者の支配管理下において行われたレクリエーションに参加中の場合 | 校内ソフトボール大会高教組体育大会 (県教委へ届け出ている行事) | |
設備の欠陥等 | 勤務場所やその附属施設におい て、設備の不完全又は管理上の不注意によって発生した場合 | 階段の手すりがはずれて負傷した場合など | |
職務遂行に伴う怨恨 | 職務遂行に伴う怨恨による場合 | 生徒からの暴行 | |
疾 病 | 負傷による疾病 | 公務上の負傷が原因と認められる 疾病 | 公務中の頭部打撲が原因の脳溢血 |
職業病 | 認定基準に定められた職業病で、 特に反証のない場合 | 腰痛等の認定にとりくんでいる | |
その他 | 公務と相当因果関係をもって発生したことが明らかな疾病 | 予防接種により発生した疾病等 | |
障害又は死亡 | 公務上の負傷又は疾病と相当因果 関係をもって生じたことが明らかな障害又は死亡 |
通勤災害とは、通勤途上において発生した災害で、具体的内容としては、次のような事例が考えられます。
事 項 | 通勤災害となる主な事例 | 通勤災害とならない主な事例 |
通勤のため | 勤務に就くため又は勤務を終了して帰宅するための往復 | ・通常の通勤途上の場合 ・勤務又は通勤に関係あるものを忘れ、これをとりに戻る場合 ・交通途絶、スト等の交通事情により許可を受けて引き返す場合 ・遅刻して出勤し、又は早退する 場合 | ・通勤途上で自己都合により引き返す場合 ・勤務終了後相当時間にわたり、囲碁、将棋等私用を弁じた後帰宅する場合 |
住居 | 居住し日常生活の本拠としている家屋のほか、勤務の都合、その他特別の事情により特に設けられた宿泊場所 | ・家族と共に生活している家等通常勤務のための出勤の始点 ・通常の勤務のため、又は長時間の残業、早出出勤等にそなえて 設けた宿泊場所 | ・地方出身者の一時的帰省先 ・家族ともに郷里の実家に行き、そこから出勤する場合のその家 |
勤務場所 | 勤務する場所として明示又は黙示の指定を受けた場所 | ・通常の勤務提供の場所 | ・同僚との懇親会、送別の会場 |
合理的な経路 | 住居と勤務場所との間の往復に、一般の通常用いられる経路及び方法 | ・定期券又は通勤届による経路及び通常これと代替することが考えられる経路 ・交通事情によりやむを得ず迂回する経路 ・共稼ぎで子供を託児所に連れて いく経路 | ・鉄道線路、高速道路を歩行する場合の経路 ・交通事情によらず著しく遠回りとなる経路 |
合理的な方法 | ・電車、バス等公共交通機関を利用する場合 ・自家用自動車、自転車等を使用する場合 ・徒歩による場合 | ・無資格者の運転する自動車を利用する場合 ・泥酔運転又はそれを知りながら同乗する場合 | |
事 項 | 逸脱又は中断に該当し、経路に復した後は通勤とする事例 | 逸脱又は中断に該当し、経路に復したとしても通勤とはしない事例 | |
中断 | 通勤とは関係のない目的で合理的な経路からそれること | ・米、酒類等の飲食料品、下着等の衣料品、家庭用燃料品等の日用品を購入する場合 ・独身職員が通勤途中で食事をする場合 ・理髪店、美容院に行く場合・テレビ等の修理を依頼に行く場合 ・学校において行われる教育又は公共職業訓練施設において行われる職業訓練等を受ける行為 ・病院又は診療所において診察又は治療を受ける行為 ・選挙のための投票行為 | ・宝石等の奢侈品、テレビ等の耐久消費財、ゴルフ等のスポーツ用品を購入する場合 ・娯楽等のため、麻雀、ゴルフ練習、ボーリング、料亭等での飲食等をする場合 ・趣味又は娯楽のための教育、訓練を受ける場合 ・同僚の送別会、冠婚葬祭に行く場合 |
逸脱 | 合理的な経路上において通勤目的から離れた行為を行うこと |
(2) 公務災害認定の手続き
公務災害は被災者側から請求しない限り、学校や地方公共団体の側からの補償はありません。ですから、被災者本人または遺族が次に示す手順に沿って認定手続きをします。
請求者は公務災害の認定請求書をまず任命権者を経由して基金支部(支部長)に提出しなければなりません。療養補償等の各種補償の請求書の提出についても任命権者を経由する点は同様です。
(3) 通勤災害の認定請求の手続き
教職員が通常途上で受けた災害は、公務災害と認められる場合と通勤災害と認められる場合があります。公務上災害か通勤災害か不明の場合には同時請求することも可能です。
通勤災害の認定請求の手続きは、公務上災害の認定手続きとほぼ同じですが、添付資料としては、公務災害の場合のほかに次のものが必要です。
① 通常の通勤経路・所要時間・交通用具を示す資料
② 通勤届以外に被災職員が使用していた通勤経路・所要時間・交通用具を示す資料
③ 通勤経路における道路の混雑状況を示す資料
通勤途上の災害の場合、第三者の行為によって発生した場合が多く、この点について注意すべき点は公務上で述べたところと同様です。
(4) 第三者行為の場合
当該災害が第三者の行為によって発生したものであるときは、その事実、第三者の氏名及び住所、生年月日(わからないときはその旨)を記載した書類(第三者加害報告書等)も必要とされています。
(5) 認定請求にあたっての留意点
① 災害に遇ったら、ただちに校長、組合、同僚に連絡し災害時の状況を正確にメモしておく。ただし診断書の交付も受けておくこと。
② 現認証明書は仲間、被災の状況を目撃した人に協力を求めて早めに作ること。過労が原因の場合、必要な事実証明書も同様早めに作ること。
③ 分会がその中心となってとりくみ、むずかしいところは高教組本部と相談し書類を整えること。書類が不十分なまま請求を出し一旦「公務外」認定されてしまうと、これを覆すことは困難である。
④ 認定されなかったり、認定に不服があるときには、決定を知った日の翌日から 60 日以内に基金支部審査会に不服申立てができる。審査会の不服申立てが認められなかった場合には採決の日から 30 日以内に本部審査会に対して再審査請求の申立てができる。
さらに、再審査請求が認められなかったときは、その認定の取消を求める行政訴訟を裁判所に提訴することができます。
※基金支部審査会が支部の「公務外」認定を取り消した例
高教組組合員が生徒指導による精神的ストレスにより「うつ病」を発症し、自死に至った事案が発生しました。基金大分支部は「公務外」と認定しましたが、高教組の支援の下、遺族が支部審査会に審査請求した結果、「公務外とした認定を取り消す」とする採決が下りました。(2012 年3月)