今回の消費者契約法立法の動きは、従来の消費者保護基本法や PL 法立法の動きと比較して、議論のバックグラウンドが異なっていた。つまり、従来の弱者としての消費者 を保護するための立法目的に加えて6、むしろ消費者と事業者との情報量・交渉力格差を縮小させ、市場メカニズム重視の社会システムに転換するための民事ルールとして消費 者契約法が必要であるとした点に特徴がある。そうであるならば、規制緩和の潮流の中で、このような消費者契約法を立法する意義、あるいは正当性根拠をどのように説明する かといった問題があった。