用語 意味 特例事業 不動産特定共同事業(平成 6 年法律第 77 号)第 2 項第 6 号に基づく事業をいう。 特例事業スキーム 不動産特定共同事業法(平成 6 年法律第 77 号)第 2 条第 6 項に基づく不動産証券化スキームをいう。 特例事業者 不動産特定共同事業法(平成 6 年法律第 77 号)第 40 条の第 2 項の規定による届出を行い、専ら不動産特定共同事業を行う特別目的会社(SPC)をいう。 オリジネーター 不動産証券化事業において、対象資産となる不動産を所有する原所有者をいう。...
平 成 2 6 年 度国土交通省調査
不動産特定共同事業等を活用した不動産証券化モデル事業
実務ガイドライン編
平成 27 年 3 月一般財団法人
日本不動産研究所
本書中の「特例事業用匿名組合型不動産特定共同事業契約約款(不特法第 2 条第 3 項第 2号契約モデル約款)」(別紙 1)(以下「モデル約款」といいます。)及び「特例事業用匿名組合型不動産特定共同事業契約(個別契約書式例)」(別紙 2)(以下「個別契約書式例」といいます。)は参考として情報提供することを目的としており、一般財団法人日本不動産研究所(以下「当研究所」といいます。)はその正確性、完全性に対する責任を負うものではありません。また、モデル約款及び個別契約書式例の内容に起因するいかなる損害や損失についても当研究所は責任を負いません。また、不動産特定共同事業の許認可等がなされることを保証するものでもありません。
本書は作成時点で、当研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、本書中のいかなる情報の利用も各利用者自身の判断で行われるべきものであり、当研究所は利用の結果生じたあらゆる損害に対して、何ら責任を負わないものとします。個別具体的な取引及び許認可等の申請の際は所轄官庁、弁護士、税理士、会計士等の専門家の確認が必要となります。
本書の無断複製を禁じます。
不動産特定共同事業等を活用した不動産証券化モデル事業実務ガイドライン編
目 次
第 1 章 不動産特定共同事業(不特法第 2 条第 4 項第 3 号・第 4 号)の許可申請 1
1. 不動産特定共同事業 1
2. 第三号事業・第四号事業の概要 4
3. 許可申請 5
4. 許可基準等 9
5. 不動産特定共同事業契約 12
6. 不動産特定共同事業契約約款の作成 14
7. xx業法第 3 条第 1 項の免許に関する事項 18
8. 金商法に規定する第二種金融商品取引業に関する事項 18
第 2 章 特例事業者の態勢整備 19
1. 特別目的会社の設立 19
2. 不動産特定共同事業者への業務委託 19
3. 特例事業の開始の届出 35
4. その他留意する事項 35
第 3 章 投資計画の検討 38
1. 投資計画の検討における基本的な流れ 38
2. 事業計画の策定 38
3. デューデリジェンスの実施 45
第 4 章 不動産特定共同事業の実施 48
1. 第三号事業 48
2. 第四号事業 58
第 5 章 特例事業における届出事項の変更・特例事業非該当時の届出 66
1. 特例事業の届出制度 66
2. 特例事業における届出事項の変更 66
3. 特例事業非該当時の届出 66
第 6 章 不動産特定共同事業の終了 67
1. 償還資金の準備 67
2. 不動産の処分 67
3. 不動産特定共同事業の終了 67
4. 合同会社の解散 68
5. 合同会社の清算 68
6. 宅地建物取引業の廃止の届出及び営業保証金の取戻し 69
別紙 1 特例事業用匿名組合型不動産特定共同事業契約約款(不特法第 2 条第 3 項第 2 号契約モデル約款)
別紙 2 特例事業用匿名組合型不動産特定共同事業契約(個別契約書式例)
本実務ガイドラインにおいては、以下の略称・用語を用いる。
正式名称 | 略称 |
不動産特定共同事業法(平成 6 年法律第 77 号) | 不特法 |
不動産特定共同事業法施行令(平成 6 年政令第 413 号) | 不特法施行令 |
不動産特定共同事業法施行規則(平成 7 年大蔵省・建設省令第 2 号) | 不特法施行規則 |
不動産特定共同事業法の一部を改正する法律(平成 25 年法律第 56 号) | 改正不特法 |
主務大臣が監督を行うにあたって指針としている事項 「不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項について」 | 事務ガイドライン |
不動産特定共同事業法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案及び不動産特定共同事業法施行規則の一部を改正する命令 案に対する意見の募集結果 | パブコメ |
宅地建物取引業法(昭和 27 年法律第 176 号) | xx業法 |
金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号) | 金商法 |
犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成 19 年法律第 22 号) | 犯収法 |
用語 | 意味 |
特例事業 | 不動産特定共同事業(平成 6 年法律第 77 号)第 2 項第 6 号に基づく事 業をいう。 |
特例事業スキーム | 不動産特定共同事業法(平成 6 年法律第 77 号)第 2 条第 6 項に基づく 不動産証券化スキームをいう。 |
特例事業者 | 不動産特定共同事業法(平成 6 年法律第 77 号)第 40 条の第 2 項の規定による届出を行い、専ら不動産特定共同事業を行う特別目的会社 (SPC)をいう。 |
オリジネーター | 不動産証券化事業において、対象資産となる不動産を所有する原所有 者をいう。 |
レンダー | 不動産証券化事業において、特別目的会社(SPC)へ融資を行う者をい う。 |
GK-TK スキーム | 不動産信託受益権を対象資産として、特別目的会社(SPC)に合同会社を利用し、匿名組合出資により投資家より出資を受ける不動産証券化 スキームをいう。 |
■ 実務ガイドラインの構成 ■
本実務ガイドラインは、特例事業スキームを活用した不動産証券化事業の実務の流れに従って以下のとおり構成される。
まず、不動産証券化事業を行うにあたっては、その意義や目的を確認し、対象不動産の概要や事業計画、スケジュール等の大枠について事前に検討を行う。
次に、不動産特定共同事業の業務の種別のうち第三号事業または第四号事業の許可を受けるため、主務大臣に対して事前相談及び許可申請を行い、許可を受ける(第 1 章)。
当該許認可を受けたのち、特例事業者となる特別目的会社(SPC)を設立し、かかる不動産特定共同事業者へ業務を委託し、特例事業の開始に伴う届出を行う(第 2章)。
取得候補不動産の事前検討から確定的な資金調達額の決定までの不動産証券化事業にかかる、より具体的な事業計画として、取得候補不動産の事前検討、期中運用・出口戦略の策定、事業スケジュールの策定及び資金計画の作成を行う。次に、物理的調査、経済的調査及び法的調査等のデューデリジェンスを実施する(第 3 章)。
その後、資金調達額を決定し、第三号事業を行う者は対象不動産取得の準備を始め、並行して、第四号事業を行う者は投資家への説明・勧誘を行い、不動産特定共同事業契約の締結・出資金の払い込み、レンダーからの借入により資金調達を実行のうえ、対象不動産を特例事業者である特別目的会社(SPC)が取得する(いわゆるクロージング)。
取得後の期中運用時では、対象不動産を適切に管理・運用する。そして、投資計画に基づき売却を実施し、特例投資家へ出資金償還、レンダーに借入の返済を行い、特別目的会社(SPC)の清算・解散を行い、不動産特定共同事業を終了する(第 6 章)。なお、事業の実施過程で届け出た事項に変更が生じた場合には、特例事業者は届
出事項の変更を届け出る(第 5 章)。
不動産証券化事業の事前検討
不動産特定共同事業の許可
第1章
特別目的会社( SPC)の設立
不動産特定共同事業者への業務委託
第2章
特例事業の開始に伴う届出
事業計画の策定
取得候補不動産の事前検討
(不動産の特徴の把握・目的の明確化)
期中運用・出口戦略の策定
事業スケジュールの策定
第3章
資金計画の作成
デューデリジェンスの実施
資金調達額の決定
第3号事業を行う者
対象不動産の取得準備
第4号事業を行う者
不動産特定共同事業契約の締結の勧誘
不動産特定共同事業契約の締結
第4章
対象不動産の取得
資金調達の実行
対象不動産の期中運用
特例事業の届出事項の変更等 第5章
対象不動産の売却
第6章
不動産特定共同事業の終了
第1章 不動産特定共同事業(不特法第 2 条第 4 項第 3 号・第 4 号)の許可申請
1. 不動産特定共同事業
改正不特法において、建築物の耐震化や老朽不動産の再生への民間資金の導入促進を通じて、地域経済の活性化や資産デフレからの脱却を図るため新たに導入された特例事業によって、一定の要件を満たす特別目的会社(SPC)が許可を受けることなく届出だけで不動産特定共同事業を実施することが可能になった。
これは、専ら不動産特定共同事業を行うことを目的とする法人は、不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引にかかる業務及び不動産特定共同事業契約の締結勧誘の業務について、当該業務にかかる許可を受けた不動産特定共同事業者に委託すること等を要件に、届出を行うことだけで、不動産特定共同事業(特例事業)を行うことができるものである。
なお、特例事業を行うための要件は以下のとおりである(不特法第 2 条第 6項)。
① 不動産特定共同事業契約を締結して当該不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引から生ずる収益または利益の分配を行う行為を専ら行うことを目的とする法人(不動産特定共同事業者であるもの及び外国法人で国内に事務所を有しないものを除く。)が行うものであること。
② 不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引にかかる業務を、一の不動産特定共同事業者(不特法第 2 条第 4 項第 3 号に掲げる行為にかかる事業(以下「第三号事業」という。)を行う者に限る。)に委託するものであること。
③ 不動産特定共同事業契約の締結の勧誘にかかる業務を、不動産特定共同事業者(不特法第 2 条第 4 項第 4 号に掲げる行為にかかる事業(以下「第四号事業」という。)を行う者に限る。)に委託するものであること。
④ 銀行、信託会社その他不動産に対する投資にかかる知識及び経験を有すると認められる者として主務省令で定める者または資本金の額が主務省令で定める額以上の株式会社(以下「特例投資家」という。)を相手方または事業参加者とするものであること。
⑤ その他事業参加者の利益の保護を図るために必要なものとして主務省
令で定める要件に適合してするものであること。
上記④の銀行、信託会社その他不動産に対する投資にかかる知識及び経験を
有すると認められる者として主務省令で定める者は以下のとおりである(不特法施行規則第 2 条第 1 項)。
a. 不動産特定共同事業者
b. 認可宅地建物取引業者(xx業法第 50 条の 2 第 2 項 に規定する認可宅地建物取引業者をいう。)
c. 不動産に対する投資にかかる投資判断に関し助言を行うのに十分な知識及び能力を有するものとして国土交通大臣の登録を受けている者(以下「不動産投資顧問業者」という。)
d. 特例事業者との間で当該特例事業者に対して不動産を売買もしくは交換により譲渡する契約または賃貸する契約を締結している者であって、かつ、不動産特定共同事業契約の締結に関し、不動産投資顧問業者との間で不動産の価値の分析もしくは当該分析に基づく投資判断に関し助言を受けることまたは投資判断の全部もしくは一部を一任することを内容とする契約を締結している者(以下「不動産譲渡人等」という。)
e. 金商法第 2 条第 31 項 に規定する特定投資家(金商法第 34 条の 2 第 5項 の規定により特定投資家以外の顧客とみなされる者を除く。)及び金商法第 34 条の 3 第 4 項(金商法第 34 条の 4 第 6 項 において準用する
場合を含む。)の規定により特定投資家とみなされる者
また、上記④の資本金の額について主務省令で定める額は 5 億円とされる(不
特法施行規則第 2 条第 2 項)。
⑤の要件とは、不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引にかかる業務を不動産特定共同事業者(第三号事業を行う者に限る。)に委託する契約において、少なくとも次に掲げる事項が定められていることとされる(不特法施行規則第 3 条)。
a. 当該不動産特定共同事業者は、当該特例事業者の同意なく、当該業務の再委託を行わないこと。
b. 当該不動産特定共同事業者は、当該特例事業者の業務及び財産の状況を記載した書類を事務所ごとに備え置き、当該特例事業者の求めに応じ、これを閲覧させなければならないこと。
c. 当該不動産特定共同事業者は、当該特例事業者の求めに応じ、当該特例
事業者の業務及び財産の状況について説明しなければならないこと。
【スキーム図】
不動産取引
業務委託
対象不動産の
借入
取得・保有
元利金
対象不動産の
賃貸
出資
対象不動産の
売却
配当
不動産特定共同事業契約
業務委託
代理・媒介
不動産特定共同事業者
(契約締結の勧誘業務受託)第四号事業を行う者
不動産購入者
事業参加者
テナント
特例事業者
(特別目的会社)
金融機関等
オリジネーター
不動産特定共同事業者
(不動産取引に係る業務受託)第三号事業を行う者
2. 第三号事業・第四号事業の概要
第三号事業とは、不特法第 2 条第 4 項第 3 号に掲げる行為にかかる事業をいう。具体的には、特例事業者の委託を受けて、当該特例事業者が当事者である不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引(不動産の売買、交換または賃貸借をいう。)にかかる業務を行う行為をいう。
第三号事業を行うためには当該事業者は、不動産特定共同事業の許可を受ける必要がある(不特法第 3 条第 1 項)。
第三号事業を行う者が行う必要のある主な業務は以下のとおりとされる。
① 特例事業者の委託を受けて、当該特例事業者が当事者である不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引(不動産の売買、交換または賃貸借をいう。)にかかる業務(不特法第 2 条
第 4 項第 3 号)。
②不動産特定共同事業契約約款の作成または変更(不特法第 5 条第
2 項第 4 号、不特法第 9 条第 1 項)。
③不動産特定共同事業契約にかかる財産の管理の状況の事業参加者への説明(不特法第 28 条第 1 項)。
④ 特例事業者の業務及び財産の状況を記載した書類の作成、備置及び閲覧に供すること(不特法第 29 条)。
⑤ 特例事業者が締結する不動産特定共同事業契約にかかる事業者参加者名簿の作成及び閲覧に供すること(不特法第 30 条)。
⑥ 特例事業者の業務に関する帳簿書類の作成及び保存(不特法第 32 条)。
⑦事業年度ごとの事業報告書の作成及び提出(不特法第 33 条)。
第四号事業とは、不特法第 2 条第 4 項第 4 号に掲げる行為にかかる事業をいう。具体的には、特例事業において、特例事業者の委託を受けて当該特例事業者が当事者である不動産特定共同事業契約の締結の代理または媒介にかかる業務をいう。
第四号事業を行うためには当該事業者は、第三号事業を行う者と同様、不動産特定共同事業の許可を受ける必要がある(不特法第 3 条第 1 項)。
第四号事業を行う者が行う必要のある主な事業は特例事業者が当事者である不動産特定共同事業契約の締結の代理または媒介をする行為をいう(不特法第 2 条
第 4 項第 4 号)。
3. 許可申請
(1) 許可申請手続
不動産特定共同事業(第三号事業及び第四号事業)の許可申請は、不特法第 5 条第 1 項各号の事項を記載した許可申請書に、不特法第 5 条第 2 項各号の書類を添付し、提出する必要がある。
そして、不動産特定共同事業(第三号事業及び第四号事業)を営もうする者は主務大臣の許可を受けなければならないが、主務大臣に提出すべき当該許可申請書及び書類は主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由しなければならない(不特法第 3 条第 1 項、不特法第 48 条の 2)。
(2) 許可申請書の記載事項
許可申請書の記載事項は以下のとおりである(不特法第 5 条第 1 項、不特法
施行令第 3 条、不特法施行規則第 4 条第 1 項)。
第三号事業 | 第四号事業 |
① 商号または名称及び住所 ② 役員の氏名及び使用人で事務所の代表者があるときは、その者の氏名 ③ 事務所の名称及び所在地並びに事務所ごとに置かれる業務管理者の氏名 ④ 資本金または出資の額 ⑤ xx業法 3 条 1 項の免許に関する事項 ⑥ 業務の種別 ⑦ 他に事業を行っているときは、その事業の種類 ⑧ 不動産特定共同事業にかかる業務の方法 ⑨ 役員が他の法人の常務に従事し、または事業を営んでいる場合、当該役員の氏名並びに当該他の法人の商号もしくは名称及び業務の種類または当該事業の種類 ⑩ 不動産特定共同事業契約にかかる不動産取引の目的となる不動産(以下 「対象不動産」という。)を追加して取得し、または自己の財産もしくは他の不動産特定共同事業契約にかかる財産を対象不動産に追加すること (以下「対象不動産の追加取得」という。)により対象不動産の変更を行うこと(以下「対象不動産の変更」という。)を予定する不動産特定共同事業契約(以下「対象不動産変更型契約」という。)に基づき不動産特定共同事業を行おうとする場合(第一号事業または第三号事業を行おうとする場合に限る。)にあっては、対象不動産変更型契約にかかる業務に従事する者が当該業務を遂行するに足りる十分な知識及び経験を有するこ とを証する事項 |
- | ⑪ 金商法 29 条の登録(同法 28 条 2項に規定する第二種金融商品取引業の種別にかかるものに限 る。)に関する事項 |
(3) 許可申請書の添付書類
不特法第 5 条第 1 項の許可申請書に添付しなければならない書類は以下のと
おりである(不特法第 5 条第 2 項、不特法施行規則第 5 条)。
第三号事業 | 第四号事業 |
① 定款またはこれに代わる書面 ② 登記事項証明書またはこれに代わる書面 ③ 事務所について不特法第 17 条第 1 項に規定する要件(※)を備えていることを証する書面 ④ 相談役及び顧問の氏名及び住所、発行済株式総数の 100 分の 5 以上の株 式を有する株主または出資の額の 100 分の 5 以上の額に相当する出資をしている者の商号もしくは名称または氏名、住所及びその有する株式の数またはその者のなした出資の額並びに役員が法人であるときは、当該法人の商号または名称並びに当該役員の職務を行うべき者の氏名及び住所 ⑤ 事務所を使用する権原に関する事項 ⑥ 役員、使用人で事務所の代表者及び事務所ごとに置かれる業務管理者の略歴または沿革及び不特法第17 条第1 項に規定する要件に該当する者に関する事項 ⑦ 不動産特定共同事業の業務を執行するための組織に関する事項 ⑧ 不特法 6 条各号の欠格事由に該当しないことを誓約する書面 ⑨ 役員、使用人で事務所の代表者及び事務所ごとに置かれる業務管理者が不特法 6 条 6 号イに規定するxx被後見人及び被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書もしくは市町村長の証明書、または外国の法令xxx被後見人もしくは被保佐人と同様に取り扱われている者に該当しない旨の証明書もしくはこれに代わる書面 ⑩ 役員、使用人で事務所の代表者及び事務所ごとに置かれる業務管理者が民法の一部を改正する法律附則 3 条 1 項及び 2 項の規定により不特法 6 条 6 号イに規定するxx被後見人及び被保佐人とみなされる者に該当しない旨の市町村の長の証明書並びに同号ロに規定する破産者で復権を得ないものに該当しない旨の市町村の長の証明書または外国の法令上破産者で復権を得ないものと同様に取り扱われている者に該当しない旨の証明書もしくはこれに代わる書面 ⑪ 事務所付近の地図及び事務所の写真 ⑫ 直前 3 年の各事業年度の貸借対照表及び損益計算書またはこれらに代わる書面(公認会計士(公認会計士法第 16 条の 2 第 5 項に規定する外国公 |
認会計士を含む。)または監査法人の監査を受けたものに限る。) ⑬ 法人税の直前 3 年の各年度における納付すべき額及び納付済額を証する書面 | |
⑭ 不動産特定共同事業契約約款 | - |
(※)業務管理者として業務経験や能力に関する要件等を満たす者を事務所ごとに設置することが規定されている。業務管理者とは、不動産特定共同事業契約の締結の勧誘、不動産特定共同事業契約の内容についての説明、事業参加者に対する財産の管理の状況の説明等の業務の実施に必要な助言、指導その他の監督管理を行う者である。
業務管理者の要件は以下のとおりである(不特法施行規則第 17 条第 1 項)。
a.不動産特定共同事業者の従業者であって宅地建物取引業法 18 条に規定する登録(宅地建物取引士としての登録)を受けていること
b.以下のいずれかに該当すること
(a)不動産特定共同事業の業務に関し 3 年以上の実務の経験を有する者
(b)主務大臣が指定する不動産特定共同事業に関する実務についての講習を修了した者
(c)(a)に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められることを証明する事業として、不特法施行令 17 条の 2 から 17 条の 4 までの規定により国土交通大臣の登録を受けたもの(登録証明事業)による証明を受けている者
なお、提出すべき許可申請書及びその添付書類の部数は、xx 1 部及びその
写し 4 部とされる(不特法施行規則第 6 条)。
4. 許可基準等
(1) 許可基準
不動産特定共同事業(第三号事業及び第四号事業)を行うための許可基準は下表のとおりである(不特法第 7 条)。
第三号事業 | 第四号事業 |
① その資本金または出資の額が事業参加者の保護のため必要かつ適当なものとして業務の種別ごとに不特法施行令第 4 条で定める金額(※1)を満たすものであること。 ② その資産の合計額から負債の合計額を控除した額が資本金または出資の額の 1OO 分の 90 に相当する額を満たすものであること。 ③ その者またはその役員もしくは使用人で事務所の代表者が当該許可の申請前 5 年以内に不動産特定共同事業に関し不正または著しく不当な行為をしたものでないこと。 ④ その事務所が不特法第 17 条 1 項に規定する要件を満たすものであること。 ⑤ 不動産特定共同事業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成(※ 2)を有するものであること。 | |
⑥ その不動産特定共同事業契約約款 の内容が不特法施行令第5 条で定める基準に適合するものであること。 | - |
(※1)業務の種別ごとに不特法施行令第 4 条で定める金額とは以下のとおりである。
第三号事業を行おうとする法人 | 第四号事業を行おうとする法人 |
5,000 万円 | 1,000 万円 |
(※2)構成の審査の基準としては、前事業年度における財産及び損益の状況、推移の見込み、組織構成、役員の兼職状況等が審査される(不特法施行規則第 8条の 3)。
(2) 欠格事由
不動産特定共同事業(第三号事業及び第四号事業)の許可の欠格事由は下表のとおりである(不特法第 6 条)。
第三号事業 | 第四号事業 |
① 法人でない者(外国法人で国内に事務所を有しないものを含む) ② xx業法第 3 条第 1 項の免許(宅地建物取引業の免許)を受けていない法人 ③ 不特法第 36 条の規定により不特法第 3 条第 1 項の不動産特定共同事業の許 可を取り消され、その取消しの日から 5 年を経過しない法人またはこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種の許可を取り消され、その取消しの日から 5 年を経過しない法人 ④ 不特法第 36 条各号のいずれかに該当するとして不特法第 3 条第 1 項の不動産特定共同事業の許可の取消しの処分に係る行政手続法の規定による聴聞の通知があった日から当該処分があった日または処分をしないことの決定があった日までの間に不特法第 11 条第 1 項第 4 号に該当する旨の同項の規定によ る廃業の届出をした法人で当該届出の日から 5 年を経過しないもの ⑤ 不特法、xx業法もしくは出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の規定により罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から 5 年を経過しない法人 ⑥ 役員または使用人で事務所の代表者のうちに次のいずれかに該当する者のある法人 a. xx被後見人または被保佐人 b. 破産者で復権を得ない者 c. 禁鋼以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から 5 年を経過しない者 d. ⑤に規定する法律もしくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定もしくはこれらに相当する外国の法令の規定に違反したことにより、または刑法第 204 条、第 206 条、第 208 条、第 208 条の 2、第 222条もしくは第 247 条の罪もしくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から 5 年を経過しない者 e. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第 2 条第 6 号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から 5 年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。) f. 不動産特定共同事業者が第 36 条の規定により第 3 条第 1 項の不動産特定 |
共同事業の許可を取り消された場合において、その取消しの処分に係る行政手続法第 15 条の規定による聴聞の通知があった日前 60 日以内に当該不 動産特定共同事業者の役員であった者で当該取消しの日から 5 年を経過しないもの g. 不動産特定共同事業者が第 36 条各号のいずれかに該当するとして第 3 条第 1 項の不動産特定共同事業の許可の取消しの処分に係る行政手続法第 15 条の規定による聴聞の通知があった日から当該処分があった日または処分をしないことの決定があった日までの間に第 11 条第 1 項第 4 号に該当する旨の同項の規定による廃業の届出をした場合において、当該通知があった日前 60 日以内に当該不動産特定共同事業者の役員であった者で当該届出の日から 5 年を経過しないもの h. この法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種の許可を取り消され、その取消しの日から 5 年を経過しない者(当該許可を取り消された法人の当該取消しの日前 60 日以内に役員に相当する者であった者で当該取消しの日から 5 年を経過しないものを含む。) ⑦ 暴力団員等がその事業活動を支配する法人 | |
- | ⑧ 金商法第 29 条の登録(第二種金融商品取引業の登録)を受けてい ない法人 |
5. 不動産特定共同事業契約
不動産特定共同事業契約とは、以下の契約形態に応じて営まれる不動産取引から生ずる収益または利益の分配を行うことを約する契約であり、不動産特定共同事業者と事業参加者の間にて締結される。
不動産特定共同事業契約とは、下表に掲げる契約(予約を含む。)をいう(不特法第 2 条第 3 項)。
ただし、契約(予約を含む。)の締結の態様、当事者の関係等を勘案して収益または利益の分配を受ける者の保護が確保されていると認められる契約(予約を含む。)として不特法施行令第 1 条で定めるものは除かれている。
契約形態 | 特例事業スキームにおける 典型的な例 |
① 各当事者が、出資を行い、その出資による共同の事業として、そのうちの 1 人またはxxの者にその業務の執行を委任して不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる収益の分 配を行うことを約する契約 | 特例事業者が業務執行者(当該組合の業務の執行を組合契約で委託した者)として業務を営み、他の組合員である事業参加者が出資を行う民法第 667条に規定する任意組合契約 |
② 当事者の一方が相手方の行う不動産取引のため出資を行い、相手方がその出資された財産により不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる 利益の分配を行うことを約する契約 | 特例事業者が営業者として業務を執行し、事業参加者が匿名組合員として出資を行う商法第 535 条に規定する匿名組合契約 |
③ 当事者の一方が相手方の行う不動産取引のため自らの共有に属する不動産の賃貸をし、またはその賃貸の委任をし、相手方が当該不動産により不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる収益の分配を行うことを 約する契約 | - |
④ 外国の法令に基づく契約であって、 ①~③に掲げるものに相当するもの | 外国の法令に基づく契約であること のほかは、それぞれ上記①~③の契約と同様の契約 |
⑤ ①~④に掲げるもののほか、不動産取引から生ずる収益または利益の分 配を行うことを約する契約(外国の | - |
法令に基づく契約を含む。)であって、当該不動産取引にかかる事業のxx及び当該不動産取引から生ずる収益または利益の分配を受ける者の保護を確保することが必要なものと して政令で定めるもの |
6. 不動産特定共同事業契約約款の作成
(1) 不動産特定共同事業契約約款
不動産特定共同事業契約約款とは、不動産特定共同事業者が不動産特定共同事業を行う際に締結する個別の不動産特定共同事業契約の基本になるものである。そして、不動産特定共同事業者は、許可または認可にかかる不動産特定共同事業契約約款に基づいて、不動産特定共同事業契約の締結をしなければならない(不特法第 23 条第 1 項)。
また、不動産特定共同事業契約の締結の代理をする不動産特定共同事業者についても、その代理をする不動産特定共同事業者またはその代理をする特例事業者がその不動産取引にかかる業務を委託する不動産特定共同事業者の許可または認可にかかる不動産特定共同事業契約約款に基づいて、不動産特定共同事業契約の締結をしなければならない(不特法第 23 条第 2 項)。
そして、不動産特定共同事業の許可の基準を定める不特法第 7 条第 5 号において、不動産特定共同事業契約約款の内容が政令で定める基準に適合するものであることが要求されているため、許可にあたっては当該約款の内容が基準に適合しているか審査される。
(2) 特例事業を行う場合における不動産特定共同事業契約約款の記載事項
特例事業における不動産特定共同事業契約約款の記載事項については、不特法施行令第 5 条第 1 項及び不特法施行規則第 8 条の 2 第 1 項において、また、
当該記載事項の具体的内容の記載にかかる基準は、不特法施行令第 5 条第 2 項
及び不特法施行規則第 8 条の 2 第 2 項において規定されている。
当該記載事項及び具体的な記載内容を整理すると以下のとおりである。
記載事項 | 具体的な記載内容 |
① 不特法第 2 条第 3 項各号に掲げる契約の種別に関する事 項 | 不特法第 2 条第 3 項各号に掲げる契約の種別のいずれに該当するかを明示したものであること。 |
② 不動産特定共同事業契約にかかる不動産取引の目的となる不動産の特定及びその不動産取引の内容に関する事項 | a. 対象不動産の所在、地番、用途、土地面積、延べ床面積その他の対象不動産を特定するために必要な表示があるもの(対象不動産変更型契約については、変更前の対象不動産を特定するために必要な表示に限る。) b. 対象不動産の変更の予定の有無に関する定めがあるもの c. 金銭をもって出資の目的とする契約にあって |
は、対象不動産の取得の予定時期に関する定めがあるもの(対象不動産変更型契約については、変更前の対象不動産の取得時期に関す る定めに限る。) | |
③ 事業参加者に対する収益または利益の分配に関する事 項 | - |
④ 不動産特定共同事業契約にかかる財産の管理に関する事項 | a. 出資を伴う契約のうち、金銭をもって出資の目的とする契約にあっては、出資額または出資額の限度額、支払期日または支払期限、並びに出資総額の限度額または出資予定総額及び出資予定総額に対する出資の割合の表示があるもの b. 出資または賃貸もしくは賃貸の委任の目的である財産を、当該不動産特定共同事業契約にかかる不動産取引により運用する旨を明示したもの c. 出資を伴う契約にあっては、対象不動産を当該不動産特定共同事業契約に基づく不動産特定共同事業の目的以外のために担保に供し、または出資の目的とすることを禁ずる旨を明示したもの d. 不動産特定共同事業契約にかかる財産を、自己の固有財産及び他の特例事業にかかる財産 と分別して管理する旨の定めがあるもの |
⑤ 契約期間に関する事項 | - |
⑥ 契約終了時の清算に関する 事項 | - |
⑦ 契約の解除に関する事項 | - |
⑧ 不動産特定共同事業者の報 酬に関する事項 | - |
⑨ 不動産特定共同事業契約にかかる不動産取引から損失が生じた場合における当該 損失の負担に関する事項 | - |
⑩ 業務及び財産の状況にかか | 業務及び財産の状況にかかる情報であって次に掲 |
る情報の開示に関する事項 | げるものが事業参加者に開示されるための方法に関する定めがあること。 a. 不特法第 29 条の規定により閲覧に供される業務及び財産の状況を記載した書類の記載事項 b. 不特法第 30 条 2 項の規定により閲覧に供され る事業参加者名簿の記載事項 |
⑪ 事業参加者の契約上の権利及び義務の譲渡に関する事 項 | 事業参加者の契約上の権利及び義務の譲渡の相手方が特例投資家に限られる旨の定めがあること。 |
⑫ 対象不動産の変更にかかる手続に関する事項(対象不動産変更型契約の場合のみ。) | a. 対象不動産の追加取得の方針及び手続に関する定めがあるもの b. 追加募集をする予定の有無に関する定めがあ るもの |
⑬ 不動産特定共同事業契約に基づく不動産取引にかかる業務の委託先に関する事項 | a. 不動産特定共同事業契約に基づく不動産取引にかかる業務の委託先の商号または名称及び住所 b. 当該委託にかかる契約の概要 |
⑭ 委託特例事業者の報酬に関 する事項 | - |
一般社団法人不動産証券化協会は、「不動産特定共同事業法の改正に伴う新しいスキームのモデル約款検討委員会」において、特例事業スキームが活用・推進されることを期待し、これから特例事業を行おうとする事業者が不動産特定共同事業契約約款を作成する際の参考のために、「不動産特定共同事業契約約款のモデル約款」を作成し、公表している。
当該不動産特定共同事業契約約款のモデル約款は、実際の特例事業でも多く活用されるものと考えられる不特法第 2 条第 3 項第 2 号に定める契約(商法第
535 条に規定する匿名組合契約)を前提として作成されている。
また、事務ガイドライン第 3-2 によれば、不特法第 7 条第 5 号の不動産特定共同事業契約約款の内容が基準に適合しているか審査する場合には当該モデル約款を参考とするとされている。
モデル約款は別紙 1 特例事業用匿名組合型不動産特定共同事業契約約款(不
特法第 2 条第 3 項第 2 号契約モデル約款)として添付している。
(3) 不動産特定共同事業契約と不動産特定共同事業契約約款との関係と作成
不動産特定共同事業者は、個別の不動産特定共同事業契約の締結をするときは許可または認可を受けた不動産特定共同事業契約約款に基づいて行わなければならない(不特法第 23 条第 1 項)。
また、不動産特定共同事業契約の締結の代理をする不動産特定共同事業者は、その代理をする不動産特定共同事業者またはその代理をする特例事業者がその不動産取引にかかる業務を委託する不動産特定共同事業者が許可を受けた不動産特定共同事業契約約款に基づいて、不動産特定共同事業契約を締結しなければならない(不特法第 23 条第 2 項)。
そのため、許可または認可を受けた不動産特定共同事業契約約款に基づいて 個別の不動産特定共同事業契約を締結する必要があり、当該約款とは全く異な る内容の不動産特定共同事業契約を個別に締結することはできないことになる。しかし、必ずしも不動産特定共同事業契約約款と不動産特定共同事業契約の内 容を一字一句同一にする必要はないものとされる(事務ガイドライン第 4-5-
(1))。
不動産特定共同事業契約約款の記載事項は、約款に必要な基本的な事項であり、また、具体的な内容の基準を定める必要がないものもある。これらの具体的な内容の基準が定められていない事項については、不動産特定共同事業契約約款の内容及び内容の基準に反しない範囲内であれば、個別の不動産特定共同事業契約において、特例投資家との問で合意した内容を規定することになる(事務ガイドライン第 4-5-(2))。
また、不動産特定共同事業契約約款の追加または変更をする場合には、認可を受ける必要がある(不特法第 9 条第 1 項)。かかる認可を受けて新たな不動産特定共同事業契約約款を作成し、当該約款に基づいて不動産特定共同事業契約を締結することができる。なお、軽微な追加または変更については認可の手続が免除されている(事務ガイドライン 4-5-(3))。
不特法施行規則第 10 条第 2 項に規定される認可を受ける必要のない軽微な追加または変更の事項以外の事項(認可を受ける必要のある追加または変更の事項)は以下のとおりとされる。つまり、これら以外の事項については認可を受ける必要がないことになる。
① 不特法第 2 条第 3 項各号に掲げる契約の種別に関する事項(不特法施行令
第 5 条第 1 項第 1 号)
② 不動産特定共同事業契約にかかる不動産取引の目的となる不動産の特定及びその不動産取引の内容に関する事項(不特法施行令第 5 条第 1 項第 2号)
③ 不動産特定共同事業契約にかかる財産の管理に関する事項(不特法施行令第 5 条第 1 項第 4 号)
④ 業務及び財産の状況にかかる情報の開示に関する事項(不特法施行規則第 8 条の 2 第 1 項第 2 号)
⑤ 事業参加者の契約上の権利及び義務の譲渡に関する事項(不特法施行規則第 8 条の 2 第 1 項第 3 号)
⑥ 対象不動産の変更にかかる手続に関する事項(不特法施行規則第 8 条の 2
第 1 項第 4 号)
⑦ 不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引にかかる業務の委託先に関する事項(不特法施行規則第 8 条の 2 第 1 項第 5 号)
なお、個別の不動産特定共同事業契約の参考として、一般社団法人不動産証券化協会「不動産特定共同事業法の改正に伴う新しいスキームのモデル約款検討委員会」報告書に記載されている「特例事業用匿名組合型不動産特定共同事業契約(個別契約書式例)」を別紙 2 として添付している。
7. 宅建業法第 3 条第 1 項の免許に関する事項
不動産特定共同事業者は欠格事由に宅地建物取引業の免許を受けていない法人と定めている(不特法第 6 条第 2 号参照)。
そのため、不動産特定共同事業者である第三号事業を行う者及び第四号事業を行う者は宅地建物取引業者である必要がある。
8. 金商法に規定する第二種金融商品取引業に関する事項
不特法第 6 条第 8 号は、第四号事業を行う者の欠格事由として金商法第 29 条
の登録(金商法第 28 条第 2 項に規定する第二種金融商品取引業の種別にかかる
ものに限る(不特法第 5 条第 1 項第 6 号参照))を受けていない法人を規定している。
これは、特例事業にかかる不動産特定共同事業契約に基づく権利がいわゆる集団投資スキーム持分として有価証券とみなされるため(金商法第 2 条第 2 項
第 5 号、第 6 号)、第四号事業の許可を受けるためには、事前に第二種金融商品
取引業の登録を受けている必要がある(金商法第 28 条第 2 項)。
第2章 特例事業者の態勢整備
1. 特別目的会社の設立
特例事業において、不動産特定共同事業を行うのは特別目的会社(SPC)たる特例事業者である(不特法第 2 条第 7 項)。
特例事業者となる特別目的会社は(SPC)は、会社更生法の適用がなく、社員は有限責任社員で、会社設立が比較的容易であること等から、会社法に基づき設立される合同会社を利用し、親会社を一般社団法人とすることが想定される。
2. 不動産特定共同事業者への業務委託
(1) 第三号事業を行う者への業務委託
特例事業の要件の一つとして、不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引にかかる業務を一の不動産特定共同事業者(第三号事業を行う者)に委託するものであると規定している(不特法第 2 条第 6 項第 2 号)。
不動産特定共同事業者(第三号事業を行う者に限る。)は、委託特例事業者から委託された業務の全部を他の者に対し、再委託してはならない(不特法第 26条の 3)ほか第三号事業を行う者への業務委託契約においては、当該特例事業者の同意なく、当該業務の再委託を行わないという事項が定められなければならない(不特法施行規則第 3 条第 1 項)。つまり、第三号事業のすべてを再委託することは禁止されており、もし一部を再委託する場合には特例事業者の同意
(特例投資家の同意は不要とされる。パブコメ NO65)を要することとなる。
なお、当該委託契約の書式例は以下のとおりである(書式例内記載の「別紙」は省略)1。
●合同会社(以下「甲」という。)と●(以下、「乙」という。)とは、別紙1物件目録記載の土地及び建物(以下「対象不動産」と総称する。)にかかる不動産取引に関し、不動産特定共同事業法(今後改正されるものを含み、以下「法」という。)第 2 条第 6 項第 2 号に基づき、甲から乙に当該不動産取引に係る業務を委託するため、甲を委託者、乙を受託者として、以下のとおり合意する(以下「本契
約」という。)。
特例事業業務委託契約書(不動産取引に係る業務委託契約書)(例)
1 (出所)田村幸太郎編著「不動産証券化ビジネスにおける新しい不動産特定共同事業法の実務対応」大成出版社(以下「実務対応」という。)【参考書式 2】「特例事業業務委託契約書式例(第三号事業)」田村幸太郎編著者による当該参考書式 2 についての一部修正及び本実務ガイドラインへの掲載について許諾を得ている。
第 1 条(管理・処分の委託)
甲は、法に従い、甲を特例事業者として締結された平成●年●月●日付不動産特定共同事業契約(その後の変更を含み、以下、「本共同事業契約」という。)に基づき行われる対象不動産の不動産取引に関する業務その他これに付随する業務
(以下「本業務」という。)の全部を乙に委託し、乙はこれを受託した。乙が甲に提供する本業務の具体的内容は、次のとおりとする。
(1) 対象不動産の賃貸管理に関する業務
① テナント(対象不動産の建物につき一括賃貸借契約を締結する賃借人たるマスターテナント及び当該建物を現実に賃借するエンドテナントの双方を含む。以下同様。)との賃貸借契約の変更・更新・解約に関する手続
② テナントに対する賃料等の請求および入金確認並びに未収入金の督促
③ テナント等からの苦情等への対応
④ 保守・修繕等及びそれにかかる必要諸経費の支払に関する業務(対象不動産の物件管理を委託している関係業者との折衝、指示等を含む)
⑤ テナントの退去に伴う原状回復工事の実施に関する業務
⑥ 甲に対する賃貸状況の報告
⑦ 建物の区分所有等に関する法律上の管理組合及び管理規約に関する事項
⑧ 建物管理業務受託者の選任・解任
⑨ その他上記各号に関連する一切の業務
(2) 対象不動産の建替え(開発)に関する業務
① 対象不動産の取り壊しに関する業務
② 対象不動産の建替え(開発)に関する業務
③ 開発業務受託者の選任・解任
④ 別紙 2 に記載する開発業務
⑤ その他上記各号に関連する一切の業務
(3) 対象不動産の処分に関する業務
① 売却のために必要な営業用資料の作成
② 売買契約書・重要事項説明書等の作成
③ 売却のために必要な修繕・改善工事の実施に関する業務
④ 購入見込客への物件紹介
⑤ 購入見込客との売買条件交渉
⑥ 売買契約の締結に関する業務
⑦ 物件の引渡、売買代金の請求及び入金確認
⑧ 甲に対する上記①から⑤までの処分業務遂行状況の報告
⑨ 宅地建物取引業者の選任・解任
⑩ その他上記各号に関連する一切の業務
(4) 甲のファイナンスに関する業務
① 甲による借入れ又はリファイナンス、その他甲の財務に係る契約の締結、変更等(それらの契約を「融資契約」という。)。なお、本号の業務は金銭消費貸借契約の媒介、取次ぎ若しくは代理に該当するものを含まないことを確認する。
② 融資債権者に対して提出するべき各種報告書、年次予算計画書、計画書の作成、建物管理委託契約に規定する月次報告書及び営業計画書の交付、並びに同契約上甲が報告を義務付けられている事項の報告
③ 融資契約その他の関連契約上、甲が相手方当事者による同意、承諾又は承認(以下「承認等」という。)を要する事項に関する承認等の取得に関する事項
④ その他上記各号に関連する一切の業務
(5) 甲の会社事務管理に関する以下の業務を行う専門家の紹介、連絡事務の代行
① 会社事務手続き
② 法に基づく特例事業者としての甲の各種法定帳簿、事業報告書の作成事務代行、事業参加者に対する報告事務代行
③ その他上記各号に関連する一切の業務
(6) 対象不動産の取引に伴い発生する会計、税務、法務その他の事項に関し甲のために選任する各専門家の紹介、連絡事務の代行
第 2 条(委託期間)
1. 本業務の委託期間は、平成●年●月●日から平成●年●月●日までとする。
2. 前項の委託期間満了の 3 ヶ月前までに甲乙のいずれからも何等の意思表示が無い場合は、本契約は同一条件をもって更に 1 年間更新されるものとし、以後も同様に対象不動産の処分及びそれに伴う清算手続きが完了した日まで更新されるものとする。
3. 委託期間満了の 3 ヶ月前までに乙が更新拒絶の意思表示をした場合には、甲は、委託期間満了前に新たに本業務を委託する者を選任する。甲は、乙に新たに本業務を委託する者の候補を推薦させることができるが、選任する相手先は乙に推薦させた候補に限られない。但し、乙は、新たに本業務を委託する者に本業務が引き継がれるまで、本業務を行うものとする。
第 3 条(忠実義務、善管注意義務)
乙は、法令及び本契約の本旨に従い、甲及び甲と共同事業契約を締結した相手
方(以下、「事業参加者」という。)のために忠実に本業務を行うものとする。 乙は、善良なる管理者としての注意義務をもって、本業務を遂行しなければな
らない。
第 4 条(分別管理)
乙は、対象不動産を自己の固有財産その他の財産(乙が第三者から管理処分等の委託を受けている財産を含む)と分別して管理しなければならない。
第 5 条(説明義務)
乙は、甲の求めに応じ、対象不動産の管理及び処分の状況、特例事業者としての甲の業務及び財産の状況について甲及び事業参加者に説明しなければならない。但し、乙が第 8 条に基づき甲の書面による同意を得て本業務の一部を第三者に再委託した場合は、乙はかかる再委託先(以下「再委託先」という)にかかる説明を行わせることができる。
第 6 条(書類の作成・備置・閲覧)
乙は、特例事業者としての甲の業務及び財産の状況を記載した書類を作成し、甲宛に提出すると共に、乙の主たる事務所に備え置き、甲の求めに応じ、これを事業参加者に閲覧させなければならない。
第 7 条(通知義務)
乙は、対象不動産の管理及び処分に関する重要な事項につき知った事実を、遅滞なく甲に対して通知しなければならないものとする。
甲及び乙は、住所、名称、連絡先その他本契約に関する事項について変更があったときは、速やかに相手方に書面で通知するものとする。
第 8 条(再委託等の禁止)
乙は、本業務の全部の再委託を行ってはならない。乙は、甲の事前の書面による同意なくして、本業務の一部の再委託を行ってはならない。また、甲は、乙以外の者に、本業務の全部又は一部の委託を行ってはならない。
第 9 条(処分方法)
対象不動産の処分は、本共同事業契約の規定及び対象不動産に関する法の規定に従い、乙または乙が指示する者(外部仲介者)を仲介者として売却することによって行うものとする。
第 10 条(本業務の報酬)
1. 甲は、以下のとおり、本契約に基づく乙の助言業務の報酬に消費税及び地方消費税を付して乙に支払うものとする。この支払は、乙の指定する銀行口座に送金して行う。ただし、送金手数料は甲の負担とする。
1)報酬金額 金●円
消費税及び地方消費税 金 ●円 2)支払時期 平成●年●月●日まで
2. 前項の詳細については、別紙 3 報酬規定に定めるものとする。
第 11 条(表明・保証及び誓約)
1. 甲は、乙に対し、本契約締結日において、以下の事項が真実であることを表明し、保証する。
(1) 甲は、法に基づき適法に設立され、有効に存続する日本の法人である。甲は、本契約を締結し、これらに基づく権利を行使し、義務を履行する権利能力及び行為能力を有する。
(2) 甲は、本契約を締結し、これらに基づく権利を行使し、義務を履行するために、また、本契約の締結、権利の行使又は義務の履行につき、甲に適用ある法令及び定款、約款、社内規則に基づき必要な一切の手続(業務執行社員、職務執行者の決定、適用法令若しくは規則又は通達に従い要求される許認可の取得、届出若しくは登録等を完了していることを含むが、これに限られない。)が適法かつ適正に完了しており、本契約の締結、権利の行使又は義務の履行は、甲に適用ある法令、甲の定款、約款、又は甲を当事者とする契約に違反しない。
(3) 本契約は、その締結により、甲の適法で有効かつ拘束力を有する義務を構成し、その条項に従い執行可能なものであること。
(4) ①甲による本契約の締結及びその条項の履行並びに本契約において企図される取引の実行により、政府機関その他の第三者の許認可、承諾もしくは同意等又はそれらに対する通知等が要求されることはなく(既に取得されているものは除く。)、かつ、②甲による本契約の締結及びその条項の履行並びに本契約において企図される取引の実行は、法令、規則、通達、ガイドライン、命令、判決、決定、令状、甲の定款、約款その他の内部規則、甲を当事者とする又は甲もしくは甲の財産を拘束しもしくはこれに影響を与える第三者との間の契約又は証書等に抵触又は違反するものではないこと。甲の財務もしくは経営の状況、又は甲による本契約の締結及びその条項の履行並びに本契約において企図される取引の実行に関連し、これらに重大な悪影響を及ぼすようないかなる訴訟、仲裁、調停及び行政上の
手続も係属していないこと。
(5) 甲は支払停止の状態になく、甲には破産、特別清算開始、民事再生手続開始の申立その他甲に適用ある倒産手続開始の申立の理由となる事実はないこと。
2. 乙は、甲に対し、本契約締結日において、以下の事項が真実であることを表明し、保証する。
(1) 乙は、日本法に基づき適式に設立され存続する法人であり、自己の財産を所有し、現在従事している事業を行い、かつ、本契約を締結し、本契約上の義務を履行するために必要とされる完全な権能及び権利を有していること。
(2) 乙による本契約の締結及びその条項の履行並びに本業務の実行は、乙の会社の目的の範囲内の行為であり、乙はかかる本契約の締結及び履行並びに本業務の実行につき法令上及び乙の内部規則において必要とされる一切の手続を履践していること。
(3) 本契約は、その締結により、乙の適法で有効かつ拘束力を有する義務を構成し、その条項に従い執行可能なものであること。
(4) ①乙による本契約の締結及びその条項の履行により、政府機関その他の第三者の許認可、承諾もしくは同意等又はそれらに対する通知等は全て履行済み乃至取得済みであり、かつ、②乙による本契約の締結及びその条項の履行は、法令、規則、通達、ガイドライン、命令、判決、決定、令状、乙の定款その他の内部規則、乙を当事者とする又は乙もしくは乙の財産を拘束しもしくはこれに影響を与える第三者との間の契約又は証書等に抵触又は違反するものではないこと。
(5) 乙の財務もしくは経営の状況、又は乙による本契約の締結及びその条項の履行並びに本業務の実行に関連し、これらに重大な悪影響を及ぼすようないかなる訴訟、仲裁、調停及び行政上の手続も係属していないこと。
(6) 乙は支払停止の状態になく、乙には破産、会社更生手続開始、特別清算開始、民事再生手続開始の申立その他乙に適用ある倒産手続開始の申立の理由となる事実はないこと。
3. 甲は、乙に対し、本契約存続期間中において、本共同事業契約に基づく行う事業が法 2 条 6 項に定める特例事業に該当させることを誓約し、同項の要件を満たさなくなった場合、ただちに乙に書面により通知するものとする。
4. 甲又は乙は、前三項の表明保証及び誓約に違反した場合、これにより相手方に生じた一切の損害を賠償する。
第 12 条(機密保持)
甲、乙は、本契約の内容及びこれに関する機密を正当な理由なく、第三者に漏洩してはならない。但し、本業務にかかわる関連契約の当事者ならびに本契約及び本業務に関連する諸契約の締結及び履行等のために甲、乙または本業務にかかわる関連契約の当事者が依頼する弁護士、公認会計士、税理士等の専門家に対し、本業務の遂行または本業務に関連する諸契約の締結及び履行等のために必要な範囲で開示する場合を除く。
第 13 条(譲渡禁止)
甲または乙は、本契約に基づく権利または義務を、相手方の書面による事前の承諾なくして譲渡することはできない。但し、第 14 条に基づく場合を除く。
第 14 条(本契約の終了)
1. 乙に、次の各号の一に該当する事由が生じた場合、本契約は乙との関係で当然に効力を失い、当該事由の発生と同時に、本契約上の乙の権利及び義務は、甲が新たに選任する管理処分受託者(以下、「丙」という。)に承継されるものとする。
(1) 乙が本契約により甲に対して負う債務につき不履行に陥り、甲が乙に対して書面による是正を求めた後、60 日以内にかかる不履行が治癒されなかったとき
(2) 乙につき、破産、会社更生開始、特別清算開始、再生開始又はこれらに類する倒産関連法(将来制定されるものも含む)に基づく手続開始の申立があったとき
(3) 乙が銀行取引停止処分を受けたとき
(4) 乙が本業務を遂行する上で必要な法上の許可を取り消され、又は宅地建物取引業法上の免許を喪失したとき
(5) 乙が監督当局から業務停止命令を受けたとき
(6) 乙が監督当局から業務停止命令を受ける場合以外に行政上の指示や是正措置を求められたにも拘わらず適切な対応をとらなかったとき
(7) 乙の株主総会において解散の決議がなされたとき、又は乙に対する解散を命ずる裁判が確定したとき
2. 乙は、次の各号の一に該当する時は、甲に対して通知催告の上、本契約を解除することができる。その場合、甲は前項同様に本契約上の乙の権利及び義務を丙に承継させるものとする。
(1) 甲が本契約の各条項に違反し、乙が甲に対して書面による是正を求めた
後、60 日以内にかかる違反が治癒されなかった時
(2) 甲が他の債務のため強制執行、競売等の申立を受け、あるいは公租公課の滞納処分を受けた時
(3) 甲が支払停止、もしくは支払不能に陥った時、または破産、再生手続等の申立を受け、もしくはみずからこれらの申立をした時
(4) 著しい経済変動、天災地変および建物瑕疵に起因して本業務が困難になった時
3. 甲は、第 1 項の事由が乙に発生した日あるいは第 2 項により乙が本契約を解除した日(以下「本業務承継日」という。)より、丙が本業務を受託したものとして乙に代わり丙に本業務を遂行させる。但し、丙は、本業務承継日までに発生した乙の本契約上の権利及び義務を承継するものではない。
4. 甲および乙は、第 1 項および第 2 項規定の事由以外で、本契約を解約(全部解約及び部分的な解約を含む。)することができない。甲は第1項規定の事由が乙に生じた場合に、本条の規定による方法によらずに本契約を終了させることができない。
5. 前各項の規定は、第 1 項および第 2 項規定の事由が発生しない場合でも、甲及び乙並びに丙の合意により、管理処分受託者の地位を乙から丙に変更することを妨げるものではない。
第 15 条(行為準則)
1. 乙は、いかなる場合にも、あらかじめ甲の不動産取引の結果生じた損失の全部又を負担することを約束しないものとする。
2. 乙は、いかなる場合にも、甲が乙の本業務遂行により生じた又はその受託に係る不動産取引により生じた甲の利益に追加するために、甲若しくは第三者に対し、財産上の利益を提供せず、若しくは第三者をして提供させないものとする。ただし、乙の責に帰すべき事由による損失の全部又は一部を補填する場合を除く。
3. 乙は、いかなる名目によるかを問わず、甲から金銭若しくは有価証券の預託を受けてはならない。乙は、いかなる名目によるかを問わず、乙と密接な関係を有する者(乙の役員及び使用人、株式等の所有その他の方法により乙の経営を実質的に支配している者並びに株式等の所有その他の方法により乙によってその経営が実質的に支配されている法人をいう。)に甲の金銭若しくは有価証券を預託してはならない。
4. 乙は、本契約に関して、甲に対して金銭若しくは有価証券の貸し付けを行わないものとする。
5. 乙は、本契約に関して、甲への第三者による金銭若しくは有価証券の貸し
付けにつき媒介、取り次ぎ若しくは代理を行わないものとする。第 16 条(利益相反)
1. 甲は、乙が対象不動産以外の不動産(土地であると建物であると、また、商業用不動産であると居住用不動産であるとを問わず、その所在の如何をも問わない。以下、本条において「他の不動産」という。)の開発、販売、運営等の業務(他の不動産特定共同事業を含む)に現に従事し、かつ、将来従事する予定であることを認識している。
2. 乙は、本契約に基づく本業務の受任にも拘わらず、誠実かつ公平に本業務を行うことを条件として、他の不動産の開発、販売、運営等の業務(他の不動産特定共同事業を含む)に従事することができるものとする。但し、乙は、対象不動産の賃借人となることが合理的に予想される者に対し、対象不動産に代えて他の不動産を賃借するよう自ら勧誘し、又は推奨してはならないものとする。
第 17 条(不可抗力による契約の終了)
天災地変、その他甲及び乙の責に帰することができない事由により、対象不動産が滅失若しくは毀損して、対象不動産について共同事業の目的を達することが不可能になった場合には、甲及び乙が協議のうえ、本契約は直ちに終了するものとする。これによって甲又は乙の蒙った損害については、互いにその賠償の責を負わない。
第 18 条(規定外事項)
甲及び乙は、本契約に定めなき事項については、民法その他関連法令の規定のもと、信義誠実を基本として協議のうえ決定する。
本契約締結の証として、本書正本2通を作成し、甲、乙記名押印のうえ、甲及び乙が各1通正本を保有する。
●年●月●日
甲:乙:
(2) 第四号事業を行う者への業務委託
① 第四号事業において締結する委託契約
特例事業の要件の一つとして、不動産特定共同事業契約の締結の勧誘の業務を不動産特定共同事業者(第四号事業を行う者)に委託するものであると規定している(不特法第 2 条第 6 項第 3 号)。
特例事業者と第四号事業を行う者の間で締結される不動産特定共同事業契約の締結勧誘の委託契約内容については、不特法上、具体的な行為内容が定められてないため、基本的に特例事業者と第四号事業を行う者が任意に定めることとなる。
なお、特例事業では、実務的に多く活用されると想定される匿名組合型不動産特定共同事業にかかる契約締結の勧誘を委託することを前提とした、特例事業者と第四号事業を行う者との間の委託契約の書式例(書式例内記載の「別紙」は省略)は下記のとおりである2。
② 委託契約の記載事項
上記のとおり、本業務が投資家への不動産特定共同事業契約の勧誘業務であることから、委託契約期間や第四号事業を行う者への報酬等の一般的契約条件のほか、特例事業の有する特徴に応じた契約事項を定めると考えられる。
特例事業の有する特徴を踏まえた契約事項としては、主に特例事業の要件に関する事項、代理又は媒介を行う不動産特定共同事業契約の種類、勧誘対象とする事業参加者の要件等が定められると考えられる。
第 1 条(私募の取扱い)
1. 甲は、乙に対し、本契約に定めるところに従い、本みなし有価証券に係る私募の取扱い及びこれに付随する事務(以下「本件委託業務」という。)
●合同会社(以下「甲」という。)と、●(以下「乙」という。)とは、甲が
営業者となり締結する予定の大要別紙1 の様式及び内容の匿名組合型不動産特定共同事業契約(以下、「本件匿名組合契約」という。)に基づく権利(以下「本みなし有価証券」という。)に係る私募の取扱いに関し、以下のとおり、私募
取扱業務委託契約(以下「本契約」という。)を締結する。
私募取扱業務委託契約書(例)
2 「実務対応」【参考書式 3】「私募の取扱業務委託契約書式例(第四号事業)」
田村幸太郎編著者による当該参考書式 3 を基にした修正及び本実務ガイドラインへの掲載について許諾を得ている。
を乙に委託し、乙はこれを受託する。甲は、本みなし有価証券の取得の申込みの勧誘(本件匿名組合契約の締結の勧誘)について全て乙に委託し、乙以外の者にこれを委託せず、また、自らは本みなし有価証券に係る取得の申込みの勧誘を何ら行わないものとする。
2. 乙は、本みなし有価証券に関する本件委託業務について、単独で本件委託業務を行うものとする。
3. 本件委託業務の期間は、本契約締結日から平成●年●月●日までとする。
4. 乙は、本件委託業務の遂行にあたっては、自己の責任において、取得の申込みの勧誘の相手方の知識、経験、財産の状況及び本件匿名組合契約を締結する目的を十分に把握し、顧客の意向と実情に適合した投資勧誘を行うものとする。
5. 乙は、関係法令(不動産特定共同事業法、金融商品取引法及び金融商品の販売等に関する法律を含むが、これらに限られない。)を遵守するとともに、甲及び本件匿名組合契約の相手方となる者に対して誠実かつ公正に本件委託業務を遂行しなければならない。
第 2 条(特例投資家)
本件委託業務における本みなし有価証券の取得勧誘(本件匿名組合契約の締結の勧誘)の相手方は、不動産特定共同事業法第 2 条第 6 項第 4 号に定める特例投資家のみとし、乙は、特例投資家以外の者を相手方として本みなし有価証券の取得勧誘を行わないものとする。
第 3 条(勧誘及び告知事項)
乙は、本件委託業務を行うにあたり、本件匿名組合契約を締結しようとする相手方に対して本みなし有価証券の取得のための勧誘を行う場合には、次の事項を当該相手方に告知しなければならない。また、本件匿名組合契約を甲と締結させる場合には、次の事項をあらかじめ又は同時に当該相手方に対し、書面をもって告知しなければならない。
(1) 本みなし有価証券の取得の申込みの勧誘が金融商品取引法第 23 条の 13 第 4 項第 2 号イに該当することにより同項に規定する少人数向け勧誘に該当することにより、当該取得の申込みの勧誘に関し、同法第 4条第 1 項の規定による届出が行われていないこと。
(2) 本みなし有価証券が、金融商品取引法第 2 条第 2 項第 5 号に掲げる権利であること。
第 4 条(匿名組合出資)
1. 甲の本件匿名組合契約に基づき出資を受ける匿名組合出資額は総額金
●円とする。
2. 本件匿名組合契約に基づく出資の払込期日は平成●年●月●日とする。乙は、本件匿名組合契約を締結した相手方(以下、「事業参加者」という。)をして、各本件匿名組合契約に定める金額を営業者口座に入金する方法により、当該払込期日までに払い込ませる。
第 5 条(費用)
本みなし有価証券に関する本件委託業務に要する費用は、甲の負担とする。
第 6 条(手数料)
本みなし有価証券に関する本件委託業務に係る手数料については、金●円
(消費税・地方消費税別)とし、甲は、平成●年●月●日に、これを乙の指定口座に振り込む方法により支払う。但し、平成●年●月●日までに、本件匿名組合契約に基づき事業参加者より、総額金●円が営業者口座に入金されたことを条件とする。
第 7 条(資料の提出)
甲は本みなし有価証券が存在する限り、随時乙が要求する営業年度毎の貸借対照表、損益計算書及び本件委託業務に関連して妥当な範囲の書類をすみやかに乙に提出するものとする。
第 8 条(乙による事実の表明と保証)
1. 乙は甲に対し、本契約締結日において、以下の事項が真実かつ正確であることを表明し、かつ保証する。
(1) 乙は、日本法に基づき適法に設立され有効に存在する株式会社であり、その資産を所有し現在行っている事業に従事し、本契約を締結し、本契約に基づく乙の義務を履行する完全な機能及び権限を有していること。
(2) 乙による本契約の締結が、法令及び甲の定款その他の内部規定に従って適法に授権されていること。本契約が乙に対して強制執行可能な乙の適法かつ有効な法的拘束力を有する債務であること(但し、強制執行は破産法その他の法律等により制限を受ける場合がある。)。
(3) 乙が本契約を締結し、本契約に従って乙の義務を履行するために必要な、政府機関その他の第三者の許認可等(本契約締結日現在において
履践する必要がないものを除く。)が取得されており、許認可等が完全に有効であること。
(4) 乙による、本契約の締結及び本契約に従った義務の履行が、法令、規則、通達、ガイドライン、命令、判決、決定、令状、乙の定款その他の内部規則又は乙が当事者となっている契約書又は乙若しくはその資産に対し拘束力を有する契約等に違背せず、かつ、本契約締結日現在の法制度の下で、乙の財産又は事業の上に先取特権、担保権、その他の負担(本契約に基づくものを除く。)を成立させ、又はその設定を行う義務を生ぜしめるものではないこと。
(5) 乙は、債務超過、支払停止又は支払不能の状態になく、本契約の締結及び履行によりこれらの状態に陥らないこと。手形交換所は、乙が振り出した約束手形の決済を停止するための手段を講じておらず、また、乙の知る限り、かかる手段が講じられる可能性もないこと。
(6) 乙について、破産手続開始、再生手続開始、更正手続開始、特別清算開始その他適用ある倒産手続の原因となる事由は存在せず、かつ、かかる手続の申立も存在しないこと。
(7) 乙に対し、その財政状態又は経営に著しい悪影響を及ぼすような係属中の訴訟、仲裁又は行政手続が存在せず、また、乙の知る限り、提起されるおそれがないこと。
(8) 乙は、反社会的勢力に該当せず、反社会的勢力が乙の主要株主でなく、かつ、乙は、反社会的勢力と業務提携関係又は継続的な取引関係がないこと。
2. 前項に定める表明保証事項に関し、誤りがあり又は不正確であったことが判明した場合には、乙は直ちに甲に対しその旨を書面により通知するものとし、かつ、かかる表明保証違反により甲が被った全ての損害及び負担した全ての費用等(合理的な弁護士費用を含む。)を補償するものとする。
第 9 条(甲の誓約)
甲は、甲が本契約に関して締結した全ての本件匿名組合契約が有効に存在する間、以下の事項を約束する。
(1) 甲に適用ある全ての法律、法令、規則、通達その他の規制を遵守すること。
(2) 本件匿名組合契約上の甲の義務を全てその義務を履行すべき時期において履行すること。
(3) 本件匿名組合契約若しくは業務状況に重大な悪影響を与え、若しくは
与えるおそれのある訴訟、仲裁、調停又は行政手続が、甲、甲の社員若しくは職務執行者に対して提起若しくは開始されたか、又はかかる提起若しくは開始がなされるおそれが生じた場合に、遅滞なく乙に報告すること。
第 10 条(乙の免責)
1. 乙は、本件委託業務の遂行によって締結された本件匿名組合契約から生ずる一切の債権債務に関し、何らの責任を負わない。
2. 乙は、本件委託業務の遂行に際して、甲による本件匿名組合契約の締結に関して何らの保証及び確約もするものではない。甲は、自己の責任及び判断に基づき、本件匿名組合契約を締結するものとする。
3. 乙は、故意又は重過失がある場合を除き、本件委託業務の遂行の結果生じた甲の損害の全部又は一部の負担はしないものとする。また、乙は、甲に対する特別の利益の提供は一切行わないものとし、甲は、これらを乙に求めないものとする。
第 11 条(契約の終了)
1. 本契約の当事者は、次の事由のいずれかに該当したと合理的に判断した場合には、相手方当事者に対し通知をして直ちに本契約を解除することができる。但し、この場合であっても、甲と乙は本件委託業務に関する費用を第 5 条に従い負担する。
(1) 本みなし有価証券のみなし発行又は乙による本件委託業務の遂行に重大な影響を与える国内外の金融、為替、政治又は経済上の変動が生じ又は生じるおそれがあること。
(2) 本契約が履行不能又は著しく履行困難となるような、不可抗力の事態が生じ又は生じるおそれがあること。
2. 本契約の終了又は解除後も第 5 条、第 9 条、第 10 条及び第 13 条ないし第 16 条の各規定は有効に存続するものとする。
第 12 条(競業行為等)
甲は、乙が、他のファンド又は会社のために、本件委託業務と類似の業務を提供することを了解している。乙は、公平かつ誠実に本契約上の義務を履行する限り、乙が本件委託業務と類似の業務を第三者に提供することについて本契約違反の責任を負わないものとする。
第 13 条(責任財産限定特約及び強制執行申立ての制限)
1. 本契約に基づく甲の乙に対する一切の債務の支払は、甲が現在及び将来において所有しその他甲が法令上もしくは契約上適法な権限を有する権利、請求権、資産その他の一切の財産(以下「責任財産」という。)のみを引き当てとし、甲の他の財産には及ばないものとし、責任財産が全て換価及び分配された後なお未払いの債務が存する場合には、乙は、当該未払債務に係る債権を当然に放棄したものとみなされる。
2. 乙は、本契約に基づき甲に対して取得する債権の満足を図るため、甲のいかなる資産についても差押、仮差押その他の強制執行手続の開始又は保全命令の申立てを行わないものとし、かかる申立てを行う権利をここに放棄する。
3. 乙は、甲について、本みなし有価証券に関する甲の債務の弁済が完了してから 1 年と 1 日を経過するまでの間、破産手続開始、民事再生手続開始又はその他これらに類する手続開始の申立てをしないものとする。
第 14 条(機密の保持)
甲及び乙は、機密の保持等の情報管理について、以下に掲げる事項を遵守するものとする。
(1) 甲及び乙は、本契約に基づいて知り得た甲及び乙が保有する非公開情報(顧客情報、業務内容、データ等のうち、①公知である又は受領当事者の不正な開示又は使用によることなくして公知となった情報、②当該情報を知り得た時点において既に自ら保有していた情報、又は③正当な権限を有する第三者より開示を受けた情報以外の情報をいい、以下「非公開情報」という。)を、第三者に漏洩してはならない。甲及び乙は、本契約終了後といえども本号の義務を遵守するものとする。但し、司法・行政当局(日本証券業協会等の自主規制機関を含む。)からの規則等による開示要求に基づく場合、甲に対する投資家(潜在的投資家を含む。)に開示する場合、及び甲又は乙が弁護士、公認会計士、税理士その他の専門家、匿名組合事業に係る関係者等に開示する場合は、この限りではない。
(2) 甲及び乙は、非公開情報の漏洩、滅失又は毀損の防止その他非公開情報の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じることとする。
第 15 条(権利義務の譲渡禁止)
甲及び乙は、相手方の書面による事前の承諾を得ることなく、本契約により生じる権利若しくは義務の全部又は一部を第三者に譲渡、担保差入その他処分してはならない。
第 16 条(準拠法及び管轄裁判所)
本契約は日本法に準拠し、日本法に従って解釈される。甲及び乙は、本契約から生じ、又は本契約に関連した係争に関し、東京地方裁判所を第一審の専属的管轄裁判所とすることに合意する。
以上の契約の証として本契約書原本 2 通を作成し、甲及び乙の各代表者がそれ
ぞれこれに記名捺印したうえ、各自その 1 通を保有する。
●年●月●日
甲:乙:
3. 特例事業の開始の届出
特例事業を営もうとする者は、特例事業を行うにあたって、あらかじめ以下に掲げる事項を主務大臣に届け出なければならない(不特法第 40 条の 2 第 2
項、不特法施行規則第 28 条の 2、様式 12 号)。
① 商号または名称及び住所
② 役員の氏名及び使用人で事務所の代表者があるときは、その者の氏名
③ 事務所の名称及び所在地
④ 資本金または出資の額
⑤ 業務を委託する不動産特定共同事業者の商号または名称及び住所
また、特例事業の開始の届出にあたっては、添付書類として以下の書類も提出する必要がある(不特法第 40 条の 2 第 3 項、不特法施行規則第 28 条の 3)。
① 定款またはこれに代わる書面
② 登記事項証明書またはこれに代わる書面
③ その他主務省令で定める事項を記載した書類として、以下に掲げる事項が記載された書類
a. 役員が法人であるときは、当該法人の商号または名称並びに当該役員の職務を行うべき者の氏名及び住所
b. 役員、使用人で事務所の代表者の略歴または沿革
なお、特例事業開始の届出は、特例事業の届出の受理にかかる権限が金融庁長官から財務局長及び福岡財務支局長へ、国土交通大臣から地方整備局長及び北海道開発局長へ委任されているため、財務局長または福岡財務支局長及び地方整備局長または北海道開発局長に対して行う。
なお、いずれも届出書の提出先は、主たる事務所を管轄する都道府県知事である。
4. その他留意する事項
(1) 宅建業法について
特例事業者は、不動産取引である宅地または建物の売買または交換を業として行うので、宅建業を営む者(宅建業法第 2 条第 3 号)に該当するが、宅建業
法第77 条の3 により国土交通大臣の免許を受けた宅建業者とみなされることとなり、一部を除き宅建業法の規定が適用される。主に適用される規定は下記のとおりである。
条 文 | 項 目 |
第 8 条 | 宅地建物取引業者名簿 |
第 9 条 | 宅地建物取引業者名簿の変更の届出 |
第 10 条 | 宅地建物取引業者名簿等の閲覧 |
第 11 条 | 廃業等の届出 |
第 13 条 | 名義貸しの禁止 |
第 25 条 | 営業保証金の供託等(第 25 条第 7 項は適用がない) |
第 26 条 | 事務所新設の場合の営業保証金 |
第 27 条 | 営業保証金の還付 |
第 28 条 | 営業保証金の不足額の供託 |
第 29 条 | 営業保証金の保管替え等 |
第 30 条 | 営業保証金の取戻し |
第 31 条 | 業務処理の原則 |
第 32 条 | 誇大広告等の禁止 |
第 33 条 | 広告の開始時期の制限 |
第 33 条の 2 | 自己の所有に属しない宅地または建物の売買契約締 結の制限 |
第 34 条 | 取引態様の明示 |
第 34 条の 2 | 媒介契約 |
第 34 条の 3 | 代理契約 |
第 36 条 | 契約締結等の時期の制限 |
第 37 条の 2 | 事務所等以外の場所においてした買受けの申し込み の撤回等 |
第 38 条 | 損害賠償額の予定等の制限 |
第 39 条 | 手附の額の制限等 |
第 40 条 | 瑕疵担保責任についての特約の制限 |
第 41 条・ 第 41 条の 2 | 手付金等の保全 |
第 42 条 | 宅地または建物の割賦販売の契約の解除等の制限 |
第 43 条 | 所有権留保等の禁止 |
第 44 条 | 不当な履行遅延の禁止 |
第 45 条 | 秘密を守る義務 |
第 46 条 | 報酬 |
第 47 条 | 業務に関する禁止事項 |
第 50 条の 2 | 取引一任代理等にかかる特例 |
第 50 条の 2 の 2 | 認可の条件 |
第 50 条の 2 の 3 | 認可の基準等 |
第 50 条の 2 の 4 | 不動産信託受益権等の売買等にかかる特例 |
第 65 条 | 指示及び業務の停止 |
第 67 条の 2 | 認可の取消し等 |
第 71 条 | 指導等 |
第 72 条 | 報告及び検査 |
第 75 条の 2 | 宅地建物取引業者の使用人等の秘密を守る義務 |
第 76 条 | 免許の取消し等に伴う取引の結了 |
つまり、特例事業者に対しても上記の宅建業法の各規定は適用され、特例事業者が宅地または建物の売買または交換に関して広告をするときは、誇大広告等の禁止や広告開始時期の制約を受ける(宅建業法第 32 条・第 33 条)。
また、特例事業者が自ら宅地または建物の売主となる場合は、その売買契約において定める内容に一定の制限を受け、本来契約当事者間で自由に決められるはずの損害賠償額の予定、手附の額及びその保全方法等、暇疵担保責任について、宅建業法では買主の不利とならないよう一定の制限が課される(宅建業法第 38 条から第 41 条の 2)。
特例事業者には宅建業法第 25 条の規定(同条第 7 項を除く。)も適用され、
特例事業者は、営業保証金として、主たる事務所につき 1,000 万円(宅建業法
第 25 条第 2 項、宅地建物取引業法施行令第 2 条の 4)を、最寄りの供託所に供託しなければならない。
(2) 犯罪による収益の移転防止に関する法律について
不動産特定共同事業者及び特例事業者は犯収法に規定される「特定事業者」である(犯収法第 2 条第 2 項第 26 号)。
そのため、特例事業者及び不動産特定共同事業者が特定取引を行う場合には、取引時確認(犯収法第 4 条)、確認記録の作成義務(犯収法第 6 条)、取引記録
の作成義務(犯収法第 7 条)、疑わしい取引の届出(犯収法第 8 条)、取引時確
認等を的確に行うための措置(犯収法第 10 条)等の義務を履行する必要があることに留意する必要がある。
第3章 投資計画の検討
1. 投資計画の検討における基本的な流れ
本章における投資計画とは、特例事業を活用した不動産証券化事業において、特例事業の開始の届出を行った後の事業計画の策定(取得候補不動産の事前検討から、期中・出口戦略の策定、事業スケジュールの策定、資金計画の作成まで)及びデューデリジェンスの実施をいう。
なお、事業計画の策定の段階でも、不動産証券化事業に大きな影響を及ぼす事項については、先行して対象不動産のデューデリジェンスを実施する。
【投資計画の検討の流れ】
事業計画の策定
デューデリジェンスの実施
資金計画の作成
事業スケジュールの策定
期中運用・出口戦略の策定
取得候補不動産の事前検討
(不動産の特徴の把握・目的の明確化)
2. 事業計画の策定
不動産はその用途(事務所・商業施設・共同住宅・物流施設・ホテル等)により、不動産運営方法並びに期中における賃料収入変動リスク及び期末における売却価格変動リスクがそれぞれ異なる。
そのため、不動産特定共同事業において、運用対象となる不動産の用途の選択にあたっては、投資家のリスク選好に合致するよう選定すべきである。
また、期中の不動産運営方法や期末における売却時の価格形成要因の作用は用途により異なることから、業務を委託する第三号事業を行う者の過年度における事業実績や能力等を加味し、投資対象となる用途を選定する必要がある。用途の選定後、投資対象不動産の収益性・立地条件等を基に、具体的に投資
対象不動産の検討・選定を行うことになる。
投資対象不動産の検討・選定における実務的な対応としては、投資可能な物理的条件・権利関係を備えた複数の取得候補不動産の中から、投資家が期待する期中の不動産賃貸収入、期末時点における売却価格及びそれらの変動リスク
等を考慮し、投資家の選好に合致する不動産を選定する。
(1) 取得候補不動産の事前検討
投資家は、不動産証券化された不動産に対して投資を行う場合に、一般的にリスクとリターンの一致を前提に投資計画の検討を行うため、不動産が生み出す収益性の観点から不動産証券化に適した不動産を選別しなければならない。
不動産証券化に適した不動産を選別するにあたっては、
①既存不動産取得型(賃貸稼働中の不動産を取得するケース)、②既存不動産改修型(既存不動産に耐震改修・リノベーション・改修等を行うケース)、③開発・建替型(賃貸用・分譲用不動産の新規開発、ないしは既存建物の建替事業を行うケース)といった想定される主な投資類型ごとのリスクを理解する必要がある。
不動産証券化に際して、既存不動産取得型では過去における不動産賃貸収支データのストックにより取得後の賃貸収支並びに期中及び期末の既存不動産の資産評価を行うことが比較的容易であり、投資家として不動産運用リスクを分析の上、投資判断をすることができる。
一方、既存不動産改修型及び開発・建替型においては、過去における改修後または開発・建替後の不動産賃貸収支データのストックがないため、不動産運用リスクの分析評価が既存不動産の取得時に比べて、より難しくなるほか、以下のような様々なリスクに留意を要する。
投資類型 | リスク内容 |
既存不動産改修型 | 改修工事に伴う建築工事リスク(改修工事にかかるコストオーバーランリスク、工事遅延リスク、請負業者倒産リス ク等)等 |
開発・建替型 | ① 開発用地・建替不動産の取得リスク ② 既存建物の解体までの既存テナント退去リスク ③ 各種行政手続における許認可リスク ④ 既存建物の取壊リスク(建物取壊コストオーバーランリスク(例:アスベスト除去費用の発生等)) ⑤ 建築工事建築リスク(開発・建替にかかるコストオー バーランリスク、工事遅延リスク、請負業者倒産リスク等)等 |
なお、一般的にリスクとリターンはトレードオフの関係にあり、投資家はリスク低減を図るため、適切に分散されたポートフォリオを構成することが重要である。
また、一定の運用利回りを確保する必要から、適切にリスク管理されたより高いリターンが得られる不動産に対する投資需要も増加している。
そのため、既存不動産取得型に比べ改修リスク、開発・建替リスクを有する既存不動産改修型、開発・建替型にさらなるリスクマネーが供給されることが期待されており、不動産特定共同事業においても、その活用が期待されている。以上を踏まえ、取得候補不動産の事前検討において、取得候補不動産の特徴
を把握する際の留意点を示すと以下のとおりである。
項目 | 留意点 |
用途 | 事務所ビル、店舗(商業施設)、賃貸住宅(賃貸マンション)、ホテル、物流倉庫等の用途が主な不動産証券化の対象になっている。 現状では、事務所ビルの証券化が最も進んでいるが、対象となる用途はヘルスケア施設(病院、サービス付高齢者向け賃貸住宅、老人ホーム等)や底地等へと広がっている。いずれにせよ、投資類型(①既存不動産取得型、②既存不動産改修型、③開発・建替型)ごとに違いがあるが、用途に応じて、不動産賃貸収支の特性及びその流動性は大きく 異なるため、その特徴を十分に把握することが必要である。 |
収益性 | 不動産証券化商品の利回りは、証券化対象不動産の収益性に依存する。よって、投資を行う際に投資家は対象不動産の収益性に注目するが、収益性は投資類型(①既存不動産取得型、②既存不動産改修型、③開発・建替型)及び用途により異なる。 投資類型ごとの収益性の留意点は下記のとおりである。 |
【既存不動産取得型】 | |
過去の証券化事例や取引事例における投資不動産の利回り | |
を参考に、投資対象不動産における過去の不動産賃貸収支 | |
データのストックにより対象不動産の収益性を検討する。 | |
さらに、期末時点で想定される対象不動産の売却益、期中 | |
における不動産賃貸収入の水準やそのバランス等について | |
検討する。 | |
なお、対象不動産の収益性が、類似不動産の過去の収益性 | |
を下回るような場合には、投資を行わない可能性がある。 | |
そのため、対象不動産の収益性(期中及び期末)を把握す | |
ることは投資判断において、極めて重要である。 | |
【既存不動産改修型】 | |
既存不動産改修型においては、改修に伴い、テナント居付 | |
で改修工事を行う場合とテナント退去後に改修工事を行う | |
場合で事業計画が異なり、投資採算性も異なる。 | |
すなわち、テナント居付で改修工事を行うケース(耐震改 | |
修工事等)では、改修工事期間中における不動産賃貸収入 | |
への影響の有無及びその程度の検討が必要である。 | |
改修工事によりテナント退去を伴う場合には、テナント退 | |
去費のほか、改修工事期間における逸失利益(既存テナン | |
トの賃貸収入及び改修完了までの期間等)、改修後の賃貸面 | |
積・改修後のテナントリーシング条件等を検討のうえ、改 | |
修工事に伴う投資採算性を綿密に検討することが必要であ | |
る。 | |
なお、改修前からの居付テナントとの賃料改定については | |
改修工事の内容のほか、過去からの賃貸借契約の経緯等に | |
より賃料改定の可能性を各不動産ごとに検討することが必 | |
要である。 | |
また、既存不動産改修型は、開発・建替型と同様に改修ま | |
でに期間を要することから改修期間に伴う不動産マーケッ | |
トリスクを負うほか、改修に伴う物的変動リスクを伴う。 | |
改修の場合、特に期中の不動産賃貸収入よりも改修後に不 | |
動産を売却することにより得られる売却益が重要であり、 | |
出口戦略及び売却可能価格に関して、緻密な計画を策定す | |
ることが特に必要となる。 |
【開発・建替型】 開発・建替型における、不動産取得から出口までの事業フェーズは下記のとおりである。 ① 不動産取得~既存不動産取壊期間(開発型については、既存不動産の取壊期間は不要) ② 建物建築期間 ③ 不動産の賃貸運営期間~不動産売却期間 開発・建替型は、不動産の賃貸運営期間まで不動産賃貸収入を得ることができないことに留意が必要である。 そのため、不動産取得費や建築工事費等の費用について、不動産賃貸収入に先行する形で投資を要する点が既存不動産取得型と比べて大きく異なる。また、開発・建替型は運用の前に長期の開発・建替期間を要するため、当該開発・建替期間に伴う不動産マーケットリスクを負うことに留意 が必要である。 | |
立地 | 対象不動産の立地条件は、用途と並び不動産証券化事業において極めて重要な要素である。 つまり、対象不動産を売却する際、サブマーケットといわれる対象不動産が存する地域が衰退しているのか、安定的なのか、それとも発展しているのかにより、その売却価格や購入者層の幅や厚さは大きく異なる。 また、当該サブマーケットは必ずしも市町村レベルのような広範囲ではなく、特に都心型店舗(商業施設)等、その用途によっては極めて局地的な傾向を有することに留意が必要である。 よって、対象不動産の立地について、過去から現在の状況の変化を十分に調査し、対象不動産を含んだ当該地域の将来性を十分に検討することが重要である。 なお、立地条件の検討は、投資類型(①既存不動産取得型、 ②既存不動産改修型、③開発・建替型)に比べ用途に応じて行われるケースが多い。 |
(2) 期中運用の策定
既存不動産取得型の期中運用時における留意事項としては、賃料収入変動リスクが用途によって大きく異なることがあげられる。
一般的に、賃料収入変動リスクが小さいのは共同住宅であり、次に、事務所ビル、商業施設、ホテルと変動リスクが高くなる。
また、賃貸借契約の種類、内容によっても当該変動リスクは異なる。例えば、固定賃料、解約不可の一括貸しの定期借家契約では、当該賃借人の資金力や信用力、マスター賃料の支払原資である事業の良否によって当然差異が生じるが、一般的には変動リスクは低い。
期中運用においては、賃料収入変動リスクの程度を的確に把握したうえで、下落リスクを回避し、さらに賃料収入の極大化を図るように、不動産運営方針や具体的なリーシング対象となるテナント属性等を十分に検討することが必要となる。
(3) 出口戦略の策定
不動産投資市場では時期によって取引価格が大きく上下することから、出口戦略においては、売却のタイミングを見極めることが非常に重要である。
また、売却時の流動性を確保するため、対象不動産について、適正な賃料水準と安定稼働を維持するようにリーシング戦略を策定することも重要である。既存不動産改修型及び開発・建替型においては、通常、期中の不動産賃貸収 入よりも出口時での売却益の方が特別目的会社(SPC)の収益性に与える影響が
大きいため、出口戦略が特に重要になる。
つまり、改修工事、耐震補強によってどの程度バリューアップが期待できるのか、建替・開発後の不動産がどの程度の価格で売却可能なのかについて、主な購入者の属性と不動産マーケットを予測のうえ、売却想定時期を想定し、綿密に検討する必要がある。
(4) 事業スケジュールの策定
事業スケジュールの策定にあたっては、まず取得候補不動産の事前検討を行って、特徴の把握を的確に行う。そのうえで、当該不動産の特徴や投資戦略に合致した投資家の見込みを付け、投資家への説明・勧誘・締結時期、レンダー候補選定時期、融資条件及びその交渉期間、融資実行の時期、オリジネーターとの売却価格・売却予定時期・売却条件等についての意向の最終確認の時期、エクイティ及びデットの資金調達実行時期、対象不動産の取得時期(いわゆるクロージング)を具体的かつ実現可能な形で策定する。
次に、各種デューデリジェンスを実施するが、事業計画の策定の段階でも、
不動産証券化事業に大きな影響を及ぼす事項については、対象不動産のデューデリジェンスを先行して実施することとなる。
(5) 資金計画の策定
資金調達計画の策定において、資金調達方法、資金調達費用、資金調達時期、償還・配当等の各項目について検討すべき内容は以下のとおりである。
検討項目 | 検討内容 |
① 資金調達方法 | 特例事業者が金融機関から借入金により資金調達を行うにあたっては、LTV、DSCR 等を考慮のうえ、金融機関と融資条件を交渉し、資金調達額を検討する。 また、事業参加者から出資を受けるにあたっては、優先劣 後構造、出資額、IRR、投資効率等を考慮のうえ、資金調達額を検討する。 |
② 資金調達費用 | 特例事業スキームが不動産証券化事業の一種であり、当該スキームに固有の費用(特別目的会社(SPC)設立費用、第三号事業・第四号事業の委託費用等)が発生することを十分に考慮のうえ、資金調達費用を検討する必要がある。なお、資金を調達する金融機関及び事業参加者の数によって、当初の調達費用及びその後の報告費用が異なることに も留意が必要である。 |
③ 資金調達時期 | 事業参加者からの出資払込、金融機関からの借入が実行され、資金調達されることによって、オリジネーターから対象不動産を取得することが可能になる。なお、オリジネーターの決算の時期等の理由により、ある時点までに資金調達及び対象不動産の売買が必須になる場合があり、この場 合は資金調達に要する時間についても留意が必要になる。 |
④ 償還・配当等の方法 | ①~③のとおり資金調達時の資金計画を定めるとともに、事業期間中における借入金にかかる元利金の返済方法及び出資に対する配当方法等を検討・決定する。 借入れは、事業に必要な経常費用を控除した後の資金から利払いが行われる。また、元本を期中償還する約定の場合は、約定に従い各期に元本返済が行われる。 また、エクイティは、金融機関からの借入金の返済に劣後 して、配当が実施される。 |
⑤ 販売方法 | 事業参加者に対するエクイティ出資の勧誘は、第四号事業を行う者に委託することとされているため、委託先となる 第四号事業を行う者を検討・決定する。 |
3. デューデリジェンスの実施
デューデリジェンスとは、投資家が投資判断に関して必要となる事項に関して行う詳細な調査全般をいう。特例事業をはじめ不動産証券化事業は、対象不動産の所有者の信用力ではなく、対象不動産自体の収益性に依存して資金調達を行うことから、デューデリジェンスは特に重要とされている。
具体的には、デューデリジェンスでは、土地建物の物理的な状況のほか、経済的側面及び法的側面等、さまざまな観点から対象となる不動産を詳細に調査し、不動産が持つリスクを把握・分析する。
これにより、投資家保護に資するとともに、金融機関や格付会社等に対する情報開示のためにも資することを目的とする。デューデリジェンスにより発行される主な報告書の名称及び内容並びに各調査を担当する外部専門家を示すと下表のとおりである。
種類 | 報告書 | 専門家 | 内容 | |
①物理的調査 | 対象不動産の建物の管理・修繕・劣化状況、 | |||
建物環境、土壌汚染、地震リスク等の物理的 | ||||
リスクに関して調査・評価を実施し、将来想 | ||||
エンジニアリングレポート | 定される様々なリスクを抽出して不動産賃 貸収支や出口時の売却価格への影響を定量 | |||
化するための調査である。これにより得た情 | ||||
報は後記②の経済的調査(不動産鑑定評価) | ||||
及び収益性の検討のための前提ともなる。 | ||||
対象不動産の概要及び修繕・更新履歴等を把 | ||||
握するとともに不動産調査を行い、修繕・更 | ||||
新周期や緊急を要する修繕・更新項目、遵法 | ||||
建物状況調査等 | 建築士等 | 性等の判断を行う。 さらに修繕・更新費用等を算出する。これらを通じて、建築物及び設備の現状を定性的か | ||
つ定量的に調査・測定するとともに、将来の | ||||
不動産賃貸収支への影響を推測し、必要な対 | ||||
策を講じるための資料とする。 |
土壌汚染リスク評価 | 環境調査会社等 | 土壌汚染調査は土壌や地下水の汚染の有無について調査するものである。デューデリジェンスでは、既存情報の確認、現地調査及び関係者へのヒアリング調査の結果をとりまとめて専門家としての見解を示す、いわゆるフェーズⅠが実施されることが多い。フェーズⅠの結果により、さらに実際に土壌等の調査を行うフェーズⅡが行われることもある。なお、フェーズⅢは土壌汚染の除去・対策の実施とされる。 また、アスベスト、PCB 等の建物環境リスク に関する調査が行われることも多い。 | ||
地震リスク評価 | 地震リスク調査会社 | わが国は地震が多く、地震によりどの程度の損失を被る可能性があるかを把握することは不動産投資において重要である。 地震による対象不動産の経済的損失を予測する指標としては予想される最大の物的損失額の再調達価格に対する割合である予想最大損失率(PML 値)が一般的である。 デューデリジェンスでは、50 年間で超過確率 10%の地震(再現期間 475 年相当の地震)による再調達原価に対する損失率を PML 値として示すことが慣例化しており、一般的には 15%または 20%を超えた場合に地震保険の付保や一定のキャッシュリザーブ等のリスクを軽減する措置を講ずる場合が多い。 なお、現在は各調査会社が独自のデータベースや分析方法を活用して PML 値を算出して いる。 |
②経済的調査 | 不動産鑑定評価書 | 不動産鑑定士 | 不動産鑑定評価書は、特例事業者である特別目的会社(SPC)が不動産を売買する際の参考資料となる。また、不動産賃貸収支や将来売却予想価格の把握を通じ、資金計画や出口戦略の検討にあたって有用である。 なお、不動産の鑑定評価とは、土地もしくは建物またはこれらに関する所有権以外の権利の経済価値を判定し、その結果を価額に表示することをいう。 証券化対象不動産にかかる鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合には、基本的に収益還元法のうち DCF 法により求めた価格を標準とし、直接還元法による検証を行って求めた収益価格に基づき、比準価格及び積算価格によ る検証を行い鑑定評価額を決定する。 |
③法的調査 | 法律意見書 | 弁護士 | 不動産は物件ごとに強い個別性を有するとともに、多くの法規制が存在する。そのため複雑な権利関係が発生し、法的な状況把握が困難なことも多い。 一方、不動産特定共同事業が成立するためには一定の収益性を要することから、賃貸借契約が適切に成立し、賃料収入が適切に収受されることが重要である。 また、特例事業者である特別目的会社(SPC)が所有者及び賃貸人としての権利を行使するためには、不動産の譲渡及び賃貸借契約等が適切であることが必要である。 そのため法的調査の対象は、物権関係(土地及び建物に関する権原)、占有状況、契約関係・債権債務関係(賃貸借、工事請負契約等)、法的規制、境界、私道、紛争、また真正売買・倒産隔離といったスキーム関係等、多岐に亘 る可能性がある。 |
第4章 不動産特定共同事業の実施
1. 第三号事業
(1) 物件取得
第三号事業を行う者は、特例事業者の委託を受けて特例事業者が当事者である不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引にかかる業務として対象不動産の取得を行うことになる。
なお、不動産取得時の留意事項は下記のとおりである。
① 自己取引等の禁止
特例事業者は、上記のとおり、第三号事業を営む者に不動産取引にかかる業務を委託するため、委託を受けた第三号事業を営む者と特例事業者との問で不動産取引を行う場合、利益相反が生じる可能性がある。
よって、不動産特定共同事業者と当該不動産特定共同事業者に業務を委託した特例事業者との間において不動産取引を行うことを原則として禁止している
(不特法第 26 条の 2 第 1 号)。
また、第三号事業を営む者は、複数の特例事業者から第三号事業の委託を受ける場合も想定される。委託を受けた特例事業者間で不動産取引をする場合についても、利益相反が生ずる可能性が考えられる。
そのため、委託特例事業者相互間の不動産取引の代理または媒介を行うことについても原則として禁止される(不特法第 26 条の 2 第 2 号)。
このように不動産特定共同事業者による自己取引等については原則として禁止されているものの、事業参加者の保護に欠けるおそれのない場合においては、例外として自己取引等が許容されている(不特法第 26 条の 2)。
具体的には、以下の 2 つの場合が規定されている(不特法施行規則第 21 条の 2)。
a.個別の不動産取引ごとに、当該不動産取引の対象となる不動産にかかる不動産特定共同事業契約のすべての事業参加者に当該不動産取引の内容及び当該不動産取引を行おうとする理由の説明を行い、当該すべての事業参加者の同意を得たものであること(不特法施行規則第 21 条の 2 第 1 項)。
b.不動産鑑定士による鑑定評価を踏まえて調査した価額により行う不動産取引であって、かつ、a.の説明を行い、当該事業者参加者の過半数の同意を得たものであること(不特法施行規則第 21 条の 2 第 2 項)。
a.については、事業参加者全員に対して不動産取引内容及び理由の事前説明を行い、同意を得た場合は、事業参加者の保護に欠けるおそれがないと考えられるためである。
また、b.については、第三者である専門の評価者による評価(不動産鑑定評
価)に基づいた取引であるならば、不公正な価額で取引をされるおそれは低く、さらに、過半数の同意を得たうえでの不動産取引であれば、事業参加者の保護に欠けるおそれがないと考えられるためである。
なお、「不動産鑑定士による鑑定評価を踏まえて調査した価額」については必ずしも不動産の鑑定評価額と同額である必要はないとされている(パブコメ NO42・43)。
② 不動産特定共同事業を行う場合における租税の特例(登録免許税・不動産取得税)
特例事業において、特例事業者が不動産を取得する場合、一定の要件を満たしたものについては、登録免許税及び不動産取得税の軽減措置が認められている(租税特別措置法第 83 条の 3、地方税法附則第 11 条第 14 項)。
具体的な軽減内容としては、所有権移転登記にかかる登録免許税の税率が本則では 1,000 分の 20 が 1,000 分の 13 に、建物の所有権保存登記にかかる登録
免許税の税率が本則では 1,000 分の 4 が 1,000 分の 3 となる。
また、不動産取得税については、取得する不動産の課税標準の算定にあたって不動産価格(固定資産税評価額)の 2 分の 1 が控除される。なお、当該軽減
は平成 27 年 3 月 31 までの時限立法とされている。
本則 | 軽減措置 | ||
登録免許税 | 所有権移転登記 | 1,000 分の 20 | 1,000 分の 13 |
所有権保存登記 | 1,000 分の 4 | 1,000 分の 3 | |
不動産取得税 | 課税標準は当該不動産価格(固定資産税評 価額)とされる。 | 課税標準は当該不動産価格(固定資産税評価額) の2 分の1 が控除される。 |
登録免許税の軽減措置が認められるための要件は以下のとおりである。
<新築又は改築をする場合>
【不動産特定共同事業契約(以下「事業契約」という。)】 (1)事業契約が任意組合型又は匿名組合型であること (2)事業契約に以下の全ての事項が定められていること ① 事業契約締結後に対象不動産を取得すること ② 対象不動産が以下の不動産であること ⅰ 租税特別措置法(以下「法」という。)第 83 条の 3 第 1 項第 1 号に掲げる土地(下記参照) ⅱ ⅰの土地の上に新築又は改築(以下「新築等」という。)をした建築物 ③ 土地の取得後 2 年以内に特定建築物(下記参照)の新築等に着手すること ④ 当該新築等の後 10 年以内に土地及び新築等後の特定建築物を譲渡すること ⑤ 以下の要件を満たすこと ⅰ やむを得ない事由が存する場合を除き、特例事業者が事業参加者から事業契約上の権利及び義務を取得しないこと ⅱ 特例事業者が事業参加者から事業契約上の権利及び義務を取得したときは特例事業者が当該事業契約上の権利及び義務を速やかに譲渡すること ⅲ 以下の者からの出資額の合計が特例事業者の出資総額の 2 分の 1 を超えないこと a.対象不動産の譲渡人 b.対象不動庭の譲渡人が法人である場合:その関係会社 c.対象不動産の譲渡人が個人である場合:その特別関係者 d.特例事業者の関係会社 |
【法第 83 条の 3 第 1 項第 1 号に掲げる土地】 (1)特定建築物の新築等をする場合であること (2)新築等が以下のいずれかの方法によること ① 建替えが必要な建築物として租税特別措置法施行令で定めるもの(下記参照)の建替え ② 更地上に建築物を建築すること (3)土地の面積が 300 ㎡以上であること |
【特定建築物】 以下の全ての要件を満たす耐火建築物又は準耐火建築物 (用途) 住宅、事務所、店舗、旅館、ホテル、料理店、駐車場、学校、病院、介護施設、図書館、博物館、会館、公会堂、劇場、映画館、遊技場、倉庫 |
ただし、風営法第 2 条第 6 項に規定する店舗型性風俗特殊営業、第 9 項に規定する店舗型電話異性紹介営業に供するものを除く (階数) 5 階以上又は延べ面積が 2,000 ㎡以上 (構造) 鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造 登記簿に記録された建築物の構造のうち建物の主たる部分の構成材料が石造、れんが造、コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造 |
【建替えが必要な建築物として租税特別措置法施行令で定めるもの】以下のいずれかを満たす建築物 ① 新築された日から起算して 10 年を経過した建築物 ② 震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害により全壊、流失、半壊、床上浸水その他これらに準じる損害を受けた建築物 |
<増築、修繕又は模様替をする場合>
【事業契約】 (1)事業契約が任意組合型又は匿名組合型であること (2)事業契約に以下の全ての事項が定められていること ① 当該事業契約締結後に対象不動産を取得すること ② 対象不動産が以下の不動産であること ⅰ 法第 83 条の 3 第 1 項第 3 号に掲げる建築物(下記参照) ⅱ ⅰの敷地の用に供されている土地で面積が 300 ㎡以上のもの ③ 対象不動産の取得後 2 年以内に同項第 3 号に規定する増築、修繕又は模様替(下記参照。以下「増築等」という。)に着手すること ④ 増築等の後 10 年以内に増築等後の対象不動産を譲渡すること ⑤ 以下の要件を満たすこと ⅰ やむを得ない事由が存する場合を除き、特例事業者が事業参加者から事業契約上の権利及び義務を取得しないこと ⅱ 特例事業者が事業参加者から事業契約上の権利及び義務を取得したときは特例事業者が当該事業契約上の権利及び義務を速やかに譲渡すること ⅲ 以下の者からの出資額の合計が特例事業者の出資総額の 2 分の 1 を超えないこと a.対象不動産の譲渡人 b.対象不動庭の譲渡人が法人である場合:その関係会社 c.対象不動産の譲渡人が個人である場合:その特別関係者 |
d.特例事業者の関係会社 iv 対象不動産(土地・建物)を同時に取得すること |
【法第 83 条の 3 第 1 項第 3 号に掲げる建築物】 (1)特定建築物とするために増築等をすることが必要な建築物であること (2)以下の要件のいずれかを満たす建築物であること ① 新築された日から起算して 10 年を経過した建築物 ② 震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害により全壊、流失、半壊、床上浸水その他これらに準じる損害を受けた建築物 |
【法第 83 条の 3 第 1 項第 3 号に規定する増築等】 増築等の工事に要した費用の額が以下の金額のうちいずれか多い金額を超えるもの ①1,000 万円 ②当該建築物の取得価頷の 100 分の 1 に相当する金額 |
【特定建築物】 上記参照。 |
不動産取得税の軽減措置が認められるための要件は以下のとおりである。
<新築をする場合>
【不動産特定共同事業契約(以下「事業契約」という。)】 (1)事業契約が匿名組合型であること (2)事業契約に以下の全ての事項が定められていること ①事業契約締結後に対象不動産を取得すること ②対象不動産が以下の不動産であること ⅰ地方税法(以下「法」という。)附則第 11 条第 14 項第 1 号に掲げる土地(下記参照) ⅱⅰの土地の上に新築される特定家屋(下記参照) ③土地の取得後 2 年以内に特定家屋の新築に着手すること ④当該新築の後 10 年以内に土地及び新築後の特定家屋を譲渡すること ⑤以下の要件を満たすこと i. やむを得ない事由が存する場合を除き、特例事業者が事業参加者から事業契約上の権利及び義務を取得しないこと ⅱ.特例事業者が事業参加者から事業契約上の権利及び義務を取得したときは特例事業者が当該事業契約上の権利及び義務を速やかに譲渡すること ⅲ.以下の者からの出資額の合計が特例事業者の出資総額の 2 分の 1 を超えないこと a.対象不動産の譲渡人 b.対象不動庭の譲渡人が法人である場合:その関係会社 c.対象不動産の譲渡人が個人である場合:その特別関係者 d.特例事業者の関係会社 |
【地方税法附則第 11 条第 14 項第 1 号に掲げる土地】 (1)特定家屋の新築をする場合であること (2)新築が以下のいずれかの方法によるものであること ①建替えが必要な家屋として地方税法施行令で定めるもの(下記参照)の建替え ②更地上に家屋を新築すること |
【特定家屋】 用途が以下のいずれかである耐火建築物又は準耐火建築物 ・住宅、事務所、店舗、旅館、ホテル、料理店、駐車場、学校、病院、介護施設、図書館、博物館、会館、公会堂、劇場、映画館、遊技場、倉庫 |
【建替えが必要な建築物として地方税法施行令で定めるもの】 以下のいずれかを満たす家屋 |
一 新築された日から起算して 10 年を経過した家屋 二 震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害により全壊、流失、半壊、床上浸水その他これらに準じる損害を受けた家屋 |
<増築、改築、修繕又は模様替をする場合>
【事業契約】 (1)事業契約が匿名組合型であること (2)事業契約に以下の全ての事項が定められていること ①当該事業契約締結後に対象不動産を取得すること ②対象不動産が以下の不動産であること ⅰ法附則第 11 条第 14 項第 4 号に掲げる家屋(下記参照) ⅱⅰの敷地の用に供されている土地 ③対象不動産の取得後 2 年以内に増築、改築、修繕又は模様替(以下「増築等」という。)に着手すること ④増築等の後 10 年以内に増築等後の対象不動産を譲渡すること ⑤以下の要件を満たすこと i やむを得ない事由が存する場合を除き、特例事業者が事業参加者から事業契約上の権利及び義務を取得しないこと ⅱ特例事業者が事業参加者から事業契約上の権利及び義務を取得したときは特例事業者が当該事業契約上の権利及び義務を速やかに譲渡すること ⅲ以下の者からの出資額の合計が特例事業者の出資総額の 2 分の 1 を超えないこと a.対象不動産の譲渡人 b.対象不動庭の譲渡人が法人である場合:その関係会社 c.対象不動産の譲渡人が個人である場合:その特別関係者 d.特例事業者の関係会社 iv.対象不動産(土地・建物)を同時に取得すること |
【法附則第 11 条第 14 項第 4 号に掲げる家屋】 (1)特定家屋とするために増築等をすることが必要な家屋であること (2)以下の要件のいずれかを満たす家屋であること ①新築された日から起算して 10 年を経過した家屋 ②震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害により全壊、流失、半壊、床上浸水その他これらに準じる損害を受けた家屋 |
【特定家屋】 上記参照。 |
(2) 期中運用
① 対象不動産の賃貸借におけるテナント募集業務
第三号事業を行う者は、上記のとおり、特例事業者の委託を受けて当該特例事業者が当事者である不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引にかかる業務を行う。この不動産取引にかかる業務には、不動産の取得や売却時の代理のほか、賃貸借にテナントの募集業務が含まれる。
したがって、対象不動産の賃貸借におけるテナント募集、更新、変更、解約等の業務は、特例事業者の委託を受けて当該特例事業者が当事者である不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引にかかる委託契約に含まれ、当該第三号事業を行う者が行うこととなると考えられている(パブコメ NO66)。
なお、不特法第 2 条第 6 項第 1 号の趣旨から、特例事業者が第三号事業を行う者以外の者に委託できる行為としては、税務・会計に関する事務を会計事務所に委託する行為、コンストラクションマネジメント契約、プロパティマネジメント契約、工事請負(設計・監理)契約等を第三者と締結する行為があると考えられている。ただし、第三号事業を行う者が委託を受ける不動産取引にかかる業務に含まれるのか否か(特例事業者が第三号事業を行う者以外の者に委託できる行為か否か)については、個別事情ごとに実態に即して実質的に判断すべきものとされている点に留意を要する(パブコメ NO58・59)。
② 運用期間中における事業参加者への不動産特定共同事業契約にかかる財産の管理状況の説明
不動産特定共同事業者は、事業参加者の求めに応じて、不動産特定共同事業契約にかかる財産の管理の状況について説明しなければならない(不特法第 28条)とされ、その説明に際しては、定期的に財産管理報告書を交付しなければならないとされている(同条第 2 項)。
当該財産管理報告書とは、不動産特定共同事業者が不動産特定共同事業契約にかかる財産の管理の状況について事業参加者に対し交付するために作成する報告書をいい、1 年を超えない期間ごとに、当該期間における不動産特定共同事業契約にかかる財産の管理の状況を報告するために作成する必要がある。財産管理報告書の具体的な記載事項については以下のとおりである(不特法施行規則第 23 条)。
① 報告の対象となる期間
② ①の期間の満了の日における当該事業参加者の出資にかかる持分、出資の割合または賃貸もしくは賃貸の委任の目的である財産の共有持分
③ 当該不動産特定共同事業契約に基づき、①の期聞及びその直前 3 年の各期間内に営んだ不動産取引の内容、当該不動産取引から生じた収益または利益及び損失の状況並びに運用の経過
④ ①の期間、及びその直前 3 年の各期間のそれぞれ満了の日における当該不動産特定共同事業契約にかかる財産の状況
⑤ ③・④に掲げる事項に対する公認会計士または監査法人の監査の有無及び監査を受けた場合にはその範囲
⑥ ①の期間における不動産特定共同事業にかかる業務の委託の有無並びに当該業務を委託する場合には委託先の商号もしくは名称または氏名、住所または所在地及び委託する業務の内容
⑦ ①の期間における関係会社との間の不動産特定共同事業にかかる重要な取引の有無並びに当該取引がある場合には当該関係会社と不動産特定共同事業者との関係、当該関係会社の商号または名称、所在地、取引の額及び取引の内容
⑧ 出資を伴う契約にあっては、①の期間における借入れの有無並びに当該借入れがある場合には借入先の属性、借入金額、返済期限、直前の事業年度の借入残高、当該事業年度及び借入期間における利率、返済
方法、担保の設定に関する事項並びに借入れの目的及び使途
(3) 物件売却
特例事業者は、国土交通大臣の免許を受けた宅地建物取引業者とみなされ、一定の規定を除き、宅建業法の規定が適用される(宅建業法 77 条の 3)。そのため、特例事業者が自ら宅地または建物の売主となる物件売却時においては、その売買契約において定める内容に一定の制限を受ける。
つまり、本来契約当事者間で自由に決められるはずの損害賠償額の予定等の制限、手附の額の制限及びその保全方法、暇疵担保責任についての特約の制限等、買主の不利とならないよう一定の制限が課されるが(宅建業法第 38 条から第 41 条の 2)、特例事業者が自ら売主となる場合、これらの規定の適用を受けることになる。
(4) その他留意する事項
不動産特定共同事業者は、犯収法に規定する「特定事業者」に該当する(犯収法第 2 条第 2 項第 26 号)ため、特例事業者が不動産の売買、交換または賃貸借を行う場合には、取引時における顧客の本人特定事項(氏名・住居等)や取引を行う目的等の確認を行わなければならないこと(犯収法第 4 条)や確認記
録の作成義務等(犯収法第 6 条)、取引記録等の作成義務等(犯収法第 7 条)、
疑わしい取引の届出等(犯収法第 8 条)等の犯収法において特定事業者に課せられる義務を履行する必要がある点に留意が必要である。
2. 第四号事業
特例事業は、特例投資家を相手方または事業参加者とすることが要件の一つとされているため、第四号事業を行う者による特例事業への出資等の勧誘対象は特例投資家に限られる。
勧誘対象となる特例投資家の範囲のほか、第四号事業を行う者に適用される行為規制、不動産特定共同事業契約締結時等の交付書面等については下記のとおりである。
(1) 特例投資家
特例投資家は、銀行、信託会社その他不動産に対する投資にかかる専門的知識及び経験を有すると認められる者として主務省令で定める者または資本金の額が主務省令で定める金額以上の株式会社とされる(不特法第 2 条第 6 項第 4号)。
かかる特例投資家を整理すると以下のとおりとなる。
なお、主務省令で定める金額以上の株式会社について、当該資本金の金額は 5 億円とされている(不特法施行規則第 2 条第 2 項)。
類型 | 概 要 |
①不動産特定共同事業者 | 不動産特定共同事業者とは、不特法第 3 条第 1 項の許可を受けて不特法第2 条第4 項各号の不動 産特定共同事業を営む者をいい、第 3 号事業を行 う者、第 4 号事業を行う者等が該当する(不特法 施行規則第 2 条第 1 項第 1 号)。 |
②認可宅地建物取引業者 | 宅地建物取引業者が、宅地または建物の売買、交換または貸借にかかる判断の全部または一部を一定の契約により一任されるとともに当該判断に基づき、これらの取引の代理または媒介を行うことについて、国土交通大臣の認可を受けた宅地建物取引業者をいう(不特法施行規則第 2 条第 1 項第 2 号、宅建業法第 50 条の 2 第 1 項及び第 2 項)。 |
③不動産投資顧問業者 | 不動産に対する投資にかかる投資判断に関し助言を行うのに十分な知識及び能力を有するものとして国土交通大臣の登録を受けている者とは、不動産投資顧問業登録規程(建設省告示第 1828 号)第 3 条第 1 項の規定による登録を受けている 者をいい、不動産投資顧問業登録規程第 2 条第 10 項に規定する「一般不動産投資顧問業者」及び同条第 11 項に規定する「総合不動産投資顧問業者」の双方をいう(不特法施行規則第 2 条第 1項第 3 号、パブコメ NO12・13)。 つまり、不動産投資顧問業登録規程における一般 不動産投資顧問業者及び総合不動産投資顧問業者が該当する。 |
④不動産譲渡人等 | 特例事業者との間で当該特例事業者に対して不動産を売買もしくは交換により譲渡する契約または賃貸する契約を締結している者で、かつ不動産特定共同事業契約の締結に関し、不動産投資顧問業者との間で不動産の価値の分析もしくは当該分析に基づく投資判断に関し助言を受けること、または投資判断の全部もしくは一部を一任することを内容とする契約を締結している者(以下「不動産譲渡人等」という。)をいう (不特法施行規則第 2 条第 1 項第 4 号)。 なお、当該不動産投資顧問業者は、その重要な使用人や判断業務統括者(不動産投資顧問業者が行う投資判断等に関する業務を統括する者。不動産投資顧問業登録規程(建設省告示第 1828 号)第 4 条 1 項第 3 号)が国土交通省が適切と認めた講習を受講している必要であることに留意が必要である(「不動産投資顧問業登録規程の運用について」、平成 13 年 10 月 15 日、国総 動整第 244 号)。 つまり、上記要件を満たした不動産投資顧問業 者と投資助言契約または投資一任契約を締結したオリジネーター等が該当する。 |
⑤特定投資家 | 金商法第 2 条第 31 項に規定される以下の特定投 資家及び同法第 34 の 3 第 4 項の規定により特定投資家とみなされる者をいう(不特法施行規則第 2 条第 1 項第 5 号)。 (a)適格機関投資家 (b)国 (c)日本銀行 (d)投資家保護基金 (e)その他の内閣府令で定める法人 | |
(a)適格機関投資家 | ・ 第一種金融商品取引業(有価証券関連業に該当するものに限る。)または投資運用業を行う者。 ・ 投資信託及び投資法人に関する法律第 2 条第 12 項に規定する投資法人 ・ 投資信託及び投資法人に関する法律第 2 条第 25 項に規定する外国投資法人 ・ 銀行 ・ 保険会社 ・ 信用金庫及び信用金庫連合会並びに労働金庫及び労働金庫連合会 ・ 農林中央金庫及び株式会社商工組合中央金庫 ・ 信用金庫及び信用金庫連合会並びに労働金庫及び労働金庫連合会 ・ 年金積立金管理運用独立行政法人 ・ 株式会社国際協力銀行及び沖縄振興開発金融公庫 ・ 株式会社日本政策投資銀行 ・ 投資事業有限責任組合契約に関する法律第 2 条第 2 項に規定する投資事業有限責任組合 ・ 有価証券の残高が 10 億円以上等の一定の要件を満たし、金融庁長官に届出を行った法人や個人 等、投資にかかる専門的知識及び経験を有する者が該当する(金融商品取引法第二条に規定する定 義に関する内閣府令第 10 条 1 項)。 |
(b)その他の内閣府令で定める法人 | ・ 特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人 ・ 投資者保護基金 ・ 預金保険機構 ・ 農水産業協同組合貯金保険機構 ・ 保険契約者保護機構 ・ 特定目的会社 ・ 金融商品取引所に上場されている株券の発行者である会社 ・ 取引の状況その他の事情から合理的に判断して資本金の額が 5 億円以上であると見込まれる株式会社 ・ 金融商品取引業者または金商法第 63 条第 3項に規定する特例業務届出者である法人 ・ 外国法人 が該当する(金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第 23 条) |
(2) 行為規制
① 不動産特定共同事業法に基づく行為規制
特例投資家を相手方または事業参加者とする第四号事業を行う者に適用される不特法上の行為規制は以下のとおりである(不特法第 46 条の 2)。
a. 信義誠実義務・投機的取引の抑制義務(不特法第 14 条)
b. 名義貸しの禁止(不特法第 15 条)
c. 標識の掲示義務(不特法第 16 条)
d. 業務管理者の設置義務等(不特法第 17 条)
e. 広告の規制(不特法第 18 条)
f. 損失補てん等の禁止(不特法第 21 条の 2、金商法第 39 条)
g. 約款に基づく契約の締結義務(不特法第 23 条第 2 項)
h. 自己取引等の禁止(不特法第 26 条の 2)
i. 特例事業者から委託された業務の再委託の禁止(不特法第 26 条の 3)
j. 財産の分別管理義務(不特法第 27 条)
k. 財産管理状況の説明義務(不特法第 28 条第 1 項)
l. 書類の閲覧義務(不特法第 29 条)
m. 事業参加者名簿の作成・保存・閲覧義務(不特法第 30 条)
n. 秘密を守る義務(不特法第 31 条)
o. 帳簿書類の作成・保存義務(不特法第 32 条)
p. 事業報告書の作成・提出義務(不特法第 33 条)
② 金商法に基づく行為規制
特例事業者が行う不動産特定共同事業契約の締結の勧誘を行う行為は、みなし有価証券の募集または私募の取扱いに該当するため、不特法上の行為規制のみならず、金商法上の行為規制も適用される。
金商法上の主な行為規制は以下のとおりである。
a. 特定投資家への告知義務等(いわゆるオプトアウトまたはオプトインの手続)(金商法第 34 条ないし第 34 条の 4)
b. 顧客に対する誠実義務(金商法第 36 条第 1 項)
c. 標識の掲示義務(金商法第 36 条の 2 第 1 項)
d. 名義貸しの禁止(金商法第 36 条の 3)
e. 広告等の規制(金商法第 37 条)
f. 契約締結前の書面交付義務(金商法第 37 条の 3)
g. 契約締結時等の書面交付義務(金商法第 37 条の 4)
h. 指定紛争解決機関との契約締結義務等(金商法第 37 条の 7)
i. 虚偽告知の禁止、断定的判断の提供の禁止等(金商法第 38 条第 1 号・2項等)
j. 不招請勧誘の禁止、顧客の勧誘受諾意思確認義務、再勧誘の禁止(金商法第 38 条第 4 号・5 号・6 号)
k. 損失補てん等の禁止(金商法第 39 条)
l. 適合性の原則等(金商法第 40 条)
m. 分別管理が確保されていない場合の売買等の禁止(金商法第 40 条の 3)
n. 業務に関する帳簿書類(金商法第 47 条)
o. 事業報告書の提出(金商法第 47 条の 2)
p. 説明書類の縦覧(金商法第 47 条の 3)
③ 犯罪による収益の移転防止に関する法律上の行為規制
第 2 章 4.(2)のとおり、特例事業者と同様に、第四号事業を行う者にも犯収法による義務等が課される。
(3) 投資家への交付書面について
原則として、不動産特定共同事業者は不動産特定共同事業契約が成立するまでの間に、その申込者に対し、不動産特定共同事業契約の内容及びその履行に関する事項であって主務省令で定めるもの(不特法施行規則第 20 条)について、
書面を交付して説明しなければならないとされている(不特法第 24 条)。
また、不動産特定共同事業者は不動産特定共同事業契約が成立したときは、当該不動産特定共同事業契約の当事者に対し、遅滞なく、同上第 1 項各号で規定されている事項を記載した書面を交付しなければならないとされている(不特法第 25 条)。
(4) 商品広告
商品広告については、商品広告に関する各法(景品表示法・宅建業法・金商法)による規制は受けるものの、不特法における規制概要は以下のとおりである。
a.規制の概要
(a)広告の開始時期の制限(不特法第18条第1項)
(b)取引態様の別についての明示義務(不特法第18条第2項)
(c)誇大広告の禁止(不特法第18条第3項)
※不動産特定共同事業者が不特法に違反した場合は、不特法第34条の指示等の対象となるが、特に(c)の違反は不特法第54条第2号により、ただちに罰則の適用がある。
b.広告の開始時期制限の具体的内容
不特法第 18 条によれば、対象不動産が「宅地の造成または建物の建築に関する工事の完了前」のものである場合、都市計画法上の開発許可(都市計画法第 29 条第 1 項または第 2 項)や、建築基準法上の建築確認(建築基準法
第 6 条第 1 項)その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ、広告をしてはならない。
c.取引態様の明示義務
不動産特定共同事業者は、その行おうとする不動産特定共同事業に関する広告をするときは、自己が不動産特定共同事業契約の当事者となるか、もしくはその代理人となるか、または、不動産特定共同事業契約の締結の媒介を行うかの別及び不特法第2条第3項各号に掲げる不動産特定共同事業契約の種別を明示しなければならない(不特法第18条第2項)。
d.誇大広告の禁止
不動産特定共同事業者は、その業務に関して広告をするときは、不動産取引による利益の見込みその他主務省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、または著しく人を誤認させるような表示をしてはならない
(不特法第18条第3項)とされており、その他主務省令で定める事項とは下記に掲げるものである(不特法施行規則第18条)。
(a)不動産特定共同事業者及び特例事業者の資力または信用に関する事項
(b)不動産特定共同事業の実績に関する事項
(c)不動産取引の内容に関する事項
(d)事業参加者に対し分配を行う収益または利益の保証に関する事項
(e)不動産特定共同事業契約の解除に関する事項
(f)不動産取引から損失が生じた場合における当該損失の負担に関する事項
(g)不動産取引にかかる市況に関する事項
(h)不動産特定共同事業契約にかかる金銭の運用に関する事項
e. 事務ガイドライン第4-3(広告の規制)にて法第18条第3項及び不特法施行規則第18条により表示が禁止されている事項
(a)手数料が無料または実際のものより著しく低額であるかのように誤解させるような表示
(b)不動産特定共同事業にかかる不動産取引により確実に利益を得られるかのように誤解させたりして、事業参加者の投資意欲を不当にそそるような表示
(c)出資金の全額もしくはこれを超える金額に相当する金銭を支払うべき旨の表示またはこれを行っていると誤解させるような表示
(d)不特法第5条の許可申請書に記載した商号または名称と異なるものを用いた表示
(e)不動産特定共同事業者に有利な不動産特定共同事業契約の締結またはその代理もしくは媒介の実績のみを掲げる行為
(f)根拠を示さずに、不動産特定共同事業にかかる販売の実績、内容または方法が他の不動産特定共同事業者よりも著しく優れている旨を掲げる表示
(g)社会的に過剰宣伝であると批判を浴びるような過度の宣伝と認められる表示
(h)(a)から(g)までに掲げる事項のほか、不当景品類及び不当表示防止法または屋外広告物法に基づく都道府県の条例その他法令に違反するおそれのある広告
第5章 特例事業における届出事項の変更・特例事業非該当時の届出
1. 特例事業の届出制度
特例事業を営もうとする者は、特例事業を行うにあたっては、必要事項を記載した届出書及び添付書類を提出して(第2章3.参照)、特例事業の開始の届出をしなければならない(不特法第 40 条の 2 第 2 項、不特法施行規則第 28条の 2、第 28 条の 3)。
2. 特例事業における届出事項の変更
特例事業者は、特例事業の開始にあたって届け出た事項に変更があったときは、30 日以内に主務大臣にその旨を届け出なければならない(不特法 40 条の 2
第 4 項、第 28 条の 4 第 1 項)。
変更の届出にあたっては、特例事業を開始するにあたっての届出と同様、変更事項の内容に応じて以下のとおり添付書類を提出する(不特法施行規則第 28
条の 4 第 2 項)。
項目 | 添付書面 |
① 商号または名称及び住所の変更 | 変更後の登記事項証明書またはこれに代わる書面 |
② 役員の氏名及び不特法施行令 7 条で定める使用人があるときは、その者の氏名についての変更(新たに役員または不特法施行令 7 条で定める使用人となる者がある場合に限る) | 新たに役員または不特法施行令 7条で定める使用人となる者にかかる略歴または沿革を記載した書面 |
③ 資本金または出資の額についての変更 | 変更後の登記事項証明書またはこれに代わる書面 |
3. 特例事業非該当時の届出
特例事業者は、業務を委託した第三号事業を行う者や第四号事業を行う者が不動産特定共同事業の許可を取り消されたり、事業参加者が特例投資家でなくなった場合等、特例事業として開始した事業が特例事業に該当しなくなったときは、30 日以内に主務大臣に届け出なければならない(不特法第 40 条の 2 第 7
項、不特法施行規則第 28 条の 5 第 1 項)。
特例事業に該当しなくなったにもかかわらず事業を継続する場合には、主務大臣は 3 カ月以内の期間を定めて、必要な措置を取ることを命ずることができ
る(不特法第 40 条の 2 第 6 項)。
第6章 不動産特定共同事業の終了
不動産特定共同事業契約において当初予定していた契約期間が終了し、合意により当初契約期間を延長しない場合等には、不動産特定共同事業を終了し、主務大臣に廃業等の届出をしなければならない。
また、必要に応じて特別目的会社(SPC)を解散し、清算することになるが、不動産特定共同事業において特別目的会社(SPC)として利用される法人の形態は、会社法に基づく合同会社とすることが多いと想定されるため合同会社を前提に記載を行う。
1. 償還資金の準備
不動産特定共同事業の終了に際しては、不動産を売却換金する等して、特例投資家から預かっていた資金の償還資金が必要である。そのため、特例投資家の資金を確実に償還できるように、事前に不動産特定共同事業の終了時における物件の出口戦略を検討しておく必要があると考えられている。
2. 不動産の処分
出口戦略としては、①対象不動産の売却、②リファイナンス、③不動産証券化事業の再組成がある。不動産特定共同事業を終了することを前提として、不動産の譲渡を行う場合には、譲渡契約の締結から所有権移転登記までの手続きを適切に行う必要がある。また、譲渡に関して税金等の費用が発生するので、資金計画上に織り込む必要がある。
3. 不動産特定共同事業の終了
別紙 2「特例事業用匿名組合型不動産特定共同事業契約」(個別契約書式例)第 10 条では、不動産特定事業契約の終了事由を以下のとおりとしている。
① 契約期間終了日の到来
② 対象不動産全ての処分
③ 本事業の成功の不能(対象不動産その他特例事業者の責任財産の全部もしくは重要な一部の毀損もしくは滅失または法令の改正等により本事業の継続が不可能または著しく困難になったと合理的に認められる場合)
④ 事業参加者にかかる破産手続開始決定または事業参加者に適用されるその他の倒産手続(今後新たに立法されるものを含む。)の開始決定
⑤ 特例事業者及び事業参加者の義務の不履行等による解除
また、以下のいずれかに該当することとなった場合には主務大臣等に対し廃業の届出が義務付けられていることから、不動産特定事業契約が終了した場合には、不動産特定共同事業者であった法人を代表する役員は廃業の届け出をしなければならない(括弧内は届け出をしなければいけない者)(不特法第 11 条)。
① 合併により消滅した場合(消滅した法人を代表する役員であった場合)
② 破産手続き開始の決定により解散した場合(破産管財人)
③ 合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合(清算人)
④ 不動産特定共同事業を廃止した場合(外国法人にあっては、国内に
事務所を有しないこととなった場合を含む。不動産特定共同事業者であった法人を代表する役員)
4. 合同会社の解散
合同会社等の持分会社は、以下のいずれかに該当することになった場合には解散する(会社法第 641 条)。解散するときは法務局に「解散登記申請書」を提出して登記を行うとともに、清算人の選定登記を同時に行う。
また、解散日が事業年度の終了の日とみなされるため、その翌日から 2 カ月以内に確定申告(解散確定申告)を行う。
また、会社法では、解散日から遅滞なく、官報公告や知れたる債権者への通知を行う必要があり、その期間は掲載後 2 カ月以上としなければならないとされている。
① 定款で定めた存立時期の満了
② 定款で定めた解散の事由の発生
③ 総社員の同意
④ 社員が欠けたこと
⑤ 合併(合併により当該持分会社が消滅する場合に限る)
⑥ 破産手続開始の決定
⑦ 解散を命じる裁判
5. 合同会社の清算
解散すると清算手続に入る。具体的には残余財産の換金や債務の弁済を行い、残余財産を確定させる。最終的に残余財産があれば出資者に分配する。分配は
定款に記載があればそれに従い、なければ出資金額に応じて行わなければならないとされている。なお、分配額が出資者の資本拠出額を超えている場合は、その超過額にみなし配当課税される。残余財産分配後、遅滞なく社員総会を開催し、総会終了後 2 週間以内に、法務局に清算結了の登記を行う。
また、税務関係では、事業年度中に残余財産が確定したときは、残余財産の確定日の翌日から 1 カ月以内に確定申告(清算確定申告)を行うものとされている。
6. 宅地建物取引業の廃止の届出及び営業保証金の取戻し
宅地建物取引業を廃止した場合、特例事業者を代表する役員は、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。また、特例事業者が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合、その清算人は、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない(宅建業法第 11 条第 5 号)。そして、これらの届出があったときは、特定事業者またはその承継人は、供託していた営業保証金を取り戻すことができる(宅建業法第 11 条第 2 項及び第 30 条第 1 項)。
営業保証金の取戻しをしようとするときには、その営業保証金につき権利を有する者が申出書を提出する期間(公告の翌日から 6 カ月を下らない一定期間)等を定めて、官報に取戻し公告を行うとともに、国土交通大臣に届け出なければならない(宅建業法第 30 条第 3 項、宅地建物取引業者営業保証金規則第 8
条第 1 項・第 3 項)。当該届出をした者は、上記の公告で定めた期間内に申出書の提出がなかったときは、その旨の証明書の交付を国土交通大臣に請求することができる(宅地建物取引業者営業保証金規則第 9 条第 1 項)。
営業保証金の取戻しをしようとする者は、当該証明書を添付して法務局に営業保証金の取り戻し手続きを行うことができる(宅地建物取引業者営業保証金規則第 10 条第 1 号、供託規則第 25 条第 1 項)。
以 上
別 紙 1
特例事業用匿名組合型不動産特定共同事業契約約款
(不特法第2条第3項第2号契約モデル約款)
特例事業用匿名組合型不動産特定共同事業契約約款
(不特法第2条第3項第2号契約モデル約款)
約款 | 記載根拠 |
この約款(以下「本約款」という。)は、不動産特定共同事業法(平成 6 年法律第 77 号、その後の改正を含む。以下、「法」という。)第 2 条第 7 項に規定される特例事業者(以下「特例事業者」という。)と法第 2 条第 6 項第 4 号に規定される特例投資家(以下「事業参加者」という。)との間で締結される不動産特定共同事業契約の基になる約款である。本約款に基づき締結される不動産特定共同事業契約を以下「本契約」という。 | |
(法第 2 条第 3 項各号に掲げる契約の種別に関する事項) 第 1 条 本契約は、法第 2 条第 3 項各号に掲げる契約の種別のうち、同項第 2号に規定する匿名組合型の不動産特定共同事業契約である。【1】 (業務の委託に関する事項) 第 2 条 特例事業者は、法第 2 条第 6 項柱書きに規定する特例事業(以下、本契約に基づき特例事業者が営む事業を総称して「本事業」という。)を営むため、法の規定に従い、第 3 条第 3 項に規定する不動産取引(以下「本 不動産取引」という。)に係る業務を、法第 2 条第 6 項第 2 号に規定される第三号事業を行う不動産特定共同事業者(以下「第三号事業者」という。)に委託するものとする。【4】 | 政令第5条第1項第1号、規則第8条の2第2項第1号 |
2.特例事業者は、法の規定に従い、本契約の締結の勧誘の業務を、法第 2 条第 6 項第 3 号に規定される第四号事業を行う不動産特定共同事業者に委託したことを確認する。【4】 | |
3.特例事業者は、特例事業を専ら行うことを目的とする法人とする。【4】 | |
4.事業参加者は、法第 2 条第 6 項第 4 号に規定される特例投資家とする。 【4】 | |
(本契約に係る不動産取引の目的となる不動産の特定及び不動産取引の内容に関する事項) 第 3 条 本契約に係る不動産取引の目的となる不動産(以下「対象不動産」 という。)は、別紙物件目録記載の事項(所在、地番、土地面積、延べ床 | 政令第5条第1項第2号、規則第8条の2 第2 項第2 号イ |
面積その他の対象不動産を特定するために必要な事項)の具体的内容を本契約の別紙物件目録に記載して特定する不動産とする。【2】 | |
《対象不動産特定型の場合》 2.特例事業者及び事業参加者は、対象不動産の変更は行わない。【1】 | 規則第8条の2第 2項第2号ロ |
《対象不動産変更型の場合》 2.特例事業者及び事業参加者は、対象不動産の変更を予定する。【1】 | |
3.特例事業者が行う本不動産取引の内容は、別紙不動産取引概要記載の事項(対象不動産に係る売買・交換・賃貸借・請負契約等の原因及び取引の概要)の具体的内容を本契約の別紙不動産取引概要に記載するものとする。【3】 | 政令第5条第1項第2号 |
4.特例事業者は、本契約に対象不動産の取得の予定時期に関する定めを置くものとする。【2】 | 規則第8条の2第 2項第2号ハ |
5.特例事業者及び事業参加者は、本契約において、本不動産取引の内容又は対象不動産の取得の予定時期に変更がある場合の変更手続を規定することができるものとする。【5】 | |
(事業参加者に対する収益又は利益の分配に関する事項) 第 4 条 特例事業者及び事業参加者は、特例事業者から事業参加者に対する収益又は利益の分配に関する事項として、本事業に係る損益及び金銭の分配時期・方法等を本契約で別途定めるものとする。【3】 | 政令第5条第1項第3号 |
(本契約に係る財産の管理に関する事項) 第 5 条 特例事業者及び事業参加者は、①事業参加者の出資額又は出資の限度額、②支払期日又は支払期限、並びに③(i)本事業のための出資総額の限度額又は(ii)出資予定総額及び出資予定総額に対する出資の割合を、本契約の別紙出資要項に規定するものとする。【2】 | 政令第5条第1項第4号、規則第8条の2第2項第3号イ |
2.特例事業者は、本契約に基づき出資された財産を本不動産取引にて運用する。【1】 3.特例事業者は、対象不動産を本事業の目的以外のために担保に供し、又 | 規則第8条の2第 2項第3号ロ 規則第8条の2第 2項第3号ハ |
は対象不動産を他の事業の出資の目的とすることはできない。【1】 | |
4.特例事業者は、対象不動産及び本事業に係る財産を、自己の固有財産及び他の事業に係る財産と分別して管理するものとする。【1】 | 規則第8条の2 第 2 項第 3 号ニ |
(出資に関する事項) 第 6 条 特例事業者が、事業参加者と本契約締結時に合意した事業参加者の出資額を超える負担(以下「追加出資」という。)を求める場合にあっては、その要件、事業参加者の同意に係る手続き等を本契約で合意できるものとする。【5】 | |
2.特例事業者及び事業参加者は、事業参加者の出資額(追加出資額を含む。以下同様。)の支払期日又は支払期限を複数回にすること、出資額の支払方法をコミットメント方式にすること、本契約期間中に出資額の払戻しができること等、出資に係わる事項を規定することができる。【5】 | |
(契約期間に関する事項) 第 7 条 特例事業者及び事業参加者は、契約期間に関する事項(契約を有期とするか無期とするか、有期とする場合には開始時期と終了時期、契約期間延長の有無、要件、方法及び手続き並びにその他の事項)を本契約で定めるものとする。【3】 | 政令第5条第1項第5号 |
(本契約の終了時の清算に関する事項) 第 8 条 特例事業者及び事業参加者は、本契約の終了時の清算に関する事項 (本契約の終了事由、終了時の財産の処分方法、本事業から生じた債権債務の処理方法、事業参加者に対する残余財産の分配に関する方法、時期、手続きその他の事項)を本契約で定めるものとする。【3】 | 政令第5条第1項第6号 |
(本契約の解除に関する事項) 第 9 条 特例事業者及び事業参加者は、本契約の解除に関する事項(解除事 由、解除の手続き、効果その他の事項)を本契約で定めるものとする。【3】 | 政令第5条第1項第7号 |
(第三号事業者の報酬に関する事項) 第 10 条 特例事業者及び事業参加者は、第三号事業者の報酬に関する事項(報酬支払いの有無、報酬を支払う場合には報酬額の計算方法、支払時期その他の事項)を本契約で定めるものとする。【3】 | 政令第5条第1項第8号 |
(本契約に係る不動産取引から損失が生じた場合における当該損失の負担に関する事項) 第 11 条 特例事業者及び事業参加者は、本不動産取引から損失が生じた場合における当該損失の負担に関する事項を本契約で定めるものとする。【3】 | 政令第5条第1項第9号、規則第8条の2第1項第1 号 |
(業務及び財産の状況に係る情報の開示に関する事項) 第 12 条 特例事業者は、本契約において、事業参加者から請求があった場合には、第三号事業者をして、事業参加者に対し本契約に係る財産の管理の状況について説明させるものとする。【4】 | |
2.特例事業者は、事業参加者から、第三号事業者が法第 29 条の規定に基づき作成し備え置く業務及び財産の状況を記載した書類の閲覧請求があった場合には、第三号事業者をして、第三号事業者の事務所の営業時間中に事業参加者が当該書類の閲覧ができるようにする。【1】 | 規則第8条の2第1項第2号 規則第8条の2第 2項第4号イ |
3.特例事業者は、事業参加者から、第三号事業者が法第 30 条の規定に基づき作成し備え置く事業参者名簿の閲覧請求があった場合には、第三号事業者をして、第三号事業者の事務所の営業時間中に事業参加者が事業参加者名簿の閲覧ができるようにする。【1】 | 規則第8条の2第 2項第4号ロ |
4.特例事業者は、本条第 2 項及び第 3 項の閲覧手続きの詳細を本契約で規定することができる。【5】 | |
(事業参加者の契約上の権利及び義務の譲渡に関する事項) 第 13 条 特例事業者及び事業参加者は、本契約において、事業参加者が有する本契約上の権利及び義務(以下「本契約上の地位」という。)の譲渡に関する事項(譲渡制限及び譲渡の方法等)を定めるものとする。【3】 | 規則第8条の2第 1項第3号 |
2.事業参加者の本契約上の地位の譲渡の相手方は、特例投資家に限られるものとする。【1】 | 規則第8条の2第 2項第5号 |
(委託先に関する事項) 第 14 条 第 2 条第 1 項に規定する委託(以下「本委託」という。)先の第三号事業者は下記の通りとする。【1】 記 | 規則第8条の2第 1項第5号 規則第8条の2第 |
第三号事業者の商号又は名称:第三号事業者の住所: | 2項第7号イ |
2.特例事業者が締結する本委託に係る契約(以下「本委託契約」という。)の概要は、本契約の別紙本委託契約要項に記載するものとする。【2】 | 規則第8条の2第 2項第7号ロ |
(特例事業者の報酬に関する事項) 第 15 条 特例事業者及び事業参加者は、特例事業者の報酬に関する事項(報酬支払いの有無、報酬を支払う場合には報酬額の計算方法、支払時期その他の事項)を本契約で定めるものとする。【3】 | 規則第8条の2第 1項第6号 |
(本事業の目的のためにする借入れに関する事項) 第 16 条 特例事業者は、本事業の目的のために借入れ(以下「本借入れ」という。)を行う場合には、本借入れに係る事項(対象不動産を担保に提供することを含む借入条件、借入れに伴う制約事項、借入れに伴い貸付人との関係で事業参加者が劣後的地位に置かれる旨の特約等)を本契約で規定することができる。【5】 | |
(対象不動産の売却等に関する事項) 第 17 条 特例事業者及び事業参加者は、対象不動産の売却、本借入れの借換え等の方法、時期等を本契約で規定することができる。【5】 | |
(反社会的勢力排除条項) 第 18 条 特例事業者及び事業参加者は、本契約において、契約の解除条項を伴う反社会的勢力排除条項を規定するものとする。【4】 | |
《対象不動産変更型の場合》 (対象不動産の変更に係る手続きに関する事項) 第 19 条 特例事業者及び事業参加者は、対象不動産の追加取得の方針及び手続きを、本契約で定めるものとする。【2】 2. 特例事業者は、出資金を追加募集する予定の有無を定めるものとする。 【2】 | 規則第8条の2第 2項第4号、 規則第8条の2 第2項第6号イ 規則第8条の2第 2項第6号ロ |
3.特例事業者及び事業参加者は、前項の追加募集に係る方法及び手続きを、 本契約で別途定めるものとする。【4】 |
(不動産流通税の軽減措置を受けるために定めなければならない事項)
第 20 条 特例事業者による対象不動産の取得に際し、登録免許税及び不動産取得税の軽減措置の適用を受ける場合は、関連税法に規定された条項を、本契約で別途定めることができる。【5】
(約款との優先関係)
第 21 条 特例事業者は、法第 23 条第 2 項に基づき、約款に基づいて本契約が締結されることを担保するために、許可を受けた本約款(許可後に変更の認可を受けて追加変更したもの、あるいは、当該認可を受けずに追加変更したものがある場合には、それら追加変更後のものをいう)を本契約の末尾に添付し、事業参加者との間で本約款の内容を確認し合意するものとする。【4】
2.本契約中の記載事項と本約款中の記載事項とが矛盾又は抵触する場合には本約款中の規定が優先し、本契約に規定がなく本約款中に規定のある法定の約款規定事項は本約款中の規定するところに従い、本契約にも本約款中にも規定のない事項は法令の定めるところに従うものとする。【4】
別紙物件目録
(所在、地番、土地面積、延べ床面積その他の対象不動産を特定するために必要な事項を記載する)
(例示)
1.土地
所在:地番:地目:地積:
2.建物
所在: 種類: 構造: 床面積:
3.新築建物
所在: 種類: 構造: 床面積: (土地及び建物については登記簿記載事項、新築建物については計画概要) 別紙不動産取引概要 別紙出資要項 (例示) 解説注:「出資総額の限度額」又は「出資予定総額」を記載することになっているので、上記のコラムのなかで「出資総額の限度額」を規定し、「出資予定総額」及び「出資予定総額に対する本事業参加者の出資の割合」を記載しない方法や、その逆の方法がとれる。 別紙本委託契約要項 (例示) | ||||
本委託契約締結日 | ||||
委託する業務 | ||||
委託先の行為義務 | ||||
本委託契約期間 | ||||
委託報酬(あらかじめ報酬の額が確定しない場合に おいては、当該報酬の額の計算方法) | ||||
終了事由(解除条項を含む) | ||||
本事業参加者の出資額又は出資の限度額 | |
上記出資額の支払期日又は支払期限 | |
出資総額の限度額 | |
出資予定総額 | |
出資予定総額に対する本事業参加者の出資の割合 |
※ モデル約款の各条項の分類
約款の記載事項は、大きく分けると法定記載事項と任意記載事項に区分できるが、その中で
さらに性質に応じて下記のとおり分類した。モデル約款各条項の末尾に、該当する分類を示している。
<法定記載事項>
【1】法定の約款規定事項であり、基準が定められている事項
約款に記載されている事項を、個別契約にもそのまま規定することを前提とする記載とした。
【2】法定の約款規定事項であり、基準は定められているが、基準に従った詳細な事項については個別契約に委ねる事項
基準が定められているものの、対象不動産の特定や出資のタイミング、委託契約の概要等は、案件により記載の仕方が多様となるため、個別契約にて詳細な記載をすることとした。
【3】法定の約款規定事項であるが、基準は定められていない事項
約款では記載事項の要点となる項目のみを規定し、詳細な内容は個別契約にて「別途定める」ものとした。
<任意記載事項>
【4】法定の約款記載事項ではないが、記載が推奨される事項
例えば反社会勢力排除条項など、盛込むことを推奨すべき項目を記載することとした。
【5】法定の約款記載事項ではないが、実務上契約に記載することが多い事項実務上契約に記載される主要な事項を記載し、「できる」規定とした。
別 紙 2
特例事業用匿名組合型不動産特定共同事業契約
(個別契約書式例)
特例事業用匿名組合型不動産特定共同事業契約
(個別契約書式例)
●●●(以下「特例事業者」という。)及び●●●(以下「事業参加者」という。)は、末尾添付の約款(以下「本約款」という。)の内容を確認合意のうえ、本約款に基づき、不動産特定共同事業法(平成 6 年法律第 77 号、その後の改正を含み、以下「法」という。)に定める不動産特定共同事業契約(以下「本契約」という。)を締結する。
(法第 2 条第 3 項各号に掲げる契約の種別に関する事項)
第 1 条 本契約は、法第 2 条第 3 項各号に掲げる契約の種別のうち、同項第 2 号に規定する匿名組合型の不動産特定共同事業契約である。【1】
(業務の委託に関する事項)
第 2 条 特例事業者は、法第 2 条第 6 項柱書きに規定する特例事業(以下、本契約に基づき特
例事業者が営む事業を総称して「本事業」という。)を営むため、法の規定に従い、第 3 条
第 3 項に規定する不動産取引(以下「本不動産取引」という。)に係る業務を、法第 2 条第 6
項第 2 号に規定される第三号事業を行う不動産特定共同事業者(以下「第三号事業者」という。)に委託するものとする。【4】
2.特例事業者は、法の規定に従い、本契約の締結の勧誘の業務を、法第 2 条第 6 項第 3 号に規定される第四号事業を行う不動産特定共同事業者(以下「第四号事業者」という。)に委託したことを確認する。【4】
3.特例事業者は、特例事業を専ら行うことを目的とする法人とする。【4】
4.事業参加者は、法第 2 条第 6 項第 4 号に規定される特例投資家とする。【4】
5.特例事業者は、事業参加者が特例投資家の地位を喪失したことその他の理由により本事業が特例事業に該当しなくなったときは、法第 40 条の 2 第 7 項に規定する主務大臣への届け出を行い、事業参加者と協議のうえ、必要な対応措置を執るものとする。【5】
6.特例事業者は、第四号事業者を通じて、第 7 条及び別紙出資要項の定めに従い出資金を募るものとする。このため、特例事業者は事業参加者以外の複数の事業参加者(特例投資家に限る。)と個別に、本契約と同一内容(出資額及びそれに関連する事項を除く。)の他の不動産特定共同事業契約を締結できる。【5】
(本契約に係る不動産取引の目的となる不動産の特定及び不動産取引の内容に関する事項)
第 3 条 本契約に係る不動産取引の目的となる不動産(以下「対象不動産」という。)は、別紙物件目録記載の不動産とする。【2】
《対象不動産特定型の場合》
2.特例事業者及び事業参加者は、対象不動産の変更は行わない。【1】
《対象不動産変更型の場合》
2.特例事業者及び事業参加者は、対象不動産の変更を予定する。【1】
3.特例事業者が行う不動産取引の内容は、本契約の別紙不動産取引概要に記載するものとする。【3】
4.特例事業者は、対象不動産の取得の予定時期を下記の通りとする。【2】
記
本土地の取得の予定時期は平成●年●月●日とする。 新築建物の取得の予定時期は平成●年●月●日とする。
5.特例事業者は、本不動産取引の内容又は対象不動産の取得の予定時期に変更がある場合には、当該変更の前までに事業参加者に書面による通知をすることによって、当該変更を行うことができるものとする。【5】
(特例事業者及び事業参加者の権利義務関係)
【5】
第 4 条 事業参加者は特例事業者が行う本事業のために出資し、特例事業者は本事業から生ずる利益を事業参加者に分配することを本契約の各条項に従い約束するものであり、特例事業者及び事業参加者は、本契約が商法上の匿名組合契約の性質を有すること、本契約における特例事業者と事業参加者との関係は商法第 2 編第 4 章に定められた営業者と匿名組合員の関係であることを確認し合意する。
2.出資金として特例事業者が受領した金銭、本事業に関し特例事業者が取得した財産及び権利並びに特例事業者の負った債務及び義務は全て特例事業者に帰属するものとし、事業参加者はこれらに対し権利又は義務を有さない。
3.事業参加者は、本事業に係る業務を執行する権限を有しないものとする。
4.特例事業者は、本契約で別途定める場合を除き、本契約に基づき自らが適当と判断する条 件で、本事業の目的を達成するために必要と思われる全ての契約を締結できるものとする。
5.特例事業者は本事業の遂行に関し、必要に応じて弁護士、公認会計士、不動産鑑定士、その他特例事業者が必要と判断する者を顧問、代理人、又は履行補助者として利用でき、支払った報酬及び費用を本事業の費用とすることができる。
(事業参加者に対する利益又は損失の分配に関する事項)
【3】
第 5 条 本事業より各計算期間中(毎年●月●日から●月●日、●月●日から●月●日までの各期間をいう)に特例事業者に生じた利益又は損失(以下「本事業の損益」という。)は、本契約の定めに従い、出資の割合に基づき、事業参加者に対して割当てられるものとする。但し、計算期間中に出資の割合が変動する場合には、当該計算期間における出資額の平均残高により当該計算期間にかかる計算期日(第 3 項に定義する。)における出資の割合を決定することとする。
2.本事業の損益は、特例事業者が自己の会計基準として採用する、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して計算されるものとする。
3.特例事業者は各計算期間終了後、各計算期間の最終日(以下、「計算期日」という。)から
●営業日以内に、①当該計算期間の(ア)純利益(当該計算期間の収益が費用を超える場合)又は(イ)純損失(当該計算期間の費用が収益を超える場合)、②本契約締結後の各計算期間 (当該計算期間を含む。)の純利益の累計額又は純損失の累計額を計算する。
4.第 2 項及び第 3 項の計算の結果、当該計算期間につき純利益が計上される場合、特例事業者は、本契約の規定に従って当該計算期間にかかる計算期日において、事業参加者に対して当該純利益に当該計算期日における出資の割合を乗じた額を割当てるものとする。
5.第 2 項ないし第 4 項の計算の結果、当該計算期間に純損失が計上される場合、特例事業者は、当該純損失相当額を当該計算期間にかかる計算期日において、事業参加者に対して当該純損失に当該計算期日における出資の割合を乗じた額を割当て、事業参加者の出資額から控除するものとする。特例事業者が割当てる損失の累計額の限度は、出資額の範囲内とする。
6.対象不動産が売却又はその他の方法により処分されたことにより特例事業者につき適用ある法律により課税される法人税及びそれにより増加する住民税が発生する場合には、当該
重課税合計額を、100%から特例事業者に対する法人税及び住民税の実効税率の合計を控除した割合で除した金額を、第 2 項第号の費用に含めるものとし、事業参加者に分配すべき金額から予め控除するものとする。
(事業参加者に対する金銭の分配に関する事項)
【3】
第 6 条 特例事業者は、各計算期日(各計算期間の末日である毎年●月●日及び●月●日をいう)から●ヶ月後の末日までに(但し、初回は●年●月●日とする。また、該当日が営業日でない場合は直後の営業日とする。)(以下、「現金分配日」という。)において、以下の項目の支払資金への充当を以下の順序で行った後に、特例事業者口座に留保されている金銭 (以下「現金分配可能金額」という。)を原資として、事業参加者に対して当該計算期日における出資の割合を乗じた額の金銭を支払うものとする。
①支払期限が到来済みであり、かつ未払いの公租公課及び特例事業者の維持費用(もしあれば)
②第 19 条で定義する本借入契約にかかる貸付人に支払うべき遅延損害金及び損害補償金その他の費用(もしあれば)
③支払期限の到来した本借入契約にかかる貸付金に関する利息
④支払期限の到来している本借入契約にかかる貸付金の元本
⑤本不動産特定共同特例事業者に対する報酬・費用
2.各計算期間につき、対応する各現金分配日に分配された現金分配額が、第 4 条に従って事業参加者に割当てられた純利益を上回る場合は、当該超過額については、事業参加者に対して出資の返還があったものとみなす。
3.特例事業者が、適用ある法律又は契約により、事業参加者に対する支払いについて何らかの金額を減額又は控除しなければならない場合、特例事業者は当該金額を減額又は控除する。事業参加者は当該減額又は控除にあらかじめ同意する。この場合、事業参加者は特例事業者に対して支払額の増額又は追加の支払いを一切要求することはできない。
4.本契約による特例事業者から事業参加者に対する現金の分配の支払は、事業参加者の指定する銀行口座に振込送金する方法により行われるものとする。
5.前項の支払において送金手数料が必要となる場合は、合理的な方法による送金かつ手数料 である限り、特例事業者は支払金額から当該送金手数料を控除した上で支払うものとする。
6.事業参加者が本条第 4 項の口座を変更する場合は、事業参加者が特例事業者に規定に従っ
て通知するものとし、かかる通知を受領した後、特例事業者は、事業参加者から通知を受けた口座を本条第 5 項の口座として取り扱うものとする。
(本契約に係る財産の管理に関する事項)
第 7 条 特例事業者及び事業参加者は、①事業参加者の出資額又は出資の限度額、②支払期日又は支払期限、並びに③(i)本事業のための出資総額の限度額又は(ii)出資予定総額及び出資予定総額に対する出資の割合を、本契約の別紙出資要項に規定するものとする。【2】
2.特例事業者は、本契約に基づき出資された財産を本不動産取引にて運用する。【1】
3.特例事業者は、対象不動産を本事業の目的以外のために担保に供し、又は対象不動産を他事業の出資の目的とすることはできない。【1】
4.特例事業者は、対象不動産及び本事業に係る財産を、自己の固有財産及び他の事業に係る財産と分別して管理するものとする。【1】
(出資に関する事項)
【5】
第 8 条 特例事業者は、本借入契約にかかる債務の元利返済金、本委託契約に基づき生ずる費用、その他本事業に関連する支払のために必要な資金が不足する場合には、その裁量により、第四号事業者を通じて、事業参加者に対して追加出資の募集をすることができる。この場合、特例事業者は、追加出資を必要とする理由及び金額を明示して、その根拠となる資料等とともに事業参加者に書面で通知するものとする。但し、事業参加者は、追加出資義務を負うものではない。
2.前項の追加出資の募集が行われた場合において、事業参加者が追加出資を行わず、又は事業参加者の追加出資の金額が追加出資を必要とする金額を下回った場合、特例事業者はその裁量により不足金額につき新たな匿名組合員(事業参加者)の募集を行うことができるものとし、事業参加者はこれに異議を留めないものとする。但し、新たな匿名組合員は特例投資家に該当する者であることを要し、その契約は出資金の金額に係る条項を除き本契約と同様の内容とする。
(契約期間に関する事項)
【3】
第 9 条 本契約は末尾記載の本契約締結日に発効し、●年●月●日(以下「当初契約終了日」という。)まで(以下「当初契約期間」という。)有効に存続する。但し、特例事業者及び事
業参加者は、当初契約期間終了日の●ヶ月前までに、書面による合意により当初契約期間を延長することができる。
2.前項に拘わらず、次条第 1 項に定める本契約の終了事由が発生した場合には、当該終了事由の発生に伴う清算手続きにおいて、事業参加者に対する出資の価額の返還を行った日をもって、本契約終了日とする。
(本契約の終了時の清算に関する事項)
【3】
第 10 条 特例事業者及び事業参加者は、以下の事由を本契約の終了事由とする。 (1)第 9 条第 1 項に定める契約期間終了日の到来。
(2)対象不動産全ての処分。
(3)事業の成功の不能(対象不動産その他特例事業者の責任財産の全部若しくは重要な一部の毀損若しくは滅失又は法令の改正等により本事業の継続が不可能又は著しく困難になったと合理的に認められる場合をいう。)。
(4)事業参加者に係る破産手続開始決定又は事業参加者に適用されるその他の倒産手続(今後新たに立法されるものを含む。)の開始決定。
(5)次条に基づく本契約の解除(なお、本号の場合には、本条第 2 項及び第 3 項の規定は適
用されず、次条第 3 項の規定により本契約の清算を行うものとする。)。
2.前項に定める本契約の終了事由(前項第(4)号を除く。)が発生した場合には、特例事業者は、特例事業者が適切と考える方法及び時期によって、本事業に関して特例事業者が保有する 財産(以下「責任財産」という。)を処分し、本事業に関する債権を回収し、本事業に関す る債務を弁済し、本事業を清算するものとする。かかる清算手続において余剰資金が生じ た場合、当該余剰資金は事業参加者に、利益の分配又は出資の価額の返還として分配され る。但し、特例事業者は、本借入れ(第 19 条で定義する。)に係る債務(以下「本借入債務」という。)その他の特例事業者が事業参加者以外の第三者(但し、他の事業参加者は含まれ ない。)に対して負担する債務が完済されるまで、かかる利益の分配又は出資の価額の返還を行わないものとし、また、本事業の清算に伴い事業参加者に対する利益の分配又は出資 の価額の返還を行うことにより本事業の清算の遂行に著しい支障が生じると合理的に判断 する場合には、本契約の他の条項にもかかわらず、かかる支障が解消するまでの間、利益 の分配又は出資の価額の返還を延期することができる。
3.特例事業者は、前項に基づき本事業の清算が完了した場合には、最終の損益の計算後、最終損益計算書を作成し、これを事業参加者に送付するものとする。
(本契約の解除に関する事項)
【3】
第 11 条 特例事業者及び事業参加者が本契約に基づく義務を履行せず、相手方当事者が、義務違反者に対してかかる義務の履行を求める通知を行い、義務違反者がかかる通知を受領後●営業日を経過しても、かかる義務が履行されなかった場合には、相手方に書面により通知することにより本契約を解除することができるものとする。なお、特例事業者及び事業参加者は、本契約には商法第 540 条第 1 項の適用がないことをここに確認する。
2.特例事業者は、事業参加者が特例投資家でなくなった場合には、本契約を解除することができるものとする。
3.本契約が前各項に基づき解除された場合には、特例事業者は、合理的な評価方法に基づき本契約解除時点における責任財産及び本事業に係る債務を評価し、事業参加者に対する出資の価額の返還額の算定を行うものとする。特例事業者は、本借入債務その他の特例事業者が事業参加者以外の第三者(但し、他の事業参加者は含まれない。)に対して負担する債務が完済されるまで、かかる出資の価額の返還を行わないものとし、また、本事業の清算に伴い事業参加者に対する出資の価額の返還を行うことにより本事業の遂行に著しい支障が生じると合理的に判断する場合には、本契約の他の条項にもかかわらず、かかる支障が解消するまでの間、出資の価額の返還を延期することができる。
(第三号事業者の報酬等に関する事項)
第 12 条 特例事業者は、本事業に係る運用財産から、別紙本委託契約要項記載の委託契約に係る報酬を第三号事業者に支払うことを、事業参加者は確認する。【3】
(本契約に係る不動産取引から損失が生じた場合における当該損失の負担に関する事項)
【3】
第 13 条 事業参加者は、本不動産取引から損失が生じた場合には、第 5 条の規定に基づきこれを負担するものとする。なお、本事業から生じた利益及び損失の割当の結果、事業参加者に割当てられた損失累計額が出資額を超過する場合においても、事業参加者は出資額の範囲内でのみこれを負担するものとする。
2.特例事業者は、事業参加者が出資した出資額の返還を保証する義務を負わない。
(業務及び財産の状況に係る情報の開示に関する事項)
第 14 条 特例事業者は、事業参加者から請求があった場合には、第三号事業者をして、事業参加者に対し本契約に係る財産の管理の状況について事業参加者に説明させるものとす
る。【4】
2.特例事業者は、事業参加者から、第三号事業者が法第 29 条の規定に基づき作成し備え置く業務及び財産の状況を記載した書類の閲覧請求があった場合には、第三号事業者をして、第三号事業者の事務所の営業時間中に事業参加者が当該書類の閲覧ができるようにする。
【1】
3.特例事業者は、事業参加者から、第三号事業者が法第 30 条の規定に基づき作成し備え置く事業参者名簿の閲覧請求があった場合には、第三号事業者をして、第三号事業者の事務所の営業時間中に事業参加者が事業参加者名簿の閲覧ができるようにする。【1】
4.事業参加者は、本条第 2 項又は第 3 項の閲覧手続きの請求をする場合には、請求の理由及び使用目的等を記載する特例事業者所定の請求書面を特例事業者に提出するものとする。
【5】
(継続的情報提供)
【5】
第 15 条 特例事業者は、以下の各号の規定に従って、下記の資料を作成し、かつ事業参加者に対して提出するものとする。
(1)年間資産運用計画書
特例事業者は、第三号事業者が、各年●月末日までに特例事業者に提出した各事業年度の年間資産運用計画書を、受領後遅滞なく事業参加者に対して提出する。
(2)業務報告書
特例事業者は、第三号事業者が作成し、各事業年度終了後●ヶ月後の末日までに特例事業者に提出される前事業年度における本委託契約に係る受託業務(以下「本受託業務」という。)に関する報告書(以下「年次報告書」という。)、及び、各計算期間末から●ヶ月後の末日までに特例事業者に提出される当該計算期間中の本受託業務に関する報告書を、事業参加者に対して遅滞なく提出するものとする。報告書には以下の事項を含むものとする。
①当該期間の入出金実績の明細ならびに関連する銀行口座の残高との照合の結果
②対象不動産の維持管理状況(当該期間における修繕・資本的支出の実績、躯体の変更を伴うテナント負担の工事実績、定期点検実施状況、法定点検及び指摘事項への対応状況)
③テナントー覧表及び賃貸状況(稼働状況、当該期間における主なテナントの異動、テナント退去・入居予定、テナントとの紛議)
(3)適時報告等
対象不動産に関して、何らかの事故、テナントの契約履行状況、賃料の減額、地代の増
額等、事業参加者の利益に重大な影響を及ぼすと第三号事業者が判断する事実が発生した場合として第三号事業者が特例事業者に対して行った報告について、特例事業者は遅滞なく事業参加者に対して報告を行う。
(4)計算書類
特例事業者は、以下の各号の本事業に関する計算書類を事業参加者に提出する。
①各計算期間から●ヶ月後の末日までに、各計算期間毎の本事業に関する貸借対照表及び損益計算書等
②各事業年度の末日から●ヶ月後の末日までに、各事業年度毎の本事業に関する貸借対照表及び損益計算書等
(5)鑑定評価書
特例事業者は、対象不動産に関し、毎年●月●日を基準日とする不動産鑑定評価書の写しを、同月末目までに、事業参加者に提出する。
(事業参加者の契約上の権利及び義務の譲渡に関する事項)
第 16 条 事業参加者は、特例事業者の事前の書面による承諾を得た場合を除き、本契約上の権利及び義務(以下「本契約上の地位」という。)を第三者に譲渡し、あるいは質入その他の担保の用に供する処分を行えないものとする。【3】
2.事業参加者の本契約上の地位の譲渡の相手方は、特例投資家に限られるものとする。【1】
3.事業参加者は、本契約上の地位を譲渡する場合、以下の各号所定の事項その他法令上必要とされる告知事項を、予め又は同時に、譲受人に対し、書面をもって告知しなければならない。【3】
(1)本契約上の事業参加者の権利(以下「出資持分」という。)の取得の申込の勧誘に関しては、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第 2 条第 3 項第 3 号に該当しない取得勧
誘(金商法第 23 条の 13 第 4 項に規定する少人数向け勧誘)に該当することにより、当該
取得の申込の勧誘に関し、金商法第 4 条第 1 項の規定による届出が行われていないこと。
(2)本出資持分が金商法第 2 条第 2 項第 5 号に規定された有価証券であること。
(3)本出資持分を取得した者が本出資持分を譲渡する場合には、上記(1)号及び(2)号に定める事項について、予め又は同日に、譲受人に対して、書面をもって告知しなければならないこと。
(委託先に関する事項)
第 17 条 第 2 条第 1 項に規定する委託(以下「本委託」という。)先の第三号事業者は下記の通りとする。【1】
記
第三号事業者の商号又は名称:第三号事業者の住所:
2.特例事業者が締結する本委託に係る契約(以下「本委託契約」という。)の概要は、別紙本委託契約要項記載のとおりとする。【2】
(特例事業者の報酬に関する事項)
第 18 条 特例事業者は、本事業の遂行に対する報酬として、年額金●万円を各現金分配日に
●分割(各金●万円)して受け取るものとする。但し、本事業にかかる初回の計算期間に対応する現金分配日には●万円を受け取るものとする。
2.特例事業者は、前項に規定する特例事業者の報酬相当額を、特例事業者口座にて受領するものとし、事業参加者はこれを承諾するものとする。
(本事業の目的のためにする借入れに関する事項)
第 19 条 特例事業者は、本事業の目的のために、別紙借入要項記載の借入れ(以下「本借入れ」といい、それに関する契約を「本借入契約」という。)を行う。【5】
(対象不動産の売却等に関する事項)
第 20 条 特例事業者及び事業参加者は、別紙売却等要項記載の方法に従い、対象不動産の売却、本借入れの借換え等を行う。【5】
(反社会的勢力排除条項)
【4】
第 21 条 特例事業者及び事業参加者は、それぞれ相手方に対し、次の各号の事項を確約する。 (1)自らが、暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又はその構成員(以
下総称して「反社会的勢力」という。)ではないこと
(2)自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。)が反社会的勢力ではないこと
(3)反社会的勢力に自己の名義を利用させ、本契約を締結するものでないこと
(4)本契約の契約期間内に、自ら又は第三者を利用して、この契約に関して次の行為をしないこと
①傷害、脅迫、恐喝、器物破損、けん銃不法所持等の暴力的犯罪行為
②特例事業者又は事業参加者が、それぞれ相手方に対して行う脅迫的な言動又は暴力を用いる行為(相手方に対し、暴力団等の威力を背景に粗野な態度、言動等をとる行為
を含む。)
③特例事業者又は事業参加者が、それぞれ相手方に対して行う相手方の業務を妨害、又は妨害するおそれのある行為
④特例事業者及び事業参加者が、それぞれ相手方に対して行う、相手方の名誉や信用等の毀損、又は毀損するおそれのある行為
2.特例事業者又は事業参加者の一方について、本契約の契約期間内に、次のいずれかに該当した場合には、その相手方は、何らの催告を要せずして、本契約を解除することができる。
(1)前項(1)又は(2)の確約に反する事実が判明した場合 (2)前項(3)の確約に反し契約をしたことが判明した場合 (3)前項(4)の確約に反した行為をした場合
3.特例事業者は、本事業を行うに当たり、以下に掲げる行為を行ってはならない。 (1)対象不動産を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供すること
(2)対象不動産又は対象不動産の周辺において、著しく粗野若しくは乱暴な言動を行い、又は威勢を示すことにより、付近の住民又は通行人に不安を覚えさせる使用を承認若しくは黙認すること
(3)対象不動産に反社会的勢力を居住させ、又は反復継続して反社会的勢力を出入りさせること
4.事業参加者は、特例事業者が前項に反した行為をした場合には、何らの催告を要せずして、本契約を解除することができる。但し、特例事業者が必要な審査等を行った後、前項(1)が判明した場合で、特例事業者が排除に向けた措置を開始した場合には、排除が終了するまでに要する合理的な期間中は解除できないものとする。
5.第 2 項又は前項の規定により本契約が解除された場合には、解除された者は、その相手方に対し、違約金(損害賠償額の予定)として出資額に相当する金銭を支払うものとする。この場合において、解除された者は、解除により生じる損害について、その相手方に対し一切の請求を行うことはできない。
(口座)
【5】
第 22 条 特例事業者は本事業に係る資金管理のため、本借入契約の規定に従って、特例事業者口座を開設の上、維持するものとする。特例事業者は、本借入契約の規定に従って、特例事業者口座において保管される金銭から債務を支弁し、又は法の規定に従いこれを運用することができるものとする。
(倒産手続の申立権の行使の制限及び責任財産の制限)
【5】
第 23 条 特例事業者及び事業参加者は、本借入れ債務が全て支払われた後 1 年と 1 日を経過するまでの間、特例事業者について破産手続、民事再生手続その他これらに準ずる手続(本契約締結後に創設される手続を含む。)の開始を申立てず、また特例事業者と取引をした第三者に対し詐害行為取消権を行使しないものとする。
2.本契約に基づく特例事業者の事業参加者に対する債務の支払は、責任財産のみを引当として、その範囲内でのみ行われ、特例事業者の上記債務についての責任は、特例事業者の有する他の資産及び特例事業者以外の者の資産には一切及ばないものとし、事業参加者はこれを異議なく承諾する。
3.特例事業者は、責任財産が全て換価処分され、分配された後においても、なお、特例事業者が事業参加者に対して負う本契約に基づく未払債務が残存する場合は、事業参加者が当該未払債務に係る請求権を当然に放棄したものとみなす。
4.事業参加者は、本契約に基づき、事業参加者が特例事業者に対し取得する債権の満足を得るため、特例事業者の資産のうち責任財産以外のいかなる資産に対しても差押、仮差押、もしくはその他の強制執行手続の開始又は保全命令を目的とする申立を行わないものと し、かかる申立を行う権利をここに放棄する。
(劣後条項)
【5】
第 24 条 本契約に基づく特例事業者の事業参加者に対する債務は、その発生後もその時々における本借入契約にかかる貸付金債務その他の特例事業者が第三者(匿名組合員は含まれ ない)に対して負担する一切の債務(以下「上位債務」という。)に劣後し、期限の到来した上位債務の全額弁済を停止条件として発生するものとする。本条は、本契約終了後においても、本契約に基づく特例事業者の事業参加者に対する全ての債務の履行がなされる迄の間、適用されるものとする。
(事業参加者の通知義務)
【5】
第 25 条 事業参加者は、本契約締結時に特例事業者に通知した商号、本店、代表者、次条記載の事業参加者の通知先につき変更があった場合、速やかに変更の内容を特例事業者に通知し、特例事業者の定める変更届、変更後の商業登記簿謄本、その他特例事業者が合理的に要求する書面を特例事業者に提出するものとする。特例事業者は、本契約締結時に事業
参加者に通知した商号、本店、職務執行者、次条記載の事業参加者の通知先につき変更があった場合、速やかに変更の内容を事業参加者に通知し、事業参加者が合理的に要求する書面を事業参加者に提出するものとする。
(通知方法)
【5】
第 26 条 本契約に基づく特例事業者又は事業参加者に対する一切の報告、通知その他の連絡は、手交、書留郵便、簡易書留郵便又はファクシミリ(書留郵便又は簡易書留郵便で送付した書面により確認するものとする。)で以下宛にこれを行うものとする。
(ア)事業参加者宛の場合
〒
住所:
電話番号:
ファクシミリ番号: (イ)特例事業者宛の場合
〒
住所:
電話番号:
ファクシミリ番号:
(秘密保持)
【5】
第 27 条 特例事業者及び事業参加者は、①適用のある法令、規則若しくは通達、行政庁の指導、裁判所の判決、決定若しくは命令により開示する場合、若しくは②(i)特例事業者が借入れを行う場合の借入先及び当該借入れにかかるアレンジャー、(ii)本件借入契約にかか る貸付人が本件借入契約にかかる貸付金債権を譲渡又は証券化する場合の本件借入契約に かかる貸付金債権の譲受人(候補者を含む。)又は投資家(潜在的投資家を含む。)、(iii)特例事業者の事務代行受託者、(iv)事業参加者として本契約に基づき出資を行おうとする者 (事業参加者の本契約上の地位を取得しようとする者を含む。)、(ⅴ)第四号事業者、(vi) 上記(i)から(vi)の当事者の弁護士・会計士・税理士・不動産鑑定士等の法律上守秘義務を負う専門家、契約上の守秘義務を負う格付機関等、に開示する場合、又は特例事業者及び 事業参加者間で別途合意する場合を除き、相手方当事者の書面による事前の同意なくして、本契約の内容(当事者の名称を含む)、本契約に基づく取引の内容、及び本契約に基づき又 はこれに関連して他の当事者から受領した秘密情報一切につき、これを第三者に対し、開 示又は漏洩してはならない。なお、本契約に基づいて、相手方当事者の書面による事前の
同意なくして開示できる場合、又は書面による事前の同意を取得した上で開示する場合であっても、その開示対象となる秘密情報の範囲及び開示先等については、開示する目的を達成するために必要最小限度でなければならないものとする。本条は、本契約終了後も 1年間効力を有するものとする。
(本事業のリスク)
【5】
第 28 条 事業参加者は、本契約に基づく取引について、十分検討、評価し、自己の判断と責任によって出資を行うものである。本事業への出資に基づき事業参加者につき生ずる結果その他本事業に関連する事項については、特例事業者は、本契約に基づいて明示している事項を除き、何らの担保責任、保証責任その他の責任を負うものでもない。
2.事業参加者は、本契約により企図される取引に関し事業参加者に課される租税のすべてにつき、自らこれを負担するものとする。
3.事業参加者は、本契約の締結に関し、その契約内容及びリスクを十分に理解しており、特例事業者に対して、金融商品の販売等に関する法律(平成 12 年法律第 101 号、その後の改
正を含む。)第 3 条第 7 項第 2 号に従い、同法第 3 条第 1 項に定める重要事項について説明を要しない旨の顧客の意思を表明したことをここに確認する。
(遅延利息)
【5】
第 29 条 事業参加者及び特例事業者は、本契約に基づく金銭の支払いを遅滞した場合、支払期日の翌日から当該金額全額が支払われる日まで当該未払額に対して、年●%の割合による遅延利息を支払うものとする。
(端数処理)
【5】
第 30 条 本契約に基づく金額の計算について 1 円未満の端数が生ずる場合は、その端数を切り捨てるものとする。
(書面提出等に関する事業参加者の協力)
【5】
第 31 条 事業参加者は、特例事業者からの要請がある場合、特例事業者による本契約上の義務の履行のために必要であると客観的かつ合理的に判断される文書、証明書、その他を適宜提供するものとする。