Contract
広島市認知症初期集中支援推進事業業務委託基本仕様書
1 業務名
広島市認知症初期集中支援推進事業業務(増設分)
2 目的
認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けられるために、認知症の人やその家族に早期に関わる「認知症初期集中支援チーム」(以下「支援チーム」という。)を設置し、認知症の早期診断・早期対応に向けた支援体制を構築することを目的とする。
※令和元年度は、現在設置している4区(東区、西区、安佐北区及びxx区)に加え、以下のとおり未設置の2区に支援チームを増設する。
3 委託期間
契約締結日から令和2年3月31日まで
4 実施主体
事業の実施主体は広島市とし、事業の目的を十分に理解し、業務を適切に実施できると認められる者に委託して実施する。
5 根拠法令等
本業務の実施に当たっては、本基本仕様書のほか介護保険法(平成9年法律第123号)及び地域支援事業実施要綱(平成18年6月9日老発第0609001号)を根拠とする。
6 業務履行場所
広島市域において、受注者が設置する支援チーム事務局及び関係機関、訪問家庭等
※受注者が企画提案書において提案した1行政区内(東区、西区、安佐北区及びxx区を除く。)を基本とする。
7 委託金額(上限額)※1支援チーム当たり
4,793千円(非課税事業)
8 業務内容
支援チームの設置及び初期集中支援の実施に関し、以下の(1)~(3)を行う。
(1)支援チームの設置
ア 支援チームの定義
認知症に係る専門的な知識・技能を有する医師の指導の下、複数の専門職が、家族の訴え等により、認知症が疑われる人や認知症の人及びその家族を訪問し、アセスメント、家族支援などの初期の支援を包括的、集中的(概ね6か月以内)に行い、自立生活のサポートを行うチーム
イ 支援対象者
原則として、40歳以上で、在宅で生活しており、かつ認知症が疑われる人又は認知症の人で、以下の(ア)、(イ)のいずれかの基準に該当する者(以下、「支援対象者」という。)とする。なお、支援対象者は(イ)に偏らないよう留意すること。
(ア)医療サービス、介護サービスを受けていない者、又は中断している者で、以下のいずれかに該当する者
a 認知症疾患の臨床診断を受けていない者 b 継続的な医療サービスを受けていない者 c 適切な介護サービスに結び付いていない者 d 介護サービスが中断している者
※「認知症(気づき~軽度)が疑われるが、現時点で日常生活に大きな支障がなく、また、本人・家族が支援の必要性を感じておらず地域包括支援センター等による継続的支援にまで至らないケース」といった「初期ケース」の支援につながるよう努めること。
(イ)医療サービス、介護サービスを受けているが、認知症の行動・心理症状が顕著なため、対応に苦慮している者
(2)活動エリア
支援チームの活動エリアは、受注者が提案した1行政区内を基本とする。ただし、区域内の活動に支障が生じない範囲で、必要に応じて、区域を越えて活動するものとする。
また、活動エリア外に居住する支援対象者に関する情報提供を得た場合等においても、当該支援対象者に同意を得た上で、当該支援対象者が居住する区の支援チームや日常生活圏域を担当する地域包括支援センターに情報を提供するなどの連携を図ること。
(3)業務実施体制
ア 支援チーム事務局(以下、「事務局」という。)の設置
受注者において、プライバシーに配慮した相談スペースや個人情報が管理できるキャビネット(施錠可)等が確保された執務スペースを設置する。相談スペースやキャビネット等については、受注者が運営する事業所内の他事業等と共用しても差し支えない。また、支援チーム専用の電話、FAXを設置するとともに、専用のメールアドレスを 取得すること。設置等に要する経費は受注者の負担とする。加えて、発注者が所有する業務支援システムを設置するため、光回線が使用できる環境とすること。システム設置、
設置後の回線使用料は発注者が負担する。イ 開設時間(相談・訪問実施時間)
月曜日~金曜日(祝日・年末年始を除く) 午前9時~午後5時
※開設時間外についても、緊急時に連絡が取れるような体制とすること。ウ 人員体制
チーム員は、下記(ア)を満たす専門職(以下「チーム員専門職」という。)2名以上
(うち少なくとも1名は専任とし、他の業務との兼務可とする。また、医療系職員、介護系職員それぞれ 1 名以上とし、原則として事務局に配置する。)及び下記(イ)を満たす専門医(以下「チーム員医師」という。)1名以上の計3名以上で編成すること。
(ア)次の要件を全て満たす者(チーム員専門職)
a 保健師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、社会福祉士等の医療・保健・福祉に関する資格を有する者
b 認知症ケアや在宅ケアの実務・相談業務等に3年以上携わった経験がある者
(イ)次のいずれかの要件を満たす医師(チーム員医師)
a 認知症サポート医であって、認知症疾患の診断・治療に5年以上従事した経験を有する者(認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図っている場合に限る。)
b 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑 別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師であって、今後5年間で認知症サポート医研修を受講する予定である者
c 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のいずれかに該当し、かつ、認知症サポート医である医師
エ 認知症初期集中支援チーム員研修の受講
チーム員は、国が定める「認知症初期集中支援チーム員研修」を受講し、必要な知識・技能を修得するものとする。やむを得ない場合には、国が定める研修を受講したチーム員からの伝達研修により受講内容をチーム内で共有する。
認知症初期集中支援チーム員研修の受講に要する経費については、委託料を充てることができる。
オ チーム員の役割
チーム員専門職は、支援対象者の認知症の包括的アセスメントに基づく初期集中支援を行うための訪問活動等を行う。チーム員医師は、他のチーム員をバックアップし、認知症に関して専門的見地から指導・助言等を行うほか、必要に応じてチーム員とともに訪問し相談に応需する。
訪問する場合のチーム員は、初回のアセスメントの訪問は原則として医療系職員と介護系職員それぞれ1名以上の計2名以上で訪問する。
カ 事業内容
支援チームは、次の(ア)、(イ)の事業をすべて実施する。
(ア)支援チームに関する普及啓発
地域住民や関係機関・団体に対し、支援チームの役割や機能について広報活動や協力依頼を行う等、各地域の実情に応じた取組を行うものとする。
(イ)認知症初期集中支援の実施
①支援対象者の把握
支援対象者の把握については、支援チームが地域包括支援センター、認知症疾患医療センター、認知症地域支援推進員、居宅介護支援事業所、xx委員等から支援対象者に関する情報を入手できるように幅広いネットワークの構築を図ること。また、チーム員が支援対象者に関する情報を知り得た場合においても、本人・家族の同意を得た上で、地域包括支援センター、認知症疾患医療センター認知症地域支援推進員、居宅介護支援事業所、xx委員等と情報共有を図る。
②情報収集及び観察・評価
本人のほか家族等のあらかじめ協力の得られる人が同席できるよう調整を行い、
本人の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族の状況等を情報収集すること。また、指定された観察・評価票を用いて、認知症の包括的観察・評価を行う。
③初回訪問時の支援
初回訪問時に、認知症の包括的観察・評価、基本的な認知症に関する正しい情報の提供、専門的医療機関への受診や介護保険サービスの利用の効果に関する説明及び支援対象者やその家族の心理的サポートや助言等を行う。(おおむね2時間以内)
④チーム員医師を含めたチーム員会議の開催
初回訪問後、支援対象者ごとに、観察・評価内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容、支援頻度等を検討するため、チーム員医師も含めたチーム員会議を行う。必要に応じて、支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門員、本市関係課職員等の参加も依頼する。
⑤初期集中支援の実施
医療機関への受診が必要な場合の支援対象者への動機付けや継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援、介護サービスの利用等の勧奨・誘導、認知症の重症度に応じた助言、身体を整えるケア、生活環境等の改善等の支援を行う。(支援対象者が医療サービスや介護サービスによる安定的な支援に移行するまでの間とし、概ね最長で6か月間)
⑥引き継ぎ後のモニタリング
初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、認知症疾患医療センター、地域包括支援センターの職員や担当介護支援専門員等と同行訪問を行う等の方法で円滑に引き継ぎを行うこと。また、チーム員会議において、引き継ぎの2か月後に、サービスの利用状況等を評価し、必要性を判断の上、随時モニタリングを行うこと。なお、支援対象者に関する情報、観察・評価結果、初期集中支援の内容等を記録した書類は5年間保管しておくこと。
⑦支援実施中の情報の共有について
支援対象者の情報を地域包括支援センター等の関係機関が把握した場合には、認知症初期集中支援チーム及び認知症疾患医療センターに情報を提供するなどして情報共有を図り、事業実施すること。
(ウ)認知症初期集中支援チーム検討委員会への参画
広島市が設置する「認知症初期集中支援チーム検討委員会」に必要に応じて参加し、支援チームの活動状況等について報告する。
9 家庭訪問及びチーム員会議実施について
(1)認知症の観察・評価を行うための家庭訪問
ア 初回のアセスメントの訪問は、原則として医療系職員と介護系職員それぞれ1名以上の計2名以上とし、専任チーム員は必ず訪問する。
イ 支援対象者の状況により、必要に応じてチーム員医師や、支援対象者の居住する地域を圏域とする地域包括支援センター職員、かかりつけ医や介護支援専門員、作業療法士といったチーム員以外の専門職等と同行訪問することができる。
ウ 同行訪問をしたチーム員医師やチーム員以外の専門職等については訪問に係る経費を支出する。
(2)チーム員会議
ア チーム員会議は、支援対象者数に応じて少なくとも月1回以上は実施する。
イ チーム員会議は、少なくともチーム員専門職及びチーム員医師で構成することとし、支援内容や支援方針の決定・変更を協議する対象となる支援対象者の居住する地域を圏域とする認知症地域支援推進員や地域包括支援センター職員も参加することとする。このほか、認知症疾患医療センター職員、かかりつけ医、介護支援専門員、本市関係職員等も必要に応じて参加を依頼することができる。
ウ チーム員会議に出席したチーム員医師及び他の出席者に係る経費を支出する。
10 業務実施に関する書類の提出
受託者は、本業務の遂行に当たり、次の書類を作成し提出する。様式は、発注者からの指示がないものは任意様式とする。
(1)業務実施計画(契約締結後、速やかに提出)
実施計画書(事務局の設置、チーム員の選任、広報活動及び予算に関する計画等)
(2)実績報告
ア 業務実施報告書(月次)(翌月10日まで。3月分については3月31日まで)イ 業務実施報告書(年次)
ウ 業務完了報告書
エ 業務実施に係る収支報告書
(3)その他
上記(1)及び(2)のほか、受注者は発注者からの指示に基づき、適宜必要な書類を作成し提出する。
11 業務実施に当たっての留意事項
(1)法令等の遵守
受注者は、最低賃金法、労働基準法、職業安定法及びその他労働関係諸法令を遵守すること。
(2)個人情報保護及び守秘義務
受注者は、業務の遂行に当たり次の対策を実施すること。ア 個人情報の保護
個人情報の保護の重要性を認識し、業務の実施に当たっては、広島市個人情報保護条例、広島市情報セキュリティポリシー及び関係法令を遵守して取り扱う責務を負い、個人情報の漏洩、滅失、き損、紛失、改ざんの防止その他個人情報保護に必要な措置を講じなければならない。
イ 目的外使用の禁止及び第三者への提供の禁止
発注者の指示がある場合を除き、業務に関して知り得た個人情報を業務の目的以外の目的のために利用し、又は本人・家族等の同意なく第三者に提供してはならない。
ウ 事業従事者への教育の実施
受注者は、業務従事者に対して、広島市個人情報保護条例の罰則規定を周知し、在職中及び退職後において、業務による事務に関して知り得た個人情報を他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならないことなど、個人情報の保護のために必要な教育を行
い、これらの事項を遵守させなければならない。エ 定期的な報告
受注者は、個人情報保護のために必要な教育の実施状況及び個人情報について、発注者の指示に従い、報告しなければならない。
オ 事故発生時の報告
個人情報の漏洩、滅失、き損、紛失、改ざん等の事故が生じたときは、直ちに発注者に通知し、その指示に従い、遅滞なく書面で報告しなければならない。
カ 損害の負担
受注者は、広島市個人情報保護条例、広島市情報セキュリティポリシー及び関係法令に違反した場合、生じた損害(第三者に及ぼした損害を含む。) について、すべての責を負う。
(3)関係機関との連携
受注者は、支援チーム活動を行う際には、広島市認知症疾患医療センター、広島市認知症地域支援推進員等と連携を図りながら、医療・介護サービスにつなぐこと。
(4)再委託等の禁止
受注者は発注者の承認を得なければ、この契約に係る義務の履行を第三者に委託し、この契約に係る権利を第三者に譲渡し、又はこの契約に係る義務を第三者に承継させてはならない。
なお、受注者がこの契約に係る義務の履行を第三者に委託する場合(受注者以外が設置する事業所に事務局を設置する場合等を含む。)には、本業務に関する確実な指揮命令及び責任体制を確保するとともに、事故発生時の対応及び苦情処理を含めた業務全般の実施について、十分な対応が可能となるよう必要な措置を講じること。
(5)その他
本業務を履行するに当たり、本仕様書に記載されていない事項、又は業務遂行上で疑義が生じた場合は、速やかに受注者と発注者とで協議を行い、その指示を受けること。
12 委託料の額の確定等
(1)委託料の額の確定等
委託料の確定は、本業務の実施に要した実支出額と委託契約金額(限度額)のいずれか低い額とする。なお、受注者は、委託業務に係る収支の状況を、他の業務と明確に区別して記録し、関係書類と併せて、年度完了後5年間保存するものとする。
(2)委託料の精算
受注者は、広島市委託契約約款第13条第2項に定める精算については、発注者が指定する精算書により行うものとする。
13 その他
本業務を履行するに当たり、本仕様書に記載されていない事項、又は業務遂行上で疑義が生じた場合は、速やかに発注者と協議し、その指示を受けること。