平成 18 年度 一般・特別会計 地方公営企業会計(水道・病院事業) 合 計 個別検討対象契約合計(A) 件 数 49 17 (注1)66 金 額 10,298 349 10,647 委託契約合計(B) 件 数 (注2)5,446 (注3)212 5,658 金 額 25,320 (注4)1,179 26,499 抽出率(%)(A)÷(B) 件 数 0.9% 8.0% 1.2% 金 額 40.7% 29.6% 40.2% 参照番号・記号 契約名 金額(千円) 担当課 契約方法 抽出基準 指摘...
平成 19 年度
包括外部監査結果報告書
及びこれに添えて提出する意見
委託契約の契約事務の執行について
岡山市包括外部監査人公認会計士 xx xx
目 次
第1 包括外部監査の概要 1
【1】監査の種類 1
【2】選定した特定の事件(監査テーマ) 1
【3】特定の事件の選定理由 1
【4】監査の方法 2
【5】個別検討対象契約の抽出基準 3
【6】監査対象期間 4
【7】監査対象部署 4
【8】監査の実施期間 4
【9】包括外部監査人及び補助者の氏名及び資格 4
【10】利害関係の有無 4
第2 岡山市契約事務の概要 7
【1】岡山市の委託契約の分析 7
【2】岡山市の委託契約事務の概要 12
【3】入札契約事務の概要 13
【4】随意契約事務の概要 19
第3 結果及び意見の総括 24
【1】委託契約の全般管理に関する意見 24
【2】各委託契約に対する結果及び意見の総括 24
第4 入札契約事務の検討(情報システム調達契約以外) 42
第5 随意契約事務の検討(情報システム調達契約以外) 46
第6 清掃・警備業務委託の検討 79
【1】清掃・警備業務の概要及び個別契約抽出基準 79
【2】清掃業務委託契約の検討 79
【3】警備業務委託契約の検討 91
【4】財団法人厚生会との単独随意契約について 98
第7 再委託契約の検討 101
【1】市における再委託契約手続の概要 101
【2】個別契約抽出基準 101
【3】個別契約検討 101
第8 病院事業の契約事務の検討(情報システム調達契約以外) 106
【1】病院事業の契約事務の概要 106
【2】個別契約抽出基準 106
【3】個別契約業務の検討 108
【4】給食業務の外部委託可能性の検討(意見) 123
第9 公の施設の管理委託契約等の検討 125
【1】「公の施設」と指定管理者制度について 125
【2】個別検討対象契約等抽出基準 130
【3】個別契約等の検討 131
第 10 情報システムの調達に関する契約の検討 153
【1】個別契約抽出基準 153
【2】監査視点別検討事項 157
第 11 市直営業務の委託可能性の検討 186
【1】行政改革と民間委託 186
【2】岡山市における業務委託の状況 187
【3】今後の展開と課題(意見) 187
数値は四捨五入で記入している。報告書中の表の合計は、端数処理の関係で内訳の合計
と一致しない場合がある。
第1 包括外部監査の概要
【1】監査の種類
地方自治法第 252 条の 37 の規定による岡山市との包括外部監査契約に基づく監査
【2】選定した特定の事件(監査テーマ)
委託契約の契約事務の執行について
【3】特定の事件の選定理由
岡山市における財政状況は厳しく、平成 18 年度決算における経常収支比率(注)は 92.4%、公債費比率(注)は 22.7%となっている(「新xxxx財政改革大綱(長期計画編)」より)。
(注)経常収支比率とは、人件費や公債費など経常的に支出される経費の一般財
源が市税などの経常的に収入される一般財源に占める割合であり、公債費比率とは、市債の元利返済に要する経費が市税などの一般財源に占める割合である。
こうした中、岡山市は、平成 19 年6月に「新xxxx財政改革大綱」(短期計画
編)の改定を公表し、年間縮減額約 200 億円を掲げている。このうち最多額である
のは「経費(人件費除く)節減等の財政効果」であり、約 100 億円を目標としている。経費節減のためには岡山市における事務の見直しが重要となる。
地方公共団体における事務については、地方公共団体職員が直接実施する事務と、請負や委託等の契約を結ぶことにより執行されているものがある。契約を締結して 執行される事務も多いと思われ、契約事務の見直しへの取組みは重要な課題となる と考える。また、上記「新xxxx財政改革大綱」においては、「民間活力の積極 的活用」も掲げており、今後、民間への委託契約が増加することが見込まれる。
一方、岡山市における事務の多くの部分は情報システムを利用して行われており、事務の執行における情報システムの重要性は非常に高くなっている。政令指定都市 を目指している岡山市においては、今後、情報システム整備に関する委託契約も増 加することが予想され、現時点における情報システムに係る調達・保守等の委託契 約事務の適正性について監査することも必要と考える。
このような状況下において、委託契約事務が適正に執行されているか、住民の福祉の増進に努め最少の経費で最大の効果を挙げるようにしているか等について包括外部監査を実施することが有用であると考える。
【4】監査の方法
1.監査の視点
委託契約の契約事務の執行について、次の視点から監査を実施し、必要に応じてコスト削減や事業の合理化に結びつく改善策について検討する。
(1)契約事務の適正性に関する検討
① 契約手続(入札契約手続含む。)が法令、条例及び規則等に基づいて適正になされているか。
② 契約相手業者の選定は適用要件に照らしてxxに行われているか。
③ 契約業務の履行確認・検査・検収は適正になされているか。
(2)契約事務の経済性・効率性・有効性に関する検討
① 契約業務の目的は明確になっており、市民の福祉増進に繋がっているか。また、契約対象業務の結果について有効性を検証しているか。
② 契約手続が合理性を確保しているか。
③ 契約金額(予定価格含む。)の積算は十分な根拠・資料に基づいて行われているか。
④ 委託契約することによる経済性・効率性・有効性を事前に検証し、コスト面等に関して他の方法に拠った場合と比較した上で契約することを決定しているか。特に情報システム開発に係る契約においては、システム開発の効果が開発段階で明確に設定され、それに対する評価を事前に検証しているか。
⑤ 契約相手業者の選定は十分に競争性が機能し、経済性や有効性を追求するものとなっているか。合理的な理由がなく、契約先が長期化・固定化していないか。
⑥ 単独随意契約について、随意契約とする理由が合理的か。
⑦ 契約業務の実績・成果は設計書や仕様書の内容に沿ったものであり、契約目的を達成していることを検証しているか。
⑧ 市直営事業において、業務の効率化、コスト削減の観点から委託化を図ることを検討しているか。
2.監査の方法
担当部署に質問、関係書類・帳票類等の閲覧、現場視察等を実施し、その実態を調査・検討した。
【5】個別検討対象契約の抽出基準
抽出の考え方 | 抽出契約数 | |
【一般会計・特別会計】 | ||
A | 「節番号 13 委託料」の明細データ(市財政局監理課提示)(注1)を入 手し、その分析結果により、次のものを抽出した。なお、「節番号 13 委託料」の明細データは平成 18 年度データが未作成であったため、 平成 17 年度データを利用した。 ① 1億円以上/件のもの ② 単独随意契約によるもの(100 万円/件未満のもの) ③ 入札契約によるもの ④ 契約対象業務別区分において多額である施設運営管理(指定管理制度導入含む。)、工事設計、管理、測量等のもの | 27 |
B | 上記、「節番号 13 委託料」の明細データの分析及び委託契約の契約を管理する市財政局監理課へのヒアリング等を参考に、一定の監査視点により契約を抽出した。具体的には、次のとおりである。 ①再委託(下請負)契約の手続が適切か。 ⇒再委託(下請負)契約を抽出。 ②同一業務を対象とした委託契約を各課で実施しているものについて積算、手続等が統一化され、適切に運用しているか。 ⇒警備、清掃契約を抽出。 ③情報システム調達・保守に関する契約については、システムの専門家が市職員に少ない現状において、効率的な価格による契約を締結しているか。 ⇒市企画局情報システム課提示の「情報システム登録シート」 を参考に、情報システム調達・保守契約を抽出。 | 25 |
【 地方公営企業会計】 | ||
C | 地方公営企業会計のうち、委託料が多額である、「水道事業会計」、「病院事業会計」の委託契約明細から任意に抽出。 | 17 |
合 計 | 69 |
次の考え方で個別検討の対象とする委託契約を抽出した。抽出した契約は「第1包括外部監査の概要」の末尾に記載している。
(注1)一般会計・特別会計の予算・決算の会計処理においては、委託契約による支払額は、「節番号 13 委託料」で計上される。なお、節とは、地方公共団体の歳入歳出予算の項目の区分名称の一つであり、大区分から順に、「款」、「項」、
「目」、「節」と呼ぶ(地方自治法施行規則第 15 条より)。
個別検討の対象として抽出した契約の件数及び金額の状況は次のとおりである。
(単位:百万円)
平成 18 年度 | 一般・特別会計 | 地方公営企業会計 (水道・病院事業) | 合 計 | |
個別検討対象 契約合計(A) | 件 数 | 49 | 17 | (注1)66 |
金 額 | 10,298 | 349 | 10,647 | |
委託契約合計 (B) | 件 数 | (注2)5,446 | (注3)212 | 5,658 |
金 額 | 25,320 | (注4)1,179 | 26,499 | |
抽出率(%) (A)÷(B) | 件 数 | 0.9% | 8.0% | 1.2% |
金 額 | 40.7% | 29.6% | 40.2% |
(注1) 上記のほか、平成 17 年度契約 584 百万円(2件)、平成 19 年度契約
17 百万円(1件)を必要に応じて抽出している。
(注2) 「節番号 13.委託料」の明細データにおける平成 18 年度委託契約件数は 5,564 件であり、「私立保育園運営費委託料」と「私立保育園特
別委託料」については委託料支払先毎に数えて合計 120 件としていたが、2件、と数えた。
(注3) 病院事業 76 件、上水道事業 136 件
(注4) 病院事業 339 百万円、上水道事業 840 百万円
【6】監査対象期間
原則として平成 18 年度(自平成 18 年4月1日 至平成 19 年3月 31 日)とし、
必要に応じて平成 17 年度以前及び平成 19 年度の監査現場での作業実施時点までを対象とした。
【7】監査対象部署
契約事務を執行する全ての部署を対象とした。
【8】監査の実施期間
平成 19 年6月8日から平成 20 年3月 28 日まで
【9】包括外部監査人及び補助者の氏名及び資格
包括外部監査人 公 認 会 計 士 x x x x
補 | 助 | 者 | 公 | 認 | 会 | 計 | 士 | x | x | x | x |
弁 | 護 | 士 | x | x | x | x |
技術士(情報工学部門) 第 1 種情報処理技術者特 種 情 報 処 理 技 術 者 シ ス テ ム 監 査 技 術 者
x x x x
x | x | 会 | 計 | 士 | x | x | x | x |
公 | 認 | 会 | 計 | 士 | x | x | x | x |
会 | 計 | 士 | 補 | x | x | x | x | |
公認情報システム監査人 | x | x x | x | |||||
その他 | 1名 |
【10】利害関係の有無
包括外部監査の対象とした事件につき、市と包括外部監査人及び補助者との間には地方自治法第 252 条の 29 に規定する利害関係はない。
【個別検討対象契約一覧表】
参照番号 ・記号 | 契約名 | 金額 (千円) | 担当課 | 契約方法 | 抽出基準 | 指摘 記載箇所 | ||
A | B | C | ||||||
1 | 家屋調査等業務委託(18-東2) | 8,190 | 下水道局東部建設課 | 指名競争入札 | 入札 | 第4【1】 | ||
2 | xxxxxほか汚水管埋設工事現場監理業務委託 | 11,550 | 下水道局東部建設課 | 指名競争入札 | 工事設計、監理、測量等 | 第4【2】 | ||
3 | 旭西浄化センター脱水ケーキ セメント資源化搬出処理業務委託 | 44,604 | 下水道x x西浄化センター | 指名競争入札 | 再委託 | 第7【3】1 | ||
4 | xxポンプ場他遠制装置点検業務委託 | 11,550 | 下水道x x西浄化センター | 指名競争入札 | 再委託 | 第7【3】2 | ||
5 | 本庁舎等清掃業務委託 | 60,469 | 総務局管財課 | 単独随意 | 清掃 | 第6【2】1 | ||
6 | 本庁舎等警備他業務委託 | 38,115 | 総務局管財課 | 単独随意 | 警備 | 第6【3】1 | ||
7 | 分庁舎警備業務委託 | 2,633 | 総務局管財課 | 単独随意 | 警備 | 第6【3】2 | ||
8 | 保健福祉会館警備業務委託 | 3,915 | 総務局管財課 | 単独随意 | 警備 | 第6【3】3 | ||
9 | 馬屋下コミュニティハウス (指定管理者) | 216 | 安全・安心 ネットワーク推進室 | 指定管理者 (単独) | 施設管理 | 第9【3】1 | ||
10 | 祇園xxxxx1浚渫藻刈作業委託 | 664 | 経済局農業施設課 | 単独随意 | 単独随意・ 100万円未満 | 第5【1】 | ||
11 | xxx天守閣 (指定管理者) | 862 | 経済局観光課 | 指定管理者 (単独) | 施設管理 | 第9【3】2 | ||
12 | おかやま備前焼工房 (指定管理者) | 7,217 | 経済局観光課 | 指定管理者 (優先) | 施設管理 | 第9【3】3 | ||
13 | 足守プラザ (指定管理者) | 27,245 | 経済局観光課 | 指定管理者 (優先) | 施設管理 | 第9【3】4 | ||
14 | 三丁目劇場の委託 | 7,690 | 経済局産業課 | 単独随意 | 施設管理 | 第9【3】8 | ||
15 | 保育園の警備委託 | 3,238 | 保健福祉局保育課 | 指名競争入札 | 警備 | 第6【3】5 | ||
16 | 私立保育園運営費委託料 | 6,376,624 | 保健福祉局保育課 | 単独随意 | 1億円以上 | 第5【2】 | ||
17 | 私立保育園特別委託料 | 552,660 | 保健福祉局保育課 | 単独随意 | 1億円以上 | 第5【3】 | ||
18 | 岡山市立雄神老人憩の家 (指定管理者) | 610 | 保健福祉局 高齢者福祉課 | 指定管理者 (優先) | 施設管理 | 第9【3】 5(1) | ||
19 | 岡山市立xxx (指定管理者) | 4,412 | 保健福祉局 高齢者福祉課 | 指定管理者 (優先) | 施設管理 | 第9【3】 5(2) | ||
20 | ごみ収集等業務委託契約 (本庁管内その1) | 453,600 | 環境局環境事業課 | 単独随意 | 1億円以上 | 第5【5】 | ||
21 | xx環境センター灰溶融設備他運転管理業務委託 | 121,380 | 環境局環境施設課xx環境センター | 単独随意 | 1億円以上 (施設管理) | 第5【6】 | ||
22 | 当xx環境センター焼却設備等施設運転管理業務委託 | 243,075 | 環境局環境施設課 当xx環境センター | 単独随意 | 1億円以上 (施設管理) | 第5【6】 | ||
23 | 東部クリーンセンター焼却施設運転管理業務委託 | 121,800 | 環境局環境施設課 東部クリーンセンター | 単独随意 | 1億円以上 (施設管理) | 第5【6】 | ||
24 | 東部リサイクルプラザ運転管理業務委託 | 217,198 | 環境局環境施設課 東部リサイクルプラザ | 単独随意 | 1億円以上 (施設管理) | 第5【6】 | ||
25 | 当xx環境センター焼却設備等定期点検調整業務委託 | 121,800 | 環境局環境施設課 当xx環境センター | 単独随意 | 1億円以上 | 第5【7】 | ||
26 | xx埋立処分地汚水処理施設の汚泥除去及び清掃業務委託 | 8,385 | 環境局環境施設課 | 単独随意 | 清掃 | 第6【2】2 | ||
27 | 自転車等駐車場 (指定管理者) | 130,441 | 都市整備局交通政策課 | 指定管理者 (公募) | 1億円以上 (施設管理) | 第9【3】6 | ||
28 | 市内主要公園緑地他管理運営等委託 | 403,200 | 都市整備局公園緑地課 | 単独随意 | 1億円以上 (施設管理) | 第9【3】 7(1) | ||
29 | 岡山市浦安総合公園他7公園 (指定管理者) | 393,097 | 都市整備局公園緑地課 | 指定管理者 (優先) | 1億円以上 (施設管理) | 第9【3】 7(2) | ||
30 | 市道清掃業務委託 | 52,000 | 都市整備局道路保全課 | 単独随意 | 清掃 | 第6【2】3 | ||
31 | 市道舗装維持修繕事業業務委託 | 35,000 | 都市整備局道路保全課 | 単独随意 | 再委託 | 第7【3】3 | ||
32 | 西大寺支所の警備及び宿直業務 | 10,799 | 西大寺支所総務課 | 単独随意 | 警備 | 第6【3】4 | ||
33 | 公民館清掃業務委託 | 68,617 | 教育委員会中央公民館 | 指名競争入札 | 清掃 | 第6【2】4 | ||
34 | 岡山市立少年自然の家清掃業務委託 | 8,720 | 教育委員会 少年自然の家 | 単独随意 | 清掃 | 第6【2】5 | ||
35 | 東xx地内他下水管きょ清掃作業委託 | 977 | 下水道局 下水道保全課 | 単独随意 | 単独随意・ 100万円未満 | 第5【8】 | ||
36 | 京橋町地内下水管きょ調査作業委託 | 945 | 下水道局 下水道保全課 | 単独随意 | 単独随意・ 100万円未満 | 第5【9】 | ||
37 | 旭西浄化センター合流改善詳細設計等業務委託 | 54,820 | 下水道局 計画調整課 | 単独随意 | 工事設計、監理、測量等 | 第5【10】 | ||
38 | xx浄化センター200系投入槽清掃業務委託 | 2,909 | 下水道局 xx浄化センター | 単独随意 | 清掃 | 第6【2】6 |
参照番号 ・記号 | 契約名 | 金額 (千円) | 担当課 | 契約方法 | 抽出基準 | 指摘 記載箇所 | ||
A | B | C | ||||||
A | 福祉総合システム開発 | 190,124 | 保健福祉局 中央福祉事務所 | 随意 (プロポーザル 方式) | 1億円以上 (情報システム) | 第10【2】 | ||
B | 福祉総合システム保守運用管理 | (H19) 17,369 | 保健福祉局 中央福祉事務所 | 単独随意 | 情報システム | 第10【2】 | ||
I | 平成18年度地域情報 センター運用保守業務(前期) | 19,656 | 企画局情報企画課地域情報センター | 単独随意 | 情報システム | 第10【2】 | ||
J | 平成18年度地域情報 センター運用保守業務(後期) | 9,828 | 企画局情報企画課地域情報センター | 指名競争入札 | 情報システム | 第10【2】 | ||
K | 戸籍情報システム開発委託 (平成17年度) | (H17) 570,234 | 市民局市民課 | 随意 (プロポーザル方式) | 情報システム | 第10【2】 | ||
L | 戸籍情報システム統合作業委託 | 66,150 | 市民局市民課 | 単独随意 | 情報システム | 第10【2】 | ||
M | 戸籍情報システム保守・ 運用管理業務(平成17年度) | (H17) 13,556 | 市民局市民課 | 単独随意 | 情報システム | 第10【2】 | ||
N | 戸籍情報システム保守・ 運用管理業務(平成18年度) | 13,556 | 市民局市民課 | 単独随意 | 情報システム | 第10【2】 | ||
O | 国民健康保険システム改良作業委託 (70歳未満高額療養費現物給付対応 等作業委託) | 52,967 | 企画局 情報システム課 | 単独随意 | 情報システム | 第10【2】 | ||
P | 固定資産税及び市税宛名 管理システム統合作業委託 | 189,662 | 企画局 情報システム課 | 単独随意 | 1億円以上 (情報システム) | 第10【2】 | ||
Q | xxxxxXXX運用管理作業委託 | 7,560 | 企画局 情報システム課 | 単独随意 | 情報システム | 第10【2】 | ||
R | 平成18年度電算処理運用管理技術者派遣業務 | 50,454 | 企画局 情報システム課 | 単独随意 | 情報システム | 第10【2】 | ||
S | 平成18年度電子計算機各種装置のオペレーション作業者派遣 | 20,214 | 企画局 情報システム課 | 単独随意 | 情報システム | 第10【2】 | ||
T | 国民健康保険システム統合作業委託 | 119,795 | 企画局 情報システム課 | 単独随意 | 1億円以上 (情報システム) | 第10【2】 | ||
一般・特別会計合計 | 10,952,224 | |||||||
39 | 入院・外来医事業務委託 | 56,435 | 病院局 市民病院医事課 | 単独随意 | 病院事業 | 第8【3】1 | ||
40 | 休日受付・夜間受付業務委託 | 12,222 | 病院局 市民病院医事課 | 単独随意 | 病院事業 | 第8【3】2 | ||
41 | 設備総合管理委託 | 49,014 | 病院局 市民病院総務課 | 単独随意 | 病院事業 | 第8【3】3 | ||
42 | 清掃業務委託 | 36,025 | 病院局 市民病院総務課 | 単独随意 | 病院事業 | 第8【3】4 | ||
43 | 特別清掃(ホスピタル サニテーション)業務委託 | 31,092 | 病院局 市民病院総務課 | 随意 (見積合わせ) | 病院事業 | 第8【3】5 | ||
44 | 常駐警備業務委託 | 12,033 | 病院局 市民病院総務課 | 随意 (見積合わせ) | 病院事業 | 第8【3】6 | ||
45 | 電話交換業務委託 | 11,019 | 病院局 市民病院総務課 | 単独随意 | 病院事業 | 第8【3】7 | ||
46 | 入院・外来医事業務委託 | 8,135 | 病院局 せのお病院 | 単独随意 | 病院事業 | 第8【3】8 | ||
47 | せのお病院内清掃業務委託 | 4,536 | 病院局 せのお病院 | 入札 | 病院事業 | 第8【3】9 | ||
48 | 入院・外来医事業務委託 | 11,655 | 病院局 xx病院 | 単独随意 | 病院事業 | 第8【3】10 | ||
49 | xx病院日常及び定期清掃業務委託 | 4,821 | 病院局 xx病院 | 随意 (見積合わせ) | 病院事業 | 第8【3】11 | ||
C | 都市情報システム運用保守委託 | 2,917 | 水道局 | 単独随意 | 水道事業 | 第10【2】 | ||
D | 平成18年度電子計算機関連業務委託 | 10,735 | 水道局 | 単独随意 | 水道事業 | 第10【2】 | ||
E | 令書等処理業務(単価契約) | 13,326 | 水道局 | 単独随意 | 水道事業 | 第10【2】 | ||
F | 平成18年度水道xx図面等管理業務 | 71,999 | 水道局 | 単独随意 | 水道事業 | 第10【2】 | ||
G | 平成18年度病院情報 システム保守管理業務 | 7,610 | 病院局市民病院医事課 | 単独随意 | 病院事業 | 第10【2】 | ||
H | 医療情報システム運用管理支援業務 | 6,169 | 病院局市民病院医事課 | 随意 (見積合わせ) | 病院事業 | 第10【2】 | ||
地方公営企業会計合計 | 349,743 | |||||||
合 計 | 11,301,967 |
(注)記号のもの(A~H)は、情報システムの調達・保守に関する契約である。
(注)抽出契約合計額11,301,967千円のうち、平成17年度契約は583,790千円、平成19年度契約は17,369千円である。
第2 岡山市契約事務の概要
【1】岡山市の委託契約の分析
「委託」とは、市がその事務事業の処理を相手方に委ねるもので、契約当事者間の信頼関係が重要な要素となり、相手方の責任において行わせるものをいう(岡山市「委託事務事業の執行の適正化に関する要綱」第 2 条より)。
市が実施するより、他の者に委託するほうが効率的なものについて、市は、委託契約を締結する。したがって、委託契約の対象業務は、試験・研究・調査の委託、庁舎警備及び清掃等、その範囲は広い。
1.年次推移
平成 15 年度から平成 18 年度までの決算における市の一般会計歳入・歳出と委託契約額(節番号 13「委託料」のもの)の推移は次のとおりである。
委託料(一般会計・特別会計)の推移
歳出額合計に対する委託料の割合
百万円 %
26,000
25,800
25,600
25,400
25,200
25,000
24,800
24,600
24,400
24,200
平成15年度 平成16年度
平成17年度 平成18年度
6.5
6.4
6.3
6.2
6.1
6.0
5.9
5.8
5.7
5.6
5.5
(注)財政局監理課提供データによる。
市における委託料(一般会計・特別会計合計)は、250 億円前後の金額を推移している。歳出額合計に対する委託料の割合は 6%前後である。
なお、平成 16 年度において、委託料が増加している。これは、旧御津町、旧灘
崎町との合併等により委託契約件数が約 300 件増加したこと等による。
再び、平成 17 年度から平成 18 年度にかけて 291 百万円増加している。これは、地域包括支援センターが介護保険法変更に伴い新設され、従前の老人福祉法に基づく在宅介護支援センター運営委託料(平成 17 年度 177 百万円)より多額に運営委
託料(平成 18 年度 417 百万円)が生じたため等による。
2.委託業務内容別分析
監理課において委託契約の分類をするための分類表を別途作成しており、市の委託契約を委託業務別に分類している(分類表は次のとおり)。なお、当分類表は平成 18 年度決算から改定しているとのことである。
【委託料 業務別分類表】
大分類 | 主な内容 |
【役務】 | |
警備 | 人的警備、機械警備 |
清掃 | 庁舎・事務所清掃、道路・公園の清掃、用水路の清掃 |
浄化槽・貯水槽 | し尿浄化槽清掃、し尿浄化槽点検、貯水槽の清掃・点検 |
下水管 | 下水管清掃、下水管カメラ調査、その他下水管 |
廃棄物 | 一般廃棄物収集運搬、一般廃棄物中間処理・最終処分、産業廃棄物収集運搬、特別管理産業廃棄物収集運搬等 |
保守・点検・管理 | 機械設備(ボイラー、空調設備等)、電気設備、通信設備、消防設備、医 療機器、その他保守点検管理(ピアノ調律等) |
施設の運転管理・ 保守 | ごみ処理施設・下水処理施設等、施設の消毒・防除・防虫、その他施設 (スポーツ施設、文化施設等)の管理・保守等 |
樹木等保護管理 | 樹木の剪定(花壇管理、樹木の防虫)、xx除草、山林(造林) |
検査・測定 | 環境測定、検診・医療検査・衛生検査、漏水調査等 |
研究・調査・計画 | 市場調査、世論調査、企業信用調査等 |
クリーニング | 衣類等クリーニング・寝具類消毒 |
給食 | 給食等調理・配食サービス |
製作等 | 映画・ビデオ、テレビ・ラジオ広告、新聞・雑誌広告、デザイン、文化財の修復、会議録・翻訳 |
イベント | イベントの企画 |
電算 | データ入力、システム開発・運用・保守、ウェブコンテンツの作成、そ の他電算 |
運送 | 貨物運送・運行、旅客運送・運行 |
観光・旅行 | 観光、旅行業務 |
倉庫業 | 倉庫業 |
研修 | 各種研修等の企画、講師派遣 |
保険 | 保険業 |
その他の委託 | 封入封緘、受付、案内、電話交換、医療事務、気象観測・予報、上記以 外の委託(不動産鑑定、福祉関係等) |
人材派遣 | 人材派遣 |
賃貸借 | パソコン等、自動車等のリース、レンタル |
【建設工事】 | |
修繕 | 施設等の修繕 |
【測量、建設コンサルタント等】 | |
測量 | 測量一般、地図の調整、航空測量 |
建設関係建設コン サルタント業務 | 建築一般(建築工事に関する調査、企画、設計及び監理)、電気(建築工 事に係る電気設備に関する設計等)、建築積算、機械設備積算 |
土木関係建設コンサルタント業務 | 下水道(下水道計画に関する調査、企画、立案、下水道に関する工事の設計等)、造園(公園緑地計画に関する調査、公園緑地に関する工事の設計若しくは監理)、施工計画・施工設備及び積算(事業別の部門の工事実 施に関する調査、企画、工事実施の監理等) |
地質調査業務 | 土木又は建築工事のための地質又は土質についての調査等 |
補償関係コンサルタント業務 | 土地調査、土地評価、物件、機械工作物、営業・特殊補償等 |
【登録外】 | |
法令に基づく事務 の委託等 | 福祉、医療等 |
【登録外】 | |
補助的性格のもの | 保育園運営委託等 |
不動産賃貸借 | |
工事委託 |
平成 18 年度委託料(一般会計・特別会計)について、当分類表における大分類別に分類したところ(注)次の状況であった。
(注)今回の分類にあたり、監査人から市の契約担当各課に対して依頼し、集計
したものである。したがって、市会計課データから集計される委託料 25,320 百万円のうち、有効回答により集計したもの 4,657 件、25,310 百万円(有効回答割合 99.9%。差額 10 百万円は未回答等)を対象に分析した。なお、大分類別に分類できないものを市は「その他委託」と分類している。
平成18年度委託料内訳(金額ベース)
その他 11%
清掃 3%
土木関係建設コンサルタント業務 5%樹木等保護管理 5%
工事委託6%
保守・点検・管理 6%
電算7%
その他の委託
廃棄物 9%
補助的性格のもの 28%
施設の運転管理・保守 12%
8% (注)
金額ベースで見ると、「補助的性格のもの」が 28%(7,006 百万円)も占める。この内容は私立保育園(市xx 60 園が対象)に対する委託料である(第5【2】
【3】参照)。次に多額であるのは、施設の運転管理・保守 12%(3,135 百万円)である。東部クリーンセンター等のごみ処理場の運転管理委託(第5【6】参照)、公の施設の指定管理料(第9参照)が主なものである。
平成18年度委託料内訳(件数ベース)
その他 16%
清掃 16%
廃棄物 3%
検査・測定 4%
土木関係建設コンサルタント業務 5%
施設の運転管理・保守 6%
浄化槽・貯留槽 6%
電算
6%
その他の委託 7%
樹木等保護管理15%
保守・点検・管理 15%
件数ベースで見ると、「清掃」が 16%(755 件、674 百万円)も占める。本庁舎を始め、市が所有する各施設を対象とした清掃委託契約である。これらの清掃委託契約は施設を所管する課が各々、契約事務を担当しており、委託料積算の考え方等は各課に委ねられている(第6【2】参照)。次に多いのは、「樹木等保護管理」15%である(693 件、1,318 百万円)である。市内の 1,000 を超える公園の管理、植栽、樹木剪定等の業務について委託している(第9【3】7参照)。
3.契約方法別分類
平成 18 年度委託料(一般会計・特別会計)において、契約方法(一般競争入札、指名競争入札、随意契約(見積合わせ有)、単独随意契約(見積合わせなし))の別に分類したところ、次のとおりである(注)。
(注)今回の分類にあたり、市の契約担当各課に対して依頼し、集計したものであ
る。また、指定管理者制度導入分は、厳密には「契約」ではないため、分類外とした。したがって、市会計課データから集計される委託料 25,320 百万円のうち、有効回答を集計したもの 4,277 件、22,797 百万円(有効回答割合 90.0%)を対象に分析した。
指名競争入札 15.9%
一般競争入札 0.3%
平成18年度委託料契約方法別分類
(金額ベース)
随意契約(見積合わせ) 1.0%
単独随意契約 82.8%
金額ベースで見ると、「単独随意契約」が 82.8%(18,869 百万円)も占める。このうち主なものは「補助的性格のもの」(私立保育園委託料)7,006 百万円である
(第5【2】【3】参照)。
ここで、特に際立つのが、「随意契約(見積合わせ)」が 1.0%(236 百万円)と割合が低いことである。したがって、市において指名競争入札の要件を満たさない契約(契約金額 50 万円未満、または委託業務が地方自治法施行令第 167 条の2第
1 項各号を満たす例外的な場合)については、随意契約を採用し、2人以上のものから見積書を徴さなければならない、としているが、当該原則に反して、多くの契約が市契約規則第 24 条第2項を適用した例外的方法(単独随意契約)を採用している、といえる。
一方、「指名競争入札」は 15.9%(3,619 百万円)であるが、「旭西浄化センター脱水ケーキセメント資源化搬出処理業務委託」(34 百万円。第 7【3】1参照)等がある。「一般競争入札」は委託契約においては、まず見られないが、例外的に 15百万円程度ある。
一般競争入札 0.5%
平成18年度委託料契約方法別分類
(件数ベース)
指名競争入札 27.2%
単独随意契約 55.2%
随意契約(見積合わせ) 17.1%
次に、件数ベースで見ると、「単独随意契約」が 55.1%(2,356 件)も占める。このうち主なものは「保守・点検・管理」(「当xx環境センター焼却設備等定期点検調整業務委託」(第5【7】参照)等)、371 件である。
「随意契約(見積合わせ)」の件数ベースの割合は 17.1%(732 件)であり、前述した金額ベースの場合と比べて割合が高い。これは、1 件あたりの契約金額 323
千円と少額なことから(対する単独随意契約のものは 8,009 千円/件)、明らかである。
4.契約金額別分類
上記3.で契約方法に区分したデータについて、さらに契約金額区分別に分類したところ、次のとおりであった。
契約方法別における契約金額区分別の割合
1億円以上
1千万円以上
100万円以上
50万円以上
5万円以上
5万円未満
単独随意契約
随意契約
(見積合わせ)指名競争入札
一般競争入札
0% 20% 40% 60% 80% 100%
単独随意契約については、1 億円以上の契約が 66.3%も占めている。対して、随意契約(見積合わせ)については、5万円以上 50 万円未満のものが多くを占める
(65.2%)。これは、50 万円未満のものは随意契約によることができ(市契約規則第 22 条第6号より)、5万円未満のものは見積書の徴収を省略できる(市契約規則
第 24 条第2項第1号より)ためである。
一方、契約金額区分別において、契約方法区分別に分類したところ、次のとおりであった。
契約金額区分別における契約方法別の割合
5万円未満
単独随意契約
随意契約
(見積合わせ)指名競争入札
一般競争入札
5万円以上
50万円以上
100万円以上
1千万円以上
1億円以上
0% 20% 40% 60% 80% 100%
契約金額が少額であるものほど、単独随意契約が多い状況については、市の契約規則等の規定内容を踏まえると、予測可能な傾向である。しかし、1,000 万円以上、
1億円以上の契約においては、区分している契約金額が多額であるほど、単独随意契約のものが多い。さらに、1 億円以上の契約においては、全て(100%)、単独随意契約によっている。
【2】岡山市の委託契約事務の概要
市における契約事務は大きく分けると「建設工事」、「物品購入契約」、「委託等その他契約」の3つの区分ごとに事務の手続が異なる。うち、「委託等その他契約」(注)に位置づけられる「委託契約」を中心に記載する。
(注)「委託等その他契約」における契約とは、次の予算科目で支出する契約をいう
(岡山市「契約事務の手引」より)。「修繕料(物品修繕を除く。)」「役務費」
「委託料」「使用料及び賃借料」
1.委託契約事務を規定する規則等
市における委託契約事務は「岡山市契約規則」(以下、「市契約規則」という。)のほか、主に「委託事務事業の執行の適正化に関する要綱」(以下、「委託適正化要綱」という。)により規定している。
委託先の選定に当たっては、より競争性、客観性、xx性の高い方法を採用するものと定められている(「委託適正化要綱」第 10 条より)。したがって、委託契約の締結方法については原則として指名競争入札を実施することとしている(「岡山市の契約事務の手引」より)。ただし、市契約規則第 22 条第 6 号を受けて、1件あたりの契約金
額が 500 千円未満のものについては随意契約を行うことができる。
委託契約事務の概要について、「入札契約事務」と「随意契約事務」に分けて【3】及び【4】に記載する。
2.委託契約事務担当課
市においては各契約対象事務事業の施行担当課が入札から契約締結、履行確認までの契約事務を担当し、市財政局契約課がその審査を担当している。契約課においては、委託料については、具体的には、130 万円以上の単独随意契約(注)のもの及び 500 万円以上のものの契約前の審査(契約方法伺の承認、契約締結伺の承認)を担当している。さらに、市財政局監理課が、契約事務の指導、建設事業の推進に係る調整及びコスト縮減対策等を担当している。
なお、平成 20 年度より、建設コンサルタント業務等の委託契約の入札事務は施行担当課から財政局契約課へ移行予定である。
(注)単独随意契約とは、見積書の徴収を 1 人のものからとすることができる場合、
または徴収を省略できる場合における随意契約をいう(【4】参照)。
一方、情報システム開発・保守等の委託契約においては、その業務内容の専門性が高いことを鑑みて、企画局情報システム課が仕様書作成等業務を各契約対象事務事業の施行担当課に対して応援している。
【3】入札契約事務の概要
1.入札とは
地方自治法第 234 条第1項において契約方法等が次のように定められている。
契約方法 | x x |
一般競争 入札 | 公告により、一定の資格を有する不特定多数の希望者を競争に参加させ、その中から地方公共団体にもっとも有利な条件を提示した者と契約を締結する方法 |
指名競争 入札 | 競争入札の一種で市が資力、信用その他適当であると認める複数の相手方を選択して、その者をして入札の方法により競争させ、契約の主体に最も有利な条件を提供する者との間に契約を締結する方法 |
随意契約 | 市が競争の方法によらないで、任意に特定の相手方を選択して、その者を相手方として契約を締結する方法 |
せり売り | 契約の内容につき、多数人を競争させて、その中から最も有利な内容を表示する者を選んで、その者を相手方として、契約を締結する契約方法のうち、口頭をもって価格の競争をするもの |
上記のうち、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法は、政令で定める場合
契約方法 | 容 認 さ れ る 場 合 |
指名競争 入札 | ・その性質又は目的が一般競争入札に適しない場合 ・その性質又は目的により競争に加わるべき者の数が一般競争入札に付す必要がないと認められる程度に少数である場合 ・一般競争入札に付することが不利と認められる場合 |
随意契約 | ・予定価格が地方自治法施行令及び普通地方公共団体の規則で定める額を超えない場合 ・その性質又は目的が競争入札に適しない場合ほか(【4】参照) |
に該当するときに限り、これによることができるとされ、一般競争入札によることが原則となっている。なぜなら、一般競争入札が最もxxかつ経済的になされると考えられるためである。なお、指名競争入札、随意契約が地方自治法施行令において、容認される条件は次のとおりである。
2.国における入札事務適正化への対応方針
年 月 | x x | |
① | 平成 12 年 11 月 | 「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」施行 |
② | 平成 17 年4月 | 「公共工事の品質確保の促進に関する法律」施行 |
③ | 平成 18 年2月 | 公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議より「公共調達の適正化に向けた取り組みについて」公表 |
④ | 平成 18 年5月 | 「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」一部改正 |
⑤ | 平成 18 年 12 月 | 全国知事会より「都道府県の公共調達の改革に関する指針(緊急報告)」公表 |
⑥ | 平成 19 年2月 | 地方公共団体の入札契約適正化連絡会議より「地方公共団体における入札契約適正化・支援方策について」公表 |
⑦ | 平成 19 年3月 | 「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部を改正する法律」施行 |
国(又は全国的組織)においては入札事務適正化に向けて様々な取り組みが行われてきている。その主な概要は次のとおりである。
○すべての地方公共団体において、一般競争入札を導入するものとする。
○都道府県及び指定都市においては、一定金額(1千万円)以上の契約については、原則として一般競争入札によるものとし、その実施に向けて、早急に取り組むものとする。
○直ちに一般競争入札を導入することが困難な市町村においても、原則として一般競争入札によるべきものであり、当面1年以内に取り組み方針を定め、他の地方公共団体との連携による電子入札の導入や、施工実績・工事成績や地域貢献の実績評価を重視した総合評価方式の導入など、一般競争入札導入に必要
な条件整備を行い、速やかに実施するものとする。
うち、平成 19 年2月総務省自治行政xxx課通知「地方公共団体における入札契約適正化・支援方策について」の概要(一般競争入札に関する記載の概要)は次のとおりである。
3.市における入札契約事務
(1)指名競争入札事務の流れ
市における委託契約を入札で行う場合は、「指名競争入札」によることは前述したとおりであるが、指名競争入札の事務の流れをまとめると次のとおりである。
業務担当課委託業務の検討
委託施行伺
契約方法伺
各局室事務事業委託審査委員
指名通知及び現場説明会通知
業者・関係課
合議-財務課長
(財政局長)
合議-契約課長
備 考
予算, 業務内容, 契約方法, 仕様書,委託料の積算, 法適合性, 経済性,公共性の検討
(添付書類)
・委託設計書(積算書)-金ヌキ
・仕様書
・位置図(平面図)等の必要書類
(添付書類)
・指名選定業者案
・契約書案
・委託設計書(積算書)-金ヌキ
・仕様書
・位置図(平面図)等の必要書類
(対象業務)
各局事務事業委託審査委員会運営要領の取扱基準による。
・仕様書配布
許容価格の決定
(注1)
現場説明会
入 札 の 執 行
・落札業者名,落札金額等を契約課へ報告
(合議をもって代えることも可)
(添付書類)
契約締結伺
(注2)
合議-契約課
会計課
(事前審査)
契約の締結
契約方法伺(添付書類を含む)の外に,
・支出負担行為決議書
・入札記録
・許容価格書
・入札書及び委任状等
・契約書
・保証人承認願
・保証契約書
・現場代理人及びxx技術者届受理
・監督員通知書送付等
・委託作業表(業務日程表)受理
委託業務の管理
業務委託完了届受理
業務の履行
・着手届受理等
・委託業務成績評定表作成(監督員)
・委託業務検査依頼書(検査命令書)作成
・検査報告書
委 託 料 請求書 受 理 支出命令書作成支出
検査の実施
送付
注3)
(
会計課支出
委託業務成績評定表(検査員)等 (添付書類)
・請求書
・検査報告書
・支出負担行為(変更)決議書
・委託施行, 契約方法伺
・契約書その他関係書類
(注1)「委託適正化要綱」第7条において「委託料の決定に当たっては、適正な原価計算を行い、あらかじめ的確な予定価格を算定しておくものとする。」と規定している。予定価格(一般的には予定価格というが市では許容価格という。)は、担当課により作成された積算額(設計額)をもとに担当局長により決定される。平成 18 年度の契約においては、積算額と同額ではなく減額(いわゆる歩切り)される場合も見られたが(第 4【1】、
【2】参照)、平成 18 年 12 月に委託業務契約においてもいわゆる部切りを行わないよう、市監理課から各課へ通知している。
(注2)業者から提出される見積額が許容価格未満であることを確認し、価格をもとに契約業者を決定する。
(注3)検査においては、市契約規則第 83 条、「委託適正化要綱」第 15 条に規定された手続を行う。さらに、測量・建築設計・建設コンサルタント・地質調査については、別に「岡山市委託業務検査規程」及び「委託業務採点表」を規定している。
なお、指名競争入札参加資格者は、市における名簿(「役務」と「測量、建設コンサルタント」に区分)に登録した者である(市契約規則第 18 条第1項より)。
以下、(2)~(6)に紹介する事務の概要は、入札契約事務だけではなく、随意契約事務にも該当する事項である。
(2)契約保証金
地方自治法施行令第 167 条の 16 及び市契約規則第 31 条において、契約者が契約保
証金(原則として契約金額の 100 分の 10 以上)を納付することを規定している。しか
し、市契約規則第 32 条各号の規定を受け、契約保証金納付を減免することができる。
市契約規則第 32 条の各号の内容は、「契約金額が 130 万円未満であるとき」(第 10 号。工事請負契約を除く。)、「各号に定めるもののほか、契約の相手方が契約を履行しないこととなるおそれがないと認められるとき」(第 12 号)等である。
(3)契約保証人
市長は契約(工事請負契約を除く)の相手方に対し、契約保証人を1人以上立てなければならない(市契約規則第 35 条)。ただし、次の市契約規則第 35 条第1項の各号
(平成 19 年度より新設)に規定される場合はこれを免除することができる。
(市契約規則第 35 条第1項)市長は、契約(工事請負契約を除く。以下、本条に置いて同じ。)の相手方に対し、契約保証人1人以上を立てさせなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、これを免除することができる。
(1)国、地方公共団体その他の公法人(これらに準ずる者を含む。)と契約するとき。
(2)契約金額が 130 万円未満(物品等の売払い及び貸付けについては、10 万円未満)のとき。
(3)物品を売払う場合において、買受人が代金を即納してその物品を引き取るとき。
(4)第 31 条に定める契約保証金を納めさせるとき又は第 32 条第1号若しくは第 2号に基づき契約保証金の全部若しくは一部を納付させないとき。
(5)物品の買入れ及び製造の請負契約において、契約の相手方を決定した日から納期までの期間が 30 日以内であるとき。
(6)その他特別の事由によりその必要がないと認められるとき。
さらに、第2~4項において契約保証人の資格、手続きについて規定している。
2.前項の契約保証人は、契約の相手方と同等以上の資力を有する者でなければならない。
3.前項の規定にかかわらず、物品の製造等の完成を保証する場合の契約保証人は、契約の相手方と同等以上の資力及び資格能力を有する者でなければならない。
4.契約の相手方は、契約保証人を立てるときは、保証人承認願を市長に提出し、そ
の承認を受けなければならない。(以下、省略)
(4)一括委任又は一括下請負の禁止
(市契約規則)
第 59 条(一括委任又は一括下請負の禁止)請負者は、工事の全部又は大部分を一括して第三者に委任し、又は請け負わせてはならない。
第 60 条(下請負人の通知)請負者は、市長に対して下請負人につきその名称その
他市長が必要と認める事項を書面により直ちに通知しなければならない。
市においては「市契約規則」第 59 条において、一括委任又は一括下請負(再委託ともいう。)を原則として禁止している。
第×条(一括委任又は一括下請負の禁止)乙は、委託の全部又は大部分を一括して第三者に委任し、又は請け負わせてはならない。
第×条(一括請負又は下請負の通知)乙は、委託の一部を委任し、又は下請負するときは、その名称その他甲が必要と認める事項をあらかじめ甲に対して通知し
なければならない。
市財政局監理課においては、各担当課が作成する委託契約書において次の条文も記載することを指導しているとのことである。
(5)同一委託先との複数年継続契約
市は「岡山市長期継続契約を締結することができる契約を定める条例」を設け、長期継続契約を締結することができる契約を庁舎等の設備保守に係る契約その他の翌年度以降にわたり経常的かつ継続的に役務の提供を受ける必要があると認められる契約等としている。
(6)検査手続と検査評点
委託契約の検査手続について、市は「委託適正化要綱」第 15 条において規定している。委託により執行された事務事業が適正に履行されたかどうかを確認するた
め、必要な検査を行わなければならない。
さらに委託業務のうち「地質調査」「測量作業」「設計作業」のみを対象として、市は「岡山市委託業務検査規程」を定めている。これら3種の委託業務については、その検査が厳密に実施されなければならない、という趣旨を受けて、当該別規程を設けている。
一方、検査評点については、検査により合格した場合、AからFの評価を付ける
(「地質調査」「測量作業」「設計作業」の3種の委託業務については、「岡山市委託業務成績評定要領」、「岡山市委託業務成績評定活用基準」より。それ以外の委託業務については「委託適正化要綱」第 15 条第4項、市契約規則第 87 条より。)。
4.市における委託契約入札事務改善への取り組み
市においては、様々な入札事務の改善へ取り組んでいる。しかし、その大部分は
「建設工事」契約を対象とした入札事務の改善であり、委託契約入札事務を対象とはしていなかった(注)。
(注)建設工事契約入札事務改善の主な取り組み例
① 許容価格の事前公表…平成 11 年7月より入札執行前に許容価格を公表。
② 低入札価格調査制度…許容価格2億円未満(平成 18 年7月改定値)の建設工事については、適正な工事の施工が可能かどうか疑義が生じるため、市が入札者の根拠等について調査を行う制度。
③ 最低制限価格…許容価格2億円以上の建設工事において、最低制限価格を下回った価格の応札については失格とする。
④ 郵便入札の試行実施…平成 14 年7月より建設工事の一部を対象として試行実施。
⑤ 高落札率入札調査制度…著しく高い落札率(95%以上)の建設工事入札においては落札決定を保留し、積算額等の適正性を調査する(平成 14 年7月より)。
⑥ 工事成績評定制度…工事完成検査終了後、当該工事の成績評価を施工業者に通知し、評価点の累計額に応じて1ランク上の工事入札参加資格を認める等の優遇措置制度。逆に評価が低い業者についても評価点数に応じた処分制度がある。
しかし、平成 21 年度の岡山市政令指定都市移行にふさわしい、よりxxで透明
項 目 | x x | 実施(予定)時期 |
【平成 19 年度】 | ||
①入札結果の公表 | 許容価格 500 万円以上の契約について、入札結果を公表する。 | 平成 19 年 7月 |
②指名基準の明確 化、統一化 | 指名業者数、地域要件等の指名基準を明確化し、統一する。 | 平成 19 年 10 月 |
③建設コンサルタント業務等の指名競争入札の改革 | ○各業種ごとの等級区分表及び選定基準表に基づく指名競争入札の実施。 ○3,200 万円/件以上のものについては、一般競争入札(事前審査型)を導入。 | 平成 19 年 10 月 |
【平成 20 年度目標】 | ||
①修繕工事の入札契約方法の変更 | 130 万円以上の庁舎、施設、設備の修繕工事を、原則として建設工事と同じ入札方法に変更する。 | 平成 20 年度 |
性、競争性の高い入札契約制度を目指して、契約規則等を平成 19 年7月に改正している。委託契約事務(入札契約事務のみ。随意契約については【4】4.参照。)に係る主な改正内容及び平成 20 年度改正目標は次のとおりである。
項 目 | x x | 実施(予定)時期 |
②建設コンサルタント業務等の入札の改革 | ○一般競争入札(事後審査型)を導入。 ○郵便入札の実施。 ○入札契約事務を契約課へ移管。 | 平成 20 年度 |
③建設コンサルタント業務等以外の指名競争入札の改革 | ○3,200 万円/件以上のものについては、条件付き一般競争入札(事前審査型)を導入。 | 平成 20 年度 |
さらに、平成 21 年4月の建設コンサルタント業務等の委託契約を対象とした電子入札制度実施を目指して、現在調査、検討中とのことである。
【4】随意契約事務の概要
1.随意契約とは
随意契約とは、競争の方法によらないで、任意に特定の者を選定し、その者と契約を締結する方法である。
地方自治法第 234 条第2項において、指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができると規定している。これを受けて、地方自治法施行令第 167 条の2第1項において、随意契約によるこ
とができる場合を規定している。地方自治法施行令第 167 条の2第1項の概要は次のとおりである。
① 売買、貸借、請負その他の契約でその予定価格が一定の範囲内において普通地方公共団体の規則で定める額を超えないものをするとき(1号)。
② 不動産の買入れ又は借入れ、普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修理、加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき(2号)。
③ 障害者自立支援法 第5条第 12 項に規定する障害者支援施設等において製作された物品を普通地方公共団体の規則で定める手続により買い入れる契約等(3号)。
④ 新商品の生産により新たな事業分野の開拓を図る者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者が新商品として生産する物品を、普通地方公共団体の規則で定める手続により、買い入れる契約をするとき(4号)。
⑤ 緊急の必要により競争入札に付することができないとき(5号)。
⑥ 競争入札に付することが不利と認められるとき(6号)。
⑦ 時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき(7号)。
⑧ 競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がないとき(8号)。
⑨ 落札者が契約を締結しないとき(9号)。
一般的に、特定の者との間で締結する随意契約は、①手続の透明性が低く第三者
の監視が困難である場合が多いため、発注者の裁量の余地が大きい、②競争性が低く、契約率(許容価格に対する見積額の割合)が高止まりし、予算の無駄遣いとなりやすい、③天下り先の公益法人を契約相手方とする等、官制談合の温床になりやすい、といわれている。
2.国における随意契約への対応方針
公表年月 | 文 書 名 |
平成 18 年 2 月 | 「公共調達の適正化に向けた取り組みについて」 |
平成 18 年 6 月 | 「公益法人等との随意契約の適正化について」 |
平成 19 年 1 月 | 「所管公益法人等以外との随意契約の適正化について」 |
平成 19 年 11 月 | 「随意契約の適正化の一層の推進について」 |
国は、公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議を設置し、随意契約の適正化を進めるための議論を進めており、次の文書を公表している、
うち平成 19 年 11 月「随意契約の適正化の一層の推進について」において指摘している課題及び提言は次のとおりである。
○競争的手続に移行したのに、特定の者以外が事実上満たすことのできない条件を設定し、結果として競争が成立せず、特定の者と随意契約を交わしている。
○競争が行われない結果、契約額が予定価格に近似し、調達コストの増嵩を招いている。
○入札契約を監視する第三者機関が設置されていない、あるいは十分に機能していない。
これらの指摘を前提として、随意契約から一般競争入札、公募など競争性のある契約形態への移行を適切に行うよう留意すること、随意契約の実施状況の監視体制強化への提案がなされている。
一方、財務省も、上記会議での状況を受けて、平成 18 年8月に通達「公共調達の適正化について」を出し、随意契約によるべきものを大幅に制限し、さらに競争入札へ移行できないものは、企画競争若しくは公募を行うこととしている(注)。
このように多くの批判を受けて、国自身が随意契約の見直しを行っていることからも、要件が異なるとはいえ、市においても有効性・経済性・効率性の高い契約を締結するとの観点で、随意契約理由を厳格に判断する必要がある。
(注)国が依拠する会計法第 29 条の3第4項は「契約の性質又は目的が競争を許
さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に 付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、随意契約によるものとする。」と定めており、地方自治法施行令第 167 条の
2第1項2号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」よりも厳格な判断が要求されることに留意する必要がある。
3.市における随意契約の事務
(1) 随意契約の限度額
市契約規則第 22 条各号において、地方自治法施行令第 167 条の2第 1 項第 1 号に規定される随意契約によることができる限度額を次のとおり規定している。
第1号 | 工事又は製造の請負 | 130 万円 |
第2号 | 財産の買入れ | 80 万円 |
第3号 | 物件の借入れ | 40 万円 |
第4号 | 財産の売払い | 30 万円 |
第5号 | 物件の貸付け | 30 万円 |
第6号 | 前各号に掲げるもの以外のもの | 50 万円 |
したがって、委託契約については、上記の第6号を受け1件あたりの契約金額が 50 万円未満のものについては随意契約を行うことができる。
(2)見積書の徴収
随意契約により契約を締結しようとするときは2人以上のものから見積書を徴さなければならない。岡山市「契約事務の手引」においても、委託契約の随意契約の場合にあっても見積合わせを原則として行うものとすることが記載されている。
項 目 | x x |
見積書の徴収を1人のものからとすることができる場合 | ア 許容価格が5万円未満であるとき イ 契約の性質又は目的により、契約の相手方を特定せざるを得ないとき ウ 緊急を要するとき(災害時を除く。) エ 公法人(これらに準ずるものを含み、国、地方公共団体を除く。)と直接に契約をするとき オ その他市長が認めるとき |
見積書の徴収を省略できる場合 | ア 国、地方公共団体と直接に契約をするときイ 緊急を要するとき(災害時に限る) ウ その他市長が認めるとき |
しかし、次の例外規定がある(市契約規則第 24 条第1項、第2項より)。これらの例外規定の場合における契約を市では、「単独随意契約」と称している。
(3)随意契約の手続の概要
随意契約の手続の概要は次のとおりである(岡山市の「契約事務の手引」より)。
業務担当課 業者・関係課 備 考
委託業務の検討
委託施行伺
契約方法伺
合議-財務課長
(財政局長)
合議-契約課長
予算, 業務内容, 契約方法, 仕様書, 委託料の積算, 法適合性, 経済性, 公共性の検討
(添付書類)
・委託設計書(積算書)-金ヌキ
・仕様書
・位置図(平面図)等の必要書類
(添付書類)
・選定業者案
・契約書案
・委託設計書(積算書)-金ヌキ
・仕様書
・位置図(平面図)等の必要書類
・随意契約理由書
各局室事務事業審査委託委員会
選定通知及び現場説明会通知
(対象業務)
各局事務事業委託審査委員会運営要領の取扱基準による。
・仕様書配布
許容価格の決定
現場説明会
(注1)(注2)
契約締結伺
(注3)
見積書提出
合議-契約課
会計課
(事前審査)
契約の締結
決定業者名,決定契約金額等を契約課へ報告(合議をもって代えることも可)
(添付書類)
契約方法伺(添付書類を含む)の外に,
・支出負担行為決議書
・見積記録
・許容価格書
・見積書及び委任状等
・契約書
・保証人承認願
・保証契約書
・現場代理人及びxx技術者届受理
・監督員通知書送付等
委託業務の管理
業務委託完了届受理
委 託 料 請求書 受 理 支出命令書作成支出
業務の履行
検査の実施
送 付 会計課支 出
・委託作業表(業務日程表)受理
・着手届受理等
・委託業務成績評定表作成(監督員)
・委託業務検査依頼書(検査命令書)作成
・検査報告書
委託業務成績評定表(検査員)等
(添付書類)
・請求書
・検査報告書
・支出負担行為(変更)決議書
・委託施行, 契約方法伺
・契約書その他関係書類
(注1)随意契約においても、契約を締結しようとするときはあらかじめ、許容価格を定めなければならない。ただし、許容価格が 30 万円を超えないもの及び見積書徴収を省略できる場合(上記参照)にあっては許容価格を記載した書面を省略することができる(市契約規則第 23 条より)。
(注2)許容価格(一般的には予定価格というが市では許容価格という。)は、担当課により作成された積算額(設計額)をもとに担当局長により決定される。平成 18 年度の契約においては、積算額と同額ではなく減額(い
わゆる歩切り)される場合も見られたが(第5【7】参照)、平成 18 年
12 月に委託業務契約においてもいわゆる部切りを行わないよう、市監理課から各課へ通知している。
(注3)業者から提出される見積額が許容価格未満であることを確認し、価格等をもとに契約業者を決定する。
4.市における随意契約事務改善への取り組み
市において、随意契約事務の改善への取り組みは様々実施されているが、工事契約事務に対するものであり、委託契約事務については対象としていない(注)。
(注)工事契約の随意契約事務改善への主な取り組み例
小規模工事(随意契約の対象となる 130 万円未満の工事)…平成 15 年4月の監査委員監査指摘(未実施工事や過大支出、分割発注等の不適正な処理)を受けて、平成 16 年 1 月に承認手続、検査手続等を厳格化。
しかし、平成 21 年度の岡山市政令指定都市移行にふさわしい、よりxxで透明
性、競争性の高い入札契約制度を目指して、契約規則等を平成 19 年7月に改正している。委託契約事務(随意契約)に係る主な改正内容は次のとおりである。
項 目 | x x | 実施(予定)時期 |
【平成 19 年度】 | ||
①単独随意契約の見直し | 単独随意契約を見直し、真に単独随意契約によらなければならないもの以外は、原則として見積合わせ又は競争入札に移行するとともに、随意契約のチェック体制を強化する。 | 平成 19 年7月 |
第3 結果及び意見の総括
【1】委託契約の全般管理に関する意見
1.委託契約データの整備
平成 17 年度までは財政課が作成した委託契約データ(委託料明細データ。契約名、会計処理科目、金額が記載されている。)をもとに、各事務事業施行担当課から紙面提出した委託調査表の記載事項を財政局監理課が補充入力し、契約方法(入札、随意等)別・契約対象業務別の委託契約一覧表データを作成していた。しかし、平成 18 年度においては会計課作成のデータはあるものの、監理課作成によるデータは作成していなかった。これは、人手不足によるためとのことである。
契約データを契約方法別、契約対象業務別等に分析することにより、市における契約事務の傾向等を把握することができ(例えば、前述のとおり第2において監査人が自ら分析した結果、単独随意契約が多い傾向等を導き出している。)、今後の契約事務の見直しに繋げることが可能である。したがって、委託契約一覧表データの分析は、契約事務改善、最終的には行財政改革へ大きく寄与することができるものであり、実施することが求められる。入力工数の負担が大変なのであれば、外部委託等により作成することが望ましい。
【2】各委託契約に対する結果及び意見の総括
監査対象委託契約に関する監査の結果及び意見の主なものは次のとおりである。これらの指摘については、監査対象委託契約以外の他の委託契約においても同様のことがないか市において自己点検等を実施することが必要である。
1.許容価格積算に関する指摘
契約金額は許容価格以下であることが求められるため、許容価格の積算は正確に行われなければならない。
(1)単価積算誤りについて(監査の結果)
ごみ収集等業務委託契約の許容価格積算において、ごみ収集車1台あたり単価を正しく集計していなかった。正確な許容価格を算出し、当該許容価格未満をもって契約金額とし、契約を締結する必要がある。現在の契約価額より少なくとも 139,791
千円(平成 18 年度の場合。平成 19 年度分は未試算。)低い価額で契約すべきであった(第5【5】参照)。積算単価など契約価格に大きな影響を与えるものについては、担当者のみならず、担当課内で詳細な確認が必要である。
(2)積算根拠の明確化について(意見)
許容価格の積算する根拠について不明確なものが見られた(第4【2】、第5【3】、第6【2】5、第6【3】5、第8【3】1、3、参照)。
許容価格とは、主に、当該委託業務に関連して発生することが明確である直接的な費用(直接費)と発生原因を当該委託業務と関連づけることが困難である間接的な費用(間接費、諸経費)により区分される。特に、間接費、諸経費については、その性質から積算根拠が不明確となりがちであるが、可能な限り合理的な根拠(例国や県の単価表など)を利用して設定することが求められる。
(3)積算方法の妥当性について(意見)
許容価格の積算方法については、対象とする業務内容に応じて様々であるが、同様の業務に対しては、担当課が異なっていたとしても、原則として市で同一の最適な積算方法、積算単価を使用することが求められる。
特に清掃・警備業務については、推定の必要人数に月額給与を乗じて算出する方法や実働時間に対して賃金単価を乗じる方法が見られた。業務に対して委託するものであるから、業務実働時間に単価を乗じる方法が妥当であると考える(第6【2】
4、【3】1参照)。
契約名 | 委託設計の方法 | 基本となる単価 | |
清掃業務 | 本庁舎等清掃業務委託 契約 | 1カ月あたりの作業単価表 に清掃面積乗じて算出 | 1か月の1㎡当たり の清掃費 |
xx埋立処分地汚水処理 施設の汚泥除去及び清掃業務委託契約 | 1立方メートル当たりの単価契約 | ||
市道清掃業務委託契約 | 1Km当たりの単価契約 | ||
公民館清掃業務委託契約 | 雇用した場合の人件費計算 +材料等の諸経費 | 給与月額 | |
岡山市立少年自然の家清掃業務委託契約 | 作業種別単価に面積と日数 を乗じて算出 | 1㎡当たり1回のx x単価 | |
xx浄化センター200系投入槽清掃業務委託 | 1時間あたり単価に清掃面積を乗じて算出。 | 「土木工事設計標 準単価表 業務関係積算標準単価 表」における1㎡当 たりの単価 | |
警備業務 | 本庁舎等警備他業務委託 契約 | 雇用した場合の人件費計算 +材料等の諸経費 | 給与月額 |
分庁舎警備業務委託契約 | 機械警備+人的警備(1日4 時間) | 毎日1時間当たり の月額給与 | |
保健福祉会館警備業務委託契約 | 機械警備+人的警備(1日6 時間) | 毎日1時間当たり の月額給与 | |
西大寺支所の警備及び宿直業務委託契約 | 宿日直時間に対する日当計 算 | 1人、1時間当たり 宿日直費用 | |
保育園の警備委託契約 | 機械経費費用 | 一式計算のため不 明 |
今回の監査の対象として抽出した清掃業務、警備業務の積算の考え方をまとめると次のとおりであり、様々である。類似環境の清掃業務、警備業務の情報を収集し、市場価格等を把握するなど、積算方法を可能な限り精密に全庁で統一的に設定することが求められる。
(4)受託予定業者提出見積書を基礎とした積算の妥当性について(意見)
受託予定業者(単独随意契約により市と契約を締結することが予定している業者)から提出された見積書をもとに、許容価格を積算している場合がある。この場合、他社作成見積書の入手が困難なことから、より詳細な見積内容の検討が求められる。
しかし、業者からは見積総額のみの提出であるもの、不必要に高い単価の職種による業務提供を見積もっているもの、業者から提出された見積書の内容を十分に検討していないものが見られた。コスト削減のためには、見積書を市は十分に検討し、検討結果を文書に残し、適切な内部承認を経るべきである(第5【10】、第8【3】
1、3、7、11、第9【3】7(1)、第 10【2】4参照)。
(5)積算時の歩切りについて(意見)
平成 18 年度の契約設計金額(積算金額)と許容価格が相違していたものが見られた(第4【1】、【2】、第5【7】参照)。当該相違分は許容価格設定権限者(市局長)が任意に調整し、設計担当者には調整内容は不明とのことである。
なお、「公共工事の入札及び適正化の促進に関する法律」に基づき定められた「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」において、「予定価格の設定に当たっては、適正な積算の徹底に努めるとともに、設計書金額の一部を正当な理由なく控除するいわゆる歩切りについては、公共工事の品質や工事の安全の確保に支障を来すとともに、建設業の健全な発達を阻害するおそれがあることから、厳に慎むものとする。」とある。当該契約は建築工事契約ではなく委託契約であるが、設計金額の一部を設計書外で調整することは設計内訳が合理的な数値ではなくなり、実績との精緻な比較分析が不可能となり、来年度以降の積算の見直し等へ反映させることができない。したがって、いわゆる歩切りは行うべきではない。
なお、市では工事契約について平成 18 年 12 月の通知(岡技第 138 号)により市各部署に対して当該指針を遵守するよう促しているが、修繕、測量設計業務、委託業務等についても遵守するよう、平成 19 年 11 月に通知している(岡監理第 238 号)。
平成 18 年度の契約事務の時点では、当該通知は発令されていなかったとはいえ、今後は当該通知に対応し、いわゆる歩切りを行わないように対処されたい。
(6)積算事務の改善へ向けて(「1.許容価格積算に関する指摘」のまとめ)(意見)上記(1)~(5)に記載した積算事務に関する指摘に対応し、改善するために
は次の方法を参考にして全市で取り組むことが必要と考える(大阪府「設計・積算業務等改善検討委員会提言書」(平成 19 年 6 月 29 日)より)。
① 設計積算ミスの事例等を参考に職員研修を行うこと。
② 設計積算業務時に各担当職員が実施するセルフチェックシートの様式を作
成し、全市で実施すること。
③ 設計積算の責任者、チェック担当者などを明確にすること。
④ 検算業務を集中的に実施する「積算チェック日」を設定し、複数の検算者で集中的に検算業務を行い、チェック業務の効率化を図ること。
⑤ 積算ミスが判明した場合に適正に対応するためのマニュアルの作成。
⑥ 設計積算業務における積算ミスなどの問題に対して、必要に応じて組織としての適正な対応策を決定する会議を設置すること。
2.契約方法に関する指摘
契約方法(契約相手選定方法)は、競争入札が原則であり、随意契約は例外にすぎない。国においては、第2【4】2.で記載したとおり、入札を原則とし、随意契約を厳格に運用することを目指している。岡山市においても随意契約の運用をより厳格に行うことが求められる。
(1)単独随意契約の妥当性について(意見)
市契約規則においては、見積書を複数入手することを原則として規定している。しかし、随意契約相手以外の者からの見積書の徴収を省略しているいわゆる単独随意契約の場合が多数見られる。平成 18 年度委託料のうち単独随意契約によるものが 82.8%も占めている(金額ベース。第2【1】3参照)。
しかし、単独随意契約を締結する理由書において、当該理由書の記載だけでは、単独随意契約の必要性が明確とはならない事案が散見された(第5【4】【8】【9】
【10】、第6【2】1、2、5、【3】1、4、第8【3】1,2、3、4、5、
6、7、8、10、11、第 10【2】3参照)。
例えば市との過年度において契約してきた実績を重視して随意契約の理由としているものがあるが、それだけをもって他業者を排除する理由とはならない。また、市の特定区域に限定して委託業務提供業者が当該業者しか存在しない、とするものも見られるが、「委託適正化要綱」の第 10 条から見て「市内業者」に限定することはあっても、市内の特定区域に限定することは不必要に競争性を排除しているといえる。
今後、随意契約理由書においては、「入札に適しない理由」等について、できる限り具体的かつ詳細な理由を記載するよう求められる。例えば、他の類似の業者を調査し、なぜ競争させることが適さないのか等の記載をすべきである。随意契約、特に単独随意契約は例外的な方法であることを市は理解した上で契約手続を行うことが求められる。特に、市においては、「委託適正化要綱」第2条において委託業務を3つに類型化しているが(注)、このうち定型的専門的技能を活用できる事務事業の形式である、料金徴収、夜警、警備、清掃(掃除)、xx、剪定、害虫駆除、
ごみ・し尿の収集等業務においては、同業者が多数存在しているのであれば、随意契約とすることは余程の理由がないと難しいと思われる。清掃業務、警備業務における随意契約の問題点については第6で指摘したとおりである。
(注)「委託適正化要綱」第2条(詳細は、第 11【1】参照)
x x | 例 | |
第1類型 | 高度の専門的知識又は技術を必要とする事務事業の形式。 | 調査研究、診断検収、映画作製、水質検査等 |
第2類型 | 定型的専門的技能を活用できる事務事業の形式。 | 料金徴収、夜警、警備、清掃(掃除)、xx、剪定、害虫駆除、ごみ・し尿の収集等 |
第3類型 | 市民ニーズへのきめ細やかな対応と市民意識の高揚を目指す事務事業の形式。 | 福祉活動、視覚障害者用市政だよりの作成、コミュニティハウスの管理運営等 |
競争性を高めて業者を選定することにより、費用削減、経済性の向上が進むと考える。仮に随意契約によることがやむを得ないとしても、競争性を確保する方法が模索されるべきである。例えば、国の「公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議」においても、企画競争・公募型の随意契約の導入が呼びかけられており、市においても参考になると考えられる。
一方、情報システム調達契約は、特にその業務の専門性・特殊性があるために随意契約を交わす場合が多く見られる(注)。情報システムの調達契約における随意契約の理由は主に次の表のとおり場合分けできるが、今後さらに経済的・効率性を高めることができるよう、随意契約ではなく競争性を高めた契約方法に取り組んでいただきたい(第 10【2】3参照)。特に、今後は政令指定都市化へ向けたシステムの調達・変更等の契約が多数締結されると考えられるが、可能な限り、早期に調達のための準備・取り組みを進め、「業者選定を行う時間がないため随意契約にした」、ということがないように留意すべきと考える。
(注)市委託料明細(一般会計・特別会計)における情報システム調達契約(分
類表で「電算」に分類したもの)1,876 百万円のうち、単独随意契約のものは 1,423 百万円であり、75.9%を占める。
主に見られる 随意契約の理由 | x x | 今後、市が 対応すべき事項 |
(A)時間(納期) 的な制約 | 町村合併時期、制度運用開始時期等に間に合わせるために時間的な余裕がない契約が多い。 | 可能な限り早期に着手することが求められる。 |
多数の契約で、全国的にシステム | 引継ぎ期間と引継ぎ作業 | |
の標準化は進んでおらず、他業者 | を設定することが必要で | |
に当該業務執行を移行させるため | ある。 | |
(B)引継ぎの困 | には従前の業者から引継ぎをさせ | |
難さ | る必要がある。しかし引き継ぐの | |
に充分な情報と時間が無く、特別 | ||
に引き継ぎ時間と労力の設定が必 | ||
要となる契約もある。 |
主に見られる 随意契約の理由 | x x | 今後、市が 対応すべき事項 |
(C)当該業務及 | 従前の受託者が蓄積したノウハウ | |
びシステム | がそのまま次の契約業者に移転さ | |
の理解度不 | れるとは考えにくく、新規業者が | |
足 | 独自に勉強する必要がある。 | |
(D)第三者でも わかる文書の不足 | 設計書・仕様書等の書式等に統一性がなく、第三者が理解しやすく継続して運用・保守に利用できる状況にあるとは言い難い。 | ガイドライン(開発標準等)を市が示し、業者に徹底させることが求められる。 |
(E)プログラム 仕様上の問題 | プログラムの修正・追加が必要となった場合、当初のプログラムを熟知している業者でないと対応できない。 | システム調達時に将来の修正・追加を行いやすいものとすることが求められる。 |
(2)施設管理・点検業務における随意契約のあり方(意見)
施設管理・点検業務においては、当該施設の納品・改造業者(又はその 100%子会社)と随意契約を締結しているものが見られた(第5【6】参照)。同様に警備業務においても当初市が購入した警備機器の納品業者と毎年随意契約を行っている(第6【3】2.3参照)。これらの業務は、施設機器等の扱い方を熟知している納品・改造業者に委託せざるを得ない考え方も理解できる。しかし、長期間の間、特定の業者との間で契約を締結する状態が続くため、従前の取引実績や言い値で価格が決まりかねず、価格競争が働きにくいという問題がある。特に耐用年数が長期間である設備については、イニシャルコスト(機器購入費等)よりもランニングコスト(管理・点検費等)の方が大きくなることも考えられ、ランニングコストの削減が課題となる。これらの業務は単独随意契約の形態であり、他業者からの比較見積書もなく、価格競争が働きにくい。
経済性・効率性の高い契約を締結するためには、特に耐用年数が長期間となる施設においては、イニシャルコストだけでなく、ランニングコストを考慮した契約を行うべきである。具体的には、管理・点検業務等も含めた提案書を業者に提出させるプロポーザル方式(複数者から提案書を提出させ、市が設ける審査委員会において点数制で評価・業者選定すること。)等が求められる。
(3)単独随意契約の契約率の状況について(意見)
監査対象とした単独随意契約 47 件の契約率(許容価格に対する契約額の割合)について分析すると、うち 46 件が 90%以上であった(平均 98.6%)。経済性の点から見ても単独随意契約の見直しを積極的に進めることが求められる。
契約率の分布(単位:%)
110.00
100.00
90.00
80.00
70.00
60.00
50.00
一方、単独随意契約のうち「下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法」(注)の適用を受けた平成 18 年度の契約について契約率を把握したところ次のとおりであった。
(注)「下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法」
の説明については、第6【2】6参照。
見積率 | 件数 | 割合 |
100% | 8 | 13.33% |
99%~ | 28 | 46.67% |
98%~ | 9 | 15.00% |
97%~ | 5 | 8.33% |
96%~ | 5 | 8.33% |
95%~ | 1 | 1.67% |
90%~ | 3 | 5.00% |
70%~ | 1 | 1.67% |
合計 | 60 |
契約率が 99%以上の契約が約6割も占める。市の合理化事業計画により代替業務と決められている業務は、契約相手がすでに決定していることもあり、契約率が高めとなっていることが明らかである。しかし、契約額を高く締結してよい、ということではない。市としては提供されるサービスの内容に対応した価格で契約することが望まれる。
(注)1つの契約に単価契約と金額契約の両者を含むものについては、2契約として数えた。
(4)見積書提示の時期について(意見)
4月1日から開始する業務の委託契約業者選定について、3月 28 日に見積業者を選定し、29 日に各社からの見積書の徴収を行っている契約があった(第8【3】
5.6参照)。見積から業務開始まで3日間しかなく、人員準備・作業手配等を考えると現契約者(前年度契約者)以外の対応は困難と考えられる。競争性を確保したうえで、契約業者を選定するためには、適切な時期における見積書の徴収が必要である。
(5)情報公開の充実(意見)
上記(1)~(4)に指摘したような随意契約の運用が必ずしも適切でないことの一因は、随意契約の概要、随意契約の理由等が市民に分かりやすい形で公表されていなかったことにあると考えられる。市民に対し例外的な随意契約を締結するに至った経緯について随意契約理由を含めた情報を公表すべきと考える。なお、随意契約の概要をホームページで公表を始めている他の地方公共団体の例もある。ホームページで公表することの効果は即時には測定できないが、長期間取り組むことで市民に対する情報の説明責任を果たすことに繋がると考える。
3.委託料と委託効果との比較に関する指摘(意見)
言うまでもなく、委託を行うことの効果の一つは、効率的に行政サービスを提供することであり、コスト削減である。したがって、委託による効果を定量化し、直営である場合との比較、検証により、委託化を進めることが求められる。
しかし、コスト削減、を検証する前提として、市として本当に提供する(民間に委託業務を行わせる)必要があるサービスなのか、サービス量なのか、について検討が充分ではなかったと思われるものがある(第6【2】4、5、【3】2、3、第8【3】7参照)。特に警備業務については、機械警備も設定されているにもかかわらず、人的警備が過剰にされていると思われるものもある。委託コストの発生と委託による効果(当該行政サービスを提供することの効果)との比較を充分に行ったうえで、委託の必要性を決定することが求められる。
一方、情報システムの調達による効果については、その業務の専門性・特殊性から、コスト削減の効果(システム導入による効果)を算出していない傾向が見られる。制度変更対応、合併対応、システム老朽化対応等を目的とするものが多いこともあって、特にシステムの変更業務において、情報システムの調達による効果を、当該調達コスト(委託料)に対比できる形で算出し、評価していないものが多い(第 10【2】2)。
受託者と十分な調整と説明を行い、市が求める機能に対応したシステム仕様、見積を行うことで過大な見積を防ぐことに成功した例もある。制度変更対応や合併対応であっても、実現可能な機能の範囲や実現方法については、ある程度の幅があり、その費用に対する効果を十分に吟味すると共に、受託者へ仕様説明を十分に行い、過大な見積とならないように努めることが求められる。
4.再委託手続に関する指摘
市は一括委任又は一括下請負(再委託ともいう)を原則として禁止している。例 外的に再委託を行う場合には、市に対してその旨を通知することが求められている。これは、受託者による他業者への丸投げの防止や業務遂行能力の無い業者が担当す
るリスクを低減するものである。再委託はあくまでも例外であるから、その承認手続は厳格に行われなければならない。
(1)再委託届出書の未入手(監査の結果、意見)
再委託届出書を入手していないものがあった(第6【2】3、第7【3】3参照)。入手すべきである(監査の結果)。
一方、再委託業者体制xxといった再委託届出書に代替する書類を市は入手しているものの、再委託届出書を入手していないものがあった(第 10【3】6参照)(意見)。
(2)再委託制限条項の明記について(意見)
再委託に際して、届出書を受託者から提出させること(再委託制限条項)を契約書に明記していないものがある(第 10【3】6参照)。明記することが求められる。
(3)再委託の承認の考え方について(意見)
契約業者は市へ再委託内容の「届出」を行うのみであり、「伺い」を行っていない。したがって、市が再委託の妥当性を検討していることが明らかとならない。「再委託届出書(または下請負届出書)」は市の担当課において承認を得ており(担当者、課長等の承認印欄があり、承認されている。)、市として再委託の妥当性(例えば、大部分を再委託に出していないこと、業務実施能力がある業者が下請負を担当していること等。)を検討したと思われるものの、「届出」という表現は少なくとも、契約者にとっては届出書の提出さえ怠らなければ、問題ない、と誤解される危険性がある。確かに、「届出」という表現は、市の契約規則に則っているものの、全ての委託契約において「届出」による手続で済むものではないと考える。特に再委託業務が委託契約額の多くを占め、かつ再委託業者が1業者である契約においては、再委託業者の業務の品質が委託業務に大きな影響を与えるものであり、当該契約においては、「伺い」による方法が望ましいと考える。
「届出書」の書式を「伺い書」に改定する、委託契約書における契約条文を「市
..
により文書による承認を受けなければならない。」旨へ改定する等の工夫が求めら
れる(第5【6】【7】ほか)。
(4)再委託額に定率を乗じた手数料を加えた額を契約額としているものについて
(意見)
委託業務の大部分を受託者が再委託し、当該再委託契約額に受託者の手数料を加えた額を契約額としているものがある。受託者の手数料は再委託契約額に対する一定率を乗じて算出される。この場合は、再委託額により受託者の手数料額が決定さ
れることから、再委託先選出過程及び再委託額の妥当性を市は確認しておくことが望ましい(第5【10】参照)。
(5)再委託先と直接契約を締結することの必要性について(意見)
市は委託業務の全部または大部分を再委託することを禁止している。これは、委託業務の大部分を再委託することとは、当該受託者には受託業務を遂行する能力がない、と考えられるためである。しかし、委託業務の大部分を再委託しているものが見られた。これらの契約においては、受託者ではなく再委託業者に委託業務遂行能力がある、と判断されるため、市と再委託業者との間で直接委託契約を締結し、コスト削減を図ることを検討すべきである(第6【2】3、第7【3】3、第9【3】
7参照)。
5.契約保証人に関する指摘
市は原則として、契約保証人を1人以上立てることを求めている(なお、平成
19 年度に市契約規則を改正し、契約保証人は一定条件により免除が可能となっている。)。
(1)単独随意契約における契約保証人設定の妥当性について(意見)
当該業者しか委託対象業務を遂行する業者がいないことを理由として単独随意契約を締結している契約において、契約保証人を設定しているものがある。契約保証人は、契約業者に代わって契約業務を履行できる能力が求められ(物品の製造等の完成を保証する場合。市契約規則第 35 条第 3 項より)、市と契約保証人が締結している「保証契約書」において「乙(契約保証人)は、委託契約について、受託者がその債務を履行しないときは、受託者に代わって委託を完成させるものとする。」と規定していた。当該契約保証人が業務を代替して履行することが可能であれば、平成 18 年度当時の市の契約規則に従わざるを得なかった事情はあったものの(注)、随意契約の理由と矛盾しており、随意契約を締結する理由が適切でなかった可能性があった(第5【6】、第 10【2】9参照)。
(注)市契約規則第 35 条において、「市長は契約(工事請負契約を除く)の相手方
に対し、契約保証人を1人以上立てなければならない。」とあり、契約保証人を立てることが求められていたが、平成 19 年の改正により、契約保証人を免除できる場合が認められた。
(2)契約保証人設定免除の理由について(意見)
契約保証人を免除することはあくまでも例外的な対応であり(ただし、平成 19年度からは市契約規則改正により、一定条件により免除が可能であることが規則上明確となった。)、その免除理由は市民等、第三者に説明可能でなければならない。しかし、免除理由が合理的に説明できないものが見られた(第5【5】参照)。
6.検査について
市では委託により執行された事務事業が適正に履行されたかどうかを確認するため、必要な検査を行わなければならない。また、委託業務の検査時において、「検査報告書」を作成することが求められている(市契約規則第 83 条、委託適正化要
綱第 15 条より)。
(1)検査報告書の評定について(意見)
検査報告書において、評定を記載することが定型書式により求められている。しかし、評定を「良」としているが、実際には市は成果物の数を確認したのみで、業務内容の評定(成果物の内容審査等)を実施していないものが見られた(第5【8】
【10】)。委託業務の特殊性から成果物の内容審査等が十分にできないのであれば、当該業務の検査報告書の評定においては、合格の記載のみにとどめ、例外的に形式的検査である旨を記載すべきである。
(2)受託者に対する業務遂行のための統制・検査について(意見)
委託業務には、日々の委託業務の提供状況を確認することで業務遂行を確認できるものと成果物の提出をもって委託業務完了を確認できるものがある。
前者のものについては、ごみ収集等業務、ごみ処理施設管理運営業務等があるが、日々の提供業務内容及び報告内容、異常時の報告・対応方法等を仕様書等により市は規定して、受託者を統制することが求められる。また、これらの報告書、運転報告書等を市は適時に適切に確認(検査)し、管理することが求められる。これらの点において一部不備が見られるものがあった(第5【5】、【6】、第6【2】6参照)。
後者の成果物の提出をもって業務完了を確認できるものの例としては、情報システム調達業務、設計書作成業務等がある。
情報システム調達契約においては、成果物(システム)の検査時において、開発の実績工数を把握し、計画工数との比較分析を行っていないものが見られた。比較を行い、翌年度の契約額積算、交渉に利用できるようにすべきである(第 10【2】
1参照)。
設計業務については、そもそも市が自ら設計業務を行う専門性が十分でなく、外 部へ設計書作成委託を行っている現状から見て、設計書の内容検証を市が行うこと は困難である。しかし、設計書とは、この後予定している施設等の建設工事の許容 価格設定の基礎となるものであるから、工事費の削減のためにはその設計額も厳格 に見積もることが求められる(第5【10】参照)。設計内容の検証方法については、 市の職員のみで実施することが不可能であるのであれば、第三者委員会による検証、検証業者への検証委託等の方法も検討する余地がある。
7.指定管理者制度に関する指摘
(1)指定管理者制度導入への検討について(意見)
現在、指定管理者制度未導入の施設は多数ある(平成 19 年4月1日時点 1,526施設)。これらの施設が指定管理者制度に適した施設であるか否かについては、各課が実施・作成した「公の施設のチェックリスト」において検討していた(なお、平成 19 年9月の「岡山市公の施設の管理等に関する規則」制定以降は、当規則第
3条に基づく「公の施設の点検票」において検討している。)。しかし、直営とする、と判断した施設のうち、直営であることの妥当性に疑問を抱かざるを得ない施設もある(第9【3】5.参照)。
一方、指定管理者制度導入前後の経費を比較したところ、経費削減効果が見られる施設もあり、非公募形式による業者選定であっても効果が見られるものもある
(第9【3】6参照)。全国の指定管理者制度導入前後の経費を比較した調査においても、行政コスト削減効果が報告されている。(注)
(注)「指定管理者制度にみる官業の民間開放の現状と課題」(2006 年 11 月
16 日発行xxxリポート)において、指定管理者制度の導入による行政コストの削減率は平均 13.8%と報告されている。指定管理者制度導入による効果としては、「制度導入を契機とした施設管理業務の見直しの効果」、「公募による競争原理導入の効果」、「競争相手の出現による効果」が見られるという。
確かに指定管理者制度を導入することにより、条例制定、指定管理者選定等の事務コストが発生する。しかし、上記の例のような指定管理者制度を導入することによる効果を認識したうえで、指定管理者制度未導入の各施設を所管する各課は指定管理者制度の導入が本当に不要なのか、判断することが求められる。その前提としては、当然ながら、当該施設の市における役割、必要性を再確認することが必要である(第9【3】8参照)。
なお、平成 19 年9月に制定した「岡山市公の施設の管理等に関する規則」第3条に基づく「公の施設の総点検」により、市は管理・運営方法のみならず、施設の必要性や市民ニーズ等を5年に一度は点検することとしている。
(2)指定管理者選定方法について(意見)
指定管理者の選定にあたっては、「単独指定」、「優先」、「公募」といった方法があったが、多くの施設は「単独指定」や「優先」により従前の受託者であった外郭団体等を選定していた(平成 19 年度4月1日時点指定管理者制度導入施設における「単独指定」「優先」は 69.7%)。しかし、「単独指定」や「優先」とした理由については、合理的ではないものが見られた(第9【3】2、3、4、5参照)。例えば、ある公の施設の指定管理者制度の導入に当たっては、従前の受託者である外郭団体を「優先」の方法で指定管理者として決定していたが、その指定理由は「施設の設置目的を理解し、運営のノウハウをもつ現委託先を選定する」としていた。
しかし運営のノウハウ等は従前の管理受託者であれば当然得るものであり、他業者を選定することを排除する理由とはならないと考える。
指定管理者制度は、多様化する市民ニーズにより効果的、効率的に対応するため、公の施設の管理に民間能力を活用し、市民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図ることを目的としている。当該趣旨に照らして、可能な限り民間業者も交えた競争(公募形式)により、指定管理者を選定することが求められる。
なお、平成 19 年9月制定の「岡山市公の施設の管理等に関する規則」では原則
「公募」により選定することが求められている。当該規則に今後、対応していくことが必要である。
(3)指定管理期間の長期化について(意見)
市における指定管理期間の状況は次のグラフのとおりである。各施設に応じて様々であるが、特に、指定管理期間が長期のものを見ると、25 年超~30 年のものが 74 施設もあり、全て「単独指定」で選定し、各施設の条例において指定管理期間を規定している。岡山市公共物管理条例に定める指定管理期間が5年間である一方、非常に長い期間が定められている(なお、岡山市公共物管理条例の対象となる公共物には今回の監査対象とする公の施設は含まれない。)。5年以上の長期間の指定管理期間を設ける場合には相応の理由が必要になると考えられる。
なお、平成 19 年9月制定の「岡山市公の施設の管理等に関する規則」及びそれ に伴う通知においても、原則5年毎に施設のあり方について見直すこととしており、当該規則等に則った期間の設定が求められる。
件 公の施設の指定管理期間
単独指定優先
公募
80
70
60
50
40
30
20
10
0
~3年 ~5年 ~10年~15年~20年~25年~30年
(4)指定管理料の算出方法について(意見)
指定管理者制度を導入した施設のうち、利用料金制度(注)を採用している施設は多数あり、この場合、施設利用料は指定管理者の収入となる。当該利用料金制度の
趣旨とは、施設利用料金収入を指定管理者に帰属させることにより、より良い施設の管理運営に向けた指定管理者の意欲を高めることである。
(注)指定管理者が公の施設の使用料を自らの収入として収受する制度。指定
管理者は当該使用料を施設の管理運営経費に充てることとなる。この場合の指定管理料は、基本として、市が想定する管理運営経費から利用料金収入(過去3ヵ年程度の実績などから指定管理期間において確実に収入になると想定できる額)を引いた額となる。
しかし、利用料金制度を導入している施設の一部において、指定管理料を施設の管理運営に係る総支出額から実際の利用料金等の収入を差し引いた額をもって算出し、年度末に精算処理を行う施設がある(第9【3】2、3、4参照)。この精算方法を採ることにより、インセンティブが無くなり、指定管理者のモチベーションが低くなるおそれがある。当初予定を上回る収入は指定管理者に帰属させ、指定管理者の運営努力を喚起させるべきである。
(5)市派遣職員人件費を指定管理料に含めることについて(意見)
市の派遣職員が勤務している法人を市が施設の指定管理者として指定し、当該市派遣職員が当該施設管理業務を担当している場合が見られるが、指定管理料の算定において当該市派遣職員の人件費全額を含めている。
確かに、派遣職員が業務に携わることに管理運営業務の効率化が図られ、経費の節減効果により指定管理料の軽減につながることが期待できるといえる。しかし、市の派遣職員の給与水準は受託者における同様の業務を担当する者の水準と比較して高めであり、業務内容に応じた指定管理料が適切に算出されていないと思われる。当該施設の管理に通常要するコストの算定と他施設との比較、検証を行うためにも、指定管理料の算出は、業務内容に応じた受託者の他の一般職員の給与水準で算出することが求められる。
この場合、派遣職員の人件費を市が負担する、としている市の「公益法人等への職員の派遣等に関する条例」との整合性を確保するために、指定管理料に含まれる派遣職員人件費と実際の派遣職員人件費との差額は別途市が負担する、と整理することが必要であると考えられる。
なお、市の「公益法人等への職員の派遣等に関する条例」第2条第1項及び第3項に規定する市職員の派遣先には今回の監査対象とした指定管理者のほか、13 法人あり、これらの法人についても同様のことがないか、市は確認することが求められる(第9【3】7参照)。
(6)指定管理者に対する評価の仕組みの設定について(意見)
施設の管理運営や事業の実施は指定管理者(外部者)に委ねられており、市としては、その成果を明確にし、評価することが求められる。近年は、指定管理者が扱う個人情報の漏洩や安全管理の不備等から重大な事故が発生するケースも全国で
は見られ、特に、従前の外郭団体等のモニタリングの仕組みの枠組みから外れた民間事業者に対するモニタリングの必要性が強く求められつつある。こうした流れの中で、一定の品質を確保したモニタリングを実施するためには、指定管理者に対して全庁的な立場からモニタリング制度(評価の仕組み)を設定することが必要と考える。
すでに、行政改革推進室から各課へ通知された「指定管理者制度導入に係る事務処理について」(平成 17 年5月)において、「指定管理者と協力し、利用者アンケートやモニター調査を実施するなど、利用の満足度や苦情などの把握を定期的に行い、提供するサービス内容の現状把握や改善に努めてください。」とある。また、平成 19 年9月施行の「岡山市公の施設の管理等に関する規則」第9条においても所管課が指定管理者の管理業務実施状況を監督することを求め、同時に行政改革推進室から通知された「指定管理者制度導入に係る公の施設の適正な管理について」において、施設管理における疑義・問題等が発生した場合は行政改革推進室への報告・相談を徹底するようにしている。今後、さらに全庁的な立場からの指定管理者に対する評価の仕組みを制定することが求められる。
8.情報システム調達契約特有の指摘
情報システム開発・保守等の委託契約においては、その業務内容の専門性が高い ことを鑑みて、原則として企画局情報システム課が各契約対象事務事業の施行担当 課(所管課)に対して仕様書作成等業務を指導している。しかし、全ての情報シス テム調達契約において関与している訳ではないこともあり、次のような事務の不備、課題が見られた。
(1)瑕疵担保責任とシステム保守契約について(意見)
契約書において瑕疵担保責任条項(注)を明記していないシステム保守・運用管理業務契約が見られた。保守・運用管理業務には瑕疵が発生する可能性が少ないことから、市は契約書に明記していないとのことだが、瑕疵が生じるリスクは皆無ではないことから契約書に当該条項を明記すべきである。
(注)瑕疵担保責任期間とは、委託を受けた者の仕事の不完全xx、使用するソ
フト等に瑕疵があったことにより、システム等に不具合が生じた場合、受託者が不具合の修正や損害賠償等に応ずるべき責任をいう。民法上、請負契約については、瑕疵担保責任期間が仕事の目的物を引き渡した時から1年以内と定められているが(民法第 637 条)、特約によって伸張することが可能である。
一方、システム新規開発業者と保守業者が同一である場合に、2年目に発生した不具合対応業務が新規開発契約における瑕疵対応作業なのか、保守契約による作業なのか区別していない契約もあった。偶然にも開発業者と保守業者が同一であるため影響はないかもしれないが、どちらの契約によるものか明確に区別して管理すべ
きである。明確に区分することにより2年目の保守業務の委託料が削減できる可能性がある(第 10【2】5参照)。
(2)システム開発標準について(意見)
市では情報システム課が汎用機(注1)システム用の「システム開発標準」(注2)を作成しているが、他のシステムに適用することができない。
(注1)汎用機とは、基幹業務システムなどに用いられる大型コンピュータ。
(注2)システム開発標準とは、情報システムの開発・導入・変更作業において、作業を段階的に進めるべき作業ステップの作業内容、成果物、品質管理方法等を規定した基準書のこと。
システム開発標準を設けることにより、どの業者が開発を行っても均一な作業と成果物の整備ができ、競争入札等で委託先が変更になっても、スムーズに引き継ぎができる環境を整えることの一助となる。また、受託者の作業確認や工数見積等の標準化も図りやすくなり、現在の見積の不透明さを解消する一つの対策になると思われる。汎用機システム用のみならず、大部分のシステムに適用可能な「システム開発標準」を設けるべきである(第 10【2】7参照)。
(3)開発システムの権利帰属について(意見)
契約書上に納品される成果物の所有権や著作xxの権利の帰属について明示していないもの、十分な記載をしていないものが見られた。成果物の権利帰属をあいまいにしておくと、後日、使用中のプログラムや文書類を修正することができない可能性や、受託者側とのトラブルになる可能性がある。
例えば、あるシステムの開発委託契約書におけるプログラム等の権利帰属について、「著作権その他の権利は、甲乙(筆者注:委託者である市と受託者)のうち発明、考案、著作等を行ったものに帰属し、また、甲乙共同で発明、考案、著作等を行った場合は、甲乙の持分均等による共有に帰属する。」とあり、委託元である市がシステム稼動後のシステム修正・追加・保守の際には受託者の許諾を要することとなり、その保守・変更業務を他の業者に委託することが難しくなることも考えられる。
契約書に著作xxの移転について明示しておくべきである(第 10【2】8参照)。
(4)運用統合・システム統合について(意見)
市の中での類似機能のシステムの統合化について、既に開発・運用しているシステムに新たな部局のニーズに合わせた機能を追加することは、コスト、品質、効率等の面で無駄が多く、実現性も低くなると思われる。したがって、それらのシステムの計画段階から共同で検討する必要がある。このためには、市全体の情報システムの方向性確立と計画立案が必要であり、外部専門家を含めたCIO(注)やCIO
チームの設置を検討すべきである。
(注)CIOとは、チーフインフォメーションオフィサーの略であり、情報システム関連の専門性を持った、企画・管理における実質的な責任者のことをいう。
また、現在縦割りでシステム毎に行われているシステムの運用・管理・監視業務を極力統合して、作業の標準化を図り作業効率を向上させることにより、トータル的に委託コストの削減が可能となる。現在一部で推進されている統合化の取組みを拡大すべきである。(第 10【2】10 参照)。
(5)契約業者へのセキュリティポリシー遵守依頼及び遵守状況確認について(意見)市は市民の財産、プライバシー等を保護するとともに、行政事務の適正な運営に
資することを目的として、情報資産に係る機密性、完全性及び可用性(注)を維持するための対策の基準である「岡山市情報セキュリティポリシー」を設けている。
(注)機密性(confidentiality)とは、情報にアクセスすることが認可された者
だけがアクセスできることを確実にすること。完全性(integrity)とは、情報及び処理の方法の正確さ及び完全である状態を完全防護すること。可用性(availability)とは、許可された利用者が必要なときに情報にアクセスできることを確実にすること。
当該ポリシーを情報システム開発等の受託者に説明していないものが見られる。また、契約履行期間中や契約完了時に、受託者による遵守状況を市が確認チェックする仕組みや体制を整備していない。市が外部受託者に求めるセキュリティレベル等があいまいなまま、情報システムの開発等の業務を委託していることになる。そのため、万一セキュリティに関する事故が起きた場合にはその責任があいまいになることや、市が委託者として委託先管理責任を果たせない可能性がある。また、セキュリティ事故に対処するためには多額の対応費用(損害費用や復旧費用等)が発生することが想定される(第 10【2】11 参照)。
(6)受託者による特権アカウント及び管理者アカウントの使用について(意見)アカウントとは、コンピュータやネットワークにアクセスし、その資源を利用で
きる権利(資格)をいい、コンピュータやネットワークの利用者を識別するために一人一人に割り当てられたユーザ名などがこれに該当するが、その特性から、セキュリティ上、最もその管理を厳密に行うべき事項のひとつであると一般的に認識されている。
各システム所管課で作成される実施手順において、管理者アカウント(注1)の管理・運用方針と手順について記載がされているが、その詳細度・具体度にはばらつきがあった。また、特権アカウント(注2)については、岡山市情報セキュリティポリシー及び各システム所管課で作成される実施手順において、記載は確認できなかった。
(注1)管理者アカウントとは、システムの開発・運用・保守を行うために高度な権限を付与されたアカウントをいう。
(注2)特権アカウントとは、OS(UNIX、Windows 等)やソフトウェア、
データベース等に対し、無制限なアクセスが可能で、使用する権限に制限がかかっていない特別な権限をもつアカウントをいう。
情報システムの開発・保守・運用管理の多くの部分を受託者に委託している現状から、受託者がこれらのアカウントを使用してどのような作業を行ったか、誤った作業を行っていないかを、市が確認・監視できるような仕組みや体制を整備することは、市の情報資産を適切に保護するためにも必須であると考える(第 10【2】 12 参照)。
(7)市全体の有事復旧優先順位について(意見)
市各局の情報システムに係る契約を個別に検証していく中で派生的に生じた懸念事項として、市全体に影響を及ぼすような有事の際に、市が保有する情報システムを復旧するための優先順位付けや復旧のためのプランや体制が確立していないことがあげられる。
市全体では、多種多様な用途で使用しているシステムが多数存在しているため、有事の際にはどういった優先順位でどのような手順で復旧活動を行うのか、市全体の復旧優先順位及び復旧計画を策定する必要がある。
また、各システムの運用・管理・保守の多くの部分に受託者が関わっており、有 事の際の復旧活動には自ずとこれら受託者の協力が必要となると思われる。例えば、平成 18 年度の一般会計及び水道局、病院局の運用・管理・保守系の受託業者を分 析すると、一部地元業者グループに集中している傾向が見られることから、有事の 際にその受託者が対応できる範囲・マンパワーがどの程度であるかを考慮し、市が 想定している復旧優先順位や復旧計画に沿った対応を受託者が取ることが可能か どうかを確認する必要がある(第 10【2】13 参照)。
9.民間委託の推進について(意見)
市においてすでに数々の業務の委託化が推進されつつあるが、近年制度化された
「xxxテスト」の手法等も参考にしつつ、さらなる民間委託へ取り組み、経費の削減を図ることが必要である。今回検討対象とした契約においても、一部業務を委託しているものの、直営の部分が残されているものがある。これらの業務については、すでに委託化へ向けて検討が開始されつつあるものもあるが、岡山市の現在の厳しい財政状況に鑑みて、早急に委託へ向けて取り組むことが求められる(第5
【4】【6】、第8【4】、第9【3】5参照)。なお、現在、直営としている各業務においては、直営の根拠については、市民等、第三者に合理的に説明できるようにしなければならないと考える。
第4 入札契約事務の検討(情報システム調達契約以外)
【1】家屋調査等業務委託契約(18-東2)(下水道局東部建設課)【参照番号1】
1.契約の概要
(単位:千円、%)
年 度 | 平成 18 年度 | 受 託 者 | 株式会社xx鑑定事務所 | ||
落札価格 | 8,190 | x x 価 格 (予定価格) | 8,400 | ||
落 札 率 | 97.5 | 参 加 者 数 | 8社 | 入札回数 | 1回 |
委託理由 | 業務の専門性 | 委 託 期 間 | 平成 18 年 6 月 2 日 ~平成 18 年 11 月 30 日 |
(1)契約内容
下水道工事を行うことによる家屋への影響を把握し補償費の支払を確定するための家屋調査業務を外部委託している。業務内容は調査対象となる地域にある家屋の外部及び内部を撮影するものであり、住民からの補償請求があった場合には、当写真をもとに補償費支払の可否及び補償費金額の決定が行われる。
当業務は国土交通省から交付された損失補償基準による損失確定のために必要 不可欠なものであり、当業務を行わない場合、補償費の適正な算定が困難となる。また、対象範囲についての決定は各自治体に委ねられており、岡山市においては他 自治体が採用している対象範囲を参考にして、適時的に範囲の見直しを行っている。
【家屋事前調査の他都市との比較(平成 18 年度)】
(単位:千円)
都市名 | 家屋調査予算 | 管きょ施設整備費 | 割合 | 調査基準 |
岡山市 | 342,350 | 10,756,000 | 3.2% | 1.下水道管のセンターより 10m以内の家屋 2.床掘から 45 度の角度で引い た線より内側は「家の内外」、外側は「家の外部のみ」 |
倉敷市 | 570,109 | 4,573,000 | 12.5% | 1.官民境界から 15m 以内の家屋 2.官民境界の7m より内側は「家の内外」、外側は「家の外部のみ」 |
大分市 | 150,000 | 5,000,000 | 3.0% | 1.下水道管のセンターより 10m以内の家屋 2.「家の内外」と「家の外部のみ」の区別は、床掘の 45 度線と 近隣工事の状況で決める。 |
(2)積算の考え方
市が規定した家屋調査範囲に基づき、積算金額を算出している。
2.意見
(1)設計金額(積算金額)と許容価格の相違について
当契約における積算に基づく設計金額は 8,526 千円であったが、許容価格は
8,400 千円となっており、126 千円の差異が生じている。最終的な許容価格の決定は以下の決裁区分により行われるが、原則として許容価格は設計金額と等しくなるように決定することとしている。
しかし、「公共工事の入札及び適正化の促進に関する法律」に基づき定められた
「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」において、「予定価格の設定に当たっては、適正な積算の徹底に努めるとともに、設計書金額の一部を正当な理由なく控除するいわゆる歩切りについては、公共工事の品質や工事の安全の確保に支障を来すとともに、建設業の健全な発達を阻害するおそれがあることから、厳に慎むものとする。」とある。当該契約は建築工事契約ではなく委託契約であるが、設計金額の一部を設計書外で調整することは設計内訳が合理的な数値ではなくなり、実績との精緻な比較分析が不可能となり、来年度以降の積算の見直し等へ反映させることができない。したがって、いわゆる歩切りは行うべきではない。
なお、市では工事契約について平成 18 年 12 月の通知(岡技第 138 号)により市各部署に対して当該指針を遵守するよう促しているが、修繕、測量設計業務、委託業務等についても遵守するよう、平成 19 年 11 月に通知している(岡監理第 238 号)。今後は当該通知に対応し、いわゆる歩切りを行わないように対処されたい。
<当業務の許容価格決定者>
金額区分 決裁権限者
1,000 万円未満 課長
1,000 万円以上 審議監
5,000 万円以上 局長
【2】xxxxx(18-5工区)ほか汚水管埋設工事現場監理業務委託契約
(下水道局東部建設課) 【参照番号 2】
1.契約の概要
(単位:千円、%)
年 度 | 平成 18 年度 | 受 託 者 | 新協技術コンサルタント 株式会社 | ||
落 札 価 格 | 11,550 | x x 価 格 (予定価格) | 11,644 | ||
落 札 率 | 99.2 | 参 加 者 数 | 8社 | 入札回数 | 3回 |
委 託 理 由 | 業務の効率化・経費の削減 | 委 託 期 間 | 平成 18 年4月1日 ~平成 19 年3月 31 日 |
(1)契約内容
汚水管埋設工事現場の監理業務を委託している。具体的には、各工事現場を巡回し、汚水管埋設業務の実施状況の監督及びトラブル・相談への対応を行っている。業者選定に当たっては、市内xxxxxを1~5工区に分けて、各工区ごとに指名競争入札により業者を決定している。1~4工区は日中の現場が中心で、5工区は夜間の現場が中心となっており、毎期工区の見直しを実施している。
モニタリングについては、外部委託先から日報を入手することにより行っている。
(2)積算の考え方
岡山県土木部の業務関係積算基準及び標準歩掛に基づく設計金額による。
2.意見
(1)設計金額(積算金額)と許容価格の相違について
当契約における積算に基づく設計金額は 11,766 千円であったが、許容価格は
11,644 千円となっており、122 千円差異が生じている。
第4【1】で指摘したとおり、設計金額=許容価格とすべきであった。
(2)積算時の間接費金額の妥当性について
諸経費は、次で算定して得た額とする。諸経費=直接人件費×90/100
ただし、財団法人等に委託する場合は 70/100 とする。
当契約の積算上、諸経費(間接費)は「直接経費×70/100」という算式で算出しているが、当積算において準用すべき現場技術業務委託積算基準によると、間接費は以下の算式で算出することとなっている。
積算上、直接人件費ではなく直接経費に係数を乗じているのは担当者の誤謬によるものであり(これによる影響額は 403 千円となる。)、また係数として 90/100 ではなく 70/100 を用いているのは業務内容として特殊な技術計算等が不要であるため通常より間接費を抑えられると判断したことに伴う。
積算基準に準拠しない合理的な理由がある場合には、設計xxxx旨を明記し、適切な承認を得た上で積算金額を算出することが必要と考えられる。
(3)積算方法の妥当性について
平成 18 年度はxxxxxを1~5工区に分けて監理業務を外部委託しているが、夜間現場が中心となっている第5工区を除いた第1~4工区の設計価格は同一
(11,017 千円)に設定している。
これは、受託業者の 1 人の監理員が巡回で各現場を監理するため、当人件費をもとに積算が行われており、その算出に当たって現場数の多寡を考慮していないため
である(第5工区については人件費が深夜手当で計算するため他工区に比べて設計金額は大きくなっている。)。
以下のように平成 18 年度における各工区の現場数にはばらつきがあり、現場数の違いにより1現場あたりの滞在時間及び監理業務の精度も異なってくると考えられることから、過大な契約額とならないよう、各工区の実情に応じた適切な積算方法を考案することが望ましいと考えられる。
例えば、一現場あたりの標準監理時間を算出し、現場数の区分範囲ごとに金額を設定する方法等が考えられる。
工 区 | 設計金額 | 工事現場数 | 備 考 |
第1工区 | 11,016,600 円 | 21 | |
第2工区 | 11,016,600 円 | 20 | |
第3工区 | 11,016,600 円 | 26 | |
第4工区 | 11,016,600 円 | 27 | |
第5工区 | 11,766,300 円 | 10 | 夜間工事 |
第5 随意契約事務の検討(情報システム調達契約以外)
【1】祇園xxxxx 1 浚渫藻刈作業委託契約(経済局農業施設課)
【参照番号 10】
1.契約の概要
(単位:xx、%)
年 度 | 平成 16 年度 | 平成 17 年度 | 平成 18 年度 |
受 託 者 | 地元代表者 | 地元代表者 | 地元代表者 |
x 約 価 格 | 696 | 681 | 663 |
x x 価 格 (予定価格) | 719 | 690 | 664 |
契 約 率 | 96.8 | 98.7 | 99.7 |
見 積 回 数 | 1回 | 1回 | 1 回 |
委 託 理 由 | 業務効率化、経費節減 | 業務効率化、経費節減 | 業務効率化、経費節減 |
委 託 期 間 | 平成 16 年5月 18 日 ~6月 10 日 | 平成 17 年6月2日 ~6月 10 日 | 平成 18 年5月 15 日 ~5月 28 日 |
(1)契約内容
市管理の農業用水路について、地元の用水の受益者である農業者・住民の代表者に年 2 回程度、浚渫・藻刈作業を委託するもの。市管理の用水路は約 4,000 ㎞あり、
そのうちの幹線水路約 1,600 ㎞(残りは分水路)について約 30 件に区分して個別
に地元代表者に管理を委託している。この契約は、その委託の 1 つである。委託を受けた地元代表者はその地区の用水利用者(主に近隣受益農業従事者)数十人と共に協同して作業を行うものである。水路浚渫契約全体では、平成 18 年度の契約額
は 31,704 千円である。契約相手の地元代表者は、市が2年の任期で委嘱している水利監督員または農業水利土木員である。
(2)積算の考え方
設計書金額 697 千円は、浚渫人夫と監督員の人件費(岡山県公共工事労務単価)に諸経費を加算して算出している。
(3)随意契約理由
契約者は地元農業者・住民の代表者であり、地元用水路の状況に精通しており、地元の協力・連帯・調整が必要な本業務の実施に最適である。また、経費の節減が図られ安価な契約が見込めるため。
2.監査の結果及び意見
特に指摘すべき事項はない。
【2】私立保育園運営費委託料(保健福祉局保育課)【参照番号 16】
1.契約の概要
(単位:xx、%)
年 | 度 | 平成 18 年度 | 受 | 託 | 者 | 各設置団体 | ||
x 約 価 格 | 6,376,624 | x x 価 格 (予定価格) | - | |||||
契 | 約 | 率 | - | 見 | 積 | 回 | 数 | - |
委 託 理 由 | 児童福祉法第 51 条の規定により、私立認可保育園の保育の実 施に必要な経費を支払うもの | 委 | 託 | 期 | 間 | 平成 18 年4月1日 ~平成 19 年3月 31日 (注) |
(注)市町村合併により年度途中より対象となった保育所が3園ある。
(1)契約内容
児童福祉法第 51 条4項において、都道府県及び市町村以外の者の設置する保育所における保育の実施に要する保育費用等は市町村が支弁することとなっており、当条文に基づいて運営費委託料を支払っている。
児童1人当たりの単価等は厚生労働省から通知された「児童福祉法による保育所運営費国庫負担金について」で定められており、毎月初時点の児童数等により決定する。
(2)積算の考え方
厚生労働省からの通知である「児童福祉法による保育所運営費国庫負担金について」に定められた単価に基づき算出する。
2.監査の結果及び意見
特に指摘すべき事項はない。
【3】私立保育園特別委託料(保健福祉局保育課)【参照番号 17】
1.契約の概要
(単位:xx、%)
年 度 | 平成 18 年度 | 受 託 者 | 各設置団体 | |||
契約価格 | 552,660 | x x 価 格 (予定価格) | - | |||
契 約 率 | - | 見 | 積 | 回 | 数 | - |
委託理由 | 岡山市民間保育所特別委託料支給要綱の規定により、私立認可保育園に特別委託料 を支払うもの。 | 委 | 託 | 期 | 間 | 平成 18 年 4 月 1 日 ~平成 19 年 3 月 31 日 (注) |
(注)市町村合併により年度途中より対象となった保育所が3園ある。
(1)契約内容
私立保育所の安定した運営の確保及び児童の処遇の維持向上を図るため、「岡
山市民間保育所特別委託料支給要綱」に基づき、特別委託料を支払っている。児 童1人当たりの単価については、国の定める保育単価の対前年度増減率を勘案し、毎期調整している。
また、年度終了後に、特別委託料の決算書を各設置団体から入手し、委託料の執行状況についてモニタリングを実施している。
(2)積算の考え方
「岡山市民間保育所特別委託料支給要綱」で定められた単価に基づき算出する。
2.意見
(1)委託料使途の検査について
市は、当特別委託料が「岡山市民間保育所特別委託料支給要綱」に定めた用途に応じ使用されていることを確認するため、年度末に各保育所から特別委託料収入支出決算書を入手し、目的外の使用がないことを確認している。
しかし、その確認作業は、特別委託料収入支出決算書に各保育所が記載した使途の説明に異常な支出がないことを確認するのみであり、実際に領収証や請求書といった証憑の確認までは実施されていない。
1年を通し、各保育所を視察する中で帳簿記録と証憑の一致を確認することが必要であると考えられる。それによって、より厳密な検査が可能になると考えられ、結果として不要な支出を削減できる可能性がある。
具体的な方法として、年間数箇所の保育所を循環で視察し、複数年をかけて全保育所を視察する方法が考えられる。
(2)特別委託料単価の妥当性
特別委託料の単価については、国の定める保育単価の対前年度増減率を勘案し、毎期調整が行われている。このように単価については毎期見直しを行っているものの、基礎となる単価は昭和 30 年以前の当制度開始時に決定されたものであり、どのような根拠に基づき算出されたかは現在市では不明となっており、現在の状況から考えて妥当な水準でない可能性がある。
当特別委託料は、私立保育所の安定した運営の確保及び児童の処遇の維持向上を図るために支払われるものであり、その使途は【2】私立保育園運営費委託料の使途に含まれるものであるため、現在の特別委託料単価が委託料支払目的を達成するのに過不足がないかどうかについて再検討する必要があると考えられる。
【4】ごみ収集業務委託契約(環境局環境事業課)
1.概要
地区 委託収集地区
市では直営または民間業者への委託により、市全域の住民のごみ収集業務を行っている。平成 18 年度における直営と委託の区分状況は次のとおりである。
地区 | 委託収集地区 |
A地区 | 津高支所管内 |
B地区 | xx・高松(吉備津地区のみ)支所管内 |
C地区 | 高松(吉備津地区除く)・吉備・xx支所管内 |
D地区 | xx・xx・興除支所管内 |
E地区 | 上道支所管内 |
F地区 | 足守支所管内 |
G地区 | xx・xx・御野(一部)・xx・xx・幡多・xx・三勲・富山・操南・操明・xx(一部)・x x・甲浦・御南(一部)・陵南 |
H地区 | 財田・xx・xx・xx(一部)・xx口・xx・上南・xx・豊・xx・芥子山 |
I地区 | 御津支所管内 |
J地区 | 灘崎支所管内 |
K地区 | xx支所管内 |
(粗大ごみを除く)
市においては、1車あたりの単価を積算しており、当該単価と、地域格差係数(地区によりごみステーションの分布度が異なり、運搬距離が異なるために調整する係数)を委託地区別の収集予定台数に乗じることで、各地区の委託金額を算出している。
直営と委託の地区別の収集単価を集計したところ次のとおりである。
【平成 17 年度数値より。市環境事業課調べ】
直営 | 委託 | 直営/委託(倍) | |
収集量 | 80,214 トン | 97,546 トン | - |
収集人口 | 264,016 人 | 405,333 人 | - |
収集経費 | 2,233 百万円 | 1,448 百万円 | - |
収集経費単価 | 27,848 円/トン | 14,845 円/トン | 1.87 |
うち可燃・不燃ごみ | 21,788 円/トン | 12,139 円/トン | 1.79 |
資源化物 | 80,691 円/トン | 45,705 円/トン | 1.76 |
粗大ごみ | 222,636 円/トン | 148,881 円/トン | 1.49 |
平成 18 年度ごみ収集等業務委託契約の概要は次のとおりである。
【平成 18 年度ごみ収集等業務委託契約一覧表】
番号 | 契約名 | 契約金額 (千円) | 契約先選任方法 | 委託開始時点における委託理由 | 契約開始年度 | 当該契約 | 方法となった根拠・理由 | 地区 | 収集ごみの種類(注) |
根拠条文 | 理由(市の回答による) | ||||||||
1 | 津高支所管内 | 94,813 | 単独随意 | 市町村合 併に伴う委託業務の引継ぎ | 昭和46 | 地方自治法施行令第 167条の 2第1項第2号 | 業務の実施に関し、相当の経験を有する 者であり、市の業務を受託するに足る施設、人員及び財政的基礎を有している業 者が他にないため。 | A | 可・不・資・粗 |
2 | xx(吉備津地区の み)・xx支所管内 | 106,920 | 単独随意 | 昭和46 | (津高支所と同じ理由) | B | 可・不・資・粗 | ||
3 | xx(吉備津地区除く)・ 吉備・xx支所管内 | 135,450 | 単独随意 | 昭和46 | (津高支所と同じ理由) | C | 可・不・資・粗 | ||
4 | xx・xx・興除支所管内 | 122,724 | 単独随意 | 昭和46(x x・興除)昭和50(x x) | (津高支所と同じ理由) | D | 可・不・資・粗 | ||
5 | 上道支所管内 | 57,986 | 単独随意 | 昭和46 | (津高支所と同じ理由) | E | 可・不・資・粗 | ||
6 | 足守支所管内 | 34,587 | 単独随意 | 平成15 | 平成14年度に実施した「岡山市環境局 一般廃棄物収集運搬業務の委託に関する総合評価方式による指名競争入札」における落札業者であり、平成15年度から平成17年度において「足守支所管内家庭ごみ収集民間委託」提案書に準じて 適正にごみの収集運搬業務を行っており、平成18年度についても上記業者と契 約することが合理的であると思われる。 | F | 可・不・資 | ||
7 | 本庁管内その1 | 453,600 | 単独随意 | ごみ収集量の拡大 | 昭和38 | (津高支所と同じ理由) | G | 可・不・資 | |
8 | 本庁管内その2 | 125,370 | 単独随意 | 昭和46 | (津高支所と同じ理由) | H(左) | 可・不・資 | ||
9 | 西大寺支所管内 | 174,510 | 単独随意 | 昭和46 | (津高支所と同じ理由) | H(右) | 可・不・資 | ||
10 | 灘崎支所管内 | 42,840 | 単独随意 | 市町村合 併に伴う委託業務の引継ぎ | 平成17年3 月 | (津高支所と同じ理由) | J | 可・不・資 | |
11 | 御津支所管内その1 | 30,240 | 単独随意 | 平成17年3月 | 本業務は「下水道の整備等に伴う一般 廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法」に基づく合理化対策の一環として岡山市し尿処理業合理化対策会議において認定代替業務と決定された。したがって、契約の相手方が有限会社××に特定されるため、当該し尿処理業者と随意契約により委託契約を結ぼうとする もの。 | I | 可・不 | ||
12 | 御津支所管内その2 | 3,768 | 単独随意 | 平成17年3 月 | (津高支所と同じ理由) | I | 資・粗 | ||
13 | xx支所xx・万富・x x地区 | 2,542 | 単独随意 | 平成19年1 月 | (津高支所と同じ理由) | K | 可・不・資 | ||
14 | xx支所管内潟瀬地区 | 792 | 単独随意 | 平成19年1 月 | (津高支所と同じ理由) | K | 可・不・資 |
(注1)収集ごみの種類名について、可=可燃ごみ、不=不燃ごみ、資=資源ごみ、粗=粗大ごみ
(注2)上表の契約番号7については後述【5】において詳細に検討している。
2.意見
(1)委託化の推進について
上記のとおり、市内において、直営でごみ収集を行う地区と民間業者にごみ収集業務を委託している地区が並存している。その理由としては市の地区拡大の経緯から生じてきた、とのことである。第一にごみステーション方式モデル地区を導入したことにより、昭和 38 年(約 44 年前)から、かつては直営で実施してきたごみ収集業務の一部を委託せざるを得なかったことである。第二に合併により、新たに市となった地区においては合併前まで収集業務を受託してきた民間業者が引き続きごみ収集業務を受託する、となったことである(なお、合併時の協定書においてはごみ収集委託契約を継続する旨の取り決めはない。)。
これらの経緯を経て直営地区と民間委託地区が並存しているが、ごみ収集単価は、平成17 年度現在、直営で行った場合を委託による収集を行った場合と比べると、高く(約2倍)なっている。高くなる原因としては、市職員の人件費が高いこと及
び職員1人当たりのごみ収集量が少ないこと、言い換えれば職員数が多いこと等が考えられる。
財政難にある現在の市において、さらなるコスト削減、効率的な事業進行を図ることが求められ、ごみ収集業務においてもさらに委託をすすめるべきではないか、と考える。
この点に対し、市としても、次の対応を検討している。
① 職員1人当たりのごみ収集量を民間並みに高めるために収集体制を見直し、より適正な人員配置を行う。また再任用職員活用などにより経費の削減に努める。
② 収集業務のサービスレベルの維持に市が責任を持ちつつ、民間委託を視野に入れながら直営地区の収集について検討する。
直営地区の縮小化、委託化を進める検討を開始すべきと考える。
(2)競争入札の導入について
市の平成 18 年度ごみ収集業務の委託契約の概要は1.に記載したとおりであるが、各地区における委託理由について、「市町村合併に伴う委託業務の引継ぎのため」と市は説明している地区が、大部分である。しかし、上表の契約番号1~6の契約においては当該理由のもとですでに長い間(3年以上)単独随意契約により委託契約が継続しており、市町村合併後も引き続いて合併前と同一業者による単独随意契約が継続していることの妥当性を説明できない。
市町村合併直後は確かに合併による混乱等もあり、合併前の業者と同一業者と委託契約を締結することは第三者に説明可能であっても、特に合併後 35 年も経過し
た地区(上記1.に記載した【平成 18 年度ごみ収集等業務委託契約一覧表】の番号1~5)においては、契約相手の選定方法を単独随意契約とし、同一業者に委託し続ける理由の合理性はないと考える。また、市によると、合併時の町村と市との間の協定書等の契約において、当該契約業者との契約を継続させる旨の記載はないとのことである。したがって、他業者にも見積書提出を求める等、他業者への委託の可能性等を十分に検討するべきである。
また、合併直後である地区の委託契約(上記1.に記載した【平成 18 年度ごみ収集等業務委託契約一覧表】の番号 10~14)においても、今後、当該業者に委託を継続させることが妥当であるのか、ごみ収集コストの比較、分析を十分に行うことが必要である。
一方、大多数の地区では同一地区に同一業者を委託し続けている。この理由としては、市は「業務の実施に関し、相当の経験を有する者であり、市の業務を受託するに足る施設、人員及び財政的基礎を有している業者が他にないため。」としている。さらに特に、旧市地区においては(表の番号7、8、9)、ごみ収集量が拡大
した当時に市の側から業者に依頼して、ごみ収集業務の委託が開始した、という経緯を持つため、業者を変更するには競争入札に移行する方向性を示した後、ある程度の準備期間が必要である、と市は判断しているとのことである。しかし、見積額が許容価格未満となるまで、契約業者は何度でも見積額を提示し、平成 19 年度に
は 23 回の提示が行われた契約もあった。
契約額の縮減を図るため、さらに契約方法の透明化、適正化を図るため、競争入札の導入の可能性を検討すべきである。また、同一エリア内にごみ収集業務受託可能業者が他にいないのであれば、隣接エリアの業者も入札対象者に含めて競争させることも可能と考える。岡山市「委託事務事業の執行の適正化に関する要綱」の第
10 条において、委託先の選定に当たっては、より競争性、客観性及びxx性の高い方法を採用するものとし、原則として「市内業者」(本市内に本社、本店等主たる事務所を有するものをいう。)の中から選定するとしており、当規定の趣旨から鑑みても岡山市xx地区を対象とすべきである。
さらに、確かに施設、人員を必要とする事業であるため、多数の業者が算入し競争性が高まるよう、1年間で契約期間を区切るのではなく、複数年の契約を前提とした競争入札契約とすべきである。この点においては、市「岡山市長期継続契約を締結することができる契約を定める条例」を適用することで可能であると考える。
【5】ごみ収集等業務委託契約(本庁管内その1)
(環境局環境事業課)【参照番号 20】
【4】において、ごみ収集等業務委託契約のあり方について検討したことを前提にし、契約事務の妥当性について、「ごみ収集等業務委託契約(本庁管内その1)」を検討した。
1.契約の概要
(金額単位:千円、%)
年 度 | 平成 17 年度 | 平成 18 年度 |
受 託 者 | 株式会社 xxx装 | 株式会社 xxx装 |
x 約 価 格 | 459,892 | 453,600 |
x x 価 格 (予定価格) | 460,091 | 457,891 |
契 約 率 | 99.9 | 99.0 |
見 積 回 数 | 1回 | 6回 (参考:平成 19 年度は 23 回) |
(1)契約内容
市は、市内の行政地区とほぼ合致するように、ごみ収集業務の提供地区を区分し、各々別業者と委託契約を締結している。しかし、本庁管内においては、さらに「その1」、「その2」と業務提供地区を2つに区分し、各々別業者と契約している。なお、「その1」と「その2」の地区の区分方法は、歴史的な経緯の中で決まってき
たとのことである。うち「その1」を個別検討対象として検討する。
当契約の対象業務は「焼却ごみ収集」、「埋立ごみ収集」、「古紙・古布収集」、「びん・乾電池・体温計収集」、「空き缶収集」、「ペットボトル収集」の6種の収集業務により構成している。
(2)積算の考え方
① | 車種別(2トンパッカー車、2トン平ボディ車)に1カ月収集車1台あたり収集原価を算出する。人件費(給与、諸手当(賞与分含む)、共済費等、退職積立金分)、物件費(車両減価償却費、消耗品費、燃料費、修繕費、自動車税等の公課費、保険料)、間接経費(物件費に一定割合を乗じた額)の合 計により算出する。 |
② | 上記①の金額に対してごみ種類別の1カ月あたりの収集回数で割り、ごみ種類別の1台・収集1回あたりの収集業務単価を算出している。 |
③ | 前年度(平成 18 年度契約積算額算出のためには平成 17 年度)のごみ種類別の収集実績量(トン)から当該年度の収集量(トン)を予測し、それを1車 あたりの積載基準量で除して、ごみ種類別の収集必要台数を算出する。 |
④ | ③の算定値(ごみ種類別の収集必要台数)に対して、②の金額と地域格差(1 回走行当たりの標準的な所要時間と委託地域の所要時間の比)を乗じて契約積算金額を算出する。 |
当契約業務は「焼却ごみ収集」、「埋立ごみ収集」、「古紙・古布収集」、「びん・乾電池・体温計収集」、「空き缶収集」、「ペットボトル収集」の6種の収集業務に分け許容金額をじんかい収集業業務設計書上で次の手順で積算している。
上記で算出した許容価格に対して、各地区に1社ずつ固定した契約(予定)業者が見積価格を提示し、許容価格未満となるまで何回でも(平成 18 年度の場合は6
回、平成 19 年度の場合は 23 回)提示を受付け、最終的には許容価格未満の金額をもって契約額を決定した。
2.監査の結果
(1)賞与単価積算誤り
じんかい収集業業務設計書における積算額について、賞与分の算出が見積稼動人員数(2人)を2回算出式で使用し、誤って2倍の数値を算出していた。現在の積算数値と本来あるべき積算数値との比較を行うと次のとおりである。
現在の積算数値 | 本来あるべき積算数値 | |
賞与単価 | 597,441 円(=月給額×2人分)×5.72 ヶ月(=1人年間 2.86 ヶ月×2人)×0.0833(= 1÷12 ヶ月)=284,666 円 | 597,441 円(=月給額×2人分) ×2.86 ヶ月(=1人年間 2.86ヶ月)×0.0833(=1÷12 ヶ月) =142,333 円 |
上記の単価を使用した積算金額合計 (積算合計) | 457,891,700 円 | 410,629,519 円 |
平成 18 年度の契約額は、453,600,000 円であるため、正しい積算額(410,629,519円)より 42,970,981 円超過して契約額としている。同様に誤った単価をもって積算額を集計した契約は、許容価格を設定したごみ収集契約全てであり、これらの契約について各々、本来あるべき積算金額と契約額との差額を試算し、まとめると次のとおりである。
(金額単位:円)
契約名 | 本来あるべき積算金額 -契約金額 |
ごみ収集等業務委託(本庁管内その1)* | △42,970,981 |
ごみ収集等業務委託(本庁管内その2)* | △12,682,760 |
ごみ収集等業務委託(西大寺支所管内)* | △15,172,617 |
ごみ収集等業務委託(津高支所管内) | △9,837,722 |
ごみ収集等業務委託(xx(吉備津地区のみ)・xx支所 管内) | △11,378,602 |
ごみ収集等業務委託(高松(吉備津地区除く)・吉備・xx支所管内) | △13,903,413 |
ごみ収集等業務委託(xx・xx・興除支所管内) | △12,721,737 |
ごみ収集等業務委託(上道支所管内) | △5,920,801 |
ごみ収集等業務委託(足守支所管内) | △3,960,858 |
市立学校等におけるごみ収集等業務委託 | △1,267,318 |
ごみ収集等業務委託(灘崎支所管内) | △3,987,588 |
びん・ガラス類収集業務委託(灘崎支所管内) | △64,093 |
古紙類収集業務委託(灘崎支所管内その1) | △376,592 |
ペットボトル収集業務委託(灘崎支所管内その1) | △261,447 |
ガラス類運搬業務委託(灘崎支所管内) | △219,076 |
粗大ごみ運搬業務委託(灘崎支所管内) | △381,790 |
古紙類収集業務委託(灘崎支所管内その2) | △158,733 |
ペットボトル収集業務委託(灘崎支所管内その2) | △100,520 |
プラ類運搬業務委託(灘崎支所管内) | △926,862 |
ごみ収集等業務委託(御津支所管内) | △3,115,786 |
ごみ収集等業務委託(御津支所管内その2) | △381,362 |
平成 18 年度における差額合計 | △139,790,658 |
(注)上表の*の3契約は「可燃ごみ」「不燃ごみ」等といったごみ種類別の収集回数が異なることによる影響を考慮した上で、ごみ種類別の「本来あるべき積算金額」を算出し、差額を算出している。しかし、これら3契約以外の契約は、ごみ種類別に算出した誤単価による影響率を加重平均し、当該加重平均影響率を積算額合計額に乗じて「本来あるべき積算金額」を算出し、差額を算出している。
当該単価は平成 18 年度から使用しており、平成 19 年度においても差額が生じて
いることとなる。平成 19 年度においても、平成 18 年度とほぼ当該差額に近い数値
(なお、平成 19 年度の2トンパッカー車1台あたり直接経費積算額における賞与
金額分の割合を利用して試算した場合、約 113.4 百万円と試算されるとのこと。)を算出することになると推測しうる。
賞与単価を正しく集計した上で正確な許容価格を算出し、当該許容価格未満をもって契約金額とし、契約を締結する必要があった。現在の契約価額より少なくとも 139,791 千円(平成 18 年度の場合。平成 19 年度分は未試算。)低い価額で契約すべきであった。
(2)積算時における「一般管理費」の範囲の妥当性
市は、設計金額の算出時に「一般管理費」は「直接経費と間接経費の合計額の 14%」をもって算出している。この割合は、ごみ収集業務における適切な割合値がないため、「全国簡易水道協議会」が発行し、厚生省生活衛生局水道環境部水道整備課監修の「水道事業実務必携」を利用した割合を転用している、とのことである。しかし、「水道事業実務必携」において「一般管理費」とは「請負業者が工事を 施行するために必要な一般管理費、利潤等であって、諸給与福利厚生費、事務用品費、通信運搬費、保険料、租税公課、旅費、その他に要する費用をいう。」と規定しているにもかかわらず、市作成のごみ収集業務積算書(じんかい収集業業務設計書)において、一般管理費とは別に「消耗品費」、「公課費」、「保険料」を積算して
いる。これらの費用分が二重で積算している。
仮に一般管理費分に「消耗品費」、「公課費」、「保険料」が含まれており、市の積算からこれらの費用を控除した場合、積算額は 6,510 千円減額することとなる。
(3)積算時における「一般管理費率」設定の妥当性
「水道事業実務必携」における「一般管理費」は工事原価(直接工事費と間接工事費の合計。ごみ収集業務積算においては、直接費と間接費の合計。)に一定割合
(一般管理費率)を乗じて算出する。当該「一般管理費率」は当該工事原価の金額ランクに応じて異なる数値が規定されている。しかし、当契約においては直接費と間接費の積算合計値をランク表に適用した場合の「一般管理費率」は、市が実際に適用している「一般管理費率」(14%)と相違し、市が実際に適用している「一般管理費率」の方が高率である。例えば、「ごみ収集等業務委託(本庁管内その1)」、
契約名 | ランク表適用の場合の率 | 市が積算に使用した率 |
ごみ収集等業務委託 (本庁管内その1) | 11.5% | 14% |
ごみ収集等業務委託 (本庁管内その2) | 12% | 14% |
ごみ収集等業務委託 (西大寺支所管内) | 12% | 14% |
「ごみ収集等業務委託(本庁管内その2)」、「ごみ収集等業務委託(西大寺支所管内)」の3契約について、ランク表適用した場合と実際に積算に使用している「一般管理費率」を比較すると次のとおりである。
市が適用した率(14%)は、工事原価(直接費+間接費)が「500 万円以下の場合」に該当する。しかし、すべての契約を一律に「500 万円以下の場合」のランクに適用し、14%を適用する合理的な理由がない。
これに対して市は「水道事業実務必携」をあくまでも「参考資料」として使用した、と説明するが、他のランクではなく、最高比率となる 14%のランクを使用した合理的な根拠はない。
なお、一般管理費率のランク表を適用した場合の影響金額を試算したところ 16,542 千円となる。
3.意見
(1)市内部における積算資料の確認体制について
上記2.(1)において積算時の誤りを指摘したが、このような誤りが生じた原因は担当者個人の問題ではなく、当該積算資料を内部で確認する手続きの不十分さが原因である。当該積算資料は、市担当者による作成後、担当課内において承認している。特に積算単価の誤りによる影響は契約額に大きな影響を及ぼすため、承認時においては作成者以外の者による十分なる確認を行うことが求められる。そのためには確認手続内容をマニュアル化する等、統制の仕組みを整備することが必要であると考える。
(2)財産的基礎を有していることの確認について
単独随意契約となった理由として、当該業者が、「市の業務を受託するに足る施設、人員および財政的基礎を有している業者が他にないため。」としている。市は施設、人員の状況の報告を受けており、財政的基礎を有しているか、については登記簿謄本、「ごみ収集等業務委託業務使用車両届」をもって、資本金、車両保有台数の報告を受けている。業者の資金繰り状況は不明である。契約保証金、契約保証人の設定もないため、契約途中に業者が倒産した場合の保全方法が十分でない、したがって、業者が倒産するリスクがどの程度あるか把握するために資金繰り状況を示す書類の提示を受ける必要がある。
(3)契約保証人の免除について
市は、当契約における契約保証人を免除しており、契約仕様書上で「岡山市契約規則第 35 条第1項第6号により」と免除することの根拠規則を明記している。し
かし、岡山市契約規則第 35 条第1項第6号とは「その他特別の事由によりその必要がないと認められるとき」としているが、「その他特別の事由」の具体的な内容を記載し、承認した文書がない。【4】2(2)に記載したとおり、ごみ収集業務の大部分は合併前の町村の時から同一の契約業者と契約しており、契約保証人の免
除についても合併前の考え方を継続させている、としているとのことである。
合併前における考え方が妥当であったかは不明であるが、市として、継続的に契約保証人の免除を本当に認めてよいのか、「その他特別の事由」を明確にし、市で検討することが求められる。
(4)委託業務の品質管理について
委託契約のごみ収集業務において、詳細な収集ルートを市は設定していない。収集ルートは各契約業者が効率的に収集できるルートを開発して設定しており、ごみ収集漏れがないように対処している、とのことである。また、仮にごみ収集漏れが発生した場合には、市民からの電話などによる指摘があるので、収集ルートを市側が設定する必要はない、と考えているとのことである。
しかし、契約業務の品質を管理するためには、市側が収集ルートの設定を行うべきである。もしくは、市に設定を行うノウハウがないのであれば、市は、契約業者から契約開始時に収集ルート案の提出を受け、適切な収集ルートで収集することを事前に確認することが必要である。
【6】 ごみ処理施設管理運営委託契約(環境局環境施設課内、各センター)
【参照番号 21~24】
1.契約の概要
施設種類 | 施設名 | 場所 | 処理能力 (トン/日) |
可燃ごみ処理施設 | xx環境センター | 岡山市xx | 220 |
当xx環境センター | 岡山市当xx | 300 | |
東部クリーンセンター | 岡山市西大寺 | 450 | |
再生利用施設 | 東部リサイクルプラザ | 岡山市西大寺 | 85 |
市はごみ処理に関する施設を次のとおり有しており、各々運転管理業務を委託している。
(注)最終処分場(埋立処理地)の記載は省略する。
施設名 | 契約名 |
岡南環境センター | xx環境センター灰溶融設備他運転管理業務委託 |
当xx環境センター | 当xx環境センター焼却施設運転管理業務委託 |
東部クリーンセンター | 東部クリーンセンター焼却施設運転管理業務委託 |
東部リサイクルプラザ | 東部リサイクルプラザ運転管理業務委託 |
市の委託契約のデータから、金額的重要性の高い次のごみ処理施設管理運営委託契約を個別検討対象として抽出した。
【抽出したごみ焼却施設運転管理業務委託契約の概要】
(金額単位:千円)
xx環境センター | 当xx環境センター | ||||
運転管理委託契約名 | xx環境センター灰溶融設備他運転管理業務委託【参照番号21】 | 当xx環境センター焼却施設運転管理業務委託【参照番号22】 | |||
受託者 | xxプラント株式会社 | 荏原エンジニアリングサービス株式会社 | |||
受託者と岡山市との関係 | H13・H14施設改造時の設備納品業者 | H6施設建設業者の100%子会社 | |||
年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | |
契約価格 | 121,485 | 121,380 | 243,600 | 243,075 | |
許容価格(予定価格) | 121,485 | 121,433 | 243,860 | 243,264 | |
見積率 | 100.0% | 99.9% | 99.8% | 99.9% | |
見積回数 | 5回 | 2回 | 3回 | 1回 | |
委託期間 | 1年間 | 1年間 | 1年間 | 1年間 | |
施設概要 | xx環境センターは昭和53年に建設され、可燃性ごみの焼却施設の一つとして稼動していたが、ダイオキシン類排出基準規制強化対応のための設備改造及び灰溶融設備設置を平成13年及び平成14年に実施した。 | 当xx環境センターは平成6年に建設さ れ、可燃性ごみの焼却施設の一つとして、稼動している。 | |||
契約内容 | 灰溶融施設の運転業務、2号炉、3号炉においては、燃焼ガス冷却工程以降の工程 (注)である。2号炉、3号炉の燃焼ガス冷却までの工程は岡山市職員が担当し、市直営業務となっている。(注)xx環境センターのごみ焼却施設の工程は、ごみ受 入・供給⇒ごみ焼却⇒燃焼ガス冷却⇒排ガス処理、灰処理である。 | クレーン工程(ごみ収集車がごみを投入する「ごみピット」からごみをクレーンでつかみ取り、ごみホッパ(ごみ焼却炉)に投入する工程)までは、岡山市職員が担当している。ごみホッパ投入後の工程が委託対象業務である。 | |||
委託金額算出根拠 | 許容価格は、直接業務費(直接人件費、直接物品費)に業務管理費、技術経費、一般管理費等を加えて積算している。当該許容価格未満となるまで、何度も(平成18年度の場合は2回)、契約(予定)業者は見積書を提示している。 | 許容価格は、直接業務費(直接人件費、直接物品費)に業務管理費、技術経費、一般管理費等を加えて積算している。当該許容価格未満となるまで、契約(予定)業者は見積書を提示している(なお、平成18年度の場合は1回の提示であった。)。 | |||
契約方法 | 随意契約 | 同左 | |||
随意契約理由(概要) | 当施設の改造工事請負業者であり、責任管理体制による責任の所在を明確にし得ること、施工上の経験、知識を十分発揮し得ることから、経費、技術、責任、安全性、極めて円滑適正な事務事業の執行が確保できる等唯一の業者と認められるため。 | 建設メーカーが100%出資した運転管理を専門に行う系列会社で、建設メーカーから運転の技術管理について、全面的なバックアップが受けられる上記業者しか本業務を履行することはできないため。 | |||
契約保証人 | あり | あり | |||
再委託 | なし | あり | |||
再委託業務 | |||||
受託業者が直接実施し ている内容 | - | 全般管理業務の一部、現場 管理、一般管理、技術指導 | |||
受託業者が直接実施し ている分の設計書にお ける金額 | - | 積算額合計の約35% | |||
再委託の申請方法 | - | 「再委託届出書」 |
(金額単位:千円)
東部クリーンセンター | 東部リサイクルプラザ | ||||
運転管理委託契約名 | 東部クリーンセンター焼却施設運転管理業 務委託【参照番号23】 | 東部リサイクルプラザ運転管理業務委託 【参照番号24】 | |||
受託者 | 石川島環境エンジニアリング㈱岡山営業所 | 日立造船株式会社 | |||
受託者と岡山市との関係 | H13施設建設業者の100%子会社 | H13施設建設業者 | |||
年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | |
契約価格 | 122,850 | 121,800 | 214,200 | 217,198 | |
許容価格(予定価格) | 123,001 | 122,366 | 214,935 | 217,277 | |
見積率 | 99.8% | 99.5% | 99.6% | 99.9% | |
見積回数 | 3回 | 2回 | 2回 | 5回 | |
年度 | 1年間 | 1年間 | 1年間 | 1年間 | |
施設概要 | 東部クリーンセンターは平成13年に建設されたごみ焼却施設の一つである。 | 岡山市東部リサイクルプラザは、平成13年に建設された。主に粗大ごみと不燃ごみを破砕・選別する粗大ごみ処理施設と資源化物を選別・圧縮・一時貯留する資源選別施設がある。 | |||
契約内容 | 運転操作・保守点検整備等の維持管理業務を委託。ただし、ごみ計量業務とプラットホーム(ごみピットへのごみ投入のためのスペース)工程までは、岡山市職員が担当している。ごみピット管理以降の工程が委託対象業務である。 | リサイクルプラザの運転管理業務以外に、不燃ごみの受入、処理後の破砕鉄の積込 み・搬出、また日曜日にxx資源回収所に持ち込まれた空き缶を、リサイクルプラザまで運搬を行う。 | |||
委託金額算出根拠 | 許容価格は、直接業務費(直接人件費、直接物品費)に業務管理費、技術経費、一般管理費等を加えて積算している。当該許容価格未満となるまで、何度も(平成18年度の場合は2回)契約(予定)業者は見積書を提示している。 | 許容価格は、直接業務費(直接人件費、直接物品費)に業務管理費、技術経費、一般管理費等を加えて積算している。当該許容価格未満となるまで、何度も(平成18年度は5回)契約(予定)業者は見積書を提示している。 | |||
契約方法 | 同左 | 同左 | |||
随意契約理由(概要) | 当施設建設工事請負業者の全額出資の系列会社で、同社が請負施工した環境衛生施設の維持管理業務を行う専門業者であり、当施設建設工事請負業者から技術管理について全面的なバックアップを受けることが可能であり、施工上の経験、知識も充分得ることができ、極めて円滑適正な業務の執行が確保できる唯一の業者であると認められるため。 | 施設設置業者であることにより、全運転職員に設備固有の特許内容等にも踏み込んだ施設上の経験・知識等の運転管理ノウハウを熟知修得させて効率的安定的な運転方法を確立させた実績がある。 また他の業者では、運転方法と施設の性能保証との一貫した責任管理体制がとれなく安定した運転の確保ができないため。 | |||
契約保証人 | あり | あり | |||
再委託 | なし | あり | |||
再委託業務 | |||||
受託業者が直接実施している内容 | - | 全般管理、現場管理、一般管理 | |||
受託業者が直接実施している分の設計書における金額 | - | 積算額合計の約28.9% | |||
再委託の申請方法 | - | 「下請負届出書」 |
2.監査の意見
(1)単独随意契約の理由の妥当性について
これらの契約が随意契約を採用するにあたり、随意契約理由書をもって市の内部承認を得ている。
当該随意契約理由書における理由の概要は上記1.に記載した【抽出したごみ焼却施設運転管理業務委託契約の概要】のとおりである。他業者ではなく、当該契約相手が唯一のノウハウを有していることが理由とのことである。
東部リサイクルプラザを除く、いずれの契約もセンター建設時または改造時の施
工業者(またはその 100%子会社)であり、施設施工後、当該運転管理業務を同一業者(またはその 100%子会社)に随意契約手続により選定し、契約を締結している(東部リサイクルプラザは指名競争入札により受託者選定後、2年目以降は単独随意契約を締結している。)。
一方、各契約では契約規則第 35 条に則り、別途、契約保証人を立てている。「保証契約書」は市と契約保証人が締結しており、第1条において「乙(契約保証人)は、委託契約について、受託者がその債務を履行しないときは、受託者に代わって委託を完成させるものとする。」と規定している。当該契約保証人が業務を代替して履行することが可能であれば、平成 18 年度当時の市の契約規則に従わざるを得なかった事情はあったものの(注)、上記の随意契約理由書の理由と矛盾していた。随意契約を締結する理由が適切でなかった可能性があった。
(注)市契約規則第 35 条において、「市長は契約(工事請負契約を除く)の相手
方に対し、契約保証人を1人以上立てなければならない」とあり、契約保証人を立てることが求められていたが、平成 19 年の改正により、契約保証人を免除できる場合が認められた。
なお、現在、これらのごみ処理施設の運転管理委託契約を随意契約としていることの妥当性について、担当課は平成 22 年度からの一般競争入札の導入可能性を見据えて検討中とのことである。現在、他都市におけるごみ処理施設管理委託契約状況を調査し、他都市例をもとに市における適切な契約形態のあり方を検討中とのことである。平成 22 年度からの導入目標ではなく、可能な限り早急に一般競争入札による業者選定手続きへ移行できるよう、積極的に検討することが望まれる。
(2)委託業務範囲について
各センターともに次の表のとおり、一部の工程は市職員が担当している。
xx環境センター | 当xx環境センター | 東部クリーンセンター | 東部リサイクルプラザ | |
直営 工程 | 2号炉、3号炉:燃焼 ガス冷却までの工程 | クレーン工程 まで | プラットフォー ム工程まで | プラットフォ ーム工程まで |
委託工程 | 灰溶融設備:全て 2号炉、3号炉:燃焼ガス冷却以降の工程 | クレーン工程以降 | プラットフォーム工程以降 | プラットフォ ーム工程以降 |
直営による工程と委託による工程の区分については、現業職員組合との協議の結果、決定した、とのことである。しかし、運転開始時期の違いにより委託への移行がなされているようであるが、施設により直営と委託の混在があり、今後の委託の範囲の拡大化も視野に入れて検討することが望まれる。
(3)再委託の承認について
委託契約書第5条において、「乙(契約業者)は、委託の全部又は大部分を一括して第三者に委任し、又は請け負わせてはならない。」と規定している。さらに第
6条において「乙は、委託の一部を第三者に再委託又は再委任するときは、あらか
じめ書面により甲(市)に届け出なければならない。」と規定しており、契約業者は再委託を行う場合には市へ届出を行うこととなる。平成 18 年度の当xx環境センター、東部リサイクルプラザの管理委託契約においては、「再委託届出書」(東部リサイクルプラザにおいては「下請負届出書」)を市へ提出し、再委託が行われている。
契約業者は市へ再委任、下請負内容の「届出」を行うのみであり、「伺い」を行っておらず、市が下請負の妥当性を検討していることが明らかとならない。
「再委託届出書(または下請負届出書)」は市の担当課において承認を得ており
(担当者、課長等の承認印欄があり、承認している。)、市として再委託の妥当性(例えば、大部分を再委託に出していないこと、業務実施能力がある業者が下請負を担当していること等。)を検討したと思われるものの、「届出」という表現は少なくとも、契約業者にとっては届出書の提出さえ怠らなければ、問題ない、と誤解する危険性がある。確かに、「届出」という表現は、市の契約規則に則っているものの、全ての委託契約において「届出」による手続で済むものではないと考える。特に当該契約においては、再委託業務が委託契約額の約 7 割前後を占め、かつ再委託業者は1業者である。再委託業者の業務の品質が委託業務に大きな影響を与えるものであり、当該契約においては、「伺い」による方法が望ましいと考える。
「届出書」の書式を「伺い書」に改定するとともに、委託契約書における契約条
..
文を「市により文書による承認を受けなければならない。」旨へ改定することの工
夫が求められる。
(4)受託者からの報告内容について
各センターにおける受託者からの業務実施に関する報告(異常対応報告含む。)について、契約書または仕様書に規定するとおり、報告書(「報告書」、「損傷速報」など。各センターにより報告書名は異なる。)を提出することとなっている。平成
18 年度のxx環境センターにおける報告書の一部を閲覧したところ、市が報告を受領したあとの対処(承認したのか否か)及び受理日を報告書に記載していなかった(平成 18 年 11 月 27 日付け提出の報告書)。報告書の書式には市の対応(「指示」、
「承諾」、「協議」、「通知」、「受理」、「その他」のいずれかを選択)を記載することとなっているが、記載せず、市内部承認後の業者への報告書返還時に口頭で受理したことを伝えるためとのことである。市が保管している報告書(受理用)は、担当者(複数)が押印をしているものの、市の対応(「指示」、「承諾」、「協議」、「通知」、
「受理」、「その他」のいずれかを選択)を記載する前の時点におけるものである。市が保管している報告書(受理用)においても、受託者による報告内容を市が認 めたものなのか否かを記載することで、受託業務を適切に遂行していることを第三者が把握できるようにしておくべきである。市は、受託事業遂行書式に即して、自
らの対応状況を記載しておくことが求められる。
なお、各センターにおける報告書の書式は特に契約書や仕様書上では指定してなく、現在までに市と受託者との協議により定型化されたものであるとのことであるが、今後は、受託者が別の業者に変更となっても一定の報告内容の品質を確保できるよう、報告書書式を契約書または仕様書で規定することが求められる。
(5)xx環境センター、当xx環境センター、東部リサイクルプラザの工事時の業者選定方法について
各処理設備は、システム構成上相互に緊密な関連を有しており、安定した、確実な運転管理を継続的に行うためには、システムを完全に理解していること、即ち、設計・施工の技術ノウハウが確実に運転管理に反映されることが最も重要であります。
下記業者は、当施設の改造工事請負業者であり、責任管理体制による責任の所 在を明確にし得ること、施工上の経験、知識を十分発揮し得ることから、経費、技術、責任、安全性、極めて円滑適正な事務事業の執行が確保できる等唯一の業者と認められるため、地方自治法施行令第 167 条第1項第2項の規定により随意
契約を行うものです。
平成 13 年におけるxx環境センターの改造工事時の施工業者を選定する際には改造後の運転管理業務や定期点検業務の見積提案は受けていなかった。しかし、実際には、改造工事後の運転管理業務や定期点検業務は、当該施工業者が随意契約により市から受託している。運転管理業務の随意契約理由書(平成 18 年度)において、随意契約の理由は次のとおり記載されている(下線は外部監査人が記入)。他業者ではなく、当該契約相手が唯一のノウハウを有していることを記載している。
運転管理業務の随意契約の理由が合理的であり、当該施工業者と随意契約を締結せざるを得ない事情であれば、平成 13 年度の施工業者選定時には、改造後の運転管理業務等の見積を同時に提出させ、業者選定材料の一つとすべきであった。
一方、当xx環境センター、東部リサイクルプラザにおいても運転管理業務の委託契約先には、xx環境センターと同様の理由により施設建設業者を随意契約により選定しているが、施設建設工事時の工事業者選定時には建設後の運転管理業務や定期点検業務の見積提案は受けていなかった。
設備改造時や施設建設時には、運転管理業務を直営とするか委託とするか未定であったために運転管理業務の見積提案を受けていなかった、とのことであるが、未定であっても、見積提案内容によっては運転管理業務の委託方針の検討のための材料とすることも可能であった。
すでに情報システムの開発契約においては、保守契約も含めた提案を業者から徴収し、業者選定を行っている。今後、工事時の設計・工事業者を選定する際には、
工事後の運転管理業務や点検業務の見積提案を受け、運転、点検のみならず、さらには修理、廃棄コストまでを含めた使用期間の総額を調査する仕組みを構築し、業者を選定することが望まれる。
【7】当xx環境センター焼却設備等定期点検調整業務委託
(環境局当xx環境センター)【参照番号 25】
1.契約の概要
(金額単位:千円、%)
年 度 | 平成 17 年度 | 平成 18 年度 |
受 託 者 | 荏原エンジニアリングサー ビス株式会社大阪支店 | 荏原エンジニアリングサー ビス株式会社大阪支店 |
x 約 価 格 | 122,850 | 121,800 |
x x 価 格 ( 予 定 価 格 ) | 123,001 | 122,243 |
契 約 率 | 99.8 | 99.5 |
見 積 回 数 | 5回 | 2回 |
委 託 期 間 | 平成 17 年4月 13 日 ~平成 18 年3月 31 日 | 平成 18 年4月 12 日 ~平成 19 年3月 31 日 |
(1)契約内容
市は当xx環境センターの施設点検業務を委託している。点検業務の内容は、点検実施予定日、実施内容等が詳細に決められている。契約相手は、当xx環境センターの焼却施設運転管理業務の受託者と同一である。
(2)積算の考え方
許容価格は、直接委託費(点検種別の積算金額の合計)に、共通仮設費、現場管理費、一般管理費を加えて積算している。当該許容価格未満となるまで、契約(予定)業者は見積書を提示している(なお、平成 18 年度の場合は 2 回の提示であった。)。
2.意見
(1)再委託の承認について
契約業者が市へ下請負内容の「届出」を行うのみであり、「伺い」を行っていない点は、【6】2(3)と同様の対応が求められる。
(2)設計金額(積算金額)と許容価格の相違について
平成 18 年度の当契約の設計金額(積算金額)と許容価格が相違していた(設計
金額 122,365 千円に対して、許容価格 122,243 千円)。当該相違分は許容価格設定権限者(市環境局長)が任意に調整し、設計担当者には調整内容は不明とのことである。
なお、平成 19 年 11 月の市監理課の通知によると、工事契約だけではなく、修繕、測量設計業務、委託業務等についても設計金額から許容価格への調整を行うべきではない、となっている。平成 18 年度の契約事務の時点では、当該通知は発令されていなかったとはいえ、第4【1】で指摘したとおり、設計金額=許容価格とすべきであった。
【8】東xx地内他下水管きょ清掃作業委託契約(下水道局下水道保全課)
【参照番号 35】
1.契約の概要
(単位:xx、%)
年 | 度 | 平成 18 年度 | 受 | 託 | 者 | 株式会社イオス | |||
x 約 価 格 | 977 | x x 価 格 ( 予 定 価 格 ) | 1,000 | ||||||
契 | 約 | 率 | 97.7 | 見 | 積 | 回 | 数 | 1回 | |
委 託 理 由 | 高度・最新・専門的な知 識・技術・設備の必要性 | 委 | 託 | 期 | 間 | 平成 19 年2月7日 ~平成 19 年2月 28 日 |
(1)契約内容
市民からの報告(クレーム)を受け、下水管渠(下水道管・マンホールのこと)の詰まりといった不具合を認識したことに伴い、当下水管渠の清掃作業を外部委託している。業務内容の性質上緊急性を要するものであり、競争入札・見積合わせの手続きを踏む時間的余裕がなく、また専門性の高い業務内容であることから、単独随意契約による契約形態を採っている。
市の受託業者に対するモニタリングについては、作業現場に市職員が立会い、実施状況の監督を行っており、最終の検査は外部委託先からの写真による報告をもとに実施し、検査報告書を作成している。
(2)積算の考え方
受託業者から提出された見積書による。ただし事前に積算金額を算出し、算出金額と見積書金額の比較を実施している。
2.意見
(1)単独随意契約理由の妥当性について
当契約は単独随意契約による契約形態を採っているが、その理由は、単独随意契約理由書によると、「上記地内(東xx地内他)の既設下水管渠内に土砂・塵芥が堆積し排水に支障をきたしているので、早急に処置する必要があり、緊急対応が可能で作業において知識及び技術的に優れた上記業者(外部委託先)と随意契約する。」としている。
しかし、上記理由のみでは当委託先以外の委託可能業者がないことについての十分な理由にはなっておらず、作業に必要な機械を有しており即時に対応できる業者が当委託先しかないことを理由として明記する等、より具体的・客観的な理由の記載が必要である。
また、当時において住民からの報告(クレーム)が寄せられた状況及び当報告を受けてどのような経緯で契約締結に至ったのかについて取りまとめた書面等がなく、緊急性について客観的に把握ができない状況となっている。
緊急性・専門性が理由で単独随意契約とならざるを得ないことについて客観的に把握できるように、検討の経緯を文書化し、適切な承認を得るべきである。
(2)検査報告書の評定及びペナルティの設定について
検査報告書上の成績評定は「優・良・可・不可」の 4 区分に分けられており、当契約の評定は「良」としている。しかし、清掃業務という業務の性質上、実質的に上記 4 区分による厳密な評価を行うことは困難であり、同内容の委託契約において
「良」以外の評定がつくことはほとんどない。
点数評価や評定の詳細な区分を判断することが困難であることから、「合格・不合格」の区分による評定で十分であると考えられる。
また、不合格(やり直し)の場合には、一定期間の契約保留等といったペナルティを予め定めておくべきである。
また、当初不合格でやり直しをさせた場合には、業者に対して指導したその記録を残し、承認を得ることが必要である。
【9】京橋町地内下水管きょ調査作業委託契約(下水道局下水道保全課)
【参照番号 36】
1.契約の概要
(単位:xx、%)
年 | 度 | 平成 18 年度 | 受 | 託 | 者 | 株式会社アールエコ | |||
契約価格 | 945 | x x 価 格 ( 予 定 価 格 ) | 958 | ||||||
契 | 約 | 率 | 98.7 | 見 | 積 | 回 | 数 | 1回 | |
委託理由 | 高度・最新・専門的な知 識・技術・設備の必要性 | 委 | 託 | 期 | 間 | 平成 18 年 9 月 8 日 ~平成 18 年 11 月 30 日 |
(1)契約内容
当契約の外部委託先とは別の年間保守委託業者が市内循環中に路面の小さな陥没を発見し、その情報をもとに下水管渠の調査(原因の追究、破損の状況把握、補修の必要性等。)を外部委託している。業務内容の性質上緊急性を要するものであり、競争入札・見積合わせの手続きを踏む時間的余裕がなく、また専門性の高い業務内容であることから、単独随意契約による契約形態を採っている。
市の受託業者に対するモニタリングについては、作業現場に市職員が立会い、実施状況の監督を行っている。また、成果物として写真とともに要補修箇所・補修の必要性の程度をまとめた報告書を受け取ることとなっている。
(2)積算の考え方
受託業者から提出された見積書による。ただし事前に積算金額を算出し、算出金額と見積書金額の比較を実施している。
2.監査の結果
(1)仕様書記載内容と最終成果物との不整合
下水道保全課で保管している仕様書(控)では、成果物である報告書を 2 部提出する旨が記載されているが、設計書では1部のみの提出を前提に積算が行われており、実際にも報告書は1部しか入手していない。
これは、契約段階で報告書の提出数に変更があったにも関わらず、下水道保全課で保管している仕様書(控)が変更前のものであったことによるものである。そのため、結果的には 1 部のみの入手で問題はなかったが、契約履行の最終段階での成果物と仕様書との整合性をチェックする時点で発見されるべきミスであり、チェックの精度に問題があると考えられる。
3.意見
(1)契約期間の妥当性について
当契約は単独随意契約による契約形態を採っているが、その理由は、単独随意契約理由書によると、「本業務は、下水本管及び人孔の不良のためと思われる道路陥没が再三発生するため、下水道管きょ内をTVカメラ等で調査するものであり、上記業者は早急に対応ができ、作業上の経験及び知識を有していることから上記業者
(外部委託先)と契約することにより安全でかつ適切な作業が確保できると思われること。」とされている。
業務内容の性質上、大きな事故につながる可能性を踏まえての緊急の調査作業であるにも関わらず、契約期間は平成 18 年9月8日から平成 18 年 11 月 30 日の約3ヶ月間となっている。
実際の調査作業日数は1日程度とのことであり、報告書を作成する日数を考慮しても、必要以上に契約期間が長く設定されていると考えられる。外部委託先からは即時に口頭での状況報告は受けているとのことであるが、より迅速に正式な調査結果を入手する必要があると考えられる。
(2)単独随意契約理由の妥当性について
単独随意契約の理由として、(1)に記載のとおりの単独随意契約理由書が作成されているが、当理由のみでは当委託先以外の委託可能業者がないことについての十分な理由にはなっておらず、作業に必要な機械を有しており即時に対応できる業者が当委託先しかないことを理由として明記する等、より具体的・客観的な理由の記載が必要である。
【10】旭西浄化センター合流改善詳細設計等業務委託契約(下水道局計画調整課)
【参照番号 37】
1.契約の概要
(単位:千円、%)
年 度 | 平成 18 年度 | 受 | 託 | 者 | 日本下水道事業団 |
契約価格 | 54,820 | x x 価 格 (予定価格) | 54,820 | ||
契 約 率 | 100 | 見 | 積 回 | 数 | 1回 |
委託理由 | 日本下水道事業団とは、平成 15 年度 から平成 16 年度において「岡山市公共下水道根幹的施設に係る事業計画の策定委託に関する協定」を締結し、それに基づき「旭xxxx合流式下水道改善計画策定業務委託」をおこなってきた。今回の委託業務は、合流改善計画に基づき旭西浄化センターの合流改善の詳細設計等を行うものである。 | 委 | 託 期 | 間 | 平成 18 年 8 月 23 日 ~平成 19 年 3 月 31 日 |
(1)契約内容
市では、旭西浄化センターの合流改善を実施するために、1系水処理施設の実施設計書作成等の業務を平成 18 年度に委託した。
すでに平成 15 年度及び平成 16 年度において「岡山市公共下水道根幹的施設に係わる事業計画の策定委託に関する協定」を日本下水道事業団と締結し、それに基づき「旭xxxx合流式改善計画策定業務委託」を行ってきた。
旭西浄化センターは合流式下水道(注)であり、雨天時には一部の下水が未処理のまま旭川に放流され、放流先の水質悪化が懸念されているところである。また、下水道法施行令が平成 16 年に改正され、雨天時における合流式下水道からの放流水の水質基準である、BOD(生物化学的酸素要求量であり、水の汚れを表す指標)を平成 25 年度までに 70 ㎎/L から 40 ㎎/L へ改善することが求められる。市としては、旭xxxxのみが合流式であり(他処理区は分流式)、旭xxxxを当面、年間の放流汚濁負荷量を分流式下水道並みにするため、旭xxxxにおける合流改善計画について平成 17 年度に国認可を受け、1系水処理施設の実施設計書作成業務
を委託した。
さらに、当該認可計画によると、合流式下水道の改善対策だけではなく、xx使用による施設老朽化、耐震対策、xx湖富栄養化対策の必要性から、本処理区の汚水は、段階的にxx湖流域下水道に送水し、旭西浄化センターの汚水処理施設は、
..
合流式下水道の雨水処理施設として平成 25 年度末までに再整備することを予定し
ている。
(注)「合流式」とは、雨水と汚水を1本の管に集約し、汚水と雨水の一定量を下水処理場で処理する方法である。対して、「分流式」では雨水と汚水を完全に分離し、汚水のみを下水処理場で処理する方法である。
合流式下水道は、「雨水と汚水を同一の管渠で排除することがより経済的」なためで下水道整備初期に着手した大都市を中心に採用されてきた。市では、旭xxxxにて合流式下水道を採用している。合流式のメリットとしては雨水の汚泥なども処理できる為、環境対策になり、配管が統合でき、簡略化ができる等の点である。デメリットとしては、大雨が降ると処理場が能力オーバーとなり、殆んど未処理状態で放流することとなる点である。
① | 市が日本下水道事業団に業務の受託を要請する。 |
② | 日本下水道事業団は概算事業費を積算し(設計業者から参考見積を取り寄 せ、当該金額をもとに作成しているとのこと。)、市に提出。 |
③ | 市は、概算事業費が妥当かどうか検討したうえで、協定を締結。 |
④ | 日本下水道事業団が再委託先となる設計業者を選定。再委託先と契約。市へ 報告。 |
⑤ | 日本下水道事業団が、設計業務において設計業者を指導監督する。 |
⑥ | 設計業者が作成した設計書(成果品)が日本下水道事業団に届けられ、日本 下水道事業団による検査が実施される。 |
⑦ | 日本下水道事業団から市へ成果品が届けられる。 |
なお、日本下水道事業団とは、地方公共団体が主体となって業務運営を行う地方共同法人である。「日本下水道事業xx」を根拠として設立されている。地方公共団体等の要請に基づき、下水道の根幹的施設の建設及び維持管理を行うこと等を目的としている。業務の流れ(概要)は次のとおりとなる。
(2)積算の考え方
実施設計書作成等の業務の費用(設計費)に、管理諸費(日本下水道事業団の手数料)を加えた額をもって算出する。10%が管理諸費(日本下水道事業団の手数料)である。当該 10%の根拠については、日本下水道事業団受託業務費用負担細則第
4条に準拠している。
内容 | 金額(千円) |
設計費 | 49,340 |
管理諸費 | 5,480 |
合計 | 54,820 |
設計費の積算については、原則として財団法人下水道新技術推進機構が策定した
「下水道用設計標準歩掛表 平成 18 年度」を使用し、市が算出しているが、当該
「下水道用設計標準歩掛表 平成 18 年度」に該当する数値がない歩掛値(「雨水調整池」や「高速雨水処理施設」の直接人件費)は、日本下水道事業団から提示された見積額を使用している。
最終的には日本下水道事業団から設計業務を実施する再委託先へ委託した金額に 10%の日本下水道事業団の手数料(管理諸費)をプラスした金額をもって、市と日本下水道事業団との契約確定額としており、当初の契約額との差額を市へ返還している。
2.意見
(1)単独随意契約理由の妥当性について
【随意契約理由書より】
本契約業務は、旭西浄化センターの合流改善を実施するために1系水処理施設の詳細設計等をするものである。日本下水道事業団とは、平成 15 年度から平
成 16 年度において「岡山市公共下水道根幹的施設に係る事業計画の策定委託に関する協定」を締結し、それに基づき「旭xxxx合流式下水道改善計画策定業務委託」をおこなってきた。今回の委託業務は、合流改善計画に基づき旭西浄化センターの合流改善の詳細設計等を行うものである。また、日本下水道事業団は、下水道に関する技術開発や研究調査及び試験を行っており、その成果を活用することにより、維持管理費を含めたコスト削減を図ることも可能となる。以上の理由により、日本下水道事業団と随意契約を結ぶものである。
日本下水道事業団に委託するにあたり、単独随意契約とする理由は次のとおりであった。なお、当該随意契約理由は、市の内部で承認している。
随意契約は、地方自治法施行令第 167 条の2及び契約規則第 22 条に規定した契約であり、原則として一般競争入札とすべきところを例外的に認めた契約手続きである。したがって、随意契約理由書には、随意契約とすることの理由を明確に記載することが求められる。当該随意契約理由書には、過去の協定を締結してきた経緯や下水道に関する技術を有していることを記載しているが、他の者ではなく日本下水道事業団を契約先として選定することの理由(他社から比べた優位性など)を明確に記載していない。
さらに、当契約には、旭西浄化センターの水処理施設および汚泥ポンプ室の耐震診断業務も含まれている。確かに、下水道施設はその施設利用の目的が特殊であり、施設の耐震診断は特別なノウハウが必要となるかもしれない。しかし、耐震診断業務も日本下水道事業団に単独随意契約の相手として締結することの理由は、随意契約理由書に記載がなく、単独随意契約であることの妥当性を確認できない。
随意契約理由書には日本下水道事業団を選定することの理由(他社から比べた優位性など)を明確に記載すべきである。
(2)契約予定先から概算事業費の内訳を入手することについて
当契約はその契約内容の特殊性から、協定を締結していたことを受けて、日本下水道事業団と随意契約を締結することが決定していたにもかかわらず、一部分の契約額積算値(雨水調整池や高速雨水処理施設の直接人件費)については日本下水道事業団から概算事業費の内訳書を入手し、当該金額をもって許容価格の一部として算入している。日本下水道事業団による概算事業費金額の提示額が高止まりとなるおそれがあり、市は当該金額の妥当性確認を行うことが望ましい。確かに日本下水道事業団しか概算事業費金額の算出は不可能であり、市による妥当性の確認は不可能であるかもしれない。しかし、直接人件費の構成要素の一部である設計時間数などについて、実際の設計時間を事後的に確認し事後的に概算事業費金額の妥当性を確認することも一つの方法と考える。
(3)再委託先選出方法、再委託先への委託金額の妥当性確認について
当契約対象の業務のうち実際の設計業務は、日本下水道事業団からさらに再委託先(設計会社A)へ委託している。再委託先がAであることの通知は日本下水道事業団から市へ報告しているが、再委託先の選定経緯や選定理由について、市は把握していなかった。
これに対して、日本下水道事業団は地方共同法人として公益性が高く、事業実施内容も市としては信頼できるから再委託先選定状況について把握する必要はない、と市は主張している。しかし、日本下水道事業団は、地方共同法人であっても、市にとって第三者であることには変わりなく、さらに当該契約においては上記1.
(2)に記載したとおり、再委託金額が日本下水道事業団の手数料に連動し、契約金額に影響するため、市としては再委託先選定方法を把握しておくことが必要である。具体的には、再委託先選定方法、経緯、結果を市が確認、承認することで、日本下水道事業団を統制することが求められる。
一方、日本下水道事業団からAへの再委託金額について、日本下水道事業団からの報告をもって市は把握しているが、その妥当性を市として確かめていなかった。一般的な委託契約においては、再委託契約額は契約額と連動して算出することはないため、再委託契約額を市が把握する必要まではないと考えるが、当契約は市と日本下水道事業団との契約額が再委託金額×100%/90%と算出されるので、再委託金額の妥当性について市は確認することが望ましい。
(4)検査報告書の評定について
市は業務完了後の検査報告書上の評定を「良」としているが、実際には業務内容の評定を実施していないとのことである。そもそも設計が自らできないので日本下水道事業団へ委託しているのであり、日本下水道事業団が作成した完成検査報告書
の内容を信頼し、当該事業の妥当性の確認ができないとのことである。支払い前の完了の確認及び成果品(設計書)の冊数の確認は実施しているとのことである。
しかし、「設計業務」等を対象とした「岡山市委託業務検査規程」第5条において「検査は、個別に、成果品又は既済部分及び履行が契約図書の内容に適合しているかどうかについて書類及び実地で行うものとする。」とあり、本来、成果品(設計内容)に対して検査すべきものである。
当該業務は検査することができない例外的な事例であるかもしれないが、そうであれば、冊数等の形式的検査にとどめた例外的な例である旨と形式的検査の合否を検査報告書に記載することが求められる。評定「良」を記載すべきではない。
(5)下水道処理施設の建設コスト削減対策
住民の健康で快適な生活環境の確保のためには、公共下水道処理施設の完備は不可欠であるが、その建設には用地取得、管渠敷設、処理施設の建設等、莫大な費用を要する。建設費用は、概ね設計内容で決定し、建設費の削減を図るには効率的、経済的な設計が必要である。したがって、当該委託契約の成果品である、「共通事項検討書」(設計書作成の前提となる基本事項をまとめたもの)、設計書等を閲覧し、過剰な設計がなされてないか、検討した。さらに、当センターが建設の基本になったと推測される、昭和 48 年の容量計算書を閲覧し、建設当時、過剰な設計がなされていないか、について検討した。
① 設計の手順概要
設計の基本方針を策定したあと、設計書が作成され、工事発注へ至るまでの手順を図でまとめると、概ね【図1】のとおりである。
下水道処理施設の建設工事の受注会社は、発注図書(【図1】に記載した太字囲み分)に示された仕様をxxに遵守し、製作、据付工事を実施する必要がある。発注図書自体は、施設の概要を示す程度のものであるが、その作成の基となった内部資料には、材質、部材に至るまで詳細かつ厳密に規定している。その内容に沿ったものでなければ、市の承諾も得られず、建設着工さえできない。
したがって工事発注後に、建設コスト削減は不可能であり、施設容量計算等の設計段階において、建設コストが決定されるといって過言ではない。換言すれば設計段階のある時期に建設コスト削減対策を実行しておかなければならない(施設容量計算の検討については後述④、⑤を参照。)。
【図1】
基本方針策定
水量・水質の決定
施設基本フローの決定
施設容量の計算
工事種類別に設計を行う。
電気工事
機械工事
建築工事
土木工事
基本構造図の決定
設備容量計算
機械仕様・数量
設計書作成 | |
金抜き | 金入り |
設計図
特記仕様書
工事発注へ
数量計算
② 下水道施設設計思想の根拠
:発注図書
社団法人日本下水道協会(昭和 39 年4月発足)編による「下水道施設計画・設計指針と解説」(以下、「指針」という。)が、従来から各地方公共団体で建設される下水道施設設計のバイブルとなっており、日本の下水道施設はその指針に基づきxxに設計されている。さらに下水道事業センター(昭和 47 年 11 月発足、昭和
50 年 8 月、「日本下水道事業団」に発展的改組)によって数種の「標準仕様」類がxx作成された(以下、「標準仕様書」という。下の表を参照。)。主たる内容は「指針」に準じている。その範囲は、土木、機械、電気の全工種にわたり、設計、製作、据付から試運転、維持管理面まで、さらに、材質、部材、使用機器等、細部にxxxまで規定されている。
【日本下水道事業団発行の標準仕様書の例】(日本下水道事業団編集刊行物のご案内より)
○業務委託一般仕様書・特記仕様書 ○土木工事必携(土木工事一般仕様書含む)
○建築工事一般仕様書 ○建築電気設備工事一般仕様書・同標準図
○機械設備工事必携(機械設備工事一般仕様書含む) ○機械設備標準仕様書
○電気設備工事必携(電気設備工事一般仕様書含む) ○電気設備工事特記仕様書
設計業務の委託先が、「日本下水道事業団」であれ「設計コンサルタント」のい
ずれであっても「指針」「標準仕様」に準拠した設計を実施しており、規模的にも、グレード的にもほぼ同じような仕様の施設設計が出来るのは、極めて当然の結果である。
換言すれば当該「指針」「標準仕様」が、合理的、経済的に定められているならば、下水道施設設計業務をどのセクションで実施しても、無駄で、過剰な設計はあり得ないといえる。半面、設計の自由度は殆どなく、コンサルタントや、メーカーが蓄積していると思われるノウハウが活用し難い状況ともなっていることも事実である。
③ 「指針」及び「標準仕様書」の合理性について
無駄で、過剰な設計があり得ないためには「指針」「標準仕様書」類の記述が、真に合理的、経済的なものでなければならない。
これらは日本の下水道界の権威者の編纂により作成されたものであり、さらに、いずれの図書も、諸設計条件、新技術の追加記述等、xx見直され、修正されている。これらの図書類に規定されている事項を遵守して設計された施設が、現時点では最も合理的で最適な施設であると判断すべきであると思うが、あえて、過剰設計の因になりかねないであろうと思える事項を指摘するとすれば、次に記載する事項ではないかと考える。
(ア)「最初沈殿池(注1)」の水面積負荷の設定
「指針」では文章の結びの表現を6分類しており、「~しなければならない。」と言う以外の表現、例えば、「~である。」又は「~とする。」は、原理、原則を示したものであり、ある程度設計の自由度を認めているものである。
一例として、最初沈殿池(合流式)の設計条件について、「指針」には、「水面積負荷 25~50m3/m2 日を標準とする。」「池の有効水深 2.5~4.0m を標準とする。」と記載されている。水面積負荷の規模により次のとおり必要となる「最初沈殿地」の規模が相違する。これらの水面積負荷、池の有効水深の標準設計値の選択により、必要となる「最初沈殿池」の規模が次のとおり異なる。
(注1)下水道処理施設における処理の流れとしては、次のとおりである。①汚水沈砂
池(大きなごみや砂を取り除き、処理をしやすくする。)⇒②最初沈殿池(浮遊物をゆっくり沈め、うわ水を次の段階へ流す。)⇒③エアレーションタンク(微生物が汚れを食べ、泥の塊にする。)⇒④最終沈殿池(泥のかたまりなどをゆっくり沈め、うわ水を次の段階へ流す。)⇒⑤消毒施設⇒放流へ
「最初沈殿池」で必要となる規模 | |
25m3 の負荷を採用した場合 | 400m2 の水面積、半径 11.3m、 有効容量 1,000~1,600 m3 の池 |
50m3 の負荷を採用した場合 | 200m2 の水面積、半径 8.0m、 有効容量 500~800m3 の池 |
(注)処理量 10,000m3/日の施設を設計する場合の試算である。
「最初沈殿池」の規模の相違により、土木構造物の建設費用だけでも最大、2,500
~8,000 万円(注)の差異が生じる可能性がある。地域特性等を考慮した妥当な設計値を採用すべきであるが、現状では、認可を容易に受けるため、合流式処理施設の特性を考慮する中で、安全側の低い数値を採用して、設計することが多いのではないかと思われる。
(注)当該金額は1㎥当たりの建設費用を 45,000 円と仮定した場合の概算金額で
ある。
(イ)「標準仕様書」における機器付属電気操作盤のメーカー指定
電気操作盤
「重電5(または7)社製、又はこれに準ずるメーカー製」
電気設備工事と機械設備工事とは、別に発注されるが、一部の機器(脱水機、送風機等)に付属する電気操作盤等に関しては、機械設備工事の範囲として発注されることがある。このような場合でも、電気設備工事と同様に次の様な表現でメーカー指定されることが多かった(なお、平成 15 年度以降は、日本下水道事業団のメーカー指定が廃止され、市においても指定していないとのことである)。
これは、日本下水道事業団が作成している「標準仕様書」等において、メーカーが指定されていることが一因であった。機械設備工事受注のプラントメーカーは重電5(または7)社から購入せざるを得ず、自社で製作するより高額なものとなる恐れがあった。メーカー指定せず、プラントメーカーの自主性に一任しておけば、安価な設計金額で積算できる可能性があった。
④ 旭西浄化センター合流改善工事における「容量計算書」の検討(意見)
(ア)上記③(ア)に関して、水面積負荷値に関する検討
今回の監査対象とした旭西浄化センターにおける「最初沈殿池」の水面積負荷値は、「40 ㎥/㎡/日」を設定している。当該「40 ㎥/㎡/日」の根拠については旭西浄化センター建設時の計画汚水量 79,200 ㎥/日を最初沈殿池の有効平面積 1,766.5 ㎡を割った数値(44.5 ㎥/㎡/日)を参考に設定したとのことである。なお、今回の合流改善工事に際する容量計算においては、水面積負荷値が異なることによる改善工事費等への影響はない。
しかし、下水道処理施設を建設する場合には、水面積負荷値により最初沈殿池の規模は異なり、建設コストも大幅に変更となる。前述したとおり「最初沈殿池」の規模の相違により、土木構造物の建設費用だけでも上記③(ア)で記載したとおり最大、2,500~8,000 万円の差異が生じる可能性がある。
市としては、この先、xx浄化センターの増設等の下水道処理施設の建設を予定しているとのことである。下水道処理施設の設計時には、「指針」の上限値を安易
に採用せず、水面積負荷値を始め、様々な数値において市の地域特性等に考慮した値を採用することが求められる。さらに、なぜ当該数値を採用したのか、合理的に説明できることが求められる。
(イ)上記③(イ)に関して、電気操作盤に関する検討
今回の監査対象とした旭西浄化センターの合流改善工事について、「共通事項検討書」をもって検討したところ、電気操作盤の発注に関する記載はなく、該当はせず、特に問題はない。しかし、今後同様の取引があった際には留意いただきたい。
(ウ)設計書数値の正確性について
内容 |
「汚水沈砂池」における 1 秒あたりの計画下水量値が 2.43 ㎥/秒としてい たが、0.52 ㎥/秒の誤りであった。 |
「汚水沈砂池」における1槽あたりの下水量を算出するにあたり2槽で割 るところを5槽で割っていた。 |
設計書を作成する前提として、「設備容量計算」が行われ、「容量計算書」を作成する。施設容量計算においては、「指針」に準拠して既設施設利用の可否の検証、新設施設の仕様決定が行われる。しかし、当該「容量計算書」の一部において計算数値の誤りが見られた。誤りの一部を記載すると次のとおりである。
旭西浄化センターの「汚水沈砂池」の容量計算書では、現在の施設容量に対して、今回の改善工事を要する必要があるか否かに関する設計試算であり、改善工事の必要がない、と結論付けている。上記の算出誤りにより正しく試算した場合も、改善工事の必要がない、と結論付けることができるため、設計内容が変更となることはなく、算出誤りによる影響はない。しかし、今回は偶然にも建設費等に与える影響はなかったものの、容量計算書は施設建設コスト等に大きな影響を与える可能性の高い重要な計算書であることは言うまでもない。今後、容量計算書等の設計書の内容については、設計会社からの成果品として、十分に市はチェックすることが求められる。
⑤ 昭和 48 年建設時の容量計算書の検討(意見)
昭和 48 年建設時の容量計算書について、詳細を検証したところ、総論的には「指針」に準拠した設計となっているが、上記④で記載した考え方に基づき、現在の「指針」に照らして採用する設計値を見直し、変更することで、次の表に示すとおり、施設規模及び建設コストを削減することができたと試算できる。この試算(提言)は、平成 19 年度現在の「指針」に準拠しつつ効率的に施設を建設した場合に算出
されるものである。そのうち、昭和 48 年当時には「指針」で求められていた基準をもって設計していたが、現在までの下水道技術の進歩による「指針」の改定によ
りさらに効率的な方法で設計することが可能となったものもある。しかし、昭和
48 年当時の「指針」をもってしても、さらに効率的な設計が可能であったにもかかわらず、一番安全性の高い数値(言い換えると、一番効率的でない数値)を採用して設計していた部分もある。
昭和 48 年当時、「指針」標準値の中でも一番安全性の高い数値を採用して設計した理由について、市は合理的に説明できていたかもしれない。しかし、今後、同様の施設を設計するときには、「指針」の標準値の中でも一番効率的となる数値を使用しない理由を明確に第三者に説明できるようにすることが求められる。
【建設費削減に関する提言】
提言項目 | x x | 削減効果試算 | |
A | 汚水沈砂xx 効容量の減容 | 市では 164 ㎥と設定していたが、104.5 ㎥で足 りる。差異 59.5 ㎥減容可能。 | 合計 6,087.9 ㎥の減容となり、 6,087.9 × 45,000 円/㎥= 273,955,500 円 |
B | 雨水沈砂池有効容量の減容 | 市では 364.8 ㎥と設定していたが、340.4 ㎥で足りる。差異 24.4 ㎥減容可能。 | |
C | 予備エアレーションタンク 削減 | 市では予備エアレーションタンクの容量1,530 ㎥と設定していたが、不要と判断する(注1)。差異 1,530 ㎥減容可能。 | |
D | 最初沈殿池有効容量の減容 | 市では 13,678.4 ㎥と設定していたが、 10,066.3 ㎥で足りる。差異 3,612.1 ㎥減容可 能。 | |
E | 最終沈殿池有効容量の減容 | 市では 15,628.3 ㎥と設定していたが、 14,766.4 ㎥で足りる。差異 861.9 ㎥減容可能。 | |
F | ポンプ削減 | 雨水ポンプ 1 台(直径 1,200 ㎜×3.33 ㎥/秒× 8mH×520PS)の削減が可能(注2)。 | 45,000,000 円 (注3) |
G | ブロワの低単価機種への構成変更 | 3 台のブロワについて、低単価の機種へ変更可能(「直径 500 ㎜×280 ㎥/分×0.60kg/㎠× 450kw」から、「直径 350 ㎜×140 ㎥/分× 0.60kg/㎠×135kw」へ)。(注1) | 不明 (注4) |
H | 沈砂機械の機種の統一 | 安価な機種へ統一することが可能(例:バケットエレベータ2基をフライトコンベアへ変更 する)。 | 71,500,000 円 (注5) |
I | その他 | ○上記のA、Bの沈砂池の減容化により、除砂機械、スクリーンの小型化が可能。 ○上記のD、Eの沈殿池の減容化により、汚泥掻き寄せ機の小型化が可能。 ○吹き込み空気量の減少による散気装置の数 量減少が可能。 | (今回は、概算であり、影響額が比較的少額である当項目については、試算対 象外とした。) |
合計 | 390,455,000 円 |
(注1)予備エアレーションタンクについては、昭和 48 年当時の「指針」において、設けることを必須としていたことに市は則っていたとのこと(現在の改訂後
「指針」では必須ではない。)。予備エアレーションタンクの台数に従い、ブロワで必要とされる機能が決定されるため、上表C及びGは、当時の「指針」に従うことを前提とするのであれば、削減は不可能であった。
(注2)容量計算の基となる予想降雨量が5年確率の降雨量を採用しているため通常の確率の降雨量より少なく設定されており、平成6年の岡山市豪雨等の状況を考えると、雨水ポンプは一概に削減可能とは言えないとのこと。
(注3)昭和 46 年当時の雨水ポンプの価額である。参考ながら、監査時点における雨水ポンプ 1 台の価額は 120~150 百万円である。
(注4)ブロワ機種変更影響額は、市の当時の資料の不足により不明とのことであるが、昭和 47 年当時のブロワは1台 84,500,000 円であり、低単価機種への変更による影響は多額であったと推測される。
(注5)(昭和 48 年当時のバケットエレベータ 39,500,000 円-昭和 36 年当時のフライトコンベア 3,750,000 円)×2台=71,500,000 円
上記の試算額については、根拠とする資料の作成年次の相違等があり、単純に利用できる金額までとはいえず、あくまでも参考金額である。しかし、上記の項目の個々は小さな差ではあるものの、これら設計方針の相違の積み重ねが建設費の高騰の要因の一つとなっていることも認識すべきである。また、下水道処理施設への建設費のみならず、施設維持費も長期的に考慮のうえ、施設設計の方針(投資方針)の決定がなされるべきである。
⑥ まとめ
現行の下水道整備は、xxにわたり、培われてきた様々なxxと知見が集大成されて、明文化された基準を遵守した形で、実施されており、よほど杜撰な構想、調査、予測による基本計画方針で無い限り、過剰な設計はあり得ないと考えられる。それでもなお、あくまでも諸規定が許容できる範囲内で対応しなければならないため、限定的なものとならざるを得ないが、詳細に検討すれば多少の合理化は期待できると考える。
合理的設計の実践、過剰設計防止のために実行するに値する事項(留意事項)を箇条書きにしてまとめとする。
1)計画は概ね 20 年後を目標年次として立案するため、経年による諸環境の変化に応じて諸条件の見直しを行う。
2)指針、標準図書類等に規定された事項に柔軟な考えで対応する。
3)民間の持つ様々なノウハウの有効な活用を促進する。
4)設計コンサルタント、各々の専門メーカーの裁量権の自由度を増す。
5)設計書(成果品)をチェックする仕組みを創設する。
上記3)についてであるが、一般的に、民間の工場排水処理設備の設計においては、発注者側は、入り口、出口のみを設計の条件として提示するだけである。プラントメーカーはその条件を基準に、当該工場の特殊条件等を勘案し、今までの経験と実績に培われたノウハウを最大限に駆使し、各社それぞれ独自の設計値、異なったメーカー製品(あるいは自社製品)を採用するため、提示された条件が、同一のものであっても、各社のノウハウの蓄積度、保障に対する考え方等の相異により、さまざまなパターンの施設設計書が示され、発注者側にも、選択肢が広がり、結果的に、経済的、処理効率的に、双方の納得した、最適な施設の建設が出来る可能性が、高くなる。市としては民間の工場等に設置している排水(有機排水)処理設備を視察する等により、市の下水道施設との比較を実施することが望まれる。具体的には施設自動化のためのグレードアップ、ポンプ、ブロワ等の購入機器だけではな
く、目視できる製作完成品(例えば配管類、鋼製の架台等)の部材、材質、等を目視比較すれば、容易に判断できるものもあるはずと考えられる。なお、市においても今回の合流改善事業の実施のうち、高速雨水処理施設については土木、建設、機械及び電気設備を一体の工事とし、かつ性能発注することにより各企業間の競争性を高め、メーカーノウハウを発揮しやすい体制へ工夫しているとのことである。また、将来において下水道事業にもPFIや総合評価方式の実施等を計画しているとのことである。
一方、上記5)についてであるが、前述④(ウ)において指摘した、市が作成した容量計算書の計算誤りは設計の専門家でなくても指摘できる内容である。一方、
「旭西浄化センターの合流改善工事」の設計書についても、設計時に市担当者と日本下水道事業団が様々な打ち合わせを行っている経緯は伺えるが、設計後の「設計書」の内容を十分に精査していない。前述(4)にも記載したとおり、検査時においては設計書が揃っていたことを確認しているが、設計内容に関する検収は行っていない。ただし、市においては設計能力がないことから設計会社へ委託している、という反論は理解できる。
今後は、このような計算ミスを始め、設計内容の合理性を確認できる仕組み(例えば、担当課内におけるチェック担当者の設定、設計書チェックを目的にした第三者委員会等の設置等。)創設が早急に求められる。特に市における下水道整備のコスト(処理区域内人口 1 人当たりの建設費)は 140 万円と平成 11 年度末においては中核市の中で2位であり(ただし、当該比較においては、各中核市の処理区域面積の相違、人口集中度の相違、下水道整備時点が様々であることによる貨幣価値の相違による影響を排除していない。)、下水道コストの削減は早急に求められているところである。
第6 清掃・警備業務委託の検討
【1】清掃・警備業務の概要及び個別契約抽出基準
市における清掃業務は多数あり、例えば平成 17 年度の財政局監理課作成の平成
18 年度委託契約データ(一般会計・特別会計)において、「清掃」をキーワードに
検索すると 759 件(平成 17 年度 434 件)の契約が該当し、「警備」をキーワードに
検索すると、144 件(平成 17 年度 96 件)の契約が該当し、契約担当課も様々である。
これらの業務内容は、様々な課で契約事務が行われているとはいえ、各課の事業の特殊性を踏まえた専門性を比較的多くは求めない業務である。したがって、その積算の考え方は原則としてどの課であっても同一でなければならない。
区分 | 契約名 | 報告書記載箇所 |
清掃 | 本庁舎等清掃業務委託 | 【2】1. |
xx埋立処分地汚水処理施設の汚泥除去及び清掃 業務委託 | 【2】2. | |
市道清掃業務委託 | 【2】3. | |
公民館清掃業務委託 | 【2】4 | |
少年自然の家清掃業務委託 | 【2】5. | |
xx浄化センター200 系投入槽清掃業務委託 | 【2】6. | |
警備 | 本庁舎等警備他業務委託 | 【3】1 |
分庁舎警備業務委託 | 【3】2 | |
保健福祉会館警備業務委託 | 【3】3 | |
西大寺支所の警備及び宿直業務 | 【3】4 | |
保育園の警備委託 | 【3】5 |
このような観点において、各課による契約事務の妥当性等について任意に次の清掃・警備委託業務を抽出し、検討した。
【2】清掃業務委託契約の検討
1.本庁舎等清掃業務委託契約(総務局管財課)【参照番号 5】
(1)契約の概要
(単位:千円、%)
年 度 | 平成 18 年度 | 契 約 方 法 | 単独随意契約 | 受託者 | 財団法人厚生会 |
x 約 価 格 | 60,469 | x x 価 格 (予定価格) | 60,500 | ||
契 約 率 | 99.9 | 見 積 回 数 | 1回 | ||
委 託 理 由 | 庁舎等の衛生環境保持のため。 | 委 託 期 間 | 1年 |
① 契約内容
市役所本庁舎等の日常清掃(毎日実施)、定期清掃(定期に一度実施)、特別清掃
(ブラインド・ジュウタン他)及び一般廃棄物の収集及び搬出の業務を委託するものである。昭和 43 年から財団法人厚生会(以下、「厚生会」という。)へ委託(単
独随意契約による。)している。
② 積算の考え方
日常清掃、定期清掃、特別清掃、その他清掃、消耗品等で算出している。これに諸経費として4%を加算している。
日常清掃は3つの区域(専用区域、共用区域、その他の区域)に区分し、作業面積に建設物価等地域相場表からの1ヶ月の作業単価をかけて作業量に対する金額を算出している。定期清掃は、同様に相場表からの面積あたりの作業単価に作業面積と作業回数をかけて金額を算出している。
(2)意見
① 競争入札の導入について
市では、昭和 43 年度に本庁舎の清掃業務の委託を開始してから以降、厚生会に
単独随意契約を行っており、約 40 年間固定化している。随意契約理由書によると
「当財団法人は高齢者・身体障害者の雇用促進を目的とする公益法人であるため、地方公共団体の責務である福祉増進と合致するため、及び昭和 43 年以来委託業務を請け負っているため業務ノウハウの蓄積があり、効率的に実施できるため、岡山市契約規則第 24 条第2項第2号に該当するため単独随意契約する。」とある。
しかし、岡山市契約規則第 24 条第2項第2号では単独随意契約とすることができる場合として「契約の性質又は目的により、契約の相手方を特定せざるを得ないとき。」と定めているものであり、これは、その業務内容の特殊性により他では実施できない場合と考えられる。この契約の場合は、他にも同様な公益目的を持った財団法人で、清掃業務が可能な法人はあるため、この法人に特定せざるを得ない場合とはいえない。
このような状況下では、xx単独随意契約を続ける理由の合理性はないと考えられる。よって、競争性の確保のためには競争入札が必要である。
② 委託設計書の積算の諸経費について
市では、委託設計書において相場表(財団法人ビルメンテナンス協会が発行の建設物価 07/7 号)を基準として用いている。この基準表の解説として、「専門業者に依頼した場合の諸経費込みの料金である。」となっている。しかし、設計書では算出額に別途諸経費として4%分 2,260 千円を加算している。
市の担当者にこの点を質問したところ、「諸経費については、緊急に対応を要する清掃業務(例えば、吐しゃ物、便器の汚れ、来賓時のエレベータ壁面清掃等)の費用である。平成 15 年版建築保全業務積算基準(最新版である)によると、一般的な清掃諸経費の積算は 20~25%と思われるが、予算減の関係から年々減額して
いる。」との回答であった。緊急清掃については、市庁舎の環境維持のために必要であり、諸経費として加算するのは妥当と判断できるが、4%で妥当であるかについては、その検証が望まれる。また、この委託仕様書において、緊急清掃については、「その他清掃業務に付随する業務」として記載されており、内容は記載されていない。いままで単独随意契約が続いていたため、仕様書に明示しなくて特に問題がなかったためと思われる。今後は、緊急清掃については仕様書に内容を明示することが必要である。
③ 他市の状況との比較について
他の中核市においても清掃業務は委託していると思われるため、契約状況について他市との比較は有用であると考え、担当者に他市の状況を質問したところ、「把握していない。」との回答であった。担当者に依頼して新たに資料を取り寄せるには、時間的制約があるため、今回は省略した。
今後は、他市での契約状況を把握して参考にして、比較検討すべきである。
2.xx埋立処分地汚水処理施設の汚泥除去及び清掃業務委託契約
(環境局環境施設課)【参照番号 26】
(1)契約の概要
(単位:千円、%)
年 度 | 平成 18 年度 | 契約方法 | 単独随意契約 | 受託者 | 有限会社西大寺 清掃事業所 | |
契約価格 | 8,385 | x x 価 格 (予定価格) | 8,489 | |||
契 約 率 | 98.8 | 見 積 回 数 | 1回 | |||
委託理由 | 埋立処分地の汚水の処理をするために微生物の集合体(活性汚泥)を利用しているが、この処理過程で微生物は有機物を栄養源として、水を浄化しながら増殖しており、安定した汚水処理のためには、余剰の汚泥を除去 しなければならないため。 | 委 託 期 間 | 1年 |
① 契約内容
xx埋立処分地にある汚水処理施設の貯留槽等の汚泥除去及び清掃業務を委託するもの。この施設はごみの埋立て処分を、昭和 57 年5月から平成2年9月までしていたところである。この処分場から出る汚水の処理施設の貯水槽等の汚泥の除去及び清掃を行い、汚泥等を搬出・運搬する作業を委託するものである。
② 積算の考え方
委託費のうち、汚泥除去費は業務量 940 ㎥に1㎥当たりの作業単価をかけて算出
し、清掃業務費(シーディング)は業務量 70 ㎥に1㎥当たりの作業単価をかけて算出している。
汚泥除去の1㎥当たりの単価は、汚泥吸排車費用(単価×作業時間による)、浄化槽清掃技師費用及び諸経費で計算している。
シーディングの 1 ㎥当たりの単価は、運転経費、作業員費用で計算している。
(2)意見
① 岡山地区全体の業者を対象とする競争入札の導入について
市では、xx単独随意契約を続けているが、随意契約理由書によると、「本業務は汚水処理施設の運転管理と密接な関係があり、当業者は浄化槽汚泥の収集・運搬及び浄化槽清掃の資格を持っている環境整備協会組合員の内、西大寺地区の唯一の業者であるため、その性質又は目的が競争入札に適しない契約であるため。」となっている。つまり、西大寺地区では唯一の業者であり、他に行う者がいないため随意契約とするということである。
しかし、市内の一部である西大寺地区の業者に限定する必要があるのか、市内の他地区の業者ではいけないのか、疑問に思うところである。西大寺地区に限定する必要性について担当者に質問した結果「この施設から発生する汚泥は、一般廃棄物であり、形状が浄化槽汚泥に類似したもので、当該業者は浄化槽汚泥の収集運搬の許可業者である。
各浄化槽業者は、業者の経営方針で一定の地区を業務範囲としており、西大寺地区では、当該業者が唯一の業者である。また、地元の業者であり、緊急時の対応も可能なため西大寺地区の唯一の業者として委託契約している。」との回答であった。
業者の業務範囲の地区制については、業者としての経営方針の問題であり、公共業務についてこれを適用すると、競争性の妨げとなるため考慮すべきではないと考える。また、緊急時の対応の点については、発生の可能性も低く、他地域からも距離はあまりなく十分対応可能である。
よって、業者を西大寺地区に限定せず、市全地区へ広げて、競争入札とするのが正当である。
なお、市「委託適正化要綱」の第 10 条において、委託先の選定に当たっては、より競争性、客観性及びxx性の高い方法を採用するものとし、原則として「市内業者」(本市内に本社、本店等主たる事務所を有するものをいう。)の中から選定するとしており、当規定の趣旨から鑑みても市xx地区を対象とすべきである。
3.市道清掃業務委託契約(単価契約)(都市整備局道路保全課)【参照番号 30】
(1)契約の概要
(単位:千円、%)
年 度 | 平成 18 年度 | 契 約 方 法 | 単独随意契約 | 受託者 | 財団法人岡山市 建設公社 |
x 約 価 格 | 52,000 | x x 価 格 (予定価格) | 52,000 | ||
契 約 率 | 100 | 見 積 回 数 | 1回 | ||
委 託 理 由 | 道路施設の維持管理業務の円滑な 執行と事務の簡素合理化のため | 委 託 期 間 | 1年 |
① 契約内容
当契約は、市道の市道機能の確保、交通安全の確保及び美観の保持を目的として、路面清掃車による定期的な市道の清掃をおこなう業務を委託するものである。財団法人岡山市建設公社(以下、3.において「公社」という。)は、昭和 36 年に設立された市の外郭団体で、市から委託を受けた事業を実施している。
契約は単価契約となっており、1 キロメートル当たりの委託料は 10,920 円である。公社は市から委託をうけて、市内を5つの区域(岡山中央・南・東・北・西)に分けて、単価契約で再委託を行い、実際の作業は再委託の業者が実施している。当初契約額の限度額は 52,000 千円であったが、作業量が当初より減少したため、
47,000 千円へ変更している。また、実際支払額は、契約額ではなく 46,267 千円である。
② 積算の考え方
1 キロメートル当たり設計金額は、路面清掃と事務費により算出している。
路面清掃は本工事費(作業員・世話役、路面清掃車、諸雑費)と共通仮設費、現場管理費、および一般管理費で計算している。
積算単価は、「国土交通省土木工事標準歩掛」及び「岡山県土木部版の単価表」によっている。
事務費については、市と公社の間で交わしている、「委託事業の事務費についての覚書」により工事費の4%である。
(2)監査の結果
① 再委託届出書の未入手
市では、委託契約書の第5条において、「委託業務の一部を第三者に再委託するときは、あらかじめ書面により市に届け出なければならない。」と定めている。委託を受けた公社は、市内を5つの区域に分けて、単価契約で業者へ再委託を行っている。よって契約書に従い再委託届出書を入手することが必要であるが、入手していなかった。提出を求める必要がある。
(3)意見
① 委託契約書の見直しについて
市は、公社と交わしている業務委託契約書には、業務委託料として、「1キロメートル当たり 10,920 円で限度額 52,000,000 円(変更後 47,000,000 円)以内。」と記載している。
しかし、実際に公社に支払われる委託料は、公社が業者に再委託した金額に事務 費として4%を加算した金額である。公社が再委託した単価は5区画においてそれ ぞれ 10,185 円、7,350 円、10,185 円、8,400 円、10,185 円であり、これに実際の 業務量を掛けたものに4%を加算した額が、市の委託料の支払額 46,267 千円である。
いずれも、契約額 10,920 円での算出額より小さいため、市としては有利となっている。
しかし、契約書上は、再委託の金額によって委託料が減額になるとの記載はないため、現状の契約書のままでは、単価 10,920 円で支払うべきものである。このままでは、契約書上の不備があるといえるため、契約書の見直しをおこなう必要がある。
② 直接契約への見直しについて
市では、委託契約書の第4条において、「受託者は委託業務の全部又は主体部分を一括して第三者に再委託させ、又は再委任してはならない」と定めている。通常の他の委託契約書では「一括して」の文言は記載していない。よって、この文言を入れることにより、公社は5つに分割して再委託しているため、一括の再委託には該当しないと解釈していると思われる。
しかし、問題は、一括かどうかということではなく、委託業務の全部または主体部分を再委託しているかどうかということである。これを禁止する趣旨は、仲介するだけの委託契約の防止にある。契約額の 96%を再委託しているため、主体部分の再委託に該当すると判断できるため、分割して再委託すれば、問題がないとすることは疑問である。
さらに、主体部分を再委託可能であれば、再委託先と市が直接契約を行うほうが合理的であり、委託料の削減が可能と思われるため、直接契約を検討すべきである。
上記の検討結果から、公社との他の委託契約の再委託手続について追加の検討が必要と判断した。平成 18 年度の公社との委託契約は次のとおりである。
執行課 | 執行額 | 契約名 | 債権者名称 |
土木管理課 | 8,977,500 | 岡山市駐車場案内システム管理センター管理業務委託 | 岡山市建設公社 |
道路建設課(土木) | 577,500 | (都)xxxxx町線他xx業務委託 | 岡山市建設公社 |
道路保全課 | 46,267,013 | 市道清掃業務委託(単価契約) | 岡山市建設公社 |
執行課 | 執行額 | 契約名 | 債権者名称 |
道路保全課 | 32,105,015 | 市道舗装維持修繕事業業務委託(単価契約) | 岡山市建設公社 |
道路保全課 | 24,156,179 | 交通安全対策施設維持修繕事業業務委託(単価契約) | 岡山市建設公社 |
道路保全課 | 8,925,000 | 簡易舗装箇所測量設計業務委託 | 岡山市建設公社 |
道路保全課 | 1,785,000 | 管きょ施設整備事業(道路側溝整備)測量設計業務委託 | 岡山市建設公社 |
道路保全課 | 37,598,652 | 管きょ施設整備事業(道路側溝整備)業務委託 | 岡山市建設公社 |
住宅課 | 5,835,000 | 岡山市営住宅指定管理者業務 | 岡山市建設公社 |
住宅課 | 16,950,000 | 岡山市営住宅指定管理者業務 | 岡山市建設公社 |
これらの中から、「市道舗装維持修繕事業業務委託(単価契約)」を選んで「第
7【3】3.」において追加検討した。
4.公民館清掃業務委託契約(教育委員会中央公民館)【参照番号 33】
(1)契約の概要
(単位:千円、%)
年 | 度 | 平成 17 年度 | 平成 18 年度 | |
x | 約 方 | 法 | 単独随意契約・指名競争入札 | 指名競争入札 |
受 | 託 | 者 | 財団法人厚生会他(17 契約) | 有限会社オフィスセイワ他 11 社(16 契約) |
契 | 約 価 | 格 | 71,737 | 68,617 |
x x 価 格 (予定価格) | 72,245 | 72,135 | ||
契 | 約 | 率 | 99.3 | 95.1 |
見 | 積 回 | 数 | 1~3回 | 1~3回 |
委 | 託 理 | 由 | 公民館施設を清潔に保ち、市 民に快適な生涯学習環境を提供する | 公民館施設を清潔に保ち、市民に快適な生涯学習環境を 提供する |
委 | 託 期 | 間 | 1年 | 1年 |
① 契約内容
市の直営施設であり、職員が常駐している市立公民館 36 館(うち7分室)の清
掃業務について、16 契約(2館を 1 契約として 14 契約、1 館で 1 契約、他は7分
室で 1 契約。)に分けて指名競争入札を行ったものである。平成 17 年度までは 12
館を一括して厚生会と随意契約とし、残り 24 館は 16 契約に分けて指名競争入札と
していたが、平成 18 年度よりすべて指名競争入札となった。
契約額は、1 館あたり約 2,000 千円~2,500 千円の契約で、契約額は 2 館単位のもので 4,000 千円~5,200 千円となっている。
② 単独随意契約から指名競争入札となった理由
平成 17 年度までは 12 館を厚生会と単独随意契約としていたが、平成 18 年度からすべてを指名競争入札とした理由としては、次によるものである。
まず、平成 15 年 1 月 23 日付け財政局長名で「契約事務の適正な執行について」
(注)が通知され、全庁的な随意契約の見直しが行われていたという背景があった。
また、市議会決算委員会でも全庁的に単独随意契約について指摘されており、そのなかで、中央公民館において単独随意契約としている事業については、事業の継続性、他課の動向、情報収集を行ったうえで検討し、競争原理を取り入れた随意契約とするか、指名競争入札へと移行させるかして、単独随意契約の見直しを行ったためである。
(注)「公共工事の入札における談合の排除等の法律」が施行されたことに伴い、財
務局長名で各局室部課長、各出先機関の長宛に出されたものであり、契約事務全般についての適正性について、再確認するために出されたものである。
③ 積算の考え方
委託設計書は 1 人常駐を前提として、1 人の月額給与と、賞与、社会保険料を加算し年間の人件費を算出し、それに清掃の消耗品費及び経費(3%)を加えて算出している。人件費、賞与及び社会保険料の金額は全館ほぼ共通である。
月額給与は、岡山県の最低賃金に少し上乗せした時給に 1 日の時間数と月 25 日を乗じて算出し、また賞与は市の臨時職員の賞与と同水準の日数を乗じて算出し、社会保険料は予算要求資料算出基準により算出を行っている。
(2)意見
① 委託設計書の積算方法の妥当性について
市では、委託設計書は 1 人常駐を前提として、1 人の年間人件費(給与、賞与、社会保険料)と消耗品等の諸経費を基に算出している。諸経費は、各公民館の作業量(ほぼ広さによる)によって変動しているが、委託料の 90%超を占めている人件費は業務量に関係なく一定となっている。作業内容と量で積算すべきである。
なお、市では平成 19 年度から、公民館の執務室の清掃を委託の対象外とするとともに、積算方法を清掃対象面積に単価を乗ずる方法に変更している。
② 契約単位拡大の検討について
市では、現在は公民館2館単位での委託としているが、業務内容から考えて、契約単位の館数を増加(例えば5館)し、契約規模を大きくすれば、受託業者としては人員の管理コスト等の削減が可能であり、委託料の削減効果が期待される。また、市としては契約件数の減少により、契約事務コストも削減できるため、契約単位の見直しを検討すべきである。なお、市では平成 19 年度から、4館1契約に変更している。
③ 清掃員 1 人常駐の見直しについて
市では、仕様書上で公民館に清掃員は 1 人常駐と規定している。常駐の理由を担
当者に質問した結果、「部屋の利用状況により、利用後の清掃は時間が不定期となるため常駐しておく必要がある。」との回答であった。
確かに、利用後の清掃により、快適な利用環境を確保することは大切である。しかし、利用後の清掃は清掃員が必ず行う必要はないと考える。本来、清掃業務は公民館の維持管理業務の一部であり、職員がすべき業務を一部委託しているものである。現在、公民館での市の職員は、xx職員(兼務職員を含む。) 37 人、嘱託職
員及び臨時職員 132 人の計 169 人である。各館では日中の職員は基本的に1館に3名体制である。職員の業務としては、講座の主催、会議研修会への出席、連絡等の出張等がある。
職員の業務体制の見直しにより、利用後の清掃を職員が実施することが可能となった場合、1館当たり清掃員1人の常駐体制が見直され、清掃員1人が複数館を巡回清掃することが可能になると思われる。これにより、業務の効率性は上がり、委託料の低減が可能となると考える。
例えば5館を3人で巡回清掃する体制で契約した場合の委託料を試算すると次のようになり、現在より 23,030 千円削減される。
(単位:千円)
設計金額 | 契約金額 | |
委託費(16 契約分) | 74,372 | 68,617 |
一館あたり人件費 | 2,080 | 1,919 |
全館の推定人件費 | 62,403 | 57,575 |
削減割合 | 40% | 40% |
削減金額 | 24,961 | 23,030 |
(注)前提として、作業内容と量での試算ではなく、平成 18 年度契約の人件費計算を使用した試算である。
一館あたり人件費は、給与、賞与、社会保険料を含んだもの。全館の推定人件費は、30 館分として計算した。
削減割合は、5人→3人で 40%減少したとし、契約金額の委託費以外については、設計金額と契約金額との比率で算出した。
5.岡山市立少年自然の家清掃業務委託契約(教育委員会少年自然の家)
【参照番号 34】
(1)契約の概要
(単位:千円、%)
年 度 | 平成 18 年度 | 契約方法 | 単独随意契約 | 受託者 | 株式会社日応寺サービ スセンター | |
契約価格 | 8,720 | x x 価 格 ( 予 定 価 格 ) | 8,721 | |||
契 約 率 | 99.9 | 見 積 回 数 | 1回 | |||
委託理由 | 少年自然の家の日常清掃、定期清掃、高所窓ガラス清掃及び特別清掃のた め | 委託期間 | 1年 |
① 契約内容
岡山市立少年自然の家の清掃業務を委託するものである。
岡山市立少年自然の家は、宿泊研修を目的に市が昭和 48 年に設立した施設である。その本館(宿泊・研修等)、別館(プレイホール)及び屋外(広場・キャンプ場・駐車場他)について日常清掃(毎日実施)、定期清掃(定期に一度実施)、高所窓ガラス清掃及び特別清掃の業務を委託するものである。委託先の株式会社日応寺サービスセンターは、開設にあわせて設立された会社である。施設開設以来、市は清掃業務を単独随意契約により委託している。
② 積算の考え方
日常業務、定期作業及び高所窓ガラス清掃に区分して算出している。
日常業務は、屋内面積に清掃対象割合と開所日数をかけて、年間の延清掃面積を算出し、面積単価 20 円/㎡をかけて算出している。
(2)意見
① 競争入札の導入について
市では、昭和 48 年に当施設を開設して以降、株式会社日応寺サービスセンター
(以下、「センター」という。)と単独随意契約を行っており、長期間固定化している。随意契約理由書によると「利用者団体の退所・入所が相前後することが多く、常時の2人の職員だけで対処できない速やかな清掃が必要な場合には、当社が運営している食堂の職員の応援等の弾力的な運用が必要」とあり、さらに「なお、当業者は施設設置に合わせて設立されたものであり、開設以来業務をしているので信頼性がある。」とある。そのため地方自治法施行令第 167 条の2第1項第2号に該当し、随意契約するとしている。しかし、弾力的な運用は、契約条件に盛り込むことで他の業者でも対応可能であると思われる。
一方、センターについて、会社の株主名簿及び決算書を閲覧したところ、株主はすべて施設の地元住民であり、会社の業務内容は市からの清掃委託事業と自然の家の食堂事業だけであった。よって、この会社は、地元住民対策として、会社に業務を委託することで、雇用の場を確保し、地元住民との協力関係を維持する目的で設立されていると考えられる。確かに、地元住民との協力関係は必要であるのは理解できる。しかし、設立当初ではそのような必要性はあっただろうが、30 年以上経過した現在もまだその必要性があるか検討を要するのではないかと思われる。以上から判断すると、客観性・xx性の確保の観点から競争入札とすることが望ましいと考える。
② 委託設計書における日常作業業務の算出根拠明確化について
市では、委託設計書での作業単価を、日常業務は1日当たり 20 円/㎡、定期作業
は1回当たり 110 円/㎡としている。その根拠を担当者に質問した結果「社団法人岡山ビルメンテナンス協会の「ビル総合管理積算参考資料」の清掃業務の単価を参考に、それ以下で積算している。」との回答であった。参考資料を閲覧した結果、定期作業については、床面清掃として1回当たり 280 円/㎡とあったため、110 円/
㎡で計算していることは十分に割安であることがわかったが、日常作業については、直接に1日当りの面積単価の資料はなかったため、根拠の妥当性は判断できなかっ た。
①総合清掃契約の場合(年間契約)の事務所ビルの日常作業で㎡単価は月額 310 円 |
②㎡単価に基づいて、日常作業(屋内)2,948 ㎡について算出 |
③2,948 ㎡×0.443(清掃面積割合)×310 円×12 月=4,858 千円 |
この「ビル総合管理積算参考資料」に掲載されている月額作業単価の金額を使用し、事務所ビルと仮定した場合の料金を試算した場合、次のとおりであった。
これに対する日常業務の実際の設計額は 7,522 千円であり 2,664 千円割高である。
割高となる根拠が説明できる、作業単価 20 円/㎡の算出過程を明らかにしておくべきである。
6.xx浄化センター200 系投入槽清掃業務委託契約(下水道局xx浄化センター)
【参照番号 38】
(1)契約の概要
年 | 度 | 平成 18 年度 | |||
x | 約 方 | 法 | 単独随意契約 | ||
受 | 託 | 者 | 有限会社xx | ||
業 | 務 x | x | 投入槽清掃業務 | 洗浄砂等運搬業務 1 トン当たり | |
x | 約 価 | 格 | 2,856 千円 | 1トン当たり 5,250 円 | |
合計 | 2,909 千円 | ||||
x x 価 格 (予定価格) | 2,877 千円 | 5,355 円 | |||
x | 約 | 率 | 99.2% | 98.0% | |
見 | 積 回 | 数 | 1回 | 2回 | |
委 | 託 理 | 由 | 200 系投入槽に堆積した汚泥・沈砂等を搬出処理するこ とにより、配管及び機器設備等の閉塞を未然に防止し処理機能を適正に維持するもの。 | ||
委 | 託 期 | 間 | 平成 18 年9月1日~平成 19 年3月 27 日 |
① 契約内容
市は、xx浄化センター200 系投入槽の清掃業務と洗浄砂等運搬業務を委託している。業者選定方法と業務内容の概要は次のとおりである。
業者選定方法 | 業務内容 | |
清掃業務 | 委託契約金額総額に対して入札(注) | 2回(平成 18 年9月、平成 19 年3月)清掃し、清掃の結果、運び出された汚泥、 汚砂を旭西処理場へ運搬する。 |
洗浄砂等運 搬業務 | 1トンあたりの単価に対 して入札(注) | 旭西処理場において処理された洗浄砂 等を「xx最終処分場」へ運搬する。 |
(注)入札とあるが、当該委託業務は「下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法」の対象として、業者を決定しているため、市の許容金額に達するまで、当該業者が何度でも入札する、という方式である。
② 積算の考え方
岡山県「土木工事設計標準単価表 業務関係積算標準単価表」等をもとに算出している。
③ 下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法
当業務は「下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法」(以下、「合特法」という。)の適用を受けている。「合特法」は、下水道の整備等により業務減少等の大きな影響を受けるし尿処理業者の業務の安定を保持するとともに、下水道等によるし尿の処理が行われるようになるまでし尿の適正な処理を確保することを目的としている。市は平成 16 年3月 15 日に合理化事業計画を策定し、事業を実施している。
当合理化事業計画によると、し尿要処理量が約 15,000 ㎘減少することに伴い、
し尿処理に係わる車両を平成 16 年度から平成 20 年度の5年間で5台減車(33 台
から 28 台へ)することを目標として設定した。当該目標の達成のためのし尿処理業者への支援策として、市は「下水道汚泥等の運搬処分業務」等を代替業務として提供している。平成 14 年度において包括外部監査で指摘され、それを受け、外部委員から組織される「岡山市一般廃棄物処理業等合理化専門委員会」が設けられ、
「岡山市の一般廃棄物処理業等合理化事業に関する最終提言書」を市長に提出している。現在、市においては、最終提言書の提言への対応を検討途上である。さらに、平成 17 年度包括外部監査において「岡山市の一般廃棄物処理業等合理化事業に関する最終提言書」における市の対応状況の検証が行われている。
したがって、今年度の監査においては代替業務のあり方、「岡山市の一般廃棄物処理業等合理化事業に関する最終提言書」に関する検討は行わず、契約事務に関する検討結果のみに触れる。
(2)意見
① 「汚泥」と「し尿」の区分について
市は積算書において、搬出見込量を㎥で記載し、委託金額を積算しているが、作
業日報における搬出量はトンで記載しており、実績との比較ができない。
今後、作業日報における搬出量について、実績値と比較するためには積算書と同じ単位(容積)で記載すべきである。なお、この指摘に対して今回の監査段階の指摘により平成 19 年度より、対応していく予定とのことである。
② 運搬業務実施の確認について
業務実施の確認を行うため、xx浄化センターの市担当者は、xx浄化センターから汚泥等の搬出によりセンター門を退出した車両番号の記録(メモ)を行っているとのことである。当該メモに記載した車両番号と「委託業務報告書」における業務実施車両番号との照合をxx浄化センターの担当者により実施しているとのことであるが、当該メモは監査時点(平成 19 年8月現在)には残っておらず、委託業務報告書において車両番号を確認した旨の記載もないため、照合確認した旨が第三者には不明である。委託業務報告書には当該メモとの照合結果の記載を行い、同時にメモを大切な証憑として保管しておくことが望ましい。
③ 作業日報の押印について
市は「委託仕様書」において、作業日報は受託者が委託業務の完了後に提出することを規定しており、受託者は市へ作業日報を提出しているが、当該作業日報に受託者の押印がない。受託者が本当に作成したものか、不明である。第三者から見て受託者が作業を行ったことを判断できるよう、押印することが求められる。
【3】警備業務委託契約の検討
1.本庁舎等警備他業務委託契約(総務局管財課)【参照番号 6】
(1)契約の概要
(単位:千円、%)
年 度 | 平成 17 年度 | 平成 18 年度 |
x 約 方 法 | 単独随意契約 | 単独随意契約 |
受 託 者 | 財団法人厚生会 | 財団法人厚生会 |
x 約 価 格 | 40,162 | 38,115 |
x x 価 格 ( 予 定 価 格) | 40,187 | 38,220 |
契 約 率 | 99.9 | 99.7 |
見 積 回 数 | 2回 | 2回 |
委 託 期 間 | 1 年 | 1 年 |
委 託 理 x | x庁舎保安、宿日直業務、駐車 場管理のため。 | 本庁舎保安、宿日直業務、駐車 場管理のため。 |
① 契約内容
市役所本庁舎の警備・宿日直業及び保健福祉会館、分庁舎の駐車場管理業務を委
託するものである。本庁舎の警備については、昭和 43 年から継続して厚生会へ委託(単独随意契約による)している。
② 積算の考え方
警備業務としては、想定必要人員7人の月額人件費、宿日直業務としては、想定必要人員5人の月額人件費、駐車場管理業務としては、想定必要人員3人の月額人件費に 12 カ月を乗じて算出している。諸経費として5%を加算している。
警備業務の想定必要人員数7人とは、毎日3人による隔日勤務(17 時から翌日
8時 30 分)を前提として、受託者が算出した想定必要人員数である。
(2)意見
① 競争入札の導入について
市では、昭和 43 年度の本庁舎警備業務の委託開始以降、厚生会と単独随意契約を締結しており、長期間固定化している。随意契約理由書によると「宿日直業務は市の業務の一部を行うため市の業務に精通している必要がある。また当財団法人は高齢者・身体障害者の雇用促進を目的とする公益法人であるため、地方公共団体の責務である福祉増進と合致するため。」となっている。岡山市契約規則第 24 条第
2項第2号に該当するため単独随意契約を行うとしている。確かに宿直業務は各種 の受付業務があるため、市の業務に精通していることが必要であろうが、それは一 般の警備会社で研修等の実施により必要な市の業務を習得することにより対応が 可能である。実際に宿日直業務に従事している5人のうち市職員OBは2人である。夜間警備業務と駐車場管理業務については、一般警備会社でも十分対応可能である。
また、この業務に従事している 15 人(夜間警備7人、宿日直5人、駐車場3人)のうち市の職員OBは4人である。高齢者雇用確保と目的を掲げている厚生会であるが、実際には市の職員OBを雇用し、委託業務を担当していることは、単独随意契約の見返りとして市職員の再就職を受入れていると考えることができ、問題である。このような状況では、xx単独随意契約を続ける理由としては、合理性はないと考えられる。よって、競争性の確保のためには競争入札が必要である。
なお、市はこの委託契約について、平成 19 年度では警備業務と宿日直業務とに分けて、警備業務は競争入札、宿日直業務は単独随意により委託契約している。
② 委託設計書の積算方法及び根拠の妥当性について
市が作成する委託設計書では推定の必要人数 15 人(夜間警備7人、宿日直5人、駐車場3人)に月額単価を乗じて算出しており、業務委託というより、雇用した場合の人件費の計算となっている。また、必要人員にしても夜間警備業務については、市側からは特に指定していないが、7人必要であるという受託者側の判断をそのま
ま使用している。本来は、人を雇用した計算ではなく、市が仕様書で指示している業務内容・業務量・人員に対して市場の業務単価を乗じて算出すべきである。
また、月額単価について、算出根拠を担当者に質問した結果「岡山県公共工事設計労務費単価、建設物価、最低賃金、前年度実績などを参考にして算出している。」とのことであった。参考が多いため明確な根拠となっていない。根拠を明確にする必要がある。「4.」で後述する西大寺支所警備及び宿直業務における設計書の積算方法がより合理的であると考えられる。その方法で算出した場合は、次のとおり 30,122 千円となり、現在の 38,569 千円より 8,447 千円減額となる。
想定人員 | 日数 | 単価 | 金額 | ||
夜間警備業務 | 3 | 365 | 14,470 | 15,844,650 | |
宿日直業務 | 宿直 | 1 | 365 | 11,439 | 4,175,235 |
日直 | 2 | 240 | 5,535 | 2,656,800 | |
駐車場管理業務 | 2 | 240 | 9,594 | 4,605,120 | |
保険料 | 40,000 | ||||
諸経費(5%) | 1,366,090 | ||||
消費税 | 1,434,395 | ||||
合計 | 30,122,290 |
夜間警備単価は、岡山県の最低賃金@644円×1.265(注)×15.5時間×1.146(社会保険加算率)=14,470円宿直単価は、岡山県の最低賃金@644円×15.5時間×1.146(社会保険加算率)=11,439円
日直単価は、岡山県の最低賃金@644円×7.5時間×1.146(社会保険加算率)=5,535円
駐車場管理単価は、岡山県の最低賃金@644円×13時間×1.146(社会保険加算率)=9,594円 (注)宿日直業務に対する警備業務の割増率 215,000/170,000=1.265
2.分庁舎警備業務委託契約(総務局管財課)【参照番号 7】
(1)契約の概要
(単位:千円、%)
年 度 | 平成 18 年度 | 契約方法 | 単独随意契約 | 受 託 者 | 株式会社山陽 セフティ |
契約価格 | 2,633 | x x 価 格 (予定価格) | 2,635 | ||
契 約 率 | 99.9 | 見 積 回 数 | 1回 | ||
委託理由 | 分庁舎の盗難、火災等の防止のため警備業 務を行う。 | 委 託 期 間 | 1年 |
① 契約内容
市役所に隣接する分庁舎の警備業務を委託するものである。
平日は、17 時 15 分から 21 時 15 分まで警備員(常駐1人)による警備、夜間は機械による全面監視を行い、土曜・日曜・祝日は機械警備による全面監視を行っている。
平成 13 年度に入札により機械警備を導入しており、当契約相手業者である株式
会社山陽セフティは当該警備機器の納入業者であり、平成 18 年度現在、警備業務を受託している。
② 積算の考え方
設計金額は 2,658 千円である。
機械警備として年間の機器使用料を一式計上している。
人的警備としては、月額人件費に 12 カ月を乗じて算出している。
(2)意見
① 耐用年数経過後の契約の入札方法について
市では、平成 13 年度に分庁舎新築時に入札により株式会社山陽セフティから警備機器を導入した。以降、同社と単独随意契約により警備業務を委託している。随意契約理由書によると「上記業者は、分庁舎新築時に警備機器用設備を施行した業者であり、警備システムは同社の仕様となっている。既設の警備施設が利用でき、業者の交代が頻繁に行われると、設備の設置、撤去により警備が不十分となるおそれがある。」となっている。
また、市の方針として、機器を購入後7年間(機器の耐用年数)は同じ相手先と随意契約とすることとしている。さらに、平成 19 年度で7年間が経過することとなるが、今後の方針として、現在の警備システムに慣れているため、機器に不具合が発生しない限り、現状の単独随意契約を続ける予定としているとのことである。
このように、一度機器を導入すれば、その後も単独随意契約をせざるをえないため、競争原理が機能せず、業者の言い値での契約となりがちである。よって、次回の入札においては、当初の機器の金額だけでの入札で判断するのではなく、後の警備業務を含めた全体額で入札を行うことが必要である。
② 人的警備の必要時間の見直しについて
平日は 17 時 15 分から 21 時 15 分まで4時間の常駐1人による人的警備としているが、その必要性について担当者に質問した結果「人的警備については、6階の会議室の利用が毎日 20 時 30 分まであり、職員が概ね退庁する時間まで必要なものであると考えている。」との回答であった。
基本的には機械警備であるため、職員の退庁まで人的警備が必要かどうか疑問であるため、例えば人的警備は 17 時 15 分から 18 時 15 分の1時間のみとし、以降は機械警備とする検討が必要である。
1時間のみの人的警備とした場合、設計書での委託料の削減額は現在の4時間での人的警備 1,1452 千円×3/4=1,089 千円となる。
3.保健福祉会館警備業務委託契約(総務局管財課)【参照番号 8】
(1)契約の概要
(単位:千円、%)
年 度 | 平成 18 年度 | 契約方法 | 単独随意契約 | 受 託 者 | 国際警備保障 株式会社 |
x 約 価 格 | 3,915 | x x 価 格 (予定価格) | 3,916 | ||
契 約 率 | 99.9 | 見 積 回 数 | 1回 | ||
委 託 理 由 | 保健福祉会館の盗難、火災等の防止のた め警備業務を行う。 | 委 託 期 間 | 1年 |
① 契約内容
市役所に隣接する保健福祉会館の警備業務を委託するものである。
平日は、17 時 15 分から 23 時 15 分まで警備員(常駐1人)による警備、以後夜間は機械による全面監視。土曜・日曜・祝日は機械警備による全面監視
平成9年度に入札により機械警備を導入しており、当契約相手業者である国際警備保障株式会社は警備機器の指定代理店の警備会社であった。
② 積算の考え方
機械警備分と人的警備分の合計をもって積算している。機械警備は年間の機器使用料を一式計上している。
人的警備は、月額人件費に 12 カ月を乗じて算出している。
(2)意見
① 次回の警備機器導入での入札方法について
市では、前述の分庁舎の場合と同様に、平成9年度の保健福祉会館新築時に入札により国際警備保障株式会社から警備機器を導入した。以降、同社と単独随意契約で警備業務を委託している。随意契約の理由は、分庁舎の場合と同様である。また、すでに機器設置後 10 年が経過し、機器の7年の耐用年数は経過しているが、市は機器に不具合が発生しない限り、現状の単独随意契約を続ける予定としている。
現在、すでに耐用年数が経過しているため、近年警備機器の更新が予想される。次回の入札においては、当初の機器の金額だけでの入札で判断するのではなく、後の警備業務を含めた全体額で入札を行うことが必要である。
② 人的警備の必要時間の見直しについて
平日は 17 時 15 分から 23 時 15 分まで常駐1人による人的警備となっており、分
庁舎の場合の 21 時 15 分より2時間長くなっている(平成 19 年度では分庁舎同様
に 21 時 15 分までに変更)。その理由を担当者に質問した結果「人的警備については、職員が概ね退庁する時間まで必要なものであると考えている。保健福祉会館に