No 1 区分 指摘 報告書頁 28 項目 【派遣人件費補助金等について】財団法人長崎県産業振興財団 措置掲載文 以下の点を検証すると、大阪高裁において違法支出と判断された神戸市住民訴訟の対象となった補助金の形態と類似しており、法的リスクが高いと思われる。ア 公務員派遣法に従って、派遣人件費相当額を含む財政援助(補助金)が派遣先団体に支給されているかイ 派遣先団体で財政援助資金が派遣職員の人件費として費消されているかウ 派遣協定書の従事可能業務が公務員派遣法第6条第2項と文言上不一致か 報告書原文...
Ⅱ‐15 こどもxx課
【第二テーマ】委託契約に関する財務事務の検証について
1.検証結果
(1)平成 24 年度長崎県保育所職員研修委託事業について
① 概要
委託内容 | 平成 24 年度長崎県保育所職員研修委託事業 | ||
契約方法 | |||
契約金額 | 3,586,000 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
3,586,000 | 3,586,000 | 3,586,000 |
② 積算根拠の明確化について(意見)
当該契約は委任契約であり、積算金額が予定価格であり当初契約額となる。積算金額の根拠の不明な点があり(単価の算出根拠など)、過年度の実績に基づくもの、見積書徴取の結果など、疎明資料とともに整理し、伺いによる検証、承認を得るようにするべきである。
③ 実績確認の徹底について(意見)
委託先が作成した委託費の内訳のうち、その他事務費 290,025 円については、満額委託費として含めると契約額を超過するため、「内、161,930 円を委託費より支出」となっている。このため、県の実績確認においては、その他事務費の個々の取引について突合の証跡が確認できなかった。取引の実在性は検証するべきであって、それが確認できてはじめて、161,930 円を委託費より支出することが可能となるのであるから、検証は厳格に行うべきである。
Ⅱ‐16 こども家庭課
【第二テーマ】委託契約に関する財務事務の検証について
1.検証結果
(1)児童委員xx児童委員地域研修会児童虐待防止啓発映画上映業務について
① 概要
委託内容 | 児童委員xx児童委員地域研修会児童虐待防止啓発映画上映業務 | ||
契約方法 | 一者随意契約(見積書による) | ||
契約金額 | 3,554,640 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | 3,250,590 |
② 設計金額の誤りについて(意見)
設計金額の算定で、県単価より参考見積の方が安価であるのに、県の単価を用いている例がある。例えば、スタッフ人件費(日額)を予算単価の筆耕事務員単価 5,900 円としているが、委託先からの参考見積では、これより安価である。また、旅費も県の規定を用いているが、参考見積の方が安価である。割高な積算金額となってしまっている。
また、平成 23 年度契約の設計金額の算定においては、参考見積において既に税込で記載されているにもかかわらず、県で算定を行う際、二重に消費税を加算している費目があった。これは明らかな誤りである。施行伺いの牽制が利いていない。
チラシ、ポスター製作費についても、委託先のみの参考見積ではなく、複数見積もりが可能なのであるから、比較により設計金額を算定するべきである。
③ 変更契約による契約額の増額理由について(意見)
平成 23 年度の契約変更による増額については、伺い文書にも増額理由が記載されていない。増額となった要因は、上映会場数の増加によるものであるが、なぜ、上映会場数を増やさなければならなかったか、理由が検討されていない。
単なる予算消化と受け止められないように、その理由を明示するべきである。
Ⅱ‐17 産業振興課
【第一テーマ】平成 23 年度包括外部監査の措置状況等の検証について
1.措置状況と検証結果
No | 1 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 28 |
項目 | 【派遣人件費補助金等について】 財団法人長崎県産業振興財団 |
措置掲載文 | 以下の点を検証すると、大阪高裁において違法支出と判断された神戸市住民訴訟の対象となった補助金の形態と類似しており、法的リスクが高いと思われる。 ア 公務員派遣法に従って、派遣人件費相当額を含む財政援助(補助金)が派遣先団体に支給されているか イ 派遣先団体で財政援助資金が派遣職員の人件費として費消されているか ウ 派遣協定書の従事可能業務が公務員派遣法第6条第2項と文言上不一致か |
報告書原文 | なお、上記リストのうち、財団法人長崎県産業振興財団、社会福祉法人長崎県障害者福祉事業団については、今回の包括外部監査において当初、監査対象先団体として取り扱っていなかったが、公務員派遣法に関する問題の重要性に鑑みて、追加して補助金事務の関係書類及び派遣協定書(「派遣職員の取り扱いに関する取り決め書」)を徴求し、別途公務員派遣法に係る合規性の観点から検証したところ、職員派遣及び人件費相当額の補助金受給が見られる他の団体と同種の問題が見られたため、ここで取り上げることとした。 つまり、上述の判決文をもとに各々の派遣及び補助金について、次の「ア」から「ウ」を検討すると、いずれの補助金も判決の対象とした補助金の形態と類似し、法的リスクが高いと思われる(各論を参照のこと)。 ア 公務員派遣法に従って、派遣人件費相当額を含む財政援助(補助金)が派遣先団体に支給されているか イ 派遣先団体で財政援助資金が派遣職員の人件費として費消されているか ... ウ 派遣協定書の従事可能業務が、公務員派遣法第 6 条第 2 項と文言上不一致か |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置の内容等 | 平成 23 年度から、職員派遣費補助金を廃止し、県の派遣条例第4条の規定により支給することができるとされている給料等を県が直接支給し、実績給については、事業費補助金への算定において、その業務に応じた補助金を支給するよう見直しを行っており ます。 |
なお、派遣協定書の従事可能業務については、平成 24 年4月から、同取決め書において、派遣職員の従事する業務が公務員派遣法第6条第2項に該当することを確認する よう改めました。 | |
所見 | 特に問題はない。 |
No | 2 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 73 |
項目 | 【その他について】 長崎県陶磁器振興会負担金 301,000 円について |
措置掲載文 | 長崎県陶磁器振興会から負担金の請求書が発行されているが、この振興会の会長は、現長崎県知事であり、委任状を発行することなく、会長名義により発行された請求書も県知事宛てに出されているため、民法第 108 条の双方代理となっている。当該請求の代理効果は県に帰属しないため、かかる請求によって支払った会費負担金については返還 が必要である。振込口座の指示についても本来は委任状が必要と考える。 |
報告書原文 | (3)その他について 長崎県陶磁器振興会負担金 301,000 円について(指摘) 長崎県陶磁器振興会から負担金の請求書が発行されているが、この振興会の会長は、現長崎県知事であり、委任状を発行することなく、会長名義により発行された請求書も県知事宛てに出されているため、民法第 108 条の双方代理となっている。当該請求の代理効果は県に帰属しないため、かかる請求によって支払った会費負担金については返還が必要である。 本来は、陶磁器振興会側において委任状によって副会長等に請求を委任し、請求書も代理人名義で作成されなければならない(かかる事務については、以前通達された出納局の取扱い文書に従ったことが原因であるが、法律解釈については慎重におこなうべきである)。 また通帳名義も、当該団体が任意団体(人格なき社団)であり、会則は存在するが事務局を置く旨の定めもないため、「長崎県陶磁器振興会会長中村法道」名義でなければならないはずだが、「長崎県陶磁器振興会」であるため請求に対する振込口座名として は名義が相違している。振込口座の指示についても本来は委任状が必要と考える。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置の内容等 | 長崎県陶磁器振興会は、県からの負担金について双方代理となることがないよう、平成 23 年4月から事務委任規程を制定のうえ、同規程に基づき適正に委任手続きを行っ ております。 |
なお、ご指摘のあった平成 22 年度の負担金については返還を求めるとともに、適正 な手続きでの請求・支払いを行うこととしております。 | |
所見 | 特に問題はない。 |
No | 3 | ||||
区分 | 意見 | ||||
報告書頁 | 77 | ||||
項目 | 【社団法人長崎県貿易協会について】 中国人顧問配置に係る補助金について | ||||
措置掲載文 | 長崎県上海事務所運営費補助金の内、中国人顧問配置に係る補助金に関しては、要綱では対象経費が「運営に要する経費」と規定されており具体的な内容が明示されておらず、弾力運用により当該補助金の本来の趣旨及び対象経費基準を逸脱して貿易協会が支出することがないよう、対象経費を明確化し、貿易協会にも周知する必要があると考え る。 | ||||
報告書原文 | ④ 長崎県上海事務所運営費補助金について イ 中国人顧問配置に係る補助金について(意見) 当該補助金の内、中国人顧問配置に係る補助金(以下、「顧問補助金」という)に関しては、要綱において個別に対象経費が明記されてはいないが、補助金の概要を記した内部調書においては次のような内容が明記されている。 対象事業の内容 県内の企業及び中国企業の実情を理解し、中国政府機関等とも通じている人物を、非常勤顧問として上海事務所に配置し、中国の法制度、商習慣、企業情報等のアドバイスを得る。 制度概要 ・中国産業顧問(アドバイザー)報酬 (補助金等の算定 月額 270 千円×12 月=3,240 千円方法など) ・中国産業顧問(アドバイザー)旅費 月額27 千円×12 月=324 千円 合計 3,564 千円 当該顧問補助金について関係帳簿類等の確認を行ったところ、平成 22 年度における支出明細は次の通りである。 | ||||
No | H22 年度 顧問経費明細 | 集計額 | |||
1 | 顧問料(月:8,250 元) | 1,313,809 円 | |||
2 | 顧問交通費 | 100,519 円 | |||
3 | 顧問通信費 | 107,260 円 | |||
4 | 現地スタッフパソコンソフト他 | 148,623 円 | |||
5 | 中国国際投資貿易商談会ブース代 | 85,554 円 | |||
6 | 厦門出張(顧問以外) | 104,077 円 | |||
7 | 電話機購入 | 12,208 円 |
8 | 現地スタッフ時間外手当 | 27,514 円 | |||
9 | 現地スタッフパソコンソフト | 25,540 円 | |||
10 | 3G 通信カード | 19,125 円 | |||
11 | 中国国際環境保護展 | 193,800 円 | |||
12 | 環境冊子 | 341,630 円 | |||
13 | 武漢キャンセル代 | 3,061 円 | |||
14 | カラーコピートナー代 | 81,280 円 | |||
計 | 2,564,000 円 | ||||
以上のように、内部調書に明記されている顧問の報酬及び旅費以外の経費についても補助対象経費として支出されている。 当該内容に関して貿易協会及び県担当者へヒアリングを行ったところ、顧問の報酬及び旅費以外の活動費についても、支出の都度貿易協会担当者と確認を行い、支出を承諾しており、対象経費として認めているとのことであった。 この件に関しては、要綱では対象経費が「運営に要する経費」と規定されており、当該要綱に基づき事務処理はなされているが、対象経費の具体的な内容が明示されておらず、弾力運用により、当該補助金の本来の趣旨及び対象経費基準を逸脱して貿易協会が支出することがないよう対象経費を明確化し、貿易協会にも周知する必要があると考え る。 | |||||
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 | ||||
講じた措置の内容等 | 平成 23 年度については、運用基準を策定し、補助対象経費の明確化を図りました。 なお、平成 24 年度から中国人顧問配置に係る補助金については、上海事務所運営費補助金とは別に、中国ビジネス展開支援事業補助金として新たに要綱を策定し、対象経費についても明確化を図っております。 | ||||
所見 | 措置ができていない。措置の検証の詳細については、別記 1 参照のこと。また、措置以 外の問題については「2.追加検討した事項」を参照のこと。 |
別記 1
① 制定にかかる経緯等
平成 22 年度までは産業政策課、平成 23 年度はアジア・国際戦略課が長崎県上海事務所運営費補助金の一部として社団法人長崎県貿易協会へ中国産業アドバイザー(顧問)にかかる経費を助成(予算は産業振興課が各課へ再配当)。しかし、平成 23 年度包括外部監査において、中国産業顧問にかかる補助対象経費の具体的明示がなされていないため、今後は対象経費の明確化が必要との意見が述べられた。
この意見を受け、中国産業アドバイザーにかかる経費について、平成 24 年度からは別途補助金実施要綱
を定め、産業振興課が直接社団法人長崎県貿易協会へ助成を行うものとした。平成 23 年 9 月 30 日付けで、
「中国産業アドバイザー配置補助金の運用について」として中国産業アドバイザーの補助対象経費を規定している。
② 補助金対象経費の疎明資料の整備の不十分性について(意見)平成 24 年度における当該補助金の支出内容は次のとおり。
平成24年度中国ビジネス展開支援事業費補助金 対象経費一覧表(単位:円)
月 | 報償費 | 使用料 | 広告宣伝費 | 業務連絡費 | 支出額 計 | レート | 備考 | アドバイザー同行の有無 |
4 | 107,415 | 52,887 | 160,302 | 13.02 | 長崎出張(上海長崎投資環境説明会) | 同行 | ||
5 | 107,415 | 123,663 | 231,078 | ↓ | 長沙出張(中部博覧会) | 同行 | ||
6 | 107,415 | 49,476 | 156,891 | ↓ | ブース装飾(中部博覧会) | |||
7 | 107,415 | 358,050 | 465,465 | ↓ | 出展料(日中ものづくり商談会) | 未同行 | ||
8 | 107,415 | 156,240 | 263,655 | ↓ | 出展料(中国国際投資貿易商談会) | 未同行 | ||
9 | 104,032 | 58,920 | 162,952 | 12.61 | 厦門出張(中国国際投資貿易商談会) | |||
10 | 104,033 | 148,798 | 252,831 | ↓ | ブース装飾(中国国際投資貿易商談会) | |||
11 | 104,032 | 104,032 | ↓ | |||||
12 | 108,653 | 108,653 | 13.17 | |||||
1 | 108,653 | 108,653 | ↓ | |||||
2 | 118,470 | 118,470 | 14.36 | |||||
3 | 119,130 | 352,336 | 423,092 | 894,558 | 14.44 | 出展料(上海梅xx伊勢丹九州フェア) 製作費(環境エネルギー産業パンフ) | 未同行 | |
合計 | 1,304,078 | 508,576 | 979,416 | 235,470 | 3,027,540 |
補助対象経費 | 3,027,540 |
補助金額 | 2,940,000 |
当該補助金については、平成 23 年度包括外部監査の指摘を受けて、対象経費の明確化を図り、対象経費とした(1)中国産業アドバイザーの配置経費(2)中国産業アドバイザーの活動に付随する業務に要する経費、であることを裏付ける資料として、支出経費に伴う領収書等はもちろんのこと、当該アドバイザーには定期的に業務報告書の提出を求めることとなっている。
平成 24 年度においては、当該報告書が「4~5 月分」「6~7 月分」「8~11 月分」「12~3 月分」と4回提出されている。
当該補助金の対象経費となる(2)中国産業アドバイザーの活動に付随する業務に要する経費、の制定趣旨を鑑みれば、当該活動を裏付ける業務報告書に記載された活動に付随して支出された経費が対象経費となると考えるのが通常であると言える。
平成 24 年度の対象経費一覧は上記のとおりであるが、一覧表にあるように、各地で開催された博覧会等において業務報告書には一切の活動記録がなく、担当者へのヒアリングにおいても当該アドバイザーは同行していないことが確認できた。
アドバイザーの活動の記録である業務報告書に記載がない事項については、当然にアドバイザーの活動に付随する業務とは言えず、結局、上記表の網掛け金額の経費については、付随する業務であることの疎明が十分ではない。今後は、先般からの監査指摘を踏まえ、対象経費であることを立証しうる資料の整備、県による検証の体制の整備が必要である。
No | 4 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 87 |
項目 | 【長崎県食料産業クラスター協議会について】 収支残高と通帳残高の不一致について |
措置掲載文 | 当該団体の普通預金の残高が過年度の利息分だけ存在し、その額だけ収支決算と不一致である。今後「預金利息収入」で収入に計上し、収支決算(繰越金残高)と通帳残高 を一致させるべきである。 |
報告書原文 | (3)長崎県食料産業クラスター協議会について ア 収支残高と通帳残高の不一致について(指摘) 当該団体の普通預金の残高が過年度の利息分だけ存在し、その額だけ収支決算と不一致である(上記決算では繰越金はゼロである)。今後「預金利息収入」で収入に計上し、 収支決算(繰越金残高)と通帳残高を一致させるべきである。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置のx x等 | 平成 23 年度から預金xxを決算に計上し、通帳残高と一致するよう改めました。 |
所見 | 特に問題はない。 |
No | 5 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 87 |
項目 | 【長崎県食料産業クラスター協議会について】 県と団体との組織分離について |
措置掲載文 | 当該協議会の担当事務職員は物産流通推進本部の県職員であるが、兼務しているにもかかわらず職務専念義務免除の手続を行っておらず問題がある。 加えて物件の使用に関して、平成 22 年当時、当該協議会(物産流通推進本部)は民間ビルの借上不動産に入居しているが、物件所有者と県とのそもそもの賃借契約に転貸禁止条項があるため、所有者との間で転貸借承諾合意書が締結されている必要があった と考える。 |
報告書原文 | イ 県と団体との組織分離について(指摘) 当該協議会の担当事務職員は物産流通推進本部の県職員であるが、兼務しているにもかかわらず職務専念義務免除の手続を行っておらず、地方公務員法及び「職務に専念する義務の特例に関する条例」及び「同規則」において問題がある。 加えて物件の使用に関しての取扱いに問題が生じていた。平成 22 年当時、クラスタ ー協議会(物産流通推進本部)は民間ビルの借上不動産に入居している。「借上不動産 |
の取扱いについて」(昭和 39 年 7 月 17 日 39 管第 115 号総務部長通知)「二借上不動産の管理」2 において、借上不動産は公有財産の管理に準じた取扱いをすることが謳われており、さらに任意団体の使用許可については、行政財産目的外使用許可事務取扱要領第 18 条(7)の使用許可の免除によって許可手続は不要となるが、物件所有者と県とのそもそもの賃借契約に転貸禁止条項があるため、この点所有者との間で転貸借承諾合意書が締結されている必要があったと考える。当時、このような対外的な処理は行われて いなかった。 | |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置の内容等 | 兼務の県職員については、平成 23 年度から、職務専念義務免除の承認手続きを取るよう改めております。 なお、借上不動産の問題については、平成 23 年度に当該協議会事務局が県本庁舎の産業振興課へ移転しており、現状では存在しておりませんが、今後同様の事例が生じた 場合には十分注意してまいります。 |
所見 | 当該措置については特に問題はない。ただし、「2.追加検討した事項」参照のこと。 |
No | 6 |
区分 | 意見 |
報告書頁 | 87 |
項目 | 【長崎県食料産業クラスター協議会について】 経費の節減のための入札制度の導入について |
措置掲載文 | 交流会開催費のうち、会場使用料としてホテルへの支払いを行っているが、このような金額の大きいものについては、少なくとも合い見積りを行うなどして経費の節減を行 うべきである。県としても実績確認において、この旨指導するべきである。 |
報告書原文 | ウ 経費の節減のための入札制度の導入について(意見) 交流会開催費のうち、会場使用料としてホテルへの支払いを行っているが、このよう な金額の大きいものについては、少なくとも合い見積りを行うなどして経費の節減を行うべきである。県としても実績確認において、この旨指導するべきである。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置のx x等 | 平成 23 年度から3万円以上のものについては、やむを得ないものを除き、複数見積 りにより実施するよう改めました。 |
所見 | 特に問題はない。 |
2.追加検討した事項
(1)中国ビジネス展開支援事業費補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 中国ビジネス展開支援事業費補助金 |
補助金支出済額 | 2,940,000 円 |
補助対象事業費 | 3,027,540 円 |
補助率 | 10/10 以内 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | 社団法人 長崎県貿易協会 |
交付の目的・内容など | 中国の企業や行政の実情にも通じた中国産業アドバイザーを社団法人長崎県貿易協会上海事務所に配置し、市場開拓等のアドバイスを提供すること により本件企業の中国におけるビジネス展開に対する支援を行う。 |
対象経費の内容 | (1)中国産業アドバイザーの配置経費 人件費(諸手数料を含む)、交通費、通信費及び旅費 (2)中国産業アドバイザーの活動に付随する業務に要する経費 旅費(通訳業務に従事した職員等)、報告書等作成業務用品購入費(パソコンソフト等)、職員時間外手当及び展示会出展・PR 経費(パンフレット作成)等 |
② 補助金交付決定通知の交付の条件について(指摘)
補助金交付決定通知の交付の条件に、当該補助金が、県交付規則、部の交付要綱、当該補助金の要綱に従う旨、併記する必要がある。
③ 事前着手届の未徴取について(指摘)
平成 24 年 4 月 1 日が日曜日であったため、交付決定通知は翌 2 日付けとなっているが、対象経費には 4
月分人件費が含まれており、対象事業自体も 4 月 1 日から開始しているはずである。本来は事前着手届を徴取する必要があるが、それがなされていない。
④ 補助対象経費に係る請求書等の名義相違について(指摘)
補助対象経費となる請求書に「長崎県上海事務所」名義のものが見られた。存在もしない長崎県の地方機関を想起させる「長崎県上海事務所」名義の使用を禁じるべきである。
(2)長崎県地場企業競争力強化重点支援事業費補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 長崎県地場企業競争力強化重点支援事業費補助金 |
補助金支出済額 | 10,756,000 円(6 社合計) |
補助対象事業費 | 21,687,598 円(6 社合計) |
補助率 | 1/2 以内 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | N 社他 5 社 |
交付の目的・内容など | 複数企業の連携活動を支援することにより、単独では解決が困難な中小企 業者等の受注機会の拡大並びに収益性の向上を図る。 |
対象経費の内容 | 複数の中小製造業者等による企業グループへの営業等の連携活動費補助 |
② 実施要綱等に見られる制度設計・運用の問題点について(指摘)
「長崎県地場企業競争力強化重点支援事業費「補助金実施要領」」第 2 条では、「補助対象者は、(中略)知事の事業認定を受けた企業グループの代表企業とする」としている。
当該実施要領では「補助対象者」と「補助事業者」という言葉の不統一があるため、「補助対象者」に関する要領の解釈や判断が下せない状態となっている。
また、実際の運用上は「補助対象者」=「補助事業者」となっており、この第 2 条を根拠に、県の行う補助金の事務は全て代表企業を相手に行われている。当該補助事業の目的からすると、企業グループにより構成される任意団体を前提としているはずであるが、任意団体の法的な性格や補助金の目的を十分に考慮せず制度設計・運用がなされており、今後同種事業では制度設計を見直すべきと考える。
③ 県の実績確認について(意見)
現状行われている代表企業を相手とする事務の進め方では、構成企業に対する代表企業の立替金の精算行為が適切になされているか確認する必要があるが、県はそこまでの確認を行っていない。
対象経費の考え方とは別に、任意団体としての活動となっているかを検証するためにも、上記の観点からの検証は必要と考える。
④ 設備投資資金の補助への考慮について(意見)
当該制度で設備投資があった場合、その資産の管理責任は要領上「補助事業者」としている。②の通り、要領の解釈が明確には下せないが、本来は任意団体が所有権を持つと考えるべきであり、資産の所有権、管理責任、使用に係る受益の問題を根拠とともに整理・明示するべきである。
なお、任意団体に資産の購入補助を行う事業は、複雑な権利関係や事後的な問題(参考:水産振興課で過去補助された任意団体の機械装置が、年度を経て構成団体で目的外の委託事業に流用されていたという事案が検出された)を生むため、制度としては避けるべきではないかと考える。
⑤ N 社(佐世保もの作り連合体代表企業)向け 1,476,000 円についてア 事前着手届の未徴取等について(指摘)
平成 24 年 4 月 1 日が日曜日であったため、交付決定通知は翌 2 日付けとなっているが、対象経費には 4
月分人件費が含まれており、対象事業自体も 4 月 1 日から開始している(当該業務専従開始日:平成 24 年
4 月 1 日とある)。本来は事前着手届を徴取する必要があるが、それがなされていない。交付申請書も 4 月
2 日付けで徴取するのではなく、4 月 1 日付けで提出させるべきと考える。事後申請となるためである。
(3)長崎xx事業チャレンジ応援事業補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 長崎xx事業チャレンジ応援事業補助金 |
補助金支出済額 | 14,184,000 円(8 社合計) |
補助対象事業費 | 28,205,360 円(8 社合計) |
補助率 | 3/4 以内 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | F 社他 7 社 |
交付の目的・内容など | 県内中小企業者等の研究及び商品開発の事業化を支援し、新産業の創出を 図る。 |
対象経費の内容 | 県内中小企業者等が環境、新エネルギー、医療・福祉などのxxxにおい て、新たな研究及び商品開発後に行う事業化に要する経費 |
② 事業終了間際に計上された消耗品について(意見)
A 社向け 3,000,000 円の案件については、平成 25 年 3 月 29 日に事業完了したとの実績報告書が提出されているが、3 月 26、27 日の終了間際に納品された、コピー用紙やカラートナーカートリッジが合計 53,311円計上されている。当該消耗品は、事業関連性が低く、対象経費とする合理性も低い。
もっとも、補助金額に影響する金額ではないので返還事案には至らないものの、含めるべきではない旨指導するべきであるし、実績確認時の検証の厳格化も必要である。
(4)平成 24 年度長崎県ものづくり経営基盤強化支援事業費補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 平成 24 年度長崎県ものづくり経営基盤強化支援事業費補助金 |
補助金支出済額 | 26,065,000 円(17 社合計) |
補助対象事業費 | 68,967,147 円(17 社合計) |
補助率 | 1/2、1/3、10/10 以内 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | D 社他 16 社 |
交付の目的・内容など | 県内中小製造業者の経営基盤強化の取組を支援し、持続的な発展と雇用の 安定を図る。 |
対象経費の内容 | (1)国際ビジネス対策事業 (2)ものづくり技術高度化事業 (3)生産性向上事業 |
(4)省エネ等対策事業 (5)企業連携支援事業 |
② 実績報告時の検証について(意見)
M 社向け 2,850,000 円については、補助対象事業として加工用機械の取得をしているが、かかる機械について財産取得管理台帳の作成を行っているか実績確認時に確認を行っていない。
③ 対象外経費の混入の可能性について(意見)
K 社向け 2,857,000 円については、機械装置費 1,257,000 円が計上されているが、この中には、上記(2)ものづくり技術高度化事業の対象経費である「自社の生産・加工技術高度化のための技術開発に係る経費」になじまないものが含まれていると思われる。「工場のクレーン通路壁の雨止め工事」と「追加分コーキング工事」合計 727,000 円(税抜き)については、アルミ材の品質保持のための工事としているが、一方では「ゴム板で雨養生しているが、ゴムが劣化し破れそこから雨漏りし水たまりができる。対策としてゴムシートを外し、防水テントを二重加工し取り付けた」とあり、工場の修理に要した経費の可能性が多分にある。
1,257,000 円の 1/2 が補助金として支出されているから、727,000 円の半分の 363,500 円については対象外として取り扱う可能性もある。
技術開発に係る経費(対象経費)か、単なる修繕かの判断は難しいところであるが、そのような不明確な経費ははじめから対象外として取り扱うよう指導するべきと思われる。
(5)平成 24 年度東アジアビジネス展開支援業費補助金(実証事業)について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 平成 24 年度東アジアビジネス展開支援業費補助金(実証事業) |
補助金支出済額 | 7,500,000 円 |
補助対象事業費 | 38,608,378 円 |
補助率 | 1/2 以内 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | M 社 |
交付の目的・内容など | 県内中小企業者等の東アジア地域への事業展開に対する支援を実施する。 |
対象経費の内容 | 県内中小企業者等の東アジア地域への事業展開に要する経費 |
② 対象外経費の混入について(指摘)
第 3 条
3 この要綱において、「実証事業」とは、県内の中小企業者等が東アジア地域への環境関連技術等の販
「長崎xxアジアビジネス展開支援業費補助金実施要綱」第 3 条に「実証事業」の定義が明記されている。
路開拓のために、現地のニーズに合わせて、自社が所有する技術・製品の設置又は詳細設計により効果
の検証を行うことをいう。
※下線は、筆者による。
また、同要綱第 4 条第 2 項に定める対象経費は、別表 2 に明記されており、「(2)実証事業」の経費は以下の通りである。
機械装置等費 | ・事業地域にて機械装置等の製作・設置に必要な土木・建築工事、ならびにこれらに付帯する電気工事に要する経費 ・助成事業の実施に必要な機械装置、その他備品の製作、購入、又は借用並びに詳細設計に要する経費(取得価格 20 万円以上、かつ耐用年数が 1 年以上のものが該当) ・プラント及び機械装置の保守、改造、修理に必要な経費 |
人件費 | 助成事業に直接従事する者の人件費(ただし補助対象事業費の 1/3 以内) |
旅費 | 助成事業を実施するために特に必要とする旅費、滞在費及び交通費 |
外注費 | 助成事業の実施に必要なデータ分析及びソフトウェア、設計等の請負外注に係る経費 |
消耗品費 | 助成事業の実施に直接必要な資材、部品、消耗品等の製作又は購入に要する経費 |
諸費 | 資料購入費、借料又は損料、その他知事が必要と認める経費 |
実績報告書上、「業務従事日誌」に補助対象経費となる人件費の基礎となる作業従事時間が記されているが、備考欄を見ると、「詳細設計」と記載されたもの以外に、「基本設計【機械】(計画・検討)」(416 時間分)や「基本設計【電気】(計画・検討)」(266 時間分)と記載された日誌が存在した。
上記定義によれば、「現地のニーズに合わせて、自社が所有する技術・製品の設置又は詳細設計により効果の検証を行う」事業に対する補助であるから、このような「基本設計」を含む当該事業の性格そのものが、補助事業の定義に当てはまるのかも疑念があるところであるが、いかに人件費の範囲が「助成事業に直接従事する者の人件費」としても、定義の趣旨からして「基本設計」部分の人件費を対象経費に含めるべきではない。
ただし、基本設計の時間を集計し、これに時間当たり単価を掛け、対象経費からこれを控除したとしても、補助金の交付確定額 750 万円に影響するものではないが、補助事業の採択や、実績報告時の確認において、実施要綱との整合性の検証は厳格であるべきであると考える。
③ 実施要領の見直しについて(意見)
当該補助金では、設備投資資金を対象経費に含めており、交付決定通知上も、交付の条件に取得財産管理台帳の整備を求めているが、実施要綱にその取り決めがなく、具体的な様式も定められていない。実施要綱の内容を再度見直すべきである。
(6)長崎県地域産品商品力強化支援事業費補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 長崎県地域産品商品力強化支援事業費補助金 |
補助金支出済額 | 8,000,000 円 |
補助対象事業費 | 12,491,208 円 |
補助率 | 2/3、3/4 以内(離島の場合) |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | S 社他 3 件 |
交付の目的・内容など | 県は、戦略策定段階から市場性の高い地域産品の開発や販路開拓に向けた事業展開を包括的にプロデュースする役割を果たす者(以下「地域産品プロデューサー」という。)を活用した、県内中小企業者による先進的取り組みを支援し、地域産業の振興を図るため、予算の定めるところにより長崎 県地域産品商品力強化支援事業費補助金を交付する。 |
対象経費の内容 | 地域産品プロデューサーと一体となって取り組むブランディング戦略構築 及びそれらに基づく商品開発・商品改良・販路拡大活動等に要する経費。 |
② 事業遂行状況報告書の提出時期誤りについて(指摘)
長崎県地域産品力強化支援事業費補助金に関して、長崎県地域産品力強化支援事業費補助金実施要綱第 9 条で、規則第 11 条第 1 項の補助事業等の遂行については、補助金の交付の決定に係る年度の 11 月 30 日
現在において、事業遂行状況報告書(様式第 4 号)を作成し、12 月 15 日までに知事に提出しなければならない。と定められている。
ここで、補助申請者である M 社に関して、まず交付申請書が平成 24 年 7 月 1 日に提出され、それに対す
る交付決定通知書が平成 24 年 7 月 31 日に通知されているが、事業遂行状況報告書に関しては提出日付が
平成 25 年7月 31 日となっており、これを形式的に判断すると長崎県地域産品力強化支援事業費補助金実
施要綱第 9 条に違反することになり、このような誤りを単に記載誤りで済ませる話ではない。
提出書類の日付に対する県側の意識の無さが露呈された一つのケースであり、このような事務処理の間違いを発見できない課全体としての相互牽制が働いていない事が問題であると言える。今後適正な事務の執行手続きを行えるような相互牽制の体制を構築していくべきである。
(7)長崎県食品製造業経営基盤強化支援事業費補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 長崎県食品製造業経営基盤強化支援事業費補助金 |
補助金支出済額 | 10,025,000 円 |
補助対象事業費 | 31,395,673 円 |
補助率 | 1/2、1/3、2/3 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | NB 社他 12 件 |
交付の目的・内容など | 県は、食品製造業を営む県内中小企業者の付加価値向上、衛生管理体制の整備、生産効率化などの取り組みを支援し、食品製造業の経営基盤の強化を図るため、予算の定めるところにより、付加価値xxxの改善活動に取り組む中小食品製造業者に対して、長崎県食品製造業経営基盤強化支援事 業補助金を交付する。 |
対象経費の内容 | 食品製造業を営む中小企業者が経営基盤強化のための取り組みであり、次の各号のいずれかに該当する事業。 (1)県産材料の利用拡大 (2)衛生管理・品質管理体制強化 (3)生産効率化 |
② 補助事業の経済性の発揮の確保について(意見)
当該補助事業の共通事項として、実績報告書に記載された補助対象経費の確認に関して、領収書、請求書はあるが、納品書がないものが複数見受けられた。
この場合、実際の納品日が不明であるため、実際に補助対象期間中に確実な納品がなされたかどうかの確認が正確にはできない状況であるとも言える。履行確認の実効性を確保する観点からも納品書もできるだけ徴求し確認するほうが望ましいと考える。
③ 資産購入補助にかかる管理について(意見)
当補助金においては、有形固定資産の取得及びソフトウェアに関しても補助金の対象である。
ここで、当補助金に関して、「長崎県食品製造業経営基盤強化支援事業費補助金実施要綱」第 16 条に定めている取得財産等管理台帳に関しては県の方での確認が適正になされていない。要綱では徴求までは要求されていないが、第 16 条の実効性を確保するためにも、台帳の確認を行うべきである。
④ 実施要綱の見直しについて(意見)
状況報告に関して、「長崎県食品製造業経営基盤強化支援事業費補助金実施要綱」第 10 条(3)に下記のように定められている。
補助事業者は、11 月 30 日現在の補助事業等の遂行状況に関し、12 月 15 日までに補助事業遂行状況報
告書(様式第 7 号)を知事に提出しなければならない。
ここで、当補助事業に関して、2次募集以降申請された補助対象事業の取扱いをどのように要綱と整合させるかが問題となるのではいかと思われる。
2 次募集以降(2 次募集の申請日付は平成 24 年 9 月 21 日から)の補助事業 10 件に関しては、補助事業
遂行状況報告書(様式第 7 号)の提出はなされていないが、この場合要綱第 10 条(3)に違反することになる。このような状況が生じる場合、この取扱いに関して何らかの取扱いの記載をすることも必要である
と思われる。
⑤ NB 社に対しての補助金に関する事前着手について(指摘)
補助金の交付決定日付が平成 24 年 8 月 16 日であるが、納品日を確認したところ、もち水飴 60 個(税抜
金額 570,000 円)の納品日は 8 月 8 日、また DM 精糖 ST 上白砂糖 20 袋(税抜金額 63,600 円)の納品日
は 8 月 2 日と、交付決定前のものが含まれており、事前着手届の徴取が漏れている。
またそもそも長崎県補助金等交付規則第 14 条において、知事は、補助事業等の完了又は廃止に係る補助事業等の成果の報告を受けた場合においては、報告書等の書類の審査及び必要に応じて行なう現地調査等により、その報告に係る補助事業等の成果が補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件に適合するものであるかどうかを調査し、適合すると認めたときは、交付すべき補助金等の額を決定し、当該補助事業者等に通知するものとあり、このような誤りを発見できていないこと自体に問題がある。
このような事務処理の間違いが生じる事に関して、単なる一人の担当者の計算ミスということで済む話ではなく、決裁を行っている課全体としての相互牽制が働いていない事が問題であると言える。今後適正な事務の執行手続きを行えるような相互牽制の体制を構築していくべきである。
⑥ Y 社に対しての補助金に関する変更承認申請手続きの遅延について(指摘)
平成 25 年 3 月 19 日に下記のような理由で「平成 24 年度長崎県食品製造業経営基盤強化支援事業費補助
(変更の理由)
① 県産原材料の利用拡大:試作原料費の減によるため。
② 衛生管理・品質管理体制強化:当初予定より工事費用が安価になったため。
③ 生産効率化:コンサルタントによる有料での指導回数が減ったため。
(変更の内容)
① 県産原材料の利用拡大:諫早湾干拓人参生産者の出荷形態の変更(洗浄後出荷から泥つき出荷に変更)により一次加工(粉末加工)が出来なくなったため、人参生産業者が変更となり、試作のための人参粉末の種類が少なくなり、試作予定が大幅に減った。
② 衛生管理・品質管理体制強化:現状を再確認し長崎県版 HACCP の段階 7 の審査項目を再確認したところ、山一製麺所xx・xxについては汚染区域・非汚染区域の区分が十分にできており、前室工事が不要であると思われたため、県南保健所に確認したところ、HACCP の段階 7 の取得には支障をきたさないという事だったため、上記 2 製麺所の前室工事を中止する。
③ 生産効率化:指導を委託していた専門のコンサルタントが 2012 年 12 月より弊社社員になり、指導
回数 10 回中 4 回について、謝金が不要となった。
金に係る補助事業の内容(経費の配分)の変更承認申請書」が提出され、平成 25 年 3 月 19 日に「平成 24年度長崎県食品製造業経営基盤強化支援事業費補助金の計画変更承認書及び長崎県食品製造業経営基盤強化支援事業費補助金交付決定通知書」が通知されている。
ここで、特に「③生産効率化」での変更に関しては、12 月には当初計画が確実に変更されている事は明らかであるにもかかわらず変更承認申請及び変更承認及び決定は平成 25 年 3 月 19 日と明らかに遅いと言わざるを得ない。また本来は変更申請を行い、それに対しての承認及び決定が行われて初めて変更が可能となるのであり、本来の手続きが行われていない。
⑦ H 社に対しての補助金に係る変更承認手続きの瑕疵について(指摘)
平成 25 年 3 月 11 日に下記のような理由で「平成 24 年度長崎県食品製造業経営基盤強化支援事業費補助
(変更の理由)
① サーバーを新設する予定であったが、既存のサーバーで対応が可能だったため、サーバー一式及びバックアップが不要になった。
②ネットワーク機器を追加したのは、社外においてもネットワークを利用した顧客管理を行うためである。
③(イ)当初、各々作成する予定であった登録プログラム 5 本(アレルギーマスタ、業種マスタ、検体
項目マスタ、支払方法マスタ、会社情報マスタ)を名称ファイルマスタ登録の 1 本に仕様を変更した。仕様変更理由:データの変動が少ないマスタを統合し、運用の簡便化を図った。
(ロ)原材料登録、検体登録、画像登録の 3 本の登録プログラムを商品マスタ登録に統合するように仕様を変更した。仕様変更理由:商品登録時に商品に関わる全ての項目が登録できるようにした。
以上、(イ)、(ロ)2 つの理由によりプログラム開発工数の減少があり、開発費の減少となった。
④当初計画では、新システムの社員全員への研修を含めた指導料として 180,000 円を予定していたが、下記の理由により指導料は不要になった。
(イ)システム作成途中(2012 年 11 月第2版)より、当社プロジェクトチームもマスタ登録・エクセルデータの編集等に関わっており、システム内容を理解しながら作業を行った。
(ロ)契約先の担当者が導入及び保守等で来社時に都度指導も受けている。契約先担当者は当社との保守契約の関係で毎月 2 回~3 回は来社。
(ハ)指導は通常の保守契約のなかでの指導と言うことにして指導料は不要となった。
金に係る補助事業の内容(経費の配分)の変更承認申請書」が提出され、平成 25 年 3 月 11 日に「平成 24年度長崎県食品製造業経営基盤強化支援事業費補助金の計画変更承認書及び長崎県食品製造業経営基盤強化支援事業費補助金交付決定通知書」が通知されている。
(変更の内容)
旧事業費 | 金額:円 | 新事業費 | 金額:円 |
(ハードウエア) | 1,000,000 | (ハードウエア) | 147,000 |
サーバー一式 | 877,000 | ネットワーク機器 | 80,000 |
バックアップ | 123,000 | 設定費用 | 60,000 |
(ソフトウェア) | 3,000,000 | 消費税 | 7,000 |
システム設計 | 300,000 | (ソフトウェア) | 2,730,000 |
プログラム開発 | 2,100,000 | システム設計 | 180,000 |
EXCEL データベース化 | 210,000 | プログラム開発 | 2,000,000 |
システム導入費 | 210,000 | EXCEL データベース化 | 210,000 |
指導料 | 180,000 | システム導入費(指導料含む) | 210,000 |
消費税 | 130,000 |
上記のように大幅なシステム変更が行われているが、当システムに関しての I 社からの納品書、請求書の日付は平成 25 年 3 月 22 日と、変更承認申請及び変更承認及び決定の日より後日付で行われていることから、xxすると特段問題はないように思える。しかしシステムの開発・変更は即日終了するわけがなく、結局は変更承認申請及び変更承認及び決定が行われる前にシステムの変更が行われていると考えるのが普通である。
また納品書に関して上記納品書と同じく、納品書№198964 で日付が平成 25 年 3 月 5 日付けの納品書が
発見された。これでは納品書の信憑性すら確認できない状況であるし、上記納品書のxxの日付が 3 月 5日であった場合は、形式上も承認前に納品がなされていることになり、手続上さらに問題である。
他にも、補助対象経費の総額が、当初 4,000,000 円であったが、変更により 2,740,000 円と 2 割を超え
た範囲での減少であるという点についても、長崎県産業労働部関係補助金等交付要綱第 5 条 4 項に基づき必ず変更申請を行い、それに対しての承認及び決定が行われて初めて変更が可能となるのであり、本来の手続きが行われていないことが分かる。
(8)その他の補助金について
① 長崎県食料展示会出展事業費補助金についてア 口座名義相違について(指摘)
当該補助金は、長崎県食料産業クラスター協議会向けに 5,000,000 円補助されたものであるが、任意団体であるため、本来は、補助金振込口座名義は、協議会名と代表者名義でなければならないが、代表者ではない人物の名前となっており、係る口座への事務委任もない。名義を適切に変更させるか、事務委任を県へ通知させるかが必要である。補助金の交付事務における県の検証を向上することと、任意団体への指導が今後必要である。
イ 組織引継ぎの事務について(意見)
長崎県食料産業クラスター協議会は、平成 25 年度から事務局の所在を、県中小企業団体中央会へ移転している。しかしながら、県から事務局が移管する際の、引継ぎの文書化がなされていない。通帳、印鑑、事業・会計等の文書類について、本来、引き渡しを証する文書の取り交わしが行われるべきと思われる。なお、平成 23 年度の包括外部監査において任意団体を県が引き継ぐ場合に、このような文書のやり取り を厳格に行っている事例があった。一方で、昨年度の監査では、任意団体の事案ではなかったが、県が外部団体所管事務を引き継ぐ際、受取り内容の十分な確認をしていなかったために、契約書の紛失に気付か
なかった事例もあった。重要物の受払には、慎重に対処するべきと思われる。
② 平成 24 年度長崎県生産基盤等確保緊急対策事業費補助金について
ア 資産として取り扱うべきファイナンスリースに係る補助金の取扱いについて(指摘)
M 社向け 2,104,000 円については、補助対象がファイナンスリースのリース料の 1/3 を補助する事業であるが、ファイナンスリース契約であるので、資産計上するべき契約である。つまり、取得費補助となる案件である。実施要綱第 16 条では財産取得台帳で管理することとしているが、台帳の作成を行っているか確認していない。
(9)東京産業支援センター管理運営費負担金について
① 負担金の概要
負担金の名称 | 東京産業支援センター管理運営費負担金 |
負担金支出済額 | 14,365,465 円 |
補助率 | 定額 |
対象団体 | (株)コンベンションリンケージ |
負担金の根拠法令 | 長崎県東京産業支援センター条例 |
② いわゆる「設置管理条例」のバラつきについて(指摘)
地方自治法第 244 条の 2 第 1 項において「公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない」として、本県においても、各施設の指定管理に関する基本的事項を条例で規定している。いわゆる「設置管理条例」である。
しかしながら、当該「長崎県東京産業支援センター条例」と他の設置条例を比較するとき、条文の一部に相違がみられる。かかる不統一は早急に修正するべきである。
今回取り上げる条例のバラつきは、使用料の減免に関する条文であり、産業労働部所管の設置管理条例の間において以下の通りの相違が見られる。
条文に「知事の承認を得て」が入っていないもの。
○長崎県東京産業支援センター条例
第 12 条 指定管理者は、公益上その他特別の理由があると認めるときは、使用料を減額し、又は 免除することができる。
○長崎県技能会館条例
第 12 条 指定管理者は、公益上その他特別の事由があると認めるときは、使用料を減額し、又は 免除することができる。
条文に「知事の承認を得て」が入っているもの。
○長崎県ビジネス支援プラザ条例
第 13 条 指定管理者は、公益上その他特別の理由があると認めるときは、知事の承認を得て、使用料を減額し、又は 免除することができる。
○佐世保情報産業プラザ条例
第 13 条 指定管理者は、公益上その他特別の理由があると認めるときは、知事の承認を得て、使用料を減額し、又は 免除することができる。
同じ設置条例にありながら、特段の理由もないまま条文に相違があることは是正されるべきである。 使用料の徴収に係る減免の権限の付与については、判例等がないとは言っても、処分性の強いものであ
るから、その規程のあり方及び運用については慎重であるべきである。また、この配慮から従前より「知事の承認を得て」が規定されている条例があると考えれば、上記「長崎県東京産業支援センター条例」と
「長崎県技能会館条例」については、「知事の承認を得て」を挿入するよう条文を見直すことが必要と考え
る。
③ 利用料金制導入について(意見)
本県の設置管理条例においては、産業労働部所管の上記四施設以外は、施設の利用者が支払うのは「使用料」ではなく「利用料」であり、指定管理者の収入となる「利用料金制」を導入している。
利用料金制の導入によって、効率的な施設運営のインセンティブを与えることができ、同制度を導入するべきと思われる。また、利用料金制に切り替えることで、私債権の管理になるため、一定管理は容易になることも想定されるため、検討の余地はあると考える。
④ 減免基準について(意見)
施設の入居者から徴取している利用料の減免は、食堂の付帯施設である従業員休憩所や冷凍倉庫等において発生している。減免は東京産業センター条例第 12 条を根拠としているが、減免基準に問題がある。
下記減免基準は、県の説明では平成 14 年度時点(旧管理委託制度の下)で作成・運用されてきたものとのことであったが、そのまま指定管理制度に移行した現在においても運用されている。旧管理委託制度においては、使用許可権限は委託には含めることができず、県の行う行為であったので、当該減免基準は、県が定め、県が運用していたものである。
東京産業支援センター使用料減免基準 1 基本的な考え方
事務室については県で改装工事を行った箇所を使用許可しており、改装工事を行った事務室を事務室として使用する限り、長崎県東京産業支援センター管理規則第 6 条第1 号及び第 2 号に該当する場合を除き、原則として使用料の減免は行わない。
倉庫的利用を行う場合及び改装工事を行っていない箇所を使用する場合の使用許可にあたっては、減額を行うこととする。
2 減免基準
①倉庫的利用を行う場合は、事務室使用料を適用し、 1/2 を減額する。
②未改修箇所を事務室として使用する場合は、事務室使用料を適用し、1/3 を減額する。
③未改修箇所を倉庫的利用する場合は、事務室使用料を適用し、2/3 を減額する。
この減免基準は、平成 18 年度の指定管理者制度への移行時点において、何等かの手続きを経て、正式に位置づけられているとの証跡は認められなかった(県の説明によれば、過去、口頭での引継ぎはあったとのことであったが、それを裏付けるものもない)。
施設の管理運営について管理委託制度はあくまで私法上の契約であり、さらにこの減免基準は県の運用基準であったのに対し、指定管理制度は、条例を根拠とした公法上の行為である「指定」という大きな相違がある上に、当該指定管理における減免は指定管理者の運用する基準であるから、本来は、新たに制定するべきであったと考える。
また、旧制度の減免基準をもって現在でも一部施設の使用料の減免を行っている点は、減免の効力について疑問が残る。つまり、旧管理委託制度を前提とし、位置づけも曖昧な状態での当該減免基準をもって、使用料金の減免及び徴収を行うことについては、厳に戒めるべきであると考える。
⑤ 入居時の連帯保証人について(指摘)
「公有財産の使用許可等に係る連帯保証人の取扱いについて(通知)」によれば、所管部局の長は、公有財産の使用許可等の申請に際しては、一部例外を除いて、債権の保全を確実にするため、申請人に連帯保証人を立てさせることとしている。産業振興課においては、当該通知が周知徹底されておらず、連帯保証人の要否について検証した経緯がない。
実質的には、入居者について審査会による審査によって財務内容が検証されているため、上記通知にあ
る(2)④「使用料が未納になるおそれがない」には該当するものの、「おそれがないことを所管部局の長
...
が認める場合」を具体的に立証する証跡がないため、上記通知文書を遵守しているとは言えない。
⑥ 関連企業による実質連続入居について(意見)
センターの入居については、下記の通り一定の条件、期限が定められている。
その理由は、センターが「公の施設」であり、使用のxx性を担保するためである。
長崎県東京産業支援センター条例
(使用期間)
第 10 条 第 7 条第 1 項の許可の期間は、3 年を超えることができない。
2 前項に定める期間は、規則で定めるところにより、更新することができる。
長崎県東京産業支援センター条例施行規則
(期間の更新)
第 4 条 指定管理者は、条例第 6 条第 1 号に掲げる者については、特に必要があると認めるときは、2 年を限度として使用期間を更新することができる。ただし、指定管理者が知事の承認を得たときは、2 年を超えて使用期間を更新することができる。
2 指定管理者は、条例第 6 条第 2 号及び第 3 号に掲げる者については、適当であると認めるときは、使
用期間を更新することができる。
しかしながら、過去の入居状況を検証すると、関連企業(社長が同一人物)が連続して入居している事例(A 社、H 社)が発見された。
関連企業の入居を安易に認めると、入居期限を定めた条例施行規則の潜脱を許すこととなり、公の施設に求められる利用のxx性をゆがめることとなる。県側の主張する入居率の維持の問題でもなければ、申し込みが殺到している状況にないため制限することの実効性に欠ける云々の問題でもない。仮に関連企業を排除した結果、空室が生じる場合の対応の努力は、まさに県並びに指定管理者に求められるべきである。
また転貸を禁じた本条例においても、関連企業の入居はその違反の事実を曖昧にしてしまうため、厳に排除するべきである。
当該検出事項は、現地検証を行わずして発見されたのであるから、氷山の一角に過ぎない可能性がある。関連企業の連続入居を禁ずるように審査会の審査基準を見直すべきであり、指定管理者に対しても転貸
の事実がないか管理徹底するよう指導するべきである。
⑦ 使用期間の更新について(指摘)
規則 4 条 2 項にいう、食堂運営(条例 6 条 2 項)に対する期間更新は、指定管理者が「適当であると認めるときは、使用期間を更新することができる」となっているが、具体的な運用基準がなく、適当と認めた証跡が残されていない。
食堂の運営企業は平成 14 年度以来、継続して入居しており、3年更新時期に申請書が提出され、許可更新がなされているが、いかなる基準でどのような判断のもと許可されてきたのかは判然としないため、運用基準の整備、適当であると判断した証跡を残す必要がある。
今後は、審査基準の整備と許可に至る審査を審査会にゆだねるなど手続きの見直しが必要である。
(10)県と長崎県産業振興財団との取引について
① 地場企業支援ファンドにおけるスキームの適正性についてア 概要
長崎県「新産業創造構想」では、今後成長が期待される「高度加工組立型」、「新エネルギー・環境」、「医療・福祉」、「情報電子」、「地域資源活用型」の 5 分野において、「1.新エネルギー・環境産業の振興」、
「2.医工連携による研究開発産業の創出」、「3.水工・農工連携の推進による農林水産業・食品産業の高度化」、「4.産業界が真に求める人材の育成と供給」の4つの集中プロジェクトを中心に種々の施策に取り組んでいる。
その中で、当該重点 5 分野において、県内中小企業等が経営革新や創業等のために行う研究開発や販路開拓等を支援するため、「スタートアップ応援型ファンド」(以下、「スタートファンド」と言う。)及び「地場企業支援ファンド」(以下、「地場ファンド」と言う。)を造成し、運用益による支援を実施している。
スタートファンドは 70 億円をファンド造成額として、県が中小企業基盤整備機構から 70 億円の 8 割で
ある 56 億円を無利子で借入れ、これに県の財源より 14 億円をプラスして、合計 70 億円を(財)長崎県産業振興財団(以下、「振興財団」と言う。)に無利子で貸付け、これを原資に振興財団にてファンドを造成している。
地場ファンドについては、30 億円をファンド造成額として、これは全て県の財源より振興財団へ無利子で貸付け、これを原資に振興財団にてファンドを造成している。
当該両ファンドの構想当初の全体スキーム図は次のとおり。
両ファンド事業は平成 19 年度より国の施策として開始されているが、この内地場ファンドは平成 20 年
5 月 30 日付けで県より振興財団へ 30 億円の無利子貸付けが行われ、ファンドが造成された。
ファンドについては、構想当初の全体スキーム図にもあるように、両ファンド合計 100 億円全てを 10 年国債にて運用する予定であった。
(平成 20 年 3 月 6 日議会経済労働委員会においてもそのように答弁が行われている。)
しかし、地場ファンドについては、振興財団による検討委員会にて検討した結果、最終的に 20 億円を県債、10 億円を国債購入に充てることとなった。
詳細は次のとおり。
第 2 回地場ファンド資産検討委員会 | 第 3 回地場ファンド資産検討委員会 | |
日時 | 平成 20 年 5 月 15 日 | 平成 20 年 6 月 16 日 |
銘柄 | 長崎県平成 19 年度第 1204 回公債 | 第 293 回利付国債 |
購入日 | 平成 20 年 5 月 15 日 | 平成 20 年 6 月 16 日 |
償還日 | 平成 30 年 3 月 31 日 | 平成 30 年 6 月 20 日 |
利率 | 1.70% | 1.80% |
購入金額 | 1,990,000,000 円 | 995,700,000 円 |
額面金額 | 2,000,000,000 円 | 995,700,000 円 |
受渡日 | 平成 20 年 5 月 30 日 | 平成 20 年 6 月 20 日 |
地場ファンドの最終スキーム図は次のとおりである。
長崎県
長崎県産業振興財団
無利子貸付
県債購入
国債購入
金利支払い
金利支払い
<運用益で助成>
10億円
県債発行
20億円
20億円
地場ファンド造成
30億円
貸付金
30億円
イ「県における財政の適正な運用」の視点から見た当該スキームの適正性について(意見)
当該地場ファンドの最終スキームを「県の財政」との視点から考察した場合、(30 億円の内の)20 億円を振興財団へ無利子で貸付け財政的支出が起こり、当該 20 億円が県債発行の引き受け資金として県に戻り財政的収入が発生することにより、結果的には、財政的に増減していないこととなるため、県債発行による資金調達機能を喪失していると考えられる。
また、この資金調達機能の喪失にある状況を、財政の運用面から考えると、無利子で貸付けた 20 億円については、当然に無利子であるので何ら果実が発生しないのに対し、県債引受資金として県に戻ってきた 20 億円に関しては年利 1.7%の金利支払いのみが発生していることとなり、結果、10 年間で合計 3 億 4 千万円の財政的支出を伴うのだが、財政運用の適正性からも問題があると思われる。
また、当該スキームについては、県より補助金を支出して、振興財団が当該補助金財源を原資に各企業へ助成を行っていると言って過言ではなく、いわゆる「裏補助金」と言える点についても無視できない。つまり、地場ファンドを組成するにあたり、無利子貸付という条件によって、県が財団に支援する以上は、地場ファンドの運用においては、県費以外の財源(例えば、国債購入であれば国費が財源になる)による運用益の獲得をする努力をするべきであって、現状のように地場ファンドで県債を購入し、県費によって運用益を賄えば、無利子による資金供給(調達)という支援に上乗せして、運用益まで県が支援していることとなり、不合理な状況を生んでいると考える。かかる二重の支援の不合理性こそが、本来県債発行が目的としたはずの事業資金の調達機能を喪失してしまった事と相まって、県債の金利支払いという調達コストとしての位置づけを、実質的に地場ファンドを経由した事業費補助金へと変質させ、結果的に県においても財政運用の適正性における問題を発生させてしまった原因ではないかと考える。
以上のように、種々の問題が生じていると考えられる地場ファンドのスキームであるが、県及び振興財団において、何かしらの検討がなされた経緯も全く見出すことができず、何の問題意識も持っていなかったと思われる。
なお、先の議会では全てを国債にて運用する答弁がなされていたにも関わらず、平成 20 年 7 月 22 日の
県議会経済労働委員会において当該スキームの説明が行われ、20 億円を県債購入に充てた旨の答弁がなされたが、この場でも特段の議論はなされていない。
県担当者へのヒアリングにおいて、「スタートファンドのように、国が無利子で資金を貸付け、当該資金で国債を購入し、運用益で事業を行っている例が全国的に多く見られるが、県が類似の事業を行うことに何の問題があるのか?」との発言があった。
例えば、国の出先機関等の運営費を生み出すためにこのようなスキームが使われることも多々存在するが、このような状況は適正な目的に沿った国債発行とは言い難く、国の姿勢にも問題があると言わざるを得ない。
県は、国が行っていることは全てにおいて正であるとの思考から脱却し、県の財政は県において適正に運用・保全するとの意識を持って取り組むべきと考える。
【第二テーマ】委託契約に関する財務事務の検証について
1.検証結果
(1)対中国ビジネスコンサルタント業務委託について
① 概要
委託内容 | 対中国ビジネスコンサルタント業務委託 | ||
契約方法 | |||
契約金額 | 810,000 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
3,000,000 | 2,000,000 | 1,500,000 |
② 委託契約書の条項の不足(指摘)
委託契約書の約定に、委任契約の場合の支出証拠書類の5年書類保存義務の条項が記載されていない
(「適正な契約事務の執行について(通知)」(22 会第 63 号平成 23 年 2 月 18 日)「4 精算事務の統一的基準
の策定」別添「委任契約の精算事務について」契約上の留意点 3 参照)。
(2)長崎県地域産品テストマーケティング業務契約(加工食品等、工芸品等の 2 契約)ついて
① 概要
委託内容 | 長崎県地域産品テストマーケティング業務契約 | ||
契約方法 | 一般競争入札(加工食品等の案件、工芸品等の案件) | ||
契約金額 | 5,460,000 円(加工食品等) 5,617,500 円(工芸品等) | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | ― |
② 合議手続きの欠落について(指摘 2 件)
長崎県地域産品テストマーケティング業務契約の両案件とも、支出負担行為上の会計管理者等(出納局)の合議が必要であったが、契約締結前の手続きを失念し、締結後であったため、「合議応じず」として、合議手続きが欠落しており、正当な手続きにより事務を行う必要がある。また、担当課においては担当者任せにせず、組織としてかかる事態が生じないよう工程管理を確立するべきである。
(3)長崎県中国ビジネスサポートデスク(華南)運営業務委託ついて
① 概要
委託内容 | 長崎県中国ビジネスサポートデスク(華南)運営業務委託 | ||
契約方法 | プロポーザル方式による随意契約・一者 | ||
契約金額 | 基本契約:1,200,000 円 単価契約:15,000 円(商談先紹介:15,000 円/一回) | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | 1,120,000 |
② 事業の経済性・効率性について(意見)
当該契約は、上記の通り、基本契約と単価契約とからなっているが、単価契約が一年間で一件のみしか発生していない。単価契約は、県内企業のニーズへの対応によって発生するものであるが、仕様書において記載された利用回数の想定からはかい離がある。
基本契約に係る業務の履行はあるにせよ、ニーズとの相違があまりにも大きく、事業としての意義や経済性・効率性については問題があったと思われる。
なお、当事業は、平成 25 年度は行われていない。
Ⅱ‐18 産業人材課
【第二テーマ】委託契約に関する財務事務の検証について
1.検証結果
(1)高度人材養成事業に係る業務委託について
① 概要
委託内容 | 高度人材養成事業に係る業務委託 | ||
契約方法 | |||
契約金額 | 6,516,503 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | 7,024,434 |
② 積算根拠の明確化について(意見)
当該契約は委任契約であり、積算金額が予定価格であり当初契約額となる。月額人件費単価 180,000 円、
職員賃金日額 5,900 円については積算根拠を明示し、施行伺いで承認を得るようにするべきである。
なお、積算で示された月額単価 180,000 円については、非常勤職員単価をもとにしているとの説明を受
けたが(出所は「非常勤職員に対する報酬の支給方法について(通知)」(22 人第 166 号 平成 22 年 12 月
17 日))、当該書面も、人事課の説明では、非常勤職員単価が 180,000 円でなければならないとする性格のものでなはないとの主張であり、180,000 円の根拠とするには一定の限界があるものと考える。
(2)地域ニーズ対応人材育成支援事業に係る業務委託について
① 概要
委託内容 | 地域ニーズ対応人材育成支援事業に係る業務委託 | ||
契約方法 | |||
契約金額 | 6,298,660 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | ― |
② 積算根拠の明確化について(意見)
当該契約は委任契約であり、積算金額が予定価格であり当初契約額となる。積算金額の根拠の不明な点があり(単価の算出根拠や間接経費を直接費の 10%以内とする根拠など)、過年度の実績に基づくもの、見積書徴取の結果など、疎明資料とともに整理し、伺いによる検証、承認を得るようにするべきである。
(3)組込み制御技術者育成支援事業に係る業務委託について
① 概要
委託内容 | 組込み制御技術者育成支援事業に係る業務委託 | ||
契約方法 | |||
契約金額 | 2,345,889 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | ― |
② 積算根拠の明確化について(意見)
当該契約は委任契約であり、積算金額が予定価格であり当初契約額となる。月額人件費単価 180,000 円、
職員賃金日額 5,900 円については積算根拠を明示し、施行伺いで承認を得るようにするべきである。以下、「(1)高度人材養成事業に係る業務委託について」②に同じ。
(4)平成 24 年度高度人材養成事業に係る業務委託について
① 概要
委託内容 | 平成 24 年度高度人材養成事業に係る業務委託 | ||
契約方法 | 委任契約 | ||
契約金額 | 8,375,335 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | 15,109,652 |
② 積算根拠の明確化について(意見)
当該契約は委任契約であり、積算金額が予定価格であり当初契約額となる。積算金額の根拠の不明な点があり(単価の算出根拠、消耗品費の根拠、講師謝金の根拠など)、過年度の実績に基づくもの、見積書徴取の結果など、疎明資料とともに整理し、伺いによる検証、承認を得るようにするべきである。
③ 鋼材価格の経済性の発揮について(意見)
人件費以外の事業費で大きい割合を占める消耗品費の鋼材費であるが、委託先が購入にあたって見積書の徴取を行っていない。また実績確認においてもその点を検証していない。経済性が発揮されるよう、指導するべきと考える。
(5)高校生資格取得講習会に係る業務委託について
① 概要
委託内容 | 高校生資格取得講習会に係る業務委託 | ||
契約方法 | 委任契約 | ||
契約金額 | 3,617,174 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | 3,620,000 |
② 積算根拠の明確化について(意見)
当該契約は委任契約であり、積算金額が予定価格であり当初契約額となる。積算金額の根拠の不明な点があり(単価や数量の算出根拠)、過年度の実績に基づくもの、見積書徴取の結果など、疎明資料とともに整理し、伺いによる検証、承認を得るようにするべきである。
③ 鋼材価格の経済性の発揮について(意見)
人件費以外の事業費で大きい割合を占める消耗品費の鋼材費であるが、委託先が購入にあたって見積書の徴取を行っていない。また実績確認においてもその点を検証していない。経済性が発揮されるよう、指導するべきと考える。
④ 委託契約書の条項の不足(指摘)
委託契約書の約定に、委任契約の場合の支出証拠書類の5年書類保存義務の条項が記載されていない
(「適正な契約事務の執行について(通知)」(22 会第 63 号平成 23 年 2 月 18 日)「4 精算事務の統一的基準
の策定」別添「委任契約の精算事務について」契約上の留意点 3 参照)。
(6)高度溶接技術者養成研修事業に係る業務委託について
① 概要
委託内容 | 高度溶接技術者養成研修事業に係る業務委託 | ||
契約方法 | 委任契約 | ||
契約金額 | 3,001,000 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | ― |
② 積算根拠の明確化について(意見)
当該契約は委任契約であり、積算金額が予定価格であり当初契約額となる。積算金額の根拠の不明な点があり(単価や数量の算出根拠)、過年度の実績に基づくもの、見積書徴取の結果など、疎明資料とともに整理し、伺いによる検証、承認を得るようにするべきである。
③ 鋼材価格の経済性の発揮について(意見)
人件費以外の事業費で大きい割合を占める消耗品費の鋼材費であるが、委託先が購入にあたって見積書の徴取を行っていない。また実績確認においてもその点を検証していない。経済性が発揮されるよう、指導するべきと考える。
④ 委託契約書の条項の不足(指摘)
委託契約書の約定に、委任契約の場合の支出証拠書類の5年書類保存義務の条項が記載されていない
(「適正な契約事務の執行について(通知)」(22 会第 63 号平成 23 年 2 月 18 日)「4 精算事務の統一的基準
の策定」別添「委任契約の精算事務について」契約上の留意点 3 参照)。
(7)大学生等、留学生及び広域インターンシップ推進事業業務委託について
① 概要
委託内容 | 大学生等、留学生及び広域インターンシップ推進事業業務委託 | ||
契約方法 | 委任契約 | ||
契約金額 | 5,797,273 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
1,940,400 | 4,616,503 | 5,900,548 |
② 積算根拠の明確化について(意見)
当該契約は委任契約であり、積算金額が予定価格であり当初契約額となる。積算金額の根拠の不明な点があり(単価の算出根拠など)、過年度の実績に基づくもの、見積書徴取の結果など、疎明資料とともに整理し、伺いによる検証、承認を得るようにするべきである。
③ 請求書等の名義相違について(指摘)
任意団体である「長崎インターンシップ推進協議会」ではない宛名の請求書が見られた。事務局の名義であるが、本来名義の相違は、請求金額が任意団体に帰属しないこととなるので、県は十分に指導、検査するべきである。
(8)長崎高等技術専門校訓練生寄宿舎管理業務委託契約及び佐世保高等技術専門校訓練生寄宿舎管理業務委託契約について
① 概要
委託内容 | 長崎高等技術専門校訓練生寄宿舎管理業務委託契約 佐世保高等技術専門校訓練生寄宿舎管理業務委託契約 | ||
契約方法 | 委任契約 | ||
契約金額 | 2,999,000 円(長崎) 2,561,000 円(佐世保) | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
(長崎)2,991,000 (佐世保)2,570,000 | (長崎)2,991,000 (佐世保)2,570,000 | (長崎)3,009,000 (佐世保)2,552,000 |
② 仕様書の作成について(指摘)
高等技術専門校の寄宿舎における管理業務、寄宿舎入寮生への食事提供業務については、本来長崎県が行うべき業務を長崎、佐世保それぞれの高等技術専門校訓練支援協会が業務を受託し行っているものであ
る。このため、業務の内容については業務委託契約書もしくはその仕様書においてその業務内容が明確にされるべきである。
委託業務の内容については、長崎校、佐世保校ともに業務委託契約書第 1 条において「高等技術専門校寄宿舎における管理業務、寄宿舎入寮生への食事提供業務、及び訓練生から預託された入校経費の管理並びに経理業務を委託し・・」とされているのみで詳細が明らかにされていない。
例えば、管理業務における日用品や修繕費の負担責任、食事提供業務の仕様の詳細、などについては、長崎県が委託先である長崎及び佐世保高等技術専門校訓練支援協会との間で締結する契約書及びその仕様書において明確にする必要がある。
また、長崎県は、仕様書に基づき業務が執行されているか否かについて確認、指導を行う必要がある。
③ 江迎公舎の取り扱い(指摘)
平成 22 年度から佐世保高等技術専門校の寄宿舎が定員 45 名では受け入れができないこととなったことに伴い、江迎町の旧職員公舎を食事の提供をしない寄宿舎として利用している。当施設の管理業務は、佐世保高等技術専門校支援協会が行っているものの、この管理業務について長崎県が佐世保高等技術専門校訓練支援協会に対して委託を行っているか否かについては必ずしも契約書では明確ではない。業務委託契約書では「高等技術専門校寄宿舎における管理業務」が挙げられていることから、平成 22 年度から新たに利用を始めた江迎地区の寄宿舎についても、利用を始めた時点で自動的に含まれたものと考えられる。実際に、平成 24 年度についても江迎宿舎の管理業務に関する経費についても協会の決算には含まれている。
江迎宿舎の管理業務についても委託業務の内容に含むということについて委託契約書もしくは仕様書において明確化する必要がある。
Ⅱ‐19 資源管理課、漁業取締室、総務文書課
【第一テーマ】平成 23 年度包括外部監査の措置状況等の検証について
1.措置状況と検証結果
No | 1 |
区分 | 意見 |
報告書頁 | 121 |
項目 | 【するめいか漁獲可能量地域管理対策事業費補助金について】 申請段階での事業計画の内容検討について |
措置掲載x | x隻当たりの委託料単価については見直しの必要性の有無について県側の検討はなされていない。また、平成 21 年度(若しくは過年度)の予算実績の変動について十分 な検討がなされておらず、県側の検証が不十分と考える。本来は、平成 21 年度の実績 を踏まえた収支予算を指導するべきである。 |
報告書原文 | ア 申請段階での事業計画の内容検討について(意見) 収支予算書上、事業費の 55%(税抜で算定)を占める漁獲データ連絡委託費において、各漁協へ支払う委託料は、隻数割と基本割(定額)とで構成されている。このうち隻数割の算定根拠となっている一隻当たりの委託料単価については見直しの必要性の有無について県側の検討はなされていない。 また、平成 21 年度(若しくは過年度)の予算実績の変動について十分な検討がなされていないために、TAC 管理計画作成費中の資料印刷費や指導費中の通信運搬費の見積もり単価の設定が、平成 21 年度と同様の見積もり単価のまま申請されている。これが後段述べる実績報告時の調整弁として機能する基礎となっており、この点県側の検証が不十分と考える。 本来は、平成 21 年度の実績を踏まえた収支予算を指導するべきで ある。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置の内容等 | 県費補助は平成 22 年度をもって廃止しましたが、今後、類似する事業の遂行にあたっては、委託費の積算方法等に関する見直しを図ります。また、事業主体が過去の実績 等を勘案した収支予算としているか否か等について交付申請の段階で精査します。 |
所見 | 特に問題はない。 |
No | 2 |
区分 | 意見 |
報告書頁 | 121 |
項目 | 【するめいか漁獲可能量地域管理対策事業費補助金について】 実績報告時の検証について | |||||
措置掲載文 | 委託料の各漁協への支払について関係証憑を確認したという証跡がつづられていない。 また、実績報告の積算において、各月の経費の支払いのうちおおよその請求金額を「合理的な仮定」をもって補助事業の事業費として申請するやり方をとっているが、計画時の仮定を何の説明もなく実績報告時に変化させてしまうとその手法は単なる「調整弁」でしかなくなる。さらに、前年度実績によって崩れたはずの仮定が、再び平成 22 年度の収支予算書作成時にも用いられており、同じように仮定の変更が続けられている。補助金申請時の検証において、このような経年比較が行われていない点は是正するべきである。 定額補助金を採用する上での一定のリスクを認識し、実績報告時の内容の疑義につい ては、その信ぴょう性や妥当性に関する検討を厳密に行うべきと考える。 | |||||
報告書原文 | イ 実績報告時の検証について(意見) 上記委託料の各漁協への支払について関係証憑を確認したという証跡がつづられていない。本来は金融機関の振込依頼票や通帳の写しを添付し、精算事務の完了を確認したことの証跡を示すべきであり、かかるエビデンスの不提示は当該確認作業を実施したことの立証を困難にさせるものと考える。 さらに、実績報告において精算内容に以下の疑義がある。 【事業費の計画時と実績時の報告内容の比較】 (ⅰ)TAC 管理計画作成費 (単位:円) (ⅱ)指導費 | |||||
項目 | 計画:円 | 実績 | ||||
旅費 | 600,000 | 672,553 | 実額による精算 | |||
通 信 運 搬 費 | 48,000 | 60,000 | 4,000 円×12 か月としていた仮定を、 実績では 5,000 円×12 か月と仮定を変化させている。 | |||
会議費 | 648,000 | 732,553 |
項目 | 計画 | 実績 | |
旅費 | 480,000 | 486,296 | 実額による精算 |
通 信 運 搬 費 | 240,000 | 89,582 | 実額による精算 |
会議費 | 24,000 | 0 | 実額による精算 |
資 料 印 刷 費 | 30,000 | 48,000 | 10 円×1,000 枚×3 回としていた仮定を、実績では 10 円×1,500 枚×3 回+コピー用紙代 1,000×3 回と仮定を変 化させている。 |
消耗品費 | 30,000 | 70,006 | 実績による精算 |
委託費 | 5,623,000 | 5,632,857 | 実績による精算 |
計 | 6,427,000 | 6,326,741 |
この TAC 管理計画作成費の資料印刷費(コピー代)も指導費の通信運搬費も、補助金支給先の長崎県漁業協同組合連合会での各月の経費の支払金額のうち「、うち15,000 円」と手書きして、補助事業の事業費として申告する形で実績金額とするやり方をとっている。 つまり、自分たちの事業のなかから、いちいち補助事業分を仕分けする不効率性を排除し、手間を省くため、おおよその請求金額を「合理的な仮定」を持って処理する方法を採用している。
しかしながら、上記のようにその「合理的な仮定」を放棄し、何の説明もなく仮定を変化させてしまうとその手法は単なる「調整弁」でしかなくなる。提示された実績報告書類には、県漁連からの理由の説明も、県側の行うべき合理性を検証した証跡も見当たらなかった。
念のため、平成 21 年度も同様の問題点が見られるか検証してみたところ以下のようであった。
(ⅰ)TAC 管理計画作成費
(単位:円)
項目 | 計画 | 実績 | |
旅費 | 600,000 | 649,943 | 実額による精算 |
通 信 運 搬 費 | 240,000 | 78,974 | 実額による精算 |
会議費 | 24,000 | 0 | 実額による精算 |
資 料 印 刷費 | 30,000 | 15,000 | 10 円×1,000 枚×3 回としていた仮定を、実績では 10 円×600 枚×2 回+コピー用紙代 2,000×1 回+1,000 円と仮 定を変化させている。 |
消耗品費 | 30,000 | 28,500 | 実績による精算 |
委託費 | 5,623,000 | 5,632,857 | 実績による精算 |
計 | 6,547,000 | 6,405,274 |
(ⅱ)指導費
項目 | 計画 | 実績 | |
旅費 | 460,000 | 636,380 | 実額による精算 |
通 信 運 搬 費 | 48,000 | 55,000 | 4,000 円×12 か月としていた仮定を、実績では 5,000 円×11 か月と仮定を変 化させている。 |
計 | 508,000 | 691,380 |
平成 21 年度も同様の項目で同じような仮定の変化を伴う実績報告がなされており、理由の説明も、理由の説明の検証もなされた証跡はない。
そして前年度実績によって崩れたはずの仮定が、再び平成 22 年度の収支予算書作成時にも用いられており、同じように仮定の変更が続けられている。補助金申請時の検証において、このような経年比較が行われていない点は是正するべきである。
以上から、定額補助金を採用する上での一定のリスクを認識し、実績報告時の内容の疑義については、その信ぴょう性や妥当性に関する検討を厳密に行うべきと考える。
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置の内容等 | 県費補助は平成 22 年度をもって廃止しましたが、今後、類似する補助事業の遂行にあたっては、証跡写(監査人注:証跡となる写真)を添付させるようにします。また、事業主体が、交付申請の段階で過去の実績を勘案しているか否か精査するとともに、実 績報告時点においてもその内容を十分に精査します。 |
所見 | 特に問題はない。 |
No | 3 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 123 |
項目 | 【長崎県水産振興奨励事業(xxx水産業育成事業)費補助金について】 島原市からの補助金申請書の瑕疵と県の検証不備について |
措置掲載文 | 補助要綱等に基づき、島原市から提出された補助金交付申請書であるが、その一部を構成する「xxx水産業育成事業設計書」が島原漁協から提出されている。しかしながら、肝心の漁協の印鑑の押印がなされていない。実施主体の意思が十分に確認されない まま、交付決定をしてしまっている。 |
報告書原文 | ア 島原市からの補助金申請書の瑕疵と県の検証不備について(指摘) 補助要綱等に基づき、島原市から提出された補助金交付申請書であるが、その一部を構成する「xxx水産業育成事業設計書」が島原漁協から提出されている。しかしながら、肝心の漁協の印鑑の押印がなされていない。本来は、当該補助事業の計画遂行に係る根幹である漁協からの計画について、漁協の意思であることを当該書面で確認できるよう押印は必要であると思われる。県はこの点を確認していない。実施主体の意思が十分に確認されないまま、交付決定をしてしまっている。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置の内容等 | 補助事業の実施主体である漁協に事業計画書への押印について指導のうえ対応済みです。当該補助事業は平成 22 年度で終了していますが、今後、類似する補助事業の遂 行にあたっては、確認を徹底します。 |
所見 | 措置内容に反する類似の検出事項の存在と今後の対応について(意見) 当該案件のその後の状況について課より「受検後、島原市、島原漁協に行って口頭指導を行いました。また、類似する補助事業の遂行の際は、地元自治体及び事業実施者への手続きの確認及び不備が生じないよう指導を行っています。」との説明を受けた。 しかしながら、今回監査で、追加検討した事項の「新生水産県ながさき総合支援事業」 |
(補助事業)で類似の検出事項があり、相互牽制が機能するよう体制の整備が必要と考 える。 |
No | 4 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 123 |
項目 | 【長崎県水産振興奨励事業(xxx水産業育成事業)費補助金について】提出された事 業着手報告書及び添付書類の瑕疵と検証不備について |
措置掲載文 | 事業着手時点で島原市から漁協と産廃業者との間で締結された委託契約書の写しが提出されているが、原本証明、押印がなされていない。 また、島原市からは「事業着手報告書」が提出されているが、あくまで事業の実施主体は島原漁協であるにも関わらず、事業施行者が産廃業者、事業施行方法を請負としており、島原漁協の存在を無視して、島原漁協が委託している産廃業者だけが記載されており、一連の事業の流れが表現されていない。かかる書面の構造的な問題を、県は指摘 することなく事業実施を看過している。 |
報告書原文 | イ 提出された事業着手報告書及び添付書類の瑕疵と検証不備について(指摘) その後、事業着手時点で島原市から漁協と産廃業者との間で締結された委託契約書の写しが提出されているが、これにも問題がある。 まず、委託契約書であるが、通常なら「xxと相違ないことを証する」旨と代表者の押印が漁協印とともに記されているが、そこまでの徹底はなされていない(他の補助金では同じ島原漁協から当該記載が確認されるが、事務の統一性がないのは担当者の指導の相違であろうか)。 また、島原市からは「事業着手報告書」が提出され、事業着手の報告と内容が記載されている。しかしながら、事業施行者が産廃業者、事業施行方法を請負としており、島原漁協の存在を無視して、島原漁協が委託している産廃業者だけが記載されており、一連の事業の流れが表現されていない。あくまで事業の実施主体は島原漁協であって、事業実施の管理責任も漁協にあるはずである。委託先を記載するのは、あくまで付随的に記載するべきである。かかる書面の構造的な問題を、県は指摘することなく事業実施を 看過している。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置の内容等 | 関係者(市町、漁協等)に原本証明・押印について指導のうえ対応済みです。当該補助事業は平成 22 年度で終了していますが、今後、類似する補助事業の遂行にあたっては確認を徹底します。また、間接補助事業者に対し不備が生じないよう指導し、再発防 止に努めます。 |
所見 | No3 に同じ。 |
No | 5 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 124 |
項目 | 【長崎県水産振興奨励事業(xxx水産業育成事業)費補助金について】実績報告と実 績報告確認の不備について |
措置掲載文 | 上記同様の瑕疵がある。実績報告書の一部を構成する島原漁協からの「xxx水産業育成事業精算書」についても漁協の押印がない。島原市からの事業完成報告書についても事業実施者が産廃業者となっている。実績報告確認についても県は検証を怠っている。 申請段階から実績報告確認に至る間書面の不備が繰り返されており、県は間接補助金 という意識を改め、適正な事務に努める必要がある。 |
報告書原文 | ウ 実績報告と実績報告確認の不備について(指摘) これも上記、「ア」、「イ」と同様の瑕疵がある。実績報告書の一部を構成する島原漁協からの「xxx水産業育成事業精算書」についても漁協の押印がない。島原市からの事業完成報告書についても事業実施者が産廃業者となっている。実績報告確認についても県は検証を怠っている。 以上、申請段階から実績報告確認に至る間、書面の不備が繰り返されており、県は間接補助金という意識を改め、適正な事務に努める必要がある。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置の内容等 | 精算書に押印がなかったことについては漁協に指導のうえ対応済みです。 当該補助事業は平成 22 年度で終了していますが、今後、類似する補助事業の遂行にあたっては、間接補助事業者に対し不備が生じないよう指導し、再発防止に努めます。ま た、押印漏れ、記載内容の誤りがないように、実績報告の確認を徹底します。 |
所見 | No3 に同じ。 |
No | 6 |
区分 | 意見 |
報告書頁 | 124 |
項目 | 【長崎県水産振興奨励事業(xxx水産業育成事業)費補助金について】作業員人件費 と船の借上料の領収確認の不備 |
措置掲載文 | 当該資金について、請求書はあるが本人に渡っているという領収書が確認されていな |
い。事業完了としては資金の精算までであるから、実績確認時の確認手続が必要である。 (領収印が台帳に押印されているのを確認できたので授受については問題ないとの心証を得ている。) | |
報告書原文 | ア 作業員人件費と船の借上料の領収確認の不備(意見) 当該事業の事業費である表記の資金について、請求書はあるが本人に渡っているという領収書が確認されていない。事業完了としては資金の精算までであるから、実績確認時の確認手続が必要である。なお当方の監査時、改めて確認したが、この点領収印が台帳に押印されているのを確認できたので授受については問題ないとの心証を得ている。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置のx x等 | 受検当日に、作業員本人の受領印が押印された確認書類を入手し、包括外部監査人に 手交のうえ領収確認を行っています。 |
所見 | 上記「講じた措置の内容等」の記述では、その場での対応について述べているだけであるから、今後の改善策をどうするのかが表明されていない。措置状況は県民に対しての説明であるから、その趣旨を踏まえた回答が望まれる。ただし、その後の状況については、「類似する補助事業の遂行の際は、同様の不備がないよう確認しています。」との回答を得ている。 (以上は今回監査の検出事項とはしていない) |
No | 7 | ||
区分 | 指摘 | ||
報告書頁 | 124 | ||
項目 | 【長崎県水産振興奨励事業(xxx水産業育成事業)費補助金について】計画変更・事 業終了の取扱いと証拠書類の信頼性について | ||
措置掲載文 | 当該事業は中途で計画終了し、計画変更、実績報告を経て交付決定となっているが、中途の計画変更の手続の遅延が生じ、交付要綱の定めに適合するように一連の書面の改竄が行われている。かかる処理は県の事務事業全体の信頼性を喪失させるものであり適 切な処理を厳守されたい。 | ||
報告書原文 | イ 計画変更・事業終了の取扱いと証拠書類の信頼性について(指摘) 当該事業は中途で計画終了し、計画変更、実績報告を経て交付決定となっているが、中途の計画変更の手続の遅延が生じ、交付要綱の定めに適合するように一連の書面の改竄が行われている。かかる処理は県の事務事業全体の信頼性を喪失させるものであり適切な処理を厳守されたい。 実際の文書は以下の通りである。 | ||
平成 23 年 1 月 6 日 |
総務文書課長 様 資源管理課漁場環境班 担当者名 変更計画交付決定の遅れについて このことについて、平成 23 年 1 月 4 日時点において、10 月 20 日付で諫早市長か ら提出された計画変更承認申請書に対する変更計画承認及び交付決定通知書を 10 月 20 日付で決裁しようとしていましたが、これは、別添の諫早市からの理由のとおり、事業主体のxxx町漁協や諫早市の工期変更の認識が甘く手続きを行っていたために、県への申請が 12 月中旬となり、時間的な差異が生じたためです。 なお、諫早市に対して、相談を受けた時点での計画変更承認申請書の提出について協議を行いましたが、実施主体であるxxx町漁協からは、9 月末に業務を完了し、継続して事業を実施する意思はないとの回答があり、事業完了が確定すれば水産部関係補助金等交付要綱第 6 条第 2 項に基づき 30 日以内に実績報告書を提出しなければ ならないこととなるため、やむを得ず 10 月 20 日での提出を了解したものです。 今後は、事業主体や市に対して事業進捗状況をこまめに確認し、このようなことが ないよう指導していきたいと考えています。 | |||
資源管理課では、今回の問題について実績報告の提出遅延(完了から 30 日以内)を問題視しているようであるが、計画変更承認の事前承認も行われておらず、この点でも手続上の瑕疵がある。 県の補助金等交付規則の定め 第 11 条 補助事業者等は、別に定めるところにより、補助事業等の遂行の状況に関し、知事に報告しなければならない。 2 補助事業者等は、次の各号の一に該当する場合には、あらかじめ知事に報告して その承認又は指示を受けなければならない。 (1) 事業計画書、収支予算書その他第4条の規定により知事に提出した書類の内容を変更(別に定める軽微な変更を除く。)しようとするとき。 (2) 補助事業等を中止し、又は廃止しようとするとき。 (3) 補助事業等が予定の期間内に完了しないとき、又は補助事業等の遂行が困難となったとき。 したがって、平成 23 年 10 月 20 日で諫早市より提出された変更承認申請書(10/20 付)、これに添付されたxxx町漁協からの変更実施計画書(「平成 22 年 10 月」まではゴム印、日は空欄)、変更に係る県の交付決定通知書(10/22 付)、諫早市からの実績報告(11/25 付)、これに添付されたxxx町漁協からの事業実施精算書(11/25 付)、県の交付確定通知書(12/1)は、どれも平成 23 年 1 月 4 日以後に作成されたものである (いわゆるバックデート)。 無論、事業は 9 月末までに完了している(詳細は後段で触れる)のであるから、水産 部関係補助金要綱第 6 条第 2 項に照らすと、県の確定通知が 12 月 1 日付であるから 30日を超過していることに違いはない。 さらに問題は、「いつ事業完了したのか」である。 上記の県の文書、「変更計画交付決定の遅れについて」によれば、「実施主体であるxxx町漁協からは、9 月末に業務を完了し、」とある。またこれを意識して変更承認申請 |
を 10/20 日としていることが文面から読み取れる。ところが、実績報告確認書類を査閲したところ、放流作業として報告された一連の写真の日付(写真そのものには日付は確認できず、写真の台紙に 10/6 と記載)があり、こちらでの完了は 10 月 6 日となっている。どちらが本当なのか疑問であったため、漁協担当者から回答を得たが、完了は 10/6ということであった。 書面での検証しかできないため、どちらがxxであるかは定かではないが、実績報告の信頼性が失われていることは確かであって、今後このような事態が生じないように、間接補助金とはいえ責任の自覚をもって、事業の適正な運営に当たられたい。 | |
要約判定 内容相違 | 内容の相違とまではいかないが、改竄の内容については今後の改善や抑止につながる よう、詳細に開示するべきであったと思われる。 |
講じた措置の内容等 | 当該事業は平成 22 年度で終了していますが、今後、類似する補助事業の遂行にあたっては、 計画変更等の事態が生じた場合、速やかに所定の手続きを執るよう事業実施主体に対し指導を徹底するとともに、県や地元自治体が連携して事業進捗に留意し、再 発防止に努めます。 |
所見 | 措置内容の不足(内部管理体制改善への言及がない)について(意見) 措置内容については、対外的な働きかけだけで、県の責任について触れていない。書面の改竄を許した内部管理体制の措置も記載するべきである。 なお、その後の状況については「受検後、諫早市、xxx漁協に行って口頭指導を行いました。また、類似する補助事業の遂行の際は、地元自治体及び事業実施者への手続きの確認及び不備が生じないよう指導を行っています。」との回答を得ている。これに ついても内部的な改善は触れられていない。 |
No | 8 |
区分 | 意見 |
報告書頁 | 126 |
項目 | 【その他の補助金・負担金について】 密漁取締連携強化事業費補助金について |
措置掲載文 | 壱岐海域漁場監視連絡協議会について支出された補助金は協議会の専用通帳で管理されているのだが、各漁協への資金精算が7月 20 日と非常に遅い。本来は精算完了をもって事業完了と考えるべきであるが、精算払いとして県から支払われるタイミングも 5月中旬以降と遅いため精算完了を早めるように事務を見直す必要があると考える。 また、交付決定通知書の交付の条件に「密漁取締連携強化事業費補助金事務取扱要領」 の記載がないため、改める必要がある。 |
報告書原文 | ア 密漁取締連携強化事業費補助金について(意見) 壱岐海域漁場監視連絡協議会について支出された補助金は協議会の専用通帳で管理 |
されているのだが、各漁協への資金精算が 7 月 20 日と非常に遅い。本来は精算完了をもって事業完了と考えるべきであるが、精算払いとして県から支払われるタイミングも 5 月中旬以降と遅いため精算完了を早めるように事務を見直す必要があると考える。 また、交付決定通知書の交付の条件に「密漁取締連携強化事業費補助金事務取扱要領」の記載がないため、改める必要がある(上記総務部長通知「第 2 補助金等の交付の申請 及び決定に関する事項」6 項なお書き参照)。 | |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置の内容等 | 13 海域の漁場監視連絡協議会に対し、県からの補助金交付後は速やかに清算を行うこと、事業完了後は速やかに事業報告書等の作成、提出を行うよう指導しました。 また、平成 24 年度から、交付決定通知書において、県の補助金等交付規則、部局別要綱及び各補助金の個別実施要綱等の規定の適用がある旨を明記するよう改めており ます。 |
所見 | 特に問題はない。 |
No | 9 |
区分 | 意見 |
報告書頁 | 126 |
項目 | 【その他の補助金・負担金について】 その他の会費負担金等の見直しについて |
措置掲載文 | 全国海区漁業調整委員会連合会の会費 180,000 円、全国遊漁船業協会会費 100,000 円が年会費として支出されている。後者の団体は団体として解散の方向であるが、どちらも余剰金を抱えており、本来は総会等で会費の見直しを提言するなど随時見直しを進 め、不要な支出を検討するべきと考える。 |
報告書原文 | イ その他の会費負担金等の見直しについて(意見) 全国海区漁業調整委員会連合会の会費 180,000 円、全国遊漁船業協会会費 100,000 円が年会費として支出されている。後者の団体は団体として解散の方向であるが、どちらも余剰金を抱えており、本来は総会等で会費の見直しを提言するなど随時見直しを進 め、不要な支出を検討するべきと考える。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置の内容等 | 全国海区漁業調整委員会連合会は、会員県の指摘を受け、平成 22 年総会で会費を 180,000 円から 160,000 円に減額しています。今後も全国組織としての活動に見合った適切な負担金額と運営を求めてまいります。 なお、全国遊漁船業協会は、平成 24 年5月 30 日開催の平成 24 年度総会の議決並び |
に平成 24 年6月7日付け農林水産大臣の解散認可をもって解散しています。 | |
所見 | 特に問題はない。 |
No | 10 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 128 |
項目 | 【株式会社長崎県漁業公社について】 公有財産の使用許可及び使用料について |
措置掲載文 | 公社は県の施設である栽培漁業センターの施設管理とここで行う県の種苗生産の委託事業を営んでいる。また、センターの各種施設を使用しつつ、自主事業としての種苗生産養成事業などを行っているが、施設の使用について公有財産の使用許可はとっておらず、また使用料の減免措置も検討されていない。公有財産の使用等の適切な処理につ いて早急に対応する必要がある。 |
報告書原文 | ③ 公有財産の使用許可及び使用料について(指摘) 公社は県の施設である栽培漁業センターの施設管理とここで行う県の種苗生産の委託事業を営んでいる。また公社はそれだけでなく、センターの各種施設を使用しつつ、自主事業としての種苗生産養成事業などを行っているが、施設の使用について公有財産の使用許可はとっておらず、また使用料の減免措置も検討されていない。適切に処理しているのは、センター内にある公社の従業員休憩所と漁具の倉庫兼作業場に係る底地の使用許可のみである。 センターの受託は昭和 53 年から始まっているが(全面委託は昭和 62 年から)、公有 財産の使用等の適切な処理について早急に対応する必要がある。 |
要約判定内容相違 | 要約誤りが措置の不十分性を招いている。以下は検出案件として取り扱う。 掲載文の要約誤りにより誘発された措置の不十分性について(指摘)報告書原文と要約文を比較すると肝心な一節が省略されている。 後段述べるように、公有財産の目的外使用に係る使用許可の漏れの問題と、使用料の徴収漏れという問題、そして、それが過去から続いている点について問題解決を図らなければならない。つまり、使用許可は公法上の行為、使用料は公法上の債権、公有財産の目的外使用に係る過去の使用料徴収漏れはすなわち損害賠償請求権または不当利得返還請求権につながるという論点である。 このため、最後のxx「センターの受託は昭和 53 年から始まっているが(全面委託 は昭和 62 年から)、公有財産の使用等の適切な処理について早急に対応する必要がある。」が重要となる。 最後の一節のうち、過去を問うた部分が省略されているため、現担当者へ正確な意図 |
が伝達されず、結果的に措置が不十分になった可能性は否定できない。 実際、監査当初からヒアリングを重ねたが、過年度分の公債権の取扱いについて、全く認識がない状態であった。本来は、過去の判例等を照会し、しかるべき論理展開や結論が導き出されていなければならないが、そういった検討が行われていない。 更に、上記報告書は、当初、「センターの受託は昭和 53 年から始まっているが(全面 委託は昭和 62 年から)、無断使用・使用料の不払い(県側では未徴収)が相当期間継続していると思われる。早急に対応する必要がある。」であった。 これを、資源管理課は、 センターの受託は昭和 53 年から始まっているが(全面委託は昭和 62 年から)、 ※筆者注:訂正線は、「書くな」という意味である。訂正線以降は、「こう書け」という意味である。ゴシック強調のみ筆者(包括外部監査人)の加工である。 に修正するように申し出ており、その経緯は十分認識していたはずである。更に修正を一部受け入れた際も、県に適切な対応をするように念押しした経緯もある。 これらが十分に引き継がれず現担当者の認識と相違しているのは、過年度分の使用料の徴収にかかる問題を忌避し、引継ぎを行わなかった可能性も高い。つまり、引継ぎが適切に行われるか否かは、現状個人の判断や認識に依存しており、引継ぎ内容の適切性を第三者が検証し牽制をかけるという制度的な仕組みもない。措置が不十分になる背景のひとつといえる。 結果、過年度分の使用料に係る措置を曖昧にした県の責任は重い。 | |
講じた措置のx x等 | 公社の自主事業によるセンター施設の使用については、平成 24 年度中に使用許可の 手続をとったうえで、その公益性も勘案し、減免等の検討を行い適切に処理します。 |
所見 | 別記 1 を参照のこと。 |
別記 1
当該措置の問題点については、以下の 3 点があげられる。
① 過去の公有財産の無断使用に係る使用料の徴収漏れと、損害賠償請求権または不当利得返還請求権の行使について(指摘)
上述の通り、センターの委託は昭和 53 年から始まっており(全面委託は昭和 62 年から)、その間、公社の自主事業のために種苗センター施設の無断使用が継続していた。県側の見解としては「県・公社ともに目的外使用の認識がなかった」ということであったのだが、意図的か否かに関わらず、公有財産の目的外使用に係る使用料が公債権である以上、徴収する責務が県にはあり(自治法第 240 条、自治法施行令第 171
条から第 171 条の 7、自治法第 238 条の 4 第 7 項、同法第 225 条)、それが正式な許可手続きなく第三者によって使用収受されているのであるから使用料相当額の損害賠償請求権または不当利得返還請求権を県は持っており行使する必要があると考える。
同種の問題についての過去の判例は、「はみ出し自動販売機住民訴訟最高裁判決平成 16 年 4 月 23 日」が
あり、判決文において「道路法 32 条 1 項は,道路に広告塔その他これに類する工作物等を設け,継続して道路を使用しようとする場合においては,道路管理者の許可を受けなければならないと定めている。そして,同法 39 条 1 項は,道路管理者は道路の占用につき占用料を徴収することができる旨を定めており,この規定に基づく占用料は,都道府県道に係るものにあっては道路管理者である都道府県の収入となる(道路法施行令 19 条の 4 第 1 項)。このように,道路管理者は道路の占用につき占用料を徴収して収入とすることができるのであるから,【要旨1】道路が権原なく占有された場合には,道路管理者は,占有者に対し,占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得するものというべきである。」とある。
しかるに県は、平成 23 年度包括外部監査の指摘を受け、さらに類似の判例もあるにもかかわらず、過去の損害賠償請求権または不当利得返還請求権について措置を行っていない。
過去に遡り、公社に対し公有財産の使用料の不払いにかかる損害賠償請求権または不当利得返還請求権を即時に行使する必要がある。
② 過去の債権の時効による消滅かかる責任について(指摘)
公債権に係る不当利得返還請求権の時効は 5 年であり、無断使用の時から 5 年を経過した過去の案件については、時効が成立して消滅する。
つまり、次の 3 点について、県の責任は非常に重い。
ア 県の公有財産の管理に関する懈怠によって生じた使用料の徴収漏れイ 不当利得返還請求権の行使漏れ(措置の遅延による発生も含む)
ウ 「ア」、「イ」について時効の成立により債権消滅が生じたことによる損害
近年、債権管理の懈怠に対する住民訴訟判決も多見される状況にあり、適切な財産管理、債権管理が必要である。判決例としては、平成 12 年 04 月 24 日浦和地方裁判所判決、平成 17 年 05 月 16 日徳島地方裁
判所判決、大阪高裁判例平成 18 年 03 月 31 日などがある。
「平成 23 年度の指摘後公社との協議の結果、平成 25 年度から使用許可を行い、使用料を徴収することと したもの。なお、当該許可処分により使用料を初めて可能となるため、許可する以前にさかのぼって徴収するとの概念はありません」と県側はコメントしているが、認識を改めるべきである。
③ 平成 25 年度の措置において徴収した使用料の算定誤りと徴収漏れについて(指摘)
県は、使用料の算定を行うにあたり、「受け」と「払い」の二つの要素を相殺して算定している。つまり、
(A)公社の自主事業で使用している公有財産の使用料(県の受取り)と、もうひとつは、(B)逆に県が、
公社の施設を借りて委託事業を行っている部分の賃借料(県の支払)とを差し引いて、使用料としている。なお金額は(A)84 万(B)47 万であり、差引 37 万としている。つまりは公社の負担を軽減するための方策である。
しかし、これは明らかな誤りである。
(A)は、公債権、(B)は私債権であり、当該処理は公法上の行為と私契約を混同している。
しかも、(B)は私債権である以上、契約によるべきであるから、後述の「長崎県栽培漁業センター種苗生産及び施設管理等業務委託契約」の積算金額に賃借料として(つまり承認書を公社から受ける際の条件)含まれていて初めて成立する支払である。
県は、公法上の行為並びに公債権と、私契約による私債権の区分を明確にするべきであり、使用料 47 万
円については、徴収漏れがあってはならない。この点は既に平成 25 年 11 月に担当者へ口頭伝達しているので、徴収漏れが生じた際は明確な任務懈怠となる。
なお、栽培漁業センターの施設の改修工事が平成 25 年度中に進行しており、工事に係る使用中断期間の存在、施設後進に係る資産価値の増加により使用料の算定根拠が変化していることを我々は把握している。毎年度、使用料について適切な算定を行うよう付記しておく。
④ 措置の引継ぎと問題点の対処のありかたについて(意見)
上述の「掲載文の要約誤りにより誘発された措置の不十分性について」でも触れたが、県の措置のあり方には複合的な問題があると思われる。
措置に係る現在の状況について、本年度監査の予備調査において県は「平成 25 年度から(株)長崎県漁業公社に対して施設の使用許可を行っています。公有財産使用料も納付済みです。」としていたが、その後詳しくヒアリングし資料提出を求めたところ、様々な問題が露呈した。
「なお、当該許可処分により使用料を初めて可能となるため、許可する以前にさかのぼって徴収するとの概念はありません」という回答についても、その根拠を求めても、何の根拠もなく、問題の本質から目をそらしたいだけの対応であった。
公社との予定調和的な措置に過ぎないが、このような措置の生じる原因は、担当者の交代などにより、監査上の問題点が正確かつ十分に引き継がれず、措置の焦点がずれてしまうことが原因の一つである。しかも、総務文書課から示された要約文が原文と相違してしまうと、なおさら要約文に示された内容が「正」となり、措置の責任が曖昧になってしまうのではないかと思われる。
報告書提出までの経緯も併せ、問題の本質を理解し、それを引き継ぎの際に正確かつ適切に伝達し、第三者が引継ぎ内容を検証するシステムの構築が必要と思われる。
また、公債権、私債権の区別、判例によって示された司法上の判断など、担当課や担当者任せにできない問題については、平成 23 年度監査でも提言したように、本部管理部署の適切なフォローが必要ではなかろうか。公務員派遣法の司法判断についての対処は、一例に過ぎないのであって、法的なテクニカルな問題については、県の組織の一体的な対応が必要であると考える。
No | 11 |
区分 | 意見 |
報告書頁 | 129 |
項目 | 【株式会社長崎県漁業公社について】 長崎県栽培漁業センター種苗生産及び施設管理等業務委託契約について |
措置掲載文 | 当該委託の内容は、県の施設である栽培漁業センターの施設管理とその施設を使用しての県の放流事業等に使用する種苗の生産業務であるが、当初の計画通りの生産ができたとしても、県漁連を通じて各漁協から県に種苗の引き合いがなければ、最終的な在庫の引き受け手は公社しかなく、現状、公社が計画差の在庫を売りさばいている。現状では財政負担は表面化していないが、さらなる過剰な引受負担が生じ公社が売りさばけない事態が生じると、在庫リスクを抱え、公社の財務内容はさらに悪化するであろう。 かかる状態の回避のため、生産計画の見直しが必要であると思われる。ただしこれには、 基礎となる県全体の栽培漁業の戦略や方向性が必要となる。 |
報告書原文 | 当該委託の内容は、県の施設である栽培漁業センターの施設管理とその施設を使用しての県の放流事業等に使用する種苗の生産業務である。委託に先立ってあらかじめ事業計画が作成され、主として昨年の需要実績をベースに、どの魚介類をどういうサイズで、どれだけ生産するかが決められ、この生産計画を基礎に委託に要する経費を算定し、委託料が決められる(委任)。 しかしながら、当初の計画通りの生産ができたとしても、県漁連を通じて各漁協から県に種苗の引き合いがなければ、最終的な在庫の引き受け手は公社しかなく、現状、公社が計画差の在庫を売りさばいている。 次の表は、過去 5 年間の①委託料、②公社で実際生じた受託費用、③計画相違で公社が引受けた(買取った)種苗の卸値(卸値は県との単価契約による)、④県の種苗売却収入、⑤は①と④の差、の推移である。 (単位:円) ここには、公社の抱えるビジネスリスクの一つが潜んでいる。 もともと漁業公社は県出資 59%のいわゆる第三セクターであり、公益的企業の位置づ |
年度 | ①受託収入 | ②受託費用 | ③公社引受額 |
H22 | 210,200,000 | 189,465,829 | 33,783,708 |
H21 | 210,200,000 | 184,575,810 | 11,443,005 |
H20 | 210,200,000 | 193,052,690 | 4,160,362 |
H19 | 220,000,000 | 207,628,249 | 3,310,571 |
H18 | 220,100,000 | 202,412,293 | 10,597,634 |
年度 | ④県収入 | ⑤県収支 | |
H22 | 140,349,258 | △ 69,850,742 | |
H21 | 140,378,427 | △ 69,821,573 | |
H20 | 140,385,031 | △ 69,814,969 | |
H19 | 146,417,977 | △ 73,582,023 | |
H18 | 146,186,118 | △ 73,913,882 |
けである。一方では県の栽培センターの業務委託を随意契約でxxの間受託し、収益の 45%を占める受託事業なしには経費を吸収できない財務構造となっているが、一方では、種苗生産という、自然や天候に左右されやすく、複数年の育成期間がかかり、しかも自動化の難しさがあるといった、リスクの生じやすい事業を担っている。近年、債務超過に陥った原因のひとつには、生産失敗と在庫リスクの顕在化があったことも見逃せない。さらに県内の漁業従事者の高齢化と担い手の減少によって、種苗の需要も先行きが不透明になっており、公社も採算性の確保にも限界がある。 上記の③の公社引受欄の推移に着目すると、公社の種苗の引受負担の増加も年々増加傾向にあり、公益的企業の立場上やむを得ないとはいえ、県の収入予算の確保を優先させる結果、生産計画と実績の相違の責任を、県は公社に転嫁している状況にある。 現状では引き受けた在庫は、公社が売りさばけており、財政負担は表面化していない。しかし、さらなる過剰な引受負担が生じ公社が売りさばけない事態が生じると、在庫リスクを抱え、公社の財務内容はさらに悪化するであろう。 かかる状態の回避のため、生産計画の見直しが必要であると思われる。ただしこれには、基礎となる県全体の栽培漁業の戦略や方向性が必要となる。最終的には消費者の動向ということになるが、これまでのように前年実績をもとにした生産計画ではなく、県内の漁業者の声や県内外の栽培漁業センター以外の施設からの供給の分析といった要素も織り込みつつ、生産計画のブレが生じないようにする必要がある(その上で、生産計画の縮小が生じ、委託料が減額するならば、公社の財務内容の悪化に結びつくのであるから公社は、マーケットの縮小に耐えられるだけの体力を早急に確立する必要がある であろう)。 | |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置の内容等 | 漁業公社の経営改善については引き続き指導を行うとともに、総合水産試験場、水産総合研究センター等の協力のもと、生産技術の向上による安定生産体制の確立を支援してまいります。 県水産業振興基本計画及び第6次栽培漁業基本計画に基づき、効率的かつ効果的な栽培漁業を推進するとともに、県内・近隣県の種苗生産施設との連携も検討しながら、県センターとしての種苗供給の役割分担を明確にし、安定的な生産計画と供給に取り組ん でいます。 |
所見 | 特に問題はない。現在の状況については、以下の回答を得ている。 「生産した種苗の販売については、漁業公社とともに、市町、漁協、栽培推進協議会等に対し、引き続き種苗の販売促進を行っております。なお、漁業公社の経営改善については引き続き指導するとともに、今年度において今後5カ年を見越した経営改善計画を策定することとしており、これに併せ、安定的な種苗の確保のため栽培漁業センターの運営についても検討を行う予定であります。」 |
なお、当該契約の再監査については後段を参照のこと。 |
No | 12 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 130 |
項目 | 【株式会社長崎県漁業公社について】 取締役会の開催頻度について |
措置掲載文 | 取締役会が3か月に一回の頻度で開催されていないため開催頻度を順守する必要が ある。 |
報告書原文 | (ⅰ)取締役会の開催頻度について(指摘) 取締役会が3か月に一回の頻度で開催されていないため開催頻度を順守する必要がある。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置のx x等 | 法令遵守の指導を行い、平成 23 年度は、年に4回取締役会を開催しました。 |
所見 | 開催頻度の遵守について(意見) 現在の状況については、以下のような回答を得ており、法令を遵守するべきである。 「平成 24 年度も年に 4 回取締役会を開催しています。(6/27、10/24、12/18、3/25)な お、2 回目の取締役会は、役員の日程の調整がつかなかったことから 1 回目から 3 か月以上経過しています。」 |
No | 13 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 130 |
項目 | 【株式会社長崎県漁業公社について】 議事録について |
措置掲載文 | 平成 22 年6月から平成 23 年6月に開催された取締役議事録、株主総会議事録を閲覧したところ、議事録全てに関して、押印がなされていなかった。このような議事録は無 効であり、早急に改善すべきである。 |
報告書原文 | (ⅱ)議事録について(指摘) 平成 22 年 6 月から平成 23 年 6 月に開催された取締役議事録、株主総会議事録を閲覧したところ、議事録全てに関して、押印がなされていなかった。このような議事録は無効であり、早急に改善すべきである。 |
要約判定 | 特に問題はない。 |
内容相違 | |
講じた措置のx x等 | 議事録に記名押印し是正しました。 |
所見 | 特に問題はない。 |
No | 14 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 130 |
項目 | 【株式会社長崎県漁業公社について】 マハタ種苗生産研究会との取引について |
措置掲載文 | 平成 21 年度及び平成 22 年度共に、県の補助金の受け皿である任意団体「マハタ種苗生産研究会」の代表に、公社の代表権をもつ役員が就任している。このマハタ研究会から公社へ委託契約が締結されているが、当該契約は会社法上、利益相反取引に該当するので、事前に取締役会の承認を得なければならない。しかしながら、実際は事後報告のみで、事前の取締役会の承認は行っていないため会社法が順守されていない。今後、同 種の契約が生じる際には適切に対応するべきである。 |
報告書原文 | (ⅲ)マハタ種苗生産研究会との取引について(指摘) 平成 21 年度及び平成 22 年度共に、県の補助金の受け皿である任意団体「マハタ種苗生産研究会(以下、マハタ研究会と呼称)」の代表に、公社の代表権をもつ役員が就任している。このマハタ研究会から公社へ委託契約が締結されているが、当該契約は会社法上、利益相反取引(356 条 1 項 2 号、365 条)に該当するので、事前に取締役会の承認を得なければならない。しかしながら、実際は事後報告のみで、事前の取締役会の承認は行っていないため会社法が順守されていない。今後、同種の契約が生じる際には適切に対応するべきである。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置のx x等 | 同種の契約を行う場合には取締役会の事前承認を得るよう指導を行い、平成 23 年度 契約については適正な手続をとりました。 |
所見 | 討議論点については特に問題はない。当該事業(任意団体を形成し、団体の代表者が利 益相反取引をもたらすような形態)は平成 23 年度で終了している。 |
No | 15 |
区分 | 意見 |
報告書頁 | 131 |
項目 | 【株式会社長崎県漁業公社について】 |
マハタ種苗生産技術開発事業に関する会計処理について | |
措置掲載文 | マハタ研究会との取引については、公社の平成 21 年度及び平成 22 年度における損益計算書上、自主事業の区分で、委託契約に基づく取引として科目表示されているが、決算書の表示と契約実態とのバランスを考えるとき、他にも分かりやすい処理方法があったと思われる。当該補助事業の要綱等の制度の建付けや県から事前の指導を十分におこなうべきであったと思われ、公社はアンバランスな処理を強いられている結果になって いると考える。 |
報告書原文 | (ⅰ)マハタ種苗生産技術開発事業に関する会計処理について(意見) マハタ研究会との取引については、公社の平成 21 年度及び平成 22 年度における損益計算書上、自主事業の区分(県からの受託事業か否かの立て分け)で、委託契約に基づく取引として科目表示されており、平成 22 年度では売上高として「マハタ種苗生産技 術開発事業収入 4,000,000 円」、売上原価として「マハタ種苗生産技術開発事業費 9,241,520 円」となっている。 当該取引について、県と研究会と公社との関係や契約実態を踏まえると他にも処理方法があったと思われるが、例えばマハタ研究会を民法上の任意組合(667 条)として位置付け、組合契約を構成員で契約することよってマハタ研究会での損益を構成員に帰属させ、公社では収入 4 百万円は受取補助金として特別利益で区分表示し、原価 9,241,520円は販売費及び一般管理費の受託試験研究費と処理する方が決算書の表示と契約実態とのバランスを考えるとき、分かりやすいものになるのではないかと思われる。 結局、当該補助事業の要綱等の制度の建付けや県から事前の指導を十分におこなうべきであったと思われ、公社はアンバランスな処理を強いられている結果になっていると 考える。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置のx x等 | 平成 23 年度から実施している類似事業の会計処理は意見に準じて改正しました。 |
所見 | 特に問題はない。 |
No | 16 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 131 |
項目 | 【株式会社長崎県漁業公社について】 修繕費のなかに、本来有形固定資産として計上すべきものがある |
措置掲載文 | 平成 22 年5月計上分、調餌用ベルトコンベアー467,250 円については、一個の独立し た機器備品であり資産計上するべきものである。修繕費に含まれており経費の過大計上 |
である。 | |
報告書原文 | (ⅱ)修繕費のなかに、本来有形固定資産として計上すべきものがある。(指摘) 平成 22 年 5 月計上分、調餌用ベルトコンベアー467,250 円については、一個の独立した機器備品であり資産計上するべきものである。修繕費に含まれており経費の過大計上である。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置のx x等 | 平成 22 年度決算の修正はできませんが、今後同様の事例が生じた場合には指摘のと おりの資産計上について顧問税理士とも協議して処理するよう指導しました。 |
所見 | 下記の課からの回答の通り、前回監査の指摘内容と異なる対応を公社は行っているが、公社の責任の下、税務リスクを受容する判断を行ったものであり、今回の監査ではこれ以上の追及を行わないこととする。 「平成 24 年度の委員監査にて、「税理士と協議のうえ、パーツごとで考えると、本事例 は修繕費とすることも可ではないか」と漁業公社は判断しています。」 |
No | 17 | ||||
区分 | 指摘 | ||||
報告書頁 | 131 | ||||
項目 | 【株式会社長崎県漁業公社について】 消費税・法人税について | ||||
措置掲載文 | 会費及び負担金に計上されている取引において、消費税法上非課税取引に該当するものが課税取引として申告されており、消費税が過小申告されている事になる。 また、電柱等土地使用料については非課税取引になるが課税取引として処理されており、消費税が過大申告されている事になる。さらに当該取引は 3 年間分の使用料であり、次年度以降の期間分は本来は前受収益として処理すべきであり、その分だけ法人税法上 の所得が過大申告されている事になる。 | ||||
報告書原文 | (ⅲ)消費税・法人税について(指摘) 勘定科目のうち、会費及び負担金に計上されている取引で下記のものは消費税法上非課税取引に該当するものであるが、課税取引として申告されている。その分だけ消費税が過小申告されている事になる。 | ||||
日付 | 金額 | 摘要 | |||
6 月 25 日 | 1,000 円 | A 平成 22 年度賛助会費 | |||
〃 | 18,000 円 | B 平成 22 年度会費 | |||
6 月 28 日 | 8,000 円 | C 平成 22 年度会費 | |||
〃 | 9,000 円 | D 2010 年度学会費 | |||
6 月 29 日 | 6,000 円 | E 平成 22 年度会費 | |||
7 月 27 日 | 13,000 円 | F 平成 22 年度協会費 |
7 月 28 日 | 7,000 円 | G 平成 22 年度会費 | |||
〃 | 2,400 円 | H 平成 22 年度組会費 | |||
9 月 30 日 | 5,000 円 | I 会費 | |||
10 月 26 日 | 2,000 円 | J 平成 22 年度会費 | |||
2 月 23 日 | 2,000 円 | K 平成 22 年度会費 | |||
〃 | 10,000 円 | L 年会費 | |||
下記の取引は消費税法上、非課税取引になるが課税取引として処理されている。その分だけ消費税が過大申告されている事になる。 また当該取引は 3 年間分の使用料であり、次年度以降の期間分は、本来は前受収益として処理すべきであり、その分だけ法人税法上の所得が過大申告されている事になる。 日付 金額 摘要 11 月 15 日 13,500 円 電柱等土地使用料 | |||||
要約判定 内容相違 | 特に問題xxx | ||||
xxた措置のx x等 | 平成 23 年度決算から指摘のとおり是正するよう指導しました。 | ||||
所見 | 下記の回答を得ており、特に問題はない。 「消費税申告書により是正済みであることを確認済みです。」 |
No | 18 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 132 |
項目 | 【長崎県地域環境・生態系保全活動支援協議会について】 相互牽制の問題について |
措置掲載文 | 交付金の実績報告の作成者と県サイドでこれを検証する担当者が同一人物であるた め内部牽制が効いていない。 |
報告書原文 | 相互牽制の問題について(指摘) 交付金の実績報告の作成者と県サイドでこれを検証する担当者が同一人物であるため内部牽制が効いていない。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置のx x等 | 協議会の県交付金の実績報告作成者とこれを検証する担当者は、別の担当者にしまし た。 |
所見 | 特に問題はない。 |
No | 19 |
区分 | 意見 |
報告書頁 | 132 |
項目 | 【長崎県地域環境・生態系保全活動支援協議会について】 協議会の財産目録について |
措置掲載文 | 会の決算書で財産目録の内容が、個々の財産の説明(例えば普通預金の開設支店名、口座番号などが明らかではない)が不足しており、財産目録としての機能を果たしてい ない。 |
報告書原文 | 協議会の財産目録について(意見) 会の決算書で財産目録の内容が、個々の財産の説明(例えば普通預金の開設支店名、口座番号などが明らかではない)が不足しており、財産目録としての機能を果たしていない。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置のx x等 | 平成 23 年度決算から、個々の財産の説明を記載した様式を整備しました。 |
所見 | 特に問題はない。 |
2.追加検討した事項
(1)資源管理計画推進支援事業補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 資源管理計画推進支援事業補助金 |
補助金支出済額 | 4,673,804 円(上対馬町漁協) 6,322,600 円(野母地先資源管理研究会) |
補助対象事業費 | 7,010,718 円(上対馬町漁協) 9,484,000 円(野母地先資源管理研究会) |
補助率 | 2/3 以内 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | 上対馬町漁業協同組合、野母地先資源管理研究会 |
交付の目的・内容など | 漁業者による自主的な資源管理計画の作成と実践の推進を図る。 |
対象経費の内容 | 次に掲げる事業に要する経費 (1)広域資源管理推進事業 (2)漁具改良等推進事業 |
② 補助対象団体の誤りについて(指摘)
当該事業の補助対象者としては「漁協、漁協等が構成する団体」と水産部の要綱で定めている。
上記のうち、上対馬町漁協に対する補助事業は、補助事業に係る書面の全てが上対馬町漁協を補助団体として処理しているが、実態は、上対馬町漁協と上xxx漁協の共同体であり、本来は二団体を構成団体とする任意団体を組織するべきである(若しくは二漁協それぞれの補助事業に分割するべきである)。
③ 任意団体の性格を踏まえた補助金事務について(指摘)
野母地先資源管理研究会は任意団体であるが、補助事業の関係書類の書面上、宛名や提出者が「野母地先資源管理研究会 代表 K 社 代表取締役 S」という表記になっているが、任意団体の特性からすれば、
「野母地先資源管理研究会 代表 S」とするべきである。任意団体の構成団体に法人格がある団体があることを考慮する必要はない。
また、申請書等には K 社の代表取締役印が押印されているが、本来は任意団体の代表印が押印されるべきである。
(2)新生水産県ながさき総合支援事業補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 新生水産県ながさき総合支援事業補助金 |
補助金支出済額 | 12,000,000 円(雲仙市分) |
補助対象事業費 | 20,000,000 円(雲仙市分) |
補助率 | 6/10 以内(雲仙市分) |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | 雲仙市 他 1 団体 |
交付の目的・内容など | 長崎県総合計画及び長崎県水産業振興基本計画に基づき、漁業経営体の収 益性の改善を一層強化する取組等により、力強く豊かな水産業を育てる。 |
対象経費の内容 | 次に掲げる事業に要する経費 (1)収益体質強化事業 (2)漁場機能・生産力向上事業 (3)人づくり・漁村活性化事業 |
② 申請時の収支計画の根拠資料の瑕疵について(意見)
交付申請書(平成 24 年 5 月、県提出)に添付された収支計算書の根拠資料である見積書が、平成 24 年
2 月と古く、有効期限 30 日を超過しており、適時に資料を徴取するべきである。
③ 市より提出された資料等の県側の検証の不備について(意見)
申請時提出された支援事業の実施計画書日付の空欄を県側で記入しており、県の審査概要欄も未記入である。また、実施精算書の日付も未記入で提出を受領しており、県側の検証に不備がある。さらに、実績
確認時において財産管理台帳の作成を確認するべきである。今後は、相互牽制の体制を整備するべきと考える。
(3)ヒラメ資源回復共同放流推進事業費補助金
① 補助金の概要
補助金の名称 | ヒラメ資源回復共同放流推進事業費補助金 |
補助金支出済額 | 2,450,000 円(五島列島栽培漁業推進協議会分) 1,800,000 円(橘湾栽培漁業推進協議会分) |
補助対象事業費 | 3,675,000 円(五島列島栽培漁業推進協議会分) 2,700,000 円(橘湾栽培漁業推進協議会分) |
補助率 | 2/3 以内 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | 五島列島栽培漁業推進協議会、橘湾栽培漁業推進協議会 他 4 団体 |
交付の目的・内容など | ヒラメについて、効果的かつ効率的な栽培漁業を展開することにより、資 源の回復を図る。 |
対象経費の内容 | ヒラメの種苗の購入その他の必要な事業に要する経費 |
② 事業計画書の記載内容の不合理性について(指摘)
補助金申請時の事業計画書の段階でありながら、放流稚魚の購入先が既に特定されている記載が見られる。その後に実施された見積合わせの実効性に疑念の生じる内容であり、適切な事業の執行を指導するべきである。
そもそも、五島列島栽培漁業推進協議会の提出した「見積てんまつ書」に記載された見積年月日が手書きであり、添付された見積書の日付も手書きである。橘湾栽培漁業推進協議会の提出した「見積結果」には見積年月日の記載もなく、見積合わせの存在自体に疑念が残る状態である。
県側としても事前に検証し、適切な契約事務を指導するべきであったと思われる。検証体制の見直しが必要である。
③ 交付決定通知書に入札方法を明示すべき点について(意見)
経済性を発揮するためにも、種苗の購入にあたっての入札方法を県に準拠する旨を決定通知書上、明示するべきと考える。
(4)磯焼け回復支援事業補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 磯焼け回復支援事業補助金 |
補助金支出済額 | 2,000,000 円 |
補助対象事業費 | 4,091,850 円 |
補助率 | 1/2 以内 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | 小値賀町 |
交付の目的・内容など | 藻場を維持、回復並びに拡大することにより、沿岸漁場環境の保全と創造 を図る。 |
対象経費の内容 | 次に掲げる事業に要する経費 (1)着生基盤の整備(2)食害の防除(3)種苗の供給(4)藻場の管理、 造成等に関する計画の策定(5)潮干帯の対策(6)食害動物有効利用促進事業 |
② 申請時の収支計画の根拠資料の瑕疵について(意見)
交付申請書(平成 24 年 7 月、県提出)に添付された収支計算書の根拠資料である見積書が、平成 23 年
12 月と古いもの、見積書に日付がなく有効期限平成 24 年 3 月 30 日を超過しているものが見られた。適時に資料を徴取するべきである。
③ 町より提出された資料等の県側の検証の不備について(意見)
実施設計書の「県の審査の概要」欄には記載が適切になされているが、実施精算書の「県の審査の概要」欄には記載がない。さらに、実績確認時において財産管理台帳の作成を確認するべきである。今後は、相互牽制の体制を整備するべきと考える。
(5)FRP 漁船廃船処理対策事業費補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | FRP 漁船廃船処理対策事業費補助金 |
補助金支出済額 | xx市水産振興協議会 1,250,000 円 xx原市 FRP 漁船廃船処理対策協議会 2,902,000 円 |
補助対象事業費 | xx市水産振興協議会 2,500,000 円 xx原市 FRP 漁船廃船処理対策協議会 5,804,000 円 |
補助率 | 1/2 以内 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | xx市水産振興協議会 xx原市 FRP 漁船廃船処理対策協議会 |
交付の目的・内容など | FRP 廃船処理方法と運搬方法について、比較検証を行い経済的・効果的な廃船処理方法について漁業者に周知し、廃船処理を促進するとともに、将来の廃 FRP 漁船の大量排出に対応するための方法を確立する。また、本事 業により廃船処理を実施することにより、漁港等施設の利用促進と安全性 |
確保を図るものである。 | |||
対象経費の内容 | FRP 漁船の廃船処理の比較検証等に要する経費 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
- | 3,000,000 | - |
※平成 22 年度は長崎県水産振興奨励事業(xxx水産業育成事業)費補助金として支出
② 検証結果のフィードバックについて(意見)
当該補助金は、漁港等に放置されたあるいは今後増加するであろう FRP 漁船廃船処理にかかる費用の削減を研究することを主眼として支出されている補助金である。平成 22 年度に名称は異なるものの同様の補
助金が島原市を対象団体として支出されているが、平成 23 年度は予算計上されていない。長期間係留された廃船が現に存在することや、今後それらの廃船が増加することが予想されることを踏まえると、当該補助金が単なる廃船処理の助成金とならないために、提出された結果報告を分析し今後の廃船処理システム構築に役立てる必要がある。
(6)長崎県資源を育む長崎の海づくり事業(ガザミ産卵支援事業)費補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 長崎県資源を育む長崎の海づくり事業(ガザミ産卵支援事業)費補助金 |
補助金支出済額 | 長崎市たちばな漁業協同組合 271,000 円 橘湾東部漁業協同組合 457,000 円 長崎市xx漁業協同組合 80,000 円 橘湾中央漁業協同組合 68,000 円 島原漁業協同組合 952,000 円 西有家町漁業協同組合 587,000 円 有家町漁業協同組合 2,326,00 円 |
補助対象事業費 | 長崎市たちばな漁業協同組合 407,394 円 橘湾東部漁業協同組合 686,300 円 長崎市xx漁業協同組合 127,170 円 橘湾中央漁業協同組合 102,044 円 島原漁業協同組合 1,428,001 円 西有家町漁業協同組合 881,000 円 有家町漁業協同組合 3,489,731 円 |
補助率 | 2/3 以内 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | 長崎市たちばな漁業協同組合、橘湾東部漁業協同組合 長崎市xx漁業協同組合、橘湾中央漁業協同組合 |
島原漁業協同組合、西有家町漁業協同組合 有家町漁業協同組合、xxxxx漁業協同組合 | |
交付の目的・内容など | 長崎県におけるガザミの資源回復を図るために、漁業協同組合等が行う産卵支援活動に要する経費に対して、予算の定めるところにより、長崎xx 源を育む長崎の海づくり事業補助金を交付するもの。 |
対象経費の内容 | 有明海及び橘湾におけるガザミの資源回復を図るため、漁業協同組合等が抱卵カニの購入額と産卵後のカニの販売額の差額(損失)補填をするため に要する経費 |
② 交付額確定通知書及び交付請求日の遅延について(指摘)
当該補助金に係る事業の事業者からの実績報告及び県の内容確認が終了しているにも関わらず交付額確定の事業者への通知書が遅延しているケースが 2 件存在する。一件は実績報告の内容確認が平成 24 年 10
月 29 日で交付額確定通知が平成 25 年 3 月 7 日、もう一件は、実績報告の内容確認が平成 24 年 11 月 1 日
で交付額確定通知が平成 24 年 12 月 21 日となっている。
また、交付額確定通知書が送付されているにも関わらず事業者からの補助金交付請求書が遅延しているケースも 2 件存在する。一件は交付額確定通知が平成 24 年 12 月 21 日で補助金交付請求書が平成 25 年 2
月 28 日、もう一件は交付額確定通知が平成 24 年 11 月 9 日で補助金交付請求書が平成 25 年 3 月 14 日となっている。
手続きのスケジュール管理については、補助事業者への指導も含めて再度徹底する必要がある。
③ 抱卵カニの購入額と産卵後のカニの販売額について(指摘)
当該補助金は、有明海及び橘湾におけるガザミの資源回復を図るため、漁業協同組合等が抱卵カニの購 入額と産卵後のカニの販売額の差額(損失)補填をするために要する経費を補助する補助金である。各事 業主体である漁業協同組合等において採用している抱卵カニ購入単価及び産卵後のカニの販売単価設定が、各漁業協同組合等における市況あるいは当初の計画時の定額単価となっており統一がなされていない。実 施要綱等にも明確に定められておらず各漁協協同組合等が採用する単価によって補助金の確定金額が異な ってくることになる。適用すべき単価については、実施要綱等にて定めておくことが必要である。
【第二テーマ】委託契約に関する財務事務の検証について
1.検証結果
(1)長崎県栽培漁業センター種苗生産及び施設管理等事業委託について
① 概要
委託内容 | 長崎県栽培漁業センター種苗生産及び施設管理等事業委託 |
契約方法 | 委任契約 |
契約金額 | 210,200,000 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
210,200,000 | 210,200,000 | 210,200,000 |
② 契約書上の仕様(実施要領)との連関の明示について(指摘)
当該契約の仕様を定めた実施要領が存在するが、契約書の条文上、契約書と実施要領との直接的な関連を示すものが明示されていない。
③ 積算根拠の明確化について(意見)
当該契約は委任契約であり、積算金額が予定価格であり当初契約額となる。積算金額の根拠の不明な点があり(センター機器保守保安委託、修理費、種苗生産に係る経費の 8%程度のパーセンテージの根拠)、過年度の実績に基づくもの、見積書徴取の結果など、疎明資料とともに整理し、伺いによる検証、承認を得るようにするべきである。
④ 業務の性質と契約日が休日の場合の処理について(指摘)
当業務は、設備の保守、種苗の生命維持が伴うため、24 時間常時、委託業務の履行を求める必要がある。しかし、平成 24 年度のように、4 月 1 日が休日のため、4 月 2 日付けで契約した契約については、契約
の始期(履行義務の開始)は、あくまで 4 月 2 日からであって、前年度末の契約履行終期と年度当初の契約始期との間の委託業務の隙間を埋めることはできず、不履行責任を問うこともできない。結局、追認条項を設けても、それは委託先が行った業務に対する県からの追認でしかない。
入札・契約事務マニュアルにおいても 4 月 1 日が休日である場合の対応について、「実務上支障がなければ」という条件付きで「翌開庁日に契約を締結することもやむを得ないものと考えます」としているとおり、「業務上支障がある」常時継続が必須の当該業務は、4 月 1 日に契約するか、債務負担行為により 3 月
中に契約締結する必要がある(平成 24 年 3 月 1 日付け「平成 24 年度当初における財務会計事務処理について(23 会第 75 号)」においても同様の注意喚起があり「真にやむを得ない場合の特例」という位置づけで一連の説明が解説されているにすぎない)。
(2)有明海漁業振興技術開発事業委託(ホシガレイ種苗量産技術開発委託)について
① 概要
委託内容 | 有明海漁業振興技術開発事業委託(ホシガレイ種苗量産技術開発委託) | ||
契約方法 | 委任契約 | ||
契約金額 | 9,370,360 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | ― |
② 積算根拠の明確化について(意見)
当該契約は委任契約であり、積算金額が予定価格であり当初契約額となる。積算金額の根拠の不明な点があり(個々の消耗品の単価、人件費単価)、過年度の実績に基づくもの、見積書徴取の結果など、疎明資料とともに整理し、伺いによる検証、承認を得るようにするべきである。
③ 人件費の妥当性とその検証について(意見)
昨年度の監査でも同様の事例を取り上げ、その危険性に警鐘を鳴らしたところであるが、人件費の裏付けなく委託料を支払っている可能性があり、このタイプの契約について県は、厳格に対応するべきである。
積算段階(県側)で人件費は、
技術員(326,550 円(税込)×2 名×3 か月=)1,959,300 円と作業員(173,250 円(税込)×1 名×3 か月=)519,750 円の 計 2,479,050 円としており、
精算段階(公社側)で人件費を、
技術員 3 名の給与と社会保険料合計の 3 か月分の 2,439,761 円(税込修正後)と
作業員 1 名の給与と社会保険料合計の 3 か月分の 508,872 円(税込修正後)の
計 2,948,633 円(税込修正後)としているため、
積算に比べ 469,583 円増となっている。
また委託契約全体としては、当初契約が 13,016,000 円であったのに対し、精算減 3,645,640 円により、
最終的に 9,370,360 円となっている。精算減の原因は、飼育資料や資材の金額が積算を下回ったためである。
要約すると、次の二点が問題と思われる。
ア スタートである人件費の積算が適正性を欠いている。
イ 精算時の確認で、公社の報告通りの人員が当該委託事業に関わっているか、業務日報等で確認しておらず、作業日報自体も作成されていない。
特に当該契約では、各作業の消耗品費が積算を下回っている状況にあって、人件費の増額は逆相関であり、3 名が従事したとの主張については合理性のある説明が得られるか、慎重に検討するべきであったと思われる。監査時、作業日報での再確認を依頼したが、公社では作成しておらず、裏付けとなるものは存在していない。常識で考えると、人件費を極力抑制している公社の財務状況にあって、短期の委託事業に対応するため新たにマンパワーを調達するはずもなく、従前から雇用している職員を作業に宛てているはずであり、超過勤務部分は生じる可能性があるにせよ、基本的に固定費であるはずの人件費の大幅な増加はあり得ない。
当該契約が「委任契約」であり、委任した作業に係る経費を実費精算する性質の契約なのだから、完了確認時の人件費の検証は必須であったはずである。
(3)クエ栽培漁業推進事業にかかる種苗供給安定推進事業委託について
① 概要
委託内容 | クエ栽培漁業推進事業にかかる種苗供給安定推進事業委託 | ||
契約方法 | 委任契約 | ||
契約金額 | 5,500,000 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | ― |
② 積算根拠の明確化について(意見)
当該契約は委任契約であり、積算金額が予定価格であり当初契約額となる。積算金額の根拠の不明な点があり(個々の消耗品の単価、人件費単価)、過年度の実績に基づくもの、見積書徴取の結果など、疎明資料とともに整理し、伺いによる検証、承認を得るようにするべきである。
③ 実績報告時の県の検証の厳格化について(意見)
経費のうち、期末近辺の請求(領収書が翌 4 月)となっている案件については、納品が年度末(契約期間の終期)までに完了していることを確認するべきである。
(4)漁場環境美化推進事業委託について
① 概要
委託内容 | 漁場環境美化推進事業委託 | ||
契約方法 | 委任契約 | ||
契約金額 | 4,150,000 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
4,150,000 円 | 4,150,000 円 | 4,150,000 円 |
② 精算事務の錯誤について(意見)
当該事業の精算段階で、契約相手の県漁連に「平成 24 年度漁場環境美化推進事業委託料交付額確定通知書」なる書面が交付されている。
書面では、知事公印が押印され、「委託契約書第 7 条の規定により次のとおりその額を確定したので通知する。」として、契約額と、交付確定額が示されている。
様式もそうであるが、委託料の支払いは「交付」するものではなく、債務の履行である。契約書の約定も標準的な内容に見直すべきである。
③ 再委託の承認手続きの未実施について(指摘)
県漁連が、再委託について、県へ承認手続きを経た上で、県漁連が各漁協との間で委託契約を結び、当該事業を行うべきであるが、当該手続きが行われていない。県も再委託について認識できておらず、指導がなされていない。
相互牽制の厳格化が必要である。
(5)特産魚介類生息環境調査(貧酸素改善効果調査)業務委託について
① 概要
委託内容 | アサリ漁場への高濃度酸素水供給機器の運転管理 | ||
契約方法 | 随意契約・プロポーザル | ||
契約金額 | 89,985,000 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
89,985,000 | 89,880,000 | 89,985,000 |
② 委託内容の詳細について
諫早湾における貧酸素対策の基礎資料となるxxxによる躍層の抑制や底質環境の改善状況を把握するための調査を行う。具体的には、調査機器の調査実施場所への設置及び調査終了後の施設撤去、装置運転等の状況把握、漁業環境調査及びこれらの報告書作成である。
③ 競争性の導入について(意見)
平成 21 年度より毎年同一の受注者で予定額と同額での落札額及び最終契約金額となっている。随意契約にせざるを得ない明らかな理由がない場合には、一般競争入札へ移行できるか検討が必要である。
(6)特産魚介類生息環境調査(アサリ生息密度)業務委託について
① 概要
委託内容 | 特産魚介類生息環境調査(アサリ生息密度)業務委託 | ||
契約方法 | 委任契約 | ||
契約金額 | 1,103,672 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
1,088,850 | 1,277,850 | 1,116,355 |
② 委託内容の詳細について
国見漁協地先におけるアサリ資源の回復のための基礎資料とするため、漁場改善による稚貝の着底促進や成長状況を把握するための調査を行い、具体的なアサリ資源回復対策を検討する。
③ 委託契約書の条項の不足(指摘)
委託契約書の約定に、委任契約の場合の支出証拠書類の5年書類保存義務の条項が記載されていない
(「適正な契約事務の執行について(通知)」(22 会第 63 号平成 23 年 2 月 18 日)「4 精算事務の統一的基準
の策定」別添「委任契約の精算事務について」契約上の留意点 3 参照)。
④ 契約書と個人情報取扱特記事項の不一致について(指摘)
契約書上、第 15 条において再委託を全面禁止しているが、個人情報取扱特記事項では、再委託について県の承諾規定が含まれた文面になっており、一貫性がない。特記事項の標準フォーマットをカスタマイズしていないためである。
(7)長崎県漁業取締船xx工事監督業務委託料について
① 概要
委託内容 | 長崎県漁業取締船xx工事監督業務委託 | ||
契約方法 | 一者随意契約 | ||
契約金額 | 6,447,000 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
- | - | - |
② 設計業務委託と分割発注を行う合理性について(意見)
長崎県漁業取締船xx工事監督業務委託に関しては(有)xx高速艇研究所との 1 者随意契約で行われているが、その理由は以下のとおりである。
「当該業務は、xx工事仕様書に基づいたxx工事の適確な施工と円滑な進捗を図ることを目的としており、関係法令及び設計内容に精通し、併せて船舶のxxに関し豊富な経験、実績を要する技術者でなければならない。なお、当該船舶の設計及びxx工事仕様書の作成は(有)xx高速艇研究所が行っていて、他に設計内容に精通した業者はいない。よって、地方自治法施行令第 167 条の 2 第 1 項第 2 号の規定により随意契約とし、1者見積もりとしたい。」
つまり(有)xx高速艇研究所は、平成 22 年度長崎xx高速漁業取締船設計業務委託をプロポーザル方式により落札し、業務委託を契約しているため、他に設計内容に精通した業者はいないという事でそのまま当工事監督業務委託を 1 者随意契約のもと締結する事になった経緯であるが、そもそも当初から設計業務を担当した業者が行うという前提があるのであれば、あえて設計業務委託と監督業務委託とに分けて契約をする必要性に疑念が生じる。そもそも設計と監督は表裏一体であること、他の業者とのxx性、契約金額の観点(一つの契約にすることによる契約金額が下がる可能性が大きい)からも、このような契約に関しては考慮していく事が望ましいと考える。
(8)大中型まき網以西底びき網漁業船員等確保事業業務委託について
① 概要
委託内容 | 大中型まき網以西底びき網漁業船員等確保事業業務委託 |
契約方法 | 委任契約 |
契約金額 | 4,468,000 円(MF 社) 2,252,000 円(MG 社) 9,814,000 円(TG 社) |
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
6,880,000(MF 社) 7,005,000(MG 社) 0(TG 社) | 5,073,000(MF 社) 7,456,000(MG 社) 2,416,000(TG 社) | 2,320,000(MF 社) 3,825,000(MG 社) 1,239,000(TG 社) |
② 委託料積算の誤りについて(指摘)
当該契約は委任契約であるから積算金額の誤りは、契約金額の適正性に直結する。
上記 3 件の契約に関して、当初契約時の委託料の積算において、人件費となる雇用保険料の負担割合を 9.5/1000 で行わなければならないところを 8.5/1000 で、また労災保険料の負担割合を 20/1000 で行わなければならないところを 50/1000 で、また船員保険料及び厚生年金保険料を、標準報酬月額を基礎に計算しなければいけないところ、基本給を基礎に算出し、後日、契約変更と併せて適正な算出方法により修正している。
このような違算が生じる事に関して、単なる一人の担当者の計算ミスということで済む話ではなく、決裁を行っている課全体としての相互牽制が働いていない事が問題であると言える。
(9)底質分析及び底生生物同定業務委託について
① 概要
委託内容 | 底質分析及び底生生物同定業務委託 | ||
契約方法 | 指名競争入札 | ||
契約金額 | 1,092,000 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
787,500 | 1,102,500 | 1,092,000 |
② 参考見積の日付について(意見)
底質分析及び底生生物同定業務委託に関して、委託料の積算の際に徴求した COD 測定、粒度組成測定、生物同定、検体容器に対しての見積書に関して、見積書の発行日付が記載されていないものがあった。これではこの見積書はいつの時点で発行されたのかが不明であり、見積単価の信頼性に疑念が生じかねないことからも、見積書の発行日付は正確に記載するよう業者への周知を徹底するべきである。
(10)指導用海岸局の無線業務委託について
① 概要
委託内容 | 指導用海岸局の無線業務委託 | ||
契約方法 | 委任契約 | ||
契約金額 | 6,000,000 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
6,000,000 | 6,000,000 | 6,000,000 |
② 委託契約書の条項の不足(指摘)
委託契約書の約定に、委任契約の場合の支出証拠書類の5年書類保存義務の条項が記載されていない
(「適正な契約事務の執行について(通知)」(22 会第 63 号平成 23 年 2 月 18 日)「4 精算事務の統一的基準
の策定」別添「委任契約の精算事務について」契約上の留意点 3 参照)。
③ 委託契約書の見直しについて(意見)
委託契約において、第 1 条に、委託業務の内容として「無線業務に関する一切の業務」とされているが、一切の業務が何なのかが明示されていない。少なくとも仕様書や、実施要綱などにより、委託業務の範囲を明らかにして契約を交わすべきと思われる。
④ 積算の精緻化について(意見)
委託費精算書に記載されている、人件費、通信運搬費、通勤手当、福利厚生費、消耗品費、印刷製本費の計上金額を検証してみると、人件費に関しては 7 名中 5 名が正職員、1名嘱託、1 名パートという体性
の中、中堅の職員 2 人を選定し、それを2で割った数値、通信運搬費、通勤手当、福利厚生費、消耗品費、印刷製本費に関しては、無線に従事している職員が7名ということで、合計金額を7で割って算出している。
確かに指導用海岸局の無線業務委託契約に関しては、無線に従事している人を特定することは難しいこと、人件費以外の諸経費に関しても無線業務に直接的な費用を算出することは難しいことは理解できる。しかしながら上記のような大雑把な按分根拠では実態が伴っているとは言えないのも現実である。
人件費に関しては、職員それぞれの従事割合を算出し、その他の経費に関しては、直課できるものをまず集計し、それ以外の直課できないものをそれぞれの費目ごとに按分根拠を定め、より正確に数値を算定することが望まれる。
また、積算に当たっては、決算書から費目ごとの実績を集計しているが、消費税が二重に計算されていないか留意する必要がある。
⑤ 業務の性質と契約日が休日の場合の処理について(指摘)
当該契約は、24 時間常時、委託業務の履行を求める必要がある。
しかし、平成 24 年度のように、4 月 1 日が休日のため、4 月 2 日付けで契約した契約については、契約
の始期(履行義務の開始)は、あくまで 4 月 2 日からであって、前年度末の契約履行終期と年度当初の契約始期との間の委託業務の隙間を埋めることはできず、不履行責任を問うこともできない。結局、追認条項を設けても、それは委託先が行った業務に対する県からの追認でしかない。
入札・契約事務マニュアルにおいても 4 月 1 日が休日である場合の対応について、「実務上支障がなければ」という条件付きで「翌開庁日に契約を締結することもやむを得ないものと考えます」としているとおり(平成 24 年 3 月 1 日付け「平成 24 年度当初における財務会計事務処理について(23 会第 75 号)」においても同様の注意喚起があり「真にやむを得ない場合の特例」という位置づけで一連の説明が解説されて
いるにすぎない)、「業務上支障がある」常時継続が必須の委託業務は、4 月 1 日に契約するか、債務負担行為等の手続きを経て 3 月中に契約更新する必要がある。
(11)磯焼け対策モデル事業xx試験業務委託について
① 概要
委託内容 | 磯焼け対策モデル事業xx試験業務委託 | ||
契約方法 | 委任契約 | ||
契約金額 | 5,925,150 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
- | - | 5,268,200 |
② 委託契約書の条項の不足(指摘)
委託契約書の約定に、委任契約の場合の支出証拠書類の5年書類保存義務の条項が記載されていない
(「適正な契約事務の執行について(通知)」(22 会第 63 号平成 23 年 2 月 18 日)「4 精算事務の統一的基準
の策定」別添「委任契約の精算事務について」契約上の留意点 3 参照)。
(12)クルマエビの DNA 抽出及びミトコンドリア DNA 分析業務について
① 概要
委託内容 | クルマエビの DNA 抽出及びミトコンドリア DNA 分析業務 | ||
契約方法 | 一般競争入札 | ||
契約金額 | 単価契約 950 円 6,894,255 円 | ||
過年度の推移 (単価:円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
2,047 | 1,680 | 800 |
② 印紙の貼付の誤りについて(指摘)
平成 24 年度のクルマエビの DNA 抽出及びミトコンドリア DNA 分析業務に関しての委託契約書に関して、収入印紙が 200 円貼付されている。
しかしながら当該契約に関しては、委託契約書第 3 条に、「1 検体あたり金 950 円(消費税及び地方消費税は含まない)とする。」とのみ記載されていることから、記載金額の計算をすることが不可能であり、印紙税法上の第7号文書の単価契約に該当し、4,000 円を貼付しなければならない。また仕様書で分析検体数がおよそ 2,620 検体と定められていることから、950 円×2,620 検体=2,489,000 円と記載金額の計算をすることが可能である契約と判断した場合には印紙税法上2号文書に該当し、この場合は 1,000 円の収入印紙を貼付しなければならない。
いずれにしても 200 円の印紙税の貼付は誤りである。
また平成 23 年度のクルマエビのDNA 抽出及びミトコンドリアDNA 分析業務に関しての委託契約書に関しては収入印紙そのものが貼付されていなかった。
さらに平成 24 年度のクルマエビのDNA 抽出及びミトコンドリアDNA 分析業務に関しての変更契約書に関しても印紙が貼付されていなかった。印紙税法に準拠して契約者に適正額の印紙を貼付してもらうよう指導しなければならない。
このような契約書の不備が生じる事に関して、印紙税に対する担当者の理解不足ということで済む話ではなく、決裁を行っている課全体としての印紙税に対する周知の徹底の不備及び相互牽制が働いていない証拠であると言える。
(13)クルマエビのマイクロサテライト DNA 分析業務について
① 概要
委託内容 | クルマエビのマイクロサテライト DNA 分析業務 | ||
契約方法 | 一般競争入札 | ||
契約金額 | 単価契約 1,450 円 4,275,298 円 | ||
過年度の推移 (単価:円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
840 | 667 | 500 |
② 印紙の貼付の誤りについて(指摘)
平成 24 年度のクルマエビのマイクロサテライト DNA 分析業務に関しての委託契約書に関して、収入印紙が 200 円貼付されている。
しかしながら当該契約に関しては、委託契約書第 3 条に、「1 検体あたり金 1,450 円(消費税及び地方消費税は含まない)とする。」とのみ記載されていることから、記載金額の計算をすることが不可能であり、印紙税法上の第7号文書の単価契約に該当し、4,000 円を貼付しなければならない。また仕様書で分析検体数がおよそ 1,000 検体と定められていることから、1,450 円×1,000 検体=1,450,000 円と記載金額の計算をすることが可能である契約と判断した場合には印紙税法上2号文書に該当し、この場合は 400 円の収入印紙を貼付しなければならない。
いずれにしても 200 円の印紙税の貼付は誤りである。
また平成 23 年度のクルマエビのマイクロサテライト DNA 分析業務に関しての委託契約書に関しては収入印紙そのものが貼付されていなかった。
さらに平成 23 年度、平成 24 年度のクルマエビのマイクロサテライト DNA 分析業務に関しての変更契約書に関しても印紙が貼付されていなかった。印紙税法に準拠して契約者に適正額の印紙を貼付してもらうよう指導しなければならない。
このような契約書の不備が生じる事に関して、印紙税に対する担当者の理解不足ということで済む話ではなく、決裁を行っている課全体としての印紙税に対する周知の徹底の不備及び相互牽制が働いていない証拠であると言える。
(14)ガザミの DNA 抽出及びミトコンドリア DNA 分析業務について
① 概要
委託内容 | ガザミの DNA 抽出及びミトコンドリア DNA 分析業務 | ||
契約方法 | 一般競争入札 | ||
契約金額 | 単価契約 1,100 円 2,236,080 円 | ||
過年度の推移 (単価:円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
2,205 | 1,800 | 780 |
② 印紙の貼付の誤りについて(指摘)
平成 24 年度のガザミの DNA 抽出及びミトコンドリア DNA 分析業務に関しての委託契約書に関して、収入印紙が 200 円貼付されている。
しかしながら当該契約に関しては、委託契約書第 3 条に、「1 検体あたり金 1,100 円(消費税及び地方消費税は含まない)とする。」とのみ記載されていることから、記載金額の計算をすることが不可能であり、印紙税法上の第7号文書の単価契約に該当し、4,000 円を貼付しなければならない。また仕様書で分析検体数がおよそ 500 検体と定められていることから、1,100 円×500 検体=550,000 円と記載金額の計算をすることが可能である契約と判断した場合には印紙税法上2号文書に該当し、この場合は 200 円の収入印紙
を貼付しなければならないが、この場合 200 円の印紙税の貼付は結果的には正当である。また平成 24 年度のガザミの DNA 抽出及びミトコンドリア DNA 分析業務に関しての変更契約書に関しては印紙が貼付されていなかった。印紙税法に準拠して契約者に適正額の印紙を貼付してもらうよう指導しなければならない。このような契約書の不備が生じる事に関して、印紙税に対する担当者の理解不足ということで済む話で はなく、決裁を行っている課全体としての印紙税に対する周知の徹底の不備及び相互牽制が働いていない
証拠であると言える。
(15)ガザミのマイクロサテライト DNA 分析業務について
① 概要
委託内容 | ガザミのマイクロサテライト DNA 分析業務 | ||
契約方法 | 一般競争入札 | ||
契約金額 | 単価契約 2,500 円 2,814,000 円 | ||
過年度の推移 (単価:円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
- | 667 | 500 |
② 印紙の貼付の誤りについて(指摘)
平成 24 年度のガザミのマイクロサテライト DNA 分析業務に関しての委託契約書に関して、収入印紙が 200 円貼付されている。
しかしながら当該契約に関しては、委託契約書第 3 条に、「1 検体あたり金 2,500 円(消費税及び地方消費税は含まない)とする。」とのみ記載されていることから、記載金額の計算をすることが不可能であり、印紙税法上の第7号文書の単価契約に該当し、4,000 円を貼付しなければならない。また仕様書で分析検体数がおよそ 200 検体と定められていることから、2,500 円×200 検体=500,000 円と記載金額の計算をす
ることが可能である契約と判断した場合には印紙税法上2号文書に該当し、この場合は 200 円の収入印紙
を貼付しなければならないが、この場合 200 円の印紙税の貼付は結果的には正当である。また平成 24 年度のガザミのマイクロサテライト DNA 分析業務に関しての変更契約書に関しては印紙が貼付されていなかった。印紙税法に準拠して契約者に適正額の印紙を貼付してもらうよう指導しなければならない。
このような契約書の不備が生じる事に関して、印紙税に対する担当者の理解不足ということで済む話ではなく、決裁を行っている課全体としての印紙税に対する周知の徹底の不備及び相互牽制が働いていない証拠であると言える。
Ⅱ‐20 水産振興課
【第一テーマ】平成 23 年度包括外部監査の措置状況等の検証について
1.措置状況と検証結果
No | 1 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 134 |
項目 | 【養殖魚赤潮被害緊急対策事業費補助金について】 補助金の算出誤りについて |
措置掲載文 | 要綱及び要領によれば、補助率は補助対象事業費の 2/3 以上を補助する市町に対し、県は補助対象事業費の 1/3 以内を補助するとしており、平成 23 年3月の請求段階では補助対象事業費 12,648,340 円、県補助金 3,053,000 円及び市補助金 3,053,000 円との 実績報告がなされているが、実際の補助対象事業費は 7,269,340 円であり、県の補助金 交付額は本来 2,423,113 円であるべきなので、約 630 千円の返還を要請する必要がある。 |
報告書原文 | ア 補助金の算出誤りについて(指摘) この補助金は赤潮により予期せぬ大規模な損害が発生し場合に、その被害状況を勘案して緊急に補正の予算立てを行って交付されるものであるため、財源の有無により補助額が左右される性格を持つ。また、生きた魚を購入するため、購入の時期によって事業費が増減することも想定される。今回の補助事業において、平成 22 年 12 月の内示段階 において補助対象事業費 9,159,000 円、補助金内示額 3,053,000 円と通知していたもの の、平成 23 年 3 月の請求段階では補助対象事業費 12,648,340 円、県補助金 3,053,000 円及び市補助金 3,053,000 円との実績報告がなされた(監査時に計算し直したところ、 実際の補助対象事業費は 7,269,340 円であり実績報告書の計算が誤っていたが、県は事 業費をそのままの 12,648,340 円と確定している)。 しかし、要綱及び要領によれば、補助率は補助対象事業費の 2/3 以上を補助する市町に対し、県は補助対象事業費の 1/3 以内を補助するとしており、明らかにその要件を満たしていないにも関わらず補助金を交付している。したがって、県の補助金交付額は本来 2,423,113 円(補助対象事業費の 1/3 とした場合)であるべきなので、約 630 千円の 返還を要請する必要がある。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置のx x等 | 市に対して返還命令手続きを行い、平成 24 年3月 16 日付けで 630 千円を受領しまし た。現在、同様のミスが再発しないよう、決裁過程でのチェック体制を強化しています。 |
所見 | 特に問題はない。なお、現在の状況として以下の回答を得ている。 「同様のミスが再発しないよう、決裁過程において事業費を複数人でチェックを行って |
いる。」 |
No | 2 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 139 |
項目 | 【養殖業経営安定化緊急対策事業費補助金について】 委託契約について |
措置掲載文 | 平成 22 年度については、2社分について委託契約が未締結の状態となっていた。こ のため、長崎県からマハタ種苗生産研究会が受け入れた平成 22 年度分の補助金についても研究会側でプールされており、各事業実施主体へ委託料としての支払いがなされていない状況となっていた。この委託契約に基づく委託費は、県の補助金の対象経費となるものでもあり、早急に対応を検討する必要がある。 |
報告書原文 | ア 委託契約について(指摘) 平成 21 年度及び平成 22 年度のマハタ種苗生産研究会の事業費は、マハタ種苗生産研究会の構成メンバーである種苗事業実施団体への委託費及び海水殺菌装置の導入に関する費用となっていた。この委託費の支出については、平成 21 年度及び平成 22 年度それぞれについて、当研究会においてマハタ種苗生産技術開発事業委託事業実施要領が作成されている。この要領によると、委託業務は対象者との委託契約により実施することが定められている。平成 21 年度は、この要領に基づきマハタ種苗生産研究会と事業実 施者との間で委託契約が締結されていたが、平成 22 年度については、平成 23 年 9 月 26 日の段階で全 3 社のうち 1 社は委託契約が締結されていたものの、2 社分については、委託契約書の案が準備されている段階であり、委託契約が未締結の状態となっていた。つまり、平成 22 年度分については委託契約がない状態で、研究会を構成する団体が事業を実施し、事業を終了した状況となっている。このため、長崎県からマハタ種苗生産研究会が受け入れた平成 22 年度分の補助金についても研究会側で平成 23 年 9 月 26 日の時点でプールされており、各事業実施主体へ委託料としての支払いがなされていない状況となっていた。 また、この委託契約に基づく委託費は、県の補助金の対象経費となるものでもあり、 早急に対応を検討する必要がある。 |
要約判定 内容相違 | 要約では問題点の把握が困難と思われる。ただし、措置に影響を及ぼすものではないの で、検出事項としては取り扱わない。 |
講じた措置の内容等 | マハタ種苗生産研究会事務局に指導を行った結果、事業主体であるマハタ種苗研究会と種苗生産機関2社と未締結であった委託契約書は締結され、県から同研究会が受け入れた補助金は、平成 23 年 10 月 25 日、11 月 14 日・30 日に3事業実施機関へ委託料と して支払われました。 |
所見 | 現在の状況について、以下の回答を得ているが、別途の問題があるため、「2.追加検討した事項」を参照のこと。 「平成 24 年度以降、新魚種の種苗生産技術の開発にあたっては、県からの委託業務として「長崎県内において種苗生産業を営む民間業者」を入札参加者とする一般競争入札により契約を行っており、複数の種苗生産業者により組織される団体への補助は行って いない。」 |
No | 3 |
区分 | 意見 |
報告書頁 | 140 |
項目 | 【養殖業経営安定化緊急対策事業費補助金について】 決算書等の作成およびその監査について |
措置掲載文 | マハタ種苗生産研究会規約において、監査役は事業会計の監査を行うとされているが、平成 22 年分については、上記のように委託契約が締結されていないことなどもあり、正式な決算書が作成されておらず、当全員監査役による事業会計の監査も行われて いないこととなっている。 |
報告書原文 | イ 決算書等の作成およびその監査について(意見) マハタ種苗生産研究会は、任意団体でありその規約においては会計に関する定めはなされていない。ただし、会の規約第 4 条の「代表および監査役」において監査役は、事 業会計の監査を行うとされている。しかし、平成 22 年分については、上記のように委託契約が締結されていないことなどもあり、正式な決算書は作成されていない状況となっていた。このため、当全員監査役による事業会計の監査も行われていないこととなっ ている。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置のx x等 | マハタ種苗生産研究会事務局に指導を行った結果、決算書を作成のうえ、平成 24 年 5月 17 日に監査役による監査が行われました。 |
所見 | 当該案件については問題ない。 |
No | 4 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 140 |
項目 | 【長崎県かん水魚類養殖協議会事業活動推進補助金について】 交付決定通知の「交付の条件」の不備について |
措置掲載文 | 交付決定通知の交付の条件において、「長崎県かん水魚類養殖協議会事業活動推進補 |
助金等実施要項」に従う旨の記載が漏れており、記載するべきである。 | |
報告書原文 | ① 交付決定通知の「交付の条件」の不備について(指摘) 交付決定通知の交付の条件において、「長崎県かん水魚類養殖協議会事業活動推進補助金等実施要項」に従う旨の記載が漏れており、記載するべきである(「長崎県補助金等交付規則の施行について」(昭和 40 年 3 月 30 日 40 財第 77 号総務部長通知)「第 2 補助金等の交付の申請及び決定に関する事項」6 項なお書き参照)。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置のx x等 | 平成 24 年度から、交付決定通知書において、県の補助金等交付規則、部局別要綱及 び各補助金の個別実施要綱等の規定の適用がある旨を明記するよう改めております。 |
所見 | 特に問題はない。 |
2.追加検討した事項
(1)産地水産業施設整備支援事業費補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 産地水産業施設整備支援事業費補助金 |
補助金支出済額 | 24,897,000 円(xxxx 0 件) |
補助対象事業費 | 248,994,000 円(xxxx 0 件) |
補助率 | (1)所得の向上 補助対象事業費全体の 10 分の 1 以内から 15 分の 2 以内 (2)地先資源の増大 補助対象事業費全体の 10 分の 1 以内 (3)6 次産業化 補助対象事業費全体の 10 分の 1 以内から 15 分の 2 以内 (4)漁村の魅力向上 補助対象事業費全体の 10 分の 1 以内から 15 分の 2 以内 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | xx市他 3 市町 |
交付の目的・内容など | 産地における所得の向上、地先資源の増大、漁業の6次産業化及び漁村の 魅力向上のための共同利用施設等の整備により効率的かつ安定的な漁業経営の育成を推進する。 |
対象経費の内容 | 次に掲げる事業に要する経費 (1)所得の向上 (2)地先資源の増大 (3)6 次産業化 (4)漁村の魅力向上 |
② 補助金交付決定通知の交付の条件について(指摘)
当該補助金交付決定通知の交付の条件に、当該補助金が、県交付規則、部の交付要綱、当該補助金の要綱に従う旨、併記する必要がある。
また、決定通知上「(1)補助事業者たる市長等(以下「補助事業者」という。)は、関係法令等及びこの実施要綱にしたがわなければならない。」とあるが、「この実施要綱」が示されていない(実施要綱をそのまま転記したことが原因と思われる)など、記載上の誤りが存在するので内容の精査が必要である。
③ 間接補助事業における補助金交付決定通知の交付の条件について(意見)
市町にとっては、県費補助金を財源とする間接補助金であるため、市町の発行する決定通知の交付の条件に、市町の交付の取り決めに従う他、県交付規則、部の交付要綱、当該補助金の要綱に従う旨、併記するよう、県は指導する必要がある。現状、対応がまちまちになっており、国庫補助事業でありながら、補助金適正化法等関連法令の記述の見られない例もある。
④ 事業実施主体から提出される事業設計書等の不備について(指摘)
申請段階、変更段階、精算段階で事業実施主体から提出される事業設計書が提出されているが、実施主体の押印がないもの、「都道府県の審査の概要」欄が空欄のものが散見された。
(2)21 世紀の漁業担い手確保推進事業(技術習得支援事業)費補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 21 世紀の漁業担い手確保推進事業(技術習得支援事業)費補助金 |
補助金支出済額 | 18,521,000 円(xxxx 00 件) |
補助対象事業費 | 37,043,000 円(xxxx 00 件) |
補助率 | 1/2 以内。ただし 1 年に 92 万 5 千円を限度とする。 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | 長崎市他 11 市町 |
交付の目的・内容など | 漁業就業者の確保と各地域の実情に沿った漁業への新規就業者の定着促進 を図る。 |
対象経費の内容 | 次に掲げる事業に要する経費。ただし、補助対象経費の基準は、知事が別に定める。 (1)技術習得支援事業 漁業への新規就業の意欲と能力があると認めた者が受講する技術研修に要する経費 (2)以下略 |
(研修費の支給条件)
② 研修者状況報告書提出状況一覧の未提出・遅延について(意見)技術習得支援事業実施要領では、以下のように定められている。
第 4 条 市町長は、研修費の交付決定に際し、次の条件を付すものとする。条件
研修期間中及び研修期間終了後に次の事由が生じた場合には、研修生は原則として既に支給を受けた研修費を市町へ返還しなければならない。
(1)研修期間中に研修を中止したとき
(2)研修終了後、原則として 1 年以内に研修を受けた地域の漁業に従事しないとき
(3)研修終了後、研修を受けた地域の漁業への従事期間が原則として継続して 3 年間に満たないとき
2 市町長は、研修生に第 1 項の条件に該当する事由が生じた場合、地域協議会の意見を聴いて、やむを得ない理由があると認めたときには、研修費の返還請求をしないことができる。
(研修状況の報告等)
第 5 条 市町長は、研修を開始したときには、研修開始報告書(様式第 5 号)により、普及センターを経由して知事に報告するものとする。
2 市町長は、研修が終了した翌年度から 3 年度までの間、毎年度末日までに、地域協議会の意見を
付した研修者状況報告書(様式第 6 号)を、普及センターを経由して知事へ提出するものとする。
第 5 条第 2 項に定める研修者状況報告書の提出がなされていない例、遅延している例がある。制度の適切な履行が必要である。
(3)過年度に県費補助金で購入された機械装置の目的外使用について(指摘)
上記、「1.措置状況と検証結果」No2 で述べた「養殖業経営安定化緊急対策事業費補助金について」に付随する論点として、当該補助金で購入された機械装置の目的外使用が検出された。
マハタ種苗生産研究会へ支給された補助金については、養殖業経営安定化緊急対策事業費補助金実施要綱において、その補助の対象経費及び補助率が定められている。
要綱では補助金の対象経費として海水殺菌装置等の導入に要する費用が挙げられており、平成 21 年及び
平成 22 年にそれぞれ 1 台ずつマハタ種苗生産研究会として海水殺菌装置を購入している。
これらの機械は、平成 21 年度分が N 社へ(紫外線流水殺菌装置 3,381,000 円)、平成 22 年分が S 社(紫外線流水殺菌装置 945,000 円)へそれぞれ設置されている。そして、これらの機械については、それぞれマハタ種苗生産研究会と N 社及び S 社の間で管理委託契約が結ばれている。契約書第 4 条には委託期間の自動更新規定があり、処分制限期間後(税法耐用年数 5 年)は N 社、S 社へ無償譲渡となっている。
N 社では、当該紫外線流水殺菌装置は、仔魚飼育棟Ⅰに設置され、現在、この施設は長崎市の委託事業に用いられており、補助金の目的外使用の状態になっている。
補助金により購入した資産の取り扱い及びその処分については、長崎県補助金等交付規則第 20 条において以下のように定められている。
(財産の処分の制限)
第 20 条 補助事業者等は、補助事業等により取得し、又は効用の増加した次に掲げる財産を、補助金
等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供しようとするときは、知事の承認を受けなければならない。ただし、補助事業者等が交付を受けた補助金等の全部に相当する金額を県に納付した場合又は補助金等の交付の目的及び当該財産の耐用年数を勘案して別に定める期間を経過した場合は、この限りでない。
(1) 不動産及びその従物
(2) 機械及び重要な器具で別に定めるもの
(3) その他知事が補助金等の交付の目的を達成するため特に必要があると認めて別に定めるもの
補助金等交付規則第 20 条によると、補助事業者が補助事業により取得した資産を補助金等の交付目的に反して使用しようとするときは知事の承認が必要とされている。例外として、交付を受けた補助金等の全部に相当する金額を県に納付した場合と一定の期間を経過した場合が挙げられている。そして、この知事の承認を受けようとする場合については、養殖業経営安定化緊急対策事業費補助金実施要綱第 9 条におい
て「目的外使用承認申請書を正副 2 部提出すること」が定められている。
第 4 条(2)補助事業者は、当該補助事業により取得した財産については、補助事業完了後においても善良なる管理者の注意をもって管理するとともに、補助金の交付の目的に従って使用し、あらかじめ知事の承認を得て当該財産を処分したことにより収入があった場合は、その収入の全部又は一部を県に納
付させることがあること。
また、養殖業経営安定化緊急対策事業費補助金実施要綱第 4 条においては、補助の条件として以下のように定められている。
ここでは、補助事業者が補助事業完了後においても交付の目的に従って使用することが補助の条件としてあげられ、処分を行った場合には、処分による収入の全部又は一部を県に納付させることがある旨定められている。
したがって、現在の使用状況が、目的外使用である以上、養殖業経営安定化緊急対策事業費補助金実施要綱第 4 条に定める補助の条件に違反することとなり、補助金の返還または補助金等交付規則第 20 条及び
養殖業経営安定化緊急対策事業費補助金実施要綱第 9 条の定めに準じ目的外使用の承認をとる手続きが必要である。
県は目的外使用にあることを把握しておらず、任意団体への資産購入補助の管理の難しさが表面化した例であり、今後の制度設計、運用について十分な見直しが必要である。
(4)平成 24 年度養殖魚赤潮被害緊急対策事業補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 平成 24 年度養殖魚赤潮被害緊急対策事業補助金 |
補助金支出済額 | 2,500,000 円 |
補助対象事業費 | 7,425,180 円 |
補助率 | 1/2 以内 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | xx市長 |
交付の目的・内容など | 赤潮により大規模な被害を受けた養殖業者の早期の経営再建を図る。 |
対象経費の内容 | 漁業協同組合が「養殖魚赤潮被害緊急対策事業実施要領」にもとづき行う事業であり、当該事業における①~③の経費に市長が 2/3 以上を補助する場合の当該補助に要する経費。 (1)中間魚の購入費と購入時点での生産原価との差額 (2)中間魚の輸送にかかる経費 (3)その他、事業の推進に必要な経費 |
② 見積書の徴求について(意見)
市町村から提出された事業実施計画認定申請書の(4)魚種別購入計画及び補助対象事業費の購入予定魚の価格及び輸送料等の金額を裏付けるために見積書を徴収しているが、その見積書に関して発行日付が記載されていないものが見受けられた。
本来であれば見積書の発行がいつ行われたかを客観的にするためにも、業者に日付の入力を徹底するように指導しなければならない。また、見積書の有効期限の記載もなされていないことから、有効期限の記載に関しても指導するべきである。
(5)競争力のある養殖魚づくり推進事業補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 競争力のある養殖魚づくり推進事業補助金 |
補助金支出済額 | 480,000 円 |
補助対象事業費 | 999,960 円 |
補助率 | 1/2 以内 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | 長崎さば生産グループ |
交付の目的・内容など | 養殖魚の競争力の向上を図るため、養殖分野におけるコスト削減や付加価 値向上の取組に対して、競争力のある養殖魚づくりの推進を図る。 |
対象経費の内容 | 補助対象者が行うコスト削減、付加価値xxxの取組で知事が適当と認め る事業に要する経費。 |
② 任意団体と構成員の取引のxx性について(意見)
地産地消マッチングフェアへの出展の際のサンプル代として、任意団体から構成団体 A に対して 174,800円の支払い、構成団体 B に対して 87,400 円の支払い、食の商談会出展の際のサンプル代として構成団体 Cに対して 169,200 円の支払いが行われている。
当該取引の支出証拠書類として徴収された領収書のいずれも、上記金額が記載されているのみであり、
県の検証も実績報告の際、提出された経費明細書の内訳と一致するかを手書きで記載している状態であった。
しかし、この程度の検証では、検証したことにならない。
なぜならば、事業の実体の有無の確証が完全には得られないためである。
もちろん、サンプルに充てたこと自体を証する写真などもない。サンプル代に相当するサバや箱が本当に消費されている確証はどこで得られたのだろうか。もしかすると、報告されている数量のサンプル消費は行われておらず、構成団体の利得に消えたかもしれない。金額の妥当性も含め、如何様にも操作が可能であり、検証する立場からもその検証の十分制を立証することは困難である。
つまり、このような形態での事業は、補助金の流用がないことの確信が得づらく、事後検証も困難と考えられる。今後は、事業の実体の有無の検証、サンプル代等事業経費として計上された取引金額の妥当性を検証しうる支出証拠書類の徴取を厳格にする一方、証拠力の限界を勘案し、制度設計そのものの見直しも視野にいれることが必要と考える。
(6)新生水産県ながさき総合支援事業費補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 新生水産県ながさき総合支援事業費補助金 |
補助金支出済額 | 2,117,000 円 |
補助対象事業費 | 4,234,670 円 |
補助率 | 1/2 以内 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | xx原市 |
交付の目的・内容など | 長崎県総合計画及び長崎県水産業振興基本計画に基づき、漁業経営体の収 益性の改善を一層強化する取組等により、力強く豊かな水産業を育てる。 |
対象経費の内容 | 人づくり・漁村活性化事業のうち、浜の生産・流通・経営基盤整備対策で、次に掲げる事業に要する経費 ・人づくり・漁村活性化事業(漁村を担う人材育成、漁村における生産流 通基盤整備等の取組により漁村の活性化を図る事業) |
② 事業計画変更の承認申請の遅延について(指摘)
事業着手の遅延による工期の変更及び詳細な見積り設計による事業費及び経費配分の変更があったため、南島原市長より新生水産県ながさき総合支援事業計画変更承認申請書が、平成 24 年 12 月 20 日に提出され、同日承認書が発行されている。
しかし、その変更内容を確認したところ、当初の施工期間が平成 24 年 10 月 1 日から平成 24 年 12 月 28
日、変更後は平成 25 年 1 月 7 日から平成 25 年 3 月 22 日となっており、明らかに申請書の提出が遅いと言える。
本来であればxxxxxxxxxxxx 00 xx 0 xx 0 x及び新生水産県ながさき総合支援事業実施要
綱第 7 条基づき変更承認申請を速やかに行わなければならない。
③ 実施設計書の記載漏れについて(指摘)
平成 24 年 6 月 22 日に提出された実施設計書、変更実施設計書において、県の審査の概要に何の記載もなされていない。
本来であれば、審査した結果を記載しなければならず、このような事務処理に関して決裁を行っている課全体としての相互牽制が働いていない事が問題であると言える。
【第二テーマ】委託契約に関する財務事務の検証について
1.検証結果
(1)「高付加価値養殖技術開発事業にかかるクエ種苗生産(30 万粒)委託」及び「高付加価値養殖技術開発事業にかかるクエ種苗生産(50 万粒)委託」について
① 概要
委託内容 | 高付加価値養殖技術開発事業にかかるクエ種苗生産(30 万粒)委託 | ||
契約方法 | 一般競争入札 一者応札 落札率 99.6% | ||
契約金額 | 2,415,000 円 | ||
委託先 | N 社 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | (8,000,000) |
委託内容 | 高付加価値養殖技術開発事業にかかるクエ種苗生産(50 万粒)委託 | ||
契約方法 | 一般競争入札 一者応札 落札率 96% | ||
契約金額 | 3,307,500 円 | ||
委託先 | 株式会社長崎県漁業公社 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | (8,000,000) |
② 請負契約について(指摘)
上記 2 契約は、平成 23 年度においては、「高付加価値養殖技術開発事業にかかるクエ種苗生産業務(70万粒)」として、「長崎県種苗生産研究会」という任意団体(N 社と株式会社長崎県漁業公社(以下、公社)が構成団体)と委任契約によって、8,000,000 円の契約額であった。
従前、委任契約としておこなった契約について、請負契約としての仕様の大幅な変更もなく、契約の種類を変更している点は是認できない。契約書の約定は請負契約の意味合いを持たせたとしても委託している業務内容に変化がないためである。
委任契約と請負契約の相違が曖昧であるとすれば、平成 23 年度に委任契約による積算金額=契約金額と
なる事務の合理性までも説明できなくなる。
後段述べるように、競争性の発揮も難しく、実質は委任契約なのだから、請負契約を前提とした当該契約形態は不合理であると考える。契約事務の面においても、一般競争入札を行うための公告告示手続きや入札手続き等、煩雑な事務手続きや時間を投入することに効率性は感じられない。
③ 競争性の問題について(意見)
平成 24 年度は、契約を二つに分割し、一般競争入札によって契約事務を行っている。二年目ということ
もあり、上記ふたつの契約が、合計 5,722,500 円となって平成 23 年度と比較すると 230 万ほどの低減が見
られることはよいが、80 万粒を二分割し、平成 23 年度の受注形態(N 社 20 万粒、公社 50 万粒の生産)に近似した、振り分けを行ったかのような結果には疑念が生じる。応札も一者であり、2~3 回の入札回数とはいえ落札率は高止まりしており、競争性は感じられない。
事前アンケートからも、受注可能との返答は、この 2 社以外からは得られていない。狭隘なマーケットに対し競争をもとめるような状態ではないことは、十分わかっていたはずである。
委任契約であっても、積算金額の見直しによって経済性の発揮は十分可能と考えられ、無理な一般競争入札の導入は必要ないと考える。
仮に一般競争入札を継続するのであれば、一者応札の状態を解消するだけの条件整備が必要であろう。
④ 仕様書の「種苗生産業務委託に係る条件」の問題について(指摘)
仕様書には「6.種苗生産業務委託に係る条件」があり、「種苗生産業務委託にあたっては、以下の(1)及び(2)を全て満たすこと。」とある。条件のうち、(2)は以下の通り。
(2)種苗生産業務については、長崎県総合水産試験場職員の指示のもとに実施すること。
この条件は、委託契約ではあってはならない条件であり、派遣契約の形態と受け取られる可能性が高く、労働者派遣法や職業安定法に抵触する恐れがある。
⑤ 委託料請求書の様式誤りについて(指摘)
高付加価値養殖技術開発事業に係る委託料請求書の様式誤りがあり、全ての案件で「精算払」扱いとなっている。請負契約において「精算払」という概念はない。従前の委任契約の名残と思われるが、修正が必要である。
(2)「高付加価値養殖技術開発事業にかかるクロマグロ種苗生産(30 万粒)委託」及び「高付加価値養殖技術開発事業にかかるクロマグロ種苗生産(50 万粒)委託について
① 概要
委託内容 | 高付加価値養殖技術開発事業にかかるクロマグロ種苗生産(30 万粒)委託 |
契約方法 | 入札不調による随意契約 |
契約金額 | 1,050,000 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | (2,800,000) |
委託内容 | 高付加価値養殖技術開発事業にかかるクロマグロ種苗生産(50 万粒)委託 | ||
契約方法 | 一般競争入札 一者応札 落札率 88.4% | ||
契約金額 | 1,299,999 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | (2,800,000) |
② 請負契約について(指摘)
上記 2 契約は、平成 23 年度においては、「成 23 年度高付加価値養殖技術開発事業にかかるクロマグロ種苗生産業務」として、「長崎県種苗生産研究会」と委任契約によって、2,800,000 円の契約額であった。
従前、委任契約としておこなった契約について、請負契約としての仕様の大幅な変更もなく、契約の種類を変更している点は是認できない。契約書の約定は請負契約の意味合いを持たせたとしても委託している業務内容に変化がないためである。
委任契約と請負契約の相違が曖昧であるとすれば、平成 23 年度に委任契約による積算金額=契約金額となる事務の合理性までも説明できなくなる。
後段述べるように、競争性の発揮も難しく、実質は委任契約なのだから、請負契約を前提とした当該契約形態は不合理であると考える。契約事務の面においても、一般競争入札を行うための公告告示手続きや入札手続き等、煩雑な事務手続きや時間を投入することに効率性は感じられない。
③ 競争性の問題について(意見)
平成 24 年度は、契約を二つに分割し、一般競争入札によって契約事務を行っている。二年目ということ
もあり、上記ふたつの契約が、合計 2,349,999 円となって平成 23 年度と比較すると 45 万ほどの低減が見られることはよいが、一般競争入札に移行する動機や、80 万粒を 50 万粒、30 万粒で二分割した根拠や合理性には疑問が残る(リスクを分散する趣旨で施設を分けるにせよ、50 万、30 万にする根拠には乏しい)。生産能力のアンケートを見ても、狭隘なマーケットに競争をもとめるような状態ではないことは、十分わかっていたはずである。
委任契約であっても、積算金額の見直しによって経済性の発揮は十分可能と考えられ、無理な一般競争入札の導入は必要ないと考える。
仮に一般競争入札を継続するのであれば、一者応札の状態を解消するだけの条件整備が必要であろう。
④ 契約書・請求書の印影相違(指摘)
高付加価値養殖技術開発事業にかかるクロマグロ種苗生産(50 万粒)委託において、契約書に押印された印影と請求書の印影は、一般競争入札の資格審査時に提出された印鑑届(県と取引上使用する書類に、
全てこの印鑑を使用する、として届け出た印影)の印影と相違している(違う印鑑が使用されている)。入札時の入札書等の印影相違は生じていないが、当該契約書・請求書の効力に瑕疵がある。
⑤ 仕様書の「種苗生産業務委託に係る条件」の問題について(指摘)
仕様書には「6.種苗生産業務委託に係る条件」があり、「種苗生産業務委託にあたっては、以下の(1)及び(2)を全て満たすこと。」とある。条件のうち、(2)は以下の通り。
(2)種苗生産業務については、長崎県総合水産試験場職員の指示のもとに実施すること。
この条件は、委託契約ではあってはならない条件であり、派遣契約の形態と受け取られる可能性が高く、労働者派遣法や職業安定法に抵触する恐れがある。
⑥ 設計金額の参考見積の精度について(意見)
県が提示した条件で、種苗供給が可能と回答した業者 2 社からの回答を単純平均して設計金額を求めており、設計金額としての精度に疑問が残る。そもそも、「県が提示した条件で、種苗供給が可能と回答した業者」を前提とすれば、得られるデータ数は限られるのであるから、少なくとも異常値を排除した 3 社平均を採用するよう努力するべきと考える。
(3)高付加価値養殖技術開発事業にかかるクエ養殖試験業務委託について
① 概要
委託内容 | 高付加価値養殖技術開発事業にかかるクエ養殖試験業務委託(二年目) | ||
契約方法 | 委任契約 | ||
契約金額 | 2,445,595 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | 4,000,000 |
委託内容 | 高付加価値養殖技術開発事業にかかるクエ養殖試験業務委託(一年目) | ||
契約方法 | 一般競争入札不調による一者随意契約(見積)ただし応札は一者 | ||
契約金額 | 2,100,000 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | ― |
② 請負契約について(指摘)
上記、二年目 2,445,595 円の契約は、平成 23 年度に委任契約で契約していたことから、平成 24 年度も一貫性を持たせて、委任契約の事務によって委任契約を締結している。
しかし、一年目 2,100,000 円の契約は請負契約として、一般競争入札(結果的には入札不調で一者随意
契約)を行っている。
両者の仕様は大幅には変わらない。いかに契約書の条項や仕様書が請負契約を意識した内容であっても、実態に変化がなければ不合理性は変わることはない。
③ 一年目 2,100,000 円の契約に係る仕様書の「種苗生産業務委託に係る条件」の問題について(指摘)仕様書には「6.種苗生産業務委託に係る条件」があり、「種苗生産業務委託にあたっては、以下の(1)
及び(2)を全て満たすこと。」とある。条件のうち、(2)は以下の通り。
(2)種苗生産業務については、長崎県総合水産試験場職員の指示のもとに実施すること。
この条件は、委託契約ではあってはならない条件であり、派遣契約の形態と受け取られる可能性が高く、労働者派遣法や職業安定法に抵触する恐れがある。
④ 一年目 2,100,000 円の契約に係る設計金額の参考見積の精度について(意見)
県が提示した条件で、種苗供給が可能と回答した業者 2 社からの回答を単純平均して設計金額を求めており、設計金額としての精度に疑問が残る。特に、設計金額の費目の中で、一社が消耗品費をゼロと回答している例があり、もう一社の提示した消耗品費 80,000 円の単純平均 40,000 円を採用している点などは、
説得力が感じられない。少なくとも異常値を排除した 3 社平均を採用するよう努力するべきと考える。
⑤ 二年目 2,445,595 円の契約における、業務の性質と契約日が休日の場合の処理について(指摘)当業務は、稚魚の生命維持が伴うため、24 時間常時、委託業務の履行を求める必要がある。
しかし、平成 24 年度のように、4 月 1 日が休日のため、4 月 2 日付けで契約した契約については、契約
の始期(履行義務の開始)は、あくまで 4 月 2 日からであって、前年度末の契約履行終期と年度当初の契約始期との間の委託業務の隙間を埋めることはできず、不履行責任を問うこともできない。結局、追認条項を設けても、それは委託先が行った業務に対する県からの追認でしかない。
入札・契約事務マニュアルにおいても 4 月 1 日が休日である場合の対応について、「実務上支障がなければ」という条件付きで「翌開庁日に契約を締結することもやむを得ないものと考えます」としているとおり、「業務上支障がある」常時継続が必須の当該業務は、4 月 1 日に契約するか、債務負担行為により 3 月
中に契約締結する必要がある(平成 24 年 3 月 1 日付け「平成 24 年度当初における財務会計事務処理について(23 会第 75 号)」においても同様の注意喚起があり「真にやむを得ない場合の特例」という位置づけで一連の説明が解説されているにすぎない)。
(4)高付加価値養殖技術開発事業にかかるクロマグロ中間育成(60mm)業務委託について
① 概要
委託内容 | 高付加価値養殖技術開発事業にかかるクロマグロ中間育成(60mm)業務委託 |
契約方法 | 一般競争入札 一者応札 落札率 78.1% |
契約金額 | 2,625,000 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | 3,191,033 |
② 設計金額の参考見積の精度について(意見)
県が提示した条件で、種苗供給が可能と回答した業者 2 社からの回答を単純平均して設計金額を求めて
いるが、かい離の大きい見積金額の平均では精度に疑問が残る。少なくとも異常値を排除した 3 社平均を採用するよう努力するべきと考える。
(5)高付加価値養殖技術開発事業にかかるクロマグロ中間育成(150mm)業務委託について
① 概要
委託内容 | 高付加価値養殖技術開発事業にかかるクロマグロ中間育成(150mm)業務委託 | ||
契約方法 | 一般競争入札 一者応札 落札率 98.6% | ||
契約金額 | 3,780,000 円 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | 3,500,000 |
② 契約書の印影相違(指摘)
契約書に押印された印影は、一般競争入札の資格審査時に提出された印鑑届(県と取引上使用する書類に、全てこの印鑑を使用する、として届け出た印影)の印影と相違している(違う印鑑が使用されている)。
入札時の入札書等の印影相違は生じていないが、当該契約書の効力に瑕疵がある。
③ 契約の集約の可能性について(意見)
上記(2)で検討した「高付加価値養殖技術開発事業にかかるクロマグロ種苗生産(50 万粒)業務委託:契約期間 6 月 12 日から 8 月 31 日」と、当「クロマグロ中間育成(150mm)業務委託:契約期間 7 月 18 日
から 3 月 29 日」とは、業者も同一であり、業務も連続しているのだから、契約を一本にまとめるべきではなかったか。事務の効率化の検討が必要と考える。
④ 設計金額の参考見積の精度について(意見)
県が提示した条件で、種苗供給が可能と回答した業者 2 社からの回答を単純平均して設計金額を求めて
いるが、かい離の大きい見積金額の平均では精度に疑問が残る。少なくとも異常値を排除した 3 社平均を採用するよう努力するべきと考える。
(6)沿岸漁業新規雇用促進事業委託について
① 概要
委託内容 | 沿岸漁業新規雇用促進事業委託 |
契約方法 | 委任契約 | ||
契約金額 | 2,180,000 円(上対馬町漁業) 3,250,000 円(xxxxx漁協)他 | ||
過年度の推移(円) | 平成 21 年度 | 平成 22 年度 | 平成 23 年度 |
― | ― | ― |
② 合議手続きの欠落について(指摘 2 件)
上記、両契約において、支出負担行為上の会計管理者等(出納局)の合議が必要なところ、契約締結後であったため、「合議応じず」として、合議手続きが欠落している。正当な手続きにより事務を行う必要がある。また、顛末書には原因を「担当者が気づかず」としているが、課として担当者任せにせず、組織としてかかる事態が生じないようお互いが牽制を利かせ、工程管理を確立するべきと考える。
③ 提出された研修計画の取扱いについて(意見)
委任契約であり、契約書第 2 条第 2 項の定めにより研修計画の報告を求めているだけとはいえ、契約締結後に詳細な事業内容が定まる以上、その研修計画が事業目的に適合するかは県側で検討する必要があると思われる。現在は、回覧のみで終わっているが、契約書の条項の見直しも含めて、伺いを経て相手側への承認という形で進めることが、委託契約の適切な履行にもつながるものと考える。
Ⅱ‐21 水産加工・流通室
【第一テーマ】平成 23 年度包括外部監査の措置状況等の検証について
1.措置状況と検証結果
No | 1 |
区分 | 意見 |
報告書頁 | 134 |
項目 | 【xxx水産業育成事業費補助金について】 事業運営について |
措置掲載文 | 佐世保魚市場もったいない水産物地産地消促進協議会については、運営体制や資金精算の状況からすれば佐世保魚市場㈱が単独で事業運営していると何ら変わりないと捉えられ、団体内での適正な牽制機能が働いている状況で事業が運営されているか否か疑問が残るところである。よって事業収支の実績確認においては証憑書類の現物確認等に おいて細かな検証が必要である。 |
報告書原文 | ② 事業運営について(意見) 佐世保魚市場もったいない水産物地産地消促進協議会は、佐世保魚市場に水揚げされる水産物の販路開拓、拡大を図るために、低価格で取引されていた規格外の旬の魚介類や開発した加工品を展示販売する事によって魚価の底上げを図り、佐世保魚市場産水産物の販売促進に寄与することを目的としている。この協議会の会則によれば、佐世保魚市場㈱、社団法人佐世保魚市場協会、志々伎漁業協同組合、xx・小値賀漁業協同組合、有川町漁業協同組合、新魚目町漁業協同組合で構成され、協議会の会長は佐世保魚市場 ㈱の社長が就任し、事務局は佐世保魚市場㈱に置かれ、協議会の進行についても佐世保魚市場㈱の実務担当者が行うとされている。 もったいない水産物普及事業の費用項目は、広報活動費、漁師料理紹介費、イベント費、会場設営費及び事務費に大別される。このうち漁師料理紹介費及びイベント費に含まれる調理材料費については佐世保魚市場㈱から調達され、他の費用項目についても佐世保魚市場㈱からの協議会へ一括して請求が行われ、その内容を証する請求書・領収証等も佐世保魚市場㈱の社内管理となっている。このような運営体制や資金精算の状況からすれば佐世保魚市場㈱が単独で事業運営していると何ら変わりないと捉えられ、団体内での適正な牽制機能が働いている状況で事業が運営されているか否か疑問が残るところである。よって事業収支の実績確認においては証憑書類の現物確認等において細か な検証が必要である。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置の内 | 現在、証憑書類の現物確認と併せて、収入・支出の書面決裁(複数者の関与)及び通 |
容等 | 帳等の適正な管理(預金通帳と印鑑の別人保管、金庫等への保管)等の指導に加え、佐世保魚市場(株)以外の他の構成団体によるチェックなど、団体内の事業執行体制につ いても指導しています。 |
所見 | 特に問題はない。現在の状況として、以下の回答を得ている。 「証憑書類の現物確認と併せて、収入・支出の書面決裁、通帳等の適正な管理及び団体内の事業執行体制についても引き続き指導を行っています。」 |
No | 2 |
区分 | 意見 |
報告書頁 | 135 |
項目 | 【xxx水産業育成事業費補助金について】 予算策定について |
措置掲載文 | 広報活動費や会場設営費などについては予算額と実績額との差が大きい支出項目が 見受けられる。今後は精度を高めた予算書を作成するよう指導を徹底すべきである。 |
報告書原文 | ③ 予算策定について(意見) 佐世保魚市場もったいない水産物地産地消促進協議会の水産物普及事業は、平成 21年度から行われ、同時に補助事業として県から補助金が交付されている。2 年目となる平成 22 年度以降においては、予算と実績の整合性についても精査が当然必要である。特段の事業計画の見直しがない限り、あらかじめ見積書等を取り寄せ、支出予定金額を確認しておけば、予算額と実績額に大きな乖離は生じないはずである。しかしながら、下記に示す通り、広報活動費や会場設営費などについては予算額と実績額との差が大きい支出項目が見受けられる。例えば、パンフレット作成費や固定費として一定であるはずの施設使用料などである。今後は精度を高めた予算書を作成するよう指導を徹底すべ きである。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置のx x等 | 現在、パンフレット作成費や固定費として一定である施設使用料などについては、事 業申請の時点で精査されているか確認・指導を行っています。 |
所見 | 特に問題はない。なお現在の状況について以下の回答を得ている。 「申請書の作成にあたっては、見積書を取るなどして、なおいっそう精度を高めた予算となるよう、引き続き確認・指導を行っています。」 |
No | 3 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 137 |
項目 | 【長崎俵物創出協議会活動強化事業補助金について】 |
長崎俵物創出協議会活動協会支援事業補助金の支出内容について | |
措置掲載文 | 協議会補助金の支出内容に、完成した商品の PR も兼ねた試験的な発送のための包装紙作成費や商品説明用のxxx作成費等が含まれていた。このような内容の経費は、協議会補助金の対象経費ではなく「俵物商品開発・改良等支援事業」補助金として各事業者等が申請を行うべきものである。補助金別の交付対象及び対象経費を明確に理解し、 適正に事務事業を行うべきである。 |
報告書原文 | ③ 長崎俵物創出協議会活動協会支援事業補助金の支出内容について(指摘) もうかるブランド体制支援事業費補助金の内、長崎俵物創出協議会活動強化支援事業については、事業主体が平成「長崎俵物」創出協議会(以下、「協議会」という)となっている。当該協議会は、「俵物」の知名度向上対策と販売力の重点強化を図り商品の原料や生産状況等の在庫情報をxx的に管理するとともに消費者ニーズを把握するために、平成 16 年に設置され、社団法人長崎県水産加工振興協会(以下、「水産協会」と いう)を含め計 7 団体で構成されている。 協議会の活動強化を支援する当該事業に対する補助金(以下、「協議会補助金」という)として平成 22 年度は 2,083,000 円が交付されている。要綱別表の 2 にあるが、協議会補助金は協議会の設置目的にもあるように、「俵物」商品力強化の企画等の検討としての原料の開拓等に要する経費に対して交付される。「俵物」商品自体の開発及び改良、販路開拓、PR 等に関しては、要綱別表の 1 の「俵物商品開発・改良等支援事業」補助金として協議会以外の各加工業者等が交付申請を行うことになる。 今回、協議会補助金の支出内容について確認を行ったが、完成した商品の PR も兼ねた試験的な発送のための包装紙作成費や商品説明用のxxx作成費等が含まれていた。このような内容の経費は、協議会補助金の対象経費ではなく「俵物商品開発・改良等支援事業」補助金として各事業者等が申請を行うべきものである。補助金別の交付対象及 び対象経費を明確に理解し、適正に事務事業を行うべきである。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置の内容等 | 俵物認定業者の個別商品については、「俵物商品開発・改良等支援事業」において補助の対象となっており、「長崎俵物創出協議会活動強化支援事業」との区分けを誤って いました。現在、事業種目に十分注意し、適正な事務に努めています。 |
所見 | 措置については言及するところはないが、別途検出事項がある。「2.追加検討した事項」 を参照のこと。 |
No | 4 |
区分 | 指摘 |
報告書頁 | 137 |
項目 | 【平成「長崎俵物」品質基準管理業務委託について】 |
問題点について | |
措置掲載文 | 支出の内、最も多額な役務費については、全て「俵物製品品質検査」を行う外部の事業者への外注検査費であった。委託契約書において、書面により県の承諾を得たときを除き再委託の禁止が明示されている。当該品質検査の全面外注は書面により県の承諾を得ておらず、内容として委託業務の再委託と言わなければならない。事業内容の実態に 合わせて早急に契約方法の見直しを行うべきである。 |
報告書原文 | ア 契約方法の見直しについて 当該委託事業は、次の事業内容となっている。 (ⅰ)俵物企画管理点検調査 (a)俵物製造工場調査 (b)俵物製品品質検査 (ⅱ)俵物企画管理者研修会 当該委託事業について、社団法人長崎県水産加工振興協会が県に提出した支出積算明細は次の通り。 当該支出内容について確認を行ったところ、支出の内、最も多額な役務費については、全て「俵物製品品質検査」を行う外部の事業者への外注検査費であった。委託契約書第 5 条において「委託業務の処理を他に委託し、又は請け負わせてはならない。ただし、書面により県の承諾を得たときはこの限りでない」と再委託の禁止が明示されている。当該品質検査の全面外注は書面により県の承諾を得ておらず、内容として委託業務の再委託と言わなければならない。事業内容の実態に合わせて早急に契約方法の見直しを行うべきである。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置のx x等 | 現在、俵物製品品質検査については、(社)長崎県水産加工振興協会が自ら実施する 体制を整備したことから、外部事業者へは発注しない取扱に変更しています。 |
所見 | 措置については言及するところはないが、別途検出事項がある。【第二テーマ】1.(3) を参照のこと。 |
No | 5 |
区分 | 意見 |
費目 | 積算額 |
(俵物品質基準管理等指導委託) | |
賃金 | 118,000 円 |
旅費 | 231,200 円 |
報償費 | 7,000 円 |
需用費 | 16,400 円 |
役務費 | 617,400 円 |
使用料 | 10,000 円 |
合計 | 1,000,000 円 |
報告書頁 | 141 |
項目 | 【長崎県水産物海外普及協議会について】 予算の積算及び予算の執行について |
措置掲載文 | 輸出環境の変化等の事情があり国との協議も行われているとはいえ、協議会の事務手続の遅れにより事業への着手が遅れたものが多くなり、結果として予算の執行割合が低くなることにつながっている。 また、予算の積算についても、平成 22 年度は詳細な積算がなされているわけではなく、このことも、予算と実績に大きな差が生じた原因となっているものといえる。適正かつ効率的な事業執行のためにも、事業計画の精度の向上及び迅速な事務手続が必要で ある。 |
報告書原文 | イ 予算の積算及び予算の執行について(意見) 長崎県水産物海外普及協議会の事業費の予算額は、平成 21 年度が 32,310,000 円、平 成 22 年度が 31,000,000 円となっている。一方事業費の実績額は、平成 21 年度が 20,750,848 円、平成 22 年度が 18,188,066 円となっている。予算の執行割合は、平成 21 年度が 64.2%、平成 22 年度が 58.6%とそれぞれ低い数値にとどまっている。 平成 22 年度の予算の内訳は、国庫補助金が 950 万円、県負担金が 950 万円、構成員 負担金が 1,200 万円となっていた。予算のもととなる事業費の積算については、協議会本体及び各事業団体が行う事業それぞれの積算により算定している。この各団体の事業費の積算については、協議会全体の予算書が 4 月 28 日の段階で構成団体に了承されて いる。しかし、その後国への支給申請が 7 月 22 日にされ、交付決定通知は 8 月 6 日。 そして、長崎県へは、負担金の請求を 8 月 27 日行い、長崎県側での支出負担行為決議 がなされたのは 8 月 31 日、実際に協議会へ入金されたのは 9 月 9 日となっていた。輸出環境の変化等の事情があり国との協議も行われているとはいえ、協議会の事務手続の遅れにより事業への着手が遅れたものが多くなり、結果として予算の執行割合が低くなることにつながっている。 また、予算の積算についても、平成 22 年度は詳細な積算がなされているわけではなく、一部については、予算の積算の提出はなく金額の聞き取りにとどまっていた。このことも、予算と実績に大きな差が生じた原因となっているものといえる。適正かつ効率 的な事業執行のためにも、事業計画の精度の向上及び迅速な事務手続が必要である。 |
要約判定 内容相違 | 特に問題はない。 |
講じた措置の内容等 | 現在、長崎県水産物海外普及協議会の各構成団体に対して、精度の高い事業費の積算を年度当初に依頼し、適正な予算の算出を行うとともに、事務手続の遅れによる事業着 手の遅れが生じないよう、適正な事業執行に努めています。 |
所見 | 当該案件については問題ないが、別途検出事項がある。詳細は「2.追加検討した事項」 を参照のこと。なお、当該案件については、現在の状況として、以下の回答を得ている。 |
「包括外部監査による意見を踏まえ、平成 24 年度には適正な予算の算出と早期の事業 着手を行った結果、予算の執行割合 100%を達成しました。」 |
2.追加検討した事項
(1)長崎県水産物海外普及協議会負担金について
① 負担金の概要
負担金の名称 | 長崎県水産物海外普及協議会負担金 |
負担金支出済額 | 13,500,000 円 5,675,000 円(雇用安定対策費分) |
対象団体 | 長崎県水産物海外普及協議会 |
負担金の根拠法令等 | 【規約第4条】 本会は、次の事項のうち長崎県水産物輸出戦略会議で決定される事業を行う。 (1)市場調査及び開拓 (2)消費定着及び拡大 (3)輸出コスト削減 (4)広報 (5)輸出拡大化に向けた取組 (6)前5号に付帯する事業 【規約第8条】 本会の事業又は運営に要する費用は、負担金、補助金等をもって支弁する。 |
② 任意団体での経理のありかたについて(意見)
長崎県水産物海外普及協議会は、事務局を水産加工・流通室内に置く任意団体(組織内任意団体)である。県職員の兼務については、職務専念義務免除手続きではなく、職務命令型での兼務による。
構成団体は、長崎県の他、長崎市、佐世保市、xx市、県漁連、長崎魚市、佐世保魚市、日本遠洋旋網漁協、西日本魚市によっている。
協議会の活動は、任意団体としての活動であり、経費も任意団体へ帰属するべきであるが、構成団体で自己の会計と任意団体の会計との分離がなされていないため、適切な名義となっていない。
つまり、任意団体の活動に伴う経費を、構成団体の行った取引として全額(自己負担部分+公費負担部分)立替払いし、後から公費負担部分を構成団体が協議会へ請求するという方式を採用している。
つまり、県→協議会→構成団体という流れで公費が移転しており、県にとっては、協議会への負担金が間接補助金となって補助事業者たる構成団体に交付している形となっている、もしくは、任意団体が構成団体へ委託していると見ることもできる。しかも構成団体の自己負担部分は、取引の法的関係を無視して、最終的な収支報告上、任意団体の活動経費として暗黙の裡に組み込まれている。
当然、間接補助と考えるにしても要綱の存在もなければ交付決定通知に相当する書面もなく、自己負担部分の任意団体への移転の説明ができない。委託と考えるにしても契約書もなく、自己負担部分の任意団体への移転の説明もできない。
本来は、任意団体としての活動なのであるから外部からの請求書の宛名は協議会名でなければならず、構成団体の会計とは分離するべきである。すまわち、構成団体から任意団体へ自己負担部分を支払い、任意団体で公費と合算して請求に対する精算をするべきである。この方法でなければ、自己負担部分の任意団体への帰属を説明できないばかりか、構成団体において取引当初から明確な会計分離ができておらず、後付けで任意団体の活動経費として経理されてしまう可能性もある。
今後は、内部規程の整備も含め、適正な事業活動を裏付ける経理組織も含めた管理体制の構築が必要と考える。
③ 双方代理(民法 108 条)の発生について(指摘)
任意団体の代表と構成団体の代表者との間で双方代理が発生している事案がある。双方代理では、代理の効果の帰属が認められなくなるため、どちらかで代理人を立て、委任状を発行して双方代理を回避する手続きが必要である。
④ 構成団体の相違及び農水省向け補助事業における承認内容の相違について(指摘)
農水省の平成 24 年度農山漁村第 6 次産業化対策事業補助金(輸出拡大サポート事業のうち輸出に取り組
む事業者向け対策)を受けるための特任団体申請書が 7 月 25 日付で協議会から提出されているが、任意団体の構成団体として「長崎市」が組み込まれていることが記されている。これは、協議会規約に謳われる構成団体と整合するものである。
しかしながら、長崎市から協議会へ提出された請求書は存在せず、長崎市の任意団体「長崎輸出促進実行委員会」名義であった。振込口座名義も同実行委員会会長名義であった。
つまり、協議会の構成団体は、「長崎市」ではなく「長崎輸出促進実行委員会」である。規約及び国庫補助の申請書に内容相違がある。
⑤ 協議会の会計担当者が県の財務手続を行っている点について(指摘)
協議会の経理・出納担当者が県の負担金事務に係る支出負担行為決議及び支出命令書の取扱者となっており、相互牽制が利いていない。また、協議会においても経理担当と出納担当は分離するべきである。組織内任意団体での出納・経理の取扱いは、特に不正が生じやすく、県組織に与えるダメージも大きいため、高リスクである旨、平成 23 年度包括外部監査でも注意を促した事案である。
全庁的な再検証、牽制再構築を求めたい。
⑥ 構成団体相互間の取引の検証の徹底について(意見)
構成団体相互間の取引、若しくは構成団体の支配や影響力の及ぶ関連当事者との取引については、補助対象事業経費の生じた補助事業が、本当に行われた正当なものか、納品書や証拠写真、アンケート、詳細
なレポートなど十分な心証の得られるよう疎明資料を徴取するとともに、担当者が現地視察や立会を行うなど、一定の牽制をかけるべきである。また、金額の妥当性も十分に留意するべきである。構成団体等の取引では、架空取引・水増し取引が容易に行いうるためである。
ただし、上記のようには一定言えるとしても、検証の実現性はあまり高くなく、県側が検証の責任を負えないことも想定されるため、一方で事業のありかたそのものを見直すことも視野に入れる必要はあろう。
(2)新生水産県ながさき総合支援事業費補助金(水産加工振興祭開催)について
① 概要
補助金の名称 | 新生水産県ながさき総合支援事業費補助金 |
補助金支出済額 | 5,000,000 円 |
補助対象事業費 | 10,042,864 円 |
補助率 | 1/2 以内 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | 社団法人長崎県水産加工振興協会 |
交付の目的・内容など | 水産加工品の消費拡大と水産加工業の活性化を図るため、「長崎県水産加工振興祭」及び「長崎県水産加工まつりイン佐世保」の開催費(展示即売会 の開催)を補助する。 |
対象経費の内容 | 漁村における生産・流通経営基盤の整備を図る取組に要する経費(会場設 営および運営費、宣伝広告費、普及啓発費、企画管理費) |
② 補助対象団体の誤り(指摘)
「長崎県水産加工振興祭」及び「長崎県水産加工まつりイン佐世保」は、それぞれ運営の円滑化のため実行委員会が組織され、「長崎県水産加工振興祭」については県とその実行委員会が主催し、「長崎県水産加工まつりイン佐世保」については実行委員会主催、県はその後援として実施されてきた。
これまで補助の対象団体とされてきた社団法人長崎県水産加工振興協会は、それら実行委員会の事務局機能を担ってきたにすぎず、事業実施主体はあくまで各実行委員会にあると考えられる。事業実態を適正に見極め、補助対象団体を是正すべきである。
③ 補助対象経費について(意見)
補助の対象とされる経費ついては、実施要綱において大まかにしか定められておらず、詳細については別途費目を設定し、対象経費の限定を行っている。
そのうち普及啓発費には来場者商品代やイベント開催費・商品代が含まれているが、これらの企画運営等には実行委員会(水産加工業者)の裁量が大きく働き、場合によってはxxになる可能性もある。来場者への金銭的な還元を行うような支出は補助対象の経費とするにふさわしくないため、今後さらに注意して精査すべきである。
(3)社団法人長崎県水産加工振興協会による平成「長崎俵物」の商標登録について(意見)
平成「長崎俵物」は、県が平成 10 年から県単独の事業として創設された平成「長崎俵物」育成事業により、長崎県の魚介類の需要拡大と長崎で水揚げされた優良水産加工品の高付加価値化、ブランド化を目指して創られたブランド名である。平成 11 年に県が設置した平成長崎俵物制定委員会によって制定された認定基準を基に、社団法人長崎県水産加工振興協会が事務局となり設置された平成「長崎俵物」認定委員会が認定審査を行っている。認定審査は、事前審査、表示審査、本審査の 3 段階で行われ、本審査では専門家や消費者代表などが委員となって審査を行い、認定基準をクリアした製品のうち、項目ごとの審査や最終的な総合討議の上、認定の可否が決定される。この結果を受けて、社団法人長崎県水産加工振興協会の会長が平成「長崎俵物」として認定し、認定証を発行している。
しかしながら、この「長崎俵物」の商標は創設時の法制度上の制約等によるものなのか、平成 12 年に同協会により商標登録がなされ、現在に至っている。これは同協会が認定委員会の事務局をしていたため便宜上、商標登録を行ったものと考えられるが、創設時から現在に至るまで県主導でブランド化され、県独自が推奨する水産加工品としての取り扱いがなされており、実質的な点からいえば本来は県がその商標権を所有すべきものと考えられる。平成 18 年の法制度改正後、自治体でも独自の商品やキャラクターの商標登録を行っており、長崎県においても他の品目やマスコットキャラクターの図形の商標登録(出願)を行っている。これまでの過程を踏まえ、平成「長崎俵物」も県がその権利者として商標登録する等検討するべきと思われる。
これに対し、県から示された見解(当報告書初稿に対する平成 26 年 1 月 26 日受領分)は以下の通り。
平成「長崎俵物」の立ち上げは、そもそも民間主導で業界の意見をもとに創設したものである。
県は、平成「長崎俵物」立ち上げにあたり、業界では主導が難しい認定基準の制定の部分に関与し、また、これまで各種補助事業等を通し取り組みを支援している。
そういった背景があるため、平成「長崎俵物」の取り組みについては、現在商標登録をしている長崎県水産加工振興協会といった民間に事業を引き継ぐことを前提としているため、商標登録を県が登録する
必要はない。
上記回答によれば、平成長崎俵物に係る県の関わりは、あくまで間接的なものであり、民間事業の支援となってくる。これまで、県は俵物事業を県の本来事業と位置づけてきたはずで、そこに俵物に係る委託事業が存在する根拠があると思われる。ゆえに、商標登録のあり方にも疑問を禁じ得ない。上記回答に示される考え方では、県の事業は水産加工品の振興のための補助事業しかありえないこととなり、後述する
「長崎空港ブランドショップ運営業務委託」のような委託事業はありえないこととなる(なお、上記見解については、報告書第 2 稿に対する意見より、内容を一部変えて主張しているが、改変すること自体、事業の位置づけを恣意的に考えている証左であるため、あえて書換えに応じていないことを付記しておく)。商標登録の問題もそうだが、県の俵物事業への関わり・位置づけについては、再検討・再整理が必要と
考える。
(4)新生水産県ながさき総合支援事業費補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 新生水産県ながさき総合支援事業費補助金 |
補助金支出済額 | 長崎市 10,000,000 円 |
補助対象事業費 | 長崎市 20,000,000 円 |
補助率 | 1/2 以内 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | 長崎市 |
交付の目的・内容など | 水産業の収益性改善を図る取組を強化すること、資源を守りながら現在の漁業生産を確保すること、並びに、意欲のある中核的な担い手を育成することを基本的な考え方とする各種施策の効果的な展開を図るため、国庫補助事業等と連携し、予算の定めるところにより、市町、漁業協同組合、漁 業協同組合連合会等に対し補助金を交付する。 |
対象経費の内容 | 長崎市:加工用xx水槽・配水槽工事補助 |
② 交付決定通知書の遅延について(指摘)
当該補助金に係る県から補助事業者である市町への交付決定通知がなされているにも関わらず市町から間接補助事業者への交付決定通知書が遅延しているケースが存在する。県から市町への交付決定通知が平成 24 年 6 月 22 日で、市町から間接補助事業者への交付決定通知が平成 24 年 8 月 20 日となっている。手続きのスケジュール管理については、補助事業者や間接補助事業者への指導も含めて再度徹底する必要がある。
(5)「売り出せ!水産ながさき」販路拡大事業費補助金について
① 補助金の概要
補助金の名称 | 「売り出せ!水産ながさき」販路拡大事業費補助金 |
補助金支出済額 | 28,691,000 円(総額) |
補助対象事業費 | 68,392,679 円(総額) |
補助率 | 1/2 以内又は定額 |
国庫単独の別 | 単独 |
対象団体 | T 社 他 17 件 |
交付の目的・内容など | 本件水産業関係者等の所得向上を図るため、平成 23 年 6 月に策定した「長崎県水産物販売戦略」に基づき、生産者及び流通関係者並びに行政等が一体となった市場流通を通じた安定的な取引の拡大、産地と消費地のマッチングの推進、消費者ニーズに即した売れる商品づくり及び平成「長崎俵物」及び地域ブランド産品の育成強化など、生産から流通・販売対策までの水 産物の総合的な取組を実施する。 |
対象経費の内容 | 当補助金は以下の事業を行い、事業内容を実施するために直接必要な経費として定める販路開拓、機器整備などの経費を対象としている。 1. 実践活動モデル支援事業 2. 俵物商品開発・改良等支援事業 3. 長崎俵物創出協議会活動強化支援事業 4. 地域ブランド育成・強化支援事業 5. 新技術活用加工品開発等支援事業 6. xx加工品開発等支援事業 7. 養殖魚高鮮度加工等支援事業 |
② 実践モデル支援事業について(ながさき加工協技会向け 4,823,000 円分)
上記「1.実践モデル支援事業」は、「関東地方以北をターゲットとした長崎県産水産物の販路拡大」「産地と消費地の直接取引の推進」「水産加工業者の協業化の推進」のテーマに合致する事業を実施する一定の事業者に対して、事業を実施するための経費に対して 1/2 以内の補助を行うこととしている。
ア 「水産加工業者の協業化の推進」という事業目的整合性の欠如について(意見)
当補助事業により、各種商品の販売・提案が行われているが、商品によってはパッケージに「ながさき加工協技会」の名前が出ているものと出ていないものとがある。
このため、ながさき加工協技会の名称がないもの、つまり各加工業者の名前で商品が販売されているものについては、各加工販売業者の商品の開発・販売に対する補助金という性格が強くなってしまっている。当補助金は、長崎県内の加工業者の協業化の推進し、グループとしての取り組みを活発化し、xx需要 に対応できる体制の構築を図ることなどを目的としている。当補助金の目的を達成するためにも、当補助金を利用し開発・販路開拓を行っている商品については、協業団体であるながさき加工協技会という名称をパッケージなどで明確にするなど、水産加工業者の協業化の推進という補助金の目的をより効果的に達
成するための対策を検討すべきではないかと思われる。
イ 各補助事業者の売上との直接的に関連する費用の取り扱いについて(意見)
①賃金、②報償費、③旅費、④需用費、⑤役務費、⑥委託料、⑦使用料及び賃借料
当補助金の対象経費は「売り出せ!水産ながさき」販路拡大事業費補助金等実施要綱では、「長崎県水産物販売戦略会議」が提案する実践モデル事業の実施に要する経費とし、その具体的な内容として「売り出せ!水産ながさき」販路拡大事業費補助金等実施要領において、「長崎県水産物販売戦略会議」が提案する実践モデル事業の実施に要する次の経費を対象としている。
①企画検討会議開催に要する経費、②商品開発・改良等に要する経費、③試験出荷の実施に要する経費、
また、当補助金の公募要領では、長崎県水産物販売戦略会議において定められた「水産加工業者の協業化の推進」というテーマについては、以下の経費が補助対象経費として挙げられている。
④技術研修に要する経費、⑤販売促進活動等に要する経費、⑥その他事業推進に係る経費
当補助金の支出として、サンプル商品開発に関する経費として、ラベルなどの印刷代が含まれている。ラベル代については 30,000 枚以内ということで指導がなされているが、枚数から考えると、サンプルの枠
を超え、販売に関する経費となっている部分が存在している可能性がある。また、材料代としても 3,600
円のサバ原料木箱 15 ㎏ 35 本を 236 個で 892,080 円、250 円のサバすり身1㎏ 10 本を 3,340 個で 876,750円などが含まれている。材料代やサンプルの枚数から考えても、補助金の対象となっている材料代等により一定程度の売上につながることが想定される。
公募要領では、試験出荷の実施に要する経費を対象経費としているため、当然売上が上がる商品に関する経費についても補助対象となりうるが、試験出荷がどのような範囲まで認められるのかについては必ずしも明確な取り決めはない。
あくまでも当補助金の目的は「水産加工業者の協業化の推進」であることからも、当補助対象経費の内容については再度検討が必要であると考える。
③ 地域ブランド育成・強化支援事業(佐世保市水産物ブランド化推進協議会向け 3,056,000 円)について
当補助金では地域ブランドの水産物の商品開発及び改良、販路開拓、PR 活動等に要する経費、地域ブランド水産物の安定生産又は品質及び衛生の向上対策に係る最小限の施設及び機器の整備に要する経費、その他知事が認める経費を対象としている。
ア 恵みアジ販促物の作成の複数見積について(意見)
地域ブランド育成・強化事業として佐世保市水産物ブランド化推進協議会では、販促物の作成費用が補助対象経費となっている。
当補助金の対象となっている支出の契約については、長崎県としても、原則として県の随意契約の定めにより複数見積をとるなどの指導を行っている。しかし、当事業については徴取された見積書の徴取元の 2 者は、代表者が同一の法人であり、複数見積の徴取が形式的なものにすぎなかった。
なお担当者からのヒアリングにより当事例については、すでに指導を行っているとのことである。
④ xx加工品開発加工等支援事業(U 社向け 1,350,000 円分)についてア 補助金の対象経費の確認について(意見)
当補助金では、販路開拓・PR 活動に関する展示商談会出展に関する補助対象経費として、自社からの骨まで食べるアジ及びブリ味噌に関するサンプル購入代金として 1 月 22 日に支出した 25,000 円及び 2 月 15
日に支出した 114,000 円が含まれている。
サンプルの作成については、サンプルの作成費用として材料費やレトルトの袋代、包装資材費などが補助金の対象経費として計上されている。例えば、アジについては 12 月 13 日に 34,200 円分、12 月 18 日に
48,600 円分と11,115 円分、1 月15 日に32,500 円分が納品されており、ブリについては、12 月29 日に119,000
円分が支出されている。また、レトルトパウチ代として 32,004 円、調味料等として 20,000 円、パッケー
ジ開発・改良費として 532,455 円が支出されている。
例えば骨まで食べるアジについては賞味期限が半年と設定されていることもあり、材料代やパウチ代で一度補助金の対象経費とし、再度サンプル購入代として補助の対象経費となってしまっており、二重に補助を行っている可能性も否定できないため、慎重な確認が必要であると思われる。
⑤ 平成長崎俵物創出協議会活動強化支援事業補助金(平成長崎俵物創出協議会向け 777,000 円)について
当補助金は、当補助金は俵物商品力の強化を図る団体ということで、平成長崎俵物創出協議会(以下、創出協議会)に補助の対象が限定されている。創出協議会は、俵物に関連する各団体が集まり組織された団体となっている。補助金の対象経費は、俵物商品力強化の企画等の検討に要する経費、消費動向の把握又は売れる俵物商品づくりの活動に要する経費、俵物商品の生産状況等の管理に要する経費、その他知事が必要と認める経費としている。
ア 視察費の内容について(意見)
創出協議会の補助金の対象経費となっている消費者動向視察の報告として、創出協議会の所属団体の役員・社員である出張者がそれぞれ所属している会社等に対して提出した出張報告書が創出協議会の視察報告書として提出されている。しかし、当報告書は出張者それぞれが所属する会社等に対する出張の報告が目的であり、創出協議会の目的である消費者動向調査などの目的を十分に果たしているものとは言えない部分がある。
消費者の動向調査などの補助金の目的を十分に達成するためにも自社の出張報告書の添付とは別に、消費者動向調査の報告書の提出など、補助金の目的に合致する成果物の提出を求めるなどの対策を検討する必要がある。
イ 任意団体への補助事業としてのあり方について
当該補助事業は、任意団体である創出協議会が補助事業者であるが、以下の問題がある。
(ⅰ)創出協議会から提出された書面の誤りについて(指摘)
創出協議会から県へ提出された書面が、社団法人長崎県水産加工振興協会(平成 25 年 4 月から一般社団法人。以下、振興協会)の代表理事名で記名、そして振興協会の代表理事印が押印されている。
本来は、任意団体の代表者、任意団体の代表者印が押印されてなければならない。
(ⅱ)構成団体が会計分離を行っていない点について
任意団体の事業であるはずが、構成団体が個々に行った事業を合算しており、以下の問題がある。
(α)請求書の名義が構成団体である点について(意見)
資金の流れについて説明すると、代表団体である振興協会が県費補助金を一旦収受し、各構成団体の行