先ほどのKCCNの増田さんからもありましたが、事業者内部の資料を当団体が持っているということはあり得ませんので、申入れのときにはどういうふうにして「平均的損害 」を超えているのだと主張するかといいますと、具体的な根拠を持って主張することはできませんので、そうではない方法を使って、これは「平均的損害」を超えているのでは ないですかということを指摘します。
消費者契約に関する検討会第17回 議事録
消費者庁消費者制度課
第 17 回 消費者契約に関する検討会
1.日 時:令和3年5月14日(金)9:00~10:46
2.場 所:オンライン開催
3.議 題
論点に関するヒアリング
4.出席者
(委員)
xxxx委員(座長)、xx委員、xx委員、xx委員、楠委員、xx委員、
xxxx、xx委員、xx委員、xx委員、xx委員、xx委員、xxxx委員、xxxx委員、xx委員
(参考人)
特定非営利活動法人京都消費者契約ネットワーク理事長・弁護士 xxxx x特定非営利活動法人京都消費者契約ネットワーク事務局長・弁護士 xxxx x特定非営利活動法人消費者被害防止ネットワーク東海理事・弁護士 xxxx x京都府立医科大学大学院医学研究科教授 xxx x
(事務局)
xxxxx、xx消費者制度課長、xxxxx
(オブザーバー)
国民生活センター、法務省、最高裁判所
【1.開会】
○xxxx
それでは、定刻になりましたので、第17回「消費者契約に関する検討会」を開催 いたします。本日も、委員の皆様には御多忙のところ御出席賜りまして、ありがと うございます。なお、本日は、xx委員が御欠席という御連絡をいただいています。本日の議題は、「論点に関するヒアリング」です。
前回の最後に触れましたが、1月以降、各論点について3巡目の検討を終えたこの段階で、有識者から御意見を伺うべき論点について、事務局と相談した上で、学識経験者、消費者団体、事業者団体等にお声がけをしましたうち、ヒアリングにお応えいただきました方々に、本日、参考人として御参加いただきました。消費者契約に関する検討会運営要領第6項に基づき、参考人として4名の方をお招きしています。
まず、消費者契約法第9条の見直し及び消費者契約の条項の開示について、京都消費者契約ネットワークxxxx理事長、xxxx事務局長、続いて、消費者被害防止ネットワーク東海xxxx理事に御意見を伺います。その後、判断力不足に着目した取消権について、京都府立医科大学大学院医学研究科のxxx教授に御意見を伺います。
それでは、まず、事務局から接続と資料の確認をお願いいたします。
○xxxxx
※接続確認を行う。
最後に、資料の確認をさせていただきます。本日の資料ですが、「議事次第」に記載のとおり、資料1が「京都消費者契約ネットワーク提出資料」、資料2が「消費者被害防止ネットワーク東海提出資料」、資料3-1から3-3が「xxx教授提出資料」となっております。なお、資料3-2及び資料3-3につきましては、運営要領第4項に基づき非公開とさせていただいております。資料は以上でございます。
○xxxx
それでは、議事に入りたいと思います。まず、京都消費者契約ネットワークのxxxx理事長から、資料1について説明をお願いいたします。xxxx、よろしくお願いいたします。
○xxx理事長
まず、xxから説明をします。
○xx事務局長
京都消費者契約ネットワークの事務局長をしておりますxxと申します。まず、私から実態を御説明させていただいて、その後、理事長から実態を踏まえた御意見等を述べさせていただければと思っております。
では、まず資料1でございますが、最初に2ページのところで当団体の概要を書かせていただいております。なお、今回、ヒアリングにお呼びいただいた理由ともなると思いますが、適格消費者団体の中でも訴訟を積極的にやっておりまして、特に9条の関係の事件を多数やっておりますので、今回、そのような経験からヒアリングにお答えさせていただければと思っております。続いて、本日のヒアリング事項として承っておりますのが、「平均的な損害の額」についての点と、消費者契約の条項の開示の点ということでお伺いしておりますので、この点を述べさせていただきたいと思います。
まず、「平均的な損害の額」についてでございますけれども、結婚式場の利用契約のキャンセル料条項の事案を題材に述べさせていただきたいと思います。事案としては、いわゆる結婚式場で披露宴等を行うという契約を解約した場合の解約料とキャンセル料について、これが「平均的な損害」を超えるのではないかということで差止請求を行わせていただいたものでございます。これに対して、当然、被告のほうではこれを争うということで訴訟になったわけでございまして、最終的には、当方の請求は棄却されたという結論にはなってございます。ただ、今回御説明したいのはその訴訟の経過でございまして、特にこの争点をめぐる証拠の提出の関係でございます。
まず、主張のところは、「平均的な損害の額」を超えているという点での主張ですので、証拠の関係とは直結いたしませんが、その算定方法についてこの点が問題ではないかということを6ページのところで記載しております。7ページのところで、その訴訟を提起するのに当たって、当団体の側で提出した立証資料を掲げてございます。ここで見ていただきたいのは、業界の共通約款やモデル約款、他社の約款、裁判例、あるいは報告書等の行政のデータというところで、基本的にはこういう9条の訴訟において、具体的にその「平均的な損害の額」を算定する資料というのはやはり事業者のほうに偏在しているという中で、こうやって外部から入手できるようなものを基に主張を組み立てるという形にならざるを得ないという面がございます。特に、この結婚式場に関しては業界のモデル約款がございまして、相手方もこれに準じるという主張がございましたので、この点が最初に争点形成されていったということです。
これに対して、被告側の主張ということですけれども、被告側は当然、「平均的な損害の額」を超えるものではないという反論をするわけでございますけれども、
これは当初の段階から「平均的な損害」を、見積額、粗利益率、非再販率で算定さ れるべきだと、もう少し詳細な内訳がありまして、最終的にはこういう形になると いうことで計算方法は示されておりました。だから、検討会で議論されているよう な積極否認の関係でいうと、一応その計算方法というのは示されているのですが、 問題はその数値でございまして、見積額、粗利益率、非再販率というものを準備書 面の別紙という形で、具体的にこういう数字があると、だから「平均的な損害の額」を超えないのだという主張になっているわけですが、その数字が一体どこから来る ものなのかということが分かりませんでして、数字が示されている以上は、その数 字を何らかの資料から計算して出しているわけですから、それを出してくださいと いうことを言っていたのですが、そういうデータは出せないということで争われ、 最終的には一定のものが出てきたようにはなっているのですが、それは結局、こう いうふうに整理しましたということで被告側が訴訟後に作成されたエクセル表でご ざいました。ということで、いわゆる原資料というものは一切出てこないという形 になっていたということでございます。
次のページからはもう少し詳細に経過を書いていますが、今お話ししたところが 概要でございまして、やはり訴訟で数字がこうだとおっしゃる以上は、その数字の 根拠資料を出してくださいということを当団体が主張していたわけですが、当初出 てきましたのは立証責任の問題でございまして、基本的には「平均的な損害の額」 を超えると主張している消費者側が立証責任を負担するのだということであるので、被告側が立証を強いられるようなことは違うという対応でございました。
そして、「平均的な損害の額」を超えるかというその内容面についての主張をしつつ、やはりいろんな資料を出してくださいということで、一つは決算書等でその利益率、再販率に影響するところでの資料を出してくださいということでありましたが、これも拒まれるという状況でありました。特に再販率のところは、再販率というのは要するに結婚式場をキャンセルして、その予約していた予定日に、予定していた枠に別の契約が入ったか否かということに関わるわけですが、実際キャンセルされた披露宴のその日がどうなっているのかということを原資料で確認したいということでしたが、それ自体は提出されず、別途エクセルでこうなっていますよという説明がございました。そのエクセル自体にそういう一覧、こういったフォーマットの一応の説明があったわけですが、ただ、その内容を見ていただくと、契約締結日の前にキャンセルが確定しているという、ちょっと論理的におかしい部分がありましたので、これは違うのではないですかと言うと、入力ミスでしたということになっていて、結局、手作業でその作業をしたということなのですが、それ自体が確認できないわけで、後で修正されるような状態になってしまっていて、結局本当のところがどうだったのかというのが確認できないままということになっておりました。
こうした経過から、文書提出命令というものを申し立ててそういうデータを求め たのですが、これは一審から自己利用文書ということで申立てが却下され、即時抗 告をした段階では職業の秘密が記載された文書でもあるということで却下されとい うことで、結局、文書提出命令では認定されないということになりました。 そし て、17ページのところですけれども、裁判所も証拠が提出されるのが望ましいとい うのは訴訟指揮の中では述べられておったのですけれども、被告側で立証責任がな いとか職業の秘密に関わるという話をされる中では、それを出さないとどうにもな りませんよということで出してくださいという積極的な促しまでには至らなかった ということであります。この全体の事案として、「平均的な損害の額」の意義とい うところが重要な本筋ではありますけれども、その本来の議論の前に、そもそもど ういう資料から判断してそれがどうなっているのか、判断するのかという、そうい う客観的資料が出てこないという形で、証拠が全然出てこない中で少し空中戦のよ うな形で、そもそもテーブルにつかないという、訴訟の体をなさないような状態が、しかもそれで長期化するような現状があるということでありました。
他方で、数字上「平均的な損害の額」は超えていませんよということで、こういう数字になっていますという説明自体は実は出ているわけでして、それが営業の秘密だということであれば、本来それ自体が出せないということになるのかもしれませんが、そこは出して主張されているわけです。それについては閲覧制限の申立てがされておりまして、準備書面からずっとその数値の部分の閲覧制限の申立てがされて、それは当団体も職業の秘密として公開しない扱いにして黒塗り等をしているという扱いをしています。もともと消費者団体の役員、職員あるいは専門委員という者は、消費者契約法上の秘密保持義務を課されていますので、これがそもそも営業秘密に当たるのかという問題はありますが、基本的にそういう漏らしてはいけないものを漏らすということはあり得ないわけでして、閲覧制限の申立てがあったものが外部に漏れるということは考えられませんし、現にそういうことは発生しておりません。
結局、この訴訟ではそういう数字は、具体的な数字については閲覧制限で担保しているという一方で、この数字がどこから本当の数字ですかという点は客観的資料はなくてエクセルで説明されているだけという現状になっているところでございます。訴訟外では、より一層そういう算定根拠の説明自体が示されないというケースがあって、これは経営上の判断ですという回答で終わってしまうということも多々あるということでございます。
それから、契約条項の開示についてですが、これはいろいろな場面があると思うのですけれども、例えば、結婚式場に関しては消費者からの110番を受け付けまして、そういうトラブルがあるということの相談があった事業者に対して確認する趣旨で、その利用規約の約款を送ってくださいという依頼をさせていただいたのでご
ざいますけれども、6事業者のうち、2事業者しか応じていただけず、他の2つの事業者はこれを拒否され、残りの2事業者は反応すらいただけなかったということでございまして、約款の開示も実際にはいただけていないという状況であります。
○xxx理事長
続きまして、これらの実態を踏まえまして、当団体としての意見をxxxから述べさせていただきます。
まず、前提といたしまして、当団体は様々な申入れ活動、あるいは訴訟活動をし ておりますけれども、それは基本的には消費者の苦情があることが背景にあります。キャンセル料が高過ぎる、あるいはどうしてこのようなキャンセル料、損害賠償の 予定額になっているのかという苦情が背景にあります。それに対して事業者が適切 な説明を行っていないというのが現状であります。なぜこのような金額、損害賠償 の予定額になるのか等について説明を行っていない実態があるところに問題がある と考えております。
そもそも、消費者契約法9条の趣旨、これは私も立法時に多少関わらせていただ きましたけれども、やはりこの趣旨は、損害賠償の予定額、キャンセル料について は、その額や、それから、いったん支払った金員はそれを返さないという多くのト ラブルがある。そこで、トラブルの原因となっている契約条項を適正化していくこ と、特に、契約条項に定められた損害賠償の予定額をきちんと適正なもの、合理的 なものにしていくということが、この法律を定めた重要な趣旨であると考えており ます。事業者が、キャンセル料を本当に根拠を持って積算してちゃんと定めている のかどうかについて、この間の当団体の活動の中では大きな疑問を持っています。 本来であれば、事業者が自ら算定し、かつ、定めたこの損害額額の予定条項につき ましてはきちんと根拠を持って説明していくことが必要になってくるかと思います けれども、多くの事業者によって、適正な額を積算したり、これを説明することが 軽視されていると考えております。多くの場合、これは私の推測ではありますけれ ども、損害賠償の予定額は、ある程度主観的に決めていたり、あるいはこれまでの 慣行で決めていたり、あるいは長期的な契約の場合については、その事業者に顧客 を確保する、固定化させるという意図の下にこういう損害額の予定を定めていると 考えております。そういうことでは、本来、消費者契約法9条が定められた趣旨が、今、十分に機能していないのではないかという思いがあります。
その観点からすると、やはり「平均的な損害の額の意義」、あるいは「説明義務の導入」あるいは「立証責任の負担を軽減する特則の導入」というのは、現在議論されているものは最低限必要であると考えています。根拠を持って算定した上で定められるキャンセル料を、定めた事業者自らが、契約時や訴訟の場面で、その内容を説明するということが最低限必要であると思っております。
ただ、それだけでは、苦情の多いキャンセル料の問題が十分に解決するわけでは なく、「平均的損害の額」の中身自体も非常に問題となっております。特に得べか りし利益が入っているかどうかは非常に重要であり検討すべきだと考えております。特に消費者被害におけるキャンセル料が問題となる場面につきましては、一つはサ ービス提供契約型のもの、いわゆる準委任契約的なものが多いということがありま すし、それから多いのが合意解約でありまして、債務不履行とは違う場面でのキャ ンセルが問題となっています。その意味で、得べかりし利益を平均的損害の額に含 めることについては抑制的であるべきだと考えております。
ただ、先ほど述べましたこの消費者契約法9条の本来の趣旨、適正なきちんと算定された損害賠償の予定額、予定が定められるべきだということから考えますと、その動機づけを現在の消費者が「平均的損害の額」の立証責任を負うという解釈の下、あるいは法制度の下では十分には機能を発揮していかないだろうと思っております。事業者の責任できちんと「平均的損害の額」の立証責任を果たしていくということがない限り、このキャンセル料の適正化というのはなかなか実現できないだろうと私どもは考えております。
それから、契約条項の開示の関係でありますけれども、開示を求める場面につきましては、消費者から苦情を受けて、事業者に約款を照会しても答えないということは多々あるわけであります。そういう意味では、私たちが実現しようとしているxxな約款が消費者契約の場面できちんと機能していくためには、ぜひとも適格消費者団体の開示請求というのは認められることが必要だと考えております。
なお、若干付け加えさせていただきますと、今、論点で幾つか出されている積極 否認の特則と文書提出命令の特則につきましては、積極否認の特則につきましては、これはサンクションをどうしていくかをきちんと考えていく必要があるのではない かと思っております。裁判官の心証に影響を与えるということ、裁判官の判断とい うことだけではなく、もし積極否認をしなければ自白をしたものとみなすという効 果の方向性が必要ではないかと思っております。
それから、文書提出命令等々につきましては、適格消費者団体については先ほどxxから述べましたように、本来、秘密保持義務がありますので、これまでの例でも特に問題になっていないということがありますので、新たな秘密保持義務等を設ける必要はないかと思いますし、消費者におきましてもこれまでの閲覧制限等で十分足りるのではないかと考えておりまして、消費者にも積極否認の特則、文書提出命令の特則を認めるべきではないかと考えております。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、委員の皆様から京都消費者契約ネットワークへの御質問、御意見をいただきたいと思います。御発言を希望される方は挙手を
クリックしてお知らせください。いかがでしょうか。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
貴重な御報告をありがとうございました。まず一点、詳細が分かればという御質 問です。xxxxx訴訟において、報告によりますと、相手方が基礎資料は出さず に、訴訟後に作成された文書ですか、xxxx表とかを証拠として出したというこ となのですけれども、これは本来は主張書面に位置づけられるものだと思うのです。準備書面に添付するものであるとか、準備書面、主張内容そのものだと思うのです けれども、厳密にこれを考えれば立証の証拠ではないはずなんです。厳密な裁判官 であればそこを整理して、これは主張としては理解するけれども立証はどうなって いますかとか、そういった訴訟指揮をしてしかるべきものだと思うのです。そこら 辺の実際の裁判における裁判所の訴訟指揮というのがどうだったのかが分かれば教 えていただけますか。
○xxxx
それでは、xxxx、あるいはxx様、お答えをお願いいたします。
○xx事務局長
少し先ほどの報告でも触れましたが、裁判所としてもやはり資料がないと議論ができないということ自体は思っておられたようではありますが、ただ、それを出せますかというお尋ねはあっても、事業者のほうでやはりそれはもう職業の秘密なので出せませんとか、「立証責任は原告側ではないですか」という対応をされたときに、でもそれは出せないとそちらに不利になりますよというところまではおっしゃらないで、原告はどう対応されますかという形で文書提出命令等を申し立てるというふうになってきていまして、どうしても被告のほうで断られてしまうと、それを裁判所が訴訟指揮の中である程度の強制力を持つような形で促すというところまでは至っていないと思います。
○xxxx
xxxxでしょうか。
○xx委員
追加でよろしいですか。
はい、どうぞ。
○xx委員
そうすると、現状でも訴訟指揮、あるいは運用を通じて資料を出させるという考え方があるのはあるとは思うのですけれども、ただ実際、訴訟で裁判所が幾らお願いしても拒否されるとどうしようもない現状がある、現行法ではそういった限界があるという御認識でしょうか。その点、現場の声をお聞かせください。
○xxxx
それでは、お答えをお願いいたします。
○xx事務局長
実際に裁判官とのやり取りでも、この法律だとどうしようもないですねというところはそういう趣旨の発言をいただいたことがあります。というのは、「平均的な損害の額」というのを認定するのに当たって、資料がない中でどう判断したらいいのだということが、裁判官も困ってしまって、そういう現状である以上はもう差止めを認めることはできないという結論に至らざるを得ないというような話でして、要するに、キャンセル料として高いか安いか適正かという話の以前に、実際に審議ができていないという現状があるのではないかというところで、そういう点では現行法に限界があると思っています。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、ほかに御質問があれば、挙手をお願いいたします。
xx委員、お願いいたします。
○xx委員
ありがとうございます。実態についての非常に明快な御説明をありがとうございました。私のほうでは、開示の点について一つ教えていただきたいところがあります。スライド22についてです。具体的に消費者からの相談を受けられた上で、事業者に約款やひな形の開示を求められたということなのですけれども、当該相談をされた消費者の方の手元には約款か何かもない、あるいは消費者のほうからその確認もできないような状態になっているという前提でよろしいでしょうか。その点を確認させていただければと思います。
お答えをお願いいたします。
○xx事務局長
この点は様々でございまして、110番ですので、団体の事務所に相談者の方が来られてという形ではなくて、電話でかかってこられたという形でして、その相談者の方に書類等の送付を依頼したこともございますので、そういう経緯でもちろん入手できる約款もあるわけですが、ただ、現状がどうなっているのかということがありますので、そういうときに相談を受けた、当然入手できないものもありますが、受け付けた中で事業者のほうにも開示してほしいという依頼をかけたということでございます。
○xx委員
分かりました。ありがとうございました。
○xxxx
それでは、ほかに御質問等はありますでしょうか。挙手をお願いいたします。xx委員、お願いいたします。
○xx委員
大変貴重な御説明をいただきましてありがとうございました。前半の訴訟の関係につきまして、先ほどxx委員からも御質問があった点と若干関連しますけれどもお尋ねさせていただければと思います。その訴訟において被告事業者が一応エクセルの資料などを出してきたけれども、それは原資料ということではなくて後から作ったとものであったというお話だったわけですけれども、その点について判決では請求棄却になったということですけれども、裁判所の認定としてはその資料を、そのエクセルで後で作ったものに基づいた認定が基本的にそのままされているということなのか、それとも、そこは真偽不明というかそのとおりと認めるには至らないかもしれないけれども、最終的な立証責任の分配がやはり原告側にあるということで請求棄却ということになっているのか。
それから、もしこの事件で文書提出命令が発令されたといたしますと、それに従うことが当然、事業者としては期待されるかとは思いますが、場合により、文書提出命令にもかかわらず原資料は出さないという対応がされた場合に、今、その制裁規定というのは民訴法ではあるということではありますけれども、それを発動するかどうか、どの程度厳しい認定をするかということは、最終的には裁判官の心証に委ねられている面もあるかと思うのですが、実際にその訴訟の経験からして、文書提出命令が発令されていたとすれば、かなり異なる結論になったのではないかとい
う御感触をお持ちでしょうか、それとも、最終的な立証責任の分配が変わらないとやはり難しいという御感触でしょうか。その辺りについてお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
○xxxx
それでは、お答えをお願いいたします。
○xx事務局長
まず最初に、裁判所の認定については、そのエクセル表に基づいてというよりは、先ほど申し上げましたように、最初にその事業者のほうでこういう数値があるから
「平均的な損害の額」を超えないという主張をされていたので、基本的にはその主張をベースに「平均的な損害の額」はこうであると。それなので超えないという認定をしておりますので、そういう意味ではそれが立証として十分になっていると、そういう意味ではないということだろうと思います。
そして、文書提出命令の関係では、文書提出命令が発令されてそれに事業者が応じないということになりますと、基本的にはこちら側の主張する事実が認容されるということになるので結果が変わってくるだろうと思いますが、ただ、この場合申し上げているのは、事業者が主張されている数字の根拠を教えてくださいという、言わば当たり前のことを聞いているだけでして、実は文書提出命令に応じて事業者が根拠資料を出してそれで初めて議論がスタートするという気がしておりまして、文書提出命令が発令されて、事業者がそれに応じられるのであれば、応じられたからといってその結論がすぐ変わるという話ではないと思います。
そして、結論については、やはり実はその資料が出てきたとして、その数字が正しいのかというのが確認された上でさらに議論が出てくるわけですけれども、それについては消費者側はほかの資料が乏しいというところがありますので、立証責任が消費者にある以上は、どこかでやはり分からないというものが残されたままで、高いとは言えないという結論になってしまうという限界があると思っています。
○xxx理事長
同じく私もそう思っています。立証責任の転換がない限り、どこかの段階で消費者のほうで十分な立証ができないということになろうかと思います。
○xxxx
xxxxでしょうか。
○xx委員
どうもありがとうございました。
○xxxx
それでは、ほかに御質問等はありますでしょうか。xx委員、お願いいたします。
○xx委員
続けてもう一点別の観点ですけれども、営業秘密が、仮に訴訟を通じて適格消費 者団体に出てきた後のことをお聞きします。懸念されているのは、情報漏えいがあ るのではという点ですが、実際そのようなケースがあるのか。それは考えられない という御意見はいただいておりますが、具体的にお教えください。私が考えるのも、仮に、あえて意図的に漏らしたとなると、これは問題ではありますが、漏えい自体 はあるのでしょう。しかし、基本的に、適格消費者団体が、意図的に漏えいすると いうのはちょっとあり得ない事態だと考えております。そうすると、過失というか、意図はしないけれども誤って漏れてしまうというおそれがあるのかないかというと ころだと思います。そうすると、そういった誤って漏れるリスクというところを、 現場の担当者がどう考えているかをお聞かせ願えればと思います。
○xxxx
それでは、お答えをお願いします。
○xx事務局長
資料の19ページのところにも書いておりますが、そういう秘密保持義務が消費者契約法によって団体の職員等に課されているということになります。適格消費者団体はあまり認知度が高くございませんので、どういう団体かよく分からないという委員の方々もおられるやもしれませんが、確かにボランティアで支えられるような面もありまして大規模な団体というわけではございませんが、一方で、やはり適格消費者団体として認定されている以上、消費者庁のほうからはかなり厳しい監督を受けてございます。各種報告等を定期的に行わせていただいていますし、事務所の管理状況等も当然チェックされているわけでございまして、そういう情報漏えいがそうやすやすと起こるということはありませんし、現にそういうことは起こっていないと認識しております。
○xxxx
xxxxでしょうか。
○xx委員
はい。
○xxxx
それでは、私から少し質問をさせていただいてよろしいでしょうか。今日御紹介いただいたのは、恐らく、最も問題のある事例であって、そこにどのような問題があるかということを指摘していただいたということだと思います。
まず、1点目の質問は、この結婚式場利用契約のキャンセル料条項について、実際に原資料に当たるものないしは原資料に準じるようなものが事業者側から提出される場合があったのかないのか。そうしたものが仮にあるとすれば、出してくる事業者と出さない事業者の違いは一体どこにあるのだろうか。これは、推測になるかもしれませんが、お教え願えればと思います。
もう一点は、結婚式場利用契約のキャンセル料条項が最も問題のあるものだというのはよく分かりますが、ほかのキャンセル料が問題になるようなケースで、同じように原資料に当たるようなものの提出がおよそない、ないしはほとんど出されないという実態があるのかどうか、この点もお教えいただければと思います。お願いいたします。
○xx事務局長
少し難しい問題ではございますが、基本的には結婚式場の案件でいわゆる原資料というのはあまり出ていないという認識であります。一部財務諸表みたいなもの、部門の財務諸表の一部とかそういうものは少し出てはいますけれども、これで「平均的な損害額」がこうなりますというのがはっきり分かるような資料というのは出てきていないと思います。
そして、ほかの事案で出ているのかというところなのですが、ここは多分、「平均的な損害」の意義にも関わっているところがございまして、例えば、冠婚葬祭互助会の案件なんかだと、割と積極的な損害が問題になったものですから、むしろ事業者のほうでこういう送付費用が発生するとか、こういう経費が発生するとかということで、その損害を実証していくというスタンス、資料が出てくるということになって、それで初めてその損害が「平均的な損害」と言えるのかという関連性という法的評価の問題に入っていったと思いますが、逆に逸失利益の、特にこういう長期にわたるような契約だと、やはりそういうものを現実に事業者の側も具体的に想定されていない面があって、訴訟、争いになってから考えてということで資料が出てこないという面があるのかなと思われます。
○xxxx
どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。
議論も尽きないところがあるかと思いますが、次のヒアリングもございますので、京都消費者契約ネットワークへのヒアリングはここまでとさせていただきたいと思 います。もし、さらに御質問をされたいという委員がおられましたら、事務局へ書 面で質問をいただけましたら、参考人へお取次ぎをさせていただきたいと思います。
それでは、xxx理事長、xx事務局長、どうもありがとうございました。
○xxx理事長
ありがとうございました。
○xx事務局長
ありがとうございました。
【3.消費者被害防止ネットワーク東海提出の資料説明(資料2)】
○xxxx
では、続きまして、消費者被害防止ネットワーク東海xxxx理事から資料2について御説明をお願いいたします。
○xx理事
消費者被害防止ネットワーク東海で理事と検討委員をしております、弁護士のxxと申します。本日はよろしくお願いいたします。画面越しではありますが、xxxx座長の前でお話しするのは、学生のときに講義を受けて質問したとき以来ということになります。大変xxに思っております。
資料の2ページ目に行ってください。本日ヒアリングにお招きいただいたのは、任意の交渉の見地で事業者との交渉の見地から当団体の経験を話してくださいということでした。当団体の申入れの活動なのですけれども、当団体に消費者から情報提供があったものに限り検討して行っています。当団体のほうから、例えば、事業者のいろいろな約款をウェブで探したりして、問題のあるものを見つけて申入れをするということは行っておりません。これはそもそもそういう探している余裕がないことと、約款は実際に契約をした消費者の方が持っているということのほうが圧倒的に多いので、それで情報提供いただいてからしか行わないということにしております。
また、申入れの手順ですけれども、そのようにして情報提供者の方から約款をもらうか、あるいはその方が持っていないということでしたら、事業者のウェブサイトから入手するということもございますが、それ以外にはありません。ですので、ウェブサイトから入手できなくて、しかも情報提供者も持っていないということに
なりますと、そもそも検討の対象に入りません。申入れは全く行わないということ になります。これはなぜかと申しますと、情報提供者の言っていることの裏づけが、検討する段階である程度欲しいからです。そうでないと、やはりこの申入れをする ことによって事業者のほうにも少なからず負担を生じさせることになりますので、 やはり根拠を持って申入れをしたいという当団体の意向がありまして、それで資料 がない場合はやらないということに決めております。これまでの当団体の申入れ件 数ですけれども、このように情報提供者からの情報をもらってからやっております ので、情報提供数が少ない場合はあまり行わないということになります。ただ、当 団体の認知度が上がってきているのかどうかはちょっとよく分かりませんが、最近 は多い傾向にありまして、2019年は21件の情報提供がありました。そのうち申入れ に至ったのは6件です。半分以下ですね。2020年は45件の情報提供数でありまして、申入れに至ったのが20件でございました。
次のスライドに行っていただきまして、直近5年の申入れ事例において9条1号に関して申し入れた事例です。数えましたら、事業者数で36社ございました。業態はそこに書いてあるとおりということになります。これは情報提供者からの情報があってから検討して申し入れているケースですので、これはそっくりそのまま、社会的に消費者被害が生じている事例で9条1号が問題になっているものは、大体業態別で整理するとこうなるというものであろうという認識でいいかと思います。やはりブライダル事業者は多く、また、スクール業ですね、学習塾とか音楽スクールとかが多かったということになります。ファンクラブに関しましては、当団体が有名なファンクラブに申入れを行って、それがマスコミに取り上げられたというのがありますので、これはちょっとイレギュラーな数かと思っております。そして、36社に申入れをして、多くの事業者が当団体からの申入れについてその趣旨を酌み取っていただいて真摯に対応してもらっていると感じております。中には、当団体が思い描いていたような約款の改定よりもさらに踏み込んで、より消費者に寄り添ったような内容に改定してくれた事業者もいらっしゃいます。そういう現状でございます。
続きまして、4枚目のスライドですけれども、逆に問題があった事例です。9条
1号に反すると当団体が主張したものに対して、具体的な根拠が示されないままに改定を拒否した事業者は36社のうち6社ございました。その6社のうち、9条1号に反する約款については申入れの継続を断念した事業者が1社ございます。これはつまり申入れを諦めたということです。業種的にはブライダル事業者でした。そして、申入れを継続しているところが4社ございます。これは今もまだ申入れを継続しているという状態です。ブライダル事業者が2社、互助会が1社、スポーツクラブが1社です。訴訟を提起したというところが1社ございます。これは宗教法人です。後ほど紹介いたします。
この6社は改定を拒否してきたという業者なのですけれども、改定はしていただけたものの具体的な根拠が示されないままに改定をしてきたという事業者もございます。これが4社ございました。いずれも改定の根拠が示されていないものですから、その改定後の約款が真に「平均的損害」を超えないものかどうかというのは、当団体においても不明だったのですが、事業者側の対応としてはそれなりに真摯に対応してもらったのかなというところもありまして、申入れとしては終了したというものです。業種的には旅館業とか住宅建築業、貸衣装業、ブライダル事業者というのがございました。
そして、申入れ継続中の4社については、いずれ訴訟提起を当団体がするか、当団体がその申入れを断念するか、あるいは今後事業者のほうが約款を改定していただくというそのいずれかですね。3つのうちのいずれかになろうかと思っております。
先ほどのKCCNのxxxxからもありましたが、事業者内部の資料を当団体が持っているということはあり得ませんので、申入れのときにはどういうふうにして「平均的損害」を超えているのだと主張するかといいますと、具体的な根拠を持って主張することはできませんので、そうではない方法を使って、これは「平均的損害」を超えているのではないですかということを指摘します。
例えば、旅館業の事業者です。ホテルを経営している会社なのですけれども、そのホテルの宿泊約款なのですが、その事業者に対する申入れについては、予約した
1分後に解約をしても、その予約した時期が例えば1年後の予約であったとしても、違約金がその宿泊料の50%かかるというような約款を使用している事業者がありま した。そういうものは予約がそもそも1年先であるということと、予約して1分後 に解約しても50%の違約金がかかるという内容になっておりますので、明らかに
「平均的損害」を超えているのではないかということで、そういった場合は具体的な事業者の資料を持っていなくても、明らかに超えるでしょうということが指摘できます。そういう指摘をすると事業者のほうも、それはそのとおりだねということで対応していただけます。そういう申入れの経過といいますか実態がございます。以下では、実際に改定していただけなかった事業者について御紹介をしていきま す。5ページ目のスライドにしてください。名古屋市内で複数のゲストハウスを運営するブライダル事業者の事例です。この事業者に対しては3つの申入れをしました。一つは違約金の条項、一つは盗難に関する免責条項、一つは解約の意思表示の
効力の発生時期に関する条項です。これらについて申入れをしました。
解約の意思表示の効力発生時期というのは、キャンセル料を支払った後に解約の意思表示の効果が生じるという約款になっておりました。この後二者ですね、盗難に関する免責条項と解約の意思表示に関する条項に関しては申入れをして、改定しますという回答を一応いただけました。
そして、違約金条項に関しては、ブライダル文化振興協会のモデル約款がございますので、これを根拠に当団体では申入れをしたというところなのですけれども、当団体側のブライダル事業者に対して違約金条項について申入れを行う場合は、このモデル約款の一部でもモデル約款よりもきつい違約金を取っているものがあれば全例申入れをしているかと、全然そんなことはありません。やはりモデル約款はあくまでもモデルだというのは当然認識しておりますので、それを差し置いてもあまりにもちょっと高過ぎるのではないかという事例、モデル約款からかけ離れて高いのではないかという事例に限って申入れをしておるのですが、ここの事業者に関しては、挙式日の59日前から30日前と挙式日の当日を除いて、全ての時期区分でモデル約款の違約金を上回っていました。しかも少しだけ上回っているとかではなくてまあまあ上回っているのです。それで申入れをしたというものです。
そうしますと、この事業者は、根拠を示すことなく、「モデル約款はあくまでモデルである」ということだけを主張してきました。具体的に自社の約款は全然問題ないのだという根拠が全く示されませんでした。
そして、当団体からは、後二者の免責条項とか解約の意思表示に関する条項については改定するというふうに事業者が言ってきたので、改定後の約款を送付してくださいと取りあえずお願いをしました。これが2020年8月18日なのですけれども、今のところ全く回答がないという状況です。回答がないので、当団体の事務局のほうから電話で催促し、改定後の約款を送ってくださいと言ったのですが、途中から電話にも出なくなったという経緯で、今もこういう状態です。
次の事例はスライド6枚目です。東海地方で複数の店舗を営業しているスポーツクラブに対する申入れの事例です。問題となった条項はプレミアム会員という、スタンダード会員とプレミアム会員というのがありまして、プレミアム会員は1年間の継続契約になっていて少し料金が安い5,980円、スタンダード会員は契約期間の縛りがないのですけれども、月々6,500円でした。会費が500円ちょっとぐらい高いんです。プレミアム会員の場合は1年未満で退会した場合は別途契約解除料1万円を支払ってくださいという条項がありました。もう一つ、このクラブから除名された会員に対しては、当クラブは、前納分または既払い分の会費があっても、これを返還することはいたしませんとなっておりました。
当団体は、プレミアム会員の契約解除料に関して、スタンダード会員と比較して、例えば、1か月目で解約をしたとしても、スタンダード会員であれば会費が6,500 円かかります。ところが、プレミアム会員の場合は5,980円に加えて1万円も払わ ないといけない。つまり1万5,980円かかってしまうということで、これは「平均 的損害」を超えるのではないですかというふうに根拠を示して申入れをしたという ものです。
ところが、事業者はこのように回答してきました。プレミアム会員になっている
以上、逸失利益が損害に含まれる。これはどういうことかと申しますと、1年間の継続契約で月5,980円かかりますが、これは1年間継続契約で前納なのです。そうしますと、5,980円掛ける12か月分、これが全部事業者に入ってくる収入のはずだった、これを1か月目で解約されるとそれが全部入ってこなくなる、残り11か月分全部入ってこなくなるというのです。当然それが損害だから当団体の主張は当たらないと言ってきたわけです。
また、除名された場合も、会員に帰責事由があるので、既払い金は返しませんと言ってきました。当然、既払い金は既に業者が得ることのできる権利があるということで、それから、逸失利益に含まれるので返しませんということを述べてきました。
これはよくよく考えるとすごくおかしなことを言っているのではないかと思います。消費者に帰責事由があると具体的な損害がなくても損害賠償請求ができるということを言っているということになりますので、当団体との議論が全然かみ合わないような状態になっているという事例です。
続いての事例です。スライドの7ページです。今度は、全国で展開しているブライダル事業者です。このブライダル事業者は1.5次会プランという、結婚式の2次会と結婚披露宴との間の1.5次会プランというのを作っておりまして、その変更手数料に関する条項について申入れをしました。これは契約を締結してから5日以内の場合に何か変更をした場合は手数料は無料だったということなのですけれども、契約締結日から6日が経った後から開催90日前までは5万円の手数料プラス実費プラス会場変更手数料がかかるというものでした。会場変更手数料というのは、ここのブライダル事業者が会場を持っていない事業者でして、ホテルとかゲストハウスとかの会場が空いている時期を利用して結婚式のプランを提供するということをやっている事業者でした。ですので、その会場の変更の手数料がかかるからその費用も取るのだけれども、それに加えて、ここの事業者に支払う変更手数料というのがかかるというのが、この1.5次会プランに関する変更手数料の約款でした。
当団体はこの条項につきまして、会場の変更手数料がかかるのは分かるんだけれ ども、そのほかにこの5万円から20万円までの手数料がかかるというのはちょっと にわかには信じ難いという申し入れをしました。変更ですので、事業者のほうには ちゃんと契約金が入ってくるわけなのです。だから普通のブライダル事業者ですと、何か費用を変更したりしてもそれに加えて何か料金を取るということはしないとは 思うのですけれども、ここは変更するだけでも取ってしまうということになってい ます。
そういうふうに申しましたところ事業者からどういう回答があったかというと、この変更手数料がかかるのですという回答ではなくて、問題がないとは考えているけれども、随時、条項を見直すとだけ言ってきました。表向きは当団体のほうには
「随時、条項を見直してまいります」という回答が返ってきましたが、結局は直さないという対応をされるのです。つまり、当団体と議論をするつもりが全くないという対応をされてしまっております。
続いての事例です。宗教法人の事例ですけれども、これは第16回の検討会の資料
1の14ページで紹介されておりました事例です。愛知県内で寺院を経営する宗教法人の納骨堂契約(永代納骨)の契約です。納骨堂契約ですので、お堂に遺骨を安置して半永久的に保管していただけるという契約です。問題とした条項は、「キャンセルの際、返金はできません。」とだけ書いていた条項になります。
この納骨堂契約の特徴を整理すると、次のようになります。この契約は、死後、契約者のために半永久的に供養するという準委任契約です。生前予約を受け付けていました。生前予約を受け付けた上で、代金はすぐに払ってくださいと言ってきておりました。情報提供者の方は生前予約をして、契約金240万円を支払っていました。この人の契約数は3つでして、1つの契約当たり80万円の契約でした。場所によりそのお堂の中の、多分、雑多な部分だと一番安くて、それが1万円です。一番高いところだと160万円かかるものがあります。160万円かかるところは、お堂の中の薬師如来の体内に安置されるというものです。つまり場所によって金額が違うのです。これは逸失利益が観念できないのも特徴です。キャンセルした場合はそこの場所が空きますので、事業者のほうはそこをほかの方に売ることができるということになります。
当団体の主張としては、次のように述べました。準委任契約なので、消費者の側に解約権が留保されていますということと、事業者の役務というのは、契約者の死後に行うものであると。ですので、生前に解約した場合は全額返ってくるはずでしょうということを述べました。
これに対して事業者は、準委任契約という当方の主張に対しては、この契約金はお布施です、つまり贈与契約ですということを言ってきました。また、当団体の事業者の役務として契約者の死後に行うというものに対しては、生前に予約しても契約後すぐにその契約者の先祖のために供養していると言ってきました。だから準委任契約だとしても既に債務は履行しているのだという主張をしてきました。そのほかに事務手数料がかかるのですということを言ってきました。
これは任意の交渉の段階でも同じことを言っていて、訴訟になっても同じことを言っていたのですけれども、任意の交渉で全然変更してくれなかったので訴訟を起こしました。訴訟の中では事業者のほうから和解の提案がございました。和解の提案は、契約日当日にキャンセルすると言ってきたような場合は10%の違約金をもらう、契約の翌日から1週間の間は違約金30%を支払ってもらうという感じの和解案を示してきたのですけれども、当団体としては当然のめないということで判決を求めました。判決を求めたところ、事業者のほうは請求の認諾をするということで、
請求の認諾で訴訟が終了いたしました。それが2019年3月12日のことです。
次のスライドです。その訴訟終了後、請求の認諾をされたので当団体から事業者の代理人に対して、修正後の約款の提示を求めました。それが4月16日です。事業者の回答としては、改定した、契約書は申込みをした者にだけ渡しているので送付できないと言ってきました。ですので、当団体は証拠保全の申立てをしました。
担当裁判官には次のように言われました。いやしくも弁護士が撤廃したという回答を送ってきている以上、現在も本件不返還条項を使っているという疎明資料の提出がない限り、本件不返還条項を使うおそれも認められないと。このようなことを言われたのです。
これに対しては、裁判官が誤っているのではないかということで意見書等も出しましたけれども、結局、証拠保全決定が出まして、検証が実施されました。それが 11月8日になります。この宗教寺院がある岡崎というところで実施したのですけれども、結局そこで入手できた約款は、訴訟のときに事業者が提出した和解案と同じ内容でした。
これを見ますと、時間も手間もかかって誰一人得をしていないということが分かります。修正後の約款を提出資料で求めたのに出してこなかったというのは、非常に当事者に、我々にとっても、また、事業者にとっても、裁判所にとってもいいことが何もなかったというように思いました。
また、検証の実施場所が岡崎というところでしたので、名古屋地裁からは50キロメートル程度離れておりました。皆さんの貴重な時間を使ってやったということになります。
続きまして、最後に私見ですけれども、申入れを行った際の事業者の対応は結構スパッと分かれます。36件の事業者に申し入れて、6件の事業者は全然改定していただけなかったのですけれども、残りは一応改定してくれているということになります。そして、改定していただけなかった事業者はその対応があまり、通常の商道徳を備えているとは言い難いのではないかと感じた面もございます。したがいまして、強制力を持つ資料提供手段というのが必要だろうと感じております。
また、「平均的損害」に関する資料の作成の有無なのですけれども、これも先ほどKCCNからもありましたが、事業者が最初から作っているということは感じられませんでした。当団体の申入れがあってから考慮しているのではないかと思われる事例ばかりでございました。ですので、資料の作成は、結局、適格消費者団体からの申入れがあってから作っていると思われますので、あまり営業秘密に関わるものが云々という話にはならないのではないかと。なぜなら、その後で作ればいいからなのです。そのように感じておるところでございます。
少し時間を超過しましたが、以上です。
○xxxx
ありがとうございます。時間の関係で、質疑をさせていただく時間が十分に取れない状況になっています。5分程度しか時間がないということで御容赦ください。時間内に御質問いただけなかった委員におかれましては、事務局に書面で質問いただけましたら、お取次ぎをさせていただきたいと思います。恐らく1名ぐらいになるかと思いますが、いかがでしょうか。挙手機能をお使いください。
xx委員、お願いいたします。
○xx委員
時間がないところ恐縮です。明快な御説明ありがとうございました。お伺いしたいのは、この対応の中で、そもそも最初の段階で6社のうち1社については断念されたということがあります。また、その後、十分に協力的に最終的には対応していただいていない、改定したものは出せませんという形で拒まれているという事案があり、それでもその事案はなお交渉の形で継続されていて訴え提起に至っていないというご紹介をいただきました。その理由なのですけれども、それはやはり訴えになったときに見通しとして十分立証できるかというところが難しいとか、そういうような考慮があるのでしょうか。その理由についてお聞かせいただければと思います。
○xxxx
それでは、お答えをお願いいたします。
○xx理事
事業者でまちまちなんですけれども、一つは、最近申し入れた事例なのでまだ訴訟提起に至っていないという事業者もありますし、今、xx先生がおっしゃられたように、訴訟になった場合にやはり事業者に対して少なからず御負担を与えますので、やはり勝てるという見込みがないとなかなか訴訟に踏み切れないというのがございます。先ほど京都消費者契約ネットワークからもあったように、裁判所の訴訟指揮で必ず資料を提出するような訴訟指揮がされるという保障がありませんので、そういった点もちょっと考慮にはなります。
○xx委員
ありがとうございました。スライド4ページの、一番最初の段階で申入れ継続を断念した1社というのは、これはどういう理由からでしょうか。
○xx理事
これはですね、資料がなくて、しかも訴訟をして資料が出てくる確証がなくてということで断念したというものです。
○xx委員
ありがとうございました。
○xxxx
xxxxでしょうか。それでは、先ほども申し上げましたように、次のヒアリングの時間が迫っていますので、今日のところはここまでとさせていただき、書面で質問いただきましたら、参考人へお取次ぎをさせていただくということとさせていただければと思います。
xxxx、お久しぶりでしたけれども、大変ありがとうございました。引き続きどうかよろしくお願いいたします。
○xxxx
どうもありがとうございました。
○xxxx
それでは、次の準備もありますので、10時15分まで一旦休憩を取らせていただきます。ただし、一度会議から退室されますと再度の参加申請が必要ですので、退室はされないように御注意ください。10時15分に再開いたします。それでは、休憩とさせていただきます。
○xxxx
皆様お戻りでしょうか。それでは、続きまして、xxxxから資料3について御説明をお願いいたします。xx先生、よろしくお願いいたします。
○xxxx
承知しました。京都府立医科大学のxxと申します。本日はこのような機会をいただきましてありがとうございます。私は精神科医で認知症の専門医をしておりまして、今日も京丹後市の市立病院で今から外来の予定なのですけれども、ちょっとその前にお話をさせていただきます。
認知症のある消費者への支援ということで、私がふだん診療している認知症の方々、いろいろな消費者トラブルに巻き込まれることも目にしますので、認知症のどういった特徴がそういった消費者トラブルを招いてしまうのかであるとか、そう
いったことについて少し委員の先生方の参考になればと思いますのでよろしくお願いいたします。
それでは、次のスライドをお願いいたします。これは、先生方御承知かと思うのですけれども、認知症の方が非常に増えておりまして、2012年のときに462万人ということですけれども、現在は600万人とも700万人ともいうふうに推計されているのと、あとやはり、本当に御高齢の方でお独り暮らしの人が増えたなというふうに診療しながら感じておりまして、90代の方でもお独り暮らしでおられるというようなそういった地域の現状があり、現在の状況かと思います。
では、次のスライドをお願いいたします。そういった中で診療をしていますと、我々のような医療機関だけではどうしようもないことがたくさんありまして、やはり民間企業の方々に支えられながら高齢者の方は地域で暮らしていらっしゃいますので、そういった高齢のお客さんと民間企業の方々が安定して契約を結べるということはすごく大事なのだろうなと思います。もちろん高齢者の方がだまされたりしないということも大事ですし、民間企業の方が安心してそういう方々をお客さんとして捉えていろいろなサービスとかを提供していただけるということももう一方ですごく大事なのではないかと考えております。
次のスライドをお願いいたします。今後の議論の参考にしていただくために、認知症の一般的なことについて少し触れたいと思います。地域で暮らしていらっしゃる認知症の方と想定したときにどんな方を思い浮かべていただいたら良いのかということなのですが、認知症の原因の病気は幾つかありまして、代表的なのはアルツハイマー型認知症ですけれども、それ以外にもレビー小体型認知症であるとか、脳梗塞とか脳出血が原因で起きる血管性の認知症であるとか、そういった病気がありまして、少しずつプロフィール、キャラクターは違うというところでございます。次のスライドをお願いいたします。ただ、やはりアルツハイマー型認知症を原因 とする認知症がこの統計では67%ということで、私たちが診療しておりましても、圧倒的にアルツハイマー型認知症に罹患される方というのが多いということですので、いろいろな対策というのはまずはやはり、アルツハイマー病認知症を想定しな
がら考えていくというのがいいのではないかなと考えております。
次のスライドをお願いいたします。アルツハイマー型認知症はどういった病気かということなのですが、医学的な用語で申しますと神経変性疾患ということで、脳の神経細胞が徐々に障害を受けていくということで、年単位でゆっくりと低下していくという病気になります。
次のスライドをお願いいたします。これが一般的な経過になりますけれども、まず初期の頃は非常に軽い物忘れで始まって、それがだんだんはっきりとしてきて、さらに進行してきますと言葉に障害が出たりとか、歩行であるとかそういったところにも障害が出てくるような病気になります。これが年単位にゆっくりと進行して
いくということでございます。
次のスライドをお願いいたします。少しイメージを持っていただくために、典型的な経過についてモデル事例をお示しします。この方は最初はメモを取る習慣があったんですけれども、そのメモ自体を置き忘れるようになったというような物忘れのエピソードであるとか、地下鉄に乗って地上に上がると自分がどこにいるか分からないというような症状で受診されて、恐らく、このとき76歳なのですけれども、症状自体はこの3年ぐらい前から出てきていたと。そして、病院にかかったのが76歳時点という形です。そこから3年ぐらいは独居での生活が維持できる方が多いと思うのですけれども、徐々にやはり認知機能が低下していきますと生活に支障が出てきて、御家族と同居したり、人によってはホームに入るとかそういったこと、あるいは介護サービスを入れながら独居を継続されるという方もおられます。こういう状況が診断から5~6年ぐらい続くと考えていただくといいいかと思います。ですので、認知機能が低下して病院にかかっていない時期も含めますと、6~7年ぐらいで地域で認知機能が低下していて、ちょっとだまされやすいような、被害に遭いやすいような状況で地域で暮らしていらっしゃるという現状かと思います。
次のスライドをお願いいたします。さらに進行していきますと骨折して入院されたり、だんだんと寝たきりに近いような状態に進行してくる。こういったときにはもう医療も入っていますし、介護サービスも入っているという状況になっているかと思います。
次のスライドをお願いいたします。これは認知症で出てくる様々な生活の障害なんですけれども、この中に金銭管理の障害があります。判断力とか理解力が低下してきて、自分のために自分のお金をうまく使うことができないということが出てきますので、そういった中で消費者被害に遭いやすくなっているということが言えるかと思います。
次のスライドをお願いいたします。具体的にこんなことが起きますということなのですけれども、通帳など大事なものであればあるほど奥にしまい込んでしまってそれが出てこないとか、そういったことが、判断力、理解力が全般に低下したことによって様々な生活面での支障が出てきます。
次のスライドをお願いいたします。病院での手続なんかも少し支障が出てきたり、お薬の飲み忘れや、あるいは役所の利用といったところも、今はワクチン接種で問 題になっていますけれども、地域で暮らしていらっしゃる認知症の方は、自分でワ クチンの申込みなんかもなかなかできないということも起きてきているだろうと思 います。
次のスライドをお願いいたします。私たちの病院に通っていただいている患者さん、それから、御家族の協力を得て、経済活動に関してどんなトラブルを経験していますかというアンケートを以前したことがあるのですけれども、やはり不要な買
物、同じものを幾つも購入していたり、不当な契約を結ばされていたり、そういったような経験をされている御家族、御本人がおられます。このようなことが少しでも減るようになればいいなというふうにふだんから思っているところです。
次のスライドをお願いいたします。そういった問題意識を持っていましたところに、消費者庁のxxx創造戦略本部のほうからお声がけいただきまして、今は客員研究員として認知機能障害に応じた消費トラブルと対応策の検討に関する研究ということで取り組んでおります。先ほどアルツハイマー型認知症のことをお示ししましたけれども、アルツハイマー型認知症はお示ししましたように、ゆっくりと経過してあんまり症状が変動しない特徴を持っています。ただ一方で、レビー小体型認知症という病気はかなり日によって、時間帯とかによっても状態に大きな変動がある病気でして、それ特有の課題ということもあるのではないかなと思います。脳血管性の認知症に関しては、脳梗塞、脳出血が起きたときに、そこから急に認知症が出てくるということで、例えば、3か月前は全然問題なかったのだけれども、2か月前に脳梗塞を起こしてそこから認知症が始まっているみたいなことも起こり得るので、なだらかに発症するアルツハイマー型認知症とは少し違う特徴があります。ですので、そういった疾患ごとの特徴も、いろいろな対策を取るには少し参考にしていただく必要があるのではないかと思いますが、今、私たちはPIO-NETのデータの解析等をさせていただいたり、各消費者センターの相談員の方にヒアリングをさせていただいたり、これから民間企業の方々にもヒアリングをさせていただく予定にしております。そういったところで、またさらにこういった検討の御参考になる知見が得られれば、また提供させていただきたいと思っております。
次のスライドをお願いいたします。今御検討いただいている中でやはり難しい点 は、先ほど申し上げましたように、ちょっと低下が始まってから受診までにかなり 時間がかかるということが多いということですね。36%の人が受診までに1年以上、 20%の人が受診してから診断までに1年以上かかっているという実態があります。
次のスライドをお願いいたします。これは地域の高齢者の現状ということなのですが、xxx式の知能スケールで20点以下の人というと、我々の感覚でいうとはっきりと認知症という診断がつくような方なのですけれども、地域全体でそういった調査をしてみると、20点以下の人の71%は認知症での受診歴がないというデータが出ています。ですので、地域で暮らしていらっしゃる認知症の方は必ずしも診断がついている方ばかりではないという現状になっております。
次のスライドをお願いいたします。今、診断場面、臨床でどんな診断書とか評価がなされているかということなのですが、まず一番網羅的に行われているのが、運転免許更新時の認知機能検査です。75歳以上で免許を更新する方は全員受けるということになっております。それを受けると3つに分類されまして、49点未満の方が第1分類ということで、運転に支障がある可能性があるということで、医療機関を
受診して診断書を求められるという内容になっております。
次のスライドをお願いいたします。この更新に訪れたときに実際どれぐらいの方 が認知機能の低下があると判定されるかといいますと、左上の図なのですけれども、更新時認知機能検査の円グラフになっておりますが、オレンジ色が第1分類という ことで、この方々が認知機能の低下がはっきりとある方です。これが2.7%。それ から、黄色のところがグレーゾーンぐらいの少し低下がある方、この方が26%ぐら いです。運転免許の更新をしようとして来られるぐらいの方々ですので結構しっか りした方々なのですけれども、検査をしてみるとこれぐらいの割合で低下した方が 見つかるということになっております。
次のスライドをお願いいたします。そのほかにも契約能力を評価するのにいろいろ参考になるような方法というのはあるんですけれども、幾つかちょっとお示ししたいと思います。
次のスライドをお願いいたします。一つは、これは私たちが遺言能力をチェックするために作ったチェックリストなのですけれども、認知症のチェックリストみたいなものが幾つかありまして、そういったものを例えば、かかりつけの先生にかかっているとチェックされている、あるいは地域包括支援センターの方がチェックしているみたいなことはあるかと思います。
次のスライドをお願いいたします。これが皆様よく御存じのxxx式簡易知能スケールですけれども、お年は幾つですかとか、3つの言葉を覚えてもらって後で思い出してもらうとか、そういう幾つかの認知機能検査が組み合わさった形になっております。これは非常に有用な検査ではあるんですけれども、ただ、教育歴とか職業歴によって影響を結構受けまして、例えば、大学教授をやっていましたとか会社社長をやっていましたとかそういった方は、認知症になってもこれで満点を取られる方もおられれば、今日は京丹後市に来ていますけれども、ずっと農作業をしてあまり計算とか本に親しむということはありませんという方ですと、認知症ではないのに点数が低く出るみたいなことがあったりします。
それから、難聴の方とか鬱がある方とかはそもそも検査に集中できなかったりして、能力がちゃんと発揮できてなくて点数が低く出たりすることもありますので、大変有用なんですけれども、ちょっと見かけ上低く出てしまっている、あるいは見かけ上高く出てしまっているみたいなことが注意点としては挙げられます。
次のスライドをお願いいたします。取引能力そのものを評価するには、取引の内容そのものをどれだけ理解しているのかを直接評価する方法がありまして、これは私たちのところで作った医療同意能力、手術の同意能力を評価するようなやり方をちょっとそういう契約に応用したようなものを作っておりまして、私たちのワーキンググループで作った報告書に掲載されていますので、また御興味のある方は御覧いただいたらと思うのですが、こういった形でダイレクトに評価するのがもっとも
正確な評価ということにはなるかと思います。先ほどのxxx式のような点数を応用するということもできるのですけれども、ちょっと間接的な評価ということになるかと思います。
次のスライドをお願いいたします。あと、私たちがよく書く診断書として、介護保険の主治医意見書というものがあります。これの中に、「認知症高齢者の日常生活自立度」というところをチェックする項目と、あと、短期記憶、日常の意思決定を行うための能力、自分の意思の伝達能力、こういった項目にチェックをすることになっておりますので、もしもこの介護保険の意見書を既に書いておられる患者さんであれば、少しここのどこの項目にチェックが入っているかということはその人の取引能力を推定するのにある程度参考になるのではないかと思います。
次のスライドをお願いいたします。これは運転で最初に公安委員会での認知機能検査に引っかかった場合に、運転をまだ続けたいという場合に我々のほうで書く公安委員会提出用の診断書になります。こういったものも書かれている場合があるかもしれません。
次のスライドをお願いいたします。これはxx後見の診断書です。ここまで行けばもう後見人がついているという話になりますのであまり問題はないのかもしれませんが、こういった診断書も書いております。
次のスライドをお願いいたします。やはり一番問題となるのはこの軽度の段階で、まだ後見人とかも付いていない段階のところでかなり消費者被害、経済被害が起き ているというところで、そこで診断書を、まだ受診していない方も結構おられるの で、我々が診断してxxx式20点とかと点数を出したときに、どれだけその前に遡 れるのかという話なんですけれども、先ほどのアルツハイマー型認知症であれば、 ある程度やはりその数年前から低下は始まっていたということが推測はすることは できます。ただ、それがどこまでの正確性を持って遡れるかということになります と、我々専門医でもなかなか難しい判断が求められるところはあります。
次のスライドをお願いいたします。あとは、もう一つ、我々医療従事者が関わったところから遡るという手もあるんですけれども、その前に地域包括支援センターの方とか、地域のxx委員の方とかが、この人はちょっと低下しているのではないかと把握しているようなケースがあります。今はまだこの地域協議会、消費者安全確保等地域協議会はまだまだ普及しておらず、設置している市町村が少ないと聞いているのですけれども、そういったxx委員とか福祉部局が把握している要配慮の認知機能の低下をされている地域の高齢者の方が、例えば、こういった協議会でリストに上っているということで、そういった方については、その後そういった不利益な契約があった場合に取り消せるとか、そういうことも一つ考えられるのではないかなと考えております。
次のスライドをお願いいたします。企業のほうには、こういった形でxxな契約
をするための内部のオペレーションを常に振り返るといったことをやっていただけたらいいなと思って、関係するいろんな研究に参画していらっしゃる企業の方にはこんな御提案をしております。
次のスライドをお願いいたします。ちょっとこれは金融機関の方に集まってもらって作った、先ほどもお示ししたワーキングの中にこういった金融機関におけるその能力の低下をどういったところで検知をして、能力が低下していたらどう対処すればいいのかということをまとめておりますので、また御覧いただけたらと思います。
次のスライドをお願いいたします。これもそれを示した模式図になっておりまして、能力が低下するのに応じて、滑らかに支援を増やしていくということができたら理想ですねというお話をしております。以上です。御清聴ありがとうございました。
○xxxx
どうもありがとうございました。それでは、委員の皆様からxx先生への御質問、御意見をいただきたいと思います。xx先生は10時45分までは大丈夫とお伺いして いたかと思います。
○xxxx
はい。10時45分なのですけれども、まだ10時50分ぐらいまでは大丈夫だと思います。
○xxxx
どうもありがとうございます。それでは、御発言を希望される方は挙手をお願いいたします。
xx委員、お願いいたします。
○xx委員
本日は大変貴重な御報告をありがとうございました。一点質問です。消費者問題ということですと、契約時の取引能力というものを正確に知りたいというニーズがあると思うのですが、先ほどの先生のお話ですと、アルツハイマー型の認知症などだと徐々に認知能力が低下していくけれども、そうではないものも様々あるというお話で、金銭管理能力のようなものがいつ失われたかということについて、事後的な検査だけで分かるというのは難しいということになるのでしょうか。そうであるとしたら、これに加えてどのような資料があればその判断に資するのかといった点を教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○xxxx
それでは、お答えをお願いいたします。
○xxxx
御質問ありがとうございます。そうですね、なかなか難しいところはあります。アルツハイマー型認知症といっても様々というところもありますので、遡るというのは非常に難しいというのが個人的な意見ではあります。ただ、一定程度もう明らかに、例えば、xxx式も一桁台とかかなり進行した段階であるということが分かれば、例えば、6か月前ぐらいまではこれはもう低下していただろうということを推測することは、医学的にはある程度の妥当性を持って遡ることは可能ではあるかと思います。ただ、非常に医学的にも一部の専門医というか、よくふだんから診療している専門医でないと、そこはなかなか難しいかなと思います。
ではどのような資料があればということなのですが、先ほど消費者安全確保等協 議会にちょっと触れさせていただいたのですけれども、ああいうところで医療機関 ではない形でxx委員さんとかが見守っていらっしゃったとして、じゃそのときに どんな資料を残しておけば良いかというところでいうと、そういった方々でも分か りやすいチェックリストみたいなものを使っていただいて、この人はやはり取引能 力低下が疑われるので要配慮だみたいなことをふだんの行動とか、どこまで買物と かがちゃんとできているかみたいなそういう具体的な経済活動の御様子をチェック しておくということで資料を残しておくというのは一つ考えられるかもしれません。すみません、まだそこまでぐらいしか考えが進んでいないのですけれども。以上で す。
○xxxx
xxxxでしょうか。
○xx委員
ありがとうございます。
○xxxx
ありがとうございます。ほかに質問があれば挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
xx先生、ありがとうございました。なかなかお答えにくいというのか難しいのかもしれませんけれども、先生が作成されたスライドでも、例えば28ページで見てみますと、認知症前段階というのでしょうか、軽認知の段階がやはり経済的被害が多いという御報告だったと思います。私もそうだと思っています。そこで軽認知症というのをどのように客観的に判断するか。認知症ならまだ分かりますけれども、軽認知段階をどういうふうに判断したらいいかとか、金銭管理とか、それかも経済的な面でもということになろうかと思いますので、そこら辺、今、ある程度何か指針があるのでしょうか。今は難しいとしても、先ほどおっしゃっていたxxx創造戦略本部でしたか、そちらでそういった点を着目して研究を進めているのか、そこら辺の、ちょっとふわっとした質問で申し訳ないのですけれども、お教え願えればと思います。
○xxxx
お答えをお願いいたします。
○xxxx
御質問ありがとうございます。軽度認知障害、MCIと呼ばれるような段階をどう判定するかということなのですけれども、これは医学的には、例えば、アプリでゲームみたいなものをやってもらって認知機能の評価をして、あなたはMCIですみたいなそういう検診みたいなことをすることは可能は可能なのです。ただ、ちょっと注意が必要なのは、初期の頃、物忘れだけが出ているような状態というのは、別に取引能力には影響はあまりなかったりもするのです。だから、どういった能力が低下しているかというところが取引能力には関わってくるので、チェックリストとかで考えると、やはり直接どういう経済活動に支障が出ているかみたいな、認知機能検査で間接的に推定するのではなくて、直接その人の生活を見てチェックをするというのが一番いいのじゃないかと考えております。
そして、資料3-2を委員の先生方にはお届けしたかと思うのですけれども、そ こを見ていただきますと、かなりダイレクトにこういうことができなくなっていま すというところを診断書に書き込んでチェックしていただくような形にしたのです けれども、我々医師でも漠然とした経済活動についてどうですかと聞かれるよりは、この人はATMでお金を下ろせますかとか、自分の年収とか月収とかを考えてきちん と買物ができますかとか、契約ができますかとか、より具体的になればなるほど書 きやすいということがありますので、ちょっとそういう具体的な経済活動に落とし 込んだというチェックリストというのが、個人的には一番xxなのではないかと考 えております。
○xxxx
ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、ほかに質問等がありましたら挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
10時50分までお時間をお取りいただいていたということではありますが、お約束の時間がこの時間でありますので、差し当たり、質疑はここまでとさせていただければと思います。もし、さらに追加の質問がありましたら書面でお出しいただきましたら、お取次ぎをさせていただきたいと思います。
xx先生、大変お忙しいところお時間をお取りいただきましてどうもありがとうございました。貴重な御意見を参考にさせていただきます。どうもありがとうございました。
○xxxx
ありがとうございました。
○xxxx
それでは、以上でヒアリングを終了とさせていただきます。最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。
○xx消費者制度課長
委員及び参考人の皆様には、貴重な御意見を頂き、またヒアリングに応じていただきましてありがとうございました。次回の詳細につきましては後日改めて御連絡をさせていただきます。
○xxxx
ありがとうございました。なお、本日の議論につきましては、運営要領に基づき、事務局と私で議事録を作成し、委員及びヒアリングに御協力いただいた皆様に御確 認いただいた上で公表したいと考えています。それでは、本日はこれにて閉会とさ せていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうご ざいました。今後ともどうかよろしくお願いしたいと思います。それでは、これで 第17回検討会を終了いたします。ありがとうございました。