Contract
政治資金監査実施要領
(案)
平成20年10月31日政治資金適正化委員会
目 次
Ⅰ.政治団体の区分に異動があった場合の留意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
Ⅱ.政治資金監査契約締結に当たっての留意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
1.政治資金監査契約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
2.契約書において規定すべき事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(1)一般的事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(2)登録政治資金監査人及び国会議員関係政治団体の責任・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(3)秘密保持義務・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
(4)使用人等の監督等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
(5)契約の解除・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
3.政治資金監査契約に係る留意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
Ⅲ.領収書等の確認に当たっての留意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
1.領収書等の記載事項の確認・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
2.領収書等のあて名等の確認・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
(1)あて名の確認・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
(2)訂正等の確認・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
Ⅳ.会計責任者等に対するヒアリングに当たっての留意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
1.会計責任者等に対するヒアリングの意義・目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
2.ヒアリング事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
3.ヒアリングの実施方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
4.その他の留意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
Ⅴ.領収書等を徴し難い事情の具体例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
Ⅵ.政治資金監査報告書記載要領・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
1.政治資金監査報告書の記載事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
2.政治資金監査報告書作成に当たっての留意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
3.政治資金監査報告書記載例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
(1)監査事項について確認できないものがない場合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
(2)会計帳簿に記載不備がある場合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
(3)領収書等の徴収漏れ又は亡失等がある場合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
※ 本実施要領は、政治資金監査を行うに当たっての各種の留意事項をとりまとめたもの
であり、「政治資金監査に関する具体的な指針」の一部を構成するものである。
1. 年の途中において国会議員関係政治団体であった期間がある場合には、国会議員関係政治団体であった期間についてのみならず、国会議員関係政治団体以外の政治団体であった期間も含めて、その年の全期間の支出に係る会計帳簿等の関係書類について政治資金監査を受けなければならないこと。
2. 会計責任者に法令上求められる会計帳簿等の関係書類の作成又は徴収義務は、国会議員関係政治団体、国会議員関係政治団体には該当しない資金管理団体(以下単に「資金管理団体」という。)、また、国会議員関係政治団体又は資金管理団体のいずれにも該当しない政治団体(以下「その他の政治団体」という。)それぞれの政治団体の区分ごとにその対象となる支出の範囲が異なるものであること。
3. 政治資金監査は、政治団体の区分に応じた会計帳簿等の関係書類の作成又は徴収義務の対象となる支出の範囲で確認を行うことで足りるものであること。なお、政治団体の区分ごとの政治資金監査の対象となる支出の範囲は、以下のとおりであること。
国会議員関係 政治団体 | 資金管理団体 | その他の政治団体 | |
会計帳簿 | すべての支出 | ||
明細書 | すべての支出 | ||
領収書等 | すべての支出 | 1件5万円以上の支出 | |
振込明細書 | すべての支出 | 1件5万円以上の支出 | |
領収書等を徴し難かった支出の 明細書 | すべての支出 | 人件費以外の経費で1件5万円 以上の支出 | 経常経費以外の経費で1件5万 円以上の支出 |
振込明細書に係る支出目的書 | すべての支出 | 人件費以外の経費で1件5万円 以上の支出 | 経常経費以外の経費で1件5万 円以上の支出 |
収支報告書 | 人件費以外の経費で1件1万円 を超える支出 | 人件費以外の経費で1件5万円 以上の支出 | 経常経費以外の経費で1件5万 円以上の支出 |
4. 国会議員関係政治団体に関する特例の適用期間及び資金管理団体の指定の期間は、収支報告書(様式その1)により確認すること。
Ⅱ.政治資金監査契約締結に当たっての留意事項
1.政治資金監査契約
1. 国会議員関係政治団体の会計責任者は、登録政治資金監査人の政治資金監査を受けなければならないこととされている(法第19条の13第1項)。政治資金監査を受けるに当たっては、国会議員関係政治団体と登録政治資金監査人との間で、政治資金監査の実施に関する契約を締結するものであること。
2. 国会議員関係政治団体と登録政治資金監査人は、通常、政治資金監査の実施に関する契約を締結するものであるが、円滑な政治資金監査を行う上で必要がある場合には、政治資金監査対象年の開始前又は年の途中において、必要な助言等を行うため、政治資金監査の事前準備として、領収書等の整理・保存状況を確認する予備的契約や、領収書等の整理方法を指導・助言する契約を締結することも差し支えないものであること。
2.契約書において規定すべき事項
3. 政治資金監査の実施に関する契約の締結に際して、契約に盛り込むことが想定される事項としては以下のものが考えられること。なお、契約書において規定すべき事項は、以下の事項に限定されるものではなく、法令及び政治資金監査マニュアルの規定に反しない限りにおいて、政治資金監査の実施に必要な範囲内で契約当事者の合意に基づき定めるものであること。
(1)一般的事項
4. 政治資金監査の目的
政治資金収支報告書の作成が政治資金規正法に基づき適切に実施されているかを外部性を有する第三者が専門的な立場から確認し、もって収支報告の適正の確保に資することを目的として、政治資金監査マニュアルに基づき、法第19条の13第2項各号に掲げる事項について確認した結果を報告するものであること。
なお、政治資金監査は、国会議員関係政治団体が管理すべき会計帳簿等の書類が保存されているかどうか、それらの書面の記載が整合的かどうかを外形的・定型的に確認する業務であり、政治資金の使途の妥当性を評価するものではないこと。
5. 政治資金監査の体制及び政治資金監査を受ける体制
政治資金監査業務に従事する登録政治資金監査人及び業務従事者並びに登録政治資金監査人との連絡にあたる会計責任者及び担当者の氏名、連絡先、地位、資格等を明らかにすること。
6. 政治資金監査の対象
国会議員関係政治団体から提出された政治資金監査の対象年に係る会計帳簿等の関係書類を対象とすること。
7. 政治資金監査の時期、日程及び場所並びに政治資金監査報告書の提出方法及び提出期限
政治資金規正法及び政治資金監査マニュアルに従い、登録政治資金監査人と国会議員関係政治団体との間で協議の上、定めること。
8. 報酬の額及び支払の時期
政治資金監査において確認を要する領収書等の枚数や整理状況に応じ、政治資金監査に要する業務量を勘案して定めること。
9. 経費の負担
政治資金監査を実施するために必要な経費の負担について、登録政治資金監査人及び国会議員関係政治団体の両者で合意の上、定めること。
(2)登録政治資金監査人及び国会議員関係政治団体の責任
10. 登録政治資金監査人の責任
登録政治資金監査人は、外部性を有する第三者の立場において、政治資金監査マニュアルに基づき政治資金監査を行い、政治資金監査報告書を作成する責任を有すること。
11. 国会議員関係政治団体の責任
・ 円滑に政治資金監査を行うため、政治資金監査が行われるまでの間に会計帳簿や領収書等を複数の事務所において管理している場合には、書面監査を行う事務所に集約し、また、会計帳簿等や領収書等は支出項目別及び年月日順に整理すること。
・ 登録政治資金監査人が政治資金監査を実施するために必要なすべての記録、書類、その他の情報を提供し、登録政治資金監査人からの書面又は口頭による質問に対しては遅滞なくxxを回答しなければならないこと。
(3)秘密保持義務
12. 登録政治資金監査人は、政治資金規正法の規定により、正当な理由がなく、政治資金監査の業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないこと。使用人その他の従業者又はこれらの者であった者についても同様であること。
(4)使用人等の監督等
13. 登録政治資金監査人は、その業務を遂行する上で使用人等を使用することができること。その際には指揮命令系統、職務分担等を明らかにした上で、使用人等にも秘密保持義務が課されることを周知徹底し、適切な指示及び監督を行うこと。
(5)契約の解除
14. 登録政治資金監査人が契約を解除することができる場合として以下の場合が考えられること。
・ 国会議員関係政治団体の責めに基づき政治資金監査の実施が不可能になった場合
・ 国会議員関係政治団体の会計責任者又は担当者が登録政治資金監査人の業務遂行に誠実に対応しない場合など、信頼関係が著しく損なわれた場合
15. 国会議員関係政治団体が契約を解除することができる場合として以下の場合が考えられること。
・ 登録政治資金監査人の責めに基づき政治資金監査の実施が不可能になった場合
3.政治資金監査契約に係る留意事項
16. 契約の締結に当たっては、国会議員関係政治団体と登録政治資金監査人との間に、政治資金監査マニュアルのⅡ.1.(2)業務制限に掲げる関係を有する場合には、政治資金監査を行うことはできないことに留意すること。
17. 登録政治資金監査人は契約書に明記された政治資金監査の時期までに、政治資金適正化委員会が行う政治資金監査に関する研修を修了しておかなければならないこと。
18. 登録政治資金監査人は、個人として、国会議員関係政治団体と政治資金監査の実施に関する契約を締結するものであり、弁護士法人、監査法人又は税理士法人として契約を締結することはできないので留意すること。
Ⅲ.領収書等の確認に当たっての留意事項
1.領収書等の記載事項の確認
1. 国会議員関係政治団体の会計責任者は、当該国会議員関係政治団体のすべての支出について、当該支出の目的、金額及び年月日を記載した領収書その他の支出を証すべき書面(以下「領収書等」という。)を徴さなければならない(法第11条第1項・第
19条の9)。したがって、政治資金規正法上、領収書等には、支出の「目的」、「金額」及び「年月日」の3事項が記載されていることが必要であるので、領収書等にこれらの事項が記載されているかを確認すること。
2. 一般的な領収書等において、「目的」とは「但し、○○代として」など何に支出されたかが分かるような記載をいい、通常、摘要といわれるものである。また、「金額」とは当該支出の金額を、「年月日」とは当該支出の日付をいうものであること。
3. 領収書等の3事項に欠ける領収書等があった場合には、その旨を指摘するとともに、会計責任者等において領収書等の発行者に対し記載の追加や再発行を要請するなど、
3事項を具備した領収書等を備えるよう求めること。
4. なお、金融機関が作成した振込明細書は、金融機関が政治団体から委任を受けて一定金額を受け取ったことを証する書面にすぎず、また、領収書等の3事項のうち、一般的に「支出の目的」が記載されていないことから、支出を受けた者からの領収書等には該当しない。したがって、振込明細書に係る支出目的書とともに振込明細書を確認する必要があること。
2.領収書等のあて名等の確認
(1)あて名の確認
5. 政治資金規正法上、領収書等のあて名は記載事項とされていないが、収支報告書と併せて写しが提出される1件あたりの金額が1万円を超える支出(人件費以外の経費の支出に限る。)に係る領収書等(以下「高額領収書等」という。)については、あて名に当該国会議員関係政治団体の名称が記載されているかを確認すること。
6. あて名のない領収書等及びあて名が「上様」の領収書等については、当該国会議員関係政治団体に対して発行されたものとして取り扱うことができるものであるが、今後、当該国会議員関係政治団体の名称を発行者において記載してもらうよう助言すること。
7. 領収書等のあて名が、国会議員関係政治団体の正式名称ではなく、「○○事務所」のように国会議員の氏名を用いたものについては、当該国会議員関係政治団体に対して発行されたものとして取り扱うことができるものであること。
8. 高額領収書等のあて名に当該国会議員関係政治団体に対して発行されたことが推認されない名称が記載されているものについては、会計責任者等に対するヒアリングにおいて、これらの領収書等が当該国会議員関係政治団体あてに発行された領収書等であることの確認を会計責任者等に求めること。
9. 通常、政党以外の政治団体は法人格がないため、当該政治団体の名において契約することができない場合があり、そのような契約に係る支出の領収書等は、あて名に国会議員関係政治団体の正式名称と異なる名称が記載されていても、やむを得ないものであること。
(2)訂正等の確認
10. 高額領収書等のうちに以下のような領収書等がある場合には、当該領収書等が真正なものであることを会計責任者等に確認すること。
(例)
・ 明らかに記載が訂正又は消去された痕跡のある領収書等がある場合
・ 同一振出人で、数種類の様式の領収書等がある場合
・ 一般の大法人が発行する領収書等で、市販されている領収書等を使用している場合
・ 住所の記載が曖昧(番地まで記載されていないもの等)である場合
Ⅳ.会計責任者等に対するヒアリングに当たっての留意事項
1.会計責任者等に対するヒアリングの意義・目的
1. 会計責任者等に対するヒアリングは、職業的専門家である登録政治資金監査人が会計責任者本人に対しヒアリングを行うことにより、領収書等の徴収漏れ又は亡失等により書面監査では国会議員関係政治団体の支出の状況が確認できなかったものについて、支出の実体を確認するとともに、書面監査で支出の状況を確認した国会議員関係政治団体の支出のうち一定の支出について適法性等を確認し、さらなる収支報告の適正の確保を図るものである。
2. 併せて、国会議員関係政治団体の会計処理方法や会計帳簿の支出項目の区分の分類等を確認することにより、国会議員関係政治団体の会計処理の適正化も期待できるものである。
2.ヒアリング事項
3. 会計責任者等に対するヒアリングにおいては、以下に掲げる事項について、ヒアリングを行うものとすること。
・ 会計処理方法
・ 支出項目の区分の分類
・ 書面監査では支出の状況が確認できなかったもの
・ 書面監査に加えて、支出の状況の詳細を確認する必要があるもの
4. 書面監査では支出の状況が確認できなかったものには、以下のものが該当する。
・ 領収書等の徴収漏れ又は亡失により、領収書等がないもの
・ 領収書等又は振込明細書及び振込明細書に係る支出目的書により支出の状況が確認できない人件費で、賃金台帳、源泉徴収簿等の人件費を確認できる書類の存在しないもの
・ 高額領収書等のあて名に当該国会議員関係政治団体に対して発行されたことが推認されない名称が記載されているもの
・ 「政治資金監査実施要領」の「Ⅴ.領収書等を徴し難い事情の具体例」以外の事由で領収書等を徴し難かった支出の明細書に記載しているもの
5. 書面監査に加えて、支出の状況の詳細を確認する必要があるものは、以下のとおりである。なお、書面監査において発見した関係法令上の問題点等、その他の事項のヒアリングを妨げないものであること。
・ 政治資金監査を行った現場の事務所が、当該国会議員関係政治団体の活動以外の活動にも使用されていると認められる場合における経常経費(光熱水費、家賃等)
・ 他の政治団体に対する支出
・ xx、供花、香典、祝儀その他これらに類する支出
3.ヒアリングの実施方法
6. ヒアリングでは、まず、国会議員関係政治団体の会計処理方法についてヒアリングを行い、当該国会議員関係政治団体の会計処理の現状について把握すること。
7. 国会議員関係政治団体の会計処理方法については、以下に掲げる事項をヒアリングで確認すること。
・ 国会議員関係政治団体の支出手続(支出伺い・決裁・支払方法等)について聴取し、会計責任者が会計処理を管理しているかどうか。
・ 会計帳簿への記帳については、支出の都度行っているのか、ある程度の期間ごとに行っているのか。
・ 会計処理に関してどのような書類を作成しているのか。
・ 会計帳簿や領収書等について、どのように保管しているのか。
・ 会計責任者の交代があった場合、どのように事務の引継ぎを行っているのか。
8. 国会議員関係政治団体の会計処理方法についてのヒアリングの結果、会計処理を改善できるものがあった場合には、必要に応じて、会計責任者等に対し助言等を行うこと。
9. 会計帳簿の支出項目の区分の分類については、省令で定める分類基準に照らし、支出項目の区分の分類に誤りがないことの確認を会計責任者等に求めること。
10. 領収書等の徴収漏れ又は亡失により支出の状況の確認ができないもの(人件費以外の経費の支出に限る。)については、領収書等亡失等一覧表のとおり当該経費が支出されたことの確認を会計責任者等に求めること。
11. 領収書等又は振込明細書及び振込明細書に係る支出目的書により支出の状況が確認できない人件費で、賃金台帳、源泉徴収簿等の人件費を確認できる書類の存在しないものについては、その事情を聴取し、人件費が支出されたことの確認を会計責任者等に求めること。
12. 高額領収書等のあて名に当該国会議員関係政治団体に対して発行されたことが推認 されない名称が記載されているものについては、これらの領収書等が当該国会議員関 係政治団体あてに発行された領収書等であることの確認を会計責任者等に求めること。
13. 「政治資金監査実施要領」の「Ⅴ.領収書等を徴し難い事情の具体例」以外の事由で領収書等を徴し難かった支出の明細書に記載しているものについては、その事情を会計責任者等に確認すること。
14. 政治資金監査を行った現場の事務所が、当該国会議員関係政治団体の活動以外の活動にも使用されていると認められる場合における経常経費について、当該国会議員関係政治団体の活動に係る経常経費とそれ以外の経常経費とをどのようにあん分しているかを会計責任者等に確認すること。
15. 他の政治団体に対する支出については、支出を受けた政治団体において適切な会計処理が行われていることの確認を会計責任者等に求めること。
16. xx、供花、香典、祝儀その他これらに類する支出については、これらの支出に公職選挙法に抵触する支出が含まれていないことの確認を会計責任者等に求めること。
4.その他の留意事項
17. 会計責任者等に対するxxxxxは、原則として、会計責任者本人に対し行わなければならないこと。
18. なお、会計責任者の職務を補佐する者が、会計責任者等に対するヒアリングに同席し、登録政治資金監査人からの質問に回答することは差し支えないものであること。
19. 会計責任者等に対するヒアリングについては、必ず登録政治資金監査人が行わなければならず、使用人等のみで行ってはならないこと。
Ⅴ.領収書等を徴し難い事情の具体例
1. 国会議員関係政治団体の会計責任者は、当該国会議員関係政治団体のすべての支出について、領収書等を徴さなければならないが、領収書等を徴し難い事情があるときは、例外的に領収書等を徴することを要しない(法第11条第1項・第19条の9)。
「領収書等を徴し難い事情」とは、事実上又は社会通念上客観的に領収書等を徴することが困難な場合をいい、具体的には以下のような場合が考えられること。
・ 香典・祝儀
領収書等を徴しないことが社会通念上、一般的なものとして認識されているもの。
・ バス・電車等の切符
購入又は利用の際に領収書等が発行される場合を除く。
・ 振込みの方法による支出
振込明細書については、振込明細書に係る支出目的書とともに確認することとしてもよい。
・ 支出の目的が記載されていない振込金受領証
コンビニエンスストアや金融機関等で払込みをした場合の受領証で、支出の目的が記載されていないもの。
・ 口座振替の利用
支出の相手方によっては、領収書等が発行されない場合が想定される。
・ 金銭以外の支出
金銭を伴わない支出について、領収書等を発行してもらうのは事実上困難である。
・ 領収書を発行しない自動販売機の利用
2. 登録政治資金監査人は、上記以外の場合でも会計責任者等に対するヒアリングにおいて、領収書等を徴し難い事情と合理的に判断できる場合には、認めることとして差し支えないものであること。なお、ヒアリングにおいても判断がつかない場合は、政治資金適正化委員会に照会するものとすること。
Ⅵ.政治資金監査報告書記載要領
1.政治資金監査報告書の記載事項
1. 政治資金監査報告書には、政治資金監査マニュアルに基づいて行った政治資金監査の概要及び結果並びに業務制限に該当するか否かを簡潔明瞭に記載し、かつ、当該政治資金監査報告書を作成した登録政治資金監査人本人が、作成の年月日を付して自署し、かつ、自己の印を押すこと。
2.政治資金監査報告書作成に当たっての留意事項
2. 政治資金監査報告書の用紙の大きさは、日本工業規格A列4番とすること。
3. 政治資金監査報告書の表題は、「政治資金監査報告書」とすること。
4. 登録政治資金監査人の登録番号及び研修修了年月日については、登録政治資金監査人名簿への登録番号及び政治資金適正化委員会が行う政治資金監査に関する研修の修了年月日を記載すること。
5. 監査の結果については、政治資金監査マニュアルに基づいて行った政治資金監査の結果を、記載例に従って記載すること。
・ 監査事項について確認できないものがない場合、記載例(1)の例によること。
・ 会計帳簿に記載不備がある場合、支出を受けた者の氏名及び住所並びにその支出の目的、金額及び年月日等、記載不備がある記載事項の種類を明らかにした上、記載例(2)の例によること。
・ 領収書等の徴収漏れ又は亡失により支出の状況が確認できなかったもの(人件費以外の経費の支出に限る。)がある場合、会計責任者から提出された領収書等亡失等一覧表を添付の上、記載例(3)の例によること。
・ このほか、会計責任者等に対するヒアリングを行った結果、なお支出の状況が確認できなかったもの(「政治資金監査実施要領」の「Ⅳ.会計責任者等に対するヒアリングに当たっての留意事項」を参照のこと。)がある場合、その内容を明らかにした上、記載例(3)の例によること。
6. 登録政治資金監査人は、政治資金監査報告書の作成において、記載例に加え、特に記載する必要があると判断した事項がある場合は、政治資金適正化委員会に照会するものとすること。
3.政治資金監査報告書記載例
(1)監査事項について確認できないものがない場合
政治資金監査報告書
平成×年×月×日
○○○○(国会議員関係政治団体名)代表 ○○ ○○ 殿
登録政治資金監査人 ○○ ○○ ○印登 録 番 号 第 ×××× 号研 修 修 了 年 月 日 平成×年×月×日
1 監査の概要
(1)私は、政治資金規正法(以下「法」という。)第19条の13第1項の規定に基づき、
○○○○(国会議員関係政治団体名)の平成×年×月×日から平成×年×月×日までの法第12条第1項に規定する報告書(※1)並びに当該報告書に係る会計帳簿、明細書、領収書等、領収書等を徴し難かった支出の明細書等及び振込明細書(以下「会計帳簿等の関係書類」という。)について、支出に関する政治資金監査を行った。
(2)この政治資金監査は、法第19条の13第2項に定めるところにより政治資金適正化委員会が定める「政治資金監査に関する具体的な指針」(以下「政治資金監査マニュアル」という。)に基づき行った。
(3)私の責任は、外部性を有する第三者として、国会議員関係政治団体の会計責任者の作成した会計帳簿等の関係書類について、政治資金監査マニュアルに基づき政治資金監査を行った結果を報告することにある。
(4)この政治資金監査は、○○○○(国会議員関係政治団体名)の主たる事務所(※2)において行った。
2 監査の結果
私が実施した政治資金監査の結果は、以下のとおりである。
(1)法第19条の13第2項第1号に規定する事項について、会計帳簿、明細書、領収書等、領収書等を徴し難かった支出の明細書等及び振込明細書が保存されていた。
(2)法第19条の13第2項第2号に規定する事項について、会計帳簿には、当該国会議員関係政治団体に係るその年における支出の状況が記載され、かつ、当該国会議員関係政治団体の会計責任者が当該会計帳簿を備えていた。
(3)法第19条の13第2項第3号に規定する事項について、法第12条第1項に規定する報告書(※1)は、会計帳簿、明細書、領収書等、領収書等を徴し難かった支出の明細書等及び振込明細書に基づいて支出の状況が表示されていた。
(4)法第19条の13第2項第4号に規定する事項について、領収書等を徴し難かった支出の明細書等は、会計帳簿に基づいて記載されていた。
3 業務制限
○○○○(国会議員関係政治団体名)と私との間には、法第19条の13第5項の規定に違反する事実はない。
また、○○○○(国会議員関係政治団体名)と政治資金監査の業務を補助した使用人その他の従業者との間においても、同様である。
以 上
(※1)政治団体が解散等したときに提出する収支報告書の場合は、「法第17条第1項に規定する報告書」とすること。
(※2)国会議員関係政治団体の主たる事務所と異なる場合は、その理由を明らかにした上で政治資金監査の実施場所を特定すること。
(注)政治資金監査を事務所で行わないことができる例外としては、会計帳簿や領収書等の紛失等の事故を防止するための十分な措置が講じられ、かつ、会計責任者等に対するヒアリング等を通じて、経常経費を含む事務所の運営実態について確認することができることを条件として以下の場合が考えられること。
① 作業スペースの不足等やむを得ない事情により、円滑な政治資金監査の実施が困難であると登録政治資金監査人が判断した場合
② 同一の国会議員に係る複数の国会議員関係政治団体の政治資金監査を実施する場合において、政治資金監査の効率的な実施のため、特定の事務所等に会計帳簿等の関係書類を集めた上で、政治資金監査を行うことが適当であると登録政治資金監査人が判断した場合
(2)会計帳簿に記載不備がある場合
政治資金監査報告書
平成×年×月×日
○○○○(国会議員関係政治団体名)代表 ○○ ○○ 殿
登録政治資金監査人 ○○ ○○ ○印登 録 番 号 第 ×××× 号研 修 修 了 年 月 日 平成×年×月×日
1 監査の概要
(1)私は、政治資金規正法(以下「法」という。)第19条の13第1項の規定に基づき、
○○○○(国会議員関係政治団体名)の平成×年×月×日から平成×年×月×日までの法第12条第1項に規定する報告書(※1)並びに当該報告書に係る会計帳簿、明細書、領収書等、領収書等を徴し難かった支出の明細書等及び振込明細書(以下「会計帳簿等の関係書類」という。)について、支出に関する政治資金監査を行った。
(2)この政治資金監査は、法第19条の13第2項に定めるところにより政治資金適正化委員会が定める「政治資金監査に関する具体的な指針」(以下「政治資金監査マニュアル」という。)に基づき行った。
(3)私の責任は、外部性を有する第三者として、国会議員関係政治団体の会計責任者の作成した会計帳簿等の関係書類について、政治資金監査マニュアルに基づき政治資金監査を行った結果を報告することにある。
(4)この政治資金監査は、○○○○(国会議員関係政治団体名)の主たる事務所(※2)において行った。
2 監査の結果
私が実施した政治資金監査の結果は、以下のとおりである。
(1)法第19条の13第2項第1号に規定する事項について、会計帳簿、明細書、領収書等、領収書等を徴し難かった支出の明細書等及び振込明細書が保存されていた。
(2)法第19条の13第2項第2号に規定する事項について、会計帳簿には、○○(※
3)の記載不備が一部に見られたものの、当該国会議員関係政治団体に係るその年における支出の状況が記載され、かつ、当該国会議員関係政治団体の会計責任者が当該会計帳簿を備えていた。
(3)法第19条の13第2項第3号に規定する事項について、法第12条第1項に規定
する報告書(※1)は、会計帳簿、明細書、領収書等、領収書等を徴し難かった支出の明細書等及び振込明細書に基づいて支出の状況が表示されていた。
(4)法第19条の13第2項第4号に規定する事項について、領収書等を徴し難かった支出の明細書等は、会計帳簿に基づいて記載されていた。
3 業務制限
○○○○(国会議員関係政治団体名)と私との間には、法第19条の13第5項の規定に違反する事実はない。
また、○○○○(国会議員関係政治団体名)と政治資金監査の業務を補助した使用人その他の従業者との間においても、同様である。
以 上
(※1)政治団体が解散等したときに提出する収支報告書の場合は、「法第17条第1項に規定する報告書」とすること。
(※2)国会議員関係政治団体の主たる事務所と異なる場合は、その理由を明らかにした上で政治資金監査の実施場所を特定すること。なお、政治資金監査を事務所で行わないことができる例外については、記載例(1)(※2)の(注)を参照のこと。
(※3)支出を受けた者の氏名及び住所並びにその支出の目的、金額及び年月日等の会計帳簿の記載事項の種類を記載すること。
(3)領収書等の徴収漏れ又は亡失等がある場合
政治資金監査報告書
平成×年×月×日
○○○○(国会議員関係政治団体名)代表 ○○ ○○ 殿
登録政治資金監査人 ○○ ○○ ○印登 録 番 号 第 ×××× 号研 修 修 了 年 月 日 平成×年×月×日
1 監査の概要
(1)私は、政治資金規正法(以下「法」という。)第19条の13第1項の規定に基づき、
○○○○(国会議員関係政治団体名)の平成×年×月×日から平成×年×月×日までの法第12条第1項に規定する報告書(※1)並びに当該報告書に係る会計帳簿、明細書、領収書等、領収書等を徴し難かった支出の明細書等及び振込明細書(以下「会計帳簿等の関係書類」という。)について、支出に関する政治資金監査を行った。
(2)この政治資金監査は、法第19条の13第2項に定めるところにより政治資金適正化委員会が定める「政治資金監査に関する具体的な指針」(以下「政治資金監査マニュアル」という。)に基づき行った。
(3)私の責任は、外部性を有する第三者として、国会議員関係政治団体の会計責任者の作成した会計帳簿等の関係書類について、政治資金監査マニュアルに基づき政治資金監査を行った結果を報告することにある。
(4)この政治資金監査は、○○○○(国会議員関係政治団体名)の主たる事務所(※2)において行った。
2 監査の結果
私が実施した政治資金監査の結果は、(別記)を除き、以下のとおりである。
(1)法第19条の13第2項第1号に規定する事項について、会計帳簿、明細書、領収書等、領収書等を徴し難かった支出の明細書等及び振込明細書が保存されていた。
(2)法第19条の13第2項第2号に規定する事項について、会計帳簿には、当該国会議員関係政治団体に係るその年における支出の状況が記載され、かつ、当該国会議員関係政治団体の会計責任者が当該会計帳簿を備えていた。
(3)法第19条の13第2項第3号に規定する事項について、法第12条第1項に規定する報告書(※1)は、会計帳簿、明細書、領収書等、領収書等を徴し難かった支出
の明細書等及び振込明細書に基づいて支出の状況が表示されていた。
(4)法第19条の13第2項第4号に規定する事項について、領収書等を徴し難かった支出の明細書等は、会計帳簿に基づいて記載されていた。
(別記)(※3)
(1)別添の「領収書等亡失等一覧表」
(2)支出の状況を確認できる書類が存在しない人件費(×件、計××××円)
(3)○○○○(国会議員関係政治団体名)に対して発行されたとは認められない名称が領収書等のあて名に記載されていると判断されるもの
(××月××日・××費・××××円)
・ 領収書等のあて名に記載されていた名称
○○○○○○
3 業務制限
○○○○(国会議員関係政治団体名)と私との間には、法第19条の13第5項の規定に違反する事実はない。
また、○○○○(国会議員関係政治団体名)と政治資金監査の業務を補助した使用人その他の従業者との間においても、同様である。
以 上
(※1)政治団体が解散等したときに提出する収支報告書の場合は、「法第17条第1項に規定する報告書」とすること。
(※2)国会議員関係政治団体の主たる事務所と異なる場合は、その理由を明らかにした上で政治資金監査の実施場所を特定すること。なお、政治資金監査を事務所で行わないことができる例外については、記載例(1)(※2)の(注)を参照のこと。
(※3)(2)及び(3)については、該当するものがある場合に記載すること。記載例に加え、特に記載する必要があると判断した事項がある場合には、政治資金適正化委員会に照会すること。
(別添)
領収書等亡失等一覧表
支出の目的 | 金 額 | 年月日 | 備 考 | |
項 目 | 摘 要 | |||
何 々 | ||||
1 何々 | 5,000 | ○. 1. 1 | ||
2 何々 | 50,000 | 〃. 3. 1 | Axxx・xxx○○区○○町○○番地 | |
※ 本表は、国会議員関係政治団体において作成され、登録政治資金監査人に対して提出されたものである。
(備考)
1 この用紙の大きさは、日本工業規格A列4番とすること。
2 会計帳簿に記載された支出のうち、領収書等の徴収漏れ又は亡失により、領収書等がない支出(人件費以外の経費の支出に限る。)を記載すること。
3 収支報告書に記載すべき支出(国会議員関係政治団体である間に行った支出にあっては人件費以外の経費で1件1万円を超える支出)にあっては、当該支出を受けた者の氏名及び住所を「備考」欄に記載すること。
4 会計責任者等が特に必要と判断する場合には、領収書等を徴収漏れ又は亡失した事情を「備考」欄に記載することができる。ただし、当該事情については、政治資金監査の対象とならないことに留意すること。