🞐 GDPの押上げ : 約1%(約5兆円)(出典)内閣官房TPP等対策本部 HP
日EU経済連携協定:主な効果
平成30年3月外務省
日EU経済連携協定: 主な効果
(貿易の拡大)
🞐 我が国産品の輸出機会の拡大(3~10頁)(→企業収益拡大,雇用創出等)
🞐 EU産品がより身近に(11頁) (→消費者へのメリット等)
(投資等の拡大)
🞐 共通ルールの設定(12~15頁)
⮚ 我が国企業のEUへの投資機会の拡大 (→企業収益拡大等)
⮚ EU企業の我が国への投資機会の拡大 (→雇用創出等)
(経済効果見込み)
🞐 GDPの押上げ : 約1%(約5兆円)(出典)内閣官房TPP等対策本部 HP
🞐 労働供給の増加 :0.5%(約29万人)(出典)内閣官房TPP等対策本部 HP
工業製品
◆ 100%のEU側関税の撤廃を実現。
🞐 EUの関税の撤廃や規制の撤廃・緩和
⇒ 我が国産品の輸出拡大や市場開拓が期待される。
我が国産品の輸出拡大: 市場アクセスの改善
農林水産品
◆ 牛肉,茶,水産物等の輸出重点品目を含め,ほぼ全ての品目でEU側関税撤廃を獲得(ほとん
どが即時撤廃)。
酒類,たばこ,塩
◆ 全ての酒類,たばこ,塩で,EU側関税の即時撤廃を実現。
◆ 「日本ワイン」の自由な流通・販売が可能になる。
(「日本ワイン」の醸造方法の容認,自己証明の導入)
◆ 焼酎の四合瓶や一升瓶での輸出が可能になる。
❒ 地理的表示(GI)の相互保護により,EU加盟国において,我が国の農産品と酒類(「日本酒」等)のブランド価値を保護。
3
工業製品
🞐 日本からEU向け輸出金額(7兆9,626億円:2016年)の大半を占める工業製品について,
100%の関税撤廃を実現。
🞐 輸出金額の21.9%を占める自動車については,
(乗用車) 乗用車(現行税率10%)は,8年目に撤廃。
(自動車部品) ギヤボックス(現行税率:3.0%~4.5%)乗用車タイヤ(現行税率:4.5%)
エンジン関連部品(現行税率:2.7%等)
⇒ 貿易額ベースで92.1%の品目について即時撤廃。
⮚ EU加盟国で現地生産を行う自動車メーカー等に部品を納入する中小企業にも裨益することが期待される。
⮚ 「総合的なTPP等関連政策大綱」(平成29年11月TPP等総合対策本部決定)では,「2020
年までに中堅・中小企業等の輸出額2倍(2010年度比)を目指す。」との目標を設定。
4
農林水産品
⮚ 5億人を超えるEU市場への我が国農林水産物の輸出の促進に向けた環境を整備。
⮚ 「2019年の農林水産物・食品の輸出額1兆円目標の達成を目指す。」との目標「総合的なTPP等関連政策大綱」(平成29年11月TPP等総合対策本部決定)の達成に貢献。
品目 | 現行関税 | 合意内容 |
醤油等調味料 | 7.7%(醤油) | 即時撤廃 |
ほたて貝 | 8%(冷凍) | 関税撤廃(8年目) |
緑茶 | 3.2%(3kg以下のxx用) | 即時撤廃 |
牛肉 | 12.8%+141.4~304.1€/100kg | |
花き | 6.5%,8.3%(xx・盆栽・鉢もの),8.5%,10%(切り花) | |
ぶり | 15%(冷凍フィレ) | |
青果物 | 12.8%(かんきつ(ゆず等),9.5ユーロ/100kg(ながいも) | |
林産物 | 6%~10%(合板等) | |
豚肉※ | 46.7~86.9ユーロ/100㎏ | |
鶏肉※ | 6.4%,18.7~102.4ユーロ/100㎏ | |
鶏卵※ (粉卵等含む) | 16.7~142.3ユーロ/100kg | |
乳製品※ | 118.8ユーロ/100kg 等(脱脂粉乳) 189.6ユーロ/100kg 等(バター) |
(注1) コメは,相互に「除外」。
(注2) ※は,現在,輸出解禁に向け協議中の品目。 5
酒類,たばこ,塩
◆ 酒類・たばこ・塩の輸出拡大
EU側は,全ての酒類,たばこ及び塩の関税を即時撤廃。
◆ 「日本ワイン」の輸出拡大等
(現状) EU域外からEU域内への輸出は,EUワイン醸造規則に適合した場合のみ認められる。
規則に適合している旨の公的機関による証明書の取得・添付が義務付けられている。
(EPA発効後)EUは,「日本ワイン」の醸造方法を容認(補糖,補酸,ぶどう品種の承認等)。業者による自己証明を導入。
⇒ 協定発効後は,「日本ワイン」の自由な流通・販売が可能。
◆ 単式蒸留焼酎の容量規制の緩和
(現状) 700㎖,1,750㎖等の決められた容量の容器以外は流通不可。
(EPA発効後)日本で生産された単式蒸留焼酎については,四合瓶,一升瓶等日本で流通している容 器・容量のままでのEU域内での流通が可能。
◆ GI「日本酒」などの酒類GIの相互保護
(現状) 日本以外の国で製造された清酒(sake)であってもEU域内で「日本酒」と称して販売することができる。
(EPA発効後)日本以外の国で製造された清酒については,EU域内で「日本酒」と称して販売することは不可。模造品等の流通が防止され,ブランド価値向上が期待できる。
(注)農林水産品についても,GIを相互に保護。
6
原産地規則
◆ 完全累積制度
- 原産品の累積と生産行為の累積の両方が利用可能となる。
⇒ 協定による関税率の適用が受けやすくなる。
◆ 自己申告制度の採用 (※)
- 輸出時における原産地証明書の取得手続が不要。
⇒ 時間短縮やコスト削減につながり,貿易円滑化に資する。
※ 輸出者又は生産者自ら,産品が協定上の原産品である旨を明記した書面(原産地申告書)を作成し,輸入者が輸入国の税関に提出すること,又は輸入者自ら,産品が協定上の原産品である旨税関に対して示すことにより,協定税率の適用を受けることができる制度。
税関・貿易円滑化
◆ 税関手続の透明性等の確保
① 関係法令等を公表。
② 関係法令の予見可能性のある適用を確保。
③ 簡素化に向け努力。
④ 輸入許可前の貨物引取り制度等,通関の迅速化を確保。
⇒ 物品の輸入コストの削減に資する。 7
衛生植物検疫(SPS)措置
◆ SPS措置※に関する情報の入手
✓ 輸入条件,管理,検査及び承認の手続を含むSPS措置の透明性を確保し,双方の相互理解を強化し,要請に応じて情報提供を速やかに行うことを義務付ける。
⮚ EU側の輸入条件及び手続の進捗状況についての情報が入手しやすくなり,我
が国の農産品の輸出が促進されることが期待される。
(※) SPS措置 : 食品安全,動植物の衛生・検疫に関する措置
◆ 技術的協議の導入
✓ SPS措置について重大な懸念を有する場合等には,日EU間の技術的協議の要請が可能。
⮚ 我が国からの農産品の輸出における障壁の改善にも貢献することが期待される。
8
貿易の技術的障害(TBT)
◆ 強制規格の要件の統一性・一貫性ある適用
✓ 強制規格の要件を域内で統一性・一貫性をもって適用。
⮚ 我が国企業がEU市場に進出する際,本協定に関し,工業品及び農産品を含む全ての産品(SPS措置又は政府調達の対象となるものは除く。)に係る規制の運用がEU域内であっても国により大きく異なるといった状況に直面することが抑制されることが期待される。
◆ 規格の国際標準化,規格作りでの協力等
✓ 日EU双方の標準化機関が国際標準化や先端分野における規格作成で協力し,双方の関心分野について,相互の規格を国際規格に近づけていくこと,規制を簡素化すること等の取組を強化。
⮚ 日EUが国際的なルール作りを先導し,規制調和を通じて相互の貿易障壁を低くして
いくことが期待される。 9
農業協力
◆ 農産品・食品の輸出促進
✓ 農産品・食品の貿易を促進等のための特別委員会の設置等を含め日EU政府当局
の協力の枠組みを設置。
⮚ 日EU間の農業や農産品・食品に関し,技術協力や情報交換を促進することに
より,一層の技術向上に資する。
⮚ 貿易上の諸課題に関する当局間の情報交換により,我が国農産品・食品の輸
出促進が期待される。
10
貿易の技術的障害(TBT)
◆ 強制規格の要件の統一性・一貫性ある適用
✓ 強制規格の要件を域内で統一性・一貫性をもって適用。
⮚ 我が国企業がEU市場に進出する際,本協定に関し,工業品及び農産品を含む全ての産品(SPS措置又は政府調達の対象となるものは除く。)に係る規制の運用がEU域内であっても国により大きく異なるといった状況に直面することが抑制されることが期待される。
◆ 規格の国際標準化,規格作りでの協力等
✓ 日EU双方の標準化機関が国際標準化や先端分野における規格作成で協力し,双方の関心分野について,相互の規格を国際規格に近づけていくこと,規制を簡素化すること等の取組を強化。
⮚ 日EUが国際的なルール作りを先導し,規制調和を通じて相互の貿易障壁を低くして
いくことが期待される。 11
貿易救済
◆協定に基づく関税の譲許により,特定の産品の輸入が増加し,国内産業に重大な損害を与え,又はそのおそれがある場合,当該産品に対し,一時的に緊急措置(セーフガード措置)をとる権利を確保。
12
サービス・投資
◆ 規制に関する透明性・予見可能性の向上
✓ 原則全てのサービス・投資分野を対象とし,以下を確保。
① 内国民待遇
② 最恵国待遇
③ 市場アクセス
④ 投資家に対する特定措置の履行要求の禁止(投資のみ)
✓ ①から④までに整合しない措置・分野を,協定(附属書)上列挙。(ネガティブ・リスト方式)
✓ 現行法令については,協定発効後自由化の程度をより悪化させないことを約束。(ラチェット方式)
⮚ 欧州に進出している日系企業や,欧州でサービスを提供する日系企業に法的安定性を提供。
◆ 欧州で活動する日系企業のニーズに対応するルールの設定
✓ 電気通信,金融,国際海上運送,電子商取引等,分野別のルールを設定。
✓ 金融規制について,事前情報共有・協議のメカニズムを設置。
⮚ 本邦金融機関が欧州の金融規制に服する上での負担を軽減。
13
透明性
✓ 本協定の対象となる事項に関する法令等を速やかに公表することを定める。
⮚ 本協定に関する措置の透明性と予見可能性が高まる。
規制協力
う。
出の機会の提供,規制措置の
✓ 貿易・投資に関する日EUそれぞれの規制について,規制措置案の事前公表,意見提 事前・事後の評価,規制に関する良い慣行及び規制措置に関する情報交換等を行
✓ 日EU間の規制協力等を推進するための委員会を設置する。
⮚ 規制・基準策定の際の透明性が高まる。
⮚ 日EU間の規制・基準の調和が期待される。
中小企業
✓ 本協定に関連する情報を掲載するためのウェブサイトを開設し,日EU双方の中小企業が相手の市場に参入するために必要な情報を掲載する。
✓ 日EU双方において,中小企業のための連絡部局を指定する。
自然人の入国及び一時的な滞在
✓ 企業内転勤者,拠点等設立目的の商用訪問者,短期の商用訪問者等について,入国と一時的滞在の許可要件を明確にするとともに,数的制限等の規制を設けてはならないこととした。
⮚ 我が国企業のEUにおける活動が促進されることが期待される。 14
政府調達
✓ WTO政府調達協定(GPA)など,政府調達に関わるルール(※1)を,GPAに定める調達機関に加
え,主に以下の機関・事業にも適用。
• 日本 | : | 都道府県・政令指定都市が単独で設立する地方独立行政法人 都道府県・政令指定都市が運営する公営電気事業 |
• EU : | GPAが適用されていない国レベルの13の機関 地方自治体が運営する大学又は病院 |
※1 対象となる調達契約について,無差別原則,苦情申立て,協議及び紛争解決に関する実効的な手続を定めたもの。
✓ 日本の中核市については,一般競争入札による一定基準額以上の調達(公共工事を除く。)に限り,これまで同様,入札参加者の事業所の所在地を資格要件として設定することは可能にしつつ,EU加盟国に所在する事業者も参加できるようにするなど,GPAとは異なる特別なルールを適用する。
✓ 鉄道分野については,
• 日本側は,GPA上の安全注釈( ※2)を,日EU・EPAにおいては一定の期間を設けて撤廃。
• EU側は,GPA上日本企業をEUの鉄道市場から除外可能としていたが,日本が関心を有する車両を含む鉄道産品の一部につき日本に対し市場を開放。
※2 運転上の安全に関連する調達をGPAの対象外とすることができる注釈
15
反トラスト及び企業結合
✓ xxで自由な貿易・投資を確保するために,反競争的行為に対して適切な措置をとること,反競争的行為に対し当局間
で互いに協力すること等を定める。
補助金
✓ 自由な貿易・投資を確保するために,一定の条件を満たす補助金について,通報,協議,一定の類型の補助金の禁止等を定める。
国有企業
✓ 自由な貿易・投資を確保するために,国有企業,指定独占企業等が,物品やサービスを購入し,又は販売するに当たり,商業的考慮に従って行動すること,他方の国・地域の企業に対して内国民待遇を与えることを確保することを定める。
知的財産
✓ 日EU双方とも既に高いレベルの知的財産保護制度を有しているところ,知的所有権の貿易関連の側面に関する協定
(TRIPS協定)よりも高度又は詳細な規律を定める。
✓ 地理的表示(GI)について、農産品及び酒類GIの保護のための双方の制度と対象を確認し,TRIPS協定第23条と概ね同等の高いレベルでの相互保護を定める。
コーポレート・ガバナンス
✓ 健全なコーポレート・ガバナンス(企業統治)の発展という観点から,株主の権利,取締役会の役割及び株式の公開買付等に係る基本的要素を定める。
貿易と持続可能な開発
✓ 貿易と持続可能な開発に関わる環境や労働分野に関し,日EU間での協力促進等について定める。
16