Contract
平成29年5月保健福祉局保健福祉部監査指導課子ども若者はぐくみ局はぐくみ創造推進室
社会福祉法人における入札契約等の取扱いについて
社会福祉法人における入札契約等の取扱いについては,厚生労働省通知「社会福祉法人における入札契約等の取扱いについて」(平成29年3月29日雇児総発 0329 第 1 号,社援基発 0329 第 1 号,障企発 0329 第 1 号,老高発 0329
第 3 号)において定められています。当該通知をはじめとする関係通知をもとに重要と思われる事項を下記のとおりまとめましたので,参考としてください。なお,国,自治体又は民間補助機関等から施設整備補助金等が交付される場
合は,当該交付要件等を遵守することが求められるため,関係機関と十分協議してください。
記
1 契約について
契約の種類には,入札による契約と随意契約とがある。
契約の相手方を決定したときは,契約書を作成すること。ただし,100万円を超えない場合等は契約書の作成を省略して差し支えない。
2 随意契約
合理的な理由により,競争入札に付することが適当でないと認められる場合においては,随意契約によることができる。合理的な理由とは次のとおりである。
区分 | 金額 |
会計監査を受けない法人 | 1,000万円 |
会計監査を受ける法人 ※ 会計監査人設置法人及び会計監査人を設置せずに公認会計士又は監査法人による会計監 査を受ける法人 | 法人の実態に応じて,下記金額を上限に設定 (上限額) ・建築工事:20億円 ・建築技術・サービス:2億円 ・物品等:3,000万円 |
(1)売買,賃貸借,請負その他の契約でその予定価格が下表に掲げる区分に応じ定められた額を超えない場合
(2)契約の性質又は目的が競争入札に適さない場合
<具体例>
①不動産の買入れ又は借入れの契約を締結する場合
②特殊な技術,機器又は設備等を必要とする工事で,特定の者と契約を締結しなければ契約の目的を達成することができない場合
③既設の設備の密接不可分の関係にあり,同一施工者以外の者に施工させた場合,既設の設備等の使用に著しい支障が生じるおそれがある設備,機器等の増設,改修等の工事を行う場合
④契約の目的物が特定の者でなければ納入することができない場合
⑤契約の目的物が代替性のない特定の位置,構造又は物質である場合
⑥日常的に消費する食料品や生活必需品の購入について,社会通念上妥当と認められる場合
(3)緊急の必要により競争入札に付することができない場合
<具体例>
①電気,機械設備等の故障に伴う緊急復旧工事を行う場合
②災害発生時の応急工事及び物品購入等を行う場合
③感染症等を防止する消毒設備の購入など,緊急に対応しなければ入所者処遇に悪影響を及ぼす場合
(4)競争入札に付することが不利と認められる場合
<具体例>
①現に契約履行中の工事に直接関連する契約を現に履行中の契約者以外の者に履行させることが不利である場合
②買入れを必要とする物品が多量であって,分割して買い入れなければ売惜しみその他の理由により価格を騰貴させるおそれがある場合(予定価格が1,000万円を超える場合は除く。)
③緊急に契約をしなければ,契約する機会を失い,又は著しく不利な価格をもって契約をしなければならないおそれがある場合(予定価格が
1,000万円を超える場合は除く。)
<具体例>
①物品の購入に当たり,特定の業者がその物品を多量に所有し,しかも他の業者が所有している当該同一物品の価格に比して有利な価格でこれを購入可能な場合(予定価格が1,000万円を超える場合は除く。)
②価格及びその他の要件を考慮した契約で他の契約よりも有利となる場
合(予定価格が1,000万円を超える場合は除く。)
(5)時価に比して有利な価格等で契約を締結することができる見込みのある場合
(6)競争入札に付し入札者がないとき,又は再度の入札に付し落札者がない場合(契約保証金及び履行期限を除き,最初競争に付するときに定めた予定価格その他条件を変更することはできないこと)
(7)落札者が契約を締結しない場合(落札金額の制限内での随意契約であるとともに,履行期限を除き,最初競争に付するときに定めた条件を変更することはできないこと)
3 契約の方法
前項に該当しない契約については競争入札により適正に行うこと。
入札対象でない契約については,理事長専決規程等の範囲内であれば専決し ても差し支えないが,3社以上の業者から見積もりを徴し比較するなど,適正な価格を客観的に判断すること。ただし,契約の種類に応じて,下記の金額を超えない場合には,2社以上の業者からの見積もりで差し支えない。
・ 工事又は製造の請負 :250万円
・ 食料品・物品等の買入れ:160万円
・ 上記に掲げるもの以外 :100万円
また,重要な契約については,理事会において決定するとともに,理事長又 は業務執行理事が専決した契約は,理事会に報告すること。
※一般競争入札
入札の実施方法として特に入札の参加要件を限定せず,原則として誰でも参加可能な公開入札をいう。発注内容に対する施工能力の審査がある制限付一般競争入札や特に高度の技術を要する工事でさらに資格審査を厳しく行う形の公募型指名競争入札などがある。
※指名競争入札
発注者が過去の実績や技術力などをもとに入札参加者をあらかじめ名簿等で選定して行う入札のこと。悪質業者を排除し,信頼性の高い施工が確保できる反面,限定された競争参加者の中で不正行為が発生するおそれがあり,競争参加者などの情報の取扱いに注意が必要となる。
(参考)指名競争入札の方法
比較的実施例が多い指名競争入札について,必要最低限の手続を示すものであるが,ケースに応じてより適切な方法で実施すること。
①理事会開催
立会人,予定価格,業者指名方法,入札方法の審議,入札参加業者の資格確認(建設業の許可を有している等)
※立会人……監事,又は複数の理事(理事長を除く。)及び評議員の立会い(理事長と「特殊の関係のある者」は除く。)
※予定価格…前年度実績や当該年度予算を参考に設定すること。
施設整備の場合,設計事務所からの意見を参考にしたり,また,必要に応じて設計事務所へ委託するなど適正に取り扱うこと。ただし,委託先が監事の経営する業者等であってはならない。
※議事関係…理事又は評議員に建設請負業者や物品納入業者等が加わっている法人が建設工事請負や物品納入等の契約を行おうとする場合には,当該理事は特別の利害関係を有することとなるので,当該契約の入札価格の決定や業者選定等に係る議事の議決には加わることができない。
②指名業者へ通知
③入札実施
入札方法説明後,入札。立会人等が立ち会うこと。
④入札結果(入札業者名,落札業者名,入札金額,落札金額)に立会人全員の署名
⑤理事会で契約締結について議決
契約書はケースに応じて,理事長名又は契約担当者名とする。
※議事関係…①と同様
⑥入札結果を公表
※事業の透明性やxx性を確保するため,入札結果を一般の閲覧に供すること。
4 入札に当たっての注意事項
(1)年度当初の予算又は補正予算において予算計上し,かつ施設整備又は物品購入等に係る計画(資金計画,事業計画,借入,その他必要事項)について理事会(定款上,評議員会の承認事項としている場合は,評議員会も)で議決を得ておくこと。
(2)指名競争入札を行う場合は,過去の実績,技術力,不正行為の有無等を調査し,より安価で確実に目的が達成できると見込める業者を指名すること。また,談合などの不正行為が発生しないように注意すること。
(3)一括下請負は禁止すること。一部下請負をする場合は,業務等の必要事項を十分把握すること。
(4)工事請負業者等からみだりに寄附を求めたり又は受け取ったりしないこと。
(5)契約締結の際には,契約内容を十分確認し,業者等とのトラブルを未然に防止すること。
<契約事務処理フロー図>
①予算が計上されているか確認(予算計上されていない場合は,補正予算を計上)
②契約目的,内容等の精査
③仕様書,設計書等の作成
④予定価格(調書)の作成(理事xxの契約担当者)
⑤契約方法の検討,決定(理事会)
⑥業者の選定案の検討(理事会)
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↓
⑦一般競争入札
⑧指名競争入札
⑨随意契約
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公 告
指名業者通知
3社以上による見積合わせ
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必要に応じて,仕様書・設計書・図面等の閲
覧並びに仕様説明会又は現場説明会の実施
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入 札
監事,又は複数の理事(理事長を除く。)及び評議員の立会い(理事長の親族等は除く。)
落札者の決定
業者の決定
⑩契約締結について(理事会の同意)
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⑪契約締結伺決裁(理事長)
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⑫契 約 の 締 結
100万円を超えるもの・・・契約書の作成