http://www.kaneko-law-office.jp
株式譲渡基本合意書
買い手 社(以下「甲社」という)と売り手 (以下「乙」という)は、乙が有する対象企業 (以下「丙社」という)の発行済株式の全部を乙より買取る件(以下
「本件取引」という。)について、本件取引の最終契約(以下、「最終契約」という)の締結を目指して、以下の通り合意した。
*本モデル契約書では、乙が丙社の代表取締役であり、100%株主であるというシンプルな場合を想定している。
第1条(取引の内容)
1.乙および丙社は、乙が丙社の発行する株式株2000株のすべて(以下「本件株式」という。)を単独で所有していること、およびこれらの株式が全て普通株式であることを表明し保証する。
2.甲社は、乙の所有する本件株式を金1億円にて乙より買い取る意向を有し、乙はそれを了承する。
3.乙の金融機関に対する丙社のための保証債務については、最終契約後速やかに、丙社は代替保証または担保、または、代位弁済により、消滅させるものとする。
4. 丙社は、最終契約までに、前項の株式譲渡につき、取締役会の承諾を得るものとする。
5.本件取引の一環として行われる本件株式の買い取り主体は、甲社の子会社となる場合があり、乙はそれに同意する。
第2条 丙社の役員と従業員
1. 丙社の代表取締役である乙は、最終契約締結と同時に丙社の代表取締役及び取締役を退任するものとし、丙社が乙に対して退職慰労金5000万円を支払うものとし、甲社はこれに同意する。
2. 丙社の取締役xとxは、同じく最終契約締結と同時に退任するものとし、乙は、退職金規定にしたがい、それぞれ、丁に 円, 戊に 円の退職金を支払うものとし、甲社はこれに同意する。
3. 乙は、最終契約までに、xと戊から、前項の退任の了承を得ておくものとする。
4. 甲社は、丙社代表取締役 が第1項の退任後は、丙社顧問に採用し、1カ月金円の顧問料を支払うものとし、顧問就任期間は、最低5年とする。
5. 甲社は、最終契約締結後も、本日現在の丙社の従業員を従来と同条件で雇用を継続するものとする。
*社長、役員、従業員の処遇は、早めに決めておく必要がある。第3条(表明保証)
1. 乙および丙社は、丙社の株式につき、いかなる第三者も、ストックオプション、新株予約権、その他の方法で、丙社の株式を取得する権利を有しないことを甲に対し表明し、保証する。
2. 乙および丙社は、甲に提出した丙社の財務諸表の内容がxxかつ適正であることを保証し、丙社の貸借対照表に計上されていない保証債務等、簿外の債務が存在しないことを、甲社に対して表明し、保証する。
3. 乙および丙社は、平成 年 月末日以降、丙社の財務または資産の状況、経営成績等に重大な悪影響を及ぼす恐れのある事由が生じていないことを、甲に対して表明し、保証する。
*まとめた財務諸表以降にも、このような事由が無いことが必要だからである。
4. 乙および丙社は、丙社がその従業員に対して、未払いの賃料、時間外手当、社会保険料などの労働契約に関する債務は存在しないことを、甲社に対して表明し、保証する。
5. 乙および丙社は、丙社が所有する土地や建物に有害物質による汚染は無いことを、甲社に対して表明し、保証する。
6. 乙および丙社は、丙社が第三者の特許権、実用新案権、商標権、意匠権、著作xxを侵害していないことを、甲社に対して表明し、保証する。
7. 乙および丙社は、丙社が第三者から訴訟その他のクレーム等を受けておらず、また、合理的に予見される範囲内での紛争も存在しないため、丙社に帰属する可能性のある重大な債務が存在しないことを、甲社に対して表明し、保証する。
第4条(調査の実施)
甲社は、本件取引を遂行してよいかどうかの判断をするため、本合意書の締結後2ヶ月以内において、甲社及びその選任する弁護士、公認会計士ならびにその他のアドバイザー等が、丙社に関する以下の事項を調査(以下「本件調査」とする)するものとし、乙は、甲社による本件調査の実施が可能となるよう必要な協力をする。
① 会計処理、財務内容、将来の収益見通しなど
② 経営管理、営業活動、技術開発力、設備の保全・稼働状況など
③ 第三者との重要な契約関係、株式の帰属、不動産の利用・権利状況、労務関係、知財・著作権関係、係争事件の有無、汚染等の環境リスクなど、
第5条(善管注意義務)
丙社は、最終契約の締結日までの間下記の事項を行わず、その財産状態ならびに損益状況が大幅に変化させない。ただし、甲社と乙が書面で合意するものについてはこの限りではない。
① 増減資、新株予約権の発行
② 新規借入、新規投融資、担保権の設定、
③ 重要財産の売却または購入、
④ 従業員の賃金・給与の水準の大幅な変更、
⑤ 重要な顧客との取引条件の変更、
第6条(誠実交渉義務と独占的交渉権)
1. 甲社と乙は、平成 年 月 日(以下「本件期日」という)までに本件取引に関して、最終契約を締結すべく誠実に努力するものとする。
2. 本日より最終契約締結までの間、乙は、乙および丙社が甲以外の第三者との間で、乙の有する丙社の発行済株式の売却、丙社の行う増資の引受け、および丙社と第三者との合併等、丙社の経営権が変更される取引につき、一切の情報交換、交渉、合意、契約を行わず、丙社に行わせないものとする。
*様々な事情で、独占契約権が維持できないことがありうる。関係者の合意で、変更できる時はよいが、そうでないときは、後述の、住友信託銀行対旧UFJ事件の処理が参考になる。
第7条(条件の修正、契約解除)
1. 甲社が行う本件調査により、第3条の表明保証責任に違反があり、または、丙社の事業内容及び財務内容等に関して、甲社にとってxxの重大なる瑕疵が発見された場合には、本件代金は当該瑕疵の程度に応じて修正されるものとする。
2. 前条の表明保証責任の違反、または、重大な瑕疵が回復困難で、甲社としては乙との
間で信頼関係が維持できない場合には、甲は本合意書を解除できる。この場合、乙に故意または重過失がある時は甲の損害に対して賠償する責に任ずる。ただ し、その賠償額は、第1条2項の代金額の20%を上限とする。
3. 甲社および乙は、互いに相手において、仮差押、仮処分、強制執行、担保権実行、破産.民事再生、会社更生等の申し立てを受けた時、または、清算に入った時は、本合意書を解除できる。
第8条(契約期間)
本件期日までに、最終契約が締結できない場合は、本合意書は失効する。ただし、当事者間で、別個の契約がなされた場合は、それに従う。
第9条(秘密保持義務)
1. 平成 年 月 日付で甲社が差し入れた秘密保持契約は、本合意書が発効後も、有効であることを確認し、甲は、本日以降も、秘密保持に努める。
2. 乙及び丙社は、本合意書の締結およびその内容、本件取引に向けて取得した甲の情報は、下記のものを除いて、秘密情報として、第三者に開示しない。
(1)開示された時点で、既に公知となっていたもの
(2)開示された後で、自らの責に帰するべき事由によらず公知となっていたもの
(3)開示された時点で、既に自ら適法に保有していたもの
(4)正当な権限を有する第三者から開示されたもの
3. 前項にかかわらず、最終契約を締結するために必要不可欠な範囲内で、取締役等に開示する場合は除く。ただし、前項の秘密保持契約書に従い、秘密が保持する。
第10条(拘束性)
甲社および乙は、本合意書締結により本契約を締結すべく、誠実に努力することを約束するが、最終契約締結を強制されるものではないことを、ここで確認する。
*逆に、手付を入れておき、解消するには、手付放棄、手付倍返しを必要とすることにより、拘束力を与えるタイプの契約書もありうる。
第11条(協議事項)
本合意書に記載の無い事項または本基本契約の内容に疑義が生じた場合の取扱いについては、甲社および乙は、誠実に協議し、その解決を図るものとする。
第12条(適用法と管轄)
本合意書に関する解釈および紛争に対しては日本法を適用法とし、東京地方裁判所を管轄裁判所とする。
*本条は、当事者に外資系企業、外国法人が無い場合は、存在意義が無いので、不要である。
以上、本契約の成立を証するため本書面3通を作成し、甲社、乙及び丙社が記名捺印し、各1通を保管する。
平成 年 月 日
甲:乙:丙:
xxxx法律事務所
x000-0000 xxxxxxxx0xx00x0x xxxx0xxxx0x
xxxx://xxx.xxxxxx-xxx-xxxxxx.xx
掲載内容の無断転載・転用を固く禁じます。